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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1330727 |
審判番号 | 不服2016-4113 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-03-17 |
確定日 | 2017-07-24 |
事件の表示 | 特願2014-518510「複数の利用者にビデオデータストリームを提供するための方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月 3日国際公開、WO2013/002758、平成26年 9月 8日国内公表、特表2014-523179〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 経緯 1 経緯 本件出願は、2011年(平成23年)6月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年6月27日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成27年 3月 9日:拒絶理由の通知 平成27年 6月 9日:手続補正 平成27年11月17日:拒絶査定 平成27年11月19日:拒絶査定の謄本の送達 平成28年 3月17日:拒絶査定不服審判の請求 平成28年 3月17日:手続補正 2 査定の概要 原査定の理由は、概略、次のとおりである。 [査定の理由] (理由1) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (理由2) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2005-167397号公報 引用文献2:国際公開第2010/137860号 ・理由 1、2 ・請求項 1、2、4、6-8、11、13-15、18、22-24、27、28 ・引用文献 1 ・理由 2 ・請求項 3、5、9、10、12、16、17、19、25、26、28 ・引用文献 1 ・理由 2 ・請求項 20、21、30-34 ・引用文献 1,2 (記載不備については略) 第2 補正却下の決定 平成28年3月17日付けの手続補正について次のとおり決定する。 [補正却下の決定の結論] 平成28年3月17日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成28年3月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正である。 (下線は補正箇所を示す。) 補正前の請求項1?34 「 【請求項1】 複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するための方法であって、 1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームをサーバにおいて受信するステップと、 前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供するステップとを含み、前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記ユーザサブシステムに提供された後に、前記1人又は複数の利用者のそれぞれは、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し操作することができ、前記複数のユーザのうちの少なくとも1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、方法。 【請求項2】 前記1つ又は複数のビデオデータソースが、1つ又は複数の広角の光学系を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記1つ又は複数の広角の光学系の少なくとも1つが魚眼レンズを含む、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記1つ又は複数のビデオデータストリームが、前記複数の利用者それぞれの処理要求特性に従って前記1人又は複数の利用者のそれぞれにおいて操作される、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記1つ又は複数のビデオデータストリームがゲートウェイシステムから受信され、前記ゲートウェイシステムは前記1つ又は複数のビデオデータストリームを1つ又は複数のビデオデータソースから受信する、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記複数の利用者の少なくとも1人に送られる前記ビデオデータストリームのサイズを決定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。 【請求項7】 複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するための方法であって、 複数の利用者のうちの1人のユーザサブシステムにおいて、1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームをサーバから受信するステップを含み、前記1つ又は複数のビデオデータストリームは前記複数の利用者の他者のユーザサブシステムによって実質的に同時に受信されることが可能であり、前記1つ又は複数のビデオデータストリームは1つ又は複数のビデオデータソースから前記サーバにおいて最初に受信され、前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記複数の利用者のうちの前記1人のユーザサブシステムに提供された後に、前記複数の利用者のうちの前記一人は、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し操作することができ、前記複数のユーザのうちの少なくとも前記1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、 方法。 【請求項8】 前記受信した1つ又は複数のビデオデータストリームを、前記複数の利用者のうちの前記1人の処理要求特性に従って処理するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。 【請求項9】 前記1つ又は複数のビデオデータストリームがウェブページを使用して受信される、請求項8に記載の方法。 【請求項10】 前記受信した1つ又は複数のビデオデータストリームを処理する前記ステップが、前記ウェブページに含まれるコンピュータ可読コードを利用して実行される、請求項9に記載の方法。 【請求項11】 前記1つ又は複数のビデオデータソースの少なくとも1つが、広角の光学系を含む、請求項7に記載の方法。 【請求項12】 前記広角の光学系が魚眼レンズを含む、請求項11に記載の方法。 