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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1331648
審判番号 不服2016-18189  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-05 
確定日 2017-08-17 
事件の表示 特願2015- 10960「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月23日出願公開、特開2015- 77470〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年5月18日を出願日とする特願2012-114063号の一部を平成27年1月23日に新たに特許出願したものであって、平成28年1月18日付けで拒絶理由通知がなされ、同年3月16日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年9月1日付け(発送日:同年9月7日)で拒絶査定がなされ、これに対して同年12月5日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、これに対して平成29年2月13日付けで前置報告がなされたものである。

第2 平成28年12月5日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成28年12月5日付けの手続補正(以下、本件補正という)を却下する。

[理由]

1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1、請求項2及び請求項3の記載の補正を含む補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、
補正前(平成28年3月16日付け手続補正)の
「【請求項1】
A’ 所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段と、
B’ 始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と、
C’ 前記特別遊技判定が行われると、所定の図柄を図柄表示手段に変動表示させてから停止表示させることにより、当該特別遊技判定の結果を表示する図柄表示制御手段と、
D’ 前記図柄が変動されているときに前記取得情報が取得されると、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と、
E’ 前記図柄が変動されているときに前記取得情報が取得されると、当該変動が終了する前に、当該取得情報に基づいて特別遊技を行うか否かの事前判定を行う事前判定手段と、
F’ 前記特別遊技判定の結果に基づいて、前記所定の図柄の変動表示が開始されると複数の演出図柄を変動開始させ、前記所定の図柄が停止表示されると、当該複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段と、を備え、
前記演出図柄制御手段は、
前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合において、前記事前判定の結果に基づいて、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に所定の停止パターンで停止表示させることが可能であり、
前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、通常停止パターンで当該複数の演出図柄を停止表示させることが可能な第1演出図柄制御手段と、
G’ 前記事前判定の対象となった前記特別遊技判定の権利に係る前記所定の図柄の変動の少なくとも2回前の変動において、前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、前記特別遊技が行なわれる信頼度が高い前記特別遊技判定の権利が保留されていることを示唆する停止パターンであって前記通常停止パターンとは異なる第1の特定停止パターンで、前記複数の演出図柄を停止表示させることが可能な第2演出図柄制御手段と、
H’ 前記複数の演出図柄が前記第1の特定停止パターンで停止表示された変動の次以降の前記保留記憶手段に保留された前記特別遊技判定の権利に係る前記所定の図柄の変動において、前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、前記特別遊技が行なわれる信頼度が高い前記特別遊技判定の権利が保留されていることを示唆する停止パターンであって前記第1の特定停止パターンとは異なる第2又は第3の特定停止パターンで、前記複数の演出図柄を停止表示させることが可能な第3演出図柄制御手段と、を含み、
I’ 前記演出図柄制御手段は、前記所定の図柄の変動中に行われた前記事前判定の結果に基づいて、現在の変動の次以降の少なくとも2回の変動において前記複数の演出図柄を前記第1の特定停止パターン、前記第2の特定停止パターン、及び前記第3の特定停止パターンの何れで停止させるかを決定し、次以降の少なくとも2回の変動において当該決定した停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させ、
J’ 前記第3演出図柄制御手段によって前記複数の演出図柄が前記第2の特定停止パターンで停止表示されたときは、前記第2演出図柄制御手段によって前記複数の演出図柄が前記第1の特定停止パターンで停止表示されたときよりも、前記事前判定の対象となった前記特別遊技判定の権利に係る図柄の変動において前記特別遊技が行われる信頼度が高く、
前記第3演出図柄制御手段によって前記複数の演出図柄が前記第3の特定停止パターンで停止表示されたときは、前記第3演出図柄制御手段によって前記複数の演出図柄が前記第2の特定停止パターンで停止表示されたときよりも、前記信頼度が高い、
K’ 遊技機。」
から、
補正後(本件補正である平成28年12月5日付け手続補正)の
「【請求項1】
A 所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段と、
B 始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と、
C 前記特別遊技判定が行われると、所定の図柄を図柄表示手段に変動表示させてから停止表示させることにより、当該特別遊技判定の結果を表示する図柄表示制御手段と、
D 前記図柄が変動されているときに前記取得情報が取得されると、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と、
E 前記図柄が変動されているときに前記取得情報が取得されると、当該変動が終了する前に、当該取得情報に基づいて特別遊技を行うか否かの事前判定を行う事前判定手段と、
F 前記特別遊技判定の結果に基づいて、前記所定の図柄の変動表示が開始されると複数の演出図柄を変動開始させ、前記所定の図柄が停止表示されると、当該複数の演出図柄を停止表示させることが可能な演出制御手段と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合において、前記事前判定の結果に基づいて、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に所定の停止パターンで停止表示させることが可能であり、
前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、通常停止パターンで当該複数の演出図柄を停止表示させることが可能な第1演出制御手段と、
G 前記事前判定の対象となった前記特別遊技判定の権利に係る前記所定の図柄の変動(以下、「対象変動」という)の少なくとも2回前の変動において、前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する停止パターンであって前記通常停止パターンとは異なる第1の特定停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させるとともに、当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行することが可能な第2演出制御手段と、
H 前記複数の演出図柄が前記第1の特定停止パターンで停止表示された前記所定の図柄の変動の次以降の前記所定の図柄の変動において、前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する停止パターンであって前記第1の特定停止パターンとは異なる第2又は第3の特定停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させるとともに、当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行することが可能な第3演出制御手段と、を含み、
I 前記演出制御手段は、前記所定の図柄の変動中に行われた前記事前判定の結果に基づいて、現在の変動の次以降の少なくとも2回の変動において前記複数の演出図柄を前記第1の特定停止パターン、前記第2の特定停止パターン、及び前記第3の特定停止パターンの何れで停止させるかを決定し、次以降の少なくとも2回の変動において当該決定した停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させ、
J 前記複数の演出図柄が前記第2の特定停止パターンで停止表示されたときは、前記複数の演出図柄が前記第1の特定停止パターンで停止表示されたときよりも、前記対象変動において前記特別遊技が行われる信頼度が高く、
前記複数の演出図柄が前記第3の特定停止パターンで停止表示されたときは、前記複数の演出図柄が前記第2の特定停止パターンで停止表示されたときよりも、前記対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高い、
K 遊技機。」

へ補正された(記号は分節のため当審で付した。下線は補正箇所を示す)。

2.補正の適否
上記補正事項は、補正前の請求項1における
(1)「複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段」を、「複数の演出図柄を停止表示させることが可能な演出制御手段」とする補正、
(2)「演出図柄制御手段」、「第1演出図柄制御手段」、「第2演出図柄制御手段」、「第3演出図柄制御手段」をそれぞれ「演出制御手段」、「第1演出制御手段」、「第2演出制御手段」、「第3演出制御手段」とする補正、
(3)「事前判定の対象となった前記特別図柄判定の権利に係る前記所定の図柄の変動」に「(以下、「対象変動」という)」という事項を追加する補正、
(4)「前記特別遊技が行われる信頼度が高い前記特別遊技判定の権利が保留されていることを示唆する停止パターン」を「前記対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する停止パターン」とする補正、
(5)「通常停止パターンとは異なる第1の特定停止パターンで、前記複数の演出図柄を停止表示させる」という記載を「通常停止パターンとは異なる第1の特定停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させるとともに、当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行する」とする補正、すなわち、「パターンで、前記複数」の読点を削除するとともに、「停止表示させる」の後に「とともに、当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行する」という事項を追加することで限定する補正、
(6)「第1の特定停止パターンで停止表示された変動の次以降の前記保留記憶手段に保留された前記特別遊技判定の権利に係る前記所定の図柄の変動において」という記載を「第1の特定停止パターンで停止表示された前記所定の図柄の変動の次以降の前記所定の図柄の変動において」とする補正、すなわち、「第1の特定停止パターンで停止表示された」という記載の次に「前記所定の図柄の変動の」という記載を追加し、「前記保留記憶に保留された前記特別遊技判定の権利に係る」という記載を削除する補正、
(7)「第1の停止パターンとは異なる第2又は第3の特定停止パターンで、前記複数の演出図柄を停止表示させる」という記載を「第1の特定停止パターンとは異なる第2又は第3の特定停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させるとともに、当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行する」とする補正、すなわち、「パターンで、前記複数」の読点を削除するとともに、「停止表示させる」の後に「とともに、当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行する」という事項を追加することで限定する補正、
(8)「前記第2演出図柄制御手段によって」、「前記第3演出図柄制御手段によって」という記載を削除する補正、
(9)「前記事前判定の対象となった前記特別遊技の権利に係る図柄の変動において」を「前記対象変動において」とする補正、
(10)「前記信頼度が高い」を「前記対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高い」とする補正、
を行ったことによるものである。

