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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 F02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F02B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02B
管理番号 1324624
審判番号 不服2016-2165  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-12 
確定日 2017-02-06 
事件の表示 特願2014-528681「ガスエンジン用のプレチャンバスパークプラグにおいて高出力火炎ジェットを達成して消炎及び自己発火を抑制する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月 7日国際公開、WO2013/033668、平成26年 9月29日国内公表、特表2014-525546〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年9月1日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2011年9月3日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成26年3月3日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出され、平成26年4月10日に特許法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲及び要約書の日本語による翻訳文が提出され、同日に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書並びに上申書が提出され、平成27年1月15日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成27年4月15日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年10月8日付けで拒絶査定がされ、平成28年2月12日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成28年3月24日に審判請求書の請求の理由を補正する手続補正書(方式)が提出されたものである。

第2 平成28年2月12日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成28年2月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正
(1)本件補正の内容
平成28年2月12日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正前の(すなわち、平成27年4月15日提出の手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の下記(イ)の記載へと補正するものである。

(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
外側面、及び、プレチャンバ空間を取り囲む内側面を含むプレチャンバと、
前記外側面と前記内側面とを接続して前記プレチャンバ空間に混合気を導入する1以上の穴であって、当該1以上の穴の各々が、前記プレチャンバ空間内で前記混合気の螺旋流パターンを形成するための割出角及び回転方向のずれを規定する穴軸を備える、1以上の穴と、
前記プレチャンバ空間内に配置された主電極と、
前記プレチャンバ空間内に配置され、1以上の電極ギャップを形成するために前記主電極からずれた1以上の接地電極と、を備える予燃焼室。」

(イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
外側面、及び、プレチャンバ空間を取り囲む内側面を含むプレチャンバと、
前記外側面と前記内側面とを接続して前記プレチャンバ空間に混合気を導入する1以上の穴であって、当該1以上の穴の各々が、前記プレチャンバ空間内で、半径方向成分と、接線方向成分と、前記接線方向成分及び前記半径方向成分よりも大きい軸方向成分と、を含む前記混合気の螺旋流パターンを形成するための割出角及び回転方向のずれを規定する穴軸を備える、1以上の穴と、
前記プレチャンバ空間内に配置された主電極と、
前記プレチャンバ空間内に配置され、1以上の電極ギャップを形成するために前記主電極からずれた1以上の接地電極と、を備える予燃焼室。」
(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

(2)新規事項の追加について
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1において追加された「半径方向成分と、接線方向成分と、前記接線方向成分及び前記半径方向成分よりも大きい軸方向成分と、を含む」という事項は、本願の平成26年4月10日提出の明細書、請求の範囲又は図面の翻訳文(以下、まとめて「当初明細書等」という。)には記載されておらず、また、当初明細書等から自明な事項でもない。
そればかりか、図6を参照すると、混合気の流れは、水平方向の成分が大きいものとして描かれているから、接線方向成分及び半径方向成分よりも小さい軸方向成分と、を含む混合気の螺旋流パターンが記載されており、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1において追加された「半径方向成分と、接線方向成分と、前記接線方向成分及び前記半径方向成分よりも大きい軸方向成分と、を含む」という上記事項は、図6の記載に反するものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(3)本件補正の目的
仮に、本件補正が新規事項の追加でないとした場合について、検討する。
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「前記混合気の螺旋流パターン」について、「半径方向成分と、接線方向成分と、前記接線方向成分及び前記半径方向成分よりも大きい軸方向成分と、を含む」という事項を付加して限定することにより、請求項1に記載される発明を限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2 独立特許要件についての判断
仮に、本件補正が新規事項の追加でないとした場合、本件補正における特許請求の範囲の請求項1に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

2-1 引用文献
(1)引用文献の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2009-270539号公報(以下、「引用文献」という。)には、「エンジン及びエンジン用点火プラグ」に関し、図面とともに、次のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(ア)「【0001】
本発明は、点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔がプラグカバーに備えられ、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を点火プラグにより火花点火するエンジン、及びこのエンジンに用いられる点火プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなエンジンは、燃焼室に吸気された空気と燃料との混合気をピストンの上昇により圧縮して、その圧縮された混合気を、点火プラグのプラグカバーに設けられた噴孔を介して点火室に流入させ、その点火室に流入した混合気を点火プラグにより火花点火して燃焼させて、上記噴孔を介して燃焼室に燃焼火炎を噴射するように構成されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2007-077902号公報」(段落【0001】ないし【0003】)

(イ)「【0004】
上記点火プラグによる確実な点火を行うためには、新しい混合気を燃焼室から噴孔を介して当該点火プラグの点火点付近に流入させ、未燃焼残留ガスによる影響を排除することが必要となる。すなわち、点火プラグの点火点は、点火室の中心軸付近に配置されていることが多く、燃焼後、この点火点近傍に未燃焼残留ガスがそのまま残ると、その未燃焼残留ガスの影響で次回に火花点火できない失火が発生するおそれが高くなり、安定した燃焼火炎を形成することが困難となるおそれがある。
【0005】
この点、上記特許文献1に記載のエンジンの点火室では、噴孔は点火室の中心軸に向かう方向に形成されている。従って、当該噴孔を介して燃焼室から流入する混合気の流れは、当該点火室内において噴孔の延長線上を進み中心軸に到達するが、当該中心軸上で対向する各混合気同士が衝突するものとなり、規則性の低い不安定なガス流動を形成するという問題がある。
一方、噴孔が点火室の内壁面に沿った方向に形成されていると、当該噴孔を介して燃焼室から流入する混合気の流れは点火室内の外周部分のみを周回するものとなり、当該混合気の流れにより、燃焼後に点火室の中心軸付近に残留している未燃焼残留ガスを排除することは困難である。例えば、図5に示すように、点火室に噴孔20を介して流入した混合気(白い部分)は外周のみを周回し、中心軸X付近に未燃焼残留ガス(黒い部分)が残留している。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔がプラグカバーに備えられ、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を点火プラグにより点火点で火花点火するエンジンにおいて、点火室の中心軸付近に未燃焼残留ガスが残ることを防止して失火の発生を抑制し、安定した燃焼火炎を得て安定運転を実現し得る技術を提供する点にある。」(段落【0004】ないし【0006】)

