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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B32B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
管理番号 1337018
異議申立番号 異議2017-700257  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-13 
確定日 2017-12-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5992091号発明「離型フィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5992091号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?4〕について訂正することを認める。 特許第5992091号の請求項1?4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5992091号(以下「本件特許」という。)の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成25年9月19日(優先権主張平成25年3月14日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成28年8月26日にその特許権の設定登録がされ、その後、請求項1?4に係る特許について、特許異議申立人森谷晴美(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において、平成29年6月13日付けで取消理由を通知したところ、指定期間内である平成29年8月10日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされ、平成29年9月14日に本件訂正請求について申立人より意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?4について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、本件特許に係る願書に添付した明細書、及び特許請求の範囲を、次のように訂正するものである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層を表層として含み、前記表層の表面粗さRa」と記載されているのを、「ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層を表層として含む離型フィルムであって、当該離型フィルムを50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした場合の、前記表層の前記プレス後の表面粗さRa」に訂正する。(請求項1を引用する請求項2?4についても、同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の、段落【0032】、【0037】、【0043】、【0044】から、実施例5?7及び比較例4についての記載を削除する。

2.訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正前の請求項1では、「表層の表面粗さRa」が、「プレス前の表面粗さ」を含み得る記載であったところ、「プレス前」の表面粗さが0.1?4μmの範囲を満たしても、本件特許明細書の比較例1?7によれば、本件特許明細書にいう効果を奏するものではないため、請求項1に係る発明は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである旨、また、請求項1の「表層の表面粗さRa」が、「プレス前の表面粗さ」を意味するのか「プレス後の表面粗さ」を意味するのか明確ではないため、訂正事項1は、「表層の表面粗さRa」が、「プレス後の表面粗さ」を意味することを明確にするとともに、その測定条件も明確にするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に記載する、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
本件特許明細書の段落【0007】には、
「本発明は、ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層を含むフィルムであって、当該フィルムを50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした後の表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする離型フィルムを提供するものである。」と記載されており、訂正事項1は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであり、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第6項の規定にも適合する。

(2)訂正事項2について
訂正前の本件特許明細書の段落【0032】、【0037】、【0043】、【0044】は、実施例5?7及び比較例4に係る記載を含むものであったところ、本件特許明細書の実施例5?7と比較例4は、外層とコア層の組成や厚み、エンボス処理等の処理が同一であるにもかかわらず、本件特許明細書記載の効果において相違しており、当業者がどのようにすれば、本件特許明細書記載の効果を奏するフィルムを得られるのかが不明であり、請求項1?4に係る発明を実施することができないため、訂正事項2は、外層とコア層の組成や厚み、エンボス処理等の処理が同一であっても効果が相違するという誤解を与える恐れがある記載を削除するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に記載する、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項2は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであること、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであり、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。

(3)申立人の主張について
ア.申立人は、訂正事項1について、平成28年4月6日付け拒絶理由通知の理由3(4)に対し、特許権者は意見書において「表面粗さRaが0.1?4μmの範囲である」との記載は、「ロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造用の離型フィルム」、即ち、最終的に得られた生産物の表面粗さを規定することを意味する旨記載しており、訂正事項1は、「最終的に得られた生産物の表面粗さ」を「10分間プレスした後の表面粗さ」にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであると主張する。(申立人の意見書「3(2)ア」)
しかし、上記平成28年4月6日付け拒絶理由通知の理由3(4)は、
「当該フィルムを50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間熱プレス後の表面粗さRaが0.1?10μmの範囲である」との記載が、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームである恐れがあるとする拒絶理由であり、特許権者が意見書で「最終的に得られた生産物の表面粗さを規定することを意味する」旨記載したのは、その拒絶理由に対して、請求項1の記載が「物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている」ものではないことを説明するためであり、申立人がいうように、10分プレスを行う前の「最終的に得られた離型フィルムの表面粗さ」を意味するとしたものではない。
そして、本件特許明細書の段落【0007】に「本発明は、ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層を含むフィルムであって、当該フィルムを50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした後の表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする離型フィルムを提供するものである。」と記載されていることからすれば、訂正前の「表面粗さRaが0.1?4μmの範囲である」との記載が、10分プレスを行う前の「最終的に得られた離型フィルムの表面粗さ」を意味するものではないことは明らかである。
よって、訂正事項1は、申立人がいう実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、上記主張は採用できない。

イ.また、申立人は、訂正事項2について、実施例5?7及び比較例4についての記載を削除することにより、同じプレス処理の条件でも同じ表面粗さとはならないと理解できる根拠となる記載を削除したもので、この削除により、同じプレス処理の条件でも同じ表面粗さとはならないと理解されないのであるから、訂正事項2は、実質的に訂正前の明細書に記載されていない事項を明細書に記載するものである旨主張する。
しかし、実施例5?7及び比較例4は、実施例1?4、8、9及び比較例1?3、5?8の記載とともに、表層を構成する樹脂の組成や厚み、エンボス処理の有無、オーブン熱処理の有無、プレス前後の表面粗さの各条件と、カバーレイ自然剥離時間や耐シワ性等の各性能の評価との関係を示すものであり、実施例5?7及び比較例4が削除されたからといって、各条件と各性能の関係についての理解が変わるものでもない。
よって、訂正事項2は、申立人がいう実質的に訂正前の明細書に記載されていない事項を明細書に記載するものではなく、上記主張は採用できない。

