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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1326233
審判番号 不服2015-21388  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-02 
確定日 2017-03-15 
事件の表示 特願2014-105301「半導体パッケージ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日出願公開、特開2014-195107〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年12月22日(パリ条約による優先権主張 2009年 6月22日(KR)大韓民国)を出願日とする特願2009-290915号(以下「原出願」という。)の一部を平成26年5月21日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成26年 5月22日 審査請求・上申書・手続補正書
平成27年 5月15日 拒絶理由通知
平成27年 7月31日 意見書・手続補正書
平成27年 8月18日 拒絶査定
平成27年12月 2日 審判請求・手続補正書

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年12月2日に提出された手続補正書によりなされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、本願の特許請求の範囲を補正するものであって、詳細には、請求項1を補正し、請求項4を削除するものである。
そして、請求項1については、本件補正の前後で以下のとおりである。
・補正前
「【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に形成された第1端子と、
前記第1基板と接しないで露出された前記第1端子の表面の全てを覆うはんだ膜と、
前記はんだ膜の側面を覆う流動性硬化樹脂と、
前記第1基板上に位置する第2基板と、
前記第2基板の下部面に形成され、前記第1端子と隣接した第2端子と
を含み、
前記第1端子は、前記第1基板の上部面から上に突出され、金属パッドとその上に位置した金属バンプを含み、
前記金属バンプは、ピラー型又はスタッド型であり、
前記第2端子は、金属パッドを含み、
前記はんだ膜は、延びて前記第2端子の金属パッドから前記第1端子の金属パッドまでの側面を覆うことによって前記第2端子の金属パッドと前記第1端子の金属バンプとを結合し、
前記流動性硬化樹脂は、前記第1基板と第2基板との間を満たし、
前記流動性硬化樹脂には、前記はんだ膜を形成するべく使用されるはんだ粒子が存在しない半導体パッケージ。」
・補正後
「【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に形成された第1端子と、
前記第1基板と接しないで露出された前記第1端子の表面の全てを覆うはんだ膜と、
前記はんだ膜の側面を覆う流動性硬化樹脂と、
前記第1基板上に位置する第2基板と、
前記第2基板の下部面に形成され、前記第1端子と隣接した第2端子と
を含み、
前記第1端子は、前記第1基板の上部面から上に突出され、金属パッドとその上に位置した金属バンプを含み、
前記金属バンプは、ピラー型又はスタッド型であり、
前記第2端子は、金属パッドを含み、
前記はんだ膜は、延びて前記第2端子の金属パッドから前記第1端子の金属パッドまでの側面を覆うことによって前記第2端子の金属パッドと前記第1端子の金属バンプとを結合し、
前記流動性硬化樹脂は、前記第1基板と第2基板との間を満たし、
前記流動性硬化樹脂は酸化膜除去機能を有する一方で、前記流動性硬化樹脂には、前記はんだ膜を形成するべく使用されるはんだ粒子が存在しない半導体パッケージ。」

2 補正事項の整理
本件補正に係る補正事項を整理すると次のとおりとなる。(当審注.下線は補正箇所を示し、当審で付加したもの。)
・補正事項1
本件補正前の請求項1の「前記流動性硬化樹脂には、前記はんだ膜を形成するべく使用されるはんだ粒子が存在しない」を、「前記流動性硬化樹脂は酸化膜除去機能を有する一方で、前記流動性硬化樹脂には、前記はんだ膜を形成するべく使用されるはんだ粒子が存在しない」に補正すること。
・補正事項2
本件補正前の請求項4を削除すること。

3 本件補正の適否について
(1)特許法第17条の2第3項
本願の願書に最初に添付した明細書の段落[0027]の記載から、補正事項1は本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであることは明らかである。
また、補正事項2は、請求項を削除するものであり、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであることは明らかである。
したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであるから、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。
(2)特許法第17条の2第4項
平成27年5月15日付け拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、本件補正後の請求項1ないし3に係る発明とが、特許法第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものであることは明らかである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合する。
(3)特許法第17条の2第5項
補正事項1は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項のうち、「流動性硬化樹脂」について、酸化膜除去機能を有するものに限定するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものと認められる。また、補正事項2は、請求項の削除を目的とするものと認められる。
したがって、補正事項1は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当し、補正事項2は同項第1号に掲げる事項を目的とするものに該当するから、本件補正は同項柱書の規定に適合する。
(4)特許法第17条の2第6項
