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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A01K 審判 訂正 2項進歩性 訂正する A01K 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する A01K 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A01K 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A01K |
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管理番号 | 1335337 |
審判番号 | 訂正2017-390077 |
総通号数 | 218 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-02-23 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2017-08-07 |
確定日 | 2017-11-16 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5939749号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5939749号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第5939749号は、平成23年7月11日に出願されたものであって、その請求項1ないし4に係る発明は平成28年5月27日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成29年8月7日に請求項1ないし4に係る発明について本件訂正審判が請求されたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5939749号の明細書(以下「本件特許明細書」という。)及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3 訂正の内容 本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「【請求項1】 左右のフレームに左右カバーを取着して構成される左右側板を具備したリール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、 前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、 前記駆動モータの出力を調整する操作部材と、 を有する魚釣用電動リールにおいて、 前記操作部材は、略円筒形状に構成され、前記スプールのフランジ前端よりも後方側で、前記左右のフレームに左右カバーが取着されて構成される少なくとも前記左右の側板の一方の上部に、手の親指で転がし操作が可能となるように露出した状態で前記スプールのスプール軸と平行に支持された支軸に前後方向に回転可能に支持されており、 前記略円筒形状の操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5?12mm突出した状態で支持されていることを特徴とする魚釣用電動リール。」 とあるのを、 「【請求項1】 左右のフレームに左右カバーを取着して構成される左右側板を具備し、釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさに構成されたリール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、 前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、 前記駆動モータの出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整する操作部材と、 前記駆動モータの駆動を制御する制御部を収容し、表面に表示部が設けられた制御ケースと、 を有する魚釣用電動リールにおいて、 前記操作部材は、略円筒形状に構成され、前記スプールのフランジ前端よりも後方側およびフランジ後端よりも前方側で、かつ前記制御ケース後方側で、前記左右のフレームに左右カバーが取着されて構成される少なくとも前記左右の側板の一方の上部に、釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指の腹部で前後方向に転がし操作が可能となるように操作面の円弧領域が露出した状態で前記スプールのスプール軸と平行に支持された支軸に前後方向に回転可能に支持されると共に、前記釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指で上方から押え付けて前記転がし操作した回転操作量に応じて前記駆動モータの出力を連続的に増減調整可能であり、 前記略円筒形状の操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5?12mm突出した状態で支持されており、前記側板の略円筒形状の操作部材の周囲は、転がし操作される操作部材の位置を親指で感知できるように表面を窪ませて形状変化していることを特徴とする魚釣用電動リール。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 明細書の段落【0007】に 「【0007】 上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用電動リールは、左右のフレームに左右カバーを取着して構成される左右側板を具備したリール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、前記駆動モータの出力を調整する操作部材と、を有しており、前記操作部材は、略円筒形状に構成され、前記スプールのフランジ前端よりも後方側で、前記左右のフレームに左右カバーが取着されて構成される少なくとも前記左右の側板の一方の上部に、手の親指で転がし操作が可能となるように露出した状態で前記スプールのスプール軸と平行に支持された支軸に前後方向に回転可能に支持されており、前記略円筒形状の操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5?12mm突出した状態で支持されていることを特徴とする。」 とあるのを、 「【0007】 上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用電動リールは、左右のフレームに左右カバーを取着して構成される左右側板を具備し、釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさに構成されたリール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、前記駆動モータの出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整する操作部材と、前記駆動モータの駆動を制御する制御部を収容し、表面に表示部が設けられた制御ケースと、を有しており、前記操作部材は、略円筒形状に構成され、前記スプールのフランジ前端よりも後方側およびフランジ後端よりも前方側で、かつ前記制御ケース後方側で、前記左右のフレームに左右カバーが取着されて構成される少なくとも前記左右の側板の一方の上部に、釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指の腹部で前後方向に転がし操作が可能となるように操作面の円弧領域が露出した状態で前記スプールのスプール軸と平行に支持された支軸に前後方向に回転可能に支持されると共に、前記釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指で上方から押え付けて前記転がし操作した回転操作量に応じて前記駆動モータの出力を連続的に増減調整可能であり、前記略円筒形状の操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5?12mm突出した状態で支持されており、前記側板の略円筒形状の操作部材の周囲は、転がし操作される操作部材の位置を親指で感知できるように表面を窪ませて形状変化していることを特徴とする。」 に訂正する。 第4 当審の判断 1 訂正事項1について (1)訂正の目的の適否について 訂正事項1は、「リール本体」及び「操作部材」について、次のとおりより具体的に特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としているといえる。 ア 「リール本体」について、 (ア)「釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさ」であること、 (イ)「前記駆動モータの駆動を制御する制御部を収容し、表面に表示部が設けられた制御ケース」を備えるものであること、 (ウ)「前記側板の略円筒形状の操作部材の周囲は、転がし操作される操作部材の位置を親指で感知できるように表面を窪ませて形状変化している」こと、 に特定するものである。 イ 「操作部材」について、 (ア)「駆動モータの出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整する」ものであること、 (イ)「前記スプールのフランジ前端よりも後方側およびフランジ後端よりも前方側で、かつ前記制御ケース後方側」に配置するとともに、「釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指の腹部で前後方向に転がし操作が可能となるように操作面の円弧領域が露出した状態」で配置すること、 (ウ)「前記釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指で上方から押え付けて前記転がし操作した回転操作量に応じて前記駆動モータの出力を連続的に増減調整可能で」あること、 に特定するものである。 (2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて 上記(1)で説示したように、訂正事項1は、訂正前に特定されていた「リール本体」及び「操作部材」についてより具体的に特定するものであって、発明のカテゴリー、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。 (3)願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて ア 「リール本体」について (ア)「釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさ」であることは、本件特許明細書(願書に添付した明細書)の段落【0029】に「本実施形態のリール本体5は、釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさに構成されており、上記した操作部材30は、リール本体5を、竿取付部5aを介して釣竿に装着した際に、図8及び図9に示すように、釣竿Rとともにリール本体5を把持保持した状態の手の親指Tが届く位置に配設されている。」と記載されている。 (イ)「前記駆動モータの駆動を制御する制御部を収容し、表面に表示部が設けられた制御ケース」を備えるものであることは、同段落【0014】に「リール本体5を構成する左右側板5A,5B間のスプール7の上方には、駆動モータ8を制御する制御部100(制御基板100A,100Bを有する)を収容した箱型の制御ケース15が配設されている。」、及び、同段落【0031】に「前記制御ケース15の表面には、繰り出された釣糸の長さ(糸長情報)などを表示する表示部(液晶表示部)16が設けられており、また、その周囲には、各種の情報が設定可能な複数の操作ボタン16a,16bが配設されている。」と記載されている。 (ウ)「前記側板の略円筒形状の操作部材の周囲は、転がし操作される操作部材の位置を親指で感知できるように表面を窪ませて形状変化している」形状であることは、同段落【0021】に「この場合、制御ケース15の後方の左側板側には、前記操作部材30が配置される領域に、制御ケース15の表面15bから落ち込むように凹所15Bが形成されており、前記凹陥部15Aは、その凹所15Bの範囲内で略円筒形状の操作部材30が配置されるように、下方側が半円状に窪んだ形状となっている(図5参照)。・・・また、制御ケース15の表面15bから窪んだ凹所15Bを形成し、その凹所内に操作部材30を配置しておくことで、リール本体5を把持した状態で、視認しなくても、親指で凹所15Bの位置が把握でき、これにより、感覚的に操作部材30が存在する位置を正確に認識することが可能となる。すなわち、操作部材30の周囲を凹状に窪ませておくなど、親指で感知できるように、表面を形状変化させておくことで、感覚的に操作部材30の正確な位置を把握させ易くすることが可能となる。」