(ウ)「【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられているエンジンの第1特徴構成は、
前記複数の噴孔のそれぞれは、前記点火室の中心軸に直交する断面視で、前記燃焼室から前記噴孔を介して前記点火室に流入する各混合気の流入方向が、前記噴孔の点火室側端部と前記中心軸とが結ばれる直線に対して前記点火室側端部を軸としてそれぞれ同一回転方向に同一角度ずれて設定され、かつ、前記各噴孔の直径をD1とし、対向する位置に配置され対となる噴孔の中心軸間の距離をD2とした場合に、0.5≦D1/D2≦2の条件を満たすように設定されている点にある。
【0008】
上記第1特徴構成によれば、点火室の中心軸に直交する断面視で、上記複数の噴孔のそれぞれは各混合気の流入方向が、当該中心軸から外周方向に若干ずれるように設定されているので、燃焼室から複数の噴孔を介して点火室に流入する各混合気を当該点火室の中心軸付近に直接流入させつつ、対向する位置に配置され対となる噴孔から流入する各混合気は互いに衝突を起こすことが防止される。しかも当該点火室内の中心軸付近に発生するガス流動を、点火室の中心軸を回転中心とする同一回転方向の比較的小さな渦流として形成することができる。したがって、点火室内の中心軸付近において、少なくとも点火点側の混合気の濃度を新たに流入した混合気の濃度に確保し、未燃焼残留ガスの影響を排除して点火プラグにより安定した火花点火ができ、失火を良好に防止することができる。これにより、安定した燃焼火炎を形成してエンジンの安定した運転を実現することができる。
具体的には、上記流入方向の若干のずれは、点火室の中心軸に直交する断面視で、噴孔の点火室側端部と中心軸とが結ばれる直線に対して点火室側端部を軸としてそれぞれ同一回転方向に同一角度のずれとされ、かつ、各噴孔の直径をD1とし、対向する位置に配置され対となる噴孔の中心軸間の距離をD2とした場合に、0.5≦D1/D2≦2の条件を満たすように設定されている。したがって、対向する位置に配置され対となる噴孔から流入する各混合気は互いに衝突を起こすことがないとともに、点火室の中心軸付近において比較的小さな渦流を形成することができている。ここで、D1/D2が0.5よりも小さいと、各混合気を点火室の中心軸付近に流入させることができなくなり、D1/D2が2よりも大きいと、対向して流入する各混合気が衝突して不安定なガス流動を生じるおそれがある。上記D1/D2は、噴流の広がりを無視するとD1=D2(D1/D2=1)の条件を満たしていることが好ましい。しかし噴孔の形状などによって噴流の広がり具合は異なり、最適な値は若干異なる。
本願において、渦流とは、点火室の中心軸を中心として回転する渦流で、点火室の中心軸付近に形成される回転(旋回)渦流をいい、噴孔の点火室側端部とは、点火室の中心軸に直交する断面において、噴孔が点火室に接する最も内側の箇所をいう。」(段落【0007】及び【0008】)

(エ)「【0019】
本発明に係るエンジンの実施の形態について、図1から図3に基づいて説明する。
ここで、図1は、エンジン100のシリンダ3上部とシリンダヘッド6下部周辺における縦断面図であり、図2は、図1における点火室8近傍の中心軸Xに直交するII-II面の平断面図であり、図3は、図1における点火室8近傍の中心軸Xに平行なIII-III面の縦断面図である。
【0020】
〔エンジン〕
図1に示すように、エンジン100は、ピストン2と、ピストン2を収容するシリンダ3と、シリンダ3の上部に設けられピストン2の天面Hとシリンダ3の内側面とにより燃焼室1を形成するシリンダヘッド6と、シリンダヘッド6の下部に混合気Mに火花点火する点火プラグ7とを備えている。そして、ピストン2をシリンダ3内で往復運動させると共に、吸気バルブ4及び排気バルブ(図示せず)を開閉動作させて、燃焼室1において吸気、圧縮、燃焼・膨張、排気の諸行程を行い、ピストン2の往復動を連結棒(図示せず)によってクランク軸(図示せず)の回転運動として出力されるものであり、このような構成は、通常の4ストローク内燃機関と変わるところはない。なお、このエンジン100は、例えば、吸気バルブ4と排気バルブとを一つずつ設けた2弁式のエンジンである。
【0021】
また、エンジン100は、気体燃料である都市ガス(13A)を燃料Gとして利用するものであり、吸気行程において吸気バルブ4を開状態として、吸気ポート5から燃焼室1に空気Aと燃料Gとの混合気M(好ましくは希薄混合気等)を吸入し、圧縮及び燃焼・膨張行程において吸気バルブ4及び排気バルブを閉状態として、この吸入した混合気Mを圧縮して点火プラグ7により火花点火して燃料Gを燃焼・膨張させ、排気行程において排気バルブを開状態として、燃焼室1から排気ポート(図示せず)に排ガスを排出するように運転される。
【0022】
〔ピストン〕
図1に示すように、後述するシリンダヘッド6と対向するピストン2の天面H(ピストン2のヘッド面で、縦置きエンジンの場合は最上部に位置する面)の中央部には、いわゆる深皿型の凹部2aが形成されている。これにより、燃焼室1は、ピストン2の天面Hとシリンダ3の内面との間の空間に加え、凹部2aにて形成される空間から構成されている。このように燃焼室1を形成することにより、圧縮行程においてピストン2が上昇するときに、凹部2aの周囲から凹部2aの中心に向かう渦流、いわゆるスキッシュを発生させるように構成されている。
【0023】
〔シリンダヘッド〕
エンジン100のシリンダヘッド6には、吸気バルブ4を介して燃焼室1に混合気Mを供給できるように吸気ポート5が設けられており、この吸気ポート5内に配置された燃料供給弁9から供給された燃料Gと空気Aとが適切に混合されて混合気Mが形成されている。この混合気Mの混合割合は、エンジン100の運転状況に応じて適宜変更することができるように設定されている。なお、後述する点火プラグ7の点火室8に供給される混合気Mは、吸気ポート5から吸気バルブ4を介して燃焼室1に供給され、この燃焼室1から噴孔10を介して点火室8に流入する混合気Mに限られており、点火プラグ7の点火室8に噴孔10を介さずに直接燃料Gや混合気Mが供給されることはない。
【0024】
〔点火プラグ〕
図1に示すように、シリンダヘッド6の下部のピストン2の凹部2aに対向する箇所(シリンダヘッド6の最下面)には、混合気Mに火花点火する点火プラグ7が装着されている。この点火プラグ7の最下部(後述するプラグカバー7bの最下部)は、シリンダヘッド6の最下面及びピストン2の天面Hよりも下側、すなわち、ピストン2が上死点に位置する状態で少なくとも当該ピストン2の凹部2aに侵入するように配置され、また、後述する点火プラグ7の点火点Pもシリンダヘッド6の最下面及びピストン2の天面Hよりも下側、すなわち、ピストン2が上死点に位置する状態で少なくともピストン2の凹部2aに侵入するように配置されている。また、当該プラグカバー7bの最下部は、ピストン2の凹部2aの底面と接触しないように設定されている。すなわち、ピストン2の天面Hから凹部2aの底面までの深さは、シリンダヘッド6の最下面から点火プラグ7のプラグカバー7bの最下部までの長さよりも大きく設定されている。なお、点火プラグ7の点火点Pは、後述するプラグカバー7bにより形成された点火室8の中心軸X上に配置されている。
【0025】
また、図1、図3に示すように、点火プラグ7は、先端に点火点Pを形成するプラグ本体7aと当該点火点Pを覆うように形成されたプラグカバー7bとから構成され、このプラグカバー7bはプラグ本体7aに設けられて、プラグカバー7bの内側には前記点火点Pを備えた点火室8が形成されている。なお、プラグカバー7bの外周に設けられたねじ部分をシリンダヘッド6にねじ込むことで、点火プラグ7をシリンダヘッド6に装着できるように構成されている。
【0026】
また、プラグカバー7bには、点火室8とピストン2に面する燃焼室1との間を連通する複数の噴孔10が形成されており、シリンダヘッド6に装着された状態で点火室8と燃焼室1との間で混合気Mの通流が可能に構成されている。
すなわち、詳細は後述するが、複数の噴孔10がプラグカバー7bに設けられていることにより、圧縮行程において燃焼室1に存在する混合気Mを複数の噴孔10を介して点火室8に流入させることができ、また、燃焼・膨張行程において点火室8で形成された燃焼火炎を複数の噴孔10を介して燃焼室1に噴射させることができる。
ここで、プラグ本体7aとプラグカバー7bとは、当該プラグ本体7aの下部及び点火点Pを覆うように一体的に形成されて点火プラグ7を構成しており、点火室8、点火点P、噴孔10のプラグ本体7a、プラグカバー7bに対する相対的な位置関係を予め適宜設定した上で点火プラグ7を形成することができ、エンジン100への装着が容易となっている。
なお、プラグカバー7bの厚さは、十分な熱耐久性・強度を確保できるとともに、混合気Mの点火室8への流入方向を確実に設定できる程度の厚さであれば特に制限されないが、例えば、1.5?3mm程度の厚さとすることができる。また、プラグカバー7bは、例えば、SUS(ステンレス鋼)等の材料により構成することができる。」(段落【0019】ないし【0026】)

