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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1322963
審判番号 不服2015-22093  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-14 
確定日 2016-12-15 
事件の表示 特願2011- 38923「半導体装置及び半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月10日出願公開、特開2012-175089〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
平成23年2月24日の出願(以下、「本願」という。)であって、平成25年11月6日付けで審査請求がなされ、平成26年11月27日付けで拒絶理由が通知され、平成27年1月29日付けで意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされたが、同年9月7日付けで拒絶査定がなされたものである。
これに対して、平成27年12月14日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

第2 平成27年12月14日付けの手続補正についての却下の決定

[補正却下の結論]
平成27年12月14日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
平成27年12月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る記載は次のとおりである。(なお、下線は、補正の箇所を示すものとして審判請求人が付加したものである。)

「基板の上方に形成された窒化物半導体からなる半導体層と、
前記半導体層の上方に、金を含む材料により形成された電極と、
前記電極の上方に形成された金属膜と、
前記金属膜の上方に形成されたバリア膜と、
前記半導体層の上方に、シリコンの酸化膜、窒化膜、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成された保護膜と、
を有し、
前記保護膜は前記バリア膜上に形成されるものであって、
前記バリア膜は前記金属膜の窒化物または酸窒化物を含む材料により形成されているものであることを特徴とする半導体装置。」

(2)補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る記載は次のとおりである。

「基板の上方に形成された窒化物半導体からなる半導体層と、
前記半導体層の上方に、金を含む材料により形成された電極と、
前記電極の上方に形成された金属膜と、
前記金属膜の上方に形成されたバリア膜と、
前記半導体層の上方に、シリコンの酸化膜、窒化膜、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成された保護膜と、
を有し、
前記保護膜は前記バリア膜上に形成されるものであって、
前記バリア膜は前記金属膜の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成されているものであることを特徴とする半導体装置。」

2 補正の適否について
(1)補正の目的について
補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明に対応し、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明に次の補正がなされたものである。

(a)補正前の請求項1の「前記バリア膜は前記金属膜の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成されているもの」を「前記バリア膜は前記金属膜の窒化物または酸窒化物を含む材料により形成されているもの」とする補正。

補正事項(a)について検討すると、補正事項(a)により加えられた部分は、当初明細書等に記載されているものと認められるから、補正事項(a)は当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。したがって、補正事項(a)は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項(a)は、補正前の「前記バリア膜は前記金属膜の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成されているもの」を、「前記バリア膜は前記金属膜の窒化物または酸窒化物を含む材料により形成されているもの」とする限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第5項に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そうすると、補正事項(a)は、特許法第17条の2第4項の規定に適合することは明らかであり、また、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(b)小括
したがって、上記補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たし、特許法第17条の2第4項の規定に適合するとともに、特許法第17条の2第5項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものに該当する。

そこで、補正後の請求項に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)進歩性について
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、手続補正書によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、上記[理由]1の「(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載」の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(a)各引用例について
(a-1)引用例1の記載について
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平2-84725号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。(なお、下線は、当審において付与した。以下、同じ。)

(ア)「[実施例]
第1図には、本発明を高周波用GaAs FETに適用した場合の一実施例が製造工程順に示されている。
この実施例では、先ずGaAs半絶縁性基板1上に、気相成長法等により能動層となるn型GaAs半導体層2を形成する。
次に、メサエッチングにより不必要な能動層2を除去し、AuGeのオーミック金属層11をパターニングし、しかる後、Ti/Pt/Auのようなショットキ障壁となるゲート金属層12を形成する。
そして、この実施例では、上記ゲート金属層12の上に例えばTi(チタン)のような比較的酸化され易い金属層13を200Å程度の厚みに形成した後、ゲート金属層12と酸化され易い金属層13を同時にパターニングし、ソース電極3とドレイン電極4およびゲート電極5を形成する(第1図(A))。
次に、基板1上にフォトレジスト膜を全面的に被着して、パッシベーション膜を残したい部分のフォトレジストを除去した後、SixOyまたはSiNyOz,SixNyのような絶縁膜を全面的に被着してから、リフトオフ法によって不要部分の絶縁膜を除去して、第1図(B)のように、ゲート電極5の上方からソース、ドレイン電極3,4の一部にかけてパッシベーション膜14を形成する。」(第2頁左下欄7行乃至右下欄14行)

