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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G01C 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G01C |
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管理番号 | 1323487 |
異議申立番号 | 異議2016-700505 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-06-02 |
確定日 | 2016-11-28 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5827775号発明「船舶の両舷ドラフト差測定装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5827775号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3〕、4、5、6、7、8、9について訂正することを認める。 特許第5827775号の請求項2、4ないし9に係る特許を維持する。 特許第5827775号の請求項1、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第5827775号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)4月17日(優先権主張2015年(平成27年)3月24日(以下、「優先日」という。))を国際出願日とする国際出願であって、平成27年10月23日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人新日鐵住金株式会社、日鉄住金テクノロジー株式会社により特許異議の申立てがされ、当審において平成28年8月5日付けで取消理由を通知したところ、平成28年9月14日付けで意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)があったものである。 第2 本件訂正請求による訂正の適否 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に、「・・・請求項1?3のいずれかに記載の船舶の両舷ドラフト差測定装置。」とあるのを、請求項2のみを引用する引用形式に改め、次のとおりに訂正する(下線は訂正箇所を示す。以下同じ。)。 「【請求項4】 前記液位測定管(11)及び前記連通ホース(41)に充填される測定液(W)が、水と着色されたエチレングリコールとからなり、着色されたエチレングリコールは測定液(W)の3体積%?5体積%含まれることを特徴とする 請求項2のいずれかに記載の船舶の両舷ドラフト差測定装置。」 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に、「・・・請求項1?4のいずれかに記載の船舶の両舷ドラフト差測定装置。」とあるのを、請求項2又は4のみを引用する引用形式に改め、次のとおりに訂正する。 「【請求項5】 前記液位測定管(11)と前記連通ホース(41)の間に接続された透明な弾性体からなる空気抜き操作チューブ(13)をさらに有し、前記空気抜き操作チューブ(13)は前記連通ホース(41)内に存在する空気を排出させるべく外部から押圧操作されることを特徴とする 請求項2又は4のいずれかに記載の船舶の両舷ドラフト差測定装置。」 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4に、「・・・請求項1?3のいずれかに記載の船舶の両舷ドラフト差測定装置。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、新たに請求項6として、次のとおりに訂正する。 「【請求項6】 船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管(11)と、前記2つの液位測定管(11)を互いに連通させる連通ホース(41)と、前記連通ホース(41)の中央部が固定されかつ左ホース部分(41a)と右ホース部分(41b)を同時に巻き取るドラム(51)と、を備えた測定装置(1)であって、 前記連通ホース(41)の中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラム(51)の軸部材(51a)の外周面から突出するホース掛け突起(51c)と、 前記連通ホース(41)の中央部に装着された樹脂製コイルスプリング(42)と、を有し、 前記液位測定管(11)及び前記連通ホース(41)に充填される測定液(W)が、水と着色されたエチレングリコールとからなり、着色されたエチレングリコールは測定液(W)の3体積%?5体積%含まれることを特徴とする 船舶の両舷ドラフト差測定装置。」 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項4に、「・・・請求項1?3のいずれかに記載の船舶の両舷ドラフト差測定装置。」とあるうち、請求項1を引用する請求項3を引用するものについて、独立形式に改め、新たに請求項7として、次のとおりに訂正する。 「【請求項7】 船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管(11)と、前記2つの液位測定管(11)を互いに連通させる連通ホース(41)と、前記連通ホース(41)の中央部が固定されかつ左ホース部分(41a)と右ホース部分(41b)を同時に巻き取るドラム(51)と、を備えた測定装置(1)であって、 前記連通ホース(41)の中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラム(51)の軸部材(51a)の外周面から突出するホース掛け突起(51c)と、 前記連通ホース(41)の中央部に装着された樹脂製コイルスプリング(42)と、を有し、 前記連通ホース(41)及び前記樹脂製コイルスプリング(42)を覆うように前記軸部材(51a)の周囲に巻き付けられ固定された補助固定テープ(43)をさらに有し、 前記液位測定管(11)及び前記連通ホース(41)に充填される測定液(W)が、水と着色されたエチレングリコールとからなり、着色されたエチレングリコールは測定液(W)の3体積%?5体積%含まれることを特徴とする 船舶の両舷ドラフト差測定装置。」 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項5に、「・・・請求項1?4のいずれかに記載の船舶の両舷ドラフト差測定装置。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、新たに請求項8として、次のとおりに訂正する。 「【請求項8】 船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管(11)と、前記2つの液位測定管(11)を互いに連通させる連通ホース(41)と、前記連通ホース(41)の中央部が固定されかつ左ホース部分(41a)と右ホース部分(41b)を同時に巻き取るドラム(51)と、を備えた測定装置(1)であって、 前記連通ホース(41)の中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラム(51)の軸部材(51a)の外周面から突出するホース掛け突起(51c)と、 前記連通ホース(41)の中央部に装着された樹脂製コイルスプリング(42)と、を有し、 前記液位測定管(11)と前記連通ホース(41)の間に接続された透明な弾性体からなる空気抜き操作チューブ(13)をさらに有し、前記空気抜き操作チューブ(13)は前記連通ホース(41)内に存在する空気を排出させるべく外部から押圧操作されることを特徴とする 船舶の両舷ドラフト差測定装置。」 