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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 F03D 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 F03D 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 F03D |
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管理番号 | 1323793 |
審判番号 | 不服2015-12486 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-07-01 |
確定日 | 2016-07-19 |
事件の表示 | 特願2011-532400「発電システム及びパイプラインの基本構造」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 8月25日国際公開,WO2011/101974〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2010年(平成22年)2月18日を国際出願日とする出願であって,平成25年 6月 6日付けで拒絶理由が通知され(発送日:同年 7月2日),同年 9月 2日付けで意見書及び手続補正が提出され,平成26年 2月 7日付けで最後の拒絶理由が通知され(発送日:同年 3月 4日),同年 5月 2日付け(差出日)で意見書及び手続補正書が提出され,同年10月 1日付けで再度最後の拒絶理由が通知され(発送日:同年10月28日),同年12月 5日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが,平成27年 3月 5日付けで,平成26年12月 5日付けの手続補正を却下するとともに拒絶査定がなされ(発送日:平成27年 4月 7日),これに対して,平成27年 7月 1日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出された。 (なお,平成22年 2月25日付け提出の手続補正書にかかる手続は,平成24年 9月12日付けで手続却下された(発送日:同年10月 9日)。また,平成23年 8月1日付け提出の特許協力条約第19条補正の写し提出書にかかる手続は,平成24年 5月15日付けで手続却下された(発送日:同年 6月 5日)。) 第2 平成27年 7月 1日付けの手続補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成27年 7月 1日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.新規事項について 本件補正が,日本語でされた国際特許出願に係る国際出願日における明細書,請求の範囲又は図面(以下,「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものか否かを検討する。 (1)本件補正により,明細書の段落【0010】の図12欄の「非等圧合流パターン1 トリチェリ管を利用」を「非等圧合流パターン1 霧吹きを応用」とされ,段落【0048】の符号43の「トリチェリ管を利用した合流管」を「霧吹きを応用した合流管」とされた(下線は,当審で付与した。以下同様。)。 当初明細書等の段落【0010】の図12欄では「非等圧合流パターン1 トリチェリ管を利用」と記載されており,当初明細書等の段落【0038】の符号33では「トリチェリ管を利用した合流管」と記載されている。 当初明細書等の段落【0021】には図12に関して,「図12,流速が早くなると流れに垂直の圧力が減少することを利用。パーツが少なくローコスト。」と記載されている。 そして,これらの記載事項及び図12を参照しても,当初明細書等には,「霧吹きを応用」すること(以下,「補正A」という。)は,記載も示唆もされておらず,上記補正Aは,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものと認めることができない。 (2)本件補正により,明細書の段落【0027】は「図17,ハブ,図18のパーツをボルトで止める。」とされた。 当初明細書等の上記補正に対応する箇所である段落【0026】には,「図18,ハブのパーツの3面図。これが動くと羽根の頂点が変わってしまうので動かないように固定する。」