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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A61B
審判 全部無効 1項2号公然実施  A61B
審判 全部無効 2項進歩性  A61B
審判 全部無効 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  A61B
管理番号 1323807
審判番号 無効2015-800060  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-03-12 
確定日 2016-12-19 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5475712号発明「生体情報測定装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5475712号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項[1-5]について、訂正することを認める。 特許第5475712号の請求項1、2、及び5に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯

本件特許第5475712号(以下、「本件特許」という。)は、平成23年3月23日に出願されたものであって、本件無効審判の手続の経緯は以下のとおりである。
なお、甲各号証は、甲と数字を組み合わせて表すこととする。例えば、甲第1号証は、「甲1」という。乙各号証及び検甲各号証も同様である。

平成26年 2月14日 特許権の設定登録
平成27年 3月12日 審判請求書(甲1?甲7)
平成27年 4月10日 手続補正書(請求人)
平成27年 6月18日 訂正請求書(1回目)、及び答弁書(乙1、乙2)
平成27年 7月31日 弁駁書、及び手続補正書(請求人、甲8?甲11)
平成27年 9月29日 審理事項通知書
平成27年10月13日 口頭審理陳述要領書(請求人、甲1の1?甲1の3、甲6の1?甲6の9、甲12(なお、甲第12号証については、「参考資料」としての扱いとなった(第1回口頭審理調書参照)。))
平成27年10月13日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成27年10月27日 口頭審理
平成27年11月10日 上申書(被請求人)
平成27年11月25日 審決の予告
平成28年 1月29日 訂正請求書(2回目)
平成28年 3月 8日 手続補正書(被請求人)
平成28年 4月13日 弁駁書、及び検証申出書(請求人、甲13?甲18、検甲1の1?検甲1の3、検甲13)
平成28年 5月10日 検証物指示説明書(請求人)
平成28年 6月 8日 答弁書
平成28年 6月29日 上申書(被請求人)

第2 訂正請求について

本件特許の訂正について,平成27年6月18日付け訂正請求書(1回目),及び平成28年1月29日付け訂正請求書(2回目)が提出されているが,「訂正の請求がされた場合において,その審判事件において先にした訂正の請求があるときは,当該先の請求は,取り下げられたものとみなす」(特許法第134条の2第6項)と規定されているから,平成28年1月29日付け訂正請求書(2回目)に添付され、同年3月8日付け手続補正書において補正された訂正明細書、特許請求の範囲のみを検討の対象とする。
なお、下線は訂正箇所を示す。

1 訂正請求の内容

(1)請求項に係る訂正

(1-1)訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1に「前記台座本体の幅方向」とあるのを、「前記生体情報測定装置の幅方向」に訂正する。

(1-2)訂正事項1-2

特許請求の範囲の請求項1に「電極、および、少なくとも3つの台足を有し」とあるのを、「電極、少なくとも3つの台足、および、荷重を検出する荷重センサを有し、」に訂正する。

(1-3)訂正事項1-3

特許請求の範囲の請求項1に「台座本体および載置台を有し、前記載置台は、前記台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され、」とあるのを、「台座本体、および、前記台座本体の上に固定された載置台を有し、前記載置台は、」に訂正する。

(1-4)訂正事項1-4

特許請求の範囲の請求項1に(「前記載置台は」)「左側の側端、および、身体が載せられる載置面を有し、」とあるのを、(「前記載置台は」)「左側の側端、身体が載せられる載置面、および前記載置面の反対側の面を構成する下面を有し、」に訂正する。

(1-5)訂正事項1-5

特許請求の範囲の請求項1に(「前記台座本体は」)「下面を有し、」とあるのを、(「前記台座本体は」)「前記台足が相対移動可能に嵌りこむ孔が設けられている下面を有し、」に訂正する。

(1-6)訂正事項1-6

特許請求の範囲の請求項1に、「前記荷重センサは、前記載置台と前記台座本体の下面の孔を介して嵌入された前記台足との間に配置され、前記載置台に荷重が加えられたときに前記台足からの力が前記荷重センサに加わるように設けられ、」を追加する。

(1-7)訂正事項1-7

特許請求の範囲の請求項1に「前記右側の側端」、「前記左側の側端」、「前記右側面」、「前記左側面」、及び「前記下面」とあるのを、それぞれ「前記載置台の前記右側の側端」、「前記載置台の前記左側の側端」、「前記台座本体の前記右側面」、「前記台座本体の前記左側面」、及び「前記台座本体の前記下面」に訂正する。

(1-8)訂正事項1-8

特許請求の範囲の請求項1に、「前記載置台の前記下面における右端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に延びて、前記右側の側端に接続され、」及び「前記載置台の前記下面における左端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に延びて、前記左側の側端に接続され、」を追加する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に、「前記生体情報測定装置は、2つの前記足マーク、および、4つの前記台足を有し、
前記2つの足マークは、左足に対応する左足マーク、および、右足に対応する右足マークを含み、
前記載置面は、4つの辺を有し、
前記載置面の4つの辺は、前記生体情報測定装置の前後方向において互いに対向する前辺および後辺、ならびに、前記生体情報測定装置の幅方向において互いに対向する左辺および右辺を含み、
前記前辺の長さは、前記後辺の長さよりも長く、
前記左側面は、前記左辺に対応して形成され、
前記右側面は、前記右辺に対応して形成され、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左後方台足の中心軸が前記左足マークの中心線よりも外側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右後方台足の中心軸が前記右足マークの中心線よりも外側に存在している
請求項2に記載の生体情報測定装置。」とあるのを、
「生体情報測定装置であって、
前記生体情報測定装置は、台座、電極、4つの台足、および2つの足マークを有し、
前記台座は、台座本体および載置台を有し、
前記載置台は、前記台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され、右側の側端、左側の側端、および、身体が載せられる載置面を有し、
前記電極は、前記載置面に形成され、
前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、
前記2つの足マークは、左足に対応する左足マーク、および、右足に対応する右足マークを含み、
前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有し、
前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、
前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、
前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記右側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記左側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記載置面は、4つの辺を有し、
前記載置面の4つの辺は、前記生体情報測定装置の前後方向において互いに対向する前辺および後辺、ならびに、前記生体情報測定装置の幅方向において互いに対向する左辺および右辺を含み、
前記前辺の長さは、前記後辺の長さよりも長く、
前記左側面は、前記左辺に対応して形成され、
前記右側面は、前記右辺に対応して形成され、
前記4つの台足は、前記台座を支持し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左後方台足の中心軸が前記左足マークの中心線よりも外側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右後方台足の中心軸が前記右足マークの中心線よりも外側に存在している
生体情報測定装置。」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に、「前記生体情報測定装置は、2つの前記足マーク、および、4つの前記台足を有し、
前記2つの足マークは、左足に対応する左足マーク、および、右足に対応する右足マークを含み、
前記載置面は、4つの辺を有し、
前記載置面の4つの辺は、前記生体情報測定装置の前後方向において互いに対向する前辺および後辺、ならびに、前記生体情報測定装置の幅方向において互いに対向する左辺および右辺を含み、
前記前辺の長さは、前記後辺の長さよりも短く、
前記左側面は、前記左辺に対応して形成され、
前記右側面は、前記右辺に対応して形成され、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左前方台足の中心軸が前記左足マークの中心線よりも外側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右前方台足の中心軸が前記右足マークの中心線よりも外側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在している
請求項2に記載の生体情報測定装置。」とあるのを、
「生体情報測定装置であって、
前記生体情報測定装置は、台座、電極、4つの台足、および2つの足マークを有し、
前記台座は、台座本体および載置台を有し、
前記載置台は、前記台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され、右側の側端、左側の側端、および、身体が載せられる載置面を有し、
前記電極は、前記載置面に形成され、
前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、
前記2つの足マークは、左足に対応する左足マーク、および、右足に対応する右足マークを含み、
前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有し、
前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、
前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、
前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記右側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記左側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記載置面は、4つの辺を有し、
前記載置面の4つの辺は、前記生体情報測定装置の前後方向において互いに対向する前辺および後辺、ならびに、前記生体情報測定装置の幅方向において互いに対向する左辺および右辺を含み、
前記前辺の長さは、前記後辺の長さよりも短く、
前記左側面は、前記左辺に対応して形成され、
前記右側面は、前記右辺に対応して形成され、
前記4つの台足は、前記台座を支持し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左前方台足の中心軸が前記左足マークの中心線よりも外側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右前方台足の中心軸が前記右足マークの中心線よりも外側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在している
生体情報測定装置。」に訂正する。

(4)訂正事項4
明細書等の段落【0007】を、「 〔1〕本生体情報測定装置は、次の事項を有する。生体情報測定装置は、台座、電極、少なくとも3つの台足、および、荷重を検出する荷重センサを有し、前記台座は、台座本体、および、前記台座本体の上に固定された載置台を有し、前記載置台は、右側の側端、左側の側端、身体が載せられる載置面、および前記載置面の反対側の面を構成する下面を有し、前記台座本体は、右側面、左側面、および、前記台足が移動可能に嵌りこむ孔が設けられている下面を有し、前記荷重センサは、前記載置台と前記台座本体の下面の孔を介して嵌入された前記台足との間に配置され、前記載置台に荷重が加えられたときに前記台足からの力が前記荷重センサに加わるように設けられ、前記電極は、前記載置面に形成され、前記載置台の前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における右端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に延びて、前記右側の側端に接続され、前記載置台の前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における左端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に延びて、前記左側の側端に接続され、前記台座本体の前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記台座本体の前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記台座本体の前記右側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記台座本体の前記左側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記少なくとも3つの台足は、前記台座を支持し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在している。
〔2〕上記生体情報測定装置は、次の事項を有する。前記生体情報測定装置は、足マークを有し、前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、前記台足の中心軸は、前記台足の中心軸を通る前記生体情報測定装置の幅方向において、前記足マークの中心位置よりも外側に存在している。
〔3〕上記生体情報測定装置は、次の事項を有する。生体情報測定装置は、台座、電極、4つの台足、および2つの足マークを有し、前記台座は、台座本体および載置台を有し、前記載置台は、前記台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され、右側の側端、左側の側端、および、身体が載せられる載置面を有し、前記電極は、前記載置面に形成され、前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、前記2つの足マークは、左足に対応する左足マーク、および、右足に対応する右足マークを含み、前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有し、前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記右側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記左側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記載置面は、4つの辺を有し、前記載置面の4つの辺は、前記生体情報測定装置の前後方向において互いに対向する前辺および後辺、ならびに、前記生体情報測定装置の幅方向において互いに対向する左辺および右辺を含み、前記前辺の長さは、前記後辺の長さよりも長く、前記左側面は、前記左辺に対応して形成され、前記右側面は、前記右辺に対応して形成され、前記4つの台足は、前記台座を支持し、前記4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左後方台足の中心軸が前記左足マークの中心線よりも外側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右後方台足の中心軸が前記右足マークの中心線よりも外側に存在している。
〔4〕上記生体情報測定装置は、次の事項を有する。生体情報測定装置は、台座、電極、4つの台足、および2つの足マークを有し、前記台座は、台座本体および載置台を有し、前記載置台は、前記台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され、右側の側端、左側の側端、および、身体が載せられる載置面を有し、前記電極は、前記載置面に形成され、前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、前記2つの足マークは、左足に対応する左足マーク、および、右足に対応する右足マークを含み、前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有し、前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記右側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記左側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記載置面は、4つの辺を有し、前記載置面の4つの辺は、前記生体情報測定装置の前後方向において互いに対向する前辺および後辺、ならびに、前記生体情報測定装置の幅方向において互いに対向する左辺および右辺を含み、前記前辺の長さは、前記後辺の長さよりも短く、前記左側面は、前記左辺に対応して形成され、前記右側面は、前記右辺に対応して形成され、前記4つの台足は、前記台座を支持し、前記4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左前方台足の中心軸が前記左足マークの中心線よりも外側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右前方台足の中心軸が前記右足マークの中心線よりも外側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在している。
〔5〕上記生体情報測定装置は、次の事項を有する。前記足マークの少なくとも一部は、前記電極により構成されている。」に訂正する。

2 訂正の適否について

(1-1) 訂正事項1-1

ア 訂正の目的について

訂正事項1-1は、訂正前の請求項1において「生体情報測定装置の幅方向」と「台座本体の幅方向」とで統一されていなかった用語を、「生体情報測定装置の幅方向」に統一するものである。
したがって、訂正事項1-1は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

訂正事項1-1は、上記アのとおり用語の統一を行う訂正に過ぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、訂正事項1-1は明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

訂正事項1-1は、上記アのとおり用語の統一を行う訂正に過ぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(1-2) 訂正事項1-2

ア 訂正の目的について

訂正事項1-2は、訂正前の請求項1について、生態情報測定装置が「荷重を検出する荷重センサを有」する点で減縮したものである。
したがって、訂正事項1-2は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

明細書等の【0015】には、「生体情報測定装置1は、身体を載せる台座10と、この台座10を支持する4つの台足20と、載置面15に加わる荷重を測定する4つの荷重センサ30とを備えている。」(下線は当審で付した。以下において同様。)と記載されている。「荷重を検出する」ことは、「荷重を測定する」ことに対して新たな技術的意義を生ずるものでないから、訂正事項1-2は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

訂正事項1-2は、上記アのとおり特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(1-3) 訂正事項1-3

ア 訂正の目的について

訂正事項1-3は、訂正前の請求項1の「台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され」る「載置台」を、「台座本体の上に固定された載置台」と限定したものである。
したがって、訂正事項1-3は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

明細書等の【0017】には、「台座本体10Aの上に設けられる載置台10Bとを備えている。台座本体10Aと載置台10Bとはねじ等により締結されている。」と記載されている。「固定され」ていることは、「締結されている」こと(すなわち固く結ばれていること)に対して新たな技術的意義を生ずるものでないから、訂正事項1-3は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

訂正事項1-3は、上記アのとおり特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(1-4) 訂正事項1-4

ア 訂正の目的について

訂正事項1-4は、訂正前の請求項1の「載置台」が、「載置面の反対側の面を構成する下面を有」することを限定したものである。
したがって、訂正事項1-4は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

明細書等の【0018】には、「載置台10Bの上面が身体を載せる載置面15とされている。載置台10Bの下面には台座本体10Aが設けられる。」と記載されている。「下面」は「上面」の反対側の面であるから、「載置台10Bの下面」とは、「載置面15」の反対側の面である。よって、訂正事項1-4は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

訂正事項1-4は、上記アのとおり特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(1-5) 訂正事項1-5

ア 訂正の目的について

訂正事項1-5は、訂正前の請求項1の「台座本体」の「下面」に、「前記台足が相対移動可能に嵌りこむ孔が設けられている」ことを限定したものである。
したがって、訂正事項1-5は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

明細書等の【0017】には、「台座本体10Aの上に設けられる載置台10Bとを備えている。台座本体10Aと載置台10Bとはねじ等により締結されている。」と記載され、【0021】には、「台座本体10Aの下面には、台足20が嵌りこむ4つの孔17が形成されている。」及び「台座本体10Aに荷重が加えられたときは、荷重センサ30を介して台足20に力が加わる。」と記載され、【0030】には、「荷重センサ30は、歪ゲージを有するロードセルを備えている。ロードセルは、ロードセル本体と、荷重を受けることにより変形しかつロードセル本体に対して移動する作用部とにより構成されている。ロードセル本体は載置台10Bに固定されている。ロードセルの作用部は台足20に接触する。」と記載されている。
したがって、「作用部」に接触し、「台座本体10Aに荷重が加えられたとき」に「力が加わる」「台足20」は、「ロードセル本体」を固定する「載置台10B」に締結されている「台座本体10A」に対して移動する。そして、「台座本体10Aの下面には、台足20が嵌りこむ4つの孔17が形成されている」から、訂正事項1-5は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