(4)一群の請求項について
訂正前の請求項1?4について、訂正前の請求項2?4は、訂正前の請求項1を、直接又は間接に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連関して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?4は、特許法第120条の5第4項に規定する、一群の請求項である。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?4〕について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1.請求項1?4に係る発明
上記のとおり、本件訂正請求が認められるから、本件特許の請求項1?4に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層を表層として含む離型フィルムであって、当該離型フィルムを50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした場合の、前記表層の前記プレス後の表面粗さRaが0.1?4μmの範囲であることを特徴とするロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造用の離型フィルム。
【請求項2】
23℃で測定される引張弾性率が600MPa?2000MPaである請求項1に記載のロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造用の離型フィルム。
【請求項3】
ポリブチレンテレフタレート(A)の固有粘度(IV)が1.0?1.3である請求項1または2に記載のロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造用の離型フィルム。
【請求項4】
裏面層あるいは内層に、融点が50℃から150℃の樹脂を45質量%以上含む請求項1?3の何れかに記載のロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造用の離型フィルム。」

2.取消理由の概要
本件発明1?4に対して、特許権者に通知した取消理由の概要は以下のとおりである。なお、申立人が特許異議申立書において主張した理由は、すべて通知した。

理由1)本件特許は、明細書及び特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号、第6項第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由2)本件発明1?4は、その優先日前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由3)本件発明1?4は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

甲1:特開2010-234794号公報
甲2:国際公開第2005/002850号
甲3:森猛他3名、「鋼材の表面粗さパラメータと高力ボルト摩擦接合継手のすべり係数」、土木学会論文集A1(構造・地震工学)、2011年、Vol.67、No.2、446?453頁
甲4:特開昭62-277792号公報
甲5:「新しいエチレン系コポリマー アクリフト」、住友化学工業株式会社、2011年6月

[理由1]
(1)請求項1には、「ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層を表層として含み、前記表層の表面粗さRaが0.1?4μmの範囲であること」と記載されているが、「表層の表面粗さRa」が、「プレス前の表面粗さ」を意味するのか、「プレス後の表面粗さ」を意味するのか特定されていない。このため、「表層の表面粗さRa」は「プレス前」の表面粗さである場合も含み得る記載であるが、「プレス前」の表面粗さが0.1?4μmの範囲を満たしても、本件特許明細書の比較例1?7によれば、本件特許明細書にいう効果を奏するものではなく、請求項1に係る発明は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。また、請求項1の「表層の表面粗さRa」が、何を示すのか明確ではない。

(2)本件特許明細書の実施例5?7と比較例4は、外層とコア層の組成や厚み、エンボス処理等の処理が同一であるにもかかわらず、本件特許明細書記載の効果を奏するか否かにおいて相違する。このため、本件特許明細書の記載では、当業者がどのようにすれば、本件特許明細書記載の効果を奏するフィルムを得られるのかが不明であり、請求項1?4に係る発明を実施することができない。

[理由2、理由3]
本件発明1?4は、甲1に記載された発明である。また、仮に相違点が実質的なものであるとしても、甲1に記載された発明から容易に想到することができたものである。
本件発明1?4は、甲2に記載された発明及び甲1、3?5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.当審の判断
(1)理由1(特許法第36条)に係る取消理由についての判断
ア.(ア)上記のように本件訂正請求が認められ、本件発明1には、「表層の表面粗さRa」について、「当該離型フィルムを50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした場合の、前記表層の前記プレス後の表面粗さRa」と特定され、「表面粗さRa」は、「50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした」後の「表面粗さRa」であることが明確である。
(イ)また、本件発明1の「50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした場合の、前記表層の前記プレス後の表面粗さRaが0.1?4μmの範囲」には、本件特許明細書の効果を奏しない比較例1?7は該当せず、本件発明1は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではない。
(ウ)なお、申立人は、意見書において、本件特許明細書の段落【0027】に「プレス」なる記載があり、エンボス処理の「プレス」と解釈可能であり、上記の「10分間プレスした場合の、前記表層の前記プレス後の表面粗さRa」との事項の根拠が本件特許明細書にはなく、「表層の表面粗さRa」が何を示すのか、依然として明確でない旨主張する。
しかし、上記「第2 2.(1)」のように、「10分間プレスした場合の、前記表層の前記プレス後の表面粗さRa」との事項は、本件特許明細書の段落【0007】にも記載されており、申立人がいう根拠となる記載がないものではなく、申立人の主張は採用できない。

イ.(ア)上記のように本件訂正請求が認められ、外層とコア層の組成や厚み、エンボス処理等の処理が同一であっても効果が相違するという誤解を与える恐れのあった実施例5?7及び比較例4の記載が削除されたが、本件特許明細書には、表層を構成する樹脂の組成や厚み、エンボス処理の有無、オーブン熱処理の有無、プレス前後の表面粗さの、それぞれの組み合わせが示された実施例1?4、8、9及び比較例1?3、5?8の記載があり、これらの記載を踏まえれば、当業者であれば、本件発明1?4を実施することができるものといえる。
(イ)申立人は、意見書において、本件特許明細書の実施例1及び2は、同じ材料を用いたものであり、加熱エンボスロールの温度は同じであるが、オーブン熱処理の有無が異なるだけで、プレス後の表面粗さRaの値に20?30%の相違が生じており、加熱エンボスロールの温度で表面粗さRaの値を容易に制御はできず、当業者であっても過度の試行錯誤が必要となること等から、本件発明1?4を容易に実施することができない旨主張する。
しかし、同じ材料でオーブン熱処理の有無が異なる例として、実施例1及び2のほか、比較例1及び2があり、いずれも、オーブン熱処理が有りの場合は、無い場合と比べてプレス後の表面粗さRaが大きくなっており、この実施例と比較例の結果を踏まえれば、当業者にとって、本件発明1?4を実施する上で、過度の試行錯誤が必要となるものとはいえず、申立人の主張は採用できない。

ウ.よって、本件発明1?4は、特許法第36条第6項第1号又は第2号の規定に違反するものではなく、また、本件特許明細書は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反するものではないから、本件発明1?4に係る特許は、特許法第113条第4号に該当するものではない。

