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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B65G
審判 訂正 2項進歩性 訂正する B65G
管理番号 1327208
審判番号 訂正2017-390005  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2017-01-20 
確定日 2017-03-31 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5733569号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5733569号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔6、7〕について訂正することを認める。 
理由 1 手続の経緯
本件特許第5733569号に係る出願は、平成23年4月12日に特許出願され、平成27年4月24日に特許権の設定登録がされたものであって、平成29年1月20日に本件訂正審判が請求されたものである。

2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の要旨は、特許第5733569号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した明細書及び特許請求の範囲のとおり、すなわち下記(1)および(2)のとおり訂正することを求めるものである(なお、下線は訂正箇所を示すため請求人が付したものである。)。

(1)訂正事項1
本件特許に係る特許請求の範囲の請求項6に「曲率半径が小さくなる状態」と記載されているのを、「曲率半径が大きくなる状態」と訂正する。

(2)訂正事項2
本件特許に係る明細書の段落【0022】、【0024】、【0048】、【0065】にそれぞれ「曲率半径が小さくなる状態」記載されているのを、「曲率半径が大きくなる状態」と訂正する。

3 当審の判断
以下、訂正事項1及び2について検討する。また、検討に際し、以下、本件特許の願書に添付した明細書及び図面を「本件明細書等」という。また、本件特許の願書に最初に添付した明細書及び図面を「当初明細書等」という。

(1)訂正事項1について
本件訂正事項1は、本件特許に係る特許請求の範囲の請求項6における発明特定事項である「曲率半径が小さくなる状態」とあるのを、「曲率半径が大きくなる状態」と訂正しようとするものである。

ア 訂正の目的
本件訂正事項1は、本件特許に係る特許請求の範囲の請求項6において、「搬送コンベヤと、直線状に設定された仮想経路線に沿って物品を載置搬送する直線コンベヤ」とを備え、「前記直線コンベヤが当該直線コンベヤの横幅方向に間隔を隔てた状態で並ぶ一対の搬送部を備え」るものであり、「前記搬送コンベヤが、前記直線コンベヤにおける前記一対の搬送部の間に位置する接続部分と、前記直線コンベヤの横側方に位置する側方部分」とで構成される「搬送設備」において、「前記直線コンベヤにおける前記一対の搬送部の間に位置する接続部分」に設けられて「駆動手段にて回転駆動される複数の駆動ローラ」のうちの「前記側方部分の近くに位置する駆動ローラ群」について、「当該複数の駆動ローラのうちの前記側方部分から遠くに位置する駆動ローラ群」より「曲率半径が小さくなる状態」とあるのを「曲率半径が大きくなる状態」と訂正しようとするものである。
訂正事項1に関連する記載として、本件明細書等及び当初明細書等の図1において、「一対の搬送部の間に位置する接続部分」に設けられた、それぞれ4つの駆動ローラ17からなる2つの「駆動ローラ群」が看取できる。
また、本件明細書等の図1及び3において、2つの「駆動ローラ群」のうち、「側方部分11」に近い側の「駆動ローラ群」の曲率半径が、「側方部分11」から遠い側の「駆動ローラ群」の曲率半径より大きく形成されていることが看取できる。
さらに、本件明細書等の段落【0024】(当初明細書等の段落【0028】)には、「・・・接続部分に設けられる複数の駆動ローラは、一対の搬送部の間に設けるという制約があるため、駆動ローラの全てを同じ曲率半径で設けた場合は、仮想経路線に沿って広範囲に駆動ローラを設けることができないが、・・・(後略)・・・」と記載されている。
当該記載における「仮想経路線に沿って」とは、仮想経路線の円弧と同心の円弧の上であることを意味すると解され、また、「広範囲に駆動ローラを設けることができない」とは、当該円弧の上であり且つ一対の搬送部の間には駆動ローラを広範囲に設けることができないことを意味すると解される。すなわち、「駆動ローラの全てを同じ曲率半径で設けた場合は、広範囲に駆動ローラを設けることができない」とは、同じ曲率半径で設けようとすると、「一対の搬送部の間」である「接続部分」から駆動ローラが逸脱してしまうため、一対の搬送部の間には配置することができないことを意味するものと解される。
ところで、直線コンベヤの直線方向に対し、仮想経路線は、直線コンベヤの直線方向から外れる曲線の経路を描くものであるから、「接続部分」、すなわち一対の搬送部の間から逸脱せずに、仮想経路線の広範囲に駆動ローラを配置するには、下流側に配置する駆動ローラ群の曲率半径を仮想円弧線の中心点Pから遠ざかる分だけ大きくすることを要することは自明であり、逆に駆動ローラ群の曲率半径を小さくすると、駆動ローラ群が一対の搬送部の間から逸脱するため、駆動ローラ群の曲率半径を小さくすることは、広範囲に駆動ローラを配置するには不合理なことであることもまた自明である。
してみれば、本件明細書等の段落【0024】(当初明細書等の段落【0028】)の上記記載並びに図1及び3から、「曲率半径が小さくなる状態」という本件訂正前の請求項1における記載は「曲率半径が大きくなる状態」の誤記であることは明らかであり、当業者であれば当該誤記に気付いて「曲率半径が大きくなる状態」という趣旨に理解することが当然であるといえる。
したがって、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。

イ 新規事項の有無
上記アにおいて検討したとおり、当初明細書等の図1及び3には、2つの「駆動ローラ群」のうち、「側方部分11」に近い側の「駆動ローラ群」の曲率半径が、「側方部分11」から遠い側の「駆動ローラ群」の曲率半径より大きく形成されていることが看取できる。
してみれば、訂正事項1は、当初明細書等に記載された事項の全てを総合して導かれる技術的事項の範囲内でするものであり、新たな事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アにおいて検討したとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項6の「曲率半径が小さくなる状態」という記載は誤記であることが明らかであり、当業者であれば「曲率半径が大きくなる状態」という趣旨に理解することが当然であるといえるから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

エ 独立特許要件
(ア)本件発明
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項6及び7に係る発明(以下、「本件発明6」及び「本件発明7」という。)は、訂正特許請求の範囲に記載された請求項6及び7に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。

(イ)文献
特許第5733569号公報に参考文献として記載された文献は、以下のとおりである。
(イ-1)特開2010-024045(JP,A)
(イ-2)特開2007-223683(JP,A)
(イ-3)特開2005-280868(JP,A)
(イ-4)国際公開第2010/061546(WO,A1)
(イ-5)特開昭47-028677(JP,A)

(ウ)判断
本件発明6における「前記接続部分に設けられて駆動手段にて回転駆動される複数の駆動ローラが、それが設けられた前記上流側コンベヤ部分の前記上流側仮想経路線又は前記下流側コンベヤ部分の前記下流側仮想経路線に沿って円弧状に設けられ、且つ、当該複数の駆動ローラのうちの前記側方部分の近くに位置する駆動ローラ群が、当該複数の駆動ローラのうちの前記側方部分から遠くに位置する駆動ローラ群より曲率半径が小さくなる状態で設けられている」との発明特定事項は、上記各文献のいずれにも記載されていない。そして、本件発明6は、当該発明特定事項を備えることにより、接続部分に広範囲に駆動ローラを配置することが可能となるという作用効果を奏するものである。
してみれば、本件発明6は、上記各文献記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
また、他に本件発明6について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
本件発明7は、本件発明6の構成を置換えることなく引用し、さらに特定事項を付したものであるから、本件発明6と同様に、上記各文献記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたということはできず、また、他に本件発明7について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、本件発明6及び7について、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとはいえないから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

オ 小括
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当し、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、本件特許に係る明細書の段落【0022】、【0024】、【0048】及び【0065】にそれぞれ「曲率半径が小さくなる状態」と記載されているのを、「曲率半径が大きくなる状態」と訂正しようとするものである。

ア 訂正の目的
上記(1)アにおいて検討したのと同様に、本件明細書等において「曲率半径が小さくなる状態」という記載は「曲率半径が大きくなる状態」の誤記であることは明らかであり、当業者であれば当該誤記に気付いて「曲率半径が大きくなる状態」という趣旨に理解することが当然であるといえる。
したがって、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。