と記載されている。 イ 「操作部材」について (ア)「駆動モータの出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整する」ものであることは、同段落【0030】に「上記した制御ケース15には、図7に示されるように、駆動モータ8の駆動を制御する制御部100が収容されており、操作部材30の回転操作量に応じて駆動モータ8の出力を調整するようになっている。」、及び、同段落【0032】に「前記制御基板100Aは、操作部材30の支軸31の操作角度に応じて操作位置信号を出力する前記角度センサ130、スプール7に巻回されている釣糸の繰り出し量を検知することが可能な糸長計測装置、制御ケース15上に設けられた液晶表示部16に対して各種の情報を表示させる表示制御回路、制御ケース15上に設けられた操作ボタン16a,16b、及び駆動モータ8の出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整するモータ駆動回路との間で信号の送受信を行い、魚釣用電動リールの動作を制御する。」と記載されている。 (イ)「前記スプールのフランジ前端よりも後方側およびフランジ後端よりも前方側で、かつ前記制御ケース後方側」に配置すること、及び、「釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指の腹部で前後方向に転がし操作が可能となるように操作面の円弧領域が露出した状態」で配置することは、同段落【0020】に「前記制御ケース15の後方部分、特に、図4に示すように、スプール7のフランジ7fの前端位置Pfよりも後方側には、駆動モータ8の出力を調整する操作部材30が配置されている。本実施形態の操作部材30は、制御ケース15の後方側で、左側板5Aの上部で回転可能となるように支持されており、制御ケース15に対して、スプール軸7aと略平行に支持された支軸31の左側板側端部に、略前後方向D1に向けて回転操作可能に装着されている。また、本実施形態の操作部材30は、親指を前後方向にスライドさせて、親指の腹部で転がし操作が可能となるように略円筒形状に構成されており、その操作面30a(親指を接触させて操作される外表面であり、操作部30aとも称する)の略上半分の円弧領域が露出した状態となっている。」、及び、同段落【0037】に「本実施形態の操作部材40は、制御ケース15の後方側で、スプール7のフランジ7f後端より前方側に、左側板5A上に凹所5eを形成し、その凹所5e内に設置されている。」、及び、同段落【0039】に「操作部材40は、スプール7のフランジ7f後端より前方側に配置するのが、操作性および把持性において、より好ましい(後方側に操作部を配置するに従い、指の長さが余り、折り曲げて操作・把持することになる。従って、やや前方側がより好ましい。)。」と記載されている。 (ウ)「前記釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指で上方から押え付けて前記転がし操作した回転操作量に応じて前記駆動モータの出力を連続的に増減調整可能で」あることは、同段落【0020】に「本実施形態の操作部材30は、親指を前後方向にスライドさせて、親指の腹部で転がし操作が可能となるように略円筒形状に構成されており、その操作面30a(親指を接触させて操作される外表面であり、操作部30aとも称する)の略上半分の円弧領域が露出した状態となっている。」、同段落【0023】に「前記操作部材30(操作部30a)は、上記したように、上方から押え付けて転がすような操作ができるよう露出した状態で回転可能に支持されているが、図5に示すように、周辺の表面(本実施形態では、制御ケース15の凹所15Bの表面15d)に対して、その操作部(操作面)30aが突出した状態となっている。」、及び、同段落【0032】に「前記制御ケース15に収容される制御部100は、魚釣用電動リールの動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等を実装した制御基板(マイクロコンピュータ)100A、及び各種駆動回路を実装した回路基板100Bを備えており、これらは、省スペース化のため、表示部16の下方で上下方向に重なるように配置されている。すなわち、前記制御基板100Aは、操作部材30の支軸31の操作角度に応じて操作位置信号を出力する前記角度センサ130、スプール7に巻回されている釣糸の繰り出し量を検知することが可能な糸長計測装置、制御ケース15上に設けられた液晶表示部16に対して各種の情報を表示させる表示制御回路、制御ケース15上に設けられた操作ボタン16a,16b、及び駆動モータ8の出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整するモータ駆動回路との間で信号の送受信を行い、魚釣用電動リールの動作を制御する。」と記載されている。 ウ 以上のとおりであるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。 (4)請求項2ないし4について 訂正事項1は請求項1を訂正するものであるから、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2ないし4についても、請求項1と同様に特許請求の範囲の減縮を目的として訂正するものである。 2 訂正事項2 訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的としているといえる。 また、訂正事項2は、訂正事項1と同様の訂正であるから、上記1で検討したように、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。 3 独立特許要件について 上記1で検討したとおり、訂正事項1は、請求項1ないし4に関して、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、特許法第126条第7項の規定により、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1ないし4に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。 (1)本件発明 本件訂正後の請求項1ないし4に係る発明(以下「本件発明1」などという。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 左右のフレームに左右カバーを取着して構成される左右側板を具備し、釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさに構成されたリール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、 前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、 前記駆動モータの出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整する操作部材と、 前記駆動モータの駆動を制御する制御部を収容し、表面に表示部が設けられた制御ケースと、 を有する魚釣用電動リールにおいて、 前記操作部材は、略円筒形状に構成され、前記スプールのフランジ前端よりも後方側およびフランジ後端よりも前方側で、かつ前記制御ケース後方側で、前記左右のフレームに左右カバーが取着されて構成される少なくとも前記左右の側板の一方の上部に、釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指の腹部で前後方向に転がし操作が可能となるように操作面の円弧領域が露出した状態で前記スプールのスプール軸と平行に支持された支軸に前後方向に回転可能に支持されると共に、前記釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指で上方から押え付けて前記転がし操作した回転操作量に応じて前記駆動モータの出力を連続的に増減調整可能であり、 前記略円筒形状の操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5?12mm突出した状態で支持されており、前記側板の略円筒形状の操作部材の周囲は、転がし操作される操作部材の位置を親指で感知できるように表面を窪ませて形状変化していることを特徴とする魚釣用電動リール。 【請求項2】 前記操作部材の操作角度を検知する角度センサを有しており、前記角度センサの少なくとも一部を、前記操作部材の内部に配設したことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。 【請求項3】 前記操作部材は、前記制御ケースに回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用電動リール。 【請求項4】 前記操作部材は、前記角度センサの軸に取り付けられ、前記側板を構成するフレームとフレームに装着される前記カバーとの間に支持されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の魚釣用電動リール。」 (2)公知技術 本件特許に関連する公知技術として、以下の公知文献及び公知製品として開示されたものがある。 公知文献1:特開2001-169700号公報 公知文献2:特開2003-92959号公報 公知文献3:特開2000-83538号公報 公知文献4:特開2000-270736号公報 公知文献5:実願平1-132797号(実開平3-71769号)のマイクロフィルム 公知文献6:特開2005-95086号公報 公知文献7:特開2001-169701号公報 公知文献8:特開2004-229601号公報 公知文献9:特開2006-87426号公報 公知文献10:特開2005-204567号公報 公知製品:リョービ社製リールVS300(2002年カタログ掲載) ア 公知文献1 (ア)公知文献1に記載された事項 公知文献1には、次の事項が記載されている(下線は審決で付加した。以下同様。)。 a 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、手動魚釣操作と電動魚釣操作の切換を容易に且つ誤操作すること無く確実に行うことができると共に、リール本体の重量バランスの偏寄を緩和させた魚釣操作性に優れた魚釣用電動リールに関する。」 b「【0003】 【発明が解決しようとする課題】 ところで、従来の魚釣用電動リールでは、上述したモータ出力調節体(電動魚釣操作部)と、スプールに釣糸を巻回するための手動巻取用ハンドル(手動魚釣操作部)とが、小型化及び小スペース化されたリール本体の同一側部に配設されている。この場合、これら両操作部の配置位置が相互に近接してしまうため、リール本体の一側部の構成配置が煩雑化し、その結果、手動魚釣操作と電動魚釣操作の切換を誤操作し易くなってしまう。 【0004】 また、上記の両操作部をリール本体の同一側部に配設したことによって、リール本体の重量バランスが一側部に偏寄して、リール本体の安定性が低下し、その結果、魚釣操作性が低下してしまう。 【0005】 本発明は、このような問題を解決するために成されており、その目的は、手動魚釣操作と電動魚釣操作の切換を容易に且つ誤操作すること無く確実に行うことができると共に、リール本体の重量バランスの偏寄を緩和させた魚釣操作性に優れた魚釣用電動リールを提供することにある。」 c 「【0006】 【課題を解決するための手段】 このような目的を達成するために、本発明の魚釣用電動リールは、リール本体に回転可能に支持されたスプールと、このスプールを駆動するためのスプール駆動モータと、このスプール駆動モータのモータ出力を増減変更するための変速装置と、前記リール本体の一側部に設けられ、スプールを回転させることによって手動魚釣操作を行うことが可能な手動巻取用ハンドルとを備えており、前記リール本体の手動巻取用ハンドルが装着される一側部を除くリール本体には、モータ出力を増減調節することによって電動魚釣操作を行うことが可能なモータ出力調節体を変位可能に設けたことを特徴とする。」 d 「【発明の実施の形態】・・・ 【0008】 図1及び図2に示すように、リール本体4の一側部(図中右側)には、手動巻取用ハンドル2が取り付けられており、このリール本体4の左右フレーム(図示しない)の間には、スプール軸6が軸受によって回転可能に支持されていると共に、このスプール軸6を囲繞するようにスプール8が配置されている。」 「【0013】 また、左右フレームの間には、釣糸巻取時にスプール8を回転駆動させるスプール駆動モータ24(以下、モータと言う)が保持されており、このモータ24には、左フレーム方向(反ハンドル側)に延出した左側駆動軸26、及び、右フレーム方向(ハンドル側)に延出した右側駆動軸28が設けられている。」 「【0021】 このような魚釣用電動リールには、モータ出力(モータ24の回転運動)を増減調節することによって電動魚釣操作を行うことが可能なモータ出力調節体40が設けられている。本実施の形態では、モータ出力調節体40は、リール本体4の反ハンドル側(上記一側部に対向した反ハンドル側)に設けられている。