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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C09J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09J
管理番号 1331198
異議申立番号 異議2016-700954  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-10-05 
確定日 2017-07-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5900349号発明「導電性接着剤組成物、接続体及び太陽電池モジュール」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5900349号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第5900349号の請求項1、3?11に係る特許を維持する。 特許第5787306号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯

特許第5900349号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?11に係る特許についての出願は、平成28年3月18日にその特許権の設定登録がされ、その後、同年10月5日付けで特許異議申立人小松一枝及び前田知子(以下「申立人A」及び「申立人B」という。)により、「特許第5900349号の特許請求の範囲の請求項1?11に記載された発明についての特許は取消されるべきものである。」という趣旨で、本件特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、同年11月29日付けで取消理由が通知され、平成29年1月31日に特許権者から意見書及び訂正請求書が提出され、同年2月23日付けで特許権者に手続補正指令書(方式)が通知され、同年3月31日付けで特許権者から手続補正書(方式)が提出され、同年5月22日付けで申立人Aから意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否

(1)訂正事項

上記平成29年1月31日提出の訂正請求書、及び、同年3月31日提出の手続補正書(方式)による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、本件特許請求の範囲を、上記訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり一群の請求項を構成する請求項1?11について訂正するものであって、その具体的訂正事項は次のとおりである。

ア 訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に記載されたフラックス活性剤の「平均粒子径」の範囲である「1μm以上15μm以下」を、「1μm以上6μm以下」と訂正する(当審注:下線は、特許権者により付したものである。以下同じ。)。

イ 訂正事項2

特許請求の範囲の請求項2を削除する。

ウ 訂正事項3

特許請求の範囲の請求項3?11のそれぞれが引用する請求項から請求項2を除き、以下の事項により特定されるとおりの請求項3?11として訂正する。

「【請求項3】
前記(A)導電性粒子における金属が、ビスマス、インジウム、スズ及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含有する、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項4】
前記(B)熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含有する、請求項1又は3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項5】
硬化剤又は硬化促進剤をさらに含有する、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項6】
前記(C)フラックス活性剤が、水酸基及びカルボキシル基を有する化合物を含有する、請求項1、及び3?5のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項7】
太陽電池セルの電極と配線部材とを電気的に接続するために用いられる、請求項1、及び3?6のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項8】
複数の太陽電池セルが配線部材を介して接続される接続体であって、
該太陽電池セルの電極と配線部材とが、請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物を介して接続されている接続体。
【請求項9】
太陽電池セルの電極と配線部材とを、請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物を介して、相対向するように配置する工程と、
得られた構造物を加熱する工程と、
を備える太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
太陽電池セルの電極に請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物を塗布する工程と、
前記導電性接着剤組成物を塗布した電極と配線部材とを相対向するように配置する工程と、
前記太陽電池セルの受光面上に封止部材及び透光部材をこの順に積層する工程と、
前記太陽電池セルの受光面とは反対側の面上に封止部材及び保護部材をこの順に積層する工程と、
得られた積層体を加熱することにより前記太陽電池セルと配線部材とを電気的に接続するとともに接着しながら、前記太陽電池セルを封止する工程と、
を備える太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物を介して、複数の太陽電池セルの電極と配線部材とが電気的に接続された太陽電池モジュール。」

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

ア 訂正事項1について

(ア)上記訂正事項1は、フラックス活性剤の平均粒子径に関し、「1μm以上15μm以下」を「1μm以上6μm以下」に、その範囲を限定したものであるから、特許請求の範囲の限縮を目的とするものである。

(イ)上記訂正事項1に係る「1μm以上6μm以下」について、その上限値を6μmとすることは、本件明細書の【0068】の「0.1?6μmであることがより好ましい」との記載、及び、【0108】、【表2】における実施例2に関する記載(平均粒子径が6μmの記載)に基づくものであるから、上記訂正事項1は、新規事項を追加するものではない。

(ウ)上記訂正事項1は、フラックス活性剤の平均粒子径に関し、「1μm以上15μm以下」を「1μm以上6μm以下」に、その範囲を限定したものであるから、該訂正事項1は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(エ)よって、上記訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものといえる。

イ 訂正事項2について

(ア)上記訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の限縮を目的とするものである。また、新規事項を追加するものでもなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(イ)よって、上記訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものといえる。

ウ 訂正事項3について

(ア)特許請求の範囲の請求項3?11のそれぞれが引用する請求項から請求項2を除くものであるから、特許請求の範囲の限縮を目的とするものである。

(イ)よって、上記訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものといえる。

(3)小括

以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第3項及び第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項1?11について求めるものであり、その訂正事項はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて

(1) 本件発明

本件訂正請求により訂正された訂正請求項1、3?11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明3」?「本件発明11」という。まとめて、「本件発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、3?11に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(なお、請求項2は、本件訂正請求により削除された。)。
「【請求項1】
(A)融点が220℃以下である金属を含む導電性粒子、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)粒子状のフラックス活性剤を含み、前記(C)フラックス活性剤の平均粒子径が1μm以上6μm以下である導電性接着剤組成物。
【請求項3】
前記(A)導電性粒子における金属が、ビスマス、インジウム、スズ及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含有する、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項4】
前記(B)熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含有する、請求項1又は3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項5】
硬化剤又は硬化促進剤をさらに含有する、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項6】
前記(C)フラックス活性剤が、水酸基及びカルボキシル基を有する化合物を含有する、請求項1、及び3?5のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項7】
太陽電池セルの電極と配線部材とを電気的に接続するために用いられる、請求項1、及び3?6のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項8】
複数の太陽電池セルが配線部材を介して接続される接続体であって、
該太陽電池セルの電極と配線部材とが、請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物を介して接続されている接続体。
【請求項9】
太陽電池セルの電極と配線部材とを、請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物を介して、相対向するように配置する工程と、
得られた構造物を加熱する工程と、
を備える太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
太陽電池セルの電極に請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物を塗布する工程と、
前記導電性接着剤組成物を塗布した電極と配線部材とを相対向するように配置する工程と、
前記太陽電池セルの受光面上に封止部材及び透光部材をこの順に積層する工程と、
前記太陽電池セルの受光面とは反対側の面上に封止部材及び保護部材をこの順に積層する工程と、
得られた積層体を加熱することにより前記太陽電池セルと配線部材とを電気的に接続するとともに接着しながら、前記太陽電池セルを封止する工程と、
を備える太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物を介して、複数の太陽電池セルの電極と配線部材とが電気的に接続された太陽電池モジュール。」