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項5に、「・・・請求項1?4のいずれかに記載の船舶の両舷ドラフト差測定装置。」とあるうち、請求項1を引用する請求項3を引用するものについて、独立形式に改め、新たに請求項9として、次のとおりに訂正する。 「【請求項9】 船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管(11)と、前記2つの液位測定管(11)を互いに連通させる連通ホース(41)と、前記連通ホース(41)の中央部が固定されかつ左ホース部分(41a)と右ホース部分(41b)を同時に巻き取るドラム(51)と、を備えた測定装置(1)であって、 前記連通ホース(41)の中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラム(51)の軸部材(51a)の外周面から突出するホース掛け突起(51c)と、 前記連通ホース(41)の中央部に装着された樹脂製コイルスプリング(42)と、を有し、 前記連通ホース(41)及び前記樹脂製コイルスプリング(42)を覆うように前記軸部材(51a)の周囲に巻き付けられ固定された補助固定テープ(43)をさらに有し、 前記液位測定管(11)と前記連通ホース(41)の間に接続された透明な弾性体からなる空気抜き操作チューブ(13)をさらに有し、前記空気抜き操作チューブ(13)は前記連通ホース(41)内に存在する空気を排出させるべく外部から押圧操作されることを特徴とする 船舶の両舷ドラフト差測定装置。」 2 訂正要件 (1)訂正の目的 ア 訂正事項1及び2について 訂正事項1及び2は、訂正前の請求項1及び3をそれぞれ削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項3、5及び6について 訂正事項3、5及び6は、訂正前において請求項1ないし3のいずれかを引用していた請求項4について、削除された請求項1又は3を引用しないものとするため、訂正後の請求項4を、請求項2のみを引用する形式に変更するとともに、訂正前の請求項4のうち、請求項1を引用する部分を、訂正後の新たな請求項6として、請求項1を引用する請求項3を引用する部分を、訂正後の新たな請求項7として、それぞれ独立形式に書き下すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」(引用関係の解消)を目的とするものに該当する。 ウ 訂正事項4、7及び8について 訂正事項4、7及び8は、訂正前において請求項1ないし4のいずれかを引用していた請求項5について、削除された請求項1又は3を引用しないものとするため、訂正後の請求項5を、請求項2又は4のみを引用する形式に変更するとともに、訂正前の請求項5のうち、請求項1を引用する部分を、訂正後の新たな請求項8として、請求項1を引用する請求項3を引用する部分を、訂正後の新たな請求項9として、それぞれ独立形式に書き下すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」(引用関係の解消)を目的とするものに該当する。 (2)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項1ないし8は、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。 3 訂正の請求単位と一群の請求項 訂正前の請求項1、3ないし5は、請求項3ないし5が、訂正の請求の対象である請求項1を引用する関係にあることから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。 また、訂正後の請求項4ないし9に係る訂正事項3ないし8は、引用関係の解消を目的とする訂正であって、その訂正は認められるものである。そして、特許権者から、訂正後の請求項4、5、6、7、8、9について訂正が認められるときは請求項1、3とは別の請求単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項4、5、6、7、8、9について請求項ごとに訂正することを認める。 4 小括 よって、訂正後の請求項〔1、3〕、4、5、6、7、8、9について訂正することを認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 (1)本件特許の請求項2に係る発明(以下、「本件発明2」という。)は、その特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりの、次のとおりのものである(請求項2は、訂正がされていない)。 「船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管(11)と、前記2つの液位測定管(11)を互いに連通させる連通ホース(41)と、前記連通ホース(41)の中央部が固定されかつ左ホース部分(41a)と右ホース部分(41b)を同時に巻き取るドラム(51)と、を備えた測定装置(1)であって、 前記ドラム(51)の軸部材(51a)の外周面上に固定された複数のシート片から構成されかつ前記シート片同士の間の隙間により溝が形成されたホース保持シート(45)を有し、 前記連通ホース(41)の中央部は、前記ホース保持シート(45)の前記溝に嵌め込まれることにより前記ドラム(51)に固定されることを特徴とする 船舶の両舷のドラフト差測定装置。」 (2)本件訂正がされた訂正後の請求項4ないし9に係る発明(以下、それぞれを、「本件発明4」等という。)は、それぞれ上記「第2」1(3)ないし(8)に記載したとおりのものである。 2 取消理由の概要 当審において通知した取消理由は、概略、本件訂正前の請求項1及び3に係る発明は、いずれも、次の刊行物1に記載された発明及び次の刊行物2ないし10に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、取り消されるべきものである、というものである。 刊行物1:特開2011-137776号公報 刊行物2:実願昭52-14538号(実開昭53-109126号)の マイクロフィルム 刊行物3:実公昭40-13720号公報 刊行物4:特開平11-217162号公報 刊行物5:特開昭63-257410号公報 刊行物6:実願平5-61719号(実開平7-24853号)の CD-ROM 刊行物7:特公昭46-14872号公報 刊行物8:特開2005-121125号公報 刊行物9:特開2010-249245号公報 刊行物10:実公昭50-1618号公報 3 特許異議申立理由の概要 特許異議申立人新日鐵住金株式会社、日鉄住金テクノロジー株式会社は、証拠として次の甲第1号証ないし甲第11号証を提出し、本件訂正前の請求項1ないし5に係る発明は、いずれも、甲第1号証に記載された発明であるか、又は、甲第1号証ないし甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、同条第2項の規定により、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、取り消されるべきものである、との旨主張している。 甲第1号証:特開2011-137776号公報 (上記2の刊行物1に同じ。