と記載されており,当初明細書等の図17には,リボン型風車のハブが,図18には,リボン風車のハブのパーツが記載されているが,「図18のパーツをボルトで止める」こと(以下,「補正B」という。)は,記載も示唆もされておらず,上記補正Bについては,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものと認めることができない。 (3)本件補正により,明細書の段落【0030】は「図20 人口軽石ブロックを積み上げて多孔質な素材に音を吸収させる。人口軽石は,太陽炉などを使用し,岩石を溶かし水中に投下。うまく出来ない場合,ところてんの様に繊維状に押し出したものを水中に投下。それでもうまくいかないのであれば,3次元プリンターで石灰を軽石状に作成する。濡れないようにする必要があるが。」とされた。 当初明細書等の上記補正に対応する箇所である段落【0028】には,「図20 人口軽石ブロックを積み上げて多孔質な素材に音を吸収させる。」と記載されており,当初明細書等の図20の「地上の消音システムの施工例」を参照しても,当初明細書等には,「人口軽石は,太陽炉などを使用し,岩石を溶かし水中に投下。うまく出来ない場合,ところてんの様に繊維状に押し出したものを水中に投下。それでもうまくいかないのであれば,3次元プリンターで石灰を軽石状に作成する。濡れないようにする必要があるが。」(以下,「補正C」という。)とすることは,記載も示唆もされておらず,上記補正Cについては,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものと認めることができない。 (4)まとめ したがって,本件補正のうち上記補正A?Cについては,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願について 1.本願発明 本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成26年 5月 2日付け(差出日)手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものと認められる。 「【請求項1】 既存の発電所から電力供給を受け,空気を液化したものを個別システムに利用し,それぞれのシステムで当該液化した空気が気化する際の圧力をパイプラインで複数組み合わせることによってそれぞれのシステムを安定化させ最終的に巨大な1本にまとめ,当該1本のパイプライン内に設置した風力発電機で最終地点との気圧差を利用して発電し風力発電を安定化させる。原子力と化石燃料を使用しない発電システムとパイプラインの基本構造。」 2.当審の拒絶理由の概要 当審において平成26年10月 1日付けで通知した最後の拒絶理由の概要は,以下のとおりである。 「1.この出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 2.この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 ≪理由1について≫ 請求項1の「それぞれのシステムを安定化させ」の記載について,「それぞれのシステム」とは,液化した空気が気化するシステム(例えば工場)であるが,なぜシステムから出て行く側の圧力を(気化する際の圧力を)「パイプラインで複数組み合わせることによって」,パイプラインの下流のみならずパイプラインの上流側(システム側)が安定し得るのか,明細書等全体を参酌しても,その原理を把握することができない。 なお,当該記載は誤記である可能性がある。 よって,この出願の発明の詳細な説明は,当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 ≪理由2について≫ 請求項1に記載された「それぞれのシステムを安定化させ」る構成について,≪理由1について≫に示したように,その原理が把握できない結果,当該構成が具体的にどのような構成を示唆するのか把握することができないし,「安定」自体の定義(システムがどのような状態であることを「安定」と言うか)も不明である。 請求項1に係る発明は,句点(。)で二つの文(「安定化させる。」までの文と,「原子力」以降の文)に分かれているが,請求項1に係る発明が,当該句点までの文,または,句点以降の文の,どちらか一方の発明を示すのか,両方の文に記載された構成を併せ持つ発明を示すのか,請求項1に係る発明を正確に特定することができない。 なお,当該句点(。)は,読点(,)の誤記である可能性がある。 よって,請求項1に係る発明は明確でない。」 3.当審の判断 (1)明細書の主な記載事項 ・「【課題を解決するための手段】 【0008】 既存のごみ処理場,既存の原子力を除く発電所,既存の空気液化工場,パイプラインと既存の風力発電機,光合成をする工場の統合。 