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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 F21S 審判 全部申し立て 2項進歩性 F21S 審判 全部申し立て 発明同一 F21S 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 F21S |
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管理番号 | 1337020 |
異議申立番号 | 異議2016-700946 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-10-03 |
確定日 | 2017-12-22 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5899923号発明「車両用灯具の半導体型光源、車両用灯具の半導体型光源ユニット、車両用灯具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5899923号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7〕について訂正することを認める。 特許第5899923号の請求項1、4?7に係る特許を維持する。 特許第5899923号の請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1.手続の経緯 特許第5899923号(以下「本件特許」という。)の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成28年3月18日に特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人関豊美子(以下「特許異議申立人」という。)より請求項1?7に係る特許に対して特許異議の申立てがなされ、平成28年12月13日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年2月17日に意見書の提出及び訂正請求がなされ、同年3月2日(発送日)に訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、同年3月30日に特許異議申立人より意見書が提出され、同年4月25日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年7月7日に意見書の提出及び訂正請求がなされ、同年8月10日(発送日)に訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、同年9月4日に特許異議申立人より意見書が提出され、同年10月10日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年11月15日に意見書及び手続補正書の提出がなされたものである。 第2.訂正の適否 1.訂正請求及びその手続補正について 1-1.手続補正について 平成29年7月7日に提出された訂正請求書(以下「訂正請求書」という。)及びこれに添付した訂正特許請求の範囲は、同年11月15日に提出された手続補正書(以下「補正書」ということがある。)により補正されたので、まずは当該補正の適否について検討する。 なお、平成29年2月17日になされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 (1)補正の内容 訂正請求書の2ページ22行?4ページ18行の記載を補正書の2ページ4行?3ページ末行の記載に補正するとともに、訂正請求書の4ページ20行?9ページ16行の記載を補正書の4ページ3行?9ページ15行の記載に補正するものであるところ、その内容は訂正事項2として「特許請求の範囲の請求項2を削除する。」という訂正事項を加えるとともに、補正前の訂正事項2?5の番号を訂正事項3?6に繰り下げ、さらに、請求項2の削除に伴い、訂正事項4(補正前の訂正事項3)では請求項4の引用形式を「請求項1または2」から「請求項1」に、訂正事項5(補正前の訂正事項4)では請求項5の引用形式を「請求項1、2、及び4のいずれか1項」から「請求項1または4」に、訂正事項6(補正前の訂正事項5)では請求項6の引用形式を「請求項1、2、4及び5のいずれか1項」から「請求項1、4及び5のいずれか1項」に補正するものである。 (2)補正の適否 請求項の削除という訂正事項を追加する補正及びそれに整合させるための訂正事項の補正は、訂正請求書の要旨を変更するものには該当しないので、当該補正は認められる。 1-2.訂正請求について (1)訂正の内容 上記1-1.のとおり、訂正請求書及びこれに添付した訂正特許請求の範囲の補正は認められるので、訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を補正書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?7について訂正することを求めるものである。 そして、補正書により補正された本件訂正における訂正事項は以下のとおりである。なお、下線部は訂正箇所を示す。 ア.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記包囲壁部材は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子からなる第1グループと、ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子からなる第2グループとの、2つのグループの前記半導体発光素子を包囲する」とあるのを、 「前記包囲壁部材は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子からなる第1グループと、ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子からなる第2グループとの、2つのグループの前記半導体発光素子を包囲し、前記配線素子は、前記基板の前記実装面に実装されている少なくとも5個の実装パッドと、少なくとも5個の前記実装パッドに少なくとも5個の前記半導体発光素子をそれぞれ電気的に接続する少なくとも5個の導電性接着剤と、を有し、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッド、あるいは、ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッド、少なくともいずれか一方の辺であって、他方と対向する辺は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの中心とストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの中心とをそれぞれ結ぶ線分に対して、直交し、前記テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの辺を円形とし、前記ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドは、前記基板の前記実装面に対して垂直方向から見て、正方形もしくは長方形と4分の1の円弧形とを組み合わせた形状をなし、前記ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの辺であって、前記テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドと対向する辺を4分の1の円弧形とする」に訂正する。 イ.訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 ウ.訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 エ.訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「ことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の」とあるのを、「ことを特徴とする請求項1に記載の」に訂正する。 オ.訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「ことを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の」とあるのを、「ことを特徴とする請求項1または4に記載の」に訂正する。 カ.訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「前記ソケット部に取り付けられている前記請求項1?5のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源と、」とあるのを、「前記ソケット部に取り付けられている前記請求項1、4及び5のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源と、」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア.訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「配線素子」に関し、訂正前の請求項3に特定されている事項、願書に添付された明細書(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0098】の記載内容及び【図11】の図示内容に基づき限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ.訂正事項2及び3について 訂正事項2は、請求項2を削除するものであり、訂正事項3は請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ.訂正事項4?6について 訂正事項4?6は訂正事項2及び3による請求項2及び3の削除に伴い多数引用形式請求項の引用請求項を減少するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ.一群の請求項 訂正事項1?6に係る訂正前の請求項1?7について、請求項2?7は直接的又は間接的に請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1?7に対応する訂正後の請求項1?7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (3)小括 以上のとおりであるから、訂正事項1?6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1?7について訂正を認める。 第3.本件発明 本件訂正により訂正された請求項1、4?7に係る発明(以下「本件発明1、4?7」という。また、「本件発明1、4?7」を総称して「本件発明」ということがある。)は、補正書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1、4?7に記載された以下のとおりのものである。 なお、上記「第2.」で述べたとおり、請求項2及び3は削除された。 「【請求項1】 実装面を有する基板と、 前記基板の前記実装面に実装されている複数個の半導体発光素子と、 前記半導体発光素子の発光を制御する制御素子と、 前記制御素子を介して前記半導体発光素子に給電する配線素子と、 前記基板の前記実装面に配置され、複数個の前記半導体発光素子全部を包囲する環形状の包囲壁部材と、 前記基板の前記実装面と前記包囲壁部材中で構成された凹部内の複数個の前記半導体発光素子を封止する光透過性の封止部材と、 を備え、 複数個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の半導体発光素子と、ストップランプの光源である少なくとも4個の半導体発光素子と、からなり、 テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子は、前記基板の中心もしくはその近傍に配置されていて、 ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち4個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子もしくはその近傍を中心とする円上に正方形の4角にそれぞれ配置されており、 前記包囲壁部材は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子からなる第1グループと、ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子からなる第2グループとの、2つのグループの前記半導体発光素子を包囲し、 前記配線素子は、前記基板の前記実装面に実装されている少なくとも5個の実装パッドと、少なくとも5個の前記実装パッドに少なくとも5個の前記半導体発光素子をそれぞれ電気的に接続する少なくとも5個の導電性接着剤と、を有し、 テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッド、あるいは、ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッド、少なくともいずれか一方の辺であって、他方と対向する辺は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの中心とストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの中心とをそれぞれ結ぶ線分に対して、直交し、 前記テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの辺を円形とし、 前記ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドは、前記基板の前記実装面に対して垂直方向から見て、正方形もしくは長方形と4分の1の円弧形とを組み合わせた形状をなし、 前記ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの辺であって、前記テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドと対向する辺を4分の1の円弧形とする、 ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源。 【請求項4】 ストップランプの光源は、4個の前記半導体発光素子からなり、 前記包囲壁部材は、円形形状をなす、 ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の半導体型光源。 【請求項5】 ストップランプの光源は、6個の前記半導体発光素子からなり、 ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子は、上下左右に十字に、あるいは、正方形の4角に、それぞれ配置されていて、 ストップランプの光源である残りの2個の前記半導体発光素子は、4個の前記半導体発光素子の左右両側に水平方向にそれぞれ配置されていて、 前記包囲壁部材は、残りの2個の前記半導体発光素子の配置方向を長軸方向とする楕円もしくは楕円を基調とした形状をなす、 ことを特徴とする請求項1または4に記載の車両用灯具の半導体型光源。 【請求項6】 絶縁部材と放熱部材と給電部材とを組み合わせてなるソケット部と、 前記ソケット部に取り付けられている前記請求項1、4及び5のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源と、 を備える、 ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源ユニット。 