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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  D04H
審判 全部申し立て 2項進歩性  D04H
管理番号 1330112
異議申立番号 異議2016-700932  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-29 
確定日 2017-06-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5897593号発明「複合品製造用樹脂溶解性ベールおよびそれの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5897593号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、〔7-9〕について訂正することを認める。 特許第5897593号の請求項1、3?9に係る特許を維持する。 特許第5897593号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5897593号の請求項1?9に係る特許についての出願は、平成23年11月18日に国際特許出願され(パリ条約による優先権主張 2010年12月1日、米国)、平成28年3月11日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人特許業務法人虎ノ門知的財産事務所(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年11月30日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年2月23日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)があり、本件訂正請求に対して、申立人から平成29年3月30日に意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のア.?オ.のとおりである。
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「強化繊維を含んで成る少なくとも1の構造層、および
前記構造層と接触している少なくとも1の樹脂溶解性不織ベール」
と記載されているのを、
「それぞれが強化繊維を含んで成る多数の構造層、および
隣接して位置する対の構造層の間に差し込みの結果挟まれている少なくとも1の樹脂溶解性不織ベール」
に訂正する。

イ.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「プレフォーム。 」
と記載されているのを、
「ここで、ベールは相対するカレンダー加工表面を含み、他の構造と接着せず、構造層から分離可能である、
プレフォーム。」
に訂正する。

ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

エ.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3に
「かつ厚みがカレンダー加工の結果として20μmから90μmの範囲である」
と記載されているのを、
「かつ厚みが20μmから90μmの範囲である」
に訂正する。

オ.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7に
「ここで、上記少なくとも1のベールは、」
と記載されているのを、
「ここで、上記少なくとも1のベールは、相対する表面でカレンダー加工されており、他の構造と接着せず、構造層から分離可能であり、」
に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項1について
訂正事項1の訂正は、訂正前の請求項1に係る発明の、構造層と樹脂溶解性不織ベールとの接触状態について、「それぞれが強化繊維を含んで成る多数の構造層、および隣接して位置する対の構造層の間に差し込みの結果挟まれている少なくとも1の樹脂溶解性不織ベール」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項1は、本件願書に添付した明細書及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)の段落【0013】の「・・・前記構造成分の形態は、多数の隣接して位置する強化繊維層の形態であってもよく、かつ前記人工不織ベールの形態は、隣接して位置する対の強化繊維層の間に挟まれている多数の樹脂溶解性で熱可塑性のベールの形態であってもよい。・・・」の記載、【0061】の「図10に、本発明の1つの態様に従う人工不織ベールと構造成分のレイアップを例示する。・・・図10に示すように、RTM工具を用いて本発明の1つの態様に従う多数の樹脂溶解性熱可塑性ベールと多数の炭素布を交互に配置させることでプレフォームを生じさせることができる。・・・」の記載及び図10に基づくもので、訂正事項1の訂正は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

イ.訂正事項2について
訂正事項2の訂正は、訂正前の請求項1に係る発明のベールについて、「相対する表面でカレンダー加工されており、他の構造と接着せず、構造層から分離可能であり、」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項2は、本件特許明細書等の段落【0046】の「図4は、本発明の1つの態様に従うカレンダー加工の略図である。1つの態様では、1巻きの人工不織ベールをカレンダー400に通して流す。このカレンダー400には隣接して位置する2個のローラー402、404が備わっており、それらの間に人工ベールを通す。・・・」の記載、【0061】の「図10に、本発明の1つの態様に従う人工不織ベールと構造成分のレイアップを例示する。・・・図10に示すように、RTM工具を用いて本発明の1つの態様に従う多数の樹脂溶解性熱可塑性ベールと多数の炭素布を交互に配置させることでプレフォームを生じさせることができる。・・・」の記載、図4及び図10に基づくもので、訂正事項2の訂正は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

ウ.訂正事項3について
訂正事項3の訂正は、請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項3の訂正は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

エ.訂正事項4について
訂正事項4の訂正は、訂正事項2により、請求項1が「ベールは相対するカレンダー加工表面を含み、」と限定されたことに伴い、請求項1を引用する請求項3の記載の重複を解消するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項4の訂正は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

