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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1322810
審判番号 不服2015-11039  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-10 
確定日 2017-01-10 
事件の表示 特願2013-153927「マクロセルラワイヤレスネットワークからのパッシブ支援を用いてフェムトセルの位置を特定するシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月13日出願公開、特開2014- 30195、請求項の数(24)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本件特許出願は、平成20年10月10日(パリ条約に基づく優先権主張 平成19年10月12日 米国、平成20年10月9日 米国)を国際出願日とする特願2010-529098号の一部を平成25年7月24日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成25年 8月21日 :手続補正書、上申書の提出
平成26年 3月13日 :手続補正書、上申書の提出
平成26年 5月30日付け:拒絶理由の通知
平成26年10月 3日 :意見書、手続補正書の提出
平成27年 2月 5日付け:拒絶査定
平成27年 6月10日 :審判請求書、手続補正書の提出
平成27年 7月 3日 :前置報告
平成27年10月 9日 :上申書
平成28年 1月21日付け:当審による拒絶理由の通知
平成28年 4月26日 :意見書、手続補正書の提出
平成28年 6月13日付け:当審による拒絶理由の通知(最後)
平成28年10月14日 :意見書、手続補正書の提出


第2 平成28年10月14日付け手続補正書による補正の適否

1.補正事項について

平成28年10月14日付け手続補正書により補正された事項は以下の通りである。(なお、下線部は審判請求人より付されたもの。)

(補正事項1)
平成28年4月26日付け手続補正書により補正された請求項1における「前記マクロシステムパラメータは、」を『前記マクロシステムパラメータの各々は、』とする補正事項。(なお、請求項7、請求項13においても同様。)

(補正事項2)
平成28年4月26日付け手続補正書により補正された請求項2における「信号のサンプルセグメントを取り出すことと、」を『前記フェムトセルから送信されるCDMA信号のサンプルセグメントを取り出すことと、』とする補正事項。(なお、請求項8、請求項14、請求項20においても同様。)

(補正事項3)
平成28年4月26日付け手続補正書により補正された請求項2における「前記フェムトセルからのマクロシステムパラメータのパイロット検索を行うことと、」を『前記データベースにおいて識別されるパイロットのフェムトセルパイロット検索を行うことと、』とする補正事項。(なお、請求項8、請求項14、請求項20においても同様。)

(補正事項4)
平成28年4月26日付け手続補正書により補正された請求項3における「前記フェムトセル」を『前記マクロセル』とする補正事項。(なお、請求項9、請求項15、請求項21においても同様。)

(補正事項5)
平成28年4月26日付け手続補正書により補正された請求項6における「前記フェムトセルのブロードキャストされた基地IDと、」を『前記フェムトセルの基地IDと、』とする補正事項。(なお、請求項12、請求項18、請求項24においても同様。)

(補正事項6)
平成28年4月26日付け手続補正書により補正された請求項19における「各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのマクロシステムパラメータとを備える、前記情報をデータベースに記憶するための手段と、」を『各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのマクロシステムパラメータとを備え、前記マクロシステムパラメータの各々は、位相オフセットと、しきい値よりも高い信号強度をもつパイロットとを備える、前記情報をデータベースに記憶するための手段と、』とする補正事項。


2.補正の目的について

平成28年10月14日付け手続補正書により補正された上記各補正事項が特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものであるかについて検討する。

(1)請求項1、7、13に係る発明において、データベースに記憶されている情報には複数のマクロシステムパラメータが含まれていることは明らかであるので、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第3号の誤記の訂正を目的とするものである。
そして、補正事項1は願書に最初に添付した明細書に記載されたものであり、また、当該補正事項1によって補正された発明は補正前の発明と特許法第37条の発明の単一性の要件についても満たすものであるから、当該補正事項1は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に適合するものである。

(2)補正事項2及び3については、平成28年6月13日付け拒絶理由通知書において<理由A>(特許法第36条第6項第2号)として指摘した事項に対する補正であるので、特許法第17条の2第5項第4号の不明瞭な記載の釈明を目的とするものである。
そして、補正事項2及び3は願書に最初に添付した明細書に記載されたものであり、また、当該補正事項2及び3によって補正された発明は補正前の発明と特許法第37条の発明の単一性の要件についても満たすものであるから、当該補正事項1は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に適合するものである。

(3)補正事項4については、平成28年6月13日付け拒絶理由通知書において<理由A>(特許法第36条第6項第2号)として指摘した事項に対する補正であるので、特許法第17条の2第5項第4号の不明瞭な記載の釈明を目的とするものである。
そして、補正事項4は願書に最初に添付した明細書に記載されたものであり、また、当該補正事項4によって補正された発明は補正前の発明と特許法第37条の発明の単一性の要件についても満たすものであるから、当該補正事項1は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に適合するものである。

