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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 1項2号公然実施  A23L
管理番号 1337028
異議申立番号 異議2017-700278  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-16 
確定日 2017-12-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5996732号発明「煮込料理用調味料,煮込調理方法,加熱料理用調味料」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第5996732号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-7〕,〔8,9〕,10,11,12について訂正することを認める。 特許第5996732号の請求項1ないし12に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5996732号(以下「本件特許」という。)の請求項1?12に係る特許についての出願は,平成28年9月2日付けでその特許権の設定登録がされ,その後,平成29年3月16日に特許異議申立人高橋麻衣子(以下「申立人A」という。また,申立人Aが提出した特許異議申立書を「申立書A」という。)より全請求項に係る特許に対して特許異議の申立てがされ,平成29年3月21日に特許異議申立人奥谷宏邦(以下「申立人B」という。また,申立人Bが提出した特許異議申立書を「申立書B」という。)より全請求項に係る特許に対して特許異議の申立てがされ,また,同日に特許異議申立人山田宏基(以下「申立人C」という。また,申立人Cが提出した特許異議申立書を「申立書C」という。)より全請求項に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。
そして,その後の手続の経緯は次のとおりである。
平成29年6月23日付け 取消理由通知
同年8月25日付け 意見書(特許権者),訂正請求書
同年9月29日付け 意見書(申立人B),意見書(申立人C)


第2 訂正の適否
1 訂正の内容
特許権者が平成29年8月25日に提出した訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。また,本件訂正請求書による訂正を以下「本件訂正」という。)における請求の趣旨は,本件特許の特許請求の範囲を,本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1?12について訂正することを求めるものであり,その内容は,本件訂正請求書によれば,それぞれ次のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「油,食塩及び乳化剤を含有するとともに,乳化剤を油に対して0.1質量%以上含有し,
ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,乳化剤濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする煮込料理用調味料。」
とあるのを,
「油,食塩及びレシチンを含有するとともに,レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し,ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,レシチン濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする煮込料理用調味料(但し,内径3?30mm,長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって,油分と粘度調整剤とを含有し,固形分濃度が15?100質量%,20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。」
と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記乳化剤がレシチンであることを特徴とする請求項1に記載の煮込料理用調味料。」
とあるのを,
「前記レシチンが20質量%以上リゾ化されたレシチンであり,かつリゾ化されたレシチンと食塩との割合が質量比で1:2?1:2000であることを特徴とする請求項1に記載の煮込料理用調味料。」
と訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記レシチンが20質量%以上リゾ化されたレシチンであり,かつリゾ化されたレシチンと食塩との割合が質量比で1:2?1:2000であることを特徴とする請求項2に記載の煮込料理用調味料。」
とあるのを,
「リゾ化されたレシチンと食塩との割合が質量比で1:2?1:500であることを特徴とする請求項2に記載の煮込料理用調味料。」
と訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「請求項2または3に記載の煮込料理用調味料。」
とあるのを,
「請求項1乃至3のいずれか1項に記載の煮込料理用調味料。」
と訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8に
「油,食塩及び乳化剤を含有するとともに,乳化剤を油に対して0.1質量%以上含有し,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,乳化剤濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が100mPa・s×g/cm^(3)以下に調整されている調味液を,食材とともに加熱容器内に入れた状態で80℃以上の温度に加熱して煮込調理することで,煮込料理に煮込み感を付与する煮込調理方法。」
とあるのを
「油,食塩及びレシチンを含有するとともに,レシチンを油に対して0.1質量%以上含有する濃縮調味料を希釈して,pHを4.0?7.0,Brixを1?15,油濃度を0.1質量%?4質量%,レシチン濃度を1質量%以下,80℃加温時での静粘度を5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下に調整した調味液を調製し,当該調味液を食材とともに加熱容器内に入れた状態で80℃以上の温度に加熱して煮込調理することで,煮込料理に煮込み感を付与する煮込調理方法。」
と訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9に
「前記乳化剤がレシチンであることを特徴とする請求項8に記載の煮込調理方法。」
とあるのを,
「80℃以上の温度で短時間加熱して煮込調理することを特徴とする請求項8に記載の煮込調理方法。」
と訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10に
「油,食塩及び乳化剤を含有するとともに,乳化剤を油に対して0.1質量%以上含有し,容器内にて食材を加熱する煮込調理の際に使用される煮込料理用調味料であって,
ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,乳化剤濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が100mPa・s×g/cm^(3)以下である
ことを特徴とする煮込料理用調味料。」
とあるのを,
「油,食塩及びレシチンを含有するとともに,レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し,容器内にて食材を加熱する煮込調理の際に使用される煮込料理用調味料であって,ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,レシチン濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする煮込料理用調味料(但し,内径3?30mm,長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって,油分と粘度調整剤とを含有し,固形分濃度が15?100質量%,20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。」
と訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11に
「油,食塩及び乳化剤を含有するとともに,乳化剤を油に対して0.1質量%以上含有し,食材を液状調味料とともに加熱する調理の際に使用される加熱料理用調味料であって,
ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,乳化剤濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする加熱料理用調味料。」
とあるのを,
「油,食塩及びレシチンを含有するとともに,レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し,食材を液状調味料とともに加熱する調理の際に使用される加熱料理用調味料であって,ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,レシチン濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする加熱料理用調味料(但し,内径3?30mm,長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって,油分と粘度調整剤とを含有し,固形分濃度が15?100質量%,20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。」
と訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項12に
「油,食塩及び乳化剤を含有するとともに,乳化剤を油に対して0.1質量%以上含有し,食材を液中で加熱する調理の際に使用される加熱料理用調味料であって,
ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,乳化剤濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が100mPa・s×g/cm^(3)以下である
ことを特徴とする加熱料理用調味料。」
とあるのを,
「油,食塩及びレシチンを含有するとともに,レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し,食材を液中で加熱する調理の際に使用される加熱料理用調味料であって,ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,レシチン濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする加熱料理用調味料(但し,内径3?30mm,長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって,油分と粘度調整剤とを含有し,固形分濃度が15?100質量%,20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。」
と訂正する。


2 訂正の目的の適否,新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び一群の請求項について
(1)訂正事項1,7?9について
訂正前の「乳化剤」を「レシチン」と限定する訂正,80℃加温時での静粘度について「5mPa・s×g/cm^(3)以上」と新たに下限を付す訂正,及び,訂正前の「煮込料理用調味料」(訂正事項1及び7)又は「加熱料理用調味料」(訂正事項8及び9)から,「内径3?30mm,長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって,油分と粘度調整剤とを含有し,固形分濃度が15?100質量%,20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料」を除く訂正は,いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,これらの訂正はいずれも,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
さらに,上記「レシチン」と限定する訂正は,訂正前の特許請求の範囲の【請求項2】や本件明細書の【0029】の記載に基いたものであり,上記80℃加温時での静粘度に下限を付す訂正は,本件明細書の【0019】の記載に基いたものであり,また,上記除く訂正は,新たな技術的事項を導入するものではないから,これらの訂正はいずれも新規事項を追加するものではない。

なお,申立人Bは,平成29年9月29日付け意見書の「(1-1)除くクレームについて」において,上記除く訂正は,実質的に訂正前請求項1から除外される事項がないこと,加えて,訂正後請求項1の「煮込料理用調味料」と除かれる「液体調味料」との関係が不明確であることから,訂正要件を満たさない旨主張している。
しかしながら,上記「内径3?30mm,長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって,油分と粘度調整剤とを含有し,固形分濃度が15?100質量%,20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料」は,液体調味料の特定としてそれ自体明確であって,上記除く訂正が,訂正後請求項1の「煮込料理用調味料」のうち,上記特定がなされた液体調味料を除くことを意味することは明らかである。
よって,申立人Bの上記主張は理由がない。また,これは,訂正事項7,8及び9の同旨の除く訂正についても同様である。

(2)訂正事項2について
訂正前の「レシチン」を「20質量%以上リゾ化されたレシチン」と限定する訂正,及び,リゾ化されたレシチンについて「食塩との割合が質量比で1:2?1:2000である」と新たな限定を追加する訂正は,いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,これらの訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
さらに,これらの訂正は,訂正前の特許請求の範囲の【請求項3】や本件明細書の【0030】の記載に基くものであるから,新規事項を追加するものではない。

(3)訂正事項3について
訂正前の「リゾ化されたレシチンと食塩との割合が質量比で1:2?1:2000」を「リゾ化されたレシチンと食塩との割合が質量比で1:2?1:500」とする訂正は,上記質量比の範囲を更に限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,この訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
さらに,この訂正は,本件明細書の【0030】の記載に基くものであるから,新規事項を追加するものではない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は,上記訂正事項1乃至3に伴って引用する請求項を訂正するものであって,上記訂正事項1乃至3と同様に,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,この訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
さらに,この訂正は,訂正事項1乃至3と同様に,新規事項を追加するものではない。

(5)訂正事項5について
訂正前の「乳化剤」及び「乳化剤濃度が」をそれぞれ,「レシチン」及び「レシチン濃度を」と限定する訂正,80℃加温時での静粘度について「5mPa・s×g/cm^(3)以上」と新たに下限を付す訂正,及び,訂正前の「調味液」について「濃縮調味料を希釈して」「調製」するという新たな限定を付す訂正は,いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また,訂正前の「pHが」,「Brixが」及び「油濃度が」をそれぞれ,「pHを」,「Brixを」及び「油濃度を」とする訂正は,明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして,これらの訂正はいずれも,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
さらに,上記「レシチン」と限定する訂正は,訂正前の特許請求の範囲の【請求項2】や本件明細書の【0029】の記載に基いたものであり,上記80℃加温時での静粘度に下限を付す訂正は,本件明細書の【0019】の記載に基いたものであり,また,上記調味液に係る訂正は,本件明細書の【0012】,【0017】及び【0018】に基いたものであり,新たな技術的事項を導入するものではないから,これらの訂正はいずれも新規事項を追加するものではない。

(6)訂正事項6について
訂正前の「煮込調理方法」について「80℃以上の温度で短時間加熱して煮込調理する」という新たな限定を付す訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,この訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
さらに,この訂正は,本件明細書の【0006】,【0009】及び【0040】の記載に基くものであり,新規事項を追加するものではない。

(7)一群の請求項について
訂正前の請求項2?7は,請求項1を直接又は間接に引用するものであり,訂正前の請求項1?7は一群の請求項である。そして,訂正事項1?4は,訂正前の請求項1?7に係る事項を訂正するものであるから,一群の請求項に対して請求されたものである。
また,訂正前の請求項9は,請求項8を直接に引用するものであり,訂正前の請求項8及び9は一群の請求項である。そして,訂正事項5及び6は,訂正前の請求項8及び9に係る事項を訂正するものであるから,一群の請求項に対して請求されたものである。
また,訂正事項7,8及び9は,それぞれ単独の請求項10,11及び12に対して請求されたものである。


3 むすび
以上のとおりであるから,本件訂正請求による上記訂正事項1?9は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項,及び同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので,訂正後の請求項〔1-7〕,〔8,9〕,10,11,12について訂正を認める。


第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるから,請求項1?12に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」等という。また,それらをまとめて「本件発明」という。)は,特許請求の範囲の請求項1?12に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
油,食塩及びレシチンを含有するとともに,レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し,ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,レシチン濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする煮込料理用調味料(但し,内径3?30mm,長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって,油分と粘度調整剤とを含有し,固形分濃度が15?100質量%,20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。
【請求項2】
前記レシチンが20質量%以上リゾ化されたレシチンであり,かつリゾ化されたレシチンと食塩との割合が質量比で1:2?1:2000であることを特徴とする請求項1に記載の煮込料理用調味料。
【請求項3】
リゾ化されたレシチンと食塩との割合が質量比で1:2?1:500であることを特徴とする請求項2に記載の煮込料理用調味料。
【請求項4】
前記レシチンが大豆または卵黄由来であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の煮込料理用調味料。
【請求項5】
さらに水あめを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の煮込料理用調味料。
【請求項6】
前記煮込料理が澱粉食品または鍋料理であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載された煮込料理用調味料。
【請求項7】
前記煮込料理が麺類であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載された煮込料理用調味料。
【請求項8】
油,食塩及びレシチンを含有するとともに,レシチンを油に対して0.1質量%以上含有する濃縮調味料を希釈して,pHを4.0?7.0,Brixを1?15,油濃度を0.1質量%?4質量%,レシチン濃度を1質量%以下,80℃加温時での静粘度を5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下に調整した調味液を調製し,当該調味液を食材とともに加熱容器内に入れた状態で80℃以上の温度に加熱して煮込調理することで,煮込料理に煮込み感を付与する煮込調理方法。
【請求項9】
80℃以上の温度で短時間加熱して煮込調理することを特徴とする請求項8に記載の煮込調理方法。
【請求項10】
油,食塩及びレシチンを含有するとともに,レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し,容器内にて食材を加熱する煮込調理の際に使用される煮込料理用調味料であって,ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,レシチン濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする煮込料理用調味料(但し,内径3?30mm,長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって,油分と粘度調整剤とを含有し,固形分濃度が15?100質量%,20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。
【請求項11】
油,食塩及びレシチンを含有するとともに,レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し,食材を液状調味料とともに加熱する調理の際に使用される加熱料理用調味料であって,ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,レシチン濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする加熱料理用調味料(但し,内径3?30mm,長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって,油分と粘度調整剤とを含有し,固形分濃度が15?100質量%,20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。
【請求項12】
油,食塩及びレシチンを含有するとともに,レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し,食材を液中で加熱する調理の際に使用される加熱料理用調味料であって,ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,油濃度が0.1質量%?4質量%,レシチン濃度が1質量%以下,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする加熱料理用調味料(但し,内径3?30mm,長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって,油分と粘度調整剤とを含有し,固形分濃度が15?100質量%,20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。」


第4 取消理由
本件特許に対し,平成29年6月23日付けで通知した取消理由の概要は次のとおりである。
1 取消理由1
本件特許の請求項1,2,4,6?12に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用例A1に記載された発明であり,特許法第29条第1項第3号に該当するから,上記請求項に係る特許は,同法第113条第2号に該当し,取り消されるべきものである。

2 取消理由2
本件特許の請求項1?12に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用例A1?A8に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定に違反するから,上記請求項に係る特許は,同法第113条第2号の規定に該当し,取り消されるべきものである。

3 取消理由3
本件特許の請求項1,2,4?7,10?12に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用例B1に記載された発明であり,特許法第29条第1項第3号に該当するから,上記請求項に係る特許は,同法第113条第2号に該当し,取り消されるべきものである。

4 取消理由4
本件特許の請求項1?12に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用例B1?B4に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定に違反するから,上記請求項に係る特許は,同法第113条第2号の規定に該当し,取り消されるべきものである。

5 取消理由5
本件特許の請求項1,2,6?12に係る発明は,下記引用例C1の1?C6の3及び引用例C13に示されるように,その出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であり,特許法第29条第1項第2号に該当するから,上記請求項に係る特許は,同法第113条第2号に該当し,取り消されるべきものである。

6 取消理由6
本件特許の請求項1?12に係る発明は,引用例C13を参照すると,その出願前に日本国内又は外国において,下記引用例C1の1?C6の3に示される公然実施された発明や頒布された下記引用例C7?C12に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定に違反するから,上記請求項に係る特許は,同法第113条第2号の規定に該当し,取り消されるべきものである。