訂正事項1-5は、上記アのとおり特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(1-6) 訂正事項1-6

ア 訂正の目的について

訂正事項1-6は、訂正事項1-2で追加された「荷重センサ」について、さらに「前記荷重センサは、前記載置台と前記台座本体の下面の孔を介して嵌入された前記台足との間に配置され、前記載置台に荷重が加えられたときに前記台足からの力が前記荷重センサに加わるように設けられ」る点で減縮したものである。
したがって、訂正事項1-6は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

明細書等の【0021】には、「台座本体10Aの下面には、台足20が嵌りこむ4つの孔17が形成されている。」及び「すなわち、荷重センサ30は、載置台10Bと台足20との間に配置されている。台座本体10Aに荷重が加えられたときは、荷重センサ30を介して台足20に力が加わる。」と記載され、【0029】には、「荷重センサ30は、載置面15に加えられる荷重を検出し、検出信号を制御装置60に送信する。」と記載されている。
したがって、「荷重センサ30を介して台足20に力が加わる」ときの「荷重」は、「載置面15に加えられ」たものである。よって、訂正事項1-6は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

訂正事項1-6は、上記アのとおり特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(1-7) 訂正事項1-7

ア 訂正の目的について

訂正事項1-7は、訂正前の請求項1の「前記右側の側端」、「前記左側の側端」、「前記右側面」、「前記左側面」、及び「前記下面」について、前二者が「載置台」のものであり、後三者が「台座本体」のものであることを明瞭にするものである。
したがって、訂正事項1-7は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

明細書等の【0018】には、「載置台10Bの側端は、台座本体10Aの側面に対して突き出ている。」と記載され、【0020】には、「なお、台座本体10Aの左側面13、右側面12、前面14、後面11を総称して側面という。すなわち、台座10の側面とは、台座本体10Aの底面16に接続されている面をいう。」と記載されている。
よって、訂正事項1-7は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

訂正事項1-7は、上記アのとおり訂正前の請求項1の「前記右側の側端」、「前記左側の側端」、「前記右側面」、「前記左側面」、及び「前記下面」が何のものであるかを明瞭にするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(1-8) 訂正事項1-8

ア 訂正の目的について

訂正事項1-8は、訂正前の「載置台」について、「前記載置台の前記下面における右端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に延びて、前記右側の側端に接続され」る点、及び「前記載置台の前記下面における左端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に延びて、前記左側の側端に接続され」る点で減縮したものである。
したがって、訂正事項1-8は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

明細書等の【0018】には、「載置台10Bの下面には台座本体10Aが設けられる。載置台10Bの側端は、台座本体10Aの側面に対して突き出ている。」と記載され、【図1】(c)の生体情報測定装置の正面図からは、「載置台10B」の下面における右端部分は、台座本体の「右側面12」のうち最も右側の部分より、生体情報測定装置の幅方向において外側に延びて「載置台10B」の右側の側端に接続している点、及び、「載置台10B」の下面における左端部分は、台座本体の「左側面13」のうち最も左側の部分より、生体情報測定装置の幅方向において外側に延びて「載置台10B」の左側の側端に接続している点、が見て取れる。
よって、訂正事項1-8は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

訂正事項1-8は、上記アのとおり特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2) 訂正事項2

ア 訂正の目的について

訂正事項2は、訂正前の請求項3において、「4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足」が「前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し」、かつ「4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足」が「前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し」ていることが、該訂正前の請求項3が間接的に引用する請求項1の「少なくとも3つの台足は」「前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在している」ことに対して矛盾していることを解消するものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

(ア) 訂正前の請求項3が引用していた請求項2には、
「前記生体情報測定装置は、足マークを有し、
前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、」
と記載されている。

(イ) また、当該請求項2が引用していた訂正前の請求項1には、
「生体情報測定装置であって、
前記生体情報測定装置は、台座、電極、および、少なくとも3つの台足を有し、
前記台座は、台座本体および載置台を有し、
前記載置台は、前記台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され、右側の側端、左側の側端、および、身体が載せられる載置面を有し、
前記電極は、前記載置面に形成され、
前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有し、
前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、
前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、
前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記台座本体の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記右側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記左側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、」
と記載されている。

(ウ) また、明細書等の段落【0062】には、
「右後方台足23の一部分は右側面12の延長面SAよりも外側に配置され、かつ右後方台足23の全体は後面11の延長面SCよりも内側に配置されている。」
と記載されている。

(エ) また、明細書等の段落【0063】には、
「左後方台足24の一部分は左側面13の延長面SBよりも外側に配置され、かつ左後方台足24の全部は後面11の延長面SCよりも内側に配置されている。」
と記載されている。

(オ) したがって、上記(1)を踏まえれば、訂正事項2は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

訂正事項2は、本来、「4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足」が「前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し」、かつ「4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足」が「前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し」ていることに対して、「前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在している」ような「台足」が「少なくとも3つ」も存在することはあり得ないことを反映した訂正であるといえるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。

(3) 訂正事項3

ア 訂正の目的について

訂正事項3は、訂正前の請求項4において、「4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足」が「前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し」、かつ「4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足」が「前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し」ていることが、該訂正前の請求項4が間接的に引用する請求項1の「少なくとも3つの台足は」「前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在している」ことに対して矛盾していることを解消するものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

(ア) 訂正前の請求項4が引用していた請求項2には、上記(2)のイ(ア)で示した事項が記載され、当該請求項2が引用していた請求項1には、上記(2)のイ(イ)で示した事項が記載されている。

(イ) また、明細書等の段落【0074】には、
「右前方台足21の一部分は右側面12の延長面SAよりも外側に配置され、かつ右前方台足21の全体は前面14の延長面SDよりも内側に配置されている。」
と記載されている。

(ウ) また、明細書等の段落【0075】には、
「左前方台足22の一部分は左側面13の延長面SBよりも外側に配置され、かつ左前方台足22の全部は前面14の延長面SDよりも内側に配置されている。」
と記載されている。

(エ) したがって、上記(1)を踏まえれば、訂正事項3は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

訂正事項3は、本来、「4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足」が「前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し」、かつ「4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足」が「前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し」ていることに対して、「前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在している」ような「台足」が「少なくとも3つ」も存在することはあり得ないことを反映した訂正であるといえるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。

(4) 訂正事項4

ア 訂正の目的について

訂正事項4は、上記訂正事項1-1ないし訂正事項1-8、訂正事項2、及び訂正事項3に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と整合しないために明瞭でない記載となった発明の詳細な説明の【0007】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合させるものである。
よって、訂正事項4は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無

上記(1-1)ないし(1-8)、(2)、及び(3)の各「イ 新規事項追加の有無」と同様に、訂正事項4は、明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否

上記(1-1)ないし(1-8)、(2)、及び(3)の各「ウ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否」と同様に、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

3 一群の請求項等について

本件訂正請求は、訂正前の請求項1について訂正事項1-1?訂正事項1-8により訂正することを含み、訂正前の請求項2-5は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用してのだから,訂正前の請求項[1?5]は、特許法第134条の2第3項で規定する一群の請求項である。
したがって、これらに対応する訂正後の請求項[1?5]も一群の請求項である。

4 訂正請求についてのまとめ

以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第3項の規定に適合し、同条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項により準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるので、訂正後の請求項[1?5]についての訂正を認める。

第3 本件訂正発明

上記のとおり、本件訂正は認められたので、本件無効審判の対象となっている本件請求項1、2、及び5に係る発明(以下、それぞれ「訂正発明1」、「訂正発明2」及び「訂正発明5」という。)は、訂正明細書又は図面の記載からみて、訂正請求書に添付され手続補正書で補正された訂正特許請求の範囲の請求項1、2、及び5に記載された事項により特定されるとおりの以下のものであると認める。
なお、()は、当審で整理のため補ったものである。

【請求項1】
生体情報測定装置であって、
前記生体情報測定装置は、台座、電極、少なくとも3つの台足、および、荷重を検出する荷重センサを有し、
前記台座は、台座本体、および、前記台座本体の上に固定された載置台を有し、
前記載置台は、右側の側端、左側の側端、身体が載せられる載置面、および前記載置面の反対側の面を構成する下面を有し、
前記台座本体は、右側面、左側面、および、前記台足が相対移動可能に嵌りこむ孔が設けられている下面を有し、
前記荷重センサは、前記載置台と前記台座本体の下面の孔を介して嵌入された前記台足との間に配置され、前記載置台に荷重が加えられたときに前記台足からの力が前記荷重センサに加わるように設けられ、
前記電極は、前記載置面に形成され、
前記載置台の前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において(台座本体の)前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における右端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において(台座本体の)前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に延びて、(載置台の)前記右側の側端に接続され、
前記載置台の前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において(台座本体の)前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における左端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において(台座本体の)前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に延びて、(載置台の)前記左側の側端に接続され、
前記台座本体の前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において(載置台の)前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記台座本体の前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において(載置台の)前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記台座本体の前記右側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記台座本体の前記左側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記少なくとも3つの台足は、前記台座を支持し、前記生体情報測定装置の幅方向において(台座本体の)前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において(台座本体の)前記右側面の延長面よりも内側に存在している
生体情報測定装置。

【請求項2】
前記生体情報測定装置は、足マークを有し、
前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、
前記台足の中心軸は、前記台足の中心軸を通る前記生体情報測定装置の幅方向において、前記足マークの中心位置よりも外側に存在している
請求項1に記載の生体情報測定装置。

【請求項5】
前記足マークの少なくとも一部は、前記電極により構成されている
請求項2?4のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。

第4 請求人の主張の概要

1 請求人の主張

請求人は、「特許第5475712号の請求項1ないし5に記載された発明についての特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めたが、口頭審理陳述要領書において、無効理由4(訂正前の請求項3及び訂正前の請求項4に対する唯一の無効理由とされていた、特許法第36条第6項第2号に関するもの)が撤回された結果、請求人は、「特許第5475712号の特許請求の範囲の請求項1、2、及び5に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、以下の無効理由1(無効理由1は以下の無効理由1-1と無効理由1-2とに分かれた(第1回口頭審理調書参照)。)、無効理由2及び無効理由3により、訂正発明1、訂正発明2、及び訂正発明5が、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものであると主張することとなり、下記「第4 3」に示した証拠を提出した。
上記無効理由4については、被請求人は口頭審理陳述要領書において「請求人による無効理由4の取り下げを承諾する。」と述べており、上記無効理由4を取り下げることに同意している。

2 無効理由の概要

(無効理由1-1)
訂正発明1、訂正発明2、及び訂正発明5は、出願前に公然実施された甲第1号証の1ないし甲第1号証の3に係る発明と同一であるから、特許法第29条第1項第2号の規定により特許を受けることができない。

(無効理由1-2)
訂正発明1、訂正発明2、及び訂正発明5は、出願前に電気通信回線を通じて利用可能となった甲第7号証に係る発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。

(無効理由2)
訂正発明1、訂正発明2、及び訂正発明5は、甲第2号証に記載された発明に、甲第1号証、甲第3号証又は甲第4号証に記載された技術を適用することにより、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(無効理由3)
訂正発明1、訂正発明2、及び訂正発明5は、甲第3号証に記載された発明に、甲第5号証又は甲第6号証に例示された周知技術及び甲第14号証ないし甲第18号証に例示された周知技術を適用することにより、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

ここで、無効理由3の対象に訂正発明2が含まれることは、請求人が口頭審理陳述要領書の第3頁第31行-第32行で認めるとおりであり、第1回口頭審理調書に記載のとおり被請求人もこの点に同意している。

3 証拠方法
請求人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。

(甲第1号証の1) 「(平面写真)」、「(背面写真)」、「(右側端部の拡大写真1)」、「(右側端部の拡大写真2)」、「(左側端部の拡大写真1)」、及び「(左側端部の拡大写真2)」の語句と共に、物品の写真、符号、及び引出線が記載された、種村一幸を作成名義人(第1回口頭審理調書参照。)とする書面

(甲第1号証の2) 「(箱の外観写真)」及び「(箱の要部拡大写真)」の語句と共に、箱の写真、符号、及び引出線が記載された、種村一幸を作成名義人(第1回口頭審理調書参照。)とする書面

(甲第1号証の3) 「体組成ヘルスメーター」「品番:MA-381」の取扱説明書の表紙及び第4頁を原本とする写し

(甲第2号証) 特開2008-216155号公報

(甲第3号証) 特開2002-31570号公報

(甲第4号証) 国際公開第02/14807号

(甲第5号証) 特公平5-49050号公報

(甲第6号証の1) 「2010.08.18 体脂肪率、骨格筋率、内臓脂肪レベルを細かく判定 オムロン体重体組成計 カラダスキャン HBF-203」,オムロンヘルスケア株式会社,[online],2015年2月26日,インターネット <URL:http://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2010/0818.html > の抜粋

(甲第6号証の2) 「2010.10.21 無理のないダイエットの目標値をお知らせする オムロン体重体組成計 カラダスキャン HBF-207」,オムロンヘルスケア株式会社,[online],2015年2月26日,インターネット <URL:http://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2010/1021.html > の抜粋

(甲第6号証の3) 「2009.08.24 大きな文字で、測定結果が確認しやすい オムロン体重体組成計 カラダスキャン HBF-202」,オムロンヘルスケア株式会社,[online],2015年2月26日,インターネット <URL:http://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2009/0824.html > の抜粋

(甲第6号証の4) 「2007.03.06 毎日の測定を促す「測定わすれお知らせ」機能と「測定履歴」表示 オムロン体重体組成計 カラダスキャン HBF-201」,オムロンヘルスケア株式会社,[online],2015年2月26日,インターネット <URL:http://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2007/0306.html > の抜粋

(甲第6号証の5) 「タニタ、高さ15mmの体組成計「BC-305」など 2008年2月25日 15:30掲載」,価格.com,[online],2015年2月26日,インターネット <URL:http://www.kakaku.com/prdnews/cd=kaden/ctcd=2183/id=1685 > の抜粋

(甲第6号証の6) 「企業情報 沿革」,タニタ,[online],2015年2月26日,インターネット <URL:http://www.tanita.co.jp/company/history.html > の抜粋

(甲第6号証の7) 「ニュースリリース シェイプアップに最適なガラス体組成計「エクシー」発売 2010年4月26日」,株式会社ドリテック,[online],2015年2月26日,インターネット <URL:http://www.dretec.co.jp/news/10042601.html > の抜粋

(甲第6号証の8) 「かわいいノートサイズの体重体組成計「プティプラス」発売 09年9月4日」,株式会社ドリテック,[online],2015年2月26日,インターネット <URL:http://www.dretec.co.jp/news/09090401.html > の抜粋

(甲第6号証の9) 「体組成バランス計 EW-FA71」,Panasonic,[online],2015年2月26日,インターネット <URL:http://ctlg.panasonic.com/jp/taisosei/taisosei/EW-FA71.html > の抜粋

(甲第7号証) 「体組成ヘルスメーターMA-381<33543>」,Amazon.co.jp,2015年2月26日,インターネット < URL: http://www.amazon.co.jp/AITEC-%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF-MA-381-%E4%BD%93%E7%B5%84%E6%88%90%E3%83%98%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BCMA-381-33543/dp/B002JM0N86 > の抜粋

