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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W 審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W |
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管理番号 | 1324636 |
審判番号 | 不服2015-433 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-01-08 |
確定日 | 2017-02-08 |
事件の表示 | 特願2013-532883「マルチ・ビットACK/NAKのための制御チャネル・リソース」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月12日国際公開、WO2012/047908、平成25年12月19日国内公表、特表2013-545349〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2011年(平成23年)10月4日(優先権主張 2010年(平成22年)10月4日 米国,2011年(平成23年)10月3日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成26年3月14日付けで拒絶理由が通知され,同年7月31日付けで意見書とともに手続補正書の提出がなされ,同年9月2日付けで拒絶査定され,平成28年3月11日付けで拒絶理由を当審から通知し,同年7月12日付けで意見書とともに手続補正書が提出なされたものである。 第2.本願発明 1.平成28年7月12日付け手続補正 平成28年7月12日付け手続補正においては,平成26年7月31日付け手続補正書の特許請求の範囲における, 「 【請求項1】 無線通信の方法であって、 マルチ・キャリア・コンフィギュレーションにおける少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアに対応する、アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットの上部レイヤ・コンフィギュレーションを受信することと、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを受信することとを備え、 前記ACK/NAKリソースの複数のセットは、前記二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて決定され、 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットのためのインデックスを備え、 一次成分キャリアの制御チャネル要素(CCE)での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第1のACK/NACKリソースを決定することと、 前記インデックスに対応する各セットの要素での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第2のACK/NACKリソースを決定することと を備える方法。 【請求項2】 前記一次成分キャリアと前記二次成分キャリアで、ダウンリンク・データ送信を受信することと、 前記ACK/NAKリソースを用いて、物理アップリンク制御チャネルで、前記ダウンリンク・データ送信のためのACK/NAK情報を送信することと をさらに備える請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記物理レイヤ・インジケータを、キャリア間信号として受信すること、をさらに備える請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記物理レイヤ・インジケータは、前記二次成分キャリアのための送信電力制御(TPC)コマンドを備える、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットへのオフセットを備える、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記物理レイヤ・インジケータは、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)フォーマット1bベースのチャネル選択をサポートする、請求項1に記載の方法。 【請求項7】 前記物理レイヤ・インジケータは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)二次成分キャリアの送信電力制御ビットを備える、請求項1に記載の方法。 【請求項8】 前記上部レイヤは、ラジオ・リソース制御(RRC)レイヤを備える、請求項1に記載の方法。 【請求項9】 前記複数のセットは、ユーザ機器(UE)のために設定されたダウンリンク成分キャリアの数と、前記UEの送信モードとに基づく、請求項1に記載の方法。 【請求項10】 各セットは、ダウンリンク制御情報ビットの数に基づくリソースの数を備える、請求項1に記載の方法。 【請求項11】 前記物理レイヤ・インジケータは、ACK/NAKリソース・インジケータ(ARI)を備える、請求項1に記載の方法。 【請求項12】 前記アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットは、一次ダウンリンク成分キャリアに対応する、請求項1に記載の方法。 【請求項13】 無線通信の方法であって、 二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定することと、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信することと を備える方法。 【請求項14】 前記設定することは、ダウンリンク制御送信に基づいて、ACK/NAKリソースを暗黙的に設定することを備える、請求項13に記載の方法。 【請求項15】 無線通信のための装置であって、 メモリと、 前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサとを備え、 前記少なくとも1つのプロセッサは、 マルチ・キャリア・コンフィギュレーションにおける少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアに対応する、アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットの上部レイヤ・コンフィギュレーションを受信し、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを受信するように構成されており、 前記ACK/NAKリソースの複数のセットは、前記二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて決定され、 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットのためのインデックスを備え、 一次成分キャリアの制御チャネル要素(CCE)での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第1のACK/NACKリソースを決定し、 前記インデックスに対応する各セットの要素での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第2のACK/NACKリソースを決定する ように構成された、装置。 【請求項16】 前記プロセッサはさらに、 前記一次成分キャリアと前記二次成分キャリアで、ダウンリンク・データ送信を受信し、 前記ACK/NAKリソースを用いて、物理アップリンク制御チャネルで、前記ダウンリンク・データ送信のためのACK/NAK情報を送信する ように構成された、請求項15に記載の装置。 【請求項17】 前記物理レイヤ・インジケータを、キャリア間信号として受信すること、をさらに備える請求項15に記載の装置。 【請求項18】 前記物理レイヤ・インジケータは、前記二次成分キャリアのための送信電力制御(TPC)コマンドを備える、請求項17に記載の装置。 【請求項19】 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットへのオフセットを備える、請求項15に記載の装置。 【請求項20】 前記物理レイヤ・インジケータは、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)フォーマット1bベースのチャネル選択をサポートする、請求項15に記載の装置。 【請求項21】 前記物理レイヤ・インジケータは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)二次成分キャリアの送信電力制御ビットを備える、請求項15に記載の装置。 【請求項22】 前記上部レイヤは、ラジオ・リソース制御(RRC)レイヤを備える、請求項15に記載の装置。 