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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  F03C
審判 一部申し立て 2項進歩性  F03C
管理番号 1334375
異議申立番号 異議2016-700852  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-12 
確定日 2017-10-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5891064号発明「液圧モータ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5891064号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2、3〕について訂正することを認める。 特許第5891064号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第5891064号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成28年2月26日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人西村竜平より特許異議の申立てがされ、平成28年11月11日付けで取消理由が通知され、平成29年1月16日付けで意見書の提出及び訂正請求がされ、平成29年3月13日付けで特許異議申立人から意見書が提出され、平成29年4月26日付けで取消理由通知(決定の予告)がされ、平成29年7月6日付けで意見書の提出及び訂正請求がされたものである。

第2 訂正の適否

1.訂正の内容
特許権者は、特許請求の範囲の請求項1に「前記ケースに形成されるケース側フラッシング通孔と」とあるのを、「前記ケースに形成され、一端が前記ベース側フラッシング通孔に連通すると共に他端が前記ケーシング室に連通するケース側フラッシング通孔と」に訂正することを請求する(訂正事項1)。
特許権者は、特許請求の範囲の請求項1に「前記フラッシング通路から取り出した作動液が前記ケーシング室に導かれる」とあるのを、「前記フラッシング通路から取り出され前記ケーシング室に導かれた作動液はドレン通路を通じて排出され、前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有する」に訂正することを請求する(訂正事項2)。
さらに、特許権者は、特許請求の範囲の請求項2に「前記シリンダブロックとともに回転するブレーキディスクと、前記ケーシング室の作動液を排出するドレン通路と、を備え、前記ケーシング室は、前記ブレーキディスクによって前記斜板を収容する斜板収容室と、ブレーキ前室と、に仕切られ、前記フラッシング通路の出口と前記ドレン通路の入口とがそれぞれ斜板収容室に開口することを特徴とする請求項1に記載の液圧モータ。」とあるのを、「作動液圧源から第一、第二モータ通路を通して給排される作動液によって回転作動するモータ機構を備える液圧モータであって、前記モータ機構を収容するケーシング室を画成するケーシングと、前記ケーシング室に連通され、前記第一、第二モータ通路のうち低圧側から作動液の一部を取り出すフラッシング通路と、前記シリンダブロックとともに回転するブレーキディスクと、前記ケーシング室の作動液を排出するドレン通路と、を備え、前記モータ機構は、斜板と、作動液圧によって前記斜板に追従して往復動する複数のピストンと、前記ピストンを介して回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロックの回転を出力する出力軸と、を備え、前記ケーシングは、前記第一、第二モータ通路が設けられるベースプレートと、前記出力軸を支持するケースと、を備え、前記フラッシング通路は、前記ベースプレートに形成されるベース側フラッシング通孔と、前記ケースに形成されるケース側フラッシング通孔と、によって画成され、前記フラッシング通路から取り出した作動液が前記ケーシング室に導かれ、前記ケーシング室は、前記ブレーキディスクによって前記斜板を収容する斜板収容室と、ブレーキ前室と、に仕切られ、前記フラッシング通路の出口と前記ドレン通路の入口とがそれぞれ斜板収容室に開口することを特徴とする液圧モータ。」に訂正することを請求する(訂正事項3)。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る「前記ケースに形成され、一端が前記ベース側フラッシング通孔に連通すると共に他端が前記ケーシング室に連通するケース側フラッシング通孔」は、明細書の段落0074,0075,0076,0077及び図2の記載からみて、また訂正事項2に係る「前記フラッシング通路から取り出され前記ケーシング室に導かれた作動液はドレン通路を通じて排出され、前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有する」態様は、明細書の段落0082?0084及び図2の記載からみて、いずれも願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものである。
訂正事項1及び2は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項3の、請求項2及びその請求項2を引用する請求項3に係る訂正は、引用関係の解消を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正前の請求項1?3は、請求項2が訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用し、請求項3が請求項2の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。
