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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 C23C
管理番号 1323341
審判番号 不服2015-22263  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-17 
確定日 2017-01-06 
事件の表示 特願2011-231301「コバルト酸化物が残留したスパッタリングターゲット」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月21日出願公開、特開2012-117147〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成23年10月21日(優先権主張 平成22年11月12日)の出願であって、平成27年4月16日付けで拒絶理由が通知され、同年7月8日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年9月30日付けで拒絶査定がされたのに対し、同年12月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
そして、その請求項1?8に係る発明は、上記平成27年7月8日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項2及び8に係る発明は、以下のとおりのものである。
「【請求項2】
Crが20mol%以下、Ptが30mol%以下、残余がCoである強磁性合金と非金属無機材料からなる焼結体スパッタリングターゲットであって、前記非金属無機材料が占める体積率が40vol%以下で、前記非金属無機材料が少なくともコバルト酸化物とホウ素酸化物を含み、添加金属として、B、Ti、Auから選択した1元素以上を、合金中に15mol%以下含有することを特徴とするスパッタリングターゲット。」(以下「本願発明2」という。)
「【請求項8】
金属粉末と少なくともコバルト酸化物とホウ素酸化物を含む非金属無機材料粉末を粉砕・混合して得られた混合粉末を保持温度は800℃以下で加圧焼結装置により成型・焼結するスパッタリングターゲット用焼結体の製造法。」(以下「本願発明8」という。)

第2 先願明細書等の記載事項及び先願発明
1 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前の特許出願であって、本願の出願後に出願公開(特開2012-33247号公報)された特願2010-174208号(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面(以下「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。
(1-ア)「【請求項1】
磁気記録媒体のCo系磁性層をスパッタリング法で形成するために用いるターゲットであって、前記ターゲットはCrまたはCr合金を5モル%以上含み、CoOを5モル%以上含み、融点が800℃以下の酸化物を合計で3モル%?20モル%の範囲内で含み、気孔率が7%以下であることを特徴とするターゲット。」
「【請求項4】
融点が800℃以下の酸化物が、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化テルル、酸化モリブテン、低融点ガラスから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1?3の何れか1項に記載のターゲット。」

(1-イ)「【請求項5】
Coを55モル%?75モル%の範囲内、CrまたはCr合金を5モル%?28モル%の範囲内、Ptを5モル%?25モル%の範囲内、CoOを5モル%?15モル%の範囲内、融点が800℃以下の酸化物を合計で3モル%?15モル%の範囲内、SiO_(2)、TiO、TiO_(2)、ZrO_(2)、Cr_(2)O_(3)、Ta_(2)O_(5)、Nb_(2)O_(5)、Al_(2)O_(3)、CeO_(2)からなる群から選ばれる酸化物を合計で5モル%?25モル%の範囲内とした粉体を混合後、予備成形し、その後、430℃?800℃の範囲内で気孔率を7%以下として焼結させることを特徴とする磁気記録媒体の磁性層を成膜するためのターゲットの製造方法。
【請求項6】
融点が800℃以下の酸化物が、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化テルル、酸化モリブテン、低融点ガラスから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載のターゲットの製造方法。」

(1-ウ)「【0029】
電磁変換特性の優れたCoCrPtB系のグラニュラ磁性層の具体例としては、CoCrPtB-SiO_(2)、CoCrPtB-TiO、CoCrPtB-TiO-SiO_(2)、CoCrPtB-TiO-SiO_(2)-TiO_(2)、CoCrPtB-SiO_(2)-TiO_(2)、CoCrPtB-ZrO_(2)、CoCrPtB-Cr_(2)O_(3)、CoCrPtB-Nb_(2)O_(5)、CoCrPtB-Al_(2)O_(3)などが例示できる。」

