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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1329987
審判番号 不服2016-107  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-05 
確定日 2017-07-06 
事件の表示 特願2013-205239「ミコナゾール硝酸塩を含む洗浄用組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月15日出願公開、特開2014- 88373〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 主な手続の経緯

本願は、平成25年9月30日の出願であって、平成27年1月13日に特許請求の範囲が補正され、同年5月29日付けで拒絶理由が通知され、同年7月27日に意見書が提出されるとともに特許請求の範囲が補正され、同年9月30日付けで拒絶査定がされたところ、これに対して、平成28年1月5日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲が補正されたので、特許法162条所定の審査がされた結果、同年5月24日付けで同法164条3項の規定による報告がされたものである。

第2 補正却下の決定

[結論]
平成28年1月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.平成28年1月5日付けの手続補正の内容
平成28年1月5日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時になされたものであり、特許法第17条の2第1項第4号の補正に該当する。
そして、本件補正は、以下に示す<補正前>の特許請求の範囲を、<補正後>の特許請求の範囲に変更するものである。

<補正前>
【請求項1】
メントールを含む、ミコナゾール硝酸塩のマラセチア属真菌に対する抗真菌活性増強剤(ただし、前記抗真菌活性増強剤のうち、マルトオリゴ糖を含む頭皮頭髪化粧料において使用されるものを除く)。
【請求項2】
前記メントールが、l-メントールである、請求項1に記載の抗真菌活性増強剤。
【請求項3】
洗浄用組成物における、マラセチア属真菌に対するミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性増強剤としてのメントールの使用。
【請求項4】
請求項1または2に記載の抗真菌活性増強剤およびミコナゾール硝酸塩を含む、抗真菌剤。
【請求項5】
前記抗真菌活性増強剤の配合量が、前記抗真菌剤全質量に対して0.005?5.0質量%である、請求項4に記載の抗真菌剤。
【請求項6】
前記ミコナゾール硝酸塩の配合量が、前記抗真菌剤全質量に対して0.1?2.0質量%である、請求項4または5に記載の抗真菌剤。
【請求項7】
メントールを使用した、ミコナゾール硝酸塩のマラセチア属真菌に対する抗真菌活性増強方法(ただし、前記抗真菌活性増強方法のうち、マルトオリゴ糖を含む頭皮頭髪化粧料において使用されるものを除く)。

<補正後>(下線は補正箇所。)
【請求項1】
メントールを含む、ミコナゾール硝酸塩のマラセチア属真菌に対する抗真菌活性増強剤(ただし、前記抗真菌活性増強剤のうち、マルトオリゴ糖を含む頭皮頭髪化粧料において使用されるものおよびサリチル酸を含むものを除く)。
【請求項2】
前記メントールが、l-メントールである、請求項1に記載の抗真菌活性増強剤。
【請求項3】
洗浄用組成物における、マラセチア属真菌に対するミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性増強剤(ただし、前記抗真菌活性増強剤のうち、マルトオリゴ糖を含む頭皮頭髪化粧料において使用されるものおよびサリチル酸を含むものを除く)としてのメントールの使用。
【請求項4】
請求項1または2に記載の抗真菌活性増強剤およびミコナゾール硝酸塩を含む、抗真菌剤。
【請求項5】
前記抗真菌活性増強剤の配合量が、前記抗真菌剤全質量に対して0.005?5.0質量%である、請求項4に記載の抗真菌剤。
【請求項6】
前記ミコナゾール硝酸塩の配合量が、前記抗真菌剤全質量に対して0.1?2.0質量%である、請求項4または5に記載の抗真菌剤。

2.本件補正の目的
本件補正前の請求項4と本件補正後の請求項4との対比において、本件補正は、請求項4が引用する請求項1の抗真菌活性増強剤において「サリチル酸を含むものを除く」と特定することで、補正前の発明特定事項を限定するものである。そして、本件補正の前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は変わらない。
よって、本件補正は、請求項4についてする補正については、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認める。
なお、本件補正は、いわゆる新規事項を追加するものではないと判断される。

