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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F24C
審判 全部申し立て 特29条の2  F24C
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F24C
審判 全部申し立て 2項進歩性  F24C
管理番号 1331168
異議申立番号 異議2016-700220  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-03-15 
確定日 2017-06-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5778694号発明「ガラス-セラミックス板を含むディスプレイ組立体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5778694号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-18〕について」)訂正することを認める。 特許第5778694号の請求項1?3、5?18に係る特許を維持する。 特許第5778694号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立を却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5778694号の請求項1?18に係る特許についての出願は、2010年11月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年1月21日 フランス)を国際出願日とする出願であって、平成27年7月17日に特許の設定登録がされ、その後、特許異議申立人ショット アクチェンゲゼルシャフトより特許異議の申立がなされ、当審において平成28年5月24日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年8月24日に意見書の提出及び訂正の請求がされ、当審において平成28年9月21日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である平成28年12月26日に意見書の提出及び訂正の請求がされ、これに対して特許異議申立人が平成29年2月24日に意見書を提出し、その後、当審において平成29年3月24日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成29年5月18日に手続補正書及び意見書の提出がされたものである。
なお、平成28年8月24日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、平成28年12月26日の訂正の請求によって取り下げられたものとみなされる。

第2 平成29年5月18日の補正の適否についての判断
1.補正の内容
平成29年5月18日の補正は、平成28年12月26日の訂正請求書を補正するものであって、そのうち、「7.請求の理由」「(2)訂正事項」に係る補正は以下のとおりである。

(補正事項1)
オ.に「特許請求の範囲の請求項4を、冒頭に次の記載を追加するように訂正する。
「一方に、4mmの厚さの場合の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で0.2%と4%との間であるリチウム-アルミノケイ酸塩タイプのガラス-セラミックス板2を、他方に、発光デバイス4を含むディスプレイ組立体1であって、
前記発光デバイス4が、400nmおよび500nmの間の前記波長でゼロでない強度の少なくとも第1の発光と、500nmよりも大きな波長の少なくとも第2の発光とを有する少なくとも1つの多色光源5を含み、
前記光源5の位置が前記ガラス-セラミックス板2を通して表示されるように設計されており、」」とあるのを、「特許請求の範囲の請求項4を削除する。」に、カ.に「特許請求の範囲の請求項4に、「次の成分・・・・・・を含む」と記載されているのを、次のように訂正する。
「次の成分・・・・・・を含み、
前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図において、
(b)前記多色光源の色座標と白色点の前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標との間の距離が0.173以上である、
ように選択されている、」」とあるのを、「(削除)」に、さらにキ.に「特許請求の範囲の請求項4に、「・・・・・・ことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。」と記載されているのを、「・・・・・・ことを特徴とするディスプレイ組立体1。」に訂正する。」とあるのを、「(削除)」に補正する。
(補正事項2)
ク.に「特許請求の範囲の請求項5の「、好ましくは0.001重量%を超えない量のアンチモンおよびヒ素を含有すること、さらに好ましくはアンチモンおよびヒ素を含有しないこと」との記載を削除する。 」とあるのを、「特許請求の範囲の請求項5の「、好ましくは0.001重量%を超えない量のアンチモンおよびヒ素を含有すること、さらに好ましくはアンチモンおよびヒ素を含有しないこと」との記載を削除するとともに、「請求項1?4のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3のいずれか1項に記載の」に訂正する。」に補正する。
(補正事項3)
ケ.に「特許請求の範囲の請求項12の「、好ましくは0.0075%以下、さらに0.006%以下」との記載を削除する。」とあるのを、「特許請求の範囲の請求項12の「、好ましくは0.0075%以下、さらに0.006%以下」との記載を削除するとともに、「請求項1?11のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5?11のいずれか1項に記載の」に訂正する。」に補正する。
(補正事項4)
コ.に「特許請求の範囲の請求項13の「、好ましくは0.045%以下、さらに0.025%以下」との記載を削除する。」とあるのを、「特許請求の範囲の請求項13の「、好ましくは0.045%以下、さらに0.025%以下」との記載を削除するとともに、「請求項1?12のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5?12のいずれか1項に記載の」に訂正する。」に補正する。
(補正事項5)
サ.に「特許請求の範囲の請求項15に「430nmと470nm、好ましくは450nmとの間の第1の発光ピークおよび540nmと、560nm、好ましくは555nmとの間の第2のピーク」とあるのを、「430nmと470nmとの間の第1の発光ピークおよび540nmと560nmとの間の第2のピーク」と訂正する。」とあるのを、「特許請求の範囲の請求項15に「430nmと470nm、好ましくは450nmとの間の第1の発光ピークおよび540nmと、560nm、好ましくは555nmとの間の第2のピーク」とあるのを、「430nmと470nmとの間の第1の発光ピークおよび540nmと560nmとの間の第2のピーク」と訂正するとともに、「請求項1?14のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5?14のいずれか1項に記載の」に訂正する。」に補正する。
(補正事項6)
シ.に「特許請求の範囲の請求項18の「、たとえば放射もしくはハロゲン加熱要素または誘導加熱要素」との記載を削除する。 」とあるのを、「特許請求の範囲の請求項18の「、たとえば放射もしくはハロゲン加熱要素または誘導加熱要素」との記載を削除するとともに、「請求項1?16のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5?16のいずれか1項に記載の」に訂正する。」に補正する。
(補正事項7)
6頁13行(空行を数えない。以下同じ。)の後に、
「ス.訂正事項13
特許請求の範囲の請求項6の「請求項1?5のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5のいずれか1項に記載の」に訂正する。
セ.訂正事項14
特許請求の範囲の請求項7の「請求項1?6のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5、6のいずれか1項に記載の」に訂正する。
ソ.訂正事項15
特許請求の範囲の請求項8の「請求項1?7のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5?7のいずれか1項に記載の」に訂正する。
タ.訂正事項16
特許請求の範囲の請求項9の「請求項1?8のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5?8のいずれか1項に記載の」に訂正する。
チ.訂正事項17
特許請求の範囲の請求項10の「請求項1?9のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5?9のいずれか1項に記載の」に訂正する。
ツ.訂正事項18
特許請求の範囲の請求項11の「請求項1?10のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5?10のいずれか1項に記載の」に訂正する。
テ.訂正事項19
特許請求の範囲の請求項14の「請求項1?13のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5?13のいずれか1項に記載の」に訂正する。」
ト.訂正事項20
特許請求の範囲の請求項17の「請求項1?16のいずれか1項に記載の」との記載を「請求項1?3、5?16のいずれか1項に記載の」に訂正する。」を追加する。

2.補正の適否
補正事項1は、請求項4に係る訂正事項を当該請求項4の削除という訂正事項に変更する補正であり、補正事項2?7は、補正事項1に整合させるための補正であるから、平成28年12月26日の訂正請求書の要旨を変更しないものである。

3.むすび
したがって、平成29年5月18日の補正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項の規定に適合するので、平成28年12月26日の訂正請求書についての補正を認める。


第3 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成29年5月18日の補正は認められたので、補正後の平成28年12月26日の訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正」という。)は、「特許第5778694号の特許請求の範囲を、本請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?18について訂正することを求める。」ものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。

(訂正事項1)
特許請求の範囲の請求項1に「表示されるように設計されている」とあるのを、「表示されるように設計されており、
前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されている、」に訂正する。
(訂正事項2)
特許請求の範囲の請求項3について、冒頭に、「一方に、4mmの厚さの場合の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で0.2%と4%との間であるリチウム-アルミノケイ酸塩タイプのガラス-セラミックス板2を、他方に、発光デバイス4を含むディスプレイ組立体1であって、
前記発光デバイス4が、400nmおよび500nmの間の前記波長でゼロでない強度の少なくとも第1の発光と、500nmよりも大きな波長の少なくとも第2の発光とを有する少なくとも1つの多色光源5を含み、
前記光源5の位置が前記ガラス-セラミックス板2を通して表示されるように設計されており、
前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されていて、」を追加し、「を含む」とあるのを、「を含み、
前記発行デバイス4は、CIE 1931色相図において、
(a)前記多色光源の色座標と白色点の色座標との間の距離が0.167以上であり、及び/又は、
(b)前記多色光源の色座標と前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標との間の距離が0.173以上である、
ように選択されている、」に訂正し、さらに「ことを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ組立体1」とあるのを、「ことを特徴とするディスプレイ組立体1」に訂正する。
(訂正事項3)
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(訂正事項4)
特許請求の範囲の請求項5に「、好ましくは0.001重量%を超えない量のアンチモンおよびヒ素を含有すること、さらに好ましくはアンチモンおよびヒ素を含有しないこと」とあるのを削除し、「請求項1?4のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項5)
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項6)
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1?6のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5、6のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項7)
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1?7のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5?7のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項8)
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1?8のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5?8のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項9)
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1?9のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5?9のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項10)
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1?10のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5?10のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項11)
特許請求の範囲の請求項12に「、好ましくは0.0075%以下、さらに0.006%以下」とあるのを削除し、「請求項1?11のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5?11のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項12)
特許請求の範囲の請求項13に「、好ましくは0.045%以下、さらに0.025%以下」とあるのを削除し、「請求項1?12のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5?12のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項13)
特許請求の範囲の請求項14に「請求項1?13のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5?13のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項14)
特許請求の範囲の請求項15に「430nmと470nm、好ましくは450nmとの間の第1の発光ピークおよび540nmと、560nm、好ましくは555nmとの間の第2のピーク」とあるのを、「430nmと470nmとの間の第1の発光ピークおよび540nmと560nmとの間の第2のピーク」に訂正し、「請求項1?14のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5?14のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項15)
特許請求の範囲の請求項17に「請求項1?16のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5?16のいずれか1項に記載の」に訂正する。
(訂正事項16)
特許請求の範囲の請求項18に「、たとえば放射もしくはハロゲン加熱要素または誘導加熱要素」とあるのを削除し、「請求項1?16のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1?3、5?16のいずれか1項に記載の」に訂正する。

