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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B07B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B07B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B07B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B07B
管理番号 1333237
異議申立番号 異議2016-700910  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-23 
確定日 2017-09-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5888836号発明「吸水性ポリマー粒子の分級法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5888836号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1?19]について訂正することを認める。 特許第5888836号の請求項1ないし7、13ないし19に係る特許を維持する。 特許第5888836号の請求項8?12に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5888836号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?19に係る特許についての出願は、平成19年9月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成18年9月25日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成28年2月26日にその特許権の設定登録がされた。
その後、請求項1?19に係る特許について、特許異議申立人株式会社日本触媒(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、平成28年12月22日付けで取消理由が通知され、平成29年4月4日付けで意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がなされ、平成29年4月14日付けで申立人に対し本件訂正請求があった旨の通知がなされ、平成29年5月19日に申立人から意見書(以下、「申立人意見書」という。)が提出された。

2.本件訂正請求についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめ」とあるのを、
「生成物流方向で続けて生ずる、最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめ」に訂正する。
イ.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
エ.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10を削除する。
オ.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項11を削除する。
カ.訂正事項6
特許請求の範囲の請求項12を削除する。
キ.訂正事項7
特許請求の範囲の請求項13に、
「請求項1から12までのいずれか1項」とあるのを、
「請求項1から7までのいずれか1項」に訂正する。
ク.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項16に、
「請求項1から15までのいずれか1項」とあるのを、
「請求項1から7、13から15までのいずれか1項」に訂正する。
ケ.訂正事項9
特許請求の範囲の請求項17に、
「請求項1から16までのいずれか1項」とあるのを、
「請求項1から7、13から16までのいずれか1項」に訂正する。
コ.訂正事項10
特許請求の範囲の請求項18に、
「請求項1から17までのいずれか1項」とあるのを、
「請求項1から7、13から17までのいずれか1項」に訂正する。
サ.訂正事項11
特許請求の範囲の請求項19に、
「請求項1から18までのいずれか1項」とあるのを、
「請求項1から7、13から18までのいずれか1項」に訂正する。

(2)訂正の適否
ア.訂正前の請求項1及びそれぞれが請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2?19は一群の請求項であり、訂正事項1?11による訂正は当該一群の請求項1?19に対し請求されたものである。

イ.訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「1つの粒度分級物にまとめ」られる、「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物」について、本件特許明細書の段落【0102】の「変法B: メッシュ幅850μmと、xμmと、150μmを有する篩い(3つの篩い)を使用し、その際、中間の篩いは、500μm、600μmもしくは710μmのメッシュ幅を有する。xμmを有する篩いと150μmを有する篩いでの分級物をまとめ、均質化して、生成物分級物として分析した。」との記載に基づいて、前記「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物」が、「最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた」ものであることを限定するものである。
ゆえに、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

