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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  B32B
審判 一部申し立て 2項進歩性  B32B
管理番号 1330063
異議申立番号 異議2016-700863  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-14 
確定日 2017-05-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5885021号発明「ハードコートフィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5885021号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6〕、7について訂正することを認める。 特許第5885021号の請求項1?3、5?7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5885021号の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成23年12月26日に特許出願され、平成28年2月19日にその特許権の設定登録がされ、その後、請求項1?3、5?7に係る特許について、特許異議申立人加藤隆登(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において平成28年11月29日付けで取消理由を通知し、その指定期間内である平成29年1月27日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、申立人から平成29年3月7日に意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「基材の一面に第一のハードコート層が設けられ、他面に第二のハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記基材の厚さが50?160μmであり、前記第一のハードコート層の厚さが1?6μm、鉛筆硬度がH以上であり、前記第二のハードコート層の厚さが7?15μm、鉛筆硬度が3H以上であり、前記第一のハードコート層の厚さが、前記第二のハードコート層の厚さの3/5以下であることを特徴とするハードコートフィルム。」とあるのを、
「基材の一面に第一のハードコート層が設けられ、他面に第二のハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記基材の厚さが50?160μmであり、前記第一のハードコート層の厚さが4?6μm、鉛筆硬度がH以上であり、前記第二のハードコート層の厚さが7?15μm、鉛筆硬度が3H以上であり、前記第一のハードコート層の厚さが、前記第二のハードコート層の厚さの3/5以下であり、前記第一のハードコート層及び第二のハードコート層は粒子を含有せず、ともに最外層であり、10cm角に切り一日静置後、第二のハードコート層を上面として平滑な面に置いた場合の4隅の浮き上がり高さの平均値が5mm以下であることを特徴とするハードコートフィルム。」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7に、
「基材の一面に第一のハードコート層が設けられ、他面に第二のハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記基材の厚さが50?160μmであり、前記第一のハードコート層の厚さが1?6μm、鉛筆硬度がH以上であり、前記第二のハードコート層の厚さが7?15μm、鉛筆硬度が3H以上であり、前記第一のハードコート層の厚さが、前記第二のハードコート層の厚さの3/5以下であることを特徴とするハードコートフィルムの切断加工または打ち抜き加工する方法であって、前記第一のハードコート層を裏面側として切断加工または打ち抜き加工されることを特徴とする方法。」とあるのを、
「基材の一面に第一のハードコート層が設けられ、他面に第二のハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記基材の厚さが50?160μmであり、前記第一のハードコート層の厚さが4?6μm、鉛筆硬度がH以上であり、前記第二のハードコート層の厚さが7?15μm、鉛筆硬度が3H以上であり、前記第一のハードコート層の厚さが、前記第二のハードコート層の厚さの3/5以下であり、前記第一のハードコート層及び第二のハードコート層は粒子を含有せず、ともに最外層であり、10cm角に切り一日静置後、第二のハードコート層を上面として平滑な面に置いた場合の4隅の浮き上がり高さの平均値が5mm以下であることを特徴とするハードコートフィルムの切断加工または打ち抜き加工する方法であって、前記第一のハードコート層を裏面側として切断加工または打ち抜き加工されることを特徴とする方法。」

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件、一群の請求項
(1)訂正事項1
訂正事項1の訂正は、訂正前の請求項1の「ハードコートフィルム」について、「第一のハードコート層」の厚さの数値範囲を限定し、「第一のハードコート層及び第二のハードコート層」が粒子を含有しないことを限定し、さらに、一日静置後のフィルムの4隅の浮き上がり高さを限定するものであるから、訂正事項1の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件特許明細書の段落【0069】の「厚さが4μmの第一のハードコート層を形成した。」との記載、同じく段落【0069】?【0075】の実施例1?7において第一のハードコート層と第二のハードコート層のいずれもが粒子を含有していないこと、同じく段落【0086】、【0087】の記載からみて、訂正事項1の訂正は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものである。
そして、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(2)訂正事項2
訂正事項2の訂正も、訂正事項1の訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)独立特許要件
特許異議の申立てがされていない請求項4は、直接又は間接的に訂正後の請求項1を引用するものであるところ、後記第3の3.及び4.に示すように、訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しないのであるから、同請求項4に係る発明は、本件訂正請求によっても、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

