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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1325515
審判番号 不服2016-6740  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-09 
確定日 2017-02-23 
事件の表示 特願2015-156650号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月14日出願公開、特開2016- 5571号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年7月22日に出願された特願2009-171442号の一部を平成26年3月26日に新たに特許出願したものである特願2014-62909号の一部を平成27年8月7日に新たに特許出願したものであって、同年10月7日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月11日付けで意見書が提出されたが、平成28年2月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月9日付けで拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、手続補正書が提出され、同年6月6日に前置報告書が作成され、同年6月20日付けで上申書が提出された。

第2 平成28年5月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年5月9日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1 補正の概要

平成28年5月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1?3の記載の補正を含む補正であり、特許請求の範囲の請求項1?3は、
補正前(願書に最初に添付した特許請求の範囲)の
「【請求項1】
外部機器からの配線が差し込まれる差込み部を備えた本体部と、
前記差込み部に対応させて設けられ、所定の電気信号を前記外部機器からの配線に伝える端子部と、
前記本体部に対して変位可能であり、前記差込み部に差し込まれた配線を前記端子部に接触させた状態で保持可能な保持状態と、前記差込み部に対する配線の抜き差しを許容する非保持状態とに状態変化可能な保持手段と、
前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させることのできる操作手段とを具備し、
前記端子部、前記保持手段、及び前記操作手段が複数設けられた外部出力手段を備える遊技機において、
前記外部出力手段は、複数の前記操作手段が遊技機の左右方向に並ぶようにして設けられ、
前記操作手段は、前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させる際に操作される操作部を備え、
遊技機の左右方向に並ぶようにして設けられた前記操作手段のうち第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部とは、遊技機の左右方向に対して交差する方向において位置がずれるように構成され、
操作されていない場合の前記第2操作手段の操作部は、操作されていない場合の前記第1操作手段の操作部より遊技機後方に位置し、
前記第1操作手段と前記第2操作手段とは、その操作部において指を引っ掛け可能な指掛け部を備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
外部機器からの配線が差し込まれる差込み部を備えた本体部と、
前記差込み部に対応させて設けられ、所定の電気信号を前記外部機器からの配線に伝える端子部と、
前記本体部に対して変位可能であり、前記差込み部に差し込まれた配線を前記端子部に接触させた状態で保持可能な保持状態と、前記差込み部に対する配線の抜き差しを許容する非保持状態とに状態変化可能な保持手段と、
前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させることのできる操作手段とを具備し、
前記端子部、前記保持手段、及び前記操作手段が複数設けられた外部出力手段を備える遊技機において、
前記外部出力手段は、複数の前記操作手段が遊技機の左右方向に並ぶようにして設けられ、
前記操作手段は、前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させる際に操作される操作部を備え、
遊技機の左右方向に並ぶようにして設けられた前記操作手段のうち第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部とは、前記第1操作手段及び前記第2操作手段の操作方向において位置がずれるように構成され、
操作されていない場合の前記第2操作手段の操作部は、操作されていない場合の前記第1操作手段の操作部より遊技機後方に位置し、
前記第1操作手段と前記第2操作手段とは、その操作部において指を引っ掛け可能な指掛け部を備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
前記遊技機は、パチンコ機、スロットマシン、又は、パチンコ機とスロットマシンとを融合した形式の遊技機であることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。」
から、
補正後(本件補正:平成28年5月9日付けの手続補正)の
「【請求項1】
A 外部機器からの配線が差し込まれる差込み部を備えた本体部と、
B 前記差込み部に対応させて設けられ、所定の電気信号を前記外部機器からの配線に伝える端子部と、
C 前記本体部に対して変位可能であり、前記差込み部に差し込まれた配線を前記端子部に接触させた状態で保持可能な保持状態と、前記差込み部に対する配線の抜き差しを許容する非保持状態とに状態変化可能な保持手段と、
D 前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させることのできる操作手段とを具備し、
E 前記端子部、前記保持手段、及び前記操作手段が複数設けられた外部出力手段を備えるパチンコ機において、
F 前記外部出力手段は、複数の前記操作手段がパチンコ機の左右方向に並ぶようにして設けられ、
G 前記操作手段は、前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させる際に操作される操作部を備え、
H パチンコ機の左右方向に並ぶようにして設けられた前記操作手段のうち第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部とは、パチンコ機の左右方向に対して交差する方向において位置がずれるように構成され、
I 操作されていない場合の前記第2操作手段の操作部は、操作されていない場合の前記第1操作手段の操作部よりパチンコ機後方に位置し、
J 前記第1操作手段と前記第2操作手段とは、その操作部において指を引っ掛け可能な指掛け部を備えていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
外部機器からの配線が差し込まれる差込み部を備えた本体部と、
前記差込み部に対応させて設けられ、所定の電気信号を前記外部機器からの配線に伝える端子部と、
前記本体部に対して変位可能であり、前記差込み部に差し込まれた配線を前記端子部に接触させた状態で保持可能な保持状態と、前記差込み部に対する配線の抜き差しを許容する非保持状態とに状態変化可能な保持手段と、
前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させることのできる操作手段とを具備し、
前記端子部、前記保持手段、及び前記操作手段が複数設けられた外部出力手段を備えるパチンコ機において、
前記外部出力手段は、複数の前記操作手段がパチンコ機の左右方向に並ぶようにして設けられ、
前記操作手段は、前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させる際に操作される操作部を備え、
パチンコ機の左右方向に並ぶようにして設けられた前記操作手段のうち第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部とは、前記第1操作手段及び前記第2操作手段の操作方向において位置がずれるように構成され、
操作されていない場合の前記第2操作手段の操作部は、操作されていない場合の前記第1操作手段の操作部よりパチンコ機後方に位置し、
前記第1操作手段と前記第2操作手段とは、その操作部において指を引っ掛け可能な指掛け部を備えていることを特徴とするパチンコ機。」
へ補正された(下線部は補正箇所を示す)。ただし、記号は分説するため当審にて付した。