オ.訂正事項5について
訂正事項5の訂正は、訂正前の請求項7に係る発明のベールの製造方法について、「相対する表面でカレンダー加工されており、他の構造と接着せず、構造層から分離可能であり、」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項5は、本件特許明細書等の段落【0046】の「図4は、本発明の1つの態様に従うカレンダー加工の略図である。1つの態様では、1巻きの人工不織ベールをカレンダー400に通して流す。このカレンダー400には隣接して位置する2個のローラー402、404が備わっており、それらの間に人工ベールを通す。・・・」の記載、【0061】の「図10に、本発明の1つの態様に従う人工不織ベールと構造成分のレイアップを例示する。・・・図10に示すように、RTM工具を用いて本発明の1つの態様に従う多数の樹脂溶解性熱可塑性ベールと多数の炭素布を交互に配置させることでプレフォームを生じさせることができる。・・・」の記載、図4及び図10に基づくもので、訂正事項5の訂正は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

(3)一群の請求項について
訂正前の請求項2?6は、訂正前の請求項1を引用する請求項であり、訂正前の請求項8、9は、訂正前の請求項7を引用する請求項であるから、本件訂正は、請求項1?6、7?9のそれぞれ一群の請求項に対して請求されたものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1?6、7?9について訂正することを認める。

3.本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?9に係る発明(以下「本件発明1?9という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?9に記載された次の事項により特定されるとおりのものであると認める。
「【請求項1】
液状樹脂注入用に形造られたプレフォームであって、
それぞれが強化繊維を含んで成る多数の構造層、および
隣接して位置する対の構造層の間に差し込みの結果挟まれている少なくとも1の樹脂溶解性不織ベールであって、平均直径が10ミクロンから16ミクロンの範囲でありかつ直径が8ミクロン未満の繊維が20%未満である多数の熱可塑性繊維で構成されており、幅方向の布面積重量偏差が10%未満であるベールを含有して成る、
ここで、ベールの熱可塑性繊維は樹脂溶解性熱可塑性重合体で形成され、該重合体は常温において固相であるが、該重合体が所定の温度で溶解する硬化性組成物と接触すると少なくとも部分的溶解を起こす、ここで該温度は前記硬化性組成物が実質的に硬化を起こし始める温度より低くかつ該樹脂溶解性不織ベールが示す固有の溶融温度より低く、
ここで、ベールは相対するカレンダー加工表面を含み、他の構造と接着せず、構造層から分離可能である、
プレフォーム。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記ベールの布面積重量が1平方メートル当たり5グラムから1平方メートル当たり80グラムの範囲でありかつ厚みが20μmから90μmの範囲である請求項1記載のプレフォーム。
【請求項4】
前記ベールの熱可塑性繊維がメルトフローインデックスが18から38の範囲である熱可塑性重合体で形成されている請求項1記載のプレフォーム。
【請求項5】
前記ベールの熱可塑性繊維が芳香族重合体で形成されている請求項1記載のプレフォーム。
【請求項6】
更に前記ベールの全体に渡って位置する多数の穴も含んで成る請求項1記載のプレフォーム。
【請求項7】
液状樹脂注入工程を用いた複合品製造方法であって、
強化繊維を含んで成る多数の構造層を鋳型内に配置し、
少なくとも1の樹脂溶解性不織ベールを隣接する構造層の間に差し込んで該構造層と少なくとも1のベールでプリフォームを形成し、
ここで、上記少なくとも1のベールは、相対する表面でカレンダー加工されており、他の構造と接着せず、構造層から分離可能であり、平均直径が10ミクロンから16ミクロンの範囲でありかつ直径が8ミクロン未満の繊維が20%未満である多数の樹脂溶解性繊維で構成されていて各ベールの幅方向の布面積重量偏差が10%未満である、
前記プレフォームを初期温度が75℃未満の樹脂と接触させ、
前記プレフォームを前記繊維の大部分が溶解する前以て決めておいた温度閾値に加熱した後に前記前以て決めておいた温度閾値に到達させ、そして
前記プレフォームを前記決めておいた温度閾値に前以て決めておいた時間保持しながら前記プレフォームを硬化させる、
ことを含んで成る方法。
【請求項8】
前記前以て決めておいた温度閾値が180℃である請求項7記載の液状樹脂注入工程を用いた複合品製造方法。
【請求項9】
前記ベールの熱可塑性繊維がメルトフローインデックスが18から38の範囲である熱可塑性重合体で形成されている請求項7記載の液状樹脂注入工程を用いた複合品製造方法。」

