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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1329597
審判番号 不服2016-13731  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-13 
確定日 2017-06-22 
事件の表示 特願2014- 40849「表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月10日出願公開、特開2014-130630〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年12月15日に出願した特願2006-338678号の一部を、平成24年6月4日に新たな特許出願とした特願2012-127132号の一部を、平成26年3月3日に新たに特許出願したものであって、平成28年2月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月27日付けで手続補正されたが、同年6月6日付けで拒絶査定がなされ、それに対して同年9月13日に拒絶査定不服の審判請求がなされ、同時に手続補正がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年9月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正の内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の請求項1とする補正事項(以下、「補正事項」という。)を含んでいる。

ア 本件補正前の【請求項1】
「複数の画像が切り替えて表示される第1表示領域と、前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像に対応する複数の画像がユーザによって選択可能に表示される第2表示領域とを含む画面を表示する表示手段と、
前記第2表示領域に表示されている前記複数の画像のうちからユーザによって選択された画像に対応する画像データに基づいて印刷手段に印刷を実行させる印刷制御手段と、
を備える表示装置。」

イ 本件補正後の【請求項1】
「複数の画像が切り替えて表示される第1表示領域と、前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像に対応する複数の画像がユーザによって選択可能に表示される第2表示領域とを含む画面を表示する表示手段と、
印刷開始指示を受信したときに前記第2表示領域に表示されており且つユーザによって選択されている画像の印刷を印刷手段に実行させる印刷制御手段と、を備える表示装置。」

(2)本件補正の可否の判断
A 補正の目的について
本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1の「ユーザによって選択された画像に対応する画像データに基づいて」印刷を実行させるものが、「ユーザによって選択されている画像」の印刷を実行させるものとなっており、「画像に対応する画像データ」に基づくという限定がなくなっている。
このような補正事項は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮には該当しない。
上記補正事項は、上記改正前の同法同条同項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明にも該当しない。
さらに、上記補正事項は、上記改正前の同法同条同項1号、3号のいずれに規定する補正目的にも該当しない。

したがって、本件補正は、上記改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

B 独立特許要件について
本件補正は、上記「第2 (2)A」のとおり却下すべきであるが、補正事項のうち「印刷開始指示を受信したときに」という事項を追加する補正は、前記補正前の請求項1の発明特定事項を限定するものであるから、本件補正が上記改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、上記改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するとしたとしても、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)は、以下のとおり、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、上記改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

a.引用文献・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-110957号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面と共に次の記載がある。(下線は当審で注目する部分を示す。)
(ア)【特許請求の範囲】、【請求項1】
「【請求項1】 映像を示すデジタル信号を受信し、当該受信した映像を表示装置に表示させる一方、前記表示装置に表示された映像画面をプリント出力可能なプリンター内蔵デジタル信号受信装置において、該装置は、
映像を示すデジタル信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信したデジタル信号に基づいて、前記表示装置に映像を表示させるための信号を生成する表示用信号生成手段と、
前記表示装置に表示される映像からユーザがプリント出力を希望する画面を指定する操作を行うためのプリント画面指定操作手段と、
前記プリント画面指定操作手段からの指示に従い、指定に係る画面の画像データを記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶した画面の画像を縮小化して、前記表示装置に表示させる信号を生成する記憶画面表示用信号生成手段と、
前記画像記憶手段に記憶した複数の画面が前記表示装置に表示された状態でこれら複数の画面の中から実際にプリントすべき画面とプリント不要の画面をユーザが分別する操作を行うための選択操作手段と、
プリント実行の指示を入力するためのプリント実行指示入力手段と、
前記選択操作手段によってプリントすべき画面として選択された画像を前記プリント実行指示入力手段からの指示に基づいてプリント出力するプリント手段と、
を備えていることを特徴とするプリンター内蔵デジタル信号受信装置。」