(オ)「【0027】
〔エンジンの動作〕
エンジン100は、上記のような構成を採用することにより、燃焼室1に吸気された混合気Mをピストン2の上昇により圧縮して、圧縮された混合気Mを燃焼室1からプラグカバー7bに設けられた噴孔10を介して点火室8に流入させ、点火室8に流入した混合気Mを点火室8において点火プラグ7により火花点火して燃焼させて、点火室8から噴孔10を介して燃焼室1に燃焼火炎を噴射するように構成されている。以下、そのエンジン100における1サイクルの動作状態について説明する。
【0028】
エンジン100は、先ず、吸気バルブ4が開状態となり、ピストン2のTDC(上死点)からの下降により、吸気ポート5から燃焼室1に混合気Mが吸入される吸気行程が行われる。
後に、吸気バルブ4が閉状態となり、ピストン2の上昇により、燃焼室1に吸気された混合気Mを圧縮する、いわゆる圧縮行程が行われる。
そして、圧縮行程では、ピストン2の上昇により、燃焼室1の容積減少によって、燃焼室1の混合気Mが噴孔10を介して点火室8に流入し、点火室8には、混合気Mの流入によりガス流動が発生することで、この混合気Mと未燃焼残留ガスが既に存在する場合にはこの未燃焼残留ガスとが混合されて、火花点火可能範囲内(例えば1程度)の当量比の混合気Mが形成される。
【0029】
そして、エンジン100は、上死点直前の例えば8°BTDC付近において、点火プラグ7を作動させて、上記点火室8に形成された点火点Pにおいて火花点火して燃焼させる。すると点火室8では、燃焼が進み、燃焼火炎が噴孔10を介して燃焼室1に噴出される。すなわち、点火室8と燃焼室1とを連通する複数の噴孔10から、それぞれ燃焼火炎が燃焼室1に放射状に噴射されるように構成されている。
【0030】
一方、燃焼室1においては、それぞれの噴孔10から噴射された燃焼火炎により混合気Mを安定して燃焼させるので、急激な圧力上昇を伴わず、高効率且つ低NOxとなる燃焼が行われる。」(段落【0027】ないし【0030】)

