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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1329993
審判番号 不服2016-7101  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-16 
確定日 2017-07-06 
事件の表示 特願2015-119869「遊戯用撮影装置、遊戯用撮影方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月26日出願公開、特開2015-213336〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年5月18日に出願した特願2012-114559号の一部を平成27年6月15日に新たな特許出願としたものであって、同日付けで手続補正がなされ、その後、平成27年9月17日(起案日)付けで拒絶の理由が通知され、それに応答して平成27年11月10日付けで意見書が提出されたが、平成28年2月9日(起案日)付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成28年5月16日に拒絶査定不服審判が請求されるととともに、同時に手続補正がなされたものである。

第2.平成28年5月16日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成28年5月16日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、補正前の平成27年6月15日付けの手続補正による特許請求の範囲の請求項1ないし10を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1ないし8に補正するものであるところ、本件補正は、請求項1に係る次の補正事項を含むものである(アンダーラインは補正箇所)。

(補正前の請求項1)
「【請求項1】
利用者を撮影する撮影手段と、
左側に配置された第1の操作画面と右側に配置された第2の操作画面に撮影画像を表示する表示手段と、
前記第1及び第2の操作画面に対して前記利用者が操作入力を行うための入力手段と、
前記各手段を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、
前記撮影画像に含まれる第1及び第2の利用者の像の左右の位置関係に基づいて、前記第1の利用者を前記第1の操作画面に関連付け、前記第2の利用者を前記第2の操作画面に関連付ける関連付け処理を実行することを特徴とする遊戯用撮影装置。」
とあるのを、

(補正後の請求項1)
「【請求項1】
撮影室に設けられた、利用者を撮影する撮影手段と、
前記撮影室とは異なる位置にある編集ブースに設けられた編集操作用タッチパネルよりなる表示手段であって、左側に配置された第1の操作画面と右側に配置された第2の操作画面に撮影画像を表示する表示手段と、
前記第1及び第2の操作画面に対して前記利用者が操作入力を行うためのタッチペンよりなる入力手段と、
前記各手段を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、
前記撮影画像に含まれる第1及び第2の利用者の像の左右の位置関係に基づいて、前記第1の利用者を前記編集操作用タッチパネルに表示される前記第1の操作画面に関連付け、前記第2の利用者を前記編集操作用タッチパネルに表示される前記第2の操作画面に関連付ける関連付け処理を実行し、
前記第1の利用者に関連付けられた前記第1の操作画面に対する前記タッチペンによる操作入力により、前記第1の利用者の像に対する補正態様の設定を受け付け、前記第2の利用者に関連付けられた前記第2の操作画面に対する前記タッチペンによる操作入力により、前記第2の利用者の像に対する補正態様の設定を受け付けることを特徴とする遊戯用撮影装置。」
と補正する。

本件補正の請求項1に係る補正は、以下に示す補正事項を有している。

(1)補正事項1
撮影手段を、「撮影室に設けられた」撮影手段とする補正。

(2)補正事項2
表示手段を、「前記撮影室とは異なる位置にある編集ブースに設けられた編集操作用タッチパネルよりなる表示手段」であるとする補正。

(3)補正事項3
入力手段を、「タッチペンよりなる」入力手段とする補正。

(4)補正事項4
関連付け処理において、第1の利用者、及び第2の利用者を関連付ける第1の操作画面、及び第2の操作画面を、「前記編集操作用タッチパネルに表示される」第1の操作画面、及び第2の操作画面とする補正。

(5)補正事項5
制御手段が行う処理として、「前記第1の利用者に関連付けられた前記第1の操作画面に対する前記タッチペンによる操作入力により、前記第1の利用者の像に対する補正態様の設定を受け付け、前記第2の利用者に関連付けられた前記第2の操作画面に対する前記タッチペンによる操作入力により、前記第2の利用者の像に対する補正態様の設定を受け付ける」処理を追加する補正。

2.補正の適合性
(1)補正の目的
補正事項1ないし4は発明特定事項に限定を加えるものであり、補正事項5は制御手段による処理を追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正といえる。
そして、補正事項1ないし5により、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は変わるものではなく同一であるといえるから、特許法第17条の2第5項第2号の規定に該当するものである。

(2)補正の範囲及び単一性について
補正事項1は願書に最初に添付した明細書の段落0014,0015の記載に基づくものであり、同じく、補正事項2、4,5は段落0125の記載、補正事項3は段落0019の記載に基づくものである。
よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。

また、各補正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるから、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明とは発明の単一性の要件を満たすものといえ、本件補正は特許法第17条の2第4項の規定に適合するものである。

(3)独立特許要件
以上のように、本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものであるので、本件補正後の請求項1に記載された発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(3-1)本願補正発明
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、本願補正発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成(A)、構成(B)などと称する。

