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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09K
審判 全部申し立て 特29条の2  C09K
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09K
管理番号 1332214
異議申立番号 異議2015-700157  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-09 
確定日 2017-07-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5715327号発明「発光ダイオード応用における使用のための赤色線放出蛍光体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5715327号の明細書及び特許請求の範囲を、平成29年5月8日提出の訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、8?21〕、3?7、22?29について訂正することを認める。 特許第5715327号の請求項1、2、4?21に係る特許を維持する。 特許第5715327号の請求項3、22?29に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯等

1 本件特許異議申立に係る特許
本件特許異議申立に係る特許第5715327号は、特許権者であるジーイー ライティング ソリューションズ エルエルシーより、平成19年2月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成18年2月28日、米国(US))に国際出願されたものであって、特願2008-557338号として審査され、平成27年3月20日に、発明の名称を「発光ダイオード応用における使用のための赤色線放出蛍光体」、請求項の数を「29」として特許権の設定登録を受けたものである。

2 手続の経緯
本件特許異議申立における手続の経緯は、おおよそ次のとおりである。
平成27年11月 9日 永井義久より特許異議申立
平成28年 1月29日付 取消理由通知
同年 5月 6日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年 6月16日 意見書の提出(特許異議申立人)
同年 7月 7日付 取消理由通知
同年10月11日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年12月22日 上申書の提出(特許異議申立人)
平成29年 1月31日付 取消理由通知
同年 5月 8日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年 6月15日 意見書の提出(特許異議申立人)

第2 訂正の適否

1 訂正事項
平成29年5月8日になされた特許請求の範囲及び明細書についての訂正(以下、「本件訂正」という。)は、特許法第120条の5第3項及び第4項の規定並びに同法同条第9項において準用する同法第126条第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項1ないし21及び請求項22ないし29ごとに請求するものであり、かつ、当該明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて請求が行われたものであるところ、その内容は次のとおりである。
なお、平成28年5月6日及び同年10月11日になされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げされたものとみなす。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる蛍光体材料であり、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体を含む蛍光体材料」とあるのを、「緑色放出蛍光体と、少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体とを含む蛍光体材料」と訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「A_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、光放出照明装置」とあるのを、「A_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含み、及び前記蛍光体材料が光源の表面に被覆されている、光放出照明装置」と訂正する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「蛍光体材料が光源の表面に被覆されている」とあるのを、「青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;及び緑色放出蛍光体と、少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体とを含む蛍光体材料、を含み、前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含み、及び蛍光体材料が光源の表面に被覆されている」と訂正する。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1記載の照明装置」とあるのを、「光放出バックライト装置」と訂正する。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5に「青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる第1の蛍光体材料であり、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体を含む第1の蛍光体材料;第2の緑色放出蛍光体材料;及び」との文言を追加する。
(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項5に「光源及び蛍光体材料を取り囲むカプセル材料をさらに含む」とあるのを、「前記光源及び前記第1及び第2の蛍光体材料を取り囲むポリマーカプセル材料であって、前記第1及び第2の蛍光体材料が前記ポリマーカプセル材料中に分散されている、ポリマーカプセル材料、を含み」と訂正する。
(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項5に「前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、」との文言を追加する。
(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1記載の照明装置」とあるのを、「白色光放出照明装置」と訂正する。
(10) 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項6に「青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる第1の蛍光体材料であり、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体を含む第1の蛍光体材料;第2の緑色放出蛍光体材料;及び」との文言を追加する。
(11) 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項6に「蛍光体材料がカプセル材料中に分散されている」とあるのを、「前記光源及び前記第1及び第2の蛍光体材料を取り囲むポリマーカプセル材料であって、前記第1及び第2の蛍光体材料が前記ポリマーカプセル材料中に分散されている、ポリマーカプセル材料、を含み」と訂正する。
(12) 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項6に「前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、」との文言を追加する。
(13) 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項6に「請求項5記載の照明装置」とあるのを、「光放出バックライト装置」と訂正する。
(14) 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項7に「さらにリフレクターカップを含む、請求項1記載の照明装置」とあるのを、「青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;緑色放出蛍光体と、少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体とを含む蛍光体材料;及びリフレクターカップ、を含み、前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、光放出照明装置」と訂正する。
(15) 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項22を削除する。
(16) 訂正事項16
特許請求の範囲の請求項23を削除する。
(17) 訂正事項17
特許請求の範囲の請求項24を削除する。
(18) 訂正事項18
特許請求の範囲の請求項25を削除する。
(19) 訂正事項19
特許請求の範囲の請求項26を削除する。
(20) 訂正事項20
特許請求の範囲の請求項27を削除する。
(21) 訂正事項21
特許請求の範囲の請求項28を削除する。
(22) 訂正事項22
特許請求の範囲の請求項29を削除する。
(23) 訂正事項23
本件特許明細書の【0014】、【0015】に「シリコン」(計3箇所)とあるのを、「シリコーン」と訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1、2
ア 訂正の目的について
訂正事項1、2は、請求項1に係る発明の光放出照明装置に含まれる蛍光体材料を、緑色放出蛍光体と、特定の複合フッ化物蛍光体とを含む蛍光体材料に限定するとともに、当該蛍光体材料が「光源の表面に被覆されている」との限定を追加するものであるから、当該訂正事項1、2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アに記載したとおり、訂正事項1、2は、請求項1に記載の蛍光体材料をさらに限定するものであり、構成を特定する事項を直列的に付加する訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、本件特許明細書の【0019】、【0023】、【0024】などに付加蛍光体として記載された緑色放出蛍光体に関する記載に基づくものであり、また、訂正事項2は、同【0015】、【図1】などに記載された態様に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(2) 訂正事項3、15?22
訂正事項3、15?22は、請求項の削除を目的とするものであるから特許請求の範囲の減縮に該当し(特許法第120条の5第2項ただし書第1号)、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(3) 訂正事項4、5
ア 訂正の目的について
訂正事項4、5は、本件訂正前の請求項4が請求項1の記載を引用する記載であったものを、独立形式請求項に書き下すとともに、「緑色放出蛍光体」の付加、「光放出バックライト装置」への限定を行うものであるから、当該訂正事項4、5は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号及び第1号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アに記載した、独立形式請求項への書き下し、「緑色放出蛍光体」の付加、「光放出バックライト装置」への限定は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
前記独立形式請求項への書き下しは、実質的な内容の変更を伴うものではないし、「緑色放出蛍光体」の付加、「光放出バックライト装置」への限定については、それぞれ、本件特許明細書の【0019】、【0023】、【0024】などの緑色放出蛍光体に関する記載、同【0018】、【0023】、【0024】などのバックライトに関する記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(4) 訂正事項6?9
ア 訂正の目的について
訂正事項6?9は、請求項5の独立形式請求項への書き下し、「第2の緑色放出蛍光体材料」の付加、蛍光体材料とカプセル材料に関する限定、「白色放出照明装置」への限定を行うものであるから、当該訂正事項6?9は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号及び第1号に規定する事項を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アに記載した、独立形式請求項への書き下し、「第2の緑色放出蛍光体材料」の付加、蛍光体材料とカプセル材料に関する限定、「白色放出照明装置」への限定は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
前記独立形式請求項への書き下しは、実質的な内容の変更を伴うものではないし、「第2の緑色放出蛍光体材料」の付加、蛍光体材料とカプセル材料に関する限定、「白色放出照明装置」への限定については、それぞれ、本件特許明細書の【0019】、【0023】、【0024】などの緑色放出蛍光体に関する記載、同【0014】、【0016】、【図2】などに記載された態様、同【0012】、【0013】、【0016】、【0017】、【0019】などの白色光の照明装置等に関する記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(5) 訂正事項10?13
ア 訂正の目的について
訂正事項10?13は、請求項6の独立形式請求項への書き下し、「第2の緑色放出蛍光体材料」の付加、蛍光体材料とカプセル材料に関する限定、「光放出バックライト装置」への限定を行うものであるから、当該訂正事項10?13は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号及び第1号に規定する事項を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アに記載した、独立形式請求項への書き下し、「第2の緑色放出蛍光体材料」の付加、蛍光体材料とカプセル材料に関する限定、「光放出バックライト装置」への限定は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
前記独立形式請求項への書き下しは、実質的な内容の変更を伴うものではないし、「第2の緑色放出蛍光体材料」の付加、蛍光体材料とカプセル材料に関する限定、「光放出バックライト装置」への限定については、それぞれ、本件特許明細書の【0019】、【0023】、【0024】などの緑色放出蛍光体に関する記載、同【0014】、【0016】、【図2】などに記載された態様、同【0018】、【0023】、【0024】などのバックライトに関する記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(6) 訂正事項14
ア 訂正の目的について
訂正事項14は、請求項7の独立形式請求項への書き下し、「緑色放出蛍光体材料」の付加を行うものであるから、当該訂正事項14は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号及び第1号に規定する事項を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アに記載した、独立形式請求項への書き下し、「緑色放出蛍光体材料」の付加は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
前記独立形式請求項への書き下しは、実質的な内容の変更を伴うものではないし、「緑色放出蛍光体材料」の付加は、本件特許明細書の【0019】、【0023】、【0024】などの緑色放出蛍光体に関する記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(7) 訂正事項23
ア 訂正の目的について
本件特許に係る出願は、特許法第184条の4第1項の外国語特許出願であるところ、同法第120条の5第9項が準用する同法第126条第5項の規定は、同法第184条の19による読み替えにより、「誤記又は誤訳の訂正」を目的とする訂正の場合にあっては、当該外国語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「国際出願の明細書等」という。)に記載した事項の範囲内での訂正を許容する。
当該法条の規定の照らし、訂正事項23についてみると、その訂正の内容は、本件特許明細書の【0014】、【0015】に「シリコン」(計3箇所)とあるのを、国際出願の明細書等の[0044]及び[0046]に「silicone」と記載されていることに基づき、「シリコーン」に誤訳訂正するものと認められる。また、同「シリコン」は、本件特許明細書の【0014】において、ポリマー材料のひとつとして挙げられていることから、「シリコーン」の誤記を訂正するものともいえる。
したがって、当該訂正事項23は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アのとおり、訂正事項23は、誤記を訂正する程度のものと解することができるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 国際出願の明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項23は、前記のとおり、国際出願の明細書等の[0044]及び[0046]に基づくものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する、同法第184条の19により読み替えられた同法第126条第5項に適合するものである。

3 小括
前記2のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第3項及び第4項の規定並びに同法同条第9項において準用する同法第126条第4項の規定に従って請求され、その訂正事項はいずれも、同法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号又は第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1?29について訂正することを認める。
なお、平成29年5月8日提出の訂正請求書における「ウ 引用関係の解消の求め」(27頁)に応じて、請求項1、2、8?21を一群の請求項とし、他の各請求項については、これとは別の請求単位として扱う。