そして、上記補正(1)は補正前の請求項1の発明特定事項である「複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段」について、複数の演出図柄を「停止表示させることが可能な演出制御手段」と発明を明確化する補正であり、上記補正(2)(8)は発明を明確化するために冗長な記載を削除する補正であり、上記補正(3)は発明を明確化するために「事前判定の対象となった前記特別図柄判定の権利に係る前記所定の図柄の変動」を「対象変動」と定義する補正であり、上記補正(4)(9)(10)は上記補正(3)により定義された「対象変動」という記載を用いて発明を明確化するための補正であり、上記補正(5)(7)は、補正前の請求項1の発明特定事項を限定する補正であり、上記補正(6)は発明を明確化するための補正である。
また、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
次に、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)原査定の拒絶の理由において提示された、本願の出願遡及日以前に出願された特願2011-41310号(特開2012-176178号公報参照)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という)には以下の記載がある。(下線は合議体が審決にて付した。以下、同じ)

ア 「【0030】
図柄表示装置41には、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。この場合、図柄表示装置41における変動表示は、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて開始される。すなわち、メイン表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置41において変動表示が行われる。そして、例えば、開閉実行モードとして可変入賞装置32の大入賞口32aの開放が15回行われることとなる15ラウンド対応の開閉実行モードに移行する遊技回では、図柄表示装置41において予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示される。
・・・
【0060】
表示制御装置212では、音声ランプ制御装置82から入力したコマンドに基づいて、図柄表示装置41の表示制御を実行する。」

イ 「【0102】
次に、主制御基板201のMPU202にて各遊技回の遊技を進行させる上で実行されるタイマ割込み処理及び通常処理を説明する。
・・・
【0127】
次に、通常処理の流れを図13のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理である。その概要として、ステップS401?ステップS409の処理が4msec周期の処理として実行され、その残余時間でステップS410及びステップS411のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
・・・
【0131】
ステップS404では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり判定、図柄表示装置41による図柄の変動表示の設定、及びメイン表示部43の表示制御などを行う。遊技回制御処理の詳細は後述する。
・・・
【0142】
次に、ステップS404の遊技回制御処理を図14?図18のフローチャート等を参照して説明する。
【0143】
遊技回制御処理では、先ずステップS501にて、開閉実行モード中か否かを判定する。
・・・
【0145】
開閉実行モード中でない場合には、ステップS502にて、メイン表示部43が変動表示中であるか否かを判定する。・・・
【0146】
メイン表示部43が変動表示中でない場合には、ステップS503?ステップS506の遊技回開始用処理に進む。・・・
【0147】
始動保留記憶数Nが「0」でない場合には、ステップS504にて保留球格納エリア232の保留用エリアREに記憶されているデータを変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行し、さらにステップS505にてメイン表示部43における変動表示及び図柄表示装置41における変動表示を開始させるための変動開始処理を実行する。
・・・
【0154】
次に、ステップS505の変動開始処理について、図16のフローチャートを参照して説明する。
【0155】
変動開始処理では、先ずステップS701にて、今回の変動開始処理に対応した保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定するための当否判定処理を実行する。
・・・
【0164】
変動開始処理(図16)の説明に戻り、ステップS701にて当否判定処理を実行した後は、ステップS702にて大当たり当選であるか否かを判定する。具体的には、MPU202のレジスタに大当たり情報が記憶されているか否かを判定する。大当たり情報が記憶されている場合には、ステップS703にて今回の大当たり当選の種別が第1確変大当たり結果であるか否かを判定する。具体的には、実行エリアAEに格納された情報のうち種別判定用の情報、すなわち大当たり種別カウンタC2によって更新された情報から取得した情報を把握するとともに、ROM203の振分テーブルから第1確変大当たり情報に対応した情報を取得する。そして、両情報を比較し、第1確変大当たり情報に対応しているか否かを特定する。第1確変大当たり結果である場合には、ステップS704にて第1確変大当たり用の停止結果設定処理を実行する。
【0165】
ステップS703にて第1確変大当たり結果でないと判定した場合には、ステップS705にて今回の大当たり当選の種別が第2確変大当たり結果であるか否かを判定する。具体的には、実行エリアAEに格納された情報のうち種別判定用の情報、すなわち大当たり種別カウンタC2によって更新された情報から取得した情報が、ROM203の振分テーブルから取得した第2確変大当たり情報に対応した情報と対応しているか否かを特定する。第2確変大当たり結果である場合には、ステップS706にて第2確変大当たり用の停止結果設定処理を実行する。
【0166】
第1確変大当たりと第2確変大当たりのいずれでもない場合(ステップS703及びステップS705が共にNOである場合)には、通常大当たり結果であることを意味するため、ステップS707にて通常大当たり用の停止結果設定処理を実行する。また、ステップS702にて大当たり当選ではないと判定した場合には、ステップS708にて外れ時用の停止結果設定処理を実行する。
【0167】
ステップS704,ステップS706?ステップS708の各停止結果設定処理では、メイン表示部43に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM203に予め記憶されている情報から特定し、その特定した情報をRAM204に記憶する。
・・・
【0174】
・・・ステップS710にて、変動用コマンド及び種別コマンドを設定する。
・・・
【0175】
ステップS710にて設定された変動用コマンド及び種別コマンドは、・・・音声ランプ制御装置に送信される。音声ランプ制御装置82では、受信した変動用コマンド及び種別コマンドに基づいて、その遊技回における演出の内容を決定し、・・・この演出の内容としては、図柄表示装置41での図柄の変動表示態様が含まれており、この決定された図柄の変動表示態様は音声ランプ制御装置82から表示制御装置212に表示内容コマンドとして出力される。表示制御装置212では、音声ランプ制御装置82から受信した表示内容コマンドに基づいて、各遊技回に対応した図柄の変動表示が行われるように図柄表示装置41を表示制御する。
・・・その後、ステップS711にてメイン表示部43において絵柄の変動表示を開始させた後に、本変動開始処理を終了する。」

ウ 「【0178】
変動表示時間が経過している場合には、ステップS509にて変動終了処理を実行する。変動終了処理では、上記ステップS704,ステップS706?ステップS708のいずれかの処理にてRAM204に記憶した情報を特定し、その情報に対応した絵柄の態様がメイン表示部43にて表示されるように当該メイン表示部43を表示制御する。
【0179】
続くステップS510では、変動終了コマンドを設定する。ここで設定された変動終了コマンドは、通常処理(図13)におけるステップS401にて、音声ランプ制御装置82に送信される。音声ランプ制御装置82では、受信した変動終了コマンドに基づいて、その遊技回における演出を終了させる。また、当該変動終了コマンドは、音声ランプ制御装置82から表示制御装置212に送信され、表示制御装置212では当該変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示(最終停止表示)させる。」

エ 「【0250】
予告準備処理の説明に先立ち、表示画面Gに表示される主図柄について改めて説明する。
【0251】
主図柄は、図7(a)?(j)に示すように、「1」?「9」の数字が描かれた数字部と、タコ等のキャラクタ図柄と、により構成されている。各主図柄には属性が設定されており、当該属性は、数字部周囲の色によって表現されている。具体的に説明すると、「3」,「7」の主図柄は、第1属性に分類されており、数字部周囲が赤色表示されている。「1」,「5」,「9」の主図柄は、第2属性に分類されており、数字部周囲が青色表示されている。また、「2」,「4」,「6」,「8」の主図柄は、第3属性に分類されており、数字部周囲が黄色表示されている。加えて、裏「4」の主図柄は、第1属性?第3属性のいずれにも分類できるオールマイティ属性に分類されており、数字部周囲が虹色表示されている。属性は、第3属性→第2属性→第1属性の順にその属性順位が高くなる構成となっている。ここで、第1属性には第1確変大当たり発生となる第1特定図柄が分類されており、第2属性には第2確変大当たり発生となる第2特定図柄が分類されており、第3属性には通常大当たり発生となる非特定図柄が分類されている。大当たり発生時の遊技者の有利度合いが高い特定図柄ほど高い属性に分類される構成とすることにより、各主図柄の属性の高低を遊技者に直感的に把握させることが可能となる。
【0252】
本パチンコ機10では、いずれかの有効ラインL1?L5上に同一属性の主図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列Z1?Z3の変動表示が終了した場合、チャンス目となる。保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示のいずれも発生しない遊技回では、いずれかの有効ラインL1?L5上にチャンス目が最終停止表示される。チャンス目は、属性レベル1?属性レベル6の6段階の属性レベルに分類される。属性レベル1には、第3属性の主図柄の組み合わせが分類されており、属性レベル2には、上図柄列Z1から順に第3属性の主図柄,オールマイティ属性の主図柄,第3属性の主図柄の組み合わせが分類されており、属性レベル3には、第2属性の主図柄の組み合わせが分類されており、属性レベル4には、上図柄列Z1から順に第2属性の主図柄,オールマイティ属性の主図柄,第2属性の主図柄の組み合わせが分類されており、・・・属性レベル6には、上図柄列Z1から順に第1属性の主図柄,オールマイティ属性の主図柄,第1属性の主図柄の組み合わせが分類されている。属性レベルは、属性レベル1→属性レベル2→属性レベル3→属性レベル4→属性レベル5→属性レベル6の順にレベルが高くなる構成となっている。
・・・
【0312】
ここで、図柄表示装置41の表示画面Gにて行われる保留予告の一表示態様を、図31及び図32に基づいて説明する。
【0313】
図31(a)に示す表示画面Gには、所定の遊技回において、保留記憶数が2個あるとともに全図柄列Z1?Z3が高速変動表示されている様が表示されている。
【0314】
かかる状況において遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞した場合、表示制御装置212は保留予告制御処理を実行する(図24、ステップS1402?ステップS1403)。これにより、表示画面Gには、図31(b)に示すように、第3単位保留表示領域Ga3に白色の保留画像が表示される。
【0315】
3個目の保留記憶に基づく予告設定処理において保留予告を実行すると決定した場合には、全図柄列Z1?Z3が高速変動表示されているため、当該遊技回における変動表示が完全外れ変動であれば保留予告に変更される。この結果、所定の遊技回では、図32(c)に示すように、第2ラインL2上に上図柄列Z1から順に「2」,「8」,「4」の主図柄が停止し、属性レベル1のチャンス目が停止表示される。また、表示制御装置212は、チャンス目が停止表示された後のタイミングにおいて保留予告表示処理を実行する(図30,ステップS2004)。これにより、保留表示領域Gaの第1単位保留表示領域Ga1?第3単位保留表示領域Ga3では、保留画像が白色表示から青色表示に変更される。そして、上記属性レベル1のチャンス目が最終停止表示され、所定の遊技回が終了する。
【0316】
このように、保留予告を実行すると決定した場合には、保留予告を実行すると決定していない場合と対応する白色の保留画像を最初に表示し、図柄の変動表示が停止表示された後に、保留予告を実行すると決定している場合と対応する赤色,青色,黄色,虹色のいずれかの保留画像に変更する。
【0317】
表示制御装置212は、次遊技回の変動開始コマンドの示す情報がリーチ表示を発生させない情報(完全外れ変動表示)であった場合、予告開始用処理(図28)においてステップS1807?ステップS1812の処理を実行する。所定の遊技回では属性レベル1のチャンス目を最終停止表示しているため、アップ抽選処理を実行し、今回の遊技回で最終停止表示させるチャンス目の属性レベルを決定する。
【0318】
この結果、次遊技回では、図32(a)に示すように、第2ラインL2上に上図柄列Z1から順に「1」,裏「4」,「9」の主図柄が停止し、属性レベル4のチャンス目が最終停止表示される。」