申立人は、この訂正事項1による訂正は、新規事項の追加に該当し、実質上特許請求の範囲を変更するものであるから、不適法なものである旨を主張している(申立人意見書の3頁6行?5頁下から3行)が、以下に示す理由により、これらの主張を採用することができない。
(a)新規事項の追加に該当するかについて
申立人は、上記段落【0102】の「150μmを有する篩いでの分級物」は、150μmを有する篩い上の分級物と150μmを有する篩い、すなわち、最下の篩いを通過した分級物の両方を意味するから、上記段落【0102】に記載されている変法Bにおいて、「最下の篩いを通過した篩別分級物」が除かれているとは理解できず、本件特許明細書には「最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめ」るという技術的概念は開示されていない旨を主張している。
そこで、本件特許明細書の記載を参照すると、「吸水性ポリマーは・・・例えば200?850μmの粒度が使用され、その粒子状のポリマー材料は、既に製造方法においてこれらの粒度に分級される。この場合に、連続的に運転する2つの篩いを有する篩別機が使用され、その際、20?850μmのメッシュ幅を有する篩いが使用される。200μmまでの粒度を有する粒子は、その際、両方の篩いを通過して降下し、そして篩別機の底部に小粒として回収される。850μmより大きい粒度を有する粒子は最上の篩い上に粗粒として残り、排除される。200μmより大きくて850μmまでの粒度を有する生成物分級物は、中粒として篩別機の両方の篩いの間で取り出される。」(段落【0006】を参照。下線は当審にて付与。)、「排除された小粒と粗粒は、通常は製造へと返送される。」(段落【0007】を参照。)と記載され、これらの記載は、段落【0017】?【0104】に記載されている本件特許に係る発明の前提となる従来技術ないし技術常識を説明したものと解される。
そして、上記段落【0017】?【0104】には、「1つの粒度分級物にまとめ」る際に、従来は排除されていた小粒(最上の篩いと最下の篩の両方の篩いを通過したもの)や粗粒(最上の篩い上に残ったもの)をも、「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物」としてまとめの対象とする旨が一切記載されていないことを踏まえると、上記段落【0102】の「150μmを有する篩いでの分級物」は、150μmを有する篩い上の分級物を意味すると解するのが自然である。
すなわち、本件特許明細書には、「最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた」従来技術(段落【0006】及び【0007】)を前提とし、「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめ」(訂正前の請求項1)ることが記載されていると解するのが自然であるから、訂正事項1の「最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた」を追加する訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
(b)実質上特許請求の範囲を変更するものであるかについて
申立人は、本件特許明細書の段落【0006】の「吸水性ポリマーは、粉末状の粒状生成物として得られ、好ましくは衛生分野で使用される。ここで、例えば200?850μmの粒度が使用され・・・篩別物に依存して、その際に全ての粒度分級物は、なおも誤った粒度を有する粒子の割合を、いわゆる誤排出物(Fehlaustrag)として含有する。そこで、例えば粗粒分級物は、なおも850μm又はそれより小さい粒度を有する粒子の割合をも含むことがある。」との記載及び訂正後の請求項3の「請求項1又は2に記載の方法において、生成物流方向に最初に生ずる少なくとも2つの篩別分級物を、1つの粒度分級物にまとめる」との記載を踏まえると、訂正前は最上の篩い上の篩別分級物を粒度分級物としてまとめる対象としていたところ、最上の篩い上の篩別分級物を粒度分級物としてまとめる対象から外す訂正は、発明の要旨を変更するものである旨を主張している。
しかしながら、上記(a)で述べたとおり、訂正前の請求項1に係る発明において「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめ」ることは、「最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた」従来技術を前提としていたと解するのが自然であり、「最上の篩い上の篩別分級物をまとめる対象としていたと解すべき理由はない。
そして、訂正前の請求項1に係る発明も「最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた」ものを、「1つの粒度分級物にまとめ」る際の対象としていたと解するのが自然であるから、訂正事項1の「最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた」を追加する訂正は、実質上特許請求の範囲を変更するものとはいえない。
なお、上記段落【0006】の記載は、最上の篩い上の篩別分級物には、当該篩いを通過し得る粒度の小さな粒子が含まれ得ることを説明しているに過ぎないし、訂正後の請求項3は、請求項1を直接又は請求項2を介して間接的に引用していることを踏まえると、同請求項3の「生成物流方向に最初に生ずる少なくとも2つの篩別分級物」は、「最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた」ものと解すべきであるから、これらは、「訂正は、発明の要旨を変更する」とする根拠にはならない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。

ウ.訂正事項2?6について
訂正事項2?6は、各々請求項8?12を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ.訂正事項7?11について
訂正事項7?11は、訂正事項2?6により、引用する請求項が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?19〕について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
上記のとおり訂正が認められるから本件特許の請求項1?7、13?19に係る発明(以下「本件発明1?7、13?19」といい、これらの発明をまとめて「本件発明1等」という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?7、13?19に記載された次の事項により特定される、次のとおりのものである。