<引用例一覧>
引用例A1 特開2015-112075号公報(申立書Aの甲第1号証)
引用例A2 特開2009-254303号公報(申立書Aの甲第2号証)
引用例A3 特開2009-254304号公報(申立書Aの甲第3号証)
引用例A4 本件特許に係る出願に対して通知された平成28年3月1日発送の拒絶理由に応答して平成28年6月15日に提出された意見書(申立書Aの甲第4号証)
引用例A5 特開平10-113145号公報(申立書Aの甲第5号証)
引用例A6 特開2013-106547号公報(申立書Aの甲第6号証)
引用例A7 特開2010-17121号公報(申立書Aの甲第7号証)
引用例A8 特開2013-123402号公報(申立書Aの甲第8号証)
引用例B1 特開2014-27926号公報(申立書Bの甲第1号証)
引用例B2 特開2006-20503号公報(申立書Bの甲第2号証)
引用例B3 特開2011-103856号公報(申立書Bの甲第3号証)
引用例B4 特開2014-93973号公報(申立書Bの甲第4号証)
引用例C1の1 株式会社Mizkan Holdings,ミツカン業務用商品・メニューサイト「麺&鍋大陸 炒めにんにく醤油スープの素」
http://www4.mizkan.co.jp/prouse/product/shouhin.asp?ShouhinID=86341
http://www.mizkan.co.jp/products/datail/series44/986341.pdf(申立書Cの甲第1号証の1)
引用例C1の2 アマゾンジャパン合同会社商品取り扱いWebページ「麺&鍋大陸 炒めにんにく醤油スープの素」販売ページ
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%83%84%E3%82%AB%E3%83%B3-%E9%BA%BA-%E9%8D%8B%E5%A4%A7%E9%99%B8-%E7%82%92%E3%82%81%E3%81%AB%E3%82%93%E3%81%AB%E3%81%8F%E9%86%A4%E6%B2%B9%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%9.7%E3%81%AE%E7%B4%A0-1240g/dp/B00I7IJ7C4/ref=sr_1_8?s=food-beverage&ie=UTF8&qid=1485499912&sr=l-8&keywords=%E3%83%9F%E3%83%84%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%80%80%E9%BA%BA%EF%BC%86%E9%8D%8B%E5%A4%A7%E9%99%B8(申立書Cの甲第1号証の2)
引用例C1の3 報告書(引用例C1の1の商品「麺&鍋大陸 炒めにんにく醤油スープの素」パッケージ撮影画像)(申立書Cの甲第1号証の3)
引用例C2の1 株式会社Mizkan Holdings,ミツカン業務用商品・メニューサイト「麺&鍋大陸 濃厚みそとんこつスープの素」
http://www4.mizkan.co.jp/prouse/product/shouhin.asp?ShouhinID=86340
http://www.mizkan.co.jp/products/detail/series44/986340.pdf(申立書Cの甲第2号証の1)
引用例C2の2 アマゾンジャパン合同会社商品取り扱いWebページ「麺&鍋大陸 濃厚みそとんこつスープの素」販売ページ
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%83%84%E3%82%AB%E3%83%B3-%E9%BA%BA-%E9%8D%8B%E5%A4%A7%E9%99%B8-%E6%BF%83%E5%8E%9A%E3%81%BF%E3%81%9D%E3%81%A8%E3%82%93%E3%81%93%E3%81%A4%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%AE%E7%B4%A0-1100g/dp/B00I7IJ7P6/ref=sr_1_5?s=food-beverage&ie=UTF8&qid=1485500521&sr=l-5&keywords=%E3%83%9F%E3%83%84%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%80%80%E9%BA%BA%EF%BC%86%E9%8D%8B%E5%A4%A7%E9%99%B8(申立書Cの甲第2号証の2)
引用例C2の3 報告書(引用例C2の1の商品「麺&鍋大陸 濃厚みそとんこつスープの素」パッケージ撮影画像)(申立書Cの甲第2号証の3)
引用例C3の1 株式会社Mizkan Holdings,ミツカン業務用商品・メニューサイト「麺&鍋大陸 濃厚鶏白湯スープの素」
http://www4.mizkan.co.jp/prouse/product/shouhin.asp?ShouhinID=86343
http://www.mizkan.co.jp/products/detail/series44/986343.pdf(申立書Cの甲第3号証の1)
引用例C3の2 アマゾンジャパン合同会社商品取り扱いWebページ「麺&鍋大陸 濃厚鶏白湯スープの素」販売ページ
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%83%84%E3%82%AB%E3%83%B3-%E9%BA%BA-%E9%8D%8B%E5%A4%A7%E9%99%B8-%E6%BF%83%E5%8E%9A%E9%B6%8F%E751%99%BD%E6%B9%AF%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%AE%E7%B4%A0-1110g/dp/B00I7IJAJY/ref=pd_sim_325_3?_encoding=UTF8&psc=l&refRID=JGQSRWC0X8X09D2T7348(申立書Cの甲第3号証の2)
引用例C3の3 報告書(引用例C3の1の商品「麺&鍋大陸 濃厚鶏白湯スープの素」パッケージ撮影画像)(申立書Cの甲第3号証の3)
引用例C4の1 株式会社Mizkan Holdings,ミツカン業務用商品・メニューサイト「麺&鍋大陸 ごま豆乳スープの素」
http://www4.mizkan.co.jp/prouse/product/shouhin.asp?ShouhinID=86345
http://www.mizkan.co.jp/products/detail/series44/986345.pdf(申立書Cの甲第4号証の1)
引用例C4の2 アマゾンジャパン合同会社商品取り扱いWebページ「麺&鍋大陸 ごま豆乳スープの素」販売ページ
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%83%84%E3%82%AB%E3%83%B3-%E9%BA%BA-%E9%8D%8B%E5%A4%A7%E9%99%B8-%E3%81%94%E3%81%BE%E8%B1%86%E4%B9%B3%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%AE%E7%B4%A0-1150g/dp/B00I7IJAJE/ref=pc_sim_325_4?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=PCNDZlAWJWTBT5CM413B(申立書Cの甲第4号証の2)
引用例C4の3 報告書(引用例C4の1の商品「麺&鍋大陸 ごま豆乳スープの素」パッケージ撮影画像)(申立書Cの甲第4号証の3)
引用例C5の1 株式会社Mizkan Holdings,ミツカン業務用商品・メニューサイト「麺&鍋大陸 ゆず塩スープの素」
http://www4.mizkan.co.jp/prouse/product/shouhin.asp?ShouhinID=86336
http://www.mizkan.co.jp/products/detail/series44/986336.pdf(申立書Cの甲第5号証の1)
引用例C5の2 アマゾンジャパン合同会社商品取り扱いWebページ「麺&鍋大陸 ゆず塩スープの素」販売ページ
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%83%84%E3%82%AB%E3%83%B3-%E9%BA%BA-%E9%8D%8B%E5%A4%A7%E9%99%B8-%E3%82%86%E3%81%9A%E5%A1%A9%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%AE%E7%B4%A0-1170g/dp/B00I7IJ74M(申立書Cの甲第5号証の2)
引用例C5の3 報告書(引用例C5の1の商品「麺&鍋大陸 ゆず塩スープの素」パッケージ撮影画像)(申立書Cの甲第5号証の3)
引用例C6の1 株式会社Mizkan Holdings,ミツカン業務用商品・メニューサイト「麺&鍋大陸 地鶏しおちゃんこスープの素」
http://www4.mizkan.co.jp/prouse/product/shouhin.asp?ShouhinID=86342
http://www.mizkan.co.jp/products/detail/series44/986336.pdf
引用例C6の2 アマゾンジャパン合同会社商品取り扱いWebページ「麺&鍋大陸 地鶏しおちゃんこスープの素」販売ページ
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%83%84%E3%82%AB%E3%83%B3-%E9%BA%BA-%E9%8D%8B%E5%A4%A7%E9%99%B8-%E5%9C%B0%E9%B6%8F%E3%81%97%E3%81%8A%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%93%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%AE%E7%B4%A0-1180g/dp/B00I7IJ7JW/ref=pd_sini_325_2?_encoding=UTF8&psc=l&refRID=245YGET75FX32MV0GA5Z(申立書Cの甲第6号証の2)
引用例C6の3 報告書(引用例C6の1の商品「麺&鍋大陸 地鶏しおちゃんこスープの素」パッケージ撮影画像)(申立書Cの甲第6号証の3)
引用例C7 特許3194052号公報(申立書Cの甲第7号証)
引用例C8 特開2011-142832号公報(申立書Cの甲第8号証)
引用例C9 特許5652462号公報(申立書Cの甲第9号証)
引用例C10 特許3096224号公報(申立書Cの甲第10号証)
引用例C11 特開2014-60977号公報(申立書Cの甲第11号証)
引用例C12 特開2012-213355号公報(申立書Cの甲第12号証)
引用例C13 報告書(引用例C1の1?C6の1,C7実施例,C8実施例分析結果)(申立書Cの甲第13号証)