(4)一群の請求項
訂正前の請求項2?6は請求項1を引用するものであり、請求項1?6は一群の請求項であるところ、本件訂正請求は、一群の請求項に対して請求されたものである。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第7項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?6〕、7について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1.請求項1?3、5?7に係る発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?3、5?7に係る発明(以下、「本件訂正発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?3、5?7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
基材の一面に第一のハードコート層が設けられ、他面に第二のハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記基材の厚さが50?160μmであり、前記第一のハードコート層の厚さが4?6μm、鉛筆硬度がH以上であり、前記第二のハードコート層の厚さが7?15μm、鉛筆硬度が3H以上であり、前記第一のハードコート層の厚さが、前記第二のハードコート層の厚さの3/5以下であり、前記第一のハードコート層及び第二のハードコート層は粒子を含有せず、ともに最外層であり、10cm角に切り一日静置後、第二のハードコート層を上面として平滑な面に置いた場合の4隅の浮き上がり高さの平均値が5mm以下であることを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項2】
前記第一のハードコート層の厚さと前記第二のハードコート層の厚さの和が10μmを越える請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項3】
前記第一のハードコート層が、水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート化合物と、ポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を必須成分として含有することを特徴とする、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層である請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。」
「【請求項5】
前記第二のハードコート層側を表層として、画像表示装置上部に設置される請求項1?4に記載のハードコートフィルム。
【請求項6】
前記第二のハードコート層が、フルオロカーボン鎖、ジメチルシロキサン鎖または炭素原子数12以上のハイドロカーボン鎖を有する化合物を含有するものである請求項1?5のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
【請求項7】
基材の一面に第一のハードコート層が設けられ、他面に第二のハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記基材の厚さが50?160μmであり、前記第一のハードコート層の厚さが4?6μm、鉛筆硬度がH以上であり、前記第二のハードコート層の厚さが7?15μm、鉛筆硬度が3H以上であり、前記第一のハードコート層の厚さが、前記第二のハードコート層の厚さの3/5以下であり、前記第一のハードコート層及び第二のハードコート層は粒子を含有せず、ともに最外層であり、10cm角に切り一日静置後、第二のハードコート層を上面として平滑な面に置いた場合の4隅の浮き上がり高さの平均値が5mm以下であることを特徴とするハードコートフィルムの切断加工または打ち抜き加工する方法であって、前記第一のハードコート層を裏面側として切断加工または打ち抜き加工されることを特徴とする方法。」

2.取消理由の概要
特許権者に通知した平成28年11月29日付けの取消理由の概要は以下のとおりである。なお、特許異議申立書に記載された取消理由は、全て通知された。
理由1)本件特許の請求項1?3、5、7に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2)本件特許の請求項1?3、5?7に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

甲第1号証:特開2004-195673号公報
甲第2号証:特開2011-183644号公報
甲第3-1号証:特開平1-244848号公報
甲第3-2号証:特開2002-194250号公報
甲第3-3号証:特開2011-225708号公報
甲第4号証:「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法) JIS K5600-5-1:1999」、財団法人日本規格協会、平成11年5月31日、p.1-5
甲第5-1号証:特開2010-180319号公報
甲第5-2号証:特開2009-62423号公報
甲第5-3号証:特開2002-235036号公報
甲第6-1号証:特開2011-131408号公報
甲第6-2号証:特開2010-222524号公報
甲第6-3号証:特開2011-74232号公報
甲第6-4号証:特開2011-190343号公報
甲第6-5号証:特開2011-88962号公報
甲第6-6号証:特開2007-264281号公報

[理由1]
請求項1?3、5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である。
また、請求項1、2、5、7に係る発明は、甲第2号証に記載された発明である。

[理由2]
請求項1?3、5?7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである
また、請求項1?3、5?7に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである

3.判断
(1)甲第1号証に記載された発明との対比・判断
ア.甲第1号証(特に、特許請求の範囲請求項1、段落【0071】?【0073】)には、以下の発明が記載されていると認められる。
「二軸延伸ポリエステルフィルムの両面にメラミン系樹脂を含有する塗布層を有し、一方の塗布層上に活性化エネルギー線硬化樹脂を塗布して硬化させた厚さ10μmのハードコート層を有し、他方の塗布層上に活性化エネルギー線硬化樹脂を塗布して硬化させた厚さ5μmのカール防止層を有し、さらにその上の最外層に厚さ0.150μmの易滑層を有する積層ポリエステルフィルムであって、カール値が3mmである積層ポリエステルフィルム。」(以下、「甲1(実施例13)発明」という。)
「二軸延伸ポリエステルフィルムの両面にメラミン系樹脂を含有する塗布層を有し、一方の塗布層上に活性化エネルギー線硬化樹脂を塗布して硬化させた厚さ10μmのハードコート層を有し、他方の塗布層上に活性化エネルギー線硬化樹脂を塗布して硬化させた厚さ5μmのカール防止層を有する積層ポリエステルフィルムであって、カール値が6mmである積層ポリエステルフィルム。」(以下、「甲1(比較例6)発明」という。)

イ.本件訂正発明1と、甲1(実施例13)発明あるいは甲1(比較例6)発明とを対比すると、甲1(実施例13)発明はカール防止層(本件訂正発明1の「第一のハードコート層」に相当)が最外層ではなく、その上に最外層として厚さ0.150μmの易滑層を有する点で、また、甲1(比較例6)発明はカール値が5mm以下でない点で、少なくとも相違する。
これらの点は実質的な相違点であり、本件訂正発明1は、甲1(実施例13)発明あるいは甲1(比較例6)発明のいずれでもなく、甲第1号証に記載された発明ではない。

ウ.そして、甲第1号証の積層ポリエステルフィルムは、「ハードコート層を両面に設けた場合には、ハードコート層同士の滑り性が悪くなる」(甲第1号証段落【0004】)という課題に対し、「密着性に優れて表面硬度が高く、フィルム同士の滑り性が良好で、かつ熱による透明性やカール性の悪化のない積層ポリエステルフィルムを提供すること」(同段落【0006】)を目的とし、最外層の易滑層に0.01?0.50μmの粒子を含有させた(同請求項1)ものである。
ここで、甲1(実施例13)発明において、フィルム同士の滑り性を改善するために設けた最外層の易滑層を設けないように換えることは、その課題の解決とは逆行することになるから、最外層の易滑層を設けないように換えようとすることには動機付けがない。
また、甲1(比較例6)発明についても、甲第1号証はフィルム同士の滑り性を改善するため最外層に易滑層を設けることを教示しているのであるから、最外層の易滑層を設けないものとする動機付けがない。
よって、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2?6-6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到することができたものとはいえない。

エ.本件訂正発明2、3、5、6は、いずれも本件訂正発明1の全ての発明特定事項を有するものであるから、本件訂正発明2、3、5は甲第1号証に記載された発明ではなく、本件訂正発明2、3、5、6は甲第1号証に記載された発明及び甲第2?6-6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
また本件訂正発明7についても、本件訂正発明1に対する判断と同様に、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?6-6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。

(2)甲第2号証に記載された発明との対比・判断
ア.甲第2号証(特に、特許請求の範囲請求項1)には、以下の発明が記載されていると認められる。
「基材フィルムの一方の面にハードコート層A、他方の面にハードコート層Bを有するハードコートフィルムであって、ハードコート層Aの厚みが2μm以上10μm以下であり、ハードコート層Bの厚みが0.05μm以上2.5μm以下であり、ハードコート層Aの厚みがハードコート層Bの厚みよりも0.5μm以上厚いハードコートフィルム。」

イ.本件訂正発明1と甲第2号証に記載された発明を対比すると、甲第2号証に記載された発明は、ハードコート層B(本件訂正発明1の「第一のハードコート層」に相当)の厚みが0.05μm以上2.5μm以下である点で、本件訂正発明1とは少なくとも相違する。
そして、この点は実質的な相違点であり、本件訂正発明1は、甲第2号証に記載された発明ではない。