上記(3)のとおり、本件補正のうち、請求項1についての補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものであるから、本件補正が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、すなわち、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、更に検討する。
ア 本件補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、次のとおりのものと認める。(再掲)
「【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に形成された第1端子と、
前記第1基板と接しないで露出された前記第1端子の表面の全てを覆うはんだ膜と、
前記はんだ膜の側面を覆う流動性硬化樹脂と、
前記第1基板上に位置する第2基板と、
前記第2基板の下部面に形成され、前記第1端子と隣接した第2端子と
を含み、
前記第1端子は、前記第1基板の上部面から上に突出され、金属パッドとその上に位置した金属バンプを含み、
前記金属バンプは、ピラー型又はスタッド型であり、
前記第2端子は、金属パッドを含み、
前記はんだ膜は、延びて前記第2端子の金属パッドから前記第1端子の金属パッドまでの側面を覆うことによって前記第2端子の金属パッドと前記第1端子の金属バンプとを結合し、
前記流動性硬化樹脂は、前記第1基板と第2基板との間を満たし、
前記流動性硬化樹脂は酸化膜除去機能を有する一方で、前記流動性硬化樹脂には、前記はんだ膜を形成するべく使用されるはんだ粒子が存在しない半導体パッケージ。」
イ 引用例
(ア)引用例1の記載事項と引用発明
a 引用例1の記載事項
原査定の理由において引用され、本願及び原出願の優先権の主張の基礎とされた出願の日(以下「本願の優先日」という。)の前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である国際公開第2007/125789号(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(当審注.下線は、参考のために、当審において付したものである。以下において同じ。)。
(a)「[0019] 前記従来の課題を解決するため、本発明の接続構造体は、
(1)複数の接続端子を有する配線パターンが形成された第1の板状体と、
前記接続端子に対向して配置される少なくとも2つ以上の接続端子を有する第2の板状体とを備えた接続構造体であって、
前記第1の板状体並びに第2の板状体の前記接続端子は、それぞれ前記第1の板状体面又は第2の板状体面上に凸となる形で形成されている接続端子であり、
導電性物質が前記対向する前記第1の板状体の接続端子と前記第2の板状体の接続端子の側面の少なくとも一部を覆うよう集積されており前記対向する接続端子同士が前記導電性物質により電気的に接続されていて、更に
(a)前記第1の板状体と前記第2の板状体の接続端子の前記対向する表面の少なくとも一部が互いに直接接触しているか、又は
(b)前記第1の板状体と前記第2の板状体の接続端子の前記対向する表面間の少なくとも1部に更に導電性物質が介在していて前記第1の板状体と前記第2の板状体の接続端子とが対向している接続構造体である。
・・・
[0026] (8)また、前記(1)項又は(3)?(6)項のいずれか1項に記載の接続構造体においては、前記対向する前記第1の板状体の接続端子と前記第2の板状体の接続端子の側面が全て前記導電性物質の溶融し固化された接続体で覆われている態様とすることが好ましい。」
(b)「[0071] (実施の形態1)
図1および図2を参照しながら、本実施の形態1における実装体10及びその実装方法について説明する。
[0072] 図1、図2において、10は本実施の形態1における実装体、101は第1の板状体、102は第1の板状体面上に凸の形状で形成されている接続端子、103は第2の板状体、104は第2の板状体面上に凸の形状で形成されている接続端子の一形態である電極端子、105は導電性物質、106は樹脂組成物、107は気泡、108は対向する端子102及び104側面に集積した導電性物質105、109は硬化した樹脂組成物106、112は対流添加剤を示す。本実施の形態1における実装体10は、第1の板状体101の上に形成された複数の接続端子102と対向して配置された複数の電極端子104を有する第2の板状体103とが導電性物質105(108)によって電気的に接続された構成を有する。
・・・
[0074] まず、図1(a)に示すように、複数の接続端子102が形成された所望の配線パターン(図示せず)を有する第1の板状体101(例えば、ガラスエポキシ基板などの回路基板)と、複数の電極端子104を有する第2の板状体103(例えば、半導体チップ)を対向させて、第1の板状体101の接続端子102と第2の板状体103の電極端子104とが互いに接触するように配置する。第1の板状体101は、無機フィラー(例えば、窒化アルミ、シリカ、水酸化アルミニウム)と熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)とを含むものからなる基板でもよく、また、ガラス繊維の織布、ガラス繊維の不織布、耐熱有機繊維の織布および耐熱有機繊維の不織布から選択された少なくとも一つの補強材とその補強材に含浸された熱硬化性樹脂組成物とを含むものからなる基板でもよく、本実施形態では“ALIVH”基板(パナソニックエレクトロデバイス(株)製:ガラス繊維の織布にエポキシ樹脂が含浸された基板)を用いている。第2の板状体103は、能動素子や半導体チップ(例えばベアチップ)でもよく、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂)とその補強材からなる基板でもよい。また、電子部品(例えば、チップ部品)でもよい。また、第1の板状体101、第2の板状体103は、リジッドプリント基板でもよく、フレキシブルプリント基板でもよい。なお、電極端子104は、予め電極パッド上にバンプが用意されたものでもよい。また、本発明の接続構造体及びその製造方法は、第1の板状体、第2の板状体が共にリジッドプリント基板同士である場合や、共にフレキシブルプリント基板同士の場合にも適用できる。