【請求項23】 前記複数のセットは、ユーザ機器(UE)のために設定されたダウンリンク成分キャリアの数と、前記UEの送信モードとに基づく、請求項15に記載の装置。 【請求項24】 各セットは、ダウンリンク制御情報ビットの数に基づくリソースの数を備える、請求項15に記載の装置。 【請求項25】 前記物理レイヤ・インジケータは、ACK/NAKリソース・インジケータ(ARI)を備える、請求項15に記載の装置。 【請求項26】 前記アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットは、一次ダウンリンク成分キャリアに対応する、請求項15に記載の装置。 【請求項27】 無線通信のための装置であって、 メモリと、 前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサとを備え、 前記少なくとも1つのプロセッサは、 二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定し、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信するように構成された、装置。 【請求項28】 前記プロセッサはさらに、ダウンリンク制御送信に基づいて、ACK/NAKリソースを暗黙的に設定するように構成された、請求項27に記載の装置。 【請求項29】 無線通信のための装置であって、 マルチ・キャリア・コンフィギュレーションにおける少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアに対応する、アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットの上部レイヤ・コンフィギュレーションを受信する手段と、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを受信する手段とを備え、 前記ACK/NAKリソースの複数のセットは、前記二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて決定され、 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットのためのインデックスを備え、 一次成分キャリアの制御チャネル要素(CCE)での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第1のACK/NACKリソースを決定する手段と、 前記インデックスに対応する各セットの要素での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第2のACK/NACKリソースを決定する手段と を備える装置。 【請求項30】 無線通信のための装置であって、 二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定する手段と、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信する手段と を備える装置。 【請求項31】 無線ネットワークにおける無線通信のためのコンピュータ・プログラムを記憶した非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体であって、 前記コンピュータ・プログラムは非一時的なプログラム・コードを有し、前記プログラム・コードは、 マルチ・キャリア・コンフィギュレーションにおける少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアに対応する、アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットの上部レイヤ・コンフィギュレーションを受信するためのプログラム・コードと、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを受信するためのプログラム・コードとを備え、 前記ACK/NAKリソースの複数のセットは、前記二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて決定され、 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットのためのインデックスを備え、 一次成分キャリアの制御チャネル要素(CCE)での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第1のACK/NACKリソースを決定するためのプログラム・コードと、 前記インデックスに対応する各セットの要素での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第2のACK/NACKリソースを決定するためのプログラム・コードとを備えるコンピュータ読取可能記憶媒体。 【請求項32】 無線ネットワークにおける無線通信のためのコンピュータ・プログラムを記憶した非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体であって、 前記コンピュータ・プログラムは非一時的なプログラム・コードを有し、前記プログラム・コードは、 二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定するためのプログラム・コードと、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信するためのプログラム・コードと を備えるコンピュータ読取可能記憶媒体。」とある記載が, 「 【請求項1】 無線通信の方法であって、 マルチ・キャリア・コンフィギュレーションにおける少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアに対応する、アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットの上部レイヤ・コンフィギュレーションを受信することと、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを受信することとを備え、 前記ACK/NAKリソースの複数のセットは、前記少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて決定され、 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットのためのインデックスを備え、 一次成分キャリアの制御チャネル要素(CCE)での少なくとも一部分に基づいて、第1のACK/NACKリソースを決定することと、 前記インデックスに対応する各セットの要素での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第2のACK/NACKリソースを決定することとを備え、 前記第1のACK/NACKリソースは、前記一次成分キャリアで、第1の受信したダウンリンク・データ送信に対して決定され、 前記第2のACK/NACKリソースは、前記少なくとも1つの二次成分キャリアで、第2の受信したダウンリンク・データ送信に対して決定される、方法。 【請求項2】 前記第1のACK/NAKリソースまたは前記第2のACK/NAKリソースを用いて、物理アップリンク制御チャネルで、前記第1のまたは第2の受信したダウンリンク・データ送信のためのACK/NAK情報を送信することとをさらに備える請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記物理レイヤ・インジケータを、キャリア間信号として受信すること、をさらに備える請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記物理レイヤ・インジケータは、前記少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアのための送信電力制御(TPC)コマンドを備える、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットへのオフセットを備える、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記物理レイヤ・インジケータは、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)フォーマット1bベースのチャネル選択をサポートする、請求項1に記載の方法。 【請求項7】 前記物理レイヤ・インジケータは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)二次成分キャリアの送信電力制御ビットを備える、請求項1に記載の方法。 【請求項8】 前記上部レイヤは、ラジオ・リソース制御(RRC)レイヤを備える、請求項1に記載の方法。 【請求項9】 前記複数のセットは、ユーザ機器(UE)のために設定されたダウンリンク成分キャリアの数と、前記UEの送信モードとに基づく、請求項1に記載の方法。 【請求項10】 各セットは、ダウンリンク制御情報ビットの数に基づくリソースの数を備える、請求項1に記載の方法。 【請求項11】 前記物理レイヤ・インジケータは、ACK/NAKリソース・インジケータ(ARI)を備える、請求項1に記載の方法。 