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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G09G 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G09G 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 G09G 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09G 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G09G |
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管理番号 | 1328696 |
審判番号 | 不服2015-14907 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-08-07 |
確定日 | 2017-06-13 |
事件の表示 | 特願2013-183133「表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月12日出願公開、特開2013-250581、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成14年2月27日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2001年2月27日、米国)に出願した特願2002-568092号(以下「親出願」という。)の一部を平成20年10月22日に新たな特許出願とした特願2008-272107号の一部をさらに平成24年3月12日に新たな特許出願とした特願2012-54289号の一部をさらに平成25年9月4日に新たな特許出願としたものであって、平成26年6月9日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月17日付けで意見書が提出されるとともに同時に手続補正がされ、平成27年3月31日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年8月7日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、その後、当審において、平成28年8月17日付けで拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由1」という。)がされ、平成29年2月22日付けで意見書が提出されるとともに同時に手続補正がされ、同年4月7日付けで再度拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由2」という。)がされ、同年4月28日付けで意見書が提出されるとともに同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 1 理由2(特許法第29条の2)について 引用文献1等には、入力された画像信号に基づき領域毎にバックライト輝度を変調すると共に、該変調に対応してLCDを変調してなる表示制御装置に関する発明が記載されている。 してみると、上記請求項に係る発明と、引用文献1等に記載された発明とは、実質的に同一である。 また、請求項2?14に記載された構成は、単なる設計的事項にすぎない。 2 理由3,4(特許法第29条第1項第3号,特許法第29条第2項)について 引用文献2、引用文献3又は引用文献4には、入力された画像信号に基づき領域毎にバックライト輝度を変調すると共に、該変調に対応してLCDを変調してなる表示制御装置に関する発明が記載されている。 してみると、請求項1に係る発明と、引用文献2乃至4に記載された発明とは、技術的な構成において特段の相違を有していない。 また、請求項2?14に記載された構成なども、単なる、設計的事項にすぎないと認められる。 3 理由5(特許法第36条第6項第2号)について ・請求項1?14について 請求項1を、「前記表示制御装置は、更に、色、所望の画像の空間的に変調された近似画像、及び所望の画像に基づいて前記第2制御信号を生成し、前記第2制御信号を用いて、近似画像をさらに変調して、前記一次変調パネルにおいて得られる画像を所望の画像に近づけるように構成されている」と補正したが、依然として「色」とは何であり、何によってどのように利用されているのかなど不明である。 引用文献等一覧 1.特願2000-287499号(特開2002-099250号) 2.特開平10-282470号公報 3.特開平09-189893号公報 4.特開2000-321571号公報 第3 当審拒絶理由の概要 1 当審拒絶理由1の概要は次のとおりである。 (1)特許法第44条第1項に規定する要件について 本願は、特願2002-568092号、特願2008-272107号、特願2012-54289号、特願2013-183133号(本願)の順に、分割されてきたものである。 ここで、本願と特願2008-272107号(以下「原出願1」という。)、特願2012-54289号(以下「原出願2」という。)との関係について、特許法第44条第1項に規定する要件(以下、単に「分割要件」という。)を満たしているか否かを検討する。 ア 本願と原出願1について (ア)本願明細書の「投射」という用語について 原出願1の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「原出願1の出願当初明細書等」という。)には、「投射」という用語が従来技術に対して用いられているものの、それ以外には「投射」という用語は用いられていない。 原出願1の出願当初明細書等において、「投影」は「第1の光変調器によって変調された光を第2の光変調器上に結像する」こと、すなわち、「第の光変調器」による画像を「第2の光変調器」に画像として結像することを意味するものと解釈されるところ、本願明細書の「投射」が、「第1の光変調器によって変調された光を第2の光変調器上に結像する」ことは異なる意味を有する余地があるので、「投射」は原出願1の出願当初明細書等には記載されていない事項を含むものである。 よって、本願明細書は、原出願1の出願当初明細書等に記載されていない事項を含むものであるから、原出願1の出願当初明細書等に記載した事項の範囲内でなく、分割要件を満たしていない。 (イ)本願発明1の「所望の画像の空間的に変調された近似画像を表す、バックライトの第1制御信号を生成する」ことについて 「所望の画像の空間的に変調された近似画像を表す、バックライト」は、原出願1の出願当初明細書等の「第1の光変調器16」に対応するものと認められる。また、原出願1の出願当初明細書等には、「第1の光変調器16」の画像を「第2の光変調器20」に投影する(結像する)ことが記載されているのみである。 一方、「バックライト」という記載自体は、「第1の光変調器16」と「第2の光変調器20」等とが投影光学系(結像光学系)を介さずに、近接配置されている構成が想起されることが通常である。 すると、「所望の画像の空間的に変調された近似画像を表す、バックライトの第1制御信号を生成する」ことは、原出願1の出願当初明細書等に記載されたものではない。 (ウ)本願発明1の「前記バックライトは、前記一次変調パネルの変調よりも粗い強度ステップ及び低い分解能で調整され、前記バックライトの隣接する画素間の光の混合は、前記近似画像を一つの画素からその隣の画素へ円滑に変化させ、前記バックライトは、半値全幅が0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲にあ」る「分布関数を備え、d_(2)は光源間の距離である」ことについて 原出願1の出願当初明細書等の【0047】には、「第1の光変調器16」自体が0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅であることではなく、「第1の光変調器16」の画像が「第2の光変調器20」等に投影(結像)されたときに、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅となることが記載されている。 すると、本願発明1の「前記バックライトは、前記一次変調パネルの変調よりも粗い強度ステップ及び低い分解能で調整され、前記バックライトの隣接する画素間の光の混合は、前記近似画像を一つの画素からその隣の画素へ円滑に変化させ、前記バックライトは、半値全幅が0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲にあ」る「分布関数を備え、d_(2)は光源間の距離である」ことは、原出願1の出願当初明細書等に記載されたものではない。 (エ)本願発明2?14は本願発明1の構成をすべて含むものであるから、本願発明1と同様である。 よって、本願発明1?14は、原出願1の出願当初明細書等に記載されていない事項を含むものであるから、原出願1の出願当初明細書等に記載した事項の範囲内でなく、分割要件を満たしていない。 イ 本願と原出願2について 本願発明1の「バックライトは、半値全幅が」「1.0×d_(2)よりも小さい分布関数を備え、d_(2)は光源間の距離である」ことについて 原出願2の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「原出願2の出願当初明細書等」という。)のには、分布関数の半値全幅の上限が1.0×d_(2)であることは記載されていない。 図7においても、分布関数の半値全幅の上限が1.0×d_(2)であることは記載されていない。 したがって、本願発明1の「バックライトは、半値全幅が」「1.0×d_(2)よりも小さい分布関数を備え、d_(2)は光源間の距離である」ことは、原出願2の出願当初明細書等に記載されていない。 本願発明2?14は本願発明1の構成をすべて含むものであるから、本願発明1と同様である。 よって、本願発明1?14は、原出願2の出願当初明細書等に記載されていない事項を含むものであるから、原出願2の出願当初明細書等に記載した事項の範囲内でなく、分割要件を満たしていない。 ウ まとめ 以上のとおり、本願は分割要件を満たしておらず、本願について出願日の遡及は認められないものであるから、本願の出願日は平成25年9月4日である。 (2)理由1(委任省令要件) 本願明細書において、「投影」と「投射」の定義が不明であるので、「投影」と「投射」の関係が不明である よって、この出願の発明の詳細な説明は、本願発明1?14について、特許法第36条第4項第1号の経済産業省令で定めるところによる記載がされていない。 (3)理由2(サポート要件) ア 本願発明1?14は「表示制御装置」であるから、プロジェクタでない表示制御装置も含むものである。 しかしながら、本願明細書、図面にも、プロジェクタ以外の表示制御装置については具体的な記載はない。 したがって、本願発明1?14のプロジェクタ以外の表示制御装置を含むことは、発明の詳細な説明に記載したものでない。 イ 近似画像、バックライト、光源について 本願発明1の「所望の画像の空間的に変調された近似画像を表す、バックライトの第1制御信号を生成するとともに、」「前記バックライトは、前記一次変調パネルの変調よりも粗い強度ステップ及び低い分解能で調整され、前記バックライトの隣接する画素間の光の混合は、前記近似画像を一つの画素からその隣の画素へ円滑に変化させ、前記バックライトは、半値全幅が0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲にあり、かつ1.0×d_(2)よりも小さい分布関数を備え、d_(2)は光源間の距離である」ことは、発明の詳細な説明に記載したものでない。 本願発明2?14は本願発明1の構成をすべて含むものであるから、本願発明1と同様である。 ウ よって、本願発明1?14は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (4)理由3(明確性) 本願発明1の「バックライト」と「光源」との関係が不明である。 また、「バックライト」という記載自体から想起される技術事項においては通常「画像」は生成されないものであり、本願明細書にも、「バックライト」という記載もないから、「近似画像」が何であるのか不明である。さらに、「近似画像」と関連した構成である「第1制御信号」、「第2制御信号」、「分布関数」も不明である。 本願発明2?14は本願発明1の構成をすべて含むものであるから、本願発明1と同様である。 よって、本願発明1?14は明確ではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (5)理由4(新規性)及び理由5(進歩性) ア 本願発明1 (ア)本願発明1は、引用文献1記載の表示装置と差異のないものか、差異があるとしても格別のものではない。 (イ)よって、本願発明1は、引用文献2記載の液晶表示装置と差異のないものか、差異があるとしても格別のものではない。 (ウ)本願発明1は、引用文献3記載の液晶プロジェクタと差異のないものか、差異があるとしても格別のものではない。 (エ)本願発明1は、引用文献4記載の液晶プロジェクタと差異のないものか、差異があるとしても格別のものではない。 イ 本願発明2?14 本願発明2?14の発明特定事項は、いずれも引用文献1?4のいずれかに記載されているか、周知技術の付加にすぎないか、設計事項にすぎないので、引用文献1?4に記載されているか、引用文献1?4に記載された発明に基いて当業者が容易に想到し得たことである。 ウ したがって、本願発明1?14は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明1?14は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2002-99250号公報 2.特開平10-282470号公報 3.特開平9-189893号公報 4.特開2000-321571号公報 2 当審拒絶理由2の概要は次のとおりである。 本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (1)本件の特許請求の範囲の請求項1には、構成要件としての「第1、2の空間光変調器」がなく、発明の構成が不明確である。 また、請求項1の「・・・て、光が前記第1の空間光変調器の画素を横断する際に、前記近似画像が一つの画素からその隣の画素へ円滑に変化し」は、「第1の空間光変調器」の特定事項としては整合しない記載である。 (2)請求項4、8の「分解能は同一」は引用する請求項1の構成と整合しない、請求項1の実施形態とは別の実施形態に係る発明特定事項である。 (3)請求項7の「主に反射」は不明確な記載である。 (4)請求項8の「オン及びオフ時間を変化させるパルス幅変調」は引用する請求項1の構成と整合しない、不明確な発明特定事項である。 (5)請求項9の「前記光は、前記第2の空間光変調器の後側かつ端部の外側から発生している」及び請求項10の「前記光は、前記第2の空間光変調器の後側かつ外周の外側から発生している」は不明確な記載であり、また、引用する請求項1の構成と整合しない、請求項1の実施形態とは別の実施形態に係る発明特定事項である。 第4 本願発明 本願請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、平成29年4月28日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし7は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 表示装置であって、該表示装置は、 第1の空間光変調器と、 第2の空間光変調器と、 所望の画像の空間的に変調された近似画像を形成する前記第1の空間光変調器を制御するための第1制御信号を生成するとともに、前記第1の空間光変調器によって形成された前記空間的に変調された近似画像が投影される前記第2の空間光変調器のための第2制御信号を生成するように構成された制御装置とを備え、前記制御装置は、更に、前記第2の空間光変調器の画素値の色部分、所望の画像の空間的に変調された近似画像、及び所望の画像に基づいて前記第2制御信号を生成し、前記第2制御信号を用いて、近似画像をさらに変調して、前記第2の空間光変調器において得られる画像を所望の画像に近づけるように構成されており、 前記制御装置は、所望の輝度値を、前記第2の空間光変調器の対応する画素上の、前記第1の空間光変調器から入射する既知の光の強度で除算することを含む処理によって前記第2制御信号を生成するように構成されており、 前記第1の空間光変調器は、前記第2の空間光変調器よりも粗い段階で強度が調節され、 前記第1の空間光変調器は、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する分布関数(d_(2)は画素間の中心から中心までの距離である)に従う強度プロフィールを有する複数の画素を備え、 表示装置は更に、 拡散器と、 前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系と を備える表示装置。 【請求項2】 前記第2の空間光変調器は、LCDパネルであり、前記近似画像は、前記第1の空間光変調器における個別に制御された複数の画素からの光を含む、請求項1に記載の表示装置。 【請求項3】 前記第2の空間光変調器は、デジタル・ビデオ・プロジェクタに配置されている、請求項1に記載の表示装置。 【請求項4】 前記第2の空間光変調器は、パネル型変調器を含み、前記パネル型変調器は、前記画素値の色部分に対応する複数のサブ画素を含むLCDパネルを含み、前記第1の空間光変調器は、異なるタイプの変調器により生成される、請求項1に記載の表示装置。 【請求項5】 前記個別に制御された複数の画素と、前記第2の空間光変調器との間には、前記拡散器が配置され、前記拡散器は、前記所望の画像の近似画像を、前記第2の空間光変調器において滑らかに変化させる、請求項2に記載の表示装置。 【請求項6】 前記個別に制御された複数の画素からの光は、前記第2の空間光変調器に向かって反射される光を含む、請求項5に記載の表示装置。 【請求項7】 前記第2の空間光変調器及び前記第1の空間光変調器は、デジタル・ビデオ・プロジェクタを含むディスプレイに配置されており、前記制御装置は、前記第2の空間光変調器の変調よりも粗い強度ステップで前記第1の空間光変調器を調整するように構成された第1制御信号を生成するように構成されており、前記第1の空間光変調器は、前記第1制御信号に従って、前記複数の画素をオン及びオフすることにより前記複数の画素の輝度レベルを生成する可変ミラー装置を含む、請求項1に記載の表示装置。」 第5 引用文献及び引用発明等(原査定の引用文献1ないし4は、当審拒絶理由1の引用文献1ないし4とそれぞれ同じ文献であるが、引用文献1は、原査定では特許法第29条の2に基づく拒絶理由の先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載を示すための参考文献として引用され、当審拒絶理由1では、本願が分割要件を満たしていないことから、特許法第29条第1項第3号及び同第2項に基づく拒絶理由の引用文献として用いられたものである。) 