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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N |
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管理番号 | 1327493 |
審判番号 | 不服2015-2531 |
総通号数 | 210 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-06-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-09 |
確定日 | 2017-04-19 |
事件の表示 | 特願2011-528370「単磁区ナノ粒子の磁気共鳴イメージング」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月 8日国際公開、WO2010/037800、平成24年 2月16日国内公表、特表2012-504231〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成21年9月30日(パリ条約による優先権主張 2008年9月30日 米国(US)、2009年4月17日 米国(US) )を国際出願日とする出願であって、平成25年11月20日付けで拒絶理由が通知され、平成26年5月26日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月30日付けで拒絶査定がなされ、その謄本は同年10月7日に請求人に送達された。これに対して平成27年2月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願発明について 本願の請求項1ないし30に係る発明は、平成26年5月26日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし30に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち請求項30に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。 「物品にあるタグを活性化する方法であって、 タグは、5?80nmの範囲の直径を有し、酸化鉄を含む単磁区粒子を含むものであり、 物体について、0.1テスラ未満の静磁場を発生することと、 物体について、物体中の単磁区粒子の電子常磁性共鳴(EPR)を生じさせる周波数でRFエネルギーを発生し、前記電子常磁性共鳴によってタグの活性化を生じさせることと、を含み、 電子常磁性共鳴は、単磁区酸化鉄粒子の磁化に比例しており、該磁化は、検出されるRF磁界を誘起するようにした、方法。」 第3 引用例の記載事項及び引用例に記載された発明 1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である「米国特許出願公開第2005/0118102号明細書」(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付加したものである。) 引1 「What is claimed is: ・・・ 29.A method of selectively heating a cell, tissue, or molecule, said method comprising: contacting said cell, tissue, or molecule with a composition comprising a superparamagnetic nanoparticle attached to a targeting moiety that specifically binds to a biological target comprising said cell, tissue, or molecule; and heating said superparamagnetic nanoparticle using electron spin resonance. ・・・ 31.The method of claim 29 , wherein said electron spin resonance is at an RF ranging from about 500 to about 1,000 MHz. ・・・ 39.The method of claim 29 , wherein said superparamagnetic nanoparticle comprises gamma-Fe2O3. ・・・ 41.The method of claim 29 , further comprising imaging said cell, tissue, or molecule using a method selected from the group consisting of thermography, MRI, ESR, and x-ray. ・・・ 55.The method of claim 29 , wherein said superparamagnetic nanoparticle has at least one dimension less than about 100 nm.」 (当審訳:請求の範囲: ・・・ 29.細胞、組織、あるいは分子を選択的に加熱する方法であって:前記方法は、 特に前記細胞、組織、あるいは分子の生物学的標的に結合する、標的部分を備えた超常磁性ナノ粒子を含む組成物を、前記細胞、組織、あるいは分子に接触させ;そして、 電子スピン共鳴を用いて前記超常磁性ナノ粒子を加熱すること、 を含む、方法。 ・・・ 31.請求項29の方法において、前記電子スピン共鳴は、約 500から約1,000 MHzの RFレンジである、方法。 ・・・ 39.請求項29の方法において、前記超常磁性ナノ粒子は、gamma-Fe2O3を含む方法。 ・・・ 41.請求項29の方法において、さらに、サーモグラフィ、MRI、ESR、及びX線からなる群から選択される方法を用いて、前記細胞、組織、または分子を画像化することを含む、方法。 ・・・ 55.