(2) 取消理由の概要

訂正前の請求項1?11に係る特許に対して平成28年11月29日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

理由1:本件発明1?5は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2:本件発明1?11は、甲第1号証に記載された発明、甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された事項及び技術常識に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、または、本件発明1?11は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、または、本件発明1?11は、甲第3号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

理由3:特許請求の範囲の記載に不備があるため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(3) 引用文献1?6記載事項

甲第1号証?甲第6号証を、以下「引用文献1」?「引用文献6」という。
引用文献1:特開2005-194306号公報(甲第1号証)
引用文献2:特開2008-150597号公報(甲第2号証)
引用文献3:国際公開第03/002290号(甲第3号証)
引用文献4:特開2007-216296号公報(甲第4号証)
引用文献5:国際公開第2010/122863号(甲第5号証)
引用文献6:特開2005-243935号公報(甲第6号証)

ア 引用文献1(特開2005-194306号公報)には、以下のことが記載されている(下線は、当審が付した。以下同じ。)。

記載事項1-A
「【請求項1】
低融点金属粒子と、該低融点金属粒子の表面に形成されている酸化皮膜を加熱状態で除去するアジピン酸及びセパシン酸の少なくとも1種と、導電性フィラーと、有機接着剤と、を含むことを特徴とする通電接着剤。」

記載事項1-B
「【0019】
本発明の通電接着剤において、低融点金属粒子は通電路を形成する基本成分である。低融点金属粒子としては通常ハンダとして知られている錫合金を使用できる。具体的には、錫-ビスマス合金、錫-銀-銅合金、あるいは錫-銅合金などが好ましい。錫-ビスマス合金は、共晶点(質量比で、錫:ビスマス=42:58)における融点は139℃と低く好適である。また、高い耐熱性が必要な用途などの場合には、96.5%錫-3%銀-0.5%銅合金(融点:217℃)や99.3%錫-0.7%銅合金(融点:227℃)の使用も好ましい。低融点金属粒子の好ましい粒径は1?100μmである。粒径が1μm未満では酸化皮膜が厚くなるため融解しにくくなり、100μmを越えると有機接着剤中で粒子が分離しやすくなって均一に分散しない。このため、接着剤の接触抵抗値や強度のバラツキが大きくなって適当ではない。」

記載事項1-C
「【0021】
有機接着剤は、加熱により接着硬化する熱硬化性樹脂に硬化剤を加えて混合したものを使用することができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、レゾール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアロマティック樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、アルギド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、などを、また、硬化剤としては二液硬化型のポリアミン系硬化剤や一液硬化型の芳香族ポリアミン系、ポリアミド系やイソシアネート系、あるいは酸無水物系硬化剤、又は、潜在硬化剤などを例示することができる。」

記載事項1-D
「【0027】
以上の通電接着剤に使用される低融点金属粒子は、低温で溶融することができる。しかし、低融点金属粒子の表面に酸化皮膜が形成されていると、金属粒子が溶融温度に到達しても、表面の酸化皮膜により金属粒子の融解が阻害されるために、溶融金属同士の合体による流動化が生じない。従って、高酸化皮膜除去能力を有する溶融促進剤を用いることで、低温で流動化する通電接着剤を得ることができる。
【0028】
本発明の通電接着剤において、溶融促進剤は、アジピン酸またはセパシン酸の少なくとも1種である。
【0029】
これらのアジピン酸またはセパシン酸は、常温では固体であるが、加熱接合温度では融解して低融点金属粒子の表面に形成されている酸化皮膜を除去することが可能である。また、溶融促進剤は、例えば、ロジン、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂に、これらのアジピン酸またはセパシン酸を所望量加えて平均粒径が10μm程度の粉末状とした潜在性硬化剤、あるいは、カプセルなどの形で添加してもよい。」

記載事項1-E
「【0051】
(試験例)
本発明の窓用板状部材について、以下、試験例によってさらに詳しく説明する。
【0052】
本試験例は、透明なガラス板単板を基板として、このガラス基板に導体を形成し、その電極部に通電接着剤で給電端子を接着して通電接着剤の各種特性を評価したものである。
【0053】
ここで、有機接着剤としては、主剤がアクリルゴム微粒子分散エポキシ樹脂(1μmのアクリルゴム20%配合、日本触媒(株)製:エポセット)で、硬化剤は芳香族アミン系硬化剤(ジシアンジアミド)を、主剤:硬化剤=100:8(重量比)で混合したエポキシ組成物を用い、低融点金属粒子としては、粒子径が44μm以下(#325)の錫-ビスマス合金(Sn:42質量%、ビスマス:58質量%、融点:139℃)を用い、また、導電性フィラーとしては、粒子径70?150μm(#100)の錫粉末を用い、溶融促進剤としては、ロジン系と非ロジン系の2種類とし、ロジン系としては塩素を0.35%含有する樹脂系液体フラックス(以下、塩素系ロジンと称す)を、また、非ロジン系としては、平均粒径が10μmの固体アジピン酸を用いた。
(1)供試組成物の配合:以上のエポキシ組成物と各金属粒子を用いて、表1に示すように基本配合をA,B,Cの3種類とし、配合Aおよび配合Bについては溶融促進剤(添加剤)の配合量をaとbとの2水準とした。すなわち、配合Aでは塩素系ロジンの配合量をaは1.25重量%とし、bは2.5重量%とした。また、配合Bではアジピン酸の配合量をaは1.0重量%とし、bは2.0重量%とした。
【0054】
【表1】



イ 引用文献2(特開2008-150597号公報)には、以下のことが記載されている。

記載事項2-A
「【請求項1】
融点が260℃以下であり、かつ鉛以外の金属を含む導電性粒子、及び
熱硬化性樹脂と脂肪族ジヒドロキシカルボン酸とを含む接着剤成分、
を含有する導電性接着剤組成物。」
【請求項2】
前記脂肪族ジヒドロキシカルボン酸が、下記一般式(I)で表される化合物又は酒石酸である、請求項1記載の導電性接着剤組成物。
【化1】