2.訂正の適否
(1)訂正の目的
(訂正事項1について)
上記訂正事項1は、発光デバイスについて、「CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されている」と特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(訂正事項2について)
上記訂正事項2は、請求項1との引用関係を解消して独立形式の請求項とし、請求項2を引用するものを削除し、さらに、発光デバイスについて、「CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されている」と特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に規定する特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
(訂正事項3について)
上記訂正事項3は、請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(訂正事項4について)
上記訂正事項4は、アンチモンおよびヒ素を含有量について、「0.01重量%を超えない量のアンチモンおよびヒ素を含有すること、好ましくは0.001重量%を超えない量のアンチモンおよびヒ素を含有すること、さらに好ましくはアンチモンおよびヒ素を含有しないこと」と、その特定する範囲が明確でなかったものを、「0.01重量%を超えない量のアンチモンおよびヒ素を含有すること」と範囲を明確とし、また、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(訂正事項5?10、13、15について)
上記訂正事項5?10、13、15は、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(訂正事項11について)
上記訂正事項11は、酸化クロムの重量含有率について、「0.01%以下、好ましくは0.0075%以下、さらに0.006%以下であること」と、その特定する範囲が明確でなかったものを、「0.01%以下であること」と範囲を明確とし、また、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(訂正事項12について)
上記訂正事項12は、酸化マンガンの重量含有率について、「0.1%以下、好ましくは0.045%以下、さらに0.025%以下であること」と、その特定する範囲が明確でなかったものを、「0.1%以下であること」と範囲を明確とし、また、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(訂正事項14について)
上記訂正事項14は、多色光源について、「430nmと470nm、好ましくは450nmとの間の第1の発光ピークおよび540nmと、560nm、好ましくは555nmとの間の第2のピーク」を有すると、第1のピーク及び第2のピークの範囲が明確でなかったものを、「430nmと470nmとの間の第1の発光ピークおよび540nmと560nmとの間の第2のピーク」を有すると範囲を明確とし、また、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(訂正事項16について)
上記訂正事項16は、加熱要素について、「少なくとも1つの加熱要素、たとえば放射もしくはハロゲン加熱要素または誘導加熱要素」と、「少なくとも1つの加熱要素」が「放射もしくはハロゲン加熱要素または誘導加熱要素」に特定されているのか明確でなかったものを、「少なくとも1つの加熱要素」と明確とし、また、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
(訂正事項1について)
上記訂正事項1は、発光デバイスについて、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
(訂正事項2について)
上記訂正事項2は、請求項1との引用関係を解消して独立形式の請求項とし、請求項2を引用するものを削除し、さらに、発光デバイスについて、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
(訂正事項3について)
上記訂正事項3は、請求項4を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
(訂正事項4、11、12、14について)
上記訂正事項4、11、12、14は、上記(1)のとおり、含有量や重量含有率について、複数の範囲を記載したもののうちの1つの範囲に限定することで明確とし、また、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
(訂正事項5?10、13、15について)
上記訂正事項5?10、13、15は、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
(訂正事項16について)
上記訂正事項16は、「、たとえば放射もしくはハロゲン加熱要素または誘導加熱要素」とあるのを削除することで、加熱要素を明確とし、また、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。

(3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(訂正事項1について)
上記訂正事項1は、本件特許明細書の【0043】にディスプレイ組立体がガラスセラミック板を通して白色の透過光を得ることが可能であることが記載されており、CIE 1931色相図において、白色点の色座標が(0.333,0.333)で表されることは技術常識(乙第1号証(山中俊夫、”色彩学の基礎”、(株)文化書房博文社、2003年4月10日、p.73)、乙第2号証(日本色彩学会、”色彩用語事典”、東京大学出版会、2003年7月7日、p.238)参照。)であって、【0059】に目標色座標とガラスセラミック板の透過光の色座標との間の距離を0.05以下とすることが記載されており、【0072】?【0074】、【0077】?【0078】、【0079】?【0081】にガラスセラミック板を通して白色の色座標(0.333,0.333)とガラスセラミック板の透過光の色座標との間の距離が0.05以下の白色の透過光を得たものが記載されているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(訂正事項2について)
上記訂正事項2は、請求項1との引用関係を解消して独立形式の請求項とし、請求項2を引用するものを削除し、さらに、上記訂正事項1と同じ発明特定事項を追加するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(訂正事項3について)
上記訂正事項3は、請求項4を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(訂正事項4、11、12、14について)
上記訂正事項4、11、12、14は、上記(1)のとおり、含有量や重量含有率について、複数の範囲を記載したものを、そのうちの1つの範囲に限定し、また、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(訂正事項5?10、13、15について)
上記訂正事項5?10、13、15は、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(訂正事項16について)
上記訂正事項6は、加熱要素について、「、たとえば放射もしくはハロゲン加熱要素または誘導加熱要素」とあるのを削除することで、加熱要素を明確とし、また、上記訂正事項3により請求項4が削除されたことに伴い、引用する請求項の整合を図るものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。

(4)特許異議申立人の訂正の適否に対する意見について
特許異議申立人が平成29年2月24日の意見書において主張する訂正の適否に対する意見について検討する。
(4-1)請求項1、3について
特許異議申立人は、乙第1号証及び乙第2号証からは、白色の色座標が(0.333,0.333)であることは、一義的に決まらないから、請求項1、3についての訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものでない旨主張する。
しかし、本件特許明細書において、色座標の表記は、小数点以下3桁で統一して表記されていることから、当該表記に従えば、乙第2号証も白色の色座標は(0.333,0.333)と表記されるものであるから、特許異議申立人の主張は採用できない。

(4-2)請求項3について
特許異議申立人は、請求項3における「(a)前記多色光源の色座標と白色点の色座標との間の距離が0.167以上であり、及び/又は、
(b)前記多色光源の色座標と前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標との間の距離が0.173以上である、 」との訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものでない旨主張する。
しかし、発光デバイスは、「CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されている」ものあって、【0072】?【0074】、【0077】?【0078】、【0079】?【0081】に具体的に多色光源の色座標と白色点の色座標との間の距離が0.167、0.171、0.218であり、多色光源の色座標とガラス-セラミックス板を透過した光の色座標との間の距離が0.173、0.175、0.220であるものが記載されているから、上記訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1、3、4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1?18]についての訂正を認める。