既存の発電所から電力供給を受け,空気を液化したものを個別に利用し,水分は植物工場におくる。二酸化炭素は植物工場へ送り,光合成に利用する。酸素の一部は,ゴミ処理場の燃焼剤として利用し,廃熱は電力化,残りの酸素はゴミ処理場から出る排ガスと熱交換してメインの風力発電を回す。窒素は気化する際の圧力を利用してタービンを回し,パイプライン内に設置した風力発電機を最終地点との気圧差を利用して発電するシステム。それらの限界地点に同じシステムを追加し加速,パイプの大きさで減速。最終的に巨大な1本にまとめ,風力発電を安定化させる。原子力と化石燃料を使用しない発電システム。 日本を3週ざっと12,000km程パイプラインでつなぐ。秒速15mではじめから終わりまで9日強かかる。秒速3mで46日強になる。 このシステムは3つの要素で構成される。気化による圧力の上昇。熱エネルギーは高いところから低いところに流れることによって膨張,膨張するエネルギーを一方向に制限する。の3つである。 【発明の効果】 【0009】 従来の風車と違い地上に影を落とさない。風任せの発電で無くなる。地上に落とす影に驚かないようになる。液体とは違い気体なので高低を気にしない。平地から高地へ,必用な所では個別にビルの内部を駆け巡り発電し本流パイプに合流。常に閉じた空間(高気圧)から開放された空間(低気圧)へと流していく。化石燃料に頼らないゴミ処理&火力発電の構築。原子力発電に頼らない社会システムの構築。」 ・「【0010】 【図1】概略図 【図2】基本システム 【図3】 【図4】集合住宅,植物工場,集中発電所,図はビルの床下壁面に配管した例 【図5】 【図6】 【図7】 【図8】 【図9】 【図10】 【図11】 【図12】非等圧合流パターン1 トリチェリ管を利用 【図13】非等圧合流パターン2 流速利用 【図14】非等圧合流パターン3 風車利用」 【図15】 【図16】リボン型羽根の抜き型の一例 【図17】 【図18】 【図19】消音システムの一例 円柱の配列図 【図20】 【図21】 【図22】 【図23】 【図24】 【図25】 【図26】 【図27】 【図28】 【図29】 【図30】 【図31】 【図32】 【図33】」 ・「【0011】 図1,断層と断層の間に大パイプ以前を配置することによってパイプの破断による停電を防ぎ,地域に起点を設置できない場合は複数の地域の終点から供給できるように設置する。ごみ処理場兼火力発電所は安定的に電源を供給できるシステムがあれば省略してもよい。 【0012】 図2,空気液化工場の処理能力によって,気化タンクの数を増やす。少ない場合はパイプを更に細くする。」 ・「【0014】 図4,住宅としての使用例,ただの一戸建てでも良いし,騒音が気になるのであれば地下や屋上のみ設置する。」 ・「【0022】 図12,合流地点に使用する部品。流速が早くなると流れに垂直の圧力が減少することを利用。パーツが少なくローコスト。 【0023】 図13,合流地点に使用する部品。図aは使用する際の形状,図bは分解した図,図cは図aの破線部分の断面図。 【0024】 図14,合流地点に使用する部品。どちらの圧が高くても別によいがパーツ点数が多いのでコストがかかる。図bは図aの破線部分の断面図。」 ・「【0048】 1 断層 2 空気液化工場 3 ごみ処理場,兼火力発電所 4 二酸化炭素処理場,植物工場 5 太陽光発電 6 地熱発電 7 水力発電 8 送電線 9 窒素気化タンク及び,予備タンク 10 窒素パイプ 11 酸素気化タンク 12 酸素パイプ(風車用) 13 酸素パイプ(燃焼用) 14 二酸化炭素パイプ 15 水 16 合流ポイント 17 建物(住宅,工場,集中発電所) 18 小型パイプ 19 中間パイプ 20 大型パイプ 23 地上,風車 24 地下,風車 35 43 トリチェリ管を利用した合流管 44 圧力 大 45 圧力 小 46 外羽根 47 内羽根 51 54 羽根 57 円柱」 (2)特許請求の範囲,明細書等から把握される事項 図1,図2から,窒素気化タンク及び予備タンク9,酸素気化タンク11,窒素パイプ10,酸素パイプ12(風車用)があることから,窒素と酸素は気化されると共に合流ポイント16で合流することが理解できる。 また,図12?図14に,合流地点に使用する部品として,非等圧合流パターンが3通り示されると共に,図1及び図4を参照すると,各システムの小型パイプ18の途中に集中発電所を有する建物(ビル)17があることが理解できる。 