(本願補正発明)
(A)撮影室に設けられた、利用者を撮影する撮影手段と、
(B)前記撮影室とは異なる位置にある編集ブースに設けられた編集操作用タッチパネルよりなる表示手段であって、左側に配置された第1の操作画面と右側に配置された第2の操作画面に撮影画像を表示する表示手段と、
(C)前記第1及び第2の操作画面に対して前記利用者が操作入力を行うためのタッチペンよりなる入力手段と、
(D)前記各手段を制御する制御手段と、を備えており、
(E)前記制御手段は、
前記撮影画像に含まれる第1及び第2の利用者の像の左右の位置関係に基づいて、前記第1の利用者を前記編集操作用タッチパネルに表示される前記第1の操作画面に関連付け、前記第2の利用者を前記編集操作用タッチパネルに表示される前記第2の操作画面に関連付ける関連付け処理を実行し、
前記第1の利用者に関連付けられた前記第1の操作画面に対する前記タッチペンによる操作入力により、前記第1の利用者の像に対する補正態様の設定を受け付け、前記第2の利用者に関連付けられた前記第2の操作画面に対する前記タッチペンによる操作入力により、前記第2の利用者の像に対する補正態様の設定を受け付ける
(F)ことを特徴とする遊戯用撮影装置。

(3-2)引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2012-37735号公報には、「画像編集装置および方法、並びにプログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

【0041】
図1の写真シール作成装置1は、撮影や編集等の作業の娯楽性を高め、それらの作業を利用者にゲーム(遊戯サービス)として行わせ、撮影画像や編集済み画像を写真シールやデータとして利用者に提供する代わりに、利用者より代金を受け取るゲーム装置(遊戯サービス提供装置)である。
【0042】
この写真シール作成装置1が実行する写真シール作成ゲームにおいて、利用者は、ゲームの代金を投入し、写真シール作成装置1に設けられたカメラを用いて自分自身等を撮影し、その撮影画像に対して背景画像を合成したり、ペン入力やスタンプ入力等の編集機能により合成用画像を加える等の編集(落書き編集)を行い、撮影画像を彩り豊かなものにデザインする。そしてゲーム終了後、利用者は、編集済み画像が印刷された写真シール等を成果物として受け取る。

【0052】
写真シール作成装置1は、このような特徴を有するが、その筐体10は、図1に示すように、撮影ユニット12、編集ユニット13、天井ストロボユニット14、および背景カーテンユニット15の4つのユニットに大きく分けられる。
【0053】
撮影ユニット12は、利用者等を被写体として撮影する機能を有しており、後述する内部の撮影空間において被写体の撮影が行われる。この撮影ユニット12は、大きく、前方ユニット12Aと後方ユニット12Bの2つに分けられる。

【0055】
編集ユニット13は、利用者が撮影画像に対する落書き編集等を行うための構成(例えば、モニタ、タッチパネル、およびタッチペン等)が設けられている。後述するように1つの筺体からなる編集ユニット13は、2組の利用者が同時に編集作業を行うことができるように、2つの面のそれぞれに、落書き編集等を行うための構成が設けられている。後述するように、写真シール作成装置1は、複数の写真シール作成ゲームを並列的に実行することができる。換言すれば、複数組の利用者が、同時に写真シール作成装置1において写真シール作成ゲームをプレイすることができる。編集ユニット13は、写真シール作成ゲームのプレイの回転率を向上させるために、それらの複数組の利用者が同時に落書き編集を行うことができるように、2つの落書き編集等を行うための構成が設けられている。

【0081】
図5は、前方ユニット12Aの構成例を示す図である。図5の正面12A-1は、撮影空間32内に面する側面であり、撮影作業を行う利用者にとって前方に位置する面である。つまり、利用者は、撮影空間32において、基本的にこの正面12A-1に向かって(前方ユニット12A側を向いて)撮影作業を行う。
【0082】
この正面12A-1の中央付近には、撮影空間32内の被写体を撮影するカメラ51が設けられており、カメラ51の下側にタッチパネルモニタ52が設けられている。タッチパネルモニタ52は、例えば、カメラ51により光電変換されてリアルタイムに(即時)取り込まれている取り込み画像に背景や前景等の画像を合成した合成画像(動画像)を表示するライブビューモニタとしての機能と、各種GUI(Graphical User Interface)画像を表示するとともに、画面上に重畳されたタッチパネルにより利用者の指示を受け付ける機能とを備えている。また、正面12A-1には、曲面または平面で構成される乳白アクリル板53-1乃至乳白アクリル板53-6の背後に、撮影空間32内を照明したり、カメラ51による撮影タイミングに合わせてフラッシュ光を発光したりする照明装置が設置されている他、撮影作業中の利用者の手荷物等を置くための荷物置き場54-1および54-2、並びに、写真シール作成ゲームの代金が投入される硬貨投入返却口55が設けられている。