【請求項12】 前記アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットは、一次ダウンリンク成分キャリアに対応する、請求項1に記載の方法。 【請求項13】 無線通信の方法であって、 二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定することと、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信することとを備える方法。 【請求項14】 前記設定することは、ダウンリンク制御送信に基づいて、ACK/NAKリソースを暗黙的に設定することを備える、請求項13に記載の方法。 【請求項15】 無線通信のための装置であって、 メモリと、 前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサとを備え、 前記少なくとも1つのプロセッサは、 マルチ・キャリア・コンフィギュレーションにおける少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアに対応する、アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットの上部レイヤ・コンフィギュレーションを受信し、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを受信するように構成されており、 前記ACK/NAKリソースの複数のセットは、前記少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて決定され、 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットのためのインデックスを備え、 一次成分キャリアの制御チャネル要素(CCE)での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第1のACK/NACKリソースを決定し、 前記インデックスに対応する各セットの要素での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第2のACK/NACKリソースを決定するように構成され、 前記第1のACK/NACKリソースは、前記一次成分キャリアで、第1の受信したダウンリンク・データ送信に対して決定され、 前記第2のACK/NACKリソースは、前記少なくとも1つの二次成分キャリアで、第2の受信したダウンリンク・データ送信に対して決定される、装置。 【請求項16】 前記プロセッサはさらに、 前記第1のACK/NAKリソースまたは前記第2のACK/NAKリソースを用いて、物理アップリンク制御チャネルで、前記第1のまたは第2の受信したダウンリンク・データ送信のためのACK/NAK情報を送信するように構成された、請求項15に記載の装置。 【請求項17】 前記物理レイヤ・インジケータを、キャリア間信号として受信すること、をさらに備える請求項15に記載の装置。 【請求項18】 前記物理レイヤ・インジケータは、前記少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアのための送信電力制御(TPC)コマンドを備える、請求項17に記載の装置。 【請求項19】 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットへのオフセットを備える、請求項15に記載の装置。 【請求項20】 前記物理レイヤ・インジケータは、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)フォーマット1bベースのチャネル選択をサポートする、請求項15に記載の装置。 【請求項21】 前記物理レイヤ・インジケータは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)二次成分キャリアの送信電力制御ビットを備える、請求項15に記載の装置。 【請求項22】 前記上部レイヤは、ラジオ・リソース制御(RRC)レイヤを備える、請求項15に記載の装置。 【請求項23】 前記複数のセットは、ユーザ機器(UE)のために設定されたダウンリンク成分キャリアの数と、前記UEの送信モードとに基づく、請求項15に記載の装置。 【請求項24】 各セットは、ダウンリンク制御情報ビットの数に基づくリソースの数を備える、請求項15に記載の装置。 【請求項25】 前記物理レイヤ・インジケータは、ACK/NAKリソース・インジケータ(ARI)を備える、請求項15に記載の装置。 【請求項26】 前記アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットは、一次ダウンリンク成分キャリアに対応する、請求項15に記載の装置。 【請求項27】 無線通信のための装置であって、 メモリと、 前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサとを備え、 前記少なくとも1つのプロセッサは、 二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定し、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信するように構成された、装置。 【請求項28】 前記プロセッサはさらに、ダウンリンク制御送信に基づいて、ACK/NAKリソースを暗黙的に設定するように構成された、請求項27に記載の装置。 【請求項29】 無線通信のための装置であって、 マルチ・キャリア・コンフィギュレーションにおける少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアに対応する、アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットの上部レイヤ・コンフィギュレーションを受信する手段と、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを受信する手段とを備え、 前記ACK/NAKリソースの複数のセットは、前記少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて決定され、 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットのためのインデックスを備え、 一次成分キャリアの制御チャネル要素(CCE)での少なくとも一部分に基づいて、第1のACK/NACKリソースを決定する手段と、 前記インデックスに対応する各セットの要素での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第2のACK/NACKリソースを決定する手段とを備え、 前記第1のACK/NACKリソースは、前記一次成分キャリアで、第1の受信したダウンリンク・データ送信に対して決定され、 前記第2のACK/NACKリソースは、前記少なくとも1つの二次成分キャリアで、第2の受信したダウンリンク・データ送信に対して決定される、装置。 【請求項30】 無線通信のための装置であって、 二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定する手段と、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信する手段とを備える装置。 【請求項31】 無線ネットワークにおける無線通信のためのコンピュータ・プログラムを記憶した非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体であって、 前記コンピュータ・プログラムは非一時的なプログラム・コードを有し、前記プログラム・コードは、 マルチ・キャリア・コンフィギュレーションにおける少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアに対応する、アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットの上部レイヤ・コンフィギュレーションを受信するためのプログラム・コードと、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを受信するためのプログラム・コードとを備え、 前記ACK/NAKリソースの複数のセットは、前記少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて決定され、 前記物理レイヤ・インジケータは、前記複数のセットのためのインデックスを備え、 一次成分キャリアの制御チャネル要素(CCE)での少なくとも一部分に基づいて、第1のACK/NACKリソースを決定するためのプログラム・コードと、 前記インデックスに対応する各セットの要素での少なくとも一部分に基づいて、前記複数のセットから第2のACK/NACKリソースを決定するためのプログラム・コードとを備え、 前記第1のACK/NACKリソースは、前記一次成分キャリアで、第1の受信したダウンリンク・データ送信に対して決定され、 前記第2のACK/NACKリソースは、前記少なくとも1つの二次成分キャリアで、第2の受信したダウンリンク・データ送信に対して決定される、コンピュータ読取可能記憶媒体。 