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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01T
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G01T
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01T
審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 G01T
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G01T
管理番号 1331820
審判番号 不服2016-10740  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-15 
確定日 2017-09-19 
事件の表示 特願2013-534416「微分位相コントラスト画像形成」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月26日国際公開、WO2012/052881、平成26年 1月16日国内公表、特表2014-500947、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年(2011年)10月12日(パリ条約による優先権主張 2010年10月19日、欧州特許庁)の出願であって、平成25年4月22日に手続補正がされ、平成27年8月19日付け(発送同年同月25日)で拒絶理由通知が通知され、同年11月20日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたが、平成28年3月16日付け(送達 同年同月22日)付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年7月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされた後、当審において、平成29年4月19日付けで拒絶理由(発送同年同月25日、以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年8月9日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1ないし11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明11」といい、これらをまとめて「本願発明」という。)は、平成29年8月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし11は以下のとおりである。
「【請求項1】
X線微分位相コントラスト画像形成の回折格子であって、
第一のサブエリアと、
第二のサブエリアとを備え、
前記第一のサブエリアは、第一の格子ピッチにより周期的に配置される複数のバー及びギャップをもつ格子構造を有し、X線放射の位相及び/又は振幅を変えるように前記バーが配置され、前記ギャップは、X線を透過し、
前記第二のサブエリアは、X線を透過し、前記第二のサブエリアは、当該回折格子においてX線を透過する開口を提供し、
前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリアは、1つの画像取得ステップの間に、位相コントラストの画像情報がX線画像情報と共に記録することができるように、1つの方向において交互するようにライン状に配置され、
少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、
前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される、
回折格子。
【請求項2】
前記第一のサブエリア及び/又は第二のサブエリアは、第一のサブセットの繰返しピッチ及び/又は第二のサブセットの繰返しピッチで当該回折格子のエリアにわたり配置される、
請求項1記載の回折格子。
【請求項3】
オブジェクトの位相コントラスト画像を生成するX線システムの検出装置であって、
第一の回折格子と、
第二の回折格子と、
センサをもつ検出器とを備え、
前記センサは、画素の第一のサブグループの少なくとも1つのセンサ画素と画素の第二のサブグループの少なくとも1つのセンサ画素とを有し、
前記第一の回折格子は、位相格子であり、
前記第二の回折格子は、アナライザ格子であり、
前記アナライザ格子及び/又は位相格子は、前記アナライザ格子の周期に関して横方向にシフトされ、
前記位相格子及び前記アナライザ格子は、請求項1又は2記載のX線微分位相コントラスト画像形成の回折格子として設けられ、
前記第一及び第二の回折格子は、第一の移動ピッチにより第一の位置から第二の位置に前記センサに関してそれぞれ移動し、
前記第一の移動ピッチは、前記1つの方向において、交互するように配置される前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリアに適合され、
前記センサは、位相コントラスト画像情報及びX線画像情報を記録する、
検出装置。
【請求項4】
前記画素のサイズは、前記回折格子の前記第一のサブエリア及び/又は前記第二のサブエリアのサイズとは異なる、
請求項3記載の検出装置。
【請求項5】
オブジェクトの位相コントラスト画像を生成するX線画像取得装置であって、
X線源と、
ソース格子と、
位相格子と、
アナライザ格子と、
検出器とを備え、
前記X線源は、X線の多色スペクトルのX線ビームを生成し、
前記ソース格子は、前記アナライザ格子の位置で干渉が観察されるように、前記位相格子の少なくとも1つの完全な格子ピッチをコヒーレントに照明するため、十分な横方向のコヒーレンスを提供し、
前記位相格子、前記アナライザ格子及び前記検出器は、請求項3又は4記載の検出装置として提供される、
X線画像取得装置。
【請求項6】
微分位相コントラスト画像形成のための医用X線画像形成システムであって、
請求項5に記載の、オブジェクトの位相コントラスト画像を生成するX線画像取得装置と、
処理ユニットと、
インタフェースユニットと、
オブジェクトを受ける装置とを備え、
前記処理ユニットは、前記X線源を制御し、前記アナライザ格子及び/又は前記位相格子の位相をシフトすることを制御し、前記位相格子及び前記アナライザ格子の移動を制御し、
前記インタフェースユニットは、記録された第一及び第二のRAW画像データを前記処理ユニットに供給し、
前記オブジェクトを受ける装置は、前記位相コントラスト画像取得のために関心のあるオブジェクトを受ける、
医用X線画像形成システム。
【請求項7】
微分位相コントラスト画像形成の方法であって、
a1)第一の位置において2つの回折格子をもつ干渉計にコヒーレントなX線照射を印加するステップと、前記2つの回折格子は、少なくとも格子部分と少なくとも開口部分とをそれぞれ有し、前記格子部分及び前記開口部分は、1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置され、第一の回折格子は、位相格子であり、第二の回折格子は、アナライザ格子であり、
a2)少なくとも2つの部分をもつセンサにより第一のRAW画像データを記録するステップと、第一の部分と第二の部分は、位相コントラスト画像情報及びX線画像情報を記録し、
b)前記アナライザ格子及び前記位相格子を第二の位置に移動するステップと、
c1)前記第二の位置において、コヒーレントなX線照射を前記干渉計に印加するステップと、
c2)少なくとも2つの部分をもつセンサで第二のRAW画像データを記録するステップと、前記第一及び第二の部分は、X線画像情報及び位相コントラスト画像情報を記録し、
d)記録された第一及び第二のRAW画像データをRAW画像データとして提供するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
前記位相格子及び前記アナライザ格子は、第一のサブエリアをそれぞれ有し、前記第一のサブエリアは、第一の格子ピッチにより周期的に配置される複数のバー及びギャップをもつ格子構造を備え、X線照射の位相及び/又は振幅を変えるように前記バーが配置され、前記ギャップは、X線を透過し、
第二のサブエリアは、X線を透過し、前記第二のサブエリアは、前記回折格子においてX線を透過する開口を提供し、
ステップa2)は、前記第一の位置において、前記センサにより前記第一のRAW画像データを記録するステップを含み、前記センサは、画素の第一のサブグループの少なくとも1つのセンサ画素と、画素の第二のサブグループの少なくとも1つのセンサ画素とを含み、前記第一及び第二のサブグループは、位相コントラスト画像情報及びX線画像情報を記録し、
ステップb)は、第一の移動ピッチにより、前記第一の位置から少なくとも前記第二の位置に前記センサに関して前記位相格子及び前記アナライザ格子を移動するステップを含み、前記移動ピッチは、前記1つの方向において交互するように配置される前記回折格子の前記第一及び第二のサブエリアに適合され、
ステップc2)は、前記第二の位置において前記センサにより前記第二のRAW画像データを記録するステップを含み、前記第一及び第二のサブグループは、X線画像情報及び位相コントラスト画像情報を記録する、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第一及び第二の位置において、前記アナライザ格子の前記第一及び第二のサブエリアは、画素の第一のサブグループの前に少なくとも部分的に、画素の第二のサブグループの前に少なくとも部分的にそれぞれ配置され、前記第一及び第二の位置において、画素の第一のサブグループ及び画素の第二のサブグループの異なる第一及び第二の部分は、前記アナライザ格子の前記第一のサブエリアによりそれぞれカバーされ、
ステップc)に続いて、第三の位置及び少なくとも更なる位置が設けられ、前記第三の位置及び少なくとも更なる位置に、前記回折格子が移動され、前記第三の位置及び少なくとも更なる位置において、コヒーレントX線照射を印加する間、第三及び更なるRAW画像データが記録され、
前記第三及び更なる位置において、前記アナライザ格子及び前記位相格子の前記第一及び第二のサブエリアは、画素の第一のサブグループの前で少なくとも部分的に、画素の第二のサブグループの前に少なくとも部分的にそれぞれ配置され、前記第三及び更なる位置において、画素の第一及び第二のサブグループの異なる第三及び更なる部分は、前記アナライザ格子及び前記位相格子の前記第一のサブエリアによりそれぞれカバーされ、前記第三及び更なる部分は、前記第一及び第二の部分とそれぞれ部分的にオーバラップする、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
処理ユニットにより実行されたとき、請求項7乃至9の何れか記載の方法を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」