(カ)「【0032】
本願のエンジン100は、点火プラグ7のプラグカバー7bに設けられた複数の噴孔10が特徴的な構造を有することにより、点火室8に発生するガス流動を適切なものとして、点火室8の中心軸X付近の未燃焼残留ガスの影響を排除して、安定した燃焼火炎を形成し得るように構成されており、かかる特徴的な噴孔10の構造について以下に説明する。
【0033】
〔プラグカバーの噴孔〕
本願のエンジン100では、特に、本願の点火プラグ7のプラグカバー7bに設けられた複数の噴孔10は、上記圧縮行程において、燃焼室1からの混合気Mを点火室8内の中心軸X付近、好ましくは点火点P付近に案内するようなガス流動(中心軸Xを回転中心とする比較的小さな渦流S)を発生させることができるように構成されている。ここで、渦流とは、点火室8の中心軸Xを中心として回転する渦流で、点火室8の中心軸X付近に形成される回転(旋回)渦流をいう。
【0034】
具体的には、図1、図2、図3に示すように、有底筒状に形成されたプラグカバー7bには、概略球状の有底部分に円周方向で等間隔に複数(例えば、4つ)の噴孔10が設けられ、これら噴孔10は、燃焼室1から噴孔10を介して点火室8に流入する各混合気Mの流入方向が、図2に示すように、中心軸Xに直交する断面視(図1上、II-II断面)で、噴孔10の点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線に対して、点火室側端部Lを軸としてそれぞれ同一回転方向(図2では、反時計回り方向)に同一の角度α(例えば、図2では、α=10度程度)ずれて形成されている。なお、角度αは、5度以上20度以下程度とすることが好ましい。さらに、この流入方向が、各噴孔10の直径をD1、対向する位置に配置され対となる噴孔10の中心軸Y間の距離(最短距離)をD2とした場合に、0.5≦D1/D2≦2の条件を満たすように形成されている。
なお、噴孔10の点火室側端部Lとは、点火室8の中心軸Xに直交する断面において、噴孔10が点火室8に接する最も内側の箇所をいう。
したがって、上記圧縮行程において、燃焼室1から噴孔10を介して点火室8に流入した混合気Mは、点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線から角度αだけずれた経路で中心軸X付近に直接流入し、各混合気Mと中心軸X付近で合流する。したがって、対向する位置に配置され対となる噴孔10から流入する各混合気Mは互いに衝突を起こすことがないとともに、点火室8の中心軸X付近において比較的小さな渦流Sを形成することができる。
【0035】
加えて、図3に示すように、これら噴孔10は、燃焼室1から噴孔10を介して点火室8に流入する各混合気Mの流入方向が、中心軸Xに平行な断面視(図1上、III-III断面)で、点火室8の中心軸Xに直交する方向に沿って噴孔10の点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線に対して、点火室側端部Lを軸として点火点Pに接近する側(例えば、図3では、上方)に所定の角度βずれて形成されている(例えば、図3では、45度程度)。したがって、圧縮行程において、燃焼室1から噴孔10を介して点火室8に流入した混合気Mは、点火室側端部Lから角度βだけ上方にずれた延長線上の経路で中心軸X付近、特に中心軸X上に配置された点火点P付近に接近する形態で直接流入し、各混合気Mと合流して点火点P付近に比較的小さな渦流Sを形成することができる。なお、図1から図3では、燃焼室1の中心軸は、点火プラグ7の点火室8の中心軸Xと同じ軸となっており、更には、ピストン2、シリンダ3の中心軸とも同じ軸となっている。
【0036】
よって、上記各混合気Mは上記圧縮行程において、図2、図3に示すような、中心軸Xを回転中心とする比較的小さな渦流Sが、当該中心軸X付近に形成されるようなガス流動となる。これにより、点火プラグ7の点火室8内の中心軸X近傍に酸素濃度の比較的低い未燃焼残留ガスが多く存在する場合であっても、混合気Mのガス流動(渦流S)により少なくとも点火点P側の混合気Mの混合濃度を新たに流入した混合気Mの濃度に確保される状態とし、中心軸X付近の局所的な未燃焼残留ガスの存在を解消することができる。
なお、上記所定の角度βは、上記混合気Mを点火点P付近に案内することができる角度であれば適宜選択することができる。ちなみに、角度を小さくし過ぎると、各噴孔10から流入した各混合気Mによる渦流Sが点火点Pに到達する前に減衰して、的確に点火点P付近に案内し難くなるおそれがあり、角度を大きくし過ぎると、渦流Sが点火室8の天井壁に向かい点火点P付近に案内することが困難となるおそれがある。
【0037】
よって、未燃焼残留ガスの影響を排除して点火プラグ7により安定した火花点火ができ、失火を良好に防止することができる。これにより、安定した燃焼火炎を形成してエンジン100の安定した運転を実現することができる。
【0038】
同様に、点火室8の中心軸X付近において比較的小さなガス流動(渦流S)を発生させながら均質な混合気Mを燃焼させるので、その中心軸X付近における燃焼時の温度分布が略均一な状態となり、燃焼後において中心軸X付近における未燃焼残留ガス発生を充分に抑制することができ、良好な燃焼を実現することができる。」(段落【0032】ないし【0038】)

(キ)「【0039】
〔シミュレーション結果〕
以下、点火室8におけるガス流動についてのシミュレーション結果を、図4、図5に基づいて説明する。
〔実施例〕
図4(a)は、本願の実施例に係る点火室8内の混合気Mの燃料Gの濃度分布を示す縦断面図(図3における点火室8内の濃度分布に相当する。)、図4(b)は、図4(a)における点火室8の濃度分布を示す平断面図、図5(a)は、比較例に係る点火室8内の混合気Mの燃料Gの濃度分布を示す縦断面図、図5(b)は、図5(a)における点火室8の濃度分布を示す平断面図である。
なお、図上、混合気Mにおいて燃料Gの濃度が濃い部分を黒く、薄い部分を白く示しており、黒い領域ほど酸素濃度が低い未燃焼残留ガスが多く存在することを示している。
【0040】
上記本願の実施形態に係る複数の噴孔10を備えた点火プラグ7を用いた場合には、図4(a)に示すように、図4(a)の下方である燃焼室1から噴孔10を介して混合気M(図4(a)上、燃料Gの濃度が比較的薄い、すなわち空気Aの濃度が比較的濃い白い領域で示される)が点火室8の中心軸X付近に直接流入し、中心軸Xを回転中心とする渦流Sが当該中心軸X付近に形成され、さらに当該渦流Sが点火点P付近に案内されている。すなわち、未燃焼残留ガスが中心軸X付近、特に点火点P付近にほとんど存在していないことが確認できる(図4(b)参照)。
したがって、本実施例では、点火点P付近において燃料Gの濃度が比較的濃い領域(空気Aの濃度が比較的薄い領域)が形成されてしまうことを防止して、点火プラグ7の点火点Pにおける失火を防止することができる。
なお、当該点火プラグ7においては、噴孔10の流入方向が、0.5≦D1/D2≦2の条件を満たすように、上記D1/D2を1、角度(α)10度、噴孔10の数を4と設定してシミュレーションを行った。」(段落【0039】及び【0040】)