オ 「【0335】
保留球格納エリア232に記憶されている保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告が、当該保留情報に係る遊技回よりも前の遊技回から前記保留情報に関わる遊技回までの複数の遊技回にわたって行われ得る構成とした。かかる構成とすることにより、大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示されることを期待させながら複数の遊技回にわたって図柄の変動表示に注視させることが可能となる。
【0336】
保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示のいずれも発生しない遊技回では、いずれかの有効ラインL1?L5上にチャンス目が最終停止表示される構成とした。かかる構成とすることにより、チャンス目が最終停止表示されたことを通じて保留予告が実行されていることを遊技者に把握させることが可能となり、チャンス目が最終停止表示されることを期待させながら図柄の変動表示に注視させることが可能となる。
【0337】
予告開始用処理では、1回目の保留予告を実行する場合、予告設定処理にて決定した属性レベルに基づいてチャンス目となる図柄の組み合わせを決定し、2回目以降の保留予告を実行する場合には、1回前の保留予告において最終停止表示させたチャンス目の属性レベルと等しい、又は1回前の保留予告において最終停止表示させたチャンス目の属性レベルよりも高い属性レベルのチャンス目となる図柄の組み合わせを決定する構成とした。かかる構成とすることにより、保留予告の実行期間における属性レベルの変化態様を通じて遊技者の大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示されることに対する期待感を高めることが可能となり、前記実行期間における各遊技回の図柄の変動表示に注視させることが可能となる。保留予告の途中の遊技回においては、属性レベルの上昇したチャンス目が最終停止表示されることや属性レベルの上昇量が大きいチャンス目が最終停止表示されることを期待させ、保留予告の最後の遊技回においては、それまでの属性レベルの変化態様を鑑みた上で大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示されることを期待させることが可能となるからである。」

カ 「【0339】
主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知する構成とした。かかる構成とすることにより、当該パチンコ機10の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することが可能となる。」

キ 「【0346】
保留予告を実行すると決定した遊技回よりも後の遊技回における変動開始用処理では、アップ抽選処理を行って属性レベルの上昇量を決定する構成とした。かかる構成とすることにより、予め記憶するデータ量の増大化を抑制しつつ、属性レベルの変化態様を多様化させることが可能となる。確かに、アップ抽選処理を行って属性レベルの上昇量を決定するのではなく、保留予告の実行期間における各遊技回と、最終停止表示させるチャンス目の属性レベルと、の対応関係を定めた対応テーブルを予め記憶させておき、当該対応テーブルに基づいてチャンス目の属性レベルを決定する構成とすることも可能である。」

ク 「【0376】
遊技機1.表示画面上にて複数の絵柄群(図柄列Z1?Z3)が変動表示されるように絵柄を変動表示する絵柄表示手段(図柄表示装置41)と、
遊技を統括管理する主制御手段(主制御装置81)と、
該主制御手段の配下で前記絵柄表示手段を表示制御する従制御手段(音声ランプ制御装置82、表示制御装置212)と
を備え、
前記主制御手段は、
予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報(保留情報)を取得する情報取得手段(主制御装置81のMPU202におけるステップS305の処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段の取得した特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段(保留球格納エリア232)と、
遊技回を開始させる場合、前記取得情報記憶手段に記憶されている所定の特別情報が予め設定されている付与情報(大当たり数値情報)と対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段(主制御装置81のMPU202における当否判定処理を実行する機能)と、
前記付与判定手段の判定結果を示す付与判定結果情報(種別コマンド)を前記従制御手段に送信する第1送信手段(主制御装置81のMPU202における種別コマンドを送信する機能)と、
前記付与判定手段の判定結果が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて、遊技者に特典を付与する特典付与手段(主制御装置81のMPU202における遊技状態移行処理を実行する機能)と、
前記遊技回が開始されている状況において前記取得情報記憶手段に新たな特別情報が記憶される又は記憶されたことに基づいて、前記新たな特別情報が予め設定されている特定情報と対応しているか否かの特定判定を、前記新たな特別情報と対応する遊技回を開始させるべく前記付与判定手段が前記付与判定を行うよりも前のタイミングで行う特定判定手段(主制御装置81のMPU202における保留コマンドの設定処理を実行する機能)と、
前記特定判定手段の判定結果を示す特定判定結果情報(保留コマンド)を前記従制御手段に送信する第2送信手段(主制御装置81のMPU202における保留コマンドを送信する機能)と
を備え、
前記従制御手段は、
前記付与対応結果であることを示す付与判定結果情報を受信したことに基づいて、前記複数の絵柄群の変動表示を終了させる際に付与絵柄の組み合わせ(大当たり図柄の組み合わせ)が最終停止表示されるよう、前記各絵柄群の停止絵柄を決定する第1停止絵柄決定手段(表示制御装置212のMPU252における変動開始用処理のステップS1704を実行する機能)と、
前記特定判定結果情報を受信したことに基づいて、前記新たな特別情報と対応する遊技回にいたるまでの複数の遊技回にわたって実行可能な連続演出(保留予告)を実行するか否かを決定する決定手段(表示制御装置212のMPU252における予告抽選処理S1501を実行する機能)と、
前記決定手段が前記連続演出を実行すると決定し、前記付与対応結果でないことを示す付与判定結果情報を受信したことに基づいて、前記複数の絵柄群の変動表示を終了させる際に予め定められた複数の特定絵柄の組み合わせ(チャンス目)のうち所定の特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう、前記各絵柄群の停止絵柄を決定する第2停止絵柄決定手段(表示制御装置212のMPU252における予告開始用処理のステップS1805を実行する機能)と、
前記複数の特定絵柄の組み合わせのそれぞれに定められた優先順位(属性レベル)を予め記憶する優先順位記憶手段(表示制御装置212のプログラムROM253)と、
前記第2停止絵柄決定手段が前記各絵柄群の停止絵柄を決定する場合に前記優先順位を記憶する優先順位第2記憶手段(表示制御装置212のワークRAM254)と
を備え、
前記停止絵柄第2決定手段は、前記決定手段が前記連続演出を実行すると決定した又は決定した後の所定遊技回において第1優先順位の特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう前記各絵柄群の停止絵柄を決定した場合、前記所定遊技回よりも後の遊技回において、前記第1優先順位又は前記第1優先順位よりも優先順位の高い第2優先順位の特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう前記各絵柄群の停止絵柄を決定することを特徴とする遊技機。」

ケ 上記クには「予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報(保留情報)を取得する情報取得手段(主制御装置81のMPU202におけるステップS305の処理を実行する機能)・・・を備え」た「遊技機」と記載されており、先願明細書等には「予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報(保留情報)を取得する情報取得手段である主制御装置81のMPU202を備えた遊技機」が記載されているといえる。

コ 上記クには「遊技回を開始させる場合、・・・所定の特別情報が予め設定されている付与情報(大当たり数値情報)と対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段(主制御装置81のMPU202における当否判定処理を実行する機能)」と記載されており、先願明細書等には「遊技回を開始させる場合、所定の特別情報が予め設定されている付与情報(大当たり数値情報)と対応しているか否かの付与判定である当否判定処理を実行する付与判定手段である主制御装置81のMPU202」が記載されているといえる。