具体的には、モータ出力調節体40は、リール本体4の反ハンドル側で且つ前方側(釣糸繰出方向側)の上部(更に具体的には、スプール8の回転軸芯6’よりも上方側)に前後方向に向けて回動可能に取り付けられている。なお、本実施の形態では、その一例として、リール本体4の右側にハンドル2を配置し且つ左側にレバー形態のモータ出力調節体40を配置したが、逆に、リール本体4の左側にハンドル2を配置し且つ右側にモータ出力調節体40を配置しても良いことは言うまでも無い。」 「【0024】 以上の実施の形態では、ハンドル2とモータ出力調節体40がリール本体4の左右の両側部に振り分け配置されているため、釣竿又はリール本体4を保持する手を持ち換えるだけで手動魚釣操作と電動魚釣操作のいずれか一方の操作形態に切り換えることができ、手動魚釣操作と電動魚釣操作の切換を容易に且つ誤操作すること無く確実に行えるようになる。」 「【0026】 また、モータ出力調節体40をスプール8の回転軸芯よりも上方側に配置したことによって、釣り人がリール本体4を握持した状態で且つ指や手の無理のない姿勢でモータ出力調節体40を変位操作することができる。この結果、釣り場の状況に応じたモータ出力の幅広い増減調節が可能となる。 【0027】 なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されることは無く、以下のように構成することが可能である。 【0028】 第1の変形例として、例えば図3及び図4に示すように、モータ出力調節体40を、リール本体4の反ハンドル側で且つ後方側(釣糸巻取方向側)の上部(具体的には、スプール8の回転軸芯6’よりも上方側)に回転可能に取り付けても同様の作用効果を得ることができる。 【0029】 また、上述した実施の形態及び第1の変形例では、回転操作式のモータ出力調節体40を例にとって説明したが、第2の変形例として、例えば図5に示すように、モータ出力調節体40をリール本体の反ハンドル側において、スライド操作式に構成しても良い。この場合、スライド操作方法としては、例えば図6(a)に示すように、操作部40aを直線方向Sにスライド操作することによってモータ出力を増減調節する形態や、例えば図6(b)に示すように、操作部40aを略円弧方向Tにスライド操作することによってモータ出力を増減調節する形態を適用することが可能である。」 「【0031】 また、表示ケース50には、糸長や棚位置等を表示する表示部51に加え、モータ出力を、その出力値に応じて発光素子等によりアナログ的に視認できるアナログ表示部52(最大出力の40%であれば、発光素子を4個点灯)及び/又はデジタル表示部53(最大出力の40%であれば、液晶表示部に40を表示)を設けておくことが好ましい。このような表示部を設けることで、現在のモータの出力状態を直ちに認識することができ、魚釣操作性がさらに向上する。 【0032】 図8は、本発明の第3の実施形態を示す図である。 この実施の形態では、スプール8の後方の側板間に配設されているサムレスト55に、前後方向に回転操作可能なモータ出力調節体40を設けている。この場合、モータ出力調節体40はリール本体を保持した手の指の操作によって容易に回転可能であり、その出力はモータ出力調節体40の回転両(審決注:「両」は「量」の誤記である。)に関係無く、アナログ表示部52やデジタル表示部53によって容易に認識可能となっている。 【0033】 このような実施の形態においても、上記した実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。尚、図中Pは、リール本体4の側板内に設けられたモータ出力調節体40の回転量によって変化する抵抗値を、図示しないリール本体4内の制御装置へ入力するポテンショメータである。」 「【0035】 以上のように、本発明においては、モータ出力調節体40を、リール本体4の手動巻取用ハンドル2が設けられる側板以外の様々な部分に配設することが可能である。」 e 図面について (a)図3及び図4には、モータ出力調節体40が、リール本体4の後方側で、一方の側方部に前後方向に回転可能に装着された態様が図示されている。 (b)図5には、モータ出力調節体40の操作部40aが、リール本体4の一方の側方上部に、その表面から露出した状態で、前後方向に移動可能に設けられた態様が図示されている。 (c)図6(b)には、図5の一態様(一変形)として、操作部40aが、前後方向に略円弧状に移動可能に設けられた態様が図示されている。 (d)図8には、モータ出力調節体40の操作部が、リール本体4の後方側の中央部に、露出した状態で、前後方向に回転可能に設けられた態様が図示されている。また、図8からモータ出力調節体40の操作部は略円筒形状であると解される。 (e)段落【0008】の「リール本体4の左右フレーム(図示しない)の間には、スプール軸6が軸受によって回転可能に支持されていると共に、このスプール軸6を囲繞するようにスプール8が配置されている」との記載事項、段落【0032】の「スプール8の後方の側板間に配設されている」との記載事項、及び、段落【0033】の「リール本体4の側板」との記載事項を踏まえると、図3、図5、及び、図8には、スプール8がリール本体4の左右側板間に設けられていることが図示されているといえる。なお、リール本体が左右の側板から構成されることは、公知文献2(段落【0010】など参照。)に開示されているように自明である。 (イ)公知文献1に記載の発明の認定 公知文献1の「制御装置」は、上記(ア)dで摘記した段落【0021】、【0033】の記載事項から、スプール駆動モータ24を制御するものであると解される。加えて、同段落【0031】の記載事項、及び、制御装置がその性質上からケース内に納められるものであることを踏まえると、「制御装置」は「表示ケース50」に収容されていると解される。 よって、公知文献1には、上記(ア)で摘記した事項及び図示内容、特に図5及び図6(b)の態様からみて、次の発明(以下「公知発明1」という。)が記載されていると認められる。 「リール本体4の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプール8と、前記リール本体4に設けられ、スプール8を回転駆動するスプール駆動モータ24と、前記スプール駆動モータ24の出力を調節するモータ出力調節体40と、前記スプール駆動モータ24を制御する制御装置を収容した表示ケース50と、を有する魚釣用電動リールにおいて、前記モータ出力調節体40の操作部40aが、リール本体4の一方の側方上部に、その表面から露出した状態で、前後方向に略円弧状に移動可能に設けられている、魚釣用電動リール。」 イ 公知文献2 (ア)公知文献2に記載された事項 公知文献2には、次の事項が記載されている。 a 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、リ-ル本体に回転自在に支持されたスプ-ルを巻き取り駆動するモ-タを備えた魚釣用電動リ-ルの改良に関する。」 b 「【0004】 【発明が解決しようとする課題】 解決しようとする問題点は、出力調節部材がハンドル側にあって手動操作と電動操作の切換えが誤操作し易くなったり、重量偏倚し、リ-ル本体の安定性も劣ってしまったり、モ-タ出力調節体を設けた位置がリ-ル本体を握持保持した状態での手の親指の自然な移動操作で操作し難い位置にあってリ-ル本体の十分な保持を図りながら釣場の状況に応じたモ-タによる自動巻き取り操作を容易かつ確実に行えないことである。 【0005】 本発明の目的は前記欠点に鑑み、リ-ルを保持した状態を維持しながら手の親指の自然な移動操作でモ-タ出力を調節操作し易い魚釣用電動リ-ルを提供することである。」 c 「【0006】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために、請求項1に係わる本発明は、リ-ル本体に回転可能に支持されたスプ-ルと、該スプ-ルを駆動するためのスプ-ル駆動モ-タと、該スプ-ル駆動モ-タのモ-タ出力を増減調節するモ-タ出力調節体を、前記リ-ル本体に手動操作可能に設けられた魚釣用電動リ-ルにおいて、前記モ-タ出力調節体の操作部を前記リ-ル本体のスプ-ル上方の側板間上面より突出する状態でかつリ-ル本体を握持保持した状態の手の親指で移動操作可能な位置に変位可能に設けたことを要旨とするものである。」 d 「【発明の実施の形態】・・・【実施例】・・・ 【0010】 魚釣用電動リ-ルのリ-ル本体Aは枠体1とリ-ル側板2、3で構成されている。枠体1は左右両側枠1a、1bと図示しない支柱とリ-ル脚10の固定板1cと指載せ板1dが一体に、かつ左右両側枠1a、1bが平行に保持されて左右両側枠1a、1bの外側には夫々リ-ル側板2、3が取り付けられている。リ-ル側板2、3の夫々内側の両側枠1a、1b間にはスプ-ル11がスプ-ル軸12に固定されて回転可能に支持されている。両側枠1a、1b間の前方上側に制御ケ-ス13が載せられて固定され、制御ケ-ス13に表示部14と複数の押し釦15とモ-タ出力調節体Bが設けられている。 【0011】 モ-タ出力調節体Bは回動式バリアブルレジスタ(可変抵抗器)16と回動ツマミからなる操作部5で構成されて操作部5の上部は制御ケ-ス13の透孔から外部に突出され、操作部5の位置はリ-ル本体Aのスプ-ル11上方で側板2、3間上面より突出する状態でかつリ-ル本体Aを握持保持した状態の手の親指で移動操作可能な位置に回動変位可能に設けている。操作部5には変位量が目視できる指標部5aが形成されている。バリアブルレジスタ16は電源に対して直列抵抗器式に接続されたり、分圧抵抗器式に接続されている。制御ケ-ス13の下方に穿設された透孔1e、1fにモ-タ収容ケ-ス17が嵌合されて取り付けられている。モ-タ収容ケ-ス17内にはスプ-ル駆動モ-タ18と減速機構を内蔵したボックス19が収容されて蓋体20で閉塞され、スプ-ル駆動モ-タ18は蓋体20で保持されている。 【0012】 スプ-ル駆動モ-タ18の給電コ-ド21、22は蓋体20から引き出され、給電コ-ド21はモ-タ出力調節体Bの回動式バリアブルレジスタ16に接続され、給電コ-ド22と回動式バリアブルレジスタ16に接続された給電コ-ド23は制御回路を通した後、リ-ル側板2の下側後部に突出部2aが形成されて背面に設けられた給電接続部24の内部端子に接続されている。モ-タ収容ケ-ス17内のスプ-ル駆動モ-タ18の回転軸25にボックス19内の減速機構が連結され、減速機構の出力軸26はモ-タ収容ケ-ス17から突出されて歯車27が固定されている。枠体1の左側枠1aから突出したスプ-ル軸12には歯車28が回り止め嵌合されて抜け止めされている。歯車28は中間歯車29を介して歯車27に噛合されている。スプ-ル11はスプ-ル駆動モ-タ18とリ-ル側板3の外側に設けたハンドル30で回転される。 【0013】 歯車27にはスプ-ル11の回転数や糸長計測用のマグネット31が固定されている。リ-ル本体Aのリ-ル側板2の内側の左側枠1aの外側には保持部32が突出固定されてマグネット31と対向する位置にホ-ル素子、リ-ドスイッチ等の磁気センサ-33、34が固定されている。図6の制御回路のブロック図で、磁気センサ-33に糸長演算回路35と巻取/繰出し判別回路36に接続されている。磁気センサ-34は巻取/繰出し判別回路36に接続されている。糸長演算回路35と巻取/繰出し判別回路36はCPUからなる制御回路37に接続され、制御回路37には表示部14と記憶手段38と比較手段39と前記複数の押し釦15のスイッチが接続されている。記憶手段38と比較手段39が接続されている。 【0014】 糸長演算回路35はマグネット31が固定された歯車27の一回転を磁気センサ-33で検出して糸長に変換する回路である。巻取/繰出し判別回路36は磁気センサ-33、34のどちらが先にマグネット31を検出したかを判別する回路で、スプ-ル11が釣糸40の繰出しで回転されると、磁気センサ-34が先にマグネット31を検出するので釣糸繰出し信号を出力し、磁気センサ-33が先にマグネット31を検出する時は釣糸巻取信号を出力するように構成されている。表示部14にはスプ-ル11の回転数やスプ-ル11に巻回される釣糸40の繰り出しや巻き取りによる糸長のほか糸張力等を表示するようにしてもよい。 【0015】 魚釣用電動リ-ルの動作は、スプ-ル11に釣糸40が巻回されるためにスプ-ル駆動モ-タ18が回転されると、ボックス19内の減速機構を介してスプ-ル軸12とスプ-ル11が回転される。制御ケ-ス13の透孔から外部に突出されたモ-タ出力調節体Bの操作部5が、リ-ル本体Aのスプ-ル11上方で側板2、3間上面より突出する状態でかつリ-ル本体Aを握持保持した状態の手の親指で回動変位操作されると、回動式バリアブルレジスタ16の抵抗値が調節されてスプ-ル駆動モ-タ18の回転数が変速される。」 e 「【0019】 図9は第2実施例で、図9は魚釣用電動リ-ルの平面図である。 【0020】 第2実施例では、モ-タ出力調節体Bは回動式バリアブルレジスタ16と回動ツマミからなる操作部5で構成されて操作部5の上部は制御ケ-ス13の透孔から外部に突出されると共に透孔と操作部5は前記第1実施例に対して親指の回動移動操作の軌跡に略沿って傾斜して配置され、操作部5の位置はリ-ル本体Aのスプ-ル11上方で側板2、3間上面より突出する状態でかつリ-ル本体Aを握持保持した状態の手の親指で移動操作可能な位置に回動変位可能に設けている。