イ 新規事項の有無
上記(1)イにおいて検討したのと同様に、訂正事項2は、当初明細書等に記載された事項の全てを総合して導かれる技術的事項の範囲内でするものであり、新たな事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(1)ウにおいて検討したのと同様に、本件明細書等において、「曲率半径が小さくなる状態」という記載は誤記であることが明らかであり、当業者であれば「曲率半径が大きくなる状態」という趣旨に理解することが当然であるといえるから、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

エ 独立特許要件
上記(1)エにおいて検討したのと同様に、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項6に係る発明及び請求項7に係る発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとはいえないから、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

オ 小括
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当し、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

4 まとめ
したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
搬送コンベヤ及び搬送設備
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面視矩形状の物品を上流側仮想経路線に沿って載置搬送する上流側コンベヤ部分と、当該上流側コンベヤ部分の下流側に接続する形態で設置されて物品を下流側仮想経路線に沿って載置搬送する下流側コンベヤ部分とが設けられ、前記上流側仮想経路線が円弧状に設定されて、前記上流側コンベヤ部分が、前記上流側仮想経路線の接線に物品の側辺が沿う上流側姿勢となるように物品を縦軸心周りに回転させながら載置搬送するように構成されている搬送コンベヤ、および、その搬送コンベヤを備えた搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる搬送コンベヤは、上流側コンベヤ部分の下流側に下流側コンベヤ部分を接続する形態で設置し、上流側コンベヤ部分において物品を円弧状に設定された上流側仮想経路線に沿って縦軸心周りに回転させながら搬送した後、下流側コンベヤ部分において物品を続けて搬送するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
ちなみに、図6に示すように、特許文献1では、上流側コンベヤ部分として、上流側仮想経路線が円弧状に設定されたカーブ状ローラコンベヤ装置51が設けられ、下流側コンベヤ部分として、下流側仮想経路線が直線状に設定された直線状ローラコンベヤ装置1が設けられており、下流側コンベヤ部分では、物品を縦軸心周りに回転させることなく搬送している。また、このような搬送コンベヤでは、物品が搬送コンベヤに対して予め設定された設定幅内に収まる状態で上流側仮想経路線及び下流側仮想経路線に沿って物品が搬送されるように、物品の外周面に接触して物品を案内する案内体3が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-310232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の搬送コンベヤのように上流側コンベヤ部分が、物品を円弧状に設定された上流側仮想経路線に沿って縦軸心周りに回転させながら搬送するように構成され、下流側コンベヤ部分が、物品を直線状に設定された下流側経路線に沿って縦軸心周りに回転させずに搬送するように構成している場合、上流側コンベヤ部分と下流側コンベヤ部分との接続箇所において、物品の姿勢が、下流側仮想経路線に物品の側辺が沿う下流側姿勢から大きく崩れるため、その物品の姿勢が下流側姿勢から大きく崩れることを、物品の外周面に案内体を接触させることで抑制していた。
しかし、物品の外周面に案内体を接触させることで物品の姿勢が下流側姿勢から大きく崩れることを抑制していると、案内体が物品の外周面に接触することにより物品が損傷する可能性があるため、案内体への接触は極力避けるほうが望ましい。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、物品を案内体に極力接触させることなく、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に亘って物品を搬送させ易い搬送コンベヤを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる搬送コンベヤは、平面視矩形状の物品を上流側仮想経路線に沿って載置搬送する上流側コンベヤ部分と、当該上流側コンベヤ部分の下流側に接続する形態で設置されて物品を下流側仮想経路線に沿って載置搬送する下流側コンベヤ部分とが設けられ、前記上流側仮想経路線が円弧状に設定されて、前記上流側コンベヤ部分が、前記上流側仮想経路線の接線に物品の側辺が沿う上流側姿勢となるように物品を縦軸心周りに回転させながら載置搬送するように構成されているものであって、その第1特徴構成は、
前記上流側仮想経路線及び前記下流側仮想経路線に沿って設けられて物品の外周面に接触することで物品を前記上流側仮想経路線及び前記下流側仮想経路線に沿って案内する案内体が設けられ、前記上流側コンベヤ部分が、前記下流側仮想経路線に前記上流側仮想経路線が接続され、且つ、前記上流側仮想経路線の下流側端の接線と、前記下流側仮想経路線の上流側端又はそれの接線とが同じ角度となる状態で設けられ、
前記上流側コンベヤ部分の下流側端部に設けられて平面視で前記上流側仮想経路線の接線方向に対して外方側に向けて物品に対して推進力を付与することで前記上流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を少なくする状態又は回転させない状態で物品を載置搬送する、又は、前記下流側コンベヤ部分の上流側端部に設けられて平面視で前記下流側仮想経路線の接線方向に対して内方側に向けて物品に対して推進力を付与することで前記下流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を多くする状態で物品を載置搬送する回転操作搬送手段が設けられ、
前記下流側コンベヤ部分の上流側端部に前記回転操作搬送手段が設けられている場合は、前記下流側仮想経路線が、平面視で前記上流側仮想経路線に対して反対側に曲がる円弧状に設定され、且つ、前記上流側コンベヤ部分が、前記上流側仮想経路線の下流側端の接線と前記下流側仮想経路線の上流側端の接線とが同じ角度となる状態で設けられている点にある。
【0007】
すなわち、上流側コンベヤ部分の下流側端部に回転操作搬送手段を設けた場合は、上流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を少なくする状態又は回転させない状態で物品が載置搬送させ、また、下流側コンベヤ部分の上流側端部に回転操作搬送手段を設けた場合は、下流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を多くする状態で物品を載置搬送されせるものである。
【0008】
つまり、物品が上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に乗り移ったときに、物品の姿勢が、下流側仮想経路線又はその接線に物品の側辺が沿う下流側姿勢から大きく崩れ易い。
説明を加えると、搬送コンベヤにて物品を載置搬送するとき、物品の底面後部における搬送コンベヤとの摩擦力は、物品の底面前部における搬送コンベヤとの摩擦力に比べて大きくなる。これは、物品を載置搬送するときに荷重が物品の後側に偏るために、物品の底面後部における搬送コンベヤとの接地圧が、物品の底面前部における搬送コンベヤとの接地圧に比べて高くなるためと思われる。
