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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H02J
審判 査定不服 特29条の2 取り消して特許、登録 H02J
管理番号 1335488
審判番号 不服2017-3543  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-09 
確定日 2018-01-09 
事件の表示 特願2013- 15581「電力管理装置、電力管理方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月13日出願公開、特開2014- 30334、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年1月30日(優先権主張平成24年6月29日)の出願であって、平成28年6月30日付けで拒絶理由が通知され、平成28年9月1日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ、平成28年12月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年3月9日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年12月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.この出願の請求項1?3、7?13に係る発明は、以下の引用文献1?4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2.この出願の請求項1?3、7?13に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願の後に出願公開された下記の特許出願(先願5又は6)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.国際公開第2010/038664号
2.特開2006-333625号公報
3.特開2000-341959号公報
4.国際公開第2012/032776号
5.特願2011-165219号(特開2013-31281号)
6.特願2011-63460号(特開2012-200098号)

第3 本願発明
本願請求項1?13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明13」という。)は、平成29年3月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
複数の蓄電池を備える所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出部と、
蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定部と、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御部と
を備えることを特徴とする電力管理装置。
【請求項2】
前記分配電力決定部は、
前記複数の蓄電池のうちから前記総電力を分配したときにインバータにおける損失が一定以下となる蓄電池を分配対象として決定する
請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記分配電力決定部は、
分配対象として決定された蓄電池ごとに個別に分配電力を決定する
請求項1または2に記載の電力管理装置。
【請求項4】
1つのインバータ効率特性は、前記地域範囲において前記1つのインバータ効率特性に対応するインバータを備える施設における電力制御を行う施設別制御部を示す施設別制御部識別子と、前記施設別制御部のアドレスとが対応付けられる
請求項1から3のいずれか一項に記載の電力管理装置。
【請求項5】
前記電力制御部は、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように制御するにあたり、前記分配対象としての蓄電池を管理下におく施設別制御部と、施設別制御部のアドレスを使用して通信を行う
請求項4に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記施設別制御部識別子は、
当該施設別制御部識別子に対応付けられた前記インバータ効率特性のインバータを管理下におく施設別制御部を特定する
請求項4または5に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記所定の地域範囲において、前記蓄電池からの電力の供給を受けることのできる負荷を備える需要家施設が備えられる
請求項1から6のいずれか一項に記載の電力管理装置。
【請求項8】
前記複数の蓄電池ごとの所定の状態を取得する蓄電池状態取得部をさらに備え、
前記分配電力決定部は、
前記インバータごとのインバータ効率特性と、複数の蓄電池ごとの所定の状態に基づいて、前記分配対象としての蓄電池を決定するとともに、決定した蓄電池ごとに分配する電力を決定する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電力管理装置。
【請求項9】
前記分配電力決定部は、
前記インバータごとのインバータ効率特性に対して設定された前記分配電力の下限値に基づいて、分配対象の蓄電池に対応するインバータが前記下限値以上で動作するように、
前記分配対象の蓄電池を決定するとともに、決定した蓄電池ごとに分配電力を決定する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電力管理装置。
【請求項10】
前記分配電力決定部は、
少なくとも前記総電力と前記複数の蓄電池ごとの所定の状態のうちの少なくとも1つの決定要素の変動に応じて、前記分配対象の蓄電池と、当該分配対象の蓄電池ごとの分配電力を決定する、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の電力管理装置。
【請求項11】
前記分配電力決定部は、
記憶部に予め記憶された前記インバータごとのインバータ効率特性に基づいて、前記分配対象としての蓄電池を決定するとともに、決定した蓄電池ごとに分配する電力を決定する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電力管理装置。
【請求項12】
複数の蓄電池を備える所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出ステップと、
蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップと、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように制御する電力制御ステップと
を備えることを特徴とする電力管理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
複数の蓄電池を備える所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出ステップと、
蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップと、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように制御する電力制御ステップと
を実行させるためのプログラム。」

第4 原査定の理由1(特許法第29条第2項)について
1.引用文献、引用発明1-1等
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
・「[請求項1] 出力電力が変動する発電装置と電力貯蔵補償装置とを組み合わせて電力系統へ電力を供給する連系システムにおいて前記電力貯蔵補償装置を構成し前記発電装置の出力電力の変動を補償する、複数のナトリウム-硫黄電池の制御方法であって、
複数のナトリウム-硫黄電池を、複数のグループに組分けし、
前記発電装置の出力電力の変動を補償するために全てのナトリウム-硫黄電池に対して与えられた入出力すべき電力を、各グループに分配するとともに、
各グループに組分けした前記複数のナトリウム-硫黄電池を、定期的にローテーションするナトリウム-硫黄電池の制御方法。」
・「[0001] 本発明は、風力発電装置等の出力が変動する発電装置と、複数のナトリウム-硫黄電池を有する電力貯蔵補償装置と、を組み合わせて電力系統へ電力を供給する連系システムにおける、ナトリウム-硫黄電池の制御方法に関する。」
・「[0015] 本発明に係るナトリウム-硫黄電池の制御方法は、出力が変動する発電装置と電力貯蔵補償装置とを組み合わせて電力系統へ電力を供給する連系システムにおいて電力貯蔵補償装置を構成する複数のナトリウム-硫黄電池を制御する方法である。本明細書において、複数のナトリウム-硫黄電池を構成する個々の(1基の)ナトリウム-硫黄電池とは、制御の単位で他と区画されるナトリウム-硫黄電池のことをいう。単電池の数、モジュール電池の数、出力の大きさ等で定まるものではない。具体的には、ナトリウム-硫黄電池が電力貯蔵補償装置を構成する場合において、1基の双方向変換器の制御下におかれるナトリウム-硫黄電池を、1基のナトリウム-硫黄電池として取り扱うものとする(後述する図1においてNo.1?No.n毎にそれぞれ複数のナトリウム-硫黄電池3が描かれているが(例えば) No.1ナトリウム-硫黄電池3というときは描かれた複数のナトリウム-硫黄電池3を1つのNo.1ナトリウム-硫黄電池3と表現する)。ナトリウム-硫黄電池は、全て同一の定格容量であることが望ましいが、必ずしも同一である必要はない。」
・「[0022] 先ず、連系システムについて説明する。図1に示されるシステム構成図は、出力が変動する発電装置と電力貯蔵補償装置とを有する連系システムの一例を表している。図1に示される連系システム8は、風の力を風車の回転に変え発電機を回す風力発電装置7(自然エネルギー発電装置)と、電力貯蔵補償装置5と、を有する。そして、電力貯蔵補償装置5は、電力を貯蔵し出力することが可能な二次電池であるナトリウム-硫黄電池3(NAS電池とも記す)、直流/交流変換機能を有する双方向変換器4、及び変圧器9を備える。双方向変換器4は、例えばチョッパとインバータあるいはインバータから構成することが出来る。連系システム8には、風力発電装置7が、No.1?No.m(mは1より大きい整数)のm系列備わり、ナトリウム-硫黄電池3(電力貯蔵補償装置5)が、No.1?No.n(nは1より大きい整数)のn系列備わっている。」
・「[0024」 連系システム8においては、電力貯蔵補償装置5においてナトリウム-硫黄電池3の放電を行い、電力計42で測定される電力P_(N)が、風力発電装置7により発電された電力(電力計43で測定される電力P_(W))の出力変動を補償する。具体的には、連系システム8全体として出力する電力(電力計41で測定される電力P_(T))が、P_(T)=P_(W)+P_(N)=一定(P_(N)=P_(T)-P_(W))を満たすように、ナトリウム-硫黄電池3の放電(即ち電力P_(N))を制御することによって、連系システム8全体として出力する電力P_(T)を安定した品質のよい電力にして、例えば配電変電所と電力需要家間の電力系統1に供給する。
[0025] 又、連系システム8では、風力発電装置7により発電された電力P_(W)の出力変動に合わせて、電力貯蔵補償装置5においてナトリウム-硫黄電池3の充電を行う。具体的には、電力計42で測定される電力P_(N)が、P_(N)=-P_(W)となるように、ナトリウム-硫黄電池3の充電(即ち電力-P_(N))を制御することによって、変動する電力P_(W)を消費して、連系システム8全体として出力する電力P_(T)を0にすることが可能となる。」
・「[0028] 連系システム8において、No.1?No.nの複数のナトリウム-硫黄電池3は、1?xのグループに組分けされる。そして、図2に示されるように、連系システム8における全てのナトリウム-硫黄電池3に与えられる総制御量は、それぞれの分配ロジックによって、No.1?No.nのナトリウム-硫黄電池3のための制御量(No.1?No.nNAS電池(ユニット)制御量)に分配される。
[0029] 分配ロジックとして、入出力すべき電力の強弱や制御態様によってナトリウム-硫黄電池3に与えられる総制御量を分配するロジック、を挙げることが出来る。例えば、風力発電装置7の出力変動によらずナトリウム-硫黄電池3を定電力で制御する、風力発電装置7の出力変動に追従してナトリウム-硫黄電池3を制御する、又は、ナトリウム-硫黄電池3を休止する、といった制御方法の違いによって、総制御量からNo.1?No.nのそれぞれのナトリウム-硫黄電池3へ与えられる制御量を分配することが出来る。図2にいう制御グループ1、2、?nとは、そのような(例えば)制御方法の違いによるグループであって、複数のナトリウム-硫黄電池3を組分けするグループとは意味が異なる。上記の例でいえば、図2において、例えば、制御グループ1は風力発電装置7の出力変動によらずナトリウム-硫黄電池3(例えばNo.1ナトリウム-硫黄電池3)を定電力で制御すること(そのような制御になるように制御量を分配すること)、制御グループ2は風力発電装置7の出力変動に追従してナトリウム-硫黄電池3(例えばNo.2ナトリウム-硫黄電池3)を制御すること(同じくそのような制御になるように制御量を分配すること)、制御グループ3はナトリウム-硫黄電池3(例えばNo.3ナトリウム-硫黄電池3)を休止すること(同じくそのような制御になるように制御量を分配すること、休止であれば制御量ゼロ)、となる。
[0030] 図3は、1?xのグループに組分けされたNo.1?No.nのナトリウム-硫黄電池3を、10日毎に定期的にローテーションする態様を表す説明図である。図3に示される態様では、10日経過後に、元のグループxを元のグループ1の属性に変更し、元のグループ1を元のグループ2の属性に変更し、以下、順次、繰り下げ、これを10日間毎に行なっている。即ち、グループの属性が変わっていき、それに伴って、分配される制御量が変わっていく、ということである。
[0031] 例えば、No.1ナトリウム-硫黄電池3に対しては風力発電装置7の出力変動によらず定電力で制御し(そのような制御になるように制御量を分配し)、No.2ナトリウム-硫黄電池3に対しては風力発電装置7の出力変動に追従して制御し(そのような制御になるように制御量を分配し)、No.3ナトリウム-硫黄電池3は休止し、というような各制御を固定して行っていると、ナトリウム-硫黄電池3の利用率がばらついてしまい、利用率の高いナトリウム-硫黄電池3のみの劣化が促進されることになるが、グループに組分けしたナトリウム-硫黄電池3を、定期的にローテーションすれば、特定のナトリウム-硫黄電池3の利用率のみが上昇することはなく、利用率の均一化が図れ、その結果、特定のナトリウム-硫黄電池3のみの劣化が促進されることはない。」
・段落[0025]及び図1に、複数台の風力発電装置7により発電された電力P_(W)の出力変動に合わせて、複数台(n系列)のナトリウム-硫黄電池3に充電する電力P_(N)を、P_(N)=-P_(W)となるようにすることが記載されている。したがって、連系システム8は、全てのナトリウム-硫黄電池3に対して与えられた入力(充電)すべき電力P_(N)([請求項1]参照)を算出する機能を実行する装置部分を有していることが理解できる。
・段落[0024]及び図1に、複数台(n系列)のナトリウム-硫黄電池3から放電される電力P_(N)が、風力発電装置7により発電された電力P_(W)の出力変動を補償し、連系システム8全体として出力する電力P_(T)が、P_(T)=P_(W)+P_(N)=一定を満たすようにすることが記載されている。したがって、連系システム8は、全てのナトリウム-硫黄電池3に対して与えられた出力(放電)すべき電力P_(N)([請求項1]参照)を算出する機能を実行する装置部分を有していることが理解できる。
・段落[0015]、[0022]、「0024]、[0025]の下線部の記載事項及び図1から、ナトリウム-硫黄電池3に充電を行う電力P_(N-1?n)の交流直流変換機能及びナトリウム-硫黄電池3の放電を行う電力P_(N-1?n)の直流交流変換機能を有し、前記n系列のナトリウム-硫黄電池3ごとに対応して備えられる各1基の双方向変換器4が理解できる。
・[請求項1]、段落[0022]、[0024]、[0025]、[0028]?[0031]の記載事項及び図1、2から、連系システム8は、n系列のナトリウム-硫黄電池3を制御グループ1ないし3からなる複数のグループに組分けし、制御グループ1は風力発電装置7の出力変動によらずナトリウム-硫黄電池3を定電力で制御し、制御グループ2は風力発電装置7の出力変動に追従してナトリウム-硫黄電池3を制御し、制御グループ3はナトリウム-硫黄電池3を休止する分配ロジックに基づいて、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池を、全てのナトリウム-硫黄電池に対して与えられた入出力(充放電)すべき電力の分配対象として決定するとともに、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池ごとに分配する分配電力を決定する機能を実行し、かつ各グループに組分けした前記複数のナトリウム-硫黄電池を、定期的にローテーションする機能を実行する装置部分を有していることが理解できる。
・段落[0022]、[0029]の記載事項及び図1、2から、連系システム8は、制御グループ1及び制御グループ2内の各ナトリウム-硫黄電池の各々に対して、分配された電力をそれぞれのナトリウム-硫黄電池3が充放電するように、それぞれのナトリウム-硫黄電池3ごとに備えられた1基の双方向変換器4を制御する機能を実行する装置部分を有していることが理解できる。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明1-1>
「n系列のナトリウム-硫黄電池3を備える連系システム8において、
連系システム8において全てのナトリウム-硫黄電池3に対して与えられた入力(充電)すべき電力P_(N)または前記連系システム8において全てのナトリウム-硫黄電池3に対して与えられた出力(放電)すべき電力P_(N)を算出する機能を実行する装置部分と、
ナトリウム-硫黄電池3に充電を行う電力P_(N-1?n)の交流直流変換機能及びナトリウム-硫黄電池3の放電を行う電力P_(N-1?n)の直流交流変換機能を有し、前記n系列のナトリウム-硫黄電池3ごとに対応して備えられる各1基の双方向変換器4と、
n系列のナトリウム-硫黄電池3を制御グループ1ないし3からなる複数のグループに組分けし、制御グループ1は風力発電装置7の出力変動によらずナトリウム-硫黄電池3を定電力で制御し、制御グループ2は風力発電装置7の出力変動に追従してナトリウム-硫黄電池3を制御し、制御グループ3はナトリウム-硫黄電池3を休止する分配ロジックに基づいて、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池を、全てのナトリウム-硫黄電池に対して与えられた入出力(充放電)すべき電力の分配対象として決定するとともに、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池ごとに分配する分配電力を決定する機能を実行し、かつ各グループに組分けした前記複数のナトリウム-硫黄電池を、定期的にローテーションする機能を実行する装置部分と、
制御グループ1及び制御グループ2内の各ナトリウム-硫黄電池の各々に対して、分配された電力をそれぞれのナトリウム-硫黄電池3が充放電するように、それぞれのナトリウム-硫黄電池3ごとに備えられた各1基の双方向変換器4を制御する機能を実行する装置部分と、
を備える連系システム8。」