【請求項7】 灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、 前記請求項6に記載の車両用灯具の半導体型光源ユニットと、 を備え、 前記ソケット部が前記ランプハウジングに取り付けられていて、前記半導体型光源が前記灯室内に配置されている、 ことを特徴とする車両用灯具。」 第4.特許異議の申立てについて 1.取消理由の概要 訂正前の請求項1、2、4、6、7に係る特許に対して平成29年4月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 なお、上記「第2.」で述べたとおり、本件訂正請求による訂正は認められ、かかる訂正によって訂正前の請求項2及び3は削除されるものであるから、対象がなくなり、請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下することになった。 (1)取消理由 本件特許の請求項1、2、4、6、7に係る発明は、本件特許の出願の日前の特許出願であって、特許法第41条第3項の規定により本件特許の出願後に出願公開されたとみなされる下記の特許出願(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者が本件特許の出願前の先願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記先願の出願人と同一でもなく、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は取り消すべきものである。 記 先願:国内優先権の主張を伴う特願2012-207286号の優先権の主張の基礎とされた特願2011-217034号(特開2013-84586号として出願公開。) 2.判断 2-1.取消理由通知について 最初に、先願が第29条の2の「先の出願」に該当することについて検討する。 特許法第41条第1項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明については、当該特許出願について特許掲載公報の発行又は出願公開がされた時に当該先の出願について出願公開がされたものとみなして、同法第29条の2本文の規定が適用される(同法第41条第3項参照)。 そうすると、先願は本願の出願日前の平成23年9月30日に特許出願されたものであって、特願2012-207286号の優先権の主張の基礎とされたものであるから、先願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「先願の明細書等」という。)に記載された事項は、特願2012-207286号が出願公開された平成25年5月9日に出願公開がされたものといえる。 なお、念のため先願の明細書等と、特開2013-84586号公報の明細書及び図面とを比較すると、明細書の【0015】及び【0091】の記載が異なる(両者の段落番号は同じである。)のみであるから、下記「(2)」で示す事項は、特開2013-84586号公報にも記載された事項である。 さらに、平成28年10月3日付けの申立人による特許異議申立書の甲第3号証?甲第8号証によれば、先願の発明者が本件特許の発明者とは異なり、また、本件特許の出願の時において先願の出願人が、本件特許の出願人とは異なることが明らかである。 よって、先願は同法第29条の2の「先の出願」に該当するものである。 (1)先願の明細書等に記載された事項 先願の明細書等には以下の事項が記載されている(下線は当審で付与。以下同様。)。以下では「(1a)」等の記載事項を「摘示(1a)」などという場合がある。 (1a)「【0006】 この発明が解決しようとする課題は、封止部材の容量をできる限り小容量にするという点にある。」 (1b)「【0020】 以下、この発明にかかる車両用灯具の半導体型光源の実施形態(実施例)、および、この発明にかかる車両用灯具の半導体型光源ユニットの実施形態(実施例)、および、この発明にかかる車両用灯具の実施形態のうちの3例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。」 (1c)「【0021】 (実施形態1の構成の説明) 以下、この実施形態1における車両用灯具の半導体型光源およびこの実施形態1における車両用灯具の半導体型光源ユニットおよびこの実施形態1における車両用灯具の構成について説明する。図1において、符号100は、この実施形態1における車両用灯具である。 【0022】 (車両用灯具100の説明) 前記車両用灯具100は、この例では1灯式のテール・ストップランプである。すなわち、前記車両用灯具100は、1灯、すなわち、1個のランプ、1個の灯具、でテールランプ機能とストップランプ機能とを併用するものである。前記車両用灯具100は、車両(図示せず)の後部の左右にそれぞれ装備される。前記車両用灯具100は、図示しない他のランプ機能、たとえば、バックアップランプ機能、ターンシグナルランプ機能、と組み合わせられてリヤコンビネーションランプを構成する場合がある。 … 【0029】 (光源部10の説明) 前記光源部10は、図2?図9に示すように、基板3と、複数個この例では5個の半導体発光素子(LEDチップ)40、41、42、43、44(以下、「40?44」と記載する場合がある)と、制御素子としての抵抗(図示せず)およびダイオード(図示せず)と、配線素子としての配線パターン(図示せず)およびボンディングワイヤ60、61、62、63、64(以下、「60?64」と記載する場合がある)および導電性接着剤600、610、620、630、640(以下、「600?640」と記載する場合がある)および実装パッド601、611、621、631、641(以下、「601?641」と記載する場合がある)およびワイヤパッド602、612、622、632、642(以下、「602?642」と記載する場合がある)と、包囲壁部材18と、封止部材180と、を備えるものである。 … 【0033】 (基板3の説明) 前記基板3は、この例では、セラミックからなる。前記基板3は、図2、図3、図6、図7に示すように、平面すなわち上から見てほぼ八角形の板形状をなす。前記基板3の3辺の右辺、左辺、下辺のほぼ中央には、前記ソケット部11の給電部材91、92、93が挿通する挿通孔がそれぞれ設けられている。前記基板3の一面の上面には、平面の実装面34が設けられている。前記基板3の他面の下面には、平面の当接面が設けられている。なお、高反射部材のセラミック製の前記基板3の実装面34に、さらに高反射塗料や高反射蒸着などの高反射面30を設けても良い。 【0034】 前記基板3の前記実装面34には、5個の前記半導体発光素子40?44および前記制御素子および前記配線素子60?64、600?640、601?641、602?642および前記包囲壁部材18が実装されている。 【0035】 (半導体発光素子40?44の説明) 5個の前記半導体発光素子40?44からなる前記半導体型光源は、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源、この実施形態1では、LEDを使用する。… 【0036】 5個の前記半導体発光素子40?44は、小電流が供給される半導体発光素子であって、テールランプの光源である1個の半導体発光素子40すなわち第1グループの半導体発光素子40と、大電流、すなわち、前記半導体発光素子40に供給される電流と比較して大電流が供給される半導体発光素子であって、ストップランプの光源である4個の半導体発光素子41?44すなわち第2グループの半導体発光素子41?44と、に区分されている。前記テールランプ機能のテールランプの光源の1個の半導体発光素子40は、右側の前記ストップランプ機能のストップランプの光源の2個の半導体発光素子41、42と左側の前記ストップランプ機能のストップランプの光源の2個の半導体発光素子43、44との間に挟まれた状態で配置されている。すなわち、前記テールランプ機能の1個の半導体発光素子40は、5個の前記半導体発光素子40?44の真中に位置する。前記ストップランプ機能の4個の半導体発光素子41?44は、順方向、すなわち、電流が流れる方向に直列に接続されている。 