(式(I)中、R^(1)は置換していてもよい炭素数1?5のアルキル基を示し、n及びmはそれぞれ独立に0?5の整数を示す。)

記載事項2-B
「【背景技術】
【0002】
電子部品を回路基板などへ実装するには、鉛を含むはんだを用いた接合法が広く知られている。しかし近年、環境問題への認識の高まりから、はんだに代わって鉛を含まない鉛フリーはんだや導電性の接着剤組成物が注目されるようになっている。ところが、鉛フリーはんだとして主に使われているSn-Ag-Cuはんだは、接続温度が260℃と高く、熱感受性の高い一部の電子部品では使用できない問題がある。また、より低温で接続可能な鉛フリーはんだとして、融点が138℃であるSn-Biはんだが用いられている。しかしながら、Sn-Biはんだによる接続が適用された電子機器が高温環境下で使用される場合、高温で放置されることによりSn-Biはんだにおける金属の組成が変化し、はんだ接合が脆弱化するという問題があった。」

記載事項2-C
「【0006】
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、ハロゲン性のフラックスを含有しなくても、接着性及び保存安定性に十分優れたものであり、かつ、導電性に十分優れた硬化物を形成できる導電性接着剤組成物、並びに、その導電性接着剤組成物を用いて各部材が電気的に接続された電子部品搭載基板及び半導体装置を提供することを目的とする。」

記載事項2-D
「【0024】
熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイミド樹脂及びシアネート樹脂等の熱硬化性の有機高分子化合物、並びにそれらの前駆体が挙げられる。これらの中では、アクリル樹脂及びマレイミド樹脂に代表される、分子中に重合可能な炭素-炭素二重結合を有する化合物、あるいは、エポキシ樹脂が好ましい。これらの好ましい熱硬化性樹脂は、耐熱性及び接着性に優れ、しかも必要に応じて有機溶剤中に溶解又は分散させれば液体の状態で取り扱うこともできるため、作業性にも優れている。上述の熱硬化性樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。」

記載事項2-E
「【0050】
本発明における接着剤成分に含まれる脂肪族ジヒドロキシカルボン酸は、フラックス成分及び硬化剤として作用するものである。この脂肪族ジヒドロキシカルボン酸は、脂肪族主鎖骨格に直接2つのヒドロキシル基及び1つ以上のカルボキシル基が結合されているもの、あるいは、脂肪族側鎖を介して2つのヒドロキシル基及び1つ以上のカルボキシル基が結合されている化合物であると好適である。このような化合物としては、主鎖が脂肪族骨格であり2つのヒドロキシル基と1つ以上のカルボキシル基を有するものであれば特に制限はないが、例えば、上記一般式(I)で表される化合物又は酒石酸が好ましい。
【0051】
ここで、式(I)中、R^(1)は置換していてもよい炭素数1?5のアルキル基を示し、本発明による上述の効果をより有効に発揮する観点から、プロピル基、ブチル基又はペンチル基であると好ましい。また、n及びmはそれぞれ独立に0?5の整数を示し、本発明による上述の効果をより有効に発揮する観点から、nが0かつmが1であるか、n及びmの両方が1であると好ましく、n及びmの両方が1であるとより好ましい。
【0052】
上記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、2,2-ビスヒドロキシメチルプロピオン酸、2,2-ビスヒドロキシメチルブタン酸、2,2-ビスヒドロキシメチルペンタン酸が挙げられる。」

記載事項2-F
「【0073】
[実施例1]
YDF-170(東都化成社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量=170)25.2質量部と、2PZ-CN(四国化成社製、イミダゾール化合物の商品名)1.3質量部と、BHPA(2,2-ビスヒドロキシメチルプロピオン酸)3.5質量部とを混合し、3本ロールを3回通して接着剤成分を調製した。
【0074】
次に、上述の接着剤成分30質量部に対して、導電性粒子であるSn42-Bi58粒子(平均粒子径20μm)70質量部を加えて混合した。さらにそれらの混合物に3本ロールを3回通した後、真空撹拌らいかい器を用いて500Pa以下で10分間脱泡処理を行うことにより導電性接着剤組成物を得た。
【0075】
[実施例2?9、比較例1?6]
上述したように、表1、2に示す組成とした以外は実施例1と同様にして、実施例2?9、比較例1?6の導電性接着剤組成物を得た。なお、表1、2に示した材料の詳細は以下の通りである。また、表1、2中の各材料の配合割合の単位は質量部である。
BHBA:2,2-ビスヒドロキシメチルブタン酸
BHVA:2,2-ビスヒドロキシメチルペンタン酸
TCG-1:銀粉、徳力化学研究所製商品名
【0076】
(接着性、導電性、耐TCT性及び耐高温放置性の評価)
上記実施例1?9、比較例1?6に係る導電性接着剤組成物の特性を下記の方法で測定した。その結果を表1、2にまとめて示した。
【0077】
(1)接着性(接着強度):導電性接着剤組成物を銀めっき付き銅板上に約0.5mg塗布し、この上に2mm×2mm×0.25mmの矩形平板状の錫めっき付き銅板を圧着して試験片を得た。その後、実施例1?8及び比較例1?5に係る試験片に対しては、150℃、10分間の熱履歴を加えた。実施例9及び比較例6の試験片に対しては、シェア速度500μm/sec、クリアランス100μmでボンドテスター(DAGE社製、2400)により25℃におけるシェア強度を測定した。
【0078】
(2)導電性(体積抵抗率):1mm×50mm×0.03mmの帯状の金めっき付き銅板2枚を、上記導電性接着剤組成物を介して、互いに直交するように貼り合わせて試験片を得た。これにより直交部分における接着剤の層が1mm×1mm×0.03mmの寸法になった。続いて、上記(1)と同様の熱履歴を試験片に加えた。その後の試験片について、四端子法で体積抵抗率を測定した。
【0079】
(3)耐TCT性:1.7mm×1.4mmの銀めっき付き銅箔ランドを設けた、100mm×50mm×1.0mmの矩形平板状のガラスエポキシ基板を準備した。次いで、銅箔ランド上に導電性接着剤組成物をメタルマスク(厚み100μm、開口寸法1.0mm×1.6mm)を用いて印刷し、チップ抵抗(3.2mm×1.6mm)を搭載した。この部品搭載基板に上記(1)と同様の熱履歴を加え、耐TCT性評価用の試験基板を得た。この試験基板を、熱衝撃試験機(1サイクル:-55℃で30分間保持、125℃まで5分間で昇温、125℃で30分間保持、-55℃まで5分間で降温)に投入し、接続抵抗を測定した。耐TCTの評価は、初期抵抗に対して±10%以内の抵抗変化率を示したサイクル数で行った。
【0080】
(4)耐高温放置性:上記(3)と同様にして作製した試験基板を、125℃の高温槽に投入し、接続抵抗を測定した。耐高温放置性の評価は、初期抵抗に対して±10%以内の抵抗変化率を示した放置時間で行った。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】