また、引用文献1の記載事項からみて、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1-2」という。)も記載されていると認められる。
<引用発明1-2>
「n系列のナトリウム-硫黄電池3、ナトリウム-硫黄電池3に充電を行う電力P_(N-1?n)の交流直流変換機能及びナトリウム-硫黄電池3の放電を行う電力P_(N-1?n)の直流交流変換機能を有し、前記n系列のナトリウム-硫黄電池3ごとに対応して備えられる各1基の双方向変換器4を備える連系システム8において、
連系システム8において全てのナトリウム-硫黄電池3に対して与えられた入力(充電)すべき電力P_(N)または前記連系システム8において全てのナトリウム-硫黄電池3に対して与えられた出力(放電)すべき電力P_(N)を算出するステップと、
n系列のナトリウム-硫黄電池3を制御グループ1ないし3からなる複数のグループに組分けし、制御グループ1は風力発電装置7の出力変動によらずナトリウム-硫黄電池3を定電力で制御し、制御グループ2は風力発電装置7の出力変動に追従してナトリウム-硫黄電池3を制御し、制御グループ3はナトリウム-硫黄電池3を休止する分配ロジックに基づいて、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池を、全てのナトリウム-硫黄電池に対して与えられた入出力(充放電)すべき電力の分配対象として決定するとともに、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池ごとに分配する分配電力を決定する機能を実行し、かつ各グループに組分けした前記複数のナトリウム-硫黄電池を、定期的にローテーションする機能を実行するステップと、
制御グループ1及び制御グループ2内の各ナトリウム-硫黄電池の各々に対して、分配された電力をそれぞれのナトリウム-硫黄電池3が充放電するように、それぞれのナトリウム-硫黄電池3ごとに備えられた各1基の双方向変換器4を制御する機能を実行するステップと、
を備える連系システム8におけるナトリウム-硫黄電池の制御方法。」

(2)引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2の段落【0001】,段落【0002】,段落【0006】,段落【0010】?【0016】、段落【0018】?【0020】,段落【0035】及び図5,図8の記載からみて、次の事項が記載されていると認められる。
「電源出力電力値Pが大きく変動する直流電源に、定格入力電力値Pmのm台の大容量インバータ装置及び定格入力電力値Pnのn台の小容量インバータ装置(但しPn・n<Pm)を並列接続し、直流電源からの電源出力電力値Pに基づいて、容量の異なる複数台のインバータ装置から変換効率が高くなる起動台数と、起動する各インバータへの分配電力を決定する方法。」

(3)引用文献3について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、【請求項1】、段落【0010】?【0024】の記載などからみて、次に示す技術的事項が記載されていると認められる。
「エネルギ源の状況によって出力が変動する直流電源と、複数のインバータを並列に接続した直交変換装置とを備えた発電システムにおいて、該直流電源の出力電力を求めると共に、予め記憶しておいた前記インバータの直流入力-直交変換効率特性及びインバータ台数に応じて、発電システムの交流出力電力が最大となるようにインバータの運転台数を制御すること。」

(4)引用文献4について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、[請求項1]、段落[0121]?[0158](特に段落[0131]、[0154]及び[0155])の記載などからみて、次に示す技術的事項が記載されていると認められる。
「複数の蓄電池を備えた電力供給システムにおいて、蓄電池のSOCに応じて各蓄電池に出力させるべき電力の分配率を算出すること。」

2.対比・判断
(1)本願発明1について
ア.対比
本願発明1と、引用発明1-1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1-1における「n系列」及び「ナトリウム-硫黄電池3」は、それぞれ本願発明1における「複数」及び「蓄電池」に相当する。
(イ)引用文献1の段落[0022]の記載によれば、「連系システム8は、風の力を風車の回転に変え発電機を回す風力発電装置7(自然エネルギー発電装置)と、電力貯蔵補償装置5と、を有する。」から、引用発明1-1における「連系システム8」は、「所定の地域範囲」に設置されていると認められる。すると、引用発明1-1における「連系システム8において全てのナトリウム-硫黄電池3に対して与えられた入力(充電)すべき電力P_(N)」及び「連系システム8において全てのナトリウム-硫黄電池3に対して与えられた出力(放電)すべき電力P_(N)」は、それぞれ本願発明1における「所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力」及び「前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力」に相当する。また、引用発明1-1における「電力P_(N)を算出する機能を実行する装置部分」は、本願発明1における「総電力を算出する総電力算出部」に相当する。
(ウ)引用発明1-1における「ナトリウム-硫黄電池3に充電を行う電力P_(N-1?n)の交流直流変換機能及びナトリウム-硫黄電池3の放電を行う電力P_(N-1?n)の直流交流変換機能を有」するとの事項は、本願発明1における「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行う」との事項に相当する。
(エ)引用発明1-1における「n系列のナトリウム-硫黄電池3ごとに対応して備えられる各1基の双方向変換器4」は、本願発明1における「複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータ」に相当する。
(オ)引用発明1-1における「n系列のナトリウム-硫黄電池3を制御グループ1ないし3からなる複数のグループに組分けし、制御グループ1は風力発電装置7の出力変動によらずナトリウム-硫黄電池3を定電力で制御し、制御グループ2は風力発電装置7の出力変動に追従してナトリウム-硫黄電池3を制御し、制御グループ3はナトリウム-硫黄電池3を休止する分配ロジックに基づいて、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池を、全てのナトリウム-硫黄電池に対して与えられた入出力(充放電)すべき電力の分配対象として決定するとともに、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池ごとに分配する分配電力を決定する機能を実行し、かつ各グループに組分けした前記複数のナトリウム-硫黄電池を、定期的にローテーションする機能を実行する装置部分」と、本願発明1における「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定部」とは、いずれも「複数の蓄電池のうちから、1以上の蓄電池を総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定部」である点で共通する。
(カ)引用発明1-1における「制御グループ1及び制御グループ2内の各ナトリウム-硫黄電池の各々に対して、分配された電力をそれぞれのナトリウム-硫黄電池3が充放電するように、それぞれのナトリウム-硫黄電池3ごとに備えられた各1基の双方向変換器4を制御する機能を実行する装置部分」は、本願発明1における「前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御部」に相当する。
(キ)引用発明1-1における「連系システム8」は、本願発明1における「電力管理装置」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明1-1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「複数の蓄電池を備える所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出部と、
前記複数の蓄電池のうちから、1以上の蓄電池を総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定部と、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御部と
を備える電力管理装置。」
<相違点1>
分配電力決定部に関し、本願発明1は「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する」ものであるのに対し、引用発明1-1は「ナトリウム-硫黄電池3に充電を行う電力P_(N-1?n)の交流直流変換機能及びナトリウム-硫黄電池3の放電を行う電力P_(N-1?n)の直流交流変換機能を有し、前記n系列のナトリウム-硫黄電池3ごとに対応して備えられる各1基の双方向変換器4」(蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータ)を有するものであって、「n系列のナトリウム-硫黄電池3を制御グループ1ないし3からなる複数のグループに組分けし、制御グループ1は風力発電装置7の出力変動によらずナトリウム-硫黄電池3を定電力で制御し、制御グループ2は風力発電装置7の出力変動に追従してナトリウム-硫黄電池3を制御し、制御グループ3はナトリウム-硫黄電池3を休止する分配ロジックに基づいて、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池を、全てのナトリウム-硫黄電池に対して与えられた入出力(充放電)すべき電力の分配対象として決定するとともに、各グループに組分けした前記複数のナトリウム-硫黄電池を、定期的にローテーションする機能を実行する」ものであり、電力の分配対象として決定される制御グループ1又は2に属する蓄電池(ナトリウム-硫黄電池)は定期的なローテーションによって決定される構成であって、「複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率特性に基づいて、効率が一定以上となる1以上の蓄電池を総電力の分配対象として決定する」ものではない点。