【請求項32】 無線ネットワークにおける無線通信のためのコンピュータ・プログラムを記憶した非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体であって、 前記コンピュータ・プログラムは非一時的なプログラム・コードを有し、前記プログラム・コードは、 二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定するためのプログラム・コードと、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信するためのプログラム・コードとを備えるコンピュータ読取可能記憶媒体。」となった。(請求人の附した下線は省略。) 2.本願発明 平成28年7月12日付け手続補正により特許請求の範囲の記載は上記のとおりとなったところ,該特許請求の範囲の請求項13に記載された発明(以下「本願発明」という。)は,次の事項により特定されるとおりのものである。 【請求項13】 無線通信の方法であって、 二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定することと、 前記複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信することとを備える方法。 (該特許請求の範囲における請求項13の記載を再掲。) 第2 当審から通知した拒絶理由の概要 平成28年3月11日付けで,当審から通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。 [理由1]本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 ○理由1(29条の2)について ・請求項1に係る発明に対して (1)先願及び記載事項 先願(特願2011-213488号(特開2012-95288号))の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願当初明細書等」という。)には次の事項が記載(下線は当審が付与。)されている。 (略) (2)当審の判断 ア 請求項1に係る発明における方法は、不明瞭な記載はあるものの、要するに、 ユーザ機器において、基地局から受信する「上部レイヤ・コンフィギュレーション」により「ACK/NAKリソースの複数のセット」が設定され、基地局から受信する「物理レイヤ・インジケータ」の「インデックス」に基づいて、該「ACK/NAKリソースの複数のセット」の中から「第2のACK/NAKリソース」を決定すること、 を想定したものであり、さらに、 該「ACK/NAKリソースの複数のセット」は、「二次ダウンリンク成分キャリア」の「送信モード」に基づいて決定されることと、 ユーザ機器において、「一次成分キャリア」の「制御チャネル要素(CCE)」に基づいて、「第1のACK/NACKリソース」を決定することと を備えるものと解される。 イ 一方、上記(1)の記載によれば、先願当初明細書等には、 移動局装置200において、基地局装置100によって「RRCシグナリング」を使用してリソースの候補となる「複数のリソースのセット」が設定され、PDCCHで送信される「リソース指示情報(ARI)」にセットされた1つの値に従って、「複数のリソースのセット」の中から、実際に割り当てる「リソース」を決定し、 設定される「複数のリソースのセット」は、「セカンダリセル2」に対する「下りリンク送信モード」が「Non-MIMOモード」の場合と「MIMOモード」の場合とで異なり、 移動局装置200において、「プライマリセル」でのPDCCHの送信に使用される最初の「CCE」を用いて、「リソース」が暗示的に割り当てられる 発明が記載されている。 ここで、先願当初明細書等に記載の「RRCシグナリング」、「リソース指示情報(ARI)」、「プライマリセル」は、それぞれ請求項1に係る発明の「上部レイヤ・コンフィギュレーション」、「物理レイヤ・インジケータ」、「一次成分キャリア」に相当する。 また、先願当初明細書等に記載の「リソース」は、「移動局装置200」が、チャネル選択を使用して「ACK/NACK」を示す情報を送信するためのものであるから、「ACK/NACKリソース」といえる。 そして、設定される「複数のリソースのセット」は、「セカンダリセル2」に対する「下りリンク送信モード」、つまり「二次ダウンリンク成分キャリア」の「送信モード」が「Non-MIMOモード」の場合と「MIMOモード」の場合とで異なることから、「二次ダウンリンク成分キャリア」の「送信モード」に基づいて決定されるものといえる。 そうすると、請求項1に係る発明は、先願当初明細書等に記載された発明であるといえる。 よって、請求項1に係る発明は、先願当初明細書等に記載された発明と同一である。 請求項13に係る発明に対して 上記「請求項1に係る発明に対して」の(1)の記載によれば、先願当初明細書等には、基地局装置100は、移動局装置200に対して「RRCシグナリング」を使用してリソースの候補となる「複数のリソースのセット」を設定し、PDCCHで「リソース指示情報(ARI)」を送信することによって「リソース」を指示する発明が記載されている。 そして、上記「請求項1に係る発明に対して」の(2)イに述べたことを踏まえれば、請求項13に係る発明は、先願当初明細書等に記載された発明であるといえる。 よって、請求項13に係る発明は、先願当初明細書等に記載された発明と同一である。 (略) ○まとめ (1)理由1(29条の2)について 本件出願の請求項1から32に係る発明は,先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一である。 (略) ○引用文献等一覧 1.特願2011-213488号(特開2012-95288号) 第3 平成28年7月12日付け意見書の概要 平成28年7月12日付け意見書には次の記載がある。(下線は当審が付与。) (3)理由1 審判官は新たに引例1を引用され、本願の請求項1?32の発明は、引例1の発明から容易になし得たと認定されていました。 補正後の請求項1では、「マルチ・キャリア・コンフィギュレーションにおける少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアに対応する、アップリンク送信のためのACK/NAKリソースの複数のセットの上部レイヤ・コンフィギュレーションを受信することと、……前記ACK/NAKリソースの複数のセットは、前記少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて決定され」ると規定しています。 拒絶理由では、引例1のさまざまな段落で、本願の請求項1のすべての特徴が開示されていると認定されており、引例1では、以下を開示しています。 「例えば、基地局装置100は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、第4のリソースを、RRCシグナリングを使用して明示的に設定する。また、基地局装置100は、移動局装置200に対して、事前にRRCシグナリングを使用して第4のリソースの候補を設定し、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、PDCCHで送信されるリソース指示情報(ARI)によって、実際に割り当てる第4のリソースを明示的に指示することができる。」(引例1の段落[0193]参照) すなわち、引例1は、セカンダリセル1および2に対するRRCシグナリングを使用して、第4のリソースを割り当てるまたは設定する基地局を開示しています。さらに引例1は、以下を開示しています。 「図9は、移動局装置200がACK/NACKを示す情報を送信する際の基地局装置100によるリソース割り当てを説明する図である。 図9において、基地局装置100は、移動局装置200に対して、3つのセル(プライマリセル、セカンダリセル1、セカンダリセル2)を設定していることを示している。 また、基地局装置100は、移動局装置200に対して、各セルに対する下りリンク送信モードとして、プライマリセルに対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル1に対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル2に対してMIMOモードを設定していることを示している。」(引例1の段落[0201]参照) 引例1は、セカンダリセル1および2に対する下りリンク送信のための基地局割り当てリソースを開示しており、移動局は、受信した下りリンク送信で、ACK/NACKを送信して、肯定または否定フィードバックを提供します。引例1は、どのようにACK/NACKが割り当てられるかについて何も述べておりません。したがいまして、引例1は、少なくとも補正後の請求項1で規定している「前記ACK/NAKリソースの複数のセットは、前記少なくとも1つの二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて決定され」ることを教示していないと思料致します。 したがいまして、補正後の請求項1およびその従属請求項の発明は、引例1の発明から容易になし得ないものと思料致します。 