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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01B
管理番号 1322823
審判番号 不服2015-20993  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-26 
確定日 2017-01-10 
事件の表示 特願2013-190822「管の品質を決定する方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年3月27日出願公開、特開2014- 55956、請求項の数(29)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年9月13日(パリ条約による優先権主張2012年(平成24年)9月13日(以下、「優先日」という。)、2012年9月13日、2013年8月16日、2013年8月16日、いずれもアメリカ合衆国)の出願であって、平成26年2月26日付けの拒絶理由の通知に対し同年9月2日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月6日付けの最後の拒絶理由の通知に対し平成27年4月28日に意見書が提出されたが、同年7月28日付けで拒絶査定(同年8月3日謄本送達)(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、同年11月26日に拒絶査定不服審判が請求され同時に手続補正書が提出され、その後、当審において平成28年8月15日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、同年10月11日に意見書及び手続補正書(同手続補正書でした補正を、以下、「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし29に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」等という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし29に記載された事項により特定されたとおりの、次のとおりのものである。
「 【請求項1】
互いに対向する第1の側および第2の側を有する光透過性基板と、
マイクロプロセッサと、
曲管について得られたデータと直管について得られたデータとを保持するデータベースと、
前記光透過性基板の前記第1の側に設けられたカメラと、
前記第1の側に設けられ、前記光透過性基板の前記第2の側に配置された管の断面を照明するよう動作する光源と、
光透過性基板上に配置された前記管の画像を表示し、前記光透過性基板上に前記管を配置するためのユーザディスプレイと、
を備えた、管の品質を決定するシステムであって、
前記カメラは前記マイクロプロセッサおよび前記データベースと作動接続しており、
前記カメラは前記光透過性基板の前記第2の側に配置された前記管の断面の画像を得るよう動作し、
前記マイクロプロセッサは前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作し、
前記マイクロプロセッサは、曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、
直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記光透過性基板は、石英、シリカ、アルミナ、チタニア、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、および、これらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記光源は、前記カメラの周囲にリング状に配置された複数の点光源を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記システム全体が、前記管の導入および取り出しのための開口を有する不透明ケース内に収容されている、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記カメラは前記マイクロプロセッサおよびデータベースと電気接続しており、
前記電気接続は電気配線、無線配線またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
品質決定は、ASME B31.1-2010またはEN2952-5に従う、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記マイクロプロセッサは、前記管の画像処理ライブラリを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記所定パラメタが、前記管の内径、管の外径、管の肉厚、管の真円度、流量面積、重心、および、前記管の内面上の平坦箇所の寸法のいずれかを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
ボイラー規格に規定される計算を実行するよう動作する、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
複数の管断面から結果を計算し、曲管についてのボイラー規格コンプライアンスの全体計算にまとめるよう動作する、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
外部光の前記システムへの入射および前記画像への干渉を妨げる、不透明カバーを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記所定パラメタが、平均内径および平均外径のいずれかを含む、請求項10記載のシステム。
【請求項13】
光透過性基板の第1の側にカメラと、光源とを配置するステップと、
直管と曲管の各々で前記光透過性基板の第2の側に管の断面を配置するステップと、この際、前記断面は、当該断面の重心を通る軸に垂直に得られている、前記ステップと、
前記管の断面を前記光源によって照明するステップと、
前記カメラを用いて前記断面を画像化して画像を取得するステップと、
前記画像をマイクロプロセッサに送るステップと、
曲管について得られたデータと直管について得られたデータと比較することにより、前記画像から前記管の寸法および形状を示すパラメタを決定するステップと、
前記パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するステップと、
前記曲管のデータを得る際に、ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示するステップと、
直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示するステップと、
を含む、ことを特徴とする管の品質を決定する方法。
【請求項14】
管を曲げて曲管を形成するステップをさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記曲管の曲げ部分を複数の部分に切断するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
さらに、ボイラー規格に規定される計算を実行するステップをさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項17】
複数の曲管断面から結果を計算し、前記曲管に関するボイラー規格コンプライアンスの全体計算にまとめるステップをさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記画像を複数の部分に分割するステップと、
前記複数の部分の各部分についてパラメタを測定するステップと、
を含み、
前記所定パラメタが、前記管の内径、外径、重心、肉厚、真円度および流量面積のいずれかを含む、請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記光透過性基板は、石英、シリカ、アルミナ、チタニア、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、および、これらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記光源は、前記カメラの周囲にリング状に配置された複数の点光源を有する、請求項13記載の方法。
【請求項21】
システム全体が、前記管の導入および取り出しのための開口を有する不透明ケース内に収容されている、請求項13記載の方法。
【請求項22】
前記カメラは前記マイクロプロセッサおよびデータベースと電気接続しており、
前記電気接続は電気配線、無線配線またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項23】
品質決定は、ASME B31.1-2010またはEN2952-5に従う、請求項13記載の方法。
【請求項24】
前記マイクロプロセッサは、前記管の画像処理ライブラリを有する、請求項13記載の方法。
【請求項25】
前記所定パラメタが、前記管の内径、管の外径、管の肉厚、管の真円度、流量面積、重心、および、前記管の内面上の平坦箇所の寸法のいずれかを含む、請求項13記載の方法。
【請求項26】
ボイラー規格に規定される計算を実行するよう動作する、請求項13記載の方法。
【請求項27】
複数の管断面から結果を計算し、曲管についてのボイラー規格コンプライアンスの全体計算にまとめるよう動作する、請求項13記載の方法。
【請求項28】
外部光の前記システムへの入射および前記画像への干渉を妨げる、不透明カバーを用いる、請求項13記載の方法。
【請求項29】
前記パラメタは、平均内径および平均外径のいずれかを含む、請求項27記載の方法。」

第3 原査定の理由の概要
1 原査定の拒絶の理由は、概略、本願の請求項1ないし38に係る発明は、いずれも、優先日前に頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

2 原査定の拒絶の理由に引用された文献は、次のとおりである。なお、引用文献1ないし12は、平成26年11月6日付け拒絶理由通知書において引用されたとおりのものであり、引用文献13ないし15は、周知技術を示す文献として平成27年7月28日付け拒絶査定において新たに引用されたものである(同拒絶理由通知書と拒絶査定とにおいて引用文献の順序が異なっているため、以下、次のとおりに統一する)。
引用文献1:特開2012-154858号公報
引用文献2:特開2008-261679号公報
引用文献3:特開平9-72726号公報
引用文献4:特開2000-9436号公報
引用文献5:特開2010-101863号公報
引用文献6:特開2002-230523号公報
引用文献7:国際公開第2011/138524号
引用文献8:特開平10-38531号公報
引用文献9:特開昭54-153763号公報
引用文献10:特開2001-141419号公報
引用文献11:特開平2-275305号公報
引用文献12:特開2007-57344号公報
引用文献13:特開平4-346011号公報
引用文献14:特開昭61-50005号公報
引用文献15:特開2001-207号公報

3 より具体的な拒絶の理由として、平成26年11月6日付け拒絶理由通知書には次の記載がなされている。
(1)「請求項1に係る発明は、「マイクロプロセッサ」と「データベース」を備え、「前記カメラは前記マイクロプロセッサおよび前記データベースと作動接続して」いる構成を有しているのに対して、引用文献1(段落6、14、15、17、第2図等)、又は、引用文献2(段落21、第1図等)には、該構成が明記されていない点(以下「相違点1」という。)と、請求項1に係る発明は、「前記マイクロプロセッサは前記画像から前記対象の寸法および形状を計算し、所定パラメタに基づいて前記対象の適または不適を促進するよう動作する」構成を有しているのに対して、引用文献1又は2には、該構成が明記されていない点(以下「相違点2」という。)と、請求項1に係る発明は、計測対象が「管」であり、「管の断面の画像」を得て、「管の品質」を決定する構成を有しているのに対して、引用文献1又は2には、該構成が明記されていない点(以下「相違点3」という。)で相違しており、その他の点では一致している。
上記相違点1、2については、先の拒絶理由通知書で検討した通りである。
上記相違点3について検討する。
引用文献4には、ライト7(光源)と、ラインセンサカメラ6(カメラ)を用いて、被検査物4である輪切りにした熱収縮チューブ(管)の断面画像を得て、最大偏肉が規格値に対して外れているか否か(品質)を決定する構成(段落14、28、第1図、第6図、第7図等)が記載されている。
該引用文献4記載の構成を知る当業者であれば、上記引用文献1、2記載の発明において、上記相違点3の構成を設けることは、格別困難なことではない。
したがって、引用文献1?4に基づいて、請求項1に係る発明のように構成することは、当業者にとって容易である。
また、引用文献4記載の発明において、引用文献1、2記載の、「カメラ」と「光源」の配置構成を用いつつ、周知慣用の技術である、計測手段と、計測結果を処理するマイクロプロセッサや計測結果を保存するデータベースとを接続する技術を用いて、請求項1に係る発明のように構成することも、当業者であれば容易であることも付言しておく。」(「備考」の「(請求項1について)」)

(2)「引用文献9記載の、減肉率を求めるために、管の湾曲部の肉厚と直管の肉厚とを比較する構成(第1頁右下欄等)を知る当業者であれば、管の品質を決定する際に、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較するステップを設けることは、格別困難なことではない。」(同「(請求項7について)」)

(3)「管の曲げ半径、平均内径や平均外径を計測する技術は、周知技術である。該周知技術につき、引用文献10(段落7等)や、引用文献11(第4頁右下欄等)を参照されたい。」(同「(請求項14について)」)

(4)「表示に関する技術分野において、検査の開始またはカメラ画像データの閲覧のためのモニタを設ける技術、計測対象の画像を表示する技術、画像に注釈を付ける技術や、物体を配置するためのユーザディスプレイを設ける技術は、周知慣用の技術である。」(同「(請求項15、16について)」)

4 さらに、上記3(1)の文中において引用されている、平成26年2月26日拒絶理由通知書には、次の記載がなされている。
「請求項1に係る発明は、「マイクロプロセッサ」と「データベース」を備え、「前記カメラは前記マイクロプロセッサおよび前記データベースと作動接続して」いる構成を有しているのに対して、引用文献1(段落6、14、15、17、第2図等)、又は、引用文献2(段落21、第1図等)には、該構成が明記されていない点(以下「相違点1」という。)と、請求項1に係る発明は、「前記マイクロプロセッサは前記画像から前記対象の寸法および形状を計算し、所定パラメタに基づいて前記対象の適または不適を促進するよう動作する」構成を有しているのに対して、引用文献1又は2には、該構成が明記されていない点(以下「相違点2」という。)で相違しており、その他の点では一致している。
上記相違点1について検討する。
計測に関する技術分野において、計測手段と、計測結果を処理するマイクロプロセッサや計測結果を保存するデータベースとを接続する技術は、周知慣用の技術であるから、上記引用文献1又は2記載の発明において、上記相違点1の構成を設けることは、当業者にとって格別困難なことではない。
次に、上記相違点2について検討する。
引用文献1、2には、カメラで取得した画像から対象の形状(「寸法」を含む。)を計算する構成が記載されている。
引用文献3記載の、計測した形状と設計された形状(所定パラメータ)とに基づいて、対象が合格あるいは不合格かを判定する構成(段落1?6、120?126等)を知る当業者であれば、上記引用文献1又は2記載の発明において、対象の寸法および形状の適否を判定しようとして、上記相違点2の構成を設けることは、格別困難なことではない。」(「備考」の「(請求項1について)」)

第4 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由は、概略、本願の請求項1ないし38に係る発明は、いずれも、優先日前に頒布された刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず(以下、「理由1」という。)、また、本願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、同法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない(以下、「理由2」という。)、というものである。