(4)補正事項5については、平成28年6月13日付け拒絶理由通知書において<理由A>(特許法第36条第6項第2号)として指摘した事項に対する補正であるので、特許法第17条の2第5項第4号の不明瞭な記載の釈明を目的とするものである。
そして、補正事項5は願書に最初に添付した明細書に記載されたものであり、また、当該補正事項5によって補正された発明は補正前の発明と特許法第37条の発明の単一性の要件についても満たすものであるから、当該補正事項1は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に適合するものである。

(5)補正事項6については、「マクロシステムパラメータ」について、『前記マクロシステムパラメータの各々は、位相オフセットと、しきい値よりも高い信号強度をもつパイロットとを備える、』との限定を付加したものであるり、補正前後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、補正事項6は願書に最初に添付した明細書に記載されたものであり、また、当該補正事項6によって補正された発明は補正前の発明と特許法第37条の発明の単一性の要件についても満たすものであるから、当該補正事項1は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に適合するものである。


3.独立特許要件について

平成28年10月14日付け手続補正書により補正された請求項19に関する補正事項6は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、補正後の請求項19に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。

3-1.本件補正発明

本件補正発明は、平成28年10月14日付け手続補正書により補正された請求項19に記載された事項により特定される以下の通りのものである。

「フェムトセルの位置を特定する装置であって、
少なくとも1つのフェムトセルの位置を特定する情報をデータベースに記憶するための手段であって、前記情報は各フェムトセルの一意な識別情報と、各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのマクロシステムパラメータとを備え、前記マクロシステムパラメータの各々は、位相オフセットと、しきい値よりも高い信号強度をもつパイロットとを備える、前記情報をデータベースに記憶するための手段と、
前記マクロセルからのマクロシステムパラメータを受信するための手段と、
前記データベースに記憶された前記マクロシステムパラメータと、前記マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータと、を比較することによって、ユーザ機器(UE)が少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にあるかどうかを判断するために前記データベース内を検索するための手段と、
前記UEが少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にある場合、前記フェムトセルに対応する前記データベースの情報を使用して前記フェムトセルにアクセスするための手段と、
を備える、フェムトセルの位置を特定する装置。」


3-2.引用文献の記載事項

平成28年6月13日付け拒絶理由通知書及び原査定の拒絶の理由に引用された米国特許第6529491号明細書には、以下の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。)

「In this embodiment, the Private System List is comprised of three tables, illustrated in FIGS. 4A-C . These tables are the Overlaying System Table, the Private System Table, and the System Identification Table.
・・・途中省略・・・
The Overlaying System Table, illustrated in FIG. 4A , contains the overlaying public system information, such as the system ID (SID), network ID (NID), base station ID (Base_ID), base station longitude and latitude (LAT/LONG), frequency (f), and band class. This table also provides pointers to the Private System Table.
The Private System Table, illustrated in FIG. 4B , holds the band class, frequency, and pilot PN offsets of the autonomous private radio system. The PN offset enables the radiotelephone to begin searching for the private system. The Private System Table may also hold private system location determination parameters.
The System Identification Table, illustrated in FIG. 4C , holds the User Zone IDs and alphanumeric tags of the private systems.
The radiotelephone determines that it is in the vicinity of the private system of interest when a match occurs between the broadcast public system information and that stored in the overlaying system table. If this occurs, the radiotelephone may start to acquire the private system using parameters specified in the private system table. The radiotelephone stays in the private system and gets service when the acquisition is successful. If the radiotelephone fails to acquire any of the private systems, it stays in the current system and starts the acquisition process again at a later time. 」(第5欄第61行?第6欄第27行)


(仮訳)
具体的には、Private System Listは図4A-Cに示される様に3つのテーブルで構成されている。これらのテーブルは、Overlaying System Table, the Private System Table, and the System Identification Tableである。
・・・途中省略・・・
図4Aで示されるOverlaying System Tableは、システムID(SID)、ネットワークID(NID)、基地局ID(Base_ID)、基地局の緯度・経度(LAT/LONG)、周波数(f)、バンドクラスの様なoverlaying public system informationを含んでいる。
図4Bで示されるPrivate System Tableは、独立したプライベート無線システムのバンドクラス、周波数、パイロットPNオフセットを備えている。PNオフセットは、無線電話機がプライベートシステムを探索し始めることを可能とする。また、Private System Tableは、プライベートシステムのロケーションを決定するパラメータを備えている。
図4Cで示されるSystem Identification Tableは、プライベートシステムのユーザーゾーンIDやalphanumeric tagsを備えている。
broadcast public system informationとoverlaying system tableに記憶されている情報とが一致した時、無線電話機は関心のあるプライベートシステムの近傍にいると決定する。一致が発生した場合、無線電話機はprivate system table内の特別なパラメータを利用してプライベートシステムの捕捉を開始する。捕捉が成功した場合、無線電話機はプライベートシステムにとどまりサービスを受ける。無線電話機がプライベートシステムの捕捉に失敗した場合、現在のシステムにとどまり、後で再び捕捉プロセスを開始する。)