(甲第8号証) [「通販-ファッション、家電から食品まで【通常配送無料】」,Amazon.co.jp,2015年7月27日,インターネット <URL: http://www.amazon.co.jp/ > ]のページから、甲第7号証に対応するページにアクセスする要領を説明した書面

(甲第9号証) 「体組成ヘルスメーターMA-381<33543>」,InternetArchive,2010年8月7日掲載,インターネット <URL: https://web.archive.org/web/20100807133422/http://www.amazon.co.jp/AITEC-%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%EF%BC%89-MA-381-%E4%BD%93%E7%B5%84%E6%88%90%E3%83%98%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BCMA-381-33543/dp/B002JM0N86 >

(甲第10号証) 「体形成ヘルスメーター」,InternetArchive,2010年3月12日収録,インターネット < https://web.archive.org/web/20100312121944/http://www.marutakaltd.com/shibou_02.html >

(甲第11号証) 「品名:体組成ヘルスメーター」の表記を含む写真

なお、請求人の提出した参考資料は、以下のとおりである。

(参考資料) 「品名:体組成ヘルスメーター」の表記を含む写真

(甲第13号証):「体組成ヘルスメーター」の内部構成を撮影した写真

(甲第14号証)実開平07-014329号公報

(甲第15号証)特開2008-309578号公報

(甲第16号証)特開2009-168690号公報

(甲第17号証)特開2009-058401号公報

(甲第18号証)特開2010-078504号公報

また、検甲第1号証の1、検甲第1号証の2、検甲第1号証の3及び検甲第13号証は、平成28年4月13日付け検証申出書及び同年5月10日付け検証事項指示説明書の記載内容からみて、それぞれ、甲第1号証の1、甲第1号証の2、甲第1号証の3及び甲第13号証に対応する検証物と理解される。

(検甲第1号証の1) 体組成ヘルスメーター

(検甲第1号証の2) 検甲第1号証の1の体組成ヘルスメーターが梱包されていた箱

(検甲第1号証の3) 検甲第1号証の1の体組成ヘルスメーターの取扱説明書

(検甲第13号証) 検甲第1号証の1の体組成ヘルスメーターを分解した内部構造

第5 被請求人の主張の概要

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、乙第1号証及び乙第2号証を添付して答弁書と共に訂正請求書を平成27年6月18日付けで提出し、同年10月13日付け口頭審理陳述要領書を提出し、同年11月10日付け上申書を提出し、「訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?5について訂正することを求める。」との平成28年1月29日付けで提出し同年3月8日付け手続補正書で補正された訂正請求書を提出し、同年6月8日に答弁書を提出し、同年6月29日に上申書を提出して、本件訂正は認められるべきであり、請求人の主張する無効理由及び証拠によっては訂正発明1、訂正発明2及び訂正発明5を無効とすることはできないと主張している。

被請求人の提出した証拠方法は以下のとおりである。

(乙第1号証)特開2001-183226号公報

(乙第2号証)特開2006-10348号公報

第6 主な証拠の記載事項

本件特許の出願日である平成23年3月23日よりも前に頒布された刊行物である以下の甲号証には、それぞれ以下の事項が記載されている。下線は当審で加えたものである。

1 甲第2号証

(甲2a)「【0024】
この体重計は、体重だけでなく体組成成分(体脂肪率、体脂肪量、体脂肪体積)も測定可能なものであり、本体としての足載せ台1を備え、この足載せ台1の中央部(左右方向の中央部)に、体重値や体組成成分等を表示する表示部(液晶表示器)5と操作部6が設けられている。この表示部5と操作部6を挟んだ左右両側に、左足用の足載せ領域1Lと右足用の足載せ領域1Rが設定されている。足載せ領域1Lには左足用の電流電極2L及び電圧電極3Lが設けられ、足載せ領域1Rには右足用の電流電極2R及び電圧電極3Rが設けられている。」

(甲2b)「【0026】
足載せ台1の内部の四隅には、この足載せ台1を支持する脚部兼用の荷重センサ10L,11L、10R,11Rが配置され、各荷重センサ10L,11L、10R,11Rは後記長手状のロードセル30と長手状の歪みゲージ35を有する。また、足載せ台1の裏側には、電池カバー13が設けられている。」

(甲2c)「【0028】
特に図8に示すように、荷重センサ11R(10L,11L,10Rも同様)は、円形状の上板21と、円形状の下板22と、上板21と下板22との間に挟持されたロードセル30とを備える。上板21は凹部21aを有し、この凹部21aにネジ挿通孔21bが形成されている。下板22は凸部22aを有し、この凸部22aにネジ挿通孔22bが形成されている。
【0029】
ロードセル30は長手状を呈し、両端にネジ穴31,32を有し、ネジ穴31,32間の凹み部分33に長手状の歪みゲージ35が取り付けられている。ロードセル30の長手方向と歪みゲージ35の長手方向は同一方向に設定されている。このロードセル30は、上板21のネジ挿通孔21bに通したネジ23をネジ穴31に螺合させ、下板22のネジ挿通孔22bに通したネジ24をネジ穴32に螺合させることで、上板21と下板22との間に挟持された状態になる。すなわち、ロードセル30は、その一端部が上板21に支持され、他端部が下板22に支持された“梁”様態になる。
【0030】
このような構造の荷重センサ11Rは、足載せ台1の内部の隅において計量板40にネジ27で取り付けられ、足載せ台1の裏側から突出する下板22が体重計の設置面に接触することになる。これにより、足載せ台1の足載せ表面に対する荷重が計量板40を介して4つの荷重センサ10L,11L、10R,11Rに加わり、“梁”様態のロードセル30が撓むのに伴って、歪みゲージ35が撓み、この撓みに応じて荷重が検知される。」

(甲2d)「【図4】



(図2e)「【図9】



(甲2f) 上記(甲2a)ないし(甲2e)の記載を踏まえると、甲第2号証には以下の点が記載されている。

ア 本体としての足載せ台1を支持する脚部兼用の荷重センサ10L,11L、10R,11Rは、円形状の下板22と、ロードセル30とを備え、足載せ台1の裏側から突出する下板22が体重計の設置面に接触し、足載せ台1の足載せ表面に対する荷重が計量板40を介して4つの荷重センサ10L,11L、10R,11Rに加わり、ロードセル30が撓むのに伴って、歪みゲージ35が撓み、この撓みに応じて荷重が検知される点。

イ 【図4】において、足載せ台1は、足載せ表面から裏側にかけて一体とされた部材で構成されており、下板22は、足載せ台1の裏側に形成された開口に、該部材とは離間して嵌めこまれている点。

ウ 【図9】において、左足用の電流電極2L及び電圧電極3Lの中心を通る「Y」軸は、脚部兼用の荷重センサ10L及び11Lの中心よりも足載せ台1の中央部側にあり、右足用の電流電極2R及び電圧電極3Rの中心を通る「Y」軸は、脚部兼用の荷重センサ10R及び11Rの中心よりも上記中央部側にある点。

2 甲第3号証

(甲3a) 「【0002】
【従来の技術】かかる秤は通常、表示部を有し、この表示部は機械式または電子式とすることができ、体重を測定するために、この表示部のプラットフォーム上に立っている人の体重を表示する。」

(甲3b) 「【0016】図面を参照すると、本実施形態における秤1は個人用の秤であり、この秤は、荷重を受けるプラットフォーム2および表示部3を有し、表示部3は平面またはプラットフォーム2の表面に対して角度方向に調整可能であり、それによって適切な視認角がもたらされる。本秤は電子式である。
【0017】体重を測定する使用者が立つプラットフォーム2は本体4上に取り付けられており、本体4は、レバー(図示せず)のような適切な計量機構、あるいは圧電システム(図示せず)のような電子式計量システムを収容する。」

(甲3c) 「【図面の簡単な説明】
【図1】 第一の位置にある本発明による個人用秤を示す斜視図である。
【図2】 第二の動作位置にある図1の秤を示す平面図である。
【図3】 図2に示す秤の側立面図である。
【図4】 図2に示す秤の底面の平面図である。
【図5】 図1?図4に示す秤の一部の分解図である。」

(甲3d) 「【図1】

【図2】

【図3】 【図4】



(甲3e) 上記(甲3d)の記載を踏まえると、甲第3号証には以下の点が記載されている。

ア 【図1】の「斜視図」及び【図2】の「平面図」において符号3の示す部材(「表示部3」)を正面に見たときに定まる左右方向に関して、【図3】の「側立面図」及び【図4】の「底面の平面図」において、符号4の示す部材(「本体4」)が、略左右対称な形状であって、右側面と左側面と底面とを有し、該底面側に4つの足部を有する点。

イ 【図1】の「斜視図」、【図2】の「平面図」及び【図4】の「底面の平面図」において、符号2の示す部材(「プラットフォーム2」)が、本体4の上記右側面よりも右側に存在する右側端部と、本体4の上記左側面よりも左側に存在する左側端部と、上記右側端部の上端及び上記左側端部の上端との間に存在する上面と、上記右側端部の下端及び上記右側面の上端の間、並びに上記左側端部の下端及び上記右側面の上端の間に存在する下面とを有する点。

ウ 【図1】の「斜視図」、【図3】の「側立面図」及び【図4】の「底面の平面図」において、上記右側面は、上記底面側に向かうにつれて左側に向かって傾斜し、上記左側面は、上記底面側に向かうにつれて右側に向かって傾斜している点。

エ 【図3】の「側立面図」において、上記右側面の厚さが上記足部の厚さよりも厚く、かつ【図4】の「底面の平面図」において、上記右側面の占める幅が、該右側面から足部までの距離よりも短い点とも整合するように、【図1】の「斜視図」において、上記右側面が右上側から可視である一方、前記足部の全てが不可視である点。

オ 上記ア及びエを踏まえると、上記左側面が左上側から可視である斜視図においても、前記足部の全てが不可視である点。

3 甲第5号証

(甲5a) 「この発明の課題は、大規模な設備や身体に対する補助物質を使用することなしに、身体中の脂肪組織重量を簡易に測定するための装置を提供することにあり、特に簡易体重計の同様の装置に電極を付加し得られた値を演算処理して電気的に身体中の脂肪組織重量を測定する装置を提供することにある。」(第4欄第2-8行)

(甲5b) 「第1図は、この発明による体内脂肪重量計の実施例を示す斜視図で、全体的には、簡易型体重形、所謂ヘルスメータと同様の形状をしている。体内脂肪重量計10には、体重計があり、その測定面12′に被測定者の足の裏面が接触するように一体に組み込み配設された電極12が形成されている外に、測定条件を設定するためのキー入力部14、脂肪量表示部16、体重表示部18も形成されている。この電極12は、被測定者が体重計の測定面12′に載ると共に所定部位に素足で接触することにより、同時に体重も測定できるように構成されているが、後述のように一方または両方の手に接触させる電極を設けることもできる。また、これ等の電極を適当なスイツチの操作により、あるいは本体に形成された電極用ジヤツクに電極リードのプラグを挿入することにより切換え使用することもできる。このような構成により、両足間のインピーダンス値、あるいは片足-片手間のインピーダンス値、両手間のインピーダンス値を任意に選択して測定することができる。これ等を適宜組み合わせてより正確な測定結果を得ることができる。」(第5欄第40行-第6欄第17行)

4 甲第6号証の8

(甲6の8a) 「女性に好評のコンパクトサイズの体重計「プティ」に、体脂肪率や筋肉量などの体組成測定機能を追加しました。」

(甲6の8b) 「



(甲6の8c) 「<A4ノートより小さい体重計>
体重体組成計「プティプラス」は、A4ノート(297×210mm)より小さい、”幅218×縦188×厚さ22.5mm”のコンパクトサイズながら、体組成の測定機能を備えた高機能な体重計です。
従来の体重計より小さくて軽いため、女性にも扱いやすく、使用しないときは場所をとらずに収納することができます。
インテリアにも合わせやすいガラス製の測定台で、色はホワイト・ピンク・グリーンの3色です。
一人暮らしの方や体重計を持っていない方にもオススメできる新しい体重計です。
<コンパクトで高機能>
「プティプラス」は小型ながら、”体重・体脂肪率・体水分率・基礎代謝・筋肉量・推定骨量”といった体組成の測定が可能です。
個人データ(身長・年齢・性別)は12人まで登録可能なので、 一人で使うことはもちろん、家族みんなで使うこともできます。
操作ボタンはタッチセンサー式を採用しており、触れるだけで操作することができます。
底面にはバックライト「入/切」スイッチがあり、暗いところでも数値をはっきりと表示します。」

(甲6の8d) 上記(甲6の8b)及び(甲6の8c)の記載を踏まえると、甲第6号証の8には以下の点が記載されている。

ア 「数値を」「表示」する部分を「幅」方向に挟むように、一対の「縦」方向に延びる部材が「測定台」に形成されている点。

イ 上記アの一対の「縦」方向に延びる部材の各々に対して「縦」方向に離間して配置される、他の一対の「縦」方向に延びる部材が、「測定台」に形成されている点。

4 甲第16号証

(甲16a)「【0022】
天板部材20の装着穴22には、それぞれカップ部材40を介してロードセルユニット30(30a,30b,30c,30d)が装着される。」

(甲16b)「【0024】
押し部材36は例えば図示のように円盤状の板部材であり、起歪体32とは押し点321のみと当接する。
センサカバー38は天板部材20より下方に突出しており、床面などの設置面(図示せず)に電子重量計10が置かれる場合の足となる。センサカバー38には、下方に突出形成された脚部382と、これを取り囲むフランジ部384とが設けられている。センサカバー38は樹脂材料からなり、フランジ部384は脚部382よりも薄肉に形成されている。また脚部382には、押し部材36を装着するための凹溝が上方に形成されている。
ベース34は、起歪体32の取付部323を保持するとともに、ロードセルユニット30をカップ部材40に取り付けるための台座となる部材である。」

(甲16c)「【0026】
電子重量計10はこのほか、天板部材20、カップ部材40およびセンサカバー38を一体に保持する基台60と、基台60に装着されて天板部材20の上面を覆うカバーシート50とを備えている。
基台60は金属板材料をしぼり加工または曲げ加工してなる。基台60の上面には、カップ部材40の鍔部44を装着する凹溝62と、センサカバー38の脚部382を装着する通孔64が、ロードセルユニット30a?30dにそれぞれ対応して設けられている。
基台60の肉厚は、センサカバー38の脚部382がフランジ部384より下方に突出する突出量よりも小さい。したがってフランジ部384を基台60の上面に当接させて基台60と起歪体32との間に挟んだ状態で、脚部382は基台60の下面より下方に突出して床面に触れることとなる。
【0027】
被計量物が天板部材20に載置され、その自重の反力をセンサカバー38および押し部材36が床板から受けると、フランジ部384は上方に撓み、押し点321は押し部材36により上方に押し上げられる。一方、起歪体32の取付部323はベース34およびカップ部材40を介して天板部材20に対して剛に固定されている。このため、基端側(取付部323側)が固定されて先端側(押し点321側)が上方に押し上げられた受感部322には、引張力および圧縮力が働いて歪が生じる。歪ゲージ324を構成する抵抗体は、受感部322に引張力が働く領域と、圧縮力が働く領域とにそれぞれ配置されるとよい。
【0028】
かかる歪を感知した歪ゲージからの電気信号は回路ボックス80に収容された回路部(図示せず)にて質量に換算され、これをロードセルユニット30の数量(本実施形態では4式)分だけ合計することで被計量物の質量が算出される。算出された質量は表示部70にデジタル表示される。」