(2)理由2(特許法第29条第1項第3号)、理由3(特許法第29条第2項)に係る取消理由についての判断
ア.(ア)甲1(特に、請求項1、段落【0048】)には、以下の発明が記載されている。
「第三成分としてジオール化合物を共重合させたポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)と、ポリメチルペンテン樹脂(B)とを主成分とし、樹脂(A):樹脂(B)の質量比が100:20?100:5である樹脂組成物からなる2層の離型層の間に、樹脂成分100質量部に対し、曲げ弾性率が600MPa以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂(E)を75?50質量部、融点が110?140℃である合成樹脂(F)を20?50質量部含む樹脂組成物からなる中間層を有する多層構造であって、前記離型層と前記中間層の厚さの比が、離型層:中間層=1:10?1:3であり、総厚が20?160μmであり、前記離型層の表面は、三次元中心面平均粗さS_(Ra)が0.3?10μmである、離型フィルム」(以下「甲1発明」という。)
(イ)本件発明1と甲1発明を対比すると、表層の表面粗さについて、本件発明1が「離型フィルムを50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした場合の、前記表層の前記プレス後の表面粗さRaが0.1?4μmの範囲」であるのに対し、甲1発明は「三次元中心面平均粗さS_(Ra)が0.3?10μm」である点(以下「相違点1」という。)で、少なくとも相違する。
(ウ)この相違点1について検討する。
甲1には、「プリント配線基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線基板等の製造工程における熱プレス工程に好適に用いられる」離型フィルム(段落【0001】)について、「離型フィルムの離型層表面の片面または両面」には、「表面粗化処理を行うことができ」、「表面粗化処理を行うことにより、離型フィルムを熱プレスに使用する時の折りシワの発生を防ぐことができる。表面粗化処理を行う場合、離型層表面の三次元中心面平均粗さS_(Ra)が0.3?10μmとなるようにすることが好ましく、さらに、0.5?5μmとなるようにすることが好ましい。この三次元中心面平均粗さが0.3μm未満では、離型フィルムの熱収縮による凹凸と回路部との空間にある空気が抜けにくくなることから、折りシワを抑制する効果が良好に得られなくなる。一方、10μmを超えると、離型面の凹凸度合が過剰に大きくなり、熱プレス時の圧力のばらつきや、接着剤のにじみ出しにつながる可能性がある。」(段落【0048】下線は当審で付記したもの。)と記載されている。
この記載からすると、甲1発明の「離型フィルム」の離型層表面の三次元中心面平均粗さS_(Ra)の「0.3?10μm」は、熱プレス前の測定値を意味するものといえる。ここで、甲1発明の「離型フィルム」を「50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした場合」に、「離型フィルム」の離型層表面の三次元中心面平均粗さS_(Ra)がどの程度変化するか、甲1には記載も示唆もされておらず、本件発明1の「表面粗さRaが0.1?4μmの範囲」に相当するとは、必ずしもいえるものではない。
よって、本件発明1は甲1発明ではない。
(エ)なお、申立人は、意見書(「3(3)ウ」)において、「本件訂正後の請求項1に記載の10分プレスを行うことにより、本件明細書、特に表2の記載からみて、表面粗さは、約1/2(実施例2)?約1/70(比較例6)の範囲で減少して」おり、「この減少の程度を踏まえ、甲1に記載のものの10分プレスを行った後の表面粗さは0.004?5μmと推定され、本件発明の0.1?4μmの範囲と重複一致している」旨主張する。
しかし、上記(ウ)で述べたように、プレス後、どの程度変化するかは、甲1に記載も示唆もされておらず、フレキシブルプリント配線基板の製造工程での離型性向上のために、プレス後の表面粗さに着目するものではないから、甲1発明の離型フィルムが、本件発明1のように「50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした場合の、前記表層の前記プレス後の表面粗さRaが0.1?4μmの範囲」にあるとは、直ちにはいえない。
(オ)そして、この相違点1に関し、記載あるいは示唆する証拠が示されておらず、本件発明1は、この相違点1に係る「表面粗さRaが0.1?4μmの範囲」とすることにより、「プレス後のカバーレイからの自然剥離時間が30秒未満と短く、とくにロールトゥロール方式でフレキシブルプリント配線基板の製造工程での離型性に優れ、機械的に行なわれる離型の際にシワを発生することがなく、耐熱性、耐汚染性、を有するので、エポキシ樹脂系接着剤が用いられるプリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、多層プリント配線基板などの製造に好適に使用し得る」(段落【0010】)との効果を奏するものである。
よって、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(カ)本件発明2?4は、本件発明1の全ての発明特定事項を有しているから、本件発明2?4についても、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