上記記載事項から、引用文献には、以下の発明が記載されていると認められる。

「Overlaying System Table, Private System Table, System Identification Tableの3つのテーブルで構成されているPrivate System Listを備え、 Overlaying System Tableは、システムID(SID)、ネットワークID(NID)、基地局ID(Base_ID)、基地局の緯度・経度(LAT/LONG)、周波数(f)、バンドクラスの様なoverlaying public system informationを含んでおり、
Private System Tableは、独立したプライベート無線システムのバンドクラス、周波数、パイロットPNオフセット、プライベートシステムのロケーションを決定するパラメータを備えており、
broadcast public system informationとoverlaying system tableに記憶されている情報とが一致した時、無線電話機は関心のあるプライベートシステムの近傍にいると決定し、無線電話機はprivate system table内の特別なパラメータを利用してプライベートシステムの捕捉を開始し、捕捉が成功した場合、プライベートシステムにとどまりサービスを受ける、無線電話機。」(以下、「引用発明」という。)


3-3.本件補正発明と引用発明の対比

(1)引用発明に係る「プライベートシステム」及び「Overlaying System」は、それぞれ、本件補正発明でいうところの『フェムトセル』、『マクロセル』に対応することは明らかである。

(2)引用発明に係る「(Overlaying System Table, Private System Table, System Identification Tableの3つのテーブルで構成されている)Private System List」は、図4Aから図4Cに示されている様に、プライベートシステムロケーションを決定するパラメータやOverlaying Systemのoverlaying public system informationを備えているものであるから、本件補正発明でいうところの『データベース』に対応するといえる。

そして、引用発明において、前記Private System Listは無線電話機に記憶されているものであり、また、当該Private System Listを構成しているPrivate System Tableには、プライベートシステムのロケーションを決定するパラメータを備えているのであるから、引用発明は、上記(1)での対比を踏まえると、本件補正発明でいうところの『少なくとも1つのフェムトセルの位置を特定する情報をデータベースに記憶するための手段』を備えているといえる。

(3)引用発明において、Private System Listを構成しているOverlaying System Tableには、システムID(SID)、ネットワークID(NID)、基地局ID(Base_ID)、基地局の緯度・経度(LAT/LONG)、周波数(f)、バンドクラスの様なoverlaying public system informationが含まれいるのであるから、引用発明における「overlaying public system information」は、本件補正発明でいうところの『マクロシステムパラメータ』に対応するといえ、上記「overlaying public system information」に含まれている「システムID(SID)、ネットワークID(NID)、基地局ID(Base_ID)、基地局の緯度・経度(LAT/LONG)」は、本件補正発明の明細書の段落【0029】の記載を参酌するに、本件補正発明でいうところの『パイロット』に対応するものといえる。

そして、引用発明は「broadcast public system informationとoverlaying system tableに記憶されている情報とが一致した時、無線電話機は関心のあるプライベートシステムの近傍にいると決定」するのであるから、前記broadcast public system informationを送信するOverlaying Systemは、プライベートシステムの近傍にあるマクロセルといえる。

したがって、上記(1)での対比を踏まえると、引用発明は、本件補正発明でいうところの『前記情報は、各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのマクロシステムパラメータとを備え、前記情報をデータベースに記憶するための手段』を備えているといえる。

(4)引用発明は「broadcast public system informationとoverlaying system tableに記憶されている情報とが一致した時、無線電話機は関心のあるプライベートシステムの近傍にいると決定」するのであるから、引用発明に係る無線電話機には「broadcast public system informationを受信する手段」及び「broadcast public system informationとoverlaying system tableに記憶されている情報とを比較し、Overlaying Systemがプライベートシステムの近傍にあるかどうかを判断するためにPrivate System Listを検索する手段」が備わっていることは明らかである。

してみると、上記(1)での対比を踏まえると、引用発明は、本件補正発明でいうところの『マクロセルからのマクロシステムパラメータを受信するための手段』と『データベースに記憶されたマクロシステムパラメータと、マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータと、を比較することによって、ユーザ機器(UE)が少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にあるかどうかを判断するために前記データベース内を検索するための手段』を備えているといえる。

(5)引用発明は「broadcast public system informationとoverlaying system tableに記憶されている情報とが一致した時、無線電話機は関心のあるプライベートシステムの近傍にいると決定し、無線電話機はprivate system table内の特別なパラメータを利用してプライベートシステムの捕捉を開始し、捕捉が成功した場合、プライベートシステムにとどまりサービスを受ける」のであるから、引用発明に係る無線電話機には、「private system table内の特別なパラメータを利用してプライベートシステムにアクセスするための手段」が備わっていることは明らかである。

