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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1337034
異議申立番号 異議2017-700516  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-25 
確定日 2018-01-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6034820号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6034820号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第6034820号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6034820号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成20年5月30日に出願した特願2008-143711号の一部を平成26年4月2日に新たな特許出願としたものであって、平成28年11月4日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年5月25日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社より特許異議の申立てがなされたものであり、同年7月27日付け(発送:同年8月2日)で取消理由が通知され、その指定期間内である同年9月29日に意見書の提出及び訂正請求がなされ、これに対して、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社より、同年11月20日に意見書が提出されたものである。

第2 訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記再遊技表示結果の導出が許容される割合は、前記特別表示結果の導出が許容されたこと、および前記特別表示結果が導出されたことによっては変化せず、」
の次に、
「前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、」
を加える。
なお、下線は、訂正箇所を示す。以下、同様。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記付与表示結果には、所定数の遊技用価値の付与を伴う第1付与表示結果と、当該所定数よりも大きい数の遊技用価値の付与を伴う第2付与表示結果とが含まれ、」
の次に、
「前記スロットマシンは、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されていないときには、前記第1付与表示結果を導出可能である一方で前記第2付与表示結果を導出不可能であり、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されているときには、前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果のいずれかを導出可能であり、」
を加える。

(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の段落【0009】において、
「上記目的を達成するため、本発明にかかるスロットマシンは、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
遊技用価値が用いられて賭数が設定されたときに前記可変表示部を変動表示可能とし、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果が導出される前に、複数種類の表示結果のうちから導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果に応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段とを備え、
前記複数種類の表示結果は、遊技用価値の付与を伴う付与表示結果と、遊技用価値を用いることなく前記可変表示部が変動表示可能となる再遊技表示結果と、前記事前決定手段の決定結果にかかわらず前記付与表示結果の導出が許容され得る特別遊技状態への制御を伴う特別表示結果とを含み、
前記スロットマシンは、特定開始条件が成立したときに、特定終了条件が成立するまで通常遊技状態よりも前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が高い特定遊技状態に制御する特定遊技状態制御手段をさらに備え、
前記特別遊技状態において前記付与表示結果および前記再遊技表示結果の導出が許容されたときには、当該再遊技表示結果よりも優先して当該付与表示結果が導出され、
前記再遊技表示結果の導出が許容される割合は、前記特別表示結果の導出が許容されたこと、および前記特別表示結果が導出されたことによっては変化せず、
前記特別遊技状態は、当該特別遊技状態の開始から終了までに付与された遊技用価値の総数である特別付与総数が規定数を超えるまで制御され、
前記付与表示結果には、所定数の遊技用価値の付与を伴う第1付与表示結果と、当該所定数よりも大きい数の遊技用価値の付与を伴う第2付与表示結果とが含まれ、
前記特別付与総数と、前記特別遊技状態において賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数との差である純増数は、前記特別遊技状態において前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果の各々が導出されたときにのみ最大となり、
前記特定開始条件は、特定表示結果が導出されたことによって成立する条件である。・・・」
と記載されているのを、
「上記目的を達成するため、本発明にかかるスロットマシンは、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
遊技用価値が用いられて賭数が設定されたときに前記可変表示部を変動表示可能とし、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果が導出される前に、複数種類の表示結果のうちから導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果に応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段とを備え、
前記複数種類の表示結果は、遊技用価値の付与を伴う付与表示結果と、遊技用価値を用いることなく前記可変表示部が変動表示可能となる再遊技表示結果と、前記事前決定手段の決定結果にかかわらず前記付与表示結果の導出が許容され得る特別遊技状態への制御を伴う特別表示結果とを含み、
前記スロットマシンは、特定開始条件が成立したときに、特定終了条件が成立するまで通常遊技状態よりも前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が高い特定遊技状態に制御する特定遊技状態制御手段をさらに備え、
前記特別遊技状態において前記付与表示結果および前記再遊技表示結果の導出が許容されたときには、当該再遊技表示結果よりも優先して当該付与表示結果が導出され、
前記再遊技表示結果の導出が許容される割合は、前記特別表示結果の導出が許容されたこと、および前記特別表示結果が導出されたことによっては変化せず、
前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
前記特別遊技状態は、当該特別遊技状態の開始から終了までに付与された遊技用価値の総数である特別付与総数が規定数を超えるまで制御され、
前記付与表示結果には、所定数の遊技用価値の付与を伴う第1付与表示結果と、当該所定数よりも大きい数の遊技用価値の付与を伴う第2付与表示結果とが含まれ、
前記スロットマシンは、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されていないときには、前記第1付与表示結果を導出可能である一方で前記第2付与表示結果を導出不可能であり、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されているときには、前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果のいずれかを導出可能であり、
前記特別付与総数と、前記特別遊技状態において賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数との差である純増数は、前記特別遊技状態において前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果の各々が導出されたときにのみ最大となり、
前記特定開始条件は、特定表示結果が導出されたことによって成立する条件である。・・・」
に訂正する。
なお、“・・・”は、転記を省略している箇所を示す。以下、同様。