ウ 引用文献3(国際公開第03/002290号)には、以下のことが記載されている。

記載事項3-A
「請求の範囲

1.鉛フリーSnZn系合金と、 少なくともエポキシ樹脂および有機カルボン酸を含有するハンダ付け用フラックスと、を含有するハンダ組成物であって、前記有機カルボン酸が室温(25℃)において前記ハンダ組成物中に固体で分散されていることを特徴とするハンダ組成物。」

記載事項3-B
「本発明の目的は、上記問題点を解決するものであり、フラックス残渣の洗浄を必要とせず、かつ粘度や印刷性、ハンダ付け性などの経時変化の起こりにくく、エポキシ系フラックスおよび鉛フリーSnZn系合金を含有するハンダ組成物を提供することである。」(明細書第3頁第23行目?第4頁第1行目)

記載事項3-C
「上記鉛フリーSnZn系合金には、SnZn、SnZnBi、SnZnInが含まれるが、これらに限定するものではない。好ましくは、Snを主成分とし、Znが5?15質量%、BiまたはInが10質量%以下であって、約180?210℃の融点を有するSnZn系合金である。Sn9Znの共晶組成(融点199℃)、Sn8Zn3Bi(融点197℃)、Sn8Zn6Bi(融点194℃)、およびSn9Zn4In(融点190℃)がより好適である。」(同第6頁最下行?第7頁第5行目)

記載事項3-D
「上記フラックス成分として含有される有機カルボン酸は、活性剤としての働き、すなわちハンダ付け加工時にプリント基板の導体パターン(銅など)の酸化膜と、ハンダ合金表面の酸化膜を除去して導体パターンにハンダ材が濡れ易くする働きを有するほか、上記エポキシ樹脂と硬化反応にも用いられる。本発明フラックスには、該有機カルボン酸以外の活性剤(アミン、ハロゲン系活性剤など)を用いる必要はない。」(同第7頁第17行目?第22行目)

記載事項3-E
「上記態様で用いられる有機カルボン酸は、飽和脂肪族系ジカルボン酸、不飽和脂肪族系ジカルボン酸、環状脂肪族系ジカルボン酸、アミノ基含有カルボン酸、水酸基含有カルボン酸、複素環系ジカルボン酸、およびこれらの混合物の群から選択されることが好ましい。具体的には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、イタコン酸、メサコン酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、メチルアジピン酸、L-グルタミン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピラジンジカルボン酸、ジグリコール酸、フェニレン二酢酸、カテコール二酢酸、チオプロピオン酸、チオジブチル酸ジチオグリコール酸が含まれる。」(同第9頁第6行目?第15行目)

記載事項3-F
「(実施例1)
cis-4-シク口へキセン-1,2-ジカルボン酸(融点167℃;分子量170)4.42gを乳鉢で微粉末に粉砕し、これをトリエチレングリコール4.33gとエポキシ樹脂AER260(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量192g/eq;旭化成エポキシ(株))10gの混合物に室温(25℃)において添加・混合し、フラックスを調製した。該フラックスに含まれるエポキシ樹脂とカルボン酸は、エポキシ基1当量に対してカルボキシル基1当量となるように配合されている。Sn8Zn3Bi合金を用い、該ハンダ粒に上記フラックスを室温(25℃)において添加・混合し、クリームハンダ組成物とした。上記ハンダ合金は、ハンダ組成物全量に対して88質量%含有されている。該クリームハンダ中に含まれるcis-4-シク口へキセン-1,2-ジカルボン酸は低分子量有機カルボン酸であるため、Znと低分子量の塩を形成する。また、該カルボン酸は室温では固体として分散させた。上記ハンダ組成物を調製した後1時間後にハンダ組成物の粘度を測定したところ230Pa・sであった。また、冷蔵庫(5℃)で3箇月保管した後の該 ハンダ組成物の粘度は240Pa・sとほぼ同様であり、経時変化が起こりにくかった。また、ハンダ濡れ性は良好であり、さらにフラックス残渣無洗浄の場合でもシリコーンゲル封止樹脂の硬化阻害を起こさず、鉛フリーハンダに対して無洗浄で良好なハンダ付けが可能であった。」(同第15頁最下行?第16頁第18行目)

エ 引用文献4(特開2007-216296号公報)には、以下のことが記載されている。

記載事項4-A
「【請求項1】
溶剤として水酸基を2?4個有する多価アルコールを、活性剤として水酸基を4?6個有する糖類をそれぞれ用い、
前記溶剤中に前記活性剤を添加して前記溶剤中に平均粒子径100μm以下の活性剤を分散させたことを特徴とするハンダ用フラックス。」

記載事項4-B
「【0023】
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明のハンダ用フラックスは、溶剤として水酸基を2?4個有する多価アルコールを、活性剤として水酸基を4?6個有する糖類をそれぞれ用い、溶剤中に活性剤を添加して溶剤中に平均粒子径100μm以下の活性剤を分散させたことを特徴とする。溶剤として上記多価アルコールを、活性剤として上記糖類をそれぞれ選択することで、溶剤の水酸基と活性剤の水酸基による水素結合を発現させ、フラックス自体に粘調性を付与することができるため、従来添加していた粘度調性剤等の不要な成分を添加する必要がなくなり、これら粘度調性剤等の成分を起因とする残渣を生成することなく、ハンダ付け終了後の残渣を低減することができる。また、溶剤中に所定の平均粒子径を有する活性剤を分散させることで、適度な濡れ性が得られる。溶剤中に分散させた活性剤の平均粒子径を100μm以下に規定したのは、活性剤の平均粒子径が100μm以下であれば、ハンダペーストにおけるフラックス比率を下げた場合や、極小部品に対する極微量塗布によるハンダ付けにも、活性剤の偏りによる濡れの変動を生じないためである。活性剤の平均粒子径の下限値は0.1μmである。特に好ましい活性剤の平均粒子径は0.1?10μmの範囲内である。」