第3 特許異議申立について
1 本件発明
本件訂正は認められたから、訂正後の特許第5778694号の請求項1?3、5?18に係る特許は、それぞれ、その特許請求の範囲の1?3、5?18に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
一方に、4mmの厚さの場合の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で0.2%と4%との間であるリチウム-アルミノケイ酸塩タイプのガラス-セラミックス板2を、他方に、発光デバイス4を含むディスプレイ組立体1であって、
前記発光デバイス4が、400nmおよび500nmの間の前記波長でゼロでない強度の少なくとも第1の発光と、500nmよりも大きな波長の少なくとも第2の発光とを有する少なくとも1つの多色光源5を含み、
前記光源5の位置が前記ガラス-セラミックス板2を通して表示されるように設計されており、
前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されている、
ことを特徴とするディスプレイ組立体1。
【請求項2】
4mmの厚さの場合の前記ガラス-セラミックス板2の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で、0.4%と1.5%との間であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項3】
一方に、4mmの厚さの場合の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で0.2%と4%との間であるリチウム-アルミノケイ酸塩タイプのガラス-セラミックス板2を、他方に、発光デバイス4を含むディスプレイ組立体1であって、
前記発光デバイス4が、400nmおよび500nmの間の前記波長でゼロでない強度の少なくとも第1の発光と、500nmよりも大きな波長の少なくとも第2の発光とを有する少なくとも1つの多色光源5を含み、
前記光源5の位置が前記ガラス-セラミックス板2を通して表示されるように設計されており、
前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されていて、
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、重量パーセントで表した以下のように規定された範囲で次の成分
SiO_(2) 52?75%
Al_(2)O_(3) 18?27%
Li_(2)O 2.5?5.5%
K_(2)O 0?3%
Na_(2)O 0?3%
ZnO 0?3.5%
MgO 0?3%
CaO 0?2.5%
BaO 0?3.5%
SrO 0?2%
TiO_(2) 1.2?5.5%
ZrO_(2) 0?3%
P_(2)O_(5) 0?8%
を含み、
前記発行デバイス4は、CIE 1931色相図において、
(a)前記多色光源の色座標と白色点の色座標との間の距離が0.167以上であり、及び/又は、
(b)前記多色光源の色座標と前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標との間の距離が0.173以上である、
ように選択されている、
ことを特徴とするディスプレイ組立体1。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記ガラス-セラミックス板の化学組成は、0.01重量%を超えない量のアンチモンおよびヒ素を含有することを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項6】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、0.01%と0.2%との間の重量含有率で酸化バナジウムを含むことを特徴とする請求項1?3、5のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項7】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、0.01%と0.03%との間の重量含有率で酸化バナジウムを含むことを特徴とする請求項1?3、5、6のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項8】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、0.12重量%以下の量で酸化コバルトを含むことを特徴とする請求項1?3、5?7のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項9】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、0.1重量%と0.5重量%との間の量で酸化スズを含むことを特徴とする請求項1?3、5?8のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項10】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、0.2重量%と0.35重量%との間の量で酸化スズを含むことを特徴とする請求項1?3、5?9のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項11】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、酸化ニッケルを含まないことを特徴とする請求項1?3、5?10のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項12】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成で、酸化クロムの重量含有率は、0.01%以下であることを特徴とする請求項1?3、5?11のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項13】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成で、酸化マンガンの重量含有率は、0.1%以下であることを特徴とする請求項1?3、5?12のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項14】
前記多色光源5は多色LED6a、6b、6c、6dおよび6eであることを特徴とする請求項1?3、5?13のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項15】
前記多色光源5は、430nmと470nmとの間の第1の発光ピークおよび540nmと560nmとの間の第2のピークを有する光を発光する多色LED6a、6b、6c、6dおよび6eであることを特徴とする請求項1?3、5?14のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項16】
前記第2のピークは、前記第1のピークよりも強度が低いことを特徴とする請求項14に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項17】
前記多色光源5は、強度が独立的に調整されるように設計された3つの単色光源からなる多色LED6a、6b、6c、6dおよび6eであることを特徴とする請求項1?3、5?16のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項18】
請求項1?3、5?16のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1と、少なくとも1つの加熱要素とを含むホブ。」

2 当審で通知した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1?18に係る特許に対して平成28年5月24日付けで特許権者に通知した取消理由は、要旨次のとおりである。

甲第1号証:特願2011-530388号(特表2012-505136号公報)
甲第3号証:特願2011-553372号(特表2012-520226号公報)
甲第5号証:特開2008-135459号公報
甲第6号証:特開2009-26672号公報
甲第7号証:特開2004-251615号公報
甲第8号証:特開平11-100230号公報
甲第9号証:特開昭62-182135号公報
甲第10号証:特許第2979211号公報

ア 特許法第29条の2について
請求項1?18に係る発明についての特許は、甲第1号証又は甲第3号証の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であって、その発明者及び出願人が同一でないから、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
イ 特許法第29条第2項について
請求項1?18に係る発明は、甲第7号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
ウ 特許法第36条第6項第2号について
請求項5、12、13、15、18に係る発明は、特許請求の範囲の記載が不明確であるから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

(2)甲各号証の記載
(2-1)甲第1号証
甲第1号証には、以下の記載がある。(「・・・」は省略を意味する。以下同じ。)
ア 「【請求項1】
高温石英混合結晶を主な結晶相として有し、避けることのできない極微量を除いては、化学的清澄剤用の酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを含有しない、ガラスセラミックからなる、カラー表示能力が改善された透明な有色クックトップ又はハブであって、
450nmより大きい可視光の全波長範囲における0.1%を超える透過率、0.8%?2.5%の可視光透過率、及び45%?85%の1600nmの赤外線における透過率を特徴とする、クックトップ又はハブ。
・・・
【請求項11】
通常の赤色ディスプレイの代わりに又はこれに加えて、青色、緑色、黄色、橙色又は白色の1つ又は複数の他のカラーディスプレイを使用することを特徴とする、請求項1?10のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブ。」
イ 「【0012】
ガラスセラミック調理表面の下の技術部品の憂慮すべき視認性(disturbing visibility)を防止するために、また輻射加熱要素、とりわけ明るいハロゲンヒータによって生じるまぶしさを防ぐために、ガラスセラミッククックトップ又はハブは、その光透過率が制限される。他方、輻射加熱器は、低出力で動作する場合でも、操作中はっきりと視認することができる必要がある。また表示能力に関しては、一般的な赤色LEDを調理プレートの下に搭載するため、或る程度の光透過率が要求される。これらの要求を満たすために、ガラスセラミッククックトップ又はハブは通常、0.5%?2.5%の光透過率に設定される。これは、着色要素の添加によって達成される。よって、ガラスセラミッククックトップ又はハブは、使用される色要素とは無関係に、使用される発色要素、例えば多くの場合、赤色、赤紫色又は橙褐色による低い光透過率及び透明度に起因して上から見ると黒色に見える。
【0013】
カラーディスプレイは、発光電子部品、主に光ダイオードからなり、調理表面の下に設置される。それらには、使用し易さ及び安全運転が望まれる。それゆえ、例えば、様々な調理帯域の現在の火力又は余熱が光学的に表される。余熱の表示は、とりわけラジエータが放熱していないとき、又は一般的に調理表面が熱いか認識できない誘導加熱されたクックトップ又はハブの場合に、安全に取扱うために重要である。通常赤色LEDは630nm周辺の波長で放射する。技術的な機能を改善するために、また家庭用機器製造業者に設計による差別化の可能性を与えるために、通常の赤色ディスプレイに加えて、他のカラーディスプレイも必要とされる。」
ウ 「【0067】
好ましくは、カラー表示能力が改善された本発明の調理表面の下に、通常の赤色LED又はディスプレイの代わりに又はこれに加えて、青色、緑色、黄色、橙色又は白色のような1つ又は複数の異なる色のLEDが配置される。カラーディスプレイは、通常、LEDからなる発光電子部品から構成される。クックトップ表面の底面は、旧来型のこぶが設けられていてもよく、滑らかなデザインであってもよい。」
エ 「【0078】
ガラス産業において一般的に使用される従来の原材料を有する表1の出発ガラスを、約1620℃の温度で4時間溶融させた。焼結シリカガラスからなるるつぼ内における混合物の溶融後、溶融物を、内部るつぼがシリカガラスからなるPt/Rhるつぼ内に移し、30分間撹拌することによって1550℃の温度で均質化した。この均質化後、清澄のための種々の温度処理を実施した。最大溶融温度及び/又は清澄温度並びに時間を表1に示す。
【0079】
ガラス番号2、3、5、6、8、10、11、13を2時間1640℃で清澄させた。その後、約140mm×100mm×30mmのサイズの断片を形成した。
【0080】
良好な気泡特性を達成するため、かつ特定温度T(pO_(2)=1bar)に従って還元条件を調整するために、ガラス番号1、4、7、9、12及び比較用ガラスを、表1に示した温度及び時間における高温清澄にかけた。清澄した溶融ガラスを注ぎ出す前に、温度を約1700℃に下げた。冷却炉内での応力(tension)を回避するために、キャストしたガラスを、ガラスの転移温度より約20℃低い温度から開始して室温まで冷却させた。これらの成形断片から、測定用の試験サンプルを調製した。
【0081】
気泡特性に関する高温清澄の好ましい影響はまた、研究室での溶融物にも反映される。研究室での溶融物における気泡数の絶対値は、技術的な理由(研究室での溶融物における体積に対する表面積の異なる比率)から、大規模溶融物の値より大きい範囲である。相対的差異が意義のあるものである。従来1640℃付近で清澄した溶融物は、ガラス1kg当たり約1000個?5000個の気泡を示すが、高温清澄では、1kg当たり約200個?2000個の気泡を示す。同様の組成に基づき、高温清澄はより良好な値をもたらす。大規模プロセスでは、これらの値に基づき、ガラス1kg当たり気泡が10個未満であるという望ましい特性が達成され得る。
【0082】
ガラス番号1、2、3並びに7、8及び9、10は、同様の組成を有するが、種々の方法で溶融させた。ガラス番号1は高温清澄プロセスにかけた。ガラス番号3は、同じ温度で清澄させたガラス番号2と比較して、出発混合物への1重量%の糖の添加によってより還元状態へと調整させた。したがって、平衡酸素分圧に関する温度が異なる。しかしながら、同じ条件下の結晶性出発ガラスの関連する種々の還元条件に起因して、得られるガラスセラミックの透過率が異なる。溶融物の最大温度が低い場合には、等しい透過率を得るために、より大きいレベルのV_(2)O_(5)又はより高いセラミック化温度が必要とされる。
【0083】
清澄及び14l容のPt/Rh10るつぼ内における1600℃での50時間の放置後、ガラス番号1、4、比較用ガラス番号13、並びに商業的に製造されたガラスセラミックCeramic Color(登録商標)の断片を、研究室圧延設備によりクックトップに典型的なパネルへと造形した。研究室ローラは、元の製造ローラを短縮したものからなる。下部ローラは、従来のこぶ付き調理表面の底面の製造用に構成した。応力を低減させるために、冷却後の約200mm幅、4mm厚及び2m長の得られるガラスバンドから、測定用の試験サンプル、及び高速セラミックプロセスにおける平面度試験用の寸法18cm×18cm×4mmのパネルを調製した。パネルは、均質で制御可能な上部加熱及び下部加熱を伴う研究室炉に入れ、平坦なセラミックベースプレート上でセラミック化した。それを、750℃まで10℃/分、保持時間15分で加熱した。その後、加熱を900℃まで4℃/分、保持時間15分で続け、室温まで急冷させた。全プログラムを通じて、下部表面に比べて炉内の上部温度を、6℃上げた。こうして、セラミックプレートを意図的にドーム形状に変形させた。比較用ガラス番号13に関する平面からのずれは、2.1±0.2mm(6回の試験)、Ceramic Color(登録商標)では0.6±0.1mm(4回の試験)であり、ガラス番号1及び4では両方とも0.5±0.1mm(3回の試験)であった。大規模で生産されたガラスセラミック材料であるCeramic Color(登録商標)が80分未満以内に、要求される平面度を伴ってセラミック化し得ることが示されたため、これも、実験での相対比較に基づき本発明によるガラスに有効である。
【0084】
表2は、得られたガラスセラミック及び比較用のセラミックのセラミック化条件及び特性を示す。出発ガラスのセラミック化は、以下の時間/温度プログラムによって実行し、Tmax及びtmaxの値を表2に示す。
【0085】
セラミック化プログラム1:
a)室温から680℃まで15分以内に加熱すること、
b)750℃まで10℃/分、750℃における15分の保持時間で加熱すること、800℃まで4℃/分で加熱することによって、680℃から800℃に34.5分以内に温度を上昇させること、
c)800℃からTmaxまで及び保持時間tmax分で、加熱速度4℃/分において温度を上昇させること、
d)10℃/分で800℃に冷却すること、その後、室温まで急冷すること。
【0086】
セラミック化プログラム2:
a)室温から680℃まで5分以内に加熱すること、
b)730℃まで10℃/分で加熱すること、800℃まで5℃/分でさらに加熱することによって、680℃から800℃に19分以内に温度を上げること、
c)800℃からTmaxまで及び保持時間tmaxで、加熱速度5℃/分において温度を上昇させること、
d)10℃/分で800℃に冷却すること、その後、室温まで急冷すること。」
オ 「【表1】