サ 上記イの【0102】【0127】には「MPU202にて実行される通常処理」について、「通常処理はステップS401?ステップS409の処理が実行される・・・構成となって」いること、上記イの【0131】には「ステップS404では、・・・遊技回制御処理を実行する」ことと、「遊技回制御処理では、大当たり判定・・・及びメイン表示部43の表示制御などを行う」こと、上記イの【0142】?【0155】には「ステップS404の遊技回制御処理・・・では」「ステップS503?ステップS506の遊技回開始用処理」の「ステップS505にてメイン表示部43における変動表示・・・を開始させるための変動開始処理を実行」し、「ステップS505の変動開始処理・・・では、今回の変動開始処理に対応した保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定するための当否判定処理を実行」することが記載されていることから、先願明細書等には「MPU202にて当否判定処理やメイン表示部43の表示制御などが実行される」ことが記載されているといえる。
また、上記イの【0164】?【0175】には「当否判定処理を実行した後は」、「第1確変大当たり結果である場合には、ステップS704にて第1確変大当たり用の停止結果設定処理を実行」し、「第2確変大当たり結果である場合には、ステップS706にて第2確変大当たり用の停止結果設定処理を実行」し「第1確変大当たりと第2確変大当たりのいずれでもない場合・・・通常大当たり結果であることを意味するため、ステップS707にて通常大当たり用の停止結果設定処理を実行」し、「ステップS702にて大当たり当選ではないと判定した場合には、ステップS708にて外れ時用の停止結果設定処理を実行」し、「ステップS704,ステップS706?ステップS708の各停止結果設定処理では、メイン表示部43に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を・・・RAM204に記憶」し、「メイン表示部43において絵柄の変動表示を開始させ」と記載されており、上記ウの【0178】には「変動終了処理を実行」し「ステップS704,ステップS706?ステップS708のいずれかの処理にてRAM204に記憶した情報・・・に対応した絵柄の態様がメイン表示部43にて表示されるように当該メイン表示部43を表示制御する」と記載されており、先願明細書等には「当否判定処理を実行した後は、判定結果に応じた停止結果設定処理を実行し、メイン表示部43に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報をRAM204に記憶し、メイン表示部43において絵柄の変動表示を開始させ、RAM204に記憶した情報に対応した絵柄の態様がメイン表示部にて表示されるように当該メイン表示部43を表示制御する」ことが記載されているといえる。
そうすると、先願明細書等には「当否判定処理を実行した後は、判定結果に応じた停止結果設定処理を実行し、メイン表示部43に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報をRAM204に記憶し、メイン表示部43において絵柄の変動表示を開始させ、RAM204に記憶した情報に対応した絵柄の態様がメイン表示部にて表示されるように当該メイン表示部43を表示制御するMPU202」が記載されているといえる。

シ 上記クには「前記情報取得手段の取得した特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段(保留球格納エリア232)」と記載されており、先願明細書等には「前記情報取得手段の取得した特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段である保留球格納エリア232」が記載されているといえる。

ス 上記クには「前記遊技回が開始されている状況において前記取得情報記憶手段に新たな特別情報が記憶される又は記憶されたことに基づいて、前記新たな特別情報が予め設定されている特定情報と対応しているか否かの特定判定を、前記新たな特別情報と対応する遊技回を開始させるべく前記付与判定手段が前記付与判定を行うよりも前のタイミングで行う特定判定手段(主制御装置81のMPU202における保留コマンドの設定処理を実行する機能)」と記載されており、先願明細書等には「前記遊技回が開始されている状況において前記取得情報記憶手段に新たな特別情報が記憶される又は記憶されたことに基づいて、前記新たな特別情報が予め設定されている特定情報と対応しているか否かの特定判定を、前記新たな特別情報と対応する遊技回を開始させるべく前記付与判定手段が前記付与判定を行うよりも前のタイミングで行う保留コマンドの設定処理を実行する特定判定手段である主制御装置81のMPU202」が記載されているといえる。

セ 上記クには「特定判定結果情報を受信したことに基づいて、前記新たな特別情報と対応する遊技回にいたるまでの複数の遊技回にわたって実行可能な連続演出(保留予告)を実行するか否かを決定する・・・」「・・・連続演出を実行すると決定し、前記付与対応結果でないことを示す付与判定結果情報を受信したことに基づいて、前記複数の絵柄群の変動表示を終了させる際に予め定められた複数の特定絵柄の組み合わせ(チャンス目)のうち所定の特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう、前記各絵柄群の停止絵柄を決定する第2停止絵柄決定手段(表示制御装置212のMPU252における予告開始用処理のステップS1805を実行する機能)」と記載されている。
また、上記アの【0030】には「メイン表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置41において変動表示が行われる。」と記載されており、上記イの段落【0060】には「表示制御装置212では、・・・図柄表示装置41の表示制御を実行する」と記載されていることから、表示制御装置212は、メイン表示部43において変動表示が行われる場合にはそれに合わせて図柄表示装置41の変動表示を制御するといえる。
さらに、上記イの【0167】、上記ウの【0178】?【0179】には、「ステップS704,ステップS706?ステップS708の各停止結果設定処理では、メイン表示部43に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、・・・RAM204に記憶」し、「変動終了処理を実行」し、「ステップS704,ステップS706?ステップS708のいずれかの処理にてRAM204に記憶した情報・・・に対応した絵柄の態様がメイン表示部43にて表示されるように当該メイン表示部43を表示制御」し、「変動終了コマンドを設定」し、「設定された変動終了コマンドは、・・・音声ランプ制御装置82に送信され」「音声ランプ制御装置82から表示制御装置212に送信され、表示制御装置212では当該変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示・・・させる。」と記載されており、変動終了処理を実行し、最終的に停止される絵柄の態様がメイン表示部43にて表示されるようにメイン表示部43を表示制御し、変動終了コマンドを設定し、設定された変動終了コマンドは、音声ランプ制御装置82に送信され、音声ランプ制御装置82から表示制御装置212に送信され、表示制御装置212では当該変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示させることが記載されているといえる。
以上のことから、先願明細書等には「特定判定結果を受信したことに基づいて、前記新たな特別情報と対応する遊技回にいたるまでの複数の遊技回にわたって実行可能な連続演出(保留予告)を実行するか否か決定し、連続演出を実行すると決定し、前記付与対応結果でないことを示す付与判定結果情報を受信したことに基づいて、前記複数の絵柄群の変動表示を終了させる際に予め定められた複数の特定絵柄の組み合わせ(チャンス目)のうち所定の特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう、前記各絵柄群の停止絵柄を決定する第2停止絵柄決定手段であり、メイン表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて変動表示が行われ、変動終了処理を実行し、最終的に停止される絵柄の態様がメイン表示部43にて表示されるようにメイン表示部を表示制御し、設定された変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示させるように、図柄表示装置41の表示制御を実行する表示制御装置212における、表示制御装置212のMPU252」が記載されているといえる。

ソ 上記エの【0251】?【0252】には「「2」,「4」,「6」,「8」の主図柄は、第3属性に分類されており、数字部周囲が黄色表示されている。・・・チャンス目は、・・・6段階の属性レベルに分類され・・・属性レベル1には、第3属性の主図柄の組み合わせが分類されて」と記載されており、「数字部周囲が黄色表示されている主図柄の組み合わせが分類されて」いる「属性レベル1のチャンス目」について記載されているといえる。また、上記カに「主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知する・・・ことにより、当該パチンコ機・・・の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することが可能となる」と記載されていることから、「主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする」ことがいえる。
さらに、上記エの【0313】?【0315】には「所定の遊技回において、保留記憶数が2個あるとともに全図柄列Z1?Z3が高速変動表示されている・・・状況において遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞した場合、・・・3個目の保留記憶に基づく予告設定処理において保留予告を実行すると決定した場合には、・・・当該遊技回における変動表示が完全外れ変動であれば保留予告に変更され」「この結果、所定の遊技回では、・・・属性レベル1のチャンス目が停止表示される」と記載されており、上記オの【0335】?【0336】には「保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告・・・を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、・・・チャンス目が最終停止表示される構成とし」と記載されており、上記セにおいて認定した「・・・連続予告(保留予告)を実行すると決定し、チャンス目のうち所定の特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう、・・・停止絵柄を決定する・・・表示制御装置212のMPU252」という事項とあわせると、先願明細書等には「保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、チャンス目が最終停止表示される構成とし、保留記憶数が2個あるとともに全図柄列Z1?Z3が高速変動表示されている状況である所定の遊技回において遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞した場合、3個目の保留記憶に基づく予告設定表示において保留予告を実行すると決定した場合には、当該遊技回における変動表示が完全外れ変動であれば保留予告に変更され、数字部周囲が黄色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている、属性レベル1のチャンス目が最終停止表示されるよう停止絵柄を決定することで、主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする、表示制御装置212のMPU252」が記載されているといえる。