(甲16d)「【図2】



(甲16e)
「【図3】



(甲16f)「【発明の効果】
【0016】
本発明の電子重量計では、天板部材にロードセルユニットの少なくとも一部分を埋め込んで装着することから、天板部材の板厚とロードセルユニットの高さの合計よりも電子重量計全体の高さを低減し、その薄型化が図られる。
このため収納性や輸送性に優れ、また老人や子供にとっても乗り降りが容易であって体重測定時につまずくおそれのない電子重量計が提供される。」

上記(甲16a)ないし(甲16f)の記載を踏まえると、甲第16号証には以下の点が記載されている。

ア 「天板部材20」は、「基台60」に「カバーシート50」を装着することにより固定されていると認められることから、「天板部材20」は、「基台60」に固定された点(甲16c)。

イ 「基台60」に、貫通している「通孔64」を設けた点((甲16d)及び(甲16e)参照)。

ウ 「通孔64」には、「センサカバー38」の「脚部382」が設けられ((甲16b)【0024】参照)、被計量物が「天板部材20」に載置されると、フランジ部384は上方に撓み、「センサカバー38」に装着された「押し部材36」は上方に移動する点((甲16c)参照)。

エ 「起歪体32」は、「センサカバー38」に装着された「押し部材36」により、「押し点321」が押し上げられることにより質量を算出している点((甲16c)参照)。

オ 「起歪体32」は、「カップ部材40」と「センサカバー38」との間に設けられ、「カップ部材40」は、「天板部材20」に対して剛に固定されている点((甲16c)【0027】参照)。

カ 「体重測定時につまずくおそれのない電子重量計が提供される。」(甲16g)と記載されているから、甲第16号証には、体重計としても利用可能な電子重量計が記載されていると理解される。

キ 甲第16号証記載の発明
上記イにおいて、「通孔64」は「基台60」を貫通しているから、「基台60」の下面に設けているといえ、上記オにおいて、「カップ部材40」は、「天板部材20」に対して剛に固定されているから、「カップ部材40」は「天板部材20」の一部であるといえる。したがって、上記アないしカを総合すると、甲第16号証には、
「天板部材20は基台60へ固定され、基台60の下面に、センサカバー38に設けられた脚部382が相対移動可能に嵌りこむ通孔64が設けられ、カップ部材40が天板部材20に対して剛に固定され、起歪体32は、天板部材20と基台60の下面の通孔64を介して嵌入されたカップ部材40との間に配置され、天板部材20に荷重が加えられたときにセンサカバー38からの力が起歪体32に加わるように設けられている体重計としても利用可能な電子重量計10。」
が記載されていると認められる。

5 甲第17号証

(甲17a)「【0022】
そして、以上のように構成された踏み台21は、図2に示すように、踏み台21とほぼ同じ外周形状のベース板部材26の上方側に、上方側から覆い被せるようにして固定的に取り付けられている。」

(甲17b)「【0024】
次に、脚部31?34について説明する。脚部31?34は、この実施形態では、図3、図4に示すようにベース板部材26の左後部(この図3、図4では、右後部側に現れている)に配置された第1の脚部31と、右後部に配置された第2の脚部32と、左前部に配置された第3の脚部33と、右前部に配置された第4の脚部34との4つから構成されている。又、これらの脚部31?34は、この実施形態では、はかり本体2と別体の合成樹脂から構成されている。
【0025】
第1の脚部31は、図3?図6に示すように、筒体6と、体重センサ35(図5、図6に図示)と、センサ受部材7(図6では、筒体6と体重センサ35とだけ図示し、センサ受部材7を省略している)とを備えている。
【0026】
筒体6は、上端側(図6では、下端側に表れている)がはかり本体2のベース板部材26の下面に固定的(移動不能に)に取り付けられ、下端側(図6では、上端側)がはかり本体2のベース板部材26の下方側に所定長さで突出されている。また、筒体6は、外周壁61と、内周壁62とを備えている。又、図3に示すように、筒体6には、これらの外周壁61と内周壁62とを、ベース板部材26(踏み台21)の外周の円弧の中心Oを中心にした円弧状に、図3、図4の反時計方向側(図1の時計方向側)に所定長さで延設することにより形成した筒体延設部63が設けられている。」

(甲17c)「【0029】
センサ受部材7は、図4、図5に示すように受部本体70と、受部本体70から上方に突出された外周壁73及び内周壁74とを備えている。受部本体70は、図5に示すように、上面側に、体重センサ35を下方側から受ける受部71を備えている。また、センサ受部材7の下面側には、設置面当接部72が設けられている。」

(甲17d)「【0035】
そして、このように構成されたセンサ受部材7は、筒体6の係止突起64を受容孔75に受容した状態で、筒体6内に、筒体6の下面側を塞ぐように嵌め入れられているとともに、受部71で体重センサ35を下方側から受けている。これにより、センサ受部材7は、筒体6に上下移動可能に係止されている。」

(甲17e)「【0059】
そして、踏み台21にかかる荷重は脚部31?34の各体重センサ35によって検出され、操作部5が各体重センサ35で検出されたデータに基づいて演算等して表示部51に体重測定値として表示する。」

(甲17f)「【図1】




(甲17g)「【図2】



(甲17h)「【図5】



(甲17i)上記(甲17a)ないし(甲17h)の記載を踏まえると、甲第17号証には以下の点が理解される。

ア 「踏み台21」は、「ベース板部材26」に固定的に取り付けられている点((甲17a)参照)。

イ 「筒体6」は「ベース板部材26の下面に固定的(移動不能に)に取り付けられ」((甲17b)【0026】参照)、前記「筒体6」は「外周壁61と外周壁52」((甲17b)【0026】、【図5】及び【図6】参照)を備え、下方が開口している点((甲17b)参照)が理解される。

ウ 「センサ受部材7」は、前記「筒体6」の前記開口を塞ぐように嵌め入れられていると共に、「センサ受部材7」は、「筒体6」に上下移動可能に係止されている点((甲17d)参照)が理解される。

エ 「体重センサ35」は、「筒体6」と「センサ受部材7」との間に配置され、((甲17b)参照)「踏み台21」にかかる荷重が「体重センサ35」で検出され、((甲17e)参照)「体重センサ35」は、「センサ受部材7」の「受部71」で下方側から受けられている点((甲17d)参照)が理解される。

オ 甲第17号証記載の発明
上記アないしエを総合すると、甲第17号証には、
「踏み台21は、ベース板部材26の上へ固定され、筒体6はベース板部材26の下面に固定的(移動不能に)に取り付けられ、前記筒体6は外周壁61と外周壁52を備え下方が開口しており、
センサ受部材7は、前記筒体6の前記開口を塞ぐように嵌め入れられていると共に、センサ受部材7は、前記筒体6に上下移動可能に係止されており、
体重センサ35は、筒体6とセンサ受部材7との間に配置され、踏み台21に荷重が加えられたときにセンサ受部材7からの力が体重センサ35に加わるように設けられている体重計。」
の発明が記載されていると認められる。

6 甲第18号証

(甲18a)「【0019】
以上のように構成された踏み台21は、図1、図3に示すように、踏み台21とほぼ同じ外周形状のベース板部材26の上方側に、上方側から覆い被せるようにして固定的に取り付けられている。このベース板部材26は、体重がかかっても撓み難いように、金属から構成されている。」

(甲18b)
「【0024】
連結部材6は、図5、図6に示すように、上壁61と、上壁61から下方側に所定長さで突出した筒状の周壁62とを備えている。上壁61は、図4、図6に示すようにロードセル35を保持するロードセル保持部61aを備えている。この実施形態でのロードセル保持部61aは、上壁61の内面に、後述のロードセル35のロードセル本体36の上面と当接し、その当接したロードセル本体36を嵌合片64によって前後左右方向に移動できないように構成されている。」

(甲18c)
「【0027】
起歪片37は、基端側がロードセル本体36に支持され、先端側にロードセル受部材7と当接する当接部37aを備えている。そして、この当接部37aにロードセル受部材7から力がかかると、ロードセル本体36に歪を起こさせるようになっている。」

(甲18d)「【0031】
ロードセル受部材7は、図1、図7に示すように、底壁71と、筒状の周壁72とを備えている。底壁71には、上面側の内面に、ロードセル35の当接部37aを下方側から受ける受部71aが設けられている。また、ロードセル受部材7の下面側の外面に、設置面当接部71bが設けられている。」

(甲18e)「【0033】
ロードセル受部材7の周壁72は、連結部材6の周壁62の内側に入り込んで連結部材6の周壁62内を上下移動可能な大きさで、底壁71から所定長さで上方側に突出されている。」

(甲18f)「【0038】
そして、その状態で、図示しない取付ボルトを、連結部材6のボルト挿通孔61bから弾性体4に設けられたボルト挿通孔41(図4(a)参照)に通し、ベース板部材26に設けたネジ孔(図示せず)に螺合させて締め付ける。これにより、ベース板部材26に連結部材6を、弾性体4を介在させた状態で固定的に取り付けることができる。」

(甲18g)「【0049】
踏み台21にかかる荷重は脚部31?34の各ロードセル35によって検出され、操作部5が各ロードセル35で検出された荷重の情報に基づいて演算等して表示部51に体重測定値として表示する。」

(甲18h)「【図3】



(甲18i)「【図7】



上記(甲18a)ないし(甲18i)の記載を踏まえると、甲第18号証から以下の点が理解される。

ア 「踏み台21」は、「ベース板部材26の上方側に、上方側から覆い被せるようにして固定的に取り付けられ」((甲18a)参照)ている点が理解される。

イ 「連結部材6は、図5、図6に示すように、上壁61と、上壁61から下方側に所定長さで突出した筒状の周壁62とを備えている。」(甲18b)ことから、ベース部材26に固定された連結部材6は、上壁61と、該上壁61から下方側に所定長さで突出した筒状の周壁を備えている点が理解される。

ウ 「ロードセル受部材7の周壁72は、連結部材6の周壁62の内側に入り込んで連結部材6の周壁62内を上下移動可能な大きさで、底壁71から所定長さで上方側に突出されている。」(甲18e)と記載されている。
このことから、ロードセル受部材7底壁71から所定長さで上方側に突出されたロードセル受部材7があり、
連結部材6の周壁6は、底部側が開口しており、該開口に、該ロードセル受部材7が、上下移動可能に嵌めこまれている点が理解される。

エ 「連結部材6は、図5、図6に示すように、上壁61と、上壁61から下方側に所定長さで突出した筒状の周壁62とを備えている。上壁61は、図4、図6に示すようにロードセル35を保持するロードセル保持部61aを備えている。」(甲18b)ことから、ロードセル35は、連結部材6の上壁61に設けられたロードセル保持部61aで保持されている点が理解される。

オ 「起歪片37は、基端側がロードセル本体36に支持され、先端側にロードセル受部材7と当接する当接部37aを備えている。そして、この当接部37aにロードセル受部材7から力がかかると、ロードセル本体36に歪を起こさせるようになっている」(甲18c)と記載されていることから、起歪片37は、基端側がロードセル本体36に支持され、先端側にロードセル受部材7と当接する当接部37aを備えており、踏み台21に荷重が加えられることで、この当接部37aにロードセル受部材7から力がかかると、ロードセル本体36に歪を起こさせるように力が加わるようになっていることが理解される。

カ 甲第18号証記載の発明
「踏み台21は、ベース板部材26の上方側に、上方側から覆い被せるようにして固定的に取り付けられ、
ベース部材26に固定された連結部材6は、上壁61と、該上壁61から下方側に所定長さで突出した筒状の周壁62を備えており、
ロードセル受部材7の底壁71から所定長さで上方側に突出されたロードセル受部材7があり、
該連結部材6の周壁62は、底部側が開口しており、該開口に、該ロードセル受部材7が、上下移動可能に嵌めこまれており、
ロードセル35は、連結部材6の上壁61に設けられたロードセル保持部61aで保持され、
起歪片37は、基端側が該ロードセル本体36に支持され、先端側に該ロードセル受部材7と当接する当接部37aを備えており、踏み台21に荷重が加えられることで、この当接部37aに該ロードセル受部材7から力がかかると、該ロードセル本体36に歪を起こさせるように力が加わるようになっている体重計。」

第7 当審の判断

1 無効理由3について

(1) 無効理由3の対象

無効理由3は、訂正発明1、訂正発明2、及び訂正発明5は、甲第3号証に記載された発明に、甲第5号証又は甲第6号証に例示された周知技術及び甲第14号証ないし甲第18号証に例示された周知技術を適用することにより当業者において容易であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、との請求人の主張に基づくものである。

(2) 甲第3号証に記載された発明

上記(甲3a)ないし(甲3e)を総合すると、甲第3号証には、
「体重を測定するための秤1であって、
プラットフォーム2を有し、体重を測定する使用者が立つプラットフォーム2は電子式計量システムを収容した本体4上に取り付けられており、
本体4は、略左右対称な形状であって、右側面と左側面と底面とを有し、該底面側に4つの足部を有し、
プラットフォーム2が、
本体4の上記右側面よりも右側に存在するプラットフォーム2の右側端部と、
本体4の上記左側面よりも左側に存在するプラットフォーム2の左側端部と、
プラットフォーム2の上記右側端部の上端及びプラットフォーム2の上記左側端部の上端との間に存在する上面と、
プラットフォーム2の上記右側端部の下端及び本体4の上記右側面の上端の間、並びに
プラットフォーム2の上記左側端部の下端及び本体4の上記左側面の上端の間に存在する下面とを有し、
プラットフォーム2の上記右側端部は秤1全体で最も右に飛び出ており、プラットフォーム2の上記左側端部は秤1全体で最も左に飛び出ており、
本体4の上記右側面は、本体4の上記底面側に向かうにつれて左側に向かって傾斜し、
本体4の上記左側面は、本体4の上記底面側に向かうにつれて右側に向かって傾斜し、
プラットフォーム2の上記右側端部の下端及び本体4の上記右側面の上端の間に存在する下面における右端部分は、プラットフォーム2の上記右側端部に接続し、
プラットフォーム2の上記左側端部の下端及び本体4の上記左側面の上端の間に存在する下面における左端部分は、プラットフォーム2の上記左側端部に接続しており、
本体4の上記右側面が右上側から可視である斜視図、及び本体4の上記左側面が左上側から可視である斜視図において、前記足部の全てが不可視である、
秤1。」
の発明(以下、「甲第3号証発明」という。)が記載されている。

(3) 訂正発明1について

(3-1)訂正発明1と甲第3号証発明の対比
なお、対比において訂正発明1の特定事項に加えた「(台座本体の)前記右側面」等の括弧書きは、「前記」の示す内容を分かりやすくするために当審で加えたものである。

ア 甲第3号証発明の「秤1」は、「使用者」の情報である「体重」を「測定する」ものであるから、訂正発明1の「生体情報測定装置」に相当する。


(ア) 甲第3号証発明における、「4つの足部」を除く「本体4」、「プラットフォーム2」、及びこれらの組が、それぞれ、訂正発明1の「台座本体」、「載置台」、及び「台座」に相当する。

(イ) 甲第3号証発明の「体重を測定する」ための「電子式計量システム」は、訂正発明1の「荷重を検出する荷重センサ」に相当する。

(ウ) 上記(ア)及び(イ)により、甲第3号証発明の「秤1」が「4つの足部」を含む「本体4」、「プラットフォーム2」、及び「体重を測定する」ための「電子式計量システム」を有することと、訂正発明1の「生体情報測定装置は、台座、電極、少なくとも3つの台足、および、荷重を検出する荷重センサを有」することとは、「生体情報測定装置は、台座、少なくとも3つの台足、および、荷重を検出する荷重センサを有」する点で共通する。