第3 本件特許請求の範囲の記載

前記「第2」のとおり、本件訂正は認容し得るものであるから、本件訂正後の請求項1ないし29の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;及び
緑色放出蛍光体と、少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体とを含む蛍光体材料、を含み、
前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含み、及び
前記蛍光体材料が光源の表面に被覆されている、
光放出照明装置。
【請求項2】
前記蛍光体材料が、K_(2)SiF_(6):Mn^(4+)を含む、請求項1記載の照明装置。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;及び
緑色放出蛍光体と、少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体とを含む蛍光体材料、を含み、
前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含み、及び
蛍光体材料が光源の表面に被覆されている、光放出バックライト装置。
【請求項5】
青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;及び
少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる第1の蛍光体材料であり、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体を含む第1の蛍光体材料;
第2の緑色放出蛍光体材料;及び
前記光源及び前記第1及び第2の蛍光体材料を取り囲むポリマーカプセル材料であって、前記第1及び第2の蛍光体材料が前記ポリマーカプセル材料中に分散されている、ポリマーカプセル材料、を含み、
前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、白色光放出照明装置。
【請求項6】
青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;及び
少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる第1の蛍光体材料であり、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体を含む第1の蛍光体材料;
第2の緑色放出蛍光体材料;及び
前記光源及び前記第1及び第2の蛍光体材料を取り囲むポリマーカプセル材料であって、前記第1及び第2の蛍光体材料が前記ポリマーカプセル材料中に分散されている、ポリマーカプセル材料、を含み、
前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、光放出バックライト装置。
【請求項7】
青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;
緑色放出蛍光体と、少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体とを含む蛍光体材料;及び
リフレクターカップ、
を含み、
前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、光放出照明装置。
【請求項8】
前記蛍光体材料がさらに1以上の付加的な蛍光体を含む、請求項1記載の照明装置。
【請求項9】
前記1以上の付加的な蛍光体が、430?500nmの領域のピーク放出を有する、請求項8記載の照明装置。
【請求項10】
前記1以上の付加的な蛍光体が、500?610nmの領域のピーク放出を有する、請求項8記載の照明装置。
【請求項11】
前記1以上の付加的な蛍光体が、1以上のCe^(3+)で活性化されたガーネット又はEu^(2+)で活性化されたアルカリ土類珪酸塩である、請求項10記載の照明装置。
【請求項12】
前記1以上の付加的な蛍光体が、
(Ba,Sr,Ca)_(5)(PO_(4))_(3)(Cl,F,Br,OH):Eu^(2+),Mn^(2+); (Ba,Sr,Ca)BPO_(5):Eu^(2+),Mn^(2+); (Sr,Ca)_(10)(PO_(4))_(6)^(*)_(υ)B_(2)O_(3):Eu^(2+) (式中0<υ≦1); Sr_(2)Si_(3)O_(8)^(*)2SrCl_(2):Eu^(2+); (Ca,Sr,Ba)_(3)MgSi_(2)O_(8):Eu^(2+),Mn^(2+); BaAl_(8)O_(13):Eu^(2+); 2SrO^(*)0.84P_(2)O_(5)^(*)0.16B_(2)O_(3):Eu^(2+); (Ba,Sr,Ca)MgAl_(10)O_(17):Eu^(2+),Mn^(2+); (Ba,Sr,Ca)Al_(2)O_(4):Eu^(2+); (Y,Gd,Lu,Sc,La)BO_(3):Ce^(3+),Tb^(3+); ZnS:Cu^(+),Cl^(-); ZnS:Cu+,Al^(3+); ZnS:Ag^(+),Cl^(-); ZnS:Ag^(+),Al^(3+); (Ba,Sr,Ca)_(2)Si_(1-ξ)O_(4-2ξ):Eu^(2+)(式中0≦ξ≦0.2); (Ba,Sr,Ca)_(2)(Mg,Zn)Si_(2)O_(7):Eu^(2+); (Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In)_(2)S_(4):Eu^(2+); (Y,Gd,Tb,La,Sm,Pr,Lu)_(3)(Al,Ga)_(5-α)O_(12-3/2α):Ce^(3+)(式中0≦α≦0.5); (Ca,Sr)_(8)(Mg,Zn)(SiO_(4))_(4)Cl_(2):Eu^(2+),Mn^(2+); Na_(2)Gd_(2)B_(2)O_(7):Ce^(3+),Tb^(3+); (Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)_(2)P_(2)O_(7):Eu^(2+),Mn^(2+); (Gd,Y,Lu,La)_(2)O_(3):Eu^(3+),Bi^(3+); (Gd,Y,Lu,La)_(2)O_(2)S:Eu^(3+),Bi^(3+); (Gd,Y,Lu,La)VO_(4):Eu^(3+),Bi^(3+); (Ca,Sr)S:Eu^(2+),Ce^(3+); SrY_(2)S_(4):Eu^(2+); CaLa_(2)S_(4):Ce^(3+); (Ba,Sr,Ca)MgP_(2)O_(7):Eu^(2+),Mn^(2+); (Y,Lu)_(2)WO_(6):Eu^(3+),Mo^(6+); (Ba,Sr,Ca)_(β)Si_(γ)N_(μ): Eu^(2+)(式中 2β+4γ=3μ); Ca_(3)(SiO_(4))Cl_(2):Eu^(2+); (Lu,Sc,Y,Tb)_(2-u-v)Ce_(v)Ca_(1+u)Li_(w)Mg_(2-w)P_(w)(Si,Ge)_(3-w)O_(12-u/2)(式中-0.5≦u≦1, 0<v≦0.1, 及び0≦w≦0.2); (Y,Lu,Gd)_(2-ψ)Ca_(ψ)Si_(4)N_(6+ψ)C_(1-ψ):Ce^(3+), (式中0≦ψ≦0.5); Eu^(2+) 及び/又はCe^(3+) を添加した(Lu,Ca,Li,Mg,Y)alpha-SiAlON; (Ca,Sr,Ba)SiO_(2)N_(2):Eu^(2+),Ce^(3+); 3.5MgO^(*)0.5MgF_(2)^(*)GeO_(2):Mn^(4+); Ca_(1-c-f)Ce_(c)Eu_(f)Al_(1+c)Si_(1-c)N_(3), (式中0<c≦0.2, 0≦f≦0.2); Ca_(1-h-r)Ce_(h)Eu_(r)Al_(1-h)(Mg,Zn)_(h)SiN_(3), (式中0<h≦0.2, 0≦r≦0.2); Ca_(1-2s-t)Ce_(s)(Li,Na)_(s)Eu_(t)AlSiN_(3), (式中0≦s≦0.2, 0≦f≦0.2, s+t>0); 及びCa_(1-σ-χ-φ)Ce_(σ)(Li,Na)_(χ)Eu_(φ)Al_(1+σ-χ)Si_(1-σ+χ)N_(3), (式中 0≦σ≦0.2, 0<χ≦0.4, 0≦φ≦0.2)を含む群から選択される、請求項8記載の照明装置。
【請求項13】
前記照明装置が白色光を生産する、請求項8記載の照明装置。
【請求項14】
前記白色光が4500Kより小さいCCTを有する、請求項13記載の照明装置。
【請求項15】
前記白色光が80より大きい一般CRI(Ra)を有する、請求項13記載の照明装置。
【請求項16】
前記白色光が90より大きい一般CRIを有する、請求項13記載の照明装置。
【請求項17】
前記白色光が330lm/Wより大きいLERを有する、請求項13記載の照明装置。
【請求項18】
前記白色光がプランク軌跡上に色点を有する、請求項13記載の照明装置。
【請求項19】
前記白色光の色点が、CIE1931色度図上で垂直方向にプランク軌跡から0.01以内にある、請求項18記載の照明装置。
【請求項20】
前記1以上の付加的な蛍光体が、1以上のCe^(3+)で活性化されたガーネットである、請求項8記載の照明装置。
【請求項21】
前記1以上の付加的な蛍光体が、(Y,Gd,Tb,La,Sm,Pr,Lu)_(3)(Al,Ga)_(5-α)O_(12-3/2α):Ce^(3+)(式中0≦α≦0.5)である、請求項8記載の照明装置。
【請求項22】(削除)
【請求項23】(削除)
【請求項24】(削除)
【請求項25】(削除)
【請求項26】(削除)
【請求項27】(削除)
【請求項28】(削除)
【請求項29】(削除)」
以下、請求項1、2、4?21に記載された事項により特定される発明をそれぞれ「本件訂正発明1」などといい、それらを総称して「本件訂正発明」という。また、これらの発明に対応する特許を「本件特許1」などといい、まとめて「本件特許」という。さらに、本件訂正後の明細書を「本件訂正明細書」という。

第4 パリ条約による優先権の主張の効果の有無

本件特許に係る出願は、米国における一部継続(CIP)出願(出願番号:US11/364,611、下記甲第1号証参照、以下、「優先基礎出願」という。)を基礎として、パリ条約による優先権の主張をするものである。そして、当該優先基礎出願は、2つの原出願(1つは、出願番号:US11/285,442、下記甲第2号証参照、以下、「原出願1」という。もう1つは、出願番号:US11/049,598、下記甲第3号証参照、以下、「原出願2」という。)に基づく優先権の主張を伴うものである。
・甲第1号証:米国特許出願公開第2006/0169998号明細書
(出願番号US11/364,611;優先基礎出願)
・甲第2号証:米国特許出願公開第2007/0114562号明細書
(出願番号US11/285,442:原出願)
・甲第3号証:米国特許出願公開第2006/0169986号明細書
(出願番号US11/049,598)
ここで、パリ条約による優先権の主張の効果の有無についてみると、前記優先基礎出願の出願書類(甲第1号証)の全体に記載された事項のうち、前記原出願1あるいは原出願2の出願書類(甲第2あるいは3号証)の全体に記載されている事項については、当該優先基礎出願がパリ条約第4条C(2)にいう「最初の出願」とはならず、優先権の主張の効果は認められないから、以下、当該原出願1、2及び優先基礎出願の出願書類の全体に記載された事項を比較しながら、当該優先権の主張の効果の有無について検討する(審査基準(特許庁HP掲載)「第V部第1章パリ条約による優先権」の5.4.2参照)。

1 原出願1、2の出願書類(甲第2、3号証)の全体に記載された事項
(1) 原出願1の出願書類(甲第2号証)の全体に記載された事項
まず、原出願1の出願書類(甲第2号証)の全体に記載された事項をみると(甲第2号証の訳文参照)、その特許請求の範囲の請求項11には、250?500nmのピーク放射を有するInGaN半導体発光素子と発光物質を含む赤色発光LED照明システムが記載され、同請求項12には、当該発光物質は「3.5MgO*0.5MgF_(2)*GeO_(2):Mn^(4+)」、「A_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+), ここで A=Li, Na, K, Rb 又は Cs 及び M=Ge, Si, Sn, Ti 又は Zr」などのグループから選択される一つ以上であることが記載されている。
また、甲第2号証の段落[0061]には、発光物質をカプセル材料中に分散させることも記載されている。
そうすると、原出願1の出願書類(甲第2号証)には、以下の技術的事項が記載されているといえる。
「青色領域を含むピーク放射を有するInGaN半導体発光素子と、『3.5MgO*0.5MgF_(2)*GeO_(2):Mn^(4+)』、『A_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+), ここで A=Li, Na, K, Rb 又は Cs 及び M=Ge, Si, Sn, Ti 又は Zr』などのグループから選択される一つ以上の発光物質を含み、当該発光物質がカプセル材料中に分散された赤色発光LEDシステム。』
しかしながら、同出願書類には、本件訂正発明が有する緑色放出蛍光体に関する記載は見当たらない。
(2) 原出願2の出願書類(甲第3号証)の全体に記載された事項
次に、原出願2の出願書類(甲第3号証)の全体に記載された事項をみると(甲第3号証の訳文参照)、そこには、赤色放出蛍光体に関する記載を認めることができる。
しかしながら、本件訂正発明が有する複合フッ化物蛍光体、すなわち「AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)」に関する記載は見当たらない。
(3) 小括
以上のとおり、本件訂正発明は、原出願1の出願書類(甲第2号証)の全体及び原出願2の出願書類(甲第3号証)の全体にそれぞれ記載された事項とはいえない。

2 優先基礎出願の出願書類(甲第1号証)の全体に記載された事項
一方、本件特許に係る出願が優先権主張の基礎としている前記優先基礎出願の出願書類(甲第1号証)を俯瞰すると、そこには、本件訂正発明を含む技術的事項が開示されているということができる(特許権者が平成29年5月8日に提出した意見書に添付された資料2参照)。

3 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明は、前記優先基礎出願の出願書類の全体に記載された事項であって、かつ、前記原出願1あるいは2の出願書類の全体に記載された事項ではないから、パリ条約による優先権の主張の効果を認めることができる。
したがって、本件訂正発明についての、特許法第29条第1項第3号(新規性)、同法同条第2項(進歩性)及び同法第29条の2(拡大先願)の判断にあたっては、優先日である平成18年(2006年)2月28日を基準とする。

第5 取消理由・異議申立理由の概要(適用条文と証拠)

当審において通知した取消理由及び特許異議申立人が主張する異議申立理由は、適用法令と証拠について整理すると、以下のとおりである。
なお、下記甲第1?3号証は、前記「第4」に列記したものであり、下記甲第13号証は、特願2005-289594号(特開2007-390303号公報参照)の特許出願に係るものである。

1 平成28年1月29日付け取消理由
特許法第113条第2号関連
・特許法第29条第1項第3号(新規性) 甲第1号証
・特許法第29条の2(拡大先願) 甲第13号証

2 平成28年7月7日付け取消理由
特許法第113条第2号関連
・特許法第29条第1項第3号(新規性) 甲第1号証

3 平成29年1月31日付け取消理由
特許法第113条第5号(原文新規事項)
特許法第113条第4号関連
・特許法第36条第6項第2号(明確性要件)
・特許法第36条第6項第1号・第4項第1号
(サポート要件・実施可能要件)

4 異議申立理由
特許法第113条第2号関連
・特許法第29条第1項第3号(新規性) 甲第1?3号証
・特許法第29条第2項(進歩性) 甲第1?3号証
・特許法第29条の2(拡大先願) 甲第13号証

第6 甲第1?3号証に基づく特許法第29条第1項第3号(新規性)及び同法同条第2項(進歩性)に係る取消理由・異議申立理由について

前記「第4」のとおり、新規性進歩性・拡大先願の判断にあたっては、優先日である平成18年(2006年)2月28日が基準となることから、甲第1?3号証は、公知文献とはなり得ない。そのため、これらの証拠に基づく、新規性及び進歩性についての取消理由・異議申立理由については理由がない。