2 補正の適否
本件補正のうち、請求項1及び2における補正は、補正前の「遊技機」との記載を「パチンコ機」とするものであり、パチンコ機の他にスロットマシン等を含む「遊技機」を「パチンコ機」のみに限定するものである。
そして、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、上記補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件補正のうち、請求項3を削除する補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものである。
したがって、本件補正は、第17条の2第5項第1号又は第2号の規定に適合する。
さらに、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)を検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1に記載したとおりのものである。

(2)先願発明
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願遡及日前の他の特許出願であって、その遡及日後に出願公開がされた特願2008-138908号(特開2009-285003号公報参照。以下、「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

ア 「【0001】
本発明は、例えば、パチンコ遊技機から外部に信号を送出するときに、その信号を中継するため使用される遊技機用外部端子板に関する。」

イ 「【0016】
図4は本実施形態のパチンコ遊技機の外部端子板の概略図、図5はその外部端子板の配線図である。外部端子板40は、図4及び図5に示すように、基板41上に搭載された、1個の入力側のコネクタCN1と、6個の出力側のコネクタCN2?7と、6個のフォトモスリレーRL1?6とを備える。本実施形態のパチンコ遊技機から遊技場に設けられた管理用のホールコンピュータ50に送出する信号には、次のような信号がある。10個の賞品球を払い出したときにコネクタCN1のターミナル2に送出される賞球信号、前面枠(ドア)が開状態となっときにコネクタCN1のターミナル3に送出されるドア開放信号、遊技状態が大当たり状態となったときにコネクタCN1のターミナル4に送出される大当たり信号、大当たりとなる確率が高くなる遊技状態である確率変動状態となったときにコネクタCN1のターミナル5に送出される確変信号、遊技球が始動口に入賞して図柄変動が開始されるときにコネクタCN1のターミナル6に送出されるスタート信号、及び図柄の変動表示が停止したときにコネクタCN1のターミナル7に送出される図柄確定信号がある。入力側のコネクタCN1のターミナル1に供給されるDC12Vは、6個の各フォトモスリレーRL1?6に共通して供給される電圧である。出力側の各コネクタCN2?7は、常時は開状態となっており、パチンコ遊技機から入力側のコネクタCN1に送出される信号が電流制限抵抗(不図示)を介してロー信号になると、フォトモスリレーの一次側の赤外発光ダイオードが発光し、フォトモスリレーの2次側であるMOSFETが導通状態となり、出力側の各コネクタが閉状態となる。このように、フォトモスリレーを介して、信号を送出することにより、パチンコ遊技機とホールコンピュータとの間を電気的に絶縁した状態で、パチンコ遊技機からホールコンピュータに信号を送出することができる。なお、本発明は、上述した6個の信号に限定されるものではなく、パチンコ遊技機から送出される信号は、7個以上であっても、5個以下であってもよい。
【0017】
図6は本実施形態の出力側のターミナルCN2?7に使用されるプッシュターミナル100の概略正面図、図7はそのプッシュターミナル100の概略右側面図、図8はそのプッシュターミナル100の概略平面図、図9はそのプッシュターミナルの概略底面図、図10はそのプッシュターミナル100の図8におけるA-A矢視概略断面図、図11はそのプッシュターミナル100の概略斜視図である。なお、本実施形態では、プッシュターミナルがディスクリート型である場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、プッシュターミナルは表面実装型のものであってもよい。また、図10の一点鎖線Xは、リード線挿入穴に挿入されるリード線の中心線を示すものである。
【0018】
本実施形態のプッシュターミナル100は、図6?図11に示すように、ケース本体部101内に、端子部とレバー部とを有する二組の接続端子セット120.120を隣り合うように配置したものである。なお、以下では、説明の便宜上、二組の接続端子セットの各々を区別して説明するときには、符号にアルファベトのa又はbを付加し、一方を第一接続端子セット120a、他方を第二接続端子セット120bと称する。
【0019】
各接続端子セット120は、ケース本体部101の上部に形成されたリード線挿入穴121と、リード線挿入穴121に対応してケース本体部内に固定して設けられた導電性の端子部122と、レバー部123と、レバー部を附勢するスプリング部124と、を備える。ケース本体部101は、二つのリード線挿入穴の他に、プッシュターミナルを基板41に固定するために底部に形成された固定用突起102、プッシュターミナル同士を連結するための突起である第一連結突起部103と第二連結突起部104、プッシュターミナル同士を連結するための凹部である第一連結凹部105と第二連結凹部106(図7参照)、及び、スプリング部124を支持するためのスプリング用突起部107(図10参照)を備えている。
【0020】
各端子部122は、基板41に形成された接続穴に挿入される足部1221と、リード線挿入穴から挿入されたリード線と接触する接触部1222(図10参照)とを備えている。レバー部123は端子部122に対応して設けられ、人が押圧する部分であるケース本体部の外部に露出している操作部1231と、リード線挿入穴121に挿入されたリード線を端子部122の接触部1222に押し付けるための押圧部1232と、レバー部をケース本体部に回動自在に取り付けるための軸部1233と、スプリング部124を支持するためのスプリング用突起部1234とを備えている。レバー部123は、ケース本体部に形成された軸受部(不図示)に軸部1233を嵌め込むことにより、図10の矢印Yで示すように、ケース本体部に回動自在に取着される。このレバー部123は、常時はスプリング部124により、その押圧部1232が端子部122の接触部1222に当接するように附勢された状態となっている。スプリング部124は、レバー部のスプリング用突起部1234とケース本体部のスプリング用突起部107とによって両端部が支持される。
【0021】
本プッシュターミナル100にリード線を接続するときには、レバー部123の操作部1231を下方に押圧し、押圧部1232と端子部122の接触部1222との隙間を広げて、リード線をリード線挿入穴121から挿入し、その後、操作部1231を元に戻す。これにより、図10の一点鎖線Xで示すように、リード線はケース本体部内に端子部122の接触部1222に押し付けられた状態で保持される。リード線を外すときには、レバー部123の操作部1231を下方に押し下げた状態で、リード線を引き抜くことにより、容易にリード線を取り外すことができる。
・・・
【0023】
本実施形態の二つのレバー部123a,123bの操作部1231a,1231bは、図10及び図11等に示すように、ケース本体部の底面からの高さが異なるように、言い換えれば二つの操作部1231a,1231bに段差が生じるようにして形成されている。また、第一レバー部123aの操作部1231aは、操作部1231aを最下部まで、押し下げた状態でも、ケース本体部からの高さが第二レバー部123bの操作部1231bと同じか、若干高い位置となるように構成されている。したがって、本実施形態のプッシュターミナルによれば、従来のプッシュターミナルに比べて、プッシュターミナルの幅Lを小さくしても、第一レバー部を押下するときに、誤って同時に第二レバー部を押下することはなく、また第二レバー部を押下するときに、誤って同時に第一レバー部を押下することもなくなる。すなわち、本実施形態によれば、二つのレバー部の何れか一方を下方に押し下げたときに、誤って他方のレバー部を下方に押し下げてしまうことがなくなり、リード線の外部端子板への接続作業が容易になるとともに、従来のものに比べてプッシュターミナルの幅を小さくして、小型化を図ることができる。
【0024】
また、本実施形態のプッシュターミナルは、図4に示すように、6個のプッシュターミナルを直列的に連結して使用する場合でも、隣り合うレバー部の操作部の高さが異なるので、各レバー部の操作部を押し下げるときに、隣り合う他のレバー部の操作部を同時に押し下げてしまうことはない。」