(3)小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1ないし3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1、〔2、3〕について訂正を認める。
訂正後の請求項〔2、3〕に係る訂正事項3は、引用関係の解消を目的とする訂正であって、その訂正は認められるものである。そして、特許権者から、訂正後の請求項2及び該請求項2を引用する請求項3について訂正が認められるときは請求項1とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項1について請求項単位で訂正し、訂正後の請求項〔2、3〕について一群の請求項で訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて

1.本件特許発明
特許第5891064号の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明1」という。)は、前記訂正請求により訂正された訂正後の請求項1に記載された下記の事項によって特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
作動液圧源から第一、第二モータ通路を通して給排される作動液によって回転作動するモータ機構を備える液圧モータであって、
前記モータ機構を収容するケーシング室を画成するケーシングと、
前記ケーシング室に連通され、前記第一、第二モータ通路のうち低圧側から作動液の一部を取り出すフラッシング通路と、を備え、
前記モータ機構は、
斜板と、
作動液圧によって前記斜板に追従して往復動する複数のピストンと、
前記ピストンを介して回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックの回転を出力する出力軸と、を備え、
前記ケーシングは、
前記第一、第二モータ通路が設けられるベースプレートと、
前記出力軸を支持するケースと、を備え、
前記フラッシング通路は、
前記ベースプレートに形成されるベース側フラッシング通孔と、
前記ケースに形成され、一端が前記ベース側フラッシング通孔に連通すると共に他端が前記ケーシング室に連通するケース側フラッシング通孔と、によって画成され、
前記フラッシング通路から取り出され前記ケーシング室に導かれた作動液はドレン通路を通じて排出され、前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有することを特徴とする液圧モータ。」

2.取消理由の概要
当審において、訂正前の請求項1に係る特許に対して平成29年4月26日付けの取消理由通知(決定の予告)により特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項1に係る発明は、甲第2号証(独国特許出願公開第4303380号明細書)に記載された発明及び甲第3号証(実願平2-65596号(実開平4-24673号)のマイクロフィルム)に記載されている技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。

3.甲号証の記載
(1)甲第2号証
ア.取消理由で通知した甲第2号証には、図面とともに、以下の記載がある。
(ア)「Die Erfindung betrifft hydrostatische Kolbenmaschinen, insbesondere in Axialkolbenbauart mit feststehenden Steuerspiegel und denen mit wechselnder Drehrichtung umlaufenden Zylinderkoerper zur Aufnahme der Arbeitskolben, wobei im Steuerkopf ein Spuelventil fuer den Kreislauf angeordnet ist.
Anwendung findet diese Kolbenmaschine vorzugsweise fuer Axialkolbenmotoren in geschlossenen Kreislaeufen mit wechselnder Foerderrichtung und einer Einrichtung zum Spuelen des Kreislaufes.」(第1欄第4?15行)
(仮訳:本発明は、静圧ピストン機械、特に固定式の制御板と、作動ピストンを収容し、回転方向を切り換わる、回転するシリンダ本体とを備え、制御ヘッドに回路用の洗浄弁が設けられたアキシャルピストンタイプの静圧ピストン機械に関する。
かかるピストン機械は、特に、流れの方向が切り換わり、回路の洗浄装置を備えた、閉回路内のアキシャルピストンモータに用いられる。)
(イ)「Es ist bei hydrostatischen Kolbenmaschinen mit geschlossenem Kreislauf bekannt, eine Einrichtung zum Spuelen und ggf. auch Speisen des Kreislaufes mit dem Zweck vorzusehen, staendig heisses Druckmedium abzufuehren und gegen gekuehltes kontinuierlich auszutauschen.・・・(中略)・・・