補正後の独立請求項15、29、31の発明も、補正後の請求項1の発明と同様な構成要件を具備していることから、補正後の独立請求項15、29、31およびその従属請求項の発明も、引例1の発明から容易になし得ないものと思料致します。 さらに、独立請求項13、27、30、32は、「二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセット」を構成するように規定しており、補正後の請求項1で提示したものと類似した理由により、独立請求項13、27、30、32およびその従属請求項の発明も、引例1の発明から容易になし得ないものと思料致します。 第4 先願発明 1.先願及び先願明細書等記載事項 (1) 本願の出願の日前の他の特許出願である特願2011-213488号(平成23年9月28日出願(優先権主張 平成22年9月29日 日本))(特開2012-95288号)(平成24年5月17日公開))(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,当審拒絶理由と同様に「先願明細書等」という。)には,次の事項が記載されている。 ア 記載事項1 【技術分野】 【0001】 本発明は、基地局装置および移動局装置から構成される移動通信システム、通信方法および集積回路に関する。 イ 記載事項2 【0005】 また、LTE-Aでは、LTEと同一のチャネル構造を持つ連続および/または不連続な複数の周波数帯域(キャリアとも呼称できる)(以下、「セル(Cell)」または「コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)」と呼称する)を複合的に使用して、1つの広帯域な周波数帯として運用する(セル集約:Cell aggregationまたはキャリア集約:Carrier aggregationと呼称される)ことが検討されている。さらに、基地局装置と移動局装置が、広帯域な周波数帯域をより柔軟に使用して通信するために、下りリンクの通信に使用される周波数帯域と上りリンクの通信に使用される周波数帯域を異なる周波数帯域幅とする(非対称セル集約:Asymmetric cell aggregationまたは非対称周波数帯域集約:Asymmetric carrier aggregation)ことも提案されている(非特許文献1)。 【0006】 また、LTE-Aでは、基地局装置が、MIMO SM(Multiple Input Multiple Output Spatial Multiplexing)を適用して、下りリンクトランスポートブロック(Downlink TB:Downlink Transport Block)を移動局装置へ送信することが提案されている(非特許文献2)。ここで、MIMO SMとは、複数の送信アンテナポートおよび複数の受信アンテナポートによって実現される複数の空間次元のチャネルに対して複数の信号が多重されて送受信が行なわれる技術である。ここで、アンテナポートとは信号処理に用いられる論理的なアンテナのことを示し、1つのアンテナポートは1つの物理的なアンテナによって構成されてもよいし、複数の物理的なアンテナによって構成されてもよい。また、1つの送信アンテナポートは1つの参照信号と対応されてもよい。 【0007】 例えば、基地局装置は、物理下りリンク共用チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)にMIMO SMを適用して、複数の(例えば、2つまでの)下りリンク共用チャネル(DL-SCH:Downlink Shared Channel)に対するトランスポートブロックを移動局装置へ送信することが可能である。すなわち、基地局装置は、PDSCHにMIMO SMを適用して、複数の(例えば、2つの)コードワード(CW:Code Word)で移動局装置へ送信する。 【0008】 さらに、LTE-Aでは、移動局装置が、下りリンクトランスポートブロックに対するHARQにおけるACK/NACK(肯定応答:Positive Acknowledgement/否定応答:Negative Acknowledgement、ACK信号またはNACK信号)を示す情報を基地局装置へ送信する方法として、チャネル選択(Channel Selection)によるACK/NACKを示す情報の送信が提案されている(非特許文献3)。 ウ 記載事項3 【0010】 しかしながら、従来の技術では、基地局装置が、MIMO SMを適用して、複数の下りリンクトランスポートブロックを送信する際に、移動局装置が、複数の下りリンクトランスポートブロックに対するACK/NACKを示す情報を送信するために使用される上りリンクリソースを、基地局装置によってどのように割り当てるか明らかになっていなかった。 【0011】 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、基地局装置が、複数の下りリンクトランスポートブロックを送信する際に、移動局装置が、複数の下りリンクトランスポートブロックに対するACK/NACKを示す情報を送信するために使用される上りリンクリソースを効率的に決定することができる移動通信システム、移動局装置、基地局装置、通信方法および集積回路を提供することを目的とする。 エ 記載事項4 【0123】 [チャネル選択によるACK/NACKを示す情報の送信について] 図5は、チャネル選択(Channel Selection)によるACK/NACKを示す情報の送信に使用されるACK/NACKテーブルの一例を示す図である。基地局装置100と移動局装置200は、図5に示すようなACK/NACKテーブルを使用することによって、下りリンクデータに対するACK/NACKを示す情報を送受信する。ここで、図5に示すようなACK/NACKテーブルは、仕様等によって予め定義され、基地局装置100と移動局装置200の間で既知の情報としておく。 【0124】 例えば、基地局装置100と移動局装置200は、基地局装置100によって設定されたセルや、基地局装置100によって設定された各セルに対する下りリンク送信モードなどに応じて、2ビットACK/NACKテーブル(2つのACK/NACKを示す情報を送信する際に使用するACK/NACKテーブル)、3ビットACK/NACKテーブル(3つのACK/NACKを示す情報を送信する際に使用するACK/NACKテーブル)、4ビットACK/NACKテーブル(4つのACK/NACKを示す情報を送信する際に使用するACK/NACKテーブル)を切り替えて使用する。 オ 記載事項5 【0185】 図8は、移動局装置200がACK/NACKを示す情報を送信する際の基地局装置100によるリソース割り当てを説明する図である。図8において、基地局装置100は、移動局装置200に対して、3つのセル(プライマリセル、セカンダリセル1、セカンダリセル2)を設定していることを示している。また、基地局装置100は、移動局装置200に対して、各セルに対する下りリンク送信モードとして、プライマリセルに対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル1に対してMIMOモードを、セカンダリセル2に対してNon-MIMOモードを設定していることを示している。 カ 記載事項6 【0192】 さらに、図8において、基地局装置100は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、移動局装置200に対して、事前に第4のリソース(第4のPUCCHリソース)を明示的に設定する。 【0193】 例えば、基地局装置100は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、第4のリソースを、RRCシグナリングを使用して明示的に設定する。また、基地局装置100は、移動局装置200に対して、事前にRRCシグナリングを使用して第4のリソースの候補を設定し、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、PDCCHで送信されるリソース指示情報(ARI)によって、実際に割り当てる第4のリソースを明示的に指示することができる。 キ 記載事項7 【0201】 図9は、移動局装置200がACK/NACKを示す情報を送信する際の基地局装置100によるリソース割り当てを説明する図である。図9において、基地局装置100は、移動局装置200に対して、3つのセル(プライマリセル、セカンダリセル1、セカンダリセル2)を設定していることを示している。また、基地局装置100は、移動局装置200に対して、各セルに対する下りリンク送信モードとして、プライマリセルに対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル1に対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル2に対してMIMOモードを設定していることを示している。 【0202】 すなわち、移動局装置200は、基地局装置100からプライマリセルにおいてPDSCHで送信される1つのトランスポートブロックと、セカンダリセル1においてPDSCHで送信される1つのトランスポートブロック、セカンダリセル2においてPDSCHで送信される2つまでのトランスポートブロックに対するACK/NACKを示す情報を送信する。 