ウ.また、甲第2号証には、「本発明のハードコートフィルムは、後に打ち抜き加工にて断裁されるが、ハードコート層Bの厚みが厚すぎると、かかる打ち抜き加工時に断裁部分近辺のハードコート層にクラックが発生し意匠性が悪くなる。このため、ハードコート層Bの厚みの上限は、2.5μm以下であり、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1.5μm以下である。」(甲第2号証段落【0014】)旨記載されており、この記載からすれば、「打ち抜き加工時に断裁部分近辺のハードコート層にクラックが発生」し得ることになるため、ハードコート層Bの厚みを2.5μm以上にならないようにするはずであり、甲第2号証に記載された発明の「ハードコート層Bの厚みが0.05μm以上2.5μm以下」を、2.5μm以上である「4?6μm」に換えようとする動機付けがない。
よって、本件訂正発明1は、甲第2号証に記載された発明、及び甲第1号証、甲第3-1?6-6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到することができたものとはいえない。

エ.本件訂正発明2、3、5、6は、いずれも本件訂正発明1の全ての発明特定事項を有するものであるから、本件訂正発明2、3、5は甲第2号証に記載された発明ではなく、本件訂正発明2、3、5、6は甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第3-1?6-6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
また本件訂正発明7についても、本件訂正発明2に対する判断と同様に、甲第2号証に記載された発明ではなく、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第3-1?6-6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。

4.むすび
以上のとおりであるから、上記取消理由によっては、本件訂正請求により訂正された請求項1?3、5?7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正請求により訂正された請求項1?3、5?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一面に第一のハードコート層が設けられ、他面に第二のハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記基材の厚さが50?160μmであり、前記第一のハードコート層の厚さが4?6μm、鉛筆硬度がH以上であり、前記第二のハードコート層の厚さが7?15μm、鉛筆硬度が3H以上であり、前記第一のハードコート層の厚さが、前記第二のハードコート層の厚さの3/5以下であり、前記第一のハードコート層及び第二のハードコート層は粒子を含有せず、ともに最外層であり、10cm角に切り一日静置後、第二のハードコート層を上面として平滑な面に置いた場合の4隅の浮き上がり高さの平均値が5mm以下であることを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項2】
前記第一のハードコート層の厚さと前記第二のハードコート層の厚さの和が10μmを越える請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項3】
前記第一のハードコート層が、水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート化合物と、ポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を必須成分として含有することを特徴とする、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層である請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
【請求項4】
前記第二のハードコート層が、ポリイソシアネートと1分子中に1つの水酸基及び2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレートとの付加反応物であるウレタンアクリレートと、環状骨格を有する多官能(メタ)アクリレートオリゴマーを2種類以上配合して成るハードコート塗材であって、その内少なくとも1つは複素環を有する多官能(メタ)アクリレートである事を特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層である請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
【請求項5】
前記第二のハードコート層側を表層として、画像表示装置上部に設置される請求項1?4に記載のハードコートフィルム。
【請求項6】
前記第二のハードコート層が、フルオロカーボン鎖、ジメチルシロキサン鎖または炭素原子数12以上のハイドロカーボン鎖を有する化合物を含有するものである請求項1?5のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
【請求項7】
基材の一面に第一のハードコート層が設けられ、他面に第二のハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記基材の厚さが50?160μmであり、前記第一のハードコート層の厚さが4?6μm、鉛筆硬度がH以上であり、前記第二のハードコート層の厚さが7?15μm、鉛筆硬度が3H以上であり、前記第一のハードコート層の厚さが、前記第二のハードコート層の厚さの3/5以下であり、前記第一のハードコート層及び第二のハードコート層は粒子を含有せず、ともに最外層であり、10cm角に切り一日静置後、第二のハードコート層を上面として平滑な面に置いた場合の4隅の浮き上がり高さの平均値が5mm以下であることを特徴とするハードコートフィルムの切断加工または打ち抜き加工する方法であって、前記第一のハードコート層を裏面側として切断加工または打ち抜き加工されることを特徴とする方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-05-19 
出願番号 特願2011-283307(P2011-283307)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (B32B)
P 1 652・ 121- YAA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 横島 隆裕  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 渡邊 豊英
井上 茂夫
登録日 2016-02-19 
登録番号 特許第5885021号(P5885021)
権利者 DIC株式会社
発明の名称 ハードコートフィルム  
代理人 鈴木 敏弘  
代理人 河野 通洋  
代理人 河野 通洋  

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