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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1334188
審判番号 不服2016-6311  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-27 
確定日 2017-11-08 
事件の表示 特願2013-555569「動き予測ビデオブロックの階層」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月30日国際公開、WO2012/116212、平成26年 5月15日国内公表、特表2014-511618〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年) 2月23日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2011年 2月24日(米国)、2011年 2月26日(米国)、2011年 3月10日(米国)、2011年 8月30日(米国)、2011年 9月 6日(米国)、2011年 9月 6日(米国)、2012年 2月22日(米国))を国際出願日とする出願としたものであって、その手続の概要は以下のとおりである。

手続補正 :平成25年10月28日
手続補正 :平成26年 4月25日
拒絶理由(最初) :平成26年 7月16日(起案日)
手続補正 :平成26年11月26日
拒絶理由(最後) :平成27年 1月 7日(起案日)
意見 :平成27年 4月13日
拒絶理由(最初) :平成27年 8月 3日(起案日)
手続補正 :平成27年11月17日
拒絶査定 :平成27年12月22日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成28年 4月27日

第2 本件発明
本件出願の請求項1ないし38に記載された発明は、平成27年11月17日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし38に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
そのうち、本件出願の特許請求の範囲の請求項18に記載された発明(以下、「本件発明」という。)は、以下のとおりである。なお、下記のとおり、説明のためにAないしGの記号を当審において付与した。以下、「構成A」、「構成B」等と称することにする。

【請求項18】
A 併合モードに従ってビデオデータを符号化する方法であって、
B 現在ビデオブロックについての動きベクトルを取得することと、
C 前記現在ビデオブロックに対する空間的及び時間的な近隣に基づいて候補予測ブロックのセットを生成することと、
D 生成された候補予測ブロックのサブセットに、前記生成された候補予測ブロックのセットを制限することと、ここにおいて、前記生成された候補予測ブロックのサブセットは、前記生成された候補予測ブロックのセットよりも小さくなるように制限される、
E 前記動きベクトルに基づいて前記生成された候補予測ブロックのサブセットから予測ビデオブロックを選択することと、
F 前記併合モードに従って選択された予測ビデオブロックを識別するインデックス値を生成することと
G を備える、方法。


第3 原査定
1.原査定の概要
原審の拒絶査定の概要は、次のとおりである。

理由1.(新規性)平成27年11月17日付けの手続補正によって補正された、本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.(進歩性)平成27年11月17日付けの手続補正によって補正された、本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
理由3.(拡大先願)平成27年11月17日付けの手続補正によって補正された、本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の日本語特許出願であって、その出願後に国際公開がされた下記の日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記日本語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。

理由1(新規性)について
・請求項 1-8、10-23、25-30
・刊行物1

理由2(進歩性)について
・請求項 1-38
・刊行物1

理由3(拡大出願)について
・請求項1-30
・先願2

刊行物1.Takeshi Chujoh et al.,Description of video coding technology proposal by TOSHIBA,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,1st Meeting: Dresden,DE,2010年 4月,JCTVC-A117r1,pp.1-6
先願2.特願2012-509253号(国際公開第2011/125211号)

2.刊行物の記載及び刊行物発明
(1)刊行物1の記載及び刊行物1発明
ア.刊行物1の記載
原査定の拒絶の理由に刊行物1として引用された、「Description of video coding technology proposal by TOSHIBA」(和訳「東芝の提案によるビデオ符号化技術の詳細」)(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、強調のため、当審にて下線を付与した。

i.図1

(第3頁)