(ア) 甲第3号証発明の「本体4上に取り付けられ」た「プラットフォーム2」と、訂正発明1の「前記台座本体の上に固定された載置台」とは、「前記台座本体の上に取り付けられた載置台」の点で共通する。

(イ) 甲第3号証発明の「プラットフォーム2」において、「体重を測定する使用者が立つ」ことになる面は「上面」であって、また「下面」は「上面」の反対側の面である。
よって、甲第3号証発明において、「プラットフォーム2」が、「右側端部」と「左側端部」と「体重を測定する使用者が立つ」「上面」と「下面」とを有することは、訂正発明1の「前記載置台は、右側の側端、左側の側端、身体が載せられる載置面、および前記載置面の反対側の面を構成する下面を有」することに相当する。

エ 甲第3号証発明の「本体4」が「右側面と左側面と底面とを有」することと、訂正発明1の「前記台座本体は、右側面、左側面、および、前記台足が相対移動可能に嵌りこむ孔が設けられている下面を有」することとは、「前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有」する点で共通する。


(ア) 甲第3号証発明の「プラットフォーム2の右側端部」は、訂正発明1の「前記載置台の前記右側の側端」に相当する。
甲第3号証発明は、「本体4の上記右側面は、本体4の上記底面側に向かうにつれて左側に向かって傾斜し」ているから、甲第3号証発明の「本体4の上記右側面の上端」は、本体4の最も右側の部分となるものであって、訂正発明1の「(台座本体の)前記右側面のうちの最も右側の部分」に相当する。
そして、甲第3号証発明の「プラットフォーム2の上記右側端部は秤1全体で最も右に飛び出て」いることに照らし、甲第3号証発明の「プラットフォーム2の右側端部」は、「秤1」の幅方向において「本体4の上記右側面」の最も右側の部分である「右側面の上端」より外側であることを示すから、甲第3号証発明の「プラットフォーム2」の「右側端部」が「本体4の上記右側面よりも右側に存在」することは、訂正発明1の「前記載置台の前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在」することに相当する。

(イ) 甲第3号証発明の「プラットフォーム2の上記右側端部の下端及び本体4の上記右側面の上端との間」に存在する「下面」の「右側端部の下端」の部分は、訂正発明1の「前記載置台の前記下面における右端部分」に相当する。

(ウ) 甲第3号証発明の「プラットフォーム2の上記右側面は秤1全体で最も右に飛び出て」いるから、甲第3号証発明の「プラットフォーム2の上記右側端部の下端及び本体4の上記右側面の上端の間に存在する下面における右端部分」は、「秤1」の一部を構成する「本体4」より右に飛び出ていることは自明なことであって、訂正発明1の「前記載置台の前記下面における右端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において(台座本体の)前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に延びて」いることに相当する。
そして、「プラットフォーム2の上記右側端部の下端及び本体4の上記右側面の上端の間に存在する下面における右端部分」は、「プラットフォーム2の上記右側端部」に接続しているから、訂正発明1の「前記載置台の前記下面における右端部分は、」「前記右側の側端に接続され」ることに相当する。
以上のことから、甲第3号証発明の「プラットフォーム2の上記右側端部の下端及び本体4の上記右側面の上端の間に存在する下面における右端部分」は、「プラットフォーム2の上記右側面は秤1全体で最も右に飛び出て」いることに照らし、訂正発明1の「前記載置台の前記下面における右端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において(台座本体の)前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に延びて、(載置台の)前記右側の側端に接続され」ることに相当する。

(エ) 上記(ア)ないし(ウ)と同様に、甲第3号証発明において、「プラットフォーム2の上記左側端部の下端及び本体4の上記左側面の上端の間に存在する下面における左端部分は、プラットフォーム2の上記左側端部に接続」することは、訂正発明1の「前記載置台の前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における左端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に延びて、前記左側の側端に接続され」ることに相当する。

(オ) 上記(ア)を踏まえると、甲第3号証発明の「本体4の右側面」は、「秤1」の幅方向において「プラットフォーム2の右側端部」よりも内側となる。また、甲第3号証発明の「底面側」は、「秤1」の下方側であり、「本体4の右側面」における「左側」とは、「秤1」の幅方向の内側である。
よって、甲第3号証発明の「プラットフォーム2の右側端部」が「本体4」の「上記右側面よりも右側に存在」し、かつ「本体4の上記右側面は、本体4の上記底面側に向かうにつれて左側に向かって傾斜」することは、訂正発明1の「前記台座本体の前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において(載置台の)前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜」することに相当する。

(カ) 上記(エ)を踏まえると、上記(オ)と同様に、甲第3号証発明の「左側端部」が「本体4」の「上記左側面よりも左側に存在」し、かつ「本体4」の「上記左側面は、上記底面側に向かうにつれて右側に向かって傾斜」することは、訂正発明1の「前記台座本体の前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜」することに相当する。


(ア) 甲第3号証発明では、「本体4」の「上記右側面」は、「本体4」の「上記底面側に向かうにつれて左側に向かって傾斜」しているため、「本体4」の「右側面」と「本体4」の「底面」とのなす角は、鈍角となる。
よって、甲第3号証発明において、「上記右側面は、上記底面側に向かうにつれて左側に向かって傾斜」していることは、訂正発明1の「前記台座本体の前記右側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有」することに相当する。

(イ) 上記(ア)と同様に、甲第3号証発明において、「上記左側面は、上記底面側に向かうにつれて右側に向かって傾斜」していることは、訂正発明1の「前記台座本体の前記左側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有」することに相当する。

キ 甲第3号証発明では、「右側面が右上側から可視である斜視図において、前記台足の全てが不可視である」から、「4つの足部」は全て、「右側面」の(下側への)延長面よりも、「秤1」の幅方向の内側に存在する。しかも、「底面側に4つの足部を有」する「本体4は、略左右対称な形状」であるから、当該「4つの足部」は全て、「左側面」の(下側への)延長面よりも、「秤1」の幅方向の内側に存在することになる。
また、「プラットフォーム2」に「体重を測定する使用者が立つ」ときに、「4つの足部」が「本体4」及び「プラットフォーム2」を支えることは自明であるから、甲第3号証発明において、「右側面が右上側から可視である斜視図において、前記足部の全てが不可視」であって、「本体4は、略左右対称な形状」であることは、訂正発明1の「前記少なくとも3つの台足は、前記台座を支持し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在している」ことに相当する。

(3-2) 一致点

よって、訂正発明1と甲第3号証発明とは、

「生体情報測定装置であって、
前記生体情報測定装置は、台座、少なくとも3つの台足、および、荷重を検出する荷重センサを有し、
前記台座は、台座本体、および、前記台座本体の上に取り付けられた載置台を有し、
前記載置台は、右側の側端、左側の側端、身体が載せられる載置面、および前記載置面の反対側の面を構成する下面を有し、
前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有し、
前記載置台の前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における右端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に延びて、前記右側の側端に接続され、
前記載置台の前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における左端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に延びて、前記左側の側端に接続され、
前記台座本体の前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記台座本体の前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記台座本体の前記右側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記台座本体の前記左側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記少なくとも3つの台足は、前記台座を支持し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在している
生体情報測定装置。」

の発明である点で一致し、次の点で相違する。

(3-3) 相違点

ア 相違点1
「載置台」の「台座本体の上」への取り付けおよび「台足」と「台座本体の下面」と「荷重センサ」との関係について、訂正発明1では、「載置台」は「台座本体の上」へ「固定され」、「台座本体の下面」に「台足が相対移動可能に嵌りこむ孔が設けられ」、「前記荷重センサは、前記載置台と前記台座本体の下面の孔を介して嵌入された前記台足との間に配置され、前記戴置台に荷重が加えられたときに前記台足からの力が前記荷重センサに加わるように設けられ」ているのに対し、甲第3号証発明ではその点が不明な点。

イ 相違点2
訂正発明1では、「載置面に形成され」る「電極」を有するのに対し、甲第3号証発明ではその点を備えていない点。

(3-4) 判断

上記(3-3)の相違点について検討する。

ア 相違点1に対して

(ア)甲第16号証ないし甲第18号証に記載された事項
A 甲第17号証について
上記「第6 5 オ 甲第17号証記載の発明」に記したとおり、甲第17号証には、
「踏み台21は、ベース板部材26の上へ固定され、筒体6はベース板部材26の下面に固定的(移動不能に)に取り付けられ、前記筒体6は外周壁61と外周壁52を備え下方が開口しており、
センサ受部材7は、前記筒体6の前記開口を塞ぐように嵌め入れられていると共に、センサ受部材7は、前記筒体6に上下移動可能に係止されており、
体重センサ35は、筒体6とセンサ受部材7との間に配置され、踏み台21に荷重が加えられたときにセンサ受部材7からの力が体重センサ35に加わるように設けられている体重計。」
の発明(以下、「甲第17発明」という。)が記載されている。

(A) 図2(甲17g)をみれば分かるように、甲第17号証発明の「踏み台21」は、訂正発明1の「載置台」に相当する。

(B) 甲第17号証発明では「踏み台21は、ベース板部材26の上へ固定され」ており、「ベース板部材26」上に「踏み台21」が固定されているとみることができ、訂正発明1の「台座本体の上に固定された載置台」と同じ固定関係にあるから、甲第17号証発明の「ベース板部材26」は、訂正発明1の「台座本体」に相当する関係にある。
加えて、甲第17号証発明では「ベース板部材26の下面に固定された筒体6」とあるようにベース板部材26とその下面に固定された筒体6は一体に構成されているから、「ベース板部材26」とそれに固定された「筒体6」の両者を併せて訂正発明1の「台座本体」に相当するといえる。

(C) 甲第17号証発明の「体重センサ35」は、訂正発明1の「荷重センサ」に相当する。

(D) 甲第17号証発明の「センサ受部材7」は、接地して荷重を測定するものであるから、訂正発明1の「台足」に相当する。

(E) 甲第17号証発明の「ベース板部材26の下面に固定的(移動不能に)に取り付けられ」た「前記筒体6の前記開口」は、訂正発明1の「台座本体の下面」に設けられた「孔」に相当するといえる。

(F) 以上(A)?(E)の両発明の相当関係に照らせば、甲第17号証発明の「前記筒体6の前記開口」は、「センサ受部材7は、前記筒体6に上下移動可能に係止されて」いることからみて、訂正発明1の台座本体に設けられた「前記台足が相対移動可能に嵌りこむ孔」に相当する。
また、甲第17号証発明の「体重センサ35は、筒体6とセンサ受部材7との間に配置され、踏み台21に荷重が加えられたときにセンサ受部材7からの力が体重センサ35に加わるように設けら」ることは、訂正発明1の「前記荷重センサは、前記載置台と前記台座本体の下面の孔を介して嵌入された前記台足との間に配置され、前記載置台に荷重が加えられたときに前記台足からの力が前記荷重センサに加わるように設けられ」ることに相当する。

(G) そうすると、甲第17号証発明には、相違点1に記した訂正発明1の特定事項が具備されているものといえる。

B 甲第18号証について
上記「第6 6 カ 甲第18号証記載の発明」に記したように、甲第18号証には、
「踏み台21は、ベース板部材26の上方側に、上方側から覆い被せるようにして固定的に取り付けられ、
ベース部材26に固定された連結部材6は、上壁61と、該上壁61から下方側に所定長さで突出した筒状の周壁6を備えており、
ロードセル受部材7の底壁71から所定長さで上方側に突出されたロードセル受部材7があり、
該連結部材6の周壁6は、底部側が開口しており、該開口に、該ロードセル受部材7が、上下移動可能に嵌めこまれており、
ロードセル35は、連結部材6の上壁61に設けられたロードセル保持部61aで保持され、
起歪片37は、基端側が該ロードセル本体36に支持され、先端側に該ロードセル受部材7と当接する当接部37aを備えており、踏み台21に荷重が加えられることで、この当接部37aに該ロードセル受部材7から力がかかると、該ロードセル本体36に歪を起こさせるように力が加わるようになっている体重計。」
の発明(以下、「甲第18発明」という。)が記載されていると認められる。

(A) 甲第18号証発明の「踏み台21」は、訂正発明1の「載置台」に相当する。

(B) 甲第18号証発明の「ベース部材26」及び「ベース部材26に固定された連結部材6」は、固定により一体化されているから、「ベース部材26」と「連結部材6」の両者を併せて、訂正発明1の「台座本体」に相当するといえる。

(C) 甲第18号証発明の「ロードセル受部材7の底壁71」は、「【図7】(甲18i)に図示されているように、使用時には接地されるから、訂正発明1の「台足」に相当する。

(D) 甲第18号証発明の「ロードセル本体36」及び「基端側が該ロードセル本体36に支持され」た「起歪片37」は、併せて「体重計」の測定部になるから、訂正発明1の「荷重センサ」に相当する。

(E) 甲第18号証発明の「該連結部材6の周壁6」の「底部側が開口」は、訂正発明1の「前記台座本体の下面の孔」に相当する。

(F) 以上(A)?(E)の両発明の相当関係に照らせば、甲第18号証発明の「ベース部材26に固定された連結部材6」に備えられた「筒状の周壁」の「底部側が開口」は、「該開口に、該ロードセル受部材7が、上下移動可能に嵌めこまれ」ることになるから、訂正発明1の前記台座本体に設けられた「前記台足が相対移動可能に嵌りこむ孔」に相当する。

また、甲第18号証発明の「起歪片37は、基端側が該ロードセル本体36に支持され、先端側に該ロードセル受部材7と当接する当接部37aを備えており、踏み台21に荷重が加えられることで、この当接部37aに該ロードセル受部材7から力がかかると、該ロードセル本体36に歪を起こさせるように力が加わるようになっている」ことは、訂正発明1の「前記荷重センサは、前記載置台と前記台座本体の下面の孔を介して嵌入された前記台足との間に配置され、前記載置台に荷重が加えられたときに前記台足からの力が前記荷重センサに加わるように設けられ」ることに相当する。

(G) そうすると、甲第18号証発明には、相違点1に記した訂正発明1の特定事項が具備されているものといえる。

C 甲第16号証について
上記「第6 4 キ 甲第16号証記載の発明」に記したように、甲第16号証には、
「天板部材20は基台60へ固定され、基台60の下面に、センサカバー38に設けられた脚部382が相対移動可能に嵌りこむ通孔64が設けられ、カップ部材40が天板部材20に対して剛に固定され、起歪体32は、天板部材20と基台60の下面の通孔64を介して嵌入されたカップ部材40との間に配置され、天板部材20に荷重が加えられたときにセンサカバー38からの力が起歪体32に加わるように設けられている電子重量計10。」
の発明(以下、「甲第16号証発明」という。)が記載されていると認められる。

(A) 甲第16号証発明の「天板部材20」は、訂正発明1の「載置台」に相当する。

(B) 甲第16号証発明の「基台60」は、訂正発明1の「台座本体」に相当する。

(C) 甲第16号証発明の「センサカバー38に設けられた脚部382」は、訂正発明1の「台足」に相当する。

(D) 甲第16号証発明の「起歪体32」は、訂正発明1の「荷重センサ」に相当する。

(E) 甲第16号証発明の「基台60の下面に」設けられた「通孔64」は、訂正発明1の「前記台座本体の下面の孔」に相当する。

(F) 以上(A)?(E)の両発明の相当関係に照らせば、甲第16号証発明の「基台60の下面に」設けられた「通孔64」は、「センサカバー38に設けられた脚部382が相対移動可能に嵌りこむ」から、訂正発明1の前記台座本体に設けられた「前記台足が相対移動可能に嵌りこむ孔」に相当する。

