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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1323298
審判番号 不服2016-5421  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-12 
確定日 2017-01-04 
事件の表示 特願2011-235201「インクジェット記録装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月16日出願公開、特開2013- 91266〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、平成23年10月26日の出願であって、平成27年8月24日付けに手続補正がなされ、平成28年1月4日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年4月12日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲等を補正する手続補正がなされたものである。

2.平成28年4月12日付けで提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「ノズル面からメディアに向けてインクを吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドのノズル面を清掃する清掃装置とを備えるインクジェット記録装置において、
前記清掃装置は、
前記ノズル面に対向するように該清掃装置に形成された吸引孔と、
該吸引孔から前記記録ヘッドのノズル面に付着したインクを吸引する吸引手段とを有し、
前記記録ヘッドと、前記吸引孔が形成されている周囲の部位とが当接することで隙間が生じるように構成され、
前記記録ヘッドと前記吸引孔が形成されている周囲の部位とが当接することで、前記ノズル面と前記吸引孔が形成されている周囲の部位とが前記隙間分だけ離間し、前記隙間は前記ノズル面に付着しているインクを毛細管力によって吸引可能な間隔であり、
前記ノズル面の清掃は、前記記録ヘッドをガイドレールに沿って移動させることにより行われることを特徴とするインクジェット記録装置。」
と補正された。(下線は審決で付した。以下同じ。)
上記補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「記録ヘッド」に関し、「ノズル面の清掃は、記録ヘッドをガイドレールに沿って移動させることにより行われる」と限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、前記に記載された事項により特定されるところ、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された「特願2010-241280号(特開2012-91419号公報参照) 」の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、及び図面(以下「先願明細書」という。)には、次の事項が記載されている。
・「インクを吐出するための複数のノズル穴からなるノズル列が形成されたノズルプレートを含むインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドと対向した状態で前記ノズルプレートに接触する撥インク性の撥インク面と、前記撥インク面が前記ノズルプレートに接触した状態で前記ノズルプレートとの間に隙間を形成するとともに前記撥インク面よりもインクの接触角が小さい親インク性の親インク面と、前記親インク面に形成された複数の吸引口と、を備えた吸引ノズルを含むクリーニング装置と、
を具備することを特徴とする印字装置。」(【請求項1】)
・「前記撥インク面は、前記親インク面を挟む両側にそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印字装置。」(【請求項6】)
・「前記隙間を形成する前記ノズルプレートの上面から前記親インク面までの距離は、0.05mm以上0.1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の印字装置。」(【請求項9】)
・「すなわち、クリーニング装置3は、吸引ノズル80、吸引ポンプ91、インク回収ビン92などを備えて構成されている。吸引ノズル80の詳細な構造については後述する。吸引ノズル80とインク回収ビン92とは、配管93を介して接続されている。また、吸引ポンプ91とインク回収ビン92とは、配管94を介して接続されている。」(段落【0037】)
・「なお、ここでは、吸引クリーニングに際して、インクジェットヘッド2の位置は固定される一方で吸引ノズル80が移動する場合について説明するが、逆に、吸引ノズル80の位置は固定される一方でインクジェットヘッド2が移動しても良く、インクジェットヘッド2の位置と吸引ノズル80の位置とが相対的に変化するような構成であれば良い。」(段落【0040】)
・「吸引ノズル80を移動させながらノズルプレート20の上面20Aにおけるノズル穴21の近傍に付着したインク等の吸引クリーニングを行うに際しては、インクジェットヘッド2と吸引ノズル80とが対向した状態において、マスクプレート30よりも吸引ノズル80の側に突出したノズルプレート20は、親インク面83よりもインクジェットヘッド2の側に突出した撥インク面81及び82と接触する。このとき、ノズルプレート20と親インク面83との間には、隙間dが形成される。つまり、ノズルプレート20に形成されたノズル穴21が親インク面83に接触することはないし、親インク面83に形成された吸引口84A乃至84Cがノズルプレート20に接触することもない。」(段落【0067】)
・「これにより、ノズルプレート20の上面20Aでのインク滴の残留を抑制することができ、清浄化できる。また、吸引ノズル80において、親インク面83での微小なインク滴の残留を抑制することができ、親インク面上の残留インクによるノズルプレート20の汚染を防止できる。このため、インク吐出性能を安定化し、印字性能の劣化を抑制することが可能となる。」(段落【0071】)
また、図8の記載から、以下の事項が看取できる。
・「吸引口は、ノズルプレートの上面に対向するように形成されている。」
これらの記載事項、及び図示事項を総合すると、先願明細書には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「インクを吐出するための複数のノズル穴からなるノズル列が形成されたノズルプレートを含むインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドと対向した状態で前記ノズルプレートに接触する撥インク性の撥インク面と、前記撥インク面が前記ノズルプレートに接触した状態で前記ノズルプレートとの間に隙間を形成するとともに前記撥インク面よりもインクの接触角が小さい親インク性の親インク面と、前記親インク面にノズルプレートの上面に対向するように形成された複数の吸引口と、吸引ポンプと、インク回収ビンなどを備えた吸引ノズルを含むクリーニング装置と、
を具備する印字装置であって、
前記撥インク面は、前記親インク面を挟む両側にそれぞれ形成され、
インクジェットヘッドと吸引ノズルとが対向した状態において、ノズルプレートは、親インク面よりもインクジェットヘッドの側に突出した撥インク面と接触し、
前記隙間を形成する前記ノズルプレートの上面から前記親インク面までの距離は、0.05mm以上0.1mm以下であり、
吸引ノズルの位置は固定される一方でインクジェットヘッドが移動し、
ノズルプレートの上面でのインク滴の残留を抑制することができ、清浄化できる印字装置。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、
後者における「ノズルプレートの上面」は、その機能、作用等からみて、前者における「ノズル面」に相当し、以下同様に、「インクジェットヘッド」は「記録ヘッド」に、「印字装置」は「インクジェット記録装置」に、「クリーニング装置」は「清掃装置」に、「吸引口」は「吸引孔」に、「吸引ポンプ」は「吸引手段」に、それぞれ相当する。
また、後者の「印字装置」は、インクジェットヘッドのノズルプレートの上面からインクを吐出するものであるから、「ノズル面からメディアに向けてインクを吐出する」ことは明らかである。
また、後者は、ノズルプレートの上面でのインク滴の残留を抑制することができ、清浄化できるものであるから、後者の「吸引ポンプ」は、「吸引口から前記記録ヘッドのノズルプレートの上面に付着したインクを吸引する」ことは明らかである。
また、後者は、撥インク面が、吸引口を形成した親インク面を挟む両側にそれぞれ形成され、インクジェットヘッドと吸引ノズルとが対向した状態において、ノズルプレートは、親インク面よりもインクジェットヘッドの側に突出した撥インク面と接触して、ノズルプレートとの間に隙間を形成しているから、「インクジェットヘッドと、吸引口が形成されている周囲の部位とが当接することで隙間が生じるように構成されている」といえる。
また、後者の「隙間」は、0.05mm以上0.1mm以下であり、また本願明細書には、0.2mmの隙間により毛細管力が発生することが示されている(段落【0036】)ことから、「ノズルプレートの上面に付着しているインクを毛細管力によって吸引可能な間隔である」といえる。
したがって、両者は、
「ノズル面からメディアに向けてインクを吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドのノズル面を清掃する清掃装置とを備えるインクジェット記録装置において、
前記清掃装置は、
前記ノズル面に対向するように該清掃装置に形成された吸引孔と、
該吸引孔から前記記録ヘッドのノズル面に付着したインクを吸引する吸引手段とを有し、
前記記録ヘッドと、前記吸引孔が形成されている周囲の部位とが当接することで隙間が生じるように構成され、
前記記録ヘッドと前記吸引孔が形成されている周囲の部位とが当接することで、前記ノズル面と前記吸引孔が形成されている周囲の部位とが前記隙間分だけ離間し、前記隙間は前記ノズル面に付着しているインクを毛細管力によって吸引可能な間隔であり、
前記ノズル面の清掃は、前記記録ヘッドを移動させることにより行われるインクジェット記録装置。」
の点で一致し、以下の点で一応相違している。
[相違点]
本願補正発明は、記録ヘッドを「ガイドレールに沿って」移動させるのに対し、引用発明は、その点につき明らかでない点。