【0092】
図6は、編集ユニット13の、撮影ユニット12側から見て左側面の構成例(第1編集空間33A側の構成例)を示す図である。

【0094】
第1編集インタフェース13Aには、タブレット内蔵モニタ62、2本のタッチペン63-1およびタッチペン63-2、スピーカ64、並びに追加硬貨投入返却口65が設けられている。
【0095】
タブレット内蔵モニタ62は、タッチペン63-1またはタッチペン63-2により位置情報を入力可能な無色透明のタブレットが、CRTディスプレイやLCD等の、画像を表示可能な表示デバイスの表示画面上に重畳されることにより構成される。したがって、タブレット内蔵モニタ62は、表示デバイスにより単にGUI画像等を表示するだけでなく、タブレットにより利用者からの入力操作を受け付ける。タブレット内蔵モニタ62には、例えば、撮影空間における撮影作業により得られた撮影画像を編集する編集作業用のGUI画像からなる編集画面が表示される。
【0096】
タッチペン63-1とタッチペン63-2は、タブレット内蔵モニタ62の左右近傍に、左右1本ずつ所定のアタッチメントにより編集ユニット13に着脱可能に固定されており、同じ組の2人の利用者が、これらのタッチペンをそれぞれ使用することにより、同時に、写真シール作成作業の編集作業の工程をプレイすることができるようになされている。なお、以下において、タッチペン63-1およびタッチペン63-2を互いに区別して説明する必要のない場合、単にタッチペン63と称する。

【0129】
次に、制御部101について説明する。図9は、制御部101がROM106などに格納されているプログラムを実行することにより実現される機能ブロックの構成例を示している。
【0130】
制御部101は、写真シール作成ゲームを開始する際に投入される代金(硬貨)に関する処理や、利用者を撮影する等の写真シール作成ゲームの撮影作業の工程に関する処理を行う撮影処理部202、撮影画像に対する落書き編集等の写真シール作成ゲームの編集作業の工程に関する処理を行う編集処理部203、シール紙の印刷等の写真シール作成ゲームの印刷の工程に関する処理を行う印刷処理部204、および、編集作業を終了した利用者を接客する写真シール作成ゲームの事後接客の工程に関する処理を行う事後接客処理部205を有する。
【0131】
つまり、制御部101は、写真シール作成ゲームの各工程に関する処理の制御を行う。

【0151】
次に、写真シール作成装置1で行われる写真シール作成ゲームの流れについて、図11のフローチャートを参照して説明する。

【0154】
ステップS3において、撮影処理部202は、撮影部112の各部を制御し、撮影空間32内において行われる、写真シール作成ゲームの撮影作業に関する処理である撮影処理を実行する。

【0163】
次に、図12のフローチャートを参照して、図11のステップS3において実行される撮影処理の詳細な流れを説明する。なお、撮影処理では、上述したように、最終的に例えば6枚の撮影画像が編集処理対象として決定される。

【0165】
撮影コース選択画面が表示されると、コース選択制御部213は、ステップS22において、利用者によりカップルコースが選択されたか否かを判定し、選択されたと判定した場合、ステップS23に処理を進める。ステップS23において、撮影処理部202は、カップルコース撮影処理を行う。カップルコース撮影処理の詳細は後述する。

【0168】
次に、図13および図14のフローチャートを参照して、図12のステップS23において実行されるカップルコース撮影処理の詳細な流れを説明する。

【0172】
ステップS34において、コース選択制御部213は、撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面(GUI)を、タッチパネルモニタ52に表示する。
【0173】
この画像処理の種類を選択させる選択画面としては、例えば、図15に示す性別選択画面が表示される。
【0174】
図15に示されるように、性別選択画面301は、主な構成が、一部を除き左右に2つずつ設けられている。これは、基本的に同じ組(カップル)の2名の利用者が同時に性別の選択入力を行うことができるようにするものである。
【0175】
性別選択画面301の中央には、ライブビュー画像表示部311が設けられている。ライブビュー画像表示部311においては、カメラ51からの、被写体Aおよび被写体Bの取り込み画像(以下、ライブビュー画像ともいう)が表示されている。また、ライブビュー画像表示部311においては、被写体Aおよび被写体Bの顔の位置が認識され、認識された被写体Aおよび被写体Bの顔の範囲(領域)を示す枠321Aおよび321Bが、ライブビュー画像に重畳されて表示されている。