【0037】 5個の前記半導体発光素子40?44のうち、前記テールランプ機能の1個の半導体発光素子40は、前記基板3の中心Oであって前記放熱部材8の中心Oもしくはその近傍に配置されている。すなわち、前記テールランプ機能の1個の半導体発光素子40の中心と、前記基板3の中心Oであって前記放熱部材8の中心Oとは、一致もしくはほぼ一致する。5個の前記半導体発光素子40?44のうち、前記ストップランプ機能の4個の半導体発光素子41?44は、一列に一直線X-X上に配置されているので、光源バルブや電球のフィラメントもしくは放電電球やHIDランプのアーク放電による発光とほぼ同様の発光が得られる。 【0038】 (制御素子の説明) 前記抵抗および前記ダイオードは、前記基板3に実装されていて、前記ソケット部11の前記給電部材91?93と5個の前記半導体発光素子40?44との間を前記配線素子を介して電気的に接続されている。前記抵抗および前記ダイオードは、5個の前記半導体発光素子40?44に供給する電流を制御する素子である。 【0039】 (配線素子60?64、600?640、601?641、602?642の説明) 前記配線素子は、図4?図9に示すように、複数の配線パターンと、5本のボンディングワイヤ60?64と、5個の導電性接着剤600?640と、5個の実装パッド601?641と、5個のワイヤパッド602?642と、から構成されている。前記配線素子60?64、600?640、601?641、602?642は、接続部材17を介して前記ソケット部11の給電部材91、92、93と電気的に接続されていて、前記制御素子を介して5個の前記半導体発光素子40?44に給電するものである。 … 【0042】 前記実装パッド601?641は、平面から、すなわち、上からであって、前記基板3の実装面34に対して垂直方向から、見て、微小な矩形の正方形もしくは長方形と円弧形(4分の1の円弧形、2分の1の円弧形、4分の3の円弧形)との組み合わせた形状をなす。すなわち、前記実装パッド601?641の辺のうち、前記ワイヤパッド602?642と対向する辺を円弧形とする。この結果、前記実装パッド601?641の辺であって、前記ワイヤパッド602?642と対向する辺は、前記実装パッド601?641の中心と前記ワイヤパッド602?642の中心とを結ぶ線分に対して、直交する。 … 【0048】 (包囲壁部材18の説明) 前記包囲壁部材18は、絶縁性部材たとえば樹脂、この例では、前記封止部材180の膨張収縮に追随できる柔軟性を持つエラストマー性を有する樹脂、たとえば、熱可塑性エラストマー、オレフィン系TPO樹脂などから構成されている。前記包囲壁部材18は、図2?図4、図6、図7に示すように、5個の前記半導体発光素子40?44全部と、前記配線素子の一部、すなわち、複数の前記配線パターンの一部および5本の前記ボンディングワイヤ60?64全部および5個の前記導電性接着剤600?640全部および5個の前記実装パッド601?641全部および5個の前記ワイヤパッド602?642全部、を包囲する環形状をなすものである。 【0049】 前記包囲壁部材18は、前記半導体発光素子40?44および前記配線素子の前記ボンディングワイヤ60?64の高さよりも十分な高さを有する。前記包囲壁部材18は、前記封止部材180を充填する容量を小容量に規制する部材である。 … 【0060】 (封止部材180の説明) 前記封止部材180は、前記接着剤180Aと同一樹脂部材であって、光透過性部材から構成されている。前記封止部材180は、前記基板3に、前記半導体発光素子40?44が実装され、かつ、前記ボンディングワイヤ60?64がボンディング配線された後に、前記基板3に嵌合接着固定した前記包囲壁部材18によって形成された凹部中に充填される。前記封止部材180が硬化することにより、5個の前記半導体発光素子40?44全部と、複数の前記配線パターンの一部および前記ボンディングワイヤ60?64全部および前記実装パッド601?641全部および前記ワイヤパッド602?642全部および前記導電性接着剤600?640が前記封止部材180により封止されることとなる。」 (1d)「【0102】 (実施形態3の説明) 図12、図13は、この発明にかかる半導体型光源すなわち光源部10Bおよび半導体型光源ユニット1Bおよび車両用灯具の実施形態3を示す。以下、この実施形態3における半導体型光源すなわち光源部10Bおよび半導体型光源ユニット1Bおよび車両用灯具について説明する。図中、図1?図11と同符号は、同一のものを示す。 【0103】 前記の実施形態1における半導体型光源すなわち光源部10および半導体型光源ユニット1および車両用灯具100は、5個の半導体発光素子40?44を一直線X-X上に配置し、一直線X-X上に配置した5個の半導体発光素子40?44を楕円を基調とする包囲壁部材18で包囲するものである。また、前記の実施形態2における半導体型光源すなわち光源部10Aおよび半導体型光源ユニット1Aおよび車両用灯具は、5個の半導体発光素子40?44を十字上に配置し、十字上に配置した5個の半導体発光素子40?44を円形の包囲壁部材18Bで包囲するものである。この実施形態3における半導体型光源すなわち光源部10Bおよび半導体型光源ユニット1Bおよび車両用灯具は、5個の半導体発光素子40?44を正方形の4角上に配置し、正方形の4角上に配置した5個の半導体発光素子40?44を円形の包囲壁部材18Bで包囲するものである。」 (1e)【図13】には、以下の図が記載されている。 ![]() (2)先願の明細書等に記載された発明 先願の明細書等には、 ア.実施形態1における車両用灯具の半導体型光源に関し(摘示(1b))、 (ア)半導体型光源としての光源部10は、基板3と、5個の半導体発光素子40?44と、抵抗およびダイオードを有する制御素子と、配線パターンおよびボンディングワイヤ60?64および導電性接着剤600?640および実装パッド601?641およびワイヤパッド602?642を有する配線素子と、包囲壁部材18と、封止部材180と、を備えること(摘示(1c)段落【0029】)、 (イ)基板3の一面の上面には、平面の実装面34が設けられていること(摘示(1c)段落【0033】)、 (ウ)基板3の実装面34には、5個の半導体発光素子40?44および制御素子および配線素子60?64、600?640、601?641、602?642および包囲壁部材18が実装されていること(摘示(1c)段落【0034】)、 (エ)制御素子としての抵抗および前記ダイオードは、5個の前記半導体発光素子40?44に供給する電流を制御する素子であること(上記(ア)、摘示(1c)【0038】)、 (オ)配線素子60?64、600?640、601?641、602?642は、制御素子を介して5個の半導体発光素子40?44に給電するものであること(摘示(1c)段落【0039】)、 (カ)包囲壁部材18は、5個の前記半導体発光素子40?44全部を包囲する環形状をなすものであること(摘示(1c)段落【0048】)、 (キ)封止部材180は、樹脂部材であって、光透過性部材から構成されていること、及び、封止部材180は、基板3に固定した前記包囲壁部材18によって形成された凹部中に充填され、5個の半導体発光素子40?44全部が封止されること(摘示(1c)段落【0060】)、 (ク)5個の半導体発光素子40?44は、テールランプの光源である1個の半導体発光素子40と、ストップランプの光源である4個の半導体発光素子41?44とに区分されること(摘示(1c)第1【0036】)、 が記載されている。 イ.実施形態3における半導体型光源としての光源部10Bは、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子40は基板3の中心Oに配置され、ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子41?44は、テールランプの光源である1個の半導体発光素子40を中心とする円上に正方形の4角にそれぞれ配置されていること(摘示(1d)段落【0103】及び摘示(1e)【図13】)が記載されている。 ウ. (ア)実施形態3に係る摘示(1e)【図13】において、「図1?