4.取消理由の概要
訂正前の請求項1?9に係る特許に対して平成28年11月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。なお、申立人による特許異議申立書に記載された特許異議申立理由は、すべて通知した。

1)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

甲第1号証:国際公開第2010/046609号
(訳文として、パテントファミリーの甲第2号証:特表2012-506499号公報を参照)
甲第3号証:エンジニアのための技術講座:第406回 樹脂のメルトフローレートMFR プラ金型講座:ミスミの技術講座、更新日2009年04月10日、印刷日2016/09/06
URL http://koza.misumi.jp/mold/2009/04/406_mfr.html
甲第4号証:特表2008-540766号公報

(1)甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、
「液状樹脂注入用に中間材料のスタックを一体化させたプリフォームにおいて、
複合部品を製造するために熱硬化性樹脂と合わせることを意図した中間材料は、100?280g/m^(2)の表面密度を有する炭素繊維の一方向層と、それぞれ0.5?50ミクロン、好ましくは3?35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブと、から構成され、
ウェブは、連続又は短繊維の不織布材料であり、特に、不織布を構成する繊維は、0.5?70μmの範囲内の直径を有し、フィラメント直径(μm)は10?16μmであり、
ウェブの厚さの標準偏差が4や3であって、
熱可塑性繊維が、ポリアミド(PA:PA6、PA12、PA11、PA6,6、PA6,10、PA6,12など)、コポリアミド(CoPA)、エーテル若しくはエステルのブロックポリアミド(PEBAX、PEBA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート-PET-、ポリブチレンテレフタレート-PBT-など)、コポリエステル(CoPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアセタール(POMなど)、ポリオレフィン(PP、HDPE、LDPE、LLDPEなど)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSUなど)、ポリフェニレンスルホン(PPSUなど)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリ(フェニレンサルフェート)(PPS)、又はポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、フェノキシ、スチレン-ブタジエン-メチルメタクリレート(SBM)などのブロックコポリマー、コポリマー、ブチル-メチルメタクリレートのメチルメタクリレート-アクリレート(MAM)コポリマーの繊維、或いはこれらの熱可塑性材料から構成される繊維の混合体から選択される、中間材料のスタックを一体化させたプリフォーム。」の発明(以下、「甲1発明A」という。)が記載されている。
また、甲第1号証には、
「液状樹脂注入工程を用いた複合部品の製造方法であって、
中間材料のスタックを作製するステップ、
続いて、スタックをプリフォームの形態で一体化させるステップ、
注入又は挿入によって熱硬化性樹脂を添加するステップ、
定義された温度サイクルに従って加圧下に、重合/網状化段階によって所望の部品を一体化し、その後冷却するステップを含み、
中間材料は、100?280g/m^(2)の表面密度を有する炭素繊維の一方向層と、それぞれ0.5?50ミクロン、好ましくは3?35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブと、から構成され、
ウェブは、連続又は短繊維の不織布材料であり、特に、不織布を構成する繊維は、0.5?70μmの範囲内の直径を有し、フィラメント直径(μm)は10?16μmであり、
ウェブの厚さの標準偏差が4や3であって、
HexFlow RTM6としてHexcelによって販売されているエポキシ樹脂を、定盤の温度が120℃で維持されたプリフォームを通して80℃において2バールで挿入し、2つの定盤のそれぞれに適用した圧力は5バールで、樹脂が金型の出口で見られると、出口チューブが閉鎖され、重合サイクルが開始し、3℃/分で180℃まで上昇させ、次いで180℃で2時間維持し、次いで5℃/分で冷却する、ウェブの融点は178℃、160℃である、ことを含んで成る方法。」の発明(以下、「甲1発明B」という。)が記載されている。

