ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C12N |
---|---|
管理番号 | 1329551 |
審判番号 | 不服2016-7262 |
総通号数 | 212 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-08-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-05-18 |
確定日 | 2017-06-12 |
事件の表示 | 特願2014- 96656「トリボネクチン」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月14日出願公開、特開2014-144015〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯、本願発明 本願は、平成26年5月8日の出願であって、平成12年4月24日を国際出願日とする特願2000-614279号(パリ条約による優先権主張 平成11年4月23日 米国)の一部を特許法第44条第1項の規定に基づき分割して新たな出願とした特願2011-234344号の一部を特許法第44条第1項の規定に基づき分割して新たな出願としたものであり、平成28年1月15日付けで拒絶査定がなされ、同年5月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 本願の請求項1に係る発明は、願書に添付した外国語請求の範囲の翻訳文の請求項1に記載される以下のとおりのものであると認める。 「本明細書に記載のトリボネクチンまたは方法。」 第2 当審の判断 本明細書には「トリボネクチン」に関して、以下の事項が記載されていると認められる。 「【0006】 従って、本発明は、トリボネクチンを提供する。トリボネクチンは、KEPAPTT(配列番号3)と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列の少なくとも1つの反復を含む人工の境界潤滑剤である。トリボネクチンは、少なくとも1つのO結合型潤滑部分を含む。好ましくは、その潤滑部分は、β(1-3)Gal-Gal NAc部分である。天然に存在するトリボネクチンのタンパク質骨格のアミノ酸配列は、ヒト巨核球刺激因子(MSF)遺伝子のエキソンの選択的スプライシングに依存して、異なり得る。例えば、トリボネクチンは、配列番号1のアミノ酸1?24および200?1404を含むが、配列番号1のアミノ酸25?199を欠損する。トリボネクチンは、配列番号1のアミノ酸1?156および200?1404を含むが、配列番号1のアミノ酸157?199を欠損する。トリボネクチンは、配列番号1のアミノ酸1?106および200?1404を含むが、配列番号1のアミノ酸107?199を欠損する。トリボネクチンは、配列番号1のアミノ酸1?25、配列番号1の67?106および配列番号1の200?1404を含むが、配列番号1のアミノ酸26?66を欠損する。トリボネクチンは、精製された天然に存在するポリペプチドもしくは合成的に作製されたポリペプチドまたは組換えポリペプチドである。合成もしくは組換えトリボネクチンの骨格のアミノ酸配列は、天然に存在するトリボネクチンのアミノ酸配列と少なくとも50%同一であり、そして、天然に存在するトリボネクチンの潤滑活性の少なくとも50%を所有する。」 「 【0019】 本発明の特徴および利点は、本発明の好ましい実施形態の以下の記載および特許請求の範囲から明らかである。 例えば、本発明は以下を提供する: (項目1) 少なくとも1つのO結合型潤滑部分を含むトリボネクチン。 (項目2) 前記部分がβ(1-3)Gal-GalNAc部分である、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目3) 項目1に記載のトリボネクチンであって、該トリボネクチンは、配列番号1のアミノ酸1?24および200?1404を含み、配列番号1のアミノ酸25?199を欠失する、トリボネクチン。 (項目4) 項目1に記載のトリボネクチンであって、該トリボネクチンは、配列番号1のアミノ酸1?156および200?1404を含み、配列番号1のアミノ酸157?199を欠失する、トリボネクチン。 (項目5) 項目1に記載のトリボネクチンであって、該トリボネクチンは、配列番号1のアミノ酸1?106および200?1404を含み、配列番号1のアミノ酸107?199を欠失する、トリボネクチン。 (項目6) 項目1に記載のトリボネクチンであって、該トリボネクチンが、配列番号1のアミノ酸1?25、67?106および200?1404を含み、配列番号1のアミノ酸26?66を欠失する、トリボネクチン。 (項目7) ポリペプチドを含むトリボネクチンであって、該ポリペプチドのアミノ酸配列は、少なくとも1つのサブユニットを含むが76個より少なく、ここで、 (a)各サブユニットが少なくとも7個のアミノ酸を含み;そして (b)該サブユニットのアミノ酸配列が、配列番号3に対して少なくとも50%同一であり、ここで非同一アミノ酸が保存的アミノ酸置換である、 トリボネクチン。 (項目8) 前記サブユニットのアミノ酸配列が、配列番号3である、項目7に記載のトリボネクチン。 (項目9) 配列番号4のアミノ酸配列の1つ以上の繰り返しをさらに含む、項目7に記載のトリボネクチン。 (項目10) 支持表面との間の摩擦係数を低減するとして特徴付けられる、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目11) インビトロで支持表面との間の摩擦係数を低減するとして特徴付けられる、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目12) インビボで支持表面との間の摩擦係数を低減するとして特徴付けられる、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目13) 前記トリボネクチンが添加される溶液の粘度を実質的に増大しない、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目14) O結合型オリゴ糖を含む、項目7に記載のトリボネクチン。 (項目15) 前記オリゴ糖が、N-アセチルガラクトサミン-ガラクトースである、項目14に記載のトリボネクチン。 (項目16) 前記トリボネクチンの少なくとも10%がグリコシル化される、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目17) 前記トリボネクチンの少なくとも40%がグリコシル化される、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目18) 前記トリボネクチンの分子量が、200?280kDaの範囲である、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目19) 前記ポリペプチドが、巨核球刺激因子のフラグメントを含む、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目20) 前記ポリペプチドが、配列番号1に含まれる残基200?1140の配列と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目21) 前記ポリペプチドが、配列番号1に含まれる残基200?1140のアミノ酸配列を含む、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目22) 前記ポリペプチドが、配列番号1に含まれる残基200?1167の配列と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目23) 前記ポリペプチドが、配列番号1に含まれる残基200?1167のアミノ酸配列を含む、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目24) 前記ポリペプチドが、配列番号1に含まれる残基200?1212の配列と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目25) 前記ポリペプチドが、配列番号1に含まれる残基200?1212のアミノ酸配列を含む、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目26) 前記ポリペプチドが、配列番号1に含まれる残基200?1263の配列と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目27) 前記ポリペプチドが、配列番号1に含まれる残基200?1263のアミノ酸配列を含む、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目28) 前記ポリペプチドが、配列番号1に含まれる残基1?24のアミノ酸配列を欠失する、項目1に記載のトリボネクチン。 (項目29) 前記ポリペプチドが、配列番号1に含まれる残基67?104のアミノ酸配列を欠失する、項目1に記載のトリボネクチン。」 以上のとおり、本明細書には、天然トリボネクチンに加え、様々なトリボネクチンが記載されており、これらのトリボネクチンは、それぞれ異なるアミノ酸配列や異なるグリコシル化であるなど、異なる構造を有するものであると認められる。 すなわち、本明細書には無数の異なるトリボネクチンが記載されているから、「本明細書に記載のトリボネクチン」と記載しても、いずれの構造ものを指しているか明らかでない。 また「本明細書に記載の方法」が、本明細書に記載されるいかなる方法を指しているかも明らかでない。 さらに、「トリボネクチンまたは方法」の記載は、物の発明と方法の発明というカテゴリーの異なる2つの発明を併記するものであり、請求項1に係る発明が物の発明と方法の発明のいずれを特定するものであるか明らかでない。 したがって、請求項1に係る発明は明確でないから、この出願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に適合するものではない。 第3 むすび 以上のとおり、この出願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、この出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-01-19 |
結審通知日 | 2017-01-20 |
審決日 | 2017-01-31 |
出願番号 | 特願2014-96656(P2014-96656) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
Z
(C12N)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 崇之 |
特許庁審判長 |
田村 明照 |
特許庁審判官 |
長井 啓子 中島 庸子 |
発明の名称 | トリボネクチン |
代理人 | 山本 健策 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 飯田 貴敏 |
代理人 | 石川 大輔 |
代理人 | 山本 秀策 |