イ.相違点1についての判断
(ア)上記相違点1について検討すると、引用文献2には、「電源出力電力値Pが大きく変動する直流電源に、定格入力電力値Pmのm台の大容量インバータ装置及び定格入力電力値Pnのn台の小容量インバータ装置(但しPn・n<Pm)を並列接続し、直流電源からの電源出力電力値Pに基づいて、容量の異なる複数台のインバータ装置から変換効率が高くなる起動台数と、起動する各インバータへの分配電力を決定する方法。」(上記1(2)参照)という技術的事項が記載されている。引用文献2に記載された技術的事項は、「変換効率が高くなるインバータ装置を起動する」ものである点で、上記相違点1に係る本願発明1の構成と共通する。
しかしながら、引用文献2に記載された技術的事項は、「出力電力値Pが大きく変動する直流電源に複数台のインバータ装置を並列接続」するものであり、上記相違点1に係る本願発明1の技術的事項のうち、「複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータ」という技術的事項だけでなく、「インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する」という技術的事項も備えていない。
したがって、引用文献2に記載された技術的事項を引用発明1-1に適用したとしても、引用発明1-1の「複数の蓄電池ごとに対応して備えられる各1基の双方向変換器4(インバータ)」を「複数台のインバータ装置を並列接続」した構成とし、蓄電池ごとに充放電する電力に応じて、並列接続したインバータの起動台数を決定するという構成が得られるにすぎないものであり、上記相違点1に係る本願発明1の構成が得られるとはいえない。
(イ)また、引用文献3には、「エネルギ源の状況によって出力が変動する直流電源と、複数のインバータを並列に接続した直交変換装置とを備えた発電システムにおいて、該直流電源の出力電力を求めると共に、予め記憶しておいた前記インバータの直流入力-直交変換効率特性及びインバータ台数に応じて、発電システムの交流出力電力が最大となるようにインバータの運転台数を制御すること。」(上記1(3)参照)という技術的事項が記載されている。引用文献3に記載された技術的事項も、「変換効率が高くなるインバータ装置を起動する」ものである点で、上記相違点1に係る本願発明1の構成と共通する。
しかしながら、引用文献3に記載された技術的事項は、引用文献2に記載された技術的事項と同様に、「出力が変動する直流電源に複数台のインバータ装置を並列接続」するものであり、上記相違点1に係る本願発明1の技術的事項のうち、「複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータ」という技術的事項、及び「インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する」という技術的事項を備えていない。
したがって、引用文献3に記載された技術的事項を引用発明1-1に適用しても、上記(ア)で述べたのと同様の理由で、上記相違点1に係る本願発明1の構成が得られるとはいえない。
(ウ)また、引用文献4には、インバータ効率特性に基づいて使用するインバータを決定するという技術的事項が記載されていない。したがって、引用文献4に記載された技術的事項を引用発明1-1に適用しても、上記相違点1に係る本願発明1の構成が得られることはない。

ウ.小括
したがって、本願発明1は、引用文献1?4に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)本願発明2?11について
本願発明2?11は、本願発明1を直接又は間接的に引用して発明特定事項を特定する発明であり、本願発明1が備える発明特定事項を全て備えている。したがって、本願発明2?11と引用発明1-1とは、少なくとも上記(1)アで述べた本願発明1と引用発明1-1との相違点1で相違する。そして、上記(1)イ、ウで述べたとおり、この相違点1により、本願発明1は、引用文献1?4に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえないのであるから、同様に、本願発明2?11も、引用文献1?4に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(3)本願発明12について
ア.対比・判断
(ア)対比
本願発明12と、引用発明1-2とを対比すると、上記(1)アで述べたのと同様なことがいえ、引用発明1-2における「電力P_(N)を算出するステップ」、「各1基の双方向変換器4」、「各1基の双方向変換器4を制御する機能を実行するステップ」及び「連系システム8におけるナトリウム-硫黄電池の制御方法」は、それぞれ本願発明12における「総電力算出ステップ」、「インバータ」、「電力制御ステップ」及び「電力管理方法」に相当する。
また、引用発明1-2における「n系列のナトリウム-硫黄電池3を制御グループ1ないし3からなる複数のグループに組分けし、制御グループ1は風力発電装置7の出力変動によらずナトリウム-硫黄電池3を定電力で制御し、制御グループ2は風力発電装置7の出力変動に追従してナトリウム-硫黄電池3を制御し、制御グループ3はナトリウム-硫黄電池3を休止する分配ロジックに基づいて、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池を、全てのナトリウム-硫黄電池に対して与えられた入出力(充放電)すべき電力の分配対象として決定するとともに、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池ごとに分配する分配電力を決定する機能を実行し、かつ各グループに組分けした前記複数のナトリウム-硫黄電池を、定期的にローテーションする機能を実行するステップ」と、本願発明12における「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップ」とは、「複数の蓄電池のうちから、1以上の蓄電池を総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップ」である点で共通する。
したがって、本願発明12と引用発明1-2との間には、次の一致点、及び上記相違点1と同様な相違点2があるといえる。
<一致点>
「複数の蓄電池を備える所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出ステップと、
前記複数の蓄電池のうちから、1以上の蓄電池を総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップと、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御ステップと
を備える電力管理方法。」

<相違点2>
分配電力決定ステップに関し、本願発明12は「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する」ものであるのに対し、引用発明1-2は「ナトリウム-硫黄電池3に充電を行う電力P_(N-1?n)の交流直流変換機能及びナトリウム-硫黄電池3の放電を行う電力P_(N-1?n)の直流交流変換機能を有し、前記n系列のナトリウム-硫黄電池3ごとに対応して備えられる各1基の双方向変換器4」(本願発明12の「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータ」に相当。)を備えるものであって、「n系列のナトリウム-硫黄電池3を制御グループ1ないし3からなる複数のグループに組分けし、制御グループ1は風力発電装置7の出力変動によらずナトリウム-硫黄電池3を定電力で制御し、制御グループ2は風力発電装置7の出力変動に追従してナトリウム-硫黄電池3を制御し、制御グループ3はナトリウム-硫黄電池3を休止する分配ロジックに基づいて、制御グループ1及び制御グループ2に属する各ナトリウム-硫黄電池を、全てのナトリウム-硫黄電池に対して与えられた入出力(充放電)すべき電力の分配対象として決定するとともに、」「各グループに組分けした前記複数のナトリウム-硫黄電池を、定期的にローテーションする機能を実行する」ものであり、電力の分配対象として決定される制御グループ1又は2に属する蓄電池(ナトリウム-硫黄電池)は定期的なローテーションによって決定される構成であって、「複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率特性に基づいて、効率が一定以上となる1以上の蓄電池を総電力の分配対象として決定する」ものではない点。

(イ)相違点2についての判断
相違点2は、相違点1と同様な相違点であるから、上記2(1)イで述べたのと同様の理由で、本願発明12は、引用文献1?4に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(4)本願発明13について
引用発明1-2は「制御方法」に関するものであるから、各ステップを実行するためのプログラムである本願発明13と対比することにする。
本願発明13と引用発明1-2とを対比すると、両者は、上記(3)ア(ア)で述べた相違点2及び次に示す相違点3で相違し、その余の点で一致する。
<相違点3>
本願発明13は、本願発明12が特定する各ステップと同様な各ステップを、コンピュータにより実行させるためのプログラムであるのに対し、引用発明1-2は、連系システム8におけるナトリウム-硫黄電池の制御方法である点。

まず、相違点2について検討すると、上記(3)ア(イ)で述べた理由により、本願発明13は、引用文献1?4に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。したがって、相違点3について検討するまでもなく、本願発明13は、引用文献1?4に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