第5 当審の判断
1 引用例に記載された発明等について
(1)引用例A1に記載された発明
引用例A1の【0015】,【0019】?【0025】(特に試験例28)には,次の発明(以下「引用発明A1」,「引用方法発明A1」という。)が記載されている。
[引用発明A1]
豚油40.0(油分14.8%),濃口醤油20.0,砂糖15.0,食塩11.0,グルタミン酸10.0,乳化剤(酵素分解大豆レシチン)1.0,バター(乳脂肪分81%)10,キサンタンガム2,水931.0からなり,25℃での粘度が32cpである,ストレートタイプの野菜煮込み用とんこつ風味液体調味料。(ただし,単位は質量部)
[引用方法発明A1]
引用発明A1に係るストレートタイプの野菜煮込み用とんこつ風味液体調味料を加熱し調理する方法。

(2)引用例B1に記載された発明
引用例B1の【0026】?【0044】(特に実施例18?20)には,次の発明(以下「引用発明B1」,「引用方法発明B1」という。)が記載されている。
[引用発明B1]
1000g中,グアーガム8g(実施例18),タマリンドガム16g(実施例19)又は加工でんぷん40g(実施例20)と,醤油300gと,上白糖100gと,旨味調味料30gと,食塩40gと,チキンエキス50gと,レシチン2gと,残量は水からなり,チキンエキス由来の油分が0.7質量%で,20℃での粘度が2396cp(実施例18),2272cp(実施例19)又は2136cpである濃縮液体調味料。
[引用方法発明B1]
引用発明B1に係る濃縮液体調味料を用いて食材を調理する方法。

(3)引用例C1の1?C6の3に示された発明
引用例C1の1?C1の3,引用例C2の1?C2の3,引用例C3の1?C3の3,引用例C4の1?C4の3,引用例C5の1?C5の3,引用例C6の1?C6の3から,それぞれ次の発明(以下,「引用発明C1」,「引用方法発明C1」等という。)が把握できる。
[引用発明C1]
原材料が,しょうゆ,食塩,果糖ぶどう糖液糖,にんにく,とりがらだし,唐辛子,ポーク・チキン香味オイル,しょうが,たん白加水分解物,ごま油,ほたてエキス,鶏脂,こしょう,酵母エキス,調味料(アミノ酸等),増粘剤(キサンタンガム),レシチン,(原料の一部に小麦を含む)からなり,
可食物100gあたりの栄養成分値が,エネルギー125kcal,たんぱく質11.4g,脂質2.8g,炭水化物13,6g,ナトリウム8300mg,食塩相当量21.1gである,
11倍濃縮の鍋スープの素又は11倍濃縮のラーメンスープの素。
[引用方法発明C1]
引用発明C1に係る鍋スープの素又はラーメンスープの素を用いた煮込調理方法。

[引用発明C2]
原材料が,みそ(大豆:遺伝子組換えでない),果糖ぶどう糖液糖,食塩,なたね油,豚骨エキス,豚脂,しょうが,とりがらだし,ポーク・チキン香味オイル,唐辛子,にんにく,ごま油,たん白加水分解物,こしょう,酵母エキス,鶏脂,調味料(アミノ酸等),アルコール,レシチン,増粘剤(キサンタンガム),(原材料の一部に小麦を含む)からなり,
可食部100gあたりの栄養成分値が,エネルギー187kcal,たんぱく質6.3g,脂質12.4g,炭水化物12.6g,ナトリウム3710mg,食塩相当量9.4gである,
5倍濃縮の鍋スープの素又は5倍濃縮のラーメンスープの素。
[引用方法発明C2]
引用発明C2に係る鍋スープの素又はラーメンスープの素を用いた煮込調理方法。

[引用発明C3]
原材料が,チキンパイタン,食塩,チキンエキス,鶏脂,なたね油,砂糖,アミノ酸液,乳たん白,おろしにんにく,醸造酢,調味料(アミノ酸等),増粘剤(キサンタンガム),乳化剤,(原材料の一部に卵,乳成分,大豆を含む)からなり,
可食部100gあたりの栄養成分値が,エネルギー174kcal,たんぱく質7.0g,脂質12.8g,炭水化物7.6g,ナトリウム5270mg,食塩相当量13.4gである,
11倍濃縮の鍋スープの素又は7?8倍濃縮のラーメンスープの素。
[引用方法発明C3]
引用発明C3に係る鍋スープの素又はラーメンスープの素を用いた煮込調理方法。

[引用発明C4〕
原材料が,砂糖,食塩,すりごま,豆乳,チキンエキス,ねりごま,大豆粉末,ごま油,アミノ酸液,豆乳粉末,みそ,こんぶだし,調味料(アミノ酸等),乳化剤,増粘剤(タマリンドガム),炭酸カリウムからなり,
可食部100gあたりの栄養成分値が,エネルギー236kcal,たんぱく質9.3g,脂質13.8g,炭水化物18.6g,ナトリウム4300mg,食塩相当量10.9gである,
6?7倍濃縮のうどんのつゆスープの素又は6倍濃縮の鍋スープの素。
[引用方法発明C4]
引用発明C4に係るうどんのつゆスープの素又は鍋スープの素を用いた煮込調理方法。

[引用発明C5]
原材料が,うすくちしょうゆ,食塩,こんぶだし,鶏がらだし,なたね油,砂糖,ゆず果汁,かつおだし,香味食用油,ごま油,たん白加水分解物,酵母エキス,こしょう,調味料(アミノ酸等),増粘剤(キサンタンガム),乳化剤,香料,香辛料抽出物,(原材料の一部に小麦,ゼラチンを含む)からなり,
可食部100gあたりの栄養成分値が,エネルギー79kcal,たんぱく質5.7g,脂質3.5g,炭水化物6.2g,ナトリウム7610mg,食塩相当量19.3gである,
10倍濃縮のラーメンスープの素又は11倍濃縮の鍋スープの素。
[引用方法発明C5]
引用発明C5に係るラーメンスープの素又は鍋スープの素を用いた煮込調理方法。

[引用発明C6]
原材料が,うすくちしょうゆ,食塩,鶏がらだし,かつおだし,こんぶだし,砂糖,香味食用油,ごま油,こしょう,酵母エキス,調味料(アミノ酸等),増粘剤(キサンタンガム),乳化剤,香辛料抽出物,(原材料の一部に小麦を含む)からなり,
可食部100gあたりの栄養成分値が,エネルギー76kcal,たんぱく質7.1g,脂質2.6g,炭水化物6g,ナトリウム6830mg,食塩相当量17.3gである,
10倍濃縮のラーメンスープの素又は11倍濃縮の鍋スープの素。
[引用方法発明C6]
引用発明C6に係るラーメンスープの素又は鍋スープの素を用いた煮込調理方法。