以下、「刊行物1」という。) 甲第2号証:実願平2-18481号(実開平3-109127号)の マイクロフィルム(以下、「刊行物11」という。) 甲第3号証:実願平2-94662号(実開平4-51618号)の マイクロフィルム(以下、「刊行物12」という。) 甲第4号証:実願平5-61719号(実開平7-24853号)の CD-ROM (上記2の刊行物6に同じ。以下、「刊行物6」という。) 甲第5号証:特開平8-66489号公報 (以下、「刊行物13」という。) 甲第6号証:特開2005-121125号公報 (上記2の刊行物8に同じ。以下、「刊行物8」という。) 甲第7号証:実願昭60-52396号(実開昭61-168073号) のマイクロフィルム(以下、「刊行物14」という。) 甲第8号証:実公平1-9813号公報 (以下、「刊行物15」という。) 甲第9号証:実願昭63-23743号(実開平1-128781号) のマイクロフィルム(以下、「刊行物16」という。) 甲第10号証:実願昭61-103201号(実開昭63-10413号 )のマイクロフィルム(以下、「刊行物17」という。) 甲第11号証:実願平5-52227号(実開平7-14312号)の CD-ROM(以下、「刊行物18」という。) 4 刊行物の記載 (1)刊行物1 ア 優先日前に頒布された刊行物1(甲第1号証)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付与した。)。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、船舶、建造物、地所等の傾斜を、簡便な手法で、正確に測定する装置に関する。 (イ)「【発明を実施するための形態】 【0025】 本発明を、図面に基づいて説明する。 【0026】 まず、図1に、船を例にして、傾斜の測定手法を示す。樹脂製の長尺透明チューブ2には、気泡が発生しない液体が、端部2’に空間を残して注入されている。上記チューブ2の端部2’には、上記液体の液位を測定する液位測定器3が取り付けられている。 【0027】 測定の際、図1に示すように、液位測定器3を備える長尺透明チューブ2の端部2’、2’を、船1の舷側に、その零点が、甲板面4から高さhに位置するように配置する。 【0028】 船1が水平であれば、右舷側の長尺透明チューブ2内の液位2aと、左舷側の長尺透明チューブ2内の液位2bは同じであるが、船1の右舷側がd浮き上がっている(船の左舷側がd沈んでいる)と、右舷側の長尺透明チューブ2内の液位2aと左舷側の長尺透明チューブ2内の液位2bの間には“2d”の差が生じる。この差“2d”を測定し、“d/船幅W”から、傾斜角θを求める。 【0029】 そして、傾斜角θは、液体タンク内の液体の量の修正に使用し、差分“2d”は、海側の喫水線の計算に使用する。 (ウ)「【0034】 即ち、長尺透明チューブに、例えば、沸騰水(気泡が発生しない液体)を、注入時に気泡が混入しないように注入して収容しておくと、長期にわたり沸騰水を交換する必要がなく、測定したい時に、直ちに測定することができる。 【0035】 しかし、沸騰水は、寒冷地で凍結することがあるので、寒冷地では不凍液を用いるのが好ましい。また、着色した液体を用いると、気泡の有無の確認や、液位の読み取りが容易になるので、着色した液体を用いてもよい。 【0036】 ここで、図2に、本発明の傾斜測定装置の一態様を示す。図2(a)に、傾斜測定装置の正面態様を示し、図2(b)に、傾斜測定装置の側面態様を示す。 【0037】 架台6に、ハンドル7’を備えるリール7が、回転自在に保持されていて、リール7には、樹脂製の長尺透明チューブ2が、中央部を止端とする2本巻きで巻回されている。長尺透明チューブ2には、液面2cが、端部2’の所定位置まで、着色した沸騰水5が注入され、内部に気泡が存在しない状態で収容されている。」 (エ)「【0066】 本発明の傾斜測定装置を用いれば、船の傾斜角を正確に測定できるので、岸壁側の喫水線の位置を正確に読み取っておけば、正確な傾斜角に基づいて、海側の喫水線の位置を正確に算出することができ、その結果、荷揚重量(又は積載重量)を、正確に算出することができる。」 イ よって、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「船舶の傾斜測定装置であって、(【0001】) 樹脂製の長尺透明チューブに、気泡が発生しない液体が、端部に空間を残して注入され、上記チューブの端部に、上記液体の液位を測定する液位測定器が取り付けられ、(【0026】) 気泡が発生しない液体は、注入時に気泡が混入しないように注入して収容しておくとともに、寒冷地では不凍液を用い、また、着色した液体を用いてもよく、(【0034】、【0035】) 回転自在に保持されているリールに、樹脂製の長尺透明チューブが、中央部を止端とする2本巻きで巻回されており、(【0037】) 測定の際、液位測定器を備える長尺透明チューブの端部を船の舷側に配置し、右舷側の長尺透明チューブ内の液位と左舷側の長尺透明チューブ内の液位との間に生じる差を測定し、傾斜角を求めるとともに海側の喫水線を計算するものであり、(【0027】、【0028】、【0029】) 岸壁側の喫水線の位置を正確に読み取っておくことにより、海側の喫水線の位置を正確に算出することができる、(【0066】) 船舶の傾斜測定装置。」 (2)刊行物2 刊行物2には、「次に取扱いを説明すると、先づホースをホースリールに巻とり収納するには、ホースを全長の中央部でU字形に曲げその曲部1aを回転ドラム2のU字形溝6の拘束部7に嵌込み軟拘束して二列とし、二列となつたロープを案内部8a,8bによつて案内し回転ドラム2の外周面に導き、回転ハンドル5を回転して二列となつたロープを巻とり収納する。」(明細書第3ページ第16行ないし第4ページ第3行)との記載がある。 (3)刊行物3 刊行物3には、「この考案は作業用電線コード又は酸素溶接用のゴムホース等を中央部より折曲け二重に捲取り必要な長さだけ自由に延長して使用できるようにしたものである。・・・この考案は取扱操作極めて簡単でコード14等を中央部で折曲げ出入口13より覆箱6の内部に入れ扉10を開いて折曲げ部を溝穴2に引掛け把手5を廻転するときはコード14等は捲枠1に捲取られ覆箱6内に収納され使用するときは両端を同時に必要な長さだけ引出し得るものとす。」(第1ページ左欄第16行(下から12行目)ないし右欄第9行)との記載がある。 (4)刊行物4 刊行物4には、「この発明はこのような点に鑑みてなされたもので、光ファイバもしくは光ファイバケーブルの中央部を光ファイバ巻取りドラムの巻胴に固定し、ここを起点として光ファイバもしくは光ファイバケーブルの両端を光ファイバ巻取りドラム上に同方向に巻き取るという方式である。・・・この発明の方式を「ループ二本巻き方式」と呼ぶことにする。・・・」(【0005】)、「図4は巻取りドラムの巻胴に光ファイバケーブルを固定する方法を説明するための巻取りドラムの巻胴の斜視図である。即ち、巻取りドラムの巻胴1にはその軸方向に先端が円形状で光ファイバケーブル2の太さと同一幅と同一深さを有するガイド溝5が設けられている。このガイド溝5に沿って光ファイバケーブル2の固定部を反転するように嵌め込んで固定することにより、光ファイバケーブル2は巻取りドラムの巻胴1に同一方向に巻き取られる。・・・」(【0010】)及び「図5は、他の実施例の巻取りドラムの巻胴の構成を示す斜視図である。即ち、巻取りドラムの巻胴1には円柱状のガイド突起6が形成されており、ここに光ファイバケーブル2を反転するように掛けて固定し、ここを折り返して同一方向に巻き取られる。・・・」(【0011】)との記載がある。 (5)刊行物5 刊行物5には、「溶接機用ケーブルの場合、ケーブル5を中間部より二つ折りにし、その折り返し点を第3図に示すように折り返し爪3に引掛け、巻取ノブ4を手に持ち、ケーブル5の挿入方向と逆方向へ巻取リール1を回転させる。巻取リール1より必要な長さのケーブル5が引き出されている状態で、巻取リール1の回転を停止させる。ケーブル5は、中間部から2本のケーブルが相互に逆方向に巻取リール1に巻付けられる・・・」(第3ページ左下欄第7ないし15行)との記載がある。 (6)刊行物6 刊行物6(甲第4号証)には、「給放水ホース巻取ドラムのホース継手部分に継目の無いことを特徴とする給放水ホース巻取装置。」(【請求項1】)、「給水側及び放水側のそれぞれのホースをドラムの軸芯部によって回転巻取をすることによって同時に双方のホースを巻取り収納することを特徴とする第1項及び第2項及び第3項記載の給放水ホース巻取装置。」(【請求項4】)、「・・・作業を終了し、ホースを収納する場合はホースの水切り後に給水側及び放水側ホースを同時にフレーム9によって支えられたホース巻取ドラム1を手動回転アーム11及び10を介して回転させることにより、給水及び放水ホースは同時に巻取ドラム1に外ずれ防止ふち8等に支持されながら巻取られることにより給水側及び放水側ホースを同時に本装置に収納できるものである。」(【0005】)及び「上記のとおり本装置による給放水装置の配水経路には1ヶ所の継手もなく、したがってホース本体の破損以外には水もれ等のトラブルは発生しない。・・・」(【0006】)との記載がある。 (7)刊行物7 刊行物7には、「一本の液管1の中間を第5図で示すドラム2に液管が折損しないように点線3のように止めて、第1図Cで示すハンドル4で点線矢印5の方向に携帯するケース20の中に液管12のように巻込むものである。」(第1ページ右欄第10ないし14行)との記載がある。 (8)刊行物8 刊行物8(甲第6号証)には、「本発明は、合成樹脂製又はゴム製の可撓性を有するホースを用いるあらゆる産業分野に利用し得るホース保護具に関する。」(【0001】)、「・・・本発明は、かゝる従来の技術の課題に鑑み、その課題を解決し、ホースを配管時などにおいて少なくとも1個所曲げられて使用されるホースの曲げられた個所の折れや潰れを防止し、流通媒体の円滑で安定良好な流通を確保できるホース保護具を提供することを目的とする。」(【0003】)、「該締め付け具のコイルスプリングをホースが曲げられる予定の個所に位置せしめ、その両端の締め付け具をその対応するホースの外周面に締め付けることにより、該コイルスプリングはその予定の曲げられる個所を外周から囲繞した状態でその位置に固定される。この状態でホースの配管を行うべく予定の曲げられた個所を曲げるときは、その外周を囲繞するコイルスプリングにより折れたり、潰れたりすることなく安定良好に円弧状に曲げることができ、その弯曲部が曲げ許容度を多少越えて曲げてもられても差し支えなく、また、揺動を繰り返しても、該コイルスプリングにより揺動による折れの発生が防止され、流通媒体の円滑且つ安定良好な輸送をもたらす。・・・」(【0005】)及び「本発明のホース保護具が使用されて保護の対象となるホースは、少なくとも1個所を曲げて使用し得る可撓性の即ち、軟質のゴム製又は合成樹脂製のホースであり、従来より、各種の産業分野において使用されている公知の全てのホースが本発明の保護の対象となる。・・・」(【0006】)との記載がある。 (9)刊行物9 刊行物9には、「上記配管保護具(1)を構成しているコイルスプリングは金属製としたが、樹脂製であってもよく、・・・」(【0031】)との記載がある。 (10)刊行物10 刊行物10には、「1はホースの折れ防止具主体で、この主体1は発条性線杆2を螺旋に巻設し、・・・尚本考案で発条性線杆とは金属製或いは合成樹脂製線杆或いは金属製線杆の外周を合成樹脂等で被覆したものを含む。」(第1ページ左欄第36行ないし右欄第10行)との記載がある。 (11)刊行物11 刊行物11(甲第2号証)には、「水を入れ且つ両端部(2)(3)にそれぞれ開閉弁(4)(5)を取付けた透明のレベルホース(1)の中央部をホース巻取ドラム(6)に巻付けると共に両端部(2)(3)をそれぞれ上方に持ち上げた、レベルホースによる高度計測装置。」(明細書第1ページ第5ないし9行)及び「レベルホース1の中央部をホース巻取ドラム6に巻付け、その一端部2・・・、開閉弁4と5を開口する。」(明細書第3ページ第14ないし17行)との記載がある。 (12)刊行物12 刊行物12(甲第3号証)には、「上部に通気口(6)を備え、下部に通液口(5)を備え、該通気口(6)と通液口(5)間を連通して内部に液体(C)を保有した透明もしくは一部透明の容器(1)と、全長が計測用物差し(2)になったケース(106)とを付設するとともに、全長が必要最小限に縮小した一対の計測容器(A1)/(A2)を設け、該一対の計測容器(A1)/(A2)に備えた上記通液口(5)間を連通管(B)により接続して連通させたことを特徴とする水準器。」(平成3年8月5日付け手続補正書における明細書第1ページ第5ないし14行)及び「第23図(イ)(ロ)は巻取器45の断面図であり、第23図(イ)は一本の連通管Bのみを巻取る方式であり、第23図(ロ)は二本の連通管Bを同時に巻取る方式である。」(同明細書第31ページ第6ないし9行)との記載がある。 (13)刊行物13 刊行物13(甲第5号証)には、「基台に互いに平行かつ回動自在に配設され消火用ホースを巻き掛けて案内する少なくとも2つのガイドローラと、2つ折りされた消火用ホースの折り曲げ部を係止する係止部が形成され前記消火用ホースを巻き取る巻取り軸と、該巻取り軸を着脱自在かつ回動自在に支承する巻取り軸支承機構とを備えたことを特徴とする消火用ホース巻上げ装置。」(【請求項1】)及び「消火作業に使用した消火用ホース10は、図5及び図10において乾燥させた後、両端の接続金具10bを約700mmずらした状態で2つ折りし、折曲げ部10aを第1ガイドローラ3の上方及び第2ガイドローラ4の下方を通して巻き掛けた後、折曲げ部10aを巻取り軸5の係止部5cに係止させる。」(【0036】)との記載がある。 (14)刊行物14 刊行物14(甲第7号証)には、「ホース巻取用のドラムをフレームに回転自在に設置し、前記ドラムの筒部の一端外周に、前記フレームから連通させた水回路のホース接続口を設け、このホース接続口を起点とするらせん状の溝を前記ドラムの前記筒部の外周に設けたことを特徴とするホースリール。」(明細書第1ページ第5ないし10行)及び「この構成によると、ドラムの筒部にらせん状の溝を形成したため、ホースがその溝に沿って整列して巻かれ、巻き易い。また、このように整列して巻かれるので、ホースがつぶれた状態に巻かれることがなく、円滑な通水が維持できる。」(明細書第3ページ第17行ないし第4ページ第1行)との記載がある。 (15)刊行物15 刊行物15(甲第8号証)には、「左右のフランジ間にわたつて設けられる胴部を複数の巻付体に分割して構成し、これら巻付体を夫々同一形態として前記フランジに周間隔をおいて取付け、且つ各巻付体の外周面に夫々直線的で且つ並列する複数のホース案内溝を形成してなるホース巻取ドラム。」(第1欄第2ないし7行)及び「・・・案内溝が螺旋状でなくとも巻取の初期段階におけるホースの巻付を螺旋状に整然と行うことができ、ホースの潰れ及びそれに伴うホースの変形を防止できる。・・・」(第4欄第22ないし25行)との記載がある。 (16)刊行物16 刊行物16(甲第9号証)には、「洗濯機本体上部の電気部品と同本体下部のモータ等の電気部品を、上部ハーネスおよび下部ハーネスを用いて接続し、上下部ハーネスはリード線および接続具でそれぞれ形成し、上下部ハーネスの接続具を被うポリ袋等の防水カバーを上部ハーネスに取り付けるとともにこの取り付け部に固定テープを巻装したものにおいて、固定テープを施した上記取り付け部を含む上部ハーネスのリード線を固定テープ等を用いてS字状に折り曲げたことを特徴とする洗濯機のハーネスの構成。」