他の構成は前記第1実施例と略同一である。」 f 図面について (a)図7には、操作部5が回動式バリアブルレジスタ16の回転軸に装着されている構成が図示されている。また、図7から操作部5は略円筒形状であることが見て取れる。 (b)図9には、操作部5が、制御ケース13の後方側で、その表面から露出した状態で配設されているとともに、斜め方向に回動変位可能である構成が図示されている。 (イ)公知文献2に記載の発明の認定 公知文献2の「制御ケース13」には、上記(ア)dで摘記した段落【0010】ないし【0015】の記載事項から、CPUからなる制御回路37などの制御装置が収容されていると解される。また、その制御装置はスプール駆動モータ18を制御するものともいえる。 よって、公知文献2には、上記(ア)で摘記した事項及び図示内容、特に図9の態様からみて、次の発明(以下「公知発明2」という。)が記載されていると認められる。 「リール本体Aの左右側板2,3間に設けられ、釣糸が巻回されるスプール11と、前記リール本体Aに設けられ、スプール11を回転駆動するスプール駆動モータ18と、前記スプール駆動モータ18の出力を調節するモータ出力調節体Bと、表示部14とモータ出力調節体Bとスプール駆動モータ18を制御する制御装置が設けられた制御ケース13と、を有する魚釣用電動リールにおいて、前記モータ出力調節体Bは回動式バリアブルレジスタ(可変抵抗器)16とその回転軸に装着された回動ツマミからなる操作部5で構成され、前記操作部5は、側板2、3間で、前記制御ケース13の後方側で、その表面から露出した状態に配設されるとともに、斜め方向に回動変位可能であり、操作部5が回動変位操作されると、回動式バリアブルレジスタ16の抵抗値が調節されてスプール駆動モータ18の出力が調節される、魚釣用電動リール。」 ウ 公知文献3 (ア)公知文献3に記載された事項 公知文献3には、次の事項が記載されている。 a 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、モータ出力調整手段を備えた魚釣用電動リールに関する。」 b 「【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】 特開平5-153888号公報が開示する電動リールは、スプール駆動モータの駆動速度を出力停止状態から多段階に調整するモータ出力調整手段を設けることによって、該モータ出力調整手段を操作するのみで電動巻き上げのスタート及び速度調節を任意に行うことができるようになっている。 【0003】 しかし、この電動リールはモータ出力調整手段である出力調整レバーをリール本体のハンドル側の側板上における前部に備えるものであるため、ハンドルを回動操作する手をハンドルから離してモータ出力の調整をしなければならない。また、出力調整レバーをリール本体の反ハンドル側に設けることも考えられるが、その場合は釣竿を把持する他の手でリール本体のハンドル側を把持してモータ出力調整をしなければならない。 【0004】 このため、大きな獲物を取り込む場合のように両方の手でリールの前部と後部とを把持した場合には、モータ出力調整をしながら獲物とのやりとりをすることができず、釣場の移動等で早く仕掛けを巻き取りたい場合にハンドルを操作しながらモータの出力調整とモータの停止操作をすることができないという問題がある。 【0005】 また、この電動リールは、モータ出力調整手段の出力調整レバーをリール本体の側部に設けるものであるため、獲物とのやりとり等で釣竿を左右に振って船縁等に電動りールをぶつけたり、獲物の取り外しや餌の取り替え時に電動リールを落としたりした場合に、出力調整レバーが損傷しやすいという問題がある。また、ハンドルを操作する手が出力調整レバーに接触しやすく、そのため不意にモータが作動して獲物を取り逃がしたりしてしまう等の問題もある。」 c 「【0006】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するため、請求項1の発明は、リール本体(1)の側板(2,3)間に手動ハンドル(7)により回転可能に支持されたスプール(4)と、該スプール(4)を回転駆動するリール本体(1)又はスプール(4)内に装着されたスプール駆動モータ(8)と、該スプール駆動モータ(8)のモータ出力を出力停止状態から多段階に調整可能に上記リール本体(1)に変位操作可能に設けられたモータ出力調整手段(38,39等)とを備えた魚釣用電動リールにおいて、上記モータ出力調整手段(38,39等)がリール本体(1)の側板(2又は3)の後部周面上に配置された魚釣用電動リールを採用する。 【0007】 また、請求項2の発明は、上記リール本体(1)の側板(2,3)間における上記スプール(4)の後方に、上記スプール(4)と上記手動ハンドル(7)及び上記スプール駆動モータ(8)とを駆動連結した釣糸巻き上げ状態と該駆動連結を解除した釣糸繰り出し状態との間で切り換えるクラッチ機構(15等)の操作部(20)が設けられた請求項1に記載の魚釣用電動リールを採用する。」 d 「【発明の実施の形態】」 「【0010】 図1乃至図4に示されるように、この魚釣用両軸受型電動リールは、リール本体1の左右の枠板1a,1b上に側板2,3を一体的に有し、両側板2,3間にスプール4を有する。スプール4は、左右両枠板1a,1bにボールベアリング5,6を介して回転可能に支承され、以下に述べるようにハンドル7又はモータ8で駆動するようになっている。」 「【0018】 一方、図3及び図4に示されるように、スプール4を駆動するためのモータ8がリール本体1の左右の枠板1a,1b間に筒状のモータケース23を介して横置きで固定されている。モータ8は図示しないバッテリにより駆動する。図5に示されるように、モータ8の駆動、停止等を行うための制御装置は、リール本体1の上部に載置されたコントロールボックス24中に設けられている。この場合モータはリール本体内に配置しているが、スプール内に配置するようにしても良い。」 「【0024】 ・・・モータ8によりスプール4を回転させると、歯車列25及び第1と第2の遊星歯車装置16,17が減速機として作用し、モータ8の回転数よりも少ない回転数でスプール4が回転し、その回りに釣糸を巻き取る。」 「【0027】 モータ出力調整手段は、図1、図2、図5及び図6中、右側の枠板1bと側板3との間であってリール後部におけるクラッチレバー20のやや上方の個所に設けられており、右側の枠板1bと側板3との間に収められて側板3の内面に固定された可変抵抗器であるポテンショメータ38と、該ポテンショメータ38のワイパを有する作動軸38aに固定される出力調整レバー39とを具備している。この実施の形態ではモータ出力調整手段としてポテンショメータ38を用いているが、リードスイッチ等他の手段を用いることもできる。 【0028】 ポテンショメータ38の作動軸38aは、枠板1bを側板3と反対側に貫通し、ブッシュ45を介して枠板1bに回転可能に支持されている。作動軸38aの枠板1bを貫通した先端にはナット46が螺合している。作動軸38aの中央から先端に亘る個所は横断面非円形に形成され、そこには円盤状の作動板47が作動軸38aと共回り可能に取り付けられている。 【0029】 出力調整レバー39は、このリールの外部から操作することができるように側板3及び枠板1bの外面上に設けられ、且つ側板3の後部周面上に配置されている。また、出力調整レバー39はハンドル側の側板3に設けるのが操作性を高める上で望ましいが、反ハンドル側の側板2に設けるようにしてもよい。出力調整レバー39が当てられる側板3及び枠板1bの外面は、上記作動軸38aを中心として湾曲する湾曲面48とされ、出力調整レバー39はこの湾曲面48に被さる摘み部39aと上記ナット46に被さる補強部39bとを有する。摘み部39aは止めネジ49及びカラー50を介して上記作動板47に固定され、補強部39bは上記ナット46に被さるように固定されることにより、出力調整レバー39は上記作動軸38aに固定される。止めネジ49及びカラー50は側板3上の湾曲面に沿って形成された長孔51を貫通している。」 e 「【0039】 【発明の効果】 請求項1に係る発明によれば、モータ出力調整手段をリール本体の両側板の後部周面上に配置したので、大きな獲物を取り込み中等に両方の手でリールの前部と後部とを把持した場合でも、リールの後部を把持した手でモータ出力調整手段を操作しながらの獲物とのやりとりができる。・・・」 f 図面について 上記dの段落【0027】,【0029】の記載事項を踏まえて第1及び2図を見ると、出力調整レバー39は前後方向に回転可能であるといえる。 (イ)公知文献3に記載の発明の認定 公知文献3には、上記(ア)で摘記した事項及び図示内容からみて、次の発明(以下「公知発明3」という。)が記載されていると認められる。 「リール本体1の側板2,3間に回転可能に支持された釣糸を巻き取るスプール4と、該スプール4を回転駆動するリール本体1に装着された駆動モータ8と、該駆動モータ8のモータ出力を出力停止状態から多段階に調整可能にする出力調整レバー39と、リール本体1の上部に載置されたコントロールボックス24中に設けられた駆動モータ8の駆動、停止等を行うための制御装置とを備えた魚釣用電動リールにおいて、出力調整レバー39は、リール本体1の側板3及び枠板1bの外面上に設けられ、且つ側板3の後部周面上に配置されている、魚釣用電動リール。」 エ 公知文献4 (ア)公知文献4に記載された事項 公知文献4には、次の事項が記載されている。 a 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、モータ出力調整手段を備えた魚釣用電動リールに関する。」 b 「【従来の技術】」 「【0005】 かかる問題点を解決するため、本出願人は、モータ出力調整手段をリール本体の後部に回動操作可能に設けることで、釣竿に取り付けた電動リールの後方を把持した手によってモータ出力調整手段を操作することができるようにした電動リールを先の出願において提案した。」 オ 公知文献5 (ア)公知文献5に記載された事項 公知文献5には、次の事項が記載されている。 a 「〔産業上の利用分野〕 本考案は、釣り用リールに備えられた電気機器の作動モードの設定、あるいは、作動、非作動の選択を行う制御機構を密封型のケースの内部に配置する・・・」(明細書2頁2?6行) b 「〔考案が解決しようとする課題〕 ここで、第7図に示す如く構成されたスイッチング系について考えるに、この構成では制御機構に対して海水等の侵入を防止するという観点から、密封型のケースの内部にホール素子等を備えて、このスイッチング系を非接触型に構成してある・・・」(同4頁9?15行) c 「〔課題を解決するための手段〕 本考案の特徴は、前述の如く、電気機器の制御手段を密封型のケースに収め、このケースの外部に操作具と一体的に移動する永久磁石を配置し、ケースの内部に磁気感知手段を配置して成る釣り用リールの制御装置において・・・」(同6頁10?15行) d 「特に本考案では、操作具を、円板状に成形し、ケースの端部から一部だけ露出するよう、ケースと重ね合す状態で配置することも可能であり、このように操作具を配置すると、操作具の配置スペースをより小さくできるばかりで無く、ケースによって操作具が保護されるので、リールを誤って落下させた場合でも操作具を破損し難く、しかも、誤って手が触れようとしても、ケースに遮られるので誤操作も生じ難いものにできるという効果も奏する。」(同9頁7?16行) e 「第4図及び第5図に示すように、リール本体の側部に設けられたハンドル(1)からの回動操作力をスプール(2)に伝える手動巻き取り系と、スプール(2)に内装された直流型電動モータ(3)からの動力をスプール(2)に伝える電動巻き取り系と、スプール(2)の回転力が伝えられるレベルワインド機構(4)とを備え、更に、リール本体(B)の上部に電動モータ(3)の駆動速度の調節、及び、釣り糸の繰り出し量から棚のレベルを表示するための制御機構(5)を収めた密封型のケース(6)を備えて電動リールが構成されている。」(同9頁下から1行?10頁11行) f 「第1図及び第2図に示すように、前記ケース(6)の内部には前記制御機構(5)を構成するマイクロプロセッサ、及び、棚のレベルをデジタル数字で表示する液晶ディスプレイ(7)夫々を備えた基板(8)が収められ、更に、この基板(8)の側部には磁気感知手段として2つのホール素子(9a),(9b)が設けられている。」(同10頁12?18行) g 「このケース(6)の下面には、電動モータ(3)の駆動速度、即ち、釣り糸の巻き取り速度を・・・設定するための操作具(11)が、前記ホール素子(9a),(9b)の配置平面と直交する軸芯(X)周りで回動自在に設けられている。」(同11頁2?8行) h 「尚、操作具(11)は円板状に構成され、・・・この操作具(11)の一部をケース(6)の側方に露出させ・・・」(同11頁13?15行) i 「そして、操作具(11)が「高速」、「中速」、「低速」夫々の位置に設定された際には、・・・前記制御機構(5)は一対のホール素子(9a),(9b)からの出力信号に基づいて電動モータ(3)の駆動モードを設定する。」