(4)引用例C7に記載された発明
引用例C7の【0009】?【0023】(特に実施例1又は2)には,次の発明(以下「引用発明C7-1」,「引用発明C7-2」という。)が記載されている。
[引用発明C7-1]
トマトペースト15.0,オリーブオイル2.0,乳化剤(モノグリセリド)0.5,にんにく0.5,ドミグラソース7.0,ローリエ0.01,ナツメグ0.1,デリカM-9(馬鈴薯澱粉の加工澱粉)0.5,赤ワイン4.0,食塩1.5,こしょう0.1,水18.79からなる,濃縮のミートソース。(ただし単位は重量g)
[引用発明C7-2]
トマトペースト17,オリーブオイル1,乳化剤(モノグリセリド)0.2,生にんにく1.0,白ワイン3.0,デリカM-9(馬鈴薯澱粉の加工澱粉)0.3,食塩2.0,香味油1.0,水24.5からなる,濃縮のペスカトーレソース。(ただし単位は重量g)

(5)引用例C8に記載された発明
引用例C8の【0022】,【0033】?【0044】(特に実施例1及び3)には,次の発明(以下「引用発明C8」,「引用方法発明C8」という。)が記載されている。
[引用発明C8]
食塩5%,還元澱粉分解物(固形分70%)12%,チキンエキスパウダー3%,ジアシルグリセロリン脂質(キューピー株式会社製「卵黄レシチンPL-100M」:含有ジアシルグリセロリン脂質約100%)0.15%,脱脂粉乳10%,カゼインナトリウム5%,澱粉20%,大豆油35%,清水9.85%からなり,脂質の含有量は35%,品温20℃での粘度は20Pa・sである濃縮クリームスープ。
[引用方法発明C8]
引用発明C8に係る濃縮クリームスープを用いた煮込調理方法。

(6)引用例C9に記載された発明
引用例C9の【0063】?【0068】(特に実施例1)には,次の発明(以下「引用発明C9」,「引用方法発明C9」という。)が記載されている。
[引用発明C9]
脱脂粉乳2,カゼインナトリウム1,キサンタンガム0.02,卵黄リゾレシチン0.01,菜種油5,アセチル化アジピン酸架橋澱粉2,食塩1.5,香辛料1,清水87.47からなり,脂質含有量は5質量%,品温60℃の粘度が2Pa・sである,クリームソース。(ただし,単位は質量部)
[引用方法発明C9]
引用発明C9に係るクリームソースを用いた煮込み調理方法。


2 取消理由1についての判断
(1)本件発明1,2,4,6,7,10?12の新規性について
引用発明A1と本件発明1,10?12(以下「本件発明1等」という。)とを対比すると,両者は少なくとも次の点で相違する。
[相違点1]
本件発明1等では,ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であるのに対して,引用発明A1では,pH及びBrixの値が不明であり,20℃での粘度が32cpである点。
そして,上記相違点1は,実質的な相違である。
よって,本件発明1等は,引用例A1に記載された発明ではない。
また,本件発明2,4,6,7は,本件発明1の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用例A1に記載された発明ではない。

なお,申立人Aは,引用発明A1を試験した結果について,pHが6.10,Brixが7.50,80℃加温時の粘度が50.0mPa・sであった旨主張している(申立書Aの11ページ)。しかしながら,引用発明A1には上記のようにグルタミン酸が10.0質量部含有されていることを踏まえると,そのpHが6.10になるとは考えられず,また,上記試験の条件等についても不明であるところ,上記試験結果には疑義がありこれを採用することはできない。

(2)本件発明8,9の新規性について
引用方法発明A1と本件発明8とを対比すると,両者は少なくとも調理方法に用いる調味料について相違するが,それは実質的に相違点1と同様である。
そして,その相違点は,上記(1)で示したのと同様,実質的な相違である。
よって,本件発明8は,引用例A1に記載された発明ではない。
また,本件発明9は,本件発明8の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用例A1に記載された発明ではない。

(3)小括
以上より,取消理由1によっては,請求項1,2,4,6?12に係る特許を取り消すことはできない。


3 取消理由2についての判断
(1)本件発明1?7,10?12の進歩性について
引用発明A1と本件発明1,10?12(以下「本件発明1等」という。)とを対比すると,両者は少なくとも上記相違点1で相違する。
そして,申立人Aが主張する上記試験結果が採用できないことは,上記「2 取消理由1について」の(1)に述べたとおりである。
また,本件発明は,「長時間の加熱調理を伴わずに,加熱料理にでき立ての食感と煮込み感とを付与することができる加熱料理用調味料を提供すること」(【0007】)や,「長時間の煮込調理を伴わずに,煮込料理にでき立ての食感と煮込み感とを付与することができる煮込料理用調味料,煮込調理方法を提供すること」(【0007】)を課題とし,これを「特定の成分(油,食塩,乳化剤)を所定量添加するとともに,調味料の分析値(Brix,pH,粘度)を特定の範囲に調整する」(【0008】)ことで解決するものである。よって,上記相違点1に係る本件発明1等の構成とすることは設計的事項とはいえない。
さらに,引用例A2?A8をみても,上記相違点1に係る本件発明1等の構成は記載も示唆もされていない。
よって,本件発明1等は,引用発明A1をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明2?7は,本件発明1の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用発明A1をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明8,9の進歩性について
引用方法発明A1と本件発明8とを対比すると,両者は少なくとも調理方法に用いる調味料について相違するが,それは実質的に上記相違点1と同様であり,その判断は上記(1)に示したとおりである。
よって,本件発明8は,引用方法発明A1をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明9は,本件発明8の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用方法発明A1をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)小括
以上より,取消理由2によっては,請求項1?12に係る特許を取り消すことはできない。


4 取消理由3についての判断
(1)本件発明1,2,4?7,10?12の新規性について
本件発明1,10?12(以下「本件発明1等」という。)と引用発明B1とを対比すると,両者は少なくとも次の点で相違する。
[相違点2]
本件発明1等では,ストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であるのに対して,引用発明B1では,pH及びBrixの値が不明であると共に,20℃での粘度が2396cp(実施例18),2272cp(実施例19)又は2136cpである点。
そして,上記相違点2は,実質的な相違である。
よって,本件発明1等は,引用例B1に記載された発明ではない。
また,本件発明2,4?7は,本件発明1の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用例B1に記載された発明ではない。

なお,申立人Bは,上記相違点2のうち引用発明B1の20℃での各粘度について,本件明細書の「【0019】 本発明の加熱料理用調味料の静粘度は,ストレート換算で調理する時に,80℃加温時での調味料静粘度が100mPa・s×g/cm^(3)以下となるように成分調整されている必要があり,さらには80mPa・s×g/cm^(3)以下,特には60mPa・s×g/cm^(3)以下となるように調整されることが好ましい。調理時の静粘度が100mPa・s×g/cm^(3)よりも高いと,調味料の流動性が低下して具材に調味料が浸透しにくくなり,所望の効果が得られにくくなるからである。さらには,本発明は加熱調理時の粘度が全く無いさらさらの状態でも効果を得られるが,ある程度調理時に粘度があったほうが具材と調味料とが絡みやすいためより好ましい。具体的には,80℃加温時での調理時の静粘度が3mPa・s×g/cm^(3)以上,特に5mPa・s×g/cm^(3)以上に調整されていることが望ましい。上記の調理時静粘度を達成するためには,特に液体調味料の場合には,濃縮された調味料の粘度は20℃で10000mPa・s以下,望ましくは7000mPa・s以下程度に調整されるが,使用する粘度調整剤の特性により希釈加温時に所定の静粘度に調整できる調味料であればどのような数値でもよい。」という記載を根拠に,上記相違点2に係る本件発明1等の80℃加温時での静粘度に相当する旨主張している。
しかしながら,本件明細書の上記80℃加温時での静粘度と20℃での粘度との関係(粘度特性)に係る記載は,上記濃縮された調味料の成分や希釈率等も明らかでなく,本件発明におけるおおよその目安にすぎないと解される。そして,引用発明B1の濃縮液体調味料が,本件明細書の上記記載の濃縮された調味料と同じような粘度特性をもつという証拠や技術常識は認められないし,そもそも引用発明B1の濃縮液体調味料は希釈率が不明であるところ,ストレート換算時の粘度は想定し難い。したがって,本件明細書の上記記載を参酌しても,引用発明B1の濃縮液体調味料の80℃加温時での静粘度が,必然的に5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下になるとは認められない。