(イ)「[発明の効果]
以上説明したようにこの発明は、パッシベーション膜が被着される電極(配線を含む)の最上層の貴金属層の表面に、Tiのような比較的酸化され易い金属層を形成するようにしたので、貴金属とパッシベーション膜の両方に対して密着性の良い金属層が電極とパッシベーション膜との間に介在されるため、電極の表面に貴金属層が形成されていてもその上のパッシベーション膜の剥れを防止することができる。」(第3頁左下欄11行乃至20行)

イ.引用例1の記載事項
上記(ア)(イ)の記載を参照すると、次のことがいえる。

(あ)上記(ア)の記載から、引用例1に記載された発明は、GaAs FETであることがわかる。
そして、GaAs半絶縁性基板上に形成されたn型GaAs半導体層を有していることがわかる。
また、Auから成るゲート金属層を有していることがわかる。
さらに、ゲート金属層の上にTiのような酸化されやすい金属層を形成し、ゲート金属層と酸化されやすい金属層を同時にパターニングし、ソース電極とドレイン電極およびゲート電極を形成していることがわかる。
そして、SixOyまたはSixNyのような絶縁膜を全面的に被着してから、リフトオフ法によって不要部分の絶縁膜を除去し、ゲート電極の上方からソース、ドレイン電極の一部にかけてパッシベーション膜を形成することがわかる。

(い)上記(イ)の記載から、引用例1に記載された発明は、貴金属層の表面にTiのような比較的酸化された易い金属層を形成することにより、貴金属とパッシベーション膜の両方に対して密着生が良くなり、パッシベーション膜の剥がれ防止となることがわかる。

上記(あ)(い)の事項を踏まえると、引用例1には、実質的に次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「GaAs半絶縁性基板上に形成されたn型GaAs半導体層と、
Auから成るゲート金属層とゲート金属層の上にTiのような酸化されやすい金属層を形成し、ゲート金属層と酸化されやすい金属層を同時にパターニングすることにより形成された、ソース電極とドレイン電極およびゲート電極と、
SixOyまたはSixNyのような絶縁膜を全面的に被着し、不要部分の絶縁膜を除去し、ゲート電極の上方からソース、ドレイン電極の一部にかけて形成されたパッシベーション膜と有することにより、
パッシベーション膜の剥がれを防止するGaAs FET。」

(a-2)引用例2の記載について
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に日本国内で頒布された刊行物である国際公開第2008/035403号(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。

(ア)「[0001] 本発明は一般に半導体装置に係り、特に窒化物半導体を用いた高出力電界効果トランジスタに関する。
背景技術
[0002] GaN,AlN,InN、あるいはそれらの混晶を代表とする窒化物半導体は、バンドギャップが大きく、このため短波長発光素子として使われている。一方、このようなバンドギャップの大きな窒化物半導体は高電界下でも降伏を生じないため、高出力電子素子への応用も注目されている。このような高出力電子素子としては、高出力電界効果トランジスタ、特に高出力HEMTが挙げられる。」

(イ)「[0017] [第1の実施形態]
図2は、本発明の第1の実施形態による高出力電界効果トランジスタ20の構成を示 す。
[0018] 図2を参照するに、高出力電界効果トランジスタ20は半絶縁性SiC基板21上に形成されたHEMTであり、前記SiC基板21上には非ドープGaNよりなる電子走行層22が、例えば3μmの厚さでエピタキシャルに形成されている。
[0019] 前記電子走行層22上には、厚さが例えば5nmの非ドープAlGaNスぺーサ23を介して、n型AlGaNよりなりSiにより5×10^(18)cm^(-3)の電子濃度にドープされた厚さが例えば30nmの電子供給層24がエピタキシャルに形成され、前記電子供給層24上にはn型GaN層25が、エピタキシャルに形成される。前記電子供給層24の形成に伴い、前記電子走行層22中には前記スぺーサ層23との界面に沿って、二次元電子ガス(2DEG)22Aが形成される。
[0020] さらに前記n型GaN層25上には、ショットキー接合を形成するNi電極膜26Aとその上の低抵抗Au膜26を積層したゲート電極26が形成され、さらに前記ゲート電極26の両側には、前記電子供給層24に直接にコンタクトするように、Ti膜とAl膜を積層したオーミック電極27A,27Bが前記ゲート電極26から離間して、それぞれソース電極およびドレイン電極として形成されている。」