請求項29の方法において、 前記超常磁性ナノ粒子は、約100nm未満の少なくとも1つの寸法を有する、方法。) 引2 「FIELD OF THE INVENTION [0003] This invention is related to a method of imaging and/or selective heating therapy using nano-sized superparamagnetic (SPM) particles. In certain embodiments, the SPM particle can be physically delivered to particular cells or tissues, or chemically coated to target particular cells or molecules. Upon application of an RF field in magnetic field, the particle can absorb the RF power by magnetic resonance and the energy is released as heat, which can selectively destroy the targeted cells or tissues adjacent to the particles. Magnetic field gradient can also be used to localize the heating region, to a smaller region than the region than particles are distributed. 」 (当審訳:発明の分野 [0003]本発明は、ナノサイズの超常磁性 (SPM)粒子を用いた画像化及び/又は選択的な加熱両方の方法に関するものである。ある実施形態では、SPM粒子は、物理的に特定の細胞又は組織に運ぶことができ、化学的に特定の細胞又は分子を標的に被覆することができる。磁場におけるRF場の印加時に、その粒子は磁気共鳴によってRFパワーを吸収でき、そのエネルギーを熱として放出し、それにより、粒子に隣接する標的とした細胞又は組織を、選択的に破壊できる。磁場勾配は、粒子が分散されている領域より小さい領域に、加熱領域を局在化するために用いることもできる。) 引3 「[0008] In order to overcome the shortcomings of previously described techniques, this invention provides electron spin resonance heating methods for biomedical applications. Magnetic resonance (e.g., MRI) methods and nuclear spin resonance (e.g. NMR) methods have been proposed for hyperthermic treatment modalities. Spin resonance heating occurs when applied radiation field (microwave or RF) frequency, magnetic field and material's gyromagnetic ratio satisfy the following equation (Poole (1983) Electron Spin Resonance (2nd Edition), A Wiley-Interscience Pub.): hv=gμ_(B)B 1 [0009] where h is Plank constant, v the magnetic spin resonant frequency, B the external magnetic field, g the gyromagnetic ratio, and μ_(B) is Bohr magneton for electron spin resonance (ESR); for nuclear magnetic resonance (NMR),μ_(B ) should be replaced by nuclear magneton μ_(N). Nuclear spins or electron spins absorb photon energy at the spin resonance and jump to higher energy level precessing coherently. As the spin precessing relaxes through spin-lattice interaction, the absorbed electromagnetic energy turns into heat. The heat generation is proportional to the density of un-paired spin and spin population difference. The spin population difference in the two adjacent Zeeman levels is governed by Boltzmann statistics: Δn=1-exp(-hv/kT) 2) (当審訳:[0008] 前述の技術の欠点を克服するために、本発明は、生物医学的用途のために電子スピン共鳴加熱方法を提供する。磁気共鳴(例えば、MRI)の方法と核スピン共鳴(例えばNMR)法は、温熱治療法が提案されている。スピン共鳴加熱は、放射線場(マイクロ波またはRF)周波数、磁場および材料の磁気回転比が以下の式を満足したとき生じる。 (Poole (1983) Electron Spin Resonance (2nd Edition), A Wiley-Interscience Pub.): hv=gμ_(B)B 1 [0009] ここで、hはプランク定数、 vは磁気スピン共鳴周波数、Bは外部磁場、gは磁気回転比、そしてμ_(B)は電子スピン共鳴 (ESR)のためのボーア磁子である;核磁気共鳴(NMR)では、μ_(B )は核磁子μ_(N)に置き換えるべきである。核スピンや電子スピンは、スピン共鳴で光子エネルギーを吸収し、コヒーレントの歳差運動をより高いエネルギー準位レベルに遷移する。