第7 甲第13号証に基づく特許法第29条の2(拡大先願)に係る取消理由・異議申立理由について

1 先願明細書等の記載事項
甲第13号証の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、まとめて「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。
・「【請求項1】
結晶化ガラス基材とガラス焼結層とを有する発光色変換部材であって、結晶化ガラス基材の片面若しくは両面にガラス焼結層が形成されてなり、励起光が照射されたときに、結晶化ガラス及びガラス焼結層が互いに異なる波長の蛍光を発する性質を有することを特徴とする発光色変換部材。
・・・
【請求項7】
結晶化ガラス基材及びガラス焼結層が青色光の一部または全部を吸収し、結晶化ガラス基材からは黄色の蛍光を発し、ガラス焼結層からは赤色及び/または緑色の蛍光を発する性質を有しており、青色光を照射すると、発光色変換部材中を透過する青色光と結晶化ガラス基材及びガラス焼結層から発せられる蛍光とが合成されて、白色光を発することを特徴とする請求項1?6のいずれかに記載の発光色変換部材。
・・・
【請求項10】
結晶化ガラス基材が、ガーネット結晶中にCe^(3+)を含む結晶を析出してなることを特徴とする請求項1?4及び7?9のいずれかに記載の発光色変換部材。
【請求項11】
ガーネット結晶が、YAG結晶またはYAG結晶固溶体であることを特徴とする請求項10記載の発光色変換部材。
・・・
【請求項16】
ガラス焼結層が、ガラス粉末、無機蛍光体粉末を含む混合物を焼成してなることを特徴とする請求項1、2及び5?9のいずれかに記載の発光色変換部材。」
・「【発明の効果】
【0008】
本発明の発光色変換部材は、発光強度の低下や短寿命化を抑制でき、演色性が高く、しかも、色温度の高い白色光(昼光色)から色温度の低い白色光(電球色)までの様々な色温度に対応した白色光を発することができる。それ故、照明、ディスプレイ等の発光装置、自動車等の前照光として用いる部材として好適である。」
・「【0014】
尚、本発明において、青色光とは、波長430?480nmに中心波長を有する光を、緑色光とは、波長500?535nmに中心波長を有する光を、黄色光とは、波長535?590nmに中心波長を有する光を、赤色光とは、波長610?780nmに中心波長を有する光を意味する。」
・「【0048】
ガラス焼結層として、ガラス粉末と、無機蛍光体粉末を含む混合物を焼成してなるものを用いる場合、ガラス焼結層に含まれる無機蛍光体粉末としては、一般的に市中で入手できるものであれば使用でき、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、ハロゲン化物、ハロリン酸塩化物などからなるものがある。上記の無機蛍光体の中でも、特に、波長300?500nmに励起帯を有し、波長500?780nmに発光ピークを有するもの、特に、赤色及び/または緑色に発光するものを用いることが好ましい。具体的には、青色光を照射すると赤色の蛍光を発する蛍光体として、CaS:Eu^(2+)、ZnS:Mn^(2+),Te^(2+)、Mg_(2)TiO_(4):Mn^(4+)、K_(2)SiF_(6):Mn^(4+)、SrS:Eu^(2+)、Na_(1.23)K_(0.42)Eu_(0.12)TiSi_(4)O_(11)、Na_(1.23)K_(0.42)Eu_(0.12)TiSi_(5)O_(13):Eu^(3+)、CdS:In,Te、CaAlSiN_(3):Eu^(2+)、CaSiN_(3):Eu^(2+)、(Ca,Sr)_(2)Si_(5)N_(8):Eu^(2+)、Eu_(2)W_(2)O_(7)を用いることができる。また、青色光を照射すると緑色の蛍光を発する蛍光体として、SrAl_(2)O_(4):Eu^(2+)、SrGa_(2)S_(4):Eu^(2+)、SrBaSiO_(4):Eu^(2+)、CdS:In、CaS:Ce^(3+)、Y_(3)(Al,Gd)_(5)O_(12):Ce^(2+)、Ca_(3)Sc_(2)Si_(3)O_(12):Ce^(3+)、SrSiON:Eu^(2+)を用いることができる。これらの蛍光体の中には、焼結時の加熱によりガラスと反応し、発泡や変色などの異常反応を起こす物もあり、その程度は、焼結温度が高温であればあるほど著しくなる。しかし、このような無機蛍光体であっても、焼成温度とガラス組成を最適化することで使用できる。」
・「【実施例5】
【0114】
実施例5は、結晶化ガラス表面に、ガラス粉末と無機蛍光体粉末(SrS:Eu^(2+)及びSrBaSiO_(4):Eu^(2+))を含む混合物をグリーンシートの形態で積層し焼成して作製した発光色変換部材である。
【0115】
実施例4と同様にして、結晶化ガラスの表面に、グリーンシート(肉厚50μm)積層し、熱圧着によって一体化して積層体を作製した後、400℃で1時間脱脂し、900℃で20分焼成した後、冷却して発光色変換部材を作製した。
【0116】
このようにして得られた発光色変換部材について、ガラス焼結層の肉厚を測定したところ、40μmであった。結晶化ガラス側から波長465nmにピークを有する青色発光ダイオードの光を照射しガラス焼結層側から発する光を、色度計を用いて測定したところ、CIE座標でCIE座標でx=0.430、y=0.380でありであり、演色性の高い電球色の白色光が得られた。」

2 先願明細書等の記載された発明
前記1の記載事項を総合すると、先願明細書等には以下の発明が記載されているといえる。
「波長430?480nmに中心波長を有する青色光を放射する青色発光ダイオードと、
結晶化ガラス基材及びガラス焼結層が青色光の一部または全部を吸収し、結晶化ガラス基材からは波長535?590nmに中心波長を有する黄色の蛍光を発し、ガラス焼結層からは波長610?780nmに中心波長を有する赤色の蛍光及び/または波長500?535nmに中心波長を有する緑色の蛍光を発する性質を有しており、青色光を照射すると、発光色変換部材中を透過する青色光と結晶化ガラス基材及びガラス焼結層から発せられる蛍光とが合成されて、白色光を発する発光色変換部材であって、当該結晶化ガラス基材は、YAG結晶などのガーネット結晶中にCe^(3+)を含む結晶を析出してなり、当該ガラス焼結層は、ガラス粉末、無機蛍光体粉末を含む混合物を焼成してなり、当該無機蛍光体粉末として、青色光を照射すると赤色の蛍光を発する『K_(2)SiF_(6):Mn^(4+)』などの蛍光体と、青色光を照射すると緑色の蛍光を発する『SrAl_(2)O_(4):Eu^(2+)』などの蛍光体を適宜組み合わせて用いたものと、
を含む、照明。」
3 本件訂正発明と先願明細書等に記載された発明との対比・検討
本件訂正発明と先願明細書等に記載された発明とを対比すると、先願明細書等に記載された発明は、本件訂正発明1、2、4、8?21の「前記蛍光体材料が光源の表面に被覆されている」、本件訂正発明5、6の「前記光源及び前記第1及び第2の蛍光体材料を取り囲むポリマーカプセル材料であって、前記第1及び第2の蛍光体材料が前記ポリマーカプセル材料中に分散されている、ポリマーカプセル材料」及び本件訂正発明7の「リフレクターカップ」という発明特定事項を具備していない点において、本件訂正発明とは相違すると認められる。
そして、これらの相違点はいずれも、発明を具体化する上での微差程度の事項(具体化手段における微差)ということもできないから、両者は実質的に同一であるとも認められない。
したがって、本件訂正発明は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとも、実質的に同一であるとも認められない。

4 まとめ
以上のとおりであるから、拡大先願についての取消理由・異議申立理由は理由がない。

第8 特許法第113条第5号(原文新規事項)に係る取消理由について

1 法条の規定
本件特許に係る出願は、特許法184条の4第1項の外国語特許出願にあたるところ、当該外国語特許出願の場合、特許法は、翻訳文新規事項の追加については取消理由とはせず(特許法第184条の18において読み替えられた同法第113条第1号)、原文新規事項の追加について取消理由とする旨規定する(特許法第184条の18において読み替えられた同法第113条第5号)。
上記の点を踏まえ、平成29年1月31日付け取消理由通知では、当該外国語特許出願に該当する本件特許に係る出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が、国際出願の明細書等に記載した事項の範囲内にあるか否かにつき、特に、下記「本件赤色複合フッ化物蛍光体」と「ピーク放出波長を特定しない青色LED」との組合せに係る態様などに着目して検討し、その結果、当該態様は、「バックライト装置」に関するものに限定解釈すべきなどの理由から、当該範囲内にあるとはいえない旨結論づけた。
以下、本件訂正後においても、当該結論が妥当であるか否かにつき、平成29年5月8日に特許権者が提出した意見書の内容も斟酌しながら検討する。

2 「本件赤色複合フッ化物蛍光体」と「ピーク放出波長を特定しない青色LED」との組合せに係る態様について
(1) 本件訂正発明は、「AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体」(以下「本件赤色複合フッ化物蛍光体」という。)を有し、これと組み合わせる光源として、ピーク放出波長に関する特定のない「青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源」(以下「ピーク放出波長を特定しない青色LED」という。)を用いるものである。
(2) そこで、前記「本件赤色複合フッ化物蛍光体」と「ピーク放出波長を特定しない青色LED」との組合せに係る態様が、国際出願の明細書等に記載した事項の範囲内のものか否かについて検討する。
なお、国際出願の明細書等の記載内容を理解するにあたっては、その翻訳文(すなわち、本件特許に係る外国語特許出願の公表公報である特表2009-528429号公報に記載されたもの)を参照することとし、当該国際出願の明細書等の該当箇所を示す際には、当該公表公報の対応箇所も併記した。
(3) 「本件赤色複合フッ化物蛍光体」と「ピーク放出波長を特定しない青色LED」との組合せに係る態様については、国際出願の明細書等の[0066]?[0068]、[0074]、Fig.9、Fig.10、Fig.12、Fig.13(前記公表公報の【0024】、【0028】の実施例1、【図9】、【図10】、【図12】、【図13】)に、当該態様と関連する記載(「青色チップ」に関する記載)を認めることができる。
そして、当該[0067]、[0068]、[0074])などの記載からすると、当該態様は、「バックライト装置」に限定したものとして記載されているとまでは言い難く、また、当該「バックライト装置」は、「照明装置」の一例として記載されたものと理解するのが合理的である。
そうすると、「本件赤色複合フッ化物蛍光体」と「ピーク放出波長を特定しない青色LED」との組合せに係る上記態様は、バックライト装置、さらには照明装置に関するものとして記載されているというべきであるから、当該態様を具備する本件訂正発明は、国際出願の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないと認められる。

3 まとめ
以上のとおりであるから、原文新規事項についての取消理由は理由がない。

第9 特許法第36条第6項第2号(明確性要件)に係る取消理由について

平成29年1月31日付けの取消理由通知は、本件訂正前の「カプセル材料」及び「蛍光体材料がカプセル材料中に分散されている」という発明特定事項の内容が不明確である点を指摘するものであったが、これらの点は、本件訂正により解消され、本件訂正発明5、6において、その内容は明確に記載されていると認められる。
したがって、明確性要件についての取消理由は理由がない。

第10 特許法第36条第6項第1号・第4項第1号(サポート要件・実施可能要件)に係る取消理由について

1 取消理由における指摘
平成29年1月31日付けの取消理由通知における、サポート要件及び実施可能要件に関する指摘は、おおよそ以下のとおりである。
(1) 「本件赤色複合フッ化物蛍光体」と「ピーク放出波長を特定しない青色LED」との組合せに係る態様は、バックライト装置に関するものというべきであり、また、「本件赤色複合フッ化物蛍光体」は、本件特許明細書の【0008】に記載された「Eu^(3+)を添加した現在の赤色蛍光灯蛍光体は、紫外LEDランプ中で正常に使用することができない」点を課題の一つとして開発されたものと解され、実際、当該「本件赤色複合フッ化物蛍光体」の特性を検証する実験に際しては、同明細書の【0021】(【図5】、【図6】)のとおり、365nmの紫外光を励起光として使用していることから、当該「本件赤色複合フッ化物蛍光体」のための光源として主に予定されているのは、青色光というよりは、むしろ紫外光であると解することができる。
そうすると、「本件赤色複合フッ化物蛍光体」と「ピーク放出波長を特定しない青色LED」との組合せに係る態様を発明特定事項とし、バックライト装置以外の装置をも含む本件訂正発明については、本件特許明細書の発明の詳細な説明に開示された範囲を超えるものといわざるを得ないから、本件特許に係る出願は、サポート要件に適合しない。
(2) さらに、バックライト装置以外の装置を含む本件訂正発明につき、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件訂正発明が所期の効果を奏するように、これを製造し、使用することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえないため、本件特許に係る出願は、実施可能要件も満足しないというべきである。

2 検討
「本件赤色複合フッ化物蛍光体」と「ピーク放出波長を特定しない青色LED」との組合せに係る態様については、前記「第8」においても検討したところ、当該「第8」において、当該態様に関する記載の有無を検討した国際出願の明細書等の記載内容は、本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載内容と実質的に変わりはないから、当該「第8」における検討のとおり、当該態様は、バックライト装置、さらには照明装置に関するものとして記載されていると解するのが相当である。また、本件訂正明細書の【0006】?【0008】の記載(例えば、【0006】の「必要に応じて青色又は近紫外LEDチップと共にしようされる場合」などの記載)を総合すると、本件訂正発明の課題が、紫外光を励起光として使用する場合に特化されたものとまで解するのは妥当でない。
したがって、当該態様を発明特定事項とし、バックライト装置以外の装置をも含む本件訂正発明についても、本件訂正明細書の発明の詳細な説明に開示された範囲を超えるものということはできず、また、当該本件訂正発明につき、本件訂正明細書の発明の詳細な説明は、本件訂正発明が所期の効果を奏するように、これを製造し、使用することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないということもできない。
したがって、サポート要件及び実施可能要件についての取消理由は理由がない。

