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審決分類 審判 一部無効 利害関係、当事者適格、請求の利益  A61K
管理番号 1331539
審判番号 無効2017-800055  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-04-21 
確定日 2017-08-14 
事件の表示 上記当事者間の特許第4912492号発明「二酸化炭素含有粘性組成物」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は,請求人の負担とする。 
理由 第1 請求の趣旨
特許第4912492号の請求項1ないし5及び7に係る発明についての特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求める。

第2 主な手続の経緯等
1 被請求人は,発明の名称を「二酸化炭素含有粘性組成物」とする発明につき,1998年10月5日を国際出願日とする特許出願(特願2000-520135号。先の出願に基づく優先権主張 1997年11月7日)の一部を新たに特許出願した。因みに,当該新たな特許出願の願書に記載された特許出願人は株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ(以下「メディオン」という。),発明者は田中雅也(以下「田中」という。)及び日置正人であった。
2 本件特許出願については,特許第4912492号(請求項の数は7。)として,平成24年1月27日,特許権者をメディオンとする特許権が設定登録された。
3 請求人ウインセンス株式会社(以下「ウインセンス」という場合がある。)は,平成29年4月21日,特許第4912492号のうち請求項1ないし5及び7に係る発明についての特許(以下「本件特許」という。)に対し特許無効審判を請求した。
4 本件の審判長は,平成29年5月29日,請求人に対し,請求書における主張の内容を確認することを趣旨とする審尋をしたところ,請求人は,同年6月1日付けで審尋に対する回答書を提出した。

第3 請求人の主張
1 主位的主張
本件特許に係る発明(以下「本件発明」という。)は,田中と坂田秀哉(以下「坂田」という。)とが鐘紡株式会社(以下「鐘紡」という。)在職中に職務発明として完成させたものであるから,鐘紡の職務発明規定に従い,本件特許を受ける権利は鐘紡に帰属している。
よって,メディオンによる本件特許に係る出願は冒認であって,本件特許は特許法(以下,単に「法」という。)123条1項6号に該当する。
2 予備的主張
仮に,本件発明が鐘紡の職務発明に該当しないとしても,坂田も本件発明の発明者であり,少なくとも坂田はメディオンに対して本件特許を受ける権利を譲渡していない。
そして,特許を受ける権利の帰属者は坂田及び田中であり,メディオンによる本件特許に係る出願は冒認であるから,本件特許は法123条1項6号に該当する。
あるいは,特許を受ける権利の帰属者は坂田及び田中から譲渡を受けたメディオンであり,メディオンによる本件特許に係る出願は共同出願違反であるから,本件特許は法123条1項2号(法38条規定違反)に該当する。(審決注:請求書には,無効理由として,冒認出願のみの主張しか明示的にはうかがえないものの,上記回答書における主張を含め総合勘案すると,請求人は,共同出願違反も併せ主張すると解される。)

第4 合議体の判断
1 特許無効審判の請求人適格を定める法123条2項は,同条1項2号(特許が法38条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項6号に該当することを理由として審判請求する場合にあっては,特許を受ける権利を有する者すなわち真の権利者に限り特許無効審判を請求することができる旨を定める。
2 請求人は,上記第3_1の主位的主張において,真の権利者は鐘紡であるから,メディオンによる本件特許に係る出願は冒認であると主張する。また,予備的主張において,真の権利者は坂田及び田中,あるいは,坂田及びメディオン(この場合,田中がメディオンに特許を受ける権利を譲渡したことを請求人は争わないと解される。)であると主張する。
3 しかし,本件審判は,本件特許が法123条1項6号に該当すること,あるいは法123条1項2号(法38条規定違反)に該当することを理由として請求されたものであるところ,その請求の理由において,真の権利者は,主位的に鐘紡であると,また予備的に坂田及び田中あるいは坂田及びメディオンであると主張するにもかかわらず,その請求は鐘紡や坂田などではないウインセンスによりなされたものである。しかも,ウインセンスが真の権利者であることの主張立証はなく,それを認めるに足りる証拠もない。
4 したがって,本件審判の請求は,法123条2項の要件を欠く不適法なものであるといわざるを得ない。

第5 むすび
以上のとおり,本件審判は,本件特許が法123条1項6号ないしは同項2号(法38条規定違反)に該当することを理由として請求されたものであるところ,請求人は,同条2項所定の特許を受ける権利を有する者に該当するものではない。そうすると,本件審判の請求は不適法であって,その補正をすることができないものであるから,法135条の規定により,被請求人に答弁書を提出する機会を与えることなく,審決をもってこれを却下すべきである。
審判に関する費用については,特許法169条2項で準用する民事訴訟法61条の規定により,請求人が負担すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-15 
結審通知日 2017-06-19 
審決日 2017-07-03 
出願番号 特願2010-199412(P2010-199412)
審決分類 P 1 123・ 02- X (A61K)
最終処分 審決却下  
前審関与審査官 岩下 直人  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 須藤 康洋
小川 慶子
登録日 2012-01-27 
登録番号 特許第4912492号(P4912492)
発明の名称 二酸化炭素含有粘性組成物  
代理人 山田 威一郎  
代理人 迫田 恭子  
代理人 田中 順也  
代理人 水谷 馨也  
代理人 高橋 淳  
代理人 柴田 和彦  

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