【請求項1】
膨潤ゲルベッドにおける液体透過性を有する吸水性ポリマー粒子の分級法であってポリマー粒子がn、n-1、n-2又はn-3個の粒度分級物に分離され、かつ当該粒度分級物の個数が1より大きい整数である方法において、少なくともn個の篩いを使用し、かつn個の篩いのメッシュ幅が生成物流方向で減少し、nが2より大きく、かつ生成物流方向で続けて生ずる、最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめ、その際、前記の篩別分級物が生ずる篩いのメッシュ幅が、それぞれ少なくとも250μmだけ異なる(但し、混合比率が予め決められている前記少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめる場合を除く)ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、少なくとも(n+1)個の篩いを使用することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、生成物流方向に最初に生ずる少なくとも2つの篩別分級物を、1つの粒度分級物にまとめることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法において、生成物流方向で最初に生ずる少なくとも2つの篩別分級物を、1つの粒度分級物にまとめ、その際、前記の篩別分級物が生ずる篩いのメッシュ幅が、それぞれ少なくとも500μmだけ異なることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、n個の篩いを有する少なくとも1つの篩別機を使用することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、分級の間に、少なくとも40℃の温度を有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、減圧下で分級させることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、分級の間に、ガス流によって流通されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、該ガス流が40?120℃の温度を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法において、該ガス流が、5g/kg未満の水蒸気含有率を有することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1から7、13から15までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、水性モノマー溶液の重合によって得られることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1から7、13から16までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、少なくとも50モル%までが、少なくとも部分的に中和された重合されたアクリル酸を含有することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1から7、13から17までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、少なくとも15g/gの遠心保持能力を有することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1から7、13から18までのいずれか1項に記載の方法において、前記まとめられた粒度分級物中の粒子の膨潤ゲルベッドにおける液体通過性が、少なくとも22×10^(-7)cm^(3)s/gであることを特徴とする方法。

(2)取消理由の概要
本件特許の訂正前の請求項1?19に係る発明についての特許に対する、平成28年12月22日付け取消理由通知の概要は、以下のとおりである。

[理由]
本件特許は、明細書及び特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号及び第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


ア.本件特許の請求項1に係る発明は、出願時の技術常識に照らしても、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できる範囲を超えているから、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であるとはいえない。
そして、請求項1に係る発明を直接的に、または、間接的に引用する請求項2?19に係る発明も、同様の理由により、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であるとはいえない。

イ.本件特許の請求項8?12に係る発明は、出願時の技術常識に照らしても、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できる範囲を超えているから、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であるとはいえない。
また、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許の請求項8?12に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
そして、請求項8?12に係る発明を直接的に、または、間接的に引用する請求項13?19に係る発明も、同様の理由により、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であるとはいえず、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が請求項13?19に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものともいえない。

(3)判断
ア.理由のア.について
本件発明1は、上記2.で示したとおり本件訂正請求が認められたことにより、「最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめ」ること、すなわち、本件特許明細書に記載された「最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた」従来技術(段落【0006】及び【0007】)を前提とすることを発明特定事項とするものとなった。
ゆえに、本件発明1は、「吸水性ポリマー粒子の製造のための改善された分級方法を提供する」(段落【0017】)という課題を解決し、「改善された圧力下吸収(AUL)及び膨潤ゲルベッドにおける液体通過性(Fluessigkeitsweiterleitung)(SFC)を有する吸水性ポリマー粒子が得られる」(段落【0020】)という作用効果が得られるものであり、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された発明となったから、理由のア.は、理由のないものとなった。

イ.理由のイ.について
上記2.で示したとおり本件訂正請求が認められたことにより、請求項8?12は削除されたため、理由のイ.については、対象となる請求項が存在しないこととなった。
そして、上記2.で示したとおり本件訂正請求が認められたことにより、本件発明13?19は、請求項8?12を直接的にも間接的にも引用しないものとなったため、理由のイ.は、理由のないものとなった。