3.小括
以上のとおりであって、本願の請求項1?13に係る発明は、いずれも、引用文献1?4に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第5 原査定の理由2(特許法第29条の2)について
1.先願5に記載された発明との同一性について
(1)先願5
原査定の拒絶の理由に引用された、先願5の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「先願明細書5」という。)には、次の事項が記載されている。
・「【請求項1】
電力を供給する電源装置と、
前記電源装置から供給される電力を変換する電力変換部と、前記電力変換部で変換された電力を充電する電池モジュールとをそれぞれ備える実質的同一の電池ユニットが複数且つ並列に接続された電池装置と、
前記電力変換部の所定の電力変換効率に対応する基準電力値に関する情報を記憶する記憶部と、前記電源装置が供給する電力の供給電力量に関する情報を取得する取得部と、前記記憶部に記憶された前記基準電力値に関する情報と前記取得部が取得した前記供給電力量に関する情報とに基づいて、前記供給電力量を前記基準電力値以上の電力量に分配可能な前記電池ユニットの個数を決定し、前記複数の電池ユニットのうち前記電源装置から電力を供給する前記電池ユニットを前記決定した個数選択する選択部とを有する制御装置と、
を含むことを特徴とする電池システム。」
・「【0001】
本発明は、電池システムに関し、特に、複数の電池モジュールを効率よく充電する電池システムに関する。」
・「【0014】
電池システム1は、図1に示すとおり、風力発電装置10、電池装置20、負荷30、制御装置40、及び表示装置50を含んでなり、風力発電装置10で発生した電力を電池装置20に供給し、電池装置20に充電(貯蔵)された電力を負荷30に供給するシステムである。なお、本実施形態の電池システム1は、上記構成に限定されず、構成を適宜追加・変更することも可能である。例えば、風力発電装置10で発生した電力を電力変換した後、負荷30に直接供給するような構成を追加してもよく、この場合、風力発電装置10で発生した電力と電池装置20で充電されている電力とを組み合わせて負荷30に電力を供給することもできる。」
・「【0016】
電池装置20は、風力発電装置10から供給された交流電力を直流電力に変換して充電(貯蔵)し、また、充電した直流電力を負荷30に適した電力に電力変換して供給する。電池装置20は、図2に示すとおり、並列にそれぞれ接続された実質的同一の電池ユニット20A?20Cで構成される。
【0017】
電池ユニット20Aは、複数の充放電可能な電池セルが直列に接続された電池モジュール21Aと、風力発電装置10から交流電力の入力を受けて直流電力に変換するコンバータ22Aと、風力発電装置10からコンバータ22Aへの交流電力の入力を遮断することができるスイッチ23Aとを備える。電池ユニット20Aと実質的に同一の機能及び構成を有するように、電池ユニット20Bは、電池モジュール21Bと、コンバータ22Bと、スイッチ23Bとを備え、電池ユニット20Cは、電池モジュール21Cと、コンバータ22Cと、スイッチ23Cとを備える。いずれの電池ユニット20A?20Cも、互いに共通の同一の電力配線から上記交流電力の供給を受けることができる。なお、本実施形態の電池システム1では、並列にそれぞれ接続される電池ユニットとして、電池ユニット20A?20Cの3つを用いて説明するが、この電池ユニットの数は3つに限られずに、少なくとも2つ以上であればよく、例えば、風力発電装置10の最大発電電力量、又は負荷30の要求する電力量などの種々の条件に応じて、その数を適宜変更することができる。」
・「【0020】
コンバータ22A?22Cは、風力発電装置10から供給される交流電力を直流電力に電力変換する電力変換器である。また、コンバータ22A?22Cは、制御装置40からの指令を受けて起動(ON)及び停止(OFF)が制御される。コンバータ22A?22Cは、一般に、入力された交流電力を直流電力に変換する際、電力損失を生じることが知られている。ここで、図3に、一般的なコンバータの入力される電力と変換効率との関係を表した関係図を示す。最大入力(最大入力電力値)Pmaxや最大効率時入力(最大効率時入力電力値)Peは、コンバータの製造メーカごとに異なるものの、一般的なコンバータは、図3に示すように、最大効率時入力Peより小さい入力電力になると急激に変換効率が悪化し、最大効率時入力Peから最大入力Pmaxになるまでの間は、比較的なだらかに変換効率が低下する傾向にある。したがって、一般化した値である最大入力Pmaxや最大効率時入力Peを用いることで、いかようなコンバータも本実施形態の電池システム1に適用することができる。なお、本実施形態の電池システム1では、コンバータ22A?22Cは、実質的に同一特性のコンバータを用いることとする。」
・「【0024】
制御装置40は、電池ユニット20A?20Cを充電する処理機能として、例えば、図2に示すように、記憶部41、取得部42、選択部43、及び切換部44を有する。なお、制御装置40は、例えば、種々の演算および制御を行うためのプロセッサ、情報(データ)を一時的に格納するとともに、制御時にワーキングエリアとして機能するRAM、プログラム等を格納するROM、及び周辺回路から構成され、上記各部の処理機能を実現することができる。なお、電池システム1の充電動作、すなわち、制御装置40が行う具体的な制御フローについては後述する。
【0025】
記憶部41は、コンバータ22A?22Cの所定の電力変換効率に対応する基準電力値に関する情報を記憶する。ここで、本実施形態の電池システム1では、図3を用いて説明した、最適な電力変換効率に対応する最大効率時入力Peを、所定の電力変換効率に対応する基準電力値とする。なお、基準電力値として、最大効率時入力Peを用いる場合に限られず、例えば、図3に示すように、電力変換効率が90(%)以上となる電力のうち最も値が小さい入力電力値P’を用いるなど、電池システムの構成及びコンバータの電力変換効率の特性に応じて適宜設定することができる。
【0026】
取得部42は、風力発電装置10が供給する電力の供給電力量に関する情報及び複数の電池ユニット20A?20Cがそれぞれ有する電池モジュール21A?21Cの各電圧値及び各電流値の情報を所定のタイミングで取得する。取得部42は、取得した各電圧値及び各電流値により、公知の演算方法を用いて各電池ユニット20A?20Cの充電率SOC(state of charge)を演算し、演算した結果を選択部43に通知する。充電率SOCは、電池モジュールの充電状態、すなわち、満充電時における電池の容量に対して充電残量がどのくらいかを比率(パーセント)で表すものであり、電池モジュールごとの電圧と流れる電流とにより、公知の演算方法を用いて演算することができる。なお、上記所定のタイミングとは、例えば、充電開始直後のタイミング、及び充電開始後一定時間ごとのタイミングとすることができる。
【0027】
選択部43は、記憶部40Aに記憶された各コンバータ22A?22Cの基準電力値と、取得部42が取得した供給電力量及び各電池モジュール21A?21Cの各充電率の各情報に基づいて、供給電力量を上記基準電力値以上の電力量に分配可能な電池ユニットの個数を決定し、複数の電池ユニット20A?20Cのうち風力発電装置10から電力を供給する電池ユニットを上記決定した個数選択する。また、選択部43は、供給電力量が複数の電池ユニット20A?20Cのそれぞれの前記基準電力値の総和より低い場合、各電池モジュール21A?21Cの充電率の情報に基づいて、電池ユニット20A?20Cに対して電力を供給する優先順位を充電状態の低い順(例えば、SOCの低い順)に決定し、各電池ユニット20A?20Cの基準電力値と供給電力量と充電率とに基づいて、供給電力量を基準電力値以上の電力量に分配可能な個数を決定し、該決定した個数の電池ユニットを上記優先順位に従って選択する。」
・「【0030】
以下、図4?図6に示すフローチャートを参照して、制御装置40を用いて実施される本実施形態の電池システム1の充電動作処理について説明する。なお、図4?図6のフローチャートで示される各処理は、処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0031】
まず、電池システム1の充電動作処理を説明するにあたり、電池システム1は、図1及び図2に示すものを用いるものとし、更に、以下の事項を前提とする。電池ユニットの個数を固定値Nで表し、図2に示すように、電池ユニット20A?20Cの3つを用いるので、N=3とする。そして、コンバータ22A?22Cへの各最大入力電力値を固定値Pmaxで表し、Pmax=100kWとし、また、最大効率時入力電力値を固定値Peで表し、Pe=40kWとする。よって、図2に示す電池装置20の最大許容入力電力はN×Pmax=300kWとなる。さらに、制御装置40は、コンバータ22A?22Cにおいて所定の電力変換効率を有する基準電力値Pbとして、最適な電力変換効率に対応する最大効率時入力電力値Pe(=40kW)が予め記憶部41に記憶されているものとする。
【0032】
また、さらなる前提として、ここでは各電池セルの充電状態を、電池ユニットのSOCを用いて表すものとし、充電前の電池モジュール21A?21Cの各SOC(電池システム1の充電動作処理前の初期値のSOC)は、それぞれ80%、60%、70%であるとして説明する。」
・「【0034】
まず、制御装置40は、風力発電装置10の供給電力量Pの情報を風力発電装置10から取得する(ステップS100)。本例では、制御装置40は、例えば、風力発電装置10の供給電力量Pが100kWであるとの情報を風力発電装置10から取得したものとする。
【0035】
次いで、制御装置40は、上記取得した供給電力量Pの情報から、供給電力量Pを電池ユニットの個数Nで除算し、この除算した値P/Nが基準電力値Pb以上であるか否かを判断する(ステップS101)。すなわち、本例では、制御装置40は、供給電力量Pである100kWを電池ユニットの個数Nである3で除算した値P/Nが、基準電力値Pbである40kW以上であるか否かを判断する。
【0036】
上記除算した値P/Nが、基準電力値Pb以上である場合(ステップS101:Yes)、制御装置40は、信号線を介して電池ユニット20A?20Cの各スイッチ23A?23Cに対して制御信号を送り、各スイッチ23A?23CをONとする(ステップS102)。この場合、各スイッチ23A?23CをONとしても、各コンバータ22A?22Cに入力される電力は、それぞれ基準電力値Pb以上となるので、コンバータ22A?22Cでの電力変換効率が高い状態で、各電池モジュール21A?21Cを充電することができる。なお、制御装置40は、各スイッチ23A?23CをONとする際、信号線を介して電池ユニット20A?20Cの各コンバータ22A?22Cに対しても制御信号を送り、各コンバータ22A?22Cを起動する。
【0037】
ステップS102の処理後、制御装置40は、再度、供給電力量Pの情報を風力発電装置10から取得し(ステップS103)、該取得した供給電力量Pの情報から、供給電力量Pを電池ユニットの個数Nで除算し、この除算した値P/Nが基準電力値Pb以上であるか否かを判断する(ステップS104)。このステップS103?S104の処理は、所定時間経過後に供給電力量Pが変化した場合、電池システム1における充電効率を高く維持するために、電力の供給を受ける電池ユニットの個数N(=3)を変えた方が良いか否かを判断するために行う処理である。すなわち、ステップS103の処理前では、先のステップS101の処理で取得した供給電力量Pに基づいて電力の供給を受ける電池ユニットの個数をN(=3)として決定しているが、この個数は、供給電力量Pを各電池ユニット21A?21Cに分配しても各電池ユニット21A?21Cに基準電力値Pb以上の電力が供給可能であるために決定されたものである。しかし、風力発電装置10のように自然エネルギーを利用した電源装置においてはその供給電力量Pが変化するため、基準電力値Pb以上の電力の供給を受けられる最適な電池ユニットの個数も変わり得ることとなる。したがって、供給電力量Pに応じて電力の供給を受ける最適な電池ユニットの個数を変更することが好ましい。なお、供給電力量Pの情報を取得するタイミングは、例えば、風力発電装置10の特性などの要因に応じて適宜設定することができる。
【0038】
ステップS104の処理において、上記除算した値P/Nが、基準電力値Pb以上である場合、すなわち、電力を供給する電池ユニットの個数Nを変更しなくても良い場合(ステップS104:Yes)、制御装置40は、各電池モジュール21A?21Cが充電終了したか否かを判断する(ステップS105)。ここで、各電池モジュール21A?21Cにおける充電終了とは、例えば、各電池モジュール21A?21Cの全てが満充電となった場合や、各電池モジュール21A?21Cに充電された電力を放電する必要が生じた場合である。充電終了であれば(ステップS105:Yes)、本処理フローは終了し、充電終了でなければ(ステップS105:No)、ステップS103の処理に移る。なお、本例では、供給電力量Pが100kW及び電池ユニットの個数Nが3であれば、除算した値P/Nは、約33kWとなり、基準電力値Pbである40kWより小さくなるため、ステップS102?S105の処理は行われない。
【0039】
ステップS101の処理において(又は、ステップS104の処理において)、除算した値P/Nが基準電力値Pbより小さい場合(ステップS101:No(又は、ステップS104:No))、制御装置40は、各電池モジュール21A?21Cの充電状態を示す情報を取得し、SOCを演算する(ステップS106)。本例では、上記除算した値P/Nは、約33kWであり、基準電力値Pbである40kWより小さくなるため、制御装置40は、各電池モジュール21A?21Cの充電状態を示す情報として、各電圧センサV_(1)?V_(3)で測定された各電圧値と、各電流センサI_(1)?I_(3)で計測された各電流値とを、各電圧センサV_(1)?V_(3)及び各電流センサI_(1)?I_(3)から信号線を介して取得する。制御装置40が、上記取得した各電圧値及び各電流値により、公知の演算方法を用いて各電池モジュール21A?21CのSOCを演算する。なお、上記前提条件で述べたように、本例においては、制御装置40が演算した結果、各電池モジュール21A?21Cの充電動作処理前のSOC(初期値のSOC)は、それぞれ80%、60%、70%であったものとする。
【0040】
次いで、制御装置40は、取得した各電池モジュール21A?21CのSOCに基づいて、各電池ユニット21A?21Cに対して電力を供給する優先順位を決定する(ステップS107)。すなわち、制御装置40は、電池ユニット20A?20Cに対して電力を供給する優先順位をSOCの低い順に決定するものとし、本例では、取得した電池モジュール21A?21CのSOCが、それぞれ80%、60%、70%であるため、電池ユニット20Bの優先順位を1番、電池ユニット20Cの優先順位を2番、電池ユニット20Aの優先順位を3番と決定する。
【0041】
次に、図5に示すフローチャートに移り、制御装置40は、電力を同時に供給可能な電池ユニットの個数(同時にスイッチをON可能な個数)を変数Mで表し、M=N-1と設定する(ステップS108)。なお、ステップS108?S111の各処理は、各電池ユニットに供給される電力が基準電力値Pb以上になるように、風力発電装置10から電力が供給される電池ユニットの数を調整するために行う処理である。
【0042】
制御装置40は、供給電力量PをMで除算した値P/Mが、基準電力値Pbより大きいか否かを判断する(ステップS109)。本例では、供給電力量Pである100kWを、M(=N(3)-1)である2で除算した値P/Mが、基準電力値Pbである40kW以上であるか否かを判断する。
【0043】
上記除算した値P/Mが基準電力値Pbより小さい場合(ステップS109:No)、制御装置40は、M=M-1と再設定して(ステップS110)、Mが2以上であれば(ステップS111:Yes)、ステップS109の処理に戻る。一方、Mが2より小さい場合(すなわち、Mが1の場合)(ステップS111:No)、制御装置40は、電力の供給可能対象とする電池ユニットの個数を変数Qで表し、Q=1と設定する(ステップS112)。
【0044】
一方、上記除算した値P/Mが基準電力値Pb以上である場合(ステップS109:Yes)、制御装置40は、電力の供給可能対象とする電池ユニットの個数を変数Qで表し、Q=Mと設定する(ステップS113)。本例では、上記除算した値P/Mは、50kWであり、この値は基準電力値Pbである40kWより大きいため、Q=M(2)と設定する。
【0045】
次いで、制御装置40は、まず、優先順位が1番目からQ番目の電池ユニットまで各々P/Mの電力を供給するため、信号線を介して対応するスイッチに対して制御信号を送り、当該スイッチをONとする(ステップS114)。本例では、ステップS113の処理において、Q=2と設定されているため、制御装置40は、優先順位が1番目の電池ユニット20Bから優先順位が2番目の電池ユニット20Cまで各々供給電力として50kWを供給(充電)することとなり、対応するスイッチ23B、23CをONとし、また、各コンバータ22B、22Cも起動する。各スイッチ23B、23CがONとなることで、コンバータ22B、22Cは、それぞれ基準電力値Pbである40kW以上の電力が入力されることとなる。その結果、コンバータ22B、22Cでの電力変換効率を高い状態で維持しつつ、電池モジュール21B、21Cは充電される。なお、これまでの処理を行った結果を、図7(A)の表に示す。」
・「【0062】
以上、本実施形態の電池システム1によれば、風力発電装置10からの供給電力量に応じて、且つ、電力変換器22A?22Cの電力変換効率をも考慮して、並列にそれぞれ接続された複数の電池ユニット20A?20Cのうち供給すべき電池ユニットを選択することができるので、高い充電効率を維持して最適な個数の電池モジュールを充電することができる。」
・段落【0014】、【0016】、【0017】の記載事項及び図2の記載からみて、コンバータ22A?22Cは、各電池モジュール21A?21Cに充電するため、前記各電池モジュール21A?21Cごとに対応して前記各電池ユニット20A?20Cに備えられることが理解できる。