(イ)段落【0005】、【0006】
「【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、映像を示すデジタル信号を受信し、当該受信した映像を表示装置に表示させる一方、前記表示装置に表示された映像画面をプリント出力可能なプリンター内蔵デジタル信号受信装置において、該装置は、映像を示すデジタル信号を受信する受信手段と、前記受信手段で受信したデジタル信号に基づいて、前記表示装置に映像を表示させるための信号を生成する表示用信号生成手段と、前記表示装置に表示される映像からユーザがプリント出力を希望する画面を指定する操作を行うためのプリント画面指定操作手段と、前記プリント画面指定操作手段からの指示に従い、指定に係る画面の画像データを記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段に記憶した画面の画像を縮小化して、前記表示装置に表示させる信号を生成する記憶画面表示用信号生成手段と、前記画像記憶手段に記憶した複数の画面が前記表示装置に表示された状態でこれら複数の画面の中から実際にプリントすべき画面とプリント不要の画面をユーザが分別する操作を行うための選択操作手段と、プリント実行の指示を入力するためのプリント実行指示入力手段と、前記選択操作手段によってプリントすべき画面として選択された画像を前記プリント実行指示入力手段からの指示に基づいてプリント出力するプリント手段と、を備えていることを特徴としている。
【0006】本発明によれば、デジタル放送の受信又はD-VHS録画再生装置等の外部装置から受信したデジタル映像信号に基づいて表示装置に映像が表示される。表示装置は当該受信装置と別体若しくは一体に構成される。ユーザは表示装置に表示される映像を見ながら、プリントしたい画面が表示されたタイミングでプリント画面指定操作手段を操作する。この操作に応動して当該映像画面の画像データが画像記憶手段に記憶されるとともに、記憶した画像内容(静止画像)が縮小画面化されて表示装置に表示される。このとき、受信手段から受信している現在の映像は主画面として表示装置に表示されるため、放送映像(又は外部装置からの再生映像)を見逃すことなく、プリント画面指定により保持した画像(キャプチャー画像)も確認できる。本発明では、複数のキャプチャー画像が表示画面上に同時表示されるため、ユーザはこれらプリント出力候補となる画像内容を確認しながら、実際にプリント出力すべきか否かを改めて判断し、必要な画像のみを選択できる。選択操作後に、プリント実行指示入力手段からプリント実行の指示を入力すると、当該指示に応動してプリント手段が作動し、キャプチャー画像がプリントされる。勿論、キャプチャー画像を表示装置全面に表示してもよい。」

(ウ)段落【0019】?【0027】
「【0019】CPU28は本システムの動作を制御する制御部であり、ユーザ・インターフェース部36から入力した操作信号に基づいて各回路ブロックの動作を制御する。プログラムメモリ42には、システムの動作に必要なプログラムや各種の設定データなどが格納されている。RAM44はCPU28が行う各種演算の作業領域として利用されるとともに、プリント対象とする画像データを格納する画像メモリとして利用される。
【0020】モニター34に映像(動画像)が表示されている状態でユーザがリモコン送信機40等から画像保存(キャプチャー)の操作を行うと、その操作時にモニター表示されていた映像のデータ(画面の静止画像のデータ)が映像データ処理回路30からバス46を介してRAM44に転送される。こうして、プリント候補としての画像データがRAM44に格納される。
【0021】このとき映像データ処理回路30において当該キャプチャー画像をモニター34上に子画面として主画面に重ね表示する処理が行われる。子画面表示される画像領域はキャプチャーした画面のうちプリント可能なエリアのみが表示される。すなわち、入力映像信号のアスペクト比と、プリント出力可能なアスペクト比とを自動判別し、最適なプリント画角が設定される。記録紙として連続用紙(ロール紙)を用いることにより、長手方向について自在なサイズのプリントが可能である。
【0022】ハイビジョン放送の場合にはプリントアスペクト比を9(縦):16(横)に設定する一方、通常放送の場合はプリントアスペクト比を3(縦):4(横)に設定する。プリント時に得られる画像のアスペクト比で子画面表示が行われる。これにより放送中(又は再生中)の映像を主画面にて確認できると同時に、キャプチャーしたプリント対象画像を子画面にて確認できる。
・・・中略・・・
【0024】上記したキャプチャー操作は複数回続けて行うことが可能であり、RAM44は複数枚の画像を格納するに足る記憶容量を備えている。キャプチャー操作によって記憶された複数のプリント対象画像は、それぞれモニター34上に子画面として同時に表示される。キャプチャー画像が多数存在し、1つの画面で全てのキャプチャー画像を表示できない場合には、スクロール又はページ切り換え操作によって表示対象を変更する。
【0025】このようなキャプチャー画像確認画面において、ユーザは不要な画像(プリントを希望しない画像)を選択してキャンセル(取消)の操作を行うことができる。キャンセル操作を行うと、選択に係る画像データがRAM44から削除されるとともに、当該画像の子画面表示も消失する。
【0026】上記したキャプチャー操作後に、ユーザがプリント実行の指示を入力すると、RAM44に格納されている画像データがプリントブロック50に転送される。プリントブロック50は、入力インターフェース部としてのデータ変換回路51と、プリントデータ処理回路52、プリントヘッド54、プリントメカ制御部56及びプリンター電源部58等から構成される。本例ではTA方式のプリンター(TAプリンター)が用いられている。
【0027】リモコン送信機40等からユーザがプリント実行の指示を入力すると、RAM44内の画像データが読み出され、データ変換回路51において映像信号からプリンター用の画像データに変換された後、プリントデータ処理回路52に入力される。プリントデータ処理回路52は、入力された画像データからプリントヘッド54で画像形成するための制御信号を生成する。こうして生成された制御信号に基づいてプリントヘッド54で印画動作が実行される。プリントヘッド54に連動し、プリントメカ制御部56はCPU28の指令に従って図示せぬペーパー搬送機構等の動作を制御する。こうして印画動作が実行され、プリント物60を得ることができる。」