図9と同符号は、同一のものを示す」(摘示(1d)段落【0102】)から、実施形態3の光源部10Bにおいても、「基板3」、「5個の半導体発光素子40?44」、及び、「封止部材180」は上記「ア.」と同一のものであること、 (イ)実施形態3の光源部10Bは実施形態1の光源部10に対して、5個の半導体発光素子40?44の配置と包囲壁部材の形状を変更したものであって、それ以外の構成については実施形態1と同様であるために記載が省略されたものと解されるから、実施形態3の光源部10Bにおいても上記「ア.」と同様に「制御素子」及び「配線素子60?64、600?640、601?641、602?642」を有し、該「配線素子60?64、600?640、601?641、602?642」は、基板3の実装面34に実装されている5個の実装パッド601?641と、5個の実装パッド601?641に5個の半導体発光素子40?44をそれぞれ電気的に接続する5個の導電性接着剤600?640と、を有するといえること、 (ウ)「包囲壁部材18B」に関し、 a.上記「(ア)」及び「ア.(キ)」より、実施形態3の光源部10Bにおいては、「封止部材180は、基板3に固定した包囲壁部材18Bによって形成された凹部中に充填され、5個の半導体発光素子40?44全部が封止される」ものであり、摘示(1e)の【図13】より、当該「凹部」は、「基板3の実装面34」と「包囲壁部材18B」とによって形成されていること、 b.上記「ア(ウ)」、「ア(カ)」、「イ」及び摘示(1e)の【図13】より、包囲壁部材18Bは、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子40と、ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子41?44とを包囲するものであるといえること、 これらのことから、本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、先願の明細書等には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「実装面34が設けられた基板3と、 前記基板3の前記実装面34に実装された5個の半導体発光素子40?44と、 前記半導体発光素子40?44に供給する電流を制御する制御素子と、 前記制御素子を介して5個の前記半導体発光素子40?44に給電する配線素子60?64、600?640、601?641、602?642と、 前記基板3の前記実装面34に配置され、5個の前記半導体発光素子40?44全部を包囲する円形をなす包囲壁部材18Bと、 前記基板の前記実装面34と前記包囲壁部材18Bとによって形成された凹部中に充填され、5個の前記半導体発光素子40?44全部が封止される、樹脂部材であって、光透過性部材から構成された封止部材180と、 を備え、 5個の前記半導体発光素子40?44は、テールランプの光源である1個の半導体発光素子40と、ストップランプの光源である4個の半導体発光素子41?44とに区分され、 テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子40は、前記基板3の中心Oに配置されていて、 ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子41?44は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子40を中心とする円上に正方形の4角にそれぞれ配置されており、 前記包囲壁部材18Bは、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子40と、ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子41?44とを包囲し、 前記配線素子60?64、600?640、601?641、602?642は、前記基板3の前記実装面34に実装されている5個の実装パッド601?641と、5個の前記実装パッド601?641に5個の前記半導体発光素子40?44をそれぞれ電気的に接続する5個の導電性接着剤600?640と、を有する、 車両用灯具の半導体型光源としての光源部10B。」 3.対比・判断 (1)本件発明1について ア.本件発明1と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「実装面34」は本件発明1の「実装面」に相当し、以下同様に、「基板3」は「基板」に、「5個の前記半導体発光素子40?44」は「複数個の前記半導体発光素子」に、「制御素子」は「制御素子」に、「配線素子60?64、600?640、601?641、602?642」は「配線素子」に、「包囲壁部材18B」は「包囲壁部材」に、「封止部材180」は「封止部材」に、「テールランプ」は「テールランプ」に、「ストップランプ」は「ストップランプ」に、「基板3の中心O」は「基板の中心」に、「車両用灯具の半導体型光源としての光源部10B」は「車両用灯具の半導体型光源」にそれぞれ相当する。 (イ)上記「(ア)」の相当関係より、 a.引用発明の「実装面34が設けられた基板3」は本件発明1の「実装面を有する基板」に相当する。 b.灯具の光源において、半導体発光素子に「供給する電流を制御」することは半導体発光素子の発光を制御することに他ならないから、引用発明の「5個の前記半導体発光素子40?44に供給する電流を制御する制御素子」は本件発明1の「前記半導体発光素子の発光を制御する制御素子」に相当する。 c.引用発明の「制御素子を介して5個の前記半導体発光素子40?44に給電する配線素子60?64、600?640、601?641、602?642」は本件発明1の「制御素子を介して前記半導体発光素子に給電する配線素子」に相当する。 d.引用発明の「前記基板3の前記実装面34に実装され、5個の前記半導体発光素子40?44全部を包囲する、円形をなす包囲壁部材18B」は本件発明1の「前記基板の前記実装面に配置され、複数個の前記半導体発光素子全部を包囲する環形状の包囲壁部材」に相当する。 e.引用発明の「前記基板の前記実装面34と前記包囲壁部材18Bとによって形成された凹部中に充填され、5個の前記半導体発光素子40?44全部が封止される、樹脂部材であって、光透過性部材から構成された封止部材180」は、本件発明1の「前記基板の前記実装面と前記包囲壁部材中で構成された凹部内の複数個の前記半導体発光素子を封止する光透過性の封止部材」に相当する。 f.引用発明の「5個の前記半導体発光素子40?44は、テールランプの光源である1個の半導体発光素子40と、ストップランプの光源である4個の半導体発光素子41?44とに区分され」ることは、本件発明1の「複数個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の半導体発光素子と、ストップランプの光源である少なくとも4個の半導体発光素子と、からな」ることと、「複数個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の半導体発光素子と、ストップランプの光源である4個の半導体発光素子と、からな」る限度で一致する。 g.引用発明の「半導体発光素子40」は「テールランプの光源である」から、引用発明の「前記半導体発光素子40は基板3の中心Oに配置され」ることは、本件発明1の「テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子は、前記基板の中心もしくはその近傍に配置されてい」ることと、「テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子は、前記基板の中心に配置されてい」る限度で一致する。 h.