2 理由1で引用された文献は、次のとおりである。なお、周知例2ないし10は、周知技術を示す文献として引用されたものである。
引用例1:特開平5-240619号公報
(以下、「引用文献16」という。)
周知例2:国際公開第2011/074261号
(以下、「引用文献17」という。)
周知例3:米国特許出願公開第2010/0039640号明細書
(以下、「引用文献18」という。)
周知例4:特開2010-101863号公報
(上記「第3」2の引用文献5に同じ。以下、「引用文献5」という。)
周知例5:特開2008-261679号公報
(上記「第3」2の引用文献2に同じ。以下、「引用文献2」という。)
周知例6:特開2005-134294号公報
(以下、「引用文献19」という。)
周知例7:特開2009-115526号公報
(以下、「引用文献20」という。)
周知例8:特開昭54-153763号公報
(上記「第3」2の引用文献9に同じ。以下、「引用文献9」という。)
周知例9:特開平11-295028号公報
(以下、「引用文献21」という。)
周知例10:特開2000-9436号公報
(上記「第3」2の引用文献4に同じ。以下、「引用文献4」という。)

3 理由1について、より具体的な拒絶の理由として、平成28年8月15日付け拒絶理由通知書には次の記載がなされている。
(1)「本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開平5-240619号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内は関連する記載箇所を示す。)。
「管の外径及び肉厚を測定する装置であって、(【0001】)
管の端部近傍には、管の端面の全領域を2次元的に撮像する撮像手段であるテレビカメラと、管の端面の全領域に斜め方向から光を照射する手段である投光装置とが配設されており、(【0009】、【0016】)
テレビカメラの撮像信号は、画像処理等の信号処理を行うことにより管の端部の外径及び肉厚の測定値を求める信号処理装置に与えられ、信号処理装置で求められた外径及び肉厚の測定値のデータは、記録データとして出力される(【0018】)
装置。」」(「1 理由1(特許法第29条第2項)について 」(1))

(2)「画像処理等の信号処理を行う手段として、マイクロプロセッサを採用することは、常套手段である。そして、対象物の寸法及び形状を測定し、何らかのパラメタに基づいて対象物の適または不適を決定することも、周知技術である(例えば、特開2005-134294号公報(周知例6、特に【0019】ないし【0024】)、特開2009-115526号公報(周知例7、特に【0013】ないし【0019】)を参照。)から、引用発明において、信号処理装置にマイクロプロセッサを用いるとともに、管の端部の外径及び肉厚の測定値に加え形状を計算し、所定パラメタに基づいて管の適または不適を決定するようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。 」(「1 理由1(特許法第29条第2項)について 」(2)ア(ウ)b)

(3)「引用発明において、測定対象を直管とするか曲管とするかは、単なる設計的事項である。また、直管を曲げて曲管を形成するとともに、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較することも、一般に広く行われていることである(例えば、特開昭54-153763号公報(周知例8、特に第1ページ左下欄第20行ないし右下欄第14行)を参照。)。」(「1 理由1(特許法第29条第2項)について 」(2)ウ)

4 理由2について、指摘された不備は、次のとおりである。
(1)「請求項1に、「前記マイクロプロセッサは前記画像から前記管の寸法および形状を計算し、所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作する」と記載されているところ、「所定パラメタ」とは、何に関するどのようなパラメタのことを意味しているか、明らかでなく、また、「前記画像から」「計算」されるところの「前記管の寸法および形状」と、当該「所定パラメタ」と、「前記管の適または不適」の「決定」との関係も、明らかでないから、請求項1及びこれを引用する請求項2ないし16に係る発明は、明確でない(加えて、請求項10及び14の記載にあっては、さらに、「・・・群から選択される値」と、当該「所定パラメタ」との関係も、明らかでない。)。」(「2 理由2(特許法第36条第6項第2号)について 」(1))(以下、「不備1」という。)

(2)「請求項17に、「前記画像から前記管の寸法および形状を示すパラメタを決定するステップと、前記パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するステップ」と記載されているところ、「パラメタ」が「前記管の寸法および形状」「を示す」とは、どういう意味か、明らかでなく、また、「前記画像から」「決定」されるところの当該「パラメタ」と、「前記管の寸法および形状」と、「前記管の適または不適」の「決定」との関係も、明らかでないから、請求項17及びこれを引用する請求項18ないし38に係る発明は、明確でない(加えて、請求項23の記載にあっては、さらに、「パラメタを測定する」とは、どういう意味か、明らかでなく、請求項23、32、36の記載にあっては、さらに、「・・・群から選択される値」と、当該「パラメタ」との関係も、明らかでない。)。」(「2 理由2(特許法第36条第6項第2号)について 」(1))(以下、「不備2」という。)

第5 当審の判断
1 引用文献の記載事項
(1)引用文献1
ア 引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付与した。以下同じ。)。
(ア)「【0006】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、タイヤが走行しているときの接地面形状及び接地面近傍を含むタイヤの表面形状を精度よく計測する方法とその装置を提供することを目的とする。」

(イ)「【0010】
請求項5に記載の発明は、タイヤを透明板上に接地させ、前記透明板の前記タイヤが接地する側とは反対側から前記タイヤに光を照射して前記タイヤの形状を撮影し、この撮影された画像から前記タイヤの形状を計測するタイヤ形状計測方法において、タイヤを回転可能に保持するとともに、前記透明板の表面に、白色の液体、もしくは、白色に着色された液体から成る液体層を設け、前記透明板を前記タイヤの前後方向に移動させながら前記タイヤの形状を撮影することを特徴とする。
これにより、タイヤを液体層が設けられた路面上を回転しながら走行させることができるので、タイヤ踏面内における液体の浸入量や地面との接地境界面を中心とするタイヤの形状を精度良く計測することができる。したがって、タイヤの運動性能を考察する上での指標となるデータを提供することができる。」

(ウ)「【0014】
図1,図2は本実施の形態に係るタイヤ形状計測装置10の構成を示す図で、各図において、11は路面、12はタイヤ保持手段、13は制駆動手段、14は撮像手段としてのCCDカメラ、15は投光手段としてのLEDライン光源、16は移動手段、17は画像処理手段、18は形状計測手段である。
本例では、CCDカメラ14と移動手段16とを固定部材である基台21に搭載し、タイヤ保持手段12を基台21に立設された取付フレーム22に取り付けた。また、路面11とLEDライン光源15とは路面保持部材23を介して移動手段16に取付けられる。
路面11は光を通す透明な素材で構成された走行部11aと、助走慣らし走行用の路面としての助走部11bとを備える。タイヤTは、タイヤ保持手段12により、前後方向(走行方向)が走行部11aの長手方向になるように接地する。以下、図1の左右方向を前後方向、紙面に垂直な方向を幅方向、図1の上下方向を上下方向という。
本例では、後述するように、路面11が移動するが、路面11が静止していると仮定したときのタイヤの移動方向を前側とすると、走行部11aが前側に位置し助走部11bが後側に位置している。また、助走部11bの上面の位置は走行部11aの上面よりも高い位置にある。
【0015】
走行部11aは、前後方向に長い透明な強化ガラス板Gで構成されており、強化ガラス板Gの幅方向の両側においてそれぞれ路面保持部材23に保持されている。
・・・」

(エ)「【0019】
CCDカメラ14は、路面11が移動を開始する前の状態である初期状態では、走行部11aの後方側の下方に位置して、タイヤTを接地面側から撮影する。CCDカメラ14のフレームレートとしては秒間30コマ(30fps)であれば通常の解析では問題ない。タイヤ接地挙動を高速度で撮影したい場合などには、CCDカメラ14に代えて高速度カメラを用いればよい。
LEDライン光源15は、透過部となる走行部11aの強化ガラス板Gの下側で、かつ、フレーム23aの内側に、光源取付部材15mを介して取付けられる。
本例では、投光手段を路面11ととともに移動させる構成であるので、LEDライン光源15のような、路面11の延長方向に延長する、透過部となる走行部11aの強化ガラス板G全体に均一に光を投射する長さの長い投光手段を用いている。また、光の照射角度としては強化ガラス板Gに対して入射角がほぼ45°になるように設置することが好ましく、これにより、走行部11a全体を均一な明るさで照らすことができる。このとき、LEDライン光源15がCCDカメラ14に映らないような位置にLEDライン光源15を設置することはいうまでもない。・・・」

(オ)「【0021】
画像処理手段17と形状計測手段18とは、例えば、コンピュータのソフトウェアから構成される。画像処理手段17は、CCDカメラ14で撮影した画像の濃淡分布に対応する各画素の輝度分布を求め、形状計測手段18は、輝度分布からタイヤTと強化ガラス板Gとの間にある液体Lの深さである液体深度を算出し、この液体深度からタイヤTの形状を推定する。・・・」

イ よって、上記ア(ア)ないし(オ)の記載並びに図面の図1及び図2から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「接地面形状を含むタイヤの表面形状を計測し、タイヤの運動性能を考察する上での指標となるデータを提供する装置であって、
透明な強化ガラス板Gで構成され、タイヤTが接地する走行部11aと、
走行部11aの下方に位置して、タイヤTを接地面側から撮影するCCDカメラ14と、
走行部11aの下側に取付けられ、走行部11a全体を照らすLEDライン光源15と、
コンピュータのソフトウェアから構成され、CCDカメラ14で撮影した画像の濃淡分布からタイヤTの形状を推定する、画像処理手段17及び形状計測手段18と、
を備えた装置。」

(2)引用文献2
ア 引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、位相シフト法を用いた形状検査装置に関し、特に、雰囲気温度の変化により形状が変形しうる物の外観を検査するのに好適な装置に関するものである。」

(イ)「【0021】
図1は本発明の実施形態に係る形状検査装置1の全体図である。図1に示すように、形状検査装置1は、縞状の光パターンを検査対象物100の下面に照射する光パターン照射装置2(光パターン照射手段)と、検査対象物100の下面で反射した光パターンを可視光で受光して画像情報に変換する撮影カメラ3と、検査対象物100と光パターンとの相対位置関係を変化させる変位装置4(変位手段)と、検査対象物100の雰囲気温度を制御可能な温度制御装置5(温度制御手段)と、撮影カメラ3及び温度制御装置5からの情報に基づいて予め決められた温度における検査対象物100の下面の各部位の高さ情報を算出し、検査対象物100の良否を判定する演算処理装置6とを備えている。
【0022】
光パターン照射装置2は、後述するテーブル7の法線に対して検査対象物100の移動方向に所定角度傾斜させた方向から検査対象物100の下面に光パターンを照射するように配置されている。この光パターンとしては、例えばレーザ干渉縞などが用いられる。光パターン照射装置2が光パターンを照射すると、検査対象物100の下面に縞状の光パターンが形成される。この光パターンは、1周期で光の強度が正弦波状に変化するように設定されている。
【0023】
撮影カメラ3は、例えばCMOSイメージセンサからなり、後述するテーブル7の下方に配置されている。撮影カメラ3は、検査対象物100が移動して撮影範囲に入った際に、検査対象物100の下面に形成される光パターンを撮影するように構成されている。即ち、撮影カメラ3は、検査対象物100の移動に同期して撮影可能に構成されている。
【0024】
変位装置4は、上面に検査対象物100を設置する透明板であるテーブル7と、このテーブル7を一方向に所定速度で直線移動させるモータ8とを備えている。テーブル7は、リニアガイド(図示せず)によって水平に支持されたスライダなどからなる。本実施形態のテーブル7は全体が透明であるが、少なくとも検査対象物100が設置される部位が透明であればよい。テーブル7の上面には、断面逆凹形状の断熱性を有するカバー9が着脱可能に装着されている。つまり、テーブル7とカバー9とで収容ケース18が構成されており、テーブル7とカバー9とで形成される閉鎖空間を検査対象物100の収容空間10としている。カバー9には、収容空間10内の雰囲気温度を調節するためのヒータやクーラ等のような熱源11が設けられている。また、カバー9には、収容空間10内の雰囲気温度を均一化させるために空気を攪拌するファン12が設けられている。さらに、カバー9には、収容空間10内の雰囲気温度を検出する温度センサ13が設けられている。そして、熱源11及び温度センサ13は温度制御装置5に接続されている。即ち、温度制御装置5は、温度センサ13から受信する温度情報に基づいて熱源11をフィードバック制御することで、収容空間10内の雰囲気温度を高精度に制御可能としている。」