【請求項13】 複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するためのシステムであって、 1つ又は複数のビデオデータソースと、 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームを受信するサーバとを含み、前記サーバは更に実質的に同時に前記1つ又は複数のビデオデータストリームを1人又は複数の利用者のユーザサブシステムに提供し、前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記ユーザサブシステムに提供された後に、前記1人又は複数の利用者の少なくとも1人は、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し処理することが可能であり、前記利用者の少なくとも1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、システム。 【請求項14】 前記サーバが、 少なくとも1個のプロセッサと、 コンピュータ可読コードをその中に包含する少なくとも1つのコンピュータ使用可能媒体とを含み、前記コンピュータ可読コードは、前記少なくとも1個のプロセッサに 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる前記1つ又は複数のビデオデータストリームを受信させ、 1つ又は複数のビデオデータストリームを前記1人又は複数の利用者のユーザサブシステムに実質的に同時に提供させる、 請求項13に記載のシステム。 【請求項15】 前記コンピュータ可読コードが更に、前記1人又は複数の利用者のうちの1人のユーザサブシステムのシステム制約を満たすように、前記少なくとも1個のプロセッサに1つのビデオデータストリームを調節させる、請求項14に記載のシステム。 【請求項16】 前記少なくとも1つのビデオデータソースから前記少なくとも1つのビデオデータストリームを受信し、前記少なくとも1つのビデオデータストリームを前記サーバに提供するゲートウェイサブシステムを更に含む、請求項13に記載のシステム。 【請求項17】 前記ゲートウェイサブシステムが、 少なくとも1個のプロセッサと、 コンピュータ可読コードをその中に包含する少なくとも1つのコンピュータ使用可能媒体とを含み、前記コンピュータ可読コードは、前記少なくとも1個のプロセッサに 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる前記1つ又は複数のビデオデータストリームを受信させ、 前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバに提供させる、 請求項16に記載のシステム。 【請求項18】 前記1つ又は複数のビデオデータソースの少なくとも1つが、広角の光学系を含む、請 求項13に記載のシステム。 【請求項19】 前記広角の光学系が魚眼レンズを含む、請求項18に記載のシステム。 【請求項20】 前記1つ又は複数のビデオデータソースの少なくとも1つが、広角の光学サブシステムと狭視野光学サブシステムとを含む、請求項13に記載のシステム。 【請求項21】 前記広角の光学サブシステムが魚眼レンズを含む、請求項20に記載のシステム。 【請求項22】 複数の利用者による実質的に遠隔的な監視のためのシステムであって、 1つ又は複数のビデオデータソースと、 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームを受信するサーバと、 1つ又は複数のユーザサブシステムと を含み、 前記サーバが前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記1つ又は複数のユーザサブシステムに実質的に同時に提供し、前記1つ又は複数のユーザサブシステムの少なくとも1つが前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧/処理するための閲覧/処理コンポーネントを含み、前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記1つ又は複数のユーザサブシステムに提供された後に、前記1つ又は複数のユーザサブシステムは、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し処理することができ、前記1つ又は複数のユーザサブシステムのうちの少なくとも1つによって実施される前記処理は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、システム。 【請求項23】 前記サーバが、 少なくとも1個のプロセッサと、 コンピュータ可読コードをその中に包含する少なくとも1つのコンピュータ使用可能媒体とを含み、前記コンピュータ可読コードは、前記少なくとも1個のプロセッサに 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる前記1つ又は複数のビデオデータストリームを受信させ、 前記1つ又は複数のユーザサブシステムに対して1つ又は複数のビデオデータストリームを実質的に同時に提供させる、 請求項22に記載のシステム。 【請求項24】 前記コンピュータ可読コードが更に、前記1つ又は複数のユーザサブシステムのうちの1つのシステム制約を満たすように、前記少なくとも1個のプロセッサに1つのビデオデータストリームを調節させる、請求項23に記載のシステム。 【請求項25】 前記少なくとも1つのビデオデータソースから前記少なくとも1つのビデオデータストリームを受信し、前記少なくとも1つのビデオデータソースを前記サーバに提供するゲートウェイサブシステムを更に含む、請求項22に記載のシステム。 【請求項26】 前記ゲートウェイサブシステムが、 少なくとも1個のプロセッサと、 コンピュータ可読コードをその中に包含する少なくとも1つのコンピュータ使用可能媒体とを含み、前記コンピュータ可読コードは、前記少なくとも1個のプロセッサに 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる前記1つ又は複数のビデオデータストリームを受信させ、 前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバに提供させる、請求項25に記載のシステム。 【請求項27】 前記1つ又は複数のビデオデータソースの少なくとも1つが、広角の光学系を含む、請求項22に記載のシステム。 【請求項28】 前記広角の光学系が魚眼レンズを含む、請求項27に記載のシステム。 【請求項29】 前記1つ又は複数のユーザサブシステムの少なくとも1つのユーザサブシステムが、 少なくとも1個のプロセッサと、 コンピュータ可読コードをその中に包含する少なくとも1つのコンピュータ使用可能媒体とを含み、前記コンピュータ可読コードは、前記少なくとも1個のプロセッサに 前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧/処理させる、 請求項22に記載のシステム。 