したがって、上記先願明細書5には次の発明(以下、「引用発明5-1」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明5-1>
「電池装置20が、電池モジュール21A?21Cを有する3つの電池ユニット20A?20Cを備え、風力発電装置10で発生した電力を前記電池装置20に供給して充電する電池システム1において、
風力発電装置10の供給電力量Pの情報を風力発電装置10から取得する取得部42と、
前記風力発電装置10から交流電力の入力を受けて直流電力に変換し、各電池モジュール21A?21Cに充電するため、前記各電池モジュール21A?21Cごとに対応して前記各電池ユニット20A?20Cに備えられる実質的に同一特性のコンバータ22A?22Cと、
前記コンバータ22A?22Cについての所定の電力変換効率を有する基準電力値Pbに基づいて、前記各電池ユニット20A?20Cのうちから、前記供給電力量Pを、前記コンバータ22A?22Cが前記基準電力値Pb以上となる電力量に分配可能な個数Mを決定し、該決定した個数Mの電池ユニットをSOCに基づく優先順位に従って選択するとともに、選択した電池ユニットに各々P/Mの電力を供給することを決定する制御装置40と、
前記選択した電池ユニットに前記P/Mの電力が供給されるように、対応するスイッチ23A?23CをONとし、対応するコンバータを起動する制御装置40と
を備える電池システム1。」

また、先願明細書5には、前記(1)摘記の事項が記載されており、先願明細書5の段落【0035】?【0044】の記載事項からみて、コンバータ22A?22Cについての所定の電力変換効率を有する基準電力値Pbに基づいて、各電池ユニット20A?20Cのうちから、供給電力量Pを、前記コンバータ22A?22Cが前記基準電力値Pb以上となる電力量に分配可能な個数Mを決定し、該決定した個数Mの電池ユニットをSOCに基づく優先順位に従って選択するとともに、選択した電池ユニットに各々P/Mの電力を供給することを決定するステップS101?S113とが理解できる。

そうすると、次の発明(以下、「引用発明5-2」という。)も記載されていると認められる。
<引用発明5-2>
「電池装置20が、電池モジュール21A?21Cを有する3つの電池ユニット20A?20Cを備え、電池システム1は、風力発電装置10から交流電力の入力を受けて直流電力に変換し、各電池モジュール21A?21Cに充電するため、前記各電池モジュール21A?21Cごとに対応して前記各電池ユニット20A?20Cに備えられる実質的に同一特性のコンバータ22A?22Cを有する、前記風力発電装置10で発生した電力を前記電池装置20に供給して充電する電池システム1の充電動作処理方法において、
風力発電装置10の供給電力量Pの情報を風力発電装置10から取得するステップS100と、
前記コンバータ22A?22Cについての所定の電力変換効率を有する基準電力値Pbに基づいて、前記各電池ユニット20A?20Cのうちから、前記供給電力量Pを、前記コンバータ22A?22Cが前記基準電力値Pb以上となる電力量に分配可能な個数Mを決定し、該決定した個数Mの電池ユニットをSOCに基づく優先順位に従って選択するとともに、選択した電池ユニットに各々P/Mの電力を供給することを決定するステップS101?S113と、
前記選択した電池ユニットに前記P/Mの電力が供給されるように、対応するスイッチ23A?23CをONとし、対応するコンバータを起動するステップS114と
を備える電池システム1の充電動作処理方法。」

また、先願明細書5の段落【0024】の「制御装置40は、電池ユニット20A?20Cを充電する処理機能として…(中略)…及び切換部44を有する。なお、制御装置40は、例えば、種々の演算および制御を行うためのプロセッサ…(中略)…プログラム等を格納するROM、及び周辺回路から構成され、上記各部の処理機能を実現することができる。」という記載からみて、先願明細書5には、プロセッサに引用発明5-2の充電動作処理方法の各ステップを実行させるためのプログラムが記載されているといえる。
したがって、先願明細書5には次の発明(以下、「引用発明5-3」という。)も記載されていると認められる。
<引用発明5-3>
「プロセッサに、
電池装置20が、電池モジュール21A?21Cを有する3つの電池ユニット20A?20Cを備え、電池システム1は、前記風力発電装置10から交流電力の入力を受けて直流電力に変換し、各電池モジュール21A?21Cに充電するため、前記各電池モジュール21A?21Cごとに対応して前記各電池ユニット20A?20Cに備えられる実質的に同一特性のコンバータ22A?22Cを有する、風力発電装置10で発生した電力を前記電池装置20に供給して充電する電池システム1の充電動作処理方法のプログラムであって、
風力発電装置10の供給電力量Pの情報を風力発電装置10から取得するステップS100と、
前記コンバータ22A?22Cについての所定の電力変換効率を有する基準電力値Pbに基づいて、前記各電池ユニット20A?20Cのうちから、前記供給電力量Pを、前記コンバータ22A?22Cが前記基準電力値Pb以上となる電力量に分配可能な個数Mを決定し、該決定した個数Mの電池ユニットをSOCに基づく優先順位に従って選択するとともに、選択した電池ユニットに各々P/Mの電力を供給することを決定するステップS101?S113と、
前記選択した電池ユニットに前記P/Mの電力が供給されるように、対応するスイッチ23A?23CをONとし、対応するコンバータを起動するステップS114とを含む
各ステップを実行させるためのプログラム。」

(2)対比・判断
ア.本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と、引用発明5-1とを対比すると、次のことがいえる。
(a)引用発明5-1における「電池モジュール21A?21C」は、本願発明1における「複数の蓄電池」に相当する。
(b)引用発明5-1における「電池システム1」は、「風力発電装置10から交流電力の入力を・・・各電池モジュール21A?21Cに充電する」ものであって、それは「所定の地域範囲」に設置されていると認められるから、引用発明5-1における「風力発電装置10の供給電力量P」は、本願発明1における「所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力」に相当する。そして、引用発明5-1における「風力発電装置10の供給電力量Pの情報を風力発電装置10から取得する取得部42」は、本願発明1における「所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出部」に相当する。
(c)引用発明5-1における「各電池モジュール21A?21Cごとに対応して各電池ユニット20A?20Cに備えられる実質的に同一特性のコンバータ22A?22C」は、「風力発電装置10から交流電力の入力を受けて直流電力に変換」するものであって、本願発明1における「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータ」に相当する。
そして、引用発明5-1における「前記コンバータ22A?22Cについての所定の電力変換効率を有する基準電力値Pbに基づいて、前記各電池ユニット20A?20Cのうちから、前記供給電力量Pを、前記コンバータ22A?22Cが前記基準電力値Pb以上となる電力量に分配可能な個数Mを決定し、該決定した個数Mの電池ユニットをSOCに基づく優先順位に従って選択するとともに、選択した電池ユニットに各々P/Mの電力を供給することを決定する制御装置40」と、本願発明1における「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定部」とは、いずれも「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定部」である点で共通する。
(d)引用発明5-1における「前記選択した電池ユニットに前記P/Mの電力が供給されるように、対応するスイッチ23A?23CをONとし、対応するコンバータを起動する制御装置40」は、本願発明1における「前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御部」に相当する。
(e)引用発明5-1における「電池システム1」は、本願発明1における「電力管理装置」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明5-1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「複数の蓄電池を備える所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出部と、
蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定部と、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御部と
を備える電力管理装置。」

<相違点4>
分配電力決定部に関し、本願発明1は、複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、「前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、」前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する構成であるのに対し、引用発明5-1は、蓄電池(各電池ユニット20A?20C)ごとに対応して備えられるインバータ(コンバータ22A?22C)は「実質的に同一特性」であり「電池ユニットをSOCに基づく優先順位に従って選択する」ものであって、「インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて」分配対象とする構成ではない点。

(イ)相違点4についての判断
相違点4が存在するため、本願発明1と引用発明5-1とは同一ではない。さらに、相違点4が課題解決のための具体化手段におけるの微差であるか否かについて検討する。
そこで、本願発明1が、「インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて」効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する構成であることの課題ないし技術的意義について検討する。
本願明細書の段落【0041】,【0044】,【0049】,【0059】の記載事項を参照すると、本願発明1が「インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて」効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する構成であることの課題ないし技術的意義は、電力管理地域1における需要家施設10ごとの各インバータ104は、メーカや機種などに応じて定格電力、定格電力時の効率の値、境界値αなどのパラメータが異なるという状況であっても、効率が一定以上となるインバータに対応する1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定できるように、電力管理地域1におけるインバータ104ごとのインバータ効率特性をインバータ効率特性テーブル240に格納し、このインバータ効率特性テーブル240を参照して、インバータ104における損失が一定以下(効率が一定以上)となる電力で充電可能な1以上の蓄電池103を充電対象として決定するとともに、充電対象としての蓄電池103ごとに電力をどれだけ分配して充電すべきかについても決定するようにしているものであることが理解できる。
本願発明1のこのような課題ないし技術的意義は、複数台のインバータ(コンバータ22A?22C)が「実質的に同一特性」であり「電池ユニットをSOCに基づく優先順位に従って選択する」という引用発明5-1では奏さないものである。
したがって、相違点4が課題解決のための具体化手段における微差とはいえないから、本願発明1と引用発明5-1とは、実質的に同一であるということもできない。

イ.本願発明2?11について
本願発明2?11は、本願発明1を直接又は間接的に引用して発明特定事項を特定する発明であり、本願発明1が備える発明特定事項を全て備えている。したがって、本願発明2?11と引用発明5-1とは、上記ア(ア)で述べた本願発明1と引用発明5-1との相違点4で相違する。そして、上記ア(イ)で述べたとおり、この相違点4は実質的な相違点であるから、本願発明2?11と、引用発明5-1とは、実質的にも同一ではない。

ウ.本願発明12について
(ア)対比・判断
本願発明12と、引用発明5-2とを対比すると、上記ア(ア)で述べたのと同様なことがいえ、引用発明5-2における「取得するステップS100」、「コンバータ22A?22C」、「コンバータを起動するステップS114」及び「電池システム1の充電動作処理方法」は、それぞれ本願発明12における「総電力算出ステップ」、「インバータ」、「電力制御ステップ」及び「電力管理方法」に相当する。
また、引用発明5-2における「各電池モジュール21A?21Cごとに対応して各電池ユニット20A?20Cに備えられる実質的に同一特性のコンバータ22A?22C」は、「風力発電装置10から交流電力の入力を受けて直流電力に変換」するものであって、本願発明1における「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータ」に相当する。
そして、引用発明5-2における「前記コンバータ22A?22Cについての所定の電力変換効率を有する基準電力値Pbに基づいて、前記各電池ユニット20A?20Cのうちから、前記供給電力量Pを、前記コンバータ22A?22Cが前記基準電力値Pb以上となる電力量に分配可能な個数Mを決定し、該決定した個数Mの電池ユニットをSOCに基づく優先順位に従って選択するとともに、選択した電池ユニットに各々P/Mの電力を供給することを決定するステップS101?S113」と、本願発明12における「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップ」とは、「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップ」である点で共通する。
したがって、本願発明12と引用発明5-2との間には、次の一致点、及び上記相違点4と同様な相違点5があるといえる。

<一致点>
「複数の蓄電池を備える所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出ステップと、
蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップと、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御ステップと
を備える電力管理方法。」

<相違点5>
分配電力決定ステップに関し、本願発明12は、前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、「前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、」前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する構成であるのに対し、引用発明5-2は、蓄電池ごと(各電池ユニット20A?20C)に対応して備えられるインバータ(コンバータ22A?22C)は「実質的に同一特性」であり「電池ユニットをSOCに基づく優先順位に従って選択する」ものであって、「インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて」分配対象とする構成ではない点。

相違点5について検討すると、相違点5は、相違点4と同様な相違点であるから、上記ア(イ)で述べたのと同様の理由で、本願発明12と引用発明5-2とが、実質的にも同一であるということはできない。

エ.本願発明13について
(ア)対比・判断
本願発明13と、引用発明5-3とを対比すると、上記ア(ア)、上記ウ(ア)で述べたのと同様なことがいえ、引用発明5-3における「取得するステップS100」、「コンバータ22A?22C」及び「コンバータを起動するステップS114」は、それぞれ本願発明12における「総電力算出ステップ」、「インバータ」及び「電力制御ステップ」に相当する。
そして、引用発明5-3における「プロセッサ」及び「各ステップを実行させるためのプログラム」は、それぞれ本願発明13における「コンピュータ」及び「実行させるためのプログラム」に相当する。
したがって、本願発明13と引用発明5-3との間には、次の一致点、及び上記相違点5と同様の相違点6があるといえる。