イ よって、上記ア(ア)及び(イ)の記載並びに図面の図1から、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「雰囲気温度の変化により形状が変形しうる物の外観を検査する形状検査装置であって、
上面に検査対象物100を設置する透明板であるテーブル7と、
光パターンを検査対象物100の下面に照射する光パターン照射装置2と、
テーブル7の下方に配置され、検査対象物100の下面で反射した光パターンを可視光で受光して画像情報に変換する撮影カメラ3と、
撮影カメラ3及び温度制御装置5からの情報に基づいて予め決められた温度における検査対象物100の下面の各部位の高さ情報を算出し、検査対象物100の良否を判定する演算処理装置6と、
を備えた装置。」

(3)引用文献3
引用文献3には、次の記載がある。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工場設備,建物等に用いられる屈曲物の形状の計測手順に関する。
【0002】
【従来の技術】工場設備,建物等に据付けられる立体曲げパイプの形状検査は、下記のように行われていた。
【0003】(1)定盤上に、設計されたパイプの形状の投影図をえがく。
【0004】(2)端面を基準にして、立体曲げパイプを定盤上のけがき線に合わせて設置する。
【0005】(3)各点におけるけがき線と立体曲げパイプとのずれを巻尺で計測する。
【0006】(4)作業3で計測したずれが許容値以下であれば、合格とし、許容値より大きければ、不合格とする。」

(イ)「【0118】物体検査の動作手順について図15を用いて説明する。
【0119】ステップ1501: 物体検査操作手段1402は、物体検査命令b1402の入力を受け、物体検査命令b1402を物体検査手段1403に転送する。
【0120】ステップ1502: 物体検査手段1403は、物体検査操作手段1402からの物体検査命令b1402を受け、物体情報記憶手段11から物体情報b104を読み込み、この物体情報b104をもとに、物体検査結果b1401を計算する。この物体検査結果b1401を物体検査出力手段1401に転送する。
【0121】ステップ1503: 物体検査出力手段1401は、物体検査手段1403からの物体検査結果b1401を出力する。
【0122】物体13の形状の検査の一例を示す。
【0123】物体検査手段1403は、図1の本発明で図9の手順で得られた部品17の位置・姿勢b179を(x_(a),y_(a),z_(a),R_(xa),R_(ya),R_(za))とし、設計された部品17の位置・姿勢(x_(b),y_(b),z_(b),R_(xb),R_(yb),R_(zb))と(x_(a),y_(a),z_(a),R_(xa),R_(ya),R_(za))とを数21で比較する。
・・・
【0125】ここで得られる(x_(e),y_(e),z_(e),R_(xe),R_(ye),R_(ze))が許容値以内であれば、物体検査手段1403は物体検査「合格」という物体検査結果b1401を物体検査出力手段1401に転送する。もし(x_(e),y_(e),z_(e),R_(xe),R_(ye),R_(ze))が許容値より大きければ、物体検査手段1403は物体検査「不合格」という物体検査結果b1401を物体検査出力手段1401に転送する。ここで、「物体13の部品17を角度(R_(xe),R_(ye),R_(ze))だけ曲げる。」というコメントを物体検査結果b1401に追加してもよい。
【0126】図15に示す物体検査を行うことにより、物体形状が許容誤差内にあるかどうかが容易に分かり、検査に要する作業及び時間が減少する。」

(4)引用文献4
ア 引用文献4には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空円筒状構造物の肉厚の測定に関し、特に、押出し成形される長尺の円筒断面の偏りを検査する偏肉測定装置と方法に関する。」

(イ)「【0013】
【発明の実施の形態】熱収縮チューブは、押出し条件調整工程において中空中心部に対するダイス位置を微調整しながら寸法精度を確かめて、断面偏肉を許容値内に収める。従来、この作業は、ノギス等を用いて熱収縮チューブの輪切りにされたサンプルを測定していた。このため、多大の時間工数を必要とすること及び作業者の熟練や疲労に伴う信頼性の低下する問題があった。
【0014】この問題の解決を、本発明の円筒断面の偏肉測定装置の構成要素の配置図である図1により説明する。1は、回転運動を直線運動に変換するエンコーダ(図示せず)付きアクチュエータであり、2は、アクチュエータ1より矢印Aに示す前後方向に駆動される検査ステージである。検査ステージ2には、透明なガラス板等から成る検査フレーム3が設けられていて、被検査物4である輪切りにした熱収縮チューブのサンプルが載置される。アクチュエータ1より駆動される検査ステージ2の変位は、エンコーダによって監視され、等速移動に到達する速度になったことを認識すると、タイミングパルス起動の信号が検査フレーム3の下方に配置されるラインセンサカメラ6に入力される。
【0015】ラインセンサカメラ6と対極の検査フレーム3の上方には、被検査物4に透過照明を当てるライト7が配置されている。検査ステージ2が等速で移動し始めると、アクチュエータ1のエンコーダから予め設定された等回転角度毎に発信されるピッチパルスと、ラインセンサカメラ6のコントローラ(図示せず)に内蔵する一定時間毎のタイミングパルスの両パルス信号を比較する。もし両パルス信号の偏差が、閾値を超えれば検査ステージ2が等速で移動していないことを意味するので、ライン画像の信頼性が低いため、モニタ画面9上に再検査を促す警告ランプ10を点灯させ、又は、検査ステージ2の駆動を停止させる。又、検査フレーム3と下方に配置するラインセンサカメラ6の距離は略一定しているので、例え被検査物4の厚さが変わっても焦点距離を調整する必要はない。」

(ウ)「【0025】そして、両パルスをアップダウンカウンタに入力して偏差を監視し、偏差値が許容値内に存在すればライン画像データZを演算装置8にメモリする。偏差値が閾値を超えれば検査ステージ2が等速で移動していないことを意味するので、ライン画像の信頼性が低いため、モニタ画面9上に再検査を促す警告ランプ10を点灯する。この手順によれば、図3や4の方法に比べ撮像時間は短縮できると共に、信頼性の高いライン画像データZを演算装置8にメモリすることができる。
【0026】次に、演算装置8に集積されたライン画像データZを2次元画像として展開し、2値化して明度の濃淡を識別することにより、被検査物4の断面肉厚の偏りを測定する方法を図6によって説明する。
【0027】図6において、20は検査ステージ2の移動方向Aに従って演算装置8のメモリに集積されたライン画像データZである。2次元的には明度のランク付けにより、ラインaは、検査フレーム3の透明なガラス板を通過する透過照明を示す。ラインbは、閾値Aにより識別される熱収縮チューブの外筒21を示す。ラインcは、閾値Bにより識別される熱収縮チューブの半透明の粘着剤層22を示す。
【0028】そして図7に示すように断面肉厚の偏りは、中心円筒部23の中心(イ)を求め、これを起点として任意に定める角度θ毎に放射状に査定線(ロ)を引き、各層における最大肉厚寸法と最小肉厚寸法との差を算出して最大偏肉を求める。2値化された画像データは、予め用意された校正値により実寸法に変換してモニタ画面9上に表示する。規格値に対して外れているデータは、赤字表示することで合否判定してもよい。」

イ よって、上記ア(ア)ないし(ウ)の記載並びに図面の図1、図6及び図7から、引用文献4には、次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
「円筒断面の偏りを検査する偏肉測定装置であって、
透明なガラス板等から成り、被検査物4である輪切りにした熱収縮チューブのサンプルが載置される検査フレーム3と、
検査フレーム3の下方に配置されるラインセンサカメラ6と、
ラインセンサカメラ6と対極の検査フレーム3の上方に配置され、被検査物4に透過照明を当てるライト7と、
2値化された画像データを表示するとともに、再検査を促す警告ランプ10を点灯させるモニタ画面9と、
ライン画像データZをメモリする演算装置8と、
を備え、
演算装置8に集積されたライン画像データZを2次元画像として展開し、2値化して明度の濃淡を識別することにより、被検査物4の断面肉厚の偏りを測定し、求めた最大偏肉が規格値に対して外れているか否かにより合否判定を行う、
装置。」

(5)引用文献5
引用文献5には、次の記載がある。
「【0054】
[第3撮像ユニットの構成]
続いて、第3撮像ユニットF10の構成について、図8を参照して説明する。第3撮像ユニットF10は、素体1の側面s3を撮像するためのものである。第3撮像ユニットF10による素体1の側面s3の撮像は、透明テーブルTの下方から透明テーブルTを通して行われる。第3撮像ユニットF10は、図8に示されるように、撮像が行われるカメラF12(第3撮像部)と、図示しないレンズを収容する鏡胴F14と、プリズムアダプタF16と、ドーム状照明F18(第3照明部)とを有し、ドーム状照明F18がカメラF12、鏡胴F14及びプリズムアダプタF16よりも透明テーブルT上に位置する素体1寄りに位置するように透明テーブルTの下方に配置されている。
【0055】
プリズムアダプタF16は、素体1の側面s3からの反射光が導入される開口部F16aと、開口部F16aから導入された反射光を反射する直角プリズムF16bと、鏡胴F14の先端と接続されると共に直角プリズムF16bによって反射された反射光を鏡胴F14及びカメラF12に向けて導出する開口部F16cとを含んで構成されている。
【0056】
ドーム状照明F18は、椀状部材F18a(第3保持部材)と、複数の投光部材F18b(第3投光部材)とにより構成されている。椀状部材F18aは、開口F18c(一方の開口)が設けられた側壁部F18dと、開口F18e(他方の開口)が中央部分に設けられた基部F18fとを含む。側壁部F18dは、内壁面が開口F18cから開口F18eに向かう側に向けて窪んだ凹曲面状(例えば、球面状や放物面状)とされている。基部F18fは、平板状を呈しており、開口F18cとは反対側に配置されている。
【0057】
ドーム状照明F18は、椀状部材F18aの開口F18cが透明テーブルT上に位置する素体1の側面s3に向かうように、透明テーブルTの下方に配置されている。そのため、カメラF12の撮像軸線FLは、鏡胴F14及びプリズムアダプタF16の開口部F16cを通って直角プリズムF16bによりその向きが変えられ、その後プリズムアダプタF16の開口部F16a、基部F18fの開口F18e、側壁部F18d及び開口F18cを通って、素体1に向かうこととなる。つまり、カメラF12の撮像軸線FLは、側壁部F18dの内壁面によって取り囲まれている。
【0058】
投光部材F18bは、例えば発光LEDである。投光部材F18bは、側壁部F18dの内壁面全体及び基部F18fの内壁面全体にわたって配置されている。そのため、投光部材F18bもカメラF12の撮像軸線FLを取り囲んでおり、基部F16fの内壁面に配置されている投光部材F16bによって、素体1の側面s3の垂線に沿った方向から素体1の側面s3が照明されると共に、側壁部F18dの内壁面に配置されている投光部材F18bによって、素体1の側面s3の垂線に対して0°を超え且つ90°未満の方向から素体1の側面s3が照明されて、素体1の側面s3からの反射光が直角プリズムF16bを介して鏡胴F14及びカメラF12に導入されて、素体1の側面s3が撮像されることとなる。
【0059】
このように、素体1の側面s3の垂線に沿った方向から素体1の側面s3が照明されることで、素体1の側面s3における傷、凹凸、欠け等を明瞭に映し出すことができる。また、素体1の側面s3の垂線に対して0°を超え且つ90°未満の方向から素体1の側面s3が照明されることで、素体1の側面s3が様々な方向(角度)から照明され、クラックやチッピングといった素体1の側面s3から内部へと繋がる欠陥を明瞭に映し出すことができる。」

