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審決分類 審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H04N
審判 一部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  H04N
審判 一部申し立て ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正  H04N
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H04N
審判 一部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 一部申し立て 4項(134条6項)独立特許用件  H04N
審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H04N
審判 一部申し立て 出願日、優先日、請求日  H04N
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
管理番号 1330060
異議申立番号 異議2016-700406  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-05-10 
確定日 2017-05-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5810184号発明「一世帯内に複数のデバイスを備える双方向テレビ番組ガイドシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5810184号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?9〕、〔10?18〕について訂正することを認める。 特許第5810184号の請求項1ないし5、10ないし14に係る特許を維持する。 特許第5810184号の請求項6、15に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5810184号の請求項1?18に係る特許についての出願は、1999年7月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1998年7月17日、米国)を国際出願日とする特願2000-560719号の一部を数次の分割を経て平成26年2月20日に新たな特許出願としたものであり、平成27年9月18日付けでその特許権の設定登録がされ(特許公報発行日 平成27年11月11日)、その後、特許異議申立人岡本敏夫(以下、「申立人」という。)より請求項1?6、10?15に対して特許異議の申立てがされたものであり、特許異議の申立て後の手続の経緯の概要は以下のとおりである。

平成28年 5月10日 請求項1?6、10?15に対しての特許異議の申立て(申立人)
平成28年 7月 7日 取消理由通知(合議体)
平成28年10月11日 意見書の提出及び訂正請求(特許権者)
平成28年11月28日 意見書の提出(申立人)
平成29年 1月18日 決定の予告(合議体)
平成29年 4月21日 意見書の提出及び訂正請求(特許権者)

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
平成28年10月11日付けの訂正請求は、平成29年4月21日付けで訂正請求がされたことにより、取り下げられたものとみなされる。
したがって、本件訂正請求による訂正の内容は、平成29年4月21日付けの訂正請求による以下のア?クのとおりである。
(下線は、訂正箇所である。)

ア 請求項1に係る「第2の機器デバイスを用いて表示されるビデオに対応する番組の識別を要求する」、「前記第2の機器デバイスによって表示される前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報」、「前記第2の機器デバイスによって表示される前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報」を、それぞれ、「第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する」、「前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報」、「前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報」に訂正する。

イ 請求項3に係る「前記第1の機器デバイスを識別する」を「前記第2の機器デバイスを識別する」に訂正する。

ウ 請求項4に係る「前記第1の機器デバイスから命令を受信することにより、前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更すること」を「前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更せよという命令を前記第1の機器デバイスから受信すること」に訂正する。

エ 請求項6を削除する。

オ 請求項10に係る「第2の機器デバイスを用いて表示されるビデオに対応する番組の識別を要求する」、「前記第2の機器デバイスによって表示される前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報」、「前記第2の機器デバイスによって表示される前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報」を「第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する」、「前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報」、「前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報」に訂正する。

カ 請求項12に係る「前記第1の機器デバイスを識別する」を「前記第2の機器デバイスを識別する」に訂正する。

キ 請求項13に係る「前記第1の機器デバイスから命令を受信することにより、前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更する手段」を「前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更せよという命令を前記第1の機器デバイスから受信する手段」に訂正する。

ク 請求項15を削除する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(下線は、当審で付したものである。)

上記アの訂正は、第2の機器デバイスを用いて表示されるビデオが、過去や将来に表示されるビデオでなく、現在表示されているビデオであることに限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記アの訂正事項に関連する記載として、明細書の発明の詳細な説明の段落0061には、「ユーザの位置での番組ガイドは、ユーザに視聴画面のモニタ230を提供する。視聴画面のモニタ230は、各位置が現在視聴しているチャンネル、または他の位置が視聴しているチャンネルを示すバナーまたは情報スモールボックスのようなオーバーレイを示すが、ユーザにユーザの位置で番組項目を見続けることを可能にする。」と記載されており、第2の機器デバイスを用いて表示されるビデオが、現在表示されているビデオであることは、明細書に記載されているものと認められるので、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

上記イの訂正に関して、請求項3の「前記示すもの」は、請求項2における「前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すもの」における「示すもの」を指すので、「前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すもの」を意味するものであるから、訂正前の「第1の機器デバイスを識別する」ものと考えることはできず、当該記載は誤りであることが明らかであるから、「第2の機器デバイスを識別する」と訂正することは、特許請求の範囲の誤記の訂正を目的とするものである。
上記イの訂正事項に関連する記載として、図面の図19には、視聴画面のモニタにおける場所の欄に、子供の部屋と記載されており、前記第2の機器デバイスを識別するものであることは、図面に記載されているものと認められるので、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

上記ウの訂正に関して、訂正前の「前記第1の機器デバイスから命令を受信することにより、前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更すること」という記載は、次段落の「前記命令を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更すること」と同じ動作を行うような記載となっているので、1つの命令に対して、同じ動作を2度行うような記載となっている。
しかし、命令を受信し、命令により変更するという一連の流れにおいて、「前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更すること」は、「前記第1の機器デバイスから命令を受信すること」における「命令」を説明するものであるので、「前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更せよという命令を前記第1の機器デバイスから受信すること」に訂正することは、特許請求の範囲の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
上記ウの訂正事項に関連する記載として、明細書の発明の詳細な説明の段落0062には、「ガイドによりユーザは、遠隔位置のチャンネルの変更を可能にし得る。例えば、親の部屋にいるユーザが子供の部屋のテレビが子供が見るべきでない番組に合わせられているということを知り得る。ユーザは、物理的に子供の部屋に行くことなくチャンネルを変更し得る。」と記載されており、変更せよという命令を前記第1の機器デバイスから受信することは、明細書に記載されているものと認められるので、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

上記エの訂正は、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

上記オ?クの訂正は、上記ア?エの訂正と同様であるので、オ、クは、特許請求の範囲の減縮、カは、特許請求の範囲の誤記の訂正、キは、特許請求の範囲の明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、いずれも、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

また、訂正前の請求項1?9、10?18は、請求項2?9、11?18がそれぞれ訂正の請求の対象である請求項1、10の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。

(3)特許異議の申立てがされていない請求項に係る発明の独立特許要件について
平成29年4月21日付け訂正請求により、特許異議の申立てがされている請求項は、訂正後の請求項1?5、10?14となった。
一方、訂正後の請求項7?9、16?18に係る発明は、それぞれ訂正後の請求項1、10を直接若しくは間接に引用して記載された発明であり、かつ特許異議の申立てがされていないことから、特許法第120条の5第9項により読み替えて準用される特許法第126条第7項の規定を満たしているか否かを検討する。

訂正後の請求項1、10に係る発明については、本審決の「3.特許異議の申立てについて」において後記するように、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしており、また、同法第29条第1項第3号、第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえず、他に特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、訂正後の請求項7?9、16?18に係る発明について検討するに、訂正後の請求項7?9、16?18に係る発明は、訂正後の請求項1、10のいずれかをさらに減縮した発明であるから、本審決の「3.特許異議の申立てについて」と同様に、特許法第29条第1項第3号、第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。
さらに、訂正後の請求項1、10に係る発明が、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしており、訂正後の請求項1、10のいずれかを引用する訂正後の請求項7?9、16?18に係る発明が、訂正により、発明の詳細な説明の記載と矛盾する記載となるものでもないことから、訂正後の請求項7?9、16?18に係る発明についても、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしている。また、他に特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、訂正後の請求項7?9、16?18に係る発明は、特許出願の際、独立して特許を受けることができるものと認められる。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項により読み替えて準用される特許法第126条第7項の規定を満たしている。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第7項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?9〕、〔10?18〕について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件特許発明について
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?5、10?14に係る発明(以下、「本件特許発明1」・・・「本件特許発明14」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?5、10?14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

本件特許発明1
(A?Eについては、説明のために、当審にて付したものであり、以下、「構成A」、「構成B」・・・という。)
「A 別の機器デバイス上に表示される番組を識別する方法であって、前記方法は、
B ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する、ことと、
C 前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせることと、
D 前記識別情報を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示されるようにすることと
E を含む、方法。」

本件特許発明2
「前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すものを前記第1の機器デバイスに提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。」

本件特許発明3
「前記示すものは、前記第2の機器デバイスを識別する、請求項2に記載の方法。」

本件特許発明4
「前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更せよという命令を前記第1の機器デバイスから受信することと、
前記命令を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。」