記載事項4-C
「【0028】
本発明のハンダペーストは、本発明のフラックスと錫を主成分とする合金粉末を混合させたことを特徴とする。本発明のフラックスと錫を主成分とする合金粉末を混合させた本発明のハンダペーストは、印刷に適した粘度を得ることができ、実装時にその粘着性ゆえに実装部品を同位置に留めることができる。またフラックス自体が粘調性を有するため、粘度調性剤等の不要な成分を添加する必要がないため、ハンダ付け終了後の残渣を低減することができる。本発明のハンダペーストは不活性ガス雰囲気中でのハンダ溶融時に適当である。
錫を主成分とする合金粉末の平均粒子径は0.5?60μmの範囲内とすることが好ましい。下限値未満では濡れ性に劣り、上限値を越えるとフラックスと合金粉末が分離する不具合を生じる。特に好ましい平均粒子径は15?55μmの範囲内である。錫を主成分とする合金粉末としては、金錫合金、錫銀合金、錫銅合金、錫亜鉛合金又は錫ビスマス合金が挙げられる。金錫合金粉末はその比重が大きいことから、従来では、金錫合金粉末を用いたペーストでは、ハンダ粉末とフラックスとが分離し易い問題を有していたが、本発明のフラックスを用いることで、比重の大きい金錫合金粉末を使用したペーストを作製することができる。また、平均粒子径の大きいハンダ粉末は、ハンダ濡れ性が良好であることからその使用を望まれていたにもかかわらず、従来のハンダペーストでは、平均粒子径の大きいハンダ粉末とフラックスとが分離し易い問題を有していたために使用することができなかったが、本発明のフラックス、特に揺変剤を含んだフラックスを用いることで、平均粒子径の大きいハンダ粉末を使用したペーストを作製することができ、ハンダ濡れ性が高いペーストが得られる。」

オ 引用文献5(国際公開第2010/122863号)には、以下のことが記載されている。

記載事項5-A
「[請求項1] 複数の太陽電池セルが直列に接続されてなる太陽電池モジュールであって、少なくとも一つの太陽電池セルの表面電極がタブ線と接続されている太陽電池モジュールにおいて、
該太陽電池セルの表面電極とタブ線とが、バインダー樹脂組成物に導電粒子が分散してなる導電性接着層を介して熱圧着処理により接続されており、導電粒子の50質量%以上が、1?50μmの長径と、5μm以下の厚みと、3?150のアスペクト比(=長径/厚み)とを有し、且つ第1電極、第2電極及びタブ線よりも高い硬度を有するフレーク状金属粒子であることを特徴とする太陽電池モジュール。」

記載事項5-B
「[0022] 図1は、本発明の太陽電池モジュール100の概略部分断面図である。この太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池セル50が、インターコネクターとして機能するタブ線30で直列に接続されているものである。ここで、太陽電池セル50は、光電変換素子10とその受光面に設けられた表面電極たるバスバー電極である第1電極21と、非受光面に設けられたバスバー電極である第2電極23と、光電変換素子10上で第1電極、第2電極とほぼ直交するように設けられた集電極であるフィンガー電極22、24とから構成されている。
[0023] なお、図1の太陽電池モジュール100は、通常、図2に示すように、アルミニウムなどの金属フレーム200と、ガラス、透光性プラスチックなどの透光性表面保護材201と、アルミニウム箔を樹脂フィルムで挟持した積層体などの背面保護材202とで形成される空間の中で、エチレンビニルアルコール樹脂(EVA)等の透光性封止材203で封止される。
[0024] このような構造の本発明の太陽電池モジュールにおいては、図1に示すように、タブ線30と第1電極21及び第2電極23とが、バインダー樹脂に導電粒子が分散してなる導電性接着層40を介して熱圧着処理により接続されている。」

記載事項5-C
「[図1]

[図2]



カ 引用文献6(特開2005-243935号公報)には、以下のことが記載されている。

記載事項6-A
「【請求項1】
複数の太陽電池セルからなる太陽電池モジュールであって、太陽電池セルが、該太陽電池セルの受光面に配置されたフィンガー電極と、他の太陽電池セルの電極とが、少なくとも常温で流動性を持たずかつ軟化点が硬化温度以上である熱硬化性導電性接着剤が塗布されたリード線の前記接着剤により接着されていることにより、前記他の太陽電池セルと電気的に接続されているものであることを特徴とする太陽電池モジュール。」

記載事項6-B
「【請求項7】
複数の太陽電池セルからなる太陽電池モジュールの製造方法であって、少なくとも、受光面にバスバー集電電極を持たない複数の太陽電池セルのうちいずれかの受光面に配置されたフィンガー電極と、他の太陽電池セルの電極とを、少なくとも常温で流動性を持たずかつ軟化点が硬化温度以上である熱硬化性導電性接着剤が塗布されたリード線の前記接着剤により接着させることにより、前記いずれかの太陽電池セルを前記他の太陽電池セルと電気的に接続することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。」

記載事項6-C
「【0027】
図1は、複数の太陽電池セルが直列接続された太陽電池モジュールの1つの太陽電池セルのフィンガー電極とそれに隣接する太陽電池セルの裏面電極とのリード線による結線の様子を概略的に示した断面概略図である。
この太陽電池モジュール100は、太陽電池セル105が、該太陽電池セルの受光面に配置されたフィンガー電極101と、隣接する太陽電池セル105’の裏面電極104’とが、少なくとも常温で流動性を持たずかつ軟化点が硬化温度以上である熱硬化性導電性接着剤103、103’が塗布されたリード線102の導電性接着剤103、103’により接着されていることにより、隣接する太陽電池セル105’と電気的に接続されているものである。なお、図示しないその他の太陽電池セルの接続はこのような接続が繰り返されたものである。接続する太陽電池セルの数は、所望の電流、電圧に応じて適宜選択することができる。」