(同12頁7?15行) j 図面について (a)第1図には、操作具11がケース6に支持された支軸に回転可能に装着された構成が図示されている。また、第4及び5図を考慮すると、操作具11は前後方向に回転可能であるといえる。 (b)第5図には、スプール2がリール本体Bの左右側板間に設けられている構成が図示されている。 (イ)公知文献5に記載の発明の認定 公知文献5には、上記(ア)で摘記した事項及び図示内容からみて、次の発明(以下「公知発明5」という。)が記載されていると認められる。 「リール本体Bの左右側板間に設けられ、釣り糸が巻回されるスプール2と、前記リール本体Bに設けられ、スプール2を回転駆動する電動モータ3と、前記電動モータ3の駆動速度を調節する操作具11と、前記電動モータ3を制御する制御機構5を収めた密封型のケース6と、を有する釣り用電動リールにおいて、前記操作具11は、前記ケース6の側方に露出した状態で、前記ケース6に支持された支軸に前後方向に回転可能に装着されている、釣り用電動リール。」 カ 公知文献6 (ア)公知文献6に記載された事項 公知文献6には、次の事項が記載されている。 a 「【技術分野】 【0001】 本発明は、リール本体の側板間に回転自在に支持されたスプールを、釣糸巻取り状態と釣糸放出状態の両状態に切換えるクラッチ機構を備えた魚釣用リールの改良に関する。」 b 「【背景技術】」 「【0004】 そこで、リールを保持した手の指でクラッチ機構を、ON→OFFおよびOFF→ONの両状態に切換え可能とし、釣糸放出状態時に魚が食い付いても切換部材を指で移動操作するだけでスプールを釣糸巻取り状態に切換えて素早い竿の合わせ操作を行なえるようにする技術が従来から知られている・・・」 キ 公知文献7 (ア)公知文献7に記載された事項 公知文献7には、次の事項が記載されている。 a 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、リール本体に装着したスプールモータのモータ出力を調節可能とした魚釣用電動リールに関する。」 b 「【0005】 【発明が解決しようとする課題】 しかし乍ら、一般に圧力センサ7への押圧力や押圧状態の感度は釣人によって様々で微妙に異なり、而も、上記電動リール1は圧力センサ7による出力調節の程度が目視できず、また、モータ出力の状態が指9を通して実感できずに、専ら押す力の度合いだけでモータ出力を調節するものであるため、状況に応じたモータ出力を容易に設定することができない欠点が指摘されていた。 【0006】 本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、状況に応じたスプールモータのモータ出力が容易に設定可能な電動リールを提供することを目的とする。」 c 「【発明の実施の形態】」 「【0015】 而して、本実施形態に係る電動リール41は、上述の如き従来と同様の構成に加え、操作パネル37近傍の側板17に、リール本体15を握持する左手42の親指42aで押圧操作可能な操作スイッチ(モータ出力調節部)43を出没可能に設けて、当該操作スイッチ43の押圧変位操作で、スプールモータ25のモータ出力を連続的に増減変更可能としたものである。」 d 図面について 図1からは、モータ出力調節用の操作スイッチ43が、リール本体15の後方側方の上部に配置されていることが見て取れる。 ク 公知文献8 (ア)公知文献8に記載された事項 公知文献8には、次の事項が記載されている。 a 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ルアーフィッシングや棚取りを行う船釣り等に好適な魚釣用リールに関する。 」 b 「【0005】 【発明が解決しようとする課題】 ところで、上述の如き構造の魚釣用リールでルアーフィッシングを行う場合、釣人はルアーアクションを、ロッドを握持した手でのロッド操作と、反対側の手による巻取り操作を使い分けて行わなければならない。 ・・・ 【0007】 ・・・本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、棚取りやシャクリの最中でも、ハンドルの巻取り操作によらずロッドの持ち手操作で釣糸の巻取りを可能とし、併せてスプールフリーを良好にした魚釣用リールを提供することを目的とする。 c 「【0008】 【課題を解決するための手段】 斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、リール本体の側板間に回転自在に支持したスプールを、ハンドル操作による巻取り駆動状態とフリー回転状態とに切り換えるクラッチ機構を備えた魚釣用リールに於て、上記リール本体に、補助巻取り専用モータと当該補助巻取り専用モータの操作部材を装着し、当該操作部材の変位操作で補助巻取り専用モータを駆動/停止可能とすると共に、ハンドルの巻取り操作で回転するスプールと連動回転する回転体と上記補助巻取り専用モータとの間に、補助巻取り専用モータの駆動力を回転体に伝達させる動力伝達機構を装着し、当該動力伝達機構を、前記操作部材のモータ停止操作で回転体から分離可能としたことを特徴とする。 【0009】 そして、請求項2に係る発明は、請求項1記載の魚釣用リールに於て、回転体は、反ハンドル側のスプール軸に装着されたスプールギヤであることを特徴とする。」 d 「【0030】 【発明の効果】 以上述べたように、各請求項に係る発明によれば、スプールのフリー回転性及び通常の手動巻取り操作性に支障を来すことなく、釣糸の微妙な補助巻取り操作を、ロッドを保持した手の指によるワンタッチ操作で容易に行える利点を有する。」 ケ 公知文献9 (ア)公知文献9に記載された事項 公知文献9には、次の事項が記載されている。 a 「【技術分野】 【0001】 本発明は、魚釣用電動リールの給電方法に関し、特に、釣糸が巻回されるスプールの駆動用モータに給電するための魚釣用電動リールの給電方法に関する。」 b 「【発明が解決しようとする課題】」 「【0011】 本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、釣竿およびリール本体を保持した状態で操作する際に支障となるコードを不要とし、釣竿の保持スペースを制限することなく、スプール駆動モータに給電して電動巻き上げ操作することのできる魚釣用電動リールの給電方法を提供することを目的とする。」 c 「【発明の効果】」 「【0019】 また、スプールを支持するスプール軸より前方且つ下方の反ハンドル側側板に設けた給電接続部に連結部を介して接続される携帯用電源装置を、給電接続部の下方に配置する場合には、リールと釣竿を握持する保持スペースを携帯用電源装置が邪魔することなく形成でき、リール及び釣竿を保持しながらの魚釣り操作(電動巻き上げ操作や合わせ操作等)を支障なく円滑に行うことができる。」 d 「【発明を実施するための最良の形態】」 「【0034】 また、スプールSを支持するスプール軸Saより前方且つ下方の反ハンドル側側板14aに設けた給電接続部32に連結部56を介して接続される携帯用電源装置50を、給電接続部32の下方に配置する場合には、リール10と釣竿8を握持する保持スペースE(図2に二点鎖線で範囲を示すスペース)を携帯用電源装置50が邪魔することなく形成でき、リール10及び釣竿8を保持しながらの魚釣り操作(電動巻き上げ操作や合わせ操作等)を支障なく円滑に行うことができる。」 e 図面について 図1ないし5には、リール及び釣竿を片方の手で保持する態様が図示されている。 コ 公知文献10 (ア)公知文献10に記載された事項 公知文献10には、次の事項が記載されている。 a 「【技術分野】 【0001】 本発明は、リール本体に回転自在に取り付くスプールを巻取り駆動するスプールモータを備えた魚釣用電動リールに関する。」 b 「【背景技術】」 「【0004】 ところで、実際に電動リールを使用する場合、リール本体の枠体の下部に設けた脚部を釣竿側のリール取付部(リールシート)に装着,固定して、釣竿と共にリール全体を手で握持して釣糸の繰出しや巻取り等の魚釣り操作が行われる。」 c 「【発明が解決しようとする課題】」 「【0006】 このため、この電動リールによれば、リール全体を手でしっかり保持し難く、また、魚信を容易,確実に感知することができない虞がある。更に、片手で電動リールと釣竿を保持し乍ら、クラッチの切換操作やスプールへのサミング操作も容易に行えない等の課題を残していた。本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、更なるリール全体の小型,軽量化を図って操作性に優れた電動リールを提供することを目的とする。」 d 「【発明を実施するための最良の形態】」 「【0022】 そして、寸動スイッチ53の操作でスプールモータ17が駆動して、微妙な棚位置調整やシャクリ操作ができるようになっているが、寸動スイッチ53とパワーレバー51は別回路となっており、パワーレバー51の操作中に寸動スイッチ53を操作すると、スプールモータ17は寸動スイッチ53の押圧操作時のみ駆動し、また、寸動スイッチ53からパワーレバー51の操作に切り換える際には、安全性を考慮して一度パワーレバー51をモータ出力「0」の位置まで戻さなければ、パワーレバー51によるスプールモータ17の駆動ができないように構成されている。 【0023】 また、図1に示すように寸動スイッチ53に隣接して表示器63後方の操作パネル61上には、凹状の指載置部69が左右方向に設けられており、指載置部69の側板5側は大きく平面視円形状に広がり、また、指載置部69の底部は親指の指先に合わせて略弧状に窪んだ形状とされている。そして、指載置部69の側板7側に前記寸動スイッチ53が隣接して配設されており、このように表示器63後方の操作パネル47上に親指の指載置部69を設けたことで、実釣時に本実施形態に係る電動リール71の確実な握持が可能となる。 【0024】 更に、上述の如く指載置部69の側板7側に寸動スイッチ53を隣接して配設した構造上、指載置部69に載置した親指による寸動スイッチ53の誤操作の虞があるため、寸動スイッチ53を囲繞する環状の隆起部73が、周辺の操作パネル61より上方へ一体に突設されており、指載置部69に載置した親指が側板7側にズレたときに、親指が隆起部73の外周に接触して釣人にその旨を気付かせると同時に、親指による寸動スイッチ53の誤操作を隆起部73が積極的に防止するようになっている。」 「【0032】 加えて、本実施形態は、・・・ 実釣時に、電動リール71を保持する手の親指を指載置部69に載置することで、電動リール71の小型化と相俟って電動リール71をより確実に保持することができ、また、電動リール71を保持した状態で指載置部69から親指をクラッチレバー49にずらしてこれを押圧操作すれば、クラッチ機構47がクラッチONからクラッチOFFに切り換わることとなる。 【0033】 従って、本実施形態によれば、電動リール71を保持した状態でのクラッチの切換操作が容易となり、電動リール71に於て、手巻き感覚の魚釣り操作が可能となると共に、電動リール71を保持する手の親指を無理なく指載置部69に載置できるため、電動リール71を容易且つ確実に保持できる利点を有する。・・・」 サ 公知製品 リョービ社製のVS300は、次のような技術が開示されている(請求書16頁下から2行?17頁8行を参照。)。 「スプール前方の左右側板上に配設された制御ケースの上面に、駆動モータのON/OFFボタンと、2段階変速ボタンとを突没するように配設した、小型の電動リール。」 (3)進歩性の判断 ア 公知文献1ないし10、及び、公知製品には、本件発明1の「釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさに構成されたリール本体」に設けられた「操作部材」について、「略円筒形状に構成され、前記スプールのフランジ前端よりも後方側およびフランジ後端よりも前方側で、かつ前記制御ケース後方側で、前記左右のフレームに左右カバーが取着されて構成される少なくとも前記左右の側板の一方の上部に、釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指の腹部で前後方向に転がし操作が可能となるように操作面の円弧領域が露出した状態で前記スプールのスプール軸と平行に支持された支軸に前後方向に回転可能に支持されると共に、前記釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指で上方から押え付けて前記転がし操作した回転操作量に応じて前記駆動モータの出力を連続的に増減調整可能であり、前記略円筒形状の操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5?12mm突出した状態で支持され」るように構成すること(以下「構成A」という。)が記載又は開示されていない。 加えていうと、公知文献1、2、3、5には、上記(2)ア、イ、ウ、オで述べたように公知発明1、2、3、5がそれぞれ記載されており、電動リールを装着した釣竿を片手で把持し、把持した手の親指でモータ出力調整などのスプール回転制御に係る操作部材を容易に操作しようとすることは、本件出願前において周知の課題であり、そのような作用効果を奏するものも本件出願前から種々知られており(公知文献4、6、7、8、9、10、及び公知製品を参照。)