ここで、上記下線部の記載事項によれば、引用文献の請求項1に係る発明について次のことがいえる。
イ 「表示装置に表示させる映像」は、「動画像」であり、モニター34上の主画面に表示される。
ロ 「前記表示装置に表示される映像からユーザがプリント出力を希望する画面を指定する操作」は、「画像保存(キャプチャー)の操作」であって「キャプチャー操作は複数回続けて行うことが可能」である。
ハ 「前記プリント画面指定操作手段からの指示に従い、指定に係る画面の画像データを記憶する記憶手段」は、前記画像保存(キャプチャー)の操作時にモニター34の主画面に表示されていた映像のデータ(画面の静止画像のデータ)が、プリント候補の画像データとして格納されるRAM44であり、画像保存(キャプチャー)の操作を複数回続けて行うと、複数のプリント候補の画像データがRAM44に格納される。
ニ 「前記画像記憶手段に記憶した複数の画面が前記表示装置に表示された状態」は、キャプチャー操作によってRAM44に格納された複数のプリント対象画像は、それぞれモニター34上で主画面に重ねられた子画面として同時に表示されることである。

したがって、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「映像(動画像)を示すデジタル信号を受信し、当該受信した映像(動画像)をモニター34上の主画面に表示させる一方、前記モニター34の主画面に表示された映像画面をプリント出力可能なプリンター内蔵デジタル信号受信装置において、該装置は、
映像(動画像)を示すデジタル信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信したデジタル信号に基づいて、前記モニター34上の主画面に映像(動画像)を表示させるための信号を生成する表示用信号生成手段と、
前記モニター34上の主画面に表示される映像(動画像)からユーザがプリント出力を希望する画面を指定する画像保存(キャプチャー)の操作を行うためのプリント画面指定操作手段と、
前記画像保存(キャプチャー)の操作時にモニター34に表示されていた映像のデータ(画面の静止画像のデータ)が、プリント候補の画像データとして格納されるRAM44と、
前記画像保存(キャプチャー)の操作を複数回続けて行い、RAM44に格納した複数のプリント候補の画像データを縮小化して、前記モニター34に表示させる信号を生成する記憶画面表示用信号生成手段と、
画像保存(キャプチャー)の操作を複数回続けて行い、RAM44に格納した複数のプリント候補の画像データが、それぞれモニター34上で主画面に重ねられた子画面として同時に表示される状態で、これら複数の子画面の中から実際にプリントすべき画面とプリント不要の画面をユーザが分別する操作を行うための選択操作手段と、
プリント実行の指示を入力するためのプリント実行指示入力手段と、
前記選択操作手段によってプリントすべき画面として選択されたプリント候補の画像データを前記プリント実行指示入力手段からの指示に基づいてプリント出力するプリント手段と、
を備えていることを特徴とするプリンター内蔵デジタル信号受信装置。」

b. 対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「前記モニター34の主画面」は、映像(動画像)を表示し、動画像は静止画像(フレーム)の並びで構成されているから、補正発明の「複数の画像が切り替えて表示される第1表示領域」に相当するといえる。
(イ)引用発明の「画像保存(キャプチャー)の操作を複数回続けて行い、RAM44に格納した複数のプリント候補の画像データ」は、「画像保存(キャプチャー)の操作時にモニター34の主画面に表示されていた映像のデータ(画面の静止画像のデータ)」であるから、補正発明の「前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像」に相当する。
(ウ)上記(イ)によれば、引用発明の「RAM44に格納した複数のプリント候補の画像データを縮小化」した画像データは、補正発明の「前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像に対応する複数の画像」に相当するといえる。
(エ)引用発明の「画像保存(キャプチャー)の操作を複数回続けて行い、RAM44に格納した複数のプリント候補の画像データが、それぞれモニター34上で主画面に重ねられた子画面として同時に表示される」における「子画面」の画像表示領域は、「複数の子画面の中から実際にプリントすべき画面とプリント不要の画面をユーザが分別する操作を行うため」に選択操作ができるから、補正発明の「前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像に対応する複数の画像がユーザによって選択可能に表示される第2表示領域」に相当するといえる。
(オ)引用発明の「モニター34」は、「主画面」と主画面に重ねられた複数の「子画面」を同時に表示するから、上記(ア)?(エ)によれば、本願発明の「複数の画像が切り替えて表示される第1表示領域と、前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像に対応する複数の画像がユーザによって選択可能に表示される第2表示領域とを含む画面を表示する表示手段」に相当するといえる。
(カ)引用発明において、選択操作手段により分別されたプリントすべき画面は、プリント実行指示入力手段からの指示時には、子画面に表示された状態であるから、引用発明の「選択操作手段によってプリントすべき画面として選択されたプリント候補の画像データを」「プリント実行指示入力手段からの指示に基づいて」「プリント出力する」制御を司る部分は、補正発明の「印刷開始指示を受信したときに前記第2表示領域に表示されており且つユーザによって選択されている画像の印刷を印刷手段に実行させる印刷制御手段」に相当するといえる。
(キ)引用発明の「プリンター内蔵デジタル信号受信装置」は、補正発明と同様の「表示装置」といえる。