<一致点>
「コンピュータに、
複数の蓄電池を備える所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出ステップと、
蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップと、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御ステップと
を実行させるためのプログラム。」

<相違点6>
分配電力決定ステップに関し、本願発明13は、前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、「前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、」前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する構成であるのに対し、引用発明5-3は、蓄電池ごと(各電池ユニット20A?20C)に対応して備えられるインバータ(コンバータ22A?22C)は「実質的に同一特性」であり「電池ユニットをSOCに基づく優先順位に従って選択する」ものであって、「インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて」分配対象とする構成ではない点。

上記ウ(ア)で述べたとおり、相違点6は、相違点5(及び相違点4)と同様な相違点であるから、上記ア(イ)で述べたのと同様の理由で、本願発明13と引用発明5-3とは、実質的にも同一ではない。

オ.小括
以上のとおりであるから、本願の請求項1?13に係る発明は、いずれも、先願明細書5に記載された発明と実質的にも同一ではない。

2.先願6に記載された発明との同一性について
(1)先願6
原査定の拒絶の理由に引用された、先願6の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「先願明細書6」という。)には、次の事項が記載されている。
・「【請求項1】
電力配線と、
電池セルと、前記電池セルから直流電力を受けて交流電力に変換し且つ前記交流電力を前記電力配線に出力するインバータとを備えた複数の実質的に同一のインバータユニットと、
前記複数のインバータユニットを制御する制御装置と
を有し、
前記制御装置は、各々の前記電池セルの劣化情報をそれぞれ演算し、前記電力配線へ供給する電力量及び前記劣化情報に応じて駆動対象外とするインバータユニットを前記複数のインバータユニットの中から決定することを特徴とする電池システム。」
・「【0001】
本発明は、交流電力を出力する複数のインバータを備えた電池システムに関する。」
・「【0009】
本発明の実施形態に係る電池システムは複数の実質的に同一構成のインバータユニットを備えており、電池システムに組み込まれる直流電源としての複数の電池セルの劣化の度合いを考慮し、交流電力負荷へ供給する電力量が小さい場合には、劣化の大きい電池セルに接続したインバータユニットは駆動せずに他のインバータユニットを駆動し、交流電力負荷へ供給する電力量が大きく、劣化の大きい電池セルに接続したインバータユニットも駆動する必要がある場合には、できるだけ変換効率が最も高い出力で当該インバータユニットを駆動することを特徴の1つとしている。以下、図面を参照しながら、詳述する。」
【0010】
まず、本発明の実施形態の電池システムの構成につき図面を参照して説明する。その動作については後述する。
図1は電池システム1の構成の概要を示す図である。電池システム1は、交流電力の供給を受ける交流電力負荷2、当該交流電力を供給する複数のインバータユニット3(ここでは、3-1及至3-4)、インバータユニット3を制御する制御装置4、およびインバータユニット3に関する情報を表示する表示装置5を備えている。なお、いずれのインバータユニット3も、互いに共通の同一の電力配線に上記交流電力の供給を行う。また、ここでは、電力負荷として交流電力負荷2を用いて説明するが、インバータユニット3が供給する交流電力をさらにコンバータで直流電力に変換した後に当該直流電力で電力負荷としての直流電力負荷を駆動する電池システム1としてもよい。
インバータユニット3は、直流電源としての電池モジュールBMと、電池モジュールBMから直流電力の入力を受けて交流電力へ変換するインバータInvと、電池モジュールBMとインバータInvとの間の電力経路に配置され、電池モジュールBMからインバータInvへの交流電力の入力を遮断することができるスイッチSWとを備えている。なお、図中、各インバータユニット3に対応する電池モジュール等の構成には、それぞれのインバータユニットに対応して、末尾に1?4の数字を記載し、いずれのインバータユニット3に含まれる構成であるか判別容易としている。例えば、インバータユニット3-1では、電池モジュールBM1、インバータInv1、スイッチSW1と記載している。他のインバータユニット3-2及至3-4でも同様である。
各インバータユニット3のインバータInv、電池モジュールBM、及びスイッチSWはバスまたは信号線を介して制御装置4に接続されている。従って、制御装置4は、当該バスまたは信号線を介して、電池モジュールBMから電池セルに関する後述の計測情報を受け、また、インバータInv及びスイッチSWの動作を制御する。」
・「【0014】
では、電池システム1の動作、具体的には、制御装置4が行う複数のインバータユニット3の制御動作につき、図3のフローチャートを用いて詳述する。なお、説明にあたり、次の事項を前提とする。
まず、インバータInvの最大出力を固定値であるPm、ここでは最大出力Pm=500kWとする。すなわち、出力100%とした場合にはPmが出力されることになる。また、インバータInvの最大の変換効率を示す際の出力(以下、「最大効率時出力」という)を固定値であるPe、ここでは最大効率時出力Pe=200kW(出力40%とした場合に相当)とする。最大出力Pmや最大効率時出力Peの値はインバータの製造メーカ毎に異なるが、図4に示すように、一般的にインバータは、最大効率時出力より小さい出力になるほど急激に変換効率が悪化し、最大効率時出力から最大出力になるまでの間は、比較的なだらかに変換効率が低下する傾向にある。従って、一般化した値であるPmやPeを用いることで、いかようなインバータも電池システム1に適用することができる。なお、いずれのインバータユニット3も、実質的に同一特性のインバータInvを用いている。
また、インバータユニット3の個数を固定値であるN、ここでは図1に示すようにインバータInv1?Inv4の4つを用いるので、N=4とする。従って、図1では、交流電力負荷2の最大許容電力がN×Pm、すなわち2000kWであるとする。
さらに、交流電力負荷2に供給する電力(以下、「供給電力」という)を変数であるPとする。上述のように交流電力負荷2の最大許容電力が2000kWであるので0≦P≦2000kWである。供給電力Pのうち、特に、電池システム1が起動した当初の供給電力を固定値であるPIとし、後に変更される供給電力を変数のPcとして示す。
そして、図3で用いる演算では、床関数floor(x)を適宜用いる。床関数とは、固有値x以下の最大の整数を解とする演算式であり、例えば、x=1.5の場合、floor (1.5)=1となる。また、x=1の場合、floor(1)=1となる。さらに、x=0.5の場合、floor(0.5)=0となる。
なお、以上のように最大出力Pmや交流電力負荷2の最大許容電力等を仮定して説明する都合上、電池モジュールBMの備える電池セルの数等は適宜これらに対応するものとする必要があるため、以下に説明する電池システム1の構成は、図2の電池モジュールに示す構成と同数の電池セルを備えているとは限らない。
【0015】
そして、さらなる前提として、ここでは各電池セルの劣化情報として、各電池セルの充電率SOC(State Of Charge)を用いる。充電率SOCは、満充電時における電池の容量に対して充電残量がどのくらいかを比率(パーセント)で表すものであり、セル電圧と各アームを流れる電流により、公知の演算方法を用いて所定時間毎(例えば、2分間毎)に制御装置4にて算出される。
劣化情報として充電率SOCを用いることができる理由は、次のとおりである。
すなわち、複数の電池セルとして新品から中古のものまで混在させて電池システム1に使用する場合において、電池セルが二次電池の場合には交流電力負荷2へ電力供給を開始する前に全ての電池セルに一律に充電を行うのが一般的であるが、かように一律に充電しても、一部の電池セルに劣化がある場合には他の電池セルの充電率SOCより低い充電率までしか当該一部の電池セルに充電することができない。例えば、全ての電池セルを一律に同時に充電しても、他の電池セルの充電率SOCが70%であるにも関わらず、ある電池セルの充電率SOCは30%にしかならない場合もあり得るのである。これは劣化した電池セルでは内部抵抗が上昇しているためである。
なお、かような現象は、当初、全ての電池セルを新品の状態から電池システム1で使用していた場合にも、長期間使用することで、電池セルごとに充電率SOCのばらつきが生じ得るので、新品と中古のものを混在させた場合に限らず発生する。
このため、各電池セルの充電率SOCを、ここでは各電池セルの劣化情報として用いることとするものである。」
・「【0017】
では、以上を前提として、電池システム1の動作を説明する。
まず、ユーザーにより駆動スイッチがONされることで、インバータユニット3以外の図示しない小電源によって制御装置4が起動し、制御装置4内の不揮発性メモリー(図示なし)に記録されたN、Pm、Peの値を制御装置4が読み出すとともに、電池システム1内の全てのインバータユニット3を駆動対象として制御装置4が認識する。さらに、制御装置4は、各電池セルの計測情報を用いて各電池セルの劣化情報の演算も開始する(ステップS1)。ここでは、劣化情報として、各電池セルの充電率SOCの演算を開始する。次に、制御装置4は、制御装置4内の不揮発性メモリー(図示なし)に記録された初期値PIを読み出し、P=PIとする(ステップS2)。PIは上述のように固定値であり、PI=0でもよいが、ここでは、説明の簡便のため、2つのインバータユニット3を少なくとも駆動する必要がある値とすることとし、PI=950kWとする。
【0018】
ステップS2の後、制御装置4は、変数Mを用いて、まずはM=Nとする(ステップS3)。図1では、N=4であるので、M=4となる。
そして、制御装置4は、i=floor(P÷Pm)を演算する(ステップS4)。iの値は、i個または(i+1)個のインバータユニット3が後述の場合分けに従って駆動されることを意味する。ステップS2により供給電力P=950kWであり、最大電力Pmは固定値であって且つここではPm=500kWであるので、i=1となる。
【0019】
ステップS4の後、制御装置4は、i=Nかi≠Nかを判断する(ステップS5)。ここでは、N=4且つi=1であるので、制御装置4はi=Nではないと判断し、「no」の場合のステップS7に進む。
なお、ステップS5で制御装置4がi=Nと判断する場合とは、全てのインバータユニット3を最大出力Pmで駆動する必要がある場合である。すなわち、電池セルの劣化を考慮している余裕はなく、短時間であろうとも全インバータInvに最大出力を供給させることが求められる場合である。従って、制御装置4がi=Nであると判断して「yes」の場合であるステップS6へ進む場合には、制御装置4は全てのインバータユニット3のインバータInvの出力を最大電力Pmとする制御を行うべく、全てのインバータユニット3のインバータInvに出力を最大電力Pmとするよう制御信号を送信する。そして、これを受信した各インバータInvでは、出力を最大電力Pmとする(ステップS6)。そして、次のステップS20へ進む。
【0020】
ステップS5からステップS7に進んだ場合、駆動対象のインバータInvに接続された電池モジュールBMの電池セルの中から一番劣化している可能性が高いという劣化情報が得られた電池セルを含むインバータユニット3を、制御装置4は駆動対象外とする(ステップ7)。ここでは、劣化情報として充電率SOCの値を用いるので、一番低い充電率SOCの値が算出された電池セルを含むインバータユニット3が駆動対象外となる。仮に、インバータユニット3-4が駆動対象外となったとして話を進める。
なお、制御装置4は、駆動対象外のインバータユニット3のインバータInvを駆動する制御を行わないので、当該インバータInvは交流電力の出力を行わない。
また、以上のように駆動対象外のインバータユニット3を選別するので、仮にインバータユニット3が最も劣化の少ないという劣化情報を示す電池セルを含んでいたとしても、当該インバータユニット3が一番劣化している可能性が高いという劣化情報(以下、「劣った劣化情報」ともいう)が得られた電池セルをも含んでいる場合には、駆動対象外として選別されることになるので注意を要する。
【0021】
ステップS7の後、制御装置4は、M-1の値をMに置換する。すなわち、M=M-1とする(ステップS8)。ここでは、当初M=4であったので、今、M=3と設定されたことになる。