本件特許発明5
「前記変更することは、前記第2の機器デバイスを前記番組のチャンネルから離れて同調することをさらに含む、請求項4に記載の方法。」

本件特許発明10
「別の機器デバイス上に表示される番組を識別するシステムであって、前記システムは、
ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信する手段であって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する、手段と、
前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせる手段と、
前記識別情報を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示されるようにする手段と
を含む、システム。」

本件特許発明11
「前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すものを前記第1の機器デバイスに提供する手段をさらに含む、請求項10に記載のシステム。」

本件特許発明12
「前記示すものは、前記第2の機器デバイスを識別する、請求項11に記載のシステム。」

本件特許発明13
「前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更せよという命令を前記第1の機器デバイスから受信する手段と、
前記命令を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによる前記表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更する手段と
をさらに含む、請求項10に記載のシステム。」

本件特許発明14
「前記変更する手段は、前記第2の機器デバイスを前記番組のチャンネルから離れて同調することをさらに含む、請求項13に記載のシステム。」

(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1?6、10?15に係る特許に対して平成28年7月7日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(ア)優先権主張の効果が認められない場合
(ア-1)特許法第29条第1項第3号について
(ア-1-1)本件特許発明1、2は、甲第1号証,甲第2号証又は甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(ア-1-2)本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(ア-1-3)本件特許発明4、5は、甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(ア-1-4)本件特許発明6は、甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(ア-1-5)本件特許発明10?15は、システムに係る発明であるが、本件特許発明1?6(方法発明)とカテゴリが相違するだけであり、実質的に同じ内容なので、上記(ア-1-1)?(ア-1-4)と同様に、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(ア-2)特許法第29条第2項について
本件特許発明1?6、10?15について、甲第1号証ないし甲第3号証のいずれかに記載された発明と対比して、相違点が存在するとしても、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明及び出願時に周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(ア-3)特許法第36条第6項第1号、第6項第2号及び第4項第1号について
本件特許発明1?6、10?15は、明確でなく、発明の詳細な説明に記載されておらず、発明の詳細な説明の記載は、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとは認められないので、特許法第36条第6項第1号、第6項第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

(イ)優先権主張の効果が認められる場合
(イ-1)特許法第29条第1項第3号について
本件特許発明1、2、10、11は、甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(イ-2)特許法第29条第2項について
本件特許発明1、2、10、11について、甲第2号証に記載された発明と対比して、相違点が存在するとしても、甲第2号証に記載された発明及び出願時に周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(イ-3)特許法第36条第6項第1号、第6項第2号及び第4項第1号について
上記(ア-3)と同様である。

(イ-4)特許法第29条の2について
(イ-4-1)本件特許発明1、2は、甲第1出願又は甲第3出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、発明者、出願人が同一でもないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(イ-4-2)本件特許発明3は、甲第1出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、発明者、出願人が同一でもないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(イ-4-3)本件特許発明4、5は、甲第1出願又は甲第3出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、発明者、出願人が同一でもないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(イ-4-4)本件特許発明6は、甲第3出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、発明者、出願人が同一でもないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(イ-4-5)本件特許発明10?15は、システムに係る発明であるが、本件特許発明1?6(方法発明)とカテゴリが相違するだけであり、実質的に同じ内容なので、上記(イ-4-1)?(イ-4-4)と同様に、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(3)甲号証の記載

(3-1)甲第1号証(特開平10-247345号公報)には以下の記載がある。

【0006】すなわち、遠隔操作装置は、記録再生装置を操作するための操作情報を含む電子メールを記録再生装置に送信し、記録再生装置は、その電子メールを電子メール受信手段により受信し、受信したメールに含まれる操作情報を操作情報解釈手段により操作信号に変換し、その操作信号に従って、記録再生制御手段により記録再生動作の制御を行う。

【0008】すなわち、動作情報作成手段は、前記記録再生装置の動作に従って発生する動作信号から、その記録再生装置の動作情報を作成し、作成された動作情報は、電子メールとして電子メール送信手段により送信される。

【0019】本ビデオテープレコーダー遠隔操作システムは、電子メールを送受信可能に構成されたビデオテープレコーダー1と、遠隔操作装置としての電子メール送受信装置16と、これらを互いに接続する通信回線17とから構成される。
【0020】前記ビデオテープレコーダー1の操作情報を含んだ電子メールは、前記電子メール送受信装置16により作成され、ビデオテープレコーダー1に送信される。この電子メールを受信したビデオテープレコーダー1は、その電子メールに記述された操作情報を、図2に示す操作情報解釈手段7を用いて解釈し、その操作情報に従って記録再生動作が制御される。
【0021】また、ビデオテープレコーダー1は、その動作情報を、図2に示す動作情報作成手段5により電子メールに作成して、電子メール送受信装置16へ送信するように構成されている。

【0033】図3-aは、操作情報のデータ構造の例である。この図に於いて、「利用者ID」は、ビデオテープレコーダー1の正当な利用者であることを示す番号または記号列であり、ROM10に記憶されている内容と照合される。また、「動作指定」は、ビデオテープレコーダーの動作を指定するもの、「作業内容」は、録画予約に対する日時等、作業の内容を指定するもの、「返信指定」は、動作情報の返信先の指定を示す。
【0034】また、図3-bは、ビデオテープレコーダー1の予約録画、図3-cは予約確認、図3-dは予約解除のそれぞれの場合の操作情報の例である。
【0035】例えば、利用者IDを「ABCDEF」、予約時間を月曜日の午後7時から午後7時54分、予約したいチャンネルを9チャンネルとして予約録画の指定を行い、予約が正しく行われたか否かの確認を行うための、動作情報の返信先の指定を「test@example」としたときの操作情報は、図3-cの例により図4のようになる。

【0041】図6-bは、予約録画を受け付けたとき、図6-cは、予約録画を完了したとき、図6-dは、予約を確認したとき、図6-eは予約を解除したときに作成される動作情報の例である。

【0045】上述したように、本実施の形態のビデオテープレコーダー遠隔操作システムによれば、予約録画等の、設定すべき項目が多い操作を遠隔操作で行う際にも、電子メール送受信装置16の画面を見て設定内容を確認しながら行うことができるため、簡単、確実でしかも訂正も容易である。また、ビデオテープレコーダー1の動作状況を遠隔地で確認することが容易に行われる。したがって、簡単な操作手順でしかも確実に記録再生装置の遠隔操作を行うことができる記録再生装置遠隔操作システムを提供することができる。

【0066】請求項2に記載の記録再生装置遠隔操作システムによれば、記録再生装置の動作状況を電子メールとして送信できるため、記録再生装置の動作状況を遠隔地で確認することを容易に行うことができる。

また、図6-dには、予約状況の確認として、曜日・開始時刻・終了時刻・チャンネルの情報を含むことが開示されている。

以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
(a1?e1については、説明のために、当審にて付したものであり、以下、「構成a1」、「構成b1」・・・という。)
「a1 ビデオテープレコーダーで予約された番組の曜日・開始時刻・終了時刻・チャンネルを、電子メール送受信装置で確認する方法であって、前記方法は、
b1 操作情報が電子メール送受信装置により作成され、操作情報は、電子メール送受信装置と接続されたビデオテープレコーダーにおける番組の予約状況の確認を指定すること、
c1 番組の予約状況の確認を指定した操作情報が電子メール送受信装置で作成されることにより、ビデオテープレコーダーにおける番組の予約状況を示す動作情報を電子メールで、電子メール送受信装置に送信することをビデオテープレコーダーに行わせることと、
d1 電子メール送受信装置が、番組の予約状況を示す動作情報を電子メールで受信すると、ビデオテープレコーダーにおける番組の予約状況を電子メール送受信装置の画面に表示して確認できるようにすることと
e1 を含む方法。」

(3-2)甲第2号証(特開平10-150653号公報)には以下の記載がある。

【0009】また、従来の家庭では、居間等にテレビが1台だけ設置され、家族全員でテレビ番組を視聴するという形態が一般的であった。しかし、近年、複数の部屋にテレビが設置され、個人個人で好きなテレビ番組をみるようになってきている。このような個人指向は、今後ますます顕著になるものと考えられる。

【0036】第12の発明は、第1の発明において、配信部は、さらに各端末から送信されてくるリクエストを、所定の端末からの指示に応答して、当該端末に送信し、所定の端末は、受信したリクエストをユーザに提示することを特徴とする。
【0037】上記のように、第12の発明によれば、各端末が発したリクエストを、所定の端末でチェックすることができるので、例えば、親は子供がどのような有料情報を利用しようとしているのかを監視でき、子供に悪影響を及ぼすような有料情報の利用を未然に防止することができる。