【請求項30】 前記1つ又は複数のビデオデータソースの少なくとも1つが、広角の光学サブシステムと少なくとも1つの狭視野光学サブシステムとを含む、請求項29に記載のシステム。 【請求項31】 前記広角の光学サブシステムが魚眼レンズを含む、請求項30に記載のシステム。 【請求項32】 前記少なくとも1つの狭視野光学サブシステムがパンチルトズーム(PTZ)光学サブシステムを含む、請求項30に記載のシステム。 【請求項33】 前記コンピュータ可読コードが更に、前記少なくとも1個のプロセッサに、 前記広角の光学サブシステムからのビデオデータから関心領域を更に選択させ、 前記関心領域に対応する、他のビデオデータを受信させる、 請求項30に記載のシステム。 【請求項34】 前記他のビデオデータが前記少なくとも1つの狭視野光学サブシステムから受信される、請求項33に記載のシステム。」 を、次のとおり補正後の請求項1?34に補正するものである。 「 【請求項1】 複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するための方法であって、 1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームをサーバにおいて受信するステップと、 前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供するステップとを含み、前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記ユーザサブシステムに提供された後に、前記1人又は複数の利用者のそれぞれは、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し操作することができ、前記サーバは前記1つ又は複数のビデオデータストリームを送信し、パン/チルト/ズームが前記ユーザサブシステムで実行され、前記複数のユーザのうちの少なくとも1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、画像のパン/チルト/ズーム、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、方法。 【請求項2】 前記1つ又は複数のビデオデータソースが、1つ又は複数の広角の光学系を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記1つ又は複数の広角の光学系の少なくとも1つが魚眼レンズを含む、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記1つ又は複数のビデオデータストリームが、前記複数の利用者それぞれの解析ツール及び管理設定の特性に従って前記1人又は複数の利用者のそれぞれにおいて操作される、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記1つ又は複数のビデオデータストリームがゲートウェイシステムから受信され、前記ゲートウェイシステムは前記1つ又は複数のビデオデータストリームを1つ又は複数のビデオデータソースから受信する、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記複数の利用者の少なくとも1人に送られる前記ビデオデータストリームのサイズを決定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。 【請求項7】 複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するための方法であって、 複数の利用者のうちの1人のユーザサブシステムにおいて、1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームをサーバから受信するステップを含み、前記1つ又は複数のビデオデータストリームは前記複数の利用者の他者のユーザサブシステムによって実質的に同時に受信されることが可能であり、前記1つ又は複数のビデオデータストリームは1つ又は複数のビデオデータソースから前記サーバにおいて最初に受信され、前記サーバは前記1つ又は複数のビデオデータストリームを送信し、パン/チルト/ズームが前記ユーザサブシステムで実行され、前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記複数の利用者のうちの前記1人のユーザサブシステムに提供された後に、前記複数の利用者のうちの前記一人は、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し操作することができ、前記複数のユーザのうちの少なくとも前記1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、画像のパン/チルト/ズーム、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、 方法。 【請求項8】 前記受信した1つ又は複数のビデオデータストリームを、前記複数の利用者のうちの前記1人の解析ツール及び管理設定の特性に従って処理するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。 【請求項9】 前記1つ又は複数のビデオデータストリームがウェブページを使用して受信される、請求項8に記載の方法。 【請求項10】 前記受信した1つ又は複数のビデオデータストリームを処理する前記ステップが、前記ウェブページに含まれるコンピュータ可読コードを利用して実行される、請求項9に記載の方法。 【請求項11】 前記1つ又は複数のビデオデータソースの少なくとも1つが、広角の光学系を含む、請求項7に記載の方法。 【請求項12】 前記広角の光学系が魚眼レンズを含む、請求項11に記載の方法。 【請求項13】 複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するためのシステムであって、 1つ又は複数のビデオデータソースと、 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームを受信するサーバとを含み、前記サーバは更に実質的に同時に前記1つ又は複数のビデオデータストリームを1人又は複数の利用者のユーザサブシステムに提供し、前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記ユーザサブシステムに提供された後に、前記1人又は複数の利用者の少なくとも1人は、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し処理することが可能であり、前記サーバは前記1つ又は複数のビデオデータストリームを送信し、パン/チルト/ズームが前記ユーザサブシステムで実行され、前記利用者の少なくとも1人によって実施される前記処理は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、画像のパン/チルト/ズーム、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、システム。 