[0075] また、第1の板状体101の接続端子102と第2の板状体103の電極端子104は完全に接触するように第2の板状体103を加圧しなくてもよく、接続端子102と電極端子104を対向させ保持さえすればよい。また、図1、2からも明らかな様に、接続端子102は第1の板状体面上に凸の形状で形成されているものであり、同様に電極端子104も第2の板状体面上に凸の形状で形成されている。凸の形状は、図に示したような厚さ方向に切断した断面の断面形状が長方形、正方形、台形、平行四辺形などの形で、対向する表面が比較的平坦(厚さの2/3を超えるような大きな高低差のあるでこぼこが無い方がよいと言う意味で、表面が比較的微細に粗面化されていることは好ましい)で、且つ、電極端子104と対向させる複数個ある接続端子102の対向表面の高さがほぼ同じで且つ第1の板状体面にほぼ平行であることが好ましく、同様に、電極端子についても、凸の形状は、図に示したような厚さ方向に切断した断面の断面形状が長方形、正方形、台形、平行四辺形などの形で、対向する表面が比較的平坦(厚さの2/3を超えるような大きな高低差のあるでこぼこが無い方がよいと言う意味で、表面が比較的微細に粗面化されていることは好ましい)で、且つ、接続端子102と対向させる複数個ある電極端子104の対向表面の高さがほぼ同じで且つ第2の板状体面にほぼ平行であることが好ましい。尚、いずれも対向する面側の端子表面の形状は、本発明の目的が達成できる範囲で、曲面状の面であっても何ら差し支えない。
・・・
[0078] 導電性物質105は、金属粒子、はんだ粒子、はんだめっきや金属めっきされた金属粒子及びはんだめっきや金属めっきされた樹脂粒子の少なくともいずれかを含有する物質で、上記粒子やめっきのはんだ成分や金属成分としては、例えば、Sn-Bi系、Sn-Ag系などのはんだ合金、あるいはCu、Ag、AgCuなどの金属を挙げることができる。本実施の形態1では、後の工程を経て集積した導電性物質108同士の接触によって対向端子間の電気的接続を図ることから、導電性物質105はできるだけその表面に酸化膜が成長していない状態で樹脂組成物106中に均一に分散されていることが好ましい。
・・・
[0081] 樹脂組成物106中の樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂、もしくはフッソ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂などの耐熱性樹脂、もしくは光(紫外線)硬化性樹脂など、が好ましく、さらには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル/メタクリル樹脂、塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂も使用可能であり、またこれらを組み合わせた材料を挙げることができる。
[0082] そして、この状態で、樹脂組成物106を加熱する。なお、樹脂組成物106の加熱温度は、対流添加剤112の沸点或いは分解点より高い温度で行われる。即ち、対流添加剤が沸騰、蒸発により気泡を発生させるタイプの対流添加剤の場合には、上記加熱温度は対流添加剤の沸点より高い温度であり、対流添加剤が加熱分解により気泡を発生するタイプの対流添加剤の場合には、上記加熱温度は対流添加剤の加熱分解温度より高い温度である。なお、通常、樹脂組成物は、少なくとも上記加熱により気泡を発生させた際に、流動可能な状態になっていることが必要である。「前記加熱工程において、主に前記対流添加剤から発生する気泡により前記樹脂組成物が対流を生じる」とは、上述の「樹脂組成物が、少なくとも上記加熱により気泡を発生させた際に、流動可能な状態になっている」ということも含んだ意味である。そして、「加熱により気泡を発生させた際に、流動可能な状態になっている」とは、加熱により気泡を発生させる以前から流動可能な状態の樹脂組成物であってもよいことも意味している。例えば、少数の例を挙げて説明すると、(a)加熱硬化又は光(紫外線)硬化、その他の硬化手段で樹脂を硬化させる前の段階において、樹脂が液状ないし粘液状で、したがって、導電性物質と対流添加剤が添加された状態でも流動可能な状態になっているもの、(b)硬化前の樹脂自体が固体状或いは粉末状であっても、液状の対流添加剤の添加により、或いは、溶媒などが添加されていて、更に導電性物質と対流添加剤が添加された状態でも流動可能な状態になっているもの、(c)硬化前の樹脂自体が固体状或いは粉末状であって、更に導電性物質と対流添加剤が添加された状態でも流動可能な状態ではないが、加熱により樹脂が溶融して樹脂組成物が流動可能な状態になるもの(なお、この場合の加熱温度は、対流添加剤の沸点或いは分解点より高い温度で樹脂組成物が流動可能な状態になり得る温度以上の温度と言うことになる)など、要は、前記加熱工程において、主に前記対流添加剤から発生する気泡により前記樹脂組成物が対流を生じることができるものであればよい。」
(c)「[0099] (実施の形態2)
次に、図4および図5および図6を参照しながら、本発明の接続構造体及びその製造方法の一実施の形態として、本実施の形態2における実装体12およびその実装方法について説明する。なお、本実施の形態2において、採用した各個々の構成要件について、本実施の形態1で説明したような構成要件を採用した場合には、本実施の形態1においてそれぞれ対応する各個々の構成要件においては、本実施の形態1で説明したのと各個々の構成要件と同様な効果を得ることができる。従って、これらの各個々の構成要件については、本実施の形態1と同様の場合には、重複詳細説明を省略している場合がある。
[0100] 図4(a)?(e)は、本実施の形態2における実装体12の主要製造工程中及び完成時の概略断面図である。図4(c)?(e)において、111は接続端子102と電極端子104の表面間に挟まれ埋め込められた状態にある導電性物質105を示す。本実施の形態2における実装体12は、接続端子102と電極端子104の表面間に介在する導電性物質111と、各端子側面に集積した導電性物質108によって電気的に接続された構成を有する。
[0101] まず、図4(a)に示すように、複数の接続端子102が形成された第1の板状体101上に、導電性物質105および対流添加剤112を含有する樹脂組成物106を供給する。なお、樹脂組成物106を、予め第2の板状体103側に塗布しておいても同様の効果を得ることができる。また、図4(a)において、樹脂組成物106をペースト状樹脂組成物として図示しているが、本実施の形態2の樹脂組成物106はこれに限られず、例えば、シート状、ゼリー状のような樹脂組成物であってもよい。
[0102] 次に、図4(b)に示すように、第1の板状体101上に樹脂組成物106を供給した状態で樹脂組成物の106の表面に速やかに、複数の電極端子104を有する第2の板状体103を当接させる。このとき、第2の板状体103の電極端子104は、第1の板状体101の接続端子102に対向するように配置される。