これらの記載事項と図示内容を参照すると,既存の発電所(太陽光発電5,地熱発電6,水力発電7)から電力供給を受け,空気液化工場2で空気を液化したものを個別システム(それぞれ図2の基本システムで代表される図1の断層1で区切られた3つのシステム)に利用し,それぞれのシステムで当該液化した空気(窒素,酸素)を気化する際の圧力をパイプライン(窒素パイプ10,酸素パイプ12,小型パイプ18)で複数組み合わせる(窒素パイプ10と酸素パイプ12を組み合わせて小型パイプ18とすること,小型パイプ18同士を組み合わせて中間パイプ19とすること,中間パイプ19と小型パイプ18を組み合わせて大型パイプ20とすること)により最終的に巨大な1本(大型パイプ20)にまとめ,当該1本のパイプライン(大型パイプ20)内に設置した風力発電機(地上風車23,地下風車24等の風力発電機)で最終地点との気圧差を利用して発電し,風力発電を安定化させる,原子力と化石燃料を使用しない(ゴミ処理場兼火力発電3,太陽光発電5,地熱発電6,水力発電7)発電システムとパイプラインの基本構造が把握できる。 しかしながら,請求項1に係る発明の「それぞれのシステムで当該液化した空気が気化する際の圧力をパイプラインで複数組み合わせることによってそれぞれのシステムを安定化させ最終的に巨大な1本にまとめ」なる記載の内,「それぞれのシステム」(図1に3組記載された図2の基本システム)で「当該液化した空気が気化する際の圧力をパイプラインで複数組み合わせること」によって,どのようにして,パイプラインを組み合わせた合流ポイントの上流側にある「それぞれのシステムを安定化させ」ることができるのかが,発明の詳細な説明の記載を参照しても把握することができず,請求項1に係る発明が明確でない。 合流ポイントに図12?図14の非等圧合流パターン1?3のそれぞれを適用するとしても,非等圧合流パターン1?3がどのように作用して各基本システムをどのように安定化させるかや,どのパイプラインを圧力大と圧力小のパイプに適用するのかは,発明の詳細な説明を参照しても何ら示されておらず,どのようにしてパイプラインを組み合わせることにより合流ポイントの上流側にある「それぞれのシステムを安定化させ」ることができるのかが,当業者が実施できる程度に発明の詳細な説明に明確かつ十分に記載されていない。 また,請求項1に係る発明には,「最終的に巨大な1本にまとめ,当該1本のパイプライン内に設置した風力発電機」と記載されているように,最終的に1本にまとめられたパイプライン内に風力発電機が設置されていることは記載されているが,その他のパイプラインに風力発電機が存在することは記載されていないから,それぞれのシステムを安定化させることにはならない。 そして,特許請求の範囲の請求項1に係る発明の記載では,「それぞれのシステムを安定化させ」るための具体的な構成が明確でないと共に,安定化の意味も不明である。 (3)審判請求書における請求人の主張概要 ア.図1,図2の白丸は合流ポイントであって,16の符号として図示されているとし,また,図12?図14は,非等圧合流パターン1?3であるから,合流ポイントで用いられることは明らかである。 イ.「図1と『安定』の説明。私の意図した『不安定』とは合流ポイントまでに連なる発電機によって弱められた風速を非等圧合流パターンによる接続によって勢いが余っている方が弱っている方の風速を補強(もしくは多数による平均化によって安定)して幾つもの支点が合流しあい巨大化して出口を目指し風が流れるイメージで1概略図は描いたつもりである。」 ウ.「このシステムの起点は各種発電所から電力供給を受け空気を液化する所から始まり,ゴミ処理場兼火力発電所へ液化酸素を,液化窒素はそのまま,ゴミ処理場の排ガス及び水や二酸化炭素は植物工場へ行くのだが,最初の合流ポイントで窒素酸素は混合し18の小型パイプを通って17建物(住宅,工場,集中発電所)に送られる。図4に17の建物は書かれているがその中のパイプ内には何も書かれてはいない。しかし説明には集中発電所と書いてある。既にパイプの中には風力発電機が多数設置されている事を示しているのだが,ドット絵を描くのが非常に面倒なので省略した。これに対し,のちに削除してしまった図6?7の破損した風力発電機が玉突き事故を起こさない様にゴミを除去する中小パイプのトラップにおいて,(この説明自体は最初の明細書段落0016に,図6,破損した部品で連続的に故障するのを防ぐ為にトラップを設置する。修理の際は予備のパイプに経路を変更する。と記載してある。)37補修用パイプには何も書かず,38小中本管にはゴミの様なドット絵の風力発電機を4個書いたのは,図1に比べ図4は管が非常に短く描く量が限定的である為描いた。そして風力発電機が入っているのは図6において38小中本管の中ですよと必死にアピールしてある。」 エ.