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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A61M 審判 全部申し立て 2項進歩性 A61M |
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管理番号 | 1335173 |
異議申立番号 | 異議2017-700132 |
総通号数 | 217 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-01-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-02-10 |
確定日 | 2017-12-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第5969559号発明「吸入器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5969559号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第5969559号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成21年10月21日(以下、「原出願日」という。)に出願された特願2011-532464号の一部を、平成26年9月4日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願としたものであって、平成28年7月15日にその特許権の設定登録がされ、同年8月17日に特許掲載公報が発行された。 これに対し、平成29年2月10日付けで特許異議申立人白井雅恵(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年5月18日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年8月21日に意見書が提出された。 2 本件特許発明 本件特許の請求項1の特許に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、平成28年8月17日付け特許掲載公報の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 3 当審の取消理由の概要 本件特許に対して、平成29年5月18日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、以下(1)、(2)のとおりである。 (1) 取消理由1 本件特許発明は甲第1号証(特開平2-124081号公報)に記載された発明であるから、本件特許は特許法第29条第1項第3号に該当の規定に違反してなされたものである。 (2) 取消理由2 本件特許発明は甲第1号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第2号証(国際公開第2007/131449号)、甲第3号証(特開平11-89551号公報)乃至甲第4号証(特開平7-147965号公報)に開示された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 4 各甲号証の記載事項 (1)甲第1号証 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 A 「本発明は、エアロゾルを発生するために、電気抵抗性加熱部材と電気パワー源とを使用するエアロゾル供給物品に関するものである。本発明の物品は、風味のあるエアロゾルまたはエアロゾル形式の薬物を供給できる。」(公報3頁右上欄3?5行) B 「第1図を参照すると、エアロゾル供給物品10が使い捨てカートリッジ12と再度利用可能な把持形制御器具14とを備える。使い捨てカートリッジ12は電気接続プラグ16とエアロゾル形成物質を担持する抵抗性加熱部材18と吸い口フィルタ22と弾性の外被24とを備える。制御器具14は、好ましくは、ケース部材26と、圧力感応性切替手段の形態を有する吸引作動電流賦活機構28と、時間基準形の電流制御回路30と(電池34Aと34Bとして図示される)電池電源34が装入されるチャンバ32とを有する。 使い捨てカートリッジ12で使用される抵抗性加熱部材18は、好ましくは、有効なエアロゾルの形成が行われるために適当量のエアロゾル形成物質を担持するために、広表面積を有しそして吸着性で孔質そして吸湿性の性質を有する繊維材料である。適当な加熱部材が好ましくは約50m2/g以上の表面積を有し、さらに好ましくは、約250m2/g以上の表面積を有し、そして最も好ましくは約1000m2/g以上の表面積を有するものである。 加熱部材は通常低質量と低密度と適度の抵抗率を有しそして使用中の温度で熱的に安定であることが好ましい。この種の加熱部材は、急激に熱くなりそして冷えかくしてエネルギの効果的な使用が行われる。また加熱部材の急激な加熱動作によって、エアロゾル形成物質の即座の揮発が行われる。急激な冷却動作により、エアロゾルの形成が所望されない時間中のエアロゾル形成物質の相当な揮発(それゆえ浪費)が回避される。