してみると、上記(1)での対比を踏まえると、引用発明は、本件補正発明でいうところの『UEが少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にある場合、前記フェムトセルに対応する前記データベースの情報を使用して前記フェムトセルにアクセスするための手段』を備えているといえる。

(6)引用発明に係る「無線電話機」は、「broadcast public system informationとoverlaying system tableに記憶されている情報とが一致した時、無線電話機は関心のあるプライベートシステムの近傍にいると決定し、無線電話機はprivate system table内の特別なパラメータを利用してプライベートシステムの捕捉を開始し、捕捉が成功した場合、プライベートシステムにとどまりサービスを受ける、」のであるから、上記(1)での対比を踏まえると、本件補正発明でいうところの『フェムトセルの位置を特定する装置』といえる。

したがって、本件補正発明と引用発明とは、

「フェムトセルの位置を特定する装置であって、
少なくとも1つのフェムトセルの位置を特定する情報をデータベースに記憶するための手段であって、前記情報は、各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのマクロシステムパラメータとを備え、前記マクロシステムパラメータの各々は、パイロットを備える、前記情報をデータベースに記憶するための手段と、
前記マクロセルからのマクロシステムパラメータを受信するための手段と、
前記データベースに記憶された前記マクロシステムパラメータと、前記マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータと、を比較することによって、ユーザ機器(UE)が少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にあるかどうかを判断するために前記データベース内を検索するための手段と、 前記UEが少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にある場合、前記フェムトセルに対応する前記データベースの情報を使用して前記フェムトセルにアクセスするための手段と、
を備える、フェムトセルの位置を特定する装置。」

で一致し、下記の点で相違する。

[相違点1]
本件補正発明は、データベースに記憶されるフェムトセルの位置を特定する情報として、『各フェムトセルの一意な識別情報』を含んでいるのに対し、引用発明においてはその旨明示されていない点。

[相違点2]
本件補正発明においては、マクロシステムパラメータの各々について『位相オフセットと、しきい値よりも高い信号強度をもつパイロットとを備える、』との事項が特定されているのに対し、引用発明においてはその様な特定はない点。


3-4.判断

上記[相違点2]について検討する。

引用発明には、クロシステムパラメータの各々について、「システムID(SID)、ネットワークID(NID)、基地局ID(Base_ID)、基地局の緯度・経度(LAT/LONG)」の情報を備えることは開示されているが、本件補正発明の様にマクロシステムパラメータの各々について『位相オフセットと、しきい値よりも高い信号強度をもつパイロットとを備える、』と特定する事項は記載も示唆もされておらず、また当業者にとって自明であるとも認められない。

してみると、引用発明において、上記相違点2で特定されるような本件補正発明に特有の事項を備えるようにする合理的な理由があるとは認められないから、相違点2に係る構成を引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得るとは認められない。


3-5.まとめ

したがって、本件補正発明は、相違点1を検討するまでもなく、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえず、また、他に本件補正発明が特許を受けることができない理由もないから、本件補正発明は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。


第3 本願発明

平成28年10月14日付け手続補正書により補正された事項は、上記「第2 平成28年10月14日付け手続補正書による補正の適否」の「2.補正の目的について」及び「3.独立特許要件について」で言及した通り、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本件特許出願の請求項1-24に係る発明は、平成28年10月14日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲1-24に記載された事項により特定される以下の通りのものである。

「【請求項1】
フェムトセルの位置を特定するユーザ機器(UE)のための方法であって、
少なくとも1つのフェムトセルの位置を特定する情報をデータベースに記憶することであって、前記情報は各フェムトセルの一意な識別情報と、各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのマクロシステムパラメータとを備え、前記マクロシステムパラメータの各々は、位相オフセットと、しきい値よりも高い信号強度をもつパイロットとを備える、前記情報をデータベースに記憶することと、
前記マクロセルからのマクロシステムパラメータを受信することと、
前記データベースに記憶された前記マクロシステムパラメータと、前記マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータと、を比較することによって、前記UEが少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にあるかどうかを判断するために前記データベース内を検索することと、
前記UEが少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にある場合、前記フェムトセルに対応する前記データベースの情報を使用して前記フェムトセルにアクセスすることと、
を備える方法。