なお、本願発明7は物の発明である本願発明1を用いた微分位相コントラスト画像形成の方法の発明である。
また、本願発明2ないし6は、本願発明1を減縮した発明であり、さらに、本願発明8ないし11は、本願発明7を減縮した発明である。

第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献について
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた文献である国際公開第2009/101569号(以下「引用文献」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(訳は特表2011-512187号公報に基づいて当審にて付した。また、下線は当審にて付した。以下同じ。)。
ア 「FIELD OF THE INVENTION
The invention relates to an X-ray detector, an X-ray device comprising such a detector, and a method for analyzing an X-ray intensity pattern, particularly for generating phase contrast X-ray images of an object.」(1頁2?5行)
(技術分野
本発明は、X線検出器、かかる検出器を有するX線装置、及びX線強度パターンを分析するための方法、特に対象物の位相コントラストX線画像を生成するための方法に関する。)

イ 「Figure 1 illustrates (not to scale!) the design of an X-ray device 100 that addresses the above issues. The X-ray device 100 comprises an X-ray source 10 for generating X-radiation. The X-ray source 10 comprises in a casing a spatially extended emitter 11 that can for example be realized by the focus (anode) of a standard X-ray source and that typically has an extension of several millimeters perpendicular to the optical axis (z-axis). A grating G_(0) is disposed in front of the emitter 11 to subdivide the emission in lines each of which is spatially coherent in transverse (x-) direction. More details about this approach can be found in literature (e.g. Pfeiffer et al., above).
For purposes of clarity, only one cylindrical wave propagating in z-direction behind one slit of the grating G_(0) is illustrated in the Figure. The cylindrical wave passes through an object 1, for example the body of a patient, that shall be imaged by the device 100. The material of the object 1 induces a phase shift in the X-ray wave, resulting in an altered (disturbed) wave front behind the object 1. For each position x perpendicular to the optical axis, a phase shift Φ(x) is thus associated to the wave front that is characteristic of the material properties along the corresponding X-ray path. The complete function Φ is a phase contrast projection image of the object 1 one is interested in.
In order to determine the phase shift function Φ, a diffractive optical element (DOE) is disposed behind the object 1. In the shown example, this DOE is realized by a phase grating G_(1) extending perpendicular to the optical axis (with its slits parallel to the slits of the source grating G_(0)). The grating G_(1) generates an interference pattern in transmission geometry, i.e. in the space opposite to the object side. This interference pattern can, at fixed coordinates y and z (and neglecting a dependence on the X-ray wavelength), be characterized by a function
I=I(x, Φ(x)).
At a given distance from the DOE grating G_(1), the interference pattern will correspond to a periodic pattern of intensity maxima and minima as schematically illustrated in the Figure. Measuring this interference pattern with an X-ray detector 30 will then allow to infer the phase shifts Φ(x) that were introduced by the object 1.
In practice, the measurement of the interference pattern I behind the grid G_(1) is however a nontrivial task as the required spatial resolution, determined by the distance between two adjacent maxima or minima, is much smaller than the size of the sensitive elements or pixels of usual X-ray detectors. As already explained above, it has been proposed in literature to place an absorption grating in front of the detector pixels, said grating having essentially the same periodicity as the grid G_(1) behind the object. Such an absorption grating has the effect to provide small windows through which the detector looks at corresponding subsections of the periodic interference pattern I, for example at small regions around the maxima, thus effectively measuring the intensity in these subsections. By shifting the absorption grating in x-direction, the interference pattern can be sampled at several positions, which allows to reconstruct it completely. A problem of this grid-stepping approach is that it requires complicated and precise mechanics. Moreover, the stepping implies that the measurements are made sequentially at different times, which is disadvantageous if the object moves or if a rotational setup shall be used for computed tomography (CT) reconstructions.
In order to avoid these problems, it is proposed here replace the sampling in the time domain (i.e. the grid-stepping) with a sampling in the spatial domain. This can be achieved by a detector design like the one illustrated in Figure 1. The detector 30 comprises an array of (typically several thousand) sensitive elements or pixels ..., P_((i-1)a), P_((i-1)b), P_(ia), P_(ib), P_((i+1)a), P_((i+1)b), ... which generate an electrical signal corresponding to the intensity of X-radiation impinging on them. Each of these pixels is disposed behind a corresponding local analyzer grating. For purposes of illustration, Figure 1 shows in this respect two global gratings G_(2a), G_(2b) that are disposed parallel to each other in front of the whole array of pixels. The first grating G_(2a) has absorption lines only in front of every second pixel P_((i-1)a), P_(ia), P_((i+1)a) while the second grating G_(2a) has absorption lines only in front of the remaining pixels P_((i-1)b), P_(ib), P_((i+1)b). Moreover, the two gratings G_(2a), G_(2b) have the same periodicity or pitch (i.e. distance between their absorbing lines), but their line patterns are shifted with respect to each other by a distance d_(ab). The pixels P_((i-1)a), P_(ia), P_((i+1)a) therefore sample other relative locations of the intensity pattern I than the pixels P_((i-1)b), P_(ib), P_((i+1)b). In combination, each pair [P_((i-1)a) and P_((i-1)b)], [P_(ia) and P_(ib)], and [P_((i+1)a) and P_((i+1)b)] of adjacent pixels constitutes a macro-pixel Π_(i-1), Π_(i), Π_(i+1) that provides a simultaneous analysis of the local intensity pattern I at different sampling points.
In Figure 1, only a linear arrangement of the pixels P_((i-1)a), ... can be seen. In general, the array of pixels will however be two-dimensional. This is illustrated in Figure 2 in a top view onto an exemplary pixel array showing one macro-pixel Π_(i), that consists of four adjacent (sub-) pixels P_(ia), P_(ib), P_(ic), P_(id). In front of each of the pixels P_(ia)-P_(id), a corresponding analyzer grating G_(ia), G_(ib), G_(ic), G_(id) is disposed. The analyzer gratings have the same pitch p (i.e. periodicity). The line pattern of analyzer grating G_(iY) is however disposed with respect to the line pattern of analyzer grating G_(iX) by a nonzero distance d_(XY) (with X, Y chosen from the indices a, b, c, d and with the distances being defined from the left edge of an arbitrarily chosen absorbing strip of grating G_(iX) to the left edge of an arbitrarily chosen absorbing strip of the other grating G_(iY)). The shifts will lead to the following effective relative shifts with respect to grating G_(ia):