(ク)「【0043】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、各噴孔10において燃焼室1から点火室8に流入する各混合気Mの流入方向が、中心軸Xに直交する断面視で、噴孔10の点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線に対して、点火室側端部Lを軸としてそれぞれ同一回転方向に同一の角度αずれて形成され、かつ、各噴孔10の直径をD1とし、対向する位置に配置され対となる噴孔10の中心軸Y間の距離をD2とした場合に、0.5≦D1/D2≦2の条件を満たすように形成した。しかしながら、点火室8の中心軸X付近に新しい混合気Mを流入でき、かつ点火室8内における中心軸X付近のガス流動を不安定としない構成であれば上記構成に限定されず、上記角度αを5度以上20度以下に設定するだけでもよい(例えば、図3において、角度αを設定するだけの構成とする)。このように構成しても、基本的には、上記実施例で示したようなシミュレーション結果を得ることができる(図4参照)。
なお、上記角度αは、角度を小さくし過ぎると、対向して流入する各混合気Mが衝突して、点火室8の中心軸X付近において不安定なガス流動が生じるおそれがあり、角度を大きくし過ぎると、各混合気Mを点火室8の中心軸X付近に流入させることが困難となり(中心軸X付近には渦流Sのガス流動がほとんど生じず)、当該中心軸X付近に未燃焼残留ガスが滞留してしまうおそれがある。
【0044】
(2)上記実施形態では、燃料Gとして都市ガスを使用したが、これに限らず、都市ガス以外の水素やプロパン等のCOやH_(2)を主成分とする炭化水素以外の気体燃料を利用する場合であっても優れた効果を発揮することができる。また、燃料Gとして気体燃料以外の燃料を利用することもでき、例えば、ガソリン、アルコール、メタノール、エタノールなど任意の燃料を使用することができる。
【0045】
(3)上記実施形態では、図2に示すように、複数の噴孔10の流入方向を点火室側端部Lと中心軸Xとを結ぶ直線に対し、当該点火室側端部Lを軸として反時計回りに角度αを設定したが、点火室8内の中心軸X付近に混合気Mを直接流入させ、当該中心軸X付近でガス流動(渦流S)を形成することができれば、上記点火室側端部Lと中心軸Xとを結ぶ直線に対し、当該点火室側端部Lを軸として時計回りに角度αを設定してもよい。
【0046】
(4)上記実施形態では、図3に示すように、複数の噴孔10の流入方向を点火室側端部Lと中心軸Xとを結ぶ直線に対し、当該点火室側端部Lを軸として上方に角度βを設定したが、噴孔10の点火室側端部Lよりも下方に点火点Pがある場合には、良好にガス流動(渦流S)を点火点P付近に案内できるように、点火室側端部Lと中心軸Xとを結ぶ直線に対し、当該点火室側端部Lを軸として下方に角度βを設定してもよい。
【0047】
(5)上記実施形態では、複数の噴孔10として、4つの噴孔10をプラグカバー7bに設けたが、点火室8内の中心軸X付近に混合気Mを直接流入させ、当該中心軸X付近でガス流動(渦流S)を形成することができれば、噴孔数を適宜変更してもよい。
【0048】
(6)上記実施形態では、プラグカバー7bに複数の噴孔10を形成する際には、プラグカバー7bの有底筒状に形成された概略球状の有底部分に同一の円周上で等間隔に、かつ、対向する位置に対となる噴孔が位置するように配置したが、点火室8内の中心軸X付近に混合気Mを直接流入させ、当該中心軸付近においてガス流動(渦流S)を形成することができれば、同一の円周上において等間隔ではなく、同一の円周上において異なる間隔で、かつ対向する位置に対となる噴孔が存在するように複数の噴孔を配置することもできる。また、プラグカバー7bの有底筒状に形成された球状の有底部分において、同一の円周方向に限らず、径方向に異なる位置での複数の円周上に等間隔若しくは異なる間隔で、かつ対向する位置に対となる噴孔が存在するように複数の噴孔を配置することもできる。
【0049】
(7)上記実施形態では、プラグ本体7aとプラグカバー7bとを一体的に構成して点火プラグ7を構成したが、これに限らず、プラグ本体7aとプラグカバー7bとをそれぞれ別々の部材として構成し、これを組合わせて点火プラグ7を構成することもできる。」(段落【0043】ないし【0049】)

(ケ)「【0051】
本発明に係るエンジンは、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を点火プラグにより点火点で火花点火するエンジンにおいて、点火室の中心軸付近に未燃焼残留ガスが残ることを防止して失火の発生を抑制し、安定した燃焼火炎を得て安定運転を実現し得るエンジンとして有効に利用可能である。」(段落【0051】)

(2)引用文献の記載から分かること
上記(1)及び図1ないし図4の記載から、引用文献には、次の事項が記載されていることが分かる。

(サ)上記(1)(ア)ないし(ケ)及び図1ないし図4の記載から、引用文献には、ガスエンジンに用いて好適な点火室8が記載されていることが分かる。

(シ)上記(1)(ア)ないし(ケ)及び図1ないし図4の記載から、引用文献に記載された点火室8は、外側面及び内側面を有するプラグカバー7bを備えることが分かる。

(ス)上記(1)(ア)ないし(ケ)及び図1ないし図4の記載から、引用文献に記載された点火室8は、プラグカバー7bの外側面と内側面を接続して点火室8内に混合気Mを導入する複数の噴孔10を備えることが分かる。

(セ)上記(1)(ア)ないし(ケ)(特に段落【0033】ないし【0040】を参照。)及び図1ないし図4の記載から、引用文献に記載された点火室8の複数の噴孔10は、点火室8内で、混合気Mの渦流を発生させることができるように構成されていることが分かる。

(ソ)上記(1)(ア)ないし(ケ)(特に段落【0033】ないし【0040】を参照。)及び図1ないし図4(特に図2及び3を参照。)の記載から、混合気Mの渦流は、半径方向成分と、接線方向成分と、軸方向成分とを有することが分かる。また、段落【0035】(角度βは45度程度である旨が記載されている。)及び図3(点火プラグ7の近くの渦流Sは、軸方向成分が大きくなっている。)の記載から、軸方向成分は、半径方向成分及び接線方向成分と同程度又はそれよりも大きいことが分かる。

(タ)上記(1)(ア)ないし(ケ)(特に段落【0033】ないし【0040】を参照。)及び図1ないし図4(特に図2を参照。)の記載から、複数の噴孔10は、所定の割出角及び回転方向のずれを規定する中心軸を備えることが分かる。