、また、電動リールにおいて、駆動モータの出力を調整する操作部材をリール本体の側方後方側に配置することも本件出願前に周知であり(公知文献2、3、4、7を参照。)、さらには、 電動リールにおいて、前後方向に回転操作可能に設けた円筒形状の操作部材も、本件出願前から周知であるとしても、操作部材について具体的に特定した本件発明1の上記構成Aとすることまでが、当業者にとって容易に想到できたこととはいえない。 イ 公知文献1ないし10、及び、公知製品には、本件発明1の「前記側板の略円筒形状の操作部材の周囲は、転がし操作される操作部材の位置を親指で感知できるように表面を窪ませて形状変化していること」(以下「構成B」という。)が、記載又は開示されておらず、示唆するところもない。 ウ そして、本件発明1は、上記構成A及びBとすることにより、「釣竿とリール本体を片手で容易に把持できるとともに、その手の親指でモータ出力を調整する操作部材を巧みに操作でき、更には、操作部材の操作中や急に大きな負荷がかかっても十分な把持性を有する魚釣用電動リールが得られる」(段落【0009】)とともに、「感覚的に操作部材30の正確な位置を把握させ易くすることが可能となる。」(段落【0021】)。 エ よって、本件発明1は、公知発明及び公知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2ないし4についても同様の理由で、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)むすび 上記(3)で検討した事項に加え、本件発明1ないし4が、独立して特許を受けることができないとするその他の理由は見いだせない。 よって、本件発明1ないし4(訂正後の請求項1ないし4に記載されている事項により特定される発明)について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。 第5 むすび 以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 魚釣用電動リール 【技術分野】 【0001】 本発明は、魚釣用電動リールに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、魚釣用電動リールは、主に深場の釣りに適用させるべく、仕掛けの放出から巻き取りに至るまで、釣竿を船縁に装着された竿掛けに置いたままの状態で行えるように構成されたものが多いが、最近では、手持ち状態で操作が行えるように工夫されたものが知られている。 【0003】 例えば、魚釣用電動リールのスプールを巻き取り操作する(モータ出力を連続的に可変操作する)ための操作部材を、様々な位置に配置することが知られている。例えば、特許文献1には、リール本体の側方の前方側に、モータ出力を調整するスライドレバー式の操作部材を前後方向に移動可能に支持したもの、或いは、リール本体の後方に、モータ出力を調整する回転式の操作部材を回転可能に支持したものが開示されている。また、特許文献2には、制御ケースの上面から円板状の回転摘み(操作部材)の一部を露出させ、上方から親指を押し付けながら回転操作することで、モータ出力を連続的に可変させる構成が開示されている。さらに、特許文献3には、左側板上に、プッシュボタン式のモータ出力操作部材を設置したものが開示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2001-169700号 【特許文献2】特開2003-92959号 【特許文献3】特開2001-169701号 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 上記したように、最近の魚釣用電動リールでは、ルアーフィッシングに用いられる魚釣用(ベイトキャスティング)リールと同様、手持ち状態で操作することが可能なタイプも望まれているが、従来のモータ出力を調整する操作部材の配置を工夫した魚釣用電動リールでは、操作性の面でさらに改良すべき余地がある。すなわち、釣竿とリール本体を把持する片手の親指での操作と把持の両面で満足できるものとはなっておらず、特に、釣竿とリール本体を把持する片手で、モータの出力調整操作をあらゆるシーン(単なる仕掛け回収のような巻き取りや、魚を誘う場合に応じた複雑(緩急)な巻き取り操作等)に適宜対応できるものとはなっていない。また、急激な魚の引きに対して把持状態が不安定になったり、親指が届いても、力を入れることができない位置に操作部材(操作部)があり、所望の巻き取り状態が得られない可能性もある。 【0006】 本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、釣竿とリール本体を片手で容易に把持できるとともに、その手の親指でモータ出力を調整する操作部材を巧みに操作でき、更には、操作部材の操作中や急に大きな負荷がかかっても十分な把持性を有する魚釣用電動リールを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用電動リールは、左右のフレームに左右カバーを取着して構成される左右側板を具備し、釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさに構成されたリール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、前記駆動モータの出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整する操作部材と、前記駆動モータの駆動を制御する制御部を収容し、表面に表示部が設けられた制御ケースと、を有しており、前記操作部材は、略円筒形状に構成され、前記スプールのフランジ前端よりも後方側およびフランジ後端よりも前方側で、かつ前記制御ケース後方側で、前記左右のフレームに左右カバーが取着されて構成される少なくとも前記左右の側板の一方の上部に、釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指の腹部で前後方向に転がし操作が可能となるように操作面の円弧領域が露出した状態で前記スプールのスプール軸と平行に支持された支軸に前後方向に回転可能に支持されると共に、前記釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指で上方から押え付けて前記転がし操作した回転操作量に応じて前記駆動モータの出力を連続的に増減調整可能であり、前記略円筒形状の操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5?12mm突出した状態で支持されており、前記側板の略円筒形状の操作部材の周囲は、転がし操作される操作部材の位置を親指で感知できるように表面を窪ませて形状変化していることを特徴とする。 【0008】 上記した構成の魚釣用電動リールでは、操作部材がスプールのフランジ前端よりも後方側で、少なくとも左右の側板の一方の上部に設置されているため、釣竿とリール本体を把持する片手の掌の一部が本体の側板にフィットした状態で、操作部材に親指が届き、操作した際の力を十分に伝えることができる。また、操作部材は、略前後方向に回転可能に支持されているため、露出部分を少なくしても操作領域を確保することができるとともに、把持している手の親指で回転操作した際、親指が左右にずれることがなく把持安定性が高くなる。さらに、操作部材の操作面を、その周辺の表面に対して、0.5?12mm突出した状態で支持したことにより、突出している面積を比較的小さくして、親指の腹側で操作面とリール本体の周辺部を同時に把持することができるようになり、これにより、大きな負荷が掛かっても、親指の周辺でリール本体を直接把持した状態となり、しっかりとした把持、及び操作が行えるようになる。 【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、釣竿とリール本体を片手で容易に把持できるとともに、その手の親指でモータ出力を調整する操作部材を巧みに操作でき、更には、操作部材の操作中や急に大きな負荷がかかっても十分な把持性を有する魚釣用電動リールが得られる。 【図面の簡単な説明】 【0010】 【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図。 【図2】図1に示した魚釣用電動リールを左側板側から見た側面図。 【図3】図1に示した魚釣用電動リールを後方側から見た後面図。 【図4】図1に示した魚釣用電動リールの内部機構を部分的に示した平面図。 【図5】図1のA-A線に沿う要部拡大断面図。 【図6】図1に示した魚釣用電動リールの内部駆動機構を側方から見た概略図。 【図7】図1のB-B線に沿う断面図。 【図8】釣竿とともにリール本体を把持した状態で操作部材を操作する状態を示す平面図。 【図9】図8を左側板側から見た図。 【図10】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図。 【図11】図10に示した魚釣用電動リールを左側板側から見た側面図。 【図12】図10のC-C線に沿う要部拡大断面図。 【図13】図10のD-D線に沿う要部拡大断面図。 【図14】操作部材の第1の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は中央断面図、(c)は側面図。 【図15】操作部材の第2の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は中央断面図、(c)は側面図。 【図16】操作部材の第3の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は中央断面図、(c)は側面図。 【発明を実施するための形態】 【0011】 以下、図面を参照しながら、本発明に係る魚釣用電動リールの実施形態について説明する。 図1から図7は本発明の第1の実施形態を示す図であり、図1は平面図、図2は左側板側から見た側面図、図3は後方側から見た後面図、図4は内部機構を部分的に示した平面図、図5は図1のA-A線に沿う要部拡大断面図、図6は内部駆動機構を側方から見た概略図、そして、図7は図1のB-B線に沿う断面図である。 なお、以下の説明において、前後方向、左右方向、上下方向は、図1及び図2に記載の方向と定義する。 【0012】 図1に示すように、本実施形態に係る魚釣用電動リール1は、左右のフレーム3a,3bに左右カバー(左右サイドプレート)4a,4bを取着して構成される左右側板5A,5Bを具備したリール本体5を有している。リール本体5を構成する一方の側板(右側板5B)側には、巻取り操作される手動ハンドル6が設けられており、左右側板5A,5B間には、釣糸が巻回されるスプール7が、回転軸であるスプール軸7a(図7参照)を中心に回転可能に支持されている。また、本実施形態では、図6及び図7に示すように、スプール7の前方側における左右側板5A,5B間に駆動モータ8を保持しており、スプール7は、手動ハンドル6の巻取り操作および駆動モータ8の回転駆動によって、動力伝達機構10を介して釣糸巻取り方向に回転駆動される。 【0013】 なお、駆動モータ8については、スプール7の内部に設置する構成であっても良いが、本実施形態のように、スプール7の前方に設置することで、スプール7の糸巻き量を確保しつつ、リール本体5を可及的にコンパクト化することが可能となる。また、動力伝達機構10については、駆動モータ8の回転駆動力を減速してスプール7側に伝達する機能(減速機構102および伝達ベルト103(図4参照)などによって果たされる)、駆動モータ8が回転駆動しても手動ハンドル6を連れ回しさせない機能や手動ハンドル6の逆回転を防止する機能(ラチェット104を含む)などを備えた公知のものによって構成することが可能である。また、そのような動力伝達機構10については、左側板5A側に配設されていても良いし、右側板5B側に配設されていても良く、或いは、左右側板それぞれに振り分けて配設されていても良い。なお、図中(特に図4)、符号116は、ハンドル6に結合されたハンドル軸、符号118は、ハンドル軸116に回転可能に支持されたドライブギヤ、符号120は、ドライブギヤ118に噛合するピニオンであり、これらは前述した動力伝達機構10を構成する。また、図中、符号125は、魚釣時にスプール7から釣糸が繰り出された際にスプール7の回転にドラグ力を付与する公知のドラグ機構であり、リール本体5とハンドル6との間には、ドラグ機構125によるドラグ力の調整を行なうための星型のドラグ調整ノブ(スタードラグ)139が設けられている。 【0014】 また、スプール7の前方の左右側板5A,5B間には、スプール7に対して均等に釣糸を巻回する機能を備えた公知のレベルワインド機構142(図6および図7参照)が設置されている。さらに、リール本体5を構成する左右側板5A,5B間のスプール7の上方には、駆動モータ8を制御する制御部100(制御基板100A,100Bを有する)を収容した箱型の制御ケース15が配設されている。