(6)引用文献6
引用文献6には、次の記載がある。
「【0023】本実施の形態の検査装置は集積回路装置Wに設けられたリードの検査を行うものであり、図1?図3に示すように、集積回路装置Wを吸着して検査位置まで搬送し、これを支持する支持手段10と、電源23に駆動されてこの支持手段10に支持された集積回路装置Wのリードの像を取得する第1?第5の撮像系(リード像取得手段)11?15と、電源24に駆動されて集積回路装置Wをその実装面側から照射する環状の照明器(照明手段)16と、撮像系11?15で得られたリードの画像および撮像系11?15のリードに対する光軸の傾き角からリードの位置を算出する画像処理コンピュータ(位置算出手段)17と、撮像系で得られたリード像やその寸法などのリード情報を表示するディスプレイ18とを備えている。そして、撮像系11?15は筐体22内に収納されており、照明器16は、その高さを調節できるように、筐体22に固定されることなく設けられている。なお、本実施の形態において、照明器16には拡散光が用いられているが、平行光であってもよい。」

(7)引用文献7
引用文献7には、次の記載がある。なお、摘記にあたり都合上、つづり字記号は省略して表記した。
「Sur les figures 1 a 3, la machine d'inspection 1 a ete representee capot ouvert. Plus precisement, sur la figure 1, le capot avant et l'un des capots lateraux sont ouverts. Sur la figure 2, le capot avant est ouvert. Sur la figure 3, le capot de dessus est ouvert. Bien entendu, en etat de fonctionnement, la machine d'inspection 1 est munie de ses capots fermes. Les capots sont opaques pour eviter l'introduction de lumiere parasite susceptible de venir perturber les cameras. En outre, sur la figure 1, l'un des deux ecrans, la camera correspondante et le support de la pince ont ete omis afin de mieux voir les autres pieces. De meme, sur la figure 2, la pince et le support de pince ont ete omis, le substrat y etant presente en position d'inspection, sensiblement vertical.」(明細書第9ページ第17ないし25行)
(当審訳:「図1ないし3には、カバーが開放状態の検査機械1が示されている。より詳細には、図1では、前面カバーおよび2つの側面カバーが開放されている。図2では、前面カバーが開放されている。図3では、上部カバーが開放されている。もちろん、検査機械1は、稼動状況ではそのカバーは閉じられている。カバーは不透明であり、カメラを妨害する恐れのある寄生光の入光を防止する。これに加えて、図1では、他の部分がより良好に見えるように、2つのスクリーンのうちの1つ、対応するカメラおよびクランプ支持体が省略されている。図2においても、クランプおよびクランプ支持体は省略され、基板は実質的に垂直な検査位置で示されている。」)

(8)引用文献8
引用文献8には、次の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 曲げ加工されたパイプ構造物の形状を自動計測するものであって、パイプ構造物の複数箇所の断面形状を計測する計測機器と、同計測機器をパイプ構造物に沿って移動させる駆動機構および同制御機器と、計測した複数箇所の断面形状データよりパイプ構造物全体の形状を解析する形状解析機器とを備えたことを特徴とするパイプ形状自動計測装置。
【請求項2】 前記計測機器が視覚センサーを具備することを特徴とする請求項1に記載のパイプ形状自動計測装置。
【請求項3】 前記計測機器がスリットレーザ投光器とCCDカメラを具備することを特徴とする請求項1に記載のパイプ形状自動計測装置。」

(イ)「【0018】(1)パイプ断面画像の取得
図3は、視覚センサ機器106と計測対象パイプ207の位置関係を示したものである。
【0019】207は、本装置内に設置されたパイプ構造物の計測対象パイプである。301は、本装置の絶対座標系の原点である。303は、計測対象パイプ207の中心に設定した着目点である。
【0020】304は、着目点303から計測対象パイプ207の長手方向にのびるパイプ方向ベクトルである。305は、回転3軸駆動機構の回転α軸の先端である。この先端の位置と方向は、スリットレーザ投光器204の中心軸が着目点303を通り、かつ、パイプ方向ベクトル304と直交し、かつ、スリットレーザ投光器204と着目点間の距離が一定となるようにする。視覚センサ機器106と計測対象の位置関係を満足している。
【0021】306は、CCDカメラ205の撮像範囲であり、スリットレーザ206が形成する平面上の2次元空間に位置する。この撮像範囲306は、あらかじめ計測対象のパイプ断面が十分に撮像されるような大きさに調整してある。
【0022】307は、パイプ断面を連続的に計測するための計測軌道であり、上述した視覚センサ機器106と計測対象パイプ207の位置関係を満足する。この計測軌道307は、パイプ構造物のCADデータをもとに制御機器が自動算出するか、あるいは作業者が直動3軸駆動機構と回転3軸駆動機構を手動操作する教示操作により得るものである。
【0023】図4は、CCDカメラ205に写るパイプ断面の画像図を示した。図4に示すパイプ断面画像は、計測軌道307にしたがって視覚センサ機器106に沿って一定間隔を保ち移動させながらスリットレーザ206をパイプ207の表面に投射し、パイプ表面に写るスリットレーザ206の反射光をCCDカメラ205で撮像することで連続的に取得する。本実施の形態ではスリットレーザ206をパイプ表面に投射し、パイプ断面情報を取得するため、パイプ207の直管部では50mm、曲げ部では15mmピッチとして実施した。
【0024】上記図4に示したパイプ断面画像は、前述したCCDカメラ205に取り付けられた干渉フィルタの効果により、パイプ表面に写るスリットレーザ206の反射光のみが撮像されたレーザラインであり、スリットレーザ206によりパイプ207を切断したようなパイプ断面画像となる。
【0025】100°以上のパイプ外周データが得られると、後述するパイプ207の中心座標を求めることが可能となる。
(2)レーザライン点列座標の取得
図5は、パイプ断面のレーザライン点列座標図を示した。
【0026】501は、CCDカメラ205から見た相対的な2次元座標系の原点である。502は、レーザラインの点列群(x_(i) ,y_(i) )(i=0,1,2,3…)であり、CCDカメラ205から見た相対的な2次元座標系上の点列である。この点列は、スリットレーザ投光器204とCCDカメラ205の位置関係が既知であることから、三角測量の原理を応用した光切断法を用いて求められる。
【0027】(3)パイプ断面中心の座標の算出
図6は、パイプ断面形状の近似楕円図を示した。601は、後述する最小2乗法を用いた楕円近似式[数7]を用いて、レーザライン点列(x_(i ),y_(i ))502から算出したパイプ断面の中心座標(x_(c) ,y_(c) )であり、CCDカメラ205から見た相対的な2次元座標系上の点である。
【0028】楕円近似式[数7]を用いることで、計測するパイプ構造物の形状が設計図面と誤差が大きいために、同パイプ構造物のCADデータから算出した計測軌道307ではスリットレーザ206がパイプ207に対し垂直に投射されない場合であっても、パイプ断面形状は理論上楕円形になるため、パイプ断面を円近似するよりも正確にパイプ断面の中心座標601を求めることができる。」

(9)引用文献9
引用文献9には、次の記載がある。
「従来からベンダを用いて管を180度に彎曲することが行なわれているが,一般にベンダを用いて管を曲げる場合,金型とクランプによって管が彎曲方向に引張られるので彎曲部の曲げ外側に面する管の肉厚は薄くなり,逆に彎曲部の曲げ内側に面する管の肉厚は厚くなる傾向にあり,さらに彎曲部の断面は楕円形となりやすくなる。なお,この彎曲部の管の肉厚が直管のそれと比較してどれくらい薄くなっているかを示す数値として減肉率があり,また彎曲部の管の断面が真円と比較してどれくらい楕円形となっているかを示す数値として楕円化率があるが,この減肉率,楕円化率は彎曲部の曲げ内側の半径が小さければ小さいほど,大きくなる傾向にある。」(第1ページ左下欄第20行ないし右下欄第14行)

(10)引用文献10
引用文献10には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶・各種プラント等の配管の現場型取り・製作工事、特に管(パイプ)製作工事に適用される管計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、船舶・各種プラント等の配管工事を施工する際、設計図面に従い、まず図面ベースで管の継ぎ手毎に分割した管の一品毎の形状を合わせて、管毎に個別に製作図を作成し、製作図に沿い管加工を実施して取り付けまでを実施している。
【0003】しかし、全ての管について製作図通りに管加工を実施すると、各種装置の取り付け位置関係との微妙な位置ずれ及び各種障害物との干渉により、取り付け不可能もしくは隣り合う管の各継手面の不一致が生じる。このように、図面ベースで製作された管では、製作・取り付けが不可能となる場合がある。
【0004】そこで従来では、図面ベースでは無い現物幾何学位置の型を製作して、その型模範(金型)に合った管を製作して、取り付けを実施している。以下、この型模範(金型)を使用した製作手順を図3の(a)?(c)を基に説明する。
【0005】(1)現場にて型模範(金型)1を製作する。このとき、図3の(a)に示すような型模範(金型)1と合いフランジ2との位置関係を記録する。
【0006】(2)型模範(金型)1を工場等へ持ち帰り、寸法計測を実施する。このとき、各基準点座標(x,y,z)を計測して、図3の(b)に示す管一品の変節点3を求める。
【0007】(3)各座標点から直管部分・曲げ管部分・継手厚み等を計算して、図3の(c)に示す直管長4・曲げ半径5・各変節点6(曲げ方向角度・曲げ角度)を算出する。
【0008】(4)上記管製作寸法に基づき管加工を実施し、その後現場へ積み込み、取り付けを実施する。」

(11)引用文献11
引用文献11には、次の記載がある。
「第1図に示すように、素管21のピルガリング加工ないしピルガリングパスはロールダイス23により実行される。中空素管21は、適当な形状及び寸法のマンドレルロッド25に同軸に取り付けられた後、その軸線を中心として回転されつつ、その上をロールダイス23が一定の圧力で前後に転動され、これにより中空素管21の肉厚が減じられ且つ長さが延ばされる。被覆管用の細いジルカロイ管を形成する場合、典型的には4回のピルガリングパスが行われ、外径が約63.5mm(2.5in.)から約9.5mm(0.374in.)に減じられる。各パスの後、新たに形成された素管は、元の素管とほぼ同じ長さの複数の管に切断される。最後のパスを行った後、通常、元の素管のほぼ長さを有する管が136本できる。上記の第2表に示されるようなサンプル管が、各パスにおいて定期的に切り出され、本発明に従って評価される。これらのサンプル管はバッチ処理時と同じバッチから任意に切り出される。本発明の実施において、サンプル管の平均外径、平均肉厚及び平均内径が測定され、ピルガリング作業がこれらの測定値の評価に従って制御される。
各サンプル管37の外径、肉厚及び内径を測定するための管寸法測定装置31(第2図参照)は、レーザ・マイクロメータ33と、サンプル管37(第8図参照)をレーザビーム39にさらすためのブラケット若しくはフレーム35と、マンドレル41と、コンピータ43とを含んでいる。・・・」(第4ページ左下欄第12行ないし右下欄第18行)

(12)引用文献12
引用文献12には、次の記載がある。
「【背景技術】
【0002】
自動車用エンジンなどの開発、生産において、シリンダブロックに設けられたシリンダ内壁の観察、検査、解析することが非常に重要である。シリンダ内径は例えば、30mm程度の非常に小さいものがあり、計測用の顕微鏡を挿入できないため、従来は、サンプルをカットしたり、レプリカを取るなどして、3次元計測を行なっていた。しかしながら、開発段階ではシリンダをカットすることもできるが、量産ラインにおける検査では、製品をカットできない。そのため、シリンダの内壁を非破壊で検査したいという要望がある。」