【請求項2】
前記データベースに記憶された前記マクロシステムパラメータと、前記マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータとの一致を求めて前記データベースを検索し、システム識別(ID)データベースエントリが前記フェムトセルの周りのマクロシステムの前記システムIDに一致し、ネットワークIDデータベースエントリが前記フェムトセルの周りの前記マクロシステムの前記ネットワークIDに一致し、基地IDデータベースエントリが前記マクロセルの前記基地IDに一致し、基地緯度が前記マクロセルの前記緯度に一致し、且つ、基地経度が前記マクロセルの前記経度に一致するとき、一致があると判断することと、
一致がある場合、前記UEをフェムトセル周波数FFに同調させることと、
前記フェムトセルから送信されるCDMA信号のサンプルセグメントを取り出すことと、
前記データベースにおいて識別されるパイロットのフェムトセルパイロット検索を行うことと、
一致がない場合、前記UEをマクロセル周波数FMに同調させることと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
十分な信号強度をもつ、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータを求めて前記データベースを検索することと、
十分な信号強度の、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータが発見された場合、前記UEによって前記フェムトセルのアイドルハンドオフ(HO:Handoff)を実行することと、
十分な信号強度の、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータが発見されなかった場合、前記UEを前記マクロセル周波数FMに同調させることと、
をさらに備える、請求項2に記載の方法。

【請求項4】
前記UEによってフェムトセルページングチャネルを復調することと、
フェムトセルシステムパラメータメッセージ(SPM:System Parameters Message)を受信することと、
前記UEを前記フェムトセルに登録することと、
をさらに備える、請求項3に記載の方法。

【請求項5】
前記UEによって、パラメータ、システムIDと,ネットワークIDと,基地IDとを確認することと、
前記フェムトセルSPM中でブロードキャストされた、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルの前記ネットワークIDと、基地IDと一致させることと、
一致が確認できなかった場合、前記フェムトセルにアクセスすることを許されるかどうかを判断するために前記フェムトセルへの登録を試みることと、
をさらに備える、請求項4に記載の方法。

【請求項6】
前記データベースに記憶された前記情報は、フェムトセルごとに、搬送周波数と、位置と、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルの基地IDと、を含む、請求項1に記載の方法。

【請求項7】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリと、
を備えるユーザ機器(UE)であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
少なくとも1つのフェムトセルの位置を特定する情報をデータベースに記憶することであって、前記情報は各フェムトセルの一意な識別情報と、各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのマクロシステムパラメータとを備え、前記マクロシステムパラメータの各々は、位相オフセットと、しきい値よりも高い信号強度をもつパイロットとを備える、
前記情報をデータベースに記憶し、
前記マクロセルからのマクロシステムパラメータを受信し、
前記データベースに記憶された前記マクロシステムパラメータと、前記マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータと、を比較することによって、前記UEが少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にあるかどうかを判断するために、前記データベース内を検索し、
前記UEが少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にある場合、前記フェムトセルに対応する前記データベースの情報を使用して前記フェムトセルにアクセスする、
ように構成される、ユーザ機器。

【請求項8】
前記プロセッサはさらに、
前記データベースに記憶された前記マクロシステムパラメータと、前記マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータとの一致を求めて前記データベースを検索し、システム識別(ID)データベースエントリが前記フェムトセルの周りのマクロシステムの前記システムIDに一致し、ネットワークIDデータベースエントリが前記フェムトセルの周りの前記マクロシステムの前記ネットワークIDに一致し、基地IDデータベースエントリが前記マクロセルの前記基地IDに一致し、基地緯度が前記マクロセルの前記緯度に一致し、且つ、基地経度が前記マクロセルの前記経度に一致するとき、一致があると判断し、
一致がある場合、前記UEをフェムトセル周波数FFに同調させ、
前記フェムトセルから送信されるCDMA信号のサンプルセグメントを取り出し、
前記データベースにおいて識別されるパイロットのフェムトセルパイロット検索を行い、
一致がない場合、前記UEをマクロセル周波数FMに同調させる、
ように構成される、請求項7に記載のユーザ機器。

【請求項9】
前記プロセッサはさらに、
十分な信号強度をもつ、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータを求めて前記データベースを検索し、
十分な信号強度の、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータが発見された場合、前記フェムトセルのアイドルハンドオフ(HO:Handoff)を実行し、
十分な信号強度の、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータが発見されなかった場合、前記UEを前記マクロセル周波数FMに同調させる、
ように構成される、請求項8に記載のユーザ機器。

【請求項10】
前記プロセッサはさらに、
フェムトセルページングチャネルを復調し、
フェムトセルシステムパラメータメッセージ(SPM:System Parameters Message)を受信し、
前記UEを前記フェムトセルに登録する、
ように構成される、請求項9に記載のユーザ機器。

【請求項11】
前記プロセッサはさらに、
前記UEによって、パラメータ、システムIDと,ネットワークIDと,基地IDとを確認し、
前記フェムトセルSPM中でブロードキャストされた、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルの前記ネットワークIDと、基地IDと一致させ、
一致が確認できなかった場合、前記フェムトセルにアクセスすることを許されるかどうかを判断するために前記フェムトセルへの登録を試みる、
ように構成される、請求項10に記載のユーザ機器。

【請求項12】
前記データベースに記憶された前記情報は、フェムトセルごとに、搬送周波数と、位置と、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルの基地IDと、を含む、請求項7に記載のユーザ機器。