【0203】 図9において、基地局装置100は、プライマリセルにおけるPDCCH(下りリンクアサインメント)を使用してプライマリセルにおけるPDSCH(PDSCHを使用した1つのトランスポートブロックの送信)をスケジュールしていることを示している。また、基地局装置100は、プライマリセルにおけるPDCCH(下りリンクアサインメント)を使用してセカンダリセル1におけるPDSCH(PDSCHを使用した1つのトランスポートブロックの送信)をスケジュールしていることを示している。また、基地局装置100は、セカンダリセル2におけるPDCCH(下りリンクアサインメント)を使用してセカンダリセル2におけるPDSCH(PDSCHを使用した2つまでのトランスポートブロックの送信)をスケジュールしていることを示している。 【0204】 ここで、図9において、基地局装置100は、プライマリセルで送信されるPDCCHを使用してプライマリセルにおけるPDSCHをスケジュールした場合には、送信したPDCCHに対応させて、第1のリソース(第1のPUCCHリソース)を暗示的に割り当てる。例えば、基地局装置100は、プライマリセルで送信されるPDCCHを使用してプライマリセルにおけるPDSCHをスケジュールした場合には、PDCCHの送信に使用される最初のCCE(最初のCCEとオフセット値でも良い)を用いて、第1のリソースを暗示的に割り当てる。 【0205】 また、図9において、基地局装置100は、プライマリセルで送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル1におけるPDSCHをスケジュールした場合には、送信したPDCCHに対応させて、第2のリソース(第2のPUCCHリソース)を暗示的に割り当てる。例えば、基地局装置100は、プライマリセルで送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル1におけるPDSCHをスケジュールした場合には、PDCCHの送信に使用される最初のCCE(最初のCCEとオフセット値でも良い)を用いて、第2のリソースを暗示的に割り当てる。 【0206】 さらに、図9において、基地局装置100は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、移動局装置200に対して、事前に第3のリソース(第3のPUCCHリソース)と第4のリソース(第4のPUCCHリソース)を明示的に設定する。 【0207】 例えば、基地局装置100は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、第3のリソースと第4のリソースを、RRCシグナリングを使用して明示的に設定する。また、基地局装置100は、移動局装置200に対して、事前にRRCシグナリングを使用して第3のリソースの候補と第4のリソースの候補を設定し、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、PDCCHで送信されるリソース指示情報(ARI)によって、実際に割り当てる第3のリソースと第4のリソースを明示的に指示することができる。 【0208】 ここで、図9において、基地局装置100は、ARIを使用してリソースを指示する際に、事前に、指示するリソース毎に異なるリソースの候補(第3のリソースの候補となる複数のリソースのセット、第4のリソースの候補となる複数のリソースのセット)を設定し、セカンダリセル2のPDCCHで送信されるARIを使用して、異なる1つずつのリソースを指示しても良い。すなわち、基地局装置100は、セカンダリセル2のPDCCHで送信されるARIにセットされた1つの値を使用して、2つのリソースを指示することができる。すなわち、移動局装置200は、ARIにセットされた1つの値に従って、2つのリソースの1つを、第3のリソースの候補となる複数のリソースのセットの中から決定し、2つのリソースのもう1つを、第4のリソースの候補となる複数のリソースのセットの中から決定することができる。このように、基地局装置100が、ARIにセットされた1つの値を使用して、2つのリソースを指示することによって、より効率的にリソースを指示することができる。 【0209】 すなわち、基地局装置100は、セカンダリセル2のPDCCHでARIを送信することによって、指示するリソース毎に異なるリソースの候補の中から1つずつのリソース(第3のリソース、第4のリソース)を指示することができる。 【0210】 また、図9に示すように、基地局装置100は、ARIを使用してリソースを指示する際に、事前に、指示するリソースに対して共通のリソースの候補(第3のリソース、第4のリソースの候補となる複数のリソースのセット、指示するリソースの候補が複数含まれるリソースグループのセットとも言える)を設定し、セカンダリセル2のPDCCHで送信されるARIを使用して、1つのリソースグループを指示しても良い。 【0211】 すなわち、基地局装置100は、セカンダリセル2のPDCCHでARIを送信することによって、指示するリソースの候補が複数含まれるリソースグループのセットの中から1つのリソースグループ(第3のリソース、第4のリソースを示すリソースグループ)を指示することができる。 【0212】 上記までに示したように、図9において、基地局装置100は、プライマリセルに対する下りク送信モードとしてNon-MIMOモードを設定し、プライマリセルで送信されるPDCCH(下りリンクアサインメント)を使用してプライマリセルにおけるPDSCH(PDSCHを使用した1つのトランスポートブロックの送信)をスケジュールした場合には、第1のリソース(1つのPUCCHリソース)を暗示的に割り当てる。 (2) 先願発明 上記(1)のアからキによると,先願当初明細書等には次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されているということができる。 移動局装置がACK/NACKを示す情報を送信する際の基地局装置によるリソース割り当てであって, 基地局装置100は,移動局装置200に対して,各セルに対する下りリンク送信モードとして,プライマリセルに対してNon-MIMOモードを,セカンダリセル1に対してNon-MIMOモードを,セカンダリセル2に対してMIMOモードを設定し, 基地局装置100は,ARIを使用してリソースを指示する際に,事前に,指示するリソース毎に異なるリソースの候補(第3のリソースの候補となる複数のリソースのセット,第4のリソースの候補となる複数のリソースのセット)を設定し,セカンダリセル2のPDCCHで送信されるARIを使用して,異なる1つずつのリソースを指示し, すなわち,基地局装置100は,セカンダリセル2のPDCCHでARIを送信することによって,指示するリソース毎に異なるリソースの候補の中から1つずつのリソース(第3のリソース,第4のリソース)を指示することができる 方法。 (3) 先願に係る先の出願 先願は,平成22年9月29日に出願された特願2010-218023号を先の出願とし,該先の出願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「先の出願に係る当初明細書等」という。)に記載された発明に基づいて優先権を主張したものである。 ここで,先願発明が,特許法第41条第2項の規定する先の出願の時にされたものとみなすことができるか(優先権主張の効果が受けられるか)について確認する。 先の出願に係る当初明細書等には,次の記載がある。 ア 記載事項1 【技術分野】 【0001】 本発明は、基地局装置および移動局装置から構成される移動通信システムおよび通信方法に関する。 イ 記載事項2 【0086】 基地局装置は、下りリンクアサインメントによってPDSCHのリソースを割り当てるサービングセルを示す情報(キャリアインディケータ:Carrier Indicator、Carrier Indicator Field)を、下りリンクアサインメントに含めて移動局装置へ送信することができる。また、基地局装置は、上りリンクグラントによってPUSCHのリソースを割り当てるサービングセルを示す情報(キャリアインディケータ)を、上りリンクグラントに含めて移動局装置へ送信することができる。ここで、例えば、基地局装置は、下りリンクアサインメントに、キャリアインディケータを含めて送信するかどうかを、RRCシグナリングを使用して、移動局装置固有に、設定することできる。また、例えば、基地局装置は、上りリンクグラントに、キャリアインディケータを含めて送信するかどうかを、RRCシグナリングを使用して、移動局装置固有に、設定することできる。 [チャネル選択によるACK/NACKを示す情報の送信について] 図5は、チャネル選択(Channel Selection)によるACK/NACKを示す情報の送信に使用されるACK/NACKテーブルの一例を示す図である。基地局装置と移動局装置は、図5に示すようなACK/NACKテーブルを使用することによって、下りリンクデータに対するACK/NACKを示す情報を送受信する。ここで、図5に示すようなACK/NACKテーブルは、仕様等によって予め定義され、基地局装置と移動局装置の間で既知の情報としておく。 