(1-エ)「【0049】
磁性層の磁性粒子42には、Co、Cr、Ptの他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reの中から選ばれる1種類以上の元素が含まれていてもよい。この中でBは、ターゲットに含まれる酸化ホウ素の分解物からも供給される。上記元素を含むことにより、磁性粒子42の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。」

(1-オ)「【0061】
(実施例のターゲットの製造)
次の方法にて、CoCrPtB-SiO_(2)からなる組成のターゲットを製造した。
【0062】
先ず、ガスアトマイズ法により、Co16Pt、CoO、Cr、B_(2)O_(3)、SiO_(2)粉末を製造した。粉末の平均粒径は約5μmとした。この粉末を、CoOを8モル%、Crを7モル%、SiO_(2)を7モル%とし、B_(2)O_(3)を0?6モル%の範囲内で変化させ、残部をCo16Ptとして混合し、モールドに入れ予備成形した後、800℃、圧力200Kgf/cm^(2)、アルゴン雰囲気中で1時間のホットプレス処理し、その焼結体をターゲット形状に切り出しターゲットを製造した。得られたターゲットの気孔率を図5に示すが、酸化ホウ素を3モル%以上含有させることで、気孔率が7%以下のターゲットを製造できた。なお別途、酸化ホウ素を20モル%含有させる実験を行ったところ気孔率2%未満が達成された。」

(1-カ)「【0076】
先ず、ガスアトマイズ法により、Co、Cr、Pt粉末を製造した。粉末の平均粒径は約5μmとした。この粉末に平均粒径約5μmの、B、SiO_(2)粉末を加え、92(71Co10Cr14Pt5B)-8(SiO_(2))の組成比とし、この混合粉末をモールドに入れ予備成形した後、1200℃、圧力200Kgf/cm^(2)、真空中で3時間のホットプレス処理し、その焼結体をターゲット形状に切り出しターゲットを製造した。得られたターゲットの気孔率は2%であった。」

2 先願発明
(1)上記摘記(1-イ)の記載から、先願明細書等には、以下の発明が記載されていると認められる。
「Coを55モル%?75モル%の範囲内、CrまたはCr合金を5モル%?28モル%の範囲内、Ptを5モル%?25モル%の範囲内、CoOを5モル%?15モル%の範囲内、融点が800℃以下の酸化物を合計で3モル%?15モル%の範囲内、SiO_(2)、TiO、TiO_(2)、ZrO_(2)、Cr_(2)O_(3)、Ta_(2)O_(5)、Nb_(2)O_(5)、Al_(2)O_(3)、CeO_(2)からなる群から選ばれる酸化物を合計で5モル%?25モル%の範囲内とした粉体を混合後、予備成形し、その後、430℃?800℃の範囲内で気孔率を7%以下として焼結させる磁気記録媒体の磁性層を成膜するためのターゲットの製造方法において、
上記融点が800℃以下の酸化物が、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化テルル、酸化モリブテン、低融点ガラスから選ばれる少なくとも1種であるターゲットの製造方法。」(以下「先願発明1」という。)

(2)上記上記摘記(1-ア)の記載から、先願明細書等には、以下の発明が記載されていると認められる。
「磁気記録媒体のCo系磁性層をスパッタリング法で形成するために用いるターゲットであって、前記ターゲットはCrまたはCr合金を5モル%以上含み、CoOを5モル%以上含み、融点が800℃以下の酸化物を合計で3モル%?20モル%の範囲内で含み、気孔率が7%以下であるターゲットにおいて、
上記融点が800℃以下の酸化物が、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化テルル、酸化モリブテン、低融点ガラスから選ばれる少なくとも1種であるターゲット。」(以下「先願発明2」という。)