記載事項6-D
「【図1】



(4) 引用文献1?3に記載された発明

ア 引用文献1に記載された発明

引用文献1には、低融点金属粒子と、該低融点金属粒子の表面に形成されている酸化皮膜を加熱状態で除去するアジピン酸及びセパシン酸の少なくとも1種と、有機接着剤と、を含むことを特徴とする通電接着剤に関し(1-A)、具体的には、上記「低融点金属粒子」としては、錫-ビスマス合金(Sn:42質量%、ビスマス:58質量%、融点:139℃)を用い、また、上記「アジピン酸及びセパシン酸の少なくとも1種」としては、平均粒径が10μmの固体アジピン酸を用い、ここで、当該固体アジピン酸は粒子状であるといえ、さらに、上記「有機接着剤」としては、アクリルゴム微粒子分散エポキシ樹脂を主剤として用いたことが記載されている(1-E)。
したがって、引用文献1には、次のとおりの発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「融点が139℃である錫-ビスマス合金(Sn:42質量%、ビスマス:58質量%)を含む金属粒子、アクリルゴム微粒子分散エポキシ樹脂、及び、粒子状の固体アジピン酸とを含み、前記固体アジピン酸の平均粒径が10μmである通電接着剤。」

イ 引用文献2に記載された発明

引用文献2には、融点が260℃以下であり、かつ鉛以外の金属を含む導電性粒子、及び、熱硬化性樹脂と脂肪族ジヒドロキシカルボン酸とを含む接着剤成分、を含有する導電性接着剤組成物に関し(2-A)、具体的には、上記「導電性粒子」としては、融点が138℃であるSn42-Bi58粒子を用い(2-B、2-F)、また、上記「熱硬化性樹脂」として、YDF-170(東都化成社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の商品名)を用い、さらに、上記「脂肪族ジヒドロキシカルボン酸」として、BHPA(2,2-ビスヒドロキシメチルプロピオン酸)を用いたことが記載されている(2-B、2-F)。
したがって、引用文献2には、次のとおりの発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「融点が138℃であるSn42-Bi58粒子、YDF-170(東都化成社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の商品名)、BHPA(2,2-ビスヒドロキシメチルプロピオン酸)とを含む、導電性接着剤組成物。」

ウ 引用文献3に記載された発明

引用文献3には、鉛フリーSnZn系合金と、 少なくともエポキシ樹脂および有機カルボン酸を含有するハンダ付け用フラックスと、を含有するハンダ組成物であって、前記有機カルボン酸が室温(25℃)において前記ハンダ組成物中に固体で分散されていることを特徴とするハンダ組成物に関し(3-A)、具体的には、上記「鉛フリーSnZn系合金」として、融点が197℃であるSn8Zn3Bi合金の粒を用い、また、上記「エポキシ樹脂」として、エポキシ樹脂AER260(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を用い、さらに、上記「有機カルボン酸」として、微粉末状のcis-4-シク口へキセン-1,2-ジカルボン酸を用いることが記載されているといえる(3-C、3-F)。
したがって、引用文献3には、次のとおりの発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

「融点が197℃であるSn8Zn3Biの粒、エポキシ樹脂AER260(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、及び、微粉末状のcis-4-シク口へキセン-1,2-ジカルボン酸とを含むハンダ組成物。」

(5)判断

取消理由通知に記載した取消理由については以下のとおりである。

ア 理由1及び2(特許法第29条第1項3号及び第29条第2項)につ いて

a 引用文献1を主引例とした場合

本件発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「融点が139℃である錫-ビスマス合金(Sn:42質量%、ビスマス:58質量%)を含む金属粒子」は、導電性を有することは明らかであり、その融点も220℃以下であるから、本件発明1における「(A)融点が220℃以下である金属を含む導電性粒子」に相当する。
また、引用発明1における「アクリルゴム微粒子分散エポキシ樹脂」は、上記1-Cにおいて熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が例示されていることからみても、熱硬化性樹脂であることは明らかであるから、本件発明1における「(B)熱硬化性樹脂」に相当する。
また、本件発明1の「フラックス活性剤」は、本件明細書の【0063】によれば「(A)導電性粒子における融点が220℃以下である金属の表面に形成された酸化膜除去能を示」すものであって、同じく【0063】にアジピン酸が例示されていることもあり、引用発明1における「固体アジピン酸」は、本件発明1の「フラックス活性剤」に相当する。
さらに、引用発明1における「通電接着剤」は、本件発明1における「導電性接着剤組成物」に相当する。
したがって、本件発明1と引用発明1は、「(A)融点が220℃以下である金属を含む導電性粒子、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)粒子状のフラックス活性剤を含む導電性接着剤組成物。」である点で一致し、以下の点で相違していると認められる。

(相違点1)
フラックス活性剤の平均粒子径について、引用発明1は「10μm」であるのに対し、本件発明1は「1μm以上6μm以下」である点

以下、相違点1について検討する。
本件明細書には、以下の記載がある。

「【0068】
(C)フラックス活性剤の平均粒子径は、15μm以下である。平均粒子径が15μm以下であることにより金属がより溶融しやすくなる。平均粒子径が小さくなることで、(C)フラックス活性剤の見かけ融点が低下し溶融しやすくなることで、酸化被膜の除去が容易となると推察している。また、導電性接着剤組成物の作業性を更に良好にする観点から、この平均粒子径は10μm以下であることが好ましく、0.1?6μmであることがより好ましい。さらに、導電性接着剤組成物の塗布性及び印刷性を向上させる観点から、この平均粒子径は0.1?2μmであることが特に好ましい。ここで塗布性が良好であるとは、導電性接着剤組成物を塗布する際に、例えばディスペンサーを用いてライン描写をした場合、ライン幅が均一であることをいう。また、印刷性とは、対象物に導電性接着剤組成物を塗布する際に、例えばスクリーン印刷にて連続印刷した場合、対象物上のペースト粘度が増加せず安定であることをいう。」