カ 「【表2-1】



キ 「【表2-2】




甲第1号証において、段落【0013】のカラーディスプレイについて、ガラス番号8をセラミック化したサンプル番号11又は12のガラスセラミックを用いた請求項11のクックトップ又はハブに着目すると、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されている。
「ガラスセラミックと、ガラスセラミックの下に赤色ディスプレイの代わりに又はこれに加えて、青色、緑色、黄色、橙色又は白色の1つ又は複数の他のカラーディスプレイを使用するクックトップ又はハブであって、
厚さ4mmで、標準光C(2度)を用いた透過率標準光C(2°)が、450nmの波長で0.57%、500nmの波長で0.46%であるか、又は450nmの波長で0.47%であるガラスセラミックスの化学組成は、酸化物に基づく重量%で表した次の成分
SiO_(2) 65.3%
Al_(2)O_(3) 21.7%
Li_(2)O 3.73%
K_(2)O 0.22%
Na_(2)O 0.33%
ZnO 1.60%
MgO 0.72%
CaO 0.13%
BaO 1.01%
SrO 0%
TiO_(2) 3.20%
ZrO_(2) 1.48%
P_(2)O_(5) 0%
SnO_(2) 0.27%
CoO 0.039%
Fe_(2)O_(3) 0.12%
MnO_(2) 0.028%
NiO 0.012%
V_(2)O_(5) 0.025%
を含むクックトップ又はハブ。」

また、甲第1号証において、段落【0013】のカラーディスプレイについて、ガラス番号5をセラミック化したサンプル番号8のガラスセラミックを用いた請求項11のクックトップ又はハブに着目すると、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されている。
「ガラスセラミックと、ガラスセラミックの下に赤色ディスプレイの代わりに又はこれに加えて、青色、緑色、黄色、橙色又は白色の1つ又は複数の他のカラーディスプレイを使用するクックトップ又はハブであって、
厚さ4mmで、標準光C(2度)を用いた透過率標準光C(2°)が、450nmの波長で0.35%であるガラスセラミックスの化学組成は、酸化物に基づく重量%で表した次の成分
SiO_(2 ) 66.7%
Al_(2)O_(3) 21.0%
Li_(2)O 3.52%
K_(2)O 0.30%
Na_(2)O 0.45%
ZnO 1.38%
MgO 0.31%
CaO 0.40%
BaO 0.97%
SrO 0%
TiO_(2) 3.23%
ZrO_(2) 1.26%
P2O_(5) 0%
SnO_(2) 0.24%
CoO 0.069%
Fe_(2)O_(3) 0.15%
MnO_(2) 0%
NiO 0%
V_(2)O_(5) 0.037%
を含むクックトップ又はハブ。」