3.独立特許要件の有無について
上記2.のとおりであるから、本件補正後の請求項4に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、要するに、本件補正が特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に適合するものであるか(いわゆる独立特許要件違反の有無)について検討するところ、以下説示のとおり、本件補正は当該要件に違反すると判断される。
すなわち、本願補正発明は、本願の出願前に頒布された刊行物である下記引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない(なお、引用文献2は、原査定の理由で引用された「引用文献2」と同じである)。

・ 引用文献2 特表2011-505398号公報

4.本願補正発明
本願補正発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項4に記載された事項(上記1.参照)により特定されるとおりのものであると認められるべきところ、該請求項4が引用する請求項1の内容を踏まえると、本願補正発明は以下のとおりのものであると認められる。

「メントールを含む、ミコナゾール硝酸塩のマラセチア属真菌に対する抗真菌活性増強剤(ただし、前記抗真菌活性増強剤のうち、マルトオリゴ糖を含む頭皮頭髪化粧料において使用されるものおよびサリチル酸を含むものを除く)、およびミコナゾール硝酸塩を含む、抗真菌剤。」

5.本願補正発明が特許を受けることができない理由
(1)引用文献の記載事項
引用文献2には、以下の事項(2-1)?(2-6)が記載されている。(なお、下線は当審による。)

(2-1)「【請求項1】
共融混合物を含んでおり、前記共融混合物がフケ抑制剤を含んでいることを特徴とする毛髪/頭皮手入れ組成物。
【請求項2】
共融混合物のフケ抑制剤がアゾール基剤である請求項1に記載の毛髪/頭皮手入れ組成物。
・・・
【請求項5】
共融混合物がさらにメントールを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の水性毛髪/頭皮手入れ組成物。」(特許請求の範囲参照)
(2-2)「【0005】
本発明の発明者らはある種の共融混合物は有益物質特に頭皮の皮膚の痒みおよび剥離のようなフケ症状の発生を防止する有益物質の付着を増進するために使用できることを知見した。」
(2-3)「【0014】
好ましくは共融混合物がさらにフケ抑制剤を全組成物の0.01重量%から30重量%。より好ましくは0.05重量%から10重量%、最も好ましくは0.1重量%から2重量%のレベルで含む。フケ抑制剤は、フケに対して有効な化合物であり、典型的には抗菌剤、好ましくは抗真菌剤である。
【0015】
抗真菌剤は典型的にはMalasseziaに対して約50mg/ml以下の最小阻害濃度を示す。」
(2-4)「【0023】
好ましい共融混合物は得られる配合物中の有効物質溶解度および付着効率を増加させる。フケ抑制剤を含む共融混合物は体内利用効率を増し、薬効(Malassezia駆除)を高める。」
(2-5)「共融混合物を形成するために組合せられるフケ抑制剤、メントール有効物質および有機酸を含有する有効物質組合せのモル比」として、以下の組合せ及びモル比が記載されている。