そして、物品の底面後部における摩擦力が、物品の底面前部における摩擦力に比べて大きい場合、物品の底面後部の方が底面前部に比べて推進力が付与され易く、物品の前部に対して推進力が付与され難くなる。そのため、上流側コンベヤ部分と下流側コンベヤ部分との接続箇所に物品が搬送されると、物品の前部が下流側コンベヤ部分に乗り移っているにも関らず、上流側コンベヤ部分に残っている物品の後部に対する推進力が支配的となり、物品は上流側コンベヤ部分で搬送されているときと同様に上流側姿勢に向かうように縦軸心周りに回転しながら載置搬送されるため、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に乗り移る際、物品は、下流側仮想経路線に沿って搬送されずに下流側姿勢から大きく崩れると考えられる。
【0009】
そこで、上流側コンベヤ部分の下流側端部に回転操作搬送手段を設けて、上流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を少なくする状態又は回転させない状態で物品が載置搬送させる、又は、下流側コンベヤ部分の上流側端部に回転操作搬送手段を設けて、下流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を多くする状態で物品を載置搬送させることで、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に乗り移る際に、上流側コンベヤ部分による物品の後部に対する推進力の付与により、物品は上流側コンベヤ部分で搬送されているときと同様に縦軸心周りに回転しようとするが、回転操作搬送手段による物品の前部に対する推進力が、上流側コンベア物品の前部に対して回転を抑制しようとする方向に働くため、物品が下流側姿勢から大きく崩れてしまうことを防止することができる。
【0010】
つまり、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に物品が乗り移ったときの物品の下流側姿勢からの崩れが抑制されることで、物品が搬送コンベヤに対して予め設定された設定幅内に収まり易いため、物品を案内体に極力接触させることなく、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に亘って物品を搬送させ易いものとなる。そして、搬送ミス等により物品が上流側姿勢や下流側姿勢から大きく崩れ、物品設定幅内から外れようとする場合は、その物品の外周面に案内体が接触することで物品を設定幅内に収めることができ、物品の搬送コンベヤからの落下等を未然に防止することができる。
従って、上流側コンベヤ部分の下流側端部又は下流側コンベヤ部分の上流側端部において回転操作搬送手段にて物品を載置搬送することで、物品を案内体に極力接触させることなく、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に亘って物品を搬送させ易い搬送コンベヤを提供することができるに至った。
【0012】
本発明にかかる搬送コンベヤの第2特徴構成は、搬送コンベヤの第1特徴構成において、前記上流側コンベヤ部分における前記上流側仮想経路線が、左右一方側に曲がる円弧状に設定され、前記下流側コンベヤ部分における前記下流側仮想経路線が、左右他方側に曲がる円弧状に設定され、前記上流側コンベヤ部分及び前記下流側コンベヤ部分が、前記上流側仮想経路線の下流側端の接線と前記下流側仮想経路線の上流側端の接線とが同じ角度となる状態で設けられている点にある。
【0013】
すなわち、上流側コンベヤ部分における上流側仮想経路線が、左右一方側に曲がる円弧状に設定されており、下流側コンベヤ部分における下流側仮想経路線は、左右他方側に曲がる円弧状に設定されているため、下流側仮想経路線は、上流側仮想経路線に対して逆方向に曲がる円弧状となっている。
このように下流側仮想経路線を、上流側仮想経路線に対して逆方向に曲がる円弧状であると、下流側コンベヤ部分に乗り移る物品の前部は下流側仮想経路線の曲がり方向とは逆方向に進むため、下流側仮想経路線を直線状に設定した場合に比べて物品の姿勢が下流側姿勢から大きく崩れ易いが、回転操作搬送手段を設けることで、物品が下流側姿勢から大きく崩れることなく物品を搬送することができる。
【0014】
本発明にかかる搬送コンベヤの第3特徴構成は、搬送コンベヤの第2特徴構成において、前記上流側コンベヤ部分及び下流側コンベヤ部分の夫々が、駆動手段にて回転駆動される駆動ローラの回転により前記物品を載置搬送するローラ駆動式に構成され、前記上流側コンベヤ部分の前記下流側端部よりも上流側に備えられた前記駆動ローラが、その回転軸心が前記上流側仮想経路線の曲率中心点に向く姿勢で設けられ、前記下流側コンベヤ部分の前記上流側端部よりも下流側に備えられた前記駆動ローラが、その回転軸心が前記下流側仮想経路線の曲率中心点を向く姿勢で設けられ、前記上流側コンベヤ部分の前記下流側端部又は前記下流側コンベヤ部分の前記上流側端部に備えられた前記駆動ローラが、前記回転操作搬送手段として設けられ、前記回転操作搬送手段が、前記上流側仮想経路線の途中箇所と前記下流側仮想経路線の途中箇所とを結び且つ前記上流側仮想経路線と前記下流側仮想経路線とが接続される接続点を通過する線分と直交する姿勢で設けられている点にある。
【0015】
すなわち、上流側コンベヤ部分の下流側端部よりも上流側に備えられた駆動ローラが、その回転軸心が上流側仮想経路線の曲率中心点に向く姿勢で設けられているため、上流側コンベヤ部分の下流側端部よりも上流側では、物品を、その側辺が上流側仮想線の接線に沿う上流側姿勢になるように縦軸心周りに回転しながら搬送される。
また、下流側コンベヤ部分の上流側端部よりも下流側に備えられた駆動ローラが、その回転軸心が下流側仮想経路線の曲率中心点を向く姿勢で設けられているため、下流側コンベヤ部分の上流側端部よりも下流側では、物品を、その側辺が上流側仮想線の接線に沿う下流側姿勢になるように縦軸心周りに回転しながら搬送される。
【0016】
そして、上流側コンベヤ部分の下流側端部又は下流側コンベヤ部分の上流側端部に備えられた回転操作搬送手段としての駆動ローラが、下流側仮想経路線と上流側仮想経路線とが接続される接続点における接線と直交する姿勢で設けられているため、この回転操作搬送手段としての駆動ローラを、他の駆動ローラのように下流側仮想経路線や上流側仮想経路線の曲率中心点を向く姿勢に設けた場合に比べて、上流側コンベヤ部分の下流側端部では物品の姿勢の回転を抑える、又は、下流側コンベヤ部分の上流側端部では物品の姿勢の回転を増やすことができる。
【0017】
よって、上流側コンベヤ部分の下流側端部又は下流側コンベヤ部分の上流側端部に備えられた駆動ローラの向きを、他の駆動ローラの向きとは異なる向きで設けることで、回転操作搬送手段を構成することができ、また、回転操作搬送手段として複数の駆動ローラを設けた場合では、その複数の駆動ローラを同じ向きに設けることができるため、回転操作搬送手段を容易に設けることができる。
【0018】
本発明にかかる搬送コンベヤの第4特徴構成は、搬送コンベヤの第3特徴構成において、前記駆動ローラが、物品を載置支持する回転自在な従動ローラよりも、前記上流側仮想経路線又は前記下流側仮想経路線の曲率半径方向の外方側に位置するように設けられている点にある。
【0019】
すなわち、駆動ローラが、上流側仮想経路線又は下流側仮想経路線の曲率半径方向の外方側に位置するように設け、物品を載置支持する回転自在な従動ローラを、上流側仮想経路線又は下流側仮想経路線の曲率半径方向の内方側に位置するように設けることで、物品を縦軸心周りに回転させながら円弧状の仮想経路線に沿って搬送される。
そして、上述の如く駆動ローラと従動ローラとを配設して物品を載置支持することで、駆動ローラ及び従動ローラとして、一般的な円柱形状のローラを用いることができるため、特殊な円錐形状のローラを用いることなく駆動ローラ及び従動ローラを構成し易いものとなる。
【0020】
本発明にかかる搬送設備の第1特徴構成は、直線状に設定された仮想経路線に沿って物品を載置搬送する直線コンベヤが設けられ、搬送コンベヤの第1特徴構成?第4特徴構成のいずれか1つの搬送コンベヤが、前記直線コンベヤから物品を分岐搬送する分岐搬送コンベヤ、又は、前記直線コンベヤに物品を合流搬送する合流搬送コンベヤとして設けられている点にある。
【0021】
すなわち、搬送コンベヤを、直線コンベヤから物品を分岐搬送する分岐搬送コンベヤや、直線コンベヤに物品を合流搬送する合流搬送コンベヤに用いることができる。また、搬送コンベヤを分岐搬送コンベヤや合流搬送コンベヤとして用いた場合は、搬送コンベヤの仮想経路線をS字状に形成する等、その途中で物品の搬送方向を変更することが多いが、その搬送コンベヤに回転操作搬送手段を備えることで、物品が上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に乗り移る際に、回転操作搬送手段の作用により物品が下流側姿勢から大きく崩れることを防止でき、物品を案内体に極力接触させることなく物品を適正な姿勢で搬送できる搬送設備を提供できる。