【0067】受信局RSは、1つのサーバ2と、複数の端末3とを含む。サーバ2と端末3との間は、ローカルバス5によって接続されている。端末3は、テレビジョン受像機やコンピュータ装置等であって、サーバ2から送られてくる有料情報を何らかの形態で利用(表示、音声出力、データ処理等)する。サーバ2は、送信局TSから送信されてくる有料情報を受信し、当該有料情報を各端末3に配信する。また、サーバ2は、各端末3から送られてくるリクエストに基づいて、各端末3における有料情報の利用状況を管理し、この利用状況から各端末3における有料情報の利用料金を計算する。受信局RSは、情報提供者と受信契約をしている契約者(典型的には、家庭や事業所)毎に設けられる。ただし、コンドミニアムのような集合住宅が受信局となる場合は、集合住宅全体に対して1つのサーバ2を設け、各家庭に端末3を設けるようにしても良い。

【0077】図3は、図2に示す端末管理部25の構成を示すブロック図である。端末管理部25は、端末情報設定部251と、端末情報格納部252と、リクエスト内容格納部253と、割引情報格納部254と、料金係数算出部255と、内部スクランブラ設定部256と、リクエスト送信部257とを含む。

【0080】リクエスト内容格納部253は、図6に示すように、リクエストを生成した日付・時刻情報と、当該リクエストを生成した端末3の識別子と、当該リクエストに含まれている有料情報のタイトルとを格納する。なお、図6は、端末3Aが「T1」で表される日付・時刻に、タイトル「P」の有料情報を要求するリクエストを生成し、さらに端末3Bが「T2」で表される日付・時刻に、タイトル「P」の有料情報を要求するリクエストを生成した場合に、リクエスト内容格納部253が格納する内容を示している。このように、リクエスト内容格納部253は、サーバ2に接続されている端末3から送出されたリクエストを管理する。

【0114】第2の実施形態において、リクエスト内容格納部253は、前述したように、サーバ2に送られてきたリクエストを管理するため、端末3における利用予定を格納していることにもなる。したがって、リクエスト内容格納部253の記憶内容を、いずれかの端末3に表示するようにすれば、当該端末3を操作するユーザは、容易に他の端末3における有料情報の利用状況を知ることができる。このように、他の端末3の利用状況を管理するようにすれば、例えば、親は子供がどのような有料情報を利用しているかを監視できる。また、上記とは逆にリクエストの内容を表示しないようにすれば、どの端末3がいつどのような有料情報を利用したかを秘密にできるため、有料情報の利用に関するプライバシーの保護が実現できる。

以上の記載によれば、甲第2号証には以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
(a2?f2については、説明のために、当審にて付したものであり、以下、「構成a2」、「構成b2」・・・という。)
「a2 親のテレビジョン受像機とは別の子供のテレビジョン受像機で子供が利用しようとしている有料情報のタイトルを、親のテレビジョン受像機で監視する方法であって、前記方法は、
b2 親は親のテレビジョン受像機を操作し、その親の操作は、親のテレビジョン受像機に接続された子供のテレビジョン受像機で子供が利用しようとしている有料情報のタイトルを含むリクエストを受信して親のテレビジョン受像機で表示するための指示をすることと、
c2 サーバは、子供のテレビジョン受像機から送られてくる、有料情報のタイトルを含むリクエストに基づいて、子供のテレビジョン受像機における有料情報の利用状況を管理し、
d2 親のテレビジョン受像機での親の操作に応答して、子供が利用しようとしている有料情報のタイトルを含むリクエストを、親のテレビジョン受像機に送信することをサーバに行わせることと、
e2 親のテレビジョン受像機でリクエストを受信すると、子供が利用しようとしている有料情報のタイトルを含むリクエストが、親のテレビジョン受像機で表示されるようにすることと
f2 を含む方法。」

(3-3)甲第3号証(特開平10-248020号公報)には以下の記載がある。

【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、親テレビと、該親テレビの制御下におかれた子テレビとより構成され、親テレビのディスプレイの一部に子テレビで放映されている映像が映し出されるようになっている。そして、子供部屋に子テレビを設置し、親の部屋に親テレビを設置すれば、子供が見ている子テレビの放映内容を親テレビで親が監視することができ、教育に悪影響を与えたり勉学に差し支える場合には、親が注意をすることができる。

【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明のテレビ受信システムの実施の形態を説明する。図1に示すように、親テレビ10は子供の保護者が使用している部屋1に設置され、各子テレビ20A、20Bはそれぞれ子供部屋2、3に設置されている。そして、各テレビ10、20A、20Bにはテレビアンテナ4からのアンテナ線5が接続され、送られてくる各チャンネルの番組が映し出されるようになっている。なお図1中の符号11、21は各テレビ10、20A、20Bへのリモコン入力器である。
【0007】図2に示すように、親テレビ10のリモコン入力器11には、テレビ選択釦12と電源釦13とチャンネル選択釦14等の各種釦が設けられ、各釦12、13、14が押されたときに無線でそれらの制御信号を出力するようになっている。親テレビ10には、リモコン入力器11からの制御信号を受けてその制御信号を出力する受信手段15と、受信手段15からの制御信号を受けて親テレビ10の電源のオン・オフ及びチャンネル選択等を制御し、子テレビ20A、20Bへ電源のオン・オフ信号及びチャンネル選択信号等の制御信号を出力する親テレビ制御手段16と、親テレビ制御手段16から受けたチャンネル選択信号でアンテナ線5からのチャンネルを選択し、選択されたチャンネルの映像信号を出力するチャンネル受信手段17と、チャンネル受信手段17及び子テレビ20A、20Bからの映像信号を合成して合成画像信号を出力する映像合成手段18と、映像合成手段18から受けた合成画像信号を映し出すディスプレイ19が設けられている。そして、図1に示すようにディスプレイ19の隅部19Aには子テレビ20Aの映像が、隅部19Bには子テレビ20Bの映像が映し出されるようになっている。
【0008】子テレビ20Aのリモコン入力器21には、電源釦23とチャンネル選択釦24等の各種釦が設けられ、各釦23、24が押されたときに無線でそれらの制御信号を出力するようになっている。子テレビ20Aには、リモコン入力器21からの制御信号を受けてその制御信号を出力する受信手段25と、受信手段25からの制御信号を受けて子テレビ20Aの電源のオン・オフ及びチャンネル選択等を制御し、親テレビ10から入力する電源のオン・オフ信号及びチャンネル選択信号等の制御信号を受けて子テレビ20Aを制御する子テレビ制御手段26と、子テレビ制御手段26から受けたチャンネル選択信号でアンテナ線5からのチャンネルを選択し、選択されたチャンネルの映像信号を出力するチャンネル受信手段27と、チャンネル受信手段27から受けた映像信号を映し出すディスプレイ29が設けられている。

【0011】次に図4に示す親テレビ10の親テレビ制御手段16のフロー図に基づいて、親テレビ10による子テレビ20A、20Bの制御の態様を説明すると、親テレビ10を点けているときに、子テレビ20A、20Bも点いていると、子テレビ20A、20Bからの映像は映像合成手段18で合成され、親テレビ10のディスプレイ19の隅部19A、19Bに映し出されている。この隅部19A、19Bの映像により、子供が見ている子テレビ20A、20Bの放映内容を親テレビ10で親が監視することができ、教育に悪影響を与えたり勉学に差し支える場合には、親が注意をすることができるようになる。
【0012】そして、例えば子テレビ20Aの映像が子供の教育に悪影響を与えると思われる場合は、リモコン入力器11の子テレビ20A側のテレビ選択釦12を押して、チャンネル選択釦14を押すと、選択された子テレビ20Aのチャンネル選択信号が受信手段15を介して親テレビ制御手段16に入力し(図4 ST1、ST2)、親テレビ制御手段16は子テレビ20Aへチャンネル切替信号を出力する(図4 ST3)。そして、後述するようにチャンネル切替信号を受けて、子テレビ20Aのチャンネルは切り替えられる。このように親テレビ10側で子テレビ20A、20Bのチャンネルを変えることができるので、親は子供部屋まで行かなくても良くなる。