第11 結び

以上のとおりであるから、本件特許1、2、4?21は、特許法第29条又は同法第29条の2の規定に違反してされたものであるとも、同法第36条第4項第1号又は第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるともいえず、同法第113条第2号又は第4号に該当するとは認められない上、同法第113条第5項に該当するとも認められないから、前記取消理由及び異議申立理由によっては、取り消すことはできない。
また、前記のとおり、本件訂正により、請求項3、22?29は削除されたので、これらの請求項に係る本件特許3、22?29に対する特許異議の申立てについては、却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
発光ダイオード応用における使用のための赤色線放出蛍光体
【発明の詳細な説明】
【0001】
(背景)
例証的な本実施形態は、蛍光体組成物、特に照明応用における使用のための蛍光体に関する。特に、本実施例は赤色放出蛍光体及びこれらの蛍光体を用いる照明装置に関する。
Eu^(3+)を添加した赤色線放出蛍光体は先行技術にて知られており、ディスプレイ及び一般照明応用(テレビ画面、三燐酸(triphosphor)蛍光灯等)の広範囲で使用される。同様に、Mn^(4+)を添加した酸フッ化物赤色線放出蛍光体も、例えば、向上した演色性を備えた低圧及び高圧水銀放電ランプのような、特定の照明応用において知られている。
発光ダイオード(LED)は、白熱灯のような他の光源の代用品としてよく使用される半導体発光体である。これらはディスプレイ灯、警告灯及び表示灯として、又は着色光が望まれる他の応用において特に有効である。LEDによって生産される光の色は、その製造に使用される半導体材料の種類によって決まる。
発光ダイオード及びレーザー(双方ともここでは一般にLEDとして言及する)を含む着色半導体発光素子は、窒化ガリウム(GaN)のようなIII-V族合金から生産されてきた。GaNを基にしたLEDに関して、光は一般に電磁スペクトルの紫外から緑色の領域において発せられる。ごく最近まで、LEDは、LEDにより生産される光に固有の色が原因で、明るい白色光が必要となる照明の使用には不適当であった。
【0002】
最近、LEDからの発光を、照明目的に有効な光へ転換できるよう技術が開発された。或る技術においては、LEDが蛍光体層で被膜され覆われている。蛍光体は、電磁スペクトルの或る部分で放射エネルギーを吸収し、別の部分でエネルギーを放出する発光性材料である。或る重要な部類の蛍光体は、化学的純度が非常に高く、また少量の他の要素(「活性剤」と呼ばれる)を加え、効率の良い蛍光性材料へ転換する制御組成物である結晶性無機化合物である。活性剤及び無機化合物の正確な組み合わせにより、放出する色は制御できる。最も有効でよく知られた蛍光体は、可視領域外の電磁放射による励起に反応し、電磁スペクトルの可視部分において放射を放出する。
【0003】
LEDによって発生した放射により励起する蛍光体を挿入することによって、異なる波長の光が、例えばスペクトルの可視領域において発生しうる。着色LEDは玩具、表示照明及び他の機器によく使用される。継続的に性能を向上させることにより、飽和色のLEDを交通信号、非常口標識、店舗標識等において新たに応用することが可能となった。
着色LEDに加え、LED発生光及び蛍光体発生光の組み合わせは、白色光の生産に使用し得る。最も普及する白色LEDは、青色放出GalnNチップから成る。青色放出チップは、青色放射の一部を補色、例えば帯黄色の放射へ転換する蛍光体で被膜されている。同時に、青色及び帯黄色の放射は白色光を生産する。また、近紫外放出チップ、及び紫外放射を可視光線へ転換するよう設計された赤色、緑色及び青色放出蛍光体を含む蛍光体ブレンドを利用する白色LEDが存在する。
【0004】
既知の白色光放出機器は、イットリウム・アルミニウム・ガーネットを添加したセリウム(III)(“YAG:Ce”)、テルビウム・アルミニウム・ガーネットを添加したセリウム(III)(“TAG:Ce”)、又は珪化バリウムを添加したユーロピウム(II)(“BOS”)のような黄色光放出蛍光体と組み合わせ、近青色領域(約440nm?約480nm)にピーク放出波長を有する青色光放出LEDを含む。当該蛍光体はLEDにて放出される放射の一部を吸収し、吸収した放射を黄色光へ転換する。LEDにより放出される青色光の残余は、当該蛍光体を通して伝送し、蛍光体により放出される黄色光と混合する。見る側は、青色及び黄色光の混合物を白色光として知覚する。蛍光体材料及びLEDチップからの光の総量は、対応する色座標(x及びy)及び相関色温度(CCT)を有する色点を提供し、そのスペクトル分布は、演色評価数(CRI)によって測定される演色能力を提供する。
【0005】
かかるシステムは、約330Im/W_(opt.)の放射発光効率(“LER”、輝度とも言及される)で、4500Kより小さいCCT及び約70?82の領域にあるCRIを有する白色光源を生成するために使用され得る。当該領域が多くの応用に好適である一方、一般的照明源は、通常より低いCCT及びより高いCRIを要し、好ましくは同様またはより良いLERを伴う。
青色放出チップ及び黄色放出蛍光体から生成された白色LED機器の特に好ましい応用の一つに、例えば携帯電話、携帯情報端末等に使用されるバックライトがある。これらの応用は高いCCT値(5000Kより大きい)を要し、前述のLEDにより、280Im/W_(opt)又はそれより大きいLER値で容易に提供される。しかしながら、黄色蛍光体の使用により(例えば550nm?610nmのピーク放出を有する)、これらのLEDのスペクトルはスペクトルの黄色範囲に過剰な放出を含有し、バックライトの色域を大いに減少させる。
【0006】
ディスプレイ装置の色域は、例えばCIE1931x,y図の色度図中のディスプレイの赤色、緑色及び青色画素の色点間に及ぶ区域である。ディスプレイの歴史的な「最高基準」(“golden standard”)はNTSC域であり、色点座標の3セット(CIE1931x,y色度図中、赤色x=0.674及びy=0.326、緑色x=0.218及びy=0.712及び青色X=0.140及びy=0.080)により規定される。一般に、NTSCの70%より大きい域は、多くのバックライト応用に満足できるとみなされ、NTSCの90%より大きい域は、かかる応用のほとんどに満足できるとみなされる。
黄色蛍光体を使用するLEDバックライトの域を改良するため、黄色光を遮り、それによりLEDバックライトの効果的なLERを減少させる。従って、パッケージ中に黄色蛍光体を有することなく、5000Kより大きいCCTにて280Im/W_(opt)又はより大きいLERを提供し得るLEDバックライトを開発することが有益であろう。赤色線放出蛍光体は、少なくとも緑色放出又は青色放出蛍光体と併用して、必要に応じて青色又は近紫外LEDチップと共に使用される場合、LER及びCCTのかかる数値を同時に獲得するのに特に好適であろう。
【0007】
他の白色光LED照明システムは、近紫外放射によって効果的に励起でき、白色光を生成する赤色、緑色及び/又は青色蛍光体ブレンドと共に、紫外又は可視光LEDチップを使用する。
CRIは、一般に8種の標準試験色(R_(1-8))の平均値として定義され、通常平均演色評価数として言及し、R_(a)と略す。14種の標準試験色が国際的に規定され、平均値に従ってより広範なCRI(R_(1-14))を算出できる。特に、強い赤色の演色を測定する数値R_(9)は、特に医療の性質を持つ応用の領域にとって非常に重要である。
CCTが低下及び/又はCRIが増加するにつれ、LER数値は一般に減少し、「温白色」LEDの数値(CCT<4500K)が「白色」の数値(CCT>4500K)より著しく低下するに至る。いずれの光源(LEDを含む)のLER数値も、線放出スペクトルを有する赤色蛍光体を、広帯域放出の赤色蛍光体に対して使用することによって向上し得る。後者の蛍光体の放出エネルギーの重要部分は、肉眼での感知の具合が非常に低く、LER数値を減少させるスペクトルの濃い赤色部分に分類される傾向がある。
【0008】
先行技術で知られた多くの照明応用において、線放出スペクトル(例えばY_(2)O_(3):Eu^(3+))は、満足できるCRI数値(例えば80?86)にてCCT対象領域を超えて(例えば3000?6500K)LERを最大化するため、故に赤色成分として好ましい。Eu^(3+)を添加した現在の赤色蛍光灯蛍光体は、紫外LEDランプ中で正常に使用することができない。実質的に近紫外(370?420nm)光を吸収せず、蛍光体による散乱のため受容できない光の損失に繋がるためである。フッ化物蛍光体を放出する濃い赤色線、例えば3.5MgO^(*)0.5MgF_(2)^(*)GeO_(2):Mn^(4+)(MFG)はLEDランプに使用することができるが、スペクトルの赤色範囲(650nm以上)においてずっと遠くに発生する多量の放出のため、LERへの相当な衝撃を伴う。Mn^(4+)を添加した酸化物及びオキシハライドホスト格子を基礎とする他の同様の蛍光体は、また、650nmより大きい波長での主要な放出ピークを有する。より低い波長、例えば610?650nm範囲において、少なくとも光源からの放射の一部、例えば紫外で放出するLEDチップを青色領域へ転換することが可能な線放出を有する赤色蛍光体を最大限に使用することが好ましい。これにより、一般CRIを80又はそれより上に維持すると同時に、LERを向上させる。
従って、最小限の黄色放出及び高いLERを有するバックライトと同様、特に、任意のCCTにて、高いCRI及び向上したLERの双方を有する白色光源を生産する、高い量子効率を呈した紫外及び可視LEDチップと併用した、ディスプレイ又は照明応用の使用のための、新しい赤色線放出蛍光体及びそれらのブレンドが引き続き必要とされている。
【0009】
(簡単な要約)
第一の局面において、半導体光源を含むバックライト放出装置が提供されている。バックライトは610?650nmのピーク放出波長を有する赤色線放出蛍光体、510?550nmのピーク放出波長を有する緑色放出蛍光体、及びa)440?480nmのピーク放出波長を有する青色LEDチップ、又はb)440?480nmのピーク放出波長を有する青色放出蛍光体のいずれか、及び約370nm?約440nmのピーク放出波長を有する紫色から近紫外放出LEDチップへの紫色を含む。特定の実施例において、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体材料は、赤色線放出蛍光体として使用される。
第二の局面において、光源及びMn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体材料を含む光放出装置が提供されている。或る実施例において、複合フッ化物蛍光体は、(A)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(5)]:Mn^(4+)、(B)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(3)[MF_(6)]:Mn^(4+)、(C)MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるZn_(2)[MF_(7)]:Mn^(4+)、(D)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA[In_(2)F_(7)]:Mn^(4+)、(E)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)、(F)EがMg、Ca、Sr、Ba、Zn及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるE[MF_(6)]:Mn^(4+)、(G)Ba_(0.65)Zr_(0.35)F_(2.70):Mn^(4+)、又は(H)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA_(3)[ZrF_(7)]:Mn^(4+)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
第三の局面において、少なくとも上述のMn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体の一つ及び少なくとも一つの更なる蛍光体を含む蛍光体ブレンドが提供されている。
第四の局面において、(A)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(5)]:Mn^(4+)、(B)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(3)[MF_(6)]:Mn^(4+)、(C)MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるZn_(2)[MF_(7)]:Mn^(4+)、(D)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA[In_(2)F_(7)]:Mn^(4+)、(E)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがSn、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)、(F)EがMg、Ca、Sr、Ba、Zn及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるE[MF_(6)]:Mn^(4+)、(G)Ba_(0.65)Zr_(0.35)F_(2.70):Mn^(4+)、(H)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA_(3)[ZrF_(7)]:Mn^(4+)、(I)AがLi、Na、K、Rb、Cs及びNH_(4)の中の少なくとも二つから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)、又は(J)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti及びZrの中の少なくとも二つから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を、少なくとも一つ含む蛍光体材料が提供されている。