イ.(ア)甲2(特に、請求項1、請求項2、請求項6)には、以下の発明が記載されている。
「温度180℃における粘弾性率が50?250MPaであるポリブチレンテレフタレート系樹脂を含む離型層を有してなる離型フィルムであって、離型層の表面10点平均粗さ(Rz)が10?45μmである、離型フィルム」(以下「甲2発明」という。)
(イ)本件発明1と甲2発明を対比すると、表層の表面粗さについて、本件発明1が「離型フィルムを50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした場合の、前記表層の前記プレス後の表面粗さRaが0.1?4μmの範囲」であるのに対し、甲2発明は「離型層の表面10点平均粗さ(Rz)が10?45μm」である点(以下「相違点2」という。)で、少なくとも相違する。
(ウ)この相違点2について検討する。
甲2には、従来、「フレキシブルプリント配線板 (以下、FPCということがある)は、ポリイミドフィルムなど絶縁基材の表面に所定の回路を設けたフレキシブル回路部材より構成されて」おり、「このようなFPCは、通常、フレキシブル回路部材を、接着剤付きの耐熱樹脂フィルムであるカバーレイで被覆して絶縁及び回路保護を行い、離型フィルムを介在させてプレス機を用いプレスラミネートして製造される」(明細書1頁12?16行)が、この「離型フィルム」について、「離型層の表面粗さは、Rz=10?45μm、好ましくは15?43μmである。表面粗さが前記の範囲より小さいと離型層破れが発生することがある。一方、前記の範囲を超えると、エンボス柄がFRCに転写される」(明細書4頁8?11行)と記載されている。
この記載からすると、甲2発明の「離型フィルム」の離型層の表面10点平均粗さ(Rz)の「10?45μm」は、プレス機でプレスする前の測定値を意味するものといえる。この甲2発明の「離型フィルム」を「50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした場合」に、「離型フィルム」の離型層の表面10点平均粗さ(Rz)がどの程度変化するか、甲2には記載も示唆もされておらず、本件発明1の「表面粗さRaが0.1?4μmの範囲」に相当するとは、必ずしもいえるものではない。
そして、この相違点2に関し、記載あるいは示唆する証拠が示されておらず、本件発明1は、この相違点2に係る「表面粗さRaが0.1?4μmの範囲」とすることにより、「プレス後のカバーレイからの自然剥離時間が30秒未満と短く、とくにロールトゥロール方式でフレキシブルプリント配線基板の製造工程での離型性に優れ、機械的に行なわれる離型の際にシワを発生することがなく、耐熱性、耐汚染性、を有するので、エポキシ樹脂系接着剤が用いられるプリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、多層プリント配線基板などの製造に好適に使用し得る」(段落【0010】)との効果を奏するものである。
よって、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(エ)本件発明2?4は、本件発明1の全ての発明特定事項を有しているから、本件発明2?4についても、甲2発明及び甲1、3?5の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ.よって、本件発明1?4は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、また、特許法第29条第2項の規定に違反するものでもないから、本件発明1?4に係る特許は、特許法第113条第2号に該当するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記取消理由によっては、本件発明1?4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
離型フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は接着剤を用いてフィルムまたはシート状の積層物を加圧成形する際などに使用するに好適な剥離性に優れる離型フィルムに関するものであり、より詳細には、電子機器、電気機器に用いられる電気回路を形成したフレキシブルプリント配線基板本体に、接着剤によってカバーレイを加圧接着する際に使用される剥離性に優れる離型フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、多層プリント配線基板などの製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張り積層板又は銅箔を熱プレスする際には離型フィルムが使用されている。また、フレキシブルプリント基板の製造工程において、電気回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に、熱硬化型接着剤又は熱硬化性接着シートによってカバーレイフィルム又は補強板を熱プレス接着する際に、カバーレイフィルムとプレス熱板とが接着するのを防止するために、離型フィルムが用いられている。
【0003】
かかる用途に用いられる離型フィルムとしては、例えば結晶性芳香族ポリエステルからなるシート(特許文献1:特開2004-2593号公報)や表面を粗くしたポリブチレンテレフタレートを含む離型フィルム(特許文献2:特開2010-149520号公報)が提案されている。
【0004】
しかしながら、これら提案されている離型フィルムは、容易に剥離できるほどの充分な離型性を有していない。例えば、フレキシブルプリント配線基板でカバーレイフィルムを加熱プレスする方式において、プレス方式がシート式のバッチプレスで行われ、カバーレイが接着されたフレキシブルプリント配線基板と離型フィルムを剥がす作業を人手で行なう場合には、多少離型性が悪くても、作業者の技量で離型フィルムを破ることなく、また配線基板にシワを発生することなく離型させることができる。しかしながら、最近では生産性を上げるためにプレスする方式が自動化されたロールトゥロール方式でのプレス工程が増加してきており、このプレス方式においては離型フィルムが限られた時間内に配線基板から自然に離型するほどの離型性が必要であるが、これらの離型フィルムでは離型までに長時間かかったり、また機械的に剥がされるために配線基板にシワが発生する問題が多々あった。
また、特許文献2においては、特定の粘弾性率のポリブチレンテレフタレートを含む離型層を有する離型フィルムは離型性や外観シワ、形状追従性が良好との記述があるが、クッション層の樹脂がエチレン・メチルメタクリレート共重合体や低密度ポリエチレンの単層からなっているために、クッション層とスキン層の層間接着強度が弱いという欠点があった。層間接着強度が弱いことにより、例えば、エンボス成形時に離型フィルムが加熱されたエンボスロールから離型する際に、スキン層とエンボスロールの密着が強いわりにクッション層との層間接着強度が弱いために、スキン層とクッション層が剥離してしまう問題がある。また、エンボスロールとの密着を弱めるためにエンボスロール温度を下げた場合、所望の表面粗さが得られなくなり、離型性や耐シワ性を損なう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-2593号公報
【特許文献2】特開2010-149520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、離型性、とくに、ロールトゥロール工程におけるカバーレイからの自然剥離性に優れ、且つ、耐熱性を有し、シリコーン系離型剤などを塗布する必要がない離型フィルムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層を含むフィルムであって、当該フィルムを50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした後の表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする離型フィルムを提供するものである。