Bekannt sind ausserdem hydrostatische Getriebe (DE-OS 22 46 638; DE-OS 23 01 612) deren Pumpe und Motor im geschlossenen Kreislauf arbeiten, wobei ein von Hochdruck angesteuertes Spulventil Druckmedium von der Niederdruckseite ausspeist, um die Temperatur des hydrostatischen Kreislaufes in den geforderten Grenzen zu halten.」(第1欄第19?45行)
(仮訳:閉回路を備える静式ピストン機械において、回路の洗浄(必要に応じて回路への媒体供給)装置を設けることが知られており、該装置は、絶え間なく、高温の加圧媒体を排出し、低温の媒体で置換する。・・・(中略)・・・
さらに、ポンプ及びモータが閉回路で動作する静圧式伝動装置(独国特許出願公開第2246638号明細書、独国特許出願公開第2301612号明細書)であって、高圧により制御される洗浄弁が加圧媒体を低圧側から排出し、静圧回路の温度を所望の限度内に維持する静油圧式伝動装置も公知である。)
(ウ)「Vorliegendes Ausfuehrungsbeispiel zeigt und beschreibt eine als Hydromotor fungierende hydrostatische Axialkolbenmaschine, deren Gehaeuse 1 einen drehbar gelagerten Zylinderkoerper 2 zur Aufnahme axialbeweglicher Kolben 3 aufweist. Der Zylinderkoerper 2 ist mit einer Welle 4 kraftschluessig verbunden und besitzt wechselnde Drehrichtung. Dabei stuetzen sich die Kolben 3 ueber Gleitschuhe 5 an einer Schiefscheibe 6 ab, die verdrehsicher mittels Stift 7 im Gehaeuse 1 gelagert ist. Am feststehenden Steuerkopf 8 ist ein scheibenfoermiger Steuerspiegel 8a loesbar angeordnet, der Steuerschlitze 9a und 10a aufweist, die mit analogen Steuerschlitzen 9, 10 im Steuerkopf 8 drehungsgleich sind. Diese Steuerschlitze 9, 10 sichern die Zufuehrung des Druckoelstromes von einem Kanal 11 ueber die Steuerschlitze 9a, 10a zu den Kolben 3 sowie die Rueckfuehrung des Oel auf die Niederdruckseite und eine prozentuale Ausspeisemenge durch eine Verbindungsbohrung 13 zu einem Ausspeiseventil 14 mit Druckkegel 15. Durch Bohrungen 16, 17 ist das Ausspeiseventil 14 mit einem Leckraum 18 des Hydromotors verbunden.」(記載中の「ア-・ウムラウト」は「ae」により、「ウー・ウムラウト」は「ue」により、「オー・ウムラウト」は「oe」により、それぞれ代替表示した(以下、同じ。)。)(第2欄第33?53行)
(仮訳:本実施形態は、液圧モータとして機能する静圧アキシャルピストン機械を示しかつ記述するものであって、該機械のハウジング1は、軸方向に移動可能なピストン3を収容し、回転可能に支承されたシリンダ本体2を備えている。該シリンダ本体2は、軸4に締まり嵌め結合され、その回転方向を切り換え可能である。ここで、ピストン3は、滑動シュー5を介して斜板6に支持され、該斜板6は、ピン7によってハウジング1内で回転不能に設けられている。固定式の制御ヘッド8には、円板状の弁板8aが着脱可能に配置されており、該弁板8aは、制御ヘッド8に設けられた対応する制御スリット9,10と同じくターンしている制御スリット9a,10aを備えている。制御スリット9,10は、高圧油を流路11から制御スリット9a,10aを介してピストン3に供給し、油を低圧側に戻すとともに、圧力円錐15を備えた排出弁14への接続孔13を通じて一定割合の油を排出する。排出弁14は、孔16,17を通じて液圧モータの漏油室18に接続されている。)
(エ)「Im Steuerkopf 8, dargestellt in Fig. 2, befindet sich ein Steuerschieber 19, welcher ueber Federn 20 mittig zentriert, in einem Ringraum 21 angeordnet ist. Durch Bohrungen 22, der Ringnut 34, 23 bzw. 24, 35, 25 koennen Zylinderraeume 26, 27 und damit Stirnseiten 28 und 29 des Steuerschiebers 19 wechselseitig mit Druckoel (aus dem Steuerschlitz 9 oder 10) beaufschlagt werdea. Kanaele 30, 31 bzw. 32 fuehren das Druckoel zu einem Hochdruckanschluss 33.