ii.「2.1 Motion representation
The maximum block size of inter prediction is extended to super macroblock level (64x64 pixels) by M3C (MultipleMacroblock based Motion Compensation). It is expected that M3C will reduce the overhead of motion vectors when wide area has uniform motion vector. Available block sizes are 4x4, 4x8, 8x4, 8x8, 8x16, 16x8, 16x16, 16x32, 32x16, 32x32, 32x64, 64x32 and 64x64.
In addition, in order to extend the concept of direct modes in AVC, STDS (Spatio-Temporal Direct Selection) is introduced. STDS enables to use motion vector(s) from temporally adjacent (super) macroblock (TDS: Temporal Direct Selection) or spatially adjacent (super) macroblock (SDS: Spatially Direct Selection) as motion vector(s) for the current block (Figure 3). Table 1 shows the relationship between AVC spec. and STDS.」(第4頁)
(当審訳)
「2.1 動きの表現
インター予測の最大ブロックサイズは、M3C(MultipleMacroblockベースの動き補償)によってスーパーマクロブロックレベル(64x64ピクセル)に拡張される。広域に一様な動きベクトルがある場合、M3Cは動きベクトルのオーバーヘッドを低減することとなる。使用可能なブロックサイズは、4x4、4x8、8x4、8x8、8x16、16x8、16x16、16x32、32x16、32x32、32x64、64x32、64x64である。
それに加え、AVCにおけるダイレクトモードの概念を拡張するために、STDS(時空間ダイレクト選択)を導入する。STDSは、現在のブロックの動きベクトルとして、時間的に隣接する(スーパー)マクロブロック(TDS:時間的ダイレクト選択)又は空間的に隣接する(スーパー)マクロブロック(SDS:空間的ダイレクト選択)からの動きベクトルを使用することを可能にする(図3)。 表1は、AVC仕様及びSTDSとの関係を示す。」

iii.「Since STDS has flexibility of selecting motion vector(s) from spatial or temporal neighbors with small overhead, the accuracy of motion vector prediction is expected to improve. The maximum number of SDS candidates is four (left/up/up-right/up-left blocks). The maximum number of TDS candidates is five (collocated block and its right/down/left/up blocks). The total number of STDS candidates is nine and a selection index is signaled to determine which block is used. If a candidate block is not available because the block locates at the edge of the picture, the block is coded as an intra coded block, or the motion information (motion vector and reference picture pointer) is identical to the one with the smaller STDS selection index, the block is omitted from counting the STDS selection index (stds_idx) in order to reduce the overhead of index coding (Figure 4). 」(第5頁)
(当審訳)
「STDSは、小さなオーバーヘッドで空間的又は時間的近隣から動きベクトルを選択する柔軟性を有するので、動きベクトル予測の精度が向上することが期待される。SDSの候補の最大数は4である(左/上/右上/左上ブロック)。TDSの候補の最大数は5である(配置されたブロックとその右/下/左/上のブロック)。STDSの候補の総数は9であり、どのブロックが使用されたかを判断するために選択インデックスが通知される。ブロックがピクチャのエッジに位置すること、ブロックがイントラ符号化ブロックとして符号化されたこと、又は、ブロックの動き情報(動きベクトルおよび参照ピクチャポインタ)がより小さいSTDS選択インデックスを有するブロックの動き情報と同一であること、により候補ブロックが利用可能でない場合、インデックスの符号化のオーバーヘッドを削減するために、そのブロックはSTDS選択インデックス(stds_idx)をカウントすることから除外される(図4)。」

iv.図4

(第5頁)

イ.刊行物1発明
上記のi.ないしiv.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、刊行物1に開示された発明(以下、「刊行物1発明」という。)を認定する。

(ア)
上記のi.の図1には、Inter PredictionとしてSTDSを含む、符号化器が記載されている。
また、この符号化器が、ビデオデータを符号化するものであることは、明らかである。

よって、刊行物1には、『STDSを用いてビデオデータを符号化する方法』が開示されているといえる。

(イ)
下記の(オ)で言及するように、刊行物1には、現在ブロックの動きベクトルを用いることが開示されているといえる。
そして、現在ブロックの動きベクトルを用いるのであるから、その前提として、現在ブロックの動きベクトルが取得されていることは、明らかである。