上記のプレスは当該フィルムとポリイミドフィルムの両外側にアルミ板(厚さ0.1mm)、緩衝材として新聞紙10枚、SUS板(厚さ1mm)で挟みこんで行うことが好ましい。さらに本発明は当該フィルムを熱プレスする前の表面粗さRaが1μm?10μmの範囲であることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、プリント配線基板上に設ける保護フィルムと加圧板との間に上記のいずれかの離型フィルムを介在させて加熱・加圧してプリント配線基板と保護フィルムの熱接着を行い、加熱・加圧後に該離型フィルムを保護フィルムから剥離する工程を含むプリント配線基板の製造方法である。
【0009】
本発明のプリント配線基板に用いる保護フィルムとしてはポリイミドフィルムが好ましい。ポリイミドフィルムとエポキシ樹脂系接着剤からなるフィルムはカバーレイ(カバーレイフィルム)としてプリント配線基板に用いられる。カバーレイフィルムには予め窓が打ち抜かれ、後のメッキ工程でプリント配線基材の導線部で打ち抜き部だけメッキされることになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の離型フィルムは、例えば、プレス後のカバーレイからの自然剥離時間が30秒未満と短く、とくにロールトゥロール方式でフレキシブルプリント配線基板の製造工程での離型性に優れ、機械的に行なわれる離型の際にシワを発生することがなく、耐熱性、耐汚染性、を有するので、エポキシ樹脂系接着剤が用いられるプリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、多層プリント配線基板などの製造に好適に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の離型フィルムを用いてプリント配線基材に保護フィルムを加熱圧着された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<ポリブチレンテレフタレート(A)>
本発明の離型フィルムを構成するポリブチレンテレフタレート(A)は、1,4-ブタンジオールとテレフタル酸との重合体を骨格に有する限り、1,4-ブタンジオールとテレフタル酸とからなる、所謂、PBTと称されるポリブチレンテレフタレートであっても、ポリブチレンテレフタレートとポリエーテル、ポリエステル、あるいはポリカプロラクタムなどとのブロック共重合体であってもよい。
【0013】
本発明に係るポリブチレンテレフタレート(A)は、減圧下もしくは不活性ガス流通下で200℃以上の温度で固相重合した原料を使用することが好ましい。固相重合することによりフィルム成形しやすい固有粘度に調整でき、さらに末端カルボン酸基量の減少、オリゴマーの減少が期待できる。ポリブチレンテレフタレート(A)の固有粘度(IV)は1.0?1.3であることが好ましい。
本発明に係るポリブチレンテレフタレート(A)は、例えば、三菱エンジニアリングプラスチック社から、商品名 ノバデュラン5010CS、ノバデュラン5020として、製造・販売されている。
【0014】
本発明に係るポリブチレンテレフタレート(A)の融点は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷して得たサンプル10mgを用い、窒素気流中、10℃/分の昇温速度で発熱・吸熱曲線を測定したときの、融解に伴う吸熱ピークの頂点温度を融点(Tm)(℃)とした。
【0015】
本発明に係るポリブチレンテレフタレート(A)には、本発明の目的を損なわない範囲で、慣用の添加剤などを配合することが出来る。斯かる添加剤としては、特に制限されず、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤の他、滑剤、紫外線吸収剤、触媒失活剤、結晶造核剤などが挙げられる。これらの添加剤は、重合途中または重合後に添加することが出来る。更に、本発明に係るポリブチレンテレフタレート(A)に、所望の性能を付与するため、難燃剤、染顔料などの着色剤、帯電防止剤、発泡剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤などを配合することが出来る。
【0016】
安定剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-オクチルフェノール、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3’,5’-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のフェノール化合物、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス(3-ラウリルチオジプロピオネート)等のチオエーテル化合物、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等の燐化合物などの抗酸化剤、滑剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタン酸やモンタン酸エステルに代表される長鎖脂肪酸およびそのエステルなどが挙げられる。
【0017】
結晶核剤としては、脂肪族エステル、脂肪族アミド、脂肪酸金属塩等が挙げられ、脂肪族エステルとしては、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド等の脂肪酸エステル、12-ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド等のヒドロキシ脂肪酸エステル;脂肪族アミドとしては12-ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド等のヒドロキシ脂肪酸モノアミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド等の脂肪族ビスアミド、エチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド等のヒドロキシ脂肪酸ビスアミド;脂肪酸金属塩としては、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム等のヒドロキシ脂肪酸金属塩等が挙げられる。結晶化速度と耐熱性、感温性、さらには透明性の観点から、12-ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド、エチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミドが好ましく、12-ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、エチレビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドがより好ましく、12-ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、エチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミドがさらに好ましく、エチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミドが特に好ましい。