【0181】
すなわち、カップルコース撮影処理においては、撮影画像に対して行われる画像処理として、選択された性別に応じた画像処理(男性用画像処理または女性用画像処理)が行われる。ここで、男性用画像処理は、例えば、被写体の顔画像に対して、肌の色を日焼けしたように茶色くしたり、顔の輪郭を細くする処理とされ、女の子用画像処理は、例えば、被写体の顔画像に対して、肌の色を白くしたり、目の大きさを大きくする処理とされる。なお、性別として男性が選択された場合には、男性用画像処理が行われるようにしたが、いずれの画像処理も行われないようにしてもよい。これにより、利用者に男性が含まれる場合には、男性である被写体の顔がよりリアルな撮影画像が取得されるようになる。
【0182】
図13のフローチャートに戻り、ステップS35において、コース選択制御部213は、ステップS34の処理で表示された性別選択画面301における、利用者による男女別の画像処理の選択、すなわち、性別の選択を受け付ける。
【0183】
ステップS36において、コース選択制御部213は、ステップS35において受け付けた利用者による選択に応じた画像処理が施されたサンプル画像を表示する。
【0184】
すなわち、図15Aに示される性別選択画面301において、被写体Aに対応する利用者によって男女選択ボタン312-1の「男の子」ボタンが選択され、被写体Bに対応する利用者によって男女選択ボタン312-2の「女の子」ボタンが選択されると、図15Bに示されるように、男女選択ボタン312-1の「男の子」ボタンが強調表示されるとともに、男女選択ボタン312-2の「女の子」ボタンが強調表示される。また、サンプル画像表示部313-1には、ライブビュー画像から抽出された静止画像における被写体Aの顔の領域を抽出した顔画像に対して、男性用画像処理を施した顔画像(被写体A’)が表示され、サンプル画像表示部313-2には、ライブビュー画像から抽出された静止画像における被写体Bの顔の領域を抽出した顔画像に対して、女性用画像処理を施した顔画像(被写体B’)が表示される。

【0211】また、上述した例では、性別に応じた画像処理が選択されるようにしたが、親子(大人と子供)の区別や、年代(年齢)など、利用者の属性に応じた画像処理が選択されるようにしてもよい。具体的には、親子の区別に応じた画像処理が選択される場合、図15に示される性別選択画面301に代わり、「親」ボタンと「子」ボタンから構成される親子選択ボタンを備えた親子選択画面を表示するようにし、「親」ボタンが選択されると、顔が凛々しく見えるように、顔の形状(輪郭)をシャープにする画像処理が行われ、「子」ボタンが選択されると、顔が愛らしく見えるように、顔の形状を丸みのある形にする画像処理が行われるようにしてもよい。また、年代(年齢)に応じた画像処理が選択される場合、「20代」ボタンや「40代」ボタンなどの年代別のボタンから構成される年代選択ボタンを備えた年代選択画面を表示するようにし、選択された年代選択ボタンに応じて、顔の形状を変化させたり、しみやしわを消すなど肌の質感を調整する画像処理が行われるようにしてもよい。さらに、利用者の属性として、背の高さや頭髪の長さなどの外見的(身体的)特徴を適用し、背の高さや頭髪の長さの段階に応じた画像処理が行われるようにしてもよい。

【0269】
次に、図25のフローチャートを参照して、図11のステップS5において実行される編集処理の詳細な流れの例を説明する。なお、この編集処理は、実際には、第1編集空間33Aまたは第2編集空間33Bのうち、図12のフローチャートに対応する写真シール作成ゲームの撮影工程をプレイした利用者が移動した方の編集空間に対して実行されるが、いずれの編集空間に対する場合も同様の処理が実行されるので、以下においては説明の簡略化のため、利用者が第1編集空間33Aに移動したか第2編集空間33Bに移動したかを特に明言せずに、編集空間33に移動したものとして説明する。
【0270】
編集処理が開始されると、編集準備処理部232は、ステップS131において、撮影部112によって得られた撮影画像であって、落書き編集の対象として選択された編集対象画像を、記憶部102から取得する。編集準備処理部232は、ステップS132において、編集空間33の編集用モニタ141に所定のGUI画面を表示し、移動してきた利用者に対し、事後接客処理のゲームの種類を選択させる。上述したように、事後接客処理部205は、印刷終了待機中の利用者に対してミニゲームや画像転送等のサービスを行う。編集準備処理部232は、このときに何を行うかを、利用者に対し、予め用意された選択肢の中から選択させる。利用者が事後接客処理の内容を選択すると、編集準備処理部232は、次に、編集用モニタ141に編集開始ボタンのGUI画像を表示する。利用者は、タッチペン63を操作して、その編集開始ボタンを押下操作する。編集開始ボタンが押下操作されると、編集用モニタ141に編集作業用のGUIである編集画面が表示されるので、利用者は落書き編集作業を開始することができる。
【0271】
編集準備処理部232は、ステップS133において、タブレット内蔵モニタ62から供給される情報に基づいて、その編集開始ボタンが利用者により操作されたか否かを判定し、操作されたと判定するまで待機する。編集開始ボタンが操作されたと判定した場合、編集準備処理部232は、処理をステップS134に進め、編集画面表示制御部234は、編集用モニタ141に、撮影画像に対する落書き編集を利用者に入力させるGUI画面である編集画面を表示させる。編集画面の表示処理の詳細は後述する。
【0272】
入力受付制御部233は、ステップS135において、編集部113のタブレット142やタッチペン63を制御し、利用者による編集画面に対する落書き編集入力の受け付けを開始する。