よって、刊行物1には、『現在ブロックの動きベクトルを取得すること』が開示されているといえる。

(ウ)
上記のii.には、「STDSは、現在のブロックの動きベクトルとして、時間的に隣接する(スーパー)マクロブロック(TDS:時間的ダイレクト選択)又は空間的に隣接する(スーパー)マクロブロック(SDS:空間的ダイレクト選択)からの動きベクトルを使用することを可能にする (図3)。」ことが、開示されている。
また、上記のiii.には、「STDSの候補の総数は9」、すなわち、STDSの候補ブロックは複数であることが、開示されている。
ここで、STDSの候補ブロックは複数であるから、これを候補ブロックのセットと表現することができる。

よって、刊行物1には、『現在ブロックの時間的又は空間的に近隣の候補ブロックのセットを決定すること』が開示されているといえる。

(エ)
上記のiii.には、「(略)候補ブロックが利用可能でない場合、インデックスの符号化のオーバーヘッドを削減するために、そのブロックはSTDS選択インデックス(stds_idx)をカウントすることから除外される(図4)。」ことが開示されている。
ここで、除外されなかったブロックは、候補ブロックのセットの一部であるから、これを候補ブロックのサブセットと表現することができる。

よって、刊行物1には、『候補ブロックのセットから利用可能でないブロックを除外した候補ブロックのサブセットを得ること』が開示されているといえる。

(オ)
上記のii.には、「STDSは、現在のブロックの動きベクトルとして、時間的に隣接する(スーパー)マクロブロック(TDS:時間的ダイレクト選択)又は空間的に隣接する(スーパー)マクロブロック(SDS:空間的ダイレクト選択)からの動きベクトルを使用することを可能にする(図3) 。」ことが開示されている。
そして、現在ブロックの動きベクトルとして、他のブロックの動きベクトルを使用するのであるから、現在ブロックの動きベクトルに合致した適切な動きベクトルを持つブロックを選択することが必要である。そのため、ブロックの選択に際しては、現在ブロック及び選択対象のブロックの動きベクトルが用いられることは明らかである。さらに、ブロックの選択は、利用可能なブロック、すなわち、候補ブロックのサブセットに対して行われることも、明らかである。

よって、刊行物1には、『現在ブロックの動きベクトルを用いて、候補ブロックのサブセットから動きベクトルを使用するブロックを選択すること』が開示されているといえる。

(カ)
上記のiv.の図4には、候補ブロックのセット(左側)から利用可能でないブロックを除外した、候補ブロックのサブセット(右側)に対して、選択インデックス(std_idx)を生成していることに関する開示がある。
また、上記のiii.には、「STDSの候補の総数は9であり、どのブロックが使用されたかを判断するために選択インデックスが通知される。」ことが開示されている。
そして、選択インデックスが通知されるのであるから、その前提として、選択インデックスが生成されていることは明らかである。
また、上記の動作が、STDSに従った動作であることは、明らかである。

よって、刊行物1には、『STDSに従って、選択されたブロックを示す選択インデックスを生成すること』が開示されているといえる。

(キ)小括
以上より、刊行物1に開示された発明を方法の発明として認定すると、刊行物1には、以下の刊行物1発明が開示されている。
なお、下記のとおり、説明のためにaないしgの記号を当審において付与した。以下、構成a、構成b等と称することにする。

(刊行物1発明)
a STDSを用いてビデオデータを符号化する方法であって、
b 現在ブロックの動きベクトルを取得することと、
c 現在ブロックの時間的又は空間的に近隣の候補ブロックのセットを決定することと、
d 候補ブロックのセットから利用可能でないブロックを除外した候補ブロックのサブセットを得ることと、
e 現在ブロックの動きベクトルを用いて、候補ブロックのサブセットから動きベクトルを使用するブロックを選択することと、
f STDSに従って、選択されたブロックを示す選択インデックスを生成すること
g を備える、方法。

3.対比・判断
(1)理由1(新規性)
ア.本件発明と刊行物1発明との対比・判断
(ア)対比
本件発明と刊行物1発明を対比する。

(ア-1)本件発明の構成A、Gと刊行物1発明の構成a、g
本件出願の「併合モード」は、本件出願の明細書の段落0028の記載によれば、近隣ビデオブロックの動き情報が現在ビデオブロックについて継承されるものである。
そして、構成aの「STDS」は、空間的又は時間的に近隣のブロックの動きベクトルを現在ブロックの動きベクトルとして使用するものであるから、構成Aの「併合モード」に一致する。

