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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 E04F |
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管理番号 | 1326938 |
異議申立番号 | 異議2016-700841 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-09-08 |
確定日 | 2017-02-21 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5879836号発明「床用化粧材の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5879836号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-13〕について訂正することを認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第5879836号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし13に係る特許についての出願は、平成23年9月7日に特許出願され、平成28年2月12日に特許の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人金井善博(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年12月5日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年1月31日に訂正の請求(以下「本件訂正」という。)がなされたものである。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正内容 本件訂正は、本件特許の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし13について訂正することを求めるものである。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に、「前記木質層は、少なくとも該木質層の最表面層として積層される第1の木質基材と、該第1の木質基材の直下に積層される第2の木質基材とを有し、前記第1の木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化率が0.030%以上である、請求項1又は2に記載の床用化粧材の製造方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「1%含水率変化当たりの寸法変化率が異なる少なくとも2種以上の木質基材が積層された木質層を有し、前記木質層の表面に化粧シートが積層され、前記木質層の裏面に防湿フィルムが積層されている床用化粧材の製造方法であって、 (1)前記木質基材間に接着剤を塗布して積層し、木質基材積層体を作製する工程1と、 (2)前記木質基材積層体に圧力をかけて、木質層を形成する工程2と、 (3)前記木質層の表面に化粧シートを接着する工程3と、 (4)前記木質層の裏面に防湿フィルムを接着する工程4とを含み、 前記化粧シート、及び、防湿フィルムは、透湿度が7g/m^(2)・24時間以下であり、 前記工程2は、0.098?0.490MPaの圧力条件で行われ、 前記木質層は、少なくとも該木質層の最表面層として積層される第1の木質基材と、該第1の木質基材の直下に積層される第2の木質基材とを有し、前記第1の木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化率が0.030%以上である、 ことを特徴とする床用化粧材の製造方法。」に訂正する(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)。 請求項3を引用する請求項4ないし13についても同様に訂正する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項11に、「前記防湿フィルムは、少なくとも合成樹脂層と、蒸着層とを有する、請求項1?10のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。」とあるのを、「前記防湿フィルムは、少なくとも合成樹脂層と、蒸着層とを有する、請求項3?10のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。」に訂正する。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項12に、「更に、各工程間の一部又は全部において、仕掛品を、透湿度が15g/m^(2)・24時間以下のフィルムで防湿処理する工程を有する、請求項1?11のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。」とあるのを、「更に、各工程間の一部又は全部において、仕掛品を、透湿度が15g/m^(2)・24時間以下のフィルムで防湿処理する工程を有する、請求項3?11のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。」に訂正する。 カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項13に、「更に、前記床用化粧材を、透湿度が15g/m^(2)・24時間以下のフィルムで防湿処理する工程を有する、請求項1?12のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。」とあるのを、「更に、前記床用化粧材を、透湿度が15g/m^(2)・24時間以下のフィルムで防湿処理する工程を有する、請求項3?12のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 イ 訂正事項2 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ウ 訂正事項3 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項に改めるものであるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 エ 訂正事項4 訂正事項4は、訂正前の請求項11が請求項1?10を引用する記載であるところ、請求項1及び2を引用しないものとし、請求項3?10のみを引用する請求項に改めるものであるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 オ 訂正事項5 訂正事項5は、訂正前の請求項12が請求項1?11を引用する記載であるところ、請求項1及び2を引用しないものとし、請求項3?11のみを引用する請求項に改めるものであるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 カ 訂正事項6 訂正事項6は、訂正前の請求項13が請求項1?12を引用する記載であるところ、請求項1及び2を引用しないものとし、請求項3?12のみを引用する請求項に改めるものであるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 そして、これら訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。 キ 独立特許要件について (ア)訂正事項1及び2 本件では、訂正前の請求項1及び2について特許異議の申立ての対象とされているから、訂正前の請求項1及び2に係る訂正事項1及び2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (イ)訂正事項3ないし6 本件の訂正事項3ないし6については、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、同条第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-13〕について訂正することを認める。 3 特許異議の申立てについて 申立人は、請求項1及び2に係る本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものであると主張する。 しかしながら、上記2のとおり、請求項1及び2を削除する本件訂正が認められたので、請求項1及び2についての本件特許異議申立ては、その対象が存在しないものとなった。 したがって、請求項1及び2についての本件特許異議申立ては、不適法な特許異議申立てであって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。 4 むすび 以上のとおり、本件特許異議申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 1%含水率変化当たりの寸法変化率が異なる少なくとも2種以上の木質基材が積層された木質層を有し、前記木質層の表面に化粧シートが積層され、前記木質層の裏面に防湿フィルムが積層されている床用化粧材の製造方法であって、 (1)前記木質基材間に接着剤を塗布して積層し、木質基材積層体を作製する工程1と、 (2)前記木質基材積層体に圧力をかけて、木質層を形成する工程2と、 (3)前記木質層の表面に化粧シートを接着する工程3と、 (4)前記木質層の裏面に防湿フィルムを接着する工程4とを含み、 前記化粧シート、及び、防湿フィルムは、透湿度が7g/m^(2)・24時間以下であり、 前記工程2は、0.098?0.490MPaの圧力条件で行われ、 前記木質層は、少なくとも該木質層の最表面層として積層される第1の木質基材と、該第1の木質基材の直下に積層される第2の木質基材とを有し、前記第1の木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化率が0.030%以上である、 ことを特徴とする床用化粧材の製造方法。 【請求項4】 前記第2の木質基材は、1%含水率変化当たりの寸法変化率が0.025%以下であり、且つ、平均比重が0.55g/cm^(3)以下である、請求項3に記載の床用化粧材の製造方法。 【請求項5】 前記第1の木質基材の平均含水率が6?9質量%である、請求項3又は4に記載の床用化粧材の製造方法。 【請求項6】 前記第2の木質基材の平均含水率が8?12質量%である、請求項3?5のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。 【請求項7】 前記第2の木質基材の平均含水率が、第1の木質基材の平均含水率より1質量%以上高い、請求項3?6のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。 【請求項8】 前記第1の木質基材は、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)、又は、パーティクルボード(PB)である、請求項3?7のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。 【請求項9】 前記第1の木質基材は、厚みが1.0?3.0mmである、請求項3?8のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。 【請求項10】 前記木質層は、前記第2の木質基材の下に、更に、第3の木質基材を有し、前記第3の木質基材は、第1の木質基材と同一の木質基材を用いてなる、請求項3?9のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。 【請求項11】 前記防湿フィルムは、少なくとも合成樹脂層と、蒸着層とを有する、請求項3?10のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。 【請求項12】 更に、各工程間の一部又は全部において、仕掛品を、透湿度が15g/m^(2)・24時間以下のフィルムで防湿処理する工程を有する、請求項3?11のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。 【請求項13】 更に、前記床用化粧材を、透湿度が15g/m^(2)・24時間以下のフィルムで防湿処理する工程を有する、請求項3?12のいずれかに記載の床用化粧材の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-02-10 |
出願番号 | 特願2011-195188(P2011-195188) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
XA
(E04F)
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最終処分 | 決定却下 |
前審関与審査官 | 津熊 哲朗 |
特許庁審判長 |
小野 忠悦 |
特許庁審判官 |
赤木 啓二 藤田 都志行 |
登録日 | 2016-02-12 |
登録番号 | 特許第5879836号(P5879836) |
権利者 | 大日本印刷株式会社 |
発明の名称 | 床用化粧材の製造方法 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |