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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K |
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管理番号 | 1326210 |
審判番号 | 不服2015-3761 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-27 |
確定日 | 2017-03-15 |
事件の表示 | 特願2009-259479「メトホルミンへの付加療法を含む2型糖尿病の治療方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月 2日出願公開、特開2011-105609〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成21年11月13日の出願であって、平成26年10月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年2月27日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 その後、当審において、平成28年6月1日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成28年9月6日に意見書が提出された。 2.本願発明 本願の請求項1?7に係る発明は、平成26年4月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。 「【請求項1】 2型糖尿病の治療において使用するための組み合わせ物であって、該組み合わせ物は、 (a)デスPro^(36)エキセンジン-4(1-39)-Lys_(6)-NH_(2)又は/及び薬学的に許容されるその塩;及び (b)メトホルミン又は/及び薬学的に許容されるその塩; を含み、ここで治療しようとする対象者が肥満体で50歳までの年齢であり、そして、メトホルミン単独の治療で7%?10%の範囲のHbA1c値を有する者であり、そしてデスPro^(36)エキセンジン-4(1-39)-Lys_(6)-NH_(2)又は/及び薬学的に許容されるその塩は1日1回注射投与されるように調製される、上記組み合わせ物。」 3.当審において通知された拒絶理由 一方、当審において通知された拒絶理由は、以下のものである。 「1.この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 2.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 1.2.について 請求項1?7 本願発明が解決しようとする課題は、本願明細書の請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載並びに審判請求人の主張からみて、肥満体で50歳までの年齢であり、そして、メトホルミン単独の治療で7%?10%の範囲のHbA1c値を有する2型糖尿病の患者に、本願発明の組合せ物を投与することにより、HbA1c値を7%未満にまで下げたり、体重を少なくとも5%減らしたりすることであると認められる。 しかしながら、上記発明の詳細な説明の記載や審判請求人が提出した意見書、審判請求書を見ても、上記患者に上記組合せ物を投与することにより、上記のようにHbA1c値を下げたり体重を減らしたりすることができることを明らかにする薬理試験結果の記載は見いだせない。また、このことが本願出願時の技術常識に属することともいえない。してみると、本願発明が上記課題を解決することができることや、そのことにより所望の効果を奏することを、確認することができない。 してみると、本願発明は本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないし、当業者が実施することができるものともいえない。」 4.判断 4-1 特許法第36条第6項第1号に規定する要件(いわゆるサポート要件)について 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであり、本願明細書のサポート要件の存在は、本願出願人すなわち審判請求人が証明責任を負うと解するのが相当である。 そこで、本願発明が解決しようとする課題とはいかなるものか検討するに、まず、上記請求項1の記載からみて、本願発明の組み合わせ物は、「2型糖尿病の治療において使用するための」ものであって、かつ、「治療しようとする対象者が肥満体で50歳までの年齢であり、そして、メトホルミン単独の治療で7%?10%の範囲のHbA1c値を有する者」であるものであることが明らかである。 そして、本願明細書の発明の詳細な説明の以下の記載 「【発明が解決しようとする課題】 メトホルミンは、食事の改善に反応しない2型糖尿病の治療に用いられるビグアニド系血糖降下剤である。・・・しかし、肥満体の患者におけるメトホルミンによる2型糖尿病のコントロールは不十分であると考えられる。従って、これらの患者においては、2型糖尿病のコントロールのために追加手段が必要と考えられる。」