【請求項14】 前記サーバが、 少なくとも1個のプロセッサと、 コンピュータ可読コードをその中に包含する少なくとも1つのコンピュータ使用可能媒体とを含み、前記コンピュータ可読コードは、前記少なくとも1個のプロセッサに 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる前記1つ又は複数のビデオデータストリームを受信させ、 1つ又は複数のビデオデータストリームを前記1人又は複数の利用者のユーザサブシステムに実質的に同時に提供させる、 請求項13に記載のシステム。 【請求項15】 前記コンピュータ可読コードが更に、前記1人又は複数の利用者のうちの1人のユーザサブシステムのシステム制約を満たすように、前記少なくとも1個のプロセッサに1つのビデオデータストリームを調節させる、請求項14に記載のシステム。 【請求項16】 前記少なくとも1つのビデオデータソースから前記少なくとも1つのビデオデータストリームを受信し、前記少なくとも1つのビデオデータストリームを前記サーバに提供するゲートウェイサブシステムを更に含む、請求項13に記載のシステム。 【請求項17】 前記ゲートウェイサブシステムが、 少なくとも1個のプロセッサと、 コンピュータ可読コードをその中に包含する少なくとも1つのコンピュータ使用可能媒体とを含み、前記コンピュータ可読コードは、前記少なくとも1個のプロセッサに 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる前記1つ又は複数のビデオデータストリームを受信させ、 前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバに提供させる、 請求項16に記載のシステム。 【請求項18】 前記1つ又は複数のビデオデータソースの少なくとも1つが、広角の光学系を含む、請求項13に記載のシステム。 【請求項19】 前記広角の光学系が魚眼レンズを含む、請求項18に記載のシステム。 【請求項20】 前記1つ又は複数のビデオデータソースの少なくとも1つが、広角の光学サブシステムと狭視野光学サブシステムとを含む、請求項13に記載のシステム。 【請求項21】 前記広角の光学サブシステムが魚眼レンズを含む、請求項20に記載のシステム。 【請求項22】 複数の利用者による実質的に遠隔的な監視のためのシステムであって、 1つ又は複数のビデオデータソースと、 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームを受信するサーバと、 1つ又は複数のユーザサブシステムと を含み、 前記サーバが前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記1つ又は複数のユーザサブシステムに実質的に同時に提供し、前記1つ又は複数のユーザサブシステムの少なくとも1つが前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧/処理するための閲覧/処理コンポーネントを含み、前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記1つ又は複数のユーザサブシステムに提供された後に、前記1つ又は複数のユーザサブシステムは、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し処理することができ、前記サーバは前記1つ又は複数のビデオデータストリームを送信し、パン/チルト/ズームが前記ユーザサブシステムで実行され、前記1つ又は複数のユーザサブシステムのうちの少なくとも1つによって実施される前記処理は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、画像のパン/チルト/ズーム、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、システム。 【請求項23】 前記サーバが、 少なくとも1個のプロセッサと、 コンピュータ可読コードをその中に包含する少なくとも1つのコンピュータ使用可能媒体とを含み、前記コンピュータ可読コードは、前記少なくとも1個のプロセッサに 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる前記1つ又は複数のビデオデータストリームを受信させ、 前記1つ又は複数のユーザサブシステムに対して1つ又は複数のビデオデータストリームを実質的に同時に提供させる、 請求項22に記載のシステム。 【請求項24】 前記コンピュータ可読コードが更に、前記1つ又は複数のユーザサブシステムのうちの1つのシステム制約を満たすように、前記少なくとも1個のプロセッサに1つのビデオデータストリームを調節させる、請求項23に記載のシステム。 【請求項25】 前記少なくとも1つのビデオデータソースから前記少なくとも1つのビデオデータストリームを受信し、前記少なくとも1つのビデオデータソースを前記サーバに提供するゲートウェイサブシステムを更に含む、請求項22に記載のシステム。 【請求項26】 前記ゲートウェイサブシステムが、 少なくとも1個のプロセッサと、 コンピュータ可読コードをその中に包含する少なくとも1つのコンピュータ使用可能媒体とを含み、前記コンピュータ可読コードは、前記少なくとも1個のプロセッサに 前記1つ又は複数のビデオデータソースから生じる前記1つ又は複数のビデオデータストリームを受信させ、 前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバに提供させる、請求項25に記載のシステム。 【請求項27】 前記1つ又は複数のビデオデータソースの少なくとも1つが、広角の光学系を含む、請求項22に記載のシステム。 【請求項28】 前記広角の光学系が魚眼レンズを含む、請求項27に記載のシステム。 【請求項29】 前記1つ又は複数のユーザサブシステムの少なくとも1つのユーザサブシステムが、 少なくとも1個のプロセッサと、 コンピュータ可読コードをその中に包含する少なくとも1つのコンピュータ使用可能媒体とを含み、前記コンピュータ可読コードは、前記少なくとも1個のプロセッサに 前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧/処理させる、 請求項22に記載のシステム。 【請求項30】 前記1つ又は複数のビデオデータソースの少なくとも1つが、広角の光学サブシステムと少なくとも1つの狭視野光学サブシステムとを含む、請求項29に記載のシステム。 【請求項31】 前記広角の光学サブシステムが魚眼レンズを含む、請求項30に記載のシステム。 【請求項32】 前記少なくとも1つの狭視野光学サブシステムがパンチルトズーム(PTZ)光学サブシステムを含む、請求項30に記載のシステム。 【請求項33】 前記コンピュータ可読コードが更に、前記少なくとも1個のプロセッサに、 前記広角の光学サブシステムからのビデオデータから関心領域を更に選択させ、 前記関心領域に対応する、他のビデオデータを受信させる、 請求項30に記載のシステム。 