【0018】
難燃剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、アンチモン化合物、リン化合物、その他の有機難燃剤、無機難燃剤などが挙げられる。有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、ポリペンタブロモベンジルアクリレート等が挙げられる。アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等が挙げられる。リン化合物としては、例えば、リン酸エステル、ポリリン酸、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等が挙げられる。その他の有機難燃剤としては、例えば、メラミン、シアヌール酸などの窒素化合物などが挙げられる。その他の無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ素化合物、ホウ素化合物などが挙げられる。
【0019】
本発明に係るポリブチレンテレフタレート(A)には、本発明の目的を損なわない範囲で、強化充填材を配合することが出来る。強化充填材としては、特に制限されないが、例えば、板状無機充填材、セラミックビーズ、アスベスト、ワラストナイト、タルク、クレー、マイカ、ゼオライト、カオリン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムや、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、ホウ素繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素チタン酸カリウム繊維、金属繊維などの無機繊維、芳香族ポリアミド繊維、フッ素樹脂繊維などの有機繊維などが挙げられる。これらの強化充填材は、2種以上を組み合わせて使用することが出来る。上記の強化充填材の中では、無機充填材、特にガラス繊維が好適に使用される。
【0020】
強化充填材は、ポリブチレンテレフタレート(A)との界面密着性を向上させるため、収束剤または表面処理剤で表面処理して使用することが好ましい。収束剤または表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、アクリル系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物などの官能性化合物が挙げられる。強化充填材は、収束剤または表面処理剤により予め表面処理しておくことが出来、または、ポリブチレンテレフタレート(A)の組成物の調製の際に、収束剤または表面処理剤を添加して表面処理することも出来る。強化充填材の添加量は、ポリブチレンテレフタレート(A)100質量部に対し、通常、150質量部以下、好ましくは1?50質量部の範囲である。
【0021】
本発明に係るポリブチレンテレフタレート(A)には、必要に応じて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸エステル、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイド等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を配合することが出来る。これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用することも出来る。
【0022】
本発明に係るポリブチレンテレフタレート(A)に、更に、核剤(B)をポリブチレンテレフタレート(A)100質量部に対して、好ましくは3質量部以下、より好ましくは0.01?0.5質量部含む、さらに好ましくは0.05?0.3質量部含むと、より剥離性に優れる剥離フィルムを得ることができる。
本発明に係るポリブチレンテレフタレート(A)に配合して使用される核剤(B)としては、これら核剤の中では、ビス(4-メチルベンジリデン)ソルビトール、ナトリウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート、ステアリン酸マグネシウム、エチレン・ビスステアリン酸アミドなどが好ましい。
【0023】
<離型フィルム>
本発明の離型フィルムは、上記ポリブチレンテレフタレート(A)からなるフィルムである。
本発明の離型フィルムは、上記ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層を有している限り、他の層と積層されていてもよい。
本発明の離型フィルムとして積層フィルムを用いる場合は、少なくとも片面、すなわち、ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層が、離型層すなわちエポキシ樹脂系接着剤などの接着剤との接合面となる必要がある。
【0024】
本発明の離型フィルムを使用する際に、加熱プレスの圧力を均一にかけることができ、プリント配線の凹凸に追従できる他の層と積層して使用することができる。このようなクッション性に優れる他の層(2層の場合は裏面層、3層以上の場合は内層であるコア層)としては、具体的には50℃から150℃、好ましくは70℃から120℃の範囲で軟化する樹脂を含むフィルムが好ましく、具体的には低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体などのポリオレフィン樹脂、またはこれらは単独で使用しても2種類以上が併用されても良い。
【0025】
本発明の離型フィルムとクッション層を共押出成形により多層化することもできる。その場合には、例えば3台の押出機からなる3層Tダイフィルム成形機を用いて、本発明のポリブチレンテレフタレート(A)からなる離型層を外層とし、低密度ポリエチレン層を内層とする2種3層フィルムを成形することができる。また、上記低密度ポリエチレンの代わりに、酸変性したポリエチレン、例えばエチレン・メチルメタクリレート共重合体を使用する、または離型層との層間接着強度を上げる目的で、エチレン・メチルメタクリレート共重合体とポリブチレンテレフタレート(A)の組成物を内層に用いても良い。その場合の組成は、エチレン・メチルメタクリレート共重合体が主成分でマトリックスになるのが好ましく、エチレン・メチルメタクリレート共重合体が50から95質量%、ポリブチレンテレフタレート(A)が5から50質量%、好ましくは、エチレン・メチルメタクリレート共重合体が50から80質量%、ポリブチレンテレフタレート(A)が20から50質量%が好ましい。またさらに層間接着強度を上げるために、離型層とクッション層の間に接着層を設けても良い。この範囲にあると、高温でのエンボス成形時にもスキン層とクッション層が層間剥離することなく成形できる。またプリント配線基板のカバーレイ貼り付けのプレス後の離型時にも、スキン層とクッション層が層間剥離せずに良好に離型することができる。
【0026】
<離型フィルムの製造方法>
本発明の離型フィルムは、種々公知のフィルムの成形方法により製造し得る。例えば、上記ポリブチレンテレフタレート(A)からなる単層フィルムを製造する場合は、T-ダイフィルム成形、インフレーションフィルム成形などの成形方法により製造し得る。
また、本発明の離型フィルムとして積層フィルムを製造する場合は、多層T-ダイあるいは多層環状ダイを用いて、共押出成形することにより製造し得る。その他、押出ラミネート法、ドライラミネート法などの公知のラミネート方法を用いても良い。
中でも、多層T-ダイを用いてなる共押出成形法が各層の膜厚を均一にでき、また幅広化ができる点で優れている。さらに、幅広の積層体を製造した後、多種多様なFPCの幅に合わせた幅にスリットすることが容易なため、FPC製造用の離型フィルムの製造方法として好ましい。