【0022】
本発明にかかる搬送設備の第2特徴構成は、搬送コンベヤと、直線状に設定された仮想経路線に沿って物品を載置搬送する直線コンベヤと、が設けられ、前記搬送コンベヤが、前記直線コンベヤから物品を分岐搬送する分岐搬送コンベヤ、又は、前記直線コンベヤに物品を合流搬送する合流搬送コンベヤとして設けられ、前記搬送コンベヤに、平面視矩形状の物品を上流側仮想経路線に沿って載置搬送する上流側コンベヤ部分と、当該上流側コンベヤ部分の下流側に接続する形態で設置されて物品を下流側仮想経路線に沿って載置搬送する下流側コンベヤ部分とが設けられ、前記上流側仮想経路線が円弧状に設定されて、前記上流側コンベヤ部分が、前記上流側仮想経路線の接線に物品の側辺が沿う上流側姿勢となるように物品を縦軸心周りに回転させながら載置搬送するように構成され、前記上流側仮想経路線及び前記下流側仮想経路線に沿って設けられて物品の外周面に接触することで物品が設定横幅内で収まるように物品を案内する案内体が設けられ、前記上流側コンベヤ部分が、前記下流側仮想経路線に前記上流側仮想経路線が接続され、且つ、前記上流側仮想経路線の下流側端の接線と、前記下流側仮想経路線の上流側端又はそれの接線とが同じ角度となる状態で設けられ、前記搬送コンベヤに、前記上流側コンベヤ部分の下流側端部に設けられて前記上流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を少なくする状態又は回転させない状態で物品を載置搬送する、又は、前記下流側コンベヤ部分の上流側端部に設けられて前記下流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を多くする状態で物品を載置搬送する回転操作搬送手段が設けられ、前記直線コンベヤが、当該直線コンベヤの横幅方向に間隔を隔てた状態で並ぶ一対の搬送部を備えて、物品における前記横幅方向の両端部を載置支持する形態で物品を前記直線仮想経路線に沿って載置搬送するように構成され、前記搬送コンベヤが、前記直線コンベヤにおける前記一対の搬送部の間に位置する接続部分と、前記直線コンベヤの横側方に位置する側方部分とで構成され、前記側方部分が、その搬送面が前記一対の搬送部の搬送面より高い高さに位置する状態で設けられ、前記接続部分が、前記接続部分の搬送面が前記一対の搬送部の搬送面より高く且つ前記側方部分の搬送面と同高さとなる搬送位置と前記接続端部の搬送面が前記一対の搬送部の搬送面より低い退避位置とに昇降自在に設けられ、前記接続部分に設けられて駆動手段にて回転駆動される複数の駆動ローラが、それが設けられた前記上流側コンベヤ部分の前記上流側仮想経路線又は前記下流側コンベヤ部分の前記下流側仮想経路線に沿って円弧状に設けられ、且つ、当該複数の駆動ローラのうちの前記側方部分の近くに位置する駆動ローラ群が、当該複数の駆動ローラのうちの前記側方部分から遠くに位置する駆動ローラ群より曲率半径が大きくなる状態で設けられている点にある。
【0023】
すなわち、上流側コンベヤ部分の下流側端部に回転操作搬送手段を設けた場合は、上流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を少なくする状態又は回転させない状態で物品が載置搬送させ、また、下流側コンベヤ部分の上流側端部に回転操作搬送手段を設けた場合は、下流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を多くする状態で物品を載置搬送されせるものである。
つまり、物品が上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に乗り移ったときに、物品の姿勢が、下流側仮想経路線又はその接線に物品の側辺が沿う下流側姿勢から大きく崩れ易い。
説明を加えると、搬送コンベヤにて物品を載置搬送するとき、物品の底面後部における搬送コンベヤとの摩擦力は、物品の底面前部における搬送コンベヤとの摩擦力に比べて大きくなる。これは、物品を載置搬送するときに荷重が物品の後側に偏るために、物品の底面後部における搬送コンベヤとの接地圧が、物品の底面前部における搬送コンベヤとの接地圧に比べて高くなるためと思われる。
そして、物品の底面後部における摩擦力が、物品の底面前部における摩擦力に比べて大きい場合、物品の底面後部の方が底面前部に比べて推進力が付与され易く、物品の前部に対して推進力が付与され難くなる。そのため、上流側コンベヤ部分と下流側コンベヤ部分との接続箇所に物品が搬送されると、物品の前部が下流側コンベヤ部分に乗り移っているにも関らず、上流側コンベヤ部分に残っている物品の後部に対する推進力が支配的となり、物品は上流側コンベヤ部分で搬送されているときと同様に上流側姿勢に向かうように縦軸心周りに回転しながら載置搬送されるため、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に乗り移る際、物品は、下流側仮想経路線に沿って搬送されずに下流側姿勢から大きく崩れると考えられる。
そこで、上流側コンベヤ部分の下流側端部に回転操作搬送手段を設けて、上流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を少なくする状態又は回転させない状態で物品が載置搬送させる、又は、下流側コンベヤ部分の上流側端部に回転操作搬送手段を設けて、下流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を多くする状態で物品を載置搬送させることで、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に乗り移る際に、上流側コンベヤ部分による物品の後部に対する推進力の付与により、物品は上流側コンベヤ部分で搬送されているときと同様に縦軸心周りに回転しようとするが、回転操作搬送手段による物品の前部に対する推進力が、上流側コンベア物品の前部に対して回転を抑制しようとする方向に働くため、物品が下流側姿勢から大きく崩れてしまうことを防止することができる。
つまり、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に物品が乗り移ったときの物品の下流側姿勢からの崩れが抑制されることで、物品が搬送コンベヤに対して予め設定された設定幅内に収まり易いため、物品を案内体に極力接触させることなく、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に亘って物品を搬送させ易いものとなる。そして、搬送ミス等により物品が上流側姿勢や下流側姿勢から大きく崩れ、物品設定幅内から外れようとする場合は、その物品の外周面に案内体が接触することで物品を設定幅内に収めることができ、物品の搬送コンベヤからの落下等を未然に防止することができる。
従って、上流側コンベヤ部分の下流側端部又は下流側コンベヤ部分の上流側端部において回転操作搬送手段にて物品を載置搬送することで、物品を案内体に極力接触させることなく、上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に亘って物品を搬送させ易い搬送コンベヤを提供することができるに至った。
【0024】
また、搬送コンベヤを、直線コンベヤから物品を分岐搬送する分岐搬送コンベヤや、直線コンベヤに物品を合流搬送する合流搬送コンベヤに用いることができる。また、搬送コンベヤを分岐搬送コンベヤや合流搬送コンベヤとして用いた場合は、搬送コンベヤの仮想経路線をS字状に形成する等、その途中で物品の搬送方向を変更することが多いが、その搬送コンベヤに回転操作搬送手段を備えることで、物品が上流側コンベヤ部分から下流側コンベヤ部分に乗り移る際に、回転操作搬送手段の作用により物品が下流側姿勢から大きく崩れることを防止でき、物品を案内体に極力接触させることなく物品を適正な姿勢で搬送できる搬送設備を提供できる。
また、搬送コンベヤの接続部分を退避位置に下降移動させることで、直線コンベヤの搬送作用により、物品を直線コンベヤから分岐させることなく直線仮想経路線に沿って搬送される。また、搬送コンベヤの接続部分を搬送位置に上昇移動させることで、直線コンベヤの物品を搬送している途中において当該物品が搬送コンベヤの接続部分に乗り上げ、その後は、接続部分の搬送作用及び側方部分の搬送作用により、物品を直線コンベヤから分岐させて上流側仮想経路線及び下流側仮想経路線に沿って搬送される。