上記(ア)(イ)の記載によれば、引用例2には、次の事項が記載されているといえる。

<引用例2の記載事項>
電界効果トランジスタを構成するために、SiC基板上にGaNおよびAlGaN等から成る窒化物半導体層を設け、Ni電極膜およびAu膜から構成されるゲート電極を有する窒化物半導体を設けること。

(a-3)引用例3の記載について
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日前に日本国内で頒布された刊行物である特開2009-54807号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。

(ア)「【0001】
本発明は、ノーマリオフ型のHEMT( High Electron Mobility Transistor)又はこれに類似のヘテロ接合型電界効果半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な従来のHEMTは、シリコン、サファイア等の基板の上にバッファ層を介して形成されたアンドープGaN等の窒化物半導体から成る電子走行層と、n型不純物がドープされた又はアンドープのAlGaN等の窒化物半導体から成る電子供給層又はバリア層と、電子供給層の上に形成されたソース電極とドレイン電極とゲート電極(ショットキー電極)とを有している。AlGaN等から成る電子供給層のバンドギャプはGaN等から成る電子走行層のバンドギャプよりも大きく、AlGaN等から成る電子供給層の格子定数はGaN等から成る電子走行層の格子定数よりも小さい。電子走行層の上にこれよりも格子定数が小さい電子供給層を配置すると、電子供給層に伸張性歪み即ち引っ張り応力が生じ、ピエゾ分極する。電子供給層は自発分極もするので、ピエゾ分極と自発分極とに基づく電界の作用で電子走行層と電子供給層とのヘテロ接合面の近傍に周知の2次元電子ガス層即ち2DEG層が生じる。2DEG層は周知のようにドレイン電極とソース電極との間の電流通路(チャネル)として利用され、この電流通路を流れる電流はゲート電極に印加されるバイアス電圧で制御される。」

上記(ア)の記載によれば、引用例3には、次の事項が記載されているといえる。

<引用例3の記載事項>
電界効果トランジスタを構成するために、シリコン、サファイア等の基板の上にバッファ層を介してGaNやAlGaN等からなる窒化物半導体を設けること。

(a-4)引用例4の記載について
本願出願日前に日本国内で頒布された刊行物である特開平5-211242号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。

(ア)「【0002】
【従来の技術】従来の半導体装置の製造方法は、まず、図4(a)に示すように、P型(又はN型)のシリコン基板1の一主面に、N型(又はP型)の拡散層2及び酸化シリコン膜あるいは酸化シリコン膜にリンやホウ素が添加されているPSG膜やBSPG膜より構成される厚さ0.5?1.0μmの層間絶縁膜3を形成する。
【0003】次に、所望の位置にバイアホール(図示せず)を形成した後、バイアホールを含む表面にタングステンにチタンが5?10%添加されたチタンタングステン合金膜あるいはチタン膜と窒化チタン膜の2層より構成される厚さ0.05?0.2μmの第1の金属膜4及び金、白金、パラジウム等より構成される厚さ0.01?0.1μmの第2の金属膜5を順次堆積して形成する。
【0004】次に、図4(b)に示すように、フォトリソグラフィー技術を用いてポジタイプのフォトレジスト膜10を1.0?2.0μmの厚さに第2の金属膜5の上に選択的に形成し、フォトレジスト膜10をマスクとして第2の金属膜5の上に電解金めっきを行い、金膜6を0.5?2.0μmの厚さに形成する。
【0005】次に、図4(c)に示すように、有機溶剤を用いフォトレジスト膜10を除去し、続いてアルゴンガスをソースとするミリング法やCF_(4),SF_(6)をエッチングガスとした反応性イオンエッチング法により、金膜6をエッチングマスクとして下層の第1の金属膜4および第2の金属膜5の不要部分のみを除去して、第1の金属膜4,第2の金属膜5,金膜6の積層構造により構成される金属配線を形成する。
【0006】次に、図4(d)に示すように、SiH_(4),N_(2)O,NH_(4),N_(2)等を原料ガスとするプラズマCVD法により金膜6の上に酸化シリコン膜9又は窒化シリコン膜を形成していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の半導体装置は、配線を構成する金膜の上に設ける層間絶縁膜として酸化シリコン膜あるいは酸化シリコン膜を用いるのが通例となっているが、金は化学的に安定な元素であり酸化シリコン膜あるいは窒化シリコン膜との密着性に乏しいため、層間絶縁膜の機械的な強度が得にくい。したがって、高い長期信頼性と安定した特性を有する半導体装置を得にくくなり、さらにその製造過程での高い歩留は実現できない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置は、半導体基板上に設けた絶縁膜の上に形成した金属配線と、前記金属配線を含む表面に設けた金属酸化物膜もしくは金属窒化物膜からなる第1の層間絶縁膜と、前記第1の層間絶縁膜上に設けた酸化シリコン又は窒化シリコン膜からなる第2の層間絶縁膜とを有する。
【0009】本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に設けた絶縁膜の上に金属配線を選択的に設ける工程と、前記金属配線を含む表面にアルミニウム膜又はチタン膜を形成して酸化処理又は窒化処理を行い酸化アルミニウム膜,酸化チタン膜又は窒化チタン膜のいずれかよりなる第1の層間絶縁膜を形成する工程と、前記第1の層間絶縁膜の上に酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜からなる第2の層間絶縁膜を形成する工程とを含んで構成される。」