1 引用文献1 (1)原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由1に引用された引用文献1(先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載と同内容)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0024】(実施形態1)図1は、本実施形態の表示装置本体の構成例を示した図である。表示装置本体は、透過型液晶ライトバルブ(LCD11)と背面照明装置(バックライト12)から構成されており、LCD背面からの照明により画像が表示される。 【0025】LCD11、バックライト12は各々複数の領域に分割されており、LCD11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御される。バックライト12においては、LCD12の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われる。本実施形態においては、図2に示すように、LCD11を6×8領域(図2(a))、バックライト12を3×4領域に分割した(図2(b))。便宜上、LCD11における領域を(i,j)、バックライト12における領域を[i,j]で示す。」 イ 「【0050】図14は、バックライト12の断面構造を示した図である。本例においては、通常の直下型バックライト構造と同様に、反射板の上方に冷陰極蛍光管を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、蛍光管直下に白色のLEDチップ103を配置している。」 ウ 図1及び14は次のものである。 (2)上記(1)によれば、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「透過型液晶ライトバルブ(LCD11)と、 反射板の上方に冷陰極蛍光管を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、蛍光管直下に白色のLEDチップ103を配置している背面照明装置(バックライト12)から構成されており、LCD背面からの照明により画像が表示される表示装置。」 2 引用文献2 (1)原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由1に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0008】まず図1に本発明に係る液晶モデュールの構成断面図を示す。図1において、1は出射側偏光板、2はガラス基板、3はカラーフィルター、4は透明電極、5は液晶層、6は透明電極、7は各画素に付随した薄膜トランジスター(TFT)、8はガラス基板、9は入射側偏光板であり、出射側偏光板1から、入射側偏光板9により、液晶パネルが構成される。10は、光源と導光板を含むバックライト、11は反射板を示している。 【0009】次に図2に本発明に係る液晶表示装置の斜視図を示す。図2において、12は、液晶パネル、13は光源と導光板を含むバックライト、14は反射板であり、15は表示すべき情報のメモリーおよび演算回路、16は液晶パネルへの結線、17はバックライトの輝度切り替え回路、18は情報のメモリーおよび演算回路15からバックライトの輝度切り替え回路17への結線、19はバックライトの輝度切り替え回路17からバックライトへの結線を示している。」 イ 図1及び2は次のものである。 (2)上記(1)によれば、上記引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「出射側偏光板1、ガラス基板2、カラーフィルター3、透明電極4、液晶層5、透明電極6、各画素に付随した薄膜トランジスター(TFT)7、ガラス基板8、入射側偏光板9、出射側偏光板1から入射側偏光板9により構成される液晶パネル12、反射板11、光源と導光板を含むバックライト13、反射板14、表示すべき情報のメモリーおよび演算回路15、液晶パネルへの結線16、バックライトの輝度切り替え回路17、情報のメモリーおよび演算回路15からバックライトの輝度切り替え回路17への結線18、バックライトの輝度切り替え回路17からバックライトへの結線19からなる液晶表示装置。」 3 引用文献3 (1)原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由1に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0007】 【発明の実施の形態】次に、本発明について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態の一例を示すブロック図である。図1において、輝度調整用液晶パネル3は全面の透過率を同様に変化させることができる液晶シャッターである。映像表示用液晶パネル2は一般に多く使われているドットマトリクス型液晶パネルである。A/D変換器4は映像信号をデジタル値に変換する。フレームバッファ5は映像信号を1フレーム分溜めることができる。また、フレームバッファ5には、最大輝度値検出器6が接続されており1フレーム内の最大輝度値を検出する。除算器7は、フレームバッファ5が出力するデータを除算する事ができる。V/T変換器8は、液晶の透過率と電圧の関係を直線的に補正する。D/A変換器9は、デジタル値をアナログ値に変換する。」 イ 図1は次のものである。 (2)上記(1)によれば、上記引用文献3には次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。 「全面の透過率を同様に変化させることができる液晶シャッターである輝度調整用液晶パネル3、ドットマトリクス型液晶パネルである映像表示用液晶パネル2、映像信号をデジタル値に変換するA/D変換器4、映像信号を1フレーム分溜めることができるフレームバッファ5、前記フレームバッファ5に接続されており1フレーム内の最大輝度値を検出する最大輝度値検出器6、前記フレームバッファ5が出力するデータを除算する事ができる除算器7、液晶の透過率と電圧の関係を直線的に補正するV/T変換器8、デジタル値をアナログ値に変換するD/A変換器9からなる液晶プロジェクタ。」 