Der Steuerschieber 19 zeigt in Fig. 2 ausserdem Ringnuten 34, 35, welche der Verbindung von Bohrung 22, 24 mit der laengsangeordneten Bohrung 23, 25 dienen.」(第2欄第54?第65行)
(仮訳:図2に示す制御ヘッド8内に制御スライダ19が配置され、該制御スライダ19は、ばね20を介して中央にセンタリングされて環状室21内に配置されている。貫通穴22,環状溝34,23と24,35,25は、それぞれ、シリンダ室26,27、ひいては制御スライダ19の端面28,29に択一的に圧油を(スロット9又は10から)作用させることができる。流路30,31又は32は、高圧油を高圧接続部33に導く。
制御スライダ19は、図2において、さらに環状溝34,35を示し、これらの環状溝は、孔22,24と長手方向に設けられた孔23,25とを接続する。)
(オ)「Wird vom Zylinderraum 12 des Kolbens 3 ueber den Steuerschlitz 9, 9a und die Bohrungen 22, 23 Druckoel zugefuehrt, so wird die Stirnseite 28 des Steuerschiebers 19 mit Druck beaufschlagt und der Steuerschieber 19 bewegt sich nach links. Dabei gelangt das Druckoel von der Bohrung 23 ueber den Zylinderraum 27 und die als Bohrung ausgefuehrten Kanaele 30, 31 in den Hochdruckanschluss 33. Der Kanal 32 ist dabei durch den Steuerschieber 19 verschlossen. Das Niederdruckoel wird vom Zylinderraum 12 durch den Steuerschlitz 10, 10a ueber die Bohrung 24, den Ringraum 21 und die Verbindungsbohrung 13 zum Ausspeiseventil 14 ausgespeist. Beim Oeffnen des Druckkegels 15 des Ausspeiseventils 14 fliesst das Oel ueber die Bohrungen 16, 17 in den Leckraum 18 des Hydromotors und von dort ueber den Leckanschluss in einen Oelbehaelter zurueck (nicht dargestellt). 」(第2欄第66行?第3欄第13行)
(仮訳:高圧油がピストン3のシリンダ室12から制御スリット9,9a及び孔22,23を介して供給されると、制御スライダ19の端面28が圧力を受け、制御スライダ19は左側に移動する。この場合、高圧油は、孔23からシリンダ室27及び孔として形成された流路30,31を介して高圧接続部33に到達する。ここで、流路32は、制御スライダ19によって閉じられている。低圧油は、シリンダ室12からまず制御スリット10,10aを通過し、次いで孔24、環状室21及び接続孔13を介して排出弁14に排出される。排出弁14の圧力円錐15が開くと、作動油が孔16,17を介して液圧モータの漏油室18に流入し、そこから漏油接続部を通じて油タンクに還流する(図示せず)。
(カ)「Um fuer bestimmte Einsatzfaelle (z. B. Lueften der Bremse bei Fahr- und Kranbetrieb) immer Hochdruck am Hochdruckanschluss 33 anliegen zu haben, unabhaengig von der Hochdruck- und Niederdruckseite bei wechselnder Dreh- und Foerderrichtung, ist der Steuerschieber 19 so ausgebildet, dass er gleichzeitig als Oderventil wirkt. Beim Wechseln der Drehrichtung des Hydromotors wechseln auch die Hochdruckseite und die Niederdruckseite. Durch die gewechselte Zufuehrung des Druckoels ueber den Steuerschlitz 10 und die Bohrungen 24, 25 zur Stirnseite 29 des Steuerschiebers 19 schaltet dieser nach rechts und verdeckt/schliesst den Kanal 30. Das Oel der Niederdruckseite gelangt nun in umgekehrter Weise ueber den Steuerschlitz 9, die Bohrungen 22, den Ringraum 21 und die Verbindungsbohrung 13 zum Ausspeiseventil 14, waehrend das Druckoel von Zylinderraum 26 durch den Kanal 32, 31 zum Hochdruckanschluss 33 gefuehrt wird.」(第3欄第14?31行)