また、接続部分に設けられる複数の駆動ローラは、一対の搬送部の間に設けるという制約があるため、駆動ローラの全てを同じ曲率半径で設けた場合は、仮想経路線に沿って広範囲に駆動ローラを設けることができないが、接続部分に設けられる駆動ローラのうちの仮想経路線に沿う方向における側方部分の近くに位置する駆動ローラ群を、複数の駆動ローラのうちの仮想経路線に沿う方向における側方部分から遠くに位置する駆動ローラ群より曲率半径が大きくなる状態で設けることで、駆動ローラを仮想経路線に沿って広範囲に駆動ローラを設けることができる。
そして、駆動ローラを仮想経路線に沿って広範囲に駆動ローラを設けることで、直線コンベヤから分岐搬送する物品又は直線コンベヤに合流搬送する物品を仮想経路線に沿って適切に搬送し易いものとなる。
【0025】
本発明にかかる搬送設備の第3特徴構成は、搬送設備の第2特徴構成において、前記搬送コンベヤにおける前記接続部分が、前記直線コンベヤの前記直線仮想経路線に沿って複数設けられ、前記複数の接続部分の夫々が、各別に昇降自在に構成されている点にある。
【0026】
すなわち、搬送コンベヤにおける接続部分が、直線コンベヤの直線仮想経路線に沿って複数設けられ、複数の接続部分の夫々が、各別に昇降自在に構成されているため、複数の接続部分を同時又は順次に搬送位置に上昇移動させ、物品が上流側の接続部分から下流側の接続部分に乗り移った時点で上流側の接続部分を退避位置に下降移動させることができる。そして、上流側の接続部分を先に退避位置に下降移動させることで、下流側の接続部分にて物品を載置搬送している状態でも、直線コンベヤにて搬送している物品を下流側の接続部分が設けられている箇所に受け入れることができるため、搬送する物品同士の間隔を詰めて搬送能率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】搬送設備の平面図
【図2】一対の接続部分の昇降状態を示す作用図
【図3】駆動ローラの姿勢を示す平面図
【図4】回転操作搬送手段としての駆動ローラの姿勢を示す平面図
【図5】物品の姿勢の変化を示す作用図
【図6】従来の物品の姿勢の変化を示す作用図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、搬送設備は、直線状に設定された直線仮想経路線L1に沿って物品を載置搬送する直線コンベヤ1と、円弧状に設定された曲線仮想経路線L2に沿って物品を載置搬送する曲線コンベヤ2(搬送コンベヤに相当)とを備えて構成されている。ちなみに、物品は、平面視矩形状に形成された大型のトレーであり、物品の長手方向がコンベヤの搬送方向に沿い且つ物品の短手方向がコンベヤの幅方向に沿う姿勢で搬送される。尚、物品の長手方向に沿う辺が物品の側辺に相当する。
【0031】
また、直線コンベヤ1には、直線仮想経路線L1に沿って案内体3が設けられており、曲線コンベヤ2には、曲線仮想経路線L2(後述する上流側仮想経路線L3及び下流側仮想経路線L4)に沿って案内体3が設けられている。この案内体3は、搬送方向に対して左右両側に設定横幅分の間隔を隔てた状態で直線コンベヤ1や曲線コンベヤ2の搬送面より設定高さ高い位置に設けられており、物品の角や側面を含む物品の外周面に接触することで物品が直線コンベヤ1や曲線コンベヤ2に対して予め設定された設定横幅から外れることなく、直線仮想経路線L1や曲線仮想経路線L2に沿って案内するように構成されている。
【0032】
直線コンベヤ1として、搬送方向の中間部に曲線コンベヤ2の一端部が接続された直線コンベヤ1(以下、主直線コンベヤ1aと称する)と、搬送方向の端部に曲線コンベヤ2の他端部が接続された直線コンベヤ1(以下、副直線コンベヤ1bと称する)との一対の直線コンベヤ1が設けられている。これら一対の直線コンベヤ1は、物品を搬送する経路となる直線仮想経路線L1が平行となる状態で設けられている。
【0033】
そして、曲線コンベヤ2は、直線コンベヤ1から物品を分岐搬送する分岐搬送コンベヤ又は直線コンベヤ1に物品を合流搬送する合流搬送コンベヤとして設けられており、曲線コンベヤ2を分岐搬送コンベヤとして設けた場合は、物品を一端部側から他端部側に載置搬送して、その物品を主直線コンベヤ1aから曲線コンベヤ2に分岐搬送することができ、また、曲線コンベヤ2を合流搬送コンベヤとして設けた場合は、物品を他端部側から一端部側に載置搬送して、物品を曲線コンベヤ2から主直線コンベヤ1aに合流搬送することができるようになる。
【0034】
主直線コンベヤ1aは、当該主直線コンベヤ1aの横幅方向に間隔を隔てた状態で並ぶベルト式の一対の搬送部4を備えて、この一対の搬送部4にて物品における横幅方向の両端部を載置支持する形態で物品を載置搬送するように構成されている。
一対の搬送部4の夫々は、複数の回転プーリ5に亘って回転ベルト6を巻回して構成されており、一方の搬送部4における駆動用の回転プーリ5と他方の搬送部4における駆動用の回転プーリ5とが連動駆動軸7にて連動連結され、当該連動駆動軸7を回転駆動させるベルト用電動モータ8が設けられている。
そして、主直線コンベヤ1aは、ベルト用電動モータ8にて連動駆動軸7を回転駆動させて一対の搬送部4を同期駆動させることで、一対の回転ベルト6にて載置支持された物品の姿勢を変えることなく(物品を縦軸心周りに回転させることなく)、直線状の直線仮想経路線L1に沿って物品を載置搬送するように構成されている。
尚、副直線コンベヤ1bは、主直線コンベヤ1aと同様に構成されているため説明は省略する。
【0035】
次に、曲線コンベヤ2について説明するが、本実施形態では、曲線コンベヤ2は分岐搬送コンベヤとして設けられているため、主直線コンベヤ1aに接続される一端部側を上流側、副直線コンベヤ1bに接続される他端部側を下流側として説明する。
【0036】
図1に示すように、曲線コンベヤ2は、主直線コンベヤ1aにおける一対の搬送部4の間に位置する接続部分10と、主直線コンベヤ1aの横側方に位置する側方部分11とで構成されている。
側方部分11は、側方部分11の搬送面が一対の搬送部4の搬送面より高い高さに位置する状態で設けられており、接続部分10は、接続部分10の搬送面が一対の搬送部4の搬送面より高く且つ側方部分11の搬送面と同高さとなる搬送位置(図2(b)参照)と接続部分10の搬送面が一対の搬送部4の搬送面より低い退避位置(図2(a)参照)とに昇降自在に設けられている。
【0037】
そして、図2(b)に示すように、接続部分10を搬送位置に上昇移動させておくことで、主直線コンベヤ1aの搬送作用にて直線仮想経路線L1に沿って搬送されていた物品は、接続部分10が配設されている分岐箇所において接続部分10に乗り上げ、その後は、接続部分10(曲線コンベヤ2)の搬送作用にて曲線仮想経路線L2に沿って搬送されて、分岐搬送される。また、図2(a)に示すように、接続部分10を退避位置に下降移動させておくことで、主直線コンベヤ1aの搬送作用にて直線仮想経路線L1に沿って搬送されていた物品は、分岐箇所において接続部分10に乗り上げず、そのまま主直線コンベヤ1aの搬送作用にて直線仮想経路線L1に沿って搬送されて、直進搬送される。
【0038】
図1及び図2に示すように、曲線コンベヤ2における接続部分10は、直線コンベヤ1の直線仮想経路線L1に沿って2つ設けられ、この2つの接続部分10の夫々が、各別に昇降自在に構成されている。
そして、図2(b)に示すように、物品が分岐箇所に搬送されるよりも先に2つの接続部分10が同時に退避位置から搬送位置に上昇移動し、図2(c)に示すように、物品が上流側の接続部分10aから下流側の接続部分10bに乗り移った時点で上流側の接続部分10aは退避位置に下降移動し、下流側の接続部分10bから側方部分11に乗り移った時点で下流側の接続部分10bが退避位置に下降移動するように、2つの接続部分10における昇降用電動モータ12作動が図外の制御装置にて制御されている。よって、上流側の接続部分10aを先に退避位置に下降移動させることで、下流側の接続部分10bにて物品を載置搬送している状態でも、直進搬送する後続の物品を分岐箇所に受け入れることができるため、搬送する物品同士の間隔を詰めた状態で複数の物品を搬送できるようになっている。
【0039】
図1に示すように、曲線コンベヤ2には、物品を上流側仮想経路線L3に沿って載置搬送する上流側コンベヤ部分13と、当該上流側コンベヤ部分13の下流側に接続する形態で設置されて物品を下流側仮想経路線L4に沿って載置搬送する下流側コンベヤ部分14とが設けられており、上流側コンベヤ部分13の一部分にて接続部分10が構成され、上流側コンベヤ部分13の残りの部分と下流側コンベヤ部分14とで側方部分11が構成されている。
【0040】