【0015】次に図5のフロー図に基づいて、子テレビ20Aの制御の態様を説明すると、子テレビ20Aを点けるには、リモコン入力器21の電源釦23を押すと電源オン信号が受信手段25を介して子テレビ制御手段26に入力し(図5 ST1)、後述する図5のステップST12の態様によりテレビ電源オフが保持中でない場合は(図5 ST2)、子テレビ20Aの電源はオンして(図5 ST3)、ディスプレイ29に映像が映し出される。そしてリモコン入力器21のチャンネル選択釦24を押すとチャンネル選択信号が受信手段25を介して子テレビ制御手段26に入力し(図5 ST4)、この信号は親テレビ10からでなく(図5 ST5)、この選択されたチャンネルが後述する図5のステップST8の態様によりチャンネル禁止中でない場合は(図5 ST6)、子テレビ制御手段26からチャンネル切替信号がチャンネル受信手段27へ出力され(図5 ST7)、アンテナ線5から入力する映像が切り替わり、子テレビ20Aに映し出される映像が変わる。

ここで、段落0011には、「親テレビ10を点けているときに、子テレビ20A、20Bも点いていると、子テレビ20A、20Bからの映像は映像合成手段18で合成され、親テレビ10のディスプレイ19の隅部19A、19Bに映し出されている。」と記載されており、子テレビが点いている場合には、親テレビのディスプレイの隅部に子テレビからの映像が映し出されているので、段落0012において、「チャンネル切替信号を受けて、子テレビ20Aのチャンネルは切り替えられ」た場合には、切り替えられた映像が映像合成手段18で合成され、隅部に映し出されているものといえる。

以上の記載によれば、甲第3号証には以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
(a3?d3については、説明のために、当審にて付したものであり、以下、「構成a3」、「構成b3」・・・という。)
「a3 子テレビで子供が見ている放映内容を親テレビで親が監視する方法であって、前記方法は、
b3 親テレビを点けているときに、子テレビも点いていると、子テレビからの映像は、親テレビのディスプレイの隅部に映し出され、
c3 親テレビのリモコン入力器の子テレビのテレビ選択釦を押して、チャンネル選択釦を押すと、選択された子テレビのチャンネル選択信号が親テレビの親テレビ制御手段に入力され、親テレビ制御手段にチャンネル選択信号が入力されると、親テレビ制御手段はチャンネル切替信号を出力し、チャンネル切替信号を受けて、子テレビのチャンネルは切り替えられ、切り替えられた子テレビの映像は、親テレビのディスプレイの隅部に映し出されることと
d3 を含む、方法。」

(4)判断
(ア)優先権主張の効果について
本件特許は、1999年7月16日(パリ条約による優先権主張1998年7月17日、米国)を国際出願日とする特願2000-560719号の一部を数次の分割を経て平成26年2月20日に新たな特許出願としたものである。
ここで、優先権主張の基礎となる米国仮出願60/093292の明細書には、本件特許発明に関連する記載として、以下の記載がある。
なお、仮訳は、異議申立人が提出した翻訳文の記載を参考に、当審にて訳したものである。

「Parents may also wish to monitor their children's viewing. This may be accomplished by allowing some viewing locations to know what channel is being watched at another location.」(明細書1頁39?40行)

(仮訳:両親は、子供達の視聴を監視することも希望し得る。これは、ある視聴位置で別の位置で何のチャンネルが視聴されているかを知ることを許すことによって、達成し得る。)

しかし、当該記載を含む米国仮出願60/093292の明細書には、ある視聴位置で別の位置で何のチャンネルが視聴されているかを知るための具体的な記載が全くなく、本件特許発明の構成要件である技術的事項が、部分的に含まれているにすぎず、本件特許発明(各請求項に記載された構成要件の全てを含む発明)は、優先権主張の基礎となる米国仮出願60/093292の明細書に記載されていない。
したがって、本件特許発明に対しては、優先権主張の効果は、及ばないものである。
以上のとおりであるから、以下で、本件特許発明を検討するにあたっては、特願2000-560719号の国際出願日である1999年7月16日を判断の基準日とする。

(イ)特許法第29条第1項第3号、第2項について
(イ-1)本件特許発明1と甲1発明の対比
(イ-1-1)構成Aについて
構成a1の「ビデオテープレコーダー」は、構成Aの「別の機器デバイス」に相当し、構成a1の「番組の曜日・開始時刻・終了時刻・チャンネル」は、番組を識別するものといえるから、構成a1の「番組の曜日・開始時刻・終了時刻・チャンネルを、電子メール送受信装置で確認する方法」は、構成Aの「番組を識別する方法」に相当する。
そうすると、構成a1は、「予約された番組を識別する」のに対し、構成Aは、「表示される番組を識別する」点で相違するものであるが、構成a1と構成Aは、「別の機器デバイス上における番組を識別する方法であって、前記方法は、」という点で共通する。

(イ-1-2)構成Bについて
構成b1の「電子メール送受信装置」、「ビデオテープレコーダー」は、構成Bの「第1の機器デバイス」、「第2の機器デバイス」に相当する。
構成b1の「操作情報が電子メール送受信装置により作成され」ることは、利用者の入力を電子メール送受信装置が受信して、操作情報を作成することであるから、構成Bの「ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信すること」に相当する。
また、構成b1の「番組の予約状況の確認を指定すること」は、ビデオテープレコーダーにて予約された「番組の曜日・開始時刻・終了時刻・チャンネル」を要求しているものであり、『予約されたビデオに対応する番組の識別を要求』していることといえるので、構成b1は、『予約されたビデオに対応する番組』であるのに対し、構成Bは、「現在表示されているビデオに対応する番組」である点で相違するものであるが、構成b1と構成Bは、「ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスにおけるビデオに対応する番組の識別を要求する、ことと、」という点で共通する。

(イ-1-3)構成Cについて
構成c1の「番組の予約状況の確認を指定した操作情報が電子メール送受信装置で作成されることにより」は、利用者の入力を電子メール送受信装置が受信して、操作情報を作成することにより、「ビデオテープレコーダーにおける番組の予約状況を示す動作情報を電子メールで、電子メール送受信装置に送信することをビデオテープレコーダーに行わせる」という動作がなされることであるから、構成Cの「前記ユーザ入力を受信したことに応答して、」に相当する。
また、構成c1の「番組の予約状況を示す動作情報」は、「予約された番組の曜日・開始時刻・終了時刻・チャンネル」を示すものであり、上記(イ-1-1)で検討したように、番組を識別するものといえるから、『予約されたビデオに対応する番組に対する識別情報』であるといえる。
そうすると、構成c1は、『予約された前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報』であるのに対し、構成Cは、「現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報」である点で相違するものであるが、構成c1と構成Cは、「前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせることと、」という点で共通する。

(イ-1-4)構成Dについて
構成d1の「番組の予約状況を示す動作情報」は、上記(イ-1-3)で検討したように、『予約されたビデオに対応する番組に対する識別情報』である。
そして、構成d1の「電子メール送受信装置が、番組の予約状況を示す動作情報を電子メールで受信すると」は、電子メール送受信装置が『予約されたビデオに対応する番組に対する識別情報』を受信することにより、「ビデオテープレコーダーにおける番組の予約状況を電子メール送受信装置の画面に表示して確認できる」という動作がなされることであるから、構成Dの「前記識別情報を受信したことに応答して、」に相当する。
そうすると、構成d1は、『予約された前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報』であるのに対し、構成Dは、「現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報」である点で相違するものであるが、構成d1と構成Dは、「前記識別情報を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示されるようにすることと」という点で共通する。

(イ-1-5)構成Eについて
構成e1と構成Eは、一致する。

(イ-1-6)一致点・相違点
以上をまとめると、本件特許発明1と甲1発明は以下の点で、一致ないし相違する。
[一致点]
「別の機器デバイス上における番組を識別する方法であって、前記方法は、
ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスにおけるビデオに対応する番組の識別を要求する、ことと、
前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせることと、
前記識別情報を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示されるようにすることと
を含む方法。」

[相違点]
相違点1:「別の機器デバイス上における番組を識別する」ことにおける「番組」に関して、本件特許発明1は、「表示される番組」であるのに対し、甲1発明は、「予約された番組」である点。
相違点2:「第2の機器デバイスにおけるビデオに対応する番組の識別を要求する」ことにおける「番組」に関して、本件特許発明1は、「現在表示されているビデオに対応する番組」であるのに対し、甲1発明は、「予約されたビデオに対応する番組」である点。
相違点3:「前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信する」ことにおける「前記ビデオに対応する前記番組」に関して、本件特許発明1は、「現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組」であるのに対し、甲1発明は、「予約された前記ビデオに対応する前記番組」である点。
相違点4:「前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示される」ことにおける「前記ビデオに対応する前記番組」に関して、本件特許発明1は、「現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組」であるのに対し、甲1発明は、「予約された前記ビデオに対応する前記番組」である点。