【請求項13】
ユーザ機器(UE)のコンピュータに、
少なくとも1つのフェムトセルの位置を特定する情報をデータベースに記憶させることであって、前記情報は各フェムトセルの一意な識別情報と、各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのマクロシステムパラメータとを備え、前記マクロシステムパラメータの各々は、位相オフセットと、しきい値よりも高い信号強度をもつパイロットとを備える、
前記情報をデータベースに記憶させ、
前記マクロセルからのマクロシステムパラメータを受信させ、
前記データベースに記憶された前記マクロシステムパラメータと、前記マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータと、を比較することによって、前記UEが少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にあるかどうかを判断するために前記データベース内を検索させ、
前記UEが少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にある場合、前記フェムトセルに対応する前記データベースの情報を使用して前記フェムトセルにアクセスさせる、
ためのコードを備えるプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体。

【請求項14】
前記プログラムは、前記UEのコンピュータに、
前記データベースに記憶された前記マクロシステムパラメータと、前記マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータとの一致を求めて前記データベースを検索させ、システム識別(ID)データベースエントリが前記フェムトセルの周りのマクロシステムの前記システムIDに一致し、ネットワークIDデータベースエントリが前記フェムトセルの周りの前記マクロシステムの前記ネットワークIDに一致し、基地IDデータベースエントリが前記マクロセルの前記基地IDに一致し、基地緯度が前記マクロセルの前記緯度に一致し、基地経度が前記マクロセルの前記経度に一致するとき、一致があると判断し、
一致がある場合、前記UEをフェムトセル周波数FFに同調させ、
前記フェムトセルから送信されるCDMA信号のサンプルセグメントを取り出させ、
前記データベースにおいて識別されるパイロットのフェムトセルパイロット検索を行わせ、
一致がない場合、前記UEをマクロセル周波数FMに同調させる、
ためのコードをさらに備える、請求項13に記載のコンピュータ可読記録媒体。

【請求項15】
前記プログラムは、前記UEのコンピュータに、
十分な信号強度をもつ、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータを求めて前記データベースを検索させ、
十分な信号強度の、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータが発見された場合、前記UEによって前記フェムトセルのアイドルハンドオフ(HO)を実行させ、
十分な信号強度の、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータが発見されなかった場合、前記UEを前記マクロセル周波数FMに同調させる、
ためのコードをさらに備える、請求項14に記載のコンピュータ可読記録媒体。

【請求項16】
前記プログラムは、前記UEのコンピュータに、
前記UEによってフェムトセルページングチャネルを復調させ、
フェムトセルシステムパラメータメッセージ(SPM)を受信させ、
前記UEを前記フェムトセルに登録させる、
ためのコードをさらに備える、請求項15に記載のコンピュータ可読記録媒体。

【請求項17】
前記プログラムは、前記UEのコンピュータに、
前記UEによって、パラメータ、システムIDと,ネットワークIDと,基地IDとを確認させ、
前記フェムトセルSPM中でブロードキャストされた、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルの前記ネットワークIDと、基地IDと一致させ、
一致が確認できなかった場合、前記フェムトセルにアクセスすることを許されるかどうかを判断するために前記フェムトセルへの登録を試みさせる、
ためのコードをさらに備える、請求項16に記載のコンピュータ可読記録媒体。

【請求項18】
前記データベースに記憶された前記情報は、フェムトセルごとに、搬送周波数と、位置と、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルの基地IDと、を含む、請求項13に記載のコンピュータ可読記録媒体。

【請求項19】
フェムトセルの位置を特定する装置であって、
少なくとも1つのフェムトセルの位置を特定する情報をデータベースに記憶するための手段であって、前記情報は各フェムトセルの一意な識別情報と、各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのマクロシステムパラメータとを備え、前記マクロシステムパラメータの各々は、位相オフセットと、しきい値よりも高い信号強度をもつパイロットとを備える、前記情報をデータベースに記憶するための手段と、
前記マクロセルからのマクロシステムパラメータを受信するための手段と、
前記データベースに記憶された前記マクロシステムパラメータと、前記マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータと、を比較することによって、ユーザ機器(UE)が少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にあるかどうかを判断するために前記データベース内を検索するための手段と、
前記UEが少なくとも1つのフェムトセルの略近傍にある場合、前記フェムトセルに対応する前記データベースの情報を使用して前記フェムトセルにアクセスするための手段と、
を備える、フェムトセルの位置を特定する装置。