(2-2)甲第3号証
甲第3号証には、以下の記載がある。
ア 「【請求項1】
主結晶相として高温石英混晶を有するガラスセラミックから成る、色の表示性が改善された、着色された透明な調理台であって、前記ガラスセラミックが、不可避の痕跡量を除いて、化学的清澄剤の酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを含まない調理台において、
前記ガラスセラミックの透過度が、450nmよりも長いあらゆる波長における可視光範囲で0.1%より大きく、可視光で光透過性が0.8?5%(好適には0.8?2.5%)であり、1600nmでの赤外線における透過性は45?85%であり、
前記調理台は表示装置を備え、
前記表示装置が、様々な稼働状態を様々な色及び/又は記号で表示するように形成されている表示設備(8,9)を備えることを特徴とする、前記調理台。
・・・
【請求項11】
通常の赤色表示に代えて、又はこれに加えて、1つ又は複数の多色表示、例えば青色、緑色、黄色、オレンジ色、又は白色の表示を用いることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の調理台。
・・・
【請求項21】
温度状態を表示するために、赤い光要素、オレンジ色の光要素、及び青い光要素が存在するか、又は赤色、オレンジ色、及び青い色を呈示可能な光要素が1つ存在することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項22】
欠陥状態を表示するために、赤い光要素、オレンジ色の光要素、及び緑色の光要素(信号色)が存在するか、又は赤色、オレンジ色、及び緑色を示すことができる光要素が1つだけ存在することを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載の調理台。」
イ 「【0013】
ガラスセラミック製調理台の下の技術的な構成要素が透けて見えてしまわないように、また放射熱源体によるまぶしい作用、とりわけ明るいハロゲン熱源体によるまぶしい作用を避けるため、ガラスセラミック製調理台は光透過性の点で制限されている。その一方では稼働の間、燃焼の危険性を排除するため、低出力でも放射熱源体が良好に認識できるのが望ましかった。しかしながらこのような調理台のスイッチを切ると、使用され、存在している材料の熱容量によってなお著しい熱が存在するにも拘わらず、緑色の後に加熱要素の冷却はもはや見えなくなるが、この熱は、深刻な傷害をもたらすには充分である。その表示性についても、一定の光透過性が必要である。と言うのも、通常の赤い発光ダイオードが、調理プレートの下側に組み込まれているからである。これらの要求を満たすために、ガラスセラミック製調理台は通常、光透過性の値が0.5?2.5%に調整される。このことは、着色性元素の添加によって達成される。そこでガラスセラミックの調理台は、使用される着色性元素(Farbelement)に依存して、光透過性の低さが原因で、上から見ると黒く、使用される着色性元素によって透かして見ると(in Durchsicht)大抵は赤、赤紫、又は茶色っぽいオレンジに見える。
【0014】
色の表示部は、発光性電気部材、大抵は発光ダイオードから成り、これらは調理台の下側に取り付けられている。これは条件の穏和性、及び安全な稼働が望まれるからである。そこで例えば、様々な調理ゾーンの実際の加熱性能又は予熱は、視覚的に示される。予熱の表示は、熱源体が光らない場合、又は誘導化で加熱された調理台であれば、通常は調理台が熱いかどうか分からない場合に、より安全な取り扱いのために重要となる。赤い発光ダイオードは通常、630nmの波長を放射する。条件の穏和性、及び工業的な機能を改善するため、また家庭用品製造業者がデザインを差別化できるように、通常の赤い表示の他に、別の色の表示が望まれている。
【0015】
LCD表示を備える日本由来の調理台は公知であり、この表示は緑、オレンジ、及び赤を背面から照らすことができる。」
ウ 「【0088】
改善された色表示性を有する、本発明による調理台の下側には好適には、通常の赤い表示に代えて、又は通常の赤い表示に加えて、1つ又は複数の別の色表示、例えば青、緑、黄色、オレンジ、及び白が配置されている。これらの色表示は、光を発する電気部材、例えば発光ダイオードから成る。調理台の下面は、通常の突起を有しているか、又は平滑に実施されていてよい。」
エ 「【0091】
調理台の加熱は、照射熱源、ハロゲン熱源、誘導加熱、又はガスにより行うことができる。あらゆる形式の(ドット的な、また平面的な)表示が可能である。」
オ 「【0104】
表1の出発ガラスは、ガラス工業で慣用の原料から、約1620℃の温度で、4時間溶融させたものである。この混合体を焼結ケイ酸ガラス製のるつぼで溶融させた後、このPt/Rhるつぼ中の溶融物をケイ酸ガラス製の内部るつぼで改鋳し(umgiessen)、1550℃の温度で30分、撹拌によって均質化した。この均質化の後、清澄化のために様々な温度処理を行った。最大溶融温度と清澄温度、及びその時間は、表1に記載されている。
【0105】
ガラス番号2、3、5、6、8、10、11、13は2時間、1640℃で清澄化した。
【0106】
引き続き、約140×100×30mmの固まりに鋳造した。
【0107】
ガラス1、4、7、9、12、及び比較用ガラスは、表1に記載の温度と時間で高温清澄化にかけて、良好な気泡品質を達成し、還元性条件を記載された温度T(pO_(2)=1bar)に応じて調整した。清澄化されたガラス溶融物を注ぎ出す前に、温度を約1700℃に下げた。ガラスの固まりを冷却炉での応力(ガラスの転移温度を約20℃下回る温度で始まる)を回避するため、室温に冷却した。注型物から測定のため、試験パターンを用意した。【0108】
気泡品質における高温清澄化の肯定的な影響は、実験溶融物の場合でも示される。実験溶融物における気泡数の絶対値は、技術的にその大きさが条件付けられ(実験溶融物における他の表面比対体積比)、その大きさによって大規模工業的な溶融物が条件付けられる。意義深いのは、相対的な相違点である。慣用的に1640℃で清澄化された溶融物は、ガラス1kgあたり気泡が約1000?5000個であり、高温清澄では、ガラス1kgあたり気泡が約200?2000個である。同じ組成であれば、高温清澄は改善された値をもたらす。大規模工業的には、これらの値でガラス1kgあたり10個未満の気泡という所望の品質が達成される。
【0109】
ガラス1、2、3、並びに7、8、9、10は同じ組成だが、溶融の仕方が異なる。ガラス1は高温清澄にかけた。ガラス3は混合物に糖を1質量%加えることにより、同じ温度で清澄化したガラスNo.2に比べてより還元性に調整されている。従って、平衡酸素分圧のための温度も異なる。このように結びつけられた、結晶化可能な出発ガラスの様々な還元性条件が原因で、同じセラミック化条件で得られるガラスセラミックの透過度が異なる。溶融物の最大温度が低ければ、透過度を適合させるためにより多くのV_(2)O_(5)割合、又はより高いセラミック化温度が必要となる。
【0110】
ガラス1、4、及び比較用ガラス12、並びに市販の加工済みガラスセラミックのシャード(Ceran Color(登録商標))は、清澄化後、1600℃で50時間、実験室用ローラ装置が付いた14l入りのPt/Rh10製のるつぼに静置し、調理台に典型的なプレートに成形した。この実験室用ローラは、短いオリジナルの作業ローラ(Fertigungswalz)から成る。
【0111】
下のローラは、慣用の突起付きの調理台下面を製造するために、三次元構造化されている。こうして得られた幅が約200mm、厚さ4mm、長さ2mmでガラス板から、応力減少のための冷却後、測定用試験パターン、及び寸法が18cm×18cm×4mmのプレートを試験用に、迅速なセラミック化における平坦化のために準備した。これらのプレートは、実験炉で均質な、制御可能な上部加熱と下部加熱によって平らなセラミック製下地プレート上でセラミック化した。10℃/分で750℃になるまで、持続時間15分で加熱した。それから4℃/分で900℃になるまで持続時間15分で加熱し、素早く室温に下げた。プログラム全体を通して、炉内での上部温度は、下面の温度よりも6℃高められていた。これにより、ガラスセラミックプレートがドーム状に適切に成形される。比較用ガラスNo.13の平坦化の偏差は2.1±0.2mm(試験6)、Ceran Color(登録商標)では0.6±0.1mm(試験4)、ガラスNo.1及びNo.4ではともに0.5±0.1mm(試験3)である。大規模工業的に生産されたガラスセラミック材料についてはCeran Color(登録商標)が示されているため、80分未満で必要とされる平坦さでセラミック化でき、このことは相対的な実験比較によって、また本発明によるガラスについても示されている。
【0112】
表2はセラミック化条件、及び得られるガラスセラミックの特性、及び本願発明以外の比較用セラミック2、4、17を示す。出発ガラスのセラミック化は以下の温度/時間プログラムで行い、Tmax及びtmaxの値が、表2に記載されている。
【0113】
セラミック化プログラム1:
a)15分以内に、室温から680℃への加熱;
b)34.5分以内に680℃から800℃への温度処理、ここで10℃/分で750℃に加熱し、15分間750℃を維持し、4℃/分で800℃に加熱し;
c)加熱速度4℃/分で、800℃からTmaxへの温度上昇、及び維持時間tmax;
d)10℃/分で800℃に冷却し、それから室温に素早く冷却する。
【0114】
セラミック化プログラム2:
a)5分以内に、室温から680℃への加熱;
b)19分以内に680℃から800℃への温度上昇、ここで10℃/分で730℃にし、さらに5℃/分で800℃にする;
c)加熱速度5℃/分で800℃からTmaxへの温度上昇、及び維持時間tmax;
d)10℃/分で800℃に冷却し、それから室温に素早く冷却する。」キ 「【0118】
これらの例は、主な結晶相としての高温石英混晶の含分が原因で、所望の非常に低い熱膨張値を有する(室温?700℃の間の温度範囲で測定)。本発明の特徴となる様々な波長における透過性の値、並びに光透過性の値は、「明度」Yと同じ意味であり、表に記載されている通りである。これらの値は調理台に典型的な厚さである4mmの研磨したプレートで測定した。光学的な測定は、標準光C、2°で行った。」
ク 「【表1-1】


ケ 「【表1-2】



コ 「【表2-2】




甲第3号証において、段落【0088】、【0118】を参照して、ガラス番号8をセラミック化した実施例番号11又は12のガラスセラミックを用いた請求項11の調理台に着目すると、甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3発明1」という。)が記載されている。
「ガラスセラミックと、ガラスセラミックの下側に通常の赤色表示に代えて、又はこれに加えて、1つ又は複数の多色表示、例えば青色、緑色、黄色、オレンジ色、又は白色の表示を用いる調理台であって、
厚さ4mmで、標準光C、2度を用いた透過性標準光C、2°が、450nmの波長で0.57%、500nmの波長で0.46%であるか、又は450nmの波長で0.47%であるガラスセラミックスの化学組成は、酸化物に基づく重量%で表した次の成分
SiO_(2) 65.3%
Al_(2)O_(3) 21.7%
Li_(2)O 3.73%
K_(2)O 0.22%
Na_(2)O 0.33%
ZnO 1.6%
MgO 0.72%
CaO 0.13%
BaO 1.01%
SrO 0%
TiO_(2) 3.20%
ZrO_(2) 1.48%
P_(2)O_(5) 0%
SnO_(2) 0.27%
CoO 0.039%
Fe_(2)O_(3) 0.12%
MnO_(2) 0.028%
NiO 0.012%
V_(2)O_(5) 0.025%
を含む調理台。」