(イ)「【0013】次に、図1(b)に示すように、第2の金属膜5の上にフォトレジスト膜10を0.5?2.0μmの厚さに塗布してパターニングし配線形成用マスクを形成する。次に、フォトレジスト膜10をマスクとし、第2の金属膜5を陰極とし、メッシュ状のチタン板の表面部に白金を被覆した金属電極板を陽極として、30?60℃程度に恒温保持された例えば亜硫酸金塩溶液などで構成される電解金めっき液中で陰陽両極間に電圧を印加し、通電することにより、金膜6を第2の金属膜5の上に0.5?1.0μmの厚さに形成する。
【0014】次に図1(c)に示すように、有機溶剤を用いた剥離法あるいは酸素プラズマを用いたアッシング法等によりフォトレジスト膜10を除去した後、金膜6をマスクとしてSF_(6),CF_(4),CCl_(4),BCl_(3)等をエッチングガスとするドライエッチングによりエッチバックし、第1の金属膜4および第2の金属膜5を除去して、第1の金属膜4,第2の金属膜5及び金膜6より構成される金属配線を形成する。
【0015】次に、図2(a)に示すように、金属配線を含む表面にアルミニウム膜7をD.C.マグネトロンスパッタ法を用い成膜パワー0.5?1.0kW、成膜圧力2?10mTorrの条件で0.01?0.05μmの厚さに形成する。
【0016】次に、図2(b)に示すように、NH_(4),N_(2)等を原料ガスとするプラズマ窒化法によるRFパワー0.5?1.0kW、成膜圧力0.1?10Torrの条件で、アルミニウム膜7にプラズマ窒化処理を施し窒化アルミニウム膜8を形成する。
【0017】次に、図2(c)に示すように、SiH_(4),N_(2)O,NH_(4),N_(2)等を原料ガスとするプラズマCVD法を用い、RFパワー0.5?1.0kW、成膜圧力0.1?10Torrの条件で、窒化アルミニウム膜8の上に酸化シリコン膜9を0.1?0.5μmの厚さに形成する。
【0018】このようにして得られた配線構造は、配線金属膜である金膜6と層間絶縁膜である酸化シリコン膜9との間に窒化アルミニウム膜8が存在しており、両者の密着性を向上させている。
【0019】また、このような層間絶縁膜の形成方法においては、アルミニウム膜7をスパッタ法により形成したのち窒化処理を施しているので、金膜6の金原子がスパッタ法により形成されたアルミニウム原子と密着しており、窒化アルミニウム膜8を直接スパッタ法により形成した場合にくらべてさらに密着性を向上させることが可能となる。」