上流側コンベヤ部分13の上流側が主直線コンベヤ1aに接続され、下流側コンベヤ部分14の下流側が副直線コンベヤ1bに接続されている。下流側コンベヤ部分14の上流側端部に、下流側コンベヤ部分14の搬送に伴う物品の回転量を多くする状態で物品を載置搬送する回転操作搬送手段15が設けられている。
【0041】
上流側仮想経路線L3が円弧状に設定されて、上流側コンベヤ部分13が、上流側仮想経路線L3の接線に物品の側辺が沿う上流側姿勢となるように物品を縦軸心周りに回転させながら載置搬送するように構成されている。また、下流側仮想経路線L4も円弧状に設定されて、下流側コンベヤ部分14が、下流側仮想経路線L4の接線に物品の側辺が沿う下流側姿勢となるように物品を縦軸心周りに回転させながら載置搬送するように構成されている。
説明を加えると、物品の側辺が沿う上流側仮想経路線L3の接線とは、上流側コンベヤ部分13上に物品が位置する状態において、その物品の長手方向の中心と上流側仮想経路線L3の曲率中心点Pとを結ぶ線分上又はそれの延長線上で交差する上流側仮想経路線L3の交点の接線であり、この接線の傾きは上流側コンベヤ部分13にて物品が載置搬送されるとともに変化する。上流側コンベヤ部分13は、この接線の傾きの変化に伴って物品の側辺の傾きが変化するように、物品を縦軸心周りに回転させながら載置搬送するように構成されている。
また、物品の側辺が沿う下流側仮想経路線L4の接線とは、下流側コンベヤ部分14上に物品が位置する状態において、その物品の長手方向の中心と下流側仮想経路線L4の曲率中心線Pとを結ぶ線分上又はその延長線上で交差する下流側仮想経路線L4の交点の接線であり、この接線の傾きは下流側コンベヤ部分14にて物品が搬送されるとともに変化する。下流側コンベヤ部分14は、この接線の傾きの変化に伴って物品の側辺の傾きが変化するように、物品を縦軸心周りに回転させながら載置搬送するように構成されている。
【0042】
そして、上流側コンベヤ部分13における上流側仮想経路線L3は、左右一方側となる右方側に曲がる円弧状に設定され、下流側コンベヤ部分14における下流側仮想経路線L4は、左右他方側となる左方側に曲がる円弧状に設定されている。そして、上流側コンベヤ部分13が、下流側仮想経路線L4に上流側仮想経路線L3が接続され且つ上流側仮想経路線L3の下流側端の接線と下流側仮想経路線L4の上流側端の接線とが同じ角度となる状態で設けられている。
【0043】
このように上流側仮想経路線L3は、下流側仮想経路線L4とは反対側に曲がるように設定されており、上流側仮想経路線L3と下流側仮想経路線L4とでS字状の曲線仮想経路線L2が形成されている。そして、下流側仮想経路線L4が、上流側仮想経路線L3とは反対側に曲がるように設定されていることから、上流側コンベヤ部分13では、物品の底面に作用する推進力により物品を時計回りに回転させながら載置搬送するように構成されているのに対して、下流側コンベヤ部分14では、物品の底面に作用する推進力により物品を反時計回りに回転させながら載置搬送するように構成されている。
【0044】
次に、曲線コンベヤ2の具体的構成を説明する。
上流側コンベヤ部分13及び下流側コンベヤ部分14の夫々は、駆動手段としてのローラ用電動モータ16にて回転駆動される複数の駆動ローラ17の回転により物品を載置搬送するローラ駆動式に構成されている。曲線コンベヤ2に設けられている駆動ローラ17は、全て同径の駆動ローラ17が用いられ、また、全て同じ回転速度で回転するように構成されており、全てが同じ周速度となっている。そして、物品の横幅方向の一方側部分を複数の駆動ローラ17にて載置支持し、回転自在な複数の従動ローラ18にて物品の横幅方向の他方側部分を載置支持する形態で、物品を載置搬送するように構成されている。
【0045】
そして、上流側コンベヤ部分13に設けられている8輪の駆動ローラ17は、上流側仮想経路線L3の曲率半径方向で上流側仮想経路線L3より外方側に位置するように、搬送方向視で上流側仮想経路線L3の左側に設けられ、上流側コンベヤ部分13に設けられている6輪の従動ローラ18は、上流側仮想経路線L3の曲率半径方向で上流側仮想経路線L3より内方側に位置するように、搬送方向視で上流側仮想経路線L3の右側に設けられている。このように、上流側コンベヤ部分13に設けられている8輪の駆動ローラ17は、上流側コンベヤ部分13に設けられた6輪の従動ローラ18よりも、上流側仮想経路線L3の曲率半径方向で外方側に位置するように設けられている。
【0046】
図3に示すように、上流側コンベヤ部分13に備えられた8輪の駆動ローラ17は、その回転軸心が上流側仮想経路線L3の曲率中心点Pに向く姿勢で設けられている。ちなみに、上流側コンベヤ部分13に備えられた6輪の従動ローラ18は、その回転軸心が上流側仮想経路線L3の曲率中心点Pに向く姿勢で設けられているものもあるが、必ずしも回転軸心が上流側仮想経路線L3の曲率中心点Pに向く姿勢で設けなくてもよい。
【0047】
図1に示すように、上流側コンベヤ部分13に設けられた8輪の駆動ローラ17のうち、上流側の4輪の駆動ローラ17は、上流側の接続部分10の昇降台21に回転自在に支持されており、下流側の4輪の駆動ローラ17は、下流側の接続部分10の昇降台21に回転自在に支持されている。そして、各接続部分10の4輪の駆動ローラ17は、互いに連動ベルト22にて連動連結されており、ローラ用電動モータ16の駆動により4輪の駆動ローラ17が回転駆動するように構成されており、上流側の4輪の駆動ローラ17と下流側の4輪の駆動ローラ17とが各別に駆動回転可能に構成されている。
【0048】
このように一対の接続部分10に設けられた8輪の駆動ローラ17のうち、側方部分11の近くに位置する下流側の4輪の駆動ローラ17群は、側方部分11から遠くに位置する上流側の4輪の駆動ローラ17群より曲率半径が大きくなる状態で設けられている。上流側の4輪の駆動ローラ17群と下流側の4輪の駆動ローラ17群とは、曲率半径は異なるものの、曲率中心点Pは同じである。そのため、いずれの駆動ローラ群についても、それが設けられた上流側コンベヤ部分13の上流側仮想経路線L3に沿って設けられている。
【0049】
上流側コンベヤ部分13には6輪の従動ローラ18が設けられている。この上流側コンベヤ部分13に備えられた6輪の従動ローラ18のうち、上流側の3輪の従動ローラ18は、上流側の接続部分10の昇降台21に回転自在に支持されており、下流側の3輪の従動ローラ18は、側方部分11に回転自在に支持されている。
そして、上流側の3輪の従動ローラ18は、直線仮想経路線L1に沿って設けられており、下流側の3輪の従動ローラ18は、上流側仮想経路線L3に沿って設けられている。
【0050】
下流側コンベヤ部分14に設けられている10輪の駆動ローラ17は、下流側仮想経路線L4の曲率半径方向で下流側仮想経路線L4より外方側に位置するように、搬送方向視で下流側仮想経路線L4の右側に設けられ、下流側コンベヤ部分14に設けられている6輪の従動ローラ18は、下流側仮想経路線L4の曲率半径方向で下流側仮想経路線L4の内方側に位置するように、搬送方向視で下流側仮想経路線L4の左側に設けられている。このように、下流側コンベヤ部分14に設けられている10輪の駆動ローラ17は、下流側コンベヤ部分14に設けられた6輪の従動ローラ18よりも、下流側仮想経路線L4の曲率半径方向で外方側に位置するように設けられている。ちなみに、下流側コンベヤ部分14に設けられている10輪の駆動ローラ17はそれらが同じ曲率半径で設けられており、下流側コンベヤ部分14に設けられている6輪の従動ローラ18もそれらが同じ曲率半径で設けられている。
【0051】
上流側コンベヤ部分13に設けられた10輪の駆動ローラ17は、連動ベルト22にて連動連結されており、ローラ用電動モータ16の駆動により10輪の駆動ローラ17が回転駆動するように構成されている。
【0052】
下流側コンベヤ部分14に備えられた駆動ローラ17及び従動ローラ18ついて説明を加えると、下流側コンベヤ部分14に備えられた10輪の駆動ローラ17は、互いに連動ベルト22により連動されており、ローラ用電動モータ16の駆動により、10輪の駆動ローラ17が回転駆動されるように構成されている。また、従動ローラ18は、駆動ローラ17の回転軸23の他端部に回転自在に設けられている。
【0053】
図3に示すように、下流側コンベヤ部分14に設けられている10輪の駆動ローラ17のうち、下流側コンベヤ部分14の上流側端部よりも下流側に設けられた下流側の8輪の駆動ローラ17は、その回転軸心が下流側仮想経路線L4の曲率中心点Pに向く姿勢で設けられている。ちなみに、下流側コンベヤ部分14に備えられた6輪の従動ローラ18は、その回転軸心が上流側仮想経路線L3の曲率中心点Pに向く姿勢で設けられている。
