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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60C
管理番号 1328298
審判番号 不服2016-5832  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-19 
確定日 2017-05-11 
事件の表示 特願2011-213232号「空気入りタイヤ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月22日出願公開、特開2013- 71669号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年9月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年8月26日付け :拒絶理由の通知
平成27年9月25日 :意見書、手続補正書の提出
平成28年2月23日付け :拒絶査定
平成28年4月19日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成28年4月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年4月19日にされた手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
平成28年4月19日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであって、請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。

(補正前の請求項1)
「少なくとも一方のタイヤサイド部に、タイヤ径方向に長手状に延在し、長手状に延在する方向に沿う面がタイヤ周方向に向くタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面とを有して形成された凸部が、タイヤ周方向に間隔をおいて複数配置された空気入りタイヤにおいて、
前記凸部のタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面とのうちの少なくともタイヤ回転方向前側の面の表面に凹設され、その開口外縁が前記凸部の表面で連続する1つの面上に形成された複数の凹部を備えることを特徴とする空気入りタイヤ。」

(補正後の請求項1)
「少なくとも一方のタイヤサイド部に、タイヤ径方向に長手状に延在し、長手状に延在する方向に沿う面がタイヤ周方向に向くタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面とを有して形成された凸部が、タイヤ周方向に間隔をおいて複数配置された空気入りタイヤにおいて、
前記凸部のタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面との双方の表面に凹設され、その開口外縁が前記凸部の表面で連続する1つの面上に形成された複数の凹部を備えることを特徴とする空気入りタイヤ。」

2.補正の適否
(1)新規事項の追加の有無、シフト補正の有無、及び補正の目的の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「複数の凹部」について、本願の願書に最初に添付された明細書の段落【0053】、【0054】及び図10、11等の記載を根拠に、「前記凸部のタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面との『双方の表面に』凹設され」との限定を付加するものであるから、発明特定事項を限定するものであって、新規事項を追加するものではなく、また、補正前後において発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとともに、特許法第17条の2第3項に適合するものである。
また、上記補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たすものである。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下検討する。

(2)独立特許要件
ア.引用例の記載事項
(ア)引用例1の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示された特開2009-160989号公報(以下、「引用例1」という。)には、「空気入りタイヤ」に関し、以下の事項が記載されている(下線部は当審で付与。以下同様。)。

a.「【0027】
図1?図3に示すように、空気入りタイヤ1は、ビードコア3a、ビードフィラー3b及びビードトゥ3cを少なくとも含む一対のビード部3と、該ビードコア3aで折り返すカーカス層5とを備えている。
【0028】
このカーカス層5の内側には、チューブに相当する気密性の高いゴム層であるインナーライナー7が設けられている。また、カーカス層5のトレッド幅方向外側、すなわち、サイドウォール部におけるタイヤ表面9(タイヤサイド表面)には、乱流を発生させる乱流発生用突起11が設けられている。」

b.「【0029】
カーカス層5のタイヤ径方向外側には、路面と接するトレッド部13が設けられている。また、カーカス層5とトレッド部13との間には、トレッド部13を補強する複数のベルト層15が設けられている
(乱流発生用突起の構成)
次に、乱流発生用突起11の構成について、図1?図5を参照しながら説明する。なお、図4は、本実施の形態に係る乱流発生用突起を示す上面図であり、図5は、本実施の形態に係る乱流発生用突起の延在方向に略直交する断面図である。
【0030】
図1?図5に示すように、乱流発生用突起11は、タイヤ径方向へ向けて直線状で延在している。この乱流発生用突起11は、延在方向(すなわち、略タイヤ径方向)に略直交する断面形状が略四角形で形成されている。」

c.「【0052】
図5に示すように、上述した突起高さを“h”、互いに隣接する乱流発生用突起11同士の間隔のピッチを“p”、突起幅を“w”としたときに、1.0≦p/h≦20.0、かつ、1.0≦(p-w)/w≦100.0の関係を満たすことが好ましい。」