【0010】
(例証的実施形態の詳細な説明)
蛍光体は放射(エネルギー)を可視光へ転換する。蛍光体の異なる組み合わせは、異なる着色光放出を提供する。新規蛍光体組成物及びブレンドを、LED及び他の光源におけるそれらの使用と同様ここに述べる。
生成した可視光の色は、蛍光体材料の特定の構成要素に左右される。蛍光体材料は単一の蛍光体組成物又は二以上の基本色蛍光体のみを含んでよく、例えば1以上の黄色又は赤色蛍光体と特定の混合をし、望み通りの光の色(色調)を放出する。ここで使用されるとおり、「蛍光体」及び「蛍光体材料」という用語は、二以上の蛍光体組成物のブレンドと同様、単一の蛍光体組成物の双方を示すため使用され得る。
【0011】
少なくとも光源からの放射の一部を、610?650nmのピーク波長を有する赤色線放出へ転換することが可能な蛍光体材料を用いることによって、赤色線構成要素を含有する光を生産する装置は、例えばディスプレイ又は一般照明応用に有用であろうことが明らかであった。かかる蛍光体材料の大いに好適な実施例は、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体である。種々の実施形態の好ましい実施例を以下に提供する。
【0012】
一以上の付加的な蛍光体は、蛍光体材料中の上述の赤色線放出蛍光体と併用し得る。従って、或る実施形態において、発光性転換材料ブレンド(蛍光体ブレンド)被膜LEDチップが、白色光を提供するため開示されている。当該実施形態中で提示されている蛍光体ブレンドは、単独又はLEDからの残留ブリードと組み合わせて、近紫外から緑色LEDにより放出され、約250?550nmの放射によって励起する場合、対象のCCTにてCRI及びLERの最適な組み合わせで白色光を実現する。
図1に関し、例証的なLEDを基礎とする発光アセンブリ又はランプ10を、本発明の或る好ましい構成に従って示す。発光アセンブリ10は、発光ダイオード(LED)チップ12及び当該LEDチップへ電気的に取り付けてある、リード線14のような半導体紫外又は可視放射源を含む。リード線14は厚いリードフレーム16で支持された薄いワイヤーを含んでもよく、又はリードは自耐電極棒を含んでもよく、リードフレームは省略してもよい。リード14はLEDチップ12へ電流を提供し、従ってLEDチップ12が放射を放出する原因となる。
【0013】
当該ランプは、放出された放射が蛍光体へ注がれる場合、白色光を生産することが可能な、半導体可視又は紫外光源を含んでよい。本発明におけるLEDチップの好ましいピーク放出は、開示された実施形態における蛍光体の同一性に左右され、例えば250?550nmに及んでよい。しかしながら、或る好ましい実施形態において、LEDの放出は近紫外から青緑色範囲にあり、約370?約500nmの領域のピーク波長を有する。概して、半導体光源は種々の不純物を添加したLEDを含む。従って、当該LEDは好適なIII-V、II-VI又はIV-IV半導体層に基づき、約250?550nmのピーク放出波長を有する半導体ダイオードを含んでもよい。
好ましくは、LEDはGaN、ZnO又はSiCを含む少なくとも一つの半導体層を含んでよい。例えば、当該LEDは約250nmより大きく、約550nmより小さいピーク放出波長を有する式In_(i)Ga_(j)Al_(k)N(0≦i;0≦j;0≦k及びi+j+k=1)によって表される窒化物化合物半導体を含んでもよい。かかるLED半導体は先行技術において知られている。放射源は便宜上LEDとしてここに記載する。しかしながら、ここに使用されるとおり、当該用語は、例えば半導体レーザーダイオードを含む、すべての半導体放射源を包含することを意図する。
【0014】
ここで論ずる当該発明の例証的構造の概括的議論は、無機LEDを基礎とする光源へ向けられているが、LEDチップは有機光放射構造又は特に言及されたものを除いた他のいずれの放射源とも交換でき、LEDチップ又は半導体へのいずれの言及も、適当な放射源の典型に過ぎないと理解されるべきである。
LEDチップ12は殻18内にカプセル化でき、当該LEDチップ及びカプセル材料20を封入する。殻18は、例えばガラス又はプラスチックがよい。好ましくは、LED12がカプセル材料20の実質的な中心となる。カプセル材料20は、好ましくはエポキシ、プラスチック、低温ガラス、ポリマー、熱可塑性プラスチック、熱硬化性材料、樹脂又は先行技術にて知られた他のLEDカプセル化材料の種類である。任意に、カプセル材料20はスピンオンガラス又は高い屈折率を有する別の材料である。ある実施形態において、カプセル材料20は、他の有機又は無機カプセル材料を使用できるが、エポキシ、シリコーン、又はシリコーンエポキシのようなポリマー材料である。殻18及びカプセル材料20の双方は、LEDチップ12によって生産された光の波長及び蛍光体材料22(以下に記載)について、好ましくは透明又は実質的に任意に透過である。別の実施形態において、ランプ10は、外殻18なしでカプセル材料を含むことのみ可能である。LEDチップ12は、例えばリードフレーム16、自耐電極棒、殻18の底、又は当該殻又はリードフレームへ取り付けられた支柱(示されていない)によって支えられる。
【0015】
照明システムの構造は、LEDチップ12へ放射的に結合する蛍光体材料22を含む。放射的な結合とは、元素が、少なくとも一方から放出した放射の一部を他方へ透過できるようにするため、互いに関連することを意味する。
この蛍光体材料22を、適切な方法によってLED12上へ付着させる。例えば、蛍光体の懸濁液が形成でき、LED表面へ蛍光体層として適用できる。そのような或る方法において、シリコーン、エポキシ又は他のマトリックス材料が使用され(直接、又は有機溶媒、例えばアセトン、MIBK又は酢酸ブチルとの希釈のいずれか)、蛍光体粒子が無作為に懸濁及びLEDを囲んで配置するスラリーを作り出す。この方法は蛍光体材料22及びLED12の可能な位置の単なる例証にすぎない。それゆえ、蛍光体材料22は、当該LEDチップ12上の蛍光体懸濁液を被覆及び乾燥又は硬化させることにより、LEDチップ12の光放出表面に被覆され又は直接存在することができる。殻18及びカプセル材料20は、光24をそれらの元素を通して透過するよう、双方とも透明であるべきである。限定する意図はないが、光散乱方法を使用した測定又は顕微鏡(電子又は光学)測定による蛍光体材料の中央粒径は、約1?約20μm(ミクロン)がよい。
【0016】
図2は、本発明の好ましい局面に従った装置の、第二の好ましい構造を図示する。図1?4の対応する数字(例えば、図1の12と図2の112)は、特に言及されていない限り、各図の対応構造に関する。図2の実施形態の構造は、蛍光体材料122が、LEDチップ112上に直接形成するのではなく、カプセル材料120中に点在することを除き、図1の実施形態の構造と同様である。蛍光体材料(粉末状)はカプセル材料120の一範囲内に、又はより好ましくは、カプセル材料の全量にわたり点在してよい。LEDチップ112により放出される放射126は、蛍光体材料122により放出された光と混合し、混合した光は白色光124として現れる。蛍光体がカプセル材料120内に点在する場合、蛍光体粉末はポリマー前駆物質へ加えてもよく、LEDチップ112を囲んで充填してもよく、その後ポリマー前駆物質を硬化しポリマー材料を凝固させてもよい。トランスファー成形のような、他の既知の蛍光体点在方法も使用してよい。
【0017】
図3は本発明の好ましい局面に従った装置の、第三の好ましい構造を図示する。図3に示す実施形態の構造は、蛍光体材料222が、LEDチップ212上に形成するのではなく、殻218の表面上に被覆されることを除いて、図1の実施形態の構造と同様である。蛍光体材料は、蛍光体は望みに応じて殻の外側表面上に被覆されるが、好ましくは殻218の内側表面上に被覆される。蛍光体材料222は、殻の全体表面上又は殻表面の上部のみに被覆される。LEDチップ212によって放出される放射226は、蛍光体材料222によって放出される光と混合し、混合した光は白色光224として現れる。もちろん、図1?3の構造は組み合わせてもよく、蛍光体は2つ又はすべての3つの位置、又は殻から離して又はLEDへ組み込むなど、他の好適な位置に配置してよい。
上述のいずれの構造においても、ランプ10はまた、カプセル材料中に埋め込まれた多数の散乱粒子(示されていない)を含んでもよい。当該散乱粒子は、例えばAl_(2)O_(3)粒子(例えばアルミナ粉末)又はTiO_(2)粒子を含んでもよい。当該散乱粒子は、LEDチップから放出したコヒーレント光を、好ましくはごくわずかな吸収で有効に散乱させる。
図4の第四の好ましい構造に示すように、LEDチップ412は反射カップ430へ取り付けてよい。当該カップ430は、アルミナ、チタニア又は従来技術にて知られた他の誘電粉末などの反射材料にて生成又は被覆されてよい。好ましい反射材料はAl_(2)O_(3)である。図4の実施形態の構造の他の部分は、先の全図と同様であり、二つのリード416、LEDチップ412と第二リードへ電気的に接続する電導性ワイヤー432、及びカプセル材料420を含む。
【0018】
他の好ましい構造(特にバックライト応用について)は、例えば図14に示すような、表面取り付け機器(“SMD”)型発光ダイオード550である。このSMDは“側面放出型”であり、光ガイド部材554の突出部分上に発光窓552を有する。SMD型発光ダイオード550は、導電性パターンが形成され、前記LEDを窓552でカバーするガラスエポキシ基板上に、流動はんだ付け等によって事前に形成されたLEDを配置することにより生成できる。
先行技術において、例えば日亜化学工業株式会社製の「上部放出」SMDパッケージが既知であり、本実施形態においても、また使用に好適である。SMDパッケージは上述の定義どおりのLEDチップ、及び以下に論ずるとおりLEDチップから放出される光によって励起する蛍光体材料を含んでもよい。
或る実施形態において、上述の機器の蛍光体組成物において使用できる新規蛍光体材料が提供されている。蛍光体材料はMn^(4+)で活性化される複合フッ化物蛍光体であり、1以上の(A)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(5)]:Mn^(4+)、(B)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(3)[MF_(6)]:Mn^(4+)、(C)MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるZn_(2)[MF_(7)]:Mn^(4+)、(D)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA[In_(2)F_(7)]:Mn^(4+)、(E)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがSn、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)、(F)EがMg、Ca、Sr、Ba、Zn及びその組み合わせから選択され、MがSn、Zr及びその組み合わせから選択されるE[MF_(6)]:Mn^(4+)、(G)Ba_(0.65)Zr_(0.35)F_(2.70):Mn^(4+)、(H)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA_(3)[ZrF_(7)]:Mn^(4+)、(I)AがLi、Na、K、Rb、Cs及びNH_(4)の中から少なくとも二つ選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)、又は(J)AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti及びZrの中から少なくとも二つ選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)、を含んでもよい。
【0019】
「複合フッ化物蛍光体」とは、蛍光体が、少なくとも一つの配位中心(例えば上述の例でのM)を含有し、配位子として作用するフッ化物イオンに囲まれ、必要に応じて対イオン(例えば上述の例でのA)により電荷を補償される配位化合物であることを意味する。複合フッ化物は、時折単一、二成分のフッ化物(例えば、Na_(3)[AlF_(6)]の代わりに3NaF_(*)AlF_(3))の組み合わせとしてみなされるが、かかる表現は、配位中心を取り囲む配位子の配位数(この例では6)を表さない。角括弧(簡略のため時折省略)は、包含する複合イオンが、単一フッ化物イオンとは異なる新しい化学種であることを表す。活性剤イオン(Mn^(4+))はまた配位中心として作用し、例えばAl^(3+)などのホスト格子の中心部分を置換する。ホスト格子は(対イオンを含む)、さらに活性剤イオンの励起及び放出特性を修正できる。
250?550nmのピーク放出及び1以上の付加蛍光体(青色及び緑色放出蛍光体等)を有するLEDチップと使用する場合、上述の蛍光体材料を使用すると白色LEDになる。使用できる付加蛍光体は、以下により詳細に記載する。
この実施形態の例証的なMn^(4+)活性化組成物を、以下の表1に詳述する。
(表1)