【0087】 例えば、基地局装置と移動局装置は、基地局装置によって設定されたセルや、基地局装置によって設定された各セルに対する下りリンク送信モードなどに応じて、2ビットACK/NACKテーブル(2つのACK/NACKを示す情報を送信する際に使用するACK/NACKテーブル)、3ビットACK/NACKテーブル(3つのACK/NACKを示す情報を送信する際に使用するACK/NACKテーブル)、4ビットACK/NACKテーブル(4つのACK/NACKを示す情報を送信する際に使用するACK/NACKテーブル)を切り替えて使用する。 ウ 記載事項3 【0126】 ここで、基地局装置によって明示的に設定される(割り当てられる、指示される)リソースとは、基地局装置が、RRCシグナリングを使用して設定するリソースが含まれる。また、基地局装置によって明示的に設定されるリソースとは、後述する、基地局装置が、リソース指示情報(ARI:ACK Resource Indicator、Assignment Resource Indicator)を使用して指示するリソースが含まれる。 エ 記載事項4 【0155】 さらに、図8において、基地局装置は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、移動局装置に対して、事前に第4のリソース(第4のPUCCHリソース)を明示的に設定する。 【0156】 例えば、基地局装置は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、第4のリソースを、RRCシグナリングを使用して明示的に設定する。また、基地局装置は、移動局装置に対して、事前にRRCシグナリングを使用して第4のリソースの候補を設定し、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、PDCCHに含まれるリソース指示情報(ARI)によって、実際に割り当てる第4のリソースを明示的に指示することができる。 オ 記載事項5 【0164】 図9は、移動局装置がACK/NACKを示す情報を送信する際の基地局装置によるリソース割り当てを説明する図である。図9において、基地局装置は、移動局装置に対して、3つのセル(プライマリセル、セカンダリセル1、セカンダリセル2)を設定していることを示している。また、基地局装置は、移動局装置に対して、各セルに対する下りリンク送信モードとして、プライマリセルに対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル1に対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル2に対してMIMOモードを設定していることを示している。 【0165】 すなわち、移動局装置は、基地局装置からプライマリセルにおいてPDSCHで送信される1つのコードワードと、セカンダリセル1においてPDSCHで送信される1つのコードワード、セカンダリセル2においてPDSCHで送信される2つのコードワードに対するACK/NACKを示す情報を送信する。 【0166】 図9において、基地局装置は、プライマリセルにおけるPDCCH(下りリンクアサインメント)を使用してプライマリセルにおけるPDSCH(PDSCHを使用した1つのコードワードの送信)をスケジュールしていることを示している。また、基地局装置は、プライマリセルにおけるPDCCH(下りリンクアサインメント)を使用してセカンダリセル1におけるPDSCH(PDSCHを使用した1つのコードワードの送信)をスケジュールしていることを示している。また、基地局装置は、セカンダリセル2におけるPDCCH(下りリンクアサインメント)を使用してセカンダリセル2におけるPDSCH(PDSCHを使用した2つのコードワードの送信)をスケジュールしていることを示している。 【0167】 ここで、図9において、基地局装置は、プライマリセルで送信されるPDCCHを使用してプライマリセルにおけるPDSCHをスケジュールした場合には、送信したPDCCHに対応させて、第1のリソース(第1のPUCCHリソース)を暗示的に割り当てる。例えば、基地局装置は、プライマリセルで送信されるPDCCHを使用してプライマリセルにおけるPDSCHをスケジュールした場合には、送信したPDCCHを構成するために使用される最初のCCE(最初のCCEとオフセット値でも良い)を用いて、第1のリソースを暗示的に割り当てる。 【0168】 また、図9において、基地局装置は、プライマリセルで送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル1におけるPDSCHをスケジュールした場合には、送信したPDCCHに対応させて、第2のリソース(第2のPUCCHリソース)を暗示的に割り当てる。例えば、基地局装置は、プライマリセルで送信されるPDCCHを使用してセカンダリセルにおけるPDSCHをスケジュールした場合には、送信したPDCCHを構成するために使用される最初のCCE(最初のCCEとオフセット値でも良い)を用いて、第2のリソースを暗示的に割り当てる。 【0169】 さらに、図9において、基地局装置は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、移動局装置に対して、事前に第3のリソース(第3のPUCCHリソース)と第4のリソース(第4のPUCCHリソース)を明示的に設定する。 【0170】 例えば、基地局装置は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、第3のリソースと第4のリソースを、RRCシグナリングを使用して明示的に設定する。また、基地局装置は、移動局装置に対して、事前にRRCシグナリングを使用して第3のリソースと第4のリソースの候補を設定し、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、PDCCHに含まれるリソース指示情報(ARI)によって、実際に割り当てる第3のリソースと第4のリソースを明示的に指示することができる。 【0171】 ここで、図9において、基地局装置は、ARIを使用してリソースを指示する際に、事前に、指示するリソース毎に異なるリソースの候補(第3のリソースの候補となる複数のリソースのセット、第4のリソースの候補となる複数のリソースのセット)を設定し、セカンダリセル2で送信されるPDCCHに含まれるARIを使用して、異なる1つずつのリソースを指示しても良い。 【0172】 すなわち、基地局装置は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHにARIを含めて送信することによって、指示するリソース毎に異なるリソースの候補の中から1つずつのリソース(第3のリソース、第4のリソース)を指示することができる。 【0173】 また、図9に示すように、基地局装置は、ARIを使用してリソースを指示する際に、事前に、指示するリソースに対して共通のリソースの候補(第3のリソース、第4のリソースの候補となる複数のリソースのセット、指示するリソースの候補が複数含まれるリソースグループのセットとも言える)を設定し、セカンダリセル2で送信されるPDCCHに含まれるARIを使用して、1つのリソースグループを指示しても良い。 【0174】 すなわち、基地局装置は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHにARIを含めて送信することによって、指示するリソースの候補が複数含まれるリソースグループのセットの中から1つのリソースグループ(第3のリソース、第4のリソースを示すリソースグループ)を指示することができる。 【0175】 上記までに示したように、図9において、基地局装置は、プライマリセルに対する下りリンク送信モードとしてNon-MIMOモードを設定し、プライマリセルで送信されるPDCCH(下りリンクアサインメント)を使用してプライマリセルにおけるPDSCH(PDSCHを使用した1つのコードワードの送信)をスケジュールした場合には、第1のリソース(1つのPUCCHリソース)を暗示的に割り当てる。 (4) 先願発明は,先願当初明細書等における明細書【0201】,【0208】及び【0209】の記載に専ら基づくものであるところ,これらは,先の出願に係る当初明細書等における明細書【0164】,【0171】及び【0172】の記載が対応すると解される。 当該対応を基に両明細書の記載を比較すると,先願発明を特定する事項について,次のことがいえる。 ア 先願当初明細書等における明細書【0208】において「セカンダリセル2のPDCCHで送信されるARIを使用して」とある記載が,先の出願に係る当初明細書等における明細書【0171】においては「セカンダリセル2で送信されるPDCCHに含まれるARIを使用して」と記載され, イ 先願当初明細書等における明細書【0209】において「セカンダリセル2のPDCCHでARIを送信することによって」とある記載が,先の出願に係る当初明細書等における明細書【0172】においては「セカンダリセル2で送信されるPDCCHにARIを含めて送信することによって」と記載されている。 上記ア及びイをみると,先願当初明細書等における明細書【0208】及び【0209】における記載が意味するところも,先の出願に係る当初明細書等における明細書【0171】及び【0172】における記載が意味するところも,「ARI」が「PDCCH」で送信され,その「PDCCH」が「セカンダリセル2」のものであることを意味するということができることは明らかである。 