引用発明の「ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子41?44は、テールランプの光源である1個の半導体発光素子40を中心とする円上に正方形の4角にそれぞれ配置され」ることは、本件発明1の「ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち4個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子もしくはその近傍を中心とする円上に正方形の4角にそれぞれ配置されて」いることと、「ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子のうち4個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子を中心とする円上に正方形の4角にそれぞれ配置されて」いる限度で一致する。 i.上記「d.」及び「e.」より、引用発明の「前記包囲壁部材18Bは、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子40と、ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子41?44とを包囲」することは、本件発明1の「包囲壁部材は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子からなる第1グループと、ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子からなる第2グループとの、2つのグループの前記半導体発光素子を包囲する」ことと、「包囲壁部材は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子からなる第1グループと、ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子からなる第2グループとの、2つのグループの前記半導体発光素子を包囲する」ことの限度で一致する。 j.引用発明の「前記配線素子60?64、600?640、601?641、602?642は、前記基板3の前記実装面34に実装されている5個の実装パッド601?641と、5個の前記実装パッド601?641に5個の前記半導体発光素子40?44をそれぞれ電気的に接続する5個の導電性接着剤600?640と、を有する」ことと、本件発明1の「前記配線素子は、前記基板の前記実装面に実装されている少なくとも5個の実装パッドと、少なくとも5個の前記実装パッドに少なくとも5個の前記半導体発光素子をそれぞれ電気的に接続する少なくとも5個の導電性接着剤と、を有する」こととは、「前記配線素子は、前記基板の前記実装面に実装されている5個の実装パッドと、5個の前記実装パッドに5個の前記半導体発光素子をそれぞれ電気的に接続する5個の導電性接着剤と、を有する」ことの限度で一致する。 イ.以上によれば、本件発明1と引用発明との一致点、及び相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「実装面を有する基板と、 前記基板の前記実装面に実装されている複数個の半導体発光素子と、 前記半導体発光素子の発光を制御する制御素子と、 前記制御素子を介して前記半導体発光素子に給電する配線素子と、 前記基板の前記実装面に配置され、複数個の前記半導体発光素子全部を包囲する環形状の包囲壁部材と、 前記基板の前記実装面と前記包囲壁部材中で構成された凹部内の複数個の前記半導体発光素子を封止する光透過性の封止部材と、 を備え、 複数個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の半導体発光素子と、ストップランプの光源である4個の半導体発光素子と、からなり、 テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子は、前記基板の中心に配置されていて、 ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子のうち4個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子を中心とする円上に正方形の4角にそれぞれ配置されており、 前記包囲壁部材は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子からなる第1グループと、ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子からなる第2グループとの、2つのグループの前記半導体発光素子を包囲し、 前記配線素子は、前記基板の前記実装面に実装されている5個の実装パッドと、5個の前記実装パッドに5個の前記半導体発光素子をそれぞれ電気的に接続する5個の導電性接着剤と、を有する、 車両用灯具の半導体型光源。」 [相違点1] 「テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子」に関し、 本件発明1では、「基板の中心もしくはその近傍に配置されてい」るのに対し、 引用発明では、「基板3の中心Oに配置されてい」る点。 [相違点2] 「ストップランプの光源」に関し、 本件発明1では、「少なくとも4個」の半導体発光素子であり、「テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子もしくはその近傍を中心とする円上」に配置されているるのに対し、 引用発明では、「4個の半導体発光素子41?44」であり、「テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子40を中心とする円上に」配置されている点。 [相違点3] 本件発明1は、「少なくとも5個」の前記実装パッドに「少なくとも5個」の前記半導体発光素子をそれぞれ電気的に接続する「少なくとも5個」の導電性接着剤であるのに対し、 引用発明は、「5個」の前記実装パッド601?641に「5個」の前記半導体発光素子40?44をそれぞれ電気的に接続する「5個」の導電性接着剤である点。 [相違点4] 本件発明1は、「テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッド、あるいは、ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッド、少なくともいずれか一方の辺であって、他方と対向する辺は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの中心とストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの中心とをそれぞれ結ぶ線分に対して、直交し、 前記テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの辺を円形とし、 前記ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドは、前記基板の前記実装面に対して垂直方向から見て、正方形もしくは長方形と4分の1の円弧形とを組み合わせた形状をなし、 前記ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの辺であって、前記テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドと対向する辺を4分の1の円弧形とする」のに対し、 引用発明は、「テールランプの光源である1個の半導体発光素子40」の実装パッド601と、「ストップランプの光源である4個の半導体発光素子41?44」の実装パッド611?641が、かかる配置関係になっているか特定されていない点。 ウ.検討 事案に鑑み[相違点4]を先に検討する。 相違点4に係る本件発明1の各実装パッドの構成及び配置(本件の【図11】に示された実装パッド601?641の構造及び配置を参照。)に関連して、先願明細書等の摘示(1c)段落【0042】の「前記実装パッド601?641は、平面から、すなわち、上からであって、前記基板3の実装面34に対して垂直方向から、見て、微小な矩形の正方形もしくは長方形と円弧形(4分の1の円弧形、2分の1の円弧形、4分の3の円弧形)との組み合わせた形状をなす。すなわち、前記実装パッド601?641の辺のうち、前記ワイヤパッド602?642と対向する辺を円弧形とする。