(明細書第1ページ第5ないし15行)及び「接続具にかぶせた筒状のポリエチレンシートからなる防水カバー9’は下方が開口しており、上部リード線6’に固定テープ7’を用いて止められている。固定テープ7’はスパイラルに巻装して防止カバー9’が脱落することがないように止めるとともに、固定テープの巻き目から水滴が入らないようにしている。・・・このS字状なる折り曲げ部を幅の広いテープ等の固定具8″でS字状に保持する。」(明細書第4ページ第7ないし18行)との記載がある。 (17)刊行物17 刊行物17(甲第10号証)には、「両端に透明部分を有し、内部に液体を充填した可撓性チユーブの該透明部分の開口端に着脱自在に蓋を取付け、更に前記可撓性チユーブの両端近傍に固定具を設けたことを特徴とするレベル測定具。」(明細書第1ページ第5ないし9行)及び「・・・該可撓性チューブ1の内部には着色された水、アルコール等の液体3が封入されており、前記透明部分2,2の先端開口部は蓋7,7によって閉塞されている。・・・」(明細書第4ページ第1ないし4行)との記載がある。 (18)刊行物18 刊行物18(甲第11号証)には、「イ、吊り取っ手(10)を取り付けた円筒体でなる本体(1)の下部に、底蓋(4)を係設してまた上部にはキャップ(2)を開閉可能な形状で取り付け、中心部には空気抜き栓(3)が設置されている。ロ、底蓋(4)の中心部に水送り栓(5)を取付け、接続口にビニールホース(6)を止め金具(7)を用いて接続する。ハ、ビニールホース(6)の一方先端部には目盛(11)が記されており、最先端部には空気抜き栓(8)が取り付けてある。ニ、本体(1)と、ビニールホース(6)中には色付き液体(9)が注入されている。以上の構成によりなる自在式水平測定器である。」(【請求項1】)及び「・・・ビニールホース(6)の中には、目の疲れ防止、また水位が見易いよう、青色もしくは緑色系統の色彩のついた色付き液体(9)を注入しておく。・・・」(【0006】)との記載がある。 5 当審の判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由について 本件訂正により、請求項1及び3は削除されたので、当該取消理由は理由のないものとなった。 (2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について ア 本件発明2について (ア)本件発明2と引用発明とを対比する。 a 引用発明によれば、「右舷側の長尺透明チューブ内の液位と左舷側の長尺透明チューブ内の液位との間に生じる差を測定し、傾斜角を求めるとともに海側の喫水線を計算する」一方で、「岸壁側の喫水線の位置を正確に読み取っておくことにより、海側の喫水線の位置を正確に算出することができる」のであるから、引用発明は、「右舷側の長尺透明チューブ内の液位と左舷側の長尺透明チューブ内の液位との間に生じる差」によって、「岸壁側の喫水線の位置」と「海側の喫水線の位置」との差、すなわち、船舶の両舷のドラフト差を測定するものといえる。そして、引用発明の「液位測定器を備える長尺透明チューブの端部」は、「測定の際」「船の舷側」すなわち「右舷側」及び「左舷側」にそれぞれ「配置」されるものであるから、本件発明2の「船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管」に相当する。 b 引用発明において、「樹脂製の長尺透明チューブ」を通じて、「液位測定器を備える長尺透明チューブの端部」どうしが互いに連通されていることは、明らかであるから、引用発明の「樹脂製の長尺透明チューブ」は、本件発明2の「前記2つの液位測定管を互いに連通させる連通ホース」に相当する。 c 引用発明において、「回転自在に保持されているリールに、樹脂製の長尺透明チューブが、中央部を止端とする2本巻きで巻回されて」いることから、「リール」の「回転」に伴い、「樹脂製の長尺透明チューブ」が「2本巻きで」同時に巻き取られることは、明らかであり、引用発明の「回転自在に保持されているリール」は、本件発明2の「前記連通ホースの中央部が固定されかつ左ホース部分と右ホース部分を同時に巻き取るドラム」に相当する。 d 引用発明において、「2本巻きで巻回されて」いる「樹脂製の長尺透明チューブ」の「中央部」が、「回転自在に保持されているリールに」対し「止端」とされていることと、本件発明2において、「前記ドラムの軸部材の外周面上に固定された複数のシート片から構成されかつ前記シート片同士の間の隙間により溝が形成されたホース保持シートを有し、 前記連通ホースの中央部は、前記ホース保持シートの前記溝に嵌め込まれることにより前記ドラムに固定され」ていることとは、「前記連通ホースの中央部は、前記ドラムに固定され」ている点で共通する。 e 上記aで述べたとおり、引用発明の「船舶の傾斜測定装置」は、船舶の両舷のドラフト差を測定するものといえるから、次の相違点は除いて、本件発明2の「船舶の両舷ドラフト差測定装置」に相当する。 (イ)以上のことから、本件発明2と引用発明とは、 「船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管と、前記2つの液位測定管を互いに連通させる連通ホースと、前記連通ホースの中央部が固定されかつ左ホース部分と右ホース部分を同時に巻き取るドラムと、を備えた測定装置であって、 前記連通ホースの中央部は、前記ドラムに固定されることを特徴とする 船舶の両舷のドラフト差測定装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点) 本件発明2では、「前記ドラムの軸部材の外周面上に固定された複数のシート片から構成されかつ前記シート片同士の間の隙間により溝が形成されたホース保持シートを有し、 前記連通ホースの中央部は、前記ホース保持シートの前記溝に嵌め込まれることにより前記ドラムに固定される」のに対し、 引用発明では、「2本巻きで巻回されて」いる「樹脂製の長尺透明チューブ」の「中央部」が、「回転自在に保持されているリールに」対しどのような形態で「止端と」されているか、不明である点。 (ウ)相違点の判断 刊行物4には、巻取りドラムの巻胴にガイド溝を設けるとともに、このガイド溝に沿って光ファイバケーブルの固定部を反転するように嵌め込んで固定することにより、光ファイバケーブルの両端を巻取りドラム上に同方向に巻き取る技術が記載され(上記4(4))、また、刊行物14には、ホースリールにおいて、ホース巻取用のドラムの筒部の外周にらせん状の溝を形成し、ホースがその溝に沿って整列して巻かれるようにする技術が記載され(上記4(14))、さらに、刊行物15には、ホース巻取ドラムにおいて、胴部を複数の巻付体に分割して構成するとともに巻付体の外周面に夫々直線的で且つ並列する複数のホース案内溝を形成し、巻取の初期段階におけるホースの巻付を螺旋状に整然と行う技術が記載されている(上記4(15))。 しかしながら、ホース等の可撓性を有する長尺体をドラムの軸部材の溝に嵌込んで固定するにあたり、ドラムの軸部材の外周面上に固定された複数のシート片同士の間の隙間によって、そのような長尺体を嵌込むための溝を形成する点については、刊行物2ないし18のいずれにも記載されていないから、引用発明において、本件発明2の上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 (エ)したがって、本件発明2は、刊行物1に記載された発明(引用発明)ではなく、また、刊行物1ないし18に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ 本件発明4、5について 本願発明4及び5は、いずれも、本件発明2を更に限定したものであるから、本件発明2について述べたのと同様の理由により、刊行物1に記載された発明(引用発明)ではなく、また、刊行物1ないし18に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件発明6について (ア)本件発明6と引用発明とを対比する。 