(2)小括
以上より,取消理由3によっては,請求項1,2,4?7,10?12に係る特許を取り消すことはできない。


5 取消理由4についての判断
(1)本件発明1?7,10?12の進歩性について
引用発明B1と本件発明1,10?12(以下「本件発明1等」という。)とを対比すると,両者は少なくとも上記相違点2で相違する。
上記相違点2について検討するに,本件発明は,「長時間の加熱調理を伴わずに,加熱料理にでき立ての食感と煮込み感とを付与することができる加熱料理用調味料を提供すること」(【0007】)や,「長時間の煮込調理を伴わずに,煮込料理にでき立ての食感と煮込み感とを付与することができる煮込料理用調味料,煮込調理方法を提供すること」(【0007】)を課題とし,これを「特定の成分(油,食塩,乳化剤)を所定量添加するとともに,調味料の分析値(Brix,pH,粘度)を特定の範囲に調整する」(【0008】)ことで解決するものである。これにより,本件発明の調味料の上記各分析値や80℃加温時での静粘度の範囲は,互いに技術的な関連を前提に調整されたものであると理解できる。
そうすると,引用発明B1において,上記相違点2のストレート換算で調理する時において,pHが4.0?7.0,Brixが1?15,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下とすることは設計的事項とは認められない。また,引用例B1の全記載や引用例B2?B4をみても,引用発明B1の80℃加温時での静粘度を,5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下とする動機付けは見出せない。
よって,本件発明1等は,引用発明B1をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明2?7は,本件発明1の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用発明B1をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明8,9の進歩性について
引用方法発明B1と本件発明8とを対比すると,両者は少なくとも調理方法に用いる調味料について相違するが,それは実質的に上記相違点2と同様であり,その判断は上記(1)に示したとおりである。
よって,本件発明8は,引用方法発明B1をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明9は,本件発明8の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用方法発明B1をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)小括
以上より,取消理由4によっては,請求項1?12に係る特許を取り消すことはできない。


6 取消理由5についての判断
(1)公然実施発明について
本件発明の新規性,進歩性を検討する前に,引用発明C1?C6(以下「引用発明C1等」という。)及び引用方法発明C1?C6(以下「引用方法発明C1等」という。)が,本件特許出願前に公然実施された発明であるかについて検討する。

ア 申立人Cは,この点について,引用例C1の1?C6の3が,本件特許出願後に取得したものであっても,そこに掲載される商品の取り扱い開始日は本件特許出願前であり,引用例C1の1?C6の3から,本件特許出願の前後で,商品の原材料名の表記,目的とする味,用途,希釈率が同一であることが把握できるから,引用例C1の1?C6の3に掲載される商品は,取り扱い開始日におけるものと同じであるか,仮に同じでないとしても,その変更は引用例C13の実験結果を左右するほどではない旨主張している。
しかしながら,ウェブページの掲載内容は固定的なものではなく変更され得ることが通常である。また,商品の発売後に商品名を変更することなく,その成分組成や品質等を変更することもあり得るといえる。このことは引用例C1の1?C6の3のウェブページについても,また,これに掲載される商品についても同様と考えられ,引用例Cの1?C6の3がその例外であるとする理由は見出せない。そして,引用例C1の1?C6の3はいずれも,本件特許出願前に取得したものとは認められず,内容の掲載時期についても不明である。そうすると,引用例C1の1?C6の3から,本件特許出願前の掲載内容は何ら特定できないのだから,引用例C1の1?C6の3によっては,本件特許出願前後で商品の原材料等が同一であることは確認できない。

イ また,申立人Cは,引用例C1の3等に掲載されるJANコードと,平成29年9月29日付け意見書に添付して提出した甲第14?18号証に掲載されるJANコードとの比較から,引用発明C1等や引用方法発明C1等は,本特許出願前に公然実施されていた発明である旨を主張している。
しかしながら,まず,甲第14?18号証はウェブページのプリントアウトであり,その取得時期は本件特許出願前とは認められず,また,内容の掲載時期についても不明である。そして,同意見書に添付された甲第19号証の2には,JANコードの商品アイテムコードについて,「新しい商品や,仕様が異なる商品(容量,味,色などが異なる)には異なる商品アイテムコードを設定して下さい。」と記載されている。そうすると,例えば,甲第17号証より,甲第14号証掲載の商品と同名の商品の発売日が,2015年2月12日であることが確認できたとしても,発売日以降に成分組成等の変更により,JANコードが変更された可能性は捨てきれず,甲第14号証掲載のJANコードが2015年2月12日に発売された同名の商品のJANコードと同じであるかどうかは不明と言わざるを得ない。
したがって,甲第14号証掲載のJANコードによっては,引用例C1の3等に掲載されるJANコードの商品が,2015年2月12日より前に発売されていたことを証明することはできない。これは,甲第15,16号証を用いても同様である。

以上のとおり,引用発明C1等や引用方法発明C1等は,本件特許出願前に公然実施された発明であるとは認められない。

(2)予備的な検討
仮に,引用発明C1等や引用方法発明C1等が,本件特許出願前に公然実施された発明であった場合について以下に検討しておく。

ア 本件発明1,2,6,7,10?12の新規性について
引用例C13は,引用発明C1等に係る実験成績証明書であり,3ページの表1には,引用発明C1等のpH,Brix,及び,所定の希釈倍率における,80℃加温時の静粘度の実験値が記載されている。これを参酌して,引用発明C1等と,本件発明1,10?12(以下「本件発明1等」という。)とを対比すると,両者は少なくとも次の点で相違する。
[相違点3]
本件発明1等では,乳化剤としてレシチンを含有すると共に,ストレート換算で調理する時において,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であるのに対して,
引用発明C1及びC2では,乳化剤としてレシチンを含有するものの,ストレート換算で調理する時において,80℃加温時での静粘度がそれぞれ,1.98mPa・s×g/cm^(3)(11倍希釈),2.51mPa・s×g/cm^(3)(6倍希釈)であり,
引用発明C3では,乳化剤の種類が不明であり,ストレート換算で調理する時において,80℃加温時での静粘度が5.99(7倍希釈)又は3.20mPa・s×g/cm^(3)(11倍希釈)であり,
引用発明C4?C6では,いずれも乳化剤の種類が不明であり,ストレート換算で調理する時において,80℃加温時での静粘度がそれぞれ,2.00mPa・s×g/cm^(3)(6倍希釈),2.80(10倍希釈)又は3.00mPa・s×g/cm^(3)(11倍希釈),3.00mPa・s×g/cm^(3)(10倍希釈,11倍希釈)である点。
そして,上記相違点3は,実質的な相違点である。
よって,本件発明1等は,引用発明C1等ではない。
また,本件発明2,6,7は,本件発明1の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用発明C1等ではない。

イ 本件発明8,9の新規性について
本件発明8と引用方法発明C1等とを対比すると,両者は少なくとも調理方法に用いる調味料について相違するが,それは実質的に上記相違点3と同様である。
そして,その相違は,上記アで示したのと同様,実質的な相違である。
よって,本件発明8は,引用方法発明C1等ではない。
また,本件発明9は,本件発明1の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用方法発明C1等ではない。