【0027】
また本発明の離型フィルムは、上記ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層のフィルム表面の少なくとも一方がエンボス処理されていることが好ましい。そしてプレス後のフィルム表面層のJIS B 0601に基づく表面粗度Raは、0.3?10μm、好ましくは0.5?10μm、さらに好ましくは1?5μm、特に好ましくは1.5μm?4μmの範囲である。該フィルム表面層の表面粗度が上記の範囲内であると、良好な離型性を得ることができる。このような表面粗さを得るためには、加熱エンボスロールの温度によって制御することができ、加熱エンボスロール温度は、150?200℃の温度範囲で行なうことが望ましい。200℃を超えると、フィルムが軟化しすぎてエンボスロールへの密着が強くなりすぎ、エンボスロールからの離型が難しい。また離型させるためにフィルムの張力を上げるなどすると、フィルムの加熱寸法変化率でMDが大きく収縮するようになり、離型フィルムとして使用する際のハンドリングが悪くなる。エンボスロール温度が150℃未満であるとプレス後の表面粗さが小さくなり、FPC製造時の離型が不充分となる。エンボスロールの柄は、円形、方形等の規則性柄であってもサンドブラストの不規則柄であってもよく、特に制限されないが汎用のサンドブラスト模様が加熱されたフィルムの滑り性が良い点で適している。エンボスロールの表面粗さRaは、1?20μm、好ましくは2?15μm、さらに好ましくは3?10μmの範囲である。エンボスロールの表面粗さに対して、加熱エンボスロール温度を適宜選択することで、エンボスロールからフィルムへのエンボス転写率を制御することができる。さらにエンボスロール線圧によってもエンボス転写率を制御することができ、好ましい線圧は20?150kg/cm、さらに好ましい線圧は50?100kg/cmである。
【0028】
また本発明の離型フィルムは、JIS K 7127に基づく温度23℃における引張弾性率が、600?2000MPaにあることが好ましく、さらに好ましくは600?1500MPaであり、さらに好ましくは600?1200MPaである。この範囲の引張弾性率であると、ロールトゥロール方式でのロール搬送性や配線基板の精密な配線ラインを断線させることなくプレスすることができる。
【0029】
[離型フィルムの用途]
本発明の離型フィルムは、耐熱性と離型性に優れ、離型フィルムとして好適に使用可能である。具体的には、FPC製造用離型フィルム、航空機部品に使用されるACM材料用離型フィルム、リジッドプリント基板製造用離型フィルム、半導体封止材用離型フィルム、LEDレンズ成形用離型フィルム、FRP成形用離型フィルム、ゴムシート硬化用離型フィルム、特殊粘着テープ用離型フィルムが挙げられる。これらの中でも、本発明の離型フィルムは、FPC製造用の離型フィルムとして好適に使用することができる。
【0030】
本発明の離型フィルムは、上記記載の製造方法で得られたフィルムを、さらに加熱処理すると離型性が向上するので好ましい。
加熱条件としては大気中で加熱温度100?200℃が好ましく、さらには150℃?190℃が好ましい。加熱時間は加熱方法により適宜条件を決めればよい。
本発明の離型フィルムを加熱処理する方法は、種々公知の方法、具体的には、T-ダイで成形して得たロール状の離型フィルムを加熱された熱風オーブンにロールトゥロールで通す方法、または、ロールトゥロールで通しているライン上に、IRヒーターなどのヒーターを設置して離型フィルムを加熱する方法、ロール状の離型フィルムをシート状にカットした後、熱風オーブンで加熱処理する方法、T-ダイで成形したロール状の離型フィルムをロールトゥロールで加熱したロールに接触させる方法などを例示できる。
【0031】
離型フィルムを加熱する熱源としては特に限定されないが、遠赤外線ヒーターや短波長赤外線ヒーター、中波長赤外線ヒーター、カーボンヒーターなどが好ましい。
中でも、T-ダイで成形したロール状の離型フィルムをロールトゥロールで加熱したロールに接触させる方法は、加熱したロールに直接離型フィルムが接触するため、離型フィルム表面の熱伝達が早くて済むため、加熱処理時間が比較的短時間にできるため生産性が高い。
【実施例】
【0032】
〔実施例1?4及び8?9並びに比較例1?3及び5?8〕
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。使用した樹脂組成物等は次の通りである。
本発明の実施例及び比較例で用いたポリブチレンテレフタレートを以下にしめす。
【0033】
1.使用樹脂
(1)ポリブチレンテレフタレート(単独重合体)
(A-1)Tm=224℃、IV=1.1、〔三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ノバデュラン 5010CS〕
(A-2)Tm=224℃、IV=1.2、〔三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ノバデュラン 5020〕
(2)ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールとの共重合体
(A-3)Tm=222℃、IV=1.2、〔三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ノバデュラン 5505S〕
(3)エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)Tm=100℃、MMA含量=10wt%、〔住友化学(株)、商品名:アクリフトWD201-F〕
【0034】
2.結晶核剤
(B-1)ビス(4-メチルベンジリデン)ソルビトール、Tm=260℃〔新日本理化(株)製、商品名: ゲルオールMD〕
(B-2)ビス(4-メチルベンジリデン)ソルビトール、Tm=200℃〔新日本理化(株)製、商品名: ゲルオールE-200〕
【0035】
〈結晶核剤マスターバッチの作製方法および離型フィルム作製方法〉
表1に示すように上記記載のポリブチレンテレフタレート:100質量部と上記記載の各結晶核剤5質量部の組成比でブレンド後、二軸押出機を使用し、250℃のシリンダー温度で溶融混練しペレット化し、結晶核剤の濃度が5質量%である結晶核剤マスターバッチを作製した。
次いで、上記記載のポリブチレンテレフタレートと結晶核剤マスターバッチをブレンドしたものを離型層の原料とした。結晶核剤の添加量は各ポリブチレンテレフタレート100質量部に対して、上記結晶核剤マスターバッチを3質量部または5質量部、すなわち結晶核剤の添加量が1500ppmまたは2500ppmとなるようにブレンドした。
【0036】
コア層(クッション層)の原料は、エチレン・メチルメタクリレート共重合体とポリブチレンテレフタレートを表1に示す比率(両者の合計100質量%)でブレンドした。スクリュ径40mmの押出機3台を有する3層T-ダイフィルム成形機にて、各押出機に各原料を仕込み、成形温度250℃、チルロール温度80℃、エアーチャンバー静圧15mmH_(2)Oの条件下、両外面が離型層、コア層がクッション層である2種3層構成の積層フィルムを得た。エンボス処理は、ロールトゥロールで加熱した予熱ロール温度100℃で接触させた後、表面粗さRaが4μmのエンボスロールで、エンボスロール温度180℃、エンボス線圧50kg/cmで行なった。
〈オーブン熱処理方法〉
熱風循環式オーブンを用いて大気雰囲気下、180℃で5分間上記積層フィルムを熱処理し自然冷却後のフィルムを離型フィルムとした。
【0037】
上記の離型フィルムを以下の方法により、評価を行った。
表1に結果を示す。
【表1】