タ 上記エの【0251】?【0252】には、「「3」,「7」の主図柄は、第1属性に分類されて・・・数字部周囲が赤色表示されて・・・「1」,「5」,「9」の主図柄は、第2属性に分類されて・・・数字部周囲が青色表示されて・・・裏「4」の主図柄は、第1属性?第3属性のいずれにも分類できるオールマイティ属性に分類されており、数字部周囲が虹色表示されて・・・チャンス目は、・・・6段階の属性レベルに分類される。属性レベル1には、第3属性の主図柄の組み合わせが分類されており、・・・属性レベル4には、上図柄列Z1から順に第2属性の主図柄,オールマイティ属性の主図柄,第2属性の主図柄の組み合わせが分類されており、・・・属性レベル6には、上図柄列Z1から順に第1属性の主図柄,オールマイティ属性の主図柄,第1属性の主図柄の組み合わせが分類されている。属性レベルは、属性レベル1→属性レベル2→属性レベル3→属性レベル4→属性レベル5→属性レベル6の順にレベルが高くなる構成となっている。」と記載されており、属性レベル1より高い「数字部周囲が青色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、青色表示されている主図柄の組み合わせが分類されて」いる「属性レベル4のチャンス目」、属性レベル4より高い「数字部周囲が赤色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、赤色表示されている主図柄の組み合わせが分類されて」いる「属性レベル6のチャンス目」について記載されているといえる。また、上記カに「主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知する・・・ことにより、当該パチンコ機・・・の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することが可能となる」と記載されていることから、「主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする」ことがいえる。
さらに、上記エの【0317】?【0318】には、「次遊技回の変動開始コマンドの示す情報が・・・完全外れ変動表示・・・であった場合、所定の遊技回では属性レベル1のチャンス目を最終停止表示しているため、・・・今回の遊技回で最終停止表示させるチャンス目の属性レベルを決定」し、「次遊技回では、・・・属性レベル4のチャンス目が最終停止表示され」と記載されており、上記オの【0337】には、「2回目以降の保留予告を実行する場合には、1回前の保留予告において最終停止表示させたチャンス目の属性レベルと等しい、又は1回前の保留予告において最終停止表示させたチャンス目の属性レベルよりも高い属性レベルのチャンス目となる図柄の組み合わせを決定する構成とし・・・保留予告の途中の遊技回においては、・・・属性レベルの上昇量が大きいチャンス目が最終停止表示されることを期待させ」と記載されていることから、次遊技回では所定の遊技回と同じ属性レベルである属性レベル1のチャンス目、所定回の属性レベル1より高い、数字部周囲が青色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、青色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル4のチャンス目、またはより属性レベルの上昇量が大きい、数字部周囲が赤色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、赤色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル6のチャンス目、が最終停止表示されることも示唆されている。

そうすると、上記オの【0335】?【0336】には「保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告・・・を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、・・・チャンス目が最終停止表示される構成とし」との記載、及び上記セにおいて認定した「・・・連続予告(保留予告)を実行すると決定し、チャンス目のうち所定の特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう、・・・停止絵柄を決定する・・・図柄表示装置41を表示制御する表示制御装置212のMPU252」という事項とあわせると、先願明細書等には「保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、チャンス目が最終停止表示される構成とし、次遊技回の変動開始コマンドの示す情報が完全外れ変動表示であった場合、所定の遊技回では属性レベル1のチャンス目を最終停止表示しているため、次遊技回では、属性レベル1のチャンス目、属性レベル1より高い、数字部周囲が青色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、青色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル4のチャンス目、またはより属性レベルの上昇量が大きい、数字部周囲が赤色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、赤色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル6のチャンス目が最終停止表示されるよう停止絵柄を決定することで、主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする、表示制御装置212のMPU252」が記載されているといえる。

チ 上記キの【0346】には「保留予告の実行期間における各遊技回と、最終停止表示させるチャンス目の属性レベルと、の対応関係を定めた対応テーブルを予め記憶させておき、当該対応テーブルに基づいてチャンス目の属性レベルを決定する構成とすることも可能である」と記載されており、上記セにおいて認定した「・・・連続予告(保留予告)を実行すると決定し、チャンス目のうち所定の特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう、・・・停止絵柄を決定する・・・表示制御装置212のMPU252」という事項とあわせると、先願明細書等には「保留予告の実行期間における各遊技回と、最終停止表示させるチャンス目の属性レベルと、の対応関係を定めた対応テーブルを予め記憶させておき、当該対応テーブルに基づいてチャンス目の属性レベルを決定する表示制御装置212のMPU252」が記載されているといえる。

ツ 上記オの【0337】には、「2回目以降の保留予告を実行する場合には、・・・1回前の保留予告において最終停止表示させたチャンス目の属性レベルよりも高い属性レベルのチャンス目となる図柄の組み合わせを決定する構成とし・・・保留予告の途中の遊技回においては、・・・属性レベルの上昇量が大きいチャンス目が最終停止表示されることを期待させ、保留予告の最後の遊技回においては、それまでの属性レベルの変化態様を鑑みた上で大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示されることを期待させる」ることが記載されており、先願明細書等には、「2回目以降の保留予告を実行する場合には、1回前の保留予告において最終停止表示させたチャンス目の属性レベルよりも高い属性レベルのチャンス目となる図柄の組み合わせを決定する構成とし、保留予告の途中の遊技回においては、属性レベルの上昇したチャンス目が最終停止表示されることや属性レベルの上昇量が大きいチャンス目が最終停止表示されることを期待させ、保留予告の最後の遊技回においては、それまでの属性レベルの変化態様を鑑みた上で大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示されることを期待させる」ることが記載されているといえる。

上記ア?クの記載事項及び上記ケ?ツの認定事項から、先願明細書等には、

「a 予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報(保留情報)を取得する情報取得手段である主制御装置81のMPU202(認定事項ケ)と、

b 遊技回を開始させる場合、所定の特別情報が予め設定されている付与情報(大当たり数値情報)と対応しているか否かの付与判定を行う当否判定処理を実行する付与判定手段である主制御装置81のMPU202(認定事項コ)と、

c 当否判定処理を実行した後は、判定結果に応じた停止結果設定処理を実行し、メイン表示部43に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報をRAM204に記憶し、メイン表示部43において絵柄の変動表示を開始させ、RAM204に記憶した情報に対応した絵柄の態様がメイン表示部にて表示されるように当該メイン表示部43を表示制御する主制御装置81のMPU202(認定事項サ)と、

d 遊技回が開始されている状況において情報取得手段の取得した新たな特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段である保留球格納エリア232(認定事項シ)と、

e 前記遊技回が開始されている状況において前記取得情報記憶手段に新たな特別情報が記憶される又は記憶されたことに基づいて、前記新たな特別情報が予め設定されている特定情報と対応しているか否かの特定判定を、前記新たな特別情報と対応する遊技回を開始させるべく前記付与判定手段が前記付与判定を行うよりも前のタイミングで行う特定判定手段である主制御装置の81のMPU202(認定事項ス)と、

f 特定判定結果を受信したことに基づいて、前記新たな特別情報と対応する遊技回にいたるまでの複数の遊技回にわたって実行可能な連続演出(保留予告)を実行するか否かを決定し、連続演出を実行すると決定し、前記付与対応結果でないことを示す付与判定結果情報を受信したことに基づいて、前記複数の絵柄群の変動表示を終了させる際に予め定められた複数の特定絵柄の組み合わせ(チャンス目)のうち所定の特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう、前記各絵柄群の停止絵柄を決定する予告開始用処理を実行する第2停止絵柄決定手段であり、メイン表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて変動表示が行われ、変動終了処理を実行し、最終的に停止される絵柄の態様がメイン表示部43にて表示されるようにメイン表示部を表示制御し、設定された変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示させるように、図柄表示装置41の表示制御を実行する表示制御装置212における、表示制御装置212のMPU252(認定事項セ)と、
を備え、

g 保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、チャンス目が最終停止表示される構成とし、保留記憶数が2個あるとともに全図柄列Z1?Z3が高速変動表示されている状況である所定の遊技回において遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞した場合、3個目の保留記憶に基づく予告設定表示において保留予告を実行すると決定した場合には、当該遊技回における変動表示が完全外れ変動であれば保留予告に変更され、数字部周囲が黄色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル1のチャンス目が最終停止表示されるよう停止絵柄を決定することで、主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする、表示制御装置212のMPU252(認定事項ソ)と、

h 保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、チャンス目が最終停止表示される構成とし、次遊技回の変動開始コマンドの示す情報が完全外れ変動表示であった場合、所定の遊技回では属性レベル1のチャンス目を最終停止表示しているため、次遊技回では、属性レベル1のチャンス目、属性レベル1より高い、数字部周囲が青色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、青色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル4のチャンス目、またはより属性レベルの上昇量が大きい、数字部周囲が赤色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、赤色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル6のチャンス目が最終停止表示されるよう停止絵柄を決定することで、主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする、表示制御装置212のMPU252(認定事項タ)と、

i 保留予告の実行期間における各遊技回と、最終停止表示させるチャンス目の属性レベルと、の対応関係を定めた対応テーブルを予め記憶させておき、当該対応テーブルに基づいてチャンス目の属性レベルを決定する表示制御装置212のMPU252(認定事項チ)とを備え、

j 2回目以降の保留予告を実行する場合には、1回前の保留予告において最終停止表示させたチャンス目の属性レベルよりも高い属性レベルのチャンス目となる図柄の組み合わせを決定する構成とし、保留予告の途中の遊技回においては、属性レベルの上昇したチャンス目が最終停止表示されることや属性レベルの上昇量が大きいチャンス目が最終停止表示されることを期待させ、保留予告の最後の遊技回においては、それまでの属性レベルの変化態様を鑑みた上で大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示されることを期待させる(認定事項ツ)、

k 遊技機(記載事項ク)。」

という発明(以下、先願発明という)が開示されていると認める(記号は分節のため当審で付した)。

(2)本件補正発明と先願発明との対比

本件補正発明と先願発明とを対比する(なお、本件補正発明の構成A?Kに対応して、当審で見出し(A)から(K)を付与した)。


(A) 先願発明における「予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報(保留情報)を取得する情報取得手段である主制御装置81のMPU202」は、「予め定められた取得条件」、「特別情報(保留情報)」が、それぞれ本件補正発明の「所定条件」、「取得情報」に相当することから、本件補正発明の「所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段」に相当する。