スピン歳差運動は、スピン - 格子相互作用を介して緩和するので、吸収された電磁エネルギーは熱に変換する。発熱は、不対スピンの密度とスピン占有数の差異とに比例する。隣接する二つのゼーマン準位のスピン占有数の差異は、ボルツマン統計によって支配される; Δn=1-exp(-hv/kT) 2) 引4 「[0022] Definitions [0023] The term "nanoparticle", as used herein refers to a particle having at least one dimension equal to or smaller than about 500 nm, preferably equal to or smaller than about 100 nm, more preferably equal to or smaller than about 50 or 20 nm, or having a crystallite size of about 10 nm or less, as measured from electron microscope images and/or diffraction peak half widths of standard 2-theta x-ray diffraction scans. 」 (当審訳:[0022]定義 [0023] ここで用いる用語”ナノ粒子”は、約 500 nm以下、好ましくは、約100 nm以下、より好ましくは 約50 or 20 nm以下の少なくとも1つの寸法を有し、又は電子顕微鏡画像、及び/又は標準2シータX線回折スキャンの回折ピークの半値幅により測定された約10 nm以下の結晶サイズを有することを示す。) 2 引用例に記載された発明 (1)上記引1の「29.・・・電子スピン共鳴を用いて前記超常磁性ナノ粒子を加熱すること・・・」は、上記引2の「[0003]・・・磁場におけるRF場の印加時に、その粒子は磁気共鳴によってRFパワーを吸収でき、そのエネルギーを熱として放出し、それにより、粒子に隣接する標的とした細胞又は組織を、選択的に破壊できる。・・・」という記載を踏まえると、磁場におけるRF場の印加時に、電子スピン共鳴を用いて前記超常磁性ナノ粒子にRFパワーを吸収させ、そのエネルギーを熱として放出させ、それにより、前記超常磁性ナノ粒子を加熱することといえる。 (2)上記引1の「39.・・・gamma-Fe2O3・・・」は、化学式の技術常識からみて「gamma-Fe_(2)O_(3)」の明らかな誤記と解される。 (3)上記(1)及び(2)の点を含めて上記1の記載を総合すると、引用例には、 「細胞、組織、あるいは分子を選択的に加熱する方法であって:前記方法は、 特に前記細胞、組織、あるいは分子の生物学的標的に結合する、標的部分を備えた超常磁性ナノ粒子を含む組成物を、前記細胞、組織、あるいは分子に接触させ;そして、 磁場におけるRF場の印加時に、電子スピン共鳴を用いて前記超常磁性ナノ粒子にRFパワーを吸収させ、そのエネルギーを熱として放出させ、それにより、前記超常磁性ナノ粒子を加熱すること、 を含み、 さらに、サーモグラフィ、MRI、ESR、及びX線からなる群から選択される方法を用いて、前記細胞、組織、または分子を画像化することを含み、 前記超常磁性ナノ粒子は、gamma-Fe_(2)O_(3)を含み、約100nm未満の少なくとも1つの寸法を有する、方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 第4 本願発明と引用発明との対比 1 本願発明の「物品にあるタグを活性化する方法」について、本願明細書には、「【0080】 他の態様は、物品にあるタグを活性化する方法を提供するものであり、タグは、約5?50nmの直径を有する単磁区粒子を有し、磁気共鳴応答を有する。該方法は、物品をUWB電磁放射パルスで照射することを含み、または連続波の電磁放射を印加することによって、タグの磁気共鳴応答がタグの活性化を生じさせる。・・・活性化は、細胞内標的(cellular targeting)を含むことができる。活性化の他の例は、温熱療法(hyperthermia)および熱焼灼(thermoablation)である。」と記載されている。 この点を踏まえると、本願発明の「物品」は、細胞を含む本願発明の「物体」であるといえる。また、本願発明の「活性化」は、加熱を含む概念であることから、引用発明の「加熱する」「超常磁性ナノ粒子」が本願発明の「活性化」させる「タグ」に相当するといえる。 よって、引用発明の「細胞、組織、あるいは分子に接触させ」た「超常磁性ナノ粒子を加熱する」方法は、本願発明の「物品にあるタグを活性化する方法」に相当する。 2 引用発明の「gamma-Fe_(2)O_(3)」は、本願発明の「酸化鉄」に相当する。そして、超常磁性は、単一の磁区を持ったナノ微粒子で起こる現象である。 よって、引用発明の「超常磁性ナノ粒子は、gamma-Fe_(2)O_(3)を含み、約100nm未満の少なくとも1つの寸法を有する」ことと、本願発明の「タグは、5?80nmの範囲の直径を有し、酸化鉄を含む単磁区粒子を含むものであ」ることは、「タグは、酸化鉄を含む単磁区ナノ粒子を含むものであ」る点で一致する。 3 引用発明の「細胞、組織、あるいは分子」は、本願発明の「物体」に相当する。そして、引用発明の「電子スピン共鳴」に用いる「磁場」が、静磁場であることは、技術的に明らかである。 よって、引用発明の「細胞、組織、あるいは分子」を「磁場」内におくことと、本願発明の「物体について、0.1テスラ未満の静磁場を発生すること」とは、「物体について、静磁場を発生することと」である点で共通する。 4 引用発明の「電子スピン共鳴」は、「超常磁性ナノ粒子」の電子スピンを対象とした共鳴である。また、「電子スピン共鳴」(ESR)は、一般に「電子常磁性共鳴(EPR)」と同義語として扱われている。これらの点を踏まえると、引用発明の「電子スピン共鳴」は、本願発明の「電子常磁性共鳴(EPR)」に相当するといえる。 そして、引用発明の「電子スピン共鳴を用いて前記超常磁性ナノ粒子にRFパワーを吸収させ、そのエネルギーを熱として放出させ」ることは、「超常磁性ナノ粒子」の「電子スピン共鳴」を生じさせる周波数の「RF」「エネルギーを」発生させていることに他ならない。 