【0287】
図28は、被写体情報592に、男性が左側で、女性が右側である立ち位置を示す情報が含まれている場合の編集画面の構成例を示す図である。
【0288】
図28に示されるように、編集画面601は、主な構成が、一部を除き左右に2つずつ設けられている。これは、基本的に同じ組の2名の利用者が同時に落書き編集入力を行うことができるようにするものである。なお、図28の編集画面601においては、被写体情報592で示される立ち位置に基づいて、編集用モニタ141に向かって、左側に男性が、右側に女性が立って編集作業を行えるように表示がなされている。

(3-3)引用発明
引用文献1に記載された発明を以下に認定する。

a.写真シール作成装置
引用文献1の段落0041,0042,0052の記載によれば、引用文献1には、撮影ユニット12、編集ユニット13等を有する写真シール作成装置1が記載されており、この写真シール作成装置1は、利用者に遊戯サービスとして、撮影画像や編集済み画像を写真シールやデータとして提供する遊戯サービス提供装置である。
すなわち、引用文献1には、『遊戯サービスを提供する写真シール作成装置』が記載されている。

b.撮影ユニット
引用文献1の段落0053,0081,0082の記載によれば、撮影ユニット12には、利用者を被写体として撮影するカメラ51が設けられている。
また、引用文献1の段落0082の記載によれば、撮影ユニット12にはタッチパネルモニタ52が設けられており、タッチパネルモニタ52は、カメラにより取り込まれた画像に背景等を合成した合成画像(動画像)を表示するライブビューモニタとしての機能と、画面上に重畳されたタッチパネルにより利用者の指示を受け付ける機能とを備えている。
すなわち、写真シール作成装置は、『利用者を撮影するカメラ、及び利用者の指示を受け付け、カメラにより取り込まれた画像を表示するタッチパネルモニタが設けられた撮影ユニット』を備えている。

c.編集ユニット
引用文献1の段落0055,0092,0094?0096,0269?0272の記載によれば、編集ユニット13には利用者が撮影画像に対する落書き編集等を行うための構成(例えば、モニタ、タッチパネル、及びタッチペン等)が設けられ、それらの構成として、タブレット内蔵モニタ62は、撮影画像を編集する編集作業用のGUI画像からなる編集画面が表示され、タッチペンによる利用者からの入力操作を受け付け、その左右近傍に、同じ組の2人の利用者が使用するタッチペン63-1とタッチペン63-2が設けられている。
また、段落0287,0288,図28の記載によれば、タブレット内蔵モニタ62に表示される編集画面601は、左右に2つ設けられ、同じ組の2名の利用者が同時に落書き編集入力を行うことができる。
これらのことから、写真シール作成装置は、『左右に2つ設けられた利用者が撮影画像に対する落書き編集等を行うための編集画面が表示されるタブレット内蔵モニタ、及び左右の編集画面に対して利用者が編集入力を行うためのタッチペンが設けられた編集ユニット』を備えている。

e.制御部
引用文献1の段落0129?0131の記載によれば、写真シール作成装置1は、撮影作業の工程に関する処理を行う撮影処理部202、写真シール作成ゲームの編集作業の工程に関する処理を行う編集処理部203等を有し、写真シール作成ゲームの各工程に関する処理の制御を行う制御部101を備えている。
すなわち、写真シール作成装置は、『写真シール作成ゲームの各工程に関する処理の制御を行う制御部』を備えている。

f.制御部の動作
引用文献1の段落0151,0154,0163,0165,0168,0172?0175,0181?0184,図15の記載によれば、撮影作業に関する処理である撮影処理において、カップルコースが選択された場合に、タッチパネルモニタ52に性別選択画面301が表示され、性別選択画面301の中央に、顔が認識され顔の範囲を示す枠が重畳された被写体A(左側)及び被写体B(右側)を含むカメラからの画像が表示されるライブビュー画像表示部311と、ライブビュー画像表示部311の左右に、性別の選択入力を行う2つの構成(男女選択ボタン312-1、男女選択ボタン312-2)が表示される。
そして、被写体A(左側)及び被写体B(右側)に対応する利用者によって男女選択ボタン312-1又は男女選択ボタン312-2が操作されると、選択された性別に応じた画像処理(男性用画像処理又は女性用画像処理)が、被写体A(左側)及び被写体B(右側)の顔画像に対して行われる。