[0103] 次に、図4(c)に示すように、第1の板状体101の接続端子102に対向する電極端子104を有する第2の板状体103を第1の板状体101側へ向けて一定の力で加圧し、樹脂組成物106中に分散されている導電性物質105を接続端子102と電極端子104との表面間で挟み込んだ状態になるように保持する。当該端子表面間に挟み込まれた導電性物質111によって、接続端子102と電極端子104は電気的に接続される。ここで、導電性物質105を対向端子間に挟み込むために第2の板状体103にかける圧力は、対向端子間の間隙が導電性物質105の粒径以下になるように固定する程度でもよく、導電性物質111が各端子の表面に埋まり込まなくてもよい。或いは、対向端子表面間に介在する複数の導電性物質がお互いに接触した状態で挟まれるように対向端子間の間隙を固定する程度でもよい。そして、この状態で、樹脂組成物106を加熱する。
[0104] 次に、図4(d)に示すように、加熱によって樹脂組成物106中の対流添加剤112から隣接する端子間で気泡107が発生し、樹脂組成物106中に対流が起こることで樹脂組成物106中に分散している導電性物質105の移動が促進される。導電性物質105を含有する樹脂組成物106は、発生した気泡107の圧力によって自己集合的に各端子側面に押し出され、当該自己集合した樹脂組成物106中の導電性物質105は、図4(e)に示すように、各端子の側面を覆うように集積する。当該各端子側面に集積した導電性物質108がお互いに接触することによって、接続端子102と電極端子104は電気的に接続される。従って、本実施の形態2における実装体12において、第1の板状体101と第2の板状体103は、端子表面間に挟まれた導電性物質111を介して電気的に接続されるとともに、各端子側面に集積された導電性物質108を介して電気的に接続されることになる。同時に、樹脂組成物106中の導電性物質105が各端子側面へ集積することによって、隣接端子間に介在する樹脂組成物106は導電性物質105を含有しなくなるため、隣接端子間同士は絶縁性が保たれることになる。
[0105] その後さらに、加熱、光(紫外線照射)或いは冷却など、用いた樹脂の種類などに応じて隣接端子間に残留する樹脂組成物106を硬化させる。当該硬化した樹脂組成物109によって、接続端子102と電極端子104が、導電性物質111および導電性物質108による電気的導通を保持したまま固着または固定されるため、第2の板状体103の第1の板状体101への電気的接続および機械的な固着をより確実にすることができる。これによって、第2の板状体103が第1の板状体101に搭載された実装体12を得ることができる。
・・・
[0110] 次に、図5(a)?(b)および図6(a)?(d)を参照しながら、本実施の形態2における実装体12の構造の詳細と、本実施の形態2における実装体12の改変例を説明する。
・・・
[0113] 次に、図6(a)においては、実装体14は、樹脂組成物106中に含まれる導電性物質105を、第1の板状体101の接続端子102と第2の板状体103の電極端子104との表面間に埋まり込まない程度に挟み込み(挟まれた導電性物質111)、隣接端子間に残留した導電性物質105を各端子側面に集積させ(対向する接続端子と電極端子の側面に集積した導電性物質108)、第1の板状体101と第2の板状体103の隙間に介在する樹脂組成物106を硬化させた状態(硬化した樹脂組成物109)を示した部分拡大断面図である。ここで、樹脂組成物106中にあった導電性物質105が各端子側面に集積したため、硬化した樹脂組成物109は導電性物質105を含有しておらず、隣接端子間同士は絶縁性が保たれている。
[0114] 図6(b)、(c)、(d)は、上記の変形態様を説明するための部分拡大断面図であり、実装体15[図6(b)参照]、実装体16[図6(c)参照]は、それぞれ実装体12、14における各端子側面に集積された導電性物質108、並びに対向する端子間に介在する導電性物質111が溶融し各端子表面或いは各端子側面に濡れ拡がり固化している状態(溶融・固化した導電性物質110)を示した部分拡大断面図である。各端子表面間に埋まり込むように挟まれた或いは埋まり込まない程度に挟まれた導電性物質111と各端子側面に集積した導電性物質108として、前記製造工程で加えられる温度より融点の低い導電性物質を用いる、あるいは電気接続と封止を完了した実装体12及び実装体14を導電性物質105(108、111)の融点を超えるまで加熱をすることによって、前記埋め込まれた導電性物質111と集積した導電性物質108を溶融させ端子表面に濡れ拡がらせ次いで固化させることにより、当該溶融・固化した導電性物質110を各端子表面間および各端子側面に形成させると、第2の板状体103が第1の板状体101に搭載された実装体15及び実装体16を得ることができる。なお、ここでは、各端子側面に集積された導電性物質108並びに対向する端子間に介在する導電性物質111が溶融し濡れ拡がって固化している場合を示しているが、対向端子間または各端子側面にある導電性物質108、111の全てが完全に溶融し濡れ拡がり固化した状態、あるいは、導電性物質108、111の一部が溶融し濡れ拡がり固化した状態、あるいは、導電性物質108、111の表面だけが溶融し濡れ拡がり固化して互いの界面で金属結合をなしている状態などであってもよく、実装体15、16は溶融・固化する導電性物質110、111の溶融・固化状態に限定されない。
[0115] なお、本実施の形態1(当審注.「本実施の形態2」の誤記と認める。)において導電性物質を効率的に各端子側面に集積させるために前記実施の形態1の最後に記載したような工程を施したり、加える酸化膜除去剤や対流添加剤の樹脂組成物に対する重量%、或いは加熱温度、加熱時間などの条件を変えたりすることによって、導電性物質105を各端子表面或いは各端子側面に濡れ拡がりやすくすることが可能である。
[0116] また、対向端子間にある導電性物質111の一部あるいは全体のみが溶融しており、各端子側面に集積した導電性物質108は溶融していない状態でもよい。対向する端子間に挟まれた導電性物質111は、端子表面から圧力がかかることで導電性物質を覆っている表面酸化膜が剥れやすくなるため加熱時に濡れ拡がりやすくなる。従って、対向端子間にある導電性物質111の一部あるいは全体のみが溶融しており、各端子側面に集積した導電性物質108は溶融していない状態の接続構造体も製造することができる。
[0117] また、実装体17[図6(d)参照]は、対向端子間または各端子側面にある導電性物質108、111が溶融し一体になって固化している状態を示した部分拡大断面図である。すなわち図6(c)中、導電性物質108、111が溶融し一体になって固化した状態の導電性物質である。尚、導電性物質が溶融し一体になって固化させる際、上記の導電性物質を各端子表面及び各端子側面に濡れ拡がりやすくするために前記実施の形態1の最後に記載したような工程を施したり、板状体101に与える樹脂組成物105の塗布量を各端子の高さ(厚み)、対向端子間の距離、導電性物質の平均粒径などの条件に適した量に調整したりすることによって、実装体17を製造することができる。