また、甲第3号証において、段落【0088】、【0118】を参照して、ガラス番号5をセラミック化した実施例番号8のガラスセラミックを用いた請求項11の調理台に着目すると、甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3発明2」という。)が記載されている。
「ガラスセラミックと、ガラスセラミックの下側に通常の赤色表示に代えて、又はこれに加えて、1つ又は複数の多色表示、例えば青色、緑色、黄色、オレンジ色、又は白色の表示を用いる調理台であって、
厚さ4mmで、標準光C、2度を用いた透過性標準光C、2°が、450nmの波長で0.35%であるガラスセラミックスの化学組成は、酸化物に基づく重量%で表した次の成分
SiO_(2) 66.70%
Al_(2)O_(3) 21.0%
Li_(2)O 3.52%
K_(2)O 0.25%
Na_(2)O 0.45%
ZnO 1.38%
MgO 0.31%
CaO 0.40%
BaO 0.97%
SrO 0%
TiO_(2) 3.23%
ZrO_(2) 1.26%
P_(2)O_(5) 0%
SnO_(2) 0.24%
CoO 0.069%
Fe_(2)O_(3) 0.15%
MnO_(2) 0%
NiO 0%
V_(2)O_(5) 0.037%
を含む調理台。」

(2-3)甲第7号証
甲第7号証には、以下の記載がある。
ア 「【0003】
また、電磁加熱調理器は、赤外線加熱調理器のように、ラジエントヒーターやハロゲンヒーターが発熱して赤い光を発しないため、加熱されていることを認識できない。したがって、安全のために、電磁加熱調理器は、発光ダイオードなどの発光素子を透明なトッププレートの下部に設置して、発光素子からの光によって加熱中であることを認識できるように、発光素子の部分を除き非透光性塗料をトッププレートの裏面に形成していた(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
尚、発光素子としては、単に加熱の有無を認識させるだけでなく、印加される電力量や温度を色で表現できることも要求されており、そのため、赤色の発光素子の他に、青色、緑色、黄色の発光素子を使うことが望まれている。」
イ 「【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑みなされたものであり、加熱装置、配線等の調理器の内部構造を隠蔽でき、青色、緑色、黄色、赤色等の発光素子からの光を十分に透過し、安価な有色結晶化ガラスからなる調理器用トッププレートを提供することである。」
ウ 「【0021】
また、本発明の調理器用トッププレートは、30?750℃における平均熱膨張係数が、-10?+30×10^(-7)/℃である有色結晶化ガラスからなると、耐熱衝撃性が高く、使用時にトッププレートの面内に温度分布が生じても破損しにくいため好ましい。特に、有色結晶化ガラスとしては、β-ユークリプタイト固溶体を主結晶として60?90質量%析出し、V_(2)O_(5)を含有するLi_(2)O-Al_(2)O_(3)-SiO_(2)系有色結晶化ガラスが好適である。
【0022】
具体的には、有色結晶化ガラスとしては、質量%で、SiO_(2) 55?75%、Al_(2)O_(3) 14?28%、Li_(2)O 2.5?7%、MgO 0?4%、ZnO 0?5%、TiO_(2) 0?6%、ZrO_(2) 0?3%、V_(2)O_(5) 0.01?0.5%、Na_(2)O 0?5%、K_(2)O 0?5%、Fe_(2)O_(3) 0.001?0.3%、As_(2)O_(3) 0.001?2.5%、CaO 0?5%、BaO 0?7%、PbO 0?3%の組成を有し、β-石英固溶体結晶を析出してなる有色結晶ガラスが好適である。」
エ 「【表1】


オ 「【0028】
まず、表1、2の組成となるように、ガラス原料を調合し、表に示す溶融温度で20時間熔融した後、板状に成形して結晶性ガラスを作製した。尚、実施例1では、Na_(2)O及びK_(2)Oの原料として硝酸ナトリウム及び硝酸カリウムを使用し、実施例2?8では、BaOの原料として硝酸バリウムを使用した。また、比較例のNa_(2)O及びK_(2)Oの原料としてそれぞれ炭酸ソーダ及び炭酸カリウムを用いた。
【0029】
次に、この結晶性ガラスを、表に示す焼成条件で結晶化を行い、実施例1?8及び比較例の有色低膨張結晶化ガラスを作製した。
【0030】
表から明らかなように、実施例1?8は、Y値(明度)が2.5?15の間にあり、加熱装置、配線等の調理器の内部構造を隠蔽できるとともに、青色、緑色、赤色の発光ダイオードからの光を十分に透過した。」
カ 「【0036】
透過判定は、作製した結晶化ガラスからなるトッププレート(肉厚4mm)を、電磁加熱調理器に実装した後、トッププレートから真上に1m離れたところに36W蛍光灯を設置し、調理器の内部が透けて見えるかどうかを目視で判定し、全く調理器の内部が透けて見えない場合を「○」、調理器の内部が透けて見える場合を「×」とした。」

甲第7号証の段落【0003】、【0004】及び【0007】を総合すると、調理器用トッププレートの下側に青色、緑色、黄色、赤色等の発光素子を備える電磁加熱調理器が記載されているといえるから、実施例2の調理器用トッププレートに着目して整理すると、甲第7号証には、以下の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されている。
「厚さ4mmで、透過判定をした際、青色発光ダイオードからの光が十分に透過して見えたLi_(2)O-Al_(2)O_(3)-SiO_(2)系有色結晶化ガラスと、Li_(2)O-Al_(2)O_(3)-SiO_(2)系有色結晶化ガラスの下側に青色、緑色、黄色、赤色等の発光素子を備える電磁加熱調理器であって、
Li_(2)O-Al_(2)O_(3)-SiO_(2)系有色結晶化ガラスの化学組成は、次の成分
SiO_(2) 67%
Al_(2)O_(3) 20%
Li_(2)O 4%
K_(2)O 0.5%
Na_(2)O 0.5%
ZnO 0.5%
MgO 1%
CaO 0%
BaO 2%
SrO 0%
TiO_(2) 2.0%
ZrO_(2) 1.5%
P_(2)O_(5) 0%
SrO_(3) 0.5%
SnO_(2) 0.5%
V_(2)O_(5) 0.07%
Fe_(2)O_(3) 0.02%
を含むことを特徴とする電磁加熱調理器。」

(3)判断
(3-1)特許法第29条の2について
ア 甲第1号証について
(ア-1)本件特許発明1について
<対比>
請求項1に係る発明(以下「本件特許発明1」という。また、請求項2?18に係る発明を「本件特許発明2?18」という。)と甲1発明1とを対比すると、甲1発明1の「厚さ4mmで、標準光C(2度)を用いた透過率標準光C(2°)が、450nmの波長で0.57%、500nmの波長で0.46%である」及び「厚さ4mmで、標準光C(2度)を用いた透過率標準光C(2°)が、450nmの波長で0.47%である」ことは、本件特許発明1の「4mmの厚さの場合の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で0.4%と1.5%との間である」ことに相当し、甲1発明1の「ガラスセラミック」は、クックトップに用いられていることから板といえる形状であり、その成分からリチウム-アルミノケイ酸塩タイプである。
甲1発明1の「赤色ディスプレイの代わりに又はこれに加えて、青色、緑色、黄色、橙色又は白色の1つ又は複数の他のカラーディスプレイを使用する」ことと、本件特許発明1の「前記発光デバイス4が、400nmおよび500nmの間の前記波長でゼロでない強度の少なくとも第1の発光と、500nmよりも大きな波長の少なくとも第2の発光とを有する少なくとも1つの多色光源5を含」むこととは、光源を含むことの限りで共通する。
また、上記摘記事項(2-1)ア、イを参酌すると、甲1発明1の「クックトップ」は、ガラスセラミックと光源とからなるものであって、光源として「ガラスセラミックの下に赤色ディスプレイの代わりに又はこれに加えて、青色、緑色、黄色、橙色又は白色の1つ又は複数の他のカラーディスプレイ」が設けられているものであるから、一方にガラスセラミックを他方に光源を含むディスプレイ組立体といえる。そして、光源の位置は、ガラスセラミックを通して表示されることになる。

したがって、本件特許発明1と甲1発明1とは、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点1>
光源について、本件特許発明1では、「前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されている」のに対して、甲1発明1では、透過光の色座標が不明である点。

<相違点1について>
本件特許発明1は、「CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下」、すなわち、ガラス-セラミックス板を透過した透過光を白色とするものであるところ、甲1発明1には、「ガラスセラミックの下に赤色ディスプレイの代わりに又はこれに加えて、青色、緑色、黄色、橙色又は白色の1つ又は複数の他のカラーディスプレイを使用する」ことが記載されているが、甲第1号証の【0012】の記載を参酌すると、ガラスセラミックは着色されており、白色のカラーディスプレイを用いた場合、その透過光が白色となるとはいえない。また、甲第1号証には、他に、透過光を白色とすることについて、記載も示唆もされていない。
したがって、甲第1号証には、透過光を白色とすることについての技術的な課題が記載されていないから、相違点1は、課題解決のための具体化手段における微差であるとはいえず、本件特許発明1と甲1発明1とが実質同一であるとはいえない。