本実施形態の制御ケース15は、リール本体を構成する左右側板5A,5Bの表面と面一状になるように構成されており、前後方向の長さ寸法が左右方向の長さ寸法よりも長く設定されている。また、制御ケース15の後端部15aは、図5に示すように、側板を構成するフレーム(図では、左フレーム3aが示されている)に対して面一となるように設置されている。 【0015】 また、リール本体5内には、前記ピニオン120を軸方向に移動させてスプール7を釣糸巻き取り状態/フリー回転状態に切り換える公知のクラッチ機構17(図4及び図6参照)が配置されている。このクラッチ機構17は、動力伝達機構10に介在されて手動ハンドル6および駆動モータ8からの動力伝達を継脱する機能を備えており、本実施形態では、右側板5B側に設置されている。このクラッチ機構17を構成するクラッチプレート17aには、動力伝達をON状態からOFF状態に切り換えるクラッチOFF切換部材18と、動力伝達をOFF状態からON状態に切り換えるクラッチON切換部材19が係合している。 【0016】 本実施形態におけるクラッチOFF切換部材18は、スプール7をサミングしながら操作が可能となるように、スプール7の後方側の左右側板5A,5B間に橋設された構成となっており、図7に示す状態から、その表面となる操作部18aに親指を載置して下方に押し下げ操作することで、クラッチ機構17をON状態からOFF状態に切り換えるよう構成されている。このクラッチOFF切換部材18は、図6に示される振り分け保持バネ200によって、図7に示すクラッチON位置とクラッチOFF位置(図示せず)との間で振り分け保持される。 【0017】 また、本実施形態におけるクラッチON切換部材19は、右側板5B側に設置されており、振り分け保持バネ200(図6参照)によって、クラッチON位置とクラッチOFF位置との間で揺動可能となるよう振り分け保持されている。この場合、クラッチON切換部材19は、クラッチON状態では、図6に示すように、その表面の操作部19aが右側板5Bの表面と略面一状となり、クラッチOFF状態では、操作部19aは揺動して右側板5Bの表面から突出するようになっている。そして、クラッチON切換部材19は、スプール7に巻回された釣糸に対して親指の腹部でサミング操作している状態から容易にON操作できるように(左側板の後端側を支点として親指が届き易いように)、巻回されている釣糸の側方でやや後方側に設置されていることが好ましい。 なお、クラッチON切換部材19は、上記のように揺動される機械式以外にも、電気式(例えば、ソレノイドを利用したもの)で構成されていても良い。また、クラッチOFF切換部材18と一体部材で構成されていても良い。 【0018】 前記リール本体5には、駆動モータ8に対して電力を供給するための給電部20が設けられている。この給電部20は、左側板5Aの前方側の下面領域に形成されており、この給電部20に対しては、着脱可能な携帯バッテリ22(図8,図9参照)を装着したり、或いは、足元に置いたバッテリや釣り船に設置されている電源部から電力供給される給電コードが装着される。 【0019】 前記制御ケース15は、図7に示すように、スプール7の上方で、その回転軸(この回転軸としては、本実施形態ではスプール7の外側に駆動モータ8が配置されているためスプール軸7aが該当するが、スプール7の内部に駆動モータ8が配置される別の形態ではスプール軸7aが存在しないためモータ8の回転軸が該当する)近傍からレベルワインド機構142および駆動モータ8を覆うような大きさを備えている。 【0020】 前記制御ケース15の後方部分、特に、図4に示すように、スプール7のフランジ7fの前端位置Pfよりも後方側には、駆動モータ8の出力を調整する操作部材30が配置されている。本実施形態の操作部材30は、制御ケース15の後方側で、左側板5Aの上部で回転可能となるように支持されており、制御ケース15に対して、スプール軸7aと略平行に支持された支軸31の左側板側端部に、略前後方向D1に向けて回転操作可能に装着されている。また、本実施形態の操作部材30は、親指を前後方向にスライドさせて、親指の腹部で転がし操作が可能となるように略円筒形状に構成されており、その操作面30a(親指を接触させて操作される外表面であり、操作部30aとも称する)の略上半分の円弧領域が露出した状態となっている。このため、制御ケース15の左側板側には、操作部材30の操作部30aを露出させるように、左側に開口する凹陥部15Aが形成されており、操作部材30は、凹陥部15Aに収容された状態となっている。 【0021】 この場合、制御ケース15の後方の左側板側には、前記操作部材30が配置される領域に、制御ケース15の表面15bから落ち込むように凹所15Bが形成されており、前記凹陥部15Aは、その凹所15Bの範囲内で略円筒形状の操作部材30が配置されるように、下方側が半円状に窪んだ形状となっている(図5参照)。このため、制御ケース15は、後述するように液晶表示部や、各種制御部材が収容されて厚肉化されるものの、その後端側に凹所15Bを形成し、かつ、その凹所15B内に上記した形状の凹陥部15Aを形成して、操作部材30を配置することで、可及的にロープロファイル化を図るようにしている。また、制御ケース15の表面15bから窪んだ凹所15Bを形成し、その凹所内に操作部材30を配置しておくことで、リール本体5を把持した状態で、視認しなくても、親指で凹所15Bの位置が把握でき、これにより、感覚的に操作部材30が存在する位置を正確に認識することが可能となる。すなわち、操作部材30の周囲を凹状に窪ませておくなど、親指で感知できるように、表面を形状変化させておくことで、感覚的に操作部材30の正確な位置を把握させ易くすることが可能となる。 【0022】 なお、本実施形態では、凹陥部15Aは、半円状に窪んだ湾曲部15cによって、前記略円筒形状の操作部材30の下方領域を収容しているが、凹陥部15Aは、上下方向に貫通した状態で操作部材30を収容するようにしても良い。また、左側板5Aの上面には、操作部材30、或いは凹陥部15Aの湾曲部15cに対応して、円弧状の凹所を形成しておいても良い。 【0023】 前記操作部材30(操作部30a)は、上記したように、上方から押え付けて転がすような操作ができるよう露出した状態で回転可能に支持されているが、図5に示すように、周辺の表面(本実施形態では、制御ケース15の凹所15Bの表面15d)に対して、その操作部(操作面)30aが突出した状態となっている。具体的に、本実施形態の略円筒形状の操作部材30(操作部30a)は、直径Dが12mmに形成されており、表面15dに対して突出高さhが3.6mmとなるように設置されている。また、操作部30aの表面には、転がし操作する際に、滑り難いように、周方向に連続する凹凸30bを形成しておくことが好ましい。 【0024】 この場合、操作部材30は、リール本体を確実に把持した状態で、安定して転がす操作ができるように、前記突出高さhについては、0.5?12mmの範囲に設定しておくことが好ましい。これは、突出高さhが0.5mm未満となると、親指の接触面積が小さくなり過ぎて、滑りが生じる等、操作性が悪くなるためである。また、12mmを超えてしまうと、大きく突出した状態となってしまい、その周辺部の把持圧力が小さくなって、把持安定度が低下してしまうためである。 【0025】 また、前記操作部材30の直径Dについては、10?24mmの範囲のものを用いることが好ましい。これは、直径が10mm未満のものを用いると、親指との接触面積が小さくなり過ぎて、滑りが生じる等、操作性が悪くなるためである。また、24mmを超えてしまうと、周辺部(本体)の把持領域が少なくなり、把持安定度が低下するためである。なお、操作部材30の軸方向長さLについては、親指を押え付けて安定して転がし操作ができるように、2.0?20mmとしておくことが好ましい。 【0026】 さらに、制御ケース15に、上記したような構成で操作部材30を回転可能に支持する場合、操作部材30は、その頂部Pが、制御ケース15の表面15b(図5においてP1で示す)に対して下方となるように設置することが好ましい。このようにすることで、制御ケース15表面に、親指を当て付けた状態で親指を表面に沿ってシフトするだけで、引っかかることなく、操作部材30上に親指を載置することができ、迅速な巻き取り操作に移行することが可能となる。 【0027】 前記操作部材30は、制御ケース15に配設される支軸31に装着されており、その支軸31の右端部には、操作部材30の操作角度を検知する検知手段、具体的には、角度センサ130が設置されている。この角度センサ130は、制御ケース15の後端側で右側板側に設けられた収容部15Dにシールされた状態で組み込まれており、制御ケース後端側で回転可能に支持された支軸31の回転位置に応じた操作位置信号を出力する。すなわち、角度センサ130は、操作部材30の操作位置に応じて操作信号を出力し、モータ8の出力は、操作部材30の操作位置に応じて調整することが可能となっている。 【0028】 上記したように、制御ケース15は、左右側板5A,5B間に装着される構造となっており、そのような制御ケースに、支軸31、操作部材30、及び角度センサ130を予め組み込んでおくことで、構造が簡略化され、生産性及びメンテナンス性の向上が図れるようになる。特に、角度センサ130も併せて制御ケース内に組み込んでおくことで、配線及び防水性の面でも有利となる。また、制御ケース15は、左右方向よりも前後方向に長い形状としたことで、操作部材30や角度センサ130の組み込みスペースが確保できる。 【0029】 また、上記したように、前記支軸31は、前記スプール7の回転軸(スプール軸7a)と略平行となるように回転可能に支持されているため、前記操作部材30は、略前後方向(釣竿の方向;矢印D1に示す方向)に変位できるようになっている。この操作部材30は、リール本体5を掌で把持した状態で操作することから、操作部材30に親指を当接させた際、親指の位置が大きく横にずれることがなく、特に、外側にずれることがないため、把持安定性が高くなる。この場合、操作部材30を回転させた際の指(親指)の位置の横方向のずれを考慮すると、上記した略平行の範囲については、スプール7の回転軸に対して±30°の範囲内であれば良い。すなわち、±30°の範囲内であれば、リール本体5を把持保持した状態で、操作部材30を自由に回転しても、親指の位置が横方向にずれ難くなり、リール本体を把持保持した際のバランスが悪くなることがなくなる。 なお、本実施形態のリール本体5は、釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさに構成されており、上記した操作部材30は、リール本体5を、竿取付部5aを介して釣竿に装着した際に、図8及び図9に示すように、釣竿Rとともにリール本体5を把持保持した状態の手の親指Tが届く位置に配設されている。 【0030】 上記した制御ケース15には、図7に示されるように、駆動モータ8の駆動を制御する制御部100が収容されており、操作部材30の回転操作量に応じて駆動モータ8の出力を調整するようになっている。この場合、制御部100は、操作部材30を前方に向けて回転操作することで、駆動モータ8の出力が上昇するように設定されている。なお、操作部材30の回転操作量と駆動モータ8の出力との関係については任意であるが、本実施形態では、操作部材30の基準位置をモータの出力値0として、所定角度(例えば、120°)前方に回転操作した際、モータ出力がMaxになるように設定されている。すなわち、前方方向に向けて操作した際に増速とすることで、釣竿とリール本体を持つ手に負荷がかかる高速巻き取り時に、より前方を把持できるので、把持保持性が高くなり、操作性が良く、疲れ難くなる。もちろん、操作部材30については、後方に向けて回転操作した際に、駆動モータ8の出力が上昇するように設定しても良い。 【0031】 前記制御ケース15の表面には、繰り出された釣糸の長さ(糸長情報)などを表示する表示部(液晶表示部)16が設けられており、また、その周囲には、各種の情報が設定可能な複数の操作ボタン16a,16bが配設されている。この場合、本実施形態では、操作ボタン16a,16bは、図8に示されるように、制御ケース15の上面において、表示部16と操作部材30との間で、且つ釣竿Rとともにリール本体5を把持保持した状態で親指が届く位置とされている。 【0032】 前記制御ケース15に収容される制御部100は、魚釣用電動リールの動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等を実装した制御基板(マイクロコンピュータ)100A、及び各種駆動回路を実装した回路基板100Bを備えており、これらは、省スペース化のため、表示部16の下方で上下方向に重なるように配置されている。すなわち、前記制御基板100Aは、操作部材30の支軸31の操作角度に応じて操作位置信号を出力する前記角度センサ130、スプール7に巻回されている釣糸の繰り出し量を検知することが可能な糸長計測装置、制御ケース15上に設けられた液晶表示部16に対して各種の情報を表示させる表示制御回路、制御ケース15上に設けられた操作ボタン16a,16b、及び駆動モータ8の出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整するモータ駆動回路との間で信号の送受信を行い、魚釣用電動リールの動作を制御する。 