ウ.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、以下の理由により、本件特許を取り消すべきである旨を主張している。
(ア)訂正前の請求項1?19に係る発明は、甲第1号証?甲第8号証、甲第18号証、甲第19号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨(申立の根拠1、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)16頁15?19行、17頁21行?51頁下から3行)
(イ)訂正前の請求項1に係る発明は、甲第9号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、甲第9号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同条第2項の規定により特許を受けることができない旨(申立の根拠2、申立書16頁20?末行、51頁下から2行?55頁末行)
(ウ)訂正前の請求項1?19に係る発明は、甲第6号証、甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第9号証?甲第11号証、甲第18号証、甲第19号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨(申立の根拠3、申立書17頁1?6行、56頁1行?72頁13行)
(エ)訂正前の請求項1?19に係る発明は、甲第13号証、甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証?甲第7号証、甲第9号証、甲第10号証、甲第14号証?甲第19号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨(申立の根拠4、申立書17頁7?11行、72頁14行?88頁5行)
しかしながら、上記(ア)?(エ)の理由は、以下に示すようにいずれも理由がなく、本件発明1等の発明特定事項である「生成物流方向で続けて生ずる、最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめ」ることは、甲第1号証?甲第23号証のいずれにも記載されておらず、示唆もされていない。
したがって、本件発明1は、甲第9号証に記載された発明とはいえず、また、本件発明1及び本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2?7、13?19は、甲第1号証?甲第23号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

<理由(ア)>について
申立人は、甲第3号証?甲第6号証に記載された事項から、「少なくとも2つの篩別分級物」を得るために「生成物流方向」と上流側の篩と下流側の篩との間に設けられる篩(以下、「中間篩」という。)の存在により、この篩の下流側に設けられる篩の負担を軽くすることで、目的とする粒径範囲の分級物に許容される最小粒径よりもさらに小径の粒子(微細粒子)が良好に分離除去され、微細粒子の混ざりが少なく分級精度が高い分級物が得られることが公知技術であるから、「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめること」は、当業者が容易になし得た程度のことである旨を主張している(申立書40頁6行?43頁8行)。
しかし、上記公知技術は、中間篩の上流側で当該中間篩上に残った粒子と中間篩の下流側で当該中間篩を通過した粒子とをまとめて、1つの分級物とすること、すなわち、「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめること」を直接的に教示するものではないし、申立人は、上記公知技術から、「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめること」がなぜ容易といえるのかについて何ら説明していないから、上記主張は採用することができない。

<理由(イ)>について
申立人は、甲第9号証の17?21頁には、混合機から取り出された生成物が、生成物流方向で減少するメッシュ幅(10mm、3mm、1mm)を有する3つの篩を1セットとする篩により篩われ、各篩上に残された成分、つまり、0.8mmを上回る画分の全量を1つにまとめた凝集物全体に対して安定性評価試験が行われることが記載されているから、「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめること」が開示されている旨を主張している(申立書53頁1行?54頁12行)。
しかし、甲第9号証の18頁10?13行には「生成物を混合機から取出して篩目が10、3および1ミリメートル(mm)の1組の篩について篩い分けして無凝集生成物から粗い凝集物を分離した。1mmの篩を通った画分を標準粒度分布分析法によって分析した。得られたデータから粒度が0.8mmを上回る画分を計算した。」(下線は当審にて付与。)との記載があるものの、10mmの篩上に残った生成物と、3mmの篩の上流側で当該3mmの篩上に残った生成物と、3mmの篩の下流側で当該3mmの篩を通過した生成物と、1mmの篩上に残った生成物とを1つにまとめて凝集物とするとは、記載されていないし、仮にこれが記載されているとしても、「各篩上に残された成分、つまり、0.8mmを上回る画分の全量を1つにまとめた凝集物」とすることは、安定性評価試験のために行ったことであって、粒度分級のために行ったことではなく、「2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめ」1つの粒度分級物を得ることとは、技術的な意味が異なることが明らかである。
したがって、甲第9号証には「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめること」が開示されているとはいえないから、上記主張は採用することができない。