d.「【0056】
[乱流発生用突起の変形例]
上述した実施形態に係る乱流発生用突起11は、延在方向(すなわち、略タイヤ径方向)に略直交する断面形状が略四角形で形成されているものとして説明したが、以下のように変形してもよい。
【0057】
(変形例1)
まず、乱流発生用突起11の変形例1について、図6を参照しながら説明する。図6は、変形例1に係る乱流発生用突起11を示すトレッド幅方向断面図である。
【0058】
図6(a)?図6(c)に示すように、乱流発生用突起11は、部分の劣化によるクラックの発生を防止するために、延在方向(すなわち、略タイヤ径方向)に略直交する断面形状が略台形で形成されている。
【0059】
なお、この断面形状において、乱流発生用突起11の一方の側面とタイヤ表面9との傾斜角度θa、及び、乱流発生用突起11の他方の側面とタイヤ表面9との傾斜角度θbは、必ずしも同じ角度である必要はない。
【0060】
(変形例2)
次に、乱流発生用突起11の変形例2について、図7を参照しながら説明する。図7は、変形例2に係る乱流発生用突起11を示すトレッド幅方向断面図である。
【0061】
図7(a)及び図7(b)に示すように、乱流発生用突起11は、略四角形である場合と比べて、下側辺の寸法や剛性を確保しつつ、ゴムの使用量を減らすために、延在方向(すなわち、略タイヤ周径方向)に略直交する断面形状が略三角形で形成されている。
【0062】
なお、この断面形状において、乱流発生用突起11の一方の側面とタイヤ表面9との傾斜角度θc、及び、乱流発生用突起11の他方の側面とタイヤ表面9との傾斜角度θdは、必ずしも同じ角度である必要はない。」

e.「【0068】
図9(a)及び図9(b)に示すように、乱流発生用突起17は、延在方向(すなわち、略タイヤ径方向)に略直交する断面形状が略四角形で形成されている。この乱流発生用突起17には、乱流発生用突起17自体の放熱率を高めるために、延在方向に略直交する方向(すなわち、略タイヤ周方向)に貫通する貫通孔21が形成されている。
【0069】
なお、貫通孔21が形成される乱流発生用突起11では、必ずしも延在方向に略直交する断面形状が略四角形である必要はなく、例えば、図9(c)に示すように、略台形であってもよく、図9(d)に示すように、略三角形であってもよく、図9(e)に示すように、段差19を有する段付き形状であってもよい。」(審決注:段落【0069】の記載及び図9(a)、(b)から、段落【0068】の「乱流発生用突起17」は「乱流発生用突起11」の誤記と認める。)

そして、上記記載事項より以下の事項が認定できる。
f.上記c.(段落【0052】)には、「隣接する乱流発生用突起11同士の間隔のピッチを“p”」と記載されており、併せて図1、2、5を参照すると、乱流発生用突起11は、タイヤ周方向に間隔をおいて複数配置されているものと認められる。

これらの記載事項a.?e.、認定事項f.及び図面内容を総合し、本願補正発明の発明特定事項に倣って整理すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「サイドウォール部におけるタイヤ表面9に、タイヤ径方向に向けて直線状で延在し、延在方向に略直交する断面形状が略三角形で形成されている乱流発生用突起11が、タイヤ周方向に間隔をおいて複数配置された空気入りタイヤ1。」

(イ)引用例2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として示された特開2006-256433号(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

a.「【0011】
空気入りラジアルタイヤ1のタイヤ最大幅の半径方向上方域のバットレス部4には、タイヤ周方向に延びる凸状のプロテクタ5が形成されている。プロテクタ5の表面には、図2に示すように、多数の半球状又は半楕円球状の窪み(図では半球状の窪み6)が形成されている。
【0012】
これにより、凸状のプロテクタ5が縁石擦れなどによるタイヤの損傷を防止すると共に、プロテクタ5に形成した多数の半球状又は半楕円球状の窪み(以下、半球状の窪み6という)がプロテクタ5の表面積を増加させることにより、プロテクタ5の近傍に蓄積された熱を効率良く外部に発散させてタイヤの耐久性の低下を最小限に抑制することができる。しかも、半球状の窪み6は応力を集中させ難いので、プロテクタ5に加わる応力を分散させてクラックの発生を抑制することができる。」

イ.発明の対比
(ア)本願補正発明と引用発明とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、引用発明の「サイドウォール部におけるタイヤ表面9」は本願補正発明の「少なくとも一方のタイヤサイド部」に相当し、以下同様に、「乱流発生用突起11」は「凸部」に、「空気入りタイヤ1」は「空気入りタイヤ」に、それぞれ相当する。