ウ 上記イの【0016】の「外部端子板40は、図4及び図5に示すように、基板41上に搭載された、1個の入力側のコネクタCN1と、6個の出力側のコネクタCN2?7と、6個のフォトモスリレーRL1?6とを備える。」及び「このように、フォトモスリレーを介して、信号を送出することにより、パチンコ遊技機とホールコンピュータとの間を電気的に絶縁した状態で、パチンコ遊技機からホールコンピュータに信号を送出することができる。」との記載より、「外部端子板40に備えられた6個の出力側コネクタCN2?7により、パチンコ遊技機からホールコンピュータに信号を送出することができる」といえる。

エ 上記イの【0017】の「出力側のターミナルCN2?7に使用されるプッシュターミナル100」との記載、【0018】の「本実施形態のプッシュターミナル100は、図6?図11に示すように、ケース本体部101内に、端子部とレバー部とを有する二組の接続端子セット120.120を隣り合うように配置したものである。」との記載、及び、【0019】の「各接続端子セット120は、ケース本体部101の上部に形成されたリード線挿入穴121と、リード線挿入穴121に対応してケース本体部内に固定して設けられた導電性の端子部122と、レバー部123と、レバー部を附勢するスプリング部124と、を備える。」との記載より、「出力側のターミナルCN2?7に使用されるプッシュターミナル100は、上部にリード線挿入穴121が形成されたケース本体部101を備えている」といえる。

オ 上記ウの「6個の出力側コネクタCN2?7により、パチンコ遊技機からホールコンピュータに信号を送出する」との認定事項、及び、上記エの「出力側のターミナルCN2?7に使用されるプッシュターミナル100は、上部にリード線挿入穴121が形成されたケース本体部101を備えている」との認定事項より、パチンコ遊技機からホールコンピュータに信号を送出するのに、ターミナルCN2?7に使用されるプッシュターミナル100が備えたケース本体部101に形成されたリード線挿入穴121に挿入される「リード線」が用いられることは明らかである。
そうすると、上記エの認定事項より、先願明細書等には、「プッシュターミナル100は、ホールコンピュータに信号を送出するリード線が挿入されるリード線挿入穴121が上部に形成されたケース本体部101を備えている」ことが記載されていると認められる。