ここで、性別選択画面301は、中央のライブビュー画像表示部311に表示されるカメラからの画像に含まれる被写体A(左側)及び被写体B(右側)に対応する利用者を、ライブビュー画像表示部311の左右に表示される2つの男女選択ボタン(312-1、312-2)に対応付けている。
また、男女選択ボタンにより、選択された性別に応じた画像処理が顔画像に対して行われるということは、男女選択ボタンの操作によって、選択された性別に応じた画像処理が顔画像に対して行われるように設定することといえる。

すなわち、制御部101は、『タッチパネルモニタに表示される性別選択画面において、中央のライブビュー画像表示部に表示されるカメラからの画像に含まれる左側被写体A及び右側被写体Bに対応する利用者を、ライブビュー画像表示部の左右に表示される2つの男女選択ボタンに対応付け、
左側被写体A及び右側被写体Bに対応する利用者による男女選択ボタンの操作によって、選択された性別に応じた男性用画像処理又は女性用画像処理が、左側被写体A及び右側被写体Bの顔画像に対して行なわれるように設定する』ものである。

g.まとめ
以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
(a)利用者を撮影するカメラ、及び利用者の指示を受け付け、カメラにより取り込まれた画像を表示するタッチパネルモニタが設けられた撮影ユニットと、
(b)左右に2つ設けられた利用者が撮影画像に対する落書き編集等を行うための編集画面が表示されるタブレット内蔵モニタ、及び左右の編集画面に対して利用者が編集入力を行うためのタッチペンが設けられた編集ユニットと、
(c)写真シール作成ゲームの各工程に関する処理の制御を行う制御部と、を備えており、
(d)前記制御部は、
タッチパネルモニタに表示される性別選択画面において、中央のライブビュー画像表示部に表示されるカメラからの画像に含まれる左側被写体A及び右側被写体Bに対応する利用者を、ライブビュー画像表示部の左右に表示される2つの男女選択ボタンに対応付け、
左側被写体A及び右側被写体Bに対応する利用者による男女選択ボタンの操作によって、選択された性別に応じた男性用画像処理又は女性用画像処理が、左側被写体A及び右側被写体Bの顔画像に対して行なわれるように設定する
(e)遊戯サービスを提供する写真シール作成装置。

(3-4)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

a.本願補正発明の構成(A)と引用発明の構成(a)との対比
引用発明の「撮影ユニット」及び「利用者を撮影するカメラ」は、それぞれ本願補正発明の「撮影室」及び「利用者を撮影する撮像手段」に相当するものであるから、引用発明は、本願補正発明の構成(A)の「撮影室に設けられた、利用者を撮影する撮影手段」を備えている。

b.本願補正発明の構成(B)と引用発明の構成(a)との対比
引用発明の「タッチパネルモニタ」は、『タッチパネルよりなる表示手段』といえる。
また、「タッチパネルモニタ」は、「カメラにより取り込まれた画像を表示する」ものであり、引用発明の構成(d)によれば、タッチパネルモニタには中央にライブビュー画像表示部を有する性別選択画面である操作画面が表示されるものであるから、『操作画面に撮影画像を表示する』ものといえる。
したがって、引用発明の「タッチパネルモニタ」は、本願補正発明の構成(B)と、『タッチパネルよりなる表示手段であって、操作画面に撮影画像を表示する表示手段』という点で一致する。
ただし、「タッチパネルよりなる表示手段」に関し、本願補正発明では、「前記撮影室とは異なる位置にある編集ブースに設けられ」ているのに対し、引用発明では、『撮影ユニットに設けられ』ている点、及び、表示手段に表示される「操作画面」に関し、本願補正発明では、「左側に配置された第1の操作画面と右側に配置された第2の操作画面」であるのに対し、引用発明では、「性別選択画面」である点で、両者は相違する。

c.本願補正発明の構成(C)と引用発明の構成(b)との対比
引用発明は、「タッチパネルモニタ」に対する入力手段を有していないため、本願補正発明の構成(C)の「前記第1及び第2の操作画面に対して前記利用者が操作入力を行うためのタッチペンよりなる入力手段」を備えていない点で相違する。

d.本願補正発明の構成(D)と引用発明の構成(c)との対比
引用発明の「写真シール作成ゲームの各工程に関する処理の制御を行う制御部」は、「写真シール作成装置」における各工程の処理を行う各処理部を制御するものといえるから、本願補正発明の構成(D)と「前記各手段を制御する制御手段」という点で一致する。

e.本願補正発明の構成(E)と引用発明の構成(d)との対比
(a)引用発明の「制御部」が本願補正発明の「制御手段」に相当することは、上記dにおいて述べたとおりである。