【0033】 上記した構成の魚釣用電動リールによれば、操作部材30がスプール7のフランジ7f前端よりも後方側で、左側板5Aの上部に設置されているため、図8及び図9に示すように、釣竿Rとリール本体5を把持する片手の掌の一部が本体5の左側板5Aにフィットした状態で、操作部材30に親指Tが届き、操作した際の力を十分に伝えることができる。また、操作部材30は、略円筒形状に構成されて、略前後方向に回転可能に支持されているため、露出部分を少なくしても操作領域を確保することができる。また、把持している手の親指Tで、前後方向にスライドするような操作をすることで、操作部材を転がすことができ、モータ出力操作を自在に操ることが可能となる。また、前後方向に操作することから、親指が左右にずれることがなく把持安定性が高くなる。 【0034】 さらに、操作部材30の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5?12mm突出させていることで、突出している面積を比較的小さくして、親指の腹側で操作面とリール本体5の周辺部を同時に把持することが可能となり、これにより、大きな負荷が掛かっても、親指Tの周辺でリール本体5を直接把持した状態となり、しっかりとした把持、及び操作が行えるようになる。 【0035】 上記した構成では、操作部材30は、左側板5Aの上部に配設したが、操作ハンドルが左側板側に設置された構成では、右側板5Bの上部に配設するようにしても良い。また、上記した支軸31の右端部側(右側板5Bの上部)に、同様な構成の操作部材を配設しても良い。このような構成では、モータ出力の調整を行う操作部が、左右側板上に振り分けて配設されるため、置き竿時等、操作性に優れた構成とすることができる。この場合、角度センサについては、支軸31の中央領域に設置することができ、構造を簡略化することも可能である。もちろん、左右側板上に設置される操作部材については、略前後に操作されるものであれば良く、レバータイプに構成しても良い。 【0036】 次に、本発明の別の実施形態について説明する。なお、以下に例示する実施形態では、上述した第1の実施形態と同様な構成要素については、同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。 図10から図13は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、図10は平面図、図11は左側板側から見た側面図、図12は図10のC-C線に沿う要部拡大断面図、そして、図13は図10のD-D線に沿う要部拡大断面図である。 【0037】 上記した実施形態では、操作部材は制御ケース部分に配設されていたが、操作部材は、制御ケースと関係ない部分に配設しても良い。本実施形態の操作部材40は、制御ケース15の後方側で、スプール7のフランジ7f後端より前方側に、左側板5A上に凹所5eを形成し、その凹所5e内に設置されている。この操作部材40は、略円筒形状(内部を中空状にしたカップ形状)に形成されており、好ましくは、その操作部40aの内部に、角度センサ140を収容する空洞部40bが形成されている。具体的には、操作部材40は、スプール側が開口しており、この開口部分に、左フレーム3aに突出形成された環状突起3dが嵌入されている。環状突起3d内には、固定部材142によって固定された角度センサ140が嵌入されており、前記操作部材40は、空洞部40b内に前記固定部材142及び環状突起3dが収容された状態で、これらの部材に対して相対回転可能となっている。また、前記操作部材40の底部40cには、断面非円形の穴40dが形成されており、その部分に角度センサ140の軸140aが嵌合固定され、操作部材40の操作部40aを回転した際、軸140aの回転量が検知できるようになっている。 【0038】 さらに、操作部材40の底部40cには、軸方向外方に突起40eが形成されており、この突起40eが、左側板を構成する左サイドプレート4aに一体形成された支持部(支持穴)4dに係止されている。これにより、操作部材40は、角度センサ140の軸140aに取り付けられた状態で、その両側が、左側板を構成する左フレーム3aと左フレームに装着される左サイドプレート4aとの間に支持された状態となり、大きな負荷に対して強い支持構造となっている。 【0039】 また、操作部材40の操作部40aの内部に、角度センサ140を軸方向に重合するように収容したことで、左右幅方向の省スペース化が図れるようになる。特に、本実施形態のように、左側板5Aの上部に、直接、操作部材40を設置するような構成では、小さいスペース内に、効率的に機能部品を配設することが可能となる。なお、角度センサ140は、本実施形態のように、略全体が空洞部40b内に収容されているのが好ましいが、一部が軸方向に重合するように収容される構造であっても、省スペース化を実現することが可能である。 また、操作部材40は、スプール7のフランジ7f後端より前方側に配置するのが、操作性および把持性において、より好ましい(後方側に操作部を配置するに従い、指の長さが余り、折り曲げて操作・把持することになる。従って、やや前方側がより好ましい。)。 【0040】 上記したように構成される操作部材40は、図12に示すように、その表面の操作部40aの直径Dが12mmで、その周辺部となる左サイドプレート4aの表面4fに対して、所定の高さh(5.5mm)だけ突出するように支持されている。これにより、上記した第1実施形態と同様な操作を行うことが可能となる。もちろん、第1実施形態と同様、操作部40aの直径Dについては、10?24mmにすることが好ましく、その突出高さについては、0.5?12mmに設定しておくことが好ましい。 【0041】 また、本実施形態では、操作部材40を、左側板5A上に設置したことで、制御ケース15そのものを、前後方向に長く構成することが可能である。このため、図10に示すように、制御ケース15に設置される操作ボタン16a,16bを、親指から近くなる(操作が容易になる)後方側に設置したり、制御ケースの後端部に膨出部15Eを形成し、その部分に操作ボタンを配置して操作性を向上することも可能となる。或いは、液晶表示部16を大型化して、視認し易くすることも可能である。 【0042】 以上のように、操作部材については、リール本体を構成する側板上に設置しても良く、また、本実施形態のように、側板を構成するフレームとサイドプレート(カバー)を挟むようにして、操作部材を設置しても良い。 【0043】 図14から図16は、それぞれ上記した略円筒形状の操作部材の変形例を示しており、各図における(a)は操作部材の平面図、各図における(b)は操作部材の断面図、そして、各図における(c)は操作部材の側面図である。 【0044】 操作部材を上述した実施形態のように略円筒形状に構成するのであれば、その略円筒形状については、種々変形することが可能である。例えば、内部を中空状にしたり、その表面形状を変形しても良い。すなわち、操作部材は、回転操作可能であり、その操作表面部が、親指を押え付けて略前後方向に操作できれば、様々な形状で構成することが可能である。 【0045】 図14に示す操作部材50は、その中間部分が湾曲面によって収縮した鼓形状にすると共に、その外周面(操作面50a)に、周方向に沿って連続して凹溝50bを形成している。このような構成では、親指の腹部がフィットし易いと共に、滑りが生じ難くなる。また、図15に示す操作部材60は、その中間部分が湾曲面によって膨出した樽形状にすると共に、その外周面(操作面60a)に、周方向に沿って連続して突起60bを形成している。このような構成では、親指の腹部が掛かり易くなって、滑り難く操作性の向上が図れるようになる。また、図16に示す操作部材70は、円筒形状の表面の一部にレバー部(操作部)70aを形成している。このような構成では、初期値(駆動モータの出力が0)となる位置を明確化することができ、置き竿時における揺れる船上においても、レバー部70aを摘んで操作できることから、操作性の向上が図れるようになる。 なお、前記突出高さを定義する場合、前記突起60bおよびレバー部70aは、操作時に指の腹に十分食い込む程度なので、それらを除いた状態での仮想外径により定義される。 【0046】 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、駆動モータの出力を調整する操作部材が、左右側板上で、略前後方向に回転可能に支持され、かつ、その周辺部に対して僅かに(具体的には、0.5mm?12mm)突出した構造であれば良く、その設置位置や設置方法、周辺部の形状など、適宜変形することが可能である。また、操作部材の設置位置や形状については、リール本体の大きさ(手持ちタイプ、中型タイプ、大型タイプ)や対象魚に応じて適宜変形することが可能である。さらに、操作部材の操作角度を検知する検知手段についても、その構成や設置方法等、適宜変形することが可能である。 【符号の説明】 【0047】 1 魚釣用電動リール 3a,3b 左右フレーム 4a,4b カバー(サイドプレート) 5 リール本体 5A,5B 左右側板 6 手動ハンドル 7 スプール 7a スプール軸 7f フランジ 8 駆動モータ 15 制御ケース 30,40,50,60,70 操作部材 31 支軸 30a,40a,50a,60a,70a 操作面 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 左右のフレームに左右カバーを取着して構成される左右側板を具備し、釣竿とともに片手で把持して操作可能な大きさに構成されたリール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、 前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、 前記駆動モータの出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整する操作部材と、 前記駆動モータの駆動を制御する制御部を収容し、表面に表示部が設けられた制御ケースと、 を有する魚釣用電動リールにおいて、 前記操作部材は、略円筒形状に構成され、前記スプールのフランジ前端よりも後方側およびフランジ後端よりも前方側で、かつ前記制御ケース後方側で、前記左右のフレームに左右カバーが取着されて構成される少なくとも前記左右の側板の一方の上部に、釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指の腹部で前後方向に転がし操作が可能となるように操作面の円弧領域が露出した状態で前記スプールのスプール軸と平行に支持された支軸に前後方向に回転可能に支持されると共に、前記釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親指で上方から押え付けて前記転がし操作した回転操作量に応じて前記駆動モータの出力を連続的に増減調整可能であり、 前記略円筒形状の操作部材の操作面は、その周辺の表面に対して、0.5?12mm突出した状態で支持されており、前記側板の略円筒形状の操作部材の周囲は、転がし操作される操作部材の位置を親指で感知できるように表面を窪ませて形状変化していることを特徴とする魚釣用電動リール。 【請求項2】 前記操作部材の操作角度を検知する角度センサを有しており、前記角度センサの少なくとも一部を、前記操作部材の内部に配設したことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。 【請求項3】 前記操作部材は、前記制御ケースに回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用電動リール。 【請求項4】 前記操作部材は、前記角度センサの軸に取り付けられ、前記側板を構成するフレームとフレームに装着される前記カバーとの間に支持されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の魚釣用電動リール。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2017-10-23 |
結審通知日 | 2017-10-25 |
審決日 | 2017-11-08 |
出願番号 | 特願2011-152514(P2011-152514) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(A01K)
P 1 41・ 856- Y (A01K) P 1 41・ 851- Y (A01K) P 1 41・ 121- Y (A01K) P 1 41・ 854- Y (A01K) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 本村 眞也、竹中 靖典 |
特許庁審判長 |
前川 慎喜 |
特許庁審判官 |
住田 秀弘 小野 忠悦 |
登録日 | 2016-05-27 |
登録番号 | 特許第5939749号(P5939749) |
発明の名称 | 魚釣用電動リール |
代理人 | 水野 浩司 |
代理人 | 水野 浩司 |