(ア-2)本件特許発明2、3、5?10、12?18について
本件特許発明2、3,5?10、12?18と甲1発明1とを対比すると、少なくと上記相違点1の点で相違する。
そして、相違点1については、上記(ア-1)で検討したのと同じ理由により、本件特許発明2、3、5?10、12?18は甲1発明1と実質同一であるとはいえない。

(ア-3)本件特許発明11について
請求項1を引用する請求項11と甲1発明2とを対比すると、少なくと上記相違点1の点で相違する。
そして、相違点1については、上記(ア-1)で検討したのと同じ理由により、本件特許発明11は甲1発明2と実質同一であるとはいえない。

(ア-4)まとめ
上記のとおりであるから、請求項1?3、5?18に係る特許は、甲第1号証の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるとはいえず、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものであるとはいえない。

イ 甲第3号証について
(イ-1)本件特許発明1について
<対比>
本件特許発明1と甲3発明1とを対比すると、甲3発明1の「厚さ4mmで、標準光C、2度を用いた透過性標準光C、2°が、450nmの波長で0.57%、500nmの波長で0.46%である」こと及び「厚さ4mmで、標準光C、2度を用いた透過性標準光C、2°が、450nmの波長で0.47%である」ことは、本件特許発明1の「4mmの厚さの場合の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で0.4%と1.5%との間である」ことに相当し、甲3発明1の「ガラスセラミック」は、調理台に用いられていることから板といえる形状であり、その成分からリチウム-アルミノケイ酸塩タイプである。
甲3発明1の「通常の赤色表示に代えて、又はこれに加えて、1つ又は複数の多色表示、例えば青色、緑色、黄色、オレンジ色、又は白色の表示を用いる」ことと、本件特許発明1の「前記発光デバイス4が、400nmおよび500nmの間の前記波長でゼロでない強度の少なくとも第1の発光と、500nmよりも大きな波長の少なくとも第2の発光とを有する少なくとも1つの多色光源5を含」むこととは、光源を含むことの限りで共通する。
また、甲3発明1の「調理台」は、ガラスセラミックと光源とからなるものであって、光源として「通常の赤色表示に代えて、又はこれに加えて、1つ又は複数の多色表示、例えば青色、緑色、黄色、オレンジ色、又は白色の表示を用いる」ものであるから、一方にガラスセラミックを他方に光源を含むディスプレイ組立体といえる。そして、光源の位置は、ガラスセラミックを通して表示されることになる。

したがって、本件特許発明1と甲3発明1とは少なくとも以下の点で相違する。
<相違点2>
光源について、本件特許発明1では、「前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されている」のに対して、甲3発明1では、透過光の色座標が不明である点。

<相違点2について>
本件特許発明1は、「CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下」、すなわち、ガラス-セラミックス板を透過した透過光を白色とするものであるところ、甲3発明1には、「ガラスセラミックの下側に通常の赤色表示に代えて、又はこれに加えて、1つ又は複数の多色表示、例えば青色、緑色、黄色、オレンジ色、又は白色の表示を用いる」ことが記載されているが、甲第3号証の【0013】の記載を参酌すると、ガラスセラミックは着色されており、白色の表示を用いた場合、その透過光が白色であるとはいえない。また、甲第3号証には、他に、透過光を白色とすることについて、記載も示唆もされていない。
したがって、甲第3号証には、透過光を白色とすることについての技術的な課題が記載されていないから、相違点2は、課題解決のための具体化手段における微差であるとはいえず、本件特許発明1と甲3発明1とが実質同一であるとはいえない。

(イ-2)本件特許発明2、3、5?10、12?18について
本件特許発明2、3、5?10、12?18と甲3発明1とを対比すると、少なくと上記相違点2の点で相違する。
そして、相違点2については、上記(イ-1)で検討したのと同じ理由により、本件特許発明2、3、5?10、12?18は甲3発明1と実質同一であるとはいえない。

(イ-3)本件特許発明11について
請求項1を引用する請求項11と甲3発明2とを対比すると、少なくとも上記相違点2の点で相違する。
そして、相違点2については、上記(イ-1)で検討したのと同じ理由により、本件特許発明11は甲3発明2と実質同一であるとはいえない。

(イ-4)まとめ
上記のとおりであるから、請求項1?3、5?18に係る特許は、甲第3号証の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるとはいえず、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものであるとはいえない。

(3-2)特許法第29条第2項について
ア 本件特許発明1について
<対比>
本件特許発明1と甲7発明とを対比すると、青色は400nmおよび500nmの間の波長であることから、甲7発明の「厚さ4mmで、透過判定をした際、青色発光ダイオードからの光が十分に透過して見えた」ことと、本件特許発明1の「4mmの厚さの場合の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で0.4%と1.5%との間である」とは、4mmの厚さの場合の、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で十分に透過する限りで共通し、甲7発明の「Li_(2)O-Al_(2)O_(3)-SiO_(2)系有色結晶化ガラス」は、電磁調理器のトッププレートに用いられていることから板といえる形状であり、本件特許発明1の「リチウム-アルミノケイ酸塩タイプのガラス-セラミックス板」に相当する。
甲7発明の「青色、緑色、黄色、赤色等の発光素子を備える」ことと、本件特許発明1の「前記発光デバイス4が、400nmおよび500nmの間の前記波長でゼロでない強度の少なくとも第1の発光と、500nmよりも大きな波長の少なくとも第2の発光とを有する少なくとも1つの多色光源5を含」むこととは、光源を含むことの限りで共通する。
また、甲7発明の「電磁加熱調理器」は、Li_(2)O-Al_(2)O_(3)-SiO_(2)系有色結晶化ガラスと光源とからなるものであって、光源として「青色、緑色、黄色、赤色等の発光素子を備える」ものであるから、一方にLi_(2)O-Al_(2)O_(3)-SiO_(2)系有色結晶化ガラスを他方に光源を含むディスプレイ組立体といえる。そして、光源の位置は、Li_(2)O-Al_(2)O_(3)-SiO_(2)系有色結晶化ガラスを通して表示されることになる。

したがって、本件特許発明1と甲7発明とは少なくとも以下の点で相違する。
<相違点3>
光源について、本件特許発明1では、「前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されている」のに対して、甲7発明では、透過光の色座標が不明である点。

<相違点3について>
本件特許発明1は、「CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下」、すなわち、ガラス-セラミックス板を透過した透過光を白色とするものであるところ、甲7発明には、「Li_(2)O-Al_(2)O_(3)-SiO_(2)系有色結晶化ガラスの下側に青色、緑色、黄色、赤色等の発光素子を備える」ことが記載されているが、Li_(2)O-Al_(2)O_(3)-SiO_(2)系有色結晶化ガラスは有色であるから、その透過光が白色であるとはいえない。
また、甲第4?6、8?10号証にも、透過光を白色とすることの記載はない。
そうすると、リチウム-アルミノケイ酸塩タイプのガラス-セラミックス板を含むディスプレイ組立体において、白色の透過光を得るという技術的な課題自体が公知であったとはいえない。
したがって、甲7発明において、透過光を白色とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。

イ 本件特許発明2、3、5?18について
本件特許発明2、3、5?18と甲7発明とを対比すると、少なくとも上記相違点3の点で相違する。
そして、相違点3については、上記アで検討したのと同じ理由により、本件特許発明2、3、5?18は、甲7発明に基いて当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。

ウ まとめ
上記のとおり、請求項1?3、5?18に係る発明は、甲第7号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえず、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものであるとはいえない。

(3-3)特許法第36条第6項第2号について
本件特許発明5、12、13、15及び18は、本件訂正により明確となった。

3.当審で通知した取消理由以外の申立理由について
(1)特許法29条第1項第3号について
特許異議申立人は、本件特許発明1?3、6?9、17、18が、甲第7号証に記載の発明と同一である旨主張する。
しかし、上記2.の(3-2)のとおり、本件特許発明1?3、6?9、17、18と甲第7号証に記載の発明とは、少なくとも<相違点3>で相違するから、本件特許発明1?3、6?9、17、18は、甲第7号証に記載の発明と同一であるとはいえない。

(2)特許法第36条第6項第2号について
特許異議申立人は、平成29年2月24日の意見書において、本件特許発明3の「前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図において、
(a)前記多色光源の色座標と白色点の色座標との間の距離が0.167以上であり、及び/又は、
(b)前記多色光源の色座標と前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標との間の距離が0.173以上である、
ように選択されている、」について、「0.167以上」、「0.173以上」という下限の数値限定があるのみで、上限値が規定されておらず、発明の範囲が不明確である旨主張する。
しかし、本件特許発明3は、ガラス-セラミックス板を透過した透過光を白色とすることが目的であり、「前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(xt,yt)と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されていて」と特定されているから、上記(a)、(b)の記載は、本件特許発明の目的を達成した上で、さらに発光デバイス(多色光源)として好適な範囲を示したにすぎないから、その数値範囲に上限がなくとも発光デバイス(多色光源)が不明確であるとはいえない。