(【0092】段落表1、特に第14頁第6行参照)
(2-6)「【0104】
図2はケトコナゾール/メントール/サリチル酸を0.5:1:1のモル比で含有する共融シャンプー配合物がケトコナゾールの付着に与える効果を証明する。全部の有効物質を配合組成1のシャンプー配合物に配合した。記号は以下を表す:1)シャンプーだけ、2)0.2%ケトコナゾール、および、3)ケトコナゾール/メントール/サリチル酸共融ミックスの合計が0.2%(灰色)。共融配合物が0.1%のケトコナゾール(および各0.05%のメントールとサリチル酸)を含有するだけで、ケトコナゾール付着効率が3倍に改善されていることに注目されたい。これは、共融配合物にすることによって、シャンプー配合物から付着できるケトコナゾールの量が増加したことを示す。
【0105】
同様に、図3は、ケトコナゾール/メントール/サリチル酸を0.5:1:1のモル比で含有する共融コンディショナー配合物(上記の配合組成2による)がケトコナゾールの付着効率をほぼ4.5倍に増加させることを示す。記号は以下を表す:1)コンディショナーだけ、2)0.2%ケトコナゾール、および、3)ケトコナゾール/メントール/サリチル酸共融ミックスの合計が0.2%(灰色)。共融配合物が0.1%のケトコナゾール(および各0.05%のメントールとサリチル酸)を含有するだけであることに注目されたい。コンディショナー配合物の場合にもこのような共融配合物は付着できるケトコナゾールの量を増加させる。
【0106】
図4はクリンバゾール/メントールを0.25:1のモル比で含有する共融シャンプー配合物がクリンバゾールの付着に与える効果を示す。全部の有効物質を配合組成1のシャンプー配合物に配合した。記号は以下を表す:1)シャンプーだけ、2)0.3%クリンバゾール、および、3)クリンバゾール/メントール共融ミックスの合計が0.3%(灰色)。共融配合物が0.1%のクリンバゾールおよび0.2%のメントールを含有することに注目されたい。有意に増加したクリンバゾール付着が得られる。
【0107】
図1および図2に報告された観察の確証を得るために、共融ミックス(モル比0.5:1:1のケトコナゾール/メントール/サリチル酸の共融ミックス)を含有する配合組成1のシャンプー配合物の微生物駆除効率(すなわち、Malassezia furfur駆除;詳細は上記参照)も評価した。図5は、ケトコナゾール/メントール/サリチル酸を0.5:1:1のモル比で含有するこの共融シャンプー配合物が微生物駆除(すなわち、Malassezia furfur駆除)に与える効果を証明する。記号は以下を表す:1)シャンプーだけ、2)0.2%サリチル酸、3)0.2%メントール、4)0.1%ケトコナゾール、5)0.2%ケトコナゾール、および、6)ケトコナゾール/メントール/サリチル酸共融ミックスの合計が0.2%(灰色)。図5のデータは、シャンプー基剤、0.2%サリチル酸、0.2%メントールおよび0.1%ケトコナゾールは単独では微生物駆除に関して効果が比較的乏しいことを示す。対照的に0.2%ケトコナゾールは極めて効果的であり、ケトコナゾールに対する従来の用量従属応答を反映している。データはまた、ケトコナゾールを0.1%だけ含有する共融配合物が優れた微生物駆除効果を発揮することを明らかに示す。実際、この配合物は0.2%ケトコナゾール単独とほぼ同程度に効果的であり、0.1%ケトコナゾール単独よりも10倍も効果的である。従って共融配合物からの付着増進に伴って微生物駆除も強化される。
【0108】
最後に、図6は、ケトコナゾール/メントール/サリチル酸を0.5:1:1のモル比で含有する共融コンディショナー配合物が微生物駆除(Malassezia furfur駆除)に与える効果を示す。記号は以下を表す:1)コンディショナー単独、2)0.2%ケトコナゾール、および、3)ケトコナゾール/メントール/サリチル酸共融ミックスの合計が0.2%(灰色)。ここでも、共融配合物がケトコナゾールを0.1%だけ(および各0.05%のメントールおよびサリチル酸を)含有することに注目されたい。図6は、コンディショナー基剤単独では微生物駆除に関して効果的でないが、ケトコナゾールを0.1%だけ含有する共融配合物は0.2%ケトコナゾール単独と同程度に効果的であることを示す。これは、シャンプー配合物について観察された効果の再現であり、共融配合物が種々の配合物/製品の効能増進を果たし得ることを示す。」