【0054】
そして、図3及び図4に示すように、下流側コンベヤ部分14の上流側端部に備えられた上流側の2輪の駆動ローラ17が、回転操作搬送手段15として設けられ、その回転操作搬送手段15としての上流側の2輪の駆動ローラ17は、その回転軸心が下流側仮想経路線L4の曲率中心点Pに向く姿勢で設けられておらず、回転軸心が線分L5と直交する姿勢で設けられている。ちなみに、この線分L5は、上流側仮想経路線L3の途中箇所の上流側接続点Xと下流側仮想経路線L4の途中箇所の下流側接続点Yとを結び且つ上流側仮想経路線L3と下流側仮想経路線L4との接続点Zを通過する線分である。
【0055】
そして、下流側コンベヤ部分14の上流側端部に備えられた2輪の駆動ローラ17については、2輪の駆動ローラ17のうち、上流側に位置する駆動ローラ17は、その回転軸23の回転軸心が上流側接続点Xと接続点Zと間において、上流側仮想経路線L3及び線分L5と交差する状態で設けられており、下流側に位置する駆動ローラ17は、その回転軸23の回転軸心が下流側接続点Yと接続点Zとの間において、下流側仮想経路線L4及び線分L5と交差する状態で設けられている。
また、上流側に位置する駆動ローラ17は、その回転軸23の回転軸心が、上流側仮想経路線L3との交差箇所における接線に対して直交しない状態で交差し、線分L5と直交する状態で交差するように設けられている。
また、下流側に位置する駆動ローラ17は、その回転軸23の回転軸心が、下流側仮想経路線L4との交差箇所における接線に対して直交しない状態で交差し、線分L5と直交する状態で交差するように設けられている。
【0056】
そして、回転軸心が下流側仮想経路線L4の曲率中心点Pに向く姿勢で設けられている8輪の駆動ローラ17は、下流側仮想経路線L4の接線方向に向けて物品に対して推進力を付与するが、回転軸心が下流側仮想経路線L4の曲率中心点Pに向かない姿勢で設けられている2輪の駆動ローラ17は、下流側仮想経路線L4の接線方向より内方側に向けて物品に対して推進力を付与するようになっている。
【0057】
従って、図5に示すように、曲線コンベヤ2にて曲線仮想経路線L2に沿って搬送される物品は、物品の前部が下流側コンベヤ部分14に乗り移ったときに、下流側コンベヤ部分14の上流側端部に設けられた回転操作搬送手段15の作用により、下流側コンベヤ部分14の搬送による回転量が多くなるため、このように搬送された物品は、物品が上流側コンベヤ部分13から下流側コンベヤ部分14に乗り移る際、物品の前部は、下流側仮想経路線L4に沿って搬送され易くなる。ちなみに、図5(b)において破線で示した物品の姿勢は、回転操作搬送手段15を設けなかった場合に想定される物品の姿勢を示している。
そして、曲線仮想経路線L2に沿って搬送される物品は、回転操作搬送手段15にて下流側姿勢からの大きな姿勢の崩れが防止されて適切に搬送された物品は設定横幅内に収まるため、適切に搬送されている物品は案内体3に接触せず、物品の荷重が偏っている場合や搬送ミスが生じた場合等により物品が適切に搬送されず、物品が設定横幅から外れようとする場合には、その物品の外周面に案内体3が接触するようになっている。
【0058】
〔別実施形態〕
(1) 上記実施形態では、曲線コンベヤ2を、分岐搬送コンベヤとして設けたが、曲線コンベヤ2を、合流搬送コンベヤとして設けてもよい。また、搬送方向を切り換えるようにして、曲線コンベヤ2を、分岐搬送コンベヤ及び合流搬送コンベヤとして設けてもよい。
また、曲線コンベヤ2を直線コンベヤ1の中間部に接続して、分岐搬送コンベヤ又は合流搬送コンベヤとして設けたが、曲線コンベヤ2を直線コンベヤ1の中間部に接続せずに、分岐搬送や合流搬送を行わないコンベヤとして設けてもよい。
【0059】
(2) 上記実施形態では、下流側コンベヤ部分14の上流側端部に回転操作搬送手段15を設け、その回転操作搬送手段15にて、下流側コンベヤ部分14の搬送に伴う物品の回転量を多くする状態で物品を載置搬送するように構成したが、上流側コンベヤ部分13の下流側端部に回転操作搬送手段15を設け、その回転操作搬送手段15にて、上流側コンベヤ部分13の搬送に伴う物品の回転量を少なくする状態又は回転させない状態で物品を載置搬送するように構成してもよい。
また、上流側コンベヤ部分13の下流側端部と下流側コンベヤ部分14の上流側端部との両方に回転操作搬送手段15を設けてもよい。
【0060】
(3) 上記実施形態では、回転操作搬送手段15としての駆動ローラ17を、曲率半径方向の外方側に位置するように設けたが、回転操作搬送手段15としての駆動ローラ17を、曲率半径方向の内方側に位置するように設けてもよい。
つまり、例えば、上流側コンベヤ部分13の下流側端部に、回転操作搬送手段15としての駆動ローラ17を設ける場合、上記実施形態において上流側コンベヤ部分13に設けられている6輪の従動ローラ18のうちの最も下流側に位置する従動ローラ18に代えて駆動ローラ17を設けてもよい。
ちなみに、上記実施形態では、上述の最も下流側に位置する従動ローラ18は、その回転軸心が、上流側仮想経路線L3との交差箇所における接線に対して直交しない状態で交差し、線分L5と直交する状態で交差するように設けられている。
【0061】
(4) 上記実施形態では、下流側仮想経路線L4を、円弧状に設定し、上流側仮想経路線L3の下流側端の接線と下流側仮想経路線L4の上流側端の接線とが同じ角度となる状態で設けたが、下流側仮想経路線L4を、直線状に設定し、上流側仮想経路線L3の下流側端の接線と下流側仮想経路線L4の上流側端とが同じ角度となる状態で設けてもよい。
【0062】
(5) 上記実施形態では、駆動ローラ17を上流側仮想経路線L3及び下流側仮想経路線L4の曲率半径方向で当該仮想経路線の外方側に位置するように設け、従動ローラ18を上流側仮想経路線L3及び下流側仮想経路線L4の曲率半径方向で当該仮想経路線の内方側に位置するように設けたが、次のように従動ローラ18に代えて曲率半径方向で仮想経路線の内方側にも駆動ローラ17を設けてもよい。
つまり、曲率半径方向で仮想経路線の内方側に、外方側の駆動ローラ17より外径が小さく且つ外方側の駆動ローラ17と同じ回転速度で回転する駆動ローラ17を設ける、又は、外方側の駆動ローラ17と同じ外径で且つ外方側の駆動ローラ17より回転速度が遅い駆動ローラ17を設ける等、曲率半径方向で仮想経路線の内方側に、外方側の駆動ローラ17より周速度が遅い駆動ローラ17を設けてもよい。
ちなみに、曲率半径方向で仮想経路線の内方側に、外方側の駆動ローラ17より外径が小さく且つ外方側の駆動ローラ17と同じ回転速度で回転する駆動ローラ17を設ける場合は、内方側ほど小径となるコーン状の駆動ローラ17を設けることで、外方側の駆動ローラ17と内方側の駆動ローラ17とを一体的に構成してもよい。
【0063】
(6) 上記実施形態では、回転操作搬送手段15としての複数の駆動ローラ17を、線分L5と直交する姿勢で設けたが、回転操作搬送手段15としての複数の駆動ローラ17を、上流側コンベヤ部分13の下流側端部に設けた場合では、線分L5と直交する姿勢と回転軸心が上流側仮想経路線L3の曲率中心点Pを向く姿勢との中間の姿勢で設け、また、回転操作搬送手段15としての複数の駆動ローラ17を、下流側コンベヤ部分14の上流側端部に設けた場合では、線分L5と直交する姿勢と回転軸心が下流側仮想経路線L4の曲率中心点Pを向く姿勢との中間の姿勢で設けてもよい。
【0064】
(7) 上記実施形態では、曲線コンベヤ2における接続部分10を、直線コンベヤ1の直線仮想経路線L1に沿って2つ設け、その2つの接続部分10を各別に昇降自在に構成したが、接続部分10を、直線コンベヤ1の直線仮想経路線L1に沿って3つ以上設け、その3つ以上の接続部分10を各別に昇降自在に構成してもよく、また、接続部分10を1つだけ設けてもよい。
【0065】
(8) 上記実施形態では、接続部分10に設けられた複数の駆動ローラ17のうち、側方部分11の近くに位置する駆動ローラ17群が、側方部分11から遠くに位置する駆動ローラ17群より曲率半径が大きくなる状態で設けたが、接続部分10に設けられた複数の駆動ローラ17の全てを、曲率半径が同じとなる状態で設けてもよい。
【0066】
(9) 上記実施形態では、平面視矩形状の物品として、直交する2辺の長さが異なる平面視長方形状の物品としたが、直交する2辺の長さが同じ平面視正方形状の物品としてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 直線コンベヤ
2 搬送コンベヤ