(3)小括
以上より,取消理由5によっては,請求項1,2,6?12に係る特許を取り消すことはできない。


7 取消理由6についての判断
(1)引用例C1の1?C6の3を主引用例とした場合の進歩性について
上記「6 取消理由5についての判断」の(1)に示したように,引用発明C1?C6(以下「引用発明C1等」という。)及び引用方法発明C1?C6(以下「引用方法発明C1等」という。)は,本件特許出願前に公然実施された発明であるとは認められないので,本件発明1?12に対して引用例C1の1?C6の3を主引用例とした進歩性欠如の理由はない。

ここで,仮に,引用発明C1等や引用方法発明C1等が,本件特許出願前に公然実施された発明であった場合について以下検討しておく。

ア 本件発明1?7,10?12の進歩性について
引用発明C1等と,本件発明1,10?12(以下「本件発明1等」という。)とを対比すると,両者は少なくとも上記相違点3で相違する。(具体的には,引用発明C3?C6は,乳化剤がレシチンと特定されていない点で本件発明1等と異なるものであり,引用発明C1,C2,C4?C6は,80℃加温時での静粘度が本件発明1等と異なるものである。)
そこで,当該相違点について検討するに,一般に,液体調味料中の乳化剤の種類や粘度特性が,食感や風味に影響を与え得るものであることは技術常識であり,しかも,引用発明C1等は,すでに販売されている商品であり,食感や風味については完成されているという事情を踏まえると,引用発明C3?C6の乳化剤をレシチンとしたり,引用発明C1,C2,C4?C6の80℃加温時での静粘度を5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下に変更する動機付けは直ちには見出せない。これは,他の引用例をみても同様である。
よって,本件発明1等は,引用発明C1等が本件特許出願前に公然実施された発明であったとしても,これらをして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明2?7は,本件発明1の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用発明C1等をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明8,9の進歩性について
引用方法発明C1等と本件発明8とを対比すると,両者は少なくとも調理方法に用いる調味料について相違するが,それは実質的に上記相違点3と同様であり,その判断は上記アに示したとおりである。
よって,本件発明8は,引用方法発明C1等をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明9は,本件発明8の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用方法発明C1等をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)引用例C7を主引用例とした場合の本件発明1?7の進歩性について
引用例C13の3ページの表1には,引用発明C7-1の80℃加温時の静粘度の実験値について,16.00mPa・s×g/cm^(3)と記載されている。これを参酌して,引用発明C7-1及びC7-2と,本件発明1とを対比すると,両者は少なくとも次の点で相違する。
[相違点4]
本件発明1では,乳化剤としてレシチンを含有するのに対して,引用発明C7-1及びC7-2では,乳化剤としてモノグリセリドを含有する点。

上記相違点4について検討するに,引用例C7には,モノグリセリドについて次の記載がある。
「【0004】
【発明により解決すべき課題】前記従来の缶詰又はレトルトパスタソースは,温める時間が必要であったり,水分が多かったり,粉末は風味が悪いなどの問題点があった。
【0005】また前記各公知のソースは,風味及び使用に際し,嗜好の多様性に対しては未だ不十分であり,新規な風味の要求に対応できない問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】然るにこの発明は,モノグリセライドと化工澱粉及び風味剤を配合したので,嗜好の多様性に十分対応したものである。」
これによると,引用発明C7-1及びC7-2において,モノグリセリドは課題解決手段として不可欠のものであり,これをレシチンに変更することは想定し得ないといえる。また,他の引用例をみても,引用発明C7-1及びC7-2のモノグリセリドをレシチンに変更する動機付けは見出せない。
よって,本件発明1は,引用発明C7-1又はC7-2をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明2?7は,本件発明1の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用発明C7-1又はC7-2をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)引用例C8を主引用例とした場合の進歩性について
ア 本件発明1?7,10?12の進歩性について
引用例C13の3ページの表1には,引用発明C8の80℃加温時の静粘度の実験値について,3.5mPa・s×g/cm^(3)と記載されているが,同2ページの「2-8.甲8号証(試験例8)」の実験条件をみると,引用発明C8とは希釈媒体や希釈率が異なっており,上記表1の値は引用発明C8の80℃加温時の静粘度の実験値とは認められない。そうすると,引用発明C8と本件発明1等とを対比すると,両者は少なくとも次の点で相違する。
[相違点5]
本件発明1等では,ストレート換算で調理する時において,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であるのに対して,引用発明C8では,ストレート換算で調理する時において,80℃加温時での静粘度が不明である点。

上記相違点5について検討するに,上記「5 取消理由4についての判断」の(1)で示したように,本件発明の80℃加温時での静粘度の範囲は,他の成分濃度等との技術的な関連を前提に調整されたものであり,本件発明の課題の解決に貢献するものと理解できるところ,引用発明C8において,ストレート換算で調理する時において,80℃加温時での静粘度を上記相違点5に係る本件発明1等のようにすることは設計的事項とは認められない。また,他の引用例をみても,引用発明C8の80℃加温時での静粘度を上記相違点5に係る本件発明1等のようにする動機付けは見出せない。
なお,これは,仮に引用発明C8の80℃加温時の静粘度が,上記表1の実験値のとおり,3.5mPa・s×g/cm^(3)であったとしても同様である。
よって,本件発明1等は,引用発明C8をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明2?7は,本件発明1の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用発明C8をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明8,9の進歩性について
引用方法発明C8と本件発明8とを対比すると,両者は少なくとも調理方法に用いる調味料について相違するが,それは実質的に上記相違点5と同様であり,その判断は上記アに示したとおりである。
よって,本件発明8は,引用方法発明C8をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明9は,本件発明8の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用方法発明C8をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)引用例C9を主引用例とした場合の進歩性について
ア 本件発明1?7,10?12の進歩性について
引用発明C9と本件発明1等とを対比すると,両者は少なくとも次の点で相違する。
[相違点6]
本件発明1等では,ストレート換算で調理する時において,80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上,100mPa・s×g/cm^(3)以下であるのに対して,引用発明C9では,ストレート換算で調理する時において,80℃加温時での静粘度が不明である点。

上記相違点6について検討するに,上記「5 取消理由4についての判断」の(1)で示したように,本件発明の80℃加温時での静粘度の範囲は,他の成分濃度等との技術的な関連を前提に調整されたものであり,本件発明の課題の解決に貢献するものと理解できるところ,引用発明C9において,ストレート換算で調理する時において,80℃加温時での静粘度を上記相違点6に係る本件発明1等のようにすることは設計的事項とは認められない。また,他の引用例をみても,引用発明C9の80℃加温時での静粘度を上記相違点6に係る本件発明1等のようにする動機付けは見出せない。
よって,本件発明1等は,引用発明C9をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明2?7は,本件発明1の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用発明C9をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明8,9の進歩性について
引用方法発明C9と本件発明8とを対比すると,両者は少なくとも調理方法に用いる調味料について相違するが,それは実質的に上記相違点6と同様であり,その判断は上記アに示したとおりである。
よって,本件発明8は,引用方法発明C9をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,本件発明9は,本件発明8の特定事項を全て含むものであるから,同様の理由により,引用方法発明C9をして当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)小括
以上より,取消理由6によっては,請求項1?12に係る特許を取り消すことはできない。


第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立書Aに記載された理由(特許法第36条第4項第1号違反)
申立人Aは,「調味料にどの粘度調整剤をどのくらい配合すると80℃加温時の静粘度が100mPa・s×g/cm^(3)以下になるのかが本件特許明細書に明示されていない」(申立書Aの26ページの(b))と述べ,本件明細書の発明の詳細な説明は,本件発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない旨主張している。
しかしながら,本件明細書の【0020】?【0021】には,本件発明に係る静粘度の測定方法が明示されており,同【0022】には,粘度調整剤も例示されているところ,当業者であれば,こうした事項を参考に,過度の試行錯誤を行うことなく,本件発明を実施できるものと認められる。
よって,申立人Aの上記主張は理由がない。