(3)特許法第36条第6項第1号及び第4項第1号について
特許異議申立人は、平成29年2月24日の意見書において、本件特許発明1の「CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(xt,yt)と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択される」及び本件特許発明3の「前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図において、
(a)前記多色光源の色座標と白色点の色座標との間の距離が0.167以上であり、及び/又は、
(b)前記多色光源の色座標と前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標との間の距離が0.173以上である、
ように選択されている、」について、本件特許明細書に開示されているのはLED6a、6c、6dを用いた実施例において得られた計算値のみである。
そうすると、ガラス-セラミックス板は、含有成分によりその可視光の透過率が大きく変化し、様々な透過率特性を有することは技術常識であるから、実施例に開示された特定のガラス-セラミックス板及び発光デバイス(多色光源)以外の本件特許発明1及び3のガラス-セラミックス板及び発光デバイスは、本件特許明細書に記載された範囲を超えるものである旨主張する。
また、本件特許明細書は、実施例に開示された特定のガラスセラミックス板及び発光デバイス(多色光源)以外の本件特許発明1及び3のガラス-セラミックス板及び発光デバイスについて、当業者が実施できる程度に十分に記載されていない旨主張する。
しかし、本件特許明細書の【0043】にディスプレイ組立体がガラスセラミック板を通して白色の透過光を得ることが可能であることが記載されており、CIE 1931色相図において、白色点の色座標が(0.333,0.333)で表されることは技術常識(乙第1号証、乙第2号証参照。)であって、【0059】に目標色座標とガラス-セラミック板の透過光の色座標との間の距離が0.05以下とすることが記載されている。また、ガラス-セラミック板に用いる着色剤については【0026】?【0032】に記載されており、所定の透過光を得るための光源のパラメータの調整も周知の手法で調整できることが【0047】に記載されている。そして、LED6a、6c、6dを用いた実施例(【0072】?【0074】、【0077】?【0078】、【0079】?【0081】)にガラス-セラミック板を通して白色の色座標(0.333,0.333)とガラスセラミック板の透過光の色座標との間の距離が0.05以下の白色の透過光を得たものであって、上記(a)及び(b)を満たすものが記載されていることを総合すると、本件特許発明1及び3のガラス-セラミック板の透過光が白色であるガラス-セラミックス板及び発光デバイスは、本件特許明細書に記載された範囲内のものであり、本件特許明細書は、本件特許発明1及び3のガラス-セラミックス板及び発光デバイスについて、当業者が実施できる程度に十分に記載されているといえる。
また、特許異議申立人は、【0073】?【0074】に記載の「LED6a」について、商品名、会社名等が開示されておらず、存在しない旨主張する。
しかし、本件特許明細書には、「LED6a」の発光スペクトルが記載されており、LEDの具体的な商品名、会社名等が開示されていないからといって、当該発光スペクトルが再現できないとはいえないから、このことをもって本件特許明細書が、当業者が実施できる程度に十分に記載されていないとすることはできない。


第4 むすび
したがって、上記取消理由によっては、請求項1?3、5?18に係る発明についての特許を取り消すことができない。
また、他に請求項1?3、5?18に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項4に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項4に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立については、対象となる請求項が存在しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に、4mmの厚さの場合の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で0.2%と4%との間であるリチウム-アルミノケイ酸塩タイプのガラス-セラミックス板2を、他方に、発光デバイス4を含むディスプレイ組立体1であって、
前記発光デバイス4が、400nmおよび500nmの間の前記波長でゼロでない強度の少なくとも第1の発光と、500nmよりも大きな波長の少なくとも第2の発光とを有する少なくとも1つの多色光源5を含み、
前記光源5の位置が前記ガラス-セラミックス板2を通して表示されるように設計されており、
前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されている、
ことを特徴とするディスプレイ組立体1。
【請求項2】
4mmの厚さの場合の前記ガラス-セラミックス板2の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で、0.4%と1.5%との間であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項3】
一方に、4mmの厚さの場合の光透過率が、400nmおよび500nmの間の少なくとも1つの波長で0.2%と4%との間であるリチウム-アルミノケイ酸塩タイプのガラス-セラミックス板2を、他方に、発光デバイス4を含むディスプレイ組立体1であって、
前記発光デバイス4が、400nmおよび500nmの間の前記波長でゼロでない強度の少なくとも第1の発光と、500nmよりも大きな波長の少なくとも第2の発光とを有する少なくとも1つの多色光源5を含み、
前記光源5の位置が前記ガラス-セラミックス板2を通して表示されるように設計されており、
前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図における、前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標(x_(t),y_(t))と白色点の色座標(0.333,0.333)との間の距離が0.05以下であるように選択されていて、
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、重量パーセントで表した以下のように規定された範囲で次の成分
SiO_(2) 52?75%
Al_(2)O_(3) 18?27%
Li_(2)O 2.5?5.5%
K_(2)O 0?3%
Na_(2)O 0?3%
ZnO 0?3.5%
MgO 0?3%
CaO 0?2.5%
BaO 0?3.5%
SrO 0?2%
TiO_(2) 1.2?5.5%
ZrO_(2) 0?3%
P_(2)O_(5) 0?8%
を含み、
前記発光デバイス4は、CIE 1931色相図において、
(a)前記多色光源の色座標と白色点の色座標との間の距離が0.167以上であり、及び/又は、
(b)前記多色光源の色座標と前記ガラス-セラミックス板を透過した光の色座標との間の距離が0.173以上である、
ように選択されている、
ことを特徴とするディスプレイ組立体1。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記ガラス-セラミックス板の化学組成は、0.01重量%を超えない量のアンチモンおよびヒ素を含有することを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項6】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、0.01%と0.2%との間の重量含有率で酸化バナジウムを含むことを特徴とする請求項1?3、5のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項7】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、0.01%と0.03%との間の重量含有率で酸化バナジウムを含むことを特徴とする請求項1?3、5、6のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項8】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、0.12重量%以下の量で酸化コバルトを含むことを特徴とする請求項1?3、5?7のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項9】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、0.1重量%と0.5重量%との間の量で酸化スズを含むことを特徴とする請求項1?3、5?8のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項10】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、0.2重量%と0.35重量%との間の量で酸化スズを含むことを特徴とする請求項1?3、5?9のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項11】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成は、酸化ニッケルを含まないことを特徴とする請求項1?3、5?10のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項12】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成で、酸化クロムの重量含有率は、0.01%以下であることを特徴とする請求項1?3、5?11のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項13】
前記ガラス-セラミックス板2の化学組成で、酸化マンガンの重量含有率は、0.1%以下であることを特徴とする請求項1?3、5?12のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項14】
前記多色光源5は多色LED6a、6b、6c、6dおよび6eであることを特徴とする請求項1?3、5?13のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項15】
前記多色光源5は、430nmと470nmとの間の第1の発光ピークおよび540nmと560nmとの間の第2のピークを有する光を発光する多色LED6a、6b、6c、6dおよび6eであることを特徴とする請求項1?3、5?14のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項16】
前記第2のピークは、前記第1のピークよりも強度が低いことを特徴とする請求項14に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項17】
前記多色光源5は、強度が独立的に調整されるように設計された3つの単色光源からなる多色LED6a、6b、6c、6dおよび6eであることを特徴とする請求項1?3、5?16のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1。
【請求項18】
請求項1?3、5?16のいずれか1項に記載のディスプレイ組立体1と、少なくとも1つの加熱要素とを含むホブ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-06-06 
出願番号 特願2012-549390(P2012-549390)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (F24C)
P 1 651・ 121- YAA (F24C)
P 1 651・ 537- YAA (F24C)
P 1 651・ 16- YAA (F24C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 土屋 正志  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 佐々木 正章
山崎 勝司
登録日 2015-07-17 
登録番号 特許第5778694号(P5778694)
権利者 ユーロケラ ソシエテ オン ノーム コレクティフ
発明の名称 ガラス-セラミックス板を含むディスプレイ組立体  
代理人 青木 篤  
代理人 蛯谷 厚志  
代理人 青木 篤  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 鈴木 康義  
代理人 蛯谷 厚志  
代理人 塩川 和哉  
代理人 篠 良一  
代理人 鈴木 康義  
代理人 石田 敬  
代理人 出野 知  
代理人 出野 知  
代理人 古賀 哲次  
代理人 古賀 哲次  
代理人 石田 敬  
代理人 塩川 和哉  
代理人 関根 宣夫  
代理人 関根 宣夫  
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