「図1に戻り17建物(住宅,工場,集中発電所)を出た18小型パイプ同士が16合流ポイントを示す白丸で合流して19中間パイプに格上げされる。ここでこれらの合流ポイントまでの個別のシステム間には,それぞれ1断層が描かれているが,これは断層による隆起等でパイプが破断されない為,もしくは被害が最小限にとどめる為に描いたものである。即ち1断層で区切られているのは破壊されても最低限生き残ってもらいたい細胞もしくは最低限の小グループである。当然の事ながら地震災害のどの箇所の被害の軽重は素人には判らない。起点の液化工場が破壊されてしまうところもあれば,運よく軽微な損害で済む場所も当然出てくる。生き残った起点が壊滅した起点を補う事を想定したのが図1概略図における1断層なのである。もし想定していなかったら1断層というシステムと全く無関係な物を記載しない。故に18小型パイプ,19中間パイプの中に発電機が存在しない想定は微塵も私の発想の中に無い。そこで気にかかるのはそれらの18小型パイプ内に一体どれだけ風力発電機が組み込まれているのであろうか,という事である。」 (4)請求人の主張に対して ア.について 平成26年 5月 2日付け(差出日)手続補正書により補正された明細書,特許請求の範囲,及び図面からは,図1,図2の白丸が合流ポイントであることは把握でき,図12?14が,非等圧合流パターン1?3であって,段落【0022】?【0024】に「合流地点に使用する部品」と記載されていることから,図12?図14の非等圧合流パターン1?3を合流ポイントで用いることは明らかである。 イ.?エ.について 「合流ポイントまで連なる発電機によって弱められた風速」という主張からみて,合流ポイントまで発電機が連なることを前提としているが,図1,図2には,合流ポイント16で窒素パイプ10と酸素パイプ12が合流しているが,発電機は図示されていない。また,小型パイプ18は途中で集中発電所を有する建物17を通っているが,どのような発電機かは発明の詳細な説明には何ら特定されていない。 明細書の段落【0008】には,「酸素の一部は,ゴミ処理場の燃焼剤として利用し,廃熱は電力化,残りの酸素はゴミ処理場から出る排ガスと熱交換してメインの風力発電を回す。窒素は気化する際の圧力を利用してタービンを回し,パイプライン内に設置した風力発電機を最終地点との気圧差を利用して発電するシステム。」と記載されているが,「パイプライン内に設置した風力発電機」との記載にとどまり,建物の集中発電機が風力発電機であることは記載されていない。 図12?図14の非等圧合流パターンを合流ポイントで用いることによって,弱っている方の風速を補強することが,それぞれのシステムを安定化することになると主張しているが,特に,図12,図13の非等圧合流パターンでは,風速が弱っている(遅い)方のパイプと勢いの余っている(速い)方のパイプを特定して接続する必要があり,具体的に,合流するどちらのパイプを風速の速い側又は遅い側に特定するのかも発明の詳細な説明には記載されていない。そして,風速の速い側と遅い側が常に決まっていなければ,弱っている(遅い)風速を補強することはできないと思料される また,図14と図14を説明する段落【0024】の記載を参照しても,図14の非等圧合流パターン3の「それぞれのシステムを安定化させる」ための構成及びその作用は不明である。 さらに,弱まっている方の風速を補強することで,なぜ,合流ポイントの上流側にあるそれぞれのシステムを安定化できるのかは,それぞれのシステムにどのような発電機を用いるのかも特定されていないため,不明である。 よって,請求人の上記主張イ.?エ.は,採用できるものではない。 (5)むすび したがって,本願は,明細書,特許請求の範囲,及び図面の記載が特許法第36条第4項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていないから,拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-04-07 |
結審通知日 | 2016-05-17 |
審決日 | 2016-05-30 |
出願番号 | 特願2011-532400(P2011-532400) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
Z
(F03D)
P 1 8・ 537- Z (F03D) P 1 8・ 55- Z (F03D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田谷 宗隆 |
特許庁審判長 |
中川 真一 |
特許庁審判官 |
藤井 昇 前田 浩 |
発明の名称 | 発電システム及びパイプラインの基本構造 |