つまり,両者の意味するところに技術的な相違はなく,単なる表現の差異に過ぎないということができる。 よって,先願発明は,先の出願に係る当初明細書等に記載された発明であるということができる。 したがって,先願発明についての特許法第29条の2本文の適用については,先の出願の時にされたものとみなすことができる。 第5 当審の判断 1.対比及び検討 本願発明と先願発明を比較すると次のことがいえる。 (1) 先願発明が,「無線通信の方法」を開示しているとことは明らかであるから,先願発明と本願発明は,「無線通信の方法」に係る発明である点で一致する。 (2) 先願発明において,基地局装置により「割り当て」られる,若しくは「指示」される「リソース」は,移動局装置が「ACK/NACKを示す情報」を送信する際のものであるから,該「リソース」は「移動局装置のためのACK/NAKリソース」ということができる。 ここで,「移動局装置」が「ユーザ機器(UE)」とも呼ばれることは例を示すまでもなく周知である。 そうすると,先願発明における「リソース」は,「ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソース」ということができることは明らかである。 (3) 更に,先願発明における「リソース」を指示する際に,基地局装置は,事前に,指示するリソース毎に異なるリソースの候補,指示するリソースごとの候補となる複数のリソースのセットを設定する。 このことと上記(2)に述べたことを併せみると,この「複数のリソースのセット」を「設定すること」が,「ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定すること」ということができることを示している。 (4) ここで,先の出願の明細書【0148】には「 図8は、移動局装置がACK/NACKを示す情報を送信する際の基地局装置によるリソース割り当てを説明する図である。図8において、基地局装置は、移動局装置に対して、3つのセル(プライマリセル、セカンダリセル1、セカンダリセル2)を設定していることを示している。また、基地局装置は、移動局装置に対して、各セルに対する下りリンク送信モードとして、プライマリセルに対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル1に対してMIMOモードを、セカンダリセル2に対してNon-MIMOモードを設定していることを示している。」との記載があり,更に,先願明細書【0185】にも「基地局装置100は、移動局装置200に対して、各セルに対する下りリンク送信モードとして、プライマリセルに対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル1に対してMIMOモードを、セカンダリセル2に対してNon-MIMOモードを設定」との記載がある。 そして,先の出願の明細書【0164】(上記「第4」の1.(3)の「キ 記載事項5」参照。)及び先願の明細書【0201】(上記「第4」の1.(1)の「キ 記載事項7」参照。)には,それぞれに「基地局装置は、移動局装置に対して、各セルに対する下りリンク送信モードとして、プライマリセルに対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル1に対してNon-MIMOモードを、セカンダリセル2に対してMIMOモードを設定」との記載がある。 これらの記載によると,「セカンダリセル」に対する「送信モード」には,「MIMOモード」と「Non-MIMOモード」があることは明らかである。 (5) 先願の当初明細書【0206】(上記「第4」の1.(1)の「キ 記載事項7」参照。)は「セカンダリ2」に「MIMOモード」を用いた図9の場合を記載したものであり,ここには「基地局装置100は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、移動局装置200に対して、事前に第3のリソース(第3のPUCCHリソース)と第4のリソース(第4のPUCCHリソース)を明示的に設定する。」との記載がある。これに対し,同明細書【0192】(上記「第4」の1.(1)の「カ 記載事項6」)は「セカンダリセル2」に「Non-MIMOモード」を用いた図8の場合を記載したものであり,ここには「基地局装置100は、セカンダリセル2で送信されるPDCCHを使用してセカンダリセル2におけるPDSCHをスケジュールする場合には、移動局装置200に対して、事前に第4のリソース(第4のPUCCHリソース)を明示的に設定する。」との記載がある。 ここで,上記【0206】及び【0192】と同様の記載が,先の出願の明細書【0169】及び【0155】(上記「第4」の1.(3)の「オ 記載事項5」及び同「エ 記載事項4」それぞれ参照。)にも記載されている。 以上のことと,上記(4)に述べたこととをみると,「セカンダリセル」が,「MIMOモード」の時,移動局装置に対して,第3のリソースと第4のリソースの複数のリソースを設定しており,これに対し,「Non-MIMOモード」の時,移動局装置に対して,第4のリソースのみを設定しているということができる。 そうすると,先願発明には,「複数のリソースの設定」が,「セカンダリセルの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて」されているということができる。 (6) また,上記のような「各セルに対する下りリンク送信」が「成分キャリア」を利用し行われることは,「LTE」若しくは「LTE-A」の技術分野において周知であって,「セカンダリセル」の「下りリンク送信」に利用される「成分キャリア」が「二次ダウンリンク成分キャリア」と呼ばれることも,同様に周知である。 そうすると,ここで上記(3)及び(4)に述べたことも併せみると,先願発明には,「二次ダウンリンク成分キャリアの送信モードでの少なくとも一部分に基づいて、ユーザ機器(UE)のためのACK/NAKリソースの複数のセットを設定すること」が記載されているということができる。 (7) 先の出願の明細書【0169】及び先願の明細書【0206】における「移動局装置に対して、事前に第3のリソース(第3のPUCCHリソース)と第4のリソース(第4のPUCCHリソース)を明示的に設定する」との記載がある。 ここで,「PUCCHリソース」が「物理レイヤ」の「リソース」であることは技術的に明らかである。 そして,当該「リソース」は,移動局装置が「ACK/NACKを示す情報」を基地局に送信するための「リソース」であることは明白であり,また,該「リソース」を移動局に指示するため,基地局装置は「リソース指示情報(ARI)」を移動局装置に対して送信する。 このことから,先願発明における「ARI」は,「ACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータ」ということができる。 そうすると,先願発明には,「ACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信すること」が記載されているということができる。 る。 このことと,上記(3)から(6)に述べたことを併せみると,先願発明には,「複数のセットにおけるACK/NAKリソースの物理レイヤ・インジケータを送信すること」が記載されているということができるのは当然である。 (8) 以上のとおりであるから,本願発明は,先願発明に記載されたものであるということができる。 そして,本願の出願の時の出願人は「クゥアルコム・インコーポレイテッド(米国)」であり,一方,先願の出願の時の出願人は「シャープ株式会社(大阪府)」であるから,両者が同一の者であるということもできない。 また,本願発明の発明者が先の出願に係る発明者(相羽立志,鈴木翔一,中嶋大一郎,大内渉)と同一の者であるということもできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから,本願発明は,特許法第29条の2の規定に該当し,特許を受けることができないものである。 したがって,他の請求項について,論及するまでもなく本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-09-06 |
結審通知日 | 2016-09-13 |
審決日 | 2016-09-26 |
出願番号 | 特願2013-532883(P2013-532883) |
審決分類 |
P
1
8・
16-
WZ
(H04W)
P 1 8・ 537- WZ (H04W) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 望月 章俊 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
近藤 聡 吉田 隆之 |
発明の名称 | マルチ・ビットACK/NAKのための制御チャネル・リソース |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 奥村 元宏 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 福原 淑弘 |