【請求項34】 前記他のビデオデータが前記少なくとも1つの狭視野光学サブシステムから受信される、請求項33に記載のシステム。」 2 補正の適合性 (1)新規事項、発明の特別な技術的特徴の変更、補正の目的 本件補正は、補正前の請求項1、7、13、22において 「前記サーバは前記1つ又は複数のビデオデータストリームを送信し、パン/チルト/ズームが前記ユーザサブシステムで実行され、」を追加し、 補正前の請求項1、7の「操作」に「画像のパン/チルト/ズーム」を追加し、 補正前の請求項13、22の「処理」に「画像のパン/チルト/ズーム」を追加するものである。 また、本件補正は、補正前の請求項13において、「前記操作」を「前記処理」とするものである。 さらに、本件補正は、補正前の請求項4、8の「処理要求特性」を「解析ツール及び管理設定の特性」とするものである。 本件補正は、願書に最初添付した明細書の段落【0032】、【0033】、【0037】等に記載されており、本件補正は、願書に最初添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ものであり、新たな技術事項を導入するものでなく、特許請求の範囲を減縮を目的とするものである。 (2)独立特許要件 上記のとおり本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを、以下に検討する。 (3)補正発明 補正後の請求項1?34に係る発明のうち請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「補正発明」という。)。 (補正発明) 「(A)複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するための方法であって、 (B)1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームをサーバにおいて受信するステップと、 (C)前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供するステップとを含み、 (D)前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記ユーザサブシステムに提供された後に、前記1人又は複数の利用者のそれぞれは、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し操作することができ、 (E)前記サーバは前記1つ又は複数のビデオデータストリームを送信し、 (F)パン/チルト/ズームが前記ユーザサブシステムで実行され、 (G)前記複数のユーザのうちの少なくとも1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、画像のパン/チルト/ズーム、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、 (H)方法。」 ((A)?(G)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。) (4)引用文献1の記載及び引用文献1に記載された発明 ア 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-167397号公報(上記引用文献1、以下「引用文献1」という。)には、「サーバ装置及びその制御方法及び記憶媒体」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は全方位カメラを用いた映像通信技術に関するものである。 【背景技術】 【0002】 ビデオカメラの映像を遠隔地の多地点から観察できるシステムにおいて、単にカメラ映像を観察するだけでなくカメラのパン・チルト角度やズーム倍率を遠隔制御可能にしたものがある。例えば、インターネット上のWWW(World Wide Web)のサーバにコンピュータ制御可能なカメラを接続し、カメラから撮影したリアルタイム映像をアクセス者に配送するだけでなく、そのカメラの制御も許すようなシステムが開発されている。このようなシステムにおいては、パン・チルトで方向を変える機能を有するカメラあるいは雲台を使用している。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 物理的に制御可能なカメラでインターネット経由で多人数に画像を配送する場合、カメラ制御できるのは同時には一人だけであり、複数人で同時に制御することはできなかった。それを解決するために全方位カメラを用いた映像通信システムがある。しかし全方位カメラは同時に360°パノラマ方向を撮影し、操作者の見たい部分以外の映像も取り込む。そのため、通常、クライアントに映像を配送する場合、全映像を送るか、操作者の見たい部分だけを切り取って送ることになる。 【0005】 全映像を送る場合、送信データ量の増大を招き、また、操作者の見たい部分だけ切り取る場合は多数の操作者が同時にアクセスした場合は操作者毎に切り取る部分を計算するため膨大な計算量が発生し処理時間がかかる。 【0006】 従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、全方位カメラを用いた映像通信システムを多人数で使用する場合に、送信データ量の増大や計算量の増大を防止することである。」 「【0023】 本実施形態では以下のようにして従来の問題の解決を図る。 (1)全方位カメラで撮影された映像を一定の角度で分割する。 (2)分割された映像を別々のストリームで配信する。 【0024】 (1)の画像分割は方角別の決まった単純な形状で行うことによって計算を簡単にし、また、操作者毎に対して切り出し画像の計算を行わないことにより計算量を大幅に軽減出来る。また、(2)の配信方法により全方位映像をそのまま送る場合に比べてデータ量を大幅に軽減できる。ストリーム毎に映像サーバを立ち上げた場合には角度別にサーバの負荷が分散される。例えば100人のユーザが同時にアクセスした場合、それぞれ見る方向が均等に分散されると各サーバに負荷が均等に分散される。 【0025】 本実施形態は、サーバ側で全方位カメラから映像を取り込み、ネットワークを経由してクライアントであたかもカメラ制御操作を行ったかのような映像を表示するシステムである。 【0026】 以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係わる映像通信システムについて詳細に説明する。 【0027】 図1は本実施形態の映像通信システムの構成を示すブロック図である。 【0028】 図1において、1-1はサーバ装置であり、1-2,1-3,1-4は表示操作装置であり、これらはネットワーク1-5によってサーバ装置1-1に接続されている。サーバ装置1-1には,全方位カメラ1-11が接続されており、全方位カメラ1-11(撮像装置)で撮影した映像(動画あるいは静止画)をネットワーク1-5を経由して表示操作装置1-2,1-3,1-4などで見ることができる。