(イ)引用発明の「乱流発生用突起11」の「タイヤ径方向に向けて直線状で延在し」という構成は、本願補正発明の「凸部」の「タイヤ径方向に長手状に延在し」という構成に相当する。
また、引用発明の「乱流発生用突起11」は、「延在方向に略直交する断面形状が略三角形で形成されている」ものであり、併せて図1、2、7を参照すると、「乱流発生用突起11」は、長手状に延在する方向に沿う面がタイヤ周方向に向くタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面とを有して形成されたものと認められる。
したがって、引用発明の「乱流発生用突起11」の「タイヤ径方向に向けて直線状で延在し、延在方向に略直交する断面形状が略三角形で形成されている」という構成は、本願補正発明の「凸部」の「長手状に延在する方向に沿う面がタイヤ周方向に向くタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面とを有して形成された」という構成に相当する。
以上から、引用発明の「サイドウォール部におけるタイヤ表面9に、タイヤ径方向に向けて直線状で延在し、延在方向に略直交する断面形状が略三角形で形成されている乱流発生用突起11が、タイヤ周方向に間隔をおいて複数配置された」という構成は、本願補正発明の「少なくとも一方のタイヤサイド部に、タイヤ径方向に長手状に延在し、長手状に延在する方向に沿う面がタイヤ周方向に向くタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面とを有して形成された凸部が、タイヤ周方向に間隔をおいて複数配置された」という構成に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「少なくとも一方のタイヤサイド部に、タイヤ径方向に長手状に延在し、長手状に延在する方向に沿う面がタイヤ周方向に向くタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面とを有して形成された凸部が、タイヤ周方向に間隔をおいて複数配置された空気入りタイヤ。」

そして、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で相違している。
<相違点>
「凸部」に関し、
本願補正発明では、「前記凸部のタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面との双方の表面に凹設され、その開口外縁が前記凸部の表面で連続する1つの面上に形成された複数の凹部を備える」のに対し、
引用発明では、そのように特定されていない点。

ウ.相違点の検討
(ア)相違点について
上記ア.(イ)a.の記載事項及び図面内容を総合すると、引用例2には、以下の技術的事項(以下、「引用例2に記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「凸状のプロテクタ5の表面に多数の半球状の窪み6が形成されている空気入りラジアルタイヤ1。」

本願補正発明と引用例2に記載の技術的事項とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、引用例2に記載の技術的事項の「多数の半球状の窪み6」、「空気入りラジアルタイヤ1」は、本願補正発明の「複数の凹部」、「空気入りタイヤ」にそれぞれ相当する。
また、引用例2に記載の技術的事項の「凸状のプロテクタ5」と、本願補正発明の「前記(少なくとも一方のタイヤサイド部に、タイヤ径方向に長手状に延在し、長手状に延在する方向に沿う面がタイヤ周方向に向くタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面とを有して形成された)凸部」は、「凸部」という限度で一致する。
そして、上記ア.(イ)a.(段落【0012】)に「しかも、半球状の窪み6は応力を集中させ難いので、プロテクタ5に加わる応力を分散させてクラックの発生を抑制することができる。」と記載されており、併せて図2、3等を参照すると、凸状のプロテクタ5に加わる応力を分散させることを意図する、引用例2に記載の技術的事項の「多数の半球状の窪み6」は、その開口外縁が凸状のプロテクタ5の表面で連続する1つの面上に形成されているものと認められる。
したがって、引用例2には、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項のうちの、「凸部の表面に凹設され、その開口外縁が前記凸部の表面で連続する1つの面上に形成された複数の凹部を備える」という技術的事項が記載されているものと認められる。