・・・
[0123] このようにして作製された実装体15、16および17は、第1の板状体101と第2の板状体103の固定部分が可撓性を有しており熱衝撃などによる応力を緩和させる働きがあり、高い信頼性を有する。また導電性物質108の溶融・固化による金属接合(溶融・固化した導電性物質110)で電気接続が行われるので強固な接続状態が保持できる。更に、導電性物質が対向端子間の表面間の間隙や各端子側面に濡れ拡がったり一体化したりすることによって、接続部の低抵抗化や信頼性向上の効果を得ることができる。更に導電性物質110側面には残留した樹脂組成物106あるいはアンダーフィル材が硬化されているため(硬化した樹脂組成物109)、導電性物質110の熱応力に対して応力を緩和したり、導電性物質110に生じる塑性変形を抑える働きがあり、極めて高信頼性の実装体が得られる。」
b 引用発明
上記aの引用例1の記載と当該技術分野における技術常識より、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「回路基板である第1の板状体101と、
前記第1の板状体101の面上に凸の形状で形成された接続端子102と、
半導体チップである第2の板状体103と、
前記第2の板状体103の面上に凸の形状で形成された電極端子104と、
を備え、
前記第1の板状体101の接続端子102と前記第2の板状体103の電極端子104とが対向するように、前記第1の板状体101の上に前記第2の板状体102が配置され、
対向する接続端子102と電極端子104の表面の間及び側面には、はんだ粒子である導電性物質105(108、111)が融解し、濡(ぬ)れ拡(ひろ)がって一体になって固化した状態の導電性物質110が形成されており、
上記導電性物質110の側面には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である樹脂組成物106が硬化した樹脂組成物109が形成され、
上記樹脂組成物109は、はんだ粒子である導電性物質105を含有していない、
実装体17。」
(イ)引用例2及び3の記載事項と周知技術
a 引用例2の記載事項
原査定の理由において引用され、本願の優先日の前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2008-263001号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、半導体チップや半導体パッケージ等の電子部品を回路基板にはんだバンプを用いて接続する電子部品の実装構造及びその実装方法に係り、すなわちC4(シーフォー)の技術分野に関する。
・・・
【0029】
(第2実施形態)
図3Aは本発明の第2実施形態の実装構造を示す縦断面図、図3Bは図3Aの金属棒、
金属円筒及び電極パッドを示す斜視図である。なお、前記第1実施形態と同一の部分には、同一の符号を付して説明する。その他の実施形態も同様である。
【0030】
図3A及び図3Bに示すように、本実施形態では、電子部品16を回路基板12にはんだバンプ14で接続した実装構造において、はんだバンプ14の内部に銅等の高融点金属からなり円筒状に形成された金属筒としての金属円筒30が電子部品16の電極パッド22と回路基板12の電極パッド20と分離して配置されている。この金属円筒30は、その軸方向が電子部品16及び回路基板12に対して垂直方向となるように配置されている。さらに、銅等の高融点金属からなる複数の金属棒18の両端が電子部品16の電極パッド22と回路基板12の電極パッド20のそれぞれに突き刺して固定され、これらの金属棒18は金属円筒30の開口部内に挿入して配置されている。
【0031】
なお、金属棒18は、各電極パッド20,22に突き刺し易くするため、その形状は両端が尖った円柱体状に形成され、材料は電極パッド20,22より硬度が高いものを選択することが望ましい。」
b 引用例3の記載事項
本願の優先日の前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開平7-249632号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子部品の接続構造に関し、特に半田バンプを用いた電子部品の接続構造に関する。
・・・
【0013】
【実施例】図面を参照して、本発明の第1の実施例について説明する。
【0014】図1を参照すると、本実施例の電子部品の接続構造では、半導体チップ1と基板2とが、ハンダバンプ3により接続されている。
【0015】半導体チップ1は、ベアチップである。半導体チップ1の一面には、複数のパッド5が設けられている。パッド5は、マトリックス状に配置されている。パッド5は、積層された金属層によって構成されている。パッド5は、直径1mmの円形である。
【0018】ハンダバンプ3の内部には、芯部材4が設けられている。芯部材4は、ハンダ7によって、半導体チップ1のパッド5に取り付けられている。ハンダ7は、半導体チップ1のパッド5と、芯部材4とを、電気的および機械的に接続する。ハンダ7の融点は、ハンダバンプ3を構成するハンダ10よりも高い。次に、ハンダバンプ3および芯部材4の形状の詳細について説明する。
【0019】図2(a)を参照すると、芯部材4は、円形の底部41と、円柱状のピン部42とから構成されている。底部41とピン部42は、一体に形成されている。底部41の直径L1は、1.0mmである。底部41の厚さL2は、0.015mmである。ピン部42の高さL3は、0.0875mmである。ピン部42の直径L4は、0.047mmである。底部41とピン部42とを接続する部分の断面形状は、半径R=0.01mmの円弧である。
・・・
【0023】次に、図1に示された各部材の材料を詳細に説明する。
【0024】パッド5およびパッド6の材料は、金または銅である。
・・・
【0026】芯部材4の材料は、次の2条件を満たすものが好ましい。第1の条件は、ハンダバンプ3を構成するハンダ10よりも、熱膨張係数が小さいということである。第2の条件は、ヤング率がなるべく大きい方がよい、ということである。第1の条件は、第2の条件よりも優先する。すなわち、ハンダ10よりも熱望膨張係数が小さい材料の中で、ヤング率がなるべく大きいものを選択すればよい。これらの条件を満たす材料を用いた場合、接続部に加わる応力が小さくなることが、シミュレーションの結果見いだされている。これらの条件を満たす材料として、金、銀、銅合金およびコバールなどが挙げられる。