3 案内体
4 搬送部
10 接続部分
11 側方部分
13 上流側コンベヤ部分
14 下流側コンベヤ部分
15 回転操作搬送手段
17 駆動ローラ
L1 直線仮想経路線
L3 上流側仮想経路線
L4 下流側仮想経路線
P 曲率中心点
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状の物品を上流側仮想経路線に沿って載置搬送する上流側コンベヤ部分と、
当該上流側コンベヤ部分の下流側に接続する形態で設置されて物品を下流側仮想経路線に沿って載置搬送する下流側コンベヤ部分とが設けられ、
前記上流側仮想経路線が円弧状に設定されて、前記上流側コンベヤ部分が、前記上流側仮想経路線の接線に物品の側辺が沿う上流側姿勢となるように物品を縦軸心周りに回転させながら載置搬送するように構成されている搬送コンベヤであって、
前記上流側仮想経路線及び前記下流側仮想経路線に沿って設けられて物品の外周面に接触することで物品が設定横幅内で収まるように物品を案内する案内体が設けられ、
前記上流側コンベヤ部分が、前記下流側仮想経路線に前記上流側仮想経路線が接続され、且つ、前記上流側仮想経路線の下流側端の接線と、前記下流側仮想経路線の上流側端又はそれの接線とが同じ角度となる状態で設けられ、
前記上流側コンベヤ部分の下流側端部に設けられて平面視で前記上流側仮想経路線の接線方向に対して外方側に向けて物品に対して推進力を付与することで前記上流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を少なくする状態又は回転させない状態で物品を載置搬送する、又は、前記下流側コンベヤ部分の上流側端部に設けられて平面視で前記下流側仮想経路線の接線方向に対して内方側に向けて物品に対して推進力を付与することで前記下流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を多くする状態で物品を載置搬送する回転操作搬送手段が設けられ、
前記下流側コンベヤ部分の上流側端部に前記回転操作搬送手段が設けられている場合は、前記下流側仮想経路線が、平面視で前記上流側仮想経路線に対して反対側に曲がる円弧状に設定され、且つ、前記上流側コンベヤ部分が、前記上流側仮想経路線の下流側端の接線と前記下流側仮想経路線の上流側端の接線とが同じ角度となる状態で設けられている搬送コンベヤ。
【請求項2】
前記上流側コンベヤ部分における前記上流側仮想経路線が、左右一方側に曲がる円弧状に設定され、
前記下流側コンベヤ部分における前記下流側仮想経路線が、左右他方側に曲がる円弧状に設定され、
前記上流側コンベヤ部分及び前記下流側コンベヤ部分が、前記上流側仮想経路線の下流側端の接線と前記下流側仮想経路線の上流側端の接線とが同じ角度となる状態で設けられている請求項1記載の搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記上流側コンベヤ部分及び下流側コンベヤ部分の夫々が、駆動手段にて回転駆動される駆動ローラの回転により前記物品を載置搬送するローラ駆動式に構成され、
前記上流側コンベヤ部分の前記下流側端部よりも上流側に備えられた前記駆動ローラが、その回転軸心が前記上流側仮想経路線の曲率中心点に向く姿勢で設けられ、
前記下流側コンベヤ部分の前記上流側端部よりも下流側に備えられた前記駆動ローラが、その回転軸心が前記下流側仮想経路線の曲率中心点を向く姿勢で設けられ、
前記上流側コンベヤ部分の前記下流側端部又は前記下流側コンベヤ部分の前記上流側端部に備えられた前記駆動ローラが、前記回転操作搬送手段として設けられ、
前記回転操作搬送手段が、前記上流側仮想経路線の途中箇所と前記下流側仮想経路線の途中箇所とを結び且つ前記上流側仮想経路線と前記下流側仮想経路線とが接続される接続点を通過する線分と直交する姿勢で設けられている請求項2記載の搬送コンベヤ。
【請求項4】
前記駆動ローラが、物品を載置支持する回転自在な従動ローラよりも、前記上流側仮想経路線又は前記下流側仮想経路線の曲率半径方向の外方側に位置するように設けられている請求項3記載の搬送コンベヤ。
【請求項5】
直線状に設定された仮想経路線に沿って物品を載置搬送する直線コンベヤが設けられ、
請求項1?4のいずれか1項に記載の搬送コンベヤが、前記直線コンベヤから物品を分岐搬送する分岐搬送コンベヤ、又は、前記直線コンベヤに物品を合流搬送する合流搬送コンベヤとして設けられている搬送設備。
【請求項6】
搬送コンベヤと、直線状に設定された仮想経路線に沿って物品を載置搬送する直線コンベヤと、が設けられ、
前記搬送コンベヤが、前記直線コンベヤから物品を分岐搬送する分岐搬送コンベヤ、又は、前記直線コンベヤに物品を合流搬送する合流搬送コンベヤとして設けられ、
前記搬送コンベヤに、
平面視矩形状の物品を上流側仮想経路線に沿って載置搬送する上流側コンベヤ部分と、
当該上流側コンベヤ部分の下流側に接続する形態で設置されて物品を下流側仮想経路線に沿って載置搬送する下流側コンベヤ部分とが設けられ、
前記上流側仮想経路線が円弧状に設定されて、前記上流側コンベヤ部分が、前記上流側仮想経路線の接線に物品の側辺が沿う上流側姿勢となるように物品を縦軸心周りに回転させながら載置搬送するように構成され、
前記上流側仮想経路線及び前記下流側仮想経路線に沿って設けられて物品の外周面に接触することで物品が設定横幅内で収まるように物品を案内する案内体が設けられ、
前記上流側コンベヤ部分が、前記下流側仮想経路線に前記上流側仮想経路線が接続され、且つ、前記上流側仮想経路線の下流側端の接線と、前記下流側仮想経路線の上流側端又はそれの接線とが同じ角度となる状態で設けられ、
前記搬送コンベヤに、前記上流側コンベヤ部分の下流側端部に設けられて前記上流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を少なくする状態又は回転させない状態で物品を載置搬送する、又は、前記下流側コンベヤ部分の上流側端部に設けられて前記下流側コンベヤ部分の搬送に伴う物品の回転量を多くする状態で物品を載置搬送する回転操作搬送手段が設けられ、
前記直線コンベヤが、当該直線コンベヤの横幅方向に間隔を隔てた状態で並ぶ一対の搬送部を備えて、物品における前記横幅方向の両端部を載置支持する形態で物品を前記直線仮想経路線に沿って載置搬送するように構成され、
前記搬送コンベヤが、前記直線コンベヤにおける前記一対の搬送部の間に位置する接続部分と、前記直線コンベヤの横側方に位置する側方部分とで構成され、
前記側方部分が、その搬送面が前記一対の搬送部の搬送面より高い高さに位置する状態で設けられ、
前記接続部分が、前記接続部分の搬送面が前記一対の搬送部の搬送面より高く且つ前記側方部分の搬送面と同高さとなる搬送位置と前記接続端部の搬送面が前記一対の搬送部の搬送面より低い退避位置とに昇降自在に設けられ、
前記接続部分に設けられて駆動手段にて回転駆動される複数の駆動ローラが、それが設けられた前記上流側コンベヤ部分の前記上流側仮想経路線又は前記下流側コンベヤ部分の前記下流側仮想経路線に沿って円弧状に設けられ、且つ、当該複数の駆動ローラのうちの前記側方部分の近くに位置する駆動ローラ群が、当該複数の駆動ローラのうちの前記側方部分から遠くに位置する駆動ローラ群より曲率半径が大きくなる状態で設けられている搬送設備。
【請求項7】
前記搬送コンベヤにおける前記接続部分が、前記直線コンベヤの前記直線仮想経路線に沿って複数設けられ、
前記複数の接続部分の夫々が、各別に昇降自在に構成されている請求項6記載の搬送設備。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-02-24 
結審通知日 2017-02-28 
審決日 2017-03-23 
出願番号 特願2011-88170(P2011-88170)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (B65G)
P 1 41・ 121- Y (B65G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大谷 光司  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 三島木 英宏
金澤 俊郎
登録日 2015-04-24 
登録番号 特許第5733569号(P5733569)
発明の名称 搬送コンベヤ及び搬送設備  
代理人 特許業務法人R&C  
代理人 特許業務法人R&C  

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