a 引用発明によれば、「右舷側の長尺透明チューブ内の液位と左舷側の長尺透明チューブ内の液位との間に生じる差を測定し、傾斜角を求めるとともに海側の喫水線を計算する」一方で、「岸壁側の喫水線の位置を正確に読み取っておくことにより、海側の喫水線の位置を正確に算出することができる」のであるから、引用発明は、「右舷側の長尺透明チューブ内の液位と左舷側の長尺透明チューブ内の液位との間に生じる差」によって、「岸壁側の喫水線の位置」と「海側の喫水線の位置」との差、すなわち、船舶の両舷のドラフト差を測定するものといえる。そして、引用発明の「液位測定器を備える長尺透明チューブの端部」は、「測定の際」「船の舷側」すなわち「右舷側」及び「左舷側」にそれぞれ「配置」されるものであるから、本件発明6の「船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管」に相当する。 b 引用発明において、「樹脂製の長尺透明チューブ」を通じて、「液位測定器を備える長尺透明チューブの端部」どうしが互いに連通されていることは、明らかであるから、引用発明の「樹脂製の長尺透明チューブ」は、本件発明6の「前記2つの液位測定管を互いに連通させる連通ホース」に相当する。 c 引用発明において、「回転自在に保持されているリールに、樹脂製の長尺透明チューブが、中央部を止端とする2本巻きで巻回されて」いることから、「リール」の「回転」に伴い、「樹脂製の長尺透明チューブ」が「2本巻きで」同時に巻き取られることは、明らかであり、引用発明の「回転自在に保持されているリール」は、本件発明6の「前記連通ホースの中央部が固定されかつ左ホース部分と右ホース部分を同時に巻き取るドラム」に相当する。 d 引用発明において、「2本巻きで巻回されて」いる「樹脂製の長尺透明チューブ」の「中央部」が、「回転自在に保持されているリールに」対し「止端」とされていることと、本件発明6において、「前記連通ホースの中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラムの軸部材の外周面から突出するホース掛け突起と、前記連通ホースの中央部に装着された樹脂製コイルスプリングと、を有」していることとは、「前記連通ホースの中央部は、前記ドラムに固定され」ている点で共通する。 e 引用発明の「気泡が発生しない液体」は、「樹脂製の長尺透明チューブに」「端部に空間を残して注入され」るものであって、本件発明6の「前記液位測定管及び前記連通ホースに充填される測定液」に相当するから、引用発明において、「気泡が発生しない液体」に、「寒冷地では不凍液を用い、また、着色した液体を用いてもよ」いことと、本件発明6において、「前記液位測定管及び前記連通ホースに充填される測定液が、水と着色されたエチレングリコールとからなり、着色されたエチレングリコールは測定液の3体積%?5体積%含まれる」こととは、「前記液位測定管及び前記連通ホースに充填される測定液に、着色された液体を用いる」点で共通する。 f 上記aで述べたとおり、引用発明の「船舶の傾斜測定装置」は、船舶の両舷のドラフト差を測定するものといえるから、次の相違点は除いて、本件発明6の「船舶の両舷ドラフト差測定装置」に相当する。 (イ)以上のことから、本件発明6と引用発明とは、 「船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管と、前記2つの液位測定管を互いに連通させる連通ホースと、前記連通ホースの中央部が固定されかつ左ホース部分と右ホース部分を同時に巻き取るドラムと、を備えた測定装置であって、 前記連通ホースの中央部は、前記ドラムに固定され、 前記液位測定管及び前記連通ホースに充填される測定液に、着色された液体を用いることを特徴とする 船舶の両舷のドラフト差測定装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) 本件発明6では、「前記連通ホースの中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラムの軸部材の外周面から突出するホース掛け突起と、前記連通ホース(41)の中央部に装着された樹脂製コイルスプリング(42)と、を有」するのに対し、 引用発明では、「2本巻きで巻回されて」いる「樹脂製の長尺透明チューブ」の「中央部」が、「回転自在に保持されているリールに」対しどのような形態で「止端と」されているか、不明である点。 (相違点2) 本件発明6では、「前記液位測定管及び前記連通ホースに充填される測定液が、水と着色されたエチレングリコールとからなり、着色されたエチレングリコールは測定液の3体積%?5体積%含まれる」に対し、 引用発明では、「気泡が発生しない液体」に、「寒冷地では不凍液を用い、また、着色した液体を用いてもよ」いとされているものの、「不凍液」ないし「着色した液体」の組成が、いずれも不明である点。 (ウ)相違点の判断 事案に鑑み、本件発明6の上記相違点2について、まず検討する。 刊行物17には、レベル測定具において、可撓性チューブの内部に、着色された水、アルコール等の液体が封入されてなる技術が記載され(上記4(17))、また、刊行物18には、自在式水平測定器において、ビニールホースの中に、目の疲れ防止、また水位が見易いよう、青色もしくは緑色系統の色彩のついた色付き液体を注入しておく技術が記載されている(上記4(18))。 しかしながら、測定液に水と着色されたエチレングリコールとからなるものを用いるとともに、着色されたエチレングリコールを測定液の3体積%?5体積%含まれるようにする点については、刊行物2ないし18のいずれにも記載されておらず、一方で、本件発明6は、測定液における水と着色されたエチレングリコールとの比率をこのようにすることで、1年以上の長期間使用しても測定液の分離現象が生じないとの効果を奏する(本件特許の明細書【0051】ないし【0054】を参照。)から、引用発明において、本件発明6の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 (エ)したがって、本件発明6の上記相違点1については検討するまでもなく、本件発明6は、刊行物1に記載された発明(引用発明)ではなく、また、刊行物1ないし18に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件発明7について 本件発明7は、本件発明6を更に限定したものであるから、本件発明6について述べたのと同様の理由により、刊行物1に記載された発明(引用発明)ではなく、また、刊行物1ないし18に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 オ 本件発明8について (ア)本件発明8と引用発明とを対比する。 a 引用発明によれば、「右舷側の長尺透明チューブ内の液位と左舷側の長尺透明チューブ内の液位との間に生じる差を測定し、傾斜角を求めるとともに海側の喫水線を計算する」一方で、「岸壁側の喫水線の位置を正確に読み取っておくことにより、海側の喫水線の位置を正確に算出することができる」のであるから、引用発明は、「右舷側の長尺透明チューブ内の液位と左舷側の長尺透明チューブ内の液位との間に生じる差」によって、「岸壁側の喫水線の位置」と「海側の喫水線の位置」との差、すなわち、船舶の両舷のドラフト差を測定するものといえる。