(b)引用発明の「タッチパネルモニタに表示される性別選択画面において、ライブビュー画像表示部に表示されるカメラからの画像に含まれる左側被写体A及び右側被写体Bに対応する利用者を、ライブビュー画像表示部の左右に表示される2つの男女選択ボタンに対応付け」ることは、「2つの男女選択ボタン」が第1及び第2の操作部といえるから、本願補正発明と『前記撮影画像に含まれる第1及び第2の利用者の像の左右の位置関係に基づいて、前記第1の利用者を第1の操作部に関連付け、前記第2の利用者を第2の操作部に関連付ける関連付け処理を実行し』という点で一致する。
ただし、『第1及び第2の操作部』に関し、本願補正発明では、「前記編集操作用タッチパネルに表示される前記第1の操作画面」及び「前記編集操作用タッチパネルに表示される前記第2の操作画面」であるのに対し、引用発明では、『性別選択画面における2つの男女選択ボタン』である点で、両者は相違する。

(c)引用発明の「左側被写体A及び右側被写体Bに対応する利用者による男女選択ボタンの操作によって、選択された性別に応じた男性用画像処理又は女性用画像処理が、左側被写体A及び右側被写体Bの顔画像に対して行なわれるように設定する」ことは、『被写体の顔画像に対して行なわれる男性用画像処理又は女性用画像処理』が「利用者の像に対する補正態様」といえるから、本願補正発明と『前記第1の利用者に関連付けられた前記第1の操作部に対する操作入力により、前記第1の利用者の像に対する補正態様の設定を受け付け、前記第2の利用者に関連付けられた前記第2の操作部に対する操作入力により、前記第2の利用者の像に対する補正態様の設定を受け付ける』という点で一致する。
ただし、『第1及び第2の操作部』に関する相違は上述のとおりであり、さらに、『操作入力』に関し、本願補正発明では、「前記タッチペンによる操作入力」であるのに対し、引用発明では、男女選択ボタンの単なる操作である点で、両者は相違する。

f.本願補正発明の構成(F)と引用発明の構成(e)との対比
引用発明の「遊戯サービスを提供する写真シール作成装置」は、本願補正発明の構成(F)の「遊戯用撮影装置」に相当するものである。
ただし、両者は、前記した点で相違する。

g.まとめ
上記aないしfの対比結果をまとめると、本願補正発明と引用発明との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。

[一致点]
撮影室に設けられた、利用者を撮影する撮影手段と、
タッチパネルよりなる表示手段であって、操作画面に撮影画像を表示する表示手段と、
前記各手段を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、
前記撮影画像に含まれる第1及び第2の利用者の像の左右の位置関係に基づいて、前記第1の利用者を第1の操作部に関連付け、前記第2の利用者を第2の操作部に関連付ける関連付け処理を実行し、
前記第1の利用者に関連付けられた前記第1の操作部に対する操作入力により、前記第1の利用者の像に対する補正態様の設定を受け付け、前記第2の利用者に関連付けられた前記第2の操作部に対する操作入力により、前記第2の利用者の像に対する補正態様の設定を受け付けることを特徴とする遊戯用撮影装置。

[相違点]
(相違点1)
「タッチパネルよりなる表示手段」に関し、本願補正発明では、「前記撮影室とは異なる位置にある編集ブースに設けられ」ているのに対し、引用発明では、『撮影ユニットに設けられ』ている点。

(相違点2)
表示手段に表示される「操作画面」に関し、本願補正発明では、「左側に配置された第1の操作画面と右側に配置された第2の操作画面」であるのに対し、引用発明では、「性別選択画面」である点。

(相違点3)
引用発明は、本願補正発明の「前記第1及び第2の操作画面に対して前記利用者が操作入力を行うためのタッチペンよりなる入力手段」を備えていない点。

(相違点4)
制御手段の動作における『第1及び第2の操作部』に関し、本願補正発明では、「前記編集操作用タッチパネルに表示される前記第1の操作画面」及び「前記編集操作用タッチパネルに表示される前記第2の操作画面」であるのに対し、引用発明では、『性別選択画面における2つの男女選択ボタン』である点。

(相違点5)
制御手段の動作における『操作入力』に関し、本願補正発明では、「前記タッチペンによる操作入力」であるのに対し、引用発明では、男女選択ボタンの単なる操作である点。

(3-5)相違点の判断
相違点1ないし5は、本願補正発明の制御手段による利用者の像に対する補正態様に関する設定が、編集ブースにおける表示手段及び入力手段を用いて行われるのに対し、引用発明の制御部による被写体に対する画像処理に関する設定が、撮影ユニットにおける表示手段への操作入力によって行われるものであるという相違に起因するものであるので、まとめて検討する。