【0038】
(1)プレス後表面粗さ評価方法
ポリイミドフィルム〔商品名:ユーピレックス50S(宇部興産(株)製) 厚さ:50μm〕と離型フィルムを重ね合わせ、更に、その両外側にアルミ板(厚さ0.1mm)、緩衝材として新聞紙10枚、SUS板(厚さ1mm)で挟みこみ、プレス成形を行なった。プレスは3MPaの圧力で180℃、10分間の条件で行なった。プレス成形が終了した後、プレス圧を解放し自然冷却後、ポリイミドフィルムから離型フィルムを離型し、ポリイミドフィルムと接していた離型フィルムの表面粗さを測定した。
〈表面粗さ測定方法〉
JIS B 0601に基づき、離型フィルムの表面層の算術表面粗さRaを求めた。
接触式粗さ計:株式会社小坂研究所製三次元表面粗さ測定器SE-3500K
基準長さ:2.5mm
速度:0.3mm/s
カットオフ:0.8mm
【0039】
(2)プレス前表面粗さ評価方法
上記プレス前の離型フィルムの表面粗さを上記同条件で測定した。
(3)引張弾性率の測定方法
JIS K 7127に準拠し、23℃での引張弾性率を求めた。
【0040】
(4)自然剥離の評価
実験例で説明した熱プレス工程で自然剥離の評価を次のように行った。
カバーレイフィルム(ポリイミド層厚さ:12μm、エポキシ樹脂系接着剤層厚さ:15μm)と銅箔(厚さ:12um)のサイズは190mm×280mmとし、離型フィルムのサイズは210mm×297mmとした。プレスは4MPaの圧力で180℃、予熱10秒、加圧2分間の条件で貼り合わせた。プレス成形が終了した後、プレス圧を解放し、プレス板からカバーレイと離型フィルムが重なり合った積層体の状態で取り出し、常温の作業台上に静置し自然冷却した。自然冷却に伴い、離型フィルムがカバーレイから自然剥離する。
プレス板から取り出した時点からカバーレイのほぼ全面を自然剥離するまでの時間をカバーレイ自然剥離時間として評価した。
(5)耐シワ性評価
実験例で離型の際に、プリント配線基板が屈曲してしまい1箇所でもシワになった場合を×とし、シワにならなかった場合を○と判定した。
【0041】
(実験例)プリント配線基板の製造過程おける熱プレス工程
プリント配線基板を製造する際の一工程である本発明の離型フィルムを用いて行う熱プレス工程について説明する。図1に断面で示すポリイミド層2-1とエポキシ樹脂系接着剤層2-2からなるカバーレイフィルム2〔ニッカン工業(株)製、商品名:CISV1215〕を用いた。このカバーレイフィルムにはプリント配線基板の端子部分に相当する部分が複数打ち抜かれて窓部4が形成されている(図1では1個のみ)。一方配線プリント配線基板はポリイミドに銅箔で配線パターンが形成されている。
【0042】
図1の断面図で示すように、このプリント配線基材3とカバーレイフィルム2を位置決めして重ね合わせ、その両面側を離型フィルム1で挟み込んだ状態で、加熱プレス機にセットした。これを一定時間加熱と圧力を加えて加熱プレスし、その後プレス板を開放し冷却してから、離型フィルム1をカバーレイフィルム2が接着したプリント配線基材から離型させた。これによりプリント配線基材の端子部分に窓が開いたカバーレイが形成され、その後のめっき工程へと移る。なおカバーレイに代えてプリント配線基板との接着機能を有する単層からなるフィルムを用いてもよい。各実施例および比較例の評価結果を表2および表3にまとめた。
【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0045】
プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、多層プリント配線基板などの製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張り積層板又は銅箔を熱プレスする際には離型フィルムが使用されている。また、フレキシブルプリント基板の製造工程において、電気回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に、熱硬化型接着剤又は熱硬化性接着シートによってカバーレイフィルム又は補強板を熱プレス接着する際に、カバーレイフィルムとプレス熱板とが接着するのを防止するために、本発明の離型フィルムが用いられる。
【符号の説明】
【0046】
1:離型フィルム
2:カバーレイフィルム(保護フィルム)
2-1:ポリイミドフィルム
2-2:エポキシ樹脂系接着剤層
3:プリント配線基板
4:窓部
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリブチレンテレフタレート(A)からなる層を表層として含む離型フィルムであって、当該離型フィルムを50μm厚のポリイミドフィルムと重ねあわせ180℃,3MPaで10分間プレスした場合の、前記表層の前記プレス後の表面粗さRaが0.1?4μmの範囲であることを特徴とするロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造用の離型フィルム。
【請求項2】
23℃で測定される引張弾性率が600MPa?2000MPaである請求項1に記載のロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造用の離型フィルム。
【請求項3】
ポリブチレンテレフタレート(A)の固有粘度(IV)が1.0?1.3である請求項1または2に記載のロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造用の離型フィルム。
【請求項4】
裏面層あるいは内層に、融点が50℃から150℃の樹脂を45質量%以上含む請求項1?3の何れかに記載のロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造用の離型フィルム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-12-13 
出願番号 特願2015-505220(P2015-505220)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (B32B)
P 1 651・ 113- YAA (B32B)
P 1 651・ 536- YAA (B32B)
P 1 651・ 121- YAA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加賀 直人  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 谿花 正由輝
井上 茂夫
登録日 2016-08-26 
登録番号 特許第5992091号(P5992091)
権利者 三井化学東セロ株式会社
発明の名称 離型フィルム  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  
代理人 特許業務法人鈴木国際特許事務所  
代理人 特許業務法人鈴木国際特許事務所  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  

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