(2)(理由1)及び(理由2)請求項1?6に係る発明(以下、「本件特許発明1?6」という。)に対して
ア.本件特許発明1に対して
本件特許発明1は、甲1発明Aである。
また、本件特許発明1は、甲1発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ.本件特許発明2に対して
本件特許発明2は、甲1発明Aである。
また、本件特許発明2は、甲1発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ.本件特許発明3、5、6に対して
本件特許発明3、5、6は、甲1発明Aである。
また、本件特許発明3、5、6は、甲1発明Aから当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ.本件特許発明4に対して
本件特許発明4は、甲1発明Aである。
また、本件特許発明4は、甲1発明A及び甲3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)(理由2)請求項7?9に係る発明(以下、「本件特許発明7?9」という。)に対して
ア.本件特許発明7に対して
本件特許発明7は、甲1発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるか、甲1発明B及び甲4発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ.本件特許発明8に対して
本件特許発明8は、甲1発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるか、甲1発明B及び甲4発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ.本件特許発明9に対して
本件特許発明9は、甲1発明B及び甲3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるか、甲1発明B並びに甲3記載事項及び甲4発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.刊行物の記載
(1)甲第1号証(以下「甲1」という。)(国際公開第2010/046609号)、甲1の訳文として甲第2号証(以下「甲2」という。)(特表2012-506499号公報)には、以下の事項が記載されている。 (甲2の該当箇所で摘記する。)
「【請求項1】
複合部品を製造するために熱硬化性樹脂と合わせることを意図した新規な中間材料であって、100?280g/m^(2)の表面密度を有する炭素繊維の一方向層から構成され、その各面において、それぞれ0.5?50ミクロン、好ましくは3?35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブと合わせられており、全厚が80?380ミクロン、好ましくは90?320ミクロンである上記中間材料。」
「【請求項12】
合わせることが、熱圧着段階を通して行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。」
「【請求項20】
複合部品の製造方法であって、
a)請求項1から10までの一項に記載の中間材料のスタック、又は請求項15から19までの一項に記載のスタックを作製するステップ、
b)続いて、スタックをプリフォームの形態で一体化させるステップ、
c)注入又は挿入によって熱硬化性樹脂を添加するステップ、
d)定義された温度サイクルに従って加圧下に、重合/網状化段階によって所望の部品を一体化し、その後冷却するステップ
を含むことを特徴とする上記方法。」
「【0033】
一方向層と合わせる前のウェブの厚さは、炭素繊維層と合わせる方法に応じて選択されよう。ほとんどの場合、その厚さは、中間生成物に望ましい厚さと非常に近いであろう。所望の厚さに到達するように、合わせ段階の際の温度下で積層され得るより厚いウェブの使用を選択することもできる。好ましい方法では、炭素層は、完全に対称の中間生成物を得るように、その大きな面のそれぞれにおいて、本質的に同一の2つのウェブと合わせる。炭素一方向層と合わせる前にウェブの厚さは、0.5?200μmの間、好ましくは10?170μmの間で変動する。本発明による中間生成物において、各ウェブの厚さは、0.5?50ミクロンの範囲内、好ましくは3?35ミクロンの範囲内である。」
「【0040】
加えて、ウェブの表面密度は、有用には0.2?20g/m^(2)の範囲内である。」
「【0051】
複合部品の製造のために、熱硬化性樹脂又はマトリックスを、次いで、例えば、プライを含む金型内への挿入(英語のResin Transfer Moulding(樹脂トランスファ成形)に由来する「RTM」法)によって、又は注入(プライの厚さ方向に注入すること:英語のLiquid Resin Infusion(液体樹脂注入)に由来する「LRI」法、又は英語のResin Film Infusion(樹脂フィルム注入)に由来する「RFI」法)によって添加する。」
「【0065】
【表2】


「【0066】
2.被験中間生成物の製造
所望の坪量を有する層を形成した直後に、この目的のために特に専用の機械(図2)を用いて、炭素繊維をベースとする一方向層の各側面にウェブが直接積層される。炭素ストランド1は、クリール4に搭載された炭素スプール3から広げられ、コーム5を通過し、ガイドローラ6及びコーム7、並びにガイドバー8aによって機械の軸内に導かれる。炭素ストランドは、加熱棒9によって予備加熱され、次いで、展開バー8b及び加熱棒10によって、一方向層17の所望の炭素表面密度まで展開される。ウェブコイル13a及び13bは、引っ張ることなくしてはほどかれず、自由回転ローラ14a、14b、14c、14dと加熱棒12a、12bとの間に取り付けられた移動ベルト15a及び15bによって輸送される。ウェブ2a及び2bは、炭素ストランド1と接触する前にゾーン11a及び11bにおいて予備加熱され、エアギャップが制御されている2つの加熱棒12a及び12bの各側面に貼り付けられる。次いで、冷却可能なカレンダ16は、ウェブを有する一方向層に各側面17上で圧力を適用する。リターンローラ18は、3つの延伸ローラ19を含む引張システムに向けて生成物17を方向転換させ、次いで、モータによって駆動されるローラ20を巻いて、本発明の中間生成物17から構成されるコイルを形成する。」
「【0079】
HexFlow RTM6としてHexcelによって販売されているエポキシ樹脂を、定盤の温度が120℃で維持されたプリフォームを通して80℃において2バールで挿入する。2つの定盤のそれぞれに適用した圧力は5バールである。樹脂が金型の出口で見られると、出口チューブが閉鎖され、重合サイクルが開始する(3℃/分で180℃まで上昇させ、次いで180℃で2時間維持し、次いで5℃/分で冷却する)。」