(仮訳:所定の用途(例えば走行兼クレーン運転時のブレーキの解除)のためには、切り換わる回転方向及び流れの方向の下で高圧側及び低圧側に関係なく、常に高圧を高圧接続部33に付与する必要があることから、制御スライダ19は、同時にOR弁として機能するように構成される。液圧モータの回転方向が切り換わると、高圧側及び低圧側も入れ替わる。方向を切り換えて、高圧油を制御スリット10及び孔24,25を介して制御スライダ19の端面29に供給すると、制御スライダは右側に移動して流路30を覆う/閉じる。今度は、低圧油が反対側、つまり、制御スリット9、孔22、環状室21及び接続孔13を介して排出弁14に到達し、他方、高圧油がシリンダ室26から流路32,31を通じて高圧接続部33まで導かれる。)
さらに、記載事項(ウ)及び図1の記載からみて、以下の事項が理解できる。
(キ)油は、制御スリット9,10を介して、油圧源からシリンダ本体2のシリンダ室12に供給されかつシリンダ室12から排出される。
(ク)制御ヘッド8とハウジング1とにより漏油室18が画成され、斜板6と、ピストン3と、シリンダ本体2と、軸4と、は、漏油室18に収容されており、軸4は、制御ヘッド8とハウジング1とにより回転可能に支承されている。
(ケ)孔16,17は、制御ヘッド8に設けられている。
記載事項(ウ)及び(エ)からみて、次の事項が理解できる。
(コ)制御スリット9,10のうちの低圧側から、圧力円錐15を備えた排出弁14への接続孔13を通じて一定割合の油が排出され、該油は、孔16,17を介して液圧モータの漏油室18に流入する。
イ.以上のことから、甲第2号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「油が、制御スリット9,10を介して、油圧源からシリンダ本体2のシリンダ室12に供給されかつシリンダ室12から排出される液圧モータであって、
制御スリット9,10が設けられた制御ヘッド8と、ハウジング1と、を備え、制御ヘッド8とハウジング1とにより漏油室18が画成され、斜板6と、ピストン3と、シリンダ本体2と、軸4と、は、漏油室18に収容されており、
斜板6は、ピン7によってハウジング1内で回転不能に設けられ、
ピストン3は、シリンダ本体2のシリンダ室12に軸方向に移動可能に収容されるとともに滑動シュー5を介して斜板6に支持され、
シリンダ本体2は、軸4に締まり嵌め結合され、ハウジング1に対して回転可能に支承され、
軸4は、ハウジング1に回転可能に支承されており、
制御スリット9,10のうちの低圧側から、圧力円錐15を備えた排出弁14への接続孔13を通じて一定割合の油が排出され、該油は、孔16,17を介して液圧モータの漏油室18に流入し、そこから漏油接続部を通じて油タンクに還流し、孔16,17は、制御ヘッド8に設けられている、
液圧モータ。」
(2)甲第3号証
取消理由で通知した甲第3号証には、図面とともに、以下の記載がある。
(サ)「(従来の技術)
斜板の傾転角を油圧により大小2段階に切り換えられるようにした二速油圧モータが知られている(特開昭61-49175号)。
これは第5図に示すようにボディ10の内側に形成した収納空間12にシリンダブロック9を出力軸9aを中心に回転自由に収装し、シリンダブロック9から軸方向に摺動自由に突出させた複数のピストン8の基端をシュー11を介して斜板7に摺接させたもので、斜板7は第6図に示す油圧駆動機構5を介してボディ10に支持される。
各ピストン8を収装するシリンダブロック9内のシリンダ6には回転位置に応じて圧油が供給され、この圧油によりピストン8が伸縮し、斜板7と相対運動してシリンダブロック9とともに出力軸9aを回転させる。この回転方向はボディ10に形成したポートP1とP2の圧力に応じて切り換わる切換弁2により制御される。
また、油圧駆動機構5は切換弁21を介して供給される圧油により斜板7を駆動し、斜板7の支持角度、すなわちの傾転角を大小2段階に切り換えることで、シリンダブロック9の回転数を変化させる。」(第1ページ第19行?第3ページ第1行)
(シ)「(考案の課題)
この場合に、傾転角を小さくしてシリンダブロック9を高速回転させると、シュー11と斜板7との摺接部等の摩擦熱が増加して収納空間12内が高温化する傾向があった。
このシュー11と斜板7との摺椄部には潤滑のためにシリンダ6内の作動油の一部がシュー11を貫通する通路11Aを介して導かれており、収納空間12の温度が過度に上昇すると作動油の粘度低下のために油膜切れが発生して摺動部が焼き付いたり、シリンダブロック9をボディ10に支持するベアリング13の寿命が低下するなどの問題が生じる可能性があることから、収納空間12内のこのような高温化は決して好ましいものではなかった。
本考案は、二速油圧モータにおける上記の問題点を解決すべくなされたもので、収納空間内の温度上昇を抑制することを目的とする。」(第3ページ第2?19行)
(ス)「(課題を達成するための手段)
本考案は、ボディの内側の収納空間に回転自由に支持されたシリンダブロックと、このシリンダブロックから基端を回転軸に平行に摺動自由に突出するピストンと、このピストンの基端に摺接する斜板と、斜板を大小2段階の傾転角に切り換え支持する油圧駆動部材とを備えた二速油圧モータにおいて、前記収納空間をタンクに連通するドレーンと、油圧駆動部材が斜板を小さな傾転角に切り換えるのに伴って収納空間に作動油の一部を導入するバルブとを備えている。」(第3ページ第20行?第4ページ第10行)
(セ)「(実施例)
第1図?第4図に本考案の実施例を示す。