また、表示操作装置1-2,1-3,1-4からは、全方位カメラ1-11の表示範囲の変更操作などが可能である。ネットワーク上にサーバ装置、表示操作装置はいくつあっても構わないが、本実施形態では説明の便宜のために各々1台ずつ(サーバ装置1-1と表示操作装置1-2)と仮定する。」 「【0032】 なお、本実施形態では、全方位カメラの映像に対してパン、チルト、ズーム操作を可能にするものとする。例えば、全方位カメラの画像は図10-(a)のような形で得られるが、ここから10-1のような扇型の範囲を切り出し、幾何変換して矩形に変形する。すると、実際は10-2のような画像を見ていることになる。扇型の切り出し範囲を変更することで、仮想的な(電子的な)パン、チルト、ズーム操作が可能となる。なお、10-(a)の画像を10-(b)に変換した画像では当然ながら円周内側の解像度が外側よりも低くなる。つまり10(b)では、画像の上側が下側よりも解像度が高くなる。しかし、撮影時の解像度が幾何変換後に得られる画像の解像度よりも十分高ければ問題にはならない。この点に関しては、本実施形態では扱わない。 【0033】 本実施形態は全方位画像を分割して配信するところに特徴を持つ。 【0034】 クライアントはサーバより必要とする視野角の分割映像のストリームを受信する。それは1つの分割映像の場合もあるし、複数の分割映像になる場合もある。」 「【0051】 次に表示操作装置1-2について述べる。 【0052】 表示操作装置1-2は、任意のサーバ装置1-1にカメラサーバ装置毎に有しているIPアドレスを指定して接続し、サーバ装置1-1から配送されてきた圧縮映像データを、通信制御部1-21を通じて受信し、映像伸長部1-25で伸長し、必要に応じて映像切り出し処理部1-26で映像の切り出し・幾何変換処理を行い、映像表示部1-27で表示する。また、ユーザインタフェース(GUI)操作によりカメラ制御や画像蓄積保存操作、等ができるようになっている。これらの画面表示・操作の制御は表示制御部1-24が行っているものとする。 【0053】 映像表示部1-27には、ビットマップデスプレイが含まれており、図3のような画面を構成できるWindows(登録商標)やX-Window等の、何らかのウィンドウシステムがカメラクライアント装置1-2上で稼働しており、図3のようなユーザインタフェース画面が表示されているものとする。図3において、3-1は映像が表示される映像表示パネル、3-2はカメラ操作のためのカメラ制御パネルであり、スクロールバー3-22、3-23の操作で、それぞれカメラのパン、チルトを制御できるようになっている。またボタン3-24?3-27でもカメラのパン、チルト制御が可能である。スクロールバー3-28ではズーム操作ができる。なお、表示操作装置におけるパン、チルト操作は画像の切り出し範囲の変更になる。ズーム操作でも同様である。」 イ 引用文献1に記載された発明 引用文献1には、「全方位カメラを用いた映像通信技術に関するもの」(段落【0001】)が記載されている。 背景技術としての「ビデオカメラの映像を遠隔地の多地点から観察できるシステム」(段落【0002】)である「全方位カメラを用いた映像通信システム」においては、「全方位カメラは同時に360°パノラマ方向を撮影し、操作者の見たい部分以外の映像も取り込」み、「クライアントに映像を配送する場合、全映像を送るか、操作者の見たい部分だけを切り取って送る」(段落【0004】)。 しかしながら、「全映像を送る場合、送信データ量の増大を招き、また、操作者の見たい部分だけ切り取る場合は多数の操作者が同時にアクセスした場合は操作者毎に切り取る部分を計算するため膨大な計算量が発生し処理時間がかかる」(段落【0005】)という課題があり、この課題の解決を図るため、実施形態においては、「全方位カメラで撮影された映像を一定の角度で分割」し、「分割された映像を別々のストリームで配信する」(段落【0023】)。 引用文献1に記載された「映像通信システム」は、全方位カメラが接続されたサーバ装置と、ネットワークによりサーバ装置に接続された複数の表示操作装置から構成され、表示操作装置からは、全方位カメラの表示範囲の変更操作が可能である(段落【0028】)。 「表示操作装置」は、「サーバ装置」「から配送されてきた圧縮映像データを」「受信し、」「伸長し、」「必要に応じて」「映像の切り出し・幾何変換処理を行い、」「表示する」(段落【0052】)。「配送されてきた圧縮映像データ」は、「全方位画像を分割した映像のストリーム」である(段落【0032】、【0033】) 「表示操作装置におけるパン、チルト操作」「、ズーム操作」「は画像の切り出し範囲の変更になる」(段落【0053】)。 引用文献1に記載された「サーバ装置」、「表示操作装置」の動作を方法の発明として認定する。 〈方法〉 「表示操作装置」は複数あり(段落【0028】)、「ビデオカメラの映像を遠隔地の多地点から観察できるシステム」(段落【0002】)に含まれるものであるから、「サーバ装置」、「表示操作装置」の動作は、『複数の表示操作装置により遠隔地から観察するための方法』といえる。 〈全方位カメラ、サーバ装置〉 「同時に360°パノラマ方向を撮影」する「全方位カメラ」(段落【0004】)が「サーバ装置」に接続され(段落【0028】)ているから、『全方位カメラからのビデオストリームをサーバ装置において受信するステップ』を含むといえる。 〈サーバ装置の配信〉 サーバ装置は、全方位カメラで撮影された映像を一定の角度で分割し、分割した映像をストリームで配信する(段落【0023】、【0034】)から、『サーバ装置において、全方位カメラで撮影された映像を一定の角度で分割し、ストリームとして複数の表示操作装置に提供するステップ』を含むといえる。 〈パン、チルト、ズーム操作〉 表示操作装置におけるパン、チルト、ズーム操作は画像の切り出し範囲の変更である。 以上まとめると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。この発明を以下「引用発明」という。 (引用発明) 「(a)複数の表示操作装置により遠隔地から観察するための方法であって、 (b) 全方位カメラからのビデオストリームをサーバ装置において受信するステップと、 (c)サーバ装置において、全方位カメラで撮影された映像を一定の角度で分割し、ストリームとして複数の表示操作装置に提供するステップとを含み、 (d)表示操作装置におけるパン、チルト、ズーム操作は画像の切り出し範囲の変更である、 (e)方法。」 ((a)?(e)は、引用発明の構成を区別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。) (5)対比 ア 補正後発明と引用発明との対比 補正後発明と引用発明とを対比する。 (ア)構成要件Bと構成bとを対比する。 引用発明における「全方位カメラ」、「サーバ装置」は、それぞれ、補正発明の「ビデオデータソース」、「サーバ」に相当する。 補正発明の「1つ又は複数」は択一的記載であって、「1つ」であることを含むから、補正発明と引用発明とは、「1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームをサーバにおいて受信するステップ」を含む点で一致する。 (イ)構成要件Cと構成cとを対比する。 引用発明における「表示操作装置」は、補正発明における「ユーザサブシステム」に相当し、引用発明における「複数の表示操作装置」は「複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステム」に相当する。 「全方位カメラで撮影された映像を一定の角度で分割し、ストリームとして複数の表示操作装置に提供する」ことは、「ビデオストリームを前記サーバから複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに」「提供する」ことといえる。そして、引用発明は、引用文献1の背景技術に記載されているカメラをパン・チルト角度を遠隔制御するような、複数人で同時に制御することができないものではないから、「実質的に同時に」提供するものといえる。 また、補正発明の「1つ又は複数」は択一的な記載であるから、「1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供する」ともいえる。 したがって、補正発明と引用発明とは、「1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供するステップ」を含む点で共通する。 しかしながら、「1つ又は複数のビデオデータストリーム」が、補正発明においては「前記1つ又は複数のビデオデータストリーム」(すなわち、「1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリーム」)であるのに対し、引用発明においては「撮影された映像を一定の角度で分割した」ストリームである点で相違する。 (ウ)構成要件Dと構成dとを対比する。 引用発明においては、「表示操作装置におけるパン、チルト、ズーム操作は画像の切り出し範囲の変更である」。「画像の切り出し範囲の変更」は、「前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記ユーザサブシステムに提供された後に」行われるものと認められ、さらに、「画像の切り出し範囲の変更」は、利用者が、「ユーザサブシステム」に相当する「表示操作装置」を介して、「ビデオデータソース」に相当する「全方位カメラ」にアクセスすることはなく、「ビデオデータストリームを閲覧し操作することができ」るといえる。 したがって、補正発明と引用発明とは、「前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記ユーザサブシステムに提供された後に、前記1人又は複数の利用者のそれぞれは、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し操作することができ」る点で一致する。 (エ)構成要件Eと構成cとを対比する。 上記(イ)のとおり、補正発明と引用発明とは、「1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供するステップ」を含む点で共通するから、補正発明と引用発明とは、「前記サーバは1つ又は複数のビデオデータストリームを送信」する点で共通する。 しかしながら、「1つ又は複数のビデオデータストリーム」が、補正発明においては「前記1つ又は複数のビデオデータストリーム」であるのに対し、引用発明においては「撮影された映像を一定の角度で分割した」ストリームである点で相違する。 (オ)構成要件Fと構成dとを対比する。 引用発明においては、「表示操作装置におけるパン、チルト、ズーム操作は画像の切り出し範囲の変更であ」り、引用発明の「表示操作装置」は、補正発明の「ユーザサブシステム」に相当するから、「パン/チルト/ズームが前記ユーザサブシステムで実行され」るといえる。 したがって、補正発明と引用発明とは、「パン/チルト/ズームが前記ユーザサブシステムで実行され」る点で、一致する。 (カ)構成要件Gと構成dとを対比する。 引用発明は、「パン、チルト、ズーム操作」をするものであるから、「前記複数のユーザのうちの少なくとも1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、画像のパン/チルト/ズーム、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む」点で、補正発明と一致する。 (キ)構成A、Hと構成a、eとを対比する。 引用発明は、「複数の表示操作装置により遠隔地から観察するための方法」であり、上記(イ)のとおり、ビデオデータストリームが「実施的に同時に」提供されるから、「複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するための方法」といえる。 したがって、補正発明と引用発明とは、「複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するための方法」として一致する。 イ 一致点、相違点 以上より、一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するための方法であって、 1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームをサーバにおいて受信するステップと、 1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供するステップとを含み、 前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記ユーザサブシステムに提供された後に、前記1人又は複数の利用者のそれぞれは、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し操作することができ、 前記サーバは1つ又は複数のビデオデータストリームを送信し、 パン/チルト/ズームが前記ユーザサブシステムで実行され、 前記複数のユーザのうちの少なくとも1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、画像のパン/チルト/ズーム、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、 方法。 (相違点) 「1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供するステップ」及び「前記サーバは1つ又は複数のビデオデータストリームを送信し」における「1つ又は複数のビデオデータストリーム」が、 補正発明においては、「前記」1つ又は複数のビデオデータストリーム(すなわち、「1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリーム」)であるのに対し、 引用発明においては、「撮影された映像を一定の角度で分割した」ストリームである点 (下線は、強調のため当審で付与した。) (6)相違点の判断等 引用発明は、「サーバ装置において、全方位カメラで撮影された映像を一定の角度で分割し、ストリームとして複数の表示操作装置に提供する」ものである。 