以上の記載によれば、甲1には以下の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる(「甲1発明1」は、特に甲2の【請求項12】及び段落【0066】の記載に基づき、取消理由通知の「甲1発明A」に下線部を追加したものである。)。
「液状樹脂注入用に中間材料のスタックを一体化させたプリフォームにおいて、
複合部品を製造するために熱硬化性樹脂と合わせることを意図した中間材料は、100?280g/m^(2)の表面密度を有する炭素繊維の一方向層と、それぞれ0.5?50ミクロン、好ましくは3?35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブと、から構成され、
ウェブは、連続又は短繊維の不織布材料であり、特に、不織布を構成する繊維は、0.5?70μmの範囲内の直径を有し、フィラメント直径(μm)は10?16μmであり、
ウェブの厚さの標準偏差が4や3であって、
熱可塑性繊維が、ポリアミド(PA:PA6、PA12、PA11、PA6,6、PA6,10、PA6,12など)、コポリアミド(CoPA)、エーテル若しくはエステルのブロックポリアミド(PEBAX、PEBA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート-PET-、ポリブチレンテレフタレート-PBT-など)、コポリエステル(CoPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアセタール(POMなど)、ポリオレフィン(PP、HDPE、LDPE、LLDPEなど)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSUなど)、ポリフェニレンスルホン(PPSUなど)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリ(フェニレンサルフェート)(PPS)、又はポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、フェノキシ、スチレン-ブタジエン-メチルメタクリレート(SBM)などのブロックコポリマー、コポリマー、ブチル-メチルメタクリレートのメチルメタクリレート-アクリレート(MAM)コポリマーの繊維、或いはこれらの熱可塑性材料から構成される繊維の混合体から選択される、中間材料のスタックを一体化させ、
熱可塑性繊維のウェブと炭素繊維の一方向層とは、熱圧着されており、ウェブの外側側面のみカレンダによって加工されている、
プリフォーム。」

また、甲1には以下の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる(「甲1発明2」は、特に甲2の【請求項12】及び段落【0066】の記載に基づき、取消理由通知の「甲1発明B」に下線部を追加したものである。)。
「液状樹脂注入工程を用いた複合部品の製造方法であって、
中間材料のスタックを作製するステップ、
続いて、スタックをプリフォームの形態で一体化させるステップ、
注入又は挿入によって熱硬化性樹脂を添加するステップ、
定義された温度サイクルに従って加圧下に、重合/網状化段階によって所望の部品を一体化し、その後冷却するステップを含み、
中間材料は、100?280g/m^(2)の表面密度を有する炭素繊維の一方向層と、それぞれ0.5?50ミクロン、好ましくは3?35ミクロンの厚さを有する熱可塑性繊維のウェブと、から構成され、
ウェブは、連続又は短繊維の不織布材料であり、特に、不織布を構成する繊維は、0.5?70μmの範囲内の直径を有し、フィラメント直径(μm)は10?16μmであり、
ウェブの厚さの標準偏差が4や3であって、
熱可塑性繊維のウェブと炭素繊維の一方向層とは、熱圧着されており、ウェブの外側側面のみカレンダによって加工されている、
HexFlow RTM6としてHexcelによって販売されているエポキシ樹脂を、定盤の温度が120℃で維持されたプリフォームを通して80℃において2バールで挿入し、2つの定盤のそれぞれに適用した圧力は5バールで、樹脂が金型の出口で見られると、出口チューブが閉鎖され、重合サイクルが開始し、3℃/分で180℃まで上昇させ、次いで180℃で2時間維持し、次いで5℃/分で冷却する、ウェブの融点は178℃、160℃である、ことを含んで成る方法。」