(13)引用文献13
引用文献13には、次の記載がある。
「【0010】図1は、本発明の一実施例を示す構成図である。
【0011】同図において、電子部品がはんだ付けされた実装基板1の上方には、該実装基板1側の上方から順次、照明部11、照明部13、照明部14、照明部17が4段に配置されている。各照明部11、13、15、17は、それぞれ同心状に配置された環状からなるもので、前記実装基板1側に配置されるに従いその径が順次大きくなっている。なお、この照明部11、13、15、17は、この実施例では、図示しない手段によって順次切り替えられて前記実装基板1を照明するようになっている。
【0012】また、前記照明部11の上方からは、該照明部の中心軸上に撮影部の撮像カメラ2が1個と、斜め上方から撮像カメラ31、32、33、34(34は図示せず)の4個が4方向に配置されている。カメラ33はカメラ2の裏(図面上)に位置し、図示しないカメラ34も含め、これらカメラ31、32、33、34はカメラ2を中心にこれを囲むように配置されている。この撮像カメラ31、32、33、34のいずれかが、前記照明部11、13、15、17の順次切り替えによって照明される前記実装基板1の反射光による映像をとらえることができるようになっている。
【0013】そして、撮像カメラ31、32、33、34のいずれかの出力信号は画像処理部4に入力されるようになっており、この画像処理部4では、前記実装基板1面における前記照射光の反射率の比較的高い領域を摘出するようになっている。
【0014】さらに、該画像処理部4からの出力は画像処理部5に入力されるようになっている。この画像処理部5では、前記各照明部11、13、15、17からの照明に対応した各撮像データを、各撮像画素毎に照度の大きさを比較し、撮像画像の画面として選択し分類し、選択された反射面の角度を意味する画像の番号コ-ドを形状傾斜角度データとして編成するようになっている。
【0015】また、該画像処理部5からの出力は画像演算処理部6に入力されるようになっていおり、この画像演算処理部6では、はんだ付けの状態の形状、及び高さ、断面積、長さ、面積、容量、傾斜角、はんだ中央の平坦部、等の大きさを演算し算出する。」

(14)引用文献14
引用文献14には、次の記載がある。
「第1図は反射する上縁2を有する容器を示し、上記上縁は環状の閃光電球3により照明されている。上記上縁の反射パターンはビデオカメラ4によって検知され、上記ビデオカメラ4がビデオ信号処理装置5に出力信号を供給する。符号6は光線の通路を模式的に示す。例えば、正常な容器の場合には、予め定められた基準からの偏倚は検知されず、ビデオカメラは第2図に示すような映像を提供する。この映像は全周にわたって同じ幅で実質的に純円形の環状パターンを提示している。
第3図は幅の厚い部分7を示し、この部分7は容器の上縁が偏っている事実を示している。割れ目などがあると付加反射を起こして上記偏りが生じる。
第4図は環状リングに中断8が生じた図を示し、上記中断8は偏りか生じていることを示し、ビデオカメラの方向に反射が生じなかった。」(第4ページ右上欄第15行ないし左下欄第11行)

(15)引用文献15
引用文献15には、次の記載がある。
(ア)「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。まず、足型検出表示装置の一部を構成するイメージスキャナの筐体について説明する。図1(a)に示すように、筐体1は上板の一部に足を載せる透明板10を有している。透明板10は、該透明板10上に人が乗ることが可能な強化ガラスからなる。筐体1の上方には一対のガイド20,20が設けてある。該ガイド20,20は透明板10の側方を覆うと共に、ガイド20,20間には、図1(c)に示すように、透明板10の側方および上方を覆って外光を遮る一対のカバー2,2が開閉可能に設けられている。
【0013】図2に示すように、筐体1内には、足裏fbなどを撮像する対象物固定方式のデジタル式イメージスキャナ7が設けられている。該イメージスキャナ7は、走査光源71、複数のミラー72,72,72、集光レンズ73、色フィルターを備えたカラーCCD(カラーの光センサ)74および処理装置75などを備えている。走査光源71からの走査光Lは足裏fb等で反射され、その反射光L1は複数のミラー72,72,72で反射され、集光レンズ73によって集光されてカラーCCD74に入射する。カラーCCD74は処理装置75に図示しないインターフェイスを介して接続されており、カラーCCD74から送られた撮像信号は処理装置75によって信号処理される。なお、イメージスキャナ7は、前記構成に限定されるものではなく、市販の原稿固定方式のパーソナルコンピュータ用カラーイメージスキャナのスキャナ部分を用いることができる。」

(イ)「【0019】つぎに、パソコン4から所定の操作を行い、足型の測定を開始すると、図2に示す走査光源71が走査光Lを出射しながら移動すると共に、足f,fからの反射光L1がミラー72,72,72を介してカラーCCD74に入射する。カラーCCD74からの撮像信号は、処理装置75によって処理されて図3のパソコン4に送信される。
【0020】前記パソコン4は、処理装置75から撮像信号を受け取ると、画像処理手段40aが当該撮像信号のうちのRGBの3色の輝度に基づいて足型の計測を行うと共に、足型のカラー画像を作成する。同時に、CPU40は、作成された足型の画像を表示器5にカラー表示させる。
【0021】このように、本足型検出表示装置は、カラーCCD74を用いて撮像した撮像情報に基づいて足型の計測を行うと共に、表示器5に足型をカラー表示させる。そのため、色が異なるマメやタコなどの有無や位置を容易に把握することができ、したがって、靴の選択時に役立つ。
【0022】特に、各色ごとの色のコントラストに基づく色情報を用いて足型の計測を行うので、図2の反射光L1が弱い足fの内側面の出っ張り部分fcについても、肌色の足f,fと、反射光L1の全く得られない黒い背景とを区別して計測することができる。したがって、足f,fの内側の出っ張り部分fcを含む輪郭の測定精度が向上する。さらに、本装置では左右の足f,fの内側に光を照射する蛍光管3を設けたから、足の内側の出っ張り部分fcで拡散反射された光が、下方のイメージスキャナに入射するので、この出っ張り部分fcを含めた足f,fの輪郭をより一層正確に検出・表示することができる。」

(16)引用文献16
ア 引用文献16には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は管の外径及び肉厚を測定する装置に関する。」

(イ)「【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る管の外径・肉厚測定装置は、管の外径及び肉厚を測定する装置において、測定対象の管の端面の全領域に光を照射する手段と、該手段によって照射された管の端面の全領域を2次元的に撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像した2次元画像を管の端面とそれ以外の部分とに2値化する2値化手段と、該2値化手段によって2値化された2次元画像に基づいて管の外径を求める手段と、前記2値化手段によって2値化された2次元画像に基づいて管の肉厚を求める手段とを具備することを特徴とする。」

(ウ)「【0016】次に、寸法測定装置15,15 の構成を説明する。寸法測定装置15,15 の夫々は同一の構成となっているため、以下、その一方の寸法測定装置15を代表例として説明する。図2は寸法測定装置15,15 の構成を示すブロック図である。
【0017】図2に示される如く、電縫鋼管Pの端部近傍には、電縫鋼管Pの端面全体を撮像するテレビカメラ151 と、前記テレビカメラ151 の撮像領域に斜め方向から光を照射する投光装置152 とが配設されている。
【0018】テレビカメラ151 の撮像信号は、画像処理等の信号処理を行うことにより電縫鋼管P端部の外径及び肉厚の測定値を求める信号処理装置150 に与えられるようになっている。また、信号処理装置150 で求められた外径及び肉厚の測定値のデータは、表示データ及び記録データとして出力されるようになっている。
【0019】信号処理装置150 は、テレビカメラ151 で撮像された画像をその輝度によって2値化する2値化処理部153 と、前記2値化のための輝度のしきい値を記憶するしきい値記憶部154 と、2値化された画像から電縫鋼管Pの端部の肉厚を求める肉厚測定部155 と、2値化された画像から電縫鋼管Pの端部の外径を求める外径測定部156 とによって構成されている。」

イ よって、上記ア(ア)ないし(ウ)の記載及び図面の図2から、引用文献16には、次の発明(以下、「引用発明16」という。)が記載されていると認められる。
「管の外径及び肉厚を測定する装置であって、
管の端部近傍には、管の端面の全領域を2次元的に撮像する撮像手段であるテレビカメラと、管の端面の全領域に斜め方向から光を照射する手段である投光装置とが配設されており、
テレビカメラの撮像信号は、画像処理等の信号処理を行うことにより管の端部の外径及び肉厚の測定値を求める信号処理装置に与えられ、信号処理装置で求められた外径及び肉厚の測定値のデータは、記録データとして出力される、
装置。」

(17)引用文献17
引用文献17には、次の記載がある。
「[0036] 第1の環状光源2A、第2の環状光源2Bおよび第3の環状光源2Cとしては、例えば、環状に成形した合成樹脂などの基材に、多数のLEDを周方向で等間隔に並べて埋設したものを用いることができる。周方向に配列した一群のLEDを2列または3列で埋設しても構わない。LEDに代えて、光軸中心からの光の広がり範囲が小さくて可視光を出射するレーザ装置を用いることもできる。
[0037] これらのカメラ1、第1の環状光源2A、第2の環状光源2Bおよび第3の環状光源2Cは、支持部材5によって一体に支持されている。支持部材5は、例えば、前端に、管10の端面11と対向し検査時に管状品10の端面11に当接する円板状の透明板6を有するとともに、後端に、カメラ1を保持する環状板7を有し、透明板6と環状板7とを管状品10の中心軸と平行な複数本のガイド棒8で連結した構成である。各環状光源2A、2B、2Cは、それぞれ、ガイド棒8に沿って管状品10の中心軸方向に移動可能に構成され、適切な位置でネジなどによってガイド棒8に固定される。
[0038] このように、支持部材5を用いて、カメラ1、および各環状光源2A、2B、2Cを一体に支持することにより、それぞれの姿勢および位置が安定し、精度の高い検査を行うことができる。」

(18)引用文献18
引用文献18には、次の記載がある。
「[0047] According to one alternative embodiment, the masks 121 and 122 are borne by an anti-reflection transparent plate 30 substantially mounted at the base of the hemisphere 13. ・・・」(当審訳:「一代替実施形態によれば、マスク121及び122は、半球部13の基部に本質的に取り付けられた反射防止透明板30によって支持されている。・・・」