一方、補正発明は、全方位カメラで撮影された映像を一定の角度で分割するものではなく、全方位カメラで撮影された映像をそのまま配信するものである。 引用文献1の段落【0004】には、背景技術として、全方位カメラで撮影された全映像を送信することが記載されている。 さらに、引用文献1の段落【0005】には、全映像を送る場合、送信データ量の増大を招くことが記載されている。 しかしながら、回線の容量が十分に大きい場合には、送信データ量の増大が問題とならないことは普通に想定でき、そのような場合に、全画像を送るようにすることは当業者が容易に着想することである。 そうすると、引用発明において、全画像を送るようにし、ビデオデータソースから生じるビデオデータストリームをユーザサブシステムに送るようにすることは当業者が容易になし得ることである。 したがって、引用発明において、「前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供する」ようにし、「前記サーバは前記1つ又は複数のビデオデータストリームを送信」することは、当業者が容易になし得ることである。 そして、補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。 したがって、補正発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反している。 3 まとめ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成28年3月17日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?34に係る発明は、平成27年6月9日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?34に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「本願発明」という。)。 (本願発明) 「(A)複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するための方法であって、 (B)1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームをサーバにおいて受信するステップと、 (C)前記1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供するステップとを含み、 (D)前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記ユーザサブシステムに提供された後に、前記1人又は複数の利用者のそれぞれは、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し操作することができ、(G’)前記複数のユーザのうちの少なくとも1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、 (H)方法。」 ((A)?(H)は、当審で付与した。補正発明と同じ構成要件は同じ記号とし、異なる構成要件の記号には「’」を付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。) 2 引用発明 引用文献1は、上記第2の2(4)アの引用文献1と同じであり、引用発明は、上記第2の2(4)イを援用する。 3 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)本願発明と補正発明とは、構成要件G’以外の構成要件は、構成要件A?D、H同じであるから、上記第2の2(5)ア(ア)?(ウ)、(キ)を援用する。 (2)構成要件G’と構成dとを対比する。 引用発明は、「パン、チルト、ズーム操作」をするものであって、「パン、チルト、ズーム操作」によって、「関心領域の選択」がなされることは明らかであるから、「前記複数のユーザのうちの少なくとも1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む」点で、本願発明と一致する。 (3)以上より、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 複数の利用者により実質的に同時に遠隔監視するための方法であって、 1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリームをサーバにおいて受信するステップと、 1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供するステップとを含み、前記1つ又は複数のビデオデータストリームが前記ユーザサブシステムに提供された後に、前記1人又は複数の利用者のそれぞれは、前記ユーザサブシステムを介して、前記ビデオデータソースにアクセスすることなく、前記1つ又は複数のビデオデータストリームを閲覧し操作することができ、前記複数のユーザのうちの少なくとも1人によって実施される前記操作は、プライバシー領域の選択、移動オブジェクトの追跡、関心領域の選択、画像修正、又は警告トリガのうちの少なくとも1つを含む、方法。 (相違点) 「1つ又は複数のビデオデータストリームを前記サーバから1人又は複数の利用者のそれぞれのユーザサブシステムに実質的に同時に提供するステップ」における「1つ又は複数のビデオデータストリーム」が、 補正発明においては、「前記」1つ又は複数のビデオデータストリーム(すなわち、「1つ又は複数のビデオデータソースから生じる1つ又は複数のビデオデータストリーム」)であるのに対し、 引用発明においては、「撮影された映像を一定の角度で分割した」ストリームである点 4 相違点の判断 上記相違点は、上記第2の2(5)イの相違点から、本願発明にはない構成要件Eの部分を削除したものあるので、当該部分を除き、上記第2の2(6)の判断を援用する。 したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、請求項2?34に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-02-28 |
結審通知日 | 2017-03-01 |
審決日 | 2017-03-14 |
出願番号 | 特願2014-518510(P2014-518510) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N) P 1 8・ 121- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鍬 利孝、福西 章人 |
特許庁審判長 |
藤井 浩 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 渡邊 聡 |
発明の名称 | 複数の利用者にビデオデータストリームを提供するための方法及びシステム |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 大貫 敏史 |
代理人 | 江口 昭彦 |