上記(ア)(イ)の記載によれば、引用例4には、次の事項が記載されているといえる。

<引用例4の記載事項>
配線金属膜である金膜の上に、アルミニウム膜をD.C.マグネトロンスパッタ法を用いて成膜し、アルミニウム膜をプラズマ窒化処理して窒化アルミニウム膜を形成し、窒化アルミニウム膜の上に、プラズマCVD法を用いて層間絶縁膜である酸化シリコン膜を形成することにより、金膜と酸化シリコン膜との密着性を向上させるとともに、このように層間絶縁膜を形成することにより、金膜の金原子とスパッタ法により形成されたアルミニウム原子が密着しており、窒化アルミニウム膜を直接スパッタ法により形成した場合にくらべて更に密着性を向上させていること。


(a-5)引用例5の記載について
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開2008-171997号公報(以下、「引用例5」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。

(ア)「【0013】
また、2番目の透明絶縁膜が剥がれやすいという問題は、絶縁膜を形成する場合には、温度400℃の雰囲気中でプラズマCVD等を用いて作製されるために、透明金属電極Ni/AuのAuが絶縁膜に拡散してSiO_(2)と共晶化してしまい、SiO_(2)が剥離しやすくなるためである。」

(イ)「【0020】
透明電極を構成している金属多層膜において、p型GaN系半導体層と接触する層についてはNi膜を用いて、オーミック接触を取ることができるようにし、Ni膜の上層には化学的安定性が高く、酸化雰囲気に強いAu膜を用いて電極のコアとし、さらにAu膜の直上には、透明電極を作製する場合や透明電極上に絶縁膜を形成する場合等、高温処理が行われるときに、Au膜の直下に形成されているNi膜や上層の絶縁膜にAuが拡散して共晶化しないように、Au拡散防止金属膜を設けているので、AuがAu拡散防止膜に固定化されて他の構成物への拡散を防止することができる。」

(ウ)「【0039】
図6は、本発明の第2のGaN系半導体発光素子の断面構造の一例を示し、基本的に図1の構成に絶縁膜9を形成した構造となっている。図1と同じ符号を付している部分は、同じ構成を示す。p側パッド電極7の上にはp側ボンディング用電極が、n側パッド電極8上にはn側ボンディング用電極が形成されている。また、金属多層膜透明電極61は図7のように最大6層の金属層で構成されている。MQW活性層4で発生した光は、金属多層膜透明電極61を透過して、p電極側から取り出されるので、絶縁膜9は、透明性のあるものでなくてはならない。したがって、可視光領域でも透光性のある酸化絶縁膜が用いられ、例えば、SiONやSiO_(2)等が挙げられる。
【0040】
絶縁膜9にAuが拡散して絶縁膜9が剥離しやすくなるのを防ぐために、金属多層膜透明電極61は、p型GaNコンタクト層5側から、Ni膜61a、Au膜61b、Au拡散防止金属膜61c、Al膜61d、Ni膜61e、Al膜61fで構成される。これらの膜厚は、例えば、Ni膜61aが4nm、Au膜61bが8nm、Au拡散防止金属膜61cが1nm、Al膜61dが4nm、Ni膜61eが1.5nm、Al膜61fが16nmで形成される。また、第1のGaN系半導体発光素子と同様、Au拡散防止金属膜61cにはTi(チタン)又はPt(白金)が用いられる。なお、後述するように、金属多層膜透明電極61は5層又は4層としても良く、少なくともNi、Au、Au拡散防止金属(Ti又はPt)、Alが各1層使用されていることが望ましい。」

上記(ア)?(ウ)の記載によれば、引用例5には、次の事項が記載されているといえる。

<引用例5の記載事項>
電極AuがSiO_(2)からなる絶縁膜と共晶化しSiO_(2)が剥離しやすくなること防止する為に、Auが拡散して共晶化しないように、TiからなるAu拡散防止金属膜をAu上に設けること。