そして、引用発明の「液位測定器を備える長尺透明チューブの端部」は、「測定の際」「船の舷側」すなわち「右舷側」及び「左舷側」にそれぞれ「配置」されるものであるから、本件発明8の「船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管」に相当する。 b 引用発明において、「樹脂製の長尺透明チューブ」を通じて、「液位測定器を備える長尺透明チューブの端部」どうしが互いに連通されていることは、明らかであるから、引用発明の「樹脂製の長尺透明チューブ」は、本件発明8の「前記2つの液位測定管を互いに連通させる連通ホース」に相当する。 c 引用発明において、「回転自在に保持されているリールに、樹脂製の長尺透明チューブが、中央部を止端とする2本巻きで巻回されて」いることから、「リール」の「回転」に伴い、「樹脂製の長尺透明チューブ」が「2本巻きで」同時に巻き取られることは、明らかであり、引用発明の「回転自在に保持されているリール」は、本件発明8の「前記連通ホースの中央部が固定されかつ左ホース部分と右ホース部分を同時に巻き取るドラム」に相当する。 d 引用発明において、「2本巻きで巻回されて」いる「樹脂製の長尺透明チューブ」の「中央部」が、「回転自在に保持されているリールに」対し「止端」とされていることと、本件発明8において、「前記連通ホースの中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラムの軸部材の外周面から突出するホース掛け突起と、前記連通ホースの中央部に装着された樹脂製コイルスプリングと、を有」していることとは、「前記連通ホースの中央部は、前記ドラムに固定され」ている点で共通する。 e 引用発明において、「気泡が発生しない液体」が、「樹脂製の長尺透明チューブに」「注入され」る「注入時に気泡が混入しないように注入して収容しておく」ことと、本件発明8において、「前記液位測定管と前記連通ホースの間に接続された透明な弾性体からなる空気抜き操作チューブをさらに有し、前記空気抜き操作チューブは前記連通ホース内に存在する空気を排出させるべく外部から押圧操作される」こととは、「前記連通ホース内に空気が存在しないようにされる」点で共通する。 f 上記aで述べたとおり、引用発明の「船舶の傾斜測定装置」は、船舶の両舷のドラフト差を測定するものといえるから、次の相違点は除いて、本件発明8の「船舶の両舷ドラフト差測定装置」に相当する。 (イ)以上のことから、本件発明8と引用発明とは、 「船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管と、前記2つの液位測定管を互いに連通させる連通ホースと、前記連通ホースの中央部が固定されかつ左ホース部分と右ホース部分を同時に巻き取るドラムと、を備えた測定装置であって、 前記連通ホースの中央部は、前記ドラムに固定され、 前記連通ホース内に空気が存在しないようにされることを特徴とする 船舶の両舷のドラフト差測定装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) 本件発明8では、「前記連通ホースの中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラムの軸部材の外周面から突出するホース掛け突起と、前記連通ホース(41)の中央部に装着された樹脂製コイルスプリング(42)と、を有」するのに対し、 引用発明では、「2本巻きで巻回されて」いる「樹脂製の長尺透明チューブ」の「中央部」が、「回転自在に保持されているリールに」対しどのような形態で「止端と」されているか、不明である点。 (相違点2) 本件発明8では、「前記液位測定管と前記連通ホースの間に接続された透明な弾性体からなる空気抜き操作チューブをさらに有し、前記空気抜き操作チューブは前記連通ホース内に存在する空気を排出させるべく外部から押圧操作される」に対し、 引用発明では、「気泡が発生しない液体」が、「樹脂製の長尺透明チューブに」「注入され」る「注入時に気泡が混入しないように注入して収容しておく」ものの、「樹脂製の長尺透明チューブ」内に存在する空気を排出させるための構成については、特定がない点。 (ウ)相違点の判断 事案に鑑み、本件発明8の上記相違点2について、まず検討する。 刊行物18には、自在式水平測定器において、本体上部に取り付けたキャップの中心部に空気抜き栓を設置するとともに、本体下部に接続されるビニールホースの最先端部にも空気抜き栓を取り付けてなる技術が記載されている(上記4(18))。 しかしながら、液位測定管と連通ホースの間に透明な弾性体からなる空気抜き操作チューブを接続し、空気抜き操作チューブを外部から押圧操作することで連通ホース内に存在する空気を排出させる点については、刊行物2ないし18のいずれにも記載されていないから、引用発明において、本件発明6の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 (エ)したがって、本件発明8の上記相違点1については検討するまでもなく、本件発明8は、刊行物1に記載された発明(引用発明)ではなく、また、刊行物1ないし18に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 カ 本件発明9について 本件発明9は、本件発明8を更に限定したものであるから、本件発明8について述べたのと同様の理由により、刊行物1に記載された発明(引用発明)ではなく、また、刊行物1ないし18に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 キ 小括 よって、本件発明2、4ないし9は、いずれも、特許法第29条第1項第3号に該当せず、また、その特許が同条第2項の規定に違反してされたものであるともいえない。 6 付記 特許異議申立人新日鐵住金株式会社、日鉄住金テクノロジー株式会社は、特許異議申立書において意見書の提出を希望しているが、特許法第120条の5第5項ただし書によれば、特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるときは、意見書を提出する機会を与えなくてもよいとされている。 そこで、本件についてみるに、上記「第2」2(1)で述べたとおり、本件訂正の訂正事項1及び2は、請求項1及び3をそれぞれ削除するものであり、本件訂正の訂正事項3ないし8は、いずれも引用関係の解消を目的とする訂正であって、訂正後の請求項4ないし9は訂正前の請求項4、5に対応しており、実質的には内容の変更を伴わず、また、本件訂正の内容が、本件特許異議の申立てについての実質的な判断に影響を与えるものでもないから、上記「特別の事情」に該当するものである。 よって、特許異議申立人新日鐵住金株式会社、日鉄住金テクノロジー株式会社に、意見書を提出する機会を与える必要がないものとする(特許法第120条の5第5項ただし書、審判便覧67-05.4参照。)。