【0020】
配位中心の配位数が6であるMn^(4+)(例えば、通常K_(2)[TiF_(6)]:Mn^(4+)のような八面環境において)を添加した複合フッ化物蛍光体が、特に好ましい。中心イオンにより高い配位数を有する他の複合フッ化物(例えば、配位数7のK_(3)[ZrF_(7)])は、またMn^(4+)での活性化のためのホスト格子として適用できる。
有利なことに、一以上の陽イオンがホスト格子中で使用でき(例えば、上記の表1の14行目及び下記の実施例10に示すとおり)、蛍光体の量子効率を最適化する。さらに、一以上の配位中心がホスト格子中で使用でき(例えば、上記表1の15行目及び下記の実施例11に示すとおり)、蛍光体の励起スペクトルを広げ、例えばLEDチップのより広範な領域など、実用に向けてより好適にする。好ましくは、少なくとも二つの陽イオン及び/又は少なくとも二つの配位中心が使用され、蛍光体の量子効率及び励起スペクトルを最適化する。
【0021】
図5?8は、365nmの紫外光により励起した、これらの蛍光体のいくつかの放出スペクトルを示す。つまり、図5はNa_(2)[TiF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の放出スペクトルのグラフである。図6は、K_(2)[SnF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の放出スペクトルのグラフである。図7は、Ba[TiF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の放出スペクトルのグラフである。図8は、K_(3)[ZrF_(7)]:Mn^(4+)蛍光体の放出スペクトルのグラフである。図11は、K_(3)[AlF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の励起及び放出スペクトルを示す。
上に記載したMn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体組成物は、活性剤イオンの望ましい混和レベル(例えば、全M含量が0.1?30mol.%、より好ましくは2?15mol%)を十分に確実にできる割合で、適当な原材料を利用することにより調製できる。或る実施形態において、当該原材料は水性フッ化水素酸(例えば質量30?50%HF)中で合わせて溶解でき、及び蛍光体は反応混合物の蒸発により生産され、プラスチック又は内側をテフロン(登録商標)で覆った容器の中で乾燥させ、好ましくは、例えば水浴で、溶液の沸点以下で加熱を続ける。粗製の蛍光体は粉砕して(好ましくは乾燥粉砕)望ましい粒径にし、有機溶媒(例えばエタノール又はアセトン)で洗浄してHFの残量を除去し、LEDで使用する前に空気中で乾燥させてよい。
種々の他の出発材料及び方法は、HF及び/又は他のフッ化物(例えば酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩及び金属成分の二成分のフッ化物またはフッ化水素からin-situ法又はex-situ法で調製される)、及びH_(2)O_(2)又は他の過酸化物の化学量論量を有する過マンガン酸塩又はマンガン酸塩の水溶液からの共結晶化により、この実施形態において複合フッ化物蛍光体を生産するために使用でき、適切な酸化状態(+4)のMn活性剤を提供する。ここに示すMn^(4+)を添加した複合フッ化物蛍光体の実施例は、限定する意図はない。他の成分のイオンは、Mn^(4+)との活性化上の蛍光体励起及び/又は放出にとって有害な電子又は振動遷移を生じさせない条件で、複合フッ化物ホスト格子(配位中心又は対イオンと同様)を形成するために使用できる。
【0022】
蛍光体材料中の各蛍光体の相対量は、スペクトル質量によって記載できる。スペクトル質量は、各蛍光体が蛍光体ブレンドの全放出スペクトルの一因となる相対量である。すべての個々の蛍光体のスペクトル質量(spectral weight amounts)は、1まで増加するべきである。好ましいブレンドは、約500?610nmのピーク放出を有する蛍光体の0.01?0.80のスペクトル質量、約430?500nm(約430?約500nmのピーク放出を有する青色又は青緑色のLEDでの励起に必要とされない)のピーク放出を有する0?0.19の任意の蛍光体を含み、ブレンドのバランスは、目的のCCT値を獲得する必要に応じて、上述の複合フッ化物蛍光体のうちの一つである。近紫外から緑色LEDシステムにおいての使用、及び上述の波長領域における放出に好適な既知の蛍光体を使用することができる。少なくともCe^(3+)で活性化されるガーネット(例えばYAG:Ce、TAG:Ce及び従来技術で知られるそれらの組成上の修正)は、約500?610nmのピーク放出を有する、特に好ましい蛍光体である。他の、後者の領域のピーク放出を有する特に好ましい蛍光体は、少なくともEu^(2+)で活性化されるアルカリ土類珪酸塩であり、例えば(Ba、Sr、Ca)_(2)SiO_(4):Eu^(2+)(“BOS”)及び従来技術で知られるその組成上の修正である。
【0023】
種々の蛍光体が、ここでは括弧で括られカンマで区切られた異なる元素、例えば(Ba,Sr,Ca)_(2)SiO_(4):Eu^(2+)の場合のように記載されていることに注意すべきである。当業者に理解されるとおり、この表記の種類は、蛍光体が、どの割合の製剤中にも、これらの明記された元素のいずれか又は全てを含み得ることを意味する。つまり、例えば上述の蛍光体に関するこの表記の種類は、a及びbが0から1の間を変動し、0及び1の数値を含む(Ba_(a)Sr_(b)Ca_(1-a-b))_(2)SiO_(4):Eu^(2+)と同様の意味を有する。
上記に詳述したとおり、LEDバックライト機器又は装置は同様に生産できる。ここに使用されるとおり、「機器」及び「装置」という用語は、単一LED光又はバックライトだけでなく、回路基板上又は他の種類の配列中の2以上のLEDバックライトの配列を含む。
610?650nmのピーク放出波長を有する赤色線放出蛍光体は、少なくとも緑色放出蛍光体(例えば510?550nmのピーク放出波長を有する)及び青色LEDチップ又は青色放出蛍光体(例えば440?480nmのピーク放出波長を有する)及び紫色から近紫外放出LEDチップ(例えば、約370nm?約440nmのピーク放出波長を有する)と併用して、LEDバックライト機器を準備するために使用できる。
有利なことに、Mn^(4+)で活性化された実質上のいずれの複合フッ化物蛍光体も、前記赤色線放出蛍光体の好適な実施例である。好適な赤色線放出蛍光体の非制限的実施例は、親出願の米国特許出願番号11/364,611、11/049,598及び11/285,442に記載される蛍光体同様、ここに記載される蛍光体を含み、それらの開示は参照のためここに全体を組み込んでいる。かかる蛍光体の特に好ましい実施例は、例えばA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)の配位数6の複合フッ化物であり、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択される。好適な緑色放出蛍光体の非制限的実施例は、アルカリ土類チオガレート、チオアルミネート(thioaluminate)又はEu^(2+)で活性化されたその固溶体であり、例えばEu^(2+)(“STG”)SrGa_(2)S_(4):Eu^(2+)で活性化されたストロンチウムチオガレートが挙げられ、好適な青色放出蛍光体の非制限的実施例は、Eu^(2+)(“SECA”)Sr_(5)(PO_(4))_(3)Cl:Eu^(2+)で活性化されたストロンチウムクロロアパタイトである。
【0024】
Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体で生成するバックライトは、典型的な青色チップ/黄色蛍光体LED(例えば5000Kより高いCCTで280Im/W_(opt)より大きい)のLERと同等又はより優れたLERを有することができる。しかしながら、LEDに基づく黄色蛍光体とは異なり、前に述べたように、バックライト応用に望ましくないスペクトルの黄色範囲中に非常にわずかな放出を有する。好ましくは、かかるバックライトはNTSC基準の域の70%より大きい域、より好ましくはCIE1931x,y図中のNTSC基準の域の90%より大きい域を有する。
2900KのCCTを有する実験用のLEDスペクトル、82のR_(a)及び342Im/W_(opt)のLERを図9に示す。3500KのCCT、92のR_(a)及び312Im/W_(opt)のLERを有する第二実験用LEDスペクトルを図10に示す。これら双方のLEDは、Ce^(3+)(Tb_(2.91)Ce_(0.09)Al_(4.90)O_(11.85))で活性化されたテルビウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体を有する青色チップ及び複合フッ化物蛍光体(K_(2)[TiF_(6)]:Mn^(4+))を放出する赤色線を使用する。
青色チップ及び蛍光体K_(2)[TiF_(6)]:Mn^(4+)とSTGのブレンドを使用する他のLEDの実験用スペクトルを、図12に示す。図13に図示するように、色度座標x=0.315及びy=0.335(6300KのCCTに対応)292Im/W_(opt)のLER及びCIE1931xy図中のNTSCのLERの域101%を有する。
【0025】
加えて、本発明に記載された蛍光体の波長と実質的に異なる波長にて、可視スペクトル範囲全域に渡り放出する他の蛍光体は、ブレンド中、結果得られた光の色をカスタマイズし、向上した光の品質を有する源を生産するために使用できる。制限する意図はないが、本蛍光体とのブレンドでの使用に好適な蛍光体は、
(Ba,Sr,Ca)_(5)(PO_(4))_(3)(Cl,F,Br,OH):Eu^(2+),Mn^(2+)
(Ba,Sr,Ca)BPO_(5):Eu^(2+),Mn^(2+)
(Sr,Ca)_(10)(PO_(4))_(6)^(*)υB_(2)O_(3):Eu^(2+)(式中0<υ≦1)
Sr_(2)Si_(3)O_(8)^(*)2SrCl_(2):Eu^(2+)
(Ca,Sr,Ba)_(3)MgSi_(2)O_(8):Eu^(2+),Mn^(2+)
BaAl_(8)O_(13):Eu^(2+)
2SrO^(*)0.84P_(2)O_(5)^(*)0.16B_(2)O_(3):Eu^(2+)
(Ba,Sr,Ca)MgAl_(10)O_(17):Eu^(2+),Mn^(2+)
(Ba,Sr,Ca)Al_(2)O_(4):Eu^(2+)
(Y,Gd,Lu,Sc,La)BO_(3):Ce^(3+),Tb^(3+)
(Ba,Sr,Ca)_(2)Si_(1-ξ)O_(4-2ξ):Eu^(2+)(式中0≦ξ≦0.2)
(Ba,Sr,Ca)_(2)(Mg,Zn)Si_(2)O_(7):Eu^(2+)
(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In)_(2)S_(4):Eu^(2+)
(Y,Gd,Tb,La,Sm,Pr,Lu)_(3)(Sc,Al,Ga)_(5-α)O_(12-3/2α):Ce^(3+)(式中0≦α≦0.5)
(Lu,Sc,Y,Tb)_(2-u-v)Ce_(v)Ca_(1+u)Li_(w)Mg_(2-w)P_(w)(Si,Ge)_(3-w)O_(12-u/2)ここで-0.5≦u≦1;0<v≦0.1;及び0≦w≦0.2
(Ca,Sr)_(8)(Mg,Zn)(SiO_(4))_(4)Cl_(2):Eu^(2+),Mn^(2+)
Na_(2)Gd_(2)B_(2)O_(7):Ce^(3+),Tb^(3+)
(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)_(2)P_(2)O_(7):Eu^(2+),Mn^(2+)
(Gd,Y,Lu,La)_(2)O_(3):Eu^(3+),Bi^(3+)
(Gd,Y,Lu,La)_(2)O_(2)S:Eu^(3+),Bi^(3+)
(Gd,Y,Lu,La)VO_(4):Eu^(3+),Bi^(3+)
(Ca,Sr)S:Eu^(2+),Ce^(3+)
ZnS:Cu^(+),Cl^(-)
ZnS:Cu^(+),Al^(3+)
ZnS:Ag^(+),Cl^(-)
ZnS:Ag^(+),Al^(3+)
SrY_(2)S_(4):Eu^(2+)
CaLa_(2)S_(4):Ce^(3+)
(Ba,Sr,Ca)MgP_(2)O_(7):Eu^(2+),Mn^(2+)
(Y,Lu)_(2)WO_(6):Eu^(3+),Mo^(6+)
(Ba,Sr,Ca)_(β)Si_(γ)N_(μ):Eu^(2+)(式中2β+4γ=3μ)
Ca_(3)(SiO_(4))Cl_(2):Eu^(2+)
(Y,Lu,Gd)_(2-ψ)Ca_(ψ)Si_(4)N_(6+ψ)C_(1-ψ):Ce^(3+),(式中0≦ψ≦0.5)
Eu^(2+)及び/又はCe^(3+)を添加した(Lu,Ca,Li,Mg,Y)alpha-SiAlON
(Ca,Sr,Ba)SiO_(2)N_(2):Eu^(2+),Ce^(3+)
3.5MgO^(*)0.5MgF_(2)^(*)GeO_(2):Mn^(4+)
Ca_(1-c-f)Ce_(c)Eu_(f)Al_(1+c)Si_(1-c)N_(3,)(ここで0<c≦0.2,0≦f≦0.2)
Ca_(1-h-r)Ce_(h)Eu_(r)Al_(1-h)(Mg,Zn)_(h)SiN_(3,)(ここで0<h≦0.2,0≦r≦0.2)
Ca_(1-2s-t)Ce_(s)(Li,Na)_(s)Eu_(t)AlSiN_(3,)(ここで0≦s≦0.2,0≦f≦0.2,s+t>0)
Ca_(1-σ-χ-φ)Ce_(σ)(Li,Na)_(χ)Eu_(φ)Al_(1+σ-χ)Si_(1-σ+χ)N_(3),(ここで0≦σ≦0.2,0<χ≦0.4,0≦φ≦0.2)を含む。
【0026】
本発明の目的のために、蛍光体が2以上のドーパントイオン(つまり、上述の組成物中コロン以下のイオン)を有する場合、蛍光体が材料中にそれらのドーパントイオンを少なくとも一つ(必ずしも全て必要なわけではない)有することを意味すると理解されるべきである。すなわち、当業者に理解されるとおり、この表記の種類は、蛍光体が製剤中にドーパントとして明記されたそれらのイオンいずれか又はすべてを含み得ることを意味する。
蛍光体組成物が二以上の蛍光体のブレンドを含む場合、蛍光体ブレンド中の個々の蛍光体夫々の割合は、望ましい光出力(light output)の特性次第で異なり得る。種々の実施形態の蛍光体ブレンド中、個々の蛍光体の相対比率は、それらの放出がブレンドし、照明機器に用いられるような場合に調整することができ、CIE色度図上にあらかじめ設定されたx及びy数値の可視光を生産する。言及したように、好ましくは白色光を生産する。この白色光は、例えば約0.30?約0.55の領域のx数値、及び約0.30?約0.55の領域のy数値を所有し得る。好ましくは、白色光の色点は、プランク(黒体としても知られる)軌跡、例えばCIE1931色度図上、垂直(y)方向に0.020単位以内、より好ましくは垂直方向に0.010単位以内の上又は実質上の上に存在する。しかしながら、言及したとおり、蛍光体組成物中の夫々の蛍光体の同一性及び量は、最終需要者の需要に従って変化し得る。個々の蛍光体の効率は、供給者間で広く異なるため、必要とされる夫々の蛍光体の正確な量は、例えば実験技術の標準デザイン(DOE)を通してなど、経験的に、最適に測定される。
【0027】
蛍光体組成物に、顔料又は濾材を加えることが望ましい。LEDが紫外放出LEDである場合、蛍光体層22は0?約10質量%(蛍光体の総質量に基づく)の顔料、又は200nm?450nmの波長を有する紫外放射を吸収又は反射することができる他の紫外吸収性材料を含む。
好適な顔料又は濾材は200nm?450nmで発生する放射を吸収することができる、従来技術で知られたものを含む。かかる顔料は、例えば、チタン酸ニッケル又はジルコン酸プラセオジウム(praseodymium zirconate)を含む。当該顔料は、200nm?500nm領域中に発生する放射の10%?100%を濾過するのに有効な量で使用できる。
【実施例】
【0028】
(実施例)
実施例1 K_(2)[TiF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の調製
原材料(Flukaより商業上得たK_(2)[TiF_(6)]を18.48g、及びボーデ法[H.Bode,H.Jenssen,F.Bandte,Angew.Chem.,N11(1953),304]に従って調製したK_(2)[MnF_(6)]を1.52g、加熱下で攪拌する間、水溶性40%HF200ml中で溶解した。溶液を、水浴上のプラスチック皿で乾燥するまで蒸発させた。図9及び10に関して上述に指摘したとおり、Ce_(3+)(Tb_(2.91)Ce_(0.09)Al_(4.90)O_(11.85))で活性化されたテルビウム・アルミニウム・ガーネットを有する青色チップを使用するLED及び本赤色線放出蛍光体(K_(2)[TiF_(6)]:Mn^(4+))を生産した。