特開2007-328546号公報の背景技術に欄には、
「【0003】
図19に、従来の写真撮影画像合成装置による、撮影から写真プリントまでのゲームのフローを示す。図19に示すとおり、まず、ユーザは、撮影空間にて撮影を行う(S1)。そして、S1の撮影により生成された撮影画像に対して、ユーザは、編集空間にて落書きや明るさの調整、背景画像の合成などの編集を行う(S2)。そして、編集後の編集画像がシールプリントとして出力され(S3)、ゲームが終了する。
【0004】
ここで、S2の編集の処理においては、特に、表示画面上に表示した撮影画像に対してタッチペンなどのポインティングデバイスによって明るさや色調を補正したり、背景画像を合成したり、落書きやスタンプを追加したりするなどの多種多様な画像編集を行ってユーザが遊ぶことができる。そして、ユーザは、撮影よりも編集に重点をおきながら遊んでいる傾向がある。
【0005】
図20に、従来編集空間にて行われる編集のゲームのフローを示す。図20に示すとおり、ユーザは、撮影空間での撮影が終了すると、次に、編集空間に移動して、撮影画像の中から、編集を行う対象となる編集対象画像を選択する(S11)。そして、選択した編集対象画像に対して、明るさや色調の補正、背景画像の合成、落書きなどの編集作業を行う(S12)。ここで、ユーザが編集した編集画像をプリント前に表示部に表示し、写りや仕上がりを確認することができるようになっており(S13)、ユーザが次の工程(例えば、印刷工程)に進むことを望めば(S14においてYES)、当該編集処理を終了して、次の工程に進み、ユーザが仕上がりに納得がいかない場合は(S14においてNO)、S12の編集処理に戻る。」
と記載されている。

このように、遊戯用の写真撮影装置において、撮影空間において撮影を行った後、編集空間に移動して、選択した編集対象画像に対して、タッチペンによって、明るさや色調の補正をしたり、落書きやスタンプを追加したりするなどの多種多様な画像編集を行うことは周知の技術である。

したがって、引用発明において、撮影ユニットの表示手段への操作入力によって行われる被写体に対する画像処理に関する設定を、引用発明の構成(b)の編集ユニットの表示手段及び入力手段を用いて行うものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

ここで、引用発明の編集ユニットは、撮影ユニットとは異なる位置にあり、構成(b)にあるように、「利用者が撮影画像に対する落書き編集等を行うための編集画面が表示されるタブレット内蔵モニタ」を有し、「タブレット内蔵モニタ」には「左右に2つ設けられた編集画面が表示され」、「左右の編集画面に対して利用者が編集入力を行うためのタッチペンが設けられ」ている。
このことから、引用発明において、被写体に対する画像処理に関する設定を編集ユニットにおいて行うものとすると、被写体に対する設定に用いられる表示手段及び入力手段について、それぞれ、『撮影ユニットに設けられたタッチパネルモニタ』に代えて、相違点1の「前記撮影室とは異なる位置にある編集ブースに設けられた編集操作用タッチパネルよりなる表示手段」、及び「性別選択画面」に代えて、相違点2の「左側に配置された第1の操作画面と右側に配置された第2の操作画面」を用いるようになること、相違点3の「前記第1及び第2の操作画面に対して前記利用者が操作入力を行うためのタッチペンよりなる入力手段」を用い、『性別選択画面における2つの男女選択ボタン』に代えて、相違点4の「前記編集操作用タッチパネルに表示される前記第1の操作画面」及び「前記編集操作用タッチパネルに表示される前記第2の操作画面」を用い、相違点5の「前記タッチペンによる操作入力」を用いるようになることは明らかなことであり、相違点1ないし5に係る構成は、当業者が容易に想到し得るものである。

なお、請求人は上申書にて「利用者の像に対する補正態様」を「利用者の像の形状に対する補正態様」とする旨の補正案を提出しているが、この点に関しては、引用文献1の段落0211に、被写体に対する画像処理の例として「顔の形状についての画像処理」が記載されているから、請求人の補正案を考慮しても本願補正発明は特許を受けることができない。

(3-6)効果等について
本願補正発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものではない。

(3-7)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用文献1に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成28年5月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成27年6月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載した事項により特定されるものであるところ、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]の1に示した(補正前の請求項1)に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1、並びに、その記載事項は、上記第2の[理由]の2(3)(3-2)に記載したとおりであり、引用文献1に記載された発明(引用発明)は、上記第2の[理由]の2(3)(3-3)に認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]の1及び2(1)で摘示した本願補正発明に追加された限定事項(補正事項1ないし5)を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が上記第2の[理由]の2(3)に記載したとおり、引用文献1に記載された発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用文献1に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-04-25 
結審通知日 2017-05-09 
審決日 2017-05-22 
出願番号 特願2015-119869(P2015-119869)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榎 一  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 小池 正彦
清水 正一
発明の名称 遊戯用撮影装置、遊戯用撮影方法およびプログラム  
代理人 特許業務法人サンクレスト国際特許事務所  

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