ここで、上記ア.(イ)a.(段落【0012】)に「プロテクタ5に形成した多数の半球状又は半楕円球状の窪み(以下、半球状の窪み6という)がプロテクタ5の表面積を増加させることにより、プロテクタ5の近傍に蓄積された熱を効率良く外部に発散させて」と記載されるように、引用例2に記載の技術的事項は、凸状のプロテクタ5に多数の半球状の窪み6を形成することで、凸状のプロテクタ5の表面積を増加させて凸状のプロテクタ5の放熱性を高めるというものである。
一方、上記ア.(ア)e.(段落【0068】)に「この乱流発生用突起17には、乱流発生用突起17(審決注:「乱流発生用突起11」の誤記と認める。)自体の放熱率を高めるために、延在方向に略直交する方向(すなわち、略タイヤ周方向)に貫通する貫通孔21が形成されている。」と記載され、上記ア.(ア)e.(段落【0069】)に「なお、貫通孔21が形成される乱流発生用突起11では、必ずしも延在方向に略直交する断面形状が略四角形である必要はなく、・・・図9(d)に示すように、略三角形であってもよく」と記載されるように、引用文献1には、引用発明の「延在方向に略直交する断面形状が略三角形で形成されている乱流発生用突起11」の放熱性を高めることが望ましい旨記載されている。すなわち、引用発明は、「乱流発生用突起11」の放熱性を高めるという技術的課題を内在しているといえる。
そして、一般に、特定の技術的課題を解決するために、当該課題の解決に資する技術の具体的適用に伴う設計変更を行うことは当業者の通常の創作能力の発揮であるから、放熱性を高めるという技術的課題を解決すべく、当該課題の解決に資する引用文献2に記載の技術的事項を、引用発明に適用する動機付けは十分にあるものといえる。
してみれば、引用発明の「乱流発生用突起11」の放熱性を高めるべく、引用例2に記載の技術的事項を引用発明の「乱流発生用突起11」に適用し、乱流発生用突起11の表面に凹設され、その開口外縁が乱流発生用突起11の表面で連続する1つの面上に形成された複数の凹部を備えるように構成することは、当業者にとって格別の困難性を要するものではない。
また、その際には、乱流発生用突起11の表面積を増加させて放熱性を高めるという効果を十分に確保すべく、乱流発生用突起11のタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面との双方の表面に複数の凹部を凹設するのが自然である。

(イ)そして、空気の流れを受ける面である乱流発生用突起11(凸部)のタイヤ回転方向前側の面に、複数の凹部を凹設すれば、サイドウォール部(タイヤサイド部)の冷却効率が向上することは当業者であれば容易に予測し得る事項である。
また、例えば、特開平6-80003号公報(段落【0005】及び図1等参照)や特開平4-297310号公報(段落【0010】及び図1、2等参照)に記載されるように、タイヤ表面に凹設した複数の凹部により空気抵抗低減効果が得られることは、かかる技術分野における従来周知の技術的事項であって、技術常識ともいうべきであるから、空気の流れを通す面である乱流発生用突起11(凸部)のタイヤ回転方向後側の面に、複数の凹部を凹設すれば、空気抵抗低減効果が得られることは当業者であれば容易に予測し得る事項である。
したがって、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例2に記載の技術的事項及び従来周知の技術的事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。

エ.まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用例2に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成27年9月25日にされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、かかる請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 1.(補正前の請求項1)」に記載されたとおりのものである。

第4 引用例とその記載事項等
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及び2、その記載事項、引用例1に記載された発明及び引用例2に記載の技術的事項は、上記「第2 2.(2)ア.」に記載したとおりである。

第5 当審の判断
本願補正発明は、本願発明の「前記凸部のタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面とのうちの『少なくともタイヤ回転方向前側の面の表面』に凹設され、その開口外縁が前記凸部の表面で連続する1つの面上に形成された複数の凹部を備える」との発明特定事項を、「前記凸部のタイヤ回転方向前側の面とタイヤ回転方向後側の面との『双方の表面』に凹設され、その開口外縁が前記凸部の表面で連続する1つの面上に形成された複数の凹部を備える」との発明特定事項に置き換えたものである。すなわち、本願補正発明は、本願発明の発明特定事項を含み、さらに他の限定を付加したものに相当する。
そして、本願発明の発明特定事項を含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本願補正発明は、上記「第2 2.(2)ウ.エ.」で述べたとおり、引用発明及び引用例2に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうすると、本願発明も同様の理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-10 
結審通知日 2017-03-14 
審決日 2017-03-29 
出願番号 特願2011-213232(P2011-213232)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳楽 隆昌  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 和田 雄二
森林 宏和
発明の名称 空気入りタイヤ  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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