(2)対比
上記記載事項(2-1)によれば、引用文献2には、特許請求の範囲に「フケ抑制剤としてのアゾール基剤、及びメントールを含む共融混合物」の発明が記載されており、上記記載事項(2-5)に指摘のとおり、その具体的な態様として、モル比が1:1:1である、ミコナゾール、メントール及び安息香酸からなる共融混合物が記載されている。
そうすると、引用文献2には、「ミコナゾール、メントール及び安息香酸からなる共融混合物」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
ここで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「共融混合物」はフケ抑制剤である「ミコナゾール」を含むものであるところ、上記記載事項(2-3)及び(2-4)の記載から、引用発明がMalasseziaに対する抗真菌活性を意図するものであることは明らかである。さすれば、引用発明における「共融混合物」は本願補正発明における「抗真菌剤」に相当する。
また、引用発明は、本願補正発明において除かれることが特定されている「マルトオリゴ糖を含む頭皮頭髪化粧料において使用されるもの」及び「サリチル酸を含むもの」のいずれにも該当しない。
したがって、本願補正発明と引用発明とは次の点で一致し、次の点で相違すると認められる。

<一致点>
「メントール及びミコナゾールを含む、抗真菌剤」

<相違点>
相違点1:
本願補正発明においては「ミコナゾール」が「硝酸塩」であることが特定されているのに対し、引用発明ではそのような特定がない点。
相違点2:
本願補正発明においては「メントール」が、「ミコナゾール硝酸塩のマラセチア属真菌に対する抗真菌活性増強剤」の一成分として含まれることが特定されているのに対し、引用発明においては、そのような特定がない点。

(3)相違点についての判断
ア.相違点1について
「ミコナゾール硝酸塩」は、抗真菌剤として広く知られている物質であり、例えば特開2011-148773号公報においては、「硝酸ミコナゾール」(本願補正発明における「ミコナゾール硝酸塩」に相当するものと認められる。)を、マラセチア菌の繁殖を抑え、頭皮のフケ及びかゆみを軽減するために用いることが記載されている(請求項1、【0002】?【0005】段落参照)。
したがって、引用発明において、「ミコナゾール」として「ミコナゾール硝酸塩」を用いることは、当業者が適宜になし得た事項である。

イ.相違点2について
(ア)本願補正発明においては、「メントール」が、「ミコナゾール硝酸塩のマラセチア属真菌に対する抗真菌活性増強剤」の一成分として含まれることが特定されているが、本願補正発明と引用発明はいずれも「メントール及びミコナゾールを含む、抗真菌剤」の発明である点で何ら変わりはない。しかも、抗真菌剤の一成分である「メントール」の用途が特定されていたとしても、その特定に起因して、抗真菌剤に配合される成分や量などが相違するわけでもないことからすれば、相違点2があったとしても、本願補正発明と引用発明とを区別することはできない。したがって、相違点2は実質的な相違点であるとはいえない。

(イ)仮に、相違点2を実質的な相違点であると解釈したとしても、以下(ウ)に説示のとおり、「メントール」を、「ミコナゾール硝酸塩のマラセチア属真菌に対する抗真菌活性増強剤」の一成分として用いることは、当業者が適宜なし得たことと判断される。

(ウ)引用文献2には、「フケ抑制剤」の付着効率を増加させ、薬効(Malassezia駆除)を高めるために、「フケ抑制剤」を含む共融混合物を用いることが記載されており(上記記載事項(2-2)及び(2-4)参照)、実際に、「ケトコナゾール/メントール/サリチル酸」の共融混合物を用いた際に、ケトコナゾールを単独で用いた場合よりもケトコナゾールの付着効率が増加するとともに、Malassezia furfur駆除が強化されたこと、及び「クリンバゾール/メントール」の共融混合物を用いた際に、クリンバゾールを単独で用いた場合よりもクリンバゾールの付着効率が増加したことが、具体的な試験結果を伴って記載されている(上記記載事項(2-6)参照)。これらの記載を踏まえると、引用文献2に記載の「共融混合物」における「フケ抑制剤」以外の成分は、「フケ抑制剤」の抗真菌活性を増強するために含まれていると解するのが自然であり、引用発明における「メントール及び安息香酸」は、実質的に、「ミコナゾールのマラセチア属真菌に対する抗真菌活性増強剤」に相当すると認められる。
そして、上記(ア)で検討のとおり、引用発明において、「ミコナゾール」として「ミコナゾール硝酸塩」を用いることは当業者が適宜になし得た事項であるので、引用発明における「メントール及び安息香酸」を「ミコナゾール硝酸塩」との共融混合物とすること、すなわち、「メントール」を、「ミコナゾール硝酸塩のマラセチア属真菌に対する抗真菌活性増強剤」の一成分として用いることは、当業者が適宜なし得た事項と認められる。