第3 対比・判断
1 本願発明8について
(1)対比
本願発明8と先願発明1とを対比する。
ア 先願発明1の「Coを55モル%?75モル%の範囲内、CrまたはCr合金を5モル%?28モル%の範囲内、Ptを5モル%?25モル%の範囲内」「とした粉体」は、本願発明8の「金属粉末」に相当し、先願発明1の「CoOを5モル%?15モル%の範囲内、融点が800℃以下の酸化物を合計で3モル%?15モル%の範囲内、SiO_(2)、TiO、TiO_(2)、ZrO_(2)、Cr_(2)O_(3)、Ta_(2)O_(5)、Nb_(2)O_(5)、Al_(2)O_(3)、CeO_(2)からなる群から選ばれる酸化物を合計で5モル%?25モル%の範囲内」で「上記融点が800℃以下の酸化物が、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化テルル、酸化モリブテン、低融点ガラスから選ばれる少なくとも1種である」「粉体」は、本願発明8の「コバルト酸化物を含む非金属無機材料粉末」に相当する。
そして、先願発明1の「粉体を混合」したものと、本願発明8の「粉末を粉砕・混合して得られた混合粉末」とは、「粉末を混合して得られた混合粉末」の点で共通する。

イ 先願発明1の「粉体を混合後、予備成形し、その後、430℃?800℃の範囲内で」「焼結させる」ことと、本願発明8の「混合粉末を保持温度は800℃以下で加圧焼結装置により成型・焼結する」こととは、「混合粉末を保持温度は800℃以下で」「焼結する」ことで共通する。

ウ 先願発明1の「焼結させる磁気記録媒体の磁性層を成膜するためのターゲットの製造方法」は、本願発明8の「ターゲット用焼結体の製造法」に相当する。

したがって、本願発明8と先願発明1とは、
(一致点)
「金属粉末と少なくともコバルト酸化物を含む非金属無機材料粉末を混合して得られた混合粉末を保持温度は800℃以下で焼結するターゲット用焼結体の製造法。」
の点で一致し、以下の点で一応相違する。

(相違点1)
非金属無機材料粉末について、本願発明8が「ホウ素酸化物」を含んでいるのに対し、先願発明1では、「酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化テルル、酸化モリブテン、低融点ガラスから選ばれる少なくとも1種」であり、酸化ホウ素が選択的に記載されている点。

(相違点2)
粉末を混合する際に、本願発明8では「粉砕・混合」と特定されているのに対し、先願発明1では混合する際に粉末が「粉砕」されているかどうか不明である点。

(相違点3)
焼結する際に、本願発明8は「加圧焼結装置により成型・焼結」しているが、先願発明1では、加圧焼結装置により成型されているか不明である点。

(相違点4)
ターゲットについて、本願発明8は「スパッタリング」ターゲットであるのに対し、先願発明1は、磁気記録媒体の磁性層を成膜するためのターゲットで、「スパッタリング」ターゲットであるかどうか不明である点。

(2)判断
ア 相違点1について
先願発明1について、先願明細書等には、上記摘記(1-オ)の実施例においてB_(2)O_(3)を用いることが記載ており、融点が800℃以下の酸化物として酸化ホウ素を選択することが具体的に記載されていることから、上記相違点1は、実質的な相違点とはならない。

イ 相違点2について
ターゲットを粉末を焼結して製造する際の粉末の混合手段として、ボールミルで行うことは本願優先日前に慣用手段であり、その際、ボールミルにより粉末が粉砕もされることは自明である。(例えば、特開昭62-148362号公報の2頁左下欄1?3行、特開昭64-62466号公報の3頁左下欄7?8行、特開平2-247379号公報の特許請求の範囲、特開平3-264640号公報の3頁左上欄4?6行、等参照)。
してみれば、「粉体を混合」する手段について具体的に特定されていない先願発明1において、ボールミルによって粉体の混合を行う、すなわち、実質的に粉体を粉砕・混合することは、慣用手段の付加であって新たな効果を奏するものではない。
したがって、上記相違点2は、実質的な相違点とはならない。