この種の加熱部材はまた、特に本発明の好ましい時間基準形の電流制御手段が採用される場合、エアロゾル形成物質が出会う温度範囲の相当に正確な制御を可能にする。 好ましい抵抗性加熱部材には、ニューヨーク州ニューヨーク所在のアメリカン・キノール社からカタログ番号CFY-0204-1、CFY-0204-2およびCFY-0204-3として入手可能なカーボン繊維のヤーン(糸)が含まれる。この種のヤーンは報告によれば、約1500m2/gの面積を有しそして約10ないし約30mΩ・cmの抵抗率を有する。カーク-オスマー(Kirk-Othmer)による、刊行物「Encycl.Chem.Tech.」(第16巻、第3版、135ページ?136ページ、1981年発行)を参照されたい。この種のヤーンの代表的な長さが約15mmないし約50mmの範囲である。別の好ましい加熱部材には、アメリカン・キノール社からカタログ番号CN-157(HC)、CN-210(HC)、ACN-211-10、ACN-157-10として入手可能な活性化されたカーボンフェルトおよびカーボンフェルトが含まれる。この種のフェルトは標準的には、約1500m2/gの面積を有しそして約5ないし約30mΩ・cmの抵抗率を有する。この種のフェルトは、第4図?第6図を参照しつつ以下に詳述されるように、約4mmないし8mmの直径を有する円盤の形式で使用できる。別の適当な加熱部材には、孔質の金属ワイヤまたはフィルム、カーボンヤーン、カーボンクロス、カーボン繊維、カーボンディスクまたはカーボンストリップ、グラファイトの柱状物、グラファイト織物または塗料、適当な抵抗率を有する微小孔構造の高温度ポリマー、抵抗性加熱成分と緊密な接触状態の孔質基体および同様物が含まれる。 好ましくは、加熱部材18は、エアロゾル形成物質が加熱部材と熱交換関係状態にあるよう、エアロゾル形成物質が含浸されるかまたはエアロゾル形成物質を担持する。本発明で使用されるエアロゾル形成物質は、加熱部材が熱を発生している時間中エアロゾルを形成することができる。このような物質は好ましくは、炭素、水素および酸素から成るが、水のような別の材料も使用できる。エアロゾル形成物質は、固体、半固体、または液体の形態を有することができる。適当なエアロゾル形成物質の例として、水、エタノール、グリセリンやプロピレングリコールやトリエチレングリコールのような多価アルコール、ステアリン酸メチルやドデカンジ酸ジメチルやテトラドデカンジ酸ジメチルなどのモノカルボン酸またはジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル、メントールやチョコレートやコーヒーやフルーツや人工フルーツなどの香料(風味)、および同様物、ならびに、その混合物、ならびに、薬物または上述のエアロゾル形成物質の任意のものと薬物との混合物が含まれる。」(公報7頁左上欄2行?8頁左上欄5行) C 「電気接続プラグ16は、好ましくは、弾性があり電気的に絶縁性の材料例えば熱可塑性材料から製造される。電気接続プラグ16は、コネクタ40、41を介して加熱部材18の端部へ接続される2つの電気コネクタピンまたは突部38、39を備える。電気コネクタピン38、39は、制御器具14の電気接続受け部材44に配置される電気的端子42、43と係合する。電気接続プラグ16はまた通路部46をも備え、管48が圧力感応性切替手段28から通路部46を通じて延長している。第1A図に図示されているように、電気コネクタピン38、39および通路部46は、電気接続プラグ16の長手軸線について偏倚している。 電気接続プラグ16の長手方向の一部がその周囲に好ましくはプレス嵌めされる熱可塑性プラスチック管の形態を有する鍔部材49によって囲包されるのが好ましい。鍔部材49は、順次、チップ紙52またはそのほかの適当な手段、例えば接着手段やプレス嵌め手段または同様物などを使用し、外被24を介して、使い捨てカートリッジの残余の部分に固定される。好ましくは、鍔部材49は、吸引中、使い捨てカートリッジを通じて周囲空気の流れを提供する一つまたはそれ以上の周辺部空気入り口開口54を備える。代替え的に、空気入り口開口は、使い捨てカートリッジを通じて使用者の口へ向かう吸引された周囲空気が抵抗性加熱部材を通過するように、使い捨てカートリッジの差し込み側の最先端部または使い捨てカートリッジの周囲のいずれの場所にも配置できる。」(公報8頁右下欄6行?9頁左上欄16行) D 「使用する場合には、使用者は、使い捨てカートリッジ12の電気接続プラグ16を制御器具14の受け部材44へ挿入する。この行為によって、圧力感応性切替手段28と制御回路30と電池34A、34Bと抵抗性加熱部材18との電気的な接続が行われる。また、この行為によって、圧力感応性切替手段28と使い捨てカートリッジの内部との間に気流連絡が提供される。使用者が使い捨てカートリッジの吸い込み端部を吸引すると、周囲空気が空気入口54を通じて使い捨てカートリッジに流入する。圧力作動切替手段28は吸引中の使い捨てカートリッジ内の空気圧のある感知された変化に応答しそして加熱部材の通電が行われる。その結果、加熱部材は温度が上昇し引き続きエアロゾル形成物質を熱しそして揮発させる。揮発されたエアロゾル形成物質は吸い込み空気と混合しそしてエアロゾルを形成する。(エアロゾルまたは蒸気の形態の)揮発されたエアロゾル形成物が吸い口フィルタ22を退出し使用者の口に入る。」(公報10頁右上欄8行?