ウ.本願補正発明による効果について
本願補正発明による効果に関し、本願明細書では、ミコナゾール硝酸塩をメントールと併用した際に、Malassezia furfurに対するin vitro抗真菌活性が向上した試験結果(【表2-1】、【表4】参照)が示されているのに対し、引用文献2においては、引用発明の共融混合物を用いた場合の試験結果は示されていない。
しかしながら、上述のとおり、引用発明は、特許請求の範囲に記載されている「フケ抑制剤としてのアゾール基剤、及びメントールを含む共融混合物」の具体的な態様の一つとして記載されているところ、引用文献2には、他の具体的な態様である「ケトコナゾール/メントール/サリチル酸」の共融混合物を用いた際に、ケトコナゾールを単独で用いた場合よりもケトコナゾールの付着効率が増加するとともに、Malassezia furfur駆除が強化されたこと、及び「クリンバゾール/メントール」の共融混合物を用いた際に、クリンバゾールを単独で用いた場合よりもクリンバゾールの付着効率が増加したことを示す試験結果が示されている(上記記載事項(2-6)参照)。そうすると、引用発明(ミコナゾール、メントール及び安息香酸からなる共融混合物)や、引用発明のミコナゾールとしてミコナゾール硝酸塩を用いた場合においても、同様にMalassezia furfurに対する抗菌活性が向上することを当業者は当然に期待し得るものと認められ、本願補正発明によって奏される上記効果が、引用文献から予測し難い格別なものであると認めることはできない。

(4)小括
上記のとおり、本願補正発明は、引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

6.まとめ
以上、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年7月27日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定されるべきところ、該請求項4が引用する請求項1の内容を踏まえると、本願発明は、以下のとおりのものであると認められる。

「メントールを含む、ミコナゾール硝酸塩のマラセチア属真菌に対する抗真菌活性増強剤(ただし、前記抗真菌活性増強剤のうち、マルトオリゴ糖を含む頭皮頭髪化粧料において使用されるものを除く)、およびミコナゾール硝酸塩を含む、抗真菌剤。」

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、要するに、本願発明は引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由(理由2)を含むものである。

3.引用発明
引用発明は、上記第2の5.(2)において認定したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、本願補正発明との比較において、「抗真菌活性増強剤」について「サリチル酸を含むものを除く」との特定事項を有しないものである(上記第2の1.参照)。すなわち、本願補正発明は、本願発明の構成をすべて包含するものであるといえる。
そして、本願発明の特定事項をすべて含む本願補正発明が、上述のとおり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである以上、本願発明も、同様の理由により特許を受けることができないものであるといえる。
なお、この判断は、原査定の拒絶の理由(上記2.参照)に沿うものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないと判断される。
そうすると、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-08 
結審通知日 2017-05-09 
審決日 2017-05-22 
出願番号 特願2013-205239(P2013-205239)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷川 真一松村 真里  
特許庁審判長 須藤 康洋
特許庁審判官 安川 聡
関 美祝
発明の名称 ミコナゾール硝酸塩を含む洗浄用組成物  
代理人 星川 亮  
代理人 大賀 沙央里  
代理人 小林 浩  
代理人 鈴木 康仁  
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