ウ 相違点3について
先願発明1の「焼結」について、上記摘記(1-オ)の実施例でホットプレスによって行うことが記載されており、ホットプレスとは一般に、粉末あるいは予備成形した粉末を加圧、成型しながら焼結する装置のことである。
してみれば、先願発明1の「焼結させる」とは、上記のとおり、具体的にはホットプレスによって行うものであるから、上記相違点3は、実質的な相違点とはならない。

エ 相違点4について
先願発明1の「磁気記録媒体の磁性層」の「成膜」について、先願明細書等の上記摘記(1-ア)に、スパッタリング法で行われることが記載されているから、先願発明1の「磁気記録媒体の磁性層を成膜するためのターゲット」は、「スパッタリング」ターゲットといえる。
したがって、上記相違点4は、実質的な相違点とはならない。

(3)小括
よって、上記相違点1?4はいずれも実質的な相違点とはならないから、本願発明8は、先願発明1と実質的に同一であるといえる。

2 本願発明2について
(1)対比
本願発明2と先願発明2とを対比する。
ア 先願発明2の「磁気記録媒体のCo系磁性層をスパッタリング法で形成するために用いるターゲット」について、ターゲットをスパッタすることによってCo系磁性層が形成されるのであるから、そのターゲットはCo系合金を含むものといえ、Co系合金は強磁性合金である。してみれば、先願発明2の「磁気記録媒体のCo系磁性層をスパッタリング法で形成するために用いるターゲット」は、本願発明2の「強磁性合金」を含む「スパッタリングターゲット」に相当する。

イ 先願発明2の「CoOを5モル%以上含み、融点が800℃以下の酸化物を合計で3モル%?20モル%の範囲内で含み」「上記融点が800℃以下の酸化物が、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化テルル、酸化モリブテン、低融点ガラスから選ばれる少なくとも1種である」ものは、本願発明2の「少なくともコバルト酸化物を含」む「非金属無機材料」に相当する。

ウ そして、上記摘記(1-オ)を参照するに、先願発明2のターゲットは、金属成分と酸化物成分からなるものであるから、先願発明2の「磁気記録媒体のCo系磁性層をスパッタリング法で形成するために用いるターゲットであって、前記ターゲットはCrまたはCr合金を5モル%以上含み、CoOを5モル%以上含み、融点が800℃以下の酸化物を合計で3モル%?20モル%の範囲内で含」む「ターゲット」は、本願発明2の「強磁性合金と非金属無機材料からなる」「スパッタリングターゲットであって、前記非金属無機材料が少なくともコバルト酸化物を含」む「スパッタリングターゲット」に相当するといえる。

したがって、本願発明2と先願発明2とは、
(一致点)
「強磁性合金と非金属無機材料からなるスパッタリングターゲットであって、前記非金属無機材料が少なくともコバルト酸化物を含む、スパッタリングターゲット。」
の点で一致し、以下の点で一応相違する。

(相違点1’)
非金属無機材料粉末について、本願発明2が「ホウ素酸化物」を含んでいるのに対し、先願発明2では、「酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化テルル、酸化モリブテン、低融点ガラスから選ばれる少なくとも1種」であり、酸化ホウ素が選択的に記載されている点。

(相違点2’)
強磁性合金について、本願発明2では、「Crが20mol%以下、Ptが30mol%以下、残余がCo」であるのに対し、先願発明2では、CrまたはCr合金を5モル%以上含み、Ptを含むのかどうか、残余がCoであるかどうか不明である点。

(相違点3’)
スパッタリングターゲットが、本願発明2では「焼結体」であるのに対し、先願発明2では、焼結体であるかどうか不明である点。

(相違点4’)
非金属無機材料が占める体積率が、本願発明2では「40vol%以下」であるのに対し、先願発明2では、不明である点。

(相違点5’)
本願発明2は、「添加金属として、B、Ti、Auから選択した1元素以上を、合金中に15mol%以下含有する」のに対し、先願発明2は、そのような添加金属が含有されているものか不明である点。