(B) 先願発明における「遊技回を開始させる場合、所定の特別情報が予め設定されている付与情報(大当たり数値情報)と対応しているか否かの付与判定を行う当否判定処理を実行する付与判定手段である主制御装置81のMPU202」について、遊技回を開始させる場合、情報取得手段であるMPU202により取得された特別情報を用いて当否判定処理を実行することから、該「遊技回を開始させる場合」は、本件補正発明の「始動条件が成立する」場合に相当するということができるから、先願発明の該「主制御装置81のMPU202」は、本件補正発明の「始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段」に相当する。

(C) 先願発明における「当否判定処理を実行した後は、判定結果に応じた停止結果設定処理を実行し、メイン表示部43に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報をRAM204に記憶し、メイン表示部43において絵柄の変動表示を開始させ、RAM204に記憶した情報に対応した絵柄の態様がメイン表示部にて表示されるように当該メイン表示部43を表示制御する主制御装置81のMPU202」について、判定結果に応じた停止結果設定処理により、RAM204に記憶される情報に対応したメイン表示部43に最終的に停止表示される絵柄は当否判定処理の結果を表す絵柄であることは明らかであり、先願発明の該「主制御装置81のMPU202」は、本件補正発明の「前記特別遊技判定が行われると、所定の図柄を図柄表示手段に変動表示させてから停止表示させることにより、当該特別遊技判定の結果を表示する図柄表示制御手段」に相当する。

(D) 先願発明における「遊技回が開始されている状況において情報取得手段の取得した新たな特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する保留球格納エリア232」について、遊技回が開始されている状況において情報取得手段の取得した新たな特別情報は、図柄が変動しているときに取得された情報ということができるから、本件補正発明の「前記図柄が変動されているときに前記取得情報が取得されると、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段」に相当する。

(E) 先願発明における「前記遊技回が開始されている状況において前記取得情報記憶手段に新たな特別情報が記憶される又は記憶されたことに基づいて、前記新たな特別情報が予め設定されている特定情報と対応しているか否かの特定判定を、前記新たな特別情報と対応する遊技回を開始させるべく前記付与判定手段が前記付与判定を行うよりも前のタイミングで行う特定判定手段である主制御装置81のMPU202」について、「遊技回が開始されている状況において記憶される新たな特別情報」は、図柄が変動しているときに取得された情報ということができ、また「新たな特別情報が記憶される又は記憶されたことに基づいて、特定判定を、付与判定を行うよりも前のタイミングで行う」ことについて、「特定判定」は「新たな特別情報が記憶された」時点で行われるものといえるから、「当該変動が終了する前に取得情報に基づいて特別遊技を行うか否かの事前判定を行う」ということができ、先願発明の該「主制御装置81のMPU202」は、本件補正発明の「前記図柄が変動されているときに前記取得情報が取得されると、当該変動が終了する前に、当該取得情報に基づいて特別遊技を行うか否かの事前判定を行う事前判定手段」に相当する。

(F) 先願発明における「特定判定結果を受信したことに基づいて、前記新たな特別情報と対応する遊技回にいたるまでの複数の遊技回にわたって実行可能な連続演出(保留予告)を実行するか否かを決定し、連続演出を実行すると決定し、前記付与対応結果でないことを示す付与判定結果情報を受信したことに基づいて、前記複数の絵柄群の変動表示を終了させる際に予め定められた複数の特定絵柄の組み合わせ(チャンス目)のうち所定の特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう、前記各絵柄群の停止絵柄を決定する予告開始用処理を実行する第2停止絵柄決定手段であり、メイン表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて変動表示が行われ、変動終了処理を実行し、最終的に停止される絵柄の態様がメイン表示部43にて表示されるようにメイン表示部を表示制御し、設定された変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示させるように、図柄表示装置41の表示制御を実行する表示制御装置212における、表示制御装置212のMPU252」について検討する。

(F-1) 先願発明における「付与判定結果を受信したことに基づいて」「前記各絵柄群の停止絵柄を決定する第2停止絵柄決定手段」を含む表示制御装置212について、該表示制御装置212は「メイン表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて変動表示が行われ、変動終了処理を実行し、最終的に停止される絵柄の態様がメイン表示部43にて表示されるようにメイン表示部を表示制御し、設定された変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示させるように、図柄表示装置41の表示制御を実行する」のであるから、「メイン表示部43において変動表示が行われるとそれに合わせて変動表示が行われ、メイン表示部43において図柄が停止表示されるとそれに合わせて停止表示するように図柄表示装置41を表示制御する」表示制御装置であるということができる。そうすると、先願発明における上記表示制御装置212は、本件補正発明の「特別遊技判定の結果に基づいて、前記所定の図柄の変動表示が開始されると複数の演出図柄を変動開始させ、前記所定の図柄が停止表示されると、当該複数の演出図柄を停止表示させることが可能な演出制御手段」を含むものである。

(F-2) 先願発明における「特定判定結果を受信したことに基づいて、前記新たな特別情報と対応する遊技回にいたるまでの複数の遊技回にわたって実行可能な連続演出(保留予告)を実行するか否かを決定し」について、「連続演出(保留予告)を実行しない」と決定し、「前記付与対応結果でないことを示す付与判定結果情報を受信した」場合は、チャンス目のうち所定の特定絵柄が最終停止表示する処理を行わない以上、表示制御装置212のMPU252はチャンス目ではない通常の外れを表す停止パターンが最終停止表示されるようにすることは明らかである。
そうすると、先願発明において、特定判定結果を受信したことに基づいて、連続演出を実行しないと決定し、前記付与対応結果でないことを示す付与判定結果情報を受信したことに基づいて、通常停止パターンという所定パターンを停止表示させることが可能な「表示制御装置212のMPU252」は、本件補正発明の「前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記事前判定の結果に基づいて、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に所定パターンで当該複数の演出図柄を停止表示させることが可能」であるということができ、また、本件補正発明の「前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、通常停止パターンで当該複数の演出図柄を停止表示させることが可能な第1演出制御手段」を含むものである。

(G) 先願発明における「保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、チャンス目が最終停止表示される構成とし、保留記憶数が2個あるとともに全図柄列Z1?Z3が高速変動表示されている状況である所定の遊技回において遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞した場合、3個目の保留記憶に基づく予告設定表示において保留予告を実行すると決定した場合には、当該遊技回における変動表示が完全外れ変動であれば保留予告に変更され、属性レベル1のチャンス目が最終停止表示されるよう停止絵柄を決定することで、主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする、表示制御装置212のMPU252」について検討する。

(G-1) 先願発明の「3個目の保留記憶に基づく予告設定表示において保留予告を実行すると決定した場合」における「当該遊技回の変動」とは、本件補正発明の「事前判定の対象となった特別遊技判定の権利に係る所定の図柄の変動(以下、「対象変動という」)の2回前の変動」に相当し、先願発明の「当該遊技回における変動表示が完全外れ変動であ」る場合は、本件補正発明の「特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合」に相当する。

(G-2) 先願発明では「主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする」から、数字部周囲の色によって最終停止表示されたのがチャンス目であるかどうかが判別できる。また、「保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、チャンス目が最終停止表示される構成とし」たことから、チャンス目が表示された場合は大当たり当選であることを期待させる保留予告が実行されているので、通常の図柄が最終停止表示された場合よりも特別遊技がおこなわれる信頼度が高いといえる。そうすると、先願発明の上記「主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知する」ことは本件補正発明の「特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行する」ことに相当するといえる。

(G-3) (G-1)(G-2)より、先願発明の「保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、チャンス目が最終停止表示される構成とし」「数字部周囲が黄色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル1のチャンス目が最終停止表示されるよう停止絵柄を決定することで、主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする」「表示制御装置212のMPU252」は、本件補正発明の「複数の演出図柄を停止表示させる際に、対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する停止パターンであって通常停止パターンとは異なる第1の特定停止パターンで複数の演出図柄を停止表示させるとともに、当該特定パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技がおこなわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行することが可能な第2演出制御手段」を含むものである