(【0001】?【0002】) からみて、本願発明が解決しようとする課題は、肥満体の患者における2型糖尿病のコントロールのための追加手段を提供することであると解され、本願発明において特定されている患者が、上記「肥満体で50歳までの年齢であり、そして、メトホルミン単独の治療で7%?10%の範囲のHbA1c値を有する者」であるならば、該患者の2型糖尿病のコントロールができるということは、とりもなおさず、該患者の体重を減らしたり、HbA1c値を7%未満にまで下げることにほかならない。このことは、本願明細書の発明の詳細な説明の[実施例1]において、第一エンドポイントが 「HbA1c値が7%未満の及びベースライン体重の少なくとも5%減少したパーセンテージ」(【0038】の【表3】) とされていることとも整合するし、さらには、審判請求人の以下の主張 「しかし本願発明は、上記の一般論にいうような「リキシセナチドの2型糖尿病に対する治療効果の向上」を狙ったものでも、また、「成分の配合比や用量、投与経路や剤型を設定最適化したもの」でもなく、2型糖尿病患者の中でも、特に肥満体で50歳までの年齢であり、メトホルミン単独治療ではHbA1c値が7%?10%の範囲であって、7%未満にまでもっていけない患者に対し、リキシセナチドをメトホルミンに付加する療法を創出し、その療法に使用するための組み合わせ物を提供するものです。 ・・・ 一方、本願発明はこのような患者のHbA1cを適切にコントロールする手段を提供したものであり、このことは、本願発明の組み合わせ物による特定の2型糖尿病患者(肥満体で50歳までの年齢であり、メトホルミン単独治療ではHbA1c値が7%?10%の範囲の者)に対する治療の第一エンドポイントが、HbA1c値7%未満、第二エンドポイントがHbA1c値6.5%以下と設定されていることからも明らかです。」(原審における平成26年4月24日提出の意見書) とも整合する。 そうすると、結局、本願発明が解決しようとする課題は、肥満体で50歳までの年齢であり、そして、メトホルミン単独の治療で7%?10%の範囲のHbA1c値を有する2型糖尿病の患者に、本願発明の組合せ物を投与することにより、該患者の体重を例えば少なくとも5%減らしたり、HbA1c値を7%未満にまで下げるという薬理作用をもたらすことであると認められる。 そこで、本願明細書の発明の詳細な説明の記載を検討するに、該発明の詳細な説明には、上記組合せ物を上記患者に投与して上記薬理作用をもたらすことに関して、以下の(ア)?(エ)の記載がある。 (ア)「化合物、デスPro^(36)エキセンジン-4(1-39)-Lys_(6)-NH_(2)(AVE0010、リキシセナチド)は、エキセンジン-4の誘導体である。AVE0010は、国際公開第01/04156号にSEQ ID NO:93として記載されている。」(【0005】) (イ)「本発明においては、AVE0010又は/及び薬学的に許容されるその塩は、1日1回、10?15μg又は15?20μg(10から15μg及び20μgまでの漸進漸増投与、20μgが有効維持量)の範囲の日用量で投与することが出来る。AVE0010又は/及び薬学的に許容されるその塩は、1日1回の注射で投与することが出来る。 本発明においては、デスPro^(36)エキセンジン-4(1-39)-Lys_(6)-NH_(2)又は/及び薬学的に許容されるその塩を含む液体組成物を使用することが出来る。非経口投与に好適なAVE0010の液体組成物は、当業者に知られている。」(【0009】?【0010】) (ウ)「メトホルミンは、1、1-ジメチルビグアニド(CAS番号657-24-9)の国際一般名である。本発明においては、用語「メトホルミン」には、またその薬学的に許容されるいずれの塩が含まれる。 本発明において、メトホルミンは経口的に投与することが出来る。経口投与による2型糖尿病の治療に好適なメトホルミン製剤は、当業者に知られている。メトホルミンは、少なくとも1.0g/日又は少なくとも1.5g/日の用量で投与することが出来る。経口投与のためには、メトホルミンは、錠剤又は丸剤のような固形の剤形に製剤化することが出来る。」(【0015】?【0016】) (エ)「〔実施例1〕 50歳より若年の肥満型2型糖尿病の患者における、メトホルミンの付加としてのリキシセナチド(AVE0010)をシタグリプチンに対して比較する24週間の研究 本実施例の主題は、50歳より若年で、メトホルミンで適切にコントロールされない肥満体の2型糖尿病患者における、メトホルミンの追加治療としてのリキシセナチド(AVE0010)の有効性及び安全性をシタグリプチン(CAS番号486460-32-6)と比較する、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、2治療群、並行群間比較、多施設共同の24週間の研究である。シタグリプチンは、ジぺプチジル・ぺプチダーゼ4(DPP4)阻害剤として作用し、その結果、グルカゴン様ペプチド1のレベルを上昇させ、それにより糖尿病患者の血中ブドウ糖レベルを低下させる抗糖尿病薬である。 研究の第一目的 本研究の第一目的は、50歳より若年の肥満型の2型糖尿病患者における、メトホルミンの付加治療としてリキシセナチドの血糖コントロール(HbA1c)及び体重の複合エンドポイントに関する有効性を、シタグリプチンとの比較において24週間の期間に亘って評価することである。 