(2)甲第3号証(以下「甲3」という。)(エンジニアのための技術講座:第406回 樹脂のメルトフローレートMFR プラ金型講座:ミスミの技術講座)には、「PES(ポリエーテルスルホン)にメルトフローレートが17?30」が示されている(第1頁、樹脂名およびメルトフローレートの表)。

(3)甲第4号証(以下「甲4」という。)(特表2008-540766号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0082】
本熱可塑性ベールは、樹脂を系の中に注入している間に樹脂に溶解して注入中の樹脂の粘度を高くすることがないように固相状態を少なくともある程度維持すべきである。樹脂注入中に溶解が起こると樹脂が補強用繊維の中を通る流れが邪魔されるであろう。より好適には、本ベールは20℃から約90℃の範囲の樹脂注入温度、好適には約30℃から約65℃の範囲の樹脂注入温度の時に有意にも評価できるほどにも溶解すべきでない。」

6.判断
(1)理由1(第29条第1項第3号)について
ア.本件発明1
本件発明1と甲1発明1とを対比すると、甲1発明1の「プリフォーム」、「炭素繊維の一方向層」、「熱可塑性繊維のウェブ」は、それぞれ、本件発明1の「プレフォーム」、「強化繊維を含んで成る」「構造層」、「少なくとも1の樹脂溶解性不織ベール」に相当する。

両者は、少なくとも以下の相違点1及び2で相違する。
〈相違点1〉本件発明1では、それぞれが強化繊維を含んで成る多数の構造層、および隣接して位置する対の構造層の間に差し込みの結果挟まれている少なくとも1の樹脂溶解性不織ベールであって、ベールは相対するカレンダー加工表面を含み、他の構造と接着せず、構造層から分離可能であるのに対して、甲1発明1では、中間材料は、炭素繊維の一方向層と、熱可塑性繊維のウェブと、から構成され、 熱可塑性繊維のウェブと炭素繊維の一方向層とは、熱圧着されており、ウェブの外側側面のみカレンダにより加工されている点。
〈相違点2〉本件発明1では、ベールは、平均直径が10ミクロンから16ミクロンの範囲でありかつ直径が8ミクロン未満の繊維が20%未満である多数の熱可塑性繊維で構成されているのに対して、甲1発明1では、ウェブは、連続又は短繊維の不織布材料であり、特に、不織布を構成する繊維は、0.5?70μmの範囲内の直径を有し、フィラメント直径(μm)は10?16μmであるが、直径が8ミクロン未満の繊維が20%未満である点は不明である点。

相違点1を検討する。
甲1発明1は、熱可塑性繊維のウェブ(ベール)と炭素繊維の一方向層(構造層)とは、熱圧着されているので、熱可塑性繊維のウェブ(ベール)は、隣接して位置する対の炭素繊維の一方向層(構造層)の間に差し込みの結果挟まれているものではなく、また、他の構造と接着せず、炭素繊維の一方向層(構造層)から分離可能ではなく、カレンダー加工についても、熱可塑性繊維のウェブ(ベール)の外側側面のみで、ウェブは、相対するカレンダー加工表面を含むものではない。
そうすると、相違点1は実質的な相違点であるので、相違点2を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1ではない。

イ.本件発明3?6
本件発明3?6は、本件発明1の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明3?6は、甲1発明1ではない。