(G) 甲第16号証発明の「カップ部材40」は「天板部材20に対して剛に固定され」ているから、カップ部材40は、天板部材20と一体になったものと理解される。
そうすると、甲第16号証発明の「起歪体32は、天板部材20と基台60の下面の通孔64を介して嵌入されたカップ部材40との間に配置され、天板部材20に荷重が加えられたときにセンサカバー38からの力が起歪体32に加わるように設けられている」ものであり、「起歪体32」は、「脚部382」を有する「センサカバー38」と天板部材20と一体になった「カップ部材40」との間に配置されるものといえ、その結果、「天板部材20に荷重が加えられたときにセンサカバー38からの力が起歪体32に加わるように設けられ」ることとなるから、訂正発明1の「前記荷重センサは、前記載置台と前記台座本体の下面の孔を介して嵌入された前記台足との間に配置され、前記載置台に荷重が加えられたときに前記台足からの力が前記荷重センサに加わるように設けられ」ることに相当する。

(H) そうすると、甲第16号証発明には、相違点1に記した訂正発明1の特定事項が具備されているものといえる。

(イ) 相違点1に対する判断
上記(ア)で述べたように、相違点1に記した訂正発明1の特定事項は甲第16号証、甲第17号証、甲第18号証などに見られるように周知の構成である。
そして、甲第3号証には、「あるいは圧電システム(図示せず)のような電子式計量システムを収容する。」(甲3b)と記載されており、甲第16号証ないし甲第18号証に記載された「圧電システム」を電子式計量システムとして使用した場合に、該周知の構成を、甲第3号証発明に適用する程度のことは当業者が容易に想到できたことである。

(ウ) 被請求人の主張について
甲第14号証?甲第18号証を請求人が平成28年4月13日付け弁駁書で追加し、電子式計量システムとして甲第4号証?甲第18号証の記載の技術を採用することは当業者にとって格別な困難性はない旨を主張したことについて、被請求人は、平成28年6月29日付け上申書2頁(6-1)の項において、「このような主張は、当初の無効審判の請求書に記載されていない、新たな証拠に基づく主張であって請求の要旨を変更するもの」である旨を主張する。
しかしながら、かかる証拠の追加は、本件特許請求の範囲の訂正に伴い追加された上記相違点1に記載の訂正発明1の特定事項が、周知の構成であることを示すために提出されたものであり、請求の理由の要旨を変更するものではない。

イ 相違点2に対する判断

(ア) 甲第6号証の8には「2015年2月26日」の日付が振られているが、その表示内容は、「09年9月4日」すなわち本件特許の出願前である2009年9月4日、の「ニュースリリース」によるものである(この点については、本件特許の出願前である2009年9月12日での甲第6号証の8に対応するURLの表示内容を示すURL:https://web.archive.org/web/20090912050657/http://www.dretec.co.jp/news/09090401.html の表示内容にも裏付けられている。)。
また、上記(甲6の8d)における「一対の「縦」方向に延びる部材」及び「他の一対の「縦」方向に延びる部材」が、上記(甲6の8c)における「体脂肪率」などの「体組成の測定」のために足の裏面に接触させる電極であることは、体重体組成計の技術常識のとおりである。

(イ) 体重計において、測定面に被測定者の足の裏面が接触するように電極を形成することによって、体脂肪も測定できるようにすることは、甲第5号証の上記(甲5a)及び(甲5b)、並びに甲第6号証の8の上記(甲6の8a)及び上記(ア)の点に限らず、例えば甲第2号証の上記(甲2a)にも記載されているとおり、本件特許の出願前より周知の技術課題及びその解決手段である。

(ウ) 「体重を測定するための秤」、すなわち体重計に関する甲第3号証発明においても、当該周知の技術課題に沿って体脂肪も測定できるようにすべく、プラットフォーム2(「載置面」)の上に電極を形成することによって、上記相違点2に係る訂正発明1の構成を想到することは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 訂正発明1の作用効果

訂正発明1の作用効果について、訂正明細書には、

「【0042】
(実施形態の効果)
本実施形態の生体情報測定装置1によれば以下の効果が得られる。
(1)生体情報測定装置1においては、台座本体10Aの側面が下方に向かうにつれて内側に傾斜する生体情報測定装置1に対して、右前方台足21および右後方台足23を右側面12の延長面SAよりも内側に配置している。さらに、左前方台足22および左後方台足24を左側面13の延長面SBよりも内側に配置している。
【0043】
測定者が台座10に載るとき生体情報測定装置1が傾くことがある。生体情報測定装置1の傾きが小さいときは測定者がバランスを崩すことは殆どないが、生体情報測定装置1が大きく傾くと、測定者がバランスを崩す。特に、台座本体10Aの側面が内側に傾斜している場合、台足20の外側に荷重が加わる可能性が高い上に、一旦生体情報測定装置1が傾くと台座10の側縁18が地面に接触するまで傾くため、測定者がバランスを崩す可能性が高い。この点、上記構成によれば、台座10が傾いたとき底面側縁19が地面に接触するため、台座10が大きく傾くことが抑制され、これにより測定者がバランスを崩す頻度が少なくなる。また、従来技術のように台座本体10Aの底面16に突起を設けて台座10の傾きを制止するものではないため、台座本体10Aの上下方向への移動が規制されることはない。このため、体重を正確に測定することができる。
【0044】
(2)生体情報測定装置1においては、右側面12と底面16との間のなす角θ、および左側面13と底面16との間のなす角θが鈍角である。この構成によれば、生体情報測定装置1を上方から見たとき、台座10の側面の一部が隠れるとともに、台足20の全部またはその一部が隠れて見えない。すなわち、実際の大きさよりもコンパクトであるという印象を与えることができる。
【0045】
(3)生体情報測定装置1においては、載置面15に電極40を設けている。この構成によれば、電極40を通じて身体に電流を流すことができるため、生体インピーダンスIBを測定することができる。」

と記載されている。
このうち、(1)に関する効果(【0042】?【0043】)及び(2)に関する効果(【0044】)は、甲第3号証発明の構造自体によって達成されており、(3)に関する効果(【0045】)は、上記周知の技術課題の解決手段自体に伴うものである。
してみれば、訂正発明1の奏する効果は、甲第3号証発明及び周知技術から予測される範囲内であって、格別なものでない。

(3-5) 訂正発明1の進歩性についてのまとめ

訂正発明1は、甲第3号証発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 訂正発明2について

ア 訂正発明2は、訂正発明1において「前記載置面に形成され、足の置き場所を示」す「足マークを有し」、「前記台足の中心軸は、前記台足の中心軸を通る前記生体情報測定装置の幅方向において、前記足マークの中心位置よりも外側に存在している」ことを限定したものである。

イ 上記「(3) 訂正発明1について」の「(3-4) 判断」のア(ア)でいう、周知の技術課題の解決手段としての「電極」は、測定面に被測定者の足の裏面が接触するように形成されるものであるから、訂正発明2の「足マーク」に相当する。

ウ 一般に、足つきの台に人を立たせる場合に、台の足の中心軸を、前記台の足の中心軸を通る台の幅方向において、人の足が載るべき位置よりも外側に配置することは、本件特許の出願前より広く知られた技術常識である。しかも、当該技術常識は、甲第2号証の上記(甲2c)及び(甲2d)にも示されているように、体重計におけるものすら、本件特許の出願前より公知である。

エ してみれば、上記「(3) 訂正発明1について」の「(3-4) 判断」のイ(ウ)のとおり、プラットフォーム2(載置面)の上に「電極」を形成するにあたり、上記技術常識に沿って、4つの足部(台足)の中心軸を、該中心軸を通る秤1(生体情報測定装置)の幅方向において、被測定者の足が載る「電極」の位置よりも外側に配置することにより、上記アに関する訂正発明2の構成を想到することは、当業者が容易になし得たことである。

オ よって、上記「(3) 訂正発明1について」を踏まえると、訂正発明2は、甲第3号証発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5) 訂正発明5について

ア 訂正発明5は、訂正発明2の「足マーク」について「少なくとも一部は、前記電極により構成されている」ことを限定するものである。

イ 上記「(4) 訂正発明2について」のイで示したとおり、周知の技術課題の解決手段としての「電極」が、訂正発明2の「足マーク」に相当するから、上記「(4) 訂正発明2について」と同様にして、訂正発明5は、甲第3号証発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6) 小括