2 申立書Bに記載された理由(特許法第36条第6項第2号違反)
申立人Bは,本件発明8及び9は,「長時間の加熱を行うことなくでき立ての食感と煮込み感とを付与することが特徴である」(申立書Bの31ページの(4-2)のア(a))と述べ,本件発明8には,加熱時間が特定されておらず,その発明の範囲が明確でない旨主張している。
しかしながら,本件明細書の全記載によれば,「長時間」というのは,煮込調理や加熱料理の種類に応じて煮込み感を得るのに通常要する時間を意味するものと理解でき,本件発明はその時間よりも短い時間で煮込み感を得るものである(本件発明の実施例では,各調味液を用いたうどんの加熱時間は80℃で1分であり,本件明細書の【表1】?【表3】の官能評価によれば,そのような加熱時間であっても,煮込み感は遜色ないことが確認できる。)。したがって,本件発明8に具体的な加熱時間が特定されていないことをもって本件発明8が明確でないとすることはできない。
よって,申立人Bの上記主張は理由がない。

また,申立人Bは,平成29年9月29日付け意見書において,請求項1,10?12の除くクレームは,除かれた後の残余発明の外延が不明確である旨主張している(3ページ(e))。しかしながら,これが明確であることは,上記「第2」の「2」の「(1)訂正事項1,7?9について」に示したとおりである。
さらに,申立人Bは,同意見書において,請求項9の「短時間」がどの程度の時間であるのか不明である旨主張している(8ページ(b))。しかしながら,上述のように,これが煮込調理や加熱料理の種類に応じて煮込み感を得るのに通常要する時間に比しての短時間であることは,当業者にとって明らかである。
よって,申立人Bのこれらの主張についても理由はない。


3 申立書Cに記載された理由(特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第1号違反)
申立人Cは,本件発明は,「長時間の煮込調理を伴わずに,煮込料理にでき立ての食感と煮込み感とをを付与することのできる加熱料理用調味料を,煮込み調理方法を提供すること」(【0007】)という効果を奏するものとされているにも関わらず,本件発明の実施例である調味液12(【0042】)と調味液18(【0053】)について,「煮込み感等を含めた総合評価が△である。」(申立書Cの49ページのエ)と述べ,本件発明には効果を奏しない態様が含まれているから,本件明細書の発明の詳細な説明は,本件発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないし,また,本件発明には課題を解決するための手段が反映されていない旨主張している。
しかしながら,本件明細書の【0041】によれば,総合評価の「△」は「普通」である。そして,上記2でも示したように,本件発明の実施例である調味液12や18の評価は,80℃1分の加熱時間の結果であるところ,長時間の煮込み調理を伴わずに「普通」の評価となることは,上記効果を奏しているものと認められる。
よって,申立人Cの上記主張は理由がない。


第7 むすび
以上のとおりであるから,上記取消理由1?6及び申立書A?Cに記載された特許異議申立理由によっては,請求項1?12に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1?12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油、食塩及びレシチンを含有するとともに、レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し、ストレート換算で調理する時において、pHが4.0?7.0、Brixが1?15、油濃度が0.1質量%?4質量%、レシチン濃度が1質量%以下、80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上、100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする煮込料理用調味料(但し、内径3?30mm、長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって、油分と粘度調整剤とを含有し、固形分濃度が15?100質量%、20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。
【請求項2】
前記レシチンが20質量%以上リゾ化されたレシチンであり、かつリゾ化されたレシチンと食塩との割合が質量比で1:2?1:2000であることを特徴とする請求項1に記載の煮込料理用調味料。
【請求項3】
リゾ化されたレシチンと食塩との割合が質量比で1:2?1:500であることを特徴とする請求項2に記載の煮込料理用調味料。
【請求項4】
前記レシチンが大豆または卵黄由来であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の煮込料理用調味料。
【請求項5】
さらに水あめを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の煮込料理用調味料。
【請求項6】
前記煮込料理が澱粉食品または鍋料理であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載された煮込料理用調味料。
【請求項7】
前記煮込料理が麺類であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載された煮込料理用調味料。
【請求項8】
油、食塩及びレシチンを含有するとともに、レシチンを油に対して0.1質量%以上含有する濃縮調味料を希釈して、pHを4.0?7.0、Brixを1?15、油濃度を0.1質量%?4質量%、レシチン濃度を1質量%以下、80℃加温時での静粘度を5mPa・s×g/cm^(3)以上、100mPa・s×g/cm^(3)以下に調整した調味液を調製し、当該調味液を食材とともに加熱容器内に入れた状態で80℃以上の温度に加熱して煮込調理することで、煮込料理に煮込み感を付与する煮込調理方法。
【請求項9】
80℃以上の温度で短時間加熱して煮込調理することを特徴とする請求項8に記載の煮込調理方法。
【請求項10】
油、食塩及びレシチンを含有するとともに、レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し、容器内にて食材を加熱する煮込調理の際に使用される煮込料理用調味料であって、ストレート換算で調理する時において、pHが4.0?7.0、Brixが1?15、油濃度が0.1質量%?4質量%、レシチン濃度が1質量%以下、80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上、100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする煮込料理用調味料(但し、内径3?30mm、長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって、油分と粘度調整剤とを含有し、固形分濃度が15?100質量%、20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。
【請求項11】
油、食塩及びレシチンを含有するとともに、レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し、食材を液状調味料とともに加熱する調理の際に使用される加熱料理用調味料であって、ストレート換算で調理する時において、pHが4.0?7.0、Brixが1?15、油濃度が0.1質量%?4質量%、レシチン濃度が1質量%以下、80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上、100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする加熱料理用調味料(但し、内径3?30mm、長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって、油分と粘度調整剤とを含有し、固形分濃度が15?100質量%、20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。
【請求項12】
油、食塩及びレシチンを含有するとともに、レシチンを油に対して0.1質量%以上含有し、食材を液中で加熱する調理の際に使用される加熱料理用調味料であって、ストレート換算で調理する時において、pHが4.0?7.0、Brixが1?15、油濃度が0.1質量%?4質量%、レシチン濃度が1質量%以下、80℃加温時での静粘度が5mPa・s×g/cm^(3)以上、100mPa・s×g/cm^(3)以下であることを特徴とする加熱料理用調味料(但し、内径3?30mm、長さ10?100mmのスパウトが注ぎ口として取り付けられた袋状樹脂容器に充填された液体調味料であって、油分と粘度調整剤とを含有し、固形分濃度が15?100質量%、20℃での粘度が200?5500mPa・sである液体調味料を除く。)。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-12-15 
出願番号 特願2015-135827(P2015-135827)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (A23L)
P 1 651・ 121- YAA (A23L)
P 1 651・ 536- YAA (A23L)
P 1 651・ 112- YAA (A23L)
P 1 651・ 537- YAA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 太田 雄三  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 窪田 治彦
中村 則夫
登録日 2016-09-02 
登録番号 特許第5996732号(P5996732)
権利者 株式会社Mizkan 株式会社Mizkan Holdings
発明の名称 煮込料理用調味料、煮込調理方法、加熱料理用調味料  
代理人 高橋 洋平  
代理人 渡辺 陽一  
代理人 渡辺 陽一  
代理人 中島 勝  
代理人 三橋 真二  
代理人 武居 良太郎  
代理人 青木 篤  
代理人 青木 篤  
代理人 渡辺 陽一  
代理人 三橋 真二  
代理人 青木 篤  
代理人 武居 良太郎  
代理人 中島 勝  
代理人 武居 良太郎  
代理人 三橋 真二  
代理人 中島 勝  

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