<理由(ウ)>について
申立人は、甲第6号証には、目開きの大きい上部篩と目開きの小さい下部篩との間に、さらに追加の篩が設置され、前記上部篩と前記下部篩との間の粒子を製品とすることが記載されているから、「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめること」が開示されている旨を主張している(申立書61頁下から3行?62頁末行、63頁下から4行?64頁14行)。
しかし、甲第6号証の579頁の「Classification(5.6)」の3段落4?8行には、「For any particular piece of equipment, a number of screens may be placed in series. The top screen would typically be the coarse screen and the bottom screen the fin cut with the product cut taken between the two screens. Screening efficiency may be enhanced by placing additional screens between the tip and the bottom screen, thereby reducing the flooding of any screen.(申立人による訳文:分級に関し、いずれの装置であっても、連続した複数の篩を備えることができる。一般に最上部の篩は粗い篩であり、最下部の篩は細かい篩であり、両篩の間から製品が取り出される。最上部と最下部の篩の間に追加の篩を設けることで分級性能を向上することができ、これにより特定の篩で粒子があふれてしまうのを防ぐことができる。)」との記載があるものの、甲第6号証には、連続した複数の篩での分級物をまとめて1つの分級物とすることや、追加の篩を通過したものと通過しなかった(追加の篩上に残った)ものとをまとめて1つの分級物とするとは記載されていない。
そして、上記「Classification(5.6)」の3段落4?8行の記載の第2文(The top screen would typically be ・・・the two screens.)及び第3文(Screening efficiency ・・・any screen.)は、第1文(For any particular piece of equipment, a number of screens may be placed in series.)に示される連続した複数の篩を備えることについて、その作用効果や技術的な意味を詳細に説明したものとも解されることを踏まえると、甲第6号証には、「両篩の間から製品が取り出され」、「最上部と最下部の篩の間に追加の篩を設けること」が記載されていることを根拠に、「追加の篩を通過したものと通過しなかった(追加の篩上に残った)ものとをまとめて1つの分級物とする」ことが記載されているとは、直ちにはいえない。
したがって、甲第6号証には「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめること」が開示されているとはいえないから、上記主張は採用することができない。

<理由(エ)>について
申立人は、甲第14号証には、細粒を除去する操作として、粉抜き(ファインカット)について、予め、目的の網目より大きな網目で予備ふるいを行うとよいと記載されており、予備ふるいのため追加される目的の網目よりも大きな篩は、分級効率を高めるためのものであり、追加される篩上に生成する成分も、篩を通過する成分も目的とする生成物であるから、これらの成分は1つにまとめられることが前提である旨を主張している(申立書78頁22行?79頁9行、同頁19行?末行)。
しかし、甲第14号証の76頁の「(2)ふるい径からの分類」の丸三(丸数字の3)には「粉抜き(ファインカット):少量(10%程度以下)・・・やっかい粒子の比率は小さいが,網上粒子層厚みが大きくなるため,高いふるい分け効率は得られにくい。このような場合は,あらかじめ,目的の網目より大きな網目で予備ふるいを行いとよい。」との記載があるものの、予備ふるいの詳細については記載されておらず、予備ふるいのために追加される篩上に生成する成分と篩を通過する成分とを1つにまとめる旨も記載されていない。
したがって、上記記載から、「追加される篩上に生成する成分も、篩を通過する成分も目的とする生成物である」とは、直ちにはいえないし、これらの成分は1つにまとめられることが前提であるともいえないから、上記主張は採用することができない。
また、申立人は、複数の篩を使用して得られた篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめることは、甲第10号証(請求項10等)や甲第16号証でも実施されているから、「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめること」は、当業者が容易になし得た程度のことである旨を主張している(申立書80頁1?11行)。
しかし、本件発明1は、「但し、混合比率が予め決められている前記少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめる場合を除く」ことをも発明特定事項としているところ、甲第10号証の段落【0017】?【0018】及び甲第16号証の【特許請求の範囲】、段落【0007】、【0011】?【0016】の記載を踏まえると、甲第10号証に記載されたもの及び甲第16号証に記載されたものは、いずれも「混合比率が予め決められている」「少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめる場合」に、「複数の篩を使用して得られた篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめる」ものであることが明らかである。
したがって、甲第10号証及び甲第16号証の記載に基いて、「生成物流方向で続けて生ずる少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめること」は、当業者が容易になし得た程度のことであるとはいえないから、上記主張は採用することができない。