r_(ab)=d_(ab) MODp
r_(ac)=d_(ac) MODp
r_(ad)=d_(ad) MODp,
where x MOD y refers to the modulo function, i.e. is the remainder when x is divided by y, where x, y are real numbers. d_(ab), d_(ac), d_(ad) are chosen such that r_(ab), r_(ac), r_(ad) are equally distributed over the pitch p, i.e. the phase sampling is equally distributed over 2π.
This is illustrated in Figure 3, which shows two exemplary periods of an intensity pattern I. The shown periods are located at different x-positions above two different macro-pixel Π_(i), Π_(i+1). As described above, these two macro-pixels each comprise four (sub-) pixels that sample four different positions a, b, c, d of the intensity pattern (it should be noted that the Figure shows only the sampling in one period of the intensity pattern, while each sub-pixel in fact samples corresponding positions in many periods). From the sampling points, the local intensity pattern / can be reconstructed for each macro-pixel as known from prior art regarding phase contrast imaging with phase-stepping, thus revealing possible (phase-)shifts in the intensity pattern / between the positions of the considered macro- pixels Π_(i), Π_(i+1). As known from the state of the art, the desired phase contrast image can finally be deduced from these (phase-)shifts in the intensity pattern.
In summary, the apparatus and method described above employ a sub- pixellation to determine the (phase-)shift of an intensity pattern. Each sub-pixel of one macro-pixel provides a different sampling of the intensity pattern. This is accomplished by a special analyzer grating which has a fixed position with respect to the pixel detector. The novel analyzer grating has the same shape as the pixel detector, i.e. it features sub-gratings. The pitch of all sub-gratings is the same as for a conventional analyzer grating. However, within the macro-pixel sub-gratings are slightly displaced with respect to each other. The offsets between sub-gratings of one macro-pixel are preferably chosen such that the corresponding sampling points of the intensity pattern cover the full shift interval of 2π. The described detector can measure the shift of a projection in one shot, eliminating the need to perform consecutive steps with the absorption grid for the same projection view. Essentially, sampling in the time domain is replaced a sampling in the spatial domain.
Although the discussed examples dealt with a 2x2 macro-pixel, the design can be easily extended for a NxM pixel (N, M≧2). For instance, the sub-gratings of a macro-pixel with 3x3 sub-pixels could be designed for eight samplings as proved to be sufficient in Weitkamp et al.. Thus, one sub-pixel would provide redundant information. With adequate processing it could improve the robustness of the method.」(7頁28行?10頁下から3行)
(図1は、上記の問題を扱うX線装置100の設計を図示する(縮尺通りではない!)。X線装置100はX線放射を生成するためのX線源10を有する。X線源10はケーシング内に空間的に広げられた放射体11を有し、これは例えば標準的なX線源の焦点(アノード)によって実現されることができ、通常は光軸(z軸)に垂直な数ミリメートルの延長部を持つ。格子G_(0)は、各々が横断(x)方向に空間的にコヒーレントである線へと放射を分割するために、放射体11の前に配置される。このアプローチについてのさらなる詳細は文献(例えば上記のPfeiffer et al.)に見られることができる。
明確さを目的として、格子G_(0)の1つのスリットの後ろにz方向に伝播する1つの円筒波のみが図面に図示される。円筒波は、装置100によって画像化される例えば患者の身体などの対象物1を通過する。対象物1の材料はX線波に位相シフトを誘導し、対象物1の後ろに変更された(撹乱された)波面をもたらす。従って、光軸に垂直な各位置xに対して、位相シフトΦ(x)は対応するX線経路に沿った材料特性に特徴的な波面に関連する。完全関数Φは関心のある対象物1の位相コントラスト投影画像である。
位相シフト関数Φを決定するために、回折光学素子(DOE)が対象物1の後ろに配置される。示された実施例において、このDOEは光軸に対して垂直に広がる位相格子G_(1)によって実現される(そのスリットは線源格子G_(0)のスリットに平行である)。格子G_(1)は、透過幾何学、すなわち対象物側と反対の空間において、干渉パターンを生成する。この干渉パターンは、固定座標y及びzにおいて(X線波長への依存を無視して)、関数
I=I(x,Φ(x))
によって特徴付けられることができる。
DOE格子G_(1)からの所定距離において、干渉パターンは図面に概略的に図示されるような強度の最大値と最小値の周期パターンに対応する。この干渉パターンをX線検出器30で測定することは、対象物1によって導入された位相シフトΦ(x)を推測することを可能にする。
しかし実際には、格子G_(1)の後ろの干渉パターンIの測定は、2つの隣接する最大値又は最小値間の距離によって決定される所要空間分解能が、通常のX線検出器の感受性素子又はピクセルのサイズよりもはるかに小さいので、簡単な作業ではない。既に上述した通り、検出器ピクセルの前に吸収格子を置くことが文献において提案されており、上記格子は基本的に対象物の後ろの格子G_(1)と同じ周期を持つ。このような吸収格子は小さな窓を与える効果を持ち、これを通して検出器は、周期的干渉パターンIの対応する小区分、例えば最大値の周囲の小領域を”見て”、こうしてこれらの小区分における強度を効果的に測定する。吸収格子をx方向にシフトすることによって、干渉パターンは複数の位置においてサンプリングされることができ、これは干渉パターンを完全に再構成することを可能にする。この格子ステッピングアプローチの問題は、複雑で正確な機構を必要とすることである。さらに、このステッピングは測定が異なる時間において連続的になされることを示唆し、これは対象物が動く場合、又はコンピュータ断層撮影(CT)再構成のために回転設定が使用される場合には不都合である。
これらの問題を回避するために、本明細書では、時間領域におけるサンプリング(すなわち格子ステッピング)を空間領域におけるサンプリングと置き換えることが提案される。これは図1に図示されたもののような検出器設計によって実現されることができる。検出器30は(典型的には数千の)感受性素子又はピクセルのアレイ…,P_((i-1)a),P_((i-1)b),P_(ia),P_(ib),P_((i+1)a),P_((i+1)b),…を有し、これらは衝突するX線放射の強度に対応する電気信号を生成する。これらのピクセルの各々は対応する局所アナライザ格子の後ろに配置される。例示を目的として、図1はこの点において、ピクセルのアレイ全体の前に互いに平行に配置される2つの”大域”格子G_(2a),G_(2b)を示す。第一の格子G_(2a)は2つのピクセルにつき1つ(P_((i-1)a),P_(ia),P_((i+1)a))の前にのみ吸収線を持ち、一方第二の格子G_(2b)は残りのピクセル(P_((i-1)b),P_(ib),P_((i+1)b))の前にのみ吸収線を持つ。さらに、2つの格子G_(2a),G_(2b)は同じ周期又はピッチ(すなわちその吸収線間の距離)を持つが、その線パターンは互いに対して距離d_(ab)だけシフトされる。従ってピクセルP_((i-1)a),P_(ia),P_((i+1)a)は、ピクセルP_((i-1)b),P_(ib),P_((i+1)b)以外の強度パターンIの他の相対位置をサンプリングする。組み合わせて、隣接ピクセルの各ペア[P_((i-1)a)とP_((i-1)b)],[P_(ia)とP_(ib)],[P_((i+1)a)とP_((i+1)b)]は”マクロピクセル”Π_(i-1),Π_(i),Π_(i+1)を構成し、これは異なるサンプリング点において局所強度パターンIの同時分析をもたらす。
図1においては、ピクセルP_((i-1)a),…の線状配列のみが見られる。しかし一般的にはピクセルのアレイは二次元である。これは図2に図示され、例示的なピクセルアレイ上の上面図において、4つの隣接(サブ)ピクセルP_(ia),P_(ib),P_(ic),P_(id)から成る1つのマクロピクセルΠ_(i)を示す。ピクセルP_(ia)乃至P_(id)の各々の前には、対応するアナライザ格子G_(ia),G_(ib),G_(ic),G_(id)が配置される。アナライザ格子は同じピッチp(すなわち周期)を持つ。しかしながらアナライザ格子G_(iY)の線パターンはアナライザ格子G_(iX)の線パターンに対してゼロ以外の距離d_(XY)だけずらされる(X,Yは添え字a,b,c,dから選ばれ、距離は格子G_(iX)の任意に選ばれた吸収ストリップの左端から、他の格子G_(iY)の任意に選ばれた吸収ストリップの左端までと規定される)。このシフトは次のような格子G_(ia)に対する”有効”相対シフトをもたらす。
r_(ab)=d_(ab)MODp
r_(ac)=d_(ac)MODp
r_(ad)=d_(ad)MODpxMODyとはモジュロ関数をあらわし、すなわちxがyで序されるときの余りであり、x,yは実数である。d_(ab),d_(ac),d_(ad)は、r_(ab),r_(ac),r_(ad)がピッチpにわたって均一に分布するように、すなわち位相サンプリングが2πにわたって均一に分布するように選ばれる。
これは、強度パターンIの2つの例示的な周期を示す図3に図示される。示された周期は2つの異なるマクロピクセルΠ_(i),Π_(i+1)の上の異なるx位置に位置する。上記の通り、これらの2つのマクロピクセルは各々、強度パターンの4つの異なる位置a,b,c,dをサンプリングする4つの(サブ)ピクセルを有する(図は強度パターンの1周期におけるサンプリングしか示していないが、各サブピクセルは実際には多くの周期において対応する位置をサンプリングすることに留意すべきである)。位相ステッピングを伴う位相コントラストイメージングに関する従来技術からわかるように、サンプリング点から局所強度パターンIが各マクロピクセルに対して再構成されることができ、その結果、検討されたマクロピクセルΠ_(i),Π_(i+1)の位置間の強度パターンIにおける可能な(位相)シフトを明らかにする。従来技術からわかるように、所望の位相コントラスト画像は最終的に強度パターンにおけるこれらの(位相)シフトから推測されることができる。
要約すると、上記の装置及び方法は、強度パターンの(位相)シフトを決定するためにサブピクセレーションを利用する。1つのマクロピクセルの各サブピクセルは、強度パターンの異なるサンプリングをもたらす。これはピクセル検出器に対して固定位置をとる特殊なアナライザ格子によって達成される。この新しいアナライザ格子はピクセル検出器と同じ形状を持ち、すなわちサブ格子を特徴付ける。全サブ格子のピッチは従来のアナライザ格子の場合と同じである。しかしながら、マクロピクセル内においてサブ格子は互いに対してわずかにずらされる。1つのマクロピクセルのサブ格子間のオフセットは好ましくは、強度パターンの対応するサンプリング点が2πの全シフト間隔をカバーするように選ばれる。上記検出器は1ショットにおける投影のシフトを測定することができ、同じ投影図に対する吸収格子を用いる連続的な手順を実行する必要性を排除する。基本的に、時間領域におけるサンプリングは空間領域におけるサンプリングに置き換えられる。
前述の実施例は2×2のマクロピクセルを扱ったが、設計はN×Mのピクセル(N,M≧2)用に容易に拡張されることができる。例えば、Weitkamp et al.の文献において十分であることが証明されているように、3×3のサブピクセルを持つマクロピクセルのサブ格子が8サンプリング用に設計されることができる。従って、1つのサブピクセルは重複情報を提供することになる。適切な処理を行えば該方法のロバスト性を向上させることができる。)