「【表1】



「【0106】
〔塗布性評価〕
得られた導電性接着剤組成物をシリンジへ充填し、ノズル21G(内径0.57mm)を装着したのち、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング(株)製、SHOTOmini SL)を用いて、圧力0.1MPa、塗布速度2.0mm/secにてライン描写を行った。3510mmのライン描写を行った後、描写始点と終点のライン幅を測定した。ライン幅の変化量(=(終点ライン幅/始点ライン幅-1)×100(%))が±5%以内(A)であれば良好であり、±10%以内であればB、±15%以内であればC、±15%以上はDと評価した。
【0107】
〔印刷性評価〕
得られた導電性接着剤組成物を用いて、スクリーン印刷機(ミナミ(株)製、MK-838SV)にて連続印刷を行った。版には250メッシュスクリーンを用い、スキージ圧/スクレッパ圧=0.28/0.20MPa、スキージ/スクレッパ速度=100/100mm/sec、スキージ角度60°、クリアランス1.5mmの条件下にて50回連続印刷を行い、印刷前後の粘度測定を行った。粘度測定には、TV-33形粘度計(東機産業(株)、TV-33(SPPコーン仕様))を用い、5rpmで5min後の粘度を測定した。ここで粘度の変化量(=(印刷後粘度/印刷前粘度-1)×100(%))が±10%以内(A)であれば良好であり、±20%以内であればB、±30%以内であればC、±30%以上はDと評価した。
【0108】
【表2】



すなわち、本件明細書には、フラックス活性剤について、平均粒子径は15μm以下であり、10μm以下であることが好ましく、0.1?6μmであることがより好ましい旨開示されており、また、実施例をみると、平均粒子径が「1?6μm」である実施例2?5は、平均粒子径が「10μm」である実施例1、6、7と比較すると、太陽電池セルの電極と配線部材との接続に用いた場合に、特に、塗布性及び印刷性に優れていることが記載されているところ、本件発明1において平均粒子径を「1?6μm」の範囲にすることは、臨界的意義を有するといえる。
一方、引用文献1には、「10μm程度」(1-D)、実施例には「10μm」(1-E)と記載されているだけであって、フラックス活性剤の平均粒子径に関する技術的意義は記載されておらず、最適化に関する開示ないし示唆もない。また、引用文献2、5、6をみても、フラックス活性剤の平均粒子径を調整することについての開示ないし示唆もない。
してみると、本件発明1において、フラックス活性剤の平均粒子径を最適化し、「1?6μm」の範囲とすることは、予期できない異質な効果が奏されるものといえ、また、平均粒子径の最適化を行うことの技術的意義を考慮すると、当該平均粒子径の範囲の特定が単なる数値範囲の最適化であるとまではいえない。
したがって、本件発明1は、引用発明1、及び、引用文献1、2、5、6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反せず、同法第29条第1項3号にも違反しない。
そして、本件発明1が容易ではない以上、本件発明1を引用する本件発明3?11についても同様に、特許法第29条第2項の規定に違反せず、同法第29条第1項3号にも違反しない。

b 引用文献2を主引例とした場合

本件発明1と引用発明2とを対比すると、引用発明2における「融点が138℃であるSn42-Bi58粒子」は、Sn42-Bi58粒子が導電性を有することが明らかであり、融点が220℃以下であるから、本件発明1における「(A)融点が220℃以下である金属を含む導電性粒子」に相当する。
また、引用発明2における「YDF-170(東都化成社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の商品名)」は、上記2-Dにおいて熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が例示されていることからみても、熱硬化性樹脂であることは明らかであるから、本件発明1における「(B)熱硬化性樹脂」に相当する。
そして、本件明細書の【0063】によれば「(C)フラックス活性剤は、(A)導電性粒子における融点が220℃以下である金属の表面に形成された酸化膜除去能を示」すものであって、【0065】には「2,2-ビスヒドロキシメチルプロピオン酸)」がフラックス活性剤として例示されていることからすれば、引用発明2における「BHPA(2,2-ビスヒドロキシメチルプロピオン酸)」は、本件発明1の「フラックス活性剤」に相当する。
したがって、本件発明1と引用発明2は、「(A)融点が220℃以下である金属を含む導電性粒子、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)フラックス活性剤を含む、導電性接着剤組成物。」である点で一致し、以下の点で相違していると認められる。

(相違点2)
フラックス活性剤について、本件発明1は「粒子状」であって、その平均粒子径を「1μm以上6μm以下」と特定しているが、引用発明2においては、それらが特定されていない点

以下、相違点2について検討する。
引用発明2をみても、BHPAが粒子状であるかどうか定かでなく、仮に粒子状であったとしても、その平均粒径に関しては、上記相違点1について述べたことと同様に、最適化し、「1?6μm」の範囲とすることは、予期できない異質な効果が奏されるものといえ、また、平均粒子径の最適化を行うことの技術的意義を考慮すると、当該平均粒子径の範囲の特定が単なる数値範囲の最適化であるとまではいえない。
一方、引用文献2には、平均粒径の範囲の特定についての開示ないし示唆もない。
また、引用文献1、5、6をみても、フラックス活性剤の平均粒子径を調整することについての開示ないし示唆もない。
さらに、引用文献4には、「溶剤中に所定の平均粒子径を有する活性剤を分散させることで、適度な濡れ性が得られる。溶剤中に分散させた活性剤の平均粒子径を100μm以下に規定したのは、活性剤の平均粒子径が100μm以下であれば、ハンダペーストにおけるフラックス比率を下げた場合や、極小部品に対する極微量塗布によるハンダ付けにも、活性剤の偏りによる濡れの変動を生じないためである。活性剤の平均粒子径の下限値は0.1μmである。特に好ましい活性剤の平均粒子径は0.1?10μmの範囲内である。」と記載されているいるところ(4-B)、引用文献4に記載された発明における「平均粒子径の最適化」の技術的意義は、「活性剤の偏りによる濡れの変動」に対するものであって、本件発明1のように、太陽電池セルの電極と配線部材との接続に用いた場合に、塗布性及び印刷性を向上させることに対するものであるという技術的意義とは異なるものである。
したがって、本件発明1は、引用発明2、及び、引用文献1、4、5、6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反しない。
そして、本件発明1が容易ではない以上、本件発明1を引用する本件発明3?11についても同様に、特許法第29条第2項の規定に違反しない。