カ 上記イの【0018】の「本実施形態のプッシュターミナル100は、図6?図11に示すように、ケース本体部101内に、端子部とレバー部とを有する二組の接続端子セット120.120を隣り合うように配置したものである。」との記載より、「プッシュターミナル100は、ケース本体部101内に、端子部とレバー部とを有する二組の接続端子セット120.120を隣り合うように配置したもの」であるといえる。

キ 上記イの【0019】の「リード線挿入穴121に対応してケース本体部内に固定して設けられた導電性の端子部122」との記載、及び、【0020】の「各端子部122は、基板41に形成された接続穴に挿入される足部1221と、リード線挿入穴から挿入されたリード線と接触する接触部1222(図10参照)とを備えている。」との記載より、先願明細書等には、「リード線挿入穴121に対応してケース本体部内に固定して設けられ、基板41に形成された接続穴に挿入される足部1221と、リード線挿入穴から挿入されたリード線と接触する接触部1222を備えた導電性の端子部122」が記載されていると認められる。

ク 上記イの【0020】の「レバー部123は端子部122に対応して設けられ、人が押圧する部分であるケース本体部の外部に露出している操作部1231と、リード線挿入穴121に挿入されたリード線を端子部122の接触部1222に押し付けるための押圧部1232と、レバー部をケース本体部に回動自在に取り付けるための軸部1233と、スプリング部124を支持するためのスプリング用突起部1234とを備えている。」との記載、「このレバー部123は、常時はスプリング部124により、その押圧部1232が端子部122の接触部1222に当接するように附勢された状態となっている。」との記載、及び、【0021】の「本プッシュターミナル100にリード線を接続するときには、レバー部123の操作部1231を下方に押圧し、押圧部1232と端子部122の接触部1222との隙間を広げて、リード線をリード線挿入穴121から挿入し、その後、操作部1231を元に戻す。」との記載より、先願明細書等には、「人が押圧する部分であるケース本体部の外部に露出している操作部1231と、リード線挿入穴121に挿入されたリード線を端子部122の接触部1222に押し付けるための押圧部1232とを備え、常時はスプリング部124により、その押圧部1232が端子部122の接触部1222に当接するように附勢された状態となっており、リード線を接続するときには、レバー部123の操作部1231を下方に押圧し、押圧部1232と端子部122の接触部1222との隙間を広げて、リード線をリード線挿入穴121から挿入する、レバー部123」が記載されていると認められる。

ケ 上記イの【0016】の「外部端子板40は、図4及び図5に示すように、基板41上に搭載された、1個の入力側のコネクタCN1と、6個の出力側のコネクタCN2?7と、6個のフォトモスリレーRL1?6とを備える。」との記載、【0017】の「出力側のターミナルCN2?7に使用されるプッシュターミナル100」との記載、【0024】の「本実施形態のプッシュターミナルは、図4に示すように、6個のプッシュターミナルを直列的に連結して使用する場合でも」との記載、及び、上記カより、先願明細書等には、「ケース本体部101内に、端子部とレバー部とを有する二組の接続端子セット120.120を隣り合うように配置した6個のプッシュターミナルを備えた外部端子板40」が記載されていると認められる。

コ 上記イの【0023】には、「本実施形態の二つのレバー部123a,123bの操作部1231a,1231bは、図10及び図11等に示すように、ケース本体部の底面からの高さが異なるように、言い換えれば二つの操作部1231a,1231bに段差が生じるようにして形成されている。」と記載され、【0024】には、「隣り合うレバー部の操作部の高さが異なるので、各レバー部の操作部を押し下げるときに、隣り合う他のレバー部の操作部を同時に押し下げてしまうことはない。」と記載されているところ、図4及び図6を参照すると、当該「高さ」は、遊技機後方への高さであるといえるので、先願明細書等には、「隣り合うレバー部の操作部の遊技機後方への高さが異なる」ことが記載されているといえる。
また、【0024】の「各レバー部の操作部を押し下げるときに、隣り合う他のレバー部の操作部を同時に押し下げてしまうことはない。」との効果や図4及び図6より、「高さが異なる」とは、少なくとも、操作部の操作がされていない状態において、高さが異なることを意味することは明らかである。
したがって、先願明細書等には、「隣り合うレバー部の操作部の遊技機後方への高さが、操作部の操作がされていない状態において異なる」ことが記載されていると認められる。

サ 図6には、「操作部1231a」及び「操作部1231b」に凹凸が設けられたことが図示されているものと認められる。

上記ア、イの記載事項、及び、上記ウ?サの認定事項を総合すると、先願明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。ただし、記号a?jは、本件補正発明の記号A?Jに対応させて当審にて付した。