(チ)上記(1)(ア)ないし(ケ)及び図1ないし図4(特に図1及び3を参照。)の記載から、点火室8内には点火プラグ7の主電極と、主電極からずれた接地電極とが配置されてその間に電極ギャップを有することが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに図1ないし4の記載から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「外側面、及び、点火室8を取り囲む内側面を含むプラグカバー7bと、
前記外側面と前記内側面とを接続して前記点火室8に混合気Mを導入する複数の噴孔10であって、当該複数の噴孔10の各々が、前記点火室8内で、半径方向成分と、接線方向成分と、前記接線方向成分及び前記半径方向成分同程度又はそれよりも大きい軸方向成分と、を含む前記混合気Mの渦流を形成するための割出角及び回転方向のずれを規定する噴孔の中心軸を備える、複数の噴孔10と、
前記点火室8内に配置された主電極と、
前記点火室8内に配置され、1以上の電極ギャップを形成するために前記主電極からずれた1以上の接地電極と、を備える点火室8。」

2-2 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「点火室8」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「プレチャンバ空間」及び「予燃焼室」に相当し、以下同様に、「プラグカバー7b」は「プレチャンバ」に、「混合気M」は「混合気」に、「(複数の)噴孔10」は「(1以上の)穴」に、「渦流」は「螺旋流パターン」に、「噴孔の中心軸」は「穴軸」に、それぞれ、相当する。
また、引用発明における「接線方向成分及び半径方向成分と同程度又はそれよりも大きい軸方向成分」は、「接線方向成分及び半径方向成分と同程度又はそれよりも大きい軸方向成分」という限りにおいて、本願補正発明における「接線方向成分及び半径方向成分よりも大きい軸方向成分」に相当する。

以上から、本願補正発明と引用発明は、
「外側面、及び、プレチャンバ空間を取り囲む内側面を含むプレチャンバと、
前記外側面と前記内側面とを接続して前記プレチャンバ空間に混合気を導入する1以上の穴であって、当該1以上の穴の各々が、前記プレチャンバ空間内で、半径方向成分と、接線方向成分と、前記接線方向成分及び前記半径方向成分と同程度又はそれよりも大きい軸方向成分と、を含む前記混合気の螺旋流パターンを形成するための割出角及び回転方向のずれを規定する穴軸を備える、1以上の穴と、
前記プレチャンバ空間内に配置された主電極と、
前記プレチャンバ空間内に配置され、1以上の電極ギャップを形成するために前記主電極からずれた1以上の接地電極と、を備える予燃焼室。」」
である点で一致し、次の点で相違又は一応相違する。

〈相違点〉
「接線方向成分及び半径方向成分と同程度又はそれよりも大きい軸方向成分」に関して、本願補正発明においては「接線方向成分及び半径方向成分よりも大きい軸方向成分」であるのに対し、引用発明においては「接線方向成分及び半径方向成分と同程度又はそれよりも大きい軸方向成分」である点(以下、「相違点」という。)。

2-3 判断
本願補正発明は、「第1に、従来のプレチャンバスパークプラグは、スパークプラグの火花ギャップ領域において燃料を十分に濃縮しない予燃焼室を有することがある。そのような場合に、火花ギャップ領域内の流動場力は無秩序状態になり、極めて低流動場又は極めて高流動場のいずれかの状態の領域を生じさせることがある。これは、火炎核が高流動場力によって極めて急速に成長するために、点火遅延が非常に短くなるか、又は、消炎面から火炎核を遠ざける流動場力がないために火炎核が消えるかのいずれかをもたらすことがある。第2に、従来のプレチャンバスパークプラグは、消炎面の近くで火炎核の形成を促進するか、又は、消炎面に向かって火炎の成長を促すことがある。第3に、プレチャンバの構成が、プレチャンバの内部又はプレチャンバの内側面の温度を十分に下げるために充填流を残留ガスと混合せず、その結果、燃料-酸化剤混合物が自己発火することがある。第4に、プレチャンバの構成のために、希薄燃料混合物を用いて十分に速い燃焼速度を得ることができず、火炎ジェットの主燃焼室への展開が、より速い燃焼速度と比較して勢いの劣ったものとなる。」(段落【0005】)ということを課題とし、本願補正発明の発明特定事項を備えることにより、「特定の実施形態では、プレチャンバスパークプラグは、従来のプレチャンバスパークプラグと比較して、消炎及び自己発火を抑制し、同時発生の高出力火炎ジェットと、主燃焼室での混合気の高速燃焼とともに、点火遅延又は燃焼の開始を制御可能にするように構築される。」(段落【0010】)という作用効果が得られるものである。
それに対し、引用発明は、「上記点火プラグによる確実な点火を行うためには、新しい混合気を燃焼室から噴孔を介して当該点火プラグの点火点付近に流入させ、未燃焼残留ガスによる影響を排除することが必要となる。すなわち、点火プラグの点火点は、点火室の中心軸付近に配置されていることが多く、燃焼後、この点火点近傍に未燃焼残留ガスがそのまま残ると、その未燃焼残留ガスの影響で次回に火花点火できない失火が発生するおそれが高くなり、安定した燃焼火炎を形成することが困難となるおそれがある。この点、上記特許文献1に記載のエンジンの点火室では、噴孔は点火室の中心軸に向かう方向に形成されている。従って、当該噴孔を介して燃焼室から流入する混合気の流れは、当該点火室内において噴孔の延長線上を進み中心軸に到達するが、当該中心軸上で対向する各混合気同士が衝突するものとなり、規則性の低い不安定なガス流動を形成するという問題がある。一方、噴孔が点火室の内壁面に沿った方向に形成されていると、当該噴孔を介して燃焼室から流入する混合気の流れは点火室内の外周部分のみを周回するものとなり、当該混合気の流れにより、燃焼後に点火室の中心軸付近に残留している未燃焼残留ガスを排除することは困難である。例えば、図5に示すように、点火室に噴孔20を介して流入した混合気(白い部分)は外周のみを周回し、中心軸X付近に未燃焼残留ガス(黒い部分)が残留している。」(段落【0004】及び【0005】)ということを課題とし、「点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔がプラグカバーに備えられ、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を点火プラグにより点火点で火花点火するエンジンにおいて、点火室の中心軸付近に未燃焼残留ガスが残ることを防止して失火の発生を抑制し、安定した燃焼火炎を得て安定運転を実現し得る技術を提供する」(段落【0006】)ことを目的とし、引用発明の発明特定事項を備えることにより、「未燃焼残留ガスの影響を排除して点火プラグ7により安定した火花点火ができ、失火を良好に防止することができる。これにより、安定した燃焼火炎を形成してエンジン100の安定した運転を実現することができる。・・・同様に、点火室8の中心軸X付近において比較的小さなガス流動(渦流S)を発生させながら均質な混合気Mを燃焼させるので、その中心軸X付近における燃焼時の温度分布が略均一な状態となり、燃焼後において中心軸X付近における未燃焼残留ガス発生を充分に抑制することができ、良好な燃焼を実現することができる。」(段落【0037】及び【0038】)という作用効果が得られるものである。
すなわち、本願補正発明と、引用発明とは、ともに、ガスエンジンにおいて、スパークプラグ(点火プラグ)による点火が不安定になり消えやすいということを課題とし、所定の形状のプレチャンバ(プラグカバー)を設けることにより、安定した燃焼炎を得ることができるという作用効果において共通している。
そこで、上記相違点について検討する。
本願補正発明において、「接線方向成分及び半径方向成分よりも大きい軸方向成分」とすることについて、明細書中には何も説明がなく、技術的意義についても不明である。
してみれば、「接線方向成分及び半径方向成分よりも大きい軸方向成分」とすることには格別の技術的意義がなく、また、それによる作用効果も不明であって、各方向成分の大きさをどのようにするかは、当業者が必要に応じて決定する設計事項である。
そして、引用発明には、上記のように、「接線方向成分及び半径方向成分と同程度又はそれよりも大きい軸方向成分」とすることが記載されており、上記相違点は実質的な相違点ではないから、本願補正発明は、刊行物に記載された発明である。
また、たとえ上記相違点が実質的なものであったとしても、引用発明に基づいて、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことである。