(H) 先願発明における「保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、チャンス目が最終停止表示される構成とし、次遊技回の変動開始コマンドの示す情報が完全外れ変動表示であった場合、所定の遊技回では属性レベル1のチャンス目を最終停止表示しているため、次遊技回では、属性レベル1のチャンス目、属性レベル1より高い、数字部周囲が青色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、青色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル4のチャンス目、またはより属性レベルの上昇量が大きい、数字部周囲が赤色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、赤色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル6のチャンス目が最終停止表示されるよう停止絵柄を決定することで、主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする、表示制御装置212のMPU252」について検討する。

(H-1) (G-1)において認定したとおり、先願発明の「当該遊技回の変動」とは、本件補正発明の「事前判定の対象となった特別遊技判定の権利に係る所定の図柄の変動(以下、「対象変動という」)の2回前の変動」に相当するから、先願発明の「次遊技回の変動開始コマンドの示す情報が完全外れ変動表示であ」る場合は、本件補正発明の「前記複数の演出図柄が前記第1の特定停止パターンで停止表示された前記所定の図柄の変動の次以降の前記所定の図柄の変動において、特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合」に相当する。

(H-2) (G-2)において認定したとおり、先願発明では「主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする」から、数字部周囲の色によって最終停止表示されたのがチャンス目であるかどうかが判別できる。また、「保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、チャンス目が最終停止表示される構成とし」たことから、チャンス目が表示された場合は大当たり当選であることを期待させる保留予告が実行されているので、通常の図柄が最終停止表示された場合よりも特別遊技がおこなわれる信頼度が高いといえる。そうすると、先願発明の上記「主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知する」ことは本件補正発明の「特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行する」ことに相当するといえる。

(H-3) 先願発明の「数字部周囲が青色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、青色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル4のチャンス目、またはより属性レベルの上昇量が大きい、数字部周囲が赤色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、赤色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル6のチャンス目が最終停止表示されるよう停止絵柄を決定する」ことは、本件補正発明の「対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する停止パターンであって前記第1の特定停止パターンとは異なる第2又は第3の特定停止パターンで複数の演出図柄を停止表示させる」ことに相当する。

(H-4) (H-1)?(H-3)より、先願発明の「保留情報が大当たり当選であることを期待させる保留予告を実行すると決定し、且つ、大当たりとリーチ表示の何れも発生しない遊技回では、チャンス目が最終停止表示される構成とし」「数字部周囲が青色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、青色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル4のチャンス目、またはより属性レベルの上昇量が大きい、数字部周囲が赤色表示されている主図柄、虹色表示されている主図柄、赤色表示されている主図柄の組み合わせが分類されている属性レベル6のチャンス目が最終停止表示されるよう停止絵柄を決定することで、主図柄の属性を数字部周囲の色によって報知することにより、当該パチンコ機の遊技経験が乏しい遊技者であっても、いずれの属性レベルのチャンス目が最終停止表示され得るのかを各図柄列の変動表示が終了する毎に推測することを可能とする」「表示制御装置212のMPU252」は、本件補正発明の「複数の演出図柄を停止表示させる際に、対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する停止パターンであって第1の特定停止パターンとは異なる第2の特定停止パターン又は第3の特定停止パターンで複数の演出図柄を停止表示させるともに、当該特定パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技がおこなわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行することが可能な第3演出制御手段」を含むものである。

(I) 先願発明の「保留予告の実行期間における各遊技回と、最終停止表示させるチャンス目の属性レベルと、の対応関係を定めた対応テーブルを予め記憶させておき、当該対応テーブルに基づいてチャンス目の属性レベルを決定する表示制御装置212のMPU252」について、先願発明のg、hにおいては3個目の保留記憶に基づく予告設定表示において保留予告を実行すると決定していることから、保留予告の実行期間内である次遊技回において最終停止表示のチャンス目の属性レベルとの対応関係を定めた対応テーブルに基づいて、保留予告を実行すると決定したときに次遊技回に最終停止表示のチャンス目の属性レベルを決定し、該チャンス目を停止表示させるということができるから、先願発明の該「表示制御装置212のMPU252」が「保留予告の実行期間における各遊技回と、最終停止表示させるチャンス目の属性レベルと、の対応関係を定めた対応テーブルを予め記憶させておき、当該対応テーブルに基づいてチャンス目の属性レベルを決定する」ことは、本件補正発明の「前記演出制御手段は、前記所定の図柄の変動中に行われた前記事前判定の結果に基づいて、現在の変動の次以降の少なくとも2回の変動において前記複数の演出図柄を特定停止パターンの何れで停止させるかを決定し、次以降の少なくとも2回の変動において当該決定した停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させ」ることに相当する。
さらに、上記(H)において、先願発明における表示制御装置212のMPU252は、属性レベル1、属性レベル4、または属性レベル6のチャンス目が停止表示されるようにするが、先願発明において該「停止表示されるようにする」ことは、本件補正発明の「複数の演出図柄を前記第1の特定停止パターン、前記第2の特定停止パターン、及び前記第3の特定停止パターンの何れで停止させるかを決定する」ことに相当する。

(J) 先願発明の「2回目以降の保留予告を実行する場合には、1回前の保留予告において最終停止表示させたチャンス目の属性レベルよりも高い属性レベルのチャンス目となる図柄の組み合わせを決定する構成とし、保留予告の途中の遊技回においては、属性レベルの上昇したチャンス目が最終停止表示されることや属性レベルの上昇量が大きいチャンス目が最終停止表示されることを期待させ、保留予告の最後の遊技回においては、それまでの属性レベルの変化態様を鑑みた上で大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示されることを期待させる」ことについて、「保留予告の最後の遊技回においては、それまでの属性レベルの変化態様を鑑みた上で大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示されることを期待させる」という事項は、属性レベル1のチャンス目が停止表示された後の遊技回において、属性レベルが上昇しているチャンス目である属性レベル4のチャンス目が停止表示される場合は、属性レベルが同じチャンス目である属性レベル1のチャンス目が出る場合よりも最後の遊技回において大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示されることを期待させるものということができ、属性レベルの上昇量がより大きいチャンス目である属性レベル6のチャンス目が停止表示される場合は、属性レベルの上昇量が小さいチャンス目である属性レベル4が出る場合よりも最後の遊技回において大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示されることを期待させるものということができる。
そうすると、先願発明における上記事項は、本件補正発明の「前記複数の演出図柄が前記第2の特定停止パターンで停止表示されたときは、前記複数の演出図柄が前記第1の特定停止パターンで停止表示されたときよりも、前記対象変動において前記特別遊技が行われる信頼度が高く、前記複数の演出図柄が前記第3の特定停止パターンで停止表示されたときは、前記複数の演出図柄が前記第2の特定停止パターンで停止表示されたときよりも、前記対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高い」ことに相当する。

(K) 先願発明の「遊技機」は本件補正発明の「遊技機」に相当する。

以上のことから、本件補正発明と先願発明は、

「所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段と、
始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定が行われると、所定の図柄を図柄表示手段に変動表示させてから停止表示させることにより、当該特別遊技判定の結果を表示する図柄表示制御手段と、
前記図柄が変動されているときに前記取得情報が取得されると、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と、
前記図柄が変動されているときに前記取得情報が取得されると、当該変動が終了する前に、当該取得情報に基づいて特別遊技を行うか否かの事前判定を行う事前判定手段と、
前記特別遊技判定の結果に基づいて、前記所定の図柄の変動表示が開始されると複数の演出図柄を変動開始させ、前記所定の図柄が停止表示されると、当該複数の演出図柄を停止表示させることが可能な演出制御手段と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合において、前記事前判定の結果に基づいて、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に所定の停止パターンで停止表示させることが可能であり、
前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、通常停止パターンで当該複数の演出図柄を停止表示させることが可能な第1演出制御手段と、
前記事前判定の対象となった前記特別遊技判定の権利に係る前記所定の図柄の変動(以下、「対象変動」という)の少なくとも2回前の変動において、前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する停止パターンであって前記通常停止パターンとは異なる第1の特定停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させるとともに、当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行することが可能な第2演出制御手段と、
前記複数の演出図柄が前記第1の特定停止パターンで停止表示された前記所定の図柄の変動の次以降の前記所定の図柄の変動において、前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する停止パターンであって前記第1の特定停止パターンとは異なる第2又は第3の特定停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させるとともに、当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行することが可能な第3演出制御手段と、を含み、
前記演出制御手段は、前記所定の図柄の変動中に行われた前記事前判定の結果に基づいて、現在の変動の次以降の少なくとも2回の変動において前記複数の演出図柄を前記第1の特定停止パターン、前記第2の特定停止パターン、及び前記第3の特定停止パターンの何れで停止させるかを決定し、次以降の少なくとも2回の変動において当該決定した停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させ、
前記複数の演出図柄が前記第2の特定停止パターンで停止表示されたときは、前記複数の演出図柄が前記第1の特定停止パターンで停止表示されたときよりも、前記対象変動において前記特別遊技が行われる信頼度が高く、
前記複数の演出図柄が前記第3の特定停止パターンで停止表示されたときは、前記複数の演出図柄が前記第2の特定停止パターンで停止表示されたときよりも、前記対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高い、遊技機。」

で一致し、相違点はない。

(3)審判請求人の主張について
審判請求人は平成28年12月5日付け審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」の「(c)本願発明と先願発明との対比」において、次の主張をしている。