よって、本件発明の構成A及びGと刊行物1発明の構成a、gとは、「併合モードに従ってビデオデータを符号化する方法」の点で、一致する。

(ア-2)本件発明の構成Bと刊行物1発明の構成b
構成bの「現在ブロック」は、明らかに、構成Bの「現在ビデオブロック」であるから、本件発明の構成Bと刊行物1発明の構成bとは、「現在ビデオブロックについての動きベクトルを取得すること」の点で、一致する。

(ア-3)本件発明の構成Cと刊行物1発明の構成c
構成cの「現在ブロック」は、明らかに、構成Cの「現在ビデオブロック」に一致する。
構成cの「候補ブロックのセット」は、現在ブロックに時間的又は空間的に近隣するものであり、現在ブロックの動きベクトルの予測を行うためのものであるため、構成Cの「候補予測ブロックのセット」に一致する。

よって、本件発明の構成Cと刊行物1発明の構成cとは、「現在ビデオブロックに対する空間的及び時間的な近隣に基づいて候補予測ブロックのセットを生成すること」の点で、一致する。

(ア-4)本件発明の構成Dと刊行物1発明の構成d
構成dの「候補ブロックのセット」は、構成Dの「候補予測ブロックのセット」に一致する。
構成dの「候補ブロックのサブセット」は、候補ブロックのセットから利用可能でないブロックを除外したものであるから、候補ブロックのセットを制限することにより得られたものであり、候補ブロックのセットよりも小さいことは明らかであるため、構成Dの「候補予測ブロックのサブセット」に一致する。

よって、本件発明の構成Dと刊行物1発明の構成dとは、「生成された候補予測ブロックのサブセットに、生成された候補予測ブロックのセットを制限することと、ここにおいて、生成された候補予測ブロックのサブセットは、生成された候補予測ブロックのセットよりも小さくなるように制限される」の点で、一致する。

(ア-5)本件発明の構成Eと刊行物1発明の構成e
構成eの「候補ブロックのサブセット」は、構成Eの「候補予測ブロックのサブセット」に一致する。
構成eの「動きベクトルを使用するブロック」は、明らかに、「予測ビデオブロック」に一致する。

よって、本件発明の構成Eと刊行物1発明の構成eとは、「動きベクトルに基づいて生成された候補予測ブロックのサブセットから予測ビデオブロックを選択すること」の点で、一致する。

(ア-6)本件発明の構成Fと刊行物1発明の構成f
構成fの「STDS」、「選択されたブロック」、「選択インデックス」は、構成Fの「併合モード」、「選択された予測ブロック」、「インデックス値」に一致する。

よって、本件発明の構成Fと刊行物1発明の構成fとは、「併合モードに従って選択された予測ビデオブロックを識別するインデックス値を生成すること」の点で、一致する。

(ア-7)小括
したがって、本件発明と刊行物1発明とは、一致する。

(イ)判断
本件発明は、刊行物1発明と一致するものであり、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない。
そして、本件出願の請求項18に記載された発明は、特許を受けることができないから、他の請求項に記載された発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。

(2)理由2(進歩性)、理由3(拡大先願)
本件出願は、理由1によって特許を受けることができないから、理由2、3について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。

第4.まとめ
以上のとおり、理由1により、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-12 
結審通知日 2017-06-13 
審決日 2017-06-27 
出願番号 特願2013-555569(P2013-555569)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (H04N)
P 1 8・ 16- WZ (H04N)
P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川崎 優岩井 健二  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 冨田 高史
篠原 功一
発明の名称 動き予測ビデオブロックの階層  
代理人 福原 淑弘  
代理人 岡田 貴志  
代理人 井関 守三  
代理人 蔵田 昌俊  
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