ウ 図1及び図2(FIG.1及びFIG.2)は次のものである。


エ 上記ア及びイの記載を踏まえて上記ウの図1及び2を見ると、”大域”格子G_(2a),G_(2b)はそれぞれ同じ周期又はピッチに配置される複数のバー及びギャップをもつ格子構造を有し、ピクセルP_((i-1)a),P_(ia),P_((i+1)a)は、ピクセルP_((i-1)b),P_(ib),P_((i+1)b)以外の強度パターンIの他の相対位置をサンプリングするように前記バーが配置され、前記ギャップは、X線を透過し、前記”大域”格子G_(2a),G_(2b)の複数のバー及びギャップをもつ格子構造ではない領域はX線を透過し、当該”大域”格子G_(2a),G_(2b)においてX線を透過する領域を提供するものであることが見てとれる。

(2)引用発明
上記(1)によれば、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「X線放射を生成するためのX線源10及び検出器30を有するX線装置100において、
前記検出器30は感受性素子又はピクセルのアレイを有し、衝突するX線放射の強度に対応する電気信号を生成し、
前記ピクセルのアレイ全体の前に2つの”大域”格子G_(2a),G_(2b)が互いに平行に配置され、
第一の格子G_(2a)は2つのピクセルにつき1つ(P_((i-1)a),P_(ia),P_((i+1)a))の前にのみ吸収線を持ち、一方第二の格子G_(2b)は残りのピクセル(P_((i-1)b),P_(ib),P_((i+1)b))の前にのみ吸収線を持ち、
2つの格子G_(2a),G_(2b)は同じ周期又はピッチ(すなわちその吸収線間の距離)を持つが、その線パターンは互いに対して距離d_(ab)だけシフトされ、
ピクセルP_((i-1)a),P_(ia),P_((i+1)a)は、ピクセルP_((i-1)b),P_(ib),P_((i+1)b)以外の強度パターンIの他の相対位置をサンプリングし、
組み合わせて、隣接ピクセルの各ペア[P_((i-1)a)とP_((i-1)b)],[P_(ia)とP_(ib)],[P_((i+1)a)とP_((i+1)b)]は”マクロピクセル”Π_(i-1),Π_(i),Π_(i+1)を構成し、これは異なるサンプリング点において局所強度パターンIの同時分析をもたらし、
ピクセルのアレイは二次元であり、
前記”大域”格子G_(2a),G_(2b)はそれぞれ同じ周期又はピッチに配置される複数のバー及びギャップをもつ格子構造を有し、ピクセルP_((i-1)a),P_(ia),P_((i+1)a)は、ピクセルP_((i-1)b),P_(ib),P_((i+1)b)以外の強度パターンIの他の相対位置をサンプリングするように前記バーが配置され、前記ギャップは、X線を透過し、前記”大域”格子G_(2a),G_(2b)の複数のバー及びギャップをもつ格子構造ではない領域はX線を透過し、当該”大域”格子G_(2a),G_(2b)においてX線を透過する領域を提供するものである、X線装置100。」