ここで、相違点1?4をまとめると、本件発明が、「別の機器デバイス上に表示される番組を識別する方法であって、」当該「表示される番組」は、「現在表示されているビデオに対応する番組」であるのに対し、甲1発明は、「別の機器デバイス上に予約された番組を識別する方法であって、」当該「予約された番組」は、「予約されたビデオに対応する番組」である点で相違するものである。

(イ-1-7)相違点についての検討
相違点について検討すると、甲1発明は、別装置で「予約されたビデオに対応する番組」を識別するための発明であり、現在表示されているビデオに対応する番組を識別するための構成を有するものではなく、そのような構成を示唆する記載もない。
なお、甲1発明において、図6のように、予め、月曜19時から19時54分に放映される番組1を予約した場合において、放映中に、ビデオテープレコーダーにて番組1を録画しつつ、同時にテレビで視聴し、19時15分に、予約状況の確認をして予約されたビデオに対応する番組を識別した状況を仮定した場合には、予約されたビデオに対応する番組は、現在表示されている番組と一致していることとなる。
しかし、上記仮定された状況において、たまたま、予約されたビデオに対応する番組が現在表示されている番組と一致しているとしても、そもそも、甲1発明は、予約された番組を識別するための発明であり、予約された番組が識別できても、それが現在表示されているのかを識別することは、表示を識別する構成を有していないことからできないものと認められる。
そして、現在表示されているのかを識別したいのであれば、当業者であれば、現在表示されているのかを識別するために必要な構成を有するようにすることを考えるものであるが、甲1発明は、現在表示されているのかを識別したいという目的を達成するためのもので無いため、甲1発明から現在表示されているのかを識別するための構成を考えることは飛躍がある。
そうすると、甲1発明のような、予約されたビデオに対応する番組を識別するための発明から、現在表示されているビデオに対応する番組を識別する構成を思い至ることは論理に飛躍があり、当業者が容易に想到し得るものではない。

(イ-1-8)小括
本件特許発明1は、甲1発明に対し、相違点1?4に係る構成を有することから、同一でなく、また、該相違点は、容易に想到し得るものでない。

(イ-2)本件特許発明1と甲2発明の対比
(イ-2-1)構成Aについて
構成a2の「別の子供のテレビジョン受像機」は、構成Aの「別の機器デバイス」に相当し、構成a2の「有料情報のタイトル」は、有料情報を識別するものといえ、テレビジョン受像機で利用される有料情報とは、番組のことであるから、構成a2の「有料情報のタイトルを、親のテレビジョン受像機で監視する方法」は、構成Aの「番組を識別する方法」に相当する。
そうすると、構成a2は、「子供が利用しようとしている番組を識別する」のに対し、構成Aは、「表示される番組を識別する」点で相違するものであるが、構成a2と構成Aは、「別の機器デバイス上における番組を識別する方法であって、前記方法は、」という点で共通する。

(イ-2-2)構成Bについて
構成b2の「親のテレビジョン受像機」、「子供のテレビジョン受像機」は、構成Bの「第1の機器デバイス」、「第2の機器デバイス」に相当する。
構成b2の「親は親のテレビジョン受像機を操作」することにより、親が入力したものを親のテレビジョン受像機が受信することとなるから、構成Bの「ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信すること」に相当する。
また、構成b2の「子供が利用しようとしている有料情報のタイトルを含むリクエストを受信して親のテレビジョン受像機で表示するための指示をすること」は、子供が利用しようとしている有料情報のタイトルを要求しているものであり、『子供が利用しようとしているビデオに対応する番組の識別を要求』していることといえるので、構成b2は、『子供が利用しようとしているビデオに対応する番組』であるのに対し、構成Bは、「現在表示されているビデオに対応する番組」である点で相違するものであるが、構成b2と構成Bは、「ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスにおけるビデオに対応する番組の識別を要求する、ことと、」という点で共通する。

(イ-2-3)構成Cについて
構成d2の「親のテレビジョン受像機での親の操作に応答して、」は、構成Cの「前記ユーザ入力を受信したことに応答して、」に相当する。
また、構成d2の「子供が利用しようとしている有料情報のタイトルを含むリクエスト」は、上記(イ-2-1)で検討したように、番組を識別するものといえるから、『子供が利用しようとしているビデオに対応する番組に対する識別情報』であるといえる。
そうすると、構成d2は、『子供が利用しようとしている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報』であるのに対し、構成Cは、「現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報」である点で相違し、また、構成d2は、構成c2のように、「サーバは、子供のテレビジョン受像機から送られてくる、有料情報のタイトルを含むリクエストに基づいて、子供のテレビジョン受像機における有料情報の利用状況を管理し」ていることに起因して、「サーバに行わせる」ものであるのに対し、構成Cは、「前記第2の機器デバイスに行わせる」点で相違するものであるが、構成d2と構成Cは、「前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを行わせることと、」という点で共通する。

(イ-2-4)構成Dについて
構成e2の「リクエスト」は、有料情報のタイトルを含むので、『子供が利用しようとしている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報』である。
そして、構成e2の「親のテレビジョン受像機でリクエストを受信すると」は、親のテレビジョン受像機が『子供が利用しようとしている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報』を受信することにより、「子供が利用しようとしている有料情報のタイトルを含むリクエストが、親のテレビジョン受像機で表示される」という動作がなされることであるから、構成Dの「前記識別情報を受信したことに応答して、」に相当する。
そうすると、構成e2は、『子供が利用しようとしている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報』であるのに対し、構成Dは、「現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報」である点で相違するものであるが、構成e2と構成Dは、「前記識別情報を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示されるようにすることと」という点で共通する。

(イ-2-5)構成Eについて
構成f2と構成Eは、一致する。

(イ-2-6)一致点・相違点
以上をまとめると、本件特許発明1と甲2発明は以下の点で、一致ないし相違する。

[一致点]
「別の機器デバイス上における番組を識別する方法であって、前記方法は、
ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスにおけるビデオに対応する番組の識別を要求する、ことと、
前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを行わせることと、
前記識別情報を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示されるようにすることと
を含む方法。」

[相違点]
相違点1:「別の機器デバイス上における番組を識別する」ことにおける「番組」に関して、本件特許発明1は、「表示される番組」であるのに対し、甲2発明は、「子供が利用しようとしている番組」である点。
相違点2:「第2の機器デバイスにおけるビデオに対応する番組の識別を要求する」ことにおける「番組」に関して、本件特許発明1は、「現在表示されているビデオに対応する番組」であるのに対し、甲2発明は、「子供が利用しようとしているビデオに対応する番組」である点。
相違点3:「前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信する」ことにおける「前記ビデオに対応する前記番組」に関して、本件特許発明1は、「現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組」であるのに対し、甲2発明は、「子供が利用しようとしている前記ビデオに対応する前記番組」である点。
相違点4:「前記第2の機器デバイスにおける前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示される」ことにおける「前記ビデオに対応する前記番組」に関して、本件特許発明1は、「現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組」であるのに対し、甲2発明は、「子供が利用しようとしている前記ビデオに対応する前記番組」である点。
相違点5:「前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを行わせること」に関して、本件特許発明1は、「前記第2の機器デバイスに行わせる」のに対し、甲2発明は、「サーバは、子供のテレビジョン受像機から送られてくる、有料情報のタイトルを含むリクエストに基づいて、子供のテレビジョン受像機における有料情報の利用状況を管理し」ていることに起因して、「サーバに行わせる」ものである点。

ここで、相違点1?4をまとめると、本件特許発明1が、「別の機器デバイス上に表示される番組を識別する方法であって、」当該「表示される番組」は、「現在表示されているビデオに対応する番組」であるのに対し、甲2発明は、「別の機器デバイス上に子供が利用しようとしている番組を識別する方法であって、」当該「子供が利用しようとしている番組」は、「子供が利用しようとしているビデオに対応する番組」である点で相違するものである。(以下、「相違点A」という。)