(19)引用文献19
引用文献19には、次の記載がある。
「【0013】
実施形態1
図1に、本発明の実施形態1に係る円筒状部品の形状検査方法に適用される形状検査装置を示す。
【0014】
形状検査装置(以下、単に検査装置という)Kは、例えば熱間鍛造により製造された円筒形やリング状のワークWの形状を製造ライン上で検査する検査装置とされる。検査装置は、具体的には、図示しない搬送装置に円筒の高さ方向を上下にして載置され、図に矢印Xで示す方向に搬送されるワークWを撮像する撮像装置(撮像手段)1と、ワークWの被撮像部位を照明する照明装置(照明手段)2と、撮像装置1および照明装置2を制御するとともに、撮像装置1によるワークWの撮像画像に基づいてワークWの形状特性を検査するための各種処理を実行する情報処理装置3とから構成されている。
【0015】
撮像装置1は、例えばCCDカメラからなり、前記搬送装置により搬送されるワークWの被撮像部位である上面を真上から撮像するように前記搬送装置の上方に配されるものとされる。また、撮像装置1は、ワークWの上面を全て視野に納めるタイミングで撮像を実行するよう情報処理装置3によって制御される。
【0016】
照明装置2は、撮像装置1による撮像画像において、ワークW上面の外径および内径の各エッジが明瞭に抽出し得るように、ワークWの上面を均一に照明するように構成されている。
【0017】
このような照明装置2は、撮像装置1の光軸と同軸心の板リング状の発光体により均一にワークW上面を照明するよう構成したものが考えられる。この場合、導光性および光拡散性を有する板リング状の固体媒体を用い、その外周部にLED(発光ダイオード)等からなる多数の光源を周方向に並べて埋設することによって、そのような発光体を形成することが可能である。また、このような照明装置として、好ましくは、例えばフレネルレンズと点光源とを組み合わせた平行光学ユニットなどとすることができる。
【0018】
情報処理装置3は、撮像装置1による撮像画像に基づいてワークWのエッジを抽出するためのエッジ抽出処理を行うエッジ抽出処理部11と、エッジ抽出処理に付随してワークWのエッジ部における不良を検出するためのエッジ不良検出処理を行うエッジ不良検出処理部12と、ワークWの肉厚を検査するための肉厚検出処理を行う肉厚検出処理部13と、エッジ抽出処理により抽出されたエッジに関する情報に基づきワークWの外径の中心と内径の中心との一致度、すなわち同軸度を求める同軸度判定処理を行う同軸度判定処理部14とを含む。このような情報処理装置3は、例えばパソコンに各部11,12,13,14の有する機能に対応させたプログラムを格納し、それらのプログラムをCPUに実行させることによって、前記各部11,12,13,14の有する機能を実現するものとされる。
【0019】
しかして、かかる構成の検査装置Kにおいては、撮像装置1により撮像されたワークW上面の撮像画像からエッジ抽出処理によって、ワークW上面の外径および内径のエッジが抽出される。エッジ抽出処理においては、撮像画像の各ドットが、その輝度により適当な閾値で2値化され、2値化された画像における明るい部分と暗い部分との間の連続的な円形の各境界線が内径および外径のエッジの稜線として抽出される。
【0020】
また、エッジ不良検出処理においては、エッジ抽出処理により内径および外径のエッジに対応する円形の連続的な各境界線が抽出されなかったワークWが、エッジ形状不良であるものと認識される。
【0021】
肉厚検出処理においては、エッジ抽出処理により抽出された当該ワークWの2つの円の半径の差が算出され、その算出結果により当該ワークWの肉厚が検出される。
【0022】
同軸度判定処理においては、エッジ抽出処理により抽出された当該ワークWの2つのエッジの図形から各図形の重心が外径および内径の中心位置として算出され、各中心のずれに基づいて当該ワークWの同軸度が算出される。
【0023】
このように、実施形態1の検査装置Kによれば、撮像装置1により撮像されるワークW上面(円筒状部品の高さ方向の1つの面)の画像を用いて、円筒形ワークにおけるエッジの形状不良と内径および外径の同軸度とを同時に検査することができる。したがって、エッジの形状不良と同軸度とを共に検査する必要がある場合にも、それぞれに別個のセンサを設ける必要がなく、構成の簡素化が図られる。
【0024】
また、抽出された内径および外径のエッジからワークWの肉厚が検出されるため、肉厚を検査する必要がある場合にも、そのためのセンサを特に設ける必要がなく、さらなる構成の簡素化が図れる。」

(20)引用文献20
引用文献20には、次の記載がある。
「【0013】
そこで、上記コンピュータ5では以下の手順でゴミ等の付着に左右されない真円度の判定を行う。すなわち、図3のステップ101では、撮像カメラ4から入力した画像データから微分処理によって被検査物Wの輪郭抽出を行う。ステップ102では、輪郭抽出によって得られた被検査物Wの内周および外周の各点(例えば総計360点)の座標に基づいて、最小二乗法によってそれぞれ内周と外周の各回帰円の中心Oi,Ooの座標を算出する。ステップ103では、内周および外周の各点について上記各中心Oi,Ooからの距離を算出して内半径および外半径を得、続いてステップ104では算出された内半径および外半径のうちのそれぞれ最大値と最小値から最大内半径Dimxと最小外半径Domiを得る。ステップ105では内半径および外半径の平均値を算出してそれぞれ平均内半径Diavと平均外半径Doavを得る。これら中心Oi,Oo、最大内半径Dimxと平均内半径Diav、最小外半径Domiと平均外半径Doavの関係を図4に示す。
【0014】
図3のステップ106では、(最大内半径-平均内半径)×2を内周真円度とする(図2(1))。これにより、ゴミ等の付着によって最小内半径が変動してもこれに無関係に内周真円度を算出し判定することができる。また、(平均外半径-最小外半径)×2を外周の真円度とする(図2(2))。これにより、ゴミ等の付着によって最大外半径が変動してもこれに無関係に外周の真円度を算出して、これが許容範囲内か否か判定し(ステップ107)、判定結果に応じて必要な処置を取るようにモニタ6上で報知する。
・・・
【0017】
なお、上記実施形態ではリング状の被検査物についてその内周と外周の真円度を測定する場合について説明したが、円形の被検査物の外周、あるいは円形開口を有する被検査物の内周を個別に測定する場合にも本発明が適用できることはもちろんである。
【0018】
コンピュータ5は被検査物の輪郭抽出を行った段階(ステップ101)で被検査物の内周外形および外周外形をモニタ6上に公差範囲内で表示する。図5(1),(2)にはモニタ6上に表示される3種の被検査物W4?W6の内周外形の一例を示し、公差範囲内で内周外形が表示されてその変形の程度やゴミの付着(図5(2)のM部)を明確に知ることができる。
【0019】
また、コンピュータ5は内周と外周の各中心Oi,Oo(図4)の座標を算出した段階で(ステップ102)、両中心Oi,Oo間の距離を二倍し、この値によって同軸度を判定して必要な処置を取るようにモニタ6上で報知する。このように、真円度に加えて、同軸度や、さらには平均径等の検査項目をモニタ6上に表示することができる。こうすることによって、複数検査項目から総合的に被検査物Wの良否判定を行うことができる。」

(21)引用文献21
引用文献21には、次の記載がある。
「【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る偏肉測定装置の実施の形態を表すブロック図である。図において、偏肉測定装置である偏肉検査装置10は、円筒形被検体30の端面30aに光を照射する照射器12と、該照射器12によって照射された端面30aを撮像して画像信号を出力する撮像手段であるCCDカメラ14と、該CCDカメラ14からの画像信号をA/D変換するA/D変換器16と、A/D変換器16に接続される画像処理装置18とを備えている。そして、画像処理装置18は、論理回路、CPU及びメモリ、または専用演算LSI等を用いて構成することができ、CPU及びメモリを用いた場合には、CPUまたはメモリに予め格納されたプログラムによって実行される機能によって構成されるもので、二値化部20と、外円重心算出部22と、内円重心算出部24と、重心間距離算出部26と、良否判定部28とを備えている。
【0007】照射器12は、円筒形被検体30の中心軸とその中心軸が略一致するよう配置した円錐台状の傘体12Aの内側面に、複数のLED12Bをリング状に複数列(図では3列)固定したリング状照射器である。各LED12Bから無指向的に被検体に向けて光が放射される。これにより、被検体30の表面にざらつきがあっても、特定方向への反射を防ぐことができる。ただし、このLED12Bに替えて、リング状の蛍光灯やリング状の光ファイバを使用することも可能である。CCDカメラ14は、リング状の照射器12の中心軸上に配置され、円筒形被検体30の端面30aを正面から撮像することができるようになっている。」

2 原査定の理由についての判断
原査定の拒絶の理由では、引用発明1、2及び4をそれぞれ主たる引用発明とした上で、いずれを主たる引用発明とした場合にあっても、本願の各請求項に係る発明は、当該主たる引用発明と他の引用文献に記載された技術的事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるとされている(上記「第3」3(1))。そこで、以下、引用発明1、2及び4のそれぞれを主たる引用発明とした場合について、順に検討する。
(1)引用発明1を主たる引用発明とした場合
ア 本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
a 引用発明1の「透明な強化ガラス板Gで構成され」た「走行部11a」は、本願発明1の「互いに対向する第1の側および第2の側を有する光透過性基板」に相当する。

b 引用発明1における、「タイヤTが接地する走行部11a」「の下方に位置して、タイヤTを接地面側から撮影するCCDカメラ14」と、本願発明1における、「前記光透過性基板の前記第1の側に設けられ」、「前記光透過性基板の前記第2の側に配置された前記管の断面の画像を得るよう動作」する「カメラ」とは、「前記光透過性基板の前記第1の側に設けられ」、「前記光透過性基板の前記第2の側に配置された対象物の面の画像を得るよう動作」する「カメラ」である点で共通する。

c 引用発明1の「LEDライン光源15」は、「走行部11a全体を照らす」ものであるが、「透明な強化ガラス板Gで構成され」た「走行部11a全体」が「照ら」されることによって、「走行部11a」に「接地」している「タイヤT」の「接地面」も同様に「照ら」されることは、明らかであるから、引用発明1の「走行部11aの下側に取付けられ、走行部11a全体を照らすLEDライン光源15」と、本願発明1の「前記第1の側に設けられ、前記光透過性基板の前記第2の側に配置された管の断面を照明するよう動作する光源」とは、「前記第1の側に設けられ、前記光透過性基板の前記第2の側に配置された対象物の面を照明するよう動作する光源」である点で共通する。

d 引用発明1における、「コンピュータのソフトウェアから構成され、CCDカメラ14で撮影した画像の濃淡分布からタイヤTの形状を推定する、画像処理手段17及び形状計測手段18」と、本願発明1における、「前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作」するとともに、「曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」、「マイクロプロセッサ」とは、「前記画像から前記対象物の形状のデータを計算するよう動作する」「処理手段」である点で共通する。

e 引用発明1において、「画像処理手段17及び形状計測手段18」が「CCDカメラ14で撮影した画像の濃淡分布からタイヤTの形状を推定する」ことと、本願発明1において、「前記カメラは前記マイクロプロセッサおよび前記データベースと作動接続して」いることとは、「前記カメラは前記処理手段と作動接続して」いる点で共通する。

f 引用発明1における「タイヤの運動性能を考察する上での指標となるデータ」は、タイヤの品質に関するデータといえるから、引用発明1の「接地面形状を含むタイヤの表面形状を計測し、タイヤの運動性能を考察する上での指標となるデータを提供する装置」と、本願発明1の「管の品質を決定するシステム」とは、「対象物の品質を決定するシステム」である点で共通する。

(イ)以上のことから、本願発明1と引用発明1とは、
「互いに対向する第1の側および第2の側を有する光透過性基板と、
処理手段と、
前記光透過性基板の前記第1の側に設けられたカメラと、
前記第1の側に設けられ、前記光透過性基板の前記第2の側に配置された前記対象物の面を照明するよう動作する光源と、
を備えた、対象物の品質を決定するシステムであって、
前記カメラは前記処理手段と作動接続しており、
前記カメラは前記光透過性基板の前記第2の側に配置された対象物の面の画像を得るよう動作し、
前記処理手段は前記画像から前記対象物の形状のデータを計算するよう動作する、
ことを特徴とするシステム。」
である点で一致する一方、次の点で相違する。

(相違点1)
対象物が、本願発明1では「管」であるのに対し、引用発明1では「タイヤ」であり、
また、照明されかつ画像化される、対象物の面が、本願発明1では「管の断面」であるのに対し、引用発明1では「タイヤT」の「接地面」である点。

(相違点2)
本願発明1では、「曲管について得られたデータと直管について得られたデータとを保持するデータベース」「を備え」ており、「前記カメラは前記マイクロプロセッサおよび前記データベースと作動接続して」いるのに対し、引用発明1では、「データベース」について特定がない点。