2 先願明細書について
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前の他の特許出願であって、その出願後に出願公開された特願2010-188429号(以下「先願」という。特開2012-45099号公報参照。)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「先願明細書」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像の撮影に用いられるグリッド及びその製造方法と、この放射線画像撮影用グリッドグリッドを用いた放射線画像撮影システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線が被検体を透過する際の位相変化(角度変化)に基づいた画像(以下、位相コントラスト画像という)を得る放射線位相イメージングの一種として、タルボ干渉効果を用いた放射線画像撮影システムが考案されている。例えば、放射線としてX線を用いるX線画像撮影システムは、被検体の背後に配置した第1のグリッドと、第1のグリッドのグリッドピッチとX線波長で決まる特定距離(タルボ干渉距離)だけX線の照射方向の下流に配置した第2のグリッドと、その背後に配置したX線画像検出器とを有する。第1のグリッドを通過したX線は、タルボ干渉効果により第2のグリッドの位置で自己像(縞画像)を形成する。この自己像は、被検体とX線との相互作用(位相変化)により変調を受ける。
【0003】
上記X線画像撮影システムは、第1のグリッドの自己像と第2のグリッドとの重ね合わせにより強度変調された縞画像の被検体による変化(位相ズレ)から被検体の位相コントラスト画像を取得する。これは縞走査法と称されている。縞走査法では、第1のグリッドに対して第2のグリッドを、第1のグリッドの面にほぼ平行で、かつ第1のグリッドのグリッド方向(条帯方向)にほぼ垂直な方向に、グリッドピッチを等分割した走査ピッチで並進移動(走査)させながら各走査位置で撮影を行い、X線画像検出器で得られる各画素の画素データの上記走査位置に対する強度変化の位相のズレ量から位相微分像(被検体で屈折したX線の角度分布に対応)を取得する。この位相微分像を、上記の縞走査方向に沿って積分することにより被検体の位相コントラスト画像が得られる。」

イ 「【発明の効果】
【0018】
本発明の放射線画像撮影用グリッド及びその製造方法は、一方の小グリッドのグリッド部と他方の小グリッドの非グリッド部とが対面するように重ね合わせているので、非グリッド部の大きさに影響されることなく、グリッド部の間隔が狭くなるように複数枚の小グリッドを配列することができる。これにより、本発明の放射線画像撮影用グリッドを用いた放射線画像撮影システムでは、複数枚の小グリッドのグリッド部間で位相コントラスト画像が取得できなくなるような事態が発生せず、高画質の位相コントラスト画像得ることができる。」

ウ 「【0020】
図1に示すように、本発明のX線画像撮影システム10は、z方向に配置された被検体Hに向けてX線を放射するX線源11と、z方向においてX線源11に対向配置された線源グリッド12と、線源グリッド12からz方向に所定距離離れた位置に平行に配置された第1のグリッド13と、第1のグリッド13からz方向に所定距離離れた位置に平行に配置された第2のグリッド14と、第2のグリッド14に対向配置されたX線画像検出器15とからなる。X線画像検出器15は、例えば、半導体回路を用いたフラットパネル検出器(FPD:Flat Panel Detector)が用いられている。
【0021】
線源グリッド12、第1のグリッド13及び第2のグリッド14は、吸収型グリッドであり、z方向に直交するx方向に直線状に延伸され、かつz方向及びx方向に直交するy方向に沿って所定のピッチで周期的に配列された複数のX線吸収部17、18、19がそれぞれ縞状に設けられている。線源グリッド12、第1のグリッド13及び第2のグリッド14は、X線吸収部17、18、19によってX線を吸収し、X線吸収部の間に設けられたX線透過部によってX線を透過させる。
【0022】
以下、第2のグリッド14を例にして、本発明の放射線画像撮影用グリッドの構成を説明する。なお、線源グリッド12及び第1のグリッド13は、X線吸収部17、18の幅、ピッチ、X線照射方向の厚さ等が異なる以外は第2のグリッド14とほぼ同様の構成であるため、詳しい説明は省略する。
【0023】
図2(A)は、第2のグリッド14をX線画像検出器15の側から見た平面図であり、同図(B)は同図(A)のA-A断面を表している。第2のグリッド14は、サイズの小さな2枚の小グリッド21、22から構成されている。小グリッド21、22は、グリッドとして機能するグリッド部21a,22aと、グリッド部21a,22aの外周に設けられてグリッドとして機能しない非グリッド部21b,22bとをそれぞれ備えている。小グリッド21、22は、グリッド部21a及び非グリッド部22bと、非グリッド部21b及びグリッド部22aとが重なり合うように接合されており、z方向から見たときにそれぞれのグリッド部と非グリッド部との境界が一致し、かつ2つのグリッド部21a、22aが連続して1枚の大きなグリッド部を構成するように接合されている。
【0024】
図2(B)のグリッド部を拡大して表した図3に示すように、小グリッド21、22は、シリコン等のX線透過性を有する材質で形成されたX線透過性基板24と、このX線透過性基板24に設けられたX線吸収部19とからなる。X線吸収部19は、グリッド部21a,22a内に設けられている。X線吸収部19は、X線透過性基板24にx方向に沿って設けられ、y方向に沿って配列された複数の溝25の中に設けられており、X線吸収性に優れた金属、例えば金やプラチナ等から構成されている。各X線吸収部19を隔てている複数の隔壁26は、X線透過部として機能する。」

エ 「【0039】
縞画像は、第2のグリッド14により強度変調され、例えば、縞走査法により検出される。縞走査法とは、第1のグリッド13に対し第2のグリッド14を、X線焦点を中心としてグリッド面に沿った方向にグリッドピッチを等分割(例えば、5分割)した走査ピッチでy方向に並進移動させながら、X線源11から被検体HにX線を照射して複数回の撮影を行なってX線画像検出器15により検出し、X線画像検出器15の各画素の画素データの位相のズレ量(被検体Hがある場合とない場合とでの位相のズレ量)から位相微分像(被検体で屈折したX線の角度分布に対応)を取得する方法である。この位相微分像を上記の縞走査方向に沿って積分することにより、被検体Hの位相コントラスト画像を得ることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の放射線画像撮影用グリッドは、複数枚の小グリッド21、22を接合して構成しているので、大きな面積を得ることができ、位相コントラスト画像の撮影面積を広くすることができる。また、小グリッド21、22は、グリッド部21a及び非グリッド部22bと、非グリッド部21b及びグリッド部22aとが重なり合うように接合されており、z方向から見たときにそれぞれのグリッド部と非グリッド部との境界が一致し、かつ2つのグリッド部21a、22aが連続して1枚の大きなグリッド部を構成するように接合されているので、小グリッド21、22のグリッド部21a,22aの間の間隔が画素サイズ以下となり、高画質の位相コントラスト画像を撮影することができる。」