・・・
【0055】次に、図面を参照して、本発明の第4の実施例について説明する。本実施例の特徴は、基板2の構造にある。本実施例では、芯部材4が基板2のパッド6に設けられる。
【0056】図8を参照すると、本実施例の基板2は、セラミック基板9のみで構成されている。セラミック基板9の上面にはパッド6が設けられている。パッド6の上には、芯部材4が取り付けられている。芯部材4は、ハンダ7によって取り付けられている。パッド6、ハンダ7および芯部材4の構造および材料は、第1の実施例のものと同じである。
【0057】図9を参照すると、半導体チップ1と基板2が接続された状態では、パッド5とパッド6とが、ハンダバンプ3で接続される。ハンダバンプ3は、つづみ形の形状を呈する。
【0058】本実施例では、芯部材4が基板2に設けられる。本実施例では、第1の実施例と同じ効果が達成される。」
c 周知技術
上記a及びbより、はんだを用いて回路基板上に半導体チップを接続してなる電子部品の接続構造において、回路基板の上面に金属製のパッドを設け、当該パッド上に円柱状の金属製部材を設け、当該金属製部材と半導体チップの下面に設けた金属製のパッドとを対向させてはんだで接続することは、引用例2及び3に見られるように、本願の優先日の前に、当該技術分野において周知の技術と認められる。
ウ 対比
(ア)本件補正発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明における「回路基板である第1の板状体101」は、本件補正発明の「第1基板」に相当するといえる。
b 引用発明における「前記第1の板状体101の面上に凸の形状で形成された接続端子102」は、後述する相違点1を除き、本件補正発明における「前記第1基板に形成された第1端子」に相当するといえる。
c 引用発明における「導電性物質110」は、はんだ粒子である導電性物質105(108、111)が融解し、接続端子102及び電極端子104の表面及び側面に濡(ぬ)れ拡(ひろ)がって固化したものであり、はんだが膜状になったものといえるから、「はんだ膜」であるといえる。また、引用例1の[図6](d)より、引用発明における「導電性物質110」は、「第1の板状体101の接続端子102」の露出された表面を覆うものであるといえる。
そうすると、引用発明の「導電性物質110」は、後述する相違点3を除き、本件補正発明の「はんだ膜」に相当するといえ、本件補正発明と引用発明とは、「露出された第1端子の表面を覆うはんだ膜」を備える点において共通するといえる。
d 引用発明における「樹脂組成物109」と、本件補正発明における「流動性硬化樹脂」とは、「樹脂」である点において共通するといえる。また、引用例1の[図6](d)より、引用発明における「樹脂組成物109」は、「導電性物質110」の側面を覆うものであるといえる。
そうすると、引用発明の「樹脂組成物109」は、後述する相違点4ないし6を除き、本件補正発明の「流動性硬化樹脂」に相当するものといえ、本件補正発明と引用発明とは、「前記はんだ膜の側面を覆う樹脂」を備える点において共通するといえる。
e 本願明細書の段落【0012】の「前記第2基板は、半導体チップを含むことができる。」との記載、及び段落【0027】の「前記第2基板14は、他の実装基板であることができ、または半導体チップであることができる。」との記載より、本件補正発明の「第2基板」は、「半導体チップ」を包含するものと認められる。また、引用発明における「半導体チップである第2の板状体103」は、「第1の板状体101」の上に配置されているから、「第1の板状体101」上に位置するものということができる。
そうすると、引用発明の「半導体チップである第2の板状体103」は、本件補正発明の「第2基板」に相当するといえ、本件補正発明と引用発明とは、「前記第1基板上に位置する第2基板」を備える点において共通するといえる。
f 引用例1の[図6](d)より、引用発明における「電極端子104」は、「第2の板状体103」の下面に形成され、「接続端子102」に隣接するものと認められる。
そうすると、引用発明の「電極端子104」は、後述する相違点2を除き、本件補正発明の「第2端子」に相当するものといえ、本件補正発明と引用発明とは、「前記第2基板の下部面に形成され、前記第1端子と隣接した第2端子」を備える点において共通するといえる。
g 引用例1の[図6](d)より、引用発明における「接続端子102」は、「第1の板状体101」の上部面から上に突出したものであるといえる。
そうすると、本件補正発明と引用発明とは、「前記第1端子は、前記第1基板の上部面から上に突出され」ている点において共通するといえる。
h 上記イ(ア)a(c)の引用例1の記載(段落[0113]、[0117]及び[0123])より、引用発明における「導電性物質105」は「導電性物質110」を形成するべく使用されるものであるといえ、上記cのとおり、引用発明における「導電性物質110」は「はんだ膜」であるといえる。したがって、引用発明における「はんだ粒子である導電性物質105」は、「はんだ膜を形成するべく使用されるはんだ粒子」であるといえる。そして、引用発明における「樹脂組成物109」は「はんだ粒子である導電性物質105を含有していない」のであるから、「樹脂組成物109」には、「はんだ膜を形成するべく使用されるはんだ粒子」が存在しないといえる。
また、上記dのとおり、引用発明における「樹脂組成物109」と、本件補正発明における「流動性硬化樹脂」とは、「樹脂」である点において共通するといえる。
そうすると、本件補正発明と引用発明とは、「前記樹脂には、前記はんだ膜を形成するべく使用されるはんだ粒子が存在しない」という点において共通するといえる。
i 引用発明における「実装体17」は、回路基板上に半導体チップを実装したものであるから、「半導体パッケージ」であるといえる。
そうすると、本件補正発明と引用発明とは、「半導体パッケージ」である点において共通するといえる。

(イ)以上から、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。
a 一致点
「第1基板と、
前記第1基板に形成された第1端子と、
露出された前記第1端子の表面を覆うはんだ膜と、
前記はんだ膜の側面を覆う樹脂と、
前記第1基板上に位置する第2基板と、
前記第2基板の下部面に形成され、前記第1端子と隣接した第2端子と
を含み、
前記第1端子は、前記第1基板の上部面から上に突出され、
前記樹脂には、前記はんだ膜を形成するべく使用されるはんだ粒子が存在しない半導体パッケージ。」

b 相違点
・相違点1