(4)判断
上記相違点について以下検討する。
一般にインクジェット記録装置において、記録ヘッドをガイドレールに沿って移動させることは、本願出願前に周知の技術事項(例えば、特開昭62-74660号公報の5頁左下欄4?14行、及び第6図、特開昭64-82962号公報の3頁右下欄2?13行、及び第1図参照。)である。
してみると、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項は、上記周知の技術事項を採用したものにすぎないから、課題解決のための具体化手段における微差に過ぎない。
したがって、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項は、実質的な相違点ではない。

よって、本願補正発明は、その出願日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明(引用発明)と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願の発明について
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年8月24日付けで提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「ノズル面からメディアに向けてインクを吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドのノズル面を清掃する清掃装置とを備えるインクジェット記録装置において、
前記清掃装置は、
前記ノズル面に対向するように該清掃装置に形成された吸引孔と、
該吸引孔から前記記録ヘッドのノズル面に付着したインクを吸引する吸引手段とを有し、
前記記録ヘッドと、前記吸引孔が形成されている周囲の部位とが当接することで隙間が生じるように構成され、
前記記録ヘッドと前記吸引孔が形成されている周囲の部位とが当接することで、前記ノズル面と前記吸引孔が形成されている周囲の部位とが前記隙間分だけ離間し、前記隙間は前記ノズル面に付着しているインクを毛細管力によって吸引可能な間隔であることを特徴とするインクジェット記録装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された先願明細書、及び、その記載内容は、上記「2.(2)引用例」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、実質的に上記「2.(1)補正後の本願の発明」で検討した本願補正発明の記録ヘッド」に関し、「ノズル面の清掃は、記録ヘッドをガイドレールに沿って移動させることにより行われる」との限定を省いたものである。

そうすると、本願発明を特定する事項の全てを含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(3)対比」及び「2.(4)判断」に記載したとおり、引用発明と実質的に同一であるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明と実質的に同一であるといえる。

したがって、 本願発明は、その出願日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明(引用発明)と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-26 
結審通知日 2016-11-01 
審決日 2016-11-15 
出願番号 特願2011-235201(P2011-235201)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B41J)
P 1 8・ 161- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藏田 敦之  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 黒瀬 雅一
藤本 義仁
発明の名称 インクジェット記録装置  
代理人 岡村 隆志  
代理人 綿貫 隆夫  
代理人 傳田 正彦  
代理人 平井 善博  
代理人 堀米 和春  
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