(相違点3)
本願発明1では、「光透過性基板上に配置された前記管の画像を表示し、前記光透過性基板上に前記管を配置するためのユーザディスプレイ」「を備えた」のに対し、引用発明1では、「ユーザディスプレイ」について特定がない点。

(相違点4)
処理手段が、本願発明1では、「マイクロプロセッサ」であって、「前記マイクロプロセッサは前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作」するとともに、「前記マイクロプロセッサは、曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」のに対し、引用発明1の「コンピュータのソフトウェアから構成され」た「画像処理手段17及び形状計測手段18」は、「CCDカメラ14で撮影した画像の濃淡分布からタイヤTの形状を推定する」ものであって、そのような構成とはされていない点。

(ウ)相違点の判断
事案に鑑み、本願発明1の上記相違点4について、まず検討する。
画像処理等の信号処理を行う手段として、マイクロプロセッサを採用することは、常套手段である。そして、管状の対象物について断面の画像から寸法及び形状を測定した上で、測定結果から導出される何らかのパラメタに基づいて当該対象物の適または不適を決定することは、周知技術であり(例えば、引用文献4(上記1(4))、引用文献19(上記1(19))、引用文献20(上記1(20))を参照。)、さらに、直管を曲げて曲管を形成するとともに、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較することについても、一般に広く行われていることである(例えば、引用文献9(上記1(9))を参照。)。
しかしながら、「曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定する」にあたり、「曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」ことについては、引用文献2ないし21のいずれにも記載されておらず、周知技術であるともいえないから、引用発明1において、たとえ引用文献1ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術を考慮したとしても、本願発明1の上記相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(エ)したがって、本願発明1の上記相違点1ないし3については検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、引用文献2ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本願発明2ないし12について
本願発明2ないし12は、いずれも、本願発明1を更に限定したものであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明1、引用文献2ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本願発明13について
本願発明13は、「方法」のカテゴリーの発明ではあるが、本願発明1の上記相違点4に係る構成と同様の構成を、その発明特定事項に含むものであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明1、引用文献2ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ 本願発明14ないし29について
本願発明14ないし29は、いずれも、本願発明13を更に限定したものであるから、本願発明13について述べたのと同様の理由により、引用発明1、引用文献2ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)引用発明2を主たる引用発明とした場合
ア 本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と引用発明2とを対比する。
a 引用発明2の「透明板であるテーブル7」は、本願発明1の「互いに対向する第1の側および第2の側を有する光透過性基板」に相当する。

b 引用発明2における、「上面に検査対象物100を設置する透明板であるテーブル7」「の下方に配置され、検査対象物100の下面で反射した光パターンを可視光で受光して画像情報に変換する撮影カメラ3」と、本願発明1における、「前記光透過性基板の前記第1の側に設けられ」、「前記光透過性基板の前記第2の側に配置された前記管の断面の画像を得るよう動作」する「カメラ」とは、「前記光透過性基板の前記第1の側に設けられ」、「前記光透過性基板の前記第2の側に配置された対象物の面の画像を得るよう動作」する「カメラ」である点で共通する。

c 引用発明2の「光パターンを検査対象物100の下面に照射する光パターン照射装置2」と、本願発明1の「前記第1の側に設けられ、前記光透過性基板の前記第2の側に配置された管の断面を照明するよう動作する光源」とは、「前記第1の側に設けられ、前記光透過性基板の前記第2の側に配置された対象物の面を照明するよう動作する光源」である点で共通する。

d 引用発明2における、「撮影カメラ3及び温度制御装置5からの情報に基づいて予め決められた温度における検査対象物100の下面の各部位の高さ情報を算出し、検査対象物100の良否を判定する演算処理装置6」と、本願発明1における、「前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作」するとともに、「曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」、「マイクロプロセッサ」とは、「前記画像から前記対象物の寸法および形状のデータを計算し、前記対象物の適または不適を決定するよう動作する」「処理手段」である点で共通する。

e 引用発明2において、「演算処理装置6」が「撮影カメラ3及び温度制御装置5からの情報に基づいて予め決められた温度における検査対象物100の下面の各部位の高さ情報を算出し、検査対象物100の良否を判定する」ことと、本願発明1において、「前記カメラは前記マイクロプロセッサおよび前記データベースと作動接続して」いることとは、「前記カメラは前記処理手段と作動接続して」いる点で共通する。

f 引用発明2の「雰囲気温度の変化により形状が変形しうる物の外観を検査する形状検査装置」と、本願発明1の「管の品質を決定するシステム」とは、「対象物の品質を決定するシステム」である点で共通する。

(イ)以上のことから、本願発明1と引用発明2とは、
「互いに対向する第1の側および第2の側を有する光透過性基板と、
処理手段と、
前記光透過性基板の前記第1の側に設けられたカメラと、
前記第1の側に設けられ、前記光透過性基板の前記第2の側に配置された前記対象物の面を照明するよう動作する光源と、
を備えた、対象物の品質を決定するシステムであって、
前記カメラは前記処理手段と作動接続しており、
前記カメラは前記光透過性基板の前記第2の側に配置された対象物の面の画像を得るよう動作し、
前記処理手段は前記画像から前記対象物の寸法および形状のデータを計算し、前記対象物の適または不適を決定するよう動作する、
ことを特徴とするシステム。」
である点で一致する一方、次の点で相違する。

(相違点1)
対象物が、本願発明1では「管」であるのに対し、引用発明2では「雰囲気温度の変化により形状が変形しうる物」であり、また、照明されかつ画像化される、対象物の面が、本願発明1では「管の断面」であるのに対し、引用発明2では「検査対象物100の下面」である点。

(相違点2)
本願発明1では、「曲管について得られたデータと直管について得られたデータとを保持するデータベース」「を備え」ており、「前記カメラは前記マイクロプロセッサおよび前記データベースと作動接続して」いるのに対し、引用発明2では、「データベース」について特定がない点。

(相違点3)
本願発明1では、「光透過性基板上に配置された前記管の画像を表示し、前記光透過性基板上に前記管を配置するためのユーザディスプレイ」「を備えた」のに対し、引用発明2では、「ユーザディスプレイ」について特定がない点。

(相違点4)
処理手段が、本願発明1では、「マイクロプロセッサ」であって、「前記マイクロプロセッサは前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作」するとともに、「前記マイクロプロセッサは、曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」のに対し、引用発明2の「演算処理装置6」は、「撮影カメラ3及び温度制御装置5からの情報に基づいて予め決められた温度における検査対象物100の下面の各部位の高さ情報を算出し、検査対象物100の良否を判定する」ものであって、そのような構成とはされていない点。

(ウ)相違点の判断
事案に鑑み、本願発明1の上記相違点4について、まず検討する。
画像処理等の信号処理を行う手段として、マイクロプロセッサを採用することは、常套手段である。そして、管状の対象物について断面の画像から寸法及び形状を測定した上で、測定結果から導出される何らかのパラメタに基づいて当該対象物の適または不適を決定することは、周知技術であり(例えば、引用文献4(上記1(4))、引用文献19(上記1(19))、引用文献20(上記1(20))を参照。)、さらに、直管を曲げて曲管を形成するとともに、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較することについても、一般に広く行われていることである(例えば、引用文献9(上記1(9))を参照。)。
しかしながら、「曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定する」にあたり、「曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」ことについては、引用文献1及び3ないし21のいずれにも記載されておらず、周知技術であるともいえないから、引用発明2において、たとえ引用文献1及び3ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術を考慮したとしても、本願発明1の上記相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(エ)したがって、本願発明1の上記相違点1ないし3については検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明2、引用文献1及び3ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本願発明2ないし12について
本願発明2ないし12は、いずれも、本願発明1を更に限定したものであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明2、引用文献1及び3ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本願発明13について
本願発明13は、「方法」のカテゴリーの発明ではあるが、本願発明1の上記相違点4に係る構成と同様の構成を、その発明特定事項に含むものであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明2、引用文献1及び3ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ 本願発明14ないし29について
本願発明14ないし29は、いずれも、本願発明13を更に限定したものであるから、本願発明13について述べたのと同様の理由により、引用発明2、引用文献1及び3ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)引用発明4を主たる引用発明とした場合
ア 本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と引用発明4とを対比する。
a 引用発明4の「透明なガラス板等から成」る「検査フレーム3」は、本願発明1の「互いに対向する第1の側および第2の側を有する光透過性基板」に相当する。

b 引用発明4の「ライン画像データZをメモリする演算装置8」と、本願発明1の「曲管について得られたデータと直管について得られたデータとを保持するデータベース」とは、「データを保持するデータベース」である点で共通する。

c 引用発明4の「ラインセンサカメラ6」によって、「輪切りにした熱収縮チューブのサンプル」である「被検査物4の断面」についての「ライン画像データZ」が取得されることは、明らかであるから、引用発明4における、「被検査物4である輪切りにした熱収縮チューブのサンプルが載置される検査フレーム3」「の下方に配置されるラインセンサカメラ6」は、本願発明1における、「前記光透過性基板の前記第1の側に設けられ」、「前記光透過性基板の前記第2の側に配置された前記管の断面の画像を得るよう動作」する「カメラ」に相当する。

d 引用発明4の「ラインセンサカメラ6と対極の検査フレーム3の上方に配置され、」「被検査物4である輪切りにした熱収縮チューブのサンプル」「に透過照明を当てるライト7」と、本願発明1の「前記第1の側に設けられ、前記光透過性基板の前記第2の側に配置された管の断面を照明するよう動作する光源」とは、「前記光透過性基板の前記第2の側に配置された管を照明するよう動作する光源」である点で共通する。

e 引用発明4の「2値化された画像データ」は、「被検査物4の断面」についての「ライン画像データZを2次元画像として展開し、2値化して」得られたものであるから、引用発明4の「2値化された画像データを表示する」「モニタ画面9」と、本願発明1の「光透過性基板上に配置された前記管の画像を表示し、前記光透過性基板上に前記管を配置するためのユーザディスプレイ」とは、「光透過性基板上に配置された前記管の画像を表示するためのユーザディスプレイ」である点で共通する。

f 引用発明4において、「ラインセンサカメラ6」によって取得された「ライン画像データZ」が「演算装置8」に「メモリ」されることと、本願発明1において、「前記カメラは前記マイクロプロセッサおよび前記データベースと作動接続して」いることとは、「前記カメラは前記データベースと作動接続して」いる点で共通する。

g 引用発明4において、「演算装置8に集積されたライン画像データZを2次元画像として展開し、2値化して明度の濃淡を識別することにより、被検査物4の断面肉厚の偏りを測定し、求めた最大偏肉が規格値に対して外れているか否かにより合否判定を行う」とともに、「モニタ画面9」に「再検査を促す警告ランプ10を点灯させる」ことと、本願発明1において、「前記マイクロプロセッサは前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作し、前記マイクロプロセッサは、曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」こととは、「前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、前記管の適または不適を決定するよう動作し、前記ユーザディスプレイを使用してオペレータに指示する」点で共通する。

h 引用発明4の「円筒断面の偏りを検査する偏肉測定装置」は、次の相違点は除いて、本願発明1の「管の品質を決定するシステム」に相当するといえる。

(イ)以上のことから、本願発明1と引用発明4とは、
「互いに対向する第1の側および第2の側を有する光透過性基板と、
データを保持するデータベースと、
前記光透過性基板の前記第1の側に設けられたカメラと、
前記光透過性基板の前記第2の側に配置された管を照明するよう動作する光源と、
光透過性基板上に配置された前記管の画像を表示するためのユーザディスプレイと、
を備えた、管の品質を決定するシステムであって、
前記カメラは前記データベースと作動接続しており、
前記カメラは前記光透過性基板の前記第2の側に配置された前記管の断面の画像を得るよう動作し、
前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、前記管の適または不適を決定するよう動作し、前記ユーザディスプレイを使用してオペレータに指示する、
ことを特徴とするシステム。」
である点で一致する一方、次の点で相違する。