そして、本願補正発明は、全体として検討しても、引用発明から予測される以上の格別の効果を奏すると認めることはできず、本願補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号又は第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
したがって、上記1(2)において検討したように、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に本件補正が新規事項の追加に該当しないとしても、上記2において検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
第3-1 特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項について
1 本願発明
上記のとおり、平成28年2月12日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし24に係る発明は、平成26年4月10日提出の手続補正書により補正された明細書、平成27年4月15日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲及び国際出願された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定されるものであり、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)(ア)【請求項1】のとおりのものである。

2 引用文献及び引用発明
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献(特開2009-270539号公報)及び引用発明は、前記第2[理由]2-1に記載したとおりである。

3 対比・判断
前記第2[理由]1(2)で検討したとおり、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明、すなわち本願発明の発明特定事項をさらに限定するものであるから、本願発明は、実質的に本願補正発明における発明特定事項の一部を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2[理由]2-2及び2-3に記載したとおり、引用発明と実質的に同一であるか、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明と実質的に同一であるか、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第3-2 特許法第36条第6項第2号について
1 平成27年1月15日付け拒絶理由通知における指摘
平成27年1月15日付け拒絶理由通知における<理由3>(1)は、以下のようなものである。
「<理由3>
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


(1) 請求項1、19には「混合気の螺旋流パターンを形成するための割出角及び回転方向のずれを規定する穴軸を備える」と記載されているが、
(a) 「割出角」と「回転方向のずれ」の定義が不明である。
発明の詳細な説明に定義に関する記載が無く、本願の【0028】、【0040】及び図16,31を参照しても、基準1640、3140自体をどのように設定しているのかが不明であるため、割出角の基準線(0°位置)が把握できず、回転方向のずれについても、パターン半径の設定次第で数値が変動するように見受けられるためパラメータの定義を明確に把握できない。
(b) 請求項9では、割出角に0°を含んでおり、螺旋流パターンを形成することができないものを包含していると認められる。
同様に、基準線の設定位置にもよるが、本願の図16,31を見る限り、割出角が90°の場合も螺旋流パターンが形成できるか疑問である。
(c) 請求項10では、回転方向のずれに「0mm」を含んでおり、螺旋流パターンを形成することができないものを包含している。
(d) 請求項11では、外側穴の侵入角に0°と90°を含んでおり、総合的に螺旋流パターンが形成できるか疑問である。特に90°の場合は、内側穴と干渉することが明らかであると思われる。
(中略)
よって、請求項1-24に係る発明は明確でない。」

2 意見書及び審判請求書における応答
2-1 平成27年4月15日提出の意見書における応答
上記拒絶理由通知書に対し、請求人は意見書において以下のように応答している。
「3.拒絶理由通知書に記載の拒絶理由3について
(1)審査官殿は、この出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、と認定されました。
(2)以下、拒絶理由通知書に記載の項目(1)?(4)について以下に説明します。
項目(1)(a)?(d)について
「割出角」及び「回転方向のずれ」に関しては、本願の図16、図17、図30及び図31、並びに、当該図面に対応する当初明細書の段落0027?0029及び0039?0041で説明しています。この説明に基づけば、計算流体力学の分野の当業者であれば、本願の特許請求の範囲に記載された混合気の螺旋流パターンを形成するためのこれら2つの重要なパラメータの臨界を容易に理解することができます。螺旋流パターンを形成するためのこれらのパラメータの数値範囲に関して、最先端の計算流体力学を用いて、「割出角」及び「回転方向のずれ」の適切な範囲を決定しており、その結果は、本願の図1?図6を参照して本願明細書で説明しています。この説明に基づけば、計算流体力学の分野の当業者であれば、これらのパラメータの範囲の組み合わせが、本願で説明したタイプの螺旋流パターンを形成するために必要であることを容易に理解することができます。さらに、計算流体力学の分野の当業者であれば、本願の請求項で特定されたパラメータの範囲外では、螺旋流パターンを達成することができないことを容易に理解することができます。
請求項9?11の「0°」や「90°」、「0mm」については、請求項9?11がそれぞれ引用する請求項1において、「当該1以上の穴の各々が、前記プレチャンバ空間内で前記混合気の螺旋流パターンを形成するための割出角及び回転方向のずれを規定する穴軸を備える」ことを特定しています。割出角及び回転方向のずれは、螺旋流パターンを形成するために侵入角と組み合わせて使用されます。これらのパラメータのすべてが「0」に設定されない限り、個々のパラメータのいずれかを「0」にしても螺旋流パターンを形成することができます。請求項9?11がそれぞれ個別に請求項7を引用しており、従って、「0」の数値が必ずしも螺旋流パターンを形成することができないことにつながるわけではありません。
項目(2)について
(略)
項目(3)について
(略)
項目(4)について
(略)
(3)以上のことから、本願の請求項1?24に記載の発明は明確であるものと思料いたします。」