(イ-2-7)相違点についての検討
相違点5について検討すると、甲2発明は、子供のテレビジョン受像機における有料情報の利用状況をサーバにて管理していることから、サーバに行わせるものであるが、機器の状況をサーバでまとめて管理することに代えて、サーバを持たずに、各機器自身に管理機能を持たせて自機器の管理をすることは、良く行われていることであるから、当業者であれば、サーバに行わせることに代えて、子供のテレビジョン受像機に行わせるようにすることを、容易に想到し得るものである。

相違点Aについて検討すると、甲2発明は、子供が利用すなわち視聴しようと思ってリクエストした番組を確認するためのものであり、現在表示されているビデオに対応する番組を識別する構成を有するものではなく、そのような構成を示唆する記載もない。
なお、甲2発明において、子供のリクエストにより番組が配信され、子供が当該番組を視聴しているタイミングで、親が利用状況をチェックする指示をした状況を仮定した場合には、子供が利用しようとしているビデオに対応する番組は、現在表示されているビデオに対応する番組と一致していることとなる。
しかし、上記仮定された状況において、たまたま、子供が利用しようとしているビデオに対応する番組が現在表示されている番組と一致しているとしても、そもそも、甲2発明は、子供が利用しようとしている、すなわち、リクエストした番組を確認するための発明であり、リクエストした番組が識別できても、それが現在表示されているのかを識別することは、表示を識別する構成を有していないことからできないものと認められる。
そして、現在表示されているのかを識別したいのであれば、当業者であれば、現在表示されているのかを識別するために必要な構成を有するようにすることを考えるものであるが、甲2発明は、現在表示されているのかを識別したいという目的を達成するためのもので無いため、甲2発明から現在表示されているのかを識別するための構成を考えることは飛躍がある。
そうすると、甲2発明のような、子供が利用しようとしているビデオに対応する番組を識別するための発明から、現在表示されているビデオに対応する番組を識別するための発明を思い至ることは論理に飛躍があり、当業者が容易に想到し得るものではない。

(イ-2-8)小括
本件特許発明1は、甲2発明に対し、相違点1?5に係る構成を有することから、同一でなく、また、相違点1?4は、容易に想到し得るものでない。

(イ-3)本件特許発明1と甲3発明の対比
(イ-3-1)構成Aについて
構成a3の「子テレビで子供が見ている放映内容を親テレビで親が監視する」は、子テレビで表示されている番組が親テレビに映し出されることにより、子供が見ている番組を識別するものといえるから、構成Aの「別の機器デバイス上に表示される番組を識別する」に相当する。
そうすると、構成a3と構成Aは一致する。

(イ-3-2)構成B、Cについて
甲3発明の構成b3は、「親テレビを点けているときに、子テレビも点いていると、」親テレビからの要求がなくとも、親テレビに、子テレビで表示されている番組が表示されるものであり、親テレビにおける番組の識別を要求するような入力を契機とするものではないので、構成Bのように、「ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する」構成でなく、構成Cのように、「ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせる」構成でない。

また、構成b3は、「親テレビを点けているときに、子テレビも点いていると、」親テレビに、子テレビで表示されている番組が表示されるものであるから、先に子テレビが点いている場合に、親テレビを点けた場合においても、親テレビに、子テレビで表示されている番組が表示されるといえ、その場合において、親テレビを点けることが、構成Bのユーザ入力に対応するとしても、親テレビを点けることは、親テレビの電源を入れるだけであり、子テレビの映像は、常に親テレビに送信されており、該入力は、子テレビで表示されている番組を要求しているものでなく、該入力により、子テレビの映像を親テレビに送信することを子テレビに行わせているものでもないので、そのように解釈しても、構成B、Cに相当する構成を有さない。

さらに、構成c3は、子供の教育に悪影響を与えると思われる場合に、親テレビのリモコン入力器を利用して、子テレビのチャンネルを切り替えるものであり、「切り替えられた子テレビの映像は、親テレビのディスプレイの隅部に映し出されること」は、チャンネルが切り替えられた結果を確認するものである。
ここで、構成c3の「親テレビのリモコン入力器の子テレビのテレビ選択釦を押」すことは、ユーザが入力しているものであるから、構成Bの「ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信すること」と一致するとしても、当該動作は、子テレビのチャンネルを切り替えるために行われるものであり、構成Bのように、「前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する」構成でなく、構成Cのように、「前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせる」構成でない。

したがって、甲3発明には、本件特許発明1の構成B、構成Cに相当する構成を有さない。

(イ-3-3)構成Dについて
構成b3の「親テレビ」、「子テレビ」は、構成Dの「第1の機器デバイス」、「第2の機器デバイス」に相当する。
構成b3の「子テレビからの映像」は、子テレビで現在表示されている番組の映像であり、当該映像が映し出されていることにより、子供が見ている番組を識別しているものといえる。
甲3発明は、上記(イ-3-2)で検討したように、本件特許発明1の構成B、構成Cに相当する構成を有さないため、構成b3の「子テレビからの映像」は、構成B及び構成Cにより生じた識別情報ではないが、子テレビからの映像という子供が見ている番組を識別しているものを受信したことに応答して、当該映像が表示されるものであるから、構成b3と構成Dは、「識別情報を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示されるようにすること」という点で共通する。

(イ-3-4)構成Eについて
構成d3と構成Eは、一致する。

(イ-3-5)一致点・相違点
以上をまとめると、本件特許発明1と甲3発明は以下の点で、一致ないし相違する。
[一致点]
「別の機器デバイス上における番組を識別する方法であって、前記方法は、
識別情報を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されているビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示されるようにすることと
を含む方法。」

[相違点]
相違点1:本件特許発明1は、「ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する」のに対し、甲3発明は、そのような構成を有していない点。
相違点2:本件特許発明1は、「前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせる」ものであるのに対し、甲3発明は、そのような構成を有していない点。
相違点3:「識別情報」に関して、本件特許発明1は、「前記識別情報」、すなわち、「ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する、ことと、前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせること」により生じた識別情報であるのに対し、甲3発明は、相違点1、2を有することに起因して、そのような識別情報ではない点。

(イ-3-6)相違点についての検討
相違点1?3について検討すると、甲3発明は、親テレビを点けているときに、子テレビも点いていると、子テレビからの映像は、親テレビのディスプレイの隅部に映し出される発明であり、親テレビからの要求が無くとも、常に、子テレビからの映像が映し出されるものであり、現在表示されている番組を識別するための要求をするものではない。すなわち、ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する、ことと、前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせることにより生じた識別情報を受信したことに応答して、動作する発明でなく、それを示唆する記載もない。

そして、甲3発明は、親テレビからの要求が無くとも、常に、子テレビからの映像が映し出される構成であるから、わざわざ、親テレビから現在表示されている番組を識別するための要求を行うことは想定できず、ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する、ことと、前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせることにより生じた識別情報を受信したことに応答して、動作する発明を思い至ることは論理に飛躍があり、当業者が容易に想到し得るものではない。

(イ-3-7)小括
本件特許発明1は、甲3発明に対し、相違点1?3に係る構成を有することから、同一でなく、また、該相違点は、容易に想到し得るものでない。

(イ-4)まとめ
したがって、本件特許発明1は、上記各甲号証に記載された発明と同一の発明でなく、また、上記各甲号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものでもない。
また、本件特許発明2?5について、上記各甲号証に記載された発明と対比すると、同様の相違点を有しているものであるので、同様の理由で、上記各甲号証に記載された発明と同一の発明でなく、また、上記各甲号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
さらに、本件特許発明10?14は、本件特許発明1?5とカテゴリーが相違するだけであり、同様の理由で、上記各甲号証に記載された発明と同一の発明でなく、また、上記各甲号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(ウ)特許法第36条第6項第1号、第6項第2号、第4項第1号について
(ウ-1)本件特許発明1について
(ウ-1-1)取消理由通知の(C-1-1)において、『本件特許発明1の「第1機器デバイス」、「第2機器デバイス」については、発明の詳細な説明に記載されておらず、また、発明の詳細な説明の記載は、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとは認められない。その理由は、特許異議申立書62頁3行?63頁18行に記載のとおりである。』と通知した。
すなわち、本件特許発明1に対応する箇所は、本件特許明細書の段落0061の記載であるが、当該記載には、「機器デバイス」に関する記載がなく、サポート要件違反及び実施可能要件違反が存在することの通知をしたものである。