この結果、前記実装パッド601?641の辺であって、前記ワイヤパッド602?642と対向する辺は、前記実装パッド601?641の中心と前記ワイヤパッド602?642の中心とを結ぶ線分に対して、直交する。」との記載及び【図4】を参酌すると、「ストップランプ及びテールランプの光源である半導体発光素子の5個の実装パッド601?641が、基板3の実装面34に対して垂直方向から見て、正方形もしくは長方形と4分の1の円弧形とを組み合わせた形状をなし、ワイヤパッド602?642と対向する辺を4分の1の円弧形とする」事項が記載されているといえる。 しかしながら、上記事項は、各実装パッドとワイヤパッドとの関係であり、相違点4に係る本件発明1のテールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の実装パッドとストップランプの光源である正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の半導体発光素子の実装パッドとの構造及び配置を示すものでない。 したがって、相違点4は実質的な相違点といえるから、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明1は、先願の明細書等に記載された発明であるとはいえず、また、実質的に同一な発明であるともいえない。 (2)本件発明4、6、7について 本件発明4、6、7は、本件発明1をさらに限定した発明であるから、本件発明4、6、7と引用発明とは、少なくとも上記相違点1?3の点で相違する。 そして、相違点3に係る本件発明1の構成については、上記(1)ウ.で検討したとおり、実質的な相違点といえるから、本件発明4、6、7は、先願の明細書等に記載された発明であるとはいえず、また、実質的に同一な発明であるともいえない。 2-2.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 特許異議申立人は、以下の理由を述べている。なお、上記「第2.」で述べたとおり、本件訂正請求による訂正は認められ、かかる訂正によって訂正前の請求項2及び3は削除されるものであるから、対象がなくなり、請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下することになった。 (1)特許異議申立書の12ページの「理由の要点」に記載されているように、訂正前の請求項1、2、4、5に係る発明は、甲第9号証に記載された発明、甲第10号証に記載された事項、及び周知技術に基いて、同請求項3に係る発明は、甲第9号証に記載された発明、甲第14号証に記載された事項、及び周知技術に基いて、同請求項6、7に係る発明は、甲第9号証に記載された発明、甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとして、特許法第29条第2項の規定による取消理由を主張している。 しかし、上記甲第9、10、11、14号証及び周知技術として掲げられている甲第12、13、15、16号証には、少なくとも上記相違点3に係る本件発明1の各実装パッドの構成及び配置について記載も示唆もされていない。 したがって、特許異議申立人による上記主張は理由がない。 (2)請求項1の「ストップランプの光源である少なくとも4個の半導体発光素子」に関し、本件特許明細書及び図面には、ストップランプの光源である半導体発光素子が4個と6個の場合しか記載されていないから、5個や7個以上の場合に、本件発明の「ストップランプの配光パターンを効率良く照射する」(段落【0005】)との課題を達成する上で、どのように配置すれば良いか不明であるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分なものではなく、また、発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨主張する。 しかし、ストップランプの光源である半導体発光素子が4個の場合における効率の良く照射するための配光パターンは本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されている。そして、ストップランプの光源である半導体発光素子の光量等の特性は様々であり、例えば、該半導体発光素子自体の光量が小さくストップランプの全体としての光量を増加させたい場合に、該半導体発光素子の個数を増やすことは通常行われることであり、増やされた半導体発光素子の具体的配置が示されていなくても、少なくとも効率の良く照射し得る4個の半導体発光素子の配光パターンが存在しており、「ストップランプの配光パターンを効率良く照射する」という課題を達成し得るものであるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が当業者が実施することができる程度に明確かつ十分なものではないとまではいえないし、発明の詳細な説明に記載したものでないともいえない。 したがって、特許異議申立人による上記主張は理由がない。 (3)請求項1に「テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子は、前記基板の中心もしくはその近傍に配置されていて」と記載されているが、「その近傍」がどの程度の範囲ならば、段落【0013】、段落【0015】に記載の効果を享受し得るのか不明であるり、同様に、請求項1に「ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち4個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子もしくはその近傍を中心とする円上に正方形の4角にそれぞれ配置されており」と記載されているが、「その近傍」がどの程度の範囲ならば、段落【0014】、段落【0015】に記載の効果を享受し得るのか不明であるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分なものではなく、また、特許を受けようとする発明が明確でないから、特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨主張する。 しかし、テールランプ及びストップランプの各半導体発光素子の装着時には、取り付け誤差等が生じることは技術常識であり、「その近傍」とは、当該取り付け誤差等を含めたものと解されるから、特許を受けようとする発明が明確でないとまではいえない。また、取り付け誤差等があっても光の明暗に関する照射の特性が大きく変化するものでなく、「その近傍」との特定事項でも本件発明の効果を奏し得ないとまではいえないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が当業者が実施することができる程度に明確かつ十分なものではないとまではいえない。 したがって、特許異議申立人による上記主張は理由がない。 (4)請求項6(特許異議申立書の56ページ14行の「本件特許発明4」は「本件特許発明6」の誤記。)に「絶縁部材と放熱部材と給電部材とを組み合わせてなるソケット部」と記載されているが、絶縁部材と放熱部材と給電部材とをどのように組み合わせればソケット部が構成されるの不明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨主張する。 しかし、給電部材と放熱部材とを電気的に離隔しなくてはならないことは技術常識であり、放熱部材と給電部材との間に絶縁部材を配置することによりソケット部を構成していると解することができるので、ソケット部の構成が明確でないとまではいえない。 したがって、特許異議申立人による上記主張は理由がない。 (5)請求項7(特許異議申立書の56ページ14行の「本件特許発明5」は「本件特許発明7」の誤記。)に「灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズ」と記載されているところ、「灯室を区画する」とは、灯室をいくつかの部分に区切ることを意味するが、【図1】に示された灯室105は区切られていないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分なものではなく、また、発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨主張する。 