(2)判断
ア 相違点1’について
相違点1’は、上記1(1)の相違点1と同じであり、その判断は上記1(2)アで述べたとおりであるから、上記相違点1’は、実質的な相違点とはならない。

イ 相違点2’、4’及び5’について
先願発明2のターゲットの実施例である上記摘記(1-オ)の記載と上記摘記(1-ウ)を参照するに、「CoOを8モル%、Crを7モル%、SiO_(2)を7モル%とし、B_(2)O_(3)を0?6モル%の範囲内で変化させ、残部をCo16Pt」の混合粉末からCoCrPtB-SiO_(2)からなる組成の(磁性層を形成する)ターゲットが製造されており、B_(2)O_(3)を0?6モル%で変化することからPtの量も変わるが、ここでB_(2)O_(3)を6モル%とすると、Crを7モル%で、Ptは11.52モル%となり、金属成分の残部はCoということになる。
してみれば、先願発明2の「CrまたはCr合金を5モル%以上含」む「ターゲット」は、「Crが20mol%以下、Ptが30mol%以下、残余がCo」の組成範囲を満たすものをその一態様として含むことが明らかであるから、上記相違点2’は、実質的な相違点とはいえない。
また、上記摘記(1-エ)と(1-カ)を参照するに、磁性層にBを含有させる手段として、先願明細書等には、ターゲット中のB_(2)O_(3)の分解によるだけでなく、ターゲット中に数モル程度のBを添加することも記載されている。
してみれば、相違点5’も、実質的な相違点とはいえない。
さらに、上記実施例の成分比に基づいて(B_(2)O_(3)を6モル%とする)非金属無機材料が占める体積率を一般的な化学的物性値である、CoOの分子量は75g/molで密度6.44g/cm^(3)(すなわち11.6cm^(3)/mol)、B_(2)O_(3)の分子量は70g/molで密度が2.46g/cm^(3)(すなわち28.5cm^(3)/mol)、SiO_(2)の分子量は60g/molで密度が2.65g/cm^(3)(すなわち22.6cm^(3)/mol)、Coの原子量は59g/molで密度8.90g/cm_(3)(すなわち6.63cm^(3)/mol)、Crの原子量は52g/molで密度7.19g/cm^(3)(すなわち7.23cm^(3)/mol)、Ptは原子量195g/molで密度21.45g/cm_(3)(すなわち9.09cm^(3)/mol)をもとに計算すると、非金属無機材料であるCoO、B_(2)O_(3)及びSiO_(2)のターゲットに占める体積率は32%となり、40vol%以下である。
してみれば、先願発明2の「CoOを5モル%以上含み、融点が800℃以下の酸化物を合計で3モル%?20モル%の範囲内で含」む「ターゲット」は、本願発明2の「非金属無機材料が占める体積率が40vol%以下」の「ターゲット」をその一態様として含むことが明らかである。
したがって、上記相違点4’も、実質的な相違点とはならない。

ウ 相違点3’について
先願発明2の「ターゲット」は、その製法に関する上記摘記(1-イ)の記載から、焼結体であるといえる。
したがって、上記相違点3’は、実質的な相違点とはならない。

(3)小括
よって、上記相違点1’?5’はいずれも実質的な相違点とはならないから、本願発明2は、先願発明2と実質的に同一であるといえる。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明2、本願発明8は、本願の優先日前の特許出願であって、本願の出願後に出願公開がされた上記先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と実質的に同一であり、しかも、本願の発明者が先願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、本願の出願人が上記先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり、審決する。
 
審理終結日 2016-10-21 
結審通知日 2016-11-01 
審決日 2016-11-15 
出願番号 特願2011-231301(P2011-231301)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (C23C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 光貴  
特許庁審判長 大橋 賢一
特許庁審判官 宮澤 尚之
三崎 仁
発明の名称 コバルト酸化物が残留したスパッタリングターゲット  
代理人 小越 勇  
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