そこで、当該取消理由通知について検討する。

本件特許明細書の段落0061には、
「次いで別の場合には、ユーザの位置での番組ガイドは、ユーザに視聴画面のモニタ230を提供する。視聴画面のモニタ230は、各位置が現在視聴しているチャンネル、または他の位置が視聴しているチャンネルを示すバナーまたは情報スモールボックスのようなオーバーレイを示すが、ユーザにユーザの位置で番組項目を見続けることを可能にする。ユーザの位置での番組ガイドは、世帯内の他の位置において番組ガイドをポーリングし、誰が現在テレビを視聴しているか、およびユーザがどのチャンネルに合わせているかを判定し得る。視聴画面のモニタはまた、映像、音声、さらには他の位置で視聴されているチャンネルに関連付けられたイメージの視聴を可能にする。例えば、現在のチャンネルの映像を背景にして、遠隔位置の映像を画面上のスモールボックス内に示し得る。」
と記載されていることから、『ユーザの位置での番組ガイド』が、『他の位置の番組ガイドをポーリングし、他の位置のユーザが視聴しているチャンネルを判定する』ものである。
確かに、段落0061には、「機器デバイス」に関する記載はないが、本件特許明細書の段落0008の「双方向テレビ番組ガイドは、各部分のユーザテレビ機器で実現される。」、段落0010の「ユーザテレビ機器で実現される本発明の番組ガイドにより提供され得る」、段落0014の「番組ガイドは、任意の適切なトポロジーおよび通信プロトコルを使用してリンクされ得る。例えば、ユーザテレビ機器の様々な要素は、ツリー、バス、またはリングトポロジーを使用して相互接続され得る。ユーザテレビ機器の1つの要素は第1の装置として指定され、ユーザテレビ機器の他の要素は、第2の装置として指定され得る。」等の記載から、段落0061の『ユーザの位置での番組ガイド』についても、第1のユーザテレビ機器、第2のユーザテレビ機器により実現されるものであるといえる。

そして、テレビ機器は、機器デバイスであるから、本件特許発明1の「第1の機器デバイス」、「第2の機器デバイス」は、「第1のユーザテレビ機器」、「第2のユーザテレビ機器」を意味し、それぞれのユーザテレビ機器の番組ガイドが行う動作について段落0061等に開示されていることから、本件特許発明1の「第1の機器デバイス」、「第2の機器デバイス」については、発明の詳細な説明に記載されており、発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものである。

(ウ-1-2)取消理由通知の(C-1-2)において、『本件特許発明1の「第2の機器デバイスを用いて表示されるビデオに対応する番組の識別を要求する」、「前記第2の機器デバイスによって表示される前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報」、「前記第2の機器デバイスに行わせること」、「前記第2の機器デバイスによって表示される前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報」は、具体的に、発明の詳細な説明のどの記載に対応するものであるか不明であるから、本件特許発明1は明確でなく、また、発明の詳細な説明に記載されておらず、さらに、発明の詳細な説明の記載は、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとは認められない。』と通知した。

そこで、当該取消理由通知について検討する。

本件特許発明は、取消理由通知後に訂正されているので、訂正後の本件特許発明1の「第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する」、「前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報」、「前記第2の機器デバイスに行わせること」、「前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報」の記載について検討する。

上記(ウ-1-1)で検討したように、段落0061の番組ガイドは、第1のユーザテレビ機器、第2のユーザテレビ機器により実現されるものであり、それぞれ、本件特許発明1の「第1の機器デバイス」、「第2の機器デバイス」に対応する。

また、段落0050には、「例えば、ユーザは、マスタ位置として「親の部屋」位置を割り当て得、スレーブ位置として「子供の部屋」位置を割り当て得る。」と記載され、段落0060には、「ユーザは、図16の視聴オプションのモニタ195を選択し(図17の工程1019)、強調表示領域192を視聴オプションのモニタ195に移動して、入力を押すことによって、図19の視聴画面のモニタ230にナビゲートし得る。」との記載がある。

そして、図16、図19、段落0050、0060、0061の記載から、ユーザは、第1の機器デバイス(例えば、親の部屋のテレビ機器)において、視聴オプションのモニタを選択して、入力を押すことにより、第2の機器デバイス(例えば、子の部屋のテレビ機器)が表示している番組の「チャンネル」や「番組の名称」を要求し、当該要求により、第2の機器デバイス(例えば、子の部屋のテレビ機器)は、ポーリングされ、表示している番組の「チャンネル」や「番組の名称」を送り、図19のようにどの部屋でどのチャンネル、番組に合わせているかを第1の機器デバイス(例えば、親の部屋のテレビ機器)に表示することにより判定している。
すなわち、
a 「第2の機器デバイスを用いて表示されるビデオに対応する番組の識別を要求する」は、第2の機器デバイス(例えば、子の部屋のテレビ機器)が表示している番組の「チャンネル」や「番組の名称」を要求することに対応する。
b 「前記第2の機器デバイスによって表示される前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報」は、第2の機器デバイス(例えば、子の部屋のテレビ機器)が表示している番組の「チャンネル」や「番組の名称」に対応する。
c 「前記第2の機器デバイスに行わせること」は、第2の機器デバイス(例えば、子の部屋のテレビ機器)がポーリングされ、表示している番組の「チャンネル」や「番組の名称」を送ることに対応する。
d 「前記第2の機器デバイスによって表示される前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報」は、第2の機器デバイス(例えば、子の部屋のテレビ機器)が表示している番組の「チャンネル」や「番組の名称」に対応する。

したがって、当該記載は、明確であり、発明の詳細な説明に記載されており、発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものである。

(ウ-2)本件特許発明2について
取消理由通知の(C-2)において、『本件特許発明2は、明確でなく、発明の詳細な説明に記載されておらず、発明の詳細な説明の記載は、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとは認められない。その理由は、特許異議申立書63頁19行?65頁11行に記載のとおりである。』と通知した。
すなわち、
本件特許発明1を引用する部分については、(C-1)と同様であること、
「前記第2の機器デバイスが・・・を前記第1の機器デバイスに提供する」ことは、本件特許明細書で説明されておらず、サポート要件違反及び実施可能要件違反が存在すること、
「前記ビデオの表示を生成していることを示すもの」は、意味が不明であり、明確性要件違反であること、
「前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すもの」が、段落0061の「イメージ」「遠隔位置の映像」に対応するのであれば、実施可能要件違反であること
の通知をしたものである。

そこで、当該取消理由通知について検討する。

(ウ-2-1)本件特許発明1を引用する部分については、上記(ウ-1)と同様である。
(ウ-2-2)「前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すものを前記第1の機器デバイスに提供する」について、図19、段落0061の記載から、「第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すもの」は、図19に示された一行分の情報、すなわち、場所、チャンネル、番組の名称等を含み、さらに、「映像、音声、さらには他の位置で視聴されているチャンネルに関連付けられたイメージ」や「遠隔位置の映像」、すなわち、第2の機器デバイスにて表示されている映像そのものも含むものであり、それを前記第1の機器デバイスに提供することを意味するものであるといえる。

そうすると、
a 「前記第2の機器デバイスが・・・を前記第1の機器デバイスに提供する」ことは、本件特許明細書で説明されている。
b 「前記ビデオの表示を生成していることを示すもの」は、場所、チャンネル、番組の名称等や、第2の機器デバイスにて表示されている映像そのもののことであり、その意味は、明確である。
c 「前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すもの」は、場所、チャンネル、番組の名称等や第2の機器デバイスにて表示されている映像そのもののことであり、「イメージ」や「遠隔位置の映像」、すなわち、第2の機器デバイスにて表示されている映像そのものに対応するとしても、遠隔の映像を何らかの手段で受信することは、当業者であれば、出願時の技術常識であり、図19や段落0061の記載から、実施可能であるといえる。

したがって、当該記載は、明確であり、発明の詳細な説明に記載されており、発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものである。

(ウ-3)本件特許発明3について
取消理由通知の(C-3)において、『本件特許発明3は、明確でなく、発明の詳細な説明に記載されておらず、発明の詳細な説明の記載は、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとは認められない。その理由は、特許異議申立書65頁12行?66頁17行に記載のとおりである。』と通知した。
すなわち、
本件特許発明2を引用する部分については、(C-2)と同様であること、
「前記示すものは、前記第1の機器デバイスを識別する」ことは、本件特許明細書で説明されておらず、サポート要件違反及び実施可能要件違反が存在すること、
「前記示すもの」は、「前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すもの」を指すので、「前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すものは、前記第1の機器デバイスを識別する」となるが、どういう意味であるか不明であり、明確性要件違反であること
の通知をしたものである。