4 引用文献4 (1)原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由1に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0015】本発明の実施の形態の液晶表示装置は、液晶ディスプレイ108と、液晶ディスプレイ108を背面から照射するバックライトの光源106と、放送波を受信するアンテナ101と、受信した放送波をビデオ信号に変換する復調回路102と、復調回路102から出力されるビデオ信号の映像信号を指示されたタイミングパルスにより光源(106)の配置に対応して水平映像期間をm個に、垂直映像期間をn個に分割する分割回路103と、入力されるm×n個の分割された映像領域の映像信号のそれぞれの平均輝度を平均直流電圧レベルとしてm×n個検出するAPL(平均輝度)検出回路104と、光源106の配置に応じて水平映像期間をm個に、垂直映像期間をn個に分割するタイミングパルスを生成して分割回路103に出力し、APL検出回路104から出力されたm×n個の領域のAPLの検出結果およびm×n個の領域のそれぞれの相関に応じて、APLが高い場合は全体のゲインを小さくして白側の階調がでるようにし、またAPLが低い場合は全体のゲインを高くして黒側の階調が出るようにするように演算を行い、インバータ制御回路105に制御信号を出力する信号処理回路109と、信号処理回路109の制御信号を受けて、それぞれの光源106のインバータのデューティー比を制御し、光源106の明るさを調整するインバータ制御回路105と、復調回路102から出力されたビデオ信号を液晶ディスプレイ108に画像表示すために必要なタイミングパルスなどを生成し、RGBの映像信号とタイミングパルスとを液晶ディスプレイ108へ出力する液晶表示回路107とを備える。」 イ 図1は次のものである。 (2)上記(1)によれば、上記引用文献4には次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。 「液晶ディスプレイ108と、液晶ディスプレイ108を背面から照射するバックライトの光源106と、放送波を受信するアンテナ101と、受信した放送波をビデオ信号に変換する復調回路102と、復調回路102から出力されるビデオ信号の映像信号を指示されたタイミングパルスにより光源(106)の配置に対応して水平映像期間をm個に、垂直映像期間をn個に分割する分割回路103と、入力されるm×n個の分割された映像領域の映像信号のそれぞれの平均輝度を平均直流電圧レベルとしてm×n個検出するAPL(平均輝度)検出回路104と、光源106の配置に応じて水平映像期間をm個に、垂直映像期間をn個に分割するタイミングパルスを生成して分割回路103に出力し、APL検出回路104から出力されたm×n個の領域のAPLの検出結果およびm×n個の領域のそれぞれの相関に応じて、APLが高い場合は全体のゲインを小さくして白側の階調がでるようにし、またAPLが低い場合は全体のゲインを高くして黒側の階調が出るようにするように演算を行い、インバータ制御回路105に制御信号を出力する信号処理回路109と、信号処理回路109の制御信号を受けて、それぞれの光源106のインバータのデューティー比を制御し、光源106の明るさを調整するインバータ制御回路105と、復調回路102から出力されたビデオ信号を液晶ディスプレイ108に画像表示すために必要なタイミングパルスなどを生成し、RGBの映像信号とタイミングパルスとを液晶ディスプレイ108へ出力する液晶表示回路107とを備える液晶表示装置。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)本願発明1と引用発明1の対比 ア 特許法第44条第1項に規定する要件について 平成29年4月28日付けの手続補正により、明細書における「投影」は「投影」に補正され、また、請求項1ないし7における「表示制御装置」は「表示装置」に補正され、請求項1における「所望の画像の空間的に変調された近似画像を表す、バックライトの第1制御信号を生成する」ことは「所望の画像の空間的に変調された近似画像を形成する前記第1の空間光変調器を制御するための第1制御信号を生成する」に補正され、請求項1における「前記バックライトは、前記一次変調パネルの変調よりも粗い強度ステップ及び低い分解能で調整され、前記バックライトの隣接する画素間の光の混合は、前記近似画像を一つの画素からその隣の画素へ円滑に変化させ、前記バックライトは、半値全幅が0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲にあ」る「分布関数を備え、d_(2)は光源間の距離である」は「前記第1の空間光変調器は、前記第2の空間光変調器よりも粗い段階で強度が調節され、前記第1の空間光変調器は、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する分布関数(d_(2)は画素間の中心から中心までの距離である)に従う強度プロフィールを有する複数の画素を備え」るに補正された結果、原出願1及び原出願2の出願当初明細書等に記載された事項の範囲となり、分割要件を満たすものとなった。 イ 上記アで述べたとおり、平成29年4月28日付けの手続補正により補正された結果、本願の明細書及び特許請求の範囲の記載は原出願1及び原出願2の出願当初明細書等に記載された事項の範囲となり、分割要件を満たすものとなった。 したがって、原出願1の出願日以降に公開された文献である引用文献1に基づく、特許法第29条第1項第3号及び同第2項の拒絶の理由は解消した。 (2)本願発明1と引用発明2の対比 ア 本願発明1と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明2における「(「出射側偏光板1、ガラス基板2、カラーフィルター3、透明電極4、液晶層5、透明電極6、各画素に付随した薄膜トランジスター(TFT)7、ガラス基板8、入射側偏光板9、出射側偏光板1から入射側偏光板9により構成される)液晶パネル12」、「表示すべき情報のメモリーおよび演算回路15」及び「液晶表示装置」は、本願発明1における「空間光変調器」、「(前記空間光変調器を制御するための制御信号を生成するように構成された)制御装置」及び「表示装置」にそれぞれ相当する。 したがって、本願発明1と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「表示装置であって、該表示装置は、 空間光変調器と、 所望の画像の空間的に変調された画像を形成する前記空間光変調器を制御するための制御信号を生成するように構成された制御装置と、 を備える表示装置。」 (相違点) (相違点1)本願発明1の「表示装置」は、「第1の空間光変調器と、第2の空間光変調器と」を備え、「前記第1の空間光変調器は、前記第2の空間光変調器よりも粗い段階で強度が調節され、前記第1の空間光変調器は、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する分布関数(d_(2)は画素間の中心から中心までの距離である)に従う強度プロフィールを有する複数の画素を備え」るのに対して、引用発明2の「液晶表示装置」は「液晶パネル12」を備えるにとどまる点。 (相違点2)本願発明1の「制御装置」は、「所望の画像の空間的に変調された近似画像を形成する前記第1の空間光変調器を制御するための第1制御信号を生成するとともに、前記第1の空間光変調器によって形成された前記空間的に変調された近似画像が投影される前記第2の空間光変調器のための第2制御信号を生成するように構成された制御装置とを備え、前記制御装置は、更に、前記第2の空間光変調器の画素値の色部分、所望の画像の空間的に変調された近似画像、及び所望の画像に基づいて前記第2制御信号を生成し、前記第2制御信号を用いて、近似画像をさらに変調して、前記第2の空間光変調器において得られる画像を所望の画像に近づけるように構成されており、前記制御装置は、所望の輝度値を、前記第2の空間光変調器の対応する画素上の、前記第1の空間光変調器から入射する既知の光の強度で除算することを含む処理によって前記第2制御信号を生成するように構成されて」いるのに対して、引用発明2の「表示すべき情報のメモリーおよび演算回路15」はそのような構成を備えていない点。 (相違点3)本願発明1の「表示装置」は、「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」のに対して、引用発明2の「液晶表示装置」はそのような構成を備えていない点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討すると、引用発明2は、「液晶パネル12」に近接して「バックライト13」を配設する、ごく普通の「液晶表示装置」であるから、引用発明2において、液晶パネルと拡散器の間に配置され、前記液晶パネルによって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して別の液晶パネルを設けた上で当該液晶パネルに投影するように構成された光学系を備える構成とする動機はなく、このように構成することが単なる設計的事項であったとすることはできないし、また、このように構成することが容易に想到し得たことであるとすることもできない。 そして、相違点3に係る本願発明1の「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」という構成は、上記引用文献2ないし4には記載されておらず、本願の親出願の優先日前において周知技術であるともいえない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明2及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (3)本願発明1と引用発明3の対比 ア 本願発明1と引用発明3とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明3における「全面の透過率を同様に変化させることができる液晶シャッターである輝度調整用液晶パネル3」、「ドットマトリクス型液晶パネルである映像表示用液晶パネル2」、「『映像信号をデジタル値に変換するA/D変換器4』、『映像信号を1フレーム分溜めることができるフレームバッファ5』、『前記フレームバッファ5に接続されており1フレーム内の最大輝度値を検出する最大輝度値検出器6』、『前記フレームバッファ5が出力するデータを除算する事ができる除算器7』、『液晶の透過率と電圧の関係を直線的に補正するV/T変換器8』及び『デジタル値をアナログ値に変換するD/A変換器9』」及び「液晶プロジェクタ」は、本願発明1における「第1空間光変調器」、「第2空間光変調器」、「(前記空間光変調器を制御するための制御信号を生成するように構成された)制御装置」及び「表示装置」にそれぞれ相当する。 したがって、本願発明1と引用発明3との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「表示装置であって、該表示装置は、 第1の空間光変調器と、 第2の空間光変調器と、 所望の画像の空間的に変調された画像を形成する前記第1の空間光変調器を制御するための第1制御信号を生成するとともに、前記第2の空間光変調器のための第2制御信号を生成するように構成された制御装置とを備え、 前記制御装置は、所望の輝度値を、前記第2の空間光変調器の対応する画素上の、前記第1の空間光変調器から入射する既知の光の強度で除算することを含む処理によって前記第2制御信号を生成するように構成されている、 表示装置。」 (相違点) (相違点4)本願発明1の「第1の空間光変調器と、第2の空間光変調器と」は、「前記第1の空間光変調器は、前記第2の空間光変調器よりも粗い段階で強度が調節され、前記第1の空間光変調器は、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する分布関数(d_(2)は画素間の中心から中心までの距離である)に従う強度プロフィールを有する複数の画素を備え」るのに対して、引用発明2の「全面の透過率を同様に変化させることができる液晶シャッターである輝度調整用液晶パネル3」及び「ドットマトリクス型液晶パネルである映像表示用液晶パネル2」はそのような構成を備えていない点。 (相違点5)本願発明1の「制御装置」は、「所望の画像の空間的に変調された近似画像を形成する前記第1の空間光変調器を制御するための第1制御信号を生成するとともに、前記第1の空間光変調器によって形成された前記空間的に変調された近似画像が投影される前記第2の空間光変調器のための第2制御信号を生成するように構成された制御装置とを備え、前記制御装置は、更に、前記第2の空間光変調器の画素値の色部分、所望の画像の空間的に変調された近似画像、及び所望の画像に基づいて前記第2制御信号を生成し、前記第2制御信号を用いて、近似画像をさらに変調して、前記第2の空間光変調器において得られる画像を所望の画像に近づけるように構成されており、前記制御装置は、所望の輝度値を、前記第2の空間光変調器の対応する画素上の、前記第1の空間光変調器から入射する既知の光の強度で除算することを含む処理によって前記第2制御信号を生成するように構成されて」いるのに対して、引用発明3の「映像信号をデジタル値に変換するA/D変換器4、映像信号を1フレーム分溜めることができるフレームバッファ5、前記フレームバッファ5に接続されており1フレーム内の最大輝度値を検出する最大輝度値検出器6、前記フレームバッファ5が出力するデータを除算する事ができる除算器7、液晶の透過率と電圧の関係を直線的に補正するV/T変換器8、デジタル値をアナログ値に変換するD/A変換器9」はそのような構成を備えていない点。 (相違点6)本願発明1の「表示装置」は、「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」のに対して、引用発明3の「液晶表示装置」はそのような構成を備えていない点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点6について先に検討すると、引用発明3は、「輝度調整用液晶パネル3」に近接して「映像表示用液晶パネル2」を配設する、「液晶プロジェクタ」であるから、引用発明3において、輝度調整用液晶パネル3と拡散器の間に配置され、前記輝度調整用液晶パネル3によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記映像表示用液晶パネル2に投影するように構成された光学系を備える構成とする動機はなく、このように構成することが単なる設計的事項であったとすることはできないし、また、このように構成することが容易に想到し得たことであるとすることもできない。 そして、相違点6に係る本願発明1の「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」という構成は、上記引用文献2ないし4には記載されておらず、本願の親出願の優先日前において周知技術であるともいえない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明3及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (4)本願発明1と引用発明4の対比 ア 本願発明1と引用発明4とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明4における「液晶ディスプレイ108」、「(復調回路102から出力されたビデオ信号を液晶ディスプレイ108に画像表示すために必要なタイミングパルスなどを生成し、RGBの映像信号とタイミングパルスとを液晶ディスプレイ108へ出力する)液晶表示回路107」及び「液晶表示装置」は、本願発明1における「空間光変調器」、「(前記空間光変調器を制御するための制御信号を生成するように構成された)制御装置」及び「表示装置」にそれぞれ相当する。 したがって、本願発明1と引用発明4との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「表示装置であって、該表示装置は、 空間光変調器と、 所望の画像の空間的に変調された画像を形成する前記空間光変調器を制御するための制御信号を生成するように構成された制御装置と、 を備える表示装置。」 (相違点) (相違点7)本願発明1の「表示装置」は、「第1の空間光変調器と、第2の空間光変調器と」を備え、「前記第1の空間光変調器は、前記第2の空間光変調器よりも粗い段階で強度が調節され、前記第1の空間光変調器は、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する分布関数(d_(2)は画素間の中心から中心までの距離である)に従う強度プロフィールを有する複数の画素を備え」るのに対して、引用発明4の「液晶表示装置」は「液晶ディスプレイ108」を備えるにとどまる点。 (相違点8)本願発明1の「制御装置」は、「所望の画像の空間的に変調された近似画像を形成する前記第1の空間光変調器を制御するための第1制御信号を生成するとともに、前記第1の空間光変調器によって形成された前記空間的に変調された近似画像が投影される前記第2の空間光変調器のための第2制御信号を生成するように構成された制御装置とを備え、前記制御装置は、更に、前記第2の空間光変調器の画素値の色部分、所望の画像の空間的に変調された近似画像、及び所望の画像に基づいて前記第2制御信号を生成し、前記第2制御信号を用いて、近似画像をさらに変調して、前記第2の空間光変調器において得られる画像を所望の画像に近づけるように構成されており、前記制御装置は、所望の輝度値を、前記第2の空間光変調器の対応する画素上の、前記第1の空間光変調器から入射する既知の光の強度で除算することを含む処理によって前記第2制御信号を生成するように構成されて」いるのに対して、引用発明4の「(復調回路102から出力されたビデオ信号を液晶ディスプレイ108に画像表示すために必要なタイミングパルスなどを生成し、RGBの映像信号とタイミングパルスとを液晶ディスプレイ108へ出力する)液晶表示回路107」はそのような構成を備えていない点。 (相違点9)本願発明1の「表示装置」は、「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」のに対して、引用発明4の「液晶表示装置」はそのような構成を備えていない点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点9について先に検討すると、引用発明4は、「液晶ディスプレイ108」に近接して「バックライトの光源106」を配設する、ごく普通の「液晶表示装置」であるから、引用発明4において、液晶ディスプレイ108と拡散器の間に配置され、前記液晶ディスプレイ108によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して別の液晶ディスプレイを設けた上で当該液晶ディスプレイに投影するように構成された光学系を備える構成とする動機はなく、このように構成することが単なる設計的事項であったとすることはできないし、また、このように構成することが容易に想到し得たことであるとすることもできない そして、相違点9に係る本願発明1の「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」という構成は、上記引用文献2ないし4には記載されておらず、本願の親出願の優先日前において周知技術であるともいえない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明4及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2ないし7について 本願発明2ないし7も、本願発明1の「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明2、引用発明3ないし引用発明4、並びに、引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 (1)理由2について 平成29年4月28日付けの補正により、補正後の請求項1ないし7は、「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」という技術的事項を有するものとなった。 