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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C12N
管理番号 1329374
審判番号 訂正2017-390017  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2017-03-03 
確定日 2017-06-02 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5793237号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5793237号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項26、[27-28]について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5793237号は、平成24年4月13日(パリ条約による優先権主張 平成23年4月14日、平成24年2月17日、いずれも米国)を国際出願日として出願された特願2014-505369号の請求項1?29に係る発明について、平成27年8月14日に特許権の設定登録がされ、その後、平成29年3月3日に本件の訂正審判の請求がされたものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件請求の趣旨は、特許第5793237号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項26、27及び28について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
請求人が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。

1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項26を削除する。

2.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項27を削除する。

3.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項28を削除する。

第3 当審の判断
1.一群の請求項について
訂正前の請求項27及び28は、請求項28が請求項27を引用しているものであるから、特許請求の範囲の請求項27及び28は、特許法施行規則第45条の4に規定する関係を有する一群の請求項を構成するものである。
よって、請求項27及び28は特許法第126条第3項に規定する一群の請求項であり、本件訂正審判の請求は特許法第126条第3項の規定に適合する。

2.訂正の理由について
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は訂正前の請求項26の記載を削除するものであって、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、訂正前の請求項26の記載を削除するものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、訂正前の請求項26の記載を削除するものであって、訂正前の請求項26に記載された発明のカテゴリーを変更するものでも、特許請求の範囲、発明の対象や目的を変更するものでもないから、訂正前の特許請求の範囲の内容を実質的に変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項1は訂正前の請求項26の記載を削除するものであるから、訂正後の請求項1?25、29に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由は見出せない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は訂正前の請求項27の記載を削除するものであって、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は訂正前の請求項27の記載を削除するものであって願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は訂正前の請求項27の記載を削除するものであって、訂正前の請求項27に記載された発明のカテゴリーを変更するものでも、特許請求の範囲、発明の対象や目的を変更するものでもないから、訂正前の特許請求の範囲の内容を実質的に変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項2は訂正前の請求項27の記載を削除するものであるから、訂正後の請求項1?25、29に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由は見出せない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は訂正前の請求項28の記載を削除するものであって、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は訂正前の請求項28の記載を削除するものであって願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は訂正前の請求項28の記載を削除するものであって、訂正前の請求項28に記載された発明のカテゴリーを変更するものでも、特許請求の範囲、発明の対象や目的を変更するものでもないから、訂正前の特許請求の範囲の内容を実質的に変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項3は訂正前の請求項28の記載を削除するものであるから、訂正後の請求項1?25、29に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由は見出せない。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。