【請求項20】
前記データベースに記憶された前記マクロシステムパラメータと、前記マクロセルから受信した前記マクロシステムパラメータとの一致を求めて前記データベースを検索するための手段であって、システム識別(ID)データベースエントリが前記フェムトセルの周りのマクロシステムの前記システムIDに一致し、ネットワークIDデータベースエントリが前記フェムトセルの周りの前記マクロシステムの前記ネットワークIDに一致し、基地IDデータベースエントリが前記マクロセルの前記基地IDに一致し、基地緯度が前記マクロセルの前記緯度に一致し、且つ、基地経度が前記マクロセルの前記経度に一致するとき、一致があると判断する手段と、
一致がある場合、前記UEをフェムトセル周波数FFに同調させるための手段と、
前記フェムトセルから送信されるCDMA信号のサンプルセグメントを取り出すための手段と、
前記データベースにおいて識別されるパイロットのフェムトセルパイロット検索を行うための手段と、
一致がない場合、前記UEをマクロセル周波数FMに同調させるための手段と、
をさらに備える、請求項19に記載の装置。

【請求項21】
十分な信号強度をもつ、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータを求めて前記データベースを検索するための手段と、
十分な信号強度の、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータが発見された場合、前記UEによって前記フェムトセルのアイドルハンドオフ(HO)を実行するための手段と、
十分な信号強度の、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータが発見されなかった場合、前記UEを前記マクロセル周波数FMに同調させるための手段と、
をさらに備える、請求項20に記載の装置。

【請求項22】
前記UEによってフェムトセルページングチャネルを復調するための手段と、
フェムトセルシステムパラメータメッセージ(SPM)を受信するための手段と、
前記UEを前記フェムトセルに登録するための手段と、
をさらに備える、請求項21に記載の装置。

【請求項23】
前記UEによって、パラメータ、システムIDと,ネットワークIDと,基地IDとを確認するための手段と、
前記フェムトセルSPM中でブロードキャストされた、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルの前記ネットワークIDと、基地IDと一致させるための手段と、
一致が確認できなかった場合、前記フェムトセルにアクセスすることを許されるかどうかを判断するために前記フェムトセルへの登録を試みるための手段と、
をさらに備える、請求項22に記載の装置。

【請求項24】
前記データベースに記憶された前記情報は、フェムトセルごとに、搬送周波数と、位置と、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルの基地IDと、を含む、請求項19に記載の装置。 」


第4 原査定の理由について

1.原査定の理由の概要

「この出願については、平成26年5月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考
出願人は意見書にて、上記拒絶理由通知書にて示した引用文献1(米国特許第6529491号明細書)について、「引用文献1のプライベートシステムリストは、少なくとも、「前記情報は各フェムトセルの一意な識別情報と、各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのセル特有信号とを備える」を教示または示唆していません。引用文献1のプライベートシステムリストは、良くても、マクロセルについての緯度および経度座標を含みます(引用文献1:図4A参照)。緯度および経度座標は、「近傍にあるマクロセルからのセル特有信号」ではありません。したがって、出願人は、引用文献1が補正後の請求項1の主題すべてを教示または示唆しているわけではないため、補正後の請求項1が引用文献1に対して特許性有している」ため、補正後の請求項1?24に係る発明は拒絶理由を解消している旨を主張する。

当該主張について検討する。
前記引用文献1では、「The radiotelephone determines that it is in the vicinity of the private system of interest when a match occurs between the broadcast public system information and that stored in the overlaying system table. If this occurs, the radiotelephone may start to acquire the private system using parameters specified in the private system table. The radiotelephone stays in the private system and gets service when the acquisition is successful.・・・」という記載(column 6 line 16-26)があり、前記引用文献1では、ブロードキャストされたパブリックシステム情報が、OSTに記憶している情報と一致すれば、PSTで特定されるパラメータを使用して、プライベートシステムの情報を獲得し、獲得が成功すればプライベートシステムに接続してサービスを受けることが示されている。
ここで、ブロードキャストされたパブリックシステム情報と一致する情報がOSTに格納されていることから、前記引用文献1では「マクロセルからのセル特有信号」(に関する情報)を無線電話に記憶しているといえる。
してみれば、前記引用文献1には、「前記情報は各フェムトセルの一意な識別情報と、各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのセル特有信号とを備える」という構成が教示または示唆されているから、補正後の請求項1は、依然として、前記引用文献1に基づいて当業者が容易に発明し得たものである。
補正後の請求項2?4、6?10、12?16、18?22、24についても同様である。
したがって、補正後の請求項1?4、6?10、12?16、18?22、24は拒絶の理由が解消されているとする出願人の上記主張は採用できない。

なお、補正後の請求項1には「前記情報は各フェムトセルの一意な識別情報と、各フェムトセルの近傍にあるマクロセルからのセル特有信号とを備える」とあるが、「情報」が「信号」を備えるとの表現は日本語として不自然であって、当該記載は不明確である。信号が具体的にどのような情報なのか明確にする必要があると思料する。
補正後の請求項5、11、17、23について、上記拒絶理由通知書にて示した拒絶の理由は解消されているが、この点については補正後の請求項5、11、17、23についても不明確であるので注意されたい。 」