「a ホールコンピュータに信号を送出するリード線が挿入されるリード線挿入穴121が上部に形成されたケース本体部101と、(オ)
b リード線挿入穴121に対応してケース本体部内に固定して設けられ、基板41に形成された接続穴に挿入される足部1221と、リード線挿入穴から挿入されたリード線と接触する接触部1222を備えた導電性の端子部122と、(キ)
c-d 人が押圧する部分であるケース本体部の外部に露出している操作部1231と、リード線挿入穴121に挿入されたリード線を端子部122の接触部1222に押し付けるための押圧部1232とを備え、常時はスプリング部124により、その押圧部1232が端子部122の接触部1222に当接するように附勢された状態となっており、リード線を接続するときには、レバー部123の操作部1231を下方に押圧し、押圧部1232と端子部122の接触部1222との隙間を広げて、リード線をリード線挿入穴121から挿入する、レバー部123と、(ク)
を備えたプッシュターミナル100を具備し、(オ、カ)
e ケース本体部101内に、端子部とレバー部とを有する二組の接続端子セット120.120を隣り合うように配置した6個のプッシュターミナルを備えた外部端子板40を備えるパチンコ機において、(ケ)
f 6個のプッシュターミナルを直列的に連結して使用し、(【0024】)
g レバー部123は操作部1231を備え、(【0021】)
h-i 隣り合うレバー部の操作部の遊技機後方への高さが、操作部の操作がされていない状態において異なり、(コ)
j 操作部1231a及び操作部1231bに凹凸が設けられた(サ)
パチンコ機。」

(3)対比
本件補正発明と先願発明とを分説にしたがい対比する。

(a)先願発明の「リード線」は「ホールコンピュータに信号を送出する」ものであり、ホールコンピュータ、又は、ホールコンピュータに信号を送出する機器からの配線であることは明らかなので、本件補正発明の「外部機器からの配線」に相当する。
そうすると、先願発明の「リード線挿入穴121」は、本件補正発明の配線が差し込まれる「差込み部」に相当する。
したがって、先願発明の「ホールコンピュータに信号を送出するリード線が挿入されるリード線挿入穴121が上部に形成されたケース本体部101」は、本件補正発明の「外部機器からの配線が差し込まれる差込み部を備えた本体部」に相当する。

(b)上記(a)より、先願発明の「リード線」は、「ホールコンピュータに信号を送出する」もので、本件補正発明の「外部機器からの配線」に相当するので、先願発明の「リード線と接触する接触部1222を備えた導電性の端子部122」は、その接触部1222からリード線にホールコンピュータへの信号を伝えることは明らかである。
そして、当該「ホールコンピュータへの信号」は、本件補正発明の「所定の電気信号」に相当する。
したがって、先願発明の「リード線挿入穴121に対応してケース本体部内に固定して設けられ、基板41に形成された接続穴に挿入される足部1221と、リード線挿入穴から挿入されたリード線と接触する接触部1222を備えた導電性の端子部122」は、本件補正発明の「前記差込み部に対応させて設けられ、所定の電気信号を前記外部機器からの配線に伝える端子部」に相当する。

(c-d)先願発明のc-dと本件補正発明のC及びDとを対比する。
先願発明の「押圧部1232」は、「リード線挿入穴121に挿入されたリード線を端子部122の接触部1222に押し付けるため」のもので、「常時はスプリング部124により、その押圧部1232が端子部122の接触部1222に当接するように附勢された状態」となっており、当該「端子部122の接触部1222に当接するように附勢された状態」は、本件補正発明の「前記差込み部に差し込まれた配線を前記端子部に接触させた状態で保持可能な保持状態」に相当する。
また、先願発明の「押圧部1232」は、「リード線を接続するときには、レバー部123の操作部1231を下方に押圧し、押圧部1232と端子部122の接触部1222との隙間を広げ」られるものであり、当該「端子部122の接触部1222との隙間を広げ」られた状態は、本件補正発明の「前記差込み部に対する配線の抜き差しを許容する非保持状態」に相当する。
そして、上記より、「押圧部1232」が「ケース本体部101」に対して変位可能であることは明らかなので、先願発明の「押圧部1232」は、本件補正発明の「保持手段」に相当する。
次に、先願発明は、「リード線を接続するときには、レバー部123の操作部1231を下方に押圧し、押圧部1232と端子部122の接触部1222との隙間を広げ」るものであり、当該「下方に押圧」される「操作部1231」は、本件補正発明の「前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させることのできる操作手段」に相当する。
したがって、先願発明の「人が押圧する部分であるケース本体部の外部に露出している操作部1231と、リード線挿入穴121に挿入されたリード線を端子部122の接触部1222に押し付けるための押圧部1232とを備え、常時はスプリング部124により、その押圧部1232が端子部122の接触部1222に当接するように附勢された状態となっており、リード線を接続するときには、レバー部123の操作部1231を下方に押圧し、押圧部1232と端子部122の接触部1222との隙間を広げて、リード線をリード線挿入穴121から挿入する、レバー部123」は、当該「レバー部123」には「押圧部1232」(保持手段)と「操作部1231」(操作手段)が備えられているので、本件補正発明の「前記本体部に対して変位可能であり、前記差込み部に差し込まれた配線を前記端子部に接触させた状態で保持可能な保持状態と、前記差込み部に対する配線の抜き差しを許容する非保持状態とに状態変化可能な保持手段と、
前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させることのできる操作手段」に相当する。