(相違点1)
光源が、本願発明1では「前記光透過性基板の前記第1の側」すなわち「カメラ」と同じ側「に設けられ」ているのに対し、引用発明4では「ラインセンサカメラ6と対極の検査フレーム3の上方に配置され」ている点。

(相違点2)
データベースが、本願発明1では、「曲管について得られたデータと直管について得られたデータとを保持する」のに対し、引用発明4の「ライン画像データZをメモリする演算装置8」では、そのような特定がなされていない点。

(相違点3)
ユーザディスプレイが、本願発明1では「前記光透過性基板上に前記管を配置するための」ものであるのに対し、引用発明4の「モニタ画面9」では、そのような特定がなされていない点。

(相違点4)
本願発明1では、「マイクロプロセッサ」「を備え」ており、「前記マイクロプロセッサは前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作」するとともに、「前記マイクロプロセッサは、曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」のに対し、引用発明4では、「演算装置8に集積されたライン画像データZを2次元画像として展開し、2値化して明度の濃淡を識別することにより、被検査物4の断面肉厚の偏りを測定し、求めた最大偏肉が規格値に対して外れているか否かにより合否判定を行う」とともに、「モニタ画面9」に「再検査を促す警告ランプ10を点灯させる」ものの、「曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定する」点、及び、「曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」点については、いずれも特定がなく、また、「マイクロプロセッサ」についても特定がない点。

(ウ)相違点の判断
事案に鑑み、本願発明1の上記相違点4について、まず検討する。
画像処理等の信号処理を行う手段として、マイクロプロセッサを採用することは、常套手段である。そして、直管を曲げて曲管を形成するとともに、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較することも、一般に広く行われていることである(例えば、引用文献9(上記1(9))を参照。)。
しかしながら、「曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定する」にあたり、「曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」ことについては、引用文献1ないし3及び5ないし21のいずれにも記載されておらず、周知技術であるともいえないから、引用発明4において、たとえ引用文献1ないし3及び5ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術を考慮したとしても、本願発明1の上記相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(エ)したがって、本願発明1の上記相違点1ないし3については検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明4、引用文献1ないし3及び5ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本願発明2ないし12について
本願発明2ないし12は、いずれも、本願発明1を更に限定したものであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明4、引用文献1ないし3及び5ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本願発明13について
本願発明13は、「方法」のカテゴリーの発明ではあるが、本願発明1の上記相違点4に係る構成と同様の構成を、その発明特定事項に含むものであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明4、引用文献1ないし3及び5ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ 本願発明14ないし29について
本願発明14ないし29は、いずれも、本願発明13を更に限定したものであるから、本願発明13について述べたのと同様の理由により、引用発明4、引用文献1ないし3及び5ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)小括
以上のとおりであるから、本願の請求項1ないし29に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえず、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

3 当審拒絶理由についての判断
(1)理由1について
ア 本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と引用発明16とを対比する。
a 引用発明16の「管の端面」は、本願発明1の「管の断面」に相当するから、引用発明16の「管の端部近傍に」「配設され」た、「管の端面の全領域に斜め方向から光を照射する手段である投光装置」と、本願発明1の「前記第1の側に設けられ、前記光透過性基板の前記第2の側に配置された管の断面を照明するよう動作する光源」とは、「管の断面を照明するよう動作する光源」である点で共通する。

b 引用発明16の「管の端部近傍に」「配設され」た、「管の端面の全領域を2次元的に撮像する撮像手段であるテレビカメラ」と、本願発明1の「前記光透過性基板の前記第1の側に設けられ」、「前記光透過性基板の前記第2の側に配置された前記管の断面の画像を得るよう動作」する「カメラ」とは、「前記管の断面の画像を得るよう動作」する「カメラ」である点で共通する。

c 引用発明16の「管の端部の外径及び肉厚の測定値」は、本願発明1の「管の寸法」「のデータ」に相当するから、引用発明16の「画像処理等の信号処理を行うことにより管の端部の外径及び肉厚の測定値を求める信号処理装置」と、本願発明1の、「前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作」するとともに、「曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」、「マイクロプロセッサ」とは、「前記画像から前記管の寸法のデータを計算するよう動作」する「処理手段」である点で共通する。

d 引用発明16において「テレビカメラの撮像信号」が「信号処理装置に与えられ」ることと、本願発明1において「前記カメラは前記マイクロプロセッサおよび前記データベースと作動接続して」いることとは、「前記カメラは前記処理手段と作動接続して」いる点で共通する。

e 引用発明16の「管の外径及び肉厚を測定する装置」は、次の相違点は除いて、本願発明1の「管の品質を決定するシステム」に相当するといえる。

(イ)以上のことから、本願発明1と引用発明16とは、
「処理手段と、
カメラと、
管の断面を照明するよう動作する光源と、
を備えた、管の品質を決定するシステムであって、
前記カメラは前記処理手段と作動接続しており、
前記カメラは前記管の断面の画像を得るよう動作し、
前記処理手段は前記画像から前記管の寸法のデータを計算するよう動作する、
ことを特徴とするシステム。」
である点で一致する一方、次の点で相違する。

(相違点1)
本願発明1では、「互いに対向する第1の側および第2の側を有する光透過性基板」「を備え」ており、「カメラ」及び「光源」が「前記光透過性基板の前記第1の側に設けられ」るとともに、「管の断面」が「前記光透過性基板の前記第2の側に配置され」ているのに対し、引用発明16では、「光透過性基板」について特定がない点。

(相違点2)
本願発明1では、「曲管について得られたデータと直管について得られたデータとを保持するデータベース」「を備え」ており、「前記カメラは前記マイクロプロセッサおよび前記データベースと作動接続して」いるのに対し、引用発明16では、「テレビカメラの撮像信号」が「信号処理装置に与えられ、信号処理装置で求められた外径及び肉厚の測定値のデータは、記録データとして出力される」ものの、「データベース」については特定がない点。

(相違点3)
本願発明1では、「光透過性基板上に配置された前記管の画像を表示し、前記光透過性基板上に前記管を配置するためのユーザディスプレイ」「を備え」ているのに対し、引用発明16では、「ユーザディスプレイ」について特定がない点。

(相違点4)
処理手段が、本願発明1では、「マイクロプロセッサ」であって、「前記マイクロプロセッサは前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作」するとともに、「前記マイクロプロセッサは、曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」のに対し、引用発明16の「信号処理装置」では、「画像処理等の信号処理を行うことにより管の端部の外径及び肉厚の測定値を求める」ものの、「前記管の寸法」に加え「形状のデータを計算」する点、「曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作」する点、及び、「曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」点については、いずれも特定がなく、また、「信号処理装置」が「マイクロプロセッサ」からなるか否かも、不明である点。

(ウ)相違点の判断
事案に鑑み、本願発明1の上記相違点4について、まず検討する。
画像処理等の信号処理を行う手段として、マイクロプロセッサを採用することは、常套手段である。そして、管状の対象物について断面の画像から寸法及び形状を測定した上で、測定結果から導出される何らかのパラメタに基づいて当該対象物の適または不適を決定することは、周知技術であり(例えば、引用文献4(上記1(4))、引用文献19(上記1(19))、引用文献20(上記1(20))を参照。)、さらに、直管を曲げて曲管を形成するとともに、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較することについても、一般に広く行われていることである(例えば、引用文献9(上記1(9))を参照。)。
しかしながら、「曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定する」にあたり、「曲管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に曲管の断面を位置づけるよう指示し、直管のデータを得る際に、前記ユーザディスプレイを使用して、オペレータに前記光透過性基板上に直管の断面を位置づけるよう指示する」ことについては、引用文献1ないし15及び17ないし21のいずれにも記載されておらず、周知技術であるともいえないから、引用発明16において、たとえ引用文献1ないし15及び17ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術を考慮したとしても、本願発明1の上記相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(エ)したがって、本願発明1の上記相違点1ないし3については検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明16、引用文献1ないし15及び17ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本願発明2ないし12について
本願発明2ないし12は、いずれも、本願発明1を更に限定したものであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明16、引用文献1ないし15及び17ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本願発明13について
本願発明13は、「方法」のカテゴリーの発明ではあるが、本願発明1の上記相違点4に係る構成と同様の構成を、その発明特定事項に含むものであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明16、引用文献1ないし15及び17ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ 本願発明14ないし29について
本願発明14ないし29は、いずれも、本願発明13を更に限定したものであるから、本願発明13について述べたのと同様の理由により、引用発明16、引用文献1ないし15及び17ないし21に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)理由2について
本件補正により、補正前の請求項1の「前記マイクロプロセッサは前記画像から前記管の寸法および形状を計算し、所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作する」との記載が、補正後の請求項1の「前記マイクロプロセッサは前記画像から前記管の寸法および形状のデータを計算し、曲管について得られたデータを、直管について得られたデータと比較して導かれた所定パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するよう動作し、」(下線は補正箇所を示す。以下同じ。)に、補正前の請求項10の「前記管の内径、管の外径、管の肉厚、管の真円度、流量面積、重心、および、前記管の内面上の平坦箇所の寸法からなる群から選択される値を計算するよう動作する」との記載が、補正後の請求項8の「前記所定パラメタが、前記管の内径、管の外径、管の肉厚、管の真円度、流量面積、重心、および、前記管の内面上の平坦箇所の寸法のいずれかを含む」に、補正前の請求項14の「前記システムは、曲げ半径、流量面積、平均内径および平均外径からなる群から選択される値を計算するよう構成されている」との記載が、補正後の請求項12の「前記所定パラメタが、平均内径および平均外径のいずれかを含む」に、それぞれ補正されたので、不備1は解消した。
また、本件補正により、補正前の請求項17の「前記画像から前記管の寸法および形状を示すパラメタを決定するステップと、前記パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するステップ」との記載が、補正後の請求項13の「曲管について得られたデータと直管について得られたデータと比較することにより、前記画像から前記管の寸法および形状を示すパラメタを決定するステップと、前記パラメタに基づいて前記管の適または不適を決定するステップ」に、補正前の請求項23の「前記複数の部分の各部分についてパラメタを測定するステップと、管の内径、外径、重心、肉厚、真円度および流量面積からなる群から選択される値を決定するステップと、を含む」との記載が、補正後の請求項18の「前記複数の部分の各部分についてパラメタを測定するステップと、を含み、前記所定パラメタが、前記管の内径、外径、重心、肉厚、真円度および流量面積のいずれかを含む」に、補正前の請求項32の「前記管の内径、管の外径、管の肉厚、管の真円度、流量面積、重心、および、前記管の内面上の平坦箇所の寸法からなる群から選択される値を計算するよう動作する」との記載が、補正後の請求項25の「前記所定パラメタが、前記管の内径、管の外径、管の肉厚、管の真円度、流量面積、重心、および、前記管の内面上の平坦箇所の寸法のいずれかを含む」に、補正前の請求項36の「前記方法は、曲げ半径、流量面積、平均内径および平均外径からなる群から選択される値を計算するよう構成されている」との記載が、補正後の請求項29の「前記パラメタは、平均内径および平均外径のいずれかを含む」に、それぞれ補正されたので、不備2も解消した。
したがって、本件補正後の請求項1ないし29に係る発明は、いずれも明確である。

(3)小括
以上のとおりであるから、本願の請求項1ないし29に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえず、また、本願の特許請求の範囲の記載は、同法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものであり、当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由及び当審において通知した拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-12-27 
出願番号 特願2013-190822(P2013-190822)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G01B)
P 1 8・ 121- WY (G01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梶田 真也  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 大和田 有軌
関根 洋之
発明の名称 管の品質を決定する方法およびシステム  
代理人 荒川 聡志  

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