第1図において、1は二速式油圧モータの本体であり、ボディ10に形成したポートP1とP2に接続する切換弁2とリリーフ弁14と15からなる駆動回路と、斜板7の傾転角を大小2段階に切り換える油圧駆動機構5を備える。
切換弁2はポートP1とP2とモータ本体1との間に介装され、ポートP1とP2に別ユニットの油圧供給装置から供給される圧力に応じて切り換わり、高圧側のポートP1(P2)の作動油をモータ本体1に供給し、モータ本体1を回転駆動した後、低圧側のポートP2(P1)へ排出する。リリーフ弁14と15はポートP1とP2の圧力差が一定以上に大きくなると、モータ本体1をバイパスして圧力の一部を低圧側へ逃がすものである。」(第4ページ第20行?第5ページ第15行)
(ソ)「一方、油圧駆動機構5はモータ本体1の駆動回路とドレーンポートTとに切換弁3を介して選択的に接続される。
切換弁3は第2図及び第3図に示されるように、ボディ10の内側にスプール17を摺動自由に収装して一端をスプリング18で支持する一方、反対側の端部をボディ10に形成したパイロットポートPsに臨ませたもので、スプール17の外周に面してボディ10にはモータ本体1の駆動回路に連通するポートM1及びM2と、油圧駆動機構5に至るポート24と25が形成される。また、スプール17にドレーンポートTに連通するドレーン19が形成される。
スプール17はパイロットポートPsの低圧時にはポート24と25をドレーン19に連通し、パイロットポートPsの高圧時には第3図に示すようにスプリング18に抗してボディ10内を摺動し、ポート24と25をポートM1とM2に接続する。
さらに、パイロットポートPs側のスプール17の端部の近傍に臨んでボディ10にポート28が形成される。このポート28は第4図に示すように絞り29を介して収納空間12に連通し、パイロットポートPsの低圧時にはスプール17により閉鎖され、パイロットポートPsの高圧によりスプール17が摺動することでパイロットポートPsに連通する。一方、収納空間12とドレーンポートTの間には収納空間12の圧力をタンクに解放するドレーン30が設けられる。なお、パイロットポートPsへのパイロット圧の供給は別ユニットの供給装置により行われる。」(第6ページ第6行?第7ページ第16行)
(タ)「次に作用を説明する。
第1図の状態では油圧モータは停止しており、ブレーキシリンダ26はドレーンポートTに解放され、ブレーキ4がモータ本体1を停止状態に保持している。
この状態からポートP1(P2)に高圧が供給されると、切換弁2がパイロット圧により左(右)側のセクションに切り換わり、ブレーキシリンダ26に圧油が供給され、ブレーキ4が解除される。同時にポートP1(P2)から供給される圧油により油圧モータが運転を開始する。
この場合に、パイロットポートPsが低圧だとスプール17は第2図の位置にあり、ポート24と25はドレーンポートTに解放されているため、油圧駆動機構5は斜板7を大きな傾転角に支持し、油圧モータは低速かつ高トルクで運転される。この状態ではポート28はスプール17に閉鎖され、収納空間12はドレーンポートTにのみ連通する。
一方、パイロットポートPsにパイロット圧が供給されると、スプール17がスプリング18に抗して第3図の位置に摺動し、ポートM1とM2がポート24と25に接続される。これにより、油圧モータの回転方向に応じてポート24と25のいずれか一方に駆動回路の高圧が供給され、油圧駆動機構5はこの高圧により斜板7を動かして小さな傾転角に支持する。この結果、油圧モータは小容量となり、高速回転する。
また、同時にポート28がパイロットポートPsに連通し、パイロット油の一部が絞り29を介して少量ずつモータ本体1の収納空間12に供給される。一方、収納空間12はドレーン30を介してタンクに解放されており、結果として油圧モータの高速回転中は収納空間10とタンクの間を一定量の作動油が循環することになる。
そして、この作動油が斜板7とピストンの摺接部やシリンダブロックを支持する軸受などが発する摩擦熱をボディ10の外へ逃がすので、収納空間12内の温度が過度に上昇する恐れはなく、摺接部の焼き付き等を心配することなく長時間の高速運転が行える。
なお、パイロットポートPsが低圧化すれば切換弁3が再び切り換わって、油圧駆動機構5が斜板7の傾転角を大きくするとともに、ポート28が閉じて収納空間12への作動油の供給も停止する。」(第7ページ第17行?第10ページ第1行)
そして、記載事項(セ)からみて、以下の事項が理解できる。
(チ)モータ本体1は、ポートP1 ,P2を通して給排される作動油によって回転駆動される。
記載事項(サ)並びに第5及び6図に記載されている従来の二速油圧モータを踏まえると、記載事項(ス)及び(セ)並びに第1図の記載からみて、以下の事項が理解できる。
(ツ)モータ本体1は、ボディの内側の収納空間12に回転自由に支持されたシリンダブロックと、このシリンダブロックから基端を回転軸に平行に摺動自由に突出するピストンと、このピストンの基端に摺接する斜板と、回転軸と、を少なくとも備え、前記シリンダブロックと、前記ピストンと、前記斜板と、前記回転軸と、は、収納空間12に収装されている。
記載事項(サ)並びに第5及び6図に記載されている従来の二速油圧モータを踏まえると、記載事項(ソ)並びに第2?4図の記載からみて、以下の事項が理解できる。
(テ)ボディ10は、切換弁3が内部に設けられる第1のボディ部材と、第2のボディ部材とを備え、切換弁3のポート28を収納空間12に連通する通路は、第1のボディ部材に形成される第1の通路と、第2のボディ部材に形成され、一端が前記第1の通路に連通するとともに他端が収納空間12に連通する第2の通路と、からなる。
イ.以上のことから、甲第3号証には、次の技術が記載されていると認められる。
「ポートP1 ,P2を通して給排される作動油によって回転駆動されるモータ本体1を備える二速油圧モータであって、