(b)対比・判断
(b-1)本件補正発明と引用例1発明とを対比する。
(ア)引用例1発明の「GaAs FET」は、本件補正発明の「半導体装置」に相当する。
(イ)引用例1発明の「GaAs半絶縁性基板上に形成されたn型GaAs半導体層」と、本件補正発明の「基板の上方に形成された窒化物半導体からなる半導体層」とは、「基板の上方に形成された」「半導体層」である点で共通する。
(ウ)引用例1発明の「ソース電極とドレイン電極およびゲート電極」の「Auから成るゲート金属層」は、本件補正発明の「前記半導体層の上方に、金を含む材料により形成された電極」に相当する。
(エ)引用例1発明の「ソース電極とドレイン電極およびゲート電極」の「ゲート金属層の上にTiのような酸化されやすい金属層」は、本件補正発明の「前記電極の上方に形成された金属膜」に相当する。
(オ)引用例1発明の「Tiのような酸化されやすい金属層」は「ゲート金属層」の上に形成された後、「パターニング」され、「SixOyまたはSixNyのような絶縁膜」が被着されているから、この工程の間に「Tiのような酸化されやすい金属層」の表面は酸化されると認められる。
そして、「Tiのような酸化されやすい金属層」の表面の酸化された部分は、本件補正発明の「前記金属膜の上方に形成されたバリア膜」に相当する。
(カ)引用例1発明の「SixOyまたはSixNyのような絶縁膜」で構成された「パッシベーション膜」は、本件補正発明の「前記半導体層の上方に、シリコンの酸化膜、窒化膜、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成された保護膜」に相当する。
(キ)引用例1発明の「パッシベーション膜」は「ゲート電極の上方からソース、ドレイン電極の一部にかけて形成され」ていることから、「パッシベーション膜」は「ソース電極とドレイン電極およびゲート電極」の上に形成されており、また、「ソース電極とドレイン電極およびゲート電極」の上は、「Auから成るゲート金属層とゲート金属層の上にTiのような酸化されやすい金属層」となっており、上記(オ)で検討したとおり、「Tiのような酸化されやすい金属層」の表面は酸化されると認められるから、「パッシベーション膜」は「Tiのような酸化されやすい金属層」の表面の酸化された部分の上に形成されていると認められる。
そうすると、引用例1発明の「パッシベーション膜」は「Tiのような酸化されやすい金属層」の表面の酸化された部分の上に形成されていることは、本件補正発明の「前記保護膜は前記バリア膜上に形成される」ことに相当する。

(b-2)以上(ア)?(キ)のことから、本件補正発明と引用例1発明とは、以下の点で一致し、また、相違する。

[一致点]
「基板の上方に形成された半導体層と、
前記半導体層の上方に、金を含む材料により形成された電極と、
前記電極の上方に形成された金属膜と、
前記金属膜の上方に形成されたバリア膜と、
前記半導体層の上方に、シリコンの酸化膜、窒化膜、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成された保護膜と、
を有し、
前記保護膜は前記バリア膜上に形成されることを特徴とする半導体装置。」

[相違点1]
本件補正発明は「半導体層」が「窒化物半導体」であるのに対して、引用例1発明はそうではない点。

[相違点2]
本件補正発明は「バリア膜」が「前記金属膜の窒化物または酸窒化物を含む材料により形成されている」のに対して、引用例1発明はそうではない点。

(b-3)当審の判断
上記各相違点について検討する。

(b-3-1)[相違点1]について
電界効果トランジスタを構成する際に、半導体層を窒化物半導体で構成することは、引用例2および3に記載されているように周知の構成である。
そして、引用例1発明において、n型GaAs半導体層からなる半導体層を、窒化物半導体で構成するようにすることは、当業者が設計時に適宜選択する事項である。

(b-3-2)[相違点2]について
引用例4に記載されているように、配線金属である金膜と層間絶縁膜である酸化シリコン膜の密着性を向上させる(剥離防止)ために、金膜の上に成膜されたアルミニウム膜をプラズマ窒化処理して窒化アルミニウム膜を形成し、その上に酸化シリコン膜を形成することは、周知の技術である。
そして、引用例1発明も、Auから成るゲート金属層とSixOyから成るパッシベーション膜の剥離防止を目的としていることから、引用例1発明のAuから成るゲート金属層とゲート金属層の上にTiのような酸化されやすい金属層を形成し、バリア膜を酸化されやすい金属層の酸化物とすることに換えて、上記周知技術を採用し、引用例1発明のバリア膜を、電極の上方に成膜された金属膜を窒化することにより形成された窒化物により構成することに格別の困難性は認められない。