実施例2 Ba[TiF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の調製
K_(2)[MnF_(6)](1.34g)を水溶性40%HF100ml中へ攪拌しながら溶解し、TiO_(2)水和物を得た(蒸留水中、オルトチタン酸テトライソプロピルの加水分解により調製し、点火方法(ignition method)の損失に従った純粋TiO_(2)4.90gと当量である)。次に、固形BaCO_(3)(12.30g)を攪拌した溶液へ徐々に加えた。結果として得た懸濁液を、水浴上で乾燥するまで蒸発させた。
実施例3 K_(3)[ZrF_(7)]:Mn^(4+)蛍光体の調製
原材料(製造したK_(3)[ZrF_(7)]9.64g及びK_(2)[MnF_(6)]0.36g)を、水溶性40%HF100ml中に加熱下で攪拌しながら溶解した。溶液を、水浴上のプラスチック皿で乾燥するまで蒸発させた。
実施例4 Ba_(0.65)Zr_(0.35)F_(2.70):Mn^(4+)蛍光体の調製
固形BaCO_(3)(11.52g)及びZr(OH)_(4)(9.30g)を、水溶性40%HF200mlへ攪拌しながら徐々に加えた。スラリーを水浴上で30分間加熱した。結果得られたBa_(0.65)Zr_(0.35)F_(2.70)の沈殿物を、デカンテーションにより脱イオン水で中性pHまで洗浄し、100℃にて乾燥させた。K_(2)[MnF_(6)](1.13g)をBa_(0.65)Zr_(0.35)F_(2.70)(18.87g)の水溶性40%HF懸濁液200mlへ攪拌しながら溶解し、次に水浴上で乾燥残留物が形成されるまで加熱した。
実施例5 K_(2)[AlF_(5)]:Mn^(4+)蛍光体の調製
原材料(Al(OH_(3))を3.52g及びK_(2)CO_(3)を6.23g)を、50%水溶性HF40mlへ、加熱下で電熱器上のテフロン(登録商標)皿を攪拌しながら注意深く徐々に加え溶解した。溶液が乾燥しK_(2)[AlF_(5)]ホスト複合体を形成するまで蒸発させ、次に、ボーデ法[H.Bode,H.Jenssen,F.Bandte,Angew.Chem.,N11(1953),304]に従って調製したK_(2)[MnF_(6)]0.97gと共に、加熱下で攪拌しながら50%HF50ml中へ溶解した。第二溶液は水浴上で乾燥するまで蒸発させた。
実施例6 K_(3)[AlF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の調製
この蛍光体は、Al(OH)_(3)2.79g及びK_(2)CO_(3)7.41gを、50%水溶性HF40mlへ、加熱下で電熱器上の(登録商標)皿を攪拌しながら注意深く徐々に加え溶解した。溶液が乾燥しK_(3)[AlF_(6)]ホスト複合体を形成するまで蒸発させ、次に、K_(2)[MnF_(6)]0.77gと共に50%HF50ml中へ溶解し、水浴上で乾燥するまで蒸発させた。
実施例7 K_(3)[GaF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の調製
この調製は、先の実施例と同様の方法で、第一工程で(50%HF50mlへ溶解)Ga_(2)O_(3)を2.91g及びK_(2)CO_(3)を6.43g、次いで第二工程でK_(2)[MnF_(6)]を0.67g使用して実行した。
実施例8 Zn_(2)[AlF_(7)]:Mn^(4+)蛍光体の調製
この蛍光体は、Al(OH)_(3)2.57g及びK_(2)[MnF_(6)]0.34gを45%HF50mlへ溶解することにより調製し、溶液を水浴上60℃まで加熱した。次に、ZnO5.37gを少量に分けゆっくりと加え、形成した溶液を乾燥するまで蒸発させた。
実施例9 K[In_(2)F_(7)]:Mn^(4+)蛍光体の調製
In_(2)O_(3)のサンプル6.91gを50%HF100ml中へ水浴上で加熱しながら溶解し、次にK_(2)CO_(3)3.44gを少量に分け徐々に加えた。溶液を水浴上乾燥するまで蒸発させ、余分なKFを沈殿によりエタノール100mlで除去し、その後濾過した。濾過液を収集し、乾燥するまで蒸発させ、K_(2)[MnF_(6)]0.51gと共に加熱下で攪拌しながら40%HF50mlへ溶解した。最終溶液を再び乾燥するまで蒸発させた。
実施例10 KRb[TiF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の調製
材料の以下の量:Rb_(2)[TiF_(6)]5.40g(TiO_(2)2.40gを40%HF50mlへ溶解し、次にRb_(2)CO_(3)6.94gを室温にて徐々に加え溶解し、無水エタノール100mlを添加することで結晶させ、エタノールで沈殿物を洗浄し、次に100℃にて乾燥させることにより調製した)、K_(2)[TiF_(6)]3.90g(例えばTiO_(2)3.33g及びK_(2)CO_(3)5.76gから、同様の方式により調製し、又は商業的に得た)及びK_(2)[MnF_(6)]0.70gを40%HF100mlへ溶解した。次に、溶液を100℃にて乾燥するまで蒸発させた。
実施例11 K_(2)[Si_(0.5)Ge_(0.5)F_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の調製
材料の以下の量:フュームドシリカ1.24g(例えばアエロジル)及びGeO_(2)2.16gを、熱浴上で攪拌しながら40%HF100mlへ溶解した。次に、K_(2)CO_(3)5.70gを少量に分け注意深く加え、反応混合物を乾燥するまで蒸発させた。乾燥残留物を熱浴上で攪拌しながら40%HF100mlへ再び溶解し、K_(2)[MnF_(6)]0.89gを溶液へ加えた。次に、最終溶液を100℃にて乾燥するまで蒸発させた。
【0029】
一般照明用の白色光ブレンドを除いて、これらの蛍光体は個別に又はブレンドで交通信号機、標識、及び特に液晶表示器(LCD)のバックライティング応用のためのLEDとして使用できる。細い赤色線放出は、これらの応用に非常に望ましい飽和色になる。
上述の蛍光体材料は、LEDに加えて更なる応用に使用され得る。例えば、当該材料は蛍光灯、陰極線管、プラズマディスプレー機器又は液晶表示器(LCD)中の蛍光体として使用され得る。これらの使用は単に例示的なものであり、網羅的ではない。
本開発は種々の例証的な実施形態に関して記載した。本明細書を読解する上で、修正及び変更に気が付くであろう。当該発明は、かかる修正及び変更を、添付した特許請求の範囲又はその均等物に属する限り、全て含む意図である。
また、本発明は以下の態様であり得る。
〔1〕光源;及び
光源に放射的に結合し、少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる蛍光体材料であり、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体を含む蛍光体材料、
を含む光放出照明装置。
〔2〕前記複合フッ化物蛍光体が、
(A) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(5)]:Mn^(4+)、
(B) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(3)[MF_(6)]:Mn^(4+)、
(C) MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるZn_(2)[MF_(7)]:Mn^(4+)、
(D) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA[In_(2)F_(7)]:Mn^(4+)、
(E) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)、
(F) EがMg、Ca、Sr、Ba、Zn及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるE[MF_(6)]:Mn^(4+)、
(G) Ba_(0.65)Zr_(0.35)F_(2.70):Mn^(4+);及び
(H) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA_(3)[ZrF_(7)]:Mn^(4+)、
から成る群から選択される、少なくとも1つの蛍光体を含む、前記〔1〕記載の照明装置。
〔3〕 光源が、約370?約500nmの領域のピーク波長を有する放射を放出する半導体発光ダイオード(LED)である、前記〔1〕記載の照明装置。
〔4〕前記発光ダイオードがO≦i、0≦j、0≦k及びi+j+k=1である式In_(i)Ga_(j)Al_(k)Nによって表される窒化化合物半導体を含む、前記〔3〕記載の照明装置。
〔5〕光源が有機放射構造である、前記〔1〕記載の照明装置。
〔6〕蛍光体材料が光源の表面に被覆されている、前記〔1〕記載の照明装置。
〔7〕光源及び蛍光体材料を取り囲むカプセル材料をさらに含む、前記〔1〕記載の照明装置。
〔8〕蛍光体材料がカプセル材料中に分散されている、前記〔7〕記載の照明装置。
〔9〕さらにリフレクターカップを含む、前記〔1〕記載の照明装置。
〔10〕前記蛍光体材料がさらに1以上の付加的な蛍光体を含む、前記〔1〕記載の照明装置。
〔11〕前記1以上の付加的な蛍光体が、430?500nmの領域のピーク放出を有する、前記〔10〕記載の照明装置。
〔12〕 前記1以上の付加的な蛍光体が、500?610nmの領域のピーク放出を有する、前記〔10〕記載の照明装置。
〔13〕前記1以上の付加的な蛍光体が、1以上のCe^(3+)で活性化されたガーネット又はEu^(2+)で活性化されたアルカリ土類珪酸塩である、前記〔12〕記載の照明装置。
〔14〕前記1以上の付加的な蛍光体が、
(Ba,Sr,Ca)_(5)(PO_(4))_(3)(Cl,F,Br,OH):Eu^(2+),Mn^(2+); (Ba,Sr,Ca)BPO_(5):Eu^(2+),Mn^(2+); (Sr,Ca)_(10)(PO_(4))_(6)^(*)_(υ)B_(2)O_(3):Eu^(2+) (式中0<υ≦1); Sr_(2)Si_(3)O_(8)^(*)2SrCl_(2):Eu^(2+); (Ca,Sr,Ba)_(3)MgSi_(2)O_(8):Eu^(2+),Mn^(2+); BaAl_(8)O_(13):Eu^(2+); 2SrO^(*)0.84P_(2)O_(5)^(*)0.16B_(2)O_(3):Eu^(2+); (Ba,Sr,Ca)MgAl_(10)O_(17):Eu^(2+),Mn^(2+); (Ba,Sr,Ca)Al_(2)O_(4):Eu^(2+); (Y,Gd,Lu,Sc,La)BO_(3):Ce^(3+),Tb^(3+); ZnS:Cu^(+),Cl^(-); ZnS:Cu^(+),Al^(3+); ZnS:Ag^(+),Cl^(-); ZnS:Ag^(+),Al^(3+); (Ba,Sr,Ca)_(2)Si_(1-ξ)O_(4-2ξ):Eu^(2+)(式中0≦ξ≦0.2); (Ba,Sr,Ca)_(2)(Mg,Zn)Si_(2)O_(7):Eu^(2+); (Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In)_(2)S_(4):Eu^(2+); (Y,Gd,Tb,La,Sm,Pr,Lu)_(3)(Al,Ga)_(5-α)O_(12-3/2α):Ce^(3+)(式中0≦α≦0.5); (Ca,Sr)_(8)(Mg,Zn)(SiO_(4))_(4)Cl_(2):Eu^(2+),Mn^(2+); Na_(2)Gd_(2)B_(2)O_(7):Ce^(3+),Tb^(3+); (Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)_(2)P_(2)O_(7):Eu^(2+),Mn^(2+); (Gd,Y,Lu,La)_(2)O_(3):Eu^(3+),Bi^(3+); (Gd,Y,Lu,La)_(2)O_(2)S:Eu^(3+),Bi^(3+); (Gd,Y,Lu,La)VO_(4):Eu^(3+),Bi^(3+); (Ca,Sr)S:Eu^(2+),Ce^(3+); SrY_(2)S_(4):Eu^(2+); CaLa_(2)S_(4):Ce^(3+); (Ba,Sr,Ca)MgP_(2)O_(7):Eu^(2+),Mn^(2+); (Y,Lu)_(2)WO_(6):Eu^(3+),Mo^(6+); (Ba,Sr,Ca)_(β)Si_(γ)N_(μ): Eu^(2+)(式中2β+4γ=3μ); Ca_(3)(SiO_(4))Cl_(2):Eu^(2+); (Lu,Sc,Y,Tb)_(2-u-v)Ce_(v)Ca_(1+u)Li_(w)Mg_(2-w)P_(w)(Si,Ge)_(3-w)O_(12-u/2)(式中-0.5≦u≦1,0<v≦0.1,及び0≦w≦0.2); (Y,Lu,Gd)_(2-ψ)Ca_(ψ)Si_(4)N_(6+ψ)C_(1-ψ):Ce^(3+),(式中0≦ψ≦0.5); Eu^(2+)及び/又はCe^(3+)を添加した(Lu,Ca,Li,Mg,Y)alpha-SiAlON; (Ca,Sr,Ba)SiO_(2)N_(2):Eu^(2+),Ce^(3+); 3.5MgO^(*)0.5MgF_(2)^(*)GeO_(2):Mn^(4+); Ca_(1-c-f)Ce_(c)Eu_(f)Al_(1+c)Si_(1-c)N_(3,)(式中0<c≦0.2,0≦f≦0.2); Ca_(1-h-r)Ce_(h)Eu_(r)Al_(1-h)(Mg,Zn)_(h)SiN_(3,)(式中0<h≦0.2,0≦r≦0.2); Ca_(1-2s-t)Ce_(s)(Li,Na)_(s)Eu_(t)AlSiN_(3,)(式中0≦s≦0.2,0≦f≦0.2,s+t>0); 及びCa_(1-σ-χ-φ)Ce_(σ)(Li,Na)_(χ)Eu_(φ)Al_(1+σ-χ)Si_(1-σ+χ)N_(3),(式中0≦σ≦0.2,0<χ≦0.4,0≦φ≦0.2)
を含む群から選択される、前記〔10〕記載の照明装置。
〔15〕前記照明装置が白色光を生産する、前記〔10〕記載の照明装置。
〔16〕前記白色光が4500Kより小さいCCTを有する、前記〔15〕記載の照明装置。
〔17〕前記白色光が80より大きい一般CRI(R_(a))を有する、前記〔15〕記載の照明装置。
〔18〕前記白色光が90より大きい一般CRIを有する、前記〔15〕記載の照明装置。
〔19〕前記白色光が330Im/W_(opt.)より大きいLERを有する、前記〔15〕記載の照明装置。
〔20〕前記白色光がプランク軌跡上に又は実質的に上に色点を有する、前記〔15〕記載の照明装置。
〔21〕前記白色光の色点が、CIE1931色度図上で垂直方向にプランク軌跡から0.01以内にある、前記〔20〕記載の照明装置。
〔22〕(A) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(5)]:Mn^(4+);
(B) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(3)[MF_(6)]:Mn^(4+);
(C) MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるZn_(2)[MF_(7)]:Mn^(4+);
(D) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA[In_(2)F_(7)]:Mn^(4+);
(E) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがSn、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+);
(F) EがMg、Ca、Sr、Ba、Zn及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるE[MF_(6)]:Mn^(4+);
(G) Ba_(0.65)Zr_(0.35)F_(2.70):Mn^(4+);
(H) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA_(3)[ZrF_(7)]:Mn^(4+);
(I) AがLi、Na、K、Rb、Cs及びNH_(4)の中の少なくとも2つから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+);及び