そして、制御装置4は、M=i+1かM≠i+1かを判断する(ステップS9)。ここでは、M=3且つi=1であるので、制御装置4はM=i+1ではないと判断し、「no」の場合のステップS7に進む。ステップS7では、上述の動作がなされるので、具体的には現時点で駆動対象となっているインバータユニット3-1?3-3の中の電池セルのうち一番劣化している可能性が高いという劣化情報が得られた電池セルを含むインバータユニット3を、制御装置4は駆動対象外とする。ここでは、仮に、インバータユニット3-3も駆動対象外となったとして話を進める。
そして、ステップS7及びS8をM=i+1となるまで繰り返し、ステップS9で制御装置4がM=i+1であると判断した場合には、「yes」の場合のステップS10に進む。
なお、ステップS10に進む際には、制御装置4は、i+1個のインバータユニット3のみを駆動対象として認識していることになる。すなわち、各電池セルの劣化情報に基づいて、電池劣化の観点から複数のインバータユニット3の中から出力を継続することができる可能性が高いものから順にi+1個のインバータユニット3を選別し、これを駆動対象としている。ここでは、例えば、インバータユニット3-1及び3-2のみが駆動対象として制御装置4に認識されている。
【0022】
ステップS9の後、ステップS10では、制御装置4は、M=1かM≠1かを判断する(ステップS10)。ここでは、ステップS9によりM=2であるので、制御装置4はM=1ではないと判断し、「no」の場合のステップS11に進む。
なお、制御装置4がM=1であると判断する場合は、i=0の場合であって基本的にただ1つのインバータユニット3のみの駆動で供給電力を賄える場合である。この場合には、ステップS10から「yes」の場合のステップS17に進む。ステップS17については、後述する。
【0023】
ステップS11では、駆動対象のi+1個のインバータユニット3の中から、一番劣化している可能性が高いという劣化情報が得られた電池セルを含むインバータユニット3を、制御装置4が選別する(ステップS11)。理解容易のため、その選別されたインバータユニット3のインバータInvをインバータIaとする。ここでは、例えばインバータユニット3-2のインバータがインバータIaであるとして話を進める。
【0024】
そして、ステップS12に進み、制御装置4は、関係式P-Pm×i≧2×Peの関係にあるか否かを演算し、制御装置4がこの関係にあると判断した場合には、「yes」の場合のステップS13に進み、当該関係にないと判断した場合には、「no」の場合のステップS14に進む(ステップS12)。
そして、ステップS14では、制御装置4は、関係式2×Pe>P-Pm×i≧Peの関係にあるか否かを演算し、制御装置4がこの関係にあると判断した場合には、「yes」の場合のステップS15に進み、当該関係にないと判断した場合には、「no」の場合のステップS16に進む(ステップS14)。」
【0025】
ここで、ステップ12とステップ14にて、以上の場合分けを行う理由は次のとおりである。
まず、現在、駆動対象となっているi+1個のインバータユニット3のうち、インバータIaを含まないインバータユニット3は、インバータIaを含むインバータユニット3に比べて電池セルの劣化の程度が悪くないことから、インバータIaを含まないインバータユニット3のインバータInvの出力を全て最大出力Pmとしてもよいと考える。もちろん、インバータInvの出力を最大出力Pmとすることにより、出力を最大効率時出力Peとした場合に比べて変換効率は悪化するが、近年のインバータ技術の向上により、出力を最大出力Pmとした場合であっても、その変換効率は90%以上であるので、供給電力をできるだけ長く維持する観点を優先して制御してもさほど電池システム1の全体としての変換効率は悪化しないという判断である。
そして、次に、駆動対象のインバータユニット3のインバータInvを全て最大出力Pmで駆動した場合における供給電力Pに対するインバータIaの負担分の出力(すなわち、P-Pm×i)が、できるだけ最大効率時出力Peに近づくように処理するものである。最大効率時出力Pe付近の出力でインバータInvを駆動することで、駆動対象となったインバータユニット3の電池セルが仮に劣化している場合においても無駄なく当該電池セルから出力を得られることができ、結果として供給電力をできるだけ長く維持且つ電池システム1を効率的に運転することができるからである。
【0026】
このため、ステップS12では、上述のように、制御装置4が関係式P-Pm×i≧2×Peの関係にあるか否かを演算して判断している。そして、この関係式を満たす場合には、上記負担分を最大効率時出力Pe付近の出力で2つのインバータInvにて負担できることから、駆動対象外となったインバータユニット3のうち、一番最後に駆動対象外と判断されたインバータユニット3をやはり駆動対象とすることとし、当該インバータユニット3のインバータInvを最大効率時出力Peで出力するよう制御装置4が制御信号を送信する。そして、当該制御信号を受信した当該インバータInvは、最大効率時出力Peで出力をする。当該インバータユニット3が、現時点で駆動対象であるインバータユニット3の中で一番劣化している電池セルを含んでいるため、最適な変換効率で駆動するものである。
また、インバータIaに対してはP-Pm×i-Peの出力をするよう、制御装置4が制御信号を送信する。そして、当該制御信号を受信した当該インバータIaは、当該出力をする。
さらに、この時点で駆動対象であるインバータユニット3のうち、上述の2つのインバータユニットの他のインバータユニット3のインバータInvを最大出力Pmで出力するよう制御装置4が制御信号を送信する。そして、当該制御信号を受信した当該インバータInvは、当該出力をする(ステップS13)。
そして、ステップS20へ進むことになる。
ここで、P=950kW、Pe=200kW、Pm=500kW、i=1であるので、当該インバータIaの出力は250kWとなる。すなわち、ステップS12の時点で駆動対象となっていたインバータユニット3の中で、一番劣化が進んだ電池セルを備えたインバータユニット3のインバータInvは、最大効率時電力Peに近接した出力を行うので、結果として供給電力をできるだけ長く維持且つ電池システム1を効率的に運転することができる。
【0027】
一方、ステップS15に進む場合は、上記負担分を最大効率時出力Pe付近の出力で2つのインバータInvにて負担することはできないことから、インバータIaに対してはP-Pm×iの出力をするよう、制御装置4が制御信号を送信する。そして、当該制御信号を受信した当該インバータIaは、当該出力をする。また、駆動対象の他のインバータユニット3のインバータInvを最大出力Pmで出力するよう制御装置4が制御信号を送信する。そして、当該制御信号を受信した当該インバータInvは、当該出力をする(ステップS15)。
そして、ステップS20へ進むことになる。
【0028】
さらに、ステップS16に進む場合は、上記負担分が最大効率時出力Peより小さい場合であり、上述のように当該負担分が最大効率時出力Peより小さければ小さいほど急激に変換効率が悪化する。従って、インバータIaに対しては上記負担分より大きい値である最大効率時出力Peの出力をするよう、制御装置4が制御信号を送信する。そして、当該制御信号を受信した当該インバータIaは、当該出力をする。
また、駆動対象の他のインバータユニット3のインバータInvに対しては、上記負担分よりも余分に大きな値を出力しているインバータIaを鑑みて、この余分を調整すべく、最大出力Pmよりも小さい値であるPm-{Pe-(P-Pm×i)}÷iで出力するよう、制御装置4が制御信号を送信する。そして、当該制御信号を受信した当該インバータInvは、当該出力をする(ステップS16)。こうすることで、駆動対象の他のインバータユニット3の変換効率も向上することができる。
そして、ステップS20へ進むことになる。
【0029】
ここで、ステップS20の説明に進む前に、ステップS10から進んだステップS17以降の説明を先に行う。
ステップS17に進む場合は、上述のように、1つのインバータユニット3のみで供給電力を賄うことができる場合である。しかし、ステップS12の関連記載で述べたように、2×Pe≦Pの場合には、2つのインバータInvで最大効率時出力Pe付近の出力をさせた方がシステム全体の変換効率が向上する。このため、制御装置4は、関係式2×Pe≦Pであるか否かを演算して判断している。そして、この関係式を満たさないと判断した場合には、「no」の場合のステップS18に進み、この関係式を満たすと判断した場合には、「yes」の場合のステップS19に進む(ステップS17)。
そして、ステップS18では、駆動対象のインバータユニット3のインバータInvを供給電力Pで出力するよう、制御装置4が制御信号を送信する。そして、当該制御信号を受信した当該インバータInvは、当該出力をする(ステップS18)。そして、ステップS20に進む。
また、ステップS19では、最大効率時出力Pe付近の出力で2つのインバータInvにて供給電力を負担できることから、駆動対象外となったインバータユニット3のうち、一番最後に駆動対象外と判断されたインバータユニット3をやはり駆動対象とすることとして当該インバータユニット3のインバータInvの出力を最大効率時出力Pe、また、ステップS10の時点で駆動対象となっていたインバータユニット3のインバータInvの出力をP-Peとするよう、制御装置4が制御信号をそれぞれのインバータInvへ送信する。そして、当該制御信号を受信した当該各インバータInvは、対応した出力をする(ステップS19)。そして、ステップS20に進む。
【0030】
では、ステップS20の説明に進む。ステップS20では、供給電力Pの値をユーザーが制御装置4の操作盤(図示なし)を操作して変更したか否かを、制御装置4が判断する。そして、当該変更があったと判断した場合には、「yes」の場合のステップS21に進む。そして、当該変更がないと判断した場合には、「no」の場合のステップS22に進む(ステップS20)。
ステップS21に進む場合は、供給電力Pの値が変更値Pcへ変更された場合であるので、制御装置4はP=Pcとして、ステップS3に進む(ステップS21)。
また、ステップS22に進む場合は、供給電力Pの現時点の値が変更されない場合である。この場合には、ユーザーにより駆動スイッチがOFFされたか否かを制御装置4がさらに判断する。そして、駆動スイッチがOFFされていないと制御装置4が判断した場合には、「no」の場合のステップS20に進む。また、駆動スイッチがOFFされたと駆動装置4が判断した場合には、「yes」の場合のステップS23に進む。
そして、ステップS23に進むと、制御装置4は駆動しているインバータユニット3の全ての駆動を停止し、駆動スイッチがOFFされてから所定時間経過後に制御装置4と上記小電源が電気的に遮断されて制御装置4の動作が停止する。従って、制御装置4が各インバータユニット3へ制御信号を送信することができなくなるので、結果的に電池システム1の動作が停止する。
【0031】
以上のとおり、電池システム1では、交流電力負荷に共通且つ同一の電力配線で交流電力の供給をすることができる複数のインバータユニットを、交流電力負荷に求められる供給電力の量と各々のインバータユニットが備える電池セルの劣化の度合いに応じて、いずれのインバータユニットを駆動させるか、また、駆動させる場合にはインバータユニットからどれだけの出力をさせるかを適宜選択するので、できるだけ長時間継続して複数のインバータが交流電力負荷へ交流電力を供給できるとともに、電池システム全体の変換効率をも向上させることができる。
・段落【0010】の記載事項と図1からみて、電池モジュールBM1?BM4を備える4つのインバータユニット3-1?3-4と、4つの電池モジュールBM1?BM4ごとに対応して前記インバータユニット3-1?3-4に備えられるインバータInv1?Inv4とが理解できる。
・段落【0010】,【0014】,【0030】の記載事項からみて、インバータユニット3-1?3-4から、交流電力負荷2へ交流電力を供給する電池システム1において、交流電力負荷2へ供給する供給電力Pの値を判断する制御装置4が理解できる。
・段落【0014】,【0017】?【0031】の記載事項の特に下線部の記載事項と図3のフローチャートからみて、制御装置4内の不揮発性メモリーに記録された、前記実質的に同一特性のインバータInv1?Inv4の最大出力Pm及び最大効率時出力Peの値を制御装置4が読み出し、供給電力Pに対する各インバータの負担分の出力ができるだけ最大効率時出力Peに近づくように、前記インバータInv1?Inv4の駆動台数Mを決定し、劣化情報としての充電率SOCの値を考慮して劣化の大きい電池セルが接続されたインバータユニット3-1?3-4は駆動せずに他のインバータユニット3-1?3-4を駆動するよう決定するとともに、駆動するインバータInv1?Inv4の出力が、できるだけ最大効率時出力Peに近づくように各インバータユニット3-1?3-4の負担分の出力を決定する制御装置4と、前記駆動するよう決定したインバータユニット3-1?3-4のインバータInv1?Inv4が、それぞれの負担分の出力をすることが理解できる。