しかし、「灯室を区画するするランプハウジングおよびランプレンズ」とは灯室そのものがランプハウジングおよびランプレンズで区画されていることを意味すると解されるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が当業者が実施することができる程度に明確かつ十分なものではないとはいえないし、発明の詳細な説明に記載されたものである。 したがって、特許異議申立人による上記主張は理由がない。 なお、平成29年9月4日付けの意見書において、請求項1に「他方と対向する辺は、・・・それぞれ結ぶ線分に対して、直交し」と記載されているが、実装パッドは4分の1の円弧形を有しており、線に対して円弧が直交するとは言わないので不明確である旨主張しているが、本件特許明細書の段落【0096】?段落【0098】の記載内容及び【図11】の図示内容を踏まえると、円弧の接線を対向する辺と捉えて、線分と直交することを意味するものと解されるから、不明確であるとまではいえない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、4?7に係る特許を取り消すことはできないし、他に本件請求項1、4?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2及び3に係る特許は、本件訂正により削除されたため、本件特許の請求項2及び3に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 実装面を有する基板と、 前記基板の前記実装面に実装されている複数個の半導体発光素子と、 前記半導体発光素子の発光を制御する制御素子と、 前記制御素子を介して前記半導体発光素子に給電する配線素子と、 前記基板の前記実装面に配置され、複数個の前記半導体発光素子全部を包囲する環形状の包囲壁部材と、 前記基板の前記実装面と前記包囲壁部材中で構成された凹部内の複数個の前記半導体発光素子を封止する光透過性の封止部材と、 を備え、 複数個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の半導体発光素子と、ストップランプの光源である少なくとも4個の半導体発光素子と、からなり、 テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子は、前記基板の中心もしくはその近傍に配置されていて、 ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち4個の前記半導体発光素子は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子もしくはその近傍を中心とする円上に正方形の4角にそれぞれ配置されており、 前記包囲壁部材は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子からなる第1グループと、ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子からなる第2グループとの、2つのグループの前記半導体発光素子を包囲し、 前記配線素子は、前記基板の前記実装面に実装されている少なくとも5個の実装パッドと、少なくとも5個の前記実装パッドに少なくとも5個の前記半導体発光素子をそれぞれ電気的に接続する少なくとも5個の導電性接着剤と、を有し、 テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッド、あるいは、ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッド、少なくともいずれか一方の辺であって、他方と対向する辺は、テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの中心とストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの中心とをそれぞれ結ぶ線分に対して、直交し、 前記テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの辺を円形とし、 前記ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドは、前記基板の前記実装面に対して垂直方向から見て、正方形もしくは長方形と4分の1の円弧形とを組み合わせた形状をなし、 前記ストップランプの光源である少なくとも4個の前記半導体発光素子のうち正方形の4角にそれぞれ配置されている4個の前記半導体発光素子の前記実装パッドの辺であって、前記テールランプの光源である1個の前記半導体発光素子の前記実装パッドと対向する辺を4分の1の円弧形とする、 ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源。 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 【請求項4】 ストップランプの光源は、4個の前記半導体発光素子からなり、 前記包囲壁部材は、円形形状をなす、 ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の半導体型光源。 【請求項5】 ストップランプの光源は、6個の前記半導体発光素子からなり、 ストップランプの光源である4個の前記半導体発光素子は、上下左右に十字に、あるいは、正方形の4角に、それぞれ配置されていて、 ストップランプの光源である残りの2個の前記半導体発光素子は、4個の前記半導体発光素子の左右両側に水平方向にそれぞれ配置されていて、 前記包囲壁部材は、残りの2個の前記半導体発光素子の配置方向を長軸方向とする楕円もしくは楕円を基調とした形状をなす、 ことを特徴とする請求項1または4に記載の車両用灯具の半導体型光源。 【請求項6】 絶縁部材と放熱部材と給電部材とを組み合わせてなるソケット部と、 前記ソケット部に取り付けられている前記請求項1、4及び5のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源と、 を備える、 ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源ユニット。 【請求項7】 灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、 前記請求項6に記載の車両用灯具の半導体型光源ユニットと、 を備え、 前記ソケット部が前記ランプハウジングに取り付けられていて、前記半導体型光源が前記灯室内に配置されている、 ことを特徴とする車両用灯具。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-12-12 |
出願番号 | 特願2011-288820(P2011-288820) |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YAA
(F21S)
P 1 651・ 121- YAA (F21S) P 1 651・ 161- YAA (F21S) P 1 651・ 537- YAA (F21S) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 竹中 辰利 |
特許庁審判長 |
氏原 康宏 |
特許庁審判官 |
島田 信一 尾崎 和寛 |
登録日 | 2016-03-18 |
登録番号 | 特許第5899923号(P5899923) |
権利者 | 市光工業株式会社 |
発明の名称 | 車両用灯具の半導体型光源、車両用灯具の半導体型光源ユニット、車両用灯具 |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |
代理人 | 酒井 宏明 |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |
代理人 | 酒井 宏明 |