2.原査定の理由の判断

(1)引用文献1(米国特許第6529491号明細書)の記載事項

上記「第2 平成28年10月14日付け手続補正書による補正の適否」の「3-2.引用文献の記載事項」の通り。

(2)対比

本件特許出願の請求項19に係る発明と引用発明(上記「第2 平成28年10月14日付け手続補正書による補正の適否」の「3-2.引用文献の記載事項」で認定した発明)との一致点及び相違点については、上記「第2 平成28年10月14日付け手続補正書による補正の適否」の「3-3.本件補正発明と引用発明の対比」の通り。

(3)判断

上記「第2 平成28年10月14日付け手続補正書による補正の適否」の「3-4.判断」の通り。

(4)小括

したがって、本件特許出願の請求項19に係る発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

また、本件特許出願の他の請求項に係る発明(請求項1-18、20-24)についても、発明のカテゴリーの違いはあるものの、上記「第2 平成28年10月14日付け手続補正書による補正の適否」の「3-3.本件補正発明と引用発明の対比」で認定した相違点2に係る構成を有しているので、本件特許出願の請求項19に係る発明と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。


第5 当審拒絶理由について

1.当審拒絶理由の概要

「 理 由

<理由A>
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



(1)請求項2の「信号のサンプルセグメントを取り出すことと、」及び「前記フェムトセルからのマクロシステムパラメータのパイロット検索を行うことと、」との記載はその意味するところが不明である。
(「信号のサンプルセグメントを取り出すことと、」は、明細書の段落【0030】の記載を参酌するに、例えば、『フェムトセルが送信するCDMA信号のサンプルセグメントを取り出すことと、』の様にしてはどうか。また、「前記フェムトセルからのマクロシステムパラメータのパイロット検索を行うことと、」は、同様に明細書の段落【0030】の記載を参酌するに、『FEMT_PNのパイロット検索を行うことと、』の様にしてはどうか。)

(2)請求項3の「十分な信号強度をもつ、前記フェムトセルからの前記マクロシステムパラメータ」との記載はその意味するところが不明である。

(3)請求項6の「フェムトセルごとに、搬送周波数と、位置と、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルのブロードキャストされた基地IDと、を含む、」との記載において、『前記フェムトセルのブロードキャストされた基地IDと』の意味するところが不明である。(『前記フェムトセルの基地IDと』の様にしては、その意味するところが異なるのか?)

(4)請求項8、14、20についても、上記(1)と同様に不明である。

(5)請求項9、15、21についても、上記(2)と同様に不明である。

(6)請求項12、18、24についても、上記(3)と同様に不明である。

よって、請求項1、7、13、19以外の請求項に係る発明は明確でない。

<理由B>
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項 19
・引用文献等 1
・備考
本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

請求項1,7,13に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しない。 」

2.当審拒絶理由の判断

(1)<理由A>について

平成28年10月14日付け手続補正書により、

○請求項2の「信号のサンプルセグメントを取り出すことと、」は『前記フェムトセルから送信されるCDMA信号のサンプルセグメントを取り出すことと、』と補正され、
○請求項2の「前記フェムトセルからのマクロシステムパラメータのパイロット検索を行うことと、」を『前記データベースにおいて識別されるパイロットのフェムトセルパイロット検索を行うことと、』と補正され、
○請求項3の「十分な信号強度をもつ、前記フェムトセルからの前記マクロシステムパラメータ」との記載は『十分な信号強度をもつ、前記マクロセルからの前記マクロシステムパラメータ』と補正され、
○請求項6の「フェムトセルごとに、搬送周波数と、位置と、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルのブロードキャストされた基地IDと、を含む、」との記載は『フェムトセルごとに、搬送周波数と、位置と、前記フェムトセルのシステムIDと、前記フェムトセルの基地IDと、を含む、』と補正され、

の様に補正されたことにより、明確になった。そして、請求項2、3、6のそれぞれに対応する各請求項(「請求項8、14、20」、「請求項9、15、21」、「請求項12、18、24」)についても同様の補正がなされることによりそれぞれの発明が明確になった。

(2)<理由B>について

上記「第2 平成28年10月14日付け手続補正書による補正の適否」の「3.独立特許要件について」の通り。

したがって、当審で通知した拒絶理由は解消した。

第6 むすび

以上のとおり、原査定の理由および当審拒絶理由によっては、本件特許出願を拒絶することはできない。
また、他に本件特許出願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論の通り審決する。
 
審決日 2016-12-27 
出願番号 特願2013-153927(P2013-153927)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H04W)
P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 古市 徹  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 吉田 隆之
佐藤 智康
発明の名称 マクロセルラワイヤレスネットワークからのパッシブ支援を用いてフェムトセルの位置を特定するシステムおよび方法  
代理人 福原 淑弘  
代理人 井関 守三  
代理人 奥村 元宏  
代理人 蔵田 昌俊  
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