(e)上記(c-d)より、先願発明の「レバー部123」の「押圧部1232」と「操作部1231」は、それぞれ、本件補正発明の「保持手段」と「操作手段」に相当するので、先願発明の「端子部とレバー部」は、本件補正発明の「前記端子部、前記保持手段、及び前記操作手段」に相当する。
そうすると、先願発明の「ケース本体部101内に、端子部とレバー部とを有する二組の接続端子セット120.120を隣り合うように配置した6個のプッシュターミナルを備え」ていることは、本件補正発明の「前記端子部、前記保持手段、及び前記操作手段が複数設けられ」ていることに相当する。
さらに、先願発明の「外部端子板40」は、本件補正発明の「外部出力手段」に相当する。
したがって、先願発明の「ケース本体部101内に、端子部とレバー部とを有する二組の接続端子セット120.120を隣り合うように配置した6個のプッシュターミナルを備えた外部端子板40を備えるパチンコ機」は、本件補正発明の「前記端子部、前記保持手段、及び前記操作手段が複数設けられた外部出力手段を備えるパチンコ機」に相当する。

(f)上記(e)に示したとおり、先願発明の「プッシュターミナル」は、「端子部とレバー部とを有する二組の接続端子セット120.120を隣り合うように配置した」ものであり、かつ、「レバー部123」は「操作部1231」を備えるので、「6個のプッシュターミナルを直列的に連結」すれば、「操作部1231」が直列的に並ぶように設けられることは明らかである。
そして、上記(e)より、先願発明の「操作部1231」は、本件補正発明の「操作手段」に相当するので、先願発明には、「複数の「操作手段」が直列的に並ぶように設けられること」が記載されているといえる。
さらに、上記(e)に示したとおり、先願発明の「プッシュターミナル」は、「外部端子板40」(本件補正発明の「外部出力手段」)に設けられている。
したがって、先願発明の「6個のプッシュターミナルを直列的に連結して使用し」は、本件補正発明の「前記外部出力手段は、複数の前記操作手段がパチンコ機の左右方向に並ぶようにして設けられ」と、「前記外部出力手段は、複数の前記操作手段が並ぶようにして設けられ」ている点で共通している。

(g)先願発明の「操作部1231」は、上記(c-d)より、「前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させることのできる操作手段」に相当し、かつ、「リード線を接続するときには、・・・下方に押圧」されるものでもあるので、本件補正発明の「操作手段」に相当するとともに、本件補正発明の「操作部」にも相当する。
したがって、先願発明の「レバー部123は操作部1231を備え」は、本件補正発明の「前記操作手段は、前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させる際に操作される操作部を備え」に相当する。

(h-i)先願発明のh-iと本件補正発明のH及びIとを対比する。
先願発明の「隣り合うレバー部の操作部」は、本件補正発明の「並ぶようにして設けられた前記操作手段のうち第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部」に相当する。
そして、先願発明において「隣り合うレバー部の操作部の遊技機後方への高さが、操作部の操作がされていない状態において異な」ることは、本件補正発明の「操作されていない場合の前記第2操作手段の操作部は、操作されていない場合の前記第1操作手段の操作部よりパチンコ機後方に位置」することに相当する。
また、本件補正発明において、「左右方向」は、「操作部」が並ぶ方向でもあり、「左右方向に対して交差する方向」は、「操作部が並ぶ方向に対して交差する方向」でもあるので、「パチンコ機後方」は、「操作部が並ぶ方向に対して交差する方向」といえる。
そうすると、先願発明は、「隣り合うレバー部の操作部の遊技機後方への高さが、操作部の操作がされていない状態において異な」るものであるので、「第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部とは、操作部が並ぶ方向に対して交差する方向において位置がずれる」点で、本件補正発明と共通しているといえる。
したがって、先願発明の「隣り合うレバー部の操作部の遊技機後方への高さが、操作部の操作がされていない状態において異なり」は、
本件補正発明の「パチンコ機の左右方向に並ぶようにして設けられた前記操作手段のうち第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部とは、パチンコ機の左右方向に対して交差する方向において位置がずれるように構成され、
操作されていない場合の前記第2操作手段の操作部は、操作されていない場合の前記第1操作手段の操作部よりパチンコ機後方に位置し」と、
「パチンコ機に並ぶようにして設けられた前記操作手段のうち第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部とは、操作部が並ぶ方向に対して交差する方向において位置がずれるように構成され、
操作されていない場合の前記第2操作手段の操作部は、操作されていない場合の前記第1操作手段の操作部よりパチンコ機後方に位置し」ている点で共通している。

(j)先願発明の操作部に設けられた「凹凸」は、本件補正発明の「指掛け部」に相当する。
したがって、先願発明の「操作部1231a及び操作部1231bに凹凸が設けられた」は、本件補正発明の「前記第1操作手段と前記第2操作手段とは、その操作部において指を引っ掛け可能な指掛け部を備えている」に相当する。