(2)理由2(第29条第2項)について
ア.本件発明1
本件発明1と刊行物1発明とを対比すると、少なくとも上記相違点1及び相違点2((1)ア.)で相違する。
相違点1を検討する。
相違点1のうち、カレンダー加工については、甲2の段落【0066】に「・・・ウェブ2a及び2bは、炭素ストランド1と接触する前にゾーン11a及び11bにおいて予備加熱され、エアギャップが制御されている2つの加熱棒12a及び12bの各側面に貼り付けられる。次いで、冷却可能なカレンダ16は、ウェブを有する一方向層に各側面17上で圧力を適用する。・・・」と記載されているだけで、甲1(甲2)には、ウェブ(ベール)は相対するカレンダー加工表面を含む点は記載も示唆もない。そして、甲1発明1においては、ウェブの両側面がカレンダー加工されていないことで、熱圧着を実現している。
本件発明1は、相違点1に係る発明特定事項(特に、ベールは相対するカレンダー加工表面を含む点)を有することにより、「ベールのかさが小さいこと」、「ベールの引張り抵抗が高いことでプレフォーム製造中の取り扱いが容易になること、ベールの表面がより滑らかなことでNCF製造中の摩擦が低くなりかつ炭素トウのレイアップがより良好になること」(本件特許明細書段落【0052】?【0053】)との作用効果を奏するものである。
相違点2を検討する。
甲2の段落【0065】の【表2】には、リファレンス3のウェブと並記して、リファレンス2のウェブとして、フィラメント直径(μm)が9±2(7?11)μmのものも記載されていることを考慮すると、甲1(甲2)には、ウェブ(ベール)は、直径が8ミクロン未満の繊維が20%未満である繊維で構成されている点は、記載も示唆もない。
そして、本件発明1は、相違点2に係る発明特定事項を有することにより、「従来技術のベールに比べて均一性が高いことおよび厚みが薄いこと」「硬化中のベールがあまりにも早期に溶解することが実質的または完全に起こらないこと」(本件特許明細書段落【0018】)との作用効果を奏するものである。
よって、本件発明1は、甲1発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ.本件発明3、5、6
本件発明3、5、6は、本件発明1の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明3、5、6は、甲1発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ.本件発明4
本件発明4は、本件発明1の発明特定事項をすべてを含み、甲3にも、相違点1、相違点2に係る事項は記載されていないから、本件発明1と同様の理由により、本件発明4は、甲1発明1及び甲3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ.本件発明7
本件発明7と甲1発明2とを対比すると、少なくとも以下の相違点3及び4で相違する。
〈相違点3〉本件発明7では、強化繊維を含んで成る多数の構造層を鋳型内に配置し、少なくとも1の樹脂溶解性不織ベールを隣接する構造層の間に差し込んで該構造層と少なくとも1のベールでプリフォームを形成し、ベールは相対する表面でカレンダー加工されており、他の構造と接着せず、構造層から分離可能であるのに対して、甲1発明2では、中間材料は、炭素繊維の一方向層と、熱可塑性繊維のウェブと、から構成され、熱可塑性繊維のウェブと炭素繊維の一方向層とは、熱圧着されており、ウェブの外側側面のみカレンダにより加工されている点。
〈相違点4〉本件発明7では、ベールは、平均直径が10ミクロンから16ミクロンの範囲でありかつ直径が8ミクロン未満の繊維が20%未満である多数の熱可塑性繊維で構成されているのに対して、甲1発明2では、ウェブは、連続又は短繊維の不織布材料であり、特に、不織布を構成する繊維は、0.5?70μmの範囲内の直径を有し、フィラメント直径(μm)は10?16μmであるが、直径が8ミクロン未満の繊維が20%未満である点は不明である点。
相違点3、相違点4は、それぞれ、上記(2)ア.で検討した相違点1、相違点2と実質的に同じであり、甲4にも、相違点3、相違点4に係る事項は記載されていないから、相違点1、相違点2の判断と同様の理由により、本件発明7は、甲1発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないし、甲1発明2及び甲4記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ.本件発明8
本件発明8は、本件発明7の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件発明7と同様の理由により、本件発明8は、甲1発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないし、甲1発明2及び甲4記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

カ.本件発明9
本件発明9は、本件発明7の発明特定事項をすべてを含み、甲3にも、相違点3、相違点4に係る事項は記載されていないから、本件発明7と同様の理由により、本件発明9は、甲1発明2及び甲3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないし、甲1発明2、甲3記載事項及び甲4記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

7.申立人の意見について
平成29年3月30日付け申立人の意見書において、本件特許発明1は「プレフォーム」(物の発明)であるが、訂正後の請求項1の「接して位置する対の構造層の間に差し込みの結果挟まれている」との記載は、その物の製造方法が記載されているので、特許法第36条第6項第2号に規定している要件を満たしていないと主張する。
この点を検討するに、訂正後の請求項1の「接して位置する対の構造層の間に差し込みの結果挟まれている」との記載は、プレフォームを構成する、構造層と樹脂溶解性不織ベールとの接触状態、すなわち、樹脂溶解性不織ベールが「接して位置する対の構造層の間に差し込みの結果挟まれている」状態を記載するもので、物の製造方法の記載にあたらないので、訂正後の請求項1は、特許法第36条第6項第2号に規定している要件を満たしているから、申立人の主張は採用できない。