訂正発明1、2、及び5は、甲第3号証発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第8 むすび

したがって、無効理由3以外の無効理由について検討するまでもなく、訂正発明1、2、及び5は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
生体情報測定装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、足が載せられる載置面を有する台座と、この台座を支持する少なくとも3つの台足とを備える生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記生体情報測定装置として特許文献1に記載のものが知られている。
この生体情報測定装置においては、測定者が載置面に足を載せるときに台座が傾くことを抑制するため、台座の底面に台足とは別に突起が設けられている。また、体重の測定にあたり同測定装置が床等の設置面上に配置された状態において、設置面との間にクリアランスが形成されるように突起が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-183226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記生体情報測定装置が絨毯等の軟らかい設置面上に配置されたとき、台足が設置面に沈み込むため、生体情報測定装置が床等の硬い設置面上に配置されたときと比較して、設置面と突起とのクリアランスが狭くなる。このため、測定者が載置面に足を載せて体重を測定することにともない、突起が絨毯等の設置面に接触する状況が生じることもある。この場合には、設置面から突起に力が加えられることに起因して、測定者の体重が正確に測定されない。
【0005】
なお、ここでは体重を測定する生体情報測定装置を例に挙げているが、載置面に足が載せられた状態で測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置であれば、生体情報として体重以外の情報を測定する装置についても上記問題が同様に生じるものと考えられる。
【0006】
本発明の目的は、足が載せられたときに台座が傾くことを抑制し、生体情報を正確に測定することが可能な生体情報測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕本生体情報測定装置は、次の事項を有する。生体情報測定装置は、台座、電極、少なくとも3つの台足、および、荷重を検出する荷重センサを有し、前記台座は、台座本体、および、前記台座本体の上に固定された載置台を有し、前記載置台は、右側の側端、左側の側端、身体が載せられる載置面、および前記載置面の反対側の面を構成する下面を有し、前記台座本体は、右側面、左側面、および、前記台足が相対移動可能に嵌りこむ孔が設けられている下面を有し、前記荷重センサは、前記載置台と前記台座本体の下面の孔を介して嵌入された前記台足との間に配置され、前記載置台に荷重が加えられたときに前記台足からの力が前記荷重センサに加わるように設けられ、前記電極は、前記載置面に形成され、前記載置台の前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における右端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に延びて、前記右側の側端に接続され、前記載置台の前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における左端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に延びて、前記左側の側端に接続され、前記台座本体の前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記台座本体の前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記台座本体の前記右側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記台座本体の前記左側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記少なくとも3つの台足は、前記台座を支持し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在している。
〔2〕上記生体情報測定装置は、次の事項を有する。前記生体情報測定装置は、足マークを有し、前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、前記台足の中心軸は、前記台足の中心軸を通る前記生体情報測定装置の幅方向において、前記足マークの中心位置よりも外側に存在している。
〔3〕上記生体情報測定装置は、次の事項を有する。生体情報測定装置は、台座、電極、4つの台足、および2つの足マークを有し、前記台座は、台座本体および載置台を有し、前記載置台は、前記台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され、右側の側端、左側の側端、および、身体が載せられる載置面を有し、前記電極は、前記載置面に形成され、前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、前記2つの足マークは、左足に対応する左足マーク、および、右足に対応する右足マークを含み、前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有し、前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記右側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記左側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記載置面は、4つの辺を有し、前記載置面の4つの辺は、前記生体情報測定装置の前後方向において互いに対向する前辺および後辺、ならびに、前記生体情報測定装置の幅方向において互いに対向する左辺および右辺を含み、前記前辺の長さは、前記後辺の長さよりも長く、前記左側面は、前記左辺に対応して形成され、前記右側面は、前記右辺に対応して形成され、前記4つの台足は、前記台座を支持し、前記4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左後方台足の中心軸が前記左足マークの中心線よりも外側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右後方台足の中心軸が前記右足マークの中心線よりも外側に存在している。
〔4〕上記生体情報測定装置は、次の事項を有する。生体情報測定装置は、台座、電極、4つの台足、および2つの足マークを有し、前記台座は、台座本体および載置台を有し、前記載置台は、前記台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され、右側の側端、左側の側端、および、身体が載せられる載置面を有し、前記電極は、前記載置面に形成され、前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、前記2つの足マークは、左足に対応する左足マーク、および、右足に対応する右足マークを含み、前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有し、前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、前記右側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記左側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、前記載置面は、4つの辺を有し、前記載置面の4つの辺は、前記生体情報測定装置の前後方向において互いに対向する前辺および後辺、ならびに、前記生体情報測定装置の幅方向において互いに対向する左辺および右辺を含み、前記前辺の長さは、前記後辺の長さよりも短く、前記左側面は、前記左辺に対応して形成され、前記右側面は、前記右辺に対応して形成され、前記4つの台足は、前記台座を支持し、前記4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左前方台足の中心軸が前記左足マークの中心線よりも外側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右前方台足の中心軸が前記右足マークの中心線よりも外側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在している。
〔5〕上記生体情報測定装置は、次の事項を有する。前記足マークの少なくとも一部は、前記電極により構成されている。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【発明の効果】
【0013】
本生体情報測定装置は、足が載せられたときに台座が傾くことを抑制し、生体情報を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)第1実施形態の生体情報測定装置の背面図。(b)生体情報測定装置の平面図。(c)生体情報測定装置の正面図。
【図2】図1のA-A線に沿う断面図。
【図3】(a)比較構造の生体情報測定装置の正面図。(b)第1実施形態の生体情報測定装置の正面図。
【図4】(a)第2実施形態の生体情報測定装置の平面図。(b)生体情報測定装置の正面図。
【図5】(a)比較構造の生体情報測定装置の正面図。(b)第2実施形態の生体情報測定装置の正面図。
【図6】(a)第3実施形態の生体情報測定装置の背面図。(b)生体情報測定装置の平面図。(c)生体情報測定装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1および図2を参照して、生体情報測定装置1の構成について説明する。生体情報測定装置1は、身体を載せる台座10と、この台座10を支持する4つの台足20と、載置面15に加わる荷重を測定する4つの荷重センサ30とを備えている。更に、この台座10には、体重および体脂肪率を示す表示部50と、生体インピーダンスIBを測定するための4つの電極40と、装置全体を制御する制御装置60とが設けられている。
【0016】
なお、以降の説明では、生体情報測定装置1において、表示部50が設けられている方向を前方とし、この反対方向を後方とする。表示部50に向いて右側を右方向とし、左側を左方向とし、左右方向を幅方向とする。載置面15がある側を上方とし、これと反対側を下方とする。更に、前方の側面を前面14(背面)、後方の側面を後面11(正面)とし、前方に向って右側の側面を右側面12、左側の側面を左側面13とする。生体情報測定装置1を使用するときには、台座10の前方側に足の爪先部を配置し、後方側に足の踵部を配置するものとする。なお、図面の簡単な説明においては、前面側から見た図を背面図とし、後面11から見た図を正面図としている。
【0017】
台座10は、荷重センサ30と制御装置60を収容する台座本体10Aと、この台座本体10Aの上に設けられる載置台10Bとを備えている。台座本体10Aと載置台10Bとはねじ等により締結されている。
【0018】
載置台10Bは平面視でほぼ正方形である。すなわち、載置台10Bの前辺と後辺とは互いに平行かつ等しい長さにされ、載置台10Bの左辺と右辺とは互いに平行かつ等しい長さにされている。載置台10Bの上面が身体を載せる載置面15とされている。載置台10Bの下面には台座本体10Aが設けられる。載置台10Bの側端は、台座本体10Aの側面に対して突き出ている。
【0019】
台座本体10Aは四角錐台であり、内部に荷重センサ30と制御装置60を収容する収容部を有する。台座本体10Aの側面は下方に向けて窄む台形に形成されている。台座本体10Aの右側面12は、下方に向って内側に傾斜するように設けられ、右側面12と底面16との間のなす角θは鈍角とされている。左側面13は右側面12と同じ構造にされている。また、同様に、前面14および後面11も、右側面12と同様の構造にされている。
【0020】
なお、台座本体10Aの左側面13、右側面12、前面14、後面11を総称して側面という。すなわち、台座10の側面とは、台座本体10Aの底面16に接続されている面をいう。
【0021】
台座本体10Aの下面には、台足20が嵌りこむ4つの孔17が形成されている。載置台10Bにおいて各孔17に対応するところに荷重センサ30が設けられている。この荷重センサ30は載置台10Bに固定される。そして、台足20が孔17に嵌め込まれるとともに、その上面が荷重センサ30に当てられている。すなわち、荷重センサ30は、載置台10Bと台足20との間に配置されている。台座本体10Aに荷重が加えられたときは、荷重センサ30を介して台足20に力が加わる。
【0022】
電極40は、生体インピーダンスIBを測定するためのものである。
4つの電極40は、第1印加電極41、第2印加電極42、第1測定電極43、および第2測定電極44として区別される。
【0023】
各電極40は、足の置き場所を示すマークとして、足の形状に対応する形に形成されている。
具体的には、右足の爪先部に対応する部分に第1印加電極41が設けられている。左足の爪先部に対応する部分に第2印加電極42が設けられている。右足の踵部に対応する部分に第1測定電極43が設けられている。左足の踵部に対応する部分に第2測定電極44が設けられている。第1印加電極41および第1測定電極43が右足の置き場所を示す右足マークを構成する。第2印加電極42および第2測定電極44が左足の置き場所を示す左足マークを構成する。
【0024】
第1印加電極41および第2印加電極42は長方形に形成されている。第1印加電極41の縦幅は足の縦寸法の略半分とされている。第1印加電極41の横幅は、足の爪先部の横幅と略同じ大きさとされている。第2印加電極42の寸法は第1印加電極41と同様である。
【0025】
第1測定電極43および第2測定電極44は長方形に形成されている。第1測定電極43の縦幅は、足の縦寸法の略半分とされている。第1測定電極43の横幅の長さは、第1印加電極41の横幅の長さと等しくされている。第2測定電極44の寸法は第1測定電極43と同様である。
【0026】
第1印加電極41と第2印加電極42とは身体に高周波電流を印加する印加電極とされている。なお、両電極の同電位であり、両電極は同期する。印加電流の周波数は身体の細胞壁を透過する大きさに設定されている。
【0027】
第1測定電極43は電位を計測するための電極である。すなわち、高周波電流が身体に印加されたとき第1測定電極43の電位が計測される。同様に、第2測定電極44は電位を計測するための電極であり、高周波電流が身体に印加されたとき第2測定電極44の電位が計測される。
【0028】
第1測定電極43および第2測定電極44では、第1印加電極41および第2印加電極42と同期した信号が出力される。そして、第1測定電極43の振幅と第2測定電極44の振幅の差(以下、「振幅差」)が差分回路により検出され、この値に基づいて生体インピーダンスIBが算出される。なお、振幅差が大きくなるほど生体インピーダンスIBが大きい値となる。生体インピーダンスIBは、体脂肪率、体重、性別、年齢等の情報と関連性があるため、これら情報に基づいて体脂肪率が算出される。なお、性別、年齢等の生体情報は、生体情報測定装置1の表示部50に設けられたインターフェイスを用いて入力される。
【0029】
荷重センサ30は、載置面15に加えられる荷重を検出し、検出信号を制御装置60に送信する。荷重センサ30は、台座本体10Aの4つの隅に夫々設けられている。具体的には、右足の爪先部に対応する部分に第1の荷重センサ30が設けられ、左足の爪先部に対応する部分に第2の荷重センサ30が設けられている。右足の踵部に対応する部分に第3の荷重センサ30が設けられ、左足の踵部に対応する部分に第4の荷重センサ30が設けられている。
【0030】
荷重センサ30は、歪ゲージを有するロードセルを備えている。ロードセルは、ロードセル本体と、荷重を受けることにより変形しかつロードセル本体に対して移動する作用部とにより構成されている。ロードセル本体は載置台10Bに固定されている。ロードセルの作用部は台足20に接触する。
【0031】
ロードセルに荷重が加えられたとき作用部がロードセル本体に対して移動する。そして、作用部の移動に応じた信号がロードセル本体から出力される。出力信号は制御装置60に送信される。
【0032】
制御装置60は、3つの演算機能を有する。第1に、4つの荷重センサ30からの出力信号に基づいて体重を算出する。第2に、第1測定電極43および第2測定電極44の出力に基づいて生体インピーダンスIBを算出するとともに、生体インピーダンスIB、体重、その他の生体情報に基づいて体脂肪率を算出する。第3に、体重および体脂肪率を表示部50に出力する。
【0033】
表示部50は、制御装置60により算出された体重および体脂肪率を表示する。表示部50は、第1印加電極41と第2印加電極42との間、すなわち載置面15の前方に配置されている。
【0034】
表示部50は、生体情報を入力するためのインターフェイスの機能を有する。すなわち、測定者がこの表示部50を通じて制御装置60に体重、年齢、性別等の情報を入力することができる構成となっている。
【0035】
台足20は、円筒状に形成されている。台足20の底面には、滑り止めのゴム製のシートが貼り付けられている。台足20の上面はロードセルの作用部が当たる受け部20Aとされている。
【0036】
各台足20は、載置面15の裏側において4つの隅に夫々設けられている。前方の2つの台足(前方台足)は、台座10の前方部分を支持する。後方の2つの台足(後方台足)は、台座10の後方を支持する。具体的には、右足の爪先部に対応する部分に右前方台足21が設けられ、左足の爪先部に対応する部分に左前方台足22が設けられている。右足の踵部に対応する部分に右後方台足23が設けられ、左足の踵部に対応する部分に左後方台足24が設けられている。
【0037】
各台足20は、台座本体10Aの側面に対し次に示す位置に配置されている。
右前方台足21は、右側面12の延長面SAよりも内側かつ前面14の延長面SDよりも内側に配置されている。左前方台足22は、左側面13の延長面SBよりも内側かつ前面14の延長面SDよりも内側に配置されている。右後方台足23は、右側面12の延長面SAよりも内側かつ後面11の延長面SCよりも内側に配置されている。左後方台足24は、左側面13の延長面SBよりも内側かつ後面11の延長面SCよりも内側に配置されている。ここでの延長面よりも内側とは、台足20全体が延長面よりも台座本体10Aの中心側の領域に入っていることをいう。側面の延長面とは、側面を構成する面のうち大部分を占める主面の延長面をいう。例えば、右側面12と底面16との接続部分においてテーパが設けられている場合、この接続部分(テーパに対応する部分)は主面以外の部分とみなす。なお、後面11の延長面SCおよび前面14の延長面SDについては図示を省略している。
【0038】
ところで、台座本体10Aの右側面12および左側面13が内側に傾斜している場合、台座10が傾きやすくなる。例えば、測定者が台座10の外側に足を載せること、または台座10に対して身体を外側に傾けた状態すなわち台座10の外側に身体の重心を置いた状態で台座10に足を載せることにより、台座10が傾く。台座10が傾くと、測定者の足元が不安定となるため、測定者がバランスを崩す。この点に関し、上記構造の生体情報測定装置1と比較構造の生体情報測定装置100とを比較して、上記構成の生体情報測定装置1の作用について説明する。
【0039】
図3(a)は、比較構造の生体情報測定装置100の傾き度合いを示し、図3(b)は、上記構造の生体情報測定装置1の傾き度合いを示す。
比較構造の生体情報測定装置100では、台足120の一部分が、台座110の側面111の延長面SEよりも外側に配置されている。この構造の場合、測定者が台座110の外側に足を載せたとき、または台座110の外側に身体の重心を置いた状態で台座110に足を載せたとき、台座110が台足120の外側の端縁を支点として傾く。そして、台座110が一旦傾きはじめると台座110の側縁118が地面に接触するまで傾く。このような角度まで傾くと測定者がバランスを崩す。
【0040】
図3(b)は、本実施形態の生体情報測定装置1の傾き度合いを示す。
本実施形態の生体情報測定装置1では、台足20が側面の延長面よりも内側に配置されている。
【0041】
この構造の場合、測定者が台座10の外側に足を載せること、または台座10の外側に身体の重心を置いた状態で台座10に足を載せることで台座10は傾くが、載置台10Bの側縁18が地面に当たる前に、台座本体10Aの底面側縁19が地面に接触する。このときの台座10の傾きは、比較構造の生体情報測定装置100の傾きよりも小さい。これにより、測定者がバランスを崩す頻度を抑制することができる。
【0042】
(実施形態の効果)
本実施形態の生体情報測定装置1によれば以下の効果が得られる。
(1)生体情報測定装置1においては、台座本体10Aの側面が下方に向かうにつれて内側に傾斜する生体情報測定装置1に対して、右前方台足21および右後方台足23を右側面12の延長面SAよりも内側に配置している。さらに、左前方台足22および左後方台足24を左側面13の延長面SBよりも内側に配置している。
【0043】
測定者が台座10に載るとき生体情報測定装置1が傾くことがある。生体情報測定装置1の傾きが小さいときは測定者がバランスを崩すことは殆どないが、生体情報測定装置1が大きく傾くと、測定者がバランスを崩す。特に、台座本体10Aの側面が内側に傾斜している場合、台足20の外側に荷重が加わる可能性が高い上に、一旦生体情報測定装置1が傾くと台座10の側縁18が地面に接触するまで傾くため、測定者がバランスを崩す可能性が高い。この点、上記構成によれば、台座10が傾いたとき底面側縁19が地面に接触するため、台座10が大きく傾くことが抑制され、これにより測定者がバランスを崩す頻度が少なくなる。また、従来技術のように台座本体10Aの底面16に突起を設けて台座10の傾きを制止するものではないため、台座本体10Aの上下方向への移動が規制されることはない。このため、体重を正確に測定することができる。
【0044】
(2)生体情報測定装置1においては、右側面12と底面16との間のなす角θ、および左側面13と底面16との間のなす角θが鈍角である。この構成によれば、生体情報測定装置1を上方から見たとき、台座10の側面の一部が隠れるとともに、台足20の全部またはその一部が隠れて見えない。すなわち、実際の大きさよりもコンパクトであるという印象を与えることができる。
【0045】
(3)生体情報測定装置1においては、載置面15に電極40を設けている。この構成によれば、電極40を通じて身体に電流を流すことができるため、生体インピーダンスIBを測定することができる。
【0046】
(4)生体情報測定装置1においては、足マークが電極で構成されている。すなわち、電極40の形状が足マークの形状に対応している。測定者は、足の形状に対応した形(足マーク)をみたとき、無意識にその足マークに足を載せる。このため、足が電極40の場所以外のところに置かれることが少なくなる。これにより、電極40と身体とが接触面積が不十分になることに起因して体脂肪率の測定精度が低下する頻度を抑制することができる。
【0047】
(第2実施形態)
本実施形態の生体情報測定装置1は、第1実施形態の生体情報測定装置1の一部を変更したものとして構成されている。このため、以下では第1実施形態の生体情報測定装置1と異なる点の詳細を説明し、同実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0048】
第1実施形態の生体情報測定装置1においては、台足20と電極40との位置関係について特に規定していないが、本実施形態では台足20の中心軸を電極40の中心線よりも外側に配置する。