よって、引用発明の「細胞、組織、あるいは分子」について、「電子スピン共鳴を用いて前記超常磁性ナノ粒子にRFパワーを吸収させ、そのエネルギーを熱として放出させ、それにより、前記超常磁性ナノ粒子を加熱すること」は、本願発明の「物体について、物体中の単磁区粒子の電子常磁性共鳴(EPR)を生じさせる周波数でRFエネルギーを発生し、前記電子常磁性共鳴によってタグの活性化を生じさせることと」に相当する。 5 電子スピン共鳴は、上記引3に記載しているように、hv=gμ_(B)Bの式(hはプランク定数、 vは磁気スピン共鳴周波数、Bは外部磁場、gは磁気回転比、μ_(B)は電子スピン共鳴 (ESR)のためのボーア磁子)を満足したとき起きる現象である。ここで、h、g、μ_(B)はそれぞれ定数であるから、vの磁気スピン共鳴周波数は、Bの外部磁場に比例していることが理解できる。また、一般に、常磁性体の磁化Mは、外部磁場Bに比例している(M=χB、比例定数χは、磁化率)。 これらの点を踏まえると、引用発明の「電子スピン共鳴」周波数は、静「磁場」中におかれた「超常磁性ナノ粒子」の磁化に比例しているといえる。 また、引用発明の「サーモグラフィ、MRI、ESR、及びX線からなる群から選択される方法を用いて、前記細胞、組織、または分子を画像化すること」のうち、「ESR」の「方法を用いて、前記細胞、組織、または分子を画像化する」場合、「電子スピン共鳴」周波数は、上記のとおり、静「磁場」中におかれた「超常磁性ナノ粒子」の磁化に比例していることから、前記磁化が「超常磁性ナノ粒子」のエコー信号を画像化している、すなわち該磁化が、検出されるRF磁界を誘起するようにしているといえる。 よって、引用発明の「磁場におけるRF場の印加時に、電子スピン共鳴を用いて」「前記超常磁性ナノ粒子を加熱」し、「さらに」、「ESR」の「方法を用いて、前記細胞、組織、または分子を画像化する」ことは、本願発明の「電子常磁性共鳴は、単磁区酸化鉄粒子の磁化に比例しており、該磁化は、検出されるRF磁界を誘起するようにした」ことに相当するといえる。 第6 本願発明と引用発明の一致点・相違点 1 一致点 してみると、本願発明と引用発明は、次の点で一致する。 (一致点) 「物品にあるタグを活性化する方法であって、 タグは、酸化鉄を含む単磁区ナノ粒子を含むものであり、 物体について、静磁場を発生することと、 物体について、物体中の単磁区粒子の電子常磁性共鳴(EPR)を生じさせる周波数でRFエネルギーを発生し、前記電子常磁性共鳴によってタグの活性化を生じさせることと、を含み、 電子常磁性共鳴は、単磁区酸化鉄粒子の磁化に比例しており、該磁化は、検出されるRF磁界を誘起するようにした、方法。」 2 相違点 また、本願発明と引用発明は、次の点で相違する。 (1)相違点1 単磁区ナノ粒子は、本願発明では、「5?80nmの範囲の直径」を有するのに対し、引用発明では「約100nm未満の少なくとも1つの寸法」を有する点。 (2)相違点2 静磁場が、本願発明では、「0.1テスラ未満」であるのに対し、引用発明では、この点につき特定していない点。 第7 当審の判断 1 上記相違点について検討する。 (1)相違点1ついて 単磁区ナノ粒子を「5?80nmの範囲の直径」にすることについて、本願明細書には、「【0046】 本願の実施形態において、用語「ナノ粒子」を用いた場合、1nm?1000nmの範囲の限界寸法、例えば、直径を有する粒子を参照している。」と記載されていることを踏まえても、5nm及び80nmに臨界的な意味は認められない。 一方、引用例の上記引4において、「ここで用いる用語”ナノ粒子”は、・・・より好ましくは 約50 or 20 nm以下の少なくとも1つの寸法を有し」と記載されている。 よって、引用発明において、単磁区ナノ粒子の「約100nm未満の少なくとも1つの寸法」を、「5?80nmの範囲の直径」に特定し、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に為し得たことである。 (2)相違点2ついて 電子常磁性共鳴を用いる際の静磁場を、0.1テスラ未満にすることは、原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-90435号公報(特に、段落【0004】を参照。)、特開2008-61940号公報(特に、【請求項9】、【請求項10】を参照。)、国際公開第2006/080417号(特に、段落[0017]、[0049]を参照。)などに記載されているように、周知の技術である。 また、電子常磁性共鳴を用いる際、物体へのより深い浸透を求めて、低いRF周波数及び低い静磁場(例えば、0.1テスラ以下)を用いることは、例えば、特表2002-512376号公報(特に、段落【0056】を参照。)などに記載されているように、本願の優先権主張当時の技術常識にすぎない。 してみると、引用発明において、物体内部の「超常磁性ナノ粒子を加熱」し、「さらに」、「細胞、組織、または分子を画像化する」ために、上記周知の技術及び上記技術常識に鑑み、電子常磁性共鳴を用いる際の静磁場を、0.1テスラ未満にし、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に為し得たことである。 2 本願発明の奏する作用効果 そして、本願発明によってもたらされる作用効果は、引用例に記載された事項、上記周知技術、及び上記技術常識にから当業者が予測し得る程度のものである。 3 まとめ してみると、本願発明は、引用発明、上記周知技術、及び上記技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第8 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-03-01 |
結審通知日 | 2016-03-08 |
審決日 | 2016-03-22 |
出願番号 | 特願2011-528370(P2011-528370) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 比嘉 翔一 |
特許庁審判長 |
郡山 順 |
特許庁審判官 |
▲高▼見 重雄 ▲高▼場 正光 |
発明の名称 | 単磁区ナノ粒子の磁気共鳴イメージング |
代理人 | 山田 卓二 |
代理人 | 田中 光雄 |
代理人 | 竹内 三喜夫 |