オ 「【0045】
また、上記実施形態では、2枚の小グリッド21、22により第2のグリッド14を構成したが、2枚以上の小グリッドを用いてもよい。例えば、図9(A)に示すように、4枚の小グリッド45a?45dを接合して大面積のグリッド46を構成してもよい。この場合、同図(A)のy方向の断面図である同図(B)に示すように、小グリッド45a?45dを千鳥状に重ね合わせれば、小グリッドの枚数が多くなってもグリッド46の厚みを抑えることができる。小グリッドの間に生じる隙間Eは、吸収グリッドとして使用する場合にはそのまま残しておいてもよい。しかし、干渉グリッドとして使用する場合には、隙間EでX線が干渉するため、小グリッド45a?45dに使用しているX線透過性基板と同程度のX線透過性を有する材料により、隙間Eを埋めておくのが好ましい。
【0046】
図10(A)及びy方向断面を表す同図(B)に示すグリッド50のように、小グリッド51a?51eを階段状に重ね合わせて接合してもよい。このような接合を行う場合、グリッド50の強度を向上させるため、2点鎖線で示すように、小グリッド51a、51b、51d、51eの下に、X線透過性を有するダミー基板52a?52dを接合するのが好ましい。また、図11に示すように、ダミー基板に代えて、凹状の支持基板54を用いてもよい。支持基板54に対する小グリッド51a?51eの接合は、例えば、下段の小グリッドから順に接着剤で仮止めし、全ての小グリッドを仮止めした後に、本接着用の接着剤を支持基板54と小グリッド51a?51eの間に充填すればよい。
【0047】
図12に示すように、上面が傾斜されたダミー基板56a?56dを使用してグリッド50の小グリッド51a、51b、51d、51eをX線焦点に向かうように傾斜させ、擬似的に凹面状のグリッドを構成してもよい。複数枚の小グリッドを用いてグリッドを大面積化した場合、コーンビーム状のX線のケラレが発生するが、小グリッドを傾けて凹状にすることにより収束構造のグリッドが得られるので、X線のケラレを少なくすることができる。また、凹面状の支持基板を用いて各小グリッドを傾斜させてもよい。
【0048】
上記各実施形態では、小グリッドを1方向のみで重ね合わせていたが、図13に示すグリッド60のように、小グリッドを複数方向に重ねて合わせてもよい。図14に示すように、グリッド60は、最下段の小グリッド61の4辺に2段目の小グリッド62a?62dをそれぞれ重ね合わせて接合し、2段目の小グリッド62a?62dの間を埋めるように3段目の小グリッド63a?63dを2段目の小グリッド62a?62dの上に接合している。これによれば、グリッドをより大面積化することができる。なお、各小グリッドのグリッド部を縞状のグリッドではなく十字グリッドとし、各小グリッドをX線焦点に向けて傾斜させれば、球面状のグリッドを得ることもできる」

カ 図1、2、3、9及び13は次のものである。


(2)先願発明
上記(1)によれば、先願明細書には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されているものと認められる。
「サイズの小さな2枚の小グリッド21、22から構成され、
前記小グリッド21、22は、グリッドとして機能するグリッド部21a,22aと、グリッド部21a,22aの外周に設けられてグリッドとして機能しない非グリッド部21b,22bとをそれぞれ備え、
前記小グリッド21、22は、グリッド部21a及び非グリッド部22bと、非グリッド部21b及びグリッド部22aとが重なり合うように接合されており、z方向から見たときにそれぞれのグリッド部と非グリッド部との境界が一致し、かつ2つのグリッド部21a、22aが連続して1枚の大きなグリッド部を構成するように接合され、
前記小グリッド21、22は、シリコン等のX線透過性を有する材質で形成されたX線透過性基板24と、このX線透過性基板24に設けられたX線吸収部19とからなり、
前記X線吸収部19は、グリッド部21a,22a内に設けられ、
前記X線吸収部19は、X線透過性基板24にx方向に沿って設けられ、y方向に沿って配列された複数の溝25の中に設けられており、X線吸収性に優れた金属から構成され、
前記各X線吸収部19を隔てている複数の隔壁26は、X線透過部として機能する、
縞画像は、第2のグリッド14により強度変調され、位相微分像を取得する、
放射線画像の撮影に用いられるグリッド。」

第4 対比・判断
1 本願発明と引用発明との対比・判断
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「”大域”格子G_(2a),G_(2b)」は、本願発明1の「回折格子」に相当する。

(イ)引用発明の「”大域”格子G_(2a),G_(2b)」の「それぞれ同じ周期又はピッチに配置される複数のバー及びギャップをもつ格子構造」領域は、「ピクセルP_((i-1)a),P_(ia),P_((i+1)a)は、ピクセルP_((i-1)b),P_(ib),P_((i+1)b)以外の強度パターンIの他の相対位置をサンプリングするように前記バーが配置され、前記ギャップは、X線を透過」することは、本願発明1の「第一のサブエリアは、第一の格子ピッチにより周期的に配置される複数のバー及びギャップをもつ格子構造を有し、X線放射の位相及び/又は振幅を変えるように前記バーが配置され、前記ギャップは、X線を透過」することに相当する。

(ウ)引用発明の「”大域”格子G_(2a),G_(2b)」の「複数のバー及びギャップをもつ格子構造ではない領域」は、「X線を透過し、当該”大域”格子G_(2a),G_(2b)においてX線を透過する領域を提供するものであることは、本願発明1の「第二のサブエリア」は、「X線を透過し」、「当該回折格子においてX線を透過する開口を提供」することに相当する。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)によれば、両者は、
「X線微分位相コントラスト画像形成の回折格子であって、
第一のサブエリアと、
第二のサブエリアとを備え、
前記第一のサブエリアは、第一の格子ピッチにより周期的に配置される複数のバー及びギャップをもつ格子構造を有し、X線放射の位相及び/又は振幅を変えるように前記バーが配置され、前記ギャップは、X線を透過し、
前記第二のサブエリアは、X線を透過し、前記第二のサブエリアは、当該回折格子においてX線を透過する開口を提供する、
回折格子。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

・本願発明1の「前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリア」は、「1つの画像取得ステップの間に、位相コントラストの画像情報がX線画像情報と共に記録することができるように、1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」のに対して、引用発明の「”大域”格子G_(2a),G_(2b)」の「それぞれ同じ周期又はピッチに配置される複数のバー及びギャップをもつ格子構造」領域及び「複数のバー及びギャップをもつ格子構造ではない領域」は、このように配置されるとは特定されない点(以下「相違点1」という。)。

イ 判断
上記相違点1について検討する。
引用発明の「ピクセルのアレイは二次元であ」る点に関して、引用文献には、「これは図2に図示され、例示的なピクセルアレイ上の上面図において、4つの隣接(サブ)ピクセルP_(ia),P_(ib),P_(ic),P_(id)から成る1つのマクロピクセルΠ_(i)を示す」(上記「第3」「1」「(1)」「イ」)と記載され、続いて、「これらの2つのマクロピクセルは各々、強度パターンの4つの異なる位置a,b,c,dをサンプリングする4つの(サブ)ピクセルを有する・・・。位相ステッピングを伴う位相コントラストイメージングに関する従来技術からわかるように、サンプリング点から局所強度パターンIが各マクロピクセルに対して再構成されることができ、その結果、検討されたマクロピクセルΠ_(i),Π_(i+1)の位置間の強度パターンIにおける可能な(位相)シフトを明らかにする。」及び「前述の実施例は2×2のマクロピクセルを扱ったが、設計はN×Mのピクセル(N,M≧2)用に容易に拡張されることができる。例えば、Weitkamp et al.の文献において十分であることが証明されているように、3×3のサブピクセルを持つマクロピクセルのサブ格子が8サンプリング用に設計されることができる。」(上記「第3」「1」「(1)」「イ」)と記載されている。
上記記載によれば、引用発明のピクセルのアレイは、2×2のマクロピクセル、ないしは、N×Mのピクセル(N,M≧2)に配置することで、「サンプリング点から局所強度パターンIが各マクロピクセルに対して再構成されることができ」るものであるから、引用発明のピクセルのアレイを、「1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」ものとする動機はない。
また、このように配置することが容易に想到し得たとする証拠もない。
したがって、本願発明1は、引用発明ではなく、また、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6も、本願発明1の「前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリア」は、「1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明ではなく、また、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(3)本願発明7ないし11について
本願発明7ないし11も、本願発明1の上記「前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリア」は、「1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」との構成に対応する、「前記格子部分及び前記開口部分は、1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置され」るとの構成を備えるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明ではなく、また、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明と先願発明との対比・判断
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と先願発明とを対比する。
(ア)先願発明の「位相微分像を取得する、放射線画像の撮影に用いられるグリッド」は、本願発明1の「X線微分位相コントラスト画像形成の回折格子」に相当する。