これに対して引用発明1は、「透過型液晶ライトバルブ(LCD11)と、反射板の上方に冷陰極蛍光管を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、蛍光管直下に白色のLEDチップ103を配置している背面照明装置(バックライト12)から構成されており、LCD背面からの照明により画像が表示される表示装置」の発明であって、本願発明1「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」構成を備えるものではない点で相違する。 したがって、本願発明1は引用発明1と同一ではなく、原査定の理由2を維持することはできない。 (2)理由3及び4について 平成29年4月28日付けの補正により、補正後の請求項1ないし7は、「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」という技術的事項を有するものとなった。 当該「拡散器と、前記第1の空間光変調器と前記拡散器との間に配置され、前記第1の空間光変調器によって形成された前記近似画像を前記拡散器を介して前記第2の空間光変調器に投影するように構成された光学系とを備える」は、引用文献2ないし4には記載されておらず、本願の親出願の優先日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし7は、引用発明2ないし4ではなく、また、当業者であっても、引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものではない。 したがって、原査定の理由3及び4を維持することはできない。 (3)理由5について 平成29年4月28日付けの手続補正により、請求項1は上記「第4」のとおり補正され、「前記第2の空間光変調器の画素値の色部分」と補正された結果、「色」とは何であり、何によってどのように利用されているのかが明確となり、当該拒絶の理由は解消した。 第8 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由1について (1)理由1(委任省令要件)について 平成29年4月28日付けの手続補正により、明細書における「投影」は「投影」に補正された結果、当該拒絶の理由は解消した。 (2)理由2(サポート要件) 平成29年4月28日付けの手続補正により、請求項1ないし7における「表示制御装置」は「表示装置」に補正され、請求項1における「所望の画像の空間的に変調された近似画像を表す、バックライトの第1制御信号を生成する」ことは「所望の画像の空間的に変調された近似画像を形成する前記第1の空間光変調器を制御するための第1制御信号を生成する」に補正され、請求項1における「前記バックライトは、前記一次変調パネルの変調よりも粗い強度ステップ及び低い分解能で調整され、前記バックライトの隣接する画素間の光の混合は、前記近似画像を一つの画素からその隣の画素へ円滑に変化させ、前記バックライトは、半値全幅が0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲にあ」る「分布関数を備え、d_(2)は光源間の距離である」は「前記第1の空間光変調器は、前記第2の空間光変調器よりも粗い段階で強度が調節され、前記第1の空間光変調器は、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する分布関数(d_(2)は画素間の中心から中心までの距離である)に従う強度プロフィールを有する複数の画素を備え」るに補正された結果、当該拒絶の理由は解消した。 (3)理由3(明確性) 平成29年4月28日付けの手続補正により、請求項1における「所望の画像の空間的に変調された近似画像を表す、バックライトの第1制御信号を生成する」ことは「所望の画像の空間的に変調された近似画像を形成する前記第1の空間光変調器を制御するための第1制御信号を生成する」に補正され、請求項1における「前記バックライトは、前記一次変調パネルの変調よりも粗い強度ステップ及び低い分解能で調整され、前記バックライトの隣接する画素間の光の混合は、前記近似画像を一つの画素からその隣の画素へ円滑に変化させ、前記バックライトは、半値全幅が0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲にあ」る「分布関数を備え、d_(2)は光源間の距離である」は「前記第1の空間光変調器は、前記第2の空間光変調器よりも粗い段階で強度が調節され、前記第1の空間光変調器は、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する分布関数(d_(2)は画素間の中心から中心までの距離である)に従う強度プロフィールを有する複数の画素を備え」るに補正された結果、当該拒絶の理由は解消した。 (4)理由4及び5(進歩性及び新規性) 上記第6で述べたとおり、当該拒絶の理由は解消した。 2 当審拒絶理由2について 平成29年4月28日付けの手続補正により、請求項1?7は、上記「第4」のとおりに補正され、当審拒絶理由2に示した記載不備が解消した結果、この拒絶の理由は解消した。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-05-29 |
出願番号 | 特願2013-183133(P2013-183133) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WY
(G09G)
P 1 8・ 537- WY (G09G) P 1 8・ 113- WY (G09G) P 1 8・ 121- WY (G09G) P 1 8・ 161- WY (G09G) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 西島 篤宏 |
特許庁審判長 |
伊藤 昌哉 |
特許庁審判官 |
森林 克郎 松川 直樹 |
発明の名称 | 表示装置 |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 本田 淳 |
代理人 | 恩田 博宣 |