c 引用文献3を主引例とした場合

本件発明1と引用発明3とを対比すると、引用発明3における「融点が197℃であるSn8Zn3Bi粒子」は、Sn8Zn3Bi粒子が導電性を有することは明らかであり、融点が220℃以下であるから、本件発明1における「(A)融点が220℃以下である金属を含む導電性粒子」に相当する。
また、引用発明3における「エポキシ樹脂AER260(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)」は、上記aやbで述べたとおり、熱硬化性樹脂であることは技術的に明らかであるから、本件発明1における「(B)熱硬化性樹脂」に相当する。
そして、引用発明3の「微粉末cis-4-シク口へキセン-1,2-ジカルボン酸」は、上記記載事項3-Eによれば、有機カルボン酸であって、また、3-Dによれば「酸化膜を除去して導体パターンにハンダ材が濡れ易く働きを有する」とのことであるから、引用発明の本件発明1の「粒子状のフラックス活性剤」に相当するといえる。
また、引用発明3における「ハンダ組成物」は、本件発明1の「導電性接着剤組成物」に相当する。
したがって、本件発明1と引用発明3は、「(A)融点が220℃以下である金属を含む導電性粒子、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)粒子状のフラックス活性剤を含む、導電性接着剤組成物。」である点で一致し、以下の点で相違している。

(相違点3)
フラックス活性剤の平均粒子径について、本件発明1は「1μm以上6μm以下」と特定しているが、引用発明2においては、それが特定されていない点

以下、相違点3について検討する。
上記相違点1について述べたことと同様に、フラックス活性剤の平均粒子径を最適化し、「1?6μm」の範囲とすることは、予期できない異質な効果が奏されるものといえ、また、平均粒子径の最適化を行うことの技術的意義を考慮すると、当該平均粒子径の範囲の特定が単なる数値範囲の最適化であるとまではいえない。
一方、引用文献3、また、引用文献1、5、6をみても、フラックス活性剤の平均粒子径を調整することについての開示ないし示唆もなく、引用文献4をみても、上述したとおり、平均粒子径の最適化について記載はあるものの、その技術的意義が本件発明と異なるものである。
したがって、本件発明1は、引用発明3、及び、引用文献1、4、5、6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反しない。
そして、本件発明1が容易ではない以上、本件発明1を引用する本件発明3?11についても同様に、特許法第29条第2項の規定に違反しない。

ウ 理由3(特許法第36条第6項第2号)について

申立人は、申立書の第36頁?第37頁において、本件明細書には、フラックス活性剤の平均粒径の測定方法が記載されておらず、当業者に慣用されているものでもないから、本件発明は不明確である旨主張している。
そこで、本件明細書をみると、「本明細書中、(C)フラックス活性剤の平均粒子径とは、例えば、粒度分布測定装置(マルバーン製、Mastersizer2000)を用い、レーザー回折法により得られる粒度分布の体積分布から求めた50%径をいう。」(【0009】)、「平均粒子径は粒度分布測定装置(マルバーン製、Mastersizer2000)を用い、レーザー回折法によって求めた値である。なお、平均粒子径は、乾燥粉末をサンプルとして用いて測定した。」(【0096】)と記載されている。
ここで、【0009】には、「例えば」と記載されているから、平均粒子径の定義は、例示に過ぎないともいえるが、【0096】には、具体的に、「平均粒子径は粒度分布測定装置(マルバーン製、Mastersizer2000)を用い、レーザー回折法によって求めた値である」と記載されているから、平均粒子径の測定方法は記載されているといえる。そして、「乾燥粉末」をサンプルと使用しているのであるから、湿式ではなく乾式で測定しているともいえる。
したがって、本件発明における「平均粒子径」との記載は当業者にとって不明確であるとはいえないから、特許請求の範囲の記載に不備があるとはいえず、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえない。

4.むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由1?3によっては、本件請求項1、3?11に係る特許を取り消すことはできないし、他に本件請求項1、3?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2に係る発明は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項2に対する申立理由については、対象となる請求項が存在しないため、却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)融点が220℃以下である金属を含む導電性粒子、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)粒子状のフラックス活性剤を含み、前記(C)フラックス活性剤の平均粒子径が1μm以上6μm以下である導電性接着剤組成物。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記(A)導電性粒子における金属が、ビスマス、インジウム、スズ及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含有する、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項4】
前記(B)熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含有する、請求項1又は3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項5】
硬化剤又は硬化促進剤をさらに含有する、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項6】
前記(C)フラックス活性剤が、水酸基及びカルボキシル基を有する化合物を含有する、請求項1、及び3?5のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項7】
太陽電池セルの電極と配線部材とを電気的に接続するために用いられる、請求項1、及び3?6のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項8】
複数の太陽電池セルが配線部材を介して接続される接続体であって、
該太陽電池セルの電極と配線部材とが、請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物を介して接続されている接続体。
【請求項9】
太陽電池セルの電極と配線部材とを、請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物を介して、相対向するように配置する工程と、
得られた構造物を加熱する工程と、
を備える太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
太陽電池セルの電極に請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物を塗布する工程と、
前記導電性接着剤組成物を塗布した電極と配線部材とを相対向するように配置する工程と、
前記太陽電池セルの受光面上に封止部材及び透光部材をこの順に積層する工程と、
前記太陽電池セルの受光面とは反対側の面上に封止部材及び保護部材をこの順に積層する工程と、
得られた積層体を加熱することにより前記太陽電池セルと配線部材とを電気的に接続するとともに接着しながら、前記太陽電池セルを封止する工程と、
を備える太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
請求項1、及び3?7のいずれか一項に記載の導電性接着剤組成物を介して、複数の太陽電池セルの電極と配線部材とが電気的に接続された太陽電池モジュール。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-06-26 
出願番号 特願2012-554712(P2012-554712)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C09J)
P 1 651・ 537- YAA (C09J)
P 1 651・ 121- YAA (C09J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 澤村 茂実  
特許庁審判長 國島 明弘
特許庁審判官 原 賢一
井上 能宏
登録日 2016-03-18 
登録番号 特許第5900349号(P5900349)
権利者 日立化成株式会社
発明の名称 導電性接着剤組成物、接続体及び太陽電池モジュール  
代理人 清水 義憲  
代理人 酒巻 順一郎  
代理人 酒巻 順一郎  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 清水 義憲  

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