研究の第二目的 本研究の第二目的は: ・HbA1c及び体重の絶対値の変化量; ・空腹時血漿中ブドウ糖; ・2時間の標準食試験の間の血漿中ブドウ糖、インスリン、C-ペプチド、グルカゴン及びプロインスリン; ・HOMA-IRで評価するインスリン抵抗性; ・HOMA-βで評価するβ細胞機能; ・リキシセナチドの安全性と忍容性を評価すること; ・母集団薬物動態学的アプローチを用いてのリキシセナチドの薬物動態を評価すること及び抗リキシセナチド抗体の発現を評価すること; に関し、リキシセナチドの効果の評価である。 特定の脆弱性集団: 避妊をしている妊娠の可能性がある女性。 組み入れ基準 WHO(21)により定義された2型糖尿病の患者(男性及び女性)であって、スクリーニングビジット(screening visit)の時に少なくとも1年間診断を受けていて、そのスクリーニングビジット前の少なくとも3カ月間、少なくとも1.5g/日の一定用量のメトホルミンで十分にコントロールされない患者。肥満(BMIが30kg/m2以上)及び年齢18歳から50歳未満の患者。 除外基準 ・スクリーニング時のHbA1cが7.0%未満、又はHbA1cが10%超; ・1型糖尿病; ・妊娠又は授乳; ・有効な避妊法を行っていない、妊娠の可能性がある女性; ・スクリーニング時の空腹時血漿ブドウ糖が250mg/dL(13.9mmol/L)を超える; ・スクリーニングビジット前の3カ月間に5kgを超える体重変化; ・原因不明の膵炎、慢性膵炎、膵臓摘出術、腹部/胃手術、炎症性腸疾患の既往; ・スクリーニング前1年以内の糖尿病性ケトアシドーシスを含む代謝性アシドーシスの既往; ・異常血色素症若しくは溶血性貧血、又はスクリーニング時前2か月以内の血液又は血漿製剤の受容; ・スクリーニングの直前6カ月以内の心筋梗塞、脳卒中、又は入院を要する心不全の既往; ・スクリーニング時の前6カ月以内の薬物又はアルコール乱用の明らかな既往; ・スクリーニング時の身体検査、臨床検査、心電図又はバイタルサインに認められた何らかの臨床上有意な異常であって、重要な全身疾患、臨床的に有意な糖尿病性網膜症の存在、又は研究期間内にレーザー治療が必要と思われる黄斑浮腫の存在のような、治験実施責任医師又は何れかの副責任者の判断において、試験の安全な完了を妨げる又は有用性評価を制約すると考えられる異常; ・スクリーニングの時にコントロールされていない又は不適切にコントロールされている高血圧であって、安静時の収縮期又は拡張期血圧が、それぞれ、180mmHgを超える又は110mmHgを超える高血圧; ・スクリーニング時に臨床検査所見が: -アミラーゼ及び/又はリパーゼが、正常臨床検査値範囲上限の3倍を超える; -総ビリルビンが、正常臨床検査値範囲上限の1.5倍を超える(ギルバート症候群の症例を除く); -ヘモグロビンが11g/dL未満、及び/又は好中球が1,500/mm^(3)未満、及び/又は血小板が100,000/mm^(3)未満; -B型肝炎表面抗原及び/又はC型肝炎抗体検査が陽性; -妊娠の可能性がある女性において血清妊娠試験が陽性; ・スクリーニング時前3カ月以内における、メトホルミン以外の経口又は注射用抗糖尿病薬又は血糖降下剤(例えば、スルホニル尿素、アルファグルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、エキセナチド、DPP-IV阻害剤、インスリンなど)の使用; ・スクリーニング時前3カ月以内の不安定な食事療法、不安定な抗肥満治療; ・スクリーニング時前3カ月以内の、1週間以上のグルココルチコイドの全身使用(局所塗布又は吸入形態を除く); ・スクリーニング時前3カ月以内の何れかの治験薬の使用; ・スクリーニング時前6カ月以内の、胃不全麻痺及び医学的治療を必要とする胃食道逆流症を含むがそれらに限定されない、遷延した吐き気及び嘔吐に関連した消化管疾患に臨床的に関連ある既往; ・リキシセナチドを用いた何れかの以前の治療(例えば、リキシセナチドを用いた以前の研究への参加); ・過去における何れかのGLP-1作動薬(例えば、エクセナチド、リラグルチド)又はメタクレゾールに対するアレルギー反応; ・シタグリプチンに対する重篤な過敏症反応の既往; ・中等度又は重症度の腎障害(50ml/分を下回るクレアチニン・クリアランス)。 被験者当たりの研究継続期間 最大継続期間は27週±7日(3週間のスクリーニング+24週間の二重盲検、ダブルダミー、実薬対照治療+3日のフォロ-アップ)であった。 【表1】 【表2】 【表3】 」(【0029】?【0038) 本願明細書の発明の詳細な説明には、上記(ア)?(ウ)の記載によれば、上記デスPro^(36)エキセンジン-4(1-39)-Lys_(6)-NH_(2)又は/及び薬学的に許容されるその塩とメトホルミン又は/及び薬学的に許容されるその塩が公知であること、並びに、それらを上記患者に投与する際に必要な投与量、投与方法や製剤化方法が記載され、また、上記(エ)の記載によれば、特定の薬理試験方法の説明が記載されているといえるものの、上記組み合わせ物が上記患者に上記薬理作用をもたらすことを当業者が認識できるに足る薬理試験結果の記載は見いだせない。 