(4)小括
以上のとおり、本件発明1?7、13?19に係る特許は、特許法第29条第1項第3号、第2項、第36条第4項第1号及び第6項第1号の規定に違反してされたものではないから、同法第113条第2号及び第4号の規定に該当することを理由に取り消されるべきものとすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由によっては、本件発明1?7、13?19に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?7、13?19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件特許の請求項8?12は、本件訂正が認められることにより、削除され、本件特許の請求項8?12について、申立人がした特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなった。
よって、本件特許の請求項8?12についての特許異議の申立ては、不適法であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。
したがって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨潤ゲルベッドにおける液体透過性を有する吸水性ポリマー粒子の分級法であってポリマー粒子がn、n-1、n-2又はn-3個の粒度分級物に分離され、かつ当該粒度分級物の個数が1より大きい整数である方法において、少なくともn個の篩いを使用し、かつn個の篩いのメッシュ幅が生成物流方向で減少し、nが2より大きく、かつ生成物流方向で続けて生ずる、最上の篩い上の篩別分級物と最下の篩いを通過した篩別分級物を除いた少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめ、その際、前記の篩別分級物が生ずる篩いのメッシュ幅が、それぞれ少なくとも250μmだけ異なる(但し、混合比率が予め決められている前記少なくとも2つの篩別分級物を1つの粒度分級物にまとめる場合を除く)ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、少なくとも(n+1)個の篩いを使用することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、生成物流方向に最初に生ずる少なくとも2つの篩別分級物を、1つの粒度分級物にまとめることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法において、生成物流方向で最初に生ずる少なくとも2つの篩別分級物を、1つの粒度分級物にまとめ、その際、前記の篩別分級物が生ずる篩いのメッシュ幅が、それぞれ少なくとも500μmだけ異なることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、n個の篩いを有する少なくとも1つの篩別機を使用することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、分級の間に、少なくとも40℃の温度を有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、減圧下で分級させることを特徴とする方法。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、分級の間に、ガス流によって流通されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、該ガス流が40?120℃の温度を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法において、該ガス流が、5g/kg未満の水蒸気含有率を有することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1から7、13から15までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、水性モノマー溶液の重合によって得られることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1から7、13から16までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、少なくとも50モル%までが、少なくとも部分的に中和された重合されたアクリル酸を含有することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1から7、13から17までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、少なくとも15g/gの遠心保持能力を有することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1から7、13から18までのいずれか1項に記載の方法において、前記まとめられた粒度分級物中の粒子の膨潤ゲルベッドにおける液体通過性が、少なくとも22×10^(-7)cm^(3)s/gであることを特徴とする方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-09-04 
出願番号 特願2009-529676(P2009-529676)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (B07B)
P 1 651・ 121- YAA (B07B)
P 1 651・ 537- YAA (B07B)
P 1 651・ 536- YAA (B07B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 近野 光知  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 井上 茂夫
渡邊 豊英
登録日 2016-02-26 
登録番号 特許第5888836号(P5888836)
権利者 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
発明の名称 吸水性ポリマー粒子の分級法  
代理人 菅河 忠志  
代理人 植木 久彦  
代理人 植木 久一  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 住吉 秀一  
代理人 久野 琢也  
代理人 住吉 秀一  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
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