(イ)先願発明の「シリコン等のX線透過性を有する材質で形成されたX線透過性基板24と、このX線透過性基板24に設けられたX線吸収部19とからなり、前記X線吸収部19は、グリッド部21a,22a内に設けられ、前記X線吸収部19は、X線透過性基板24にx方向に沿って設けられ、y方向に沿って配列された複数の溝25の中に設けられており、X線吸収性に優れた金属から構成され、前記各X線吸収部19を隔てている複数の隔壁26は、X線透過部として機能する」「グリッドとして機能するグリッド部21a,22a」及び「グリッド部21a,22aの外周に設けられてグリッドとして機能しない」「非グリッド部21b,22b」は、本願発明1の「第一の格子ピッチにより周期的に配置される複数のバー及びギャップをもつ格子構造を有し、X線放射の位相及び/又は振幅を変えるように前記バーが配置され、前記ギャップは、X線を透過」する「第一のサブエリア」及び「X線を透過し、前記第二のサブエリアは、当該回折格子においてX線を透過する開口を提供」する「第二のサブエリア」にそれぞれ相当する。

(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、両者は、
「X線微分位相コントラスト画像形成の回折格子であって、
第一のサブエリアと、
第二のサブエリアとを備え、
前記第一のサブエリアは、第一の格子ピッチにより周期的に配置される複数のバー及びギャップをもつ格子構造を有し、X線放射の位相及び/又は振幅を変えるように前記バーが配置され、前記ギャップは、X線を透過し、
前記第二のサブエリアは、X線を透過し、前記第二のサブエリアは、当該回折格子においてX線を透過する開口を提供する、
回折格子。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

・本願発明1の「前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリア」は、「1つの画像取得ステップの間に、位相コントラストの画像情報がX線画像情報と共に記録することができるように、1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」のに対して、先願発明の「グリッド部21a及び非グリッド部22b」は、「非グリッド部21b及びグリッド部22aとが重なり合うように接合されており、z方向から見たときにそれぞれのグリッド部と非グリッド部との境界が一致し、かつ2つのグリッド部21a、22aが連続して1枚の大きなグリッド部を構成するように接合され」るように配置される点(以下「相違点2」という。)。

イ 判断
上記相違点2について検討する。
先願発明の「非グリッド部21b及びグリッド部22aとが重なり合うように接合されており、z方向から見たときにそれぞれのグリッド部と非グリッド部との境界が一致し、かつ2つのグリッド部21a、22aが連続して1枚の大きなグリッド部を構成するように接合され」る点に関して、先願明細書には、「本発明の放射線画像撮影用グリッド及びその製造方法は、一方の小グリッドのグリッド部と他方の小グリッドの非グリッド部とが対面するように重ね合わせているので、非グリッド部の大きさに影響されることなく、グリッド部の間隔が狭くなるように複数枚の小グリッドを配列することができる。これにより、本発明の放射線画像撮影用グリッドを用いた放射線画像撮影システムでは、複数枚の小グリッドのグリッド部間で位相コントラスト画像が取得できなくなるような事態が発生せず、高画質の位相コントラスト画像得ることができる。」(上記「第3」「2」「(1)」「イ」)と記載される。
上記記載によれば、先願発明における「非グリッド部21b及びグリッド部22a」の配列は、「非グリッド部の大きさに影響されることなく、グリッド部の間隔が狭くなるように複数枚の小グリッドを配列する」ものであって、これを「非グリッド部21b及びグリッド部22a」を、「1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」ものとする動機はなく、上記相違点2が単なる設計的事項であるということはできない。
したがって、本願発明1は、実質的にも先願発明ではない。

(2)本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6も、本願発明1の「前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリア」は、「1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、先願発明ではない。

(3)本願発明7ないし11について
本願発明7ないし11も、本願発明1の上記「前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリア」は、「1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」との構成に対応する、「前記格子部分及び前記開口部分は、1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置され」るとの構成を備えるから、本願発明1と同様の理由により、先願発明ではない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
1 原査定の理由の概略
(1)(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
A.請求項1、10、12において、「密度情報」と記載されているが、前記「密度」はなんの密度なのかが明確でない。
B.請求項5に記載された「割合」はなんの割合なのかが明確でない。
C.請求項9において、「前記干渉ユニット」と記載されているが、前記記載の前に、「干渉ユニット」の記載がないため、前記「前記干渉ユニット」はなにを指しているのかが明確でない。

(2)(新規性)この出願の請求項1ないし3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(3)(進歩性)この出願の請求項1ないし3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(4)(拡大先願)この出願の請求項1ないし3に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた先願の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

2 原査定についての判断
しかしながら、平成29年8月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11は、上記「1」「(1)」の記載不備を解消している。
また、特許請求の範囲の請求項1ないし3は、上記「前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリア」は、「1つの方向において交互するようにライン状に配置され、少なくとも2つのライン状の格子のグループ及び少なくとも2つのライン状の開口のグループが設けられ、前記ライン状の格子のグループと前記ライン状の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」との構成を有するものとなっており、上記第4で検討したとおり、本願発明1ないし3は、引用発明ではなく、先願発明ではなく、また、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
よって、上記「1」「(2)」ないし「1」「(4)」の拒絶理由についても解消された。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由は、概略下記のとおりである。
本件出願は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号及び同条第6項第2号、並びに、特許法第37条に規定する要件を満たしていない。
(1)本願請求項1について
ア 本願請求項1は、「第一のサブエリア」及び「第一のサブエリアの少なくとも1つの部分」、「第二のサブエリア」及び「第二のサブエリアの少なくとも1つの部分」を発明特定事項とする。
しかしながら、「第一(二)のサブエリア」を、「第一(二)のサブエリアの少なくとも1つの部分」と特定することにいかなる技術的意味があるのか不明である。
また、「少なくとも1つ」と特定する以上、「第一(二)のサブエリアの・・・部分」が複数あるものを含むところ、「第一(二)のサブエリアの・・・部分」が2以上のあるものにおいてどのような技術的意味があり、かつ、「第一(二)のサブエリア」の「部分」ではない場所がいかなる技術的意味を持つのか理解できず、上記発明特定事項に係る記載は不明確な記載である(特許法第36条第6項第2号)。

イ(ア)本願請求項1は、「前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリアの部分」に係り、「少なくとも1つの方向において交互するように配置され」ることを発明特定事項とする。
(イ)しかしながら、本願明細書及び図面(以下「本願明細書等」という。)には、「1つの方向において交互するように配置され」る場合と、「2つの方向において交互するように配置され」る場合のみ記載され、3つ以上の方向の場合は記載されておらず、明細書等の記載に基づいたものとは認められない(特許法第36条第6項第1号)。
そして、3つ以上の方向の場合はどのような配置であるのか理解できないから、上記(ア)の発明特定事項は不明確な記載を含むものである(特許法第36条第6項第2号)。

(ウ)また、「1つの方向において交互するように配置され」る場合は、ライン状パターン(図11a、b等)を意味し、「2つの方向において交互するように配置され」る場合は、チェス盤のパターン(図6a、b等)を意味すると理解されるが、本願請求項1の「前記第一のサブエリアの部分は、第一のサブエリアの部分のうちの少なくとも1つのラインを有する少なくとも1つの線形の格子のグループにおいて線形に配置され、前記第二のサブエリアの部分は、第二のサブエリアの部分のうちの少なくとも1つのラインを有する少なくとも1つの線形の開口のグループにおいて線形に配置され、少なくとも2つの線形の格子のグループ及び少なくとも2つの線形の開口のグループが設けられ、前記線形の格子のグループと前記線形の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」はライン状パターンを示すから、「前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリアの部分」が「2つの方向において交互するように配置され」る場合はありえず、上記(ア)の発明特定事項(特に「少なくとも1つの」)は不明確である(特許法第36条第6項第2号)。