モータ本体1は、ボディ10の内側の収納空間12に回転自由に支持されたシリンダブロックと、このシリンダブロックから基端を回転軸に平行に摺動自由に突出するピストンと、このピストンの基端に摺接する斜板と、回転軸と、を少なくとも備え、前記シリンダブロックと、前記ピストンと、前記斜板と、前記回転軸と、は、前記収納空間12に収装されており、
ボディ10は、切換弁3が内部に設けられる第1のボディ部材と、第2のボディ部材とを備え、
収納空間12に作動油の一部を導入する切換弁3を備え、切換弁3のポート28が収納空間12に連通し、
切換弁3のポート28を収納空間12に連通する通路は、第1のボディ部材に形成される第1の通路と、第2のボディ部材に形成され、一端が前記第1の通路に連通するとともに他端が収納空間12に連通する第2の通路と、からなり、
収納空間12の圧力をタンクに解放するドレーン30が設けられ、
切換弁3のポート28から収納空間12に供給される作動油が斜板とピストンの摺接部やシリンダブロックを支持する軸受などが発する摩擦熱をボディ10の外へ逃がすので、収納空間12内の温度が過度に上昇する恐れはなく、摺接部の焼き付き等を心配することなく長時間の高速運転が行える、
二速油圧モータ。」

4.判断
(1)取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
本件特許発明1と甲第2号証に記載された発明を対比すると、本件特許発明1が、フラッシング通路が「前記ケースに形成され、一端が前記ベース側フラッシング通孔に連通すると共に他端が前記ケーシング室に連通するケース側フラッシング通孔」を含み、前記フラッシング通路から取り出され前記ケーシング室に導かれた作動液を排出する「前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有する」のに対し、甲第2号証に記載された発明は当該事項を有しない点で相違する。
そして、この相違点である「前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有する」ことについては、甲第3号証にも記載されていない。
したがって、本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
ア.特許法第29条第1項について
特許異議申立申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開2004-125092号公報)に記載された発明であると主張している。
本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明を対比すると、前者が、フラッシング通路が「前記ケースに形成され、一端が前記ベース側フラッシング通孔に連通すると共に他端が前記ケーシング室に連通するケース側フラッシング通孔」を含み、「前記フラッシング通路から取り出され前記ケーシング室に導かれた作動液はドレン通路を通じて排出され、前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有する」のに対し、後者は当該事項を有していない。
したがって、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明ではなく、特許異議申立人の前記主張は理由がない。
イ.特許法第29条第2項について
(ア)特許異議申立申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基いて、甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証(特開2009-299531号公報)に記載された技術に基いて、並びに甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであると主張している。
本件特許発明1と甲第2号証に記載された発明を対比すると、前記のとおり,本件特許発明1が、フラッシング通路が「前記ケースに形成され、一端が前記ベース側フラッシング通孔に連通すると共に他端が前記ケーシング室に連通するケース側フラッシング通孔」を含み、前記フラッシング通路から取り出され前記ケーシング室に導かれた作動液を排出する「前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有する」のに対し、引用発明は当該事項を有しない点で相違する。
そして、この相違点である「前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有する」ことについては、甲第4号証には記載されておらず、特許異議申立人が特許異議申立書において周知技術と主張する技術でもない。
したがって、本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明に基いて、甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された技術に基いて、又は甲第2号証に記載された発明及び特許異議申立人が特許異議申立書において周知技術と主張する技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許異議申立人の前記主張は理由がない。