してみると、補正発明の構成は、すべて引用発明が備えているものであって、補正発明は引用発明と同一ということになる。
したがって、補正発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

第3 本願発明
本件補正は、上記「第2」のとおり、却下された。
したがって、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年4月27日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のものである。
「【請求項1】
複数の画像が切り替えて表示される第1表示領域と、前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像に対応する複数の画像がユーザによって選択可能に表示される第2表示領域とを含む画面を表示する表示手段と、
前記第2表示領域に表示されている前記複数の画像のうちからユーザによって選択された画像に対応する画像データに基づいて印刷手段に印刷を実行させる印刷制御手段と、
を備える表示装置。」

第4 引用文献、引用発明
引用文献・引用発明は、前記「第2 補正の却下の決定」、[補正却下の決定の結論]、「(2)本件補正の可否の判断」、「B 独立特許要件について」の「a.引用文献・引用発明」の欄で説明したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「前記モニター34の主画面」は、映像(動画像)を表示し、動画像は静止画像(フレーム)の並びで構成されているから、本願発明の「複数の画像が切り替えて表示される第1表示領域」に相当するといえる。
(イ)引用発明の「画像保存(キャプチャー)の操作を複数回続けて行い、RAM44に格納した複数のプリント候補の画像データ」は、「画像保存(キャプチャー)の操作時にモニター34の主画面に表示されていた映像のデータ(画面の静止画像のデータ)」であるから、本願発明の「前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像」に相当する。
(ウ)上記(イ)によれば、引用発明の「RAM44に格納した複数のプリント候補の画像データを縮小化」した画像データは、本願発明の「前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像に対応する複数の画像」に相当するといえる。
(エ)引用発明の「画像保存(キャプチャー)の操作を複数回続けて行い、RAM44に格納した複数のプリント候補の画像データが、それぞれモニター34上で主画面に重ねられた子画面として同時に表示される」における「子画面」の画像表示領域は、「複数の子画面の中から実際にプリントすべき画面とプリント不要の画面をユーザが分別する操作を行うため」に選択操作ができるから、本願発明の「前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像に対応する複数の画像がユーザによって選択可能に表示される第2表示領域」に相当するといえる。
(オ)引用発明の「モニター34」は、「主画面」と主画面に重ねられた複数の「子画面」を同時に表示するから、上記(ア)?(エ)によれば、本願発明の「複数の画像が切り替えて表示される第1表示領域と、前記第1表示領域に表示された前記複数の画像のうちからユーザによって印刷対象として選択された複数の画像に対応する複数の画像がユーザによって選択可能に表示される第2表示領域とを含む画面を表示する表示手段」に相当するといえる。
(カ)引用発明において、選択操作手段は、モニター上で子画面として表示されている画面からプリントすべき画面を分別するものであり、引用発明の「選択操作手段によってプリントすべき画面として選択されたプリント候補の画像データを」「プリント出力する」制御を司る部分は、本願発明の「前記第2表示領域に表示されている複数の画像のうちからユーザによって選択された画像に対応する画像データに基づいて印刷手段に印刷を実行させる印刷制御手段」に相当するといえる。
(キ)引用発明の「プリンター内蔵デジタル信号受信装置」は、本願発明と同様の「表示装置」といえる。

してみると、本願発明の構成は、すべて引用発明が備えているものであって、本願発明は引用発明と同一ということになる。
したがって、本願発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-04-20 
結審通知日 2017-04-25 
審決日 2017-05-09 
出願番号 特願2014-40849(P2014-40849)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 113- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 緑川 隆脇水 佳弘白石 圭吾  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 和田 志郎
千葉 輝久
発明の名称 表示装置  
代理人 阿部 琢磨  
代理人 黒岩 創吾  

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