上記(a)?(j)より、本件補正発明と先願発明とは、次の点で一致している。

「A 外部機器からの配線が差し込まれる差込み部を備えた本体部と、
B 前記差込み部に対応させて設けられ、所定の電気信号を前記外部機器からの配線に伝える端子部と、
C 前記本体部に対して変位可能であり、前記差込み部に差し込まれた配線を前記端子部に接触させた状態で保持可能な保持状態と、前記差込み部に対する配線の抜き差しを許容する非保持状態とに状態変化可能な保持手段と、
D 前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させることのできる操作手段とを具備し、
E 前記端子部、前記保持手段、及び前記操作手段が複数設けられた外部出力手段を備えるパチンコ機において、
F’前記外部出力手段は、複数の前記操作手段が並ぶようにして設けられ、
G 前記操作手段は、前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させる際に操作される操作部を備え、
H’パチンコ機に並ぶようにして設けられた前記操作手段のうち第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部とは、操作部が並ぶ方向に対して交差する方向において位置がずれるように構成され、
I 操作されていない場合の前記第2操作手段の操作部は、操作されていない場合の前記第1操作手段の操作部よりパチンコ機後方に位置し、
J 前記第1操作手段と前記第2操作手段とは、その操作部において指を引っ掛け可能な指掛け部を備えていることを特徴とするパチンコ機。」

そして、本件補正発明と先願発明とは、構成F及びHに関する次の点で、一応相違している。

(相違点)
複数の操作手段が並ぶようにして設けられていること、及び、第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部とは、操作部が並ぶ方向に対して交差する方向において位置がずれることに関して、本件補正発明は、複数の操作手段(操作部)が、パチンコ機の左右方向に並ぶのに対し、先願発明は、複数の操作手段(操作部)が並ぶ方向が特定されていない点。

(4)判断
先願明細書等の特許請求の範囲及び明細書には、操作部の並ぶ方向について記載されていないので、図面を参照して検討する。まず、図2では、外部端子板40の配置位置について図示されているが、操作部は図示されていない。また、図4では、コネクタCN2?7が上下方向に並んでいることが図示されているが、これは配線図である図5にCN1?7の場所を対応させて描かれた概要図と考えられ、パチンコ機に取り付けられる際に操作部の並ぶ方向を図示したものとは認められない。
したがって、先願明細書等の明細書のみならず図面からみても、操作部の並ぶ方向は定かではないといえる。
そこで、パチンコ機の外部出力手段に関する技術水準を確認するために、当該技術分野における公開特許公報を参酌することにすると、外部出力手段における配線のための操作部をパチンコ機の左右方向に並べることは、本願の出願遡及日前における周知技術であり(特開2009-89781号公報(【0042】、【0043】、図1、図3)、特開2000-93581号公報(【0007】、【0021】、【0022】、図1)、特開平8-52264号公報(【0030】、図4、図9)参照)、また、当該技術分野における技術常識であるといえる。
そうすると、先願明細書等には、明示されてはいないが、外部出力手段における配線のための操作部をパチンコ機の左右方向に並べることが実質的に含まれているとするのが自然であり、むしろ、当業者からすれば、先願発明は、周知技術であり、技術常識である当該事項を備えているとするのが合理的というべきである。
したがって、先願発明は、複数の操作手段(操作部)がパチンコ機の左右方向に並ぶようにして設けられているという上記相違点に係る本件補正発明の構成を実質的に備えている。
よって、本件補正発明と先願発明とは、実質的に同一である。

(5)請求人の主張
(ア)請求人は、審判請求書の「4.本願発明と引用文献に記載の発明との対比」において、「ここで、周知技術を示す文献として挙げられた引用文献2?4は、外部出力手段における複数の操作手段の操作部の前後位置が揃っているものである。つまり、「配線が、第2操作手段の操作部の前面側と、第1操作手段の操作部の後面側との間に潜り込んでしまう」といった問題がそもそも発生し得ない。・・・このため、引用文献2?4に記載された事項を加味して引用文献1を参照してみても、・・・本願発明1には想到し得ない筈である。」と主張している。
(イ)また、請求人は、審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】「1.本願発明の説明」(3)において、「「外部出力手段の複数の操作手段がパチンコ機の左右方向に並ぶようにして設けられる」ことによって、・・・上下方向に延在する外部機器からの配線と、第2操作手段とが交差するといった事態を抑制することができる。」及び「さらに、・・・外部出力手段の端子部に接続された外部機器からの配線が前後に重なり合ったとしても、その本数(密集して束のようになる配線の一束の配線数)を低減させることができる。」 との効果を挙げている。
そして、審判請求書の「4.本願発明と引用文献に記載の発明との対比」において、拒絶査定の上記作用効果に関する「仮に・・・効果が格別なものであるとしても、特許請求の範囲には「下方向に延在する外部機器からの配線」を有する点については記載も示唆もされていないから、この主張は特許請求の範囲の記載に基づいたものではない。」との認定に対して、「この点、本書と同日付けで提出した手続補正書において、本願発明は、「遊技機」ではなく、「パチンコ機」であることと限定している。そして、パチンコ機が設置される遊技ホールにおいては、一般的に、外部出力手段の端子部に接続される外部機器からの配線が、パチンコ機の上方から延びてきて、外部出力手段に接続されているものであり、当業者であれば周知の事項である。」と主張している。
(ウ)加えて、請求人は、平成28年6月20日付け上申書において、「前置報告書においても、・・・なぜ『上記の作用効果を奏することは自明であるとは認められない。』というご認定に至ったのかを認容することができません。・・・一般的に遊技ホールに設置されることとなるパチンコ機の使用されている状況を鑑みれば、・・・「上下方向に延在する外部機器からの配線が、第1操作手段の操作部の押圧操作する面と、第2操作手段の操作部の裏側の面との間に形成される隙間に潜り込むといった事態を抑制し、これによって、第2操作手段等の操作性の低下や、端子部に接続された配線の不用意な抜けや損傷等を抑制することができる」等という格別な作用効果が奏されることは、やはり自明な事項であると確信いたします。」と主張している。