したがって、上記先願明細書6には次の発明(以下、「引用発明6-1」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明6-1>
「電池モジュールBM1?BM4を備える4つのインバータユニット3-1?3-4から、交流電力負荷2へ交流電力を供給する電池システム1において、交流電力負荷2へ供給する供給電力Pの値を判断する制御装置4と、
前記各インバータユニット3-1?3-4の電池モジュールBM1?BM4から直流電力の入力を受けて交流電力へ変換するために、前記4つの電池モジュールBM1?BM4ごとに対応して前記インバータユニット3-1?3-4に備えられる実質的に同一特性のインバータInv1?Inv4と、
前記制御装置4内の不揮発性メモリーに記録された、前記実質的に同一特性のインバータInv1?Inv4の最大出力Pm及び最大効率時出力Peの値を制御装置4が読み出し、供給電力Pに対する各インバータの負担分の出力ができるだけ最大効率時出力Peに近づくように、前記インバータInv1?Inv4の駆動台数Mを決定し、劣化情報としての充電率SOCの値を考慮して劣化の大きい電池セルが接続されたインバータユニット3-1?3-4は駆動せずに他のインバータユニット3-1?3-4を駆動するよう決定するとともに、駆動するインバータInv1?Inv4の出力が、できるだけ最大効率時出力Peに近づくように各インバータユニット3-1?3-4の負担分の出力を決定する制御装置4と、
前記駆動するよう決定したインバータユニット3-1?3-4のインバータInv1?Inv4が、それぞれの負担分の出力をする、
電池システム1。」

また、先願明細書6には,前記(1)摘記の事項が記載されており、次の発明(以下、「引用発明6-2」という。)も記載されていると認められる。
<引用発明6-2>
「各インバータユニット3-1?3-4の電池モジュールBM1?BM4から直流電力の入力を受けて交流電力へ変換するために、前記4つの電池モジュールBM1?BM4ごとに対応して前記インバータユニット3-1?3-4に備えられる実質的に同一特性のインバータInv1?Inv4を有し、4つのインバータユニット3-1?3-4から、交流電力負荷2へ交流電力を供給する電池システム1の制御動作であって、
交流電力負荷2へ供給する供給電力Pの値を判断するステップS21と、
前記制御装置4内の不揮発性メモリーに記録された、前記実質的に同一特性のインバータInv1?Inv4の最大出力Pm及び最大効率時出力Peの値を制御装置4が読み出し、供給電力Pに対する各インバータの負担分の出力ができるだけ最大効率時出力Peに近づくように、前記インバータInv1?Inv4の駆動台数Mを決定し、劣化情報としての充電率SOCの値を考慮して劣化の大きい電池セルが接続されたインバータユニット3-1?3-4は駆動せずに他のインバータユニット3-1?3-4を駆動するよう決定するとともに、駆動するインバータInv1?Inv4の出力が、できるだけ最大効率時出力Peに近づくように各インバータユニット3-1?3-4の負担分の出力を決定するステップS3?S18と、
前記駆動するよう決定したインバータユニット3-1?3-4のインバータInv1?Inv4が、それぞれの負担分の出力をするステップS13、S15、S16、S17、S18と、
を備える電池システム1の制御動作。」

(2)対比・判断
ア.本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と、引用発明6-1とを対比すると、次のことがいえる。
(a)引用発明6-1における「電池モジュールBM1?BM4」は、本願発明1における「複数の蓄電池」に相当する。
(b)引用発明6-1における「電池システム1」は、「所定の地域範囲」に設置されていると認められる。すると、引用発明6-1における「交流電力負荷2へ供給する供給電力Pの値を判断する制御装置」は、本願発明1における「所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出部」に相当する。
(c)引用発明6-1における「前記各インバータユニット3-1?3-4の電池モジュールBM1?BM4から直流電力の入力を受けて交流電力へ変換するために、前記4つの電池モジュールBM1?BM4ごとに対応して前記インバータユニット3-1?3-4に備えられる実質的に同一特性のインバータInv1?Inv4」は、本願発明1における「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータ」に相当する。
そして、引用発明6-1における「前記制御装置4内の不揮発性メモリーに記録された、前記実質的に同一特性のインバータInv1?Inv4の最大出力Pm及び最大効率時出力Peの値を制御装置4が読み出し、供給電力Pに対する各インバータの負担分の出力ができるだけ最大効率時出力Peに近づくように、前記インバータInv1?Inv4の駆動台数Mを決定し、劣化情報としての充電率SOCの値を考慮して劣化の大きい電池セルが接続されたインバータユニット3-1?3-4は駆動せずに他のインバータユニット3-1?3-4を駆動するよう決定するとともに、駆動するインバータInv1?Inv4の出力が、できるだけ最大効率時出力Peに近づくように各インバータユニット3-1?3-4の負担分の出力を決定する制御装置4」と、本願発明1における「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定部」とは、いずれも「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定部」である点で共通する。
(d)引用発明6-1における「前記駆動するよう決定したインバータユニット3-1?3-4のインバータInv1?Inv4が、それぞれの負担分の出力をする」ことから、インバータユニット3-1?3-4内に、そのような「負担分の出力をする」ようにインバータInv1?Inv4を制御する装置部分を備えていることが明らかである。すると、引用発明6-1における「前記駆動するよう決定したインバータユニット3-1?3-4のインバータInv1?Inv4が、それぞれの負担分の出力をする」ことは、本願発明1における「前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御部」を備えることに相当する。
(e)引用発明6-1における「電池システム1」は、本願発明1における「電力管理装置」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明6-1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「複数の蓄電池を備える所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出部と、
蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定部と、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御部と
を備える電力管理装置。」

<相違点7>
分配電力決定部に関し、本願発明1は、前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、「前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、」前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する構成であるのに対し、引用発明6-1は、蓄電池(電池モジュールBM1?BM4)ごとに対応して備えられるインバータ(インバータInv1?Inv4)は「実質的に同一特性」であり、「インバータの駆動台数Mを決定した後、劣化情報としての充電率SOCの値を考慮して劣化の大きい電池セルが接続されたインバータユニット3-1?3-4は駆動せずに他のインバータユニット3-1?3-4を駆動するよう決定する」構成であり、「インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて」分配対象として決定する構成ではない点。

(イ)相違点7についての判断
相違点7は、分配電力決定部に関し、引用発明6-1が、「インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて」分配対象として決定する構成ではない点で、上記相違点4と同様である。
そして、上記1(2)ア(イ)で述べたように、相違点4の存在により、引用発明5-1は本願発明1とは実質的に同一とはいえないものである。すると、相違点4と同様な相違点7を有する引用発明6-1は、上記1(2)ア(イ)で述べたのと同様な理由により、本願発明1とは実質的に同一とはいえないものである。

イ.本願発明2?11について
本願発明2?11は、本願発明1を直接又は間接的に引用して発明特定事項を特定する発明であり、本願発明1が備える発明特定事項を全て備えている。したがって、本願発明2?11と引用発明6-1とは、上記ア(ア)で述べた本願発明1と引用発明6-1との相違点7で相違する。そして、上記ア(イ)で述べたとおり、この相違点7により、本願発明2?11と、引用発明6-1とは、実質的にも同一ではない。

ウ.本願発明12について
(ア)対比・判断
本願発明12と、引用発明6-2とを対比すると、上記ア(ア)で述べたのと同様なことがいえ、引用発明6-2における「供給電力Pの値を判断するステップS21」、「インバータInv1?Inv4」、「それぞれの負担分の出力をするステップS13、S15、S16、S17、S18」、「電池システム1の制御動作」は、それぞれ本願発明12における「総電力算出ステップ」、「インバータ」、「電力制御ステップ」及び「電力管理方法」に相当する。
引用発明6-2の「各インバータユニット3-1?3-4の電池モジュールBM1?BM4から直流電力の入力を受けて交流電力へ変換するために、前記4つの電池モジュールBM1?BM4ごとに対応して前記インバータユニット3-1?3-4に備えられる実質的に同一特性のインバータInv1?Inv4」は、本願発明12の「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータ」に相当するから、引用発明6-2における「前記制御装置4内の不揮発性メモリーに記録された、前記実質的に同一特性のインバータInv1?Inv4の最大出力Pm及び最大効率時出力Peの値を制御装置4が読み出し、供給電力Pに対する各インバータの負担分の出力ができるだけ最大効率時出力Peに近づくように、前記インバータInv1?Inv4の駆動台数Mを決定し、劣化情報としての充電率SOCの値を考慮して劣化の大きい電池セルが接続されたインバータユニット3-1?3-4は駆動せずに他のインバータユニット3-1?3-4を駆動するよう決定するとともに、駆動するインバータInv1?Inv4の出力が、できるだけ最大効率時出力Peに近づくように各インバータユニット3-1?3-4の負担分の出力を決定するステップS3?S18」と、本願発明12における「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップ」とは、「蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を示すインバータ効率特性に基づいて、複数の蓄電池のうちから、1以上の蓄電池を総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップ」である点で共通する。
したがって、本願発明12と引用発明6-2との間には、次の一致点、及び上記相違点7と同様な相違点8があるといえる。

<一致点>
「複数の蓄電池を備える所定の地域範囲において蓄電池に対して充電すべき総電力または前記地域範囲において蓄電池から放電させるべき総電力を算出する総電力算出ステップと、
蓄電池に充電するための電力の交流直流変換または蓄電池から放電により出力される電力の直流交流変換を行うために前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を示すインバータ効率特性に基づいて、複数の蓄電池のうちから、1以上の蓄電池を総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する分配電力決定ステップと、
前記分配対象としての蓄電池の各々に対して前記分配電力が分配されるように、制御する電力制御ステップと
を備える電力管理方法。」

<相違点8>
分配電力決定ステップに関し、本願発明12は、前記複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、「前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、」前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定する構成であるのに対し、引用発明6-2は、蓄電池(電池モジュールBM1?BM4)ごとに対応して備えられるインバータ(インバータInv1?Inv4)は「実質的に同一特性」であり、「インバータの駆動台数Mを決定した後、劣化情報としての充電率SOCの値を考慮して劣化の大きい電池セルが接続されたインバータユニット3-1?3-4は駆動せずに他のインバータユニット3-1?3-4を駆動するよう決定する」構成であり、「インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて」分配対象として決定する構成ではない点。

相違点8について検討すると、相違点8は、相違点7と同様な相違点であるから、上記ア(イ)で述べたのと同様の理由で、本願発明12と引用発明6-2とが、実質的にも同一であるということはできない。

エ.本願発明13について
本願発明13と引用発明6-2とを対比すると、両者は、上記ウ(ア)で述べた相違点8及び次に示す相違点9で相違し、その余の点で一致する。
<相違点9>
本願発明13は、本願発明12が特定する各ステップと同様な各ステップを、コンピュータにより実行させるためのプログラムであるのに対し、引用発明6-2は、電池システム1の制御動作である点。

まず、相違点8について検討すると、上記ウ(ア)で述べたのと同様の理由により、本願発明13は、引用発明6-2と実質的にも同一であるということはできない。したがって、相違点9について検討するまでもなく、本願発明13は、引用発明6-2と実質的に同一であるということはできない。

オ.小括
以上のとおりであるから、本願の請求項1?13に係る発明は、いずれも、先願明細書6に記載された発明と実質的にも同一であるということはできない。

第6 原査定について
1.原査定の理由について
審判請求時の補正によって、補正後の請求項1?13に係る発明は、「複数の蓄電池ごとに対応して備えられるインバータについての電力に応じた効率の変動特性を、前記インバータごとに示すインバータ効率特性に基づいて、前記複数の蓄電池のうちから、前記総電力を分配したときにインバータにおける効率が一定以上となる1以上の蓄電池を前記総電力の分配対象として決定するとともに、決定された分配対象としての蓄電池ごとに分配する分配電力を決定する」という発明特定事項を有するものとなった。そして、上記「第4 原査定の理由1(特許法第29条第2項)について」及び「第5 原査定の理由2(特許法第29条の2)について」で述べたように、この発明特定事項により、補正後の請求項1?13に係る発明は、引用文献1?4に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえず、また、先願明細書5又は6に記載された発明と実質的に同一であるということはできないものである。
したがって、原査定の理由1及び理由2は、いずれも維持することができない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-12-18 
出願番号 特願2013-15581(P2013-15581)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H02J)
P 1 8・ 16- WY (H02J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 古河 雅輝  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 藤井 昇
矢島 伸一
発明の名称 電力管理装置、電力管理方法及びプログラム  
代理人 大槻 真紀子  
代理人 森 隆一郎  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 佐伯 義文  
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