(イ)訂正前の請求項1に係る発明は、甲第5号証(特開2002-98034号公報)に記載された発明に基いて、甲第5号証に記載された発明及び甲第3号証又は甲第4号証に記載された技術に基いて、並びに甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明1と甲第5号証に記載された発明を対比すると、前記のとおり,本件特許発明1が、フラッシング通路が「前記ケースに形成され、一端が前記ベース側フラッシング通孔に連通すると共に他端が前記ケーシング室に連通するケース側フラッシング通孔」を含み、前記フラッシング通路から取り出され前記ケーシング室に導かれた作動液を排出する「前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有する」のに対し、甲第5号証に記載された発明は当該事項を有しない点で相違する。
そして、この相違点である「前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有する」ことについては、甲第3号証及び甲第4号証には記載されておらず、特許異議申立人が特許異議申立書において周知技術と主張する技術でもない。
したがって、本件特許発明1は、甲第5号証に記載された発明に基いて、甲第5号証に記載された発明及び甲第3号証若しくは甲第4号証に記載された技術に基いて、又は甲第5号証に記載された発明及び特許異議申立人が特許異議申立書において周知技術と主張する技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許異議申立人の前記主張は理由がない。

第4 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、ほかに請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動液圧源から第一、第二モータ通路を通して給排される作動液によって回転作動するモータ機構を備える液圧モータであって、
前記モータ機構を収容するケーシング室を画成するケーシングと、
前記ケーシング室に連通され、前記第一、第二モータ通路のうち低圧側から作動液の一部を取り出すフラッシング通路と、を備え、
前記モータ機構は、
斜板と、
作動液圧によって前記斜板に追従して往復動する複数のピストンと、
前記ピストンを介して回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックの回転を出力する出力軸と、を備え、
前記ケーシングは、
前記第一、第二モータ通路が設けられるベースプレートと、
前記出力軸を支持するケースと、を備え、
前記フラッシング通路は、
前記ベースプレートに形成されるベース側フラッシング通孔と、
前記ケースに形成され、一端が前記ベース側フラッシング通孔に連通すると共に他端が前記ケーシング室に連通するケース側フラッシング通孔と、によって画成され、
前記フラッシング通路から取り出され前記ケーシング室に導かれた作動液はドレン通路を通じて排出され、前記ドレン通路は、前記ケースに形成され一端が前記ケース側フラッシング通孔の前記他端に対向して前記ケーシング室に連通するドレン通孔を有することを特徴とする液圧モータ。
【請求項2】
作動液圧源から第一、第二モータ通路を通して給排される作動液によって回転作動するモータ機構を備える液圧モータであって、
前記モータ機構を収容するケーシング室を画成するケーシングと、
前記ケーシング室に連通され、前記第一、第二モータ通路のうち低圧側から作動液の一部を取り出すフラッシング通路と、
前記シリンダブロックとともに回転するブレーキディスクと、
前記ケーシング室の作動液を排出するドレン通路と、を備え、
前記モータ機構は、
斜板と、
作動液圧によって前記斜板に追従して往復動する複数のピストンと、
前記ピストンを介して回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックの回転を出力する出力軸と、を備え、
前記ケーシングは、
前記第一、第二モータ通路が設けられるベースプレートと、
前記出力軸を支持するケースと、を備え、
前記フラッシング通路は、
前記ベースプレートに形成されるベース側フラッシング通孔と、
前記ケースに形成されるケース側フラッシング通孔と、によって画成され、
前記フラッシング通路から取り出した作動液が前記ケーシング室に導かれ、
前記ケーシング室は、前記ブレーキディスクによって前記斜板を収容する斜板収容室と、ブレーキ前室と、に仕切られ、
前記フラッシング通路の出口と前記ドレン通路の入口とがそれぞれ斜板収容室に開口することを特徴とする液圧モータ。
【請求項3】
前記ドレン通路は、前記ケーシング室に開口する複数本のドレン通孔によって画成されることを特徴とする請求項2に記載の液圧モータ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-09-25 
出願番号 特願2012-36218(P2012-36218)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (F03C)
P 1 652・ 113- YAA (F03C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 尾崎 和寛  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 久保 竜一
中川 真一
登録日 2016-02-26 
登録番号 特許第5891064号(P5891064)
権利者 KYB株式会社
発明の名称 液圧モータ  
代理人 須藤 淳  
代理人 後藤 政喜  
代理人 須藤 淳  
代理人 飯田 雅昭  
代理人 特許業務法人後藤特許事務所  
代理人 後藤 政喜  
代理人 特許業務法人後藤特許事務所  
代理人 飯田 雅昭  

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