(b-3-3)本件補正発明の作用効果について
本願明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
窒化物半導体からなるHEMT等においては、通常、保護膜として、比較的に容易に形成することができ、絶縁性が高く、比誘電率の低い、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO_(2))等のシリコンの化合物が用いられている。また、ゲート電極としては、ゲート電極における抵抗を低くすることができ、エレクトロマイグレーションの耐性の高い金(Au)が用いられている。従って、金により形成されたゲート電極の上に保護膜であるシリコンの化合物が形成された構造となっている。
【0007】
しかしながら、金とシリコンとが接している部分では、金とシリコンとの共晶が形成されやすく、絶縁特性が低下したり、ゲート電極における抵抗が高くなったりする等の問題点を有していた。即ち、金とシリコンとの共晶温度は約370℃であり比較的低温であるため、半導体装置の製造及び使用の際に、金とシリコンの共晶が形成されやすく、このような共晶が形成されると、ゲート電極における抵抗が高くなり、また、絶縁耐圧が低下してしまう。特に、高出力電力デバイスにおいては、局所的に高温になる場合があり、使用環境や使用状況等により、金とシリコンとの共晶が形成されやすいため、半導体装置の信頼性を低下させる原因となっていた。
【0008】
このため、GaN系の半導体材料を用いたHEMT等において、高い信頼性が得られる半導体装置及び半導体装置の製造方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態の一観点によれば、基板の上方に形成された窒化物半導体からなる半導体層と、前記半導体層の上方に、金を含む材料により形成された電極と、前記電極の上方に形成されたバリア膜と、前記半導体層の上方に、シリコンの酸化膜、窒化膜、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成された保護膜と、を有し、前記保護膜は前記バリア膜上に形成されるものであって、前記バリア膜は金属の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成されているものであることを特徴とする。
【0010】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、基板の上方に窒化物半導体からなる半導体層を形成する工程と、前記半導体層の上方に金を含む材料により電極を形成する工程と、前記電極の上方にバリア膜を形成する工程と、前記半導体層の上方にシリコンの酸化膜、窒化膜、酸窒化物のうちいずれかを含む材料により保護膜を形成する工程と、を有し、前記保護膜は前記バリア膜上に形成されるものであって、前記バリア膜は金属の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成されているものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
開示の半導体装置及び半導体装置の製造方法によれば、高い信頼性の半導体装置を得ることができる。」
してみれば、本願明細書の上記の記載から、本件補正発明は、金とシリコンとが接することにより、金とシリコンとの共晶が形成され、半導体装置の信頼性を低下させるとの課題を解決し、高い信頼性の半導体装置を得るとの作用効果を奏するものと認められる。
他方、金からなる電極において、SiO_(2)との間で共晶が発生し、SiO_(2)が剥離しやすくなることは、引用例5に記載されているように当該技術分野では周知の技術課題であり、また、Au上にTi等からなる拡散防止金属膜を設けることで、上記の課題が解決できることも、引用例5に記載されているように当該技術分野では周知の事項である。
そうすると、引用例1および4に記載されているように、Au上にTiやアルミニウムからなる金属膜を形成することで、Auの拡散が防止され、AuとSiO_(2)との共晶を防止できることは、当業者には自明であると言える。
したがって、本件補正発明が奏する作用効果は格別のものとは認められない。

(b-3-4)小括
よって、本件補正発明は、引用例1乃至5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(c)進歩性についての結論
したがって、本件補正発明は、引用例1乃至5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
「2 補正の適否について」で検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 補正却下の決定を踏まえた検討

(1)本願発明
平成27年12月14日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年1月29日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「基板の上方に形成された窒化物半導体からなる半導体層と、
前記半導体層の上方に、金を含む材料により形成された電極と、
前記電極の上方に形成された金属膜と、
前記金属膜の上方に形成されたバリア膜と、
前記半導体層の上方に、シリコンの酸化膜、窒化膜、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成された保護膜と、
を有し、
前記保護膜は前記バリア膜上に形成されるものであって、
前記バリア膜は前記金属膜の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成されているものであることを特徴とする半導体装置。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1乃至3および5には、上記「第2 [理由]2(2)(a)」に記載したとおりの事項が記載されている。