第4 むすび
したがって、本件審判の請求における請求項26に係る訂正、及び一群の請求項[27-28]に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)卵原幹細胞(OSC)ミトコンドリア、又は
ii)OSCの子孫から単離されるミトコンドリア
を含み、そして卵母細胞へ移入される、体外受精(IVF)又は人工授精のための卵母細胞を調製するための組成物であって、ここで、該OSCは該卵母細胞に対して自己であり、卵巣組織から単離された非胚性幹細胞であり、有糸分裂能があり、Vasa、Oct-4、Dazl、Stella、及び場合によりStage-Specific Embryonic Antigen(SSEA)を発現する、
組成物。
【請求項2】
卵母細胞が、受精卵を形成するために卵母細胞をインビトロで受精させることを含む体外受精方法で用いられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物の自己卵母細胞への移入と卵母細胞の受精が実質的に同時に行われる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
卵原幹細胞(OSC)又はOSCの子孫から得られる自己ミトコンドリアを含み、そして卵母細胞へ移入される、卵母細胞のATP生産能を増大させるための組成物であって、ここで、該OSCは該卵母細胞に対して自己であり、卵巣組織から単離される非胚性幹細胞であり、有糸分裂能があり、Vasa、Oct-4、Dazl、Stella、及び場合によりSSEAを発現する、
組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのOSC又は少なくとも1つのOSCの子孫から単離されたミトコンドリアを含み、そして卵母細胞へ注入される、卵母細胞のATP生産能を増大させるための組成物であって、ここで、該OSCは該卵母細胞に対して自己であり、卵巣組織から単離される非胚性幹細胞であり、有糸分裂能があり、Vasa、Oct-4、Dazl、Stella、及び場合によりSSEAを発現する、
組成物。
【請求項6】
卵母細胞の体外受精方法で用いるための組成物であって、該組成物は卵原幹細胞(OSC)又はOSCの子孫から取得された単離されたミトコンドリアを含み、該組成物は体外受精用の卵母細胞を調製するために卵母細胞へ移入されるものであり、ここで、該OSCは該卵母細胞に対して自己であり、卵巣組織から単離される非胚性幹細胞であり、有糸分裂能があり、Vasa、Oct-4、Dazl、Stella、及び場合によりSSEAを発現する、
組成物。
【請求項7】
卵原幹細胞(OSC)又はOSCの子孫から取得された単離された機能的なミトコンドリアを含む、卵母細胞へ移入するための組成物であって、ここで、該OSCは単離された非胚性幹細胞であり、有糸分裂能があり、Vasa、Oct-4、Dazl、Stella、及び場合によりSSEAを発現する、
組成物。
【請求項8】
ミトコンドリアが遠心分離によって単離される、請求項1?7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ミトコンドリアが、ミトコンドリア膜電位差依存性細胞選別によって単離される、請求項1?7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が、1×10^(3)?5×10^(4)個のミトコンドリアを含む、請求項1?9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
OSC又はOSCの子孫が、卵巣体細胞又は間葉系幹細胞と比較して、mtDNAfg当り少なくとも5倍多いATPを生産する、請求項1?9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
卵巣体細胞又は間葉系幹細胞が自己である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が、
(a)OSC又はOSCの子孫に由来するミトコンドリア精製調製物である、又は
(b)OSC又はOSCの子孫の核を含まない細胞質である、
請求項1?12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、注入によって卵母細胞へ移入される、請求項1、4又は6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
卵母細胞が体外受精に用いられる、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、卵細胞質内精子注入と実質的に同時に該卵母細胞へ移入される、請求項1、2、3、6又は14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
OSCが卵巣組織から単離される、請求項7に記載の組成物。
【請求項18】
OSCが、母体年齢の高いヒト女性から単離される、請求項1?17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
ミトコンドリアの2%超、5%超、10%超、又は20%超が機能的なミトコンドリアである、請求項1?17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
組成物中の機能的なミトコンドリアの少なくとも75%、85%又は90%が高ATP生産能ミトコンドリアである、請求項1?19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
OSC又はOSCの子孫が、卵巣体細胞よりmtDNA fg当り少なくとも2倍多い、少なくとも3倍多い、少なくとも4倍多い、又は少なくとも10倍多いATPを生産する、請求項1?10又は13?19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
卵巣体細胞が、OSC又はOSCの子孫に対して自己である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
OSC又はOSCの子孫が、間葉系幹細胞よりmtDNA fg当り少なくとも2倍多い、少なくとも3倍多い、少なくとも4倍多い、又は少なくとも10倍多いATPを生産する、請求項1?10又は13?20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
間葉系幹細胞が、OSC又はOSCの子孫に対して自己である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
ミトコンドリアの2%、5%、10%、又は20%超が機能的なミトコンドリアであることを、工程:
(a)蛍光ミトコンドリア追跡用プローブを組成物中のミトコンドリアと結合させること、ここで、当該追跡用プローブは、非酸化依存性プローブ、蓄積依存性プローブ、又は還元型酸化状態プローブよりなる群から選ばれるものである;
(b)追跡用プローブの結合に基づいてミトコンドリアを選別すること;及び
(c)追跡用プローブに結合したミトコンドリアの割合に基づいて機能的なミトコンドリアの割合を決定すること、
によって確認する、請求項19に記載の組成物。
【請求項26】
(削除)
【請求項27】
(削除)
【請求項28】
(削除)
【請求項29】
該OSC又はOSCの子孫は該卵母細胞に対して自己である、請求項7に記載の組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-05-01 
結審通知日 2017-05-08 
審決日 2017-05-23 
出願番号 特願2014-505369(P2014-505369)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (C12N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鶴 剛史  
特許庁審判長 田村 明照
特許庁審判官 長井 啓子
山本 匡子
登録日 2015-08-14 
登録番号 特許第5793237号(P5793237)
発明の名称 オートロガス生殖細胞系ミトコンドリアエネルギー移動のための組成物及び方法  
代理人 中村 正展  
代理人 佐伯 裕子  
代理人 佐伯 拓郎  
代理人 佐伯 裕子  
代理人 佐伯 拓郎  
代理人 牛山 直子  
代理人 中村 正展  
代理人 牛山 直子  

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