本件補正発明は、「第1端子」が「金属パッドとその上に位置した金属バンプを含み、前記金属バンプは、ピラー型又はスタッド型であ」るのに対し、引用発明は、「接続端子102」が「金属パッドとその上に位置した金属バンプを含み、前記金属バンプは、ピラー型又はスタッド型であ」るとは特定されていない点。
・相違点2
本件補正発明は、「第2端子」が「金属パッドを含」むのに対し、引用発明は、「電極端子104」が「金属パッドを含」むとは特定されていない点。
・相違点3
本件補正発明は、「はんだ膜」が「第1基板と接しないで露出された第1端子の表面の全てを覆」い、「延びて前記第2端子の金属パッドから前記第1端子の金属パッドまでの側面を覆うことによって前記第2端子の金属パッドと前記第1端子の金属バンプとを結合」するのに対し、引用発明は、「導電性物質110」が「第1の板状体101と接しない」とは特定されておらず、また、「導電性物質110」が「露出された接続端子102の表面の『全て』を覆う」とは特定されておらず、また、「導電性物質110」が「延びて前記第2端子の金属パッドから前記第1端子の金属パッドまでの側面を覆うことによって前記第2端子の金属パッドと前記第1端子の金属バンプとを結合」するとは特定されていない点。
・相違点4
本件補正発明は、「はんだ膜の側面を覆う樹脂」が「流動性硬化樹脂」であるのに対し、引用発明は、「はんだ膜の側面を覆う樹脂」が「エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である樹脂組成物106が硬化した樹脂組成物109」であって、「流動性硬化樹脂」とは特定されていない点。
・相違点5
本件補正発明は、「流動性硬化樹脂」が「第1基板と第2基板との間を満たし」ているのに対し、引用発明は、「樹脂組成物109」が「第1の板状体101と第2の板状体103との間を満たし」ているとは特定されていない点。
・相違点6
本件補正発明は、「流動性硬化樹脂」が「酸化膜除去機能を有する」のに対し、引用発明は、「樹脂組成物109」が「酸化膜除去機能を有する」とは特定されていない点。

エ 判断
(ア)相違点1ないし3について
a 上記イ(イ)cのとおり、はんだを用いて回路基板上に半導体チップを接続してなる電子部品の接続構造において、回路基板の上面に金属製のパッドを設け、当該パッド上に円柱状の金属製部材を設け、当該金属製部材と半導体チップの下面に設けた金属製のパッドとを対向させてはんだで接続することは、引用例2及び3にみられるように、本願の優先日の前に、当該技術分野において周知の技術と認められる(以下、この技術を「周知技術」という。)。そして、当該周知技術における「円柱状の金属製部材」は、本件補正発明における「ピラー型」の「金属バンプ」に相当するものといえる。
そうすると、はんだを用いて回路基板上に半導体チップを接続してなる実装体の発明である引用発明に対して上記周知技術を適用し、「接続端子102」を「金属製のパッド」とその上に位置する「円柱状の金属製部材」を含むものとし、「電極端子104」を「金属製のパッド」を含むものとすることによって、相違点1及び2に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到しえたことである。
b 上記イ(ア)a(a)の引用例1の記載(段落[0019]及び[0026])より、引用例1には、「導電性物質110」によって「接続端子102」及び「電極端子104」の側面の全てを覆い、「接続端子102」と「電極端子104」とを電気的に接続することが記載されていると認められ、上記イ(ア)a(c)の引用例1の記載(段落[0123])より、引用例1には、導電性物質が対向端子間の表面間の間隙や各端子側面に濡(ぬ)れ拡(ひろ)がったり一体したりすることによって接続部の低抵抗化や信頼性向上の効果を図ることができることが記載されていると認められる。そして、引用発明において、「導電性物質110」が「接続端子102」と「電極端子104」の表面及び側面の全体を覆うようにすることが望ましいことは、引用例1の上記各記載に接した当業者にとっては、明らかであるといえる。
そうすると、引用発明に上記周知技術を適用する際に、「導電性物質110」によって「接続端子102」及び「電極端子104」の表面及び側面の全てが覆われるようにすること、すなわち、「導電性物質110」が「電極端子104」の「金属製のパッド」から「接続端子」の「金属製のパッド」までの表面及び側面を全て覆うようにすることによって、「電極端子104」の「金属製のパッド」と「接続端子102」の「円柱状の金属製部材」とを結合するようにすることは、当業者が普通に行い得るものといえる。
そして、引用発明に上記周知技術を適用する際に、「導電性物質110」が「第1の板状体101」に接する構成と、接しない構成の両方を採用できることは明らかであり、また、上記イ(ア)a(b)の引用例1の記載(段落[0074])より、引用発明における「第1の板状体101」はガラスエポキシ基板等の非金属絶縁体と認められるところ、絶縁体である「第1の板状体101」と、「導電性物質110」とが電気的接触することはなく、また、非金属である「第1の板状体101」と、はんだである「導電性物質110」とが合金固着することもないのであるから、「導電性物質110」が「第1の板状体101」に接する構成と、接しない構成との間に作用効果上格別の相違があるとは認められず、上記いずれの構成を採用するかは、当業者が適宜選択し得るものといえる。
以上から、相違点3に係る構成は、引用発明に上記周知技術を適用する際に当業者が適宜なし得たものである。
(イ)相違点4について
本願明細書の段落【0028】、【0029】、【0039】、【0040】、【図1】(f)及び【図3】(f)には、本件補正発明に対応する実施例として、「第1基板1」と「第2基板14」との間が「アンダーフィル樹脂17」(硬化した「流動性硬化樹脂16」)によって満たされた「半導体パッケージ」が記載されている。当該記載より、本件補正発明における「流動性硬化樹脂」は、「硬化した流動性硬化樹脂」を包含するものと認められる。
他方、上記イ(ア)a(b)の引用例1の記載(段落[0081]及び[0082])より、引用例1には「樹脂組成物106」が流動性を有し、加熱により硬化する樹脂であることが記載されているものと認められ、当該記載より、引用発明における「エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である樹脂組成物106」は、「流動性硬化樹脂」であるといえる。また、引用発明における「樹脂組成物109」は、「樹脂組成物106」が硬化したものであるから、「硬化した流動性硬化樹脂」であるといえる。