そこで、当該取消理由通知について検討する。

(ウ-3-1)本件特許発明2を引用する部分については、上記(ウ-2)と同様である。
(ウ-3-2)「前記示すものは、前記第2(訂正請求により、第1から第2に訂正された)の機器デバイスを識別する」に関して、「前記示すもの」は、上記(ウ-2-2)で検討したように、場所の情報が含まれていることから、第2の機器デバイスを識別するものとなるから、当該記載は、明確であり、発明の詳細な説明に記載されており、発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものである。

(ウ-4)本件特許発明4について
取消理由通知の(C-4)において、『本件特許発明4は、明確でなく、発明の詳細な説明に記載されておらず、発明の詳細な説明の記載は、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとは認められない。その理由は、特許異議申立書66頁18行?67頁17行に記載のとおりである。』と通知した。
すなわち、
本件特許発明1を引用する部分については、(C-1)と同様であること、
本件特許発明4は、命令を受信することにより、ビデオを変更し、命令を受信したことに応答して、変更されたビデオをもう一度変更することとなり、一つの命令に対して結局、二度、ビデオを変更するという意味不明な記載となり、明確性要件違反であること
の通知をしたものである。

そこで、当該取消理由通知について検討する。

(ウ-4-1)本件特許発明1を引用する部分については、上記(ウ-1)と同様である。
(ウ-4-2)本件特許発明4は、訂正により、「前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更せよという命令を前記第1の機器デバイスから受信することと、前記命令を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。」となったので、命令を受信し、命令を受信したことに応答して、ビデオを変更する構成となったので、当該記載は明確となった。

(ウ-5)本件特許発明5について
取消理由通知の(C-5)において、『本件特許発明5は、明確でなく、発明の詳細な説明に記載されておらず、発明の詳細な説明の記載は、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとは認められない。その理由は、特許異議申立書67頁18行?22行に記載のとおりである。』と通知した。
すなわち、本件特許発明4を引用する部分については、(C-4)と同様であることの通知をしたものであるが、本件特許発明4を引用する部分については、上記(ウ-4)と同様である。

(ウ-6)本件特許発明6について
取消理由通知の(C-6)において、『本件特許発明6は、明確でなく、発明の詳細な説明に記載されておらず、発明の詳細な説明の記載は、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとは認められない。その理由は、特許異議申立書67頁23行?68頁末行に記載のとおりである。』と通知した。
しかし、平成29年4月21日付け訂正請求により、請求項6は削除されたので、当該取消理由はないものとなった。

(ウ-7)本件特許発明10?15について
取消理由通知の(C-7)において、『本件特許発明10?15は、いずれもシステムに係る発明であるが、内容的には上述した本件特許発明1?6(方法発明)と実質的に同一なので、上記(C-1)?(C-6)と同様な記載不備に該当する。(特許異議申立書69頁1行?8行)』と通知した。

そこで、当該取消理由通知について検討する。

(ウ-7-1)本件特許発明10?14は、本件特許発明1?5とカテゴリーが相違するだけであり、上記(ウ-1)?(ウ-5)と同様である。

(ウ-7-2)本件特許発明15は、本件特許発明6とカテゴリーが相違するだけであり、上記(ウ-6)と同様である。

(ウ-8)まとめ
したがって、本件特許発明1?5、10?14については、明確であり、発明の詳細な説明に記載されており、発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものである。

(エ)取消理由通知における「仮に優先権主張の効果が認められるとした場合」についての検討に関して
「仮に優先権主張の効果が認められるとした場合」について、当審は、上記3.(2)(イ)(イ-1)?(イ-4)の取消理由を通知したが、上記3.(4)(ア)で検討したように、本件特許発明に対しては、優先権主張の効果は、及ばないものであり、本件特許発明を検討するにあたっては、特願2000-560719号の国際出願日である1999年7月16日を判断の基準日としたものであるから、当該仮定条件は成立しないものである。

なお、上記3.(2)(イ)(イ-1)?(イ-3)の取消理由については、上記3.(3)(3-2)、3.(4)(イ)(イ-2)、3.(4)(ウ)の検討と同様である。
また、上記3.(2)(イ)(イ-4)の取消理由について、上記3.(3)(3-1)、3.(3)(3-3)、3.(4)(イ)(イ-1)、3.(4)(イ)(イ-3)の検討より、仮に、甲1出願、甲3出願が、判断の基準日より前に出願され、後に公開された出願であっても、本件特許発明1?6、10?15は、甲1発明、甲3発明と同一でないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないといえない。

4.むすび
以上のとおりであるから、請求項1?5、10?14に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。さらに、他に本件請求項1?5、10?14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項6、15に係る特許は、訂正により削除されたため、請求項6、15に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
別の機器デバイス上に表示される番組を識別する方法であって、前記方法は、
ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信することであって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する、ことと、
前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせることと、
前記識別情報を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示されるようにすることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すものを前記第1の機器デバイスに提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記示すものは、前記第2の機器デバイスを識別する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更せよという命令を前記第1の機器デバイスから受信することと、
前記命令を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変更することは、前記第2の機器デバイスを前記番組のチャンネルから離れて同調することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】(削除)
【請求項7】
前記第1の機器デバイスが前記第2の機器デバイスを監視することが認可されるかどうかを決定することと、
前記第1の機器デバイスが前記第2の機器デバイスを監視することが認可されたという決定に応答して、前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の機器デバイスから認可情報を受信することと、
前記認可情報を検証することと、
前記認可情報を検証することに応答して、前記番組と関連付けられた前記ビデオの表示を生成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記認可情報は、パスワードを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
別の機器デバイス上に表示される番組を識別するシステムであって、前記システムは、
ユーザ入力を第1の機器デバイスにおいて受信する手段であって、前記ユーザ入力は、前記第1の機器デバイスに結合された第2の機器デバイスを用いて現在表示されているビデオに対応する番組の識別を要求する、手段と、
前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する識別情報を前記第1の機器デバイスに送信することを前記第2の機器デバイスに行わせる手段と、
前記識別情報を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによって現在表示されている前記ビデオに対応する前記番組に対する前記識別情報が前記第1の機器デバイス上に表示されるようにする手段と
を含む、システム。
【請求項11】
前記第2の機器デバイスが前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成していることを示すものを前記第1の機器デバイスに提供する手段をさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記示すものは、前記第2の機器デバイスを識別する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の機器デバイスによる表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更せよという命令を前記第1の機器デバイスから受信する手段と、
前記命令を受信したことに応答して、前記第2の機器デバイスによる前記表示のために生成される前記番組に関連付けられた前記ビデオを変更する手段と
をさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記変更する手段は、前記第2の機器デバイスを前記番組のチャンネルから離れて同調することをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】(削除)
【請求項16】
前記第1の機器デバイスが前記第2の機器デバイスを監視することが認可されるかどうかを決定する手段と、
前記第1の機器デバイスが前記第2の機器デバイスを監視することが認可されたという決定に応答して、前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成する手段と
をさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の機器デバイスから認可情報を受信する手段と、
前記認可情報を検証することと、
前記認可情報を検証することに応答して、前記番組に関連付けられた前記ビデオの表示を生成する手段と
をさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記認可情報は、パスワードを含む、請求項17に記載のシステム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-05-16 
出願番号 特願2014-30244(P2014-30244)
審決分類 P 1 652・ 537- YAA (H04N)
P 1 652・ 856- YAA (H04N)
P 1 652・ 851- YAA (H04N)
P 1 652・ 852- YAA (H04N)
P 1 652・ 03- YAA (H04N)
P 1 652・ 853- YAA (H04N)
P 1 652・ 536- YAA (H04N)
P 1 652・ 121- YAA (H04N)
P 1 652・ 113- YAA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川崎 優梅本 達雄  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 渡辺 努
冨田 高史
登録日 2015-09-18 
登録番号 特許第5810184号(P5810184)
権利者 ロヴィ ガイズ, インコーポレイテッド
発明の名称 一世帯内に複数のデバイスを備える双方向テレビ番組ガイドシステム  
代理人 森下 夏樹  
代理人 石川 大輔  
代理人 山本 秀策  
代理人 山本 秀策  
代理人 石川 大輔  
代理人 山本 健策  
代理人 飯田 貴敏  
代理人 山本 健策  
代理人 森下 夏樹  
代理人 飯田 貴敏  
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