(6)上記主張について検討する。
(エ)上記(ア)について
上記「(4)判断」に記載したとおり、先願発明は「操作部を左右方向に並べる」との事項を実質的に備えるものである。したがって、先願発明は、本件補正発明と実質的に同一であるから、請求人の「引用文献2?4に記載された事項を加味して引用文献1を参照してみても、・・・本願発明1には想到し得ない筈である。」との主張を採用することはできない。
(オ)上記(イ)について
請求人が挙げた「外部出力手段の複数の操作手段がパチンコ機の左右方向に並ぶようにして設けられる」ことで、「上下方向に延在する外部機器からの配線と、第2操作手段とが交差するといった事態を抑制することができ」、また、「外部出力手段の端子部に接続された外部機器からの配線が前後に重なり合ったとしても、その本数(密集して束のようになる配線の一束の配線数)を低減させることができる」との効果は、上記(4)に示した「外部出力手段における配線のための操作部をパチンコ機の左右方向に並べる」との周知技術にしたがい配線をすれば当然に生じるものであるといえるので、請求人の主張するとおり、「パチンコ機が設置される遊技ホールにおいては、一般的に、外部出力手段の端子部に接続される外部機器からの配線が、パチンコ機の上方から延びてきて、外部出力手段に接続されている」ことが周知であったとしても、これにより新たな効果が奏せられるとは認められない。
また、上記(エ)のとおり、先願発明は「操作部を左右方向に並べる」との事項を実質的に備えるものであるから、上記(イ)で挙げられた作用効果を内在的に有するものといえる。
したがって、上記(イ)の主張を採用することはできない。
(カ)上記(ウ)について
上申書における上記(ウ)の主張は、審判請求書における上記(イ)の主張と同様のものであるから、上記(オ)に記載したとおりである。
したがって、上記(ウ)の主張を採用することはできない。

(7)小括
したがって、本件補正発明の効果は、先願発明から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものではない。
よって、上記(4)において検討したように、本件補正発明は、先願発明と実質的に同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明
本件補正(平成28年5月9日付け手続補正)は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
外部機器からの配線が差し込まれる差込み部を備えた本体部と、
前記差込み部に対応させて設けられ、所定の電気信号を前記外部機器からの配線に伝える端子部と、
前記本体部に対して変位可能であり、前記差込み部に差し込まれた配線を前記端子部に接触させた状態で保持可能な保持状態と、前記差込み部に対する配線の抜き差しを許容する非保持状態とに状態変化可能な保持手段と、
前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させることのできる操作手段とを具備し、
前記端子部、前記保持手段、及び前記操作手段が複数設けられた外部出力手段を備える遊技機において、
前記外部出力手段は、複数の前記操作手段が遊技機の左右方向に並ぶようにして設けられ、
前記操作手段は、前記保持状態にある前記保持手段を前記非保持状態へと状態変化させる際に操作される操作部を備え、
遊技機の左右方向に並ぶようにして設けられた前記操作手段のうち第1操作手段の操作部と第2操作手段の操作部とは、遊技機の左右方向に対して交差する方向において位置がずれるように構成され、
操作されていない場合の前記第2操作手段の操作部は、操作されていない場合の前記第1操作手段の操作部より遊技機後方に位置し、
前記第1操作手段と前記第2操作手段とは、その操作部において指を引っ掛け可能な指掛け部を備えていることを特徴とする遊技機。」

1.刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された先願明細書等の記載事項は、前記第2の3(2)に記載したとおりであり、先願明細書等には、前記第2の3(2)で認定した「先願発明」が記載されている。

2.対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「パチンコ機」に対して「遊技機」としたものである。
そして、先願発明は、「パチンコ機」との構成を備えるため、その上位概念である「遊技機」との構成も当然に備えている。
したがって、本願発明と先願発明とは、上記第2の3(3)に記載した相違点において一応相違しているが、実質的な相違点とはいえず、上記第2の3(4)に記載したとおり、本願発明と先願発明とは実質的に同一である。

3.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。したがって、その余の請求項については検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-12-14 
結審通知日 2016-12-20 
審決日 2017-01-06 
出願番号 特願2015-156650(P2015-156650)
審決分類 P 1 8・ 16- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福田 知喜  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 川崎 優
齋藤 智也
発明の名称 遊技機  
代理人 川口 光男  
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