ウ 本願請求項1は、「第一のサブエリアの部分」及び「第二のサブエリアの部分」に係り、「少なくとも1つのラインを有する少なくとも1つの線形の格子のグループにおいて線形に配置され」、「少なくとも2つの線形の格子のグループ及び少なくとも2つの線形の開口のグループが設けられ」ることを発明特定事項とする。
しかしながら、「ラインを有する・・・線形の格子のグループにおいて線形に配置され」るとはどのように配置することを意味するのか冗長な記載で(単に、ライン状に配置することと何が異なるのか)不明確である。
また、「線形」との記載が示す技術的事項も明細書に説明がなく、漠然としていて不明確である(特許法第36条第6項第2号)(また、下線は当審が付した。以下同じ。)。

(2)本願請求項3について
ア (本願請求項1または2を引用する)本願請求項3に係る発明は、「前記第一のサブエリア及び第二のサブエリアの部分」に係り、「チェス盤のパターンにおいて当該回折格子のエリアにわたり配置される」ことを発明特定事項とする。

イ これに対して、本願請求項1に係る発明は、「第一のサブエリアの部分」及び「第二のサブエリアの部分」に係り、「前記第一のサブエリアの部分は、第一のサブエリアの部分のうちの少なくとも1つのラインを有する少なくとも1つの線形の格子のグループにおいて線形に配置され、前記第二のサブエリアの部分は、第二のサブエリアの部分のうちの少なくとも1つのラインを有する少なくとも1つの線形の開口のグループにおいて線形に配置され、少なくとも2つの線形の格子のグループ及び少なくとも2つの線形の開口のグループが設けられ、前記線形の格子のグループと前記線形の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」こと、すなわち、ライン状のパターンであることを発明特定事項とする。

ウ そうすると、「第一のサブエリアの部分」及び「第二のサブエリアの部分」は、本願請求項1に係る発明は、上記イの発明事項のとおり、ライン状のパターンであるにもかかわらず、当該請求項1の構成を引用する本願請求項3に係る発明は、上記アの発明事項のとおりチェス盤のパターンであることとなる。
したがって、本願請求項1または2を引用する本願請求項3に係る発明では、「第一のサブエリアの部分」及び「第二のサブエリアの部分」が、「ラインを有する・・・線形の格子のグループにおいて線形に配置され」ると同時に「チェス盤のパターンに・・・配置される」こととなり、技術的に矛盾していて、本願請求項3に係る発明がどのようなパターンに配置することを特定するものであるのか理解できない(特許法第36条第6項第2号)。
また、本願明細書等を見みても、このような配置は記載されていない(特許法第36条第6項第1号)。

(3)本願請求項4について
ア 本願請求項4には、「少なくとも1つのセンサ画素」、「少なくとも第二の位置に前記センサに関してそれぞれ移動し」、「前記第一の移動ピッチは、前記少なくとも1つの方向において、交互するように配置される前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリアの部分に適合され」、「前記第一の位置及び前記第二の位置において、前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリアの部分の背後に、少なくとも2つの部分をもつセンサが配置され」ることを発明特定事項とするが、「少なくとも1つのセンサ画素」が「少なくとも2つの部分をもつセンサが配置され」るとは、発明の構成を曖昧にする記載であって不明確であり、また、「少なくとも第二の位置に前記センサに関してそれぞれ移動し」、「前記第一の移動ピッチは、前記少なくとも1つの方向において、交互するように配置される」も、発明の構成を曖昧にする記載であって不明確である(特許法第36条第6項第2号)。

(4)本願請求項5について
ア 本願請求項5は、「前記第一の回折格子及び/又は前記第二の回折格子は、前記第一の回折格子及び/又は前記第二の回折格子の格子構造に対して鋭角」であることを発明特定事項とする。

イ 上記「鋭角」に関して本願明細書には下記の記載があるが、本願明細書等において、上記アの発明特定事項に係る記載は、上記(イ)の図18及び19のとおり、チェス盤のパターンの場合にとどまるから、「ラインを有する・・・線形の格子のグループにおいて線形に配置され」る本願請求項1を引用する本願請求項5は、本願明細書等に記載されたものではない(特許法第36条第6項第1号)。

(5)本願請求項9について
ア 本願請求項1は、「前記第一のサブエリア及び前記第二のサブエリアの部分は、1つの画像取得ステップの間に、位相コントラストの画像情報がX線画像情報と共に記録することができるように、
少なくとも1つの方向において交互するように配置され、
前記第一のサブエリアの部分は、第一のサブエリアの部分のうちの少なくとも1つのラインを有する少なくとも1つの線形の格子のグループにおいて線形に配置され、
前記第二のサブエリアの部分は、第二のサブエリアの部分のうちの少なくとも1つのラインを有する少なくとも1つの線形の開口のグループにおいて線形に配置され、
少なくとも2つの線形の格子のグループ及び少なくとも2つの線形の開口のグループが設けられ、
前記線形の格子のグループと前記線形の開口のグループは、第一のラインピッチで交互するように配置される」ものであることを発明の構成に欠くことができない事項の主要部とするものである。

イ これに対して、方法の発明である請求項9は当該構成を備えないものであって、当該発明は特定発明(請求項1)と、発明の構成に欠くことができない事項の主要部が相違し、また解決しようとする課題も相違するものとなり、特許法第37条に規定する経済産業省令で定める技術的関係を有さない。
したがって、請求項9及び同項を引用する請求項10ないし12は、特許法第37条に規定する要件を満たさないものである。

(6)本願請求項11について
本願請求項11における「変換ピッチ」は、本願明細書等に対応する記載がなく、何を意味するのか不明確である(特許法第36条第6項第2号)。

(7)本願請求項13及び14について
ア 本願請求項13に係る発明は、「処理ユニットにより実行されたとき、請求項9乃至12の何れか記載の方法を実行させる、請求項1乃至8の何れか記載の装置を制御するコンピュータプログラム」であることを発明特定事項とする発明であり、また、本願請求項14に係る発明は、「請求項13記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」であることを発明特定事項とする発明である。

イ 上記「コンピュータプログラム」及び「コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」に関して本願明細書には、「・・・に関する」及び「・・・にも適用される」と記載するにとどまり、発明として、具体的にどのように構成することで、「コンピュータプログラム」及び「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」となすのか、本願の発明の詳細な説明は、経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない(特許法第36条第4項第1号)。

2 当審拒絶理由についての判断
しかしながら、平成29年8月9日付けの手続補正で特許請求の範囲の請求項1ないし11は、上記「第2」のとおり補正されたの結果、上記「1」の拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし11は、引用発明ではなく、先願発明ではなく、また、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-09-05 
出願番号 特願2013-534416(P2013-534416)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G01T)
P 1 8・ 161- WY (G01T)
P 1 8・ 121- WY (G01T)
P 1 8・ 537- WY (G01T)
P 1 8・ 536- WY (G01T)
最終処分 成立  
前審関与審査官 林 靖  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 松川 直樹
森林 克郎
発明の名称 微分位相コントラスト画像形成  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  
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