8.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載された取消理由をすべて含む、上記取消理由によっては、本件発明1、3?9に係る特許を取り消すことはできず、他に取り消すべき理由も発見しない。
また、請求項2は、本件訂正請求により削除された。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状樹脂注入用に形造られたプレフォームであって、
それぞれが強化繊維を含んで成る多数の構造層、および
隣接して位置する対の構造層の間に差し込みの結果挟まれている少なくとも1の樹脂溶解性不織ベールであって、平均直径が10ミクロンから16ミクロンの範囲でありかつ直径が8ミクロン未満の繊維が20%未満である多数の熱可塑性繊維で構成されており、幅方向の布面積重量偏差が10%未満であるベールを含有して成る、
ここで、ベールの熱可塑性繊維は樹脂溶解性熱可塑性重合体で形成され、該重合体は常温において固相であるが、該重合体が所定の温度で溶解する硬化性組成物と接触すると少なくとも部分的溶解を起こす、ここで該温度は前記硬化性組成物が実質的に硬化を起こし始める温度より低くかつ該樹脂溶解性不織ベールが示す固有の溶融温度より低く、
ここで、ベールは相対するカレンダー加工表面を含み、他の構造と接着せず、構造層から分離可能である、
プレフォーム。
【請求項2】 (削除)
【請求項3】
前記ベールの布面積重量が1平方メートル当たり5グラムから1平方メートル当たり80グラムの範囲でありかつ厚みが20μmから90μmの範囲である請求項1記載のプレフォーム。
【請求項4】
前記ベールの熱可塑性繊維がメルトフローインデックスが18から38の範囲である熱可塑性重合体で形成されている請求項1記載のプレフォーム。
【請求項5】
前記ベールの熱可塑性繊維が芳香族重合体で形成されている請求項1記載のプレフォーム。
【請求項6】
更に前記ベールの全体に渡って位置する多数の穴も含んで成る請求項1記載のプレフォーム。
【請求項7】
液状樹脂注入工程を用いた複合品製造方法であって、
強化繊維を含んで成る多数の構造層を鋳型内に配置し、
少なくとも1の樹脂溶解性不織ベールを隣接する構造層の間に差し込んで該構造層と少なくとも1のベールでプリフォームを形成し、
ここで、上記少なくとも1のベールは、相対する表面でカレンダー加工されており、他の構造と接着せず、構造層から分離可能であり、平均直径が10ミクロンから16ミクロンの範囲でありかつ直径が8ミクロン未満の繊維が20%未満である多数の樹脂溶解性繊維で構成されていて各ベールの幅方向の布面積重量偏差が10%未満である、
前記プレフォームを初期温度が75℃未満の樹脂と接触させ、
前記プレフォームを前記繊維の大部分が溶解する前以て決めておいた温度閾値に加熱した後に前記前以て決めておいた温度閾値に到達させ、そして
前記プレフォームを前記決めておいた温度閾値に前以て決めておいた時間保持しながら前記プレフォームを硬化させる、
ことを含んで成る方法。
【請求項8】
前記前以て決めておいた温度閾値が180℃である請求項7記載の液状樹脂注入工程を用いた複合品製造方法。
【請求項9】
前記ベールの熱可塑性繊維がメルトフローインデックスが18から38の範囲である熱可塑性重合体で形成されている請求項7記載の液状樹脂注入工程を用いた複合品製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-06-07 
出願番号 特願2013-542037(P2013-542037)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (D04H)
P 1 651・ 121- YAA (D04H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平井 裕彰中村 勇介  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 蓮井 雅之
小野田 達志
登録日 2016-03-11 
登録番号 特許第5897593号(P5897593)
権利者 サイテク・テクノロジー・コーポレーシヨン
発明の名称 複合品製造用樹脂溶解性ベールおよびそれの製造方法  
代理人 特許業務法人小田島特許事務所  
代理人 特許業務法人小田島特許事務所  

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