【0049】
図4に示すように、右前方台足21の中心軸CJを通る幅方向において、第1印加電極41の中心位置よりも外側に当該右前方台足21の中心軸CJが配置されている。右後方台足23の中心軸CJを通る幅方向において、第1測定電極43の中心位置よりも外側に当該右後方台足23の中心軸CJが配置されている。具体的には、右前方台足21の中心軸CJおよび右後方台足23の中心軸CJは、第1印加電極41および第1測定電極43の幅方向における中心線(以下、「第1中心線C1」)よりも外側に配置されている。なお、第1中心線C1は、第1印加電極41の重心と第1測定電極43の重心とを通る線とする。
【0050】
同様に、左前方台足22の中心軸CJを通る幅方向において、第2印加電極42の中心位置よりも外側に当該左前方台足22の中心軸CJが配置されている。左後方台足24の中心軸CJを通る幅方向において、第2測定電極44の中心位置よりも外側に当該左後方台足24の中心軸CJが配置されている。具体的には、左前方台足22の中心軸CJおよび左後方台足24の中心軸CJは、第2印加電極42および第2測定電極44の幅方向における中心線(以下、「第2中心線C2」)よりも外側に配置されている。なお、第2中心線C2は、第2印加電極42の重心と第2測定電極44の重心とを通る線とする。
【0051】
ところで、台座本体10Aの右側面12および左側面13が内側に傾斜している場合、測定者が台座10の外側に足を載せること、または台座10の外側に身体の重心を置いた状態で台座10に足を載せることにより、台座10が傾くことがある。これに対して、第1実施形態では、台足20を側面の延長面よりも内側に配置する。これにより、台座10の傾きを一旦制止させる。しかし、台足20を台座10の中心側に寄せすぎると、電極40に対応する足の置き場所に適切に荷重を加えたとしても台座10が傾く。この点に関し、上記構造の生体情報測定装置1と、比較構造の生体情報測定装置200とを比較して、上記構成の生体情報測定装置1の作用について説明する。
【0052】
図5(a)は、比較構造の生体情報測定装置200の載置面に片足を載せたときの状態を示し、図5(b)は、上記構造の生体情報測定装置1の載置面15に片足を載せたときの状態を示す。
【0053】
図5(a)に示すように、比較構造の生体情報測定装置200では、右前方台足221の中心軸CJおよび右後方台足223の中心軸CJが、電極40の第1中心線C1よりも内側に配置されている。同様に、左前方台足222の中心軸CJおよび左後方台足224の中心軸CJが、電極40の第2中心線C2よりも内側に配置されている。この構造の場合、第2測定電極244に対応する位置に片足を載せたとき、測定者の荷重が、左前方台足222の中心軸CJおよび左後方台足224の中心軸CJよりも外側に加わるため、台座210が傾く。
【0054】
これに対して、上記構造の生体情報測定装置1では、各台足20の中心軸CJが対応する電極40の中心線よりも外側に配置されている。このため、第2測定電極44に対応する位置に片足を載せたとき、測定者の荷重が左後方台足24の中心軸CJよりも内側に加わるため、図5(b)に示すように台座10が傾くことは殆どない。
【0055】
(実施形態の効果)
本実施形態の生体情報測定装置1によれば、第1実施形態の(1)?(4)の効果に加えて以下の効果が得られる。
【0056】
(5)生体情報測定装置1においては、台足20の中心軸CJを通る幅方向において、足マークを示す電極40の中心位置(重心)よりも外側に台足20の中心軸CJが配置されている。この構成によれば、台座10に加わる荷重が台足20の中心軸CJよりも外側に加わることが抑制されるため、生体情報測定装置1が傾くことが抑制される。
【0057】
(第3実施形態)
本実施形態の生体情報測定装置1は、第1実施形態の生体情報測定装置1の一部を変更したものとして構成されている。このため、以下では第1実施形態の生体情報測定装置1と異なる点の詳細を説明し、同実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0058】
第1実施形態においては、4つの台足20が台座本体10Aの側面の延長面に対して内側に配置されている。これに対して、本実施形態では、前方の台足20を台座本体10Aの側面の延長面に対して内側に配置し、かつ後方の台足20を台座本体10Aの側面の延長面に対して外側に配置している。
【0059】
図6に示すように、載置台10Bは、前辺が後辺より長い台形に形成されている。台座本体10Aは、側面視で底面16に向って窄む形に形成されている。このような形状とすることにより、台座10をコンパクトな印象を与える外観にしている。
【0060】
各台足20は、次のように配置されている。
右前方台足21は、右側面12の延長面SAよりも内側かつ前面14の延長面SDよりも内側に配置されている。そして、右前方台足21の中心軸CJは、第1印加電極41の幅方向における中心線(以下、「第3中心線C3」)よりも内側に配置されている。なお、第3中心線C3は、第1印加電極41の幅方向で互いに対向する辺の直線部分において、両辺から等距離にある点を連結した線とする。
【0061】
左前方台足22は、左側面13の延長面SBよりも内側かつ前面14の延長面SDよりも内側に配置されている。そして、左前方台足22の中心軸CJは、第2印加電極42の幅方向における中心線(以下、「第4中心線C4」)よりも内側に配置されている。なお、第4中心線C4は、第2印加電極42の幅方向で互いに対向する辺の直線部分において、両辺から等距離にある点を連結した線とする。
【0062】
右後方台足23の一部分は右側面12の延長面SAよりも外側に配置され、かつ右後方台足23の全体は後面11の延長面SCよりも内側に配置されている。更に右後方台足23の中心軸CJは、第1測定電極43の幅方向における中心線(以下、「第5中心線C5」)よりも外側に配置される。なお、第5中心線C5は、第1測定電極43の幅方向で互いに対向する辺の直線部分において、両辺から等距離にある点を連結した線とする。
【0063】
左後方台足24の一部分は左側面13の延長面SBよりも外側に配置され、かつ左後方台足24の全部は後面11の延長面SCよりも内側に配置されている。更に左後方台足24の中心軸CJは、第2測定電極44の幅方向における中心線(以下、「第6中心線C6」)よりも外側に配置される。なお、第6中心線C6は、第2測定電極44の幅方向で互いに対向する辺の直線部分において、両辺から等距離にある点を連結した線とする。
【0064】
ところで、本実施形態では、生体情報測定装置1の載置面15の面積を小さくするために、載置面15の大きさを、一般の測定者が両足を肩幅程度に開いたときの両足の大きさに合わせている。この場合、載置台10Bの形状は図6に示すように台形となる。このような構造にする場合、第2実施形態のように台足20を配置することが困難となる。すなわち、電極40の中心線と、台座本体10Aの側面の延長面との間のスペースが小さくなるため、第2実施形態のように、このスペースに台足20を配置することが困難となる。仮に台足20をこのスペースに設けるとすれば台足20の直径を小さくする必要があり、この場合には、荷重に耐えられないようになる。
【0065】
そこで、上記構成のように前方の台足20で台座10の傾きを制止する構造とし、後方の台足20で台座10の安定性を確保する。すなわち、右前方台足21を右側面12の延長面SAよりも内側、かつ左前方台足22を左側面13の延長面SBよりも内側に配置することにより、台座10が傾斜したときに台座10の底面側縁19が接触する構造とする。これにより、更に傾くことを抑制する。更に、右後方台足23と左後方台足24との間の距離を大きくする。すなわち、右後方台足23の中心軸CJを第5中心線C5よりも外側に配置し、かつ左後方台足24の中心軸CJを第6中心線C6よりも外側に配置している。これにより、台座10を傾きにくくしている。
【0066】
(実施形態の効果)
本実施形態の生体情報測定装置1によれば、第1実施形態の(1)?(4)の効果に加えて以下の効果が得られる。
【0067】
(6)生体情報測定装置1においては、載置面15を前辺が後辺よりも長い台形とする。そして、前方の2つの台足20を側面の延長面よりも内側に配置し、かつ後方の2つの台足20の中心軸CJを対応する電極40の中心線よりも外側に配置する。
【0068】
載置面15が台形である場合、この台形の長辺を一辺とする正方形の載置面を有する台座10を有する生体情報測定装置(以下、比較装置)に比べて、台座10が傾きやすくなる。すなわち、4つの台足20の全てについて台座本体10Aの側面の延長面よりも内側に配置すると、4つの台足20をこれと同様の配置とした比較装置に比べて台足20同士の間隔が狭くなるため、当該比較装置よりも傾きやすい。そこで、上記構成のように、載置面15の前方にある2つの台足20を、側面の延長面よりも内側に配置することにより、台座10が一旦傾いたとしても、これ以上に傾くことを抑制する。かつ、後方にある2つの台足20の中心軸CJを当該台足20に対応する電極40の中心線よりも外側に配置する。これにより台座10を安定化させて、台座10が傾くこと自体を抑制することができる。
【0069】
(その他の実施形態)
本発明の実施態様は、第1および第2実施形態の内容に限られるものではなく、例えば、以下のように変更することもできる。また、以下の変形例は対応する実施例についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0070】
・第1実施形態(図1)では、4つの台足20が側面の延長面よりも内側に配置されているが、少なくとも1つの台足20が延長面の内側に配置されていれば、当該台足20により、当該台足20の方向への台座10の傾きを一旦制止することができる。
【0071】
・第2実施形態(図4)では、4つの台足20が側面の対応する電極の中心線よりも外側に配置されているが、少なくとも1つの台足20が対応する中心線よりも外側に配置されていれば、当該台足20により、台座10が傾くことを抑制することができる。
【0072】
・第3実施形態(図6)では、載置台10Bが台形であるものに対して台足20の位置を規定しているが、同実施形態の台足20の構成を載置台10Bが正方形または長方形であるものに対して適用することもできる。この場合においても、第3実施形態に準じた効果が得られる。
【0073】
・第3実施形態(図6)では、前辺が後辺よりも長い台形の台座10を有する生体情報測定装置1に対して台足20の配置を規定しているが、この構成を前辺が後辺よりも短い台形の台座10を有する生体情報測定装置1に適用することができる。この場合においても、第3実施形態に準じた効果が得られる。
【0074】
具体的には、各台足20は、次のように配置される。
右前方台足21の一部分は右側面12の延長面SAよりも外側に配置され、かつ右前方台足21の全体は前面14の延長面SDよりも内側に配置されている。更に右前方台足21の中心軸CJは、第1印加電極41の幅方向における中心線よりも外側に配置される。
【0075】
左前方台足22の一部分は左側面13の延長面SBよりも外側に配置され、かつ左前方台足22の全部は前面14の延長面SDよりも内側に配置されている。更に左前方台足22の中心軸CJは、第2印加電極42の幅方向における中心線よりも外側に配置される。
【0076】
右後方台足23は、右側面12の延長面SAよりも内側かつ後面11の延長面SCよりも内側に配置されている。そして、右後方台足23の中心軸CJは、第1測定電極43の幅方向における中心線よりも内側に配置される。
【0077】
左後方台足24は、左側面13の延長面SBよりも内側かつ後面11の延長面SCよりも内側に配置されている。そして、左後方台足24の中心軸CJは、第2測定電極44の幅方向における中心線よりも内側に配置される。
【0078】
・第1?第3実施形態(図1)では、電極40が足の置き場所を示すマークとして機能するが、足の置き場所を示すマークを電極とは別の部材により形成してもよい。例えば、当該マークをインクにより形成してもよい。このような構成によれば、電極40のうち足が接触しない部分を省略することができるため、電極の材料コストを低減することができる。
【0079】
・第1?第3実施形態(図1)では、生体情報測定装置1に4つの台足20を設けているが、台足20の本数が3以上であればよい。なお、台足20が奇数の場合、台座10の安定性のため、少なくとも1つの台足20を台座10の中心線に沿う位置に配置することが好ましい。
【0080】
・第1?第3実施形態(図1)では、台座本体10Aの側面が平坦に形成されているが、側面の形状はこの形態に限定されない。例えば、側面を曲面に形成してもよい。この場合、台座10を斜めにして側面と地面とを互いに接触させたときの側面の接触点をA点とし、かつ地面の接触点とB点として、A点とB点を含む面が側面の延長面と定義する。そして、この延長面に対して各台足20の位置が規定される。
【0081】
・第1?第3実施形態(図1)では、各側面が傾斜しているが、少なくとも1つの側面が傾斜していれば、本発明を適用することができる。この場合において、当該側面に対応する台足20を第1?第3実施形態の構成にすれば、上記各実施形態に準じた効果を奏する。
【0082】
・第1?第3実施形態(図1)では、載置台10Bの形状を四角形または台形にしているが、載置台10Bの形状はこれに限定されない。例えば、載置台10Bを円形または楕円形または扇形にすることができる。このように載置台10Bの形状を変更しても上記第1?第3実施形態に準じた効果を奏する。
【0083】
・第1?第3実施形態(図1)では、体重および生体インピーダンスIBを測定する生体情報測定装置1に本発明を適用しているが、本発明の適用対象は生体情報測定装置1の測定機能に関連して限定されるものではない。すなわち、台座10と台足20とを備えかつ台座10が台足20に対して傾く生体情報測定装置1であれば、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1…生体情報測定装置、10…台座、10A…台座本体、10B…載置台、11…後面、12…右側面、13…左側面、14…前面、15…載置面、18…側縁、19…底面側縁、20…台足、21…右前方台足、22…左前方台足、23…右後方台足、24…左後方台足、30…荷重センサ、40…電極、41…第1印加電極、42…第2印加電極、43…第1測定電極、44…第2測定電極、50…表示部、60…制御装置。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報測定装置であって、
前記生体情報測定装置は、台座、電極、少なくとも3つの台足、および、荷重を検出する荷重センサを有し、
前記台座は、台座本体、および、前記台座本体の上に固定された載置台を有し、
前記載置台は、右側の側端、左側の側端、身体が載せられる載置面、および前記載置面の反対側の面を構成する下面を有し、
前記台座本体は、右側面、左側面、および、前記台足が相対移動可能に嵌りこむ孔が設けられている下面を有し、
前記荷重センサは、前記載置台と前記台座本体の下面の孔を介して嵌入された前記台足との間に配置され、前記載置台に荷重が加えられたときに前記台足からの力が前記荷重センサに加わるように設けられ、
前記電極は、前記載置面に形成され、
前記載置台の前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における右端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に延びて、前記右側の側端に接続され、
前記載置台の前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、前記載置台の前記下面における左端部分は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に延びて、前記左側の側端に接続され、
前記台座本体の前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記台座本体の前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記台座本体の前記右側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記台座本体の前記左側面および前記台座本体の前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記少なくとも3つの台足は、前記台座を支持し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在している
生体情報測定装置。
【請求項2】
前記生体情報測定装置は、足マークを有し、
前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、
前記台足の中心軸は、前記台足の中心軸を通る前記生体情報測定装置の幅方向において、前記足マークの中心位置よりも外側に存在している
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
生体情報測定装置であって、
前記生体情報測定装置は、台座、電極、4つの台足、および2つの足マークを有し、
前記台座は、台座本体および載置台を有し、
前記載置台は、前記台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され、右側の側端、左側の側端、および、身体が載せられる載置面を有し、
前記電極は、前記載置面に形成され、
前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、
前記2つの足マークは、左足に対応する左足マーク、および、右足に対応する右足マークを含み、
前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有し、
前記右側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、
前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、
前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記右側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記左側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記載置面は、4つの辺を有し、
前記載置面の4つの辺は、前記生体情報測定装置の前後方向において互いに対向する前辺および後辺、ならびに、前記生体情報測定装置の幅方向において互いに対向する左辺および右辺を含み、
前記前辺の長さは、前記後辺の長さよりも長く、
前記左側面は、前記左辺に対応して形成され、
前記右側面は、前記右辺に対応して形成され、
前記4つの台足は、前記台座を支持し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左後方台足の中心軸が前記左足マークの中心線よりも外側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右後方台足の中心軸が前記右足マークの中心線よりも外側に存在している
生体情報測定装置。
【請求項4】
生体情報測定装置であって、
前記生体情報測定装置は、台座、電極、4つの台足、および2つの足マークを有し、
前記台座は、台座本体および載置台を有し、
前記載置台は、前記台座本体の上に載せられ、前記台座本体と結合され、右側の側端、左側の側端、および、身体が載せられる載置面を有し、
前記電極は、前記載置面に形成され、
前記足マークは、前記載置面に形成され、足の置き場所を示し、
前記2つの足マークは、左足に対応する左足マーク、および、右足に対応する右足マークを含み、
前記台座本体は、右側面、左側面、および、下面を有し、
前記右側の側端は、前記生体清報測定装置の幅方向において前記右側面のうちの最も右側の部分よりも外側に存在し、
前記左側の側端は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面のうちの最も左側の部分よりも外側に存在し、
前記右側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記左側面は、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側の側端よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の下方に向かうにつれて前記生体情報測定装置の幅方向の内側に向けて傾斜し、
前記右側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記左側面および前記下面のなす角は、鈍角を有し、
前記載置面は、4つの辺を有し、
前記載置面の4つの辺は、前記生体情報測定装置の前後方向において互いに対向する前辺および後辺、ならびに、前記生体情報測定装置の幅方向において互いに対向する左辺および右辺を含み、
前記前辺の長さは、前記後辺の長さよりも短く、
前記左側面は、前記左辺に対応して形成され、
前記右側面は、前記右辺に対応して形成され、
前記4つの台足は、前記台座を支持し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左前方台足の中心軸が前記左足マークの中心線よりも外側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右前方台足は、前記台座の前方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも外側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右前方台足の中心軸が前記右足マークの中心線よりも外側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である左後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記左辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、
前記4つの台足のうちの1つの台足である右後方台足は、前記台座の後方部分を支持し、前記右辺に対応し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記右側面の延長面よりも内側に存在し、前記生体情報測定装置の幅方向において前記左側面の延長面よりも内側に存在している
生体情報測定装置。
【請求項5】
前記足マークの少なくとも一部は、前記電極により構成されている
請求項2?4のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-10-27 
結審通知日 2016-10-28 
審決日 2016-11-08 
出願番号 特願2011-64316(P2011-64316)
審決分類 P 1 113・ 121- ZAA (A61B)
P 1 113・ 112- ZAA (A61B)
P 1 113・ 113- ZAA (A61B)
P 1 113・ 853- ZAA (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 湯本 照基  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 福島 浩司
郡山 順
登録日 2014-02-14 
登録番号 特許第5475712号(P5475712)
発明の名称 生体情報測定装置  
代理人 濱名 哲也  
代理人 恩田 誠  
代理人 種村 一幸  
代理人 中嶋 恭久  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
代理人 中嶋 恭久  
代理人 恩田 博宣  
代理人 濱名 哲也  

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