左下欄7行) E 「使用者が使い捨てカートリッジの吸引を停止すると、圧力作動切替手段28は再び使い捨てカートリッジ内の気圧の感知された変化に応答しそして加熱部材を通る電流が停止される。その結果、加熱部材およびエアロゾル形成物質の温度は、エアロゾル形成物質の揮発温度以下に素早く低下し、そしてエアロゾルの形成が停止する。このプロセスは、(i)エアロゾルの供給が使用者が所望するレベルよりも以下に低下するまで、または(ii)使用者が必要とする投与レベルよりも以下に低下するまで、一吹かしの後の一吹かしと通常少くとも約6回の一吹かしの間継続する。」(公報10頁左下欄19行?右上欄10行) F 「第4図を参照すると、例示の実施例は、加熱部材が(好ましくはアメリカン・キノール社のカーボンフェルトから作られる)円形のディスクまたはパッドであること以外は、第1図の実施例とほぼ同様である。パッドは気流透過性でありそして開口54を通り使い捨てカートリッジ12に流入する吸引空気が加熱部材18を通過するように、環状の鍔部49の空気通路83を横切って配置される。プラグ74からの電気接続ピン85、86が加熱部材に接触しそして加熱部材を鍔部49に対して適所に保持するのを助ける。」(公報11頁右上欄12行?左下欄2行) G 「第1図は、本発明による物品の長手方向の部分断面図である。・・・第4図?第6図は、本発明の好ましい物品の使い捨て部分と制御器具との長手方向の部分断面図である。」(公報20頁右上欄7?18行) H 第1図及び第4図より、「使い捨てカートリッジ12が、筐体部分及び該筐体部分内の内部空間を備え、該内部空間に空気入り口開口54が連通しているとともに、該内部空間内に抵抗性加熱部材18が配置されている」ことが見て取れる。 I 摘記事項D及びEを併せ読めば、「エアロゾルの供給は一吹かしの後の一吹かしと通常少なくとも約6回の一吹かしの間継続する」ものといえる。 摘記事項A?G、図示内容H及び認定事項Iを、原出願日における技術常識をふまえて整理すると、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているということができる。 「エアロゾルを、間欠的に吸引と同期して生成するための使い捨てカートリッジ12であって、 使い捨てカートリッジ12の筐体部分と、 使い捨てカートリッジ12の筐体部分内の内部空間と、 前記内部空間と連通して、周囲空気の流れを提供する空気入り口開口54と、 カーボンフエルトから作られた円形かつ気流透過性のディスクまたはパッドからなり、担持されたエアロゾル形成物質を加熱して揮発させる抵抗性加熱部材18であって、揮発したエアロゾル形成物質は、空気入り口開口54を通り使い捨てカートリッジ12に流入する吸引空気と内部空間内で混合してエアロゾルを形成する抵抗性加熱部材18と、 エアロゾルの供給は一吹かしの後の一吹かしと通常少なくとも約6回の一吹かしの間継続するようになっている抵抗性加熱部材18を有している使い捨てカートリッジ12において、 抵抗性加熱部材18が前記内部空間内に配置されて前記吸引空気が通過する、使い捨てカートリッジ12。」 (2)甲第2号証 甲第2号証には、以下の技術的事項(以下、「甲2事項」という。)が記載されている。(日本語訳については、甲第2号証1及び甲第2号証の対応公表公報である特表2009-537119号公報を参考とした。) 「多孔質部材81に電熱線83を巻き付けてアトマイザ8を構成するとともに、多孔質部材81の一端をたばこボトルアセンブリに接合して、毛細含浸によりたばこ液をアトマイザ8に供給すること」 (3)甲第3号証 甲第3号証には、以下の技術的事項(以下、「甲3事項」という。)が記載されている。 「使用者の吸引動作により、毛細管36の出口端部36b内の液状香味発生源34がヒーター42の熱によりガス化されると、新たな液状香味発生源34が液体容器32から毛細管力により毛細管36の出口端部36bに供給すること」 (4)甲第4号証 甲第4号証には、以下の技術的事項(以下、「甲4事項」という。)が記載されている。 「タバコ香味媒体220と支持層231の積層体であるウエブ230を、繰出しリールと巻取りリール及び案内部材によりヒータと適切に接触して保持するとともに、ウエブ230の空気流路に露出した部分と反対側の面をヒータと接触させることにより、タバコ香味物質を空気流路中に発生させること」 5 当審の判断 (1)取消理由1について ア 対比 本件特許発明と甲1発明とを、原出願日における技術常識をふまえて対比すると、その構成、機能又は技術的意義からみて、甲1発明の「エアロゾル」は本件特許発明の「蒸気-空気混合物又は/及び凝縮エアロゾル」に相当し、以下同様に「使い捨てカートリッジ12」は「吸入器コンポーネント」に、「使い捨てカートリッジ12の筐体部分」は「ケース」に、「内部空間」は「チャンバ」に、「空気入り口開口54」は「吸気口」に、「揮発させる」は「気化させる」に、「エアロゾル形成物質」は「液状材料」に、「揮発したエアロゾル形成物質」は「蒸気」に、「一吹かし」は「一回の気化工程」に、それぞれ相当する。 また、甲1発明の「抵抗性加熱部材18」は、本件特許発明の「電気式発熱体」、「芯」及び「複合体」の機能を備えているとともに、「ディスクまたはパッド」の形状であるから、一応、本件特許発明の「面状複合体」ということができる。 