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2、4ないし9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項2、4ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項1、3は、本件訂正により削除されたため、本件特許の請求項1、3に対して特許異議申立人新日鐵住金株式会社、日鉄住金テクノロジー株式会社がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(削除) 【請求項2】 船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管(11)と、前記2つの液位測定管(11)を互いに連通させる連通ホース(41)と、前記連通ホース(41)の中央部が固定されかつ左ホース部分(41a)と右ホース部分(41b)を同時に巻き取るドラム(51)と、を備えた測定装置(1)であって、 前記ドラム(51)の軸部材(51a)の外周面上に固定された複数のシート片から構成されかつ前記シート片同士の間の隙間により溝が形成されたホース保持シート(45)を有し、 前記連通ホース(41)の中央部は、前記ホース保持シート(45)の前記溝に嵌め込まれることにより前記ドラム(51)に固定されることを特徴とする 船舶の両舷のドラフト差測定装置。 【請求項3】(削除) 【請求項4】 前記液位測定管(11)及び前記連通ホース(41)に充填される測定液(W)が、水と着色されたエチレングリコールとからなり、着色されたエチレングリコールは測定液(W)の3体積%?5体積%含まれることを特徴とする 請求項2に記載の船舶の両舷ドラフト差測定装置。 【請求項5】 前記液位測定管(11)と前記連通ホース(41)の間に接続された透明な弾性体からなる空気抜き操作チューブ(13)をさらに有し、前記空気抜き操作チューブ(13)は前記連通ホース(41)内に存在する空気を排出させるべく外部から押圧操作されることを特徴とする 請求項2又は4に記載の船舶の両舷ドラフト差測定装置。 【請求項6】 船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管(11)と、前記2つの液位測定管(11)を互いに連通させる連通ホース(41)と、前記連通ホース(41)の中央部が固定されかつ左ホース部分(41a)と右ホース部分(41b)を同時に巻き取るドラム(51)と、を備えた測定装置(1)であって、 前記連通ホース(41)の中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラム(51)の軸部材(51a)の外周面から突出するホース掛け突起(51c)と、 前記連通ホース(41)の中央部に装着された樹脂製コイルスプリング(42)と、を有し、 前記液位測定管(11)及び前記連通ホース(41)に充填される測定液(W)が、水と着色されたエチレングリコールとからなり、着色されたエチレングリコールは測定液(W)の3体積%?5体積%含まれることを特徴とする 船舶の両舷ドラフト差測定装置。 【請求項7】 船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管(11)と、前記2つの液位測定管(11)を互いに連通させる連通ホース(41)と、前記連通ホース(41)の中央部が固定されかつ左ホース部分(41a)と右ホース部分(41b)を同時に巻き取るドラム(51)と、を備えた測定装置(1)であって、 前記連通ホース(41)の中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラム(51)の軸部材(51a)の外周面から突出するホース掛け突起(51c)と、 前記連通ホース(41)の中央部に装着された樹脂製コイルスプリング(42)と、を有し、 前記連通ホース(41)及び前記樹脂製コイルスプリング(42)を覆うように前記軸部材(51a)の周囲に巻き付けられ固定された補助固定テープ(43)をさらに有し、 前記液位測定管(11)及び前記連通ホース(41)に充填される測定液(W)が、水と着色されたエチレングリコールとからなり、着色されたエチレングリコールは測定液(W)の3体積%?5体積%含まれることを特徴とする 船舶の両舷ドラフト差測定装置。 【請求項8】 船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管(11)と、前記2つの液位測定管(11)を互いに連通させる連通ホース(41)と、前記連通ホース(41)の中央部が固定されかつ左ホース部分(41a)と右ホース部分(41b)を同時に巻き取るドラム(51)と、を備えた測定装置(1)であって、 前記連通ホース(41)の中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラム(51)の軸部材(51a)の外周面から突出するホース掛け突起(51c)と、 前記連通ホース(41)の中央部に装着された樹脂製コイルスプリング(42)と、を有し、 前記液位測定管(11)と前記連通ホース(41)の間に接続された透明な弾性体からなる空気抜き操作チューブ(13)をさらに有し、前記空気抜き操作チューブ(13)は前記連通ホース(41)内に存在する空気を排出させるべく外部から押圧操作されることを特徴とする 船舶の両舷ドラフト差測定装置。 【請求項9】 船舶の両舷のドラフト差を測定するべく、左舷と右舷にそれぞれ取付ける2つの液位測定管(11)と、前記2つの液位測定管(11)を互いに連通させる連通ホース(41)と、前記連通ホース(41)の中央部が固定されかつ左ホース部分(41a)と右ホース部分(41b)を同時に巻き取るドラム(51)と、を備えた測定装置(1)であって、 前記連通ホース(41)の中央部をU字状に湾曲させて引っ掛けるために、前記ドラム(51)の軸部材(51a)の外周面から突出するホース掛け突起(51c)と、 前記連通ホース(41)の中央部に装着された樹脂製コイルスプリング(42)と、を有し、 前記連通ホース(41)及び前記樹脂製コイルスプリング(42)を覆うように前記軸部材(51a)の周囲に巻き付けられ固定された補助固定テープ(43)をさらに有し、 前記液位測定管(11)と前記連通ホース(41)の間に接続された透明な弾性体からなる空気抜き操作チューブ(13)をさらに有し、前記空気抜き操作チューブ(13)は前記連通ホース(41)内に存在する空気を排出させるべく外部から押圧操作されることを特徴とする 船舶の両舷ドラフト差測定装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2016-11-16 |
出願番号 | 特願2015-534854(P2015-534854) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(G01C)
P 1 651・ 113- YAA (G01C) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | ▲うし▼田 真悟 |
特許庁審判長 |
酒井 伸芳 |
特許庁審判官 |
大和田 有軌 関根 洋之 |
登録日 | 2015-10-23 |
登録番号 | 特許第5827775号(P5827775) |
権利者 | 盈 幸一郎 |
発明の名称 | 船舶の両舷ドラフト差測定装置 |
代理人 | 石田 敬 |
代理人 | 福地 律生 |
代理人 | 井坂 洋子 |
代理人 | 南 俊宏 |
代理人 | 亀松 宏 |
代理人 | ▲徳▼永 英男 |
代理人 | 河合 典子 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 安本 真珠美 |
代理人 | 古賀 哲次 |
代理人 | 福地 律生 |
代理人 | 井坂 洋子 |
代理人 | 中村 朝幸 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 小島 高城郎 |
代理人 | 亀松 宏 |
代理人 | 南 俊宏 |
代理人 | 中村 朝幸 |
代理人 | 小島 高城郎 |
代理人 | ▲徳▼永 英男 |
代理人 | 安本 真珠美 |
代理人 | 古賀 哲次 |
代理人 | 石田 敬 |
代理人 | 河合 典子 |