(J) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti及びZrの中の少なくとも2つから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)
から成る群から選択される、少なくとも1つの蛍光体を含む蛍光体材料。
〔23〕Mn^(4+)で活性化された少なくとも1つの複合フッ化物蛍光体、及び少なくとも1つの付加的蛍光体を含む蛍光体ブレンド。
〔24〕Mn^(4+)で活性化された前記複合フッ化物蛍光体が、
(A) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(5)]:Mn^(4+);
(B) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるA_(3)[MF_(6)]:Mn^(4+);
(C) MがAl、Ga、In及びその組み合わせから選択されるZn_(2)[MF_(7)]:Mn^(4+);
(D) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA[In_(2)F_(7)]:Mn^(4+);
(E) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+);
(F) EがMg、Ca、Sr、Ba、Zn及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるE[MF_(6)]:Mn^(4+);
(G) Ba_(0.65)Zr_(0.35)F_(2.70):Mn^(4+);及び
(H) AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択されるA_(3)[ZrF_(7)]:Mn^(4+)
から成る群から選択される少なくとも1つの蛍光体を含む、前記〔23〕記載の蛍光体ブレンド。
〔25〕 Mn^(4+)で活性化された、610?650nmのピーク放出波長を有する赤色線放出複合フッ化物蛍光体材料;510?550nmのピーク放出波長を有する緑色放出蛍光体;及びa)440?480nmのピーク放出波長を有する青色LEDチップ又はb)440?480nmのピーク放出波長を有する青色放出蛍光体のいずれか、及び約370nm?約440nmのピーク放出波長を有する近紫外放出LEDチップへの紫色を含む、バックライト装置。
〔26〕Mn^(4+)で活性化された前記蛍光体材料が配位数6の複合フッ化物を含む、前記〔25〕記載のバックライト装置。
〔27〕Mn^(4+)で活性化された前記蛍光体材料が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され;MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、前記〔26〕記載のバックライト装置。
〔28〕前記機器が、5000Kより大きいCCT及び280Im/W_(opt)より大きいLERを有する、前記〔25〕記載のバックライト装置。
〔29〕前記緑色放出蛍光体が、Eu^(2+)で活性化されたアルカリ土類チオガレート、チオアルミネート又はその固溶体を含む、前記〔25〕記載のバックライト装置。
〔30〕前記緑色放出蛍光体が、Eu^(2+)で活性化されたストロンチウムチオガレートを含む、前記〔29〕記載のバックライト装置。
〔31〕前記機器が、CIE1931x,y図のNTSCの域の70%より大きい域を有する、前記〔25〕記載のバックライト装置。
〔32〕前記機器が、CIE1931x,y図のNTSCの域の90%より大きい域を有する、前記〔25〕記載のバックライト装置。
【図面の簡単な説明】
【0030】
(図面の簡単な説明)
【図1】本発明の実施例の一つに従った照明システムの概略断面図である。
【図2】本発明の第二実施例に従った照明システムの概略断面図である。
【図3】本発明の第三実施例に従った照明システムの概略断面図である。
【図4】本発明の第四実施例に従った照明システムの切開側面斜視図である。
【図5】Na_(2)[TiF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の放出スペクトルのグラフである。
【図6】K_(2)[SnF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の放出スペクトルのグラフである。
【図7】Ba[TiF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の放出スペクトルのグラフである。
【図8】K_(3)[ZrF_(7)]:Mn^(4+)蛍光体の放出スペクトルのグラフである。
【図9】本実施例の蛍光体ブレンドを使用したLED機器の電力分配スペクトルである。
【図10】本実施例の蛍光体ブレンドを使用した第二LED機器の電力分配スペクトルである。
【図11】本発明の実施例に従ったK_(3)[AlF_(6)]:Mn^(4+)蛍光体の励起及び放出スペクトルのグラフである。
【図12】青色チップ及び蛍光体K_(2)[TiF_(6)]:Mn^(4+)及びSTGブレンドを使用したLEDの実験スペクトル電力分配である。
【図13】CIE1931x,y色度図中のNTSC基準、及び青色チップ及び蛍光体K_(2)[TiF_(6)]:Mn^(4+)及びSTGブレンドを使用したLEDの域のグラフ表示である。
【図14】表面実装機器(SMD)バックライトLEDの概略斜視図である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;及び
緑色放出蛍光体と、少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体とを含む蛍光体材料、を含み、
前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含み、及び
前記蛍光体材料が光源の表面に被覆されている、
光放出照明装置。
【請求項2】
前記蛍光体材料が、K_(2)SiF_(6):Mn^(4+)を含む、請求項1記載の照明装置。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;及び
緑色放出蛍光体と、少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体とを含む蛍光体材料、を含み、
前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含み、及び
蛍光体材料が光源の表面に被覆されている、光放出バックライト装置。
【請求項5】
青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;
少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる第1の蛍光体材料であり、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体を含む第1の蛍光体材料;
第2の緑色放出蛍光体材料;及び
前記光源及び前記第1及び第2の蛍光体材料を取り囲むポリマーカプセル材料であって、前記第1及び第2の蛍光体材料が前記ポリマーカプセル材料中に分散されている、ポリマーカプセル材料、を含み、
前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、白色光放出照明装置。
【請求項6】
青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;
少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる第1の蛍光体材料であり、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体を含む第1の蛍光体材料;
第2の緑色放出蛍光体材料;及び
前記光源及び前記第1及び第2の蛍光体材料を取り囲むポリマーカプセル材料であって、前記第1及び第2の蛍光体材料が前記ポリマーカプセル材料中に分散されている、ポリマーカプセル材料、を含み、
前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、光放出バックライト装置。
【請求項7】
青色半導体発光ダイオード(LED)を含む光源;
緑色放出蛍光体と、少なくとも光源から放出される放射の部分を610?650nmのピーク放出波長を有する光へ転換することができる、Mn^(4+)で活性化された複合フッ化物蛍光体とを含む蛍光体材料;及び
リフレクターカップ、
を含み、
前記複合フッ化物蛍光体が、AがLi、Na、K、Rb、Cs、NH_(4)及びその組み合わせから選択され、MがGe、Si、Sn、Ti、Zr及びその組み合わせから選択されるA_(2)[MF_(6)]:Mn^(4+)を含む、光放出照明装置。
【請求項8】
前記蛍光体材料がさらに1以上の付加的な蛍光体を含む、請求項1記載の照明装置。
【請求項9】
前記1以上の付加的な蛍光体が、430?500nmの領域のピーク放出を有する、請求項8記載の照明装置。
【請求項10】
前記1以上の付加的な蛍光体が、500?610nmの領域のピーク放出を有する、請求項8記載の照明装置。
【請求項11】
前記1以上の付加的な蛍光体が、1以上のCe^(3+)で活性化されたガーネット又はEu^(2+)で活性化されたアルカリ土類珪酸塩である、請求項10記載の照明装置。
【請求項12】
前記1以上の付加的な蛍光体が、
(Ba,Sr,Ca)_(5)(PO_(4))_(3)(Cl,F,Br,OH):Eu^(2+),Mn^(2+); (Ba,Sr,Ca)BPO_(5):Eu^(2+),Mn^(2+); (Sr,Ca)_(10)(PO_(4))_(6)^(*)_(υ)B_(2)O_(3):Eu^(2+) (式中0<υ≦1); Sr_(2)Si_(3)O_(8)^(*)2SrCl_(2):Eu^(2+); (Ca,Sr,Ba)_(3)MgSi_(2)O_(8):Eu^(2+),Mn^(2+); BaAl_(8)O_(13):Eu^(2+); 2SrO^(*)0.84P_(2)O_(5)^(*)0.16B_(2)O_(3):Eu^(2+); (Ba,Sr,Ca)MgAl_(10)O_(17):Eu^(2+),Mn^(2+); (Ba,Sr,Ca)Al_(2)O_(4):Eu^(2+); (Y,Gd,Lu,Sc,La)BO_(3):Ce^(3+),Tb^(3+); ZnS:Cu^(+),Cl^(-); ZnS:Cu^(+),Al^(3+); ZnS:Ag^(+),Cl^(-); ZnS:Ag^(+),Al^(3+); (Ba,Sr,Ca)_(2)Si_(1-ξ)O_(4-2ξ):Eu^(2+)(式中0≦ξ≦0.2); (Ba,Sr,Ca)_(2)(Mg,Zn)Si_(2)O_(7):Eu^(2+); (Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In)_(2)S_(4):Eu^(2+); (Y,Gd,Tb,La,Sm,Pr,Lu)_(3)(Al,Ga)_(5-α)O_(12-3/2α):Ce^(3+)(式中0≦α≦0.5); (Ca,Sr)_(8)(Mg,Zn)(SiO_(4))_(4)Cl_(2):Eu^(2+),Mn^(2+); Na_(2)Gd_(2)B_(2)O_(7):Ce^(3+),Tb^(3+); (Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)_(2)P_(2)O_(7):Eu^(2+),Mn^(2+); (Gd,Y,Lu,La)_(2)O_(3):Eu^(3+),Bi^(3+); (Gd,Y,Lu,La)_(2)O_(2)S:Eu^(3+),Bi^(3+); (Gd,Y,Lu,La)VO_(4):Eu^(3+),Bi^(3+); (Ca,Sr)S:Eu^(2+),Ce^(3+); SrY_(2)S_(4):Eu^(2+); CaLa_(2)S_(4):Ce^(3+); (Ba,Sr,Ca)MgP_(2)O_(7):Eu^(2+),Mn^(2+); (Y,Lu)_(2)WO_(6):Eu^(3+),Mo^(6+); (Ba,Sr,Ca)_(β)Si_(γ)N_(μ): Eu^(2+)(式中2β+4γ=3μ); Ca_(3)(SiO_(4))Cl_(2):Eu^(2+); (Lu,Sc,Y,Tb)_(2-u-v)Ce_(v)Ca_(1+u)Li_(w)Mg_(2-w)P_(w)(Si,Ge)_(3-w)O_(12-u/2)(式中-0.5≦u≦1,0<v≦0.1,及び0≦w≦0.2); (Y,Lu,Gd)_(2-ψ)Ca_(ψ)Si_(4)N_(6+ψ)C_(1-ψ):Ce^(3+),(式中0≦ψ≦0.5); Eu^(2+)及び/又はCe^(3+)を添加した(Lu,Ca,Li,Mg,Y)alpha-SiAlON; (Ca,Sr,Ba)SiO_(2)N_(2):Eu^(2+),Ce^(3+); 3.5MgO^(*)0.5MgF_(2)^(*)GeO_(2):Mn^(4+); Ca_(1-c-f)Ce_(c)Eu_(f)Al_(1+c)Si_(1-c)N_(3,)(式中0<c≦0.2,0≦f≦0.2); Ca_(1-h-r)Ce_(h)Eu_(r)Al_(1-h)(Mg,Zn)_(h)SiN_(3,)(式中0<h≦0.2,0≦r≦0.2); Ca_(1-2s-t)Ce_(s)(Li,Na)_(s)Eu_(t)AlSiN_(3,)(式中0≦s≦0.2,0≦f≦0.2,s+t>0); 及びCa_(1-σ-χ-φ)Ce_(σ)(Li,Na)_(χ)Eu_(φ)Al_(1+σ-χ)Si_(1-σ+χ)N_(3),(式中0≦σ≦0.2,0<χ≦0.4,0≦φ≦0.2)
を含む群から選択される、請求項8記載の照明装置。
【請求項13】
前記照明装置が白色光を生産する、請求項8記載の照明装置。
【請求項14】
前記白色光が4500Kより小さいCCTを有する、請求項13記載の照明装置。
【請求項15】
前記白色光が80より大きい一般CRI(R_(a))を有する、請求項13記載の照明装置。
【請求項16】
前記白色光が90より大きい一般CRIを有する、請求項13記載の照明装置。
【請求項17】
前記白色光が330lm/Wより大きいLERを有する、請求項13記載の照明装置。
【請求項18】
前記白色光がプランク軌跡上に色点を有する、請求項13記載の照明装置。
【請求項19】
前記白色光の色点が、CIE1931色度図上で垂直方向にプランク軌跡から0.01以内にある、請求項18記載の照明装置。
【請求項20】
前記1以上の付加的な蛍光体が、1以上のCe^(3+)で活性化されたガーネットである、請求項8記載の照明装置。
【請求項21】
前記1以上の付加的な蛍光体が、(Y,Gd,Tb,La,Sm,Pr,Lu)_(3)(Al,Ga)_(5-α)O_(12-3/2α):Ce^(3+)(式中0≦α≦0.5)である、請求項8記載の照明装置。
【請求項22】(削除)
【請求項23】(削除)
【請求項24】(削除)
【請求項25】(削除)
【請求項26】(削除)
【請求項27】(削除)
【請求項28】(削除)
【請求項29】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-07-18 
出願番号 特願2008-557338(P2008-557338)
審決分類 P 1 651・ 16- YAA (C09K)
P 1 651・ 121- YAA (C09K)
P 1 651・ 113- YAA (C09K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中根 知大▲吉▼澤 英一  
特許庁審判長 豊永 茂弘
特許庁審判官 日比野 隆治
國島 明弘
登録日 2015-03-20 
登録番号 特許第5715327号(P5715327)
権利者 ジーイー ライティング ソリューションズ エルエルシー
発明の名称 発光ダイオード応用における使用のための赤色線放出蛍光体  
代理人 服部 博信  
代理人 山崎 一夫  
代理人 箱田 篤  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 辻居 幸一  
代理人 弟子丸 健  
代理人 西島 孝喜  
代理人 箱田 篤  
代理人 西島 孝喜  
代理人 浅井 賢治  
代理人 辻居 幸一  
代理人 浅井 賢治  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 弟子丸 健  
代理人 服部 博信  
代理人 市川 さつき  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 山崎 一夫  
代理人 市川 さつき  

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