しかしながら、甲1発明の抵抗性加熱部材18は、一吹かしが終了すると「新たな」エアロゾル形成物質が「自動的に供給されるようになっている」か明らかでない。 してみると、本件特許発明と甲1発明とは、本件特許発明は、電気式発熱体において、一回の気化工程が終了すると「新たな」液状材料が「前記発熱体に自動的に供給されるようになっている」のに対し、甲1発明はそうであるか明らかでない点(以下、「相違点」という。)で、少なくとも相違する。 イ 判断 相違点について、実質的に相違するものでないか否かを検討する。 甲第1号証の摘記事項Bの「使い捨てカートリッジ12で使用される抵抗性加熱部材18は、好ましくは、有効なエアロゾルの形成が行われるために適当量のエアロゾル形成物質を担持するために、広表面積を有しそして吸着性で孔質そして吸湿性の性質を有する繊維材料である。・・・加熱部材18は、エアロゾル形成物質が加熱部材と熱交換関係状態にあるよう、エアロゾル形成物質が含浸されるかまたはエアロゾル形成物質を担持する。」との記載からみて、甲1発明のエアロゾル形成物質は、予め抵抗性加熱部材18に担持されている一方、エアロゾル形成物質が、使用開始後に別部材から供給されることは記載されていない。そして、エアロゾルの供給は一吹かしの後の一吹かしと通常少なくとも約6回の一吹かしの間継続するのであるから、抵抗性加熱部材18には、一吹かしで揮発されるエアロゾル形成物質が少なくとも約6回分担持されており、それが一吹かし毎に徐々に揮発されるものと解することができる。 してみると、甲1発明は、「新たな」エアロゾル形成物質が抵抗性加熱材料18に「自動的に供給される」ものということができず、上記相違点は実質的なものであり、本件特許発明と甲1発明とは同一ということはできない。 よって、本件特許は、特許法第29条第1項第3号に該当の規定に違反してなされたものでない。 なお、異議申立人は、この点に関し、甲第1号証の抵抗性加熱部材18について、電気接続ピン85,86によって電流が流れる領域(領域A)と、電気接続ピン85,86よりも外側の領域(領域B)が存在し、領域Aに担持されたエアロゾル形成物質が加熱されて蒸発し、消費され、これと同時又はこの後、消費されたエアロゾル形成物質を補うように、領域Bに担持されたエアロゾル形成物質が毛管現象により移動することから、甲第1号証の使い捨てカートリッジ12も、新たなエアロゾル形成物質を、発熱部分に自動的に供給する機能を有している旨主張する(特許異議申立書14頁下から3行?16頁2行)。しかしながら、先に検討したとおり、甲第1号証の抵抗性加熱部材18は、一吹かしで揮発されるエアロゾル形成物質が少なくとも約6回分担持されており、それが一吹かし毎に徐々に揮発されるものであって、そのようなエアロゾル形成物質が「新たな」ものであるということはできないし、抵抗性加熱部材18の中で、領域Aと領域Bが生じ、領域Bから領域Aにエアロゾル形成物質が毛管現象により移動することがあるとしても、エアロゾル形成物質は同一の抵抗性加熱部材18の中で移動しているにすぎないから、「新たな」エアロゾル形成物質が抵抗性加熱部材18に「自動的に供給される」ものということはできない。 (2)取消理由2について 上記取消理由1についての検討をふまえ、さらに取消理由2について検討すると、上記相違点に関し、甲第2、3号証から「芯に含浸された液体が気化したときに、液体収容有孔部材や液体容器等の液体のタンク又はリザーバーから芯を介して液体を自動的に加熱部材に供給すること」が周知の事項であったとしても、上記(1)イで検討したように、一吹かしで揮発されるエアロゾル形成物質が少なくとも約6回分担持されている抵抗性加熱部材18を備えた甲1発明において、あえて別体の液体のタンク又はリザーバーから芯を介してエアロゾル形成物質を自動的に供給する動機づけは見出せず、本件特許発明に係る相違点のように構成することが容易であったということはできない。 また、甲第4号証に、タバコ香味媒体からなる面状のウエブを面状のヒータと接触させて、面状複合体を形成するとともに、この面状複合体は.無接触方式で配置され、片面が露出していることが開示され、また甲第1号証を含む複数の文献に、そのような事項が開示され、周知の事項であったとしても、それらを甲1発明に適用しても、本件特許発明に係る相違点の構成に至らないことは明らかである。 よって、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものでない。 3 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-11-28 |
出願番号 | 特願2014-179732(P2014-179732) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
Y
(A61M)
P 1 651・ 121- Y (A61M) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 安田 昌司 |
特許庁審判長 |
高木 彰 |
特許庁審判官 |
熊倉 強 内藤 真徳 |
登録日 | 2016-07-15 |
登録番号 | 特許第5969559号(P5969559) |
権利者 | バットマーク・リミテッド |
発明の名称 | 吸入器 |
代理人 | 平木 祐輔 |
代理人 | 関谷 三男 |