また、上記組み合わせ物が上記患者に上記薬理作用をもたらすことは本願発明の出願時の技術常識に属する事項であったというような、薬理試験結果の記載がなされていなくても上記組み合わせ物が上記患者に上記薬理作用をもたらすことを当業者が認識できるといえる、格別の事情も見いだせない。 そうすると、本願明細書の発明の詳細な説明には、上記組み合わせ物が上記患者に上記薬理作用をもたらすことを当業者が認識できるに足る記載がなされているとはいえない。 してみれば、本願明細書の発明の詳細な説明の記載により当業者が本願発明の課題を解決できると認識できる範囲や、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本願発明の課題を解決できると認識できる範囲は存在しないものとするほかはないが、それにもかかわらず、本願明細書の特許請求の範囲には本願発明が記載されているから、本願明細書の特許請求の範囲の記載は、明細書のサポート要件に適合するものとはいえない。 4-2 特許法第36条第4項第1号に規定する要件(いわゆる実施可能要件)について 本願発明は、上述のとおり、組み合わせ物の発明であるから、特許法第2条第3項第1号にいう物の発明である。また、物の発明における実施には、その物の使用をする行為が含まれる。そして、本願発明におけるその物の使用とは、上記組み合わせ物を上記患者に投与し、該患者に上記薬理作用をもたらすことにほかならない。そうすると、本願明細書の発明の詳細な説明の記載が、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものといえるためには、上記組み合わせ物を上記患者に投与する際に必要な投与量、投与方法、製剤化方法に加え、上記組み合わせ物が上記患者に上記薬理作用をもたらすことを当業者が認識できるに足る記載がなされている必要がある。 しかしながら、4-1で説示したように、本願明細書の発明の詳細な説明には、上記組み合わせ物が上記患者に上記薬理作用をもたらすことを当業者が認識できるに足る記載がなされているとはいえない。 してみれば、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。 なお、審判請求人は、上記拒絶理由に対する意見書において、以下の主張をする。 「請求項1は、本願発明の組み合わせ物が、(a)リキシセナチド又は/及び薬学的に許容されるその塩;及び(b)メトホルミン又は/及び薬学的に許容されるその塩を含むことを特定しています。リキシセナチド、メトホルミン及びそれらの薬学的に許容される塩は、当業者にとって公知のものです。これらの成分に関しては、明細書の段落[0002]?[0014]に記載されています。 さらに、医薬用途についても十分な記載があります。2型糖尿病はよく知られている病気です。本願発明において治療を受けるべき患者についても十分に記載されています。治療しようとする対象者は、肥満体で50歳までの年齢であり、そして、メトホルミン単独の治療で7%?10%の範囲のHbA1c値を有する者です。HbA1c値は通常使用されている2型糖尿病の診断パラメーターです。そして、当業者であれば、対象者が肥満であるか否かを容易に決定することができます。例えば、対象者が30kg/m^(2)のBMIを有している場合などです(明細書の段落[0033]参照)。 また、リキシセナチドの投与の態様も十分に開示されています。この化合物は1日に1回注射投与されます。注射投与はリキシセナチドのようなペプチド化合物の通常の投与形態です。明細書の段落[0008]には、非経口投与のためのリキシセナチドの液体組成物が当業者に公知であることが記載されています。メトホルミンが経口的に投与されること、そして、2型糖尿病の治療に好適なメトホルミン製剤も当業者に知られています(段落[0016]参照)。 このように、本願発明(請求項1及びその従属項である請求項2?7にかかる発明)の組み合わせ物は、その成分、適用対象、投与態様が当業者に十分に理解、かつ実施できる程度に開示されています。したがって、本願発明は本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものであるといえますし、当業者が実施することができる程度に記載されたものといえます。」 しかしながら、この主張によっては、先に説示した認定・判断は左右されない。 5.むすび 以上のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、また、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-10-12 |
結審通知日 | 2016-10-18 |
審決日 | 2016-10-31 |
出願番号 | 特願2009-259479(P2009-259479) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(A61K)
P 1 8・ 536- WZ (A61K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 耕一郎 |
特許庁審判長 |
關 政立 |
特許庁審判官 |
内藤 伸一 齋藤 恵 |
発明の名称 | メトホルミンへの付加療法を含む2型糖尿病の治療方法 |
代理人 | 竹林 則幸 |
代理人 | 結田 純次 |