してみれば、引用発明における「樹脂組成物109」と本件補正発明の「流動性硬化樹脂」は、いずれも「硬化した流動性硬化樹脂」であって、実質的に相違しないから、相違点4は、本件補正発明と引用発明との実質的な相違点とはいえない。
(ウ)相違点5について
上記イ(ア)a(c)の引用例1の記載(段落[0100]、[0104]及び[0105])と当該記載において参照される[図4](e)より、引用例1には、実装体12の断面図として、硬化した樹脂組成物109が第1の板状体101と第2の板状体103との間に満たされた状態のものが記載されていると認められ、上記イ(ア)a(c)の引用例1の記載(段落[0113]及び[0114])と当該記載において参照される[図6](d)より、引用例1には、実装体17の部分拡大断面図として、硬化した樹脂組成物109が第1の板状体101と第2の板状体103との間に満たされた状態のものが記載されていると認められる。上記イ(ア)a(c)の引用例1の記載(段落[0110]及び[0114])より、[図6](d)に示される実装体17は実装体12の変形態様であって、導電性物質108及び111を融解・固化し誘電性物質110を各端子表面間及び各端子側面に形成したほかは実装体12と同様の構成を有するものと認められるから、実装体17においても、硬化した樹脂組成物109が第1の板状体101と第2の板状体103との間に満たされているものと認められる。
してみれば、引用発明において、「樹脂組成物109」が第1の板状体101と第2の板状体103との間を満たしていることは、引用例1に実質的に記載された事項と認められ、引用発明が実質的に備えている構成といえるから、相違点5は、本件補正発明と引用発明との実質的な相違点とはいえない。
また、仮に引用発明が相違点5に係る構成を備えているとはいえないとしても、引用例1の上記各記載に基づいて、「エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である樹脂組成物106が硬化した樹脂組成物109」によって第1の板状体101と第2の板状体103との間を満たすことにより、相違点5に係る構成とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
(エ)相違点6について
上記イ(ア)a(c)の引用例1の記載(段落[0115])より、引用例1には「樹脂組成物106」に「酸化膜除去剤」を加えることについて記載されているものと認められる。また、引用発明において「樹脂組成物106」に加える「酸化膜除去剤」の量は、当業者であれば適宜決定し得た事項であり、「樹脂組成物106」に加える「酸化膜除去剤」の量を十分に多くした場合には、当該「酸化膜除去剤」が「樹脂組成物109」中に残存することは、当業者にとって明らかであるといえる。
そうすると、引用発明において、「樹脂組成物106」中の「酸化膜除去剤」の量を十分に多くすることによって、「樹脂組成物109」中に「酸化膜除去剤」が残存するようにし、相違点6に係る構成とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
(オ)本件補正発明の作用効果について
相違点1ないし6を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
オ 特許法第17条の2第6項についてのまとめ
以上から、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件補正発明は、特許法第29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。

4 本件補正についてのむすび
以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成27年12月2日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成27年7月31日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであり、その内の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に形成された第1端子と、
前記第1基板と接しないで露出された前記第1端子の表面の全てを覆うはんだ膜と、
前記はんだ膜の側面を覆う流動性硬化樹脂と、
前記第1基板上に位置する第2基板と、
前記第2基板の下部面に形成され、前記第1端子と隣接した第2端子と
を含み、
前記第1端子は、前記第1基板の上部面から上に突出され、金属パッドとその上に位置した金属バンプを含み、
前記金属バンプは、ピラー型又はスタッド型であり、
前記第2端子は、金属パッドを含み、
前記はんだ膜は、延びて前記第2端子の金属パッドから前記第1端子の金属パッドまでの側面を覆うことによって前記第2端子の金属パッドと前記第1端子の金属バンプとを結合し、
前記流動性硬化樹脂は、前記第1基板と第2基板との間を満たし、
前記流動性硬化樹脂には、前記はんだ膜を形成するべく使用されるはんだ粒子が存在しない半導体パッケージ。」

2 引用例の記載事項
引用例1ないし3の記載事項は、それぞれ、上記第2の3(4)イ(ア)a、(イ)a及び(イ)bで摘記したとおりであり、引用発明及び周知技術は、それぞれ、上記第2の3(4)イ(ア)b及び(イ)cで認定したとおりのものである。

3 対比・判断
(1)本件補正後の請求項1に係る発明(すなわち、本件補正発明)は、本件補正前の請求項1に係る発明(すなわち、本願発明)に対して、「流動性硬化樹脂は酸化膜除去機能を有する」との事項を加入することで、本件補正前の請求項1をより限定したものである。
したがって、本願発明は、本件補正発明から上記の各限定をなくしたものである。

(2)そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、これをより限定したものである本件補正発明が、上記第2の3(4)オのとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
 
審理終結日 2016-10-13 
結審通知日 2016-10-18 
審決日 2016-10-31 
出願番号 特願2014-105301(P2014-105301)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼須 甲斐  
特許庁審判長 深沢 正志
特許庁審判官 須藤 竜也
河口 雅英
発明の名称 半導体パッケージ  
代理人 伊藤 正和  
代理人 三好 秀和  
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