「上述のように、本願発明では、「演出図柄が停止する際に、複数の演出図柄を特定停止パターンで停止させるとともに、特定停止パターンを示唆する示唆演出を実行する」という特徴を有しています。これにより、遊技者に複数の演出図柄が特定停止パターンで停止したことを容易に認識させることができます。
一方、引用文献1(先願発明)には、赤色図柄により構成されるチャンス目、青色図柄により構成されるチャンス目、黄色図柄により構成されるチャンス目等が記載されていますが、チャンス目を停止させる際に、チャンス目を停止させることに加えて、チャンス目を示唆する示唆演出を行うことは記載されていません。
なお、引用文献1の図31(c)、段落0315には、1回目のチャンス目が停止表示されるとともに、1回目のチャンス目が停止表示された後のタイミングにおいて第1単位保留表示領域Ga1?第3単位保留表示領域Ga3の保留画像を白色表示から青色表示に変更することが記載されています。仮に、この保留画像の変化を本願の「示唆演出」に相当するものとして解釈した場合でも、引用文献1では、次の変動においてチャンス目が停止表示される際にも、すなわち、2回目のチャンス目が停止表示される際にも、1回目のチャンス目を停止表示する契機となった事前判定の結果に基づいて、保留画像を変化させることは記載されていません(図32(a)、図32(b))。
また、段落0319には、図31(c)において1回目のチャンス目が停止表示された後の図柄の変動中に、遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞した場合、その増加した保留に対する予告設定処理(図24、S1404)の結果により決定した属性アップ率が既に決定済みの属性アップ率よりも高かった場合には、図32(a)のように最初に第3単位保留表示領域Ga3に白色の保留画像を増加させ、図柄の変動表示が終了した後に、増加した保留を含む3つの保留画像を赤、青、黄、虹の何れかに変化させることが記載されています。この保留画像の変化は、増加した保留(図32(a)のGa3)に対する事前判定の結果に基づいて行われるものであり、1回目のチャンス目を停止表示する契機となった保留(図31(c)におけるGa3、すなわち、図32(a)におけるGa2)に対する事前判定の結果に基づいて行われるものではありません。
引用文献1には、対象変動の少なくとも2回前の変動においてチャンス目を停止し(1回目のチャンス目)、その後の変動においてチャンス目を停止する(2回目のチャンス目)ことは記載されていますが、2回目のチャンス目の停止とともに対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を行うことは記載されていません。」

しかしながら、本願明細書【0084】に「ここで、図9(C)に示すように、装飾図柄51は、全て青図柄で停止される。また、装飾図柄51を構成する各図柄は、その外縁が通常(図8(C))とは異なる態様で表示される(エフェクトが加えられる)。この青図柄で装飾図柄51が停止することは、先読み予告演出を意味し、その後の特別図柄判定の結果が大当たりになることを遊技者に期待させる演出である。なお、装飾図柄51にエフェクトが加えられるとともに、青図柄で停止したことを示す効果音が出力されたり、光による演出が行われてもよい。」、【0088】【0089】に「図9?図11で示すように、青図柄で装飾図柄51が停止すること、緑図柄で装飾図柄51が停止すること、および赤図柄で装飾図柄51が停止することは、先読み予告演出を意味する。すなわち、これら特定の図柄配列で装飾図柄51を停止させる演出は、その後の特別図柄の変動(先読み対象の保留の変動)において大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。また、各図柄(青図柄、緑図柄等)は、その後に大当たりとなる信頼度がそれぞれ異なる。図13は、各図柄に応じた信頼度を示す図である。図13に示すように、全て青図柄で装飾図柄51が停止する場合、信頼度は最も低く、緑図柄、赤図柄の順で信頼度が高くなる。また、金図柄は最も信頼度が高い。」と記載されていることから、特別遊技において大当たりとなる信頼度が高いことを示す青図柄、緑図柄、赤図柄、金図柄で装飾図柄が停止することだけで本件補正発明における「当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出」を構成し、エフェクトを加えることや、効果音を出力すること、光による演出は「特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する示唆演出」を構成するものではない。
そして、上記(2)の本件補正発明と先願発明との対比において、(G)(H)において示したとおり、「当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行われる信頼度が高いことを示唆する示唆演出」は先願発明においても行われている。

したがって、上記主張は採用できない。

(4)小括
以上のとおり、本件補正発明は、先願発明と同一の発明であり、しかも、本件補正発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願遡及日時点において、その出願人が先願発明の出願人と同一であるともいえないので、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-3に係る発明は、平成28年3月16日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記第2の1.において記載した次のとおりのものである。

「所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段と、
始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定が行われると、所定の図柄を図柄表示手段に変動表示させてから停止表示させることにより、当該特別遊技判定の結果を表示する図柄表示制御手段と、
前記図柄が変動されているときに前記取得情報が取得されると、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と、
前記図柄が変動されているときに前記取得情報が取得されると、当該変動が終了する前に、当該取得情報に基づいて特別遊技を行うか否かの事前判定を行う事前判定手段と、
前記特別遊技判定の結果に基づいて、前記所定の図柄の変動表示が開始されると複数の演出図柄を変動開始させ、前記所定の図柄が停止表示されると、当該複数の演出図柄を停止表示させる演出図柄制御手段と、を備え、
前記演出図柄制御手段は、
前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合において、前記事前判定の結果に基づいて、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に所定の停止パターンで停止表示させることが可能であり、
前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、通常停止パターンで当該複数の演出図柄を停止表示させることが可能な第1演出図柄制御手段と、
前記事前判定の対象となった前記特別遊技判定の権利に係る前記所定の図柄の変動の少なくとも2回前の変動において、前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、前記特別遊技が行なわれる信頼度が高い前記特別遊技判定の権利が保留されていることを示唆する停止パターンであって前記通常停止パターンとは異なる第1の特定停止パターンで、前記複数の演出図柄を停止表示させることが可能な第2演出図柄制御手段と、
前記複数の演出図柄が前記第1の特定停止パターンで停止表示された変動の次以降の前記保留記憶手段に保留された前記特別遊技判定の権利に係る前記所定の図柄の変動において、前記特別遊技判定手段によって特別遊技を行わないと判定された場合、前記複数の演出図柄を停止表示させる際に、前記特別遊技が行なわれる信頼度が高い前記特別遊技判定の権利が保留されていることを示唆する停止パターンであって前記第1の特定停止パターンとは異なる第2又は第3の特定停止パターンで、前記複数の演出図柄を停止表示させることが可能な第3演出図柄制御手段と、を含み、
前記演出図柄制御手段は、前記所定の図柄の変動中に行われた前記事前判定の結果に基づいて、現在の変動の次以降の少なくとも2回の変動において前記複数の演出図柄を前記第1の特定停止パターン、前記第2の特定停止パターン、及び前記第3の特定停止パターンの何れで停止させるかを決定し、次以降の少なくとも2回の変動において当該決定した停止パターンで前記複数の演出図柄を停止表示させ、
前記第3演出図柄制御手段によって前記複数の演出図柄が前記第2の特定停止パターンで停止表示されたときは、前記第2演出図柄制御手段によって前記複数の演出図柄が前記第1の特定停止パターンで停止表示されたときよりも、前記事前判定の対象となった前記特別遊技判定の権利に係る図柄の変動において前記特別遊技が行われる信頼度が高く、
前記第3演出図柄制御手段によって前記複数の演出図柄が前記第3の特定停止パターンで停止表示されたときは、前記第3演出図柄制御手段によって前記複数の演出図柄が前記第2の特定停止パターンで停止表示されたときよりも、前記信頼度が高い、遊技機。」

2.拒絶理由通知の概要
平成28年1月18日付け拒絶理由通知は、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないというものである。

3.先願明細書等及び先願発明の発明
先願明細書等に記載されている、先願発明の認定は前記「第2 平成28年12月5日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.独立特許要件」に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2.に記載した補正事項を削除したものであり、当該補正事項のうち、
(5)は「通常停止パターンとは異なる第1の特定停止パターンで、前記複数の演出図柄を停止表示させる」という記載について、「とともに、当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行する」という事項を追加する限定を削除し、
(7)は「第1の停止パターンとは異なる第2又は第3の特定停止パターンで、前記複数の演出図柄を停止表示させる」という記載について、当該記載の後に「とともに、当該特定停止パターンを示唆する演出であって前記対象変動において特別遊技が行なわれる信頼度が高いことを示唆する示唆演出を実行する」という事項を追加する限定を削除したものであり、
(1)(3)(4)(6)(8)(9)(10)は発明を明確化するための補正であり、実質的に発明特定事項を変更するものではない。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3.に記載したとおり、先願発明と実質的に同一の発明であることから、本願発明も同様の理由により、先願発明と実質的に同一の発明であるといえる。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、先願発明の発明と実質的に同一の発明であり、しかも、本願発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願遡及日時点において、その出願人が先願発明の出願人と同一であるともいえないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-22 
結審通知日 2017-06-23 
審決日 2017-07-05 
出願番号 特願2015-10960(P2015-10960)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 161- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 辻野 安人  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 石原 徹弥
川崎 優
発明の名称 遊技機  
代理人 小沢 昌弘  
代理人 寺本 亮  

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