(3)対比・判断
(b-1)本願発明と引用例1発明とを対比する。
(ア)引用例1発明の「GaAs FET」は、本願発明の「半導体装置」に相当する。
(イ)引用例1発明の「GaAs半絶縁性基板上に形成されたn型GaAs半導体層」と、本願発明の「基板の上方に形成された窒化物半導体からなる半導体層」とは、「基板の上方に形成された」「半導体層」である点で共通する。
(ウ)引用例1発明の「ソース電極とドレイン電極およびゲート電極」の「Auから成るゲート金属層」は、本願発明の「前記半導体層の上方に、金を含む材料により形成された電極」に相当する。
(エ)引用例1発明の「ソース電極とドレイン電極およびゲート電極」の「ゲート金属層の上にTiのような酸化されやすい金属層」は、本願発明の「前記電極の上方に形成された金属膜」に相当する。
(オ)引用例1発明の「Tiのような酸化されやすい金属層」は「ゲート金属層」の上に形成された後、「パターニング」され、「SixOyまたはSixNyのような絶縁膜」が被着されているから、この工程の間に「Tiのような酸化されやすい金属層」の表面は酸化されると認められる。
そして、「Tiのような酸化されやすい金属層」の表面の酸化された部分は、本願発明の「前記金属膜の上方に形成されたバリア膜」に相当し、また、「前記バリア膜は前記金属膜の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成されているものである」ことに相当する。
(カ)引用例1発明の「SixOyまたはSixNyのような絶縁膜」で構成された「パッシベーション膜」は、本願発明の「前記半導体層の上方に、シリコンの酸化膜、窒化膜、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成された保護膜」に相当する。
(キ)引用例1発明の「パッシベーション膜」は「ゲート電極の上方からソース、ドレイン電極の一部にかけて形成され」ていることから、「パッシベーション膜」は「ソース電極とドレイン電極およびゲート電極」の上に形成されており、また、「ソース電極とドレイン電極およびゲート電極」は、「Auから成るゲート金属層とゲート金属層の上にTiのような酸化されやすい金属層」となっており、上記(オ)で検討したとおり、「Tiのような酸化されやすい金属層」の表面は酸化されると認められるから、「パッシベーション膜」は「Tiのような酸化されやすい金属層」の表面の酸化された部分の上に形成されていると認められる。
そうすると、引用例1発明の「パッシベーション膜」は「Tiのような酸化されやすい金属層」の表面の酸化された部分の上に形成されていることは、本願発明の「前記保護膜は前記バリア膜上に形成される」ことに相当する。

(b-2)以上(ア)?(キ)のことから、本願発明と引用例1発明とは、以下の点で一致し、また、相違する。

[一致点]
「基板の上方に形成された半導体層と、
前記半導体層の上方に、金を含む材料により形成された電極と、
前記電極の上方に形成された金属膜と、
前記金属膜の上方に形成されたバリア膜と、
前記半導体層の上方に、シリコンの酸化膜、窒化膜、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成された保護膜と、
を有し、
前記保護膜は前記バリア膜上に形成されるものであって、
前記バリア膜は前記金属膜の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかを含む材料により形成されているものであることを特徴とする半導体装置。」

[相違点1]
本願発明は「半導体層」が「窒化物半導体」であるのに対して、引用例1発明はそうではない点。

(b-3)当審の判断
(b-3-1)[相違点1]について
上記「第2 2 (2)(b)(b-3)(b-3-1)[相違点1]について」で検討したとおり、電界効果トランジスタを構成する際に、半導体層を窒化物半導体で構成することは、引用例2および3に記載されているように周知の構成であり、引用例1発明において、n型GaAs半導体層からなる半導体層を、窒化物半導体で構成するようにすることは、当業者が設計時に適宜選択する事項である。

(b-3-2)本願発明の作用効果について
上記「第2 2 (2)(b)(b-3)(b-3-3)本件補正発明の作用効果について」で検討したとおり、本願発明の奏する作用効果は格別のものとは認められない。
(b-3-3)小括
よって、本願発明は、引用例1乃至3および5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1乃至3および5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-14 
結審通知日 2016-10-18 
審決日 2016-11-02 
出願番号 特願2011-38923(P2011-38923)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 朋一  
特許庁審判長 河口 雅英
特許庁審判官 小田 浩
加藤 浩一
発明の名称 半導体装置及び半導体装置の製造方法  
代理人 加藤 隆夫  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  

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