2-2 審判請求書(平成28年3月24日提出の手続補正書(方式))における応答
「(3-2)理由3について
項目(1)について
平成27年4月15日付けで提出の意見書でもご説明したとおり、補正後の請求項1及び19に記載の「割出角」及び「回転方向のずれ」に関しては、本願の図16、図17、図30及び図31、並びに、当該図面に対応する当初明細書の段落0027?0029及び0039?0041で説明しています。この説明に基づけば、計算流体力学の分野の当業者であれば、本願の特許請求の範囲に記載された混合気の螺旋流パターンを形成するためのこれら2つの重要なパラメータの臨界を容易に理解することができます。螺旋流パターンを形成するためのこれらのパラメータの数値範囲に関して、最先端の計算流体力学を用いて、「割出角」及び「回転方向のずれ」の適切な範囲を決定しており、その結果は、本願の図1?図6を参照して本願明細書で説明しています。この説明に基づけば、計算流体力学の分野の当業者であれば、これらのパラメータの範囲の組み合わせが、本願で説明したタイプの螺旋流パターンを形成するために必要であることを容易に理解することができます。さらに、計算流体力学の分野の当業者であれば、本願の請求項で特定されたパラメータの範囲外では、螺旋流パターンを達成することができないことを容易に理解することができます。
請求項9?11の「0°」や「90°」、「0mm」については、請求項9?11がそれぞれ引用する請求項1において、「当該1以上の穴の各々が、前記プレチャンバ空間内で」、「前記混合気の螺旋流パターンを形成するための割出角及び回転方向のずれを規定する穴軸を備える」ことを特定しています。割出角及び回転方向のずれは、螺旋流パターンを形成するために侵入角と組み合わせて使用されます。これらのパラメータのすべてが「0」又は「90」に設定されない限り、個々のパラメータのいずれかを「0」又は「90」にしても螺旋流パターンを形成することができます。請求項9?11がそれぞれ個別に請求項7を引用しており、従って、「0」の数値が必ずしも螺旋流パターンを形成することができないことにつながるわけではありません。
以上のことから、本願の請求項1?18に係る「予燃焼室」という物の発明、及び、本願の請求項19?24に係る「高運動量の火炎ジェットを発生させる方法」という方法の発明が具体的にどのような構造であるか、また、どのような構造のプレチャンバを用いる方法であるかは明確であるものと思料いたします。
項目(2)について
(略)
項目(3)について
(略)
項目(4)について
(略)
以上のことから、本願の請求項1?24に記載の発明は明確であるものと思料いたします。」

3 記載不備についての判断
(ア)「割出角」及び「回転方向のずれ」について
平成27年1月15日付け拒絶理由通知書において、
「(a)「割出角」と「回転方向のずれ」の定義が不明である。
発明の詳細な説明に定義に関する記載が無く、本願の【0028】、【0040】及び図16,31を参照しても、基準1640、3140自体をどのように設定しているのかが不明であるため、割出角の基準線(0°位置)が把握できず、回転方向のずれについても、パターン半径の設定次第で数値が変動するように見受けられるためパラメータの定義を明確に把握できない。」
と記載されているにもかかわらず、請求人は、「割出角」と「回転方向のずれ」の定義及び基準の設定方法について説明していない。
請求人は、意見書及び審判請求書の補正書において「計算流体力学の分野の当業者であれば、本願の特許請求の範囲に記載された混合気の螺旋流パターンを形成するためのこれら2つの重要なパラメータの臨界を容易に理解することができます。」と主張しているが、計算流体力学の分野において「割出角」は一般的な技術用語ではなく、「割出角」の定義が明確でない(なお、工作機械等の分野においては「割出角」という技術用語は一般的に使用されているが、同じ意味で用いられているのかどうか明確でない。)。
また、明細書の段落【0028】及び図16を参照しても、どのような位置を割出角の基準線(0°位置)として設定したのか、明確でない。
また、「回転方向のずれ」については、図16の記載から、中心穴1470と穴軸との距離を意味する可能性があると理解できるが、明細書中に明確な説明がなく、それを何故「回転方向のずれ」と呼ぶのかについても明確でない。
また、請求人は上記のように「これら2つの重要なパラメータの臨界を容易に理解することができます。」と主張するが、請求項9の記載によれば、割出角の範囲は「約0°?約120°」と広いものであり、このような広い範囲にわたって臨界的意義がある理由が明確でない。

(イ)「0°」、「90°」及び「0mm」を含む数値範囲について
請求人は、意見書及び審判請求書の補正書において
「請求項9?11の「0°」や「90°」、「0mm」については、請求項9?11がそれぞれ引用する請求項1において、「当該1以上の穴の各々が、前記プレチャンバ空間内で」、「前記混合気の螺旋流パターンを形成するための割出角及び回転方向のずれを規定する穴軸を備える」ことを特定しています。割出角及び回転方向のずれは、螺旋流パターンを形成するために侵入角と組み合わせて使用されます。これらのパラメータのすべてが「0」又は「90」に設定されない限り、個々のパラメータのいずれかを「0」又は「90」にしても螺旋流パターンを形成することができます。請求項9?11がそれぞれ個別に請求項7を引用しており、従って、「0」の数値が必ずしも螺旋流パターンを形成することができないことにつながるわけではありません。」
と主張するが、請求項9?11には、これらのパラメータのすべてが「0」又は「90」に設定するものが含まれており、その点においては、螺旋流パターンを形成することができないものである。
したがって、請求項9?11に記載された数値範囲には、螺旋流パターンを形成することができないものが含まれているから、本願発明は明確でない。

4 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
また、この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

第4 むすび
上記第3-1のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。
また、上記第3-2のとおり、本願発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-09-12 
結審通知日 2016-09-13 
審決日 2016-09-27 
出願番号 特願2014-528681(P2014-528681)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (F02B)
P 1 8・ 121- Z (F02B)
P 1 8・ 575- Z (F02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今関 雅子  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 金澤 俊郎
松下 聡
発明の名称 ガスエンジン用のプレチャンバスパークプラグにおいて高出力火炎ジェットを達成して消炎及び自己発火を抑制する方法及び装置  
代理人 内藤 和彦  
代理人 江口 昭彦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  

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