2 訂正の適否について
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1において、
「前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、」
という発明特定事項を新たに加えるものであるから、当該訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0107】の「チャレンジボーナス(A)は、通常の遊技状態またはRTにおいて「青7-青7-青7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。チャレンジボーナス(B)は、通常の遊技状態またはRTにおいて何れかの入賞ラインに「白7-白7-白7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に入賞すると、遊技状態がチャレンジボーナスに移行する(RTのゲームが残っている場合は、RTに併せてチャレンジボーナスに制御される)。…」、段落【0121】の「RTの遊技状態は、ビッグボーナスの終了後の300ゲームの間継続し、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)の当選や入賞でも終了させられることはない(ビッグボーナス、レギュラーボーナスに当選した場合には、当該ゲーム限りでRTが終了させられる)。チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)の入賞に基づいて遊技状態がRTに併せてチャレンジボーナスにも制御されている間のゲームでも、RTのゲーム数のカウント対象となる。」、段落【0122】の「チャレンジボーナスは、RTに併せて制御させることのできる遊技状態であるので、チャレンジボーナスに制御されていないRTと、チャレンジボーナスに制御されているRTとがある…」、段落【0130】の「…リプレイの判定値数の合計数は、通常の遊技状態では8992であるのに対して、RTでは50604となっている(チャレンジボーナスに併せて制御された場合も同じ)。…」、及び段落【0203】の「一方、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に当選した場合には、これらの役に入賞させてもRTの遊技状態は終了させられない。チャレンジボーナスで消化するゲーム数が同じであると仮定した場合、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に何時入賞させても、チャレンジボーナスに制御されていないRTのゲーム数はトータルで同じとなるが、チャレンジボーナスとしても、RTに併せて制御されている場合の方がRTに制御されていない場合よりも遊技者にとって有利なものとなる。従って、この場合も、なるべく早くこれらの役に入賞させた方が、遊技者にとって得られる利益が大きくなる。」との記載、並びに図5(b)に基づいて導き出される構成である。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項1は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1において、
「前記スロットマシンは、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されていないときには、前記第1付与表示結果を導出可能である一方で前記第2付与表示結果を導出不可能であり、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されているときには、前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果のいずれかを導出可能であり、」
という発明特定事項を新たに加え、特許請求の範囲を減縮するものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項2は、願書に添付した明細書の段落【0116】の「チャレンジボーナスにおいては、ベルとチェリーの複合入賞も発生し得る。ベルとチェリーの複合入賞(必ず「チェリー」が上段に停止する形となる)の場合、15枚のメダルが払い出される(チェリー×2+ベルでの払い出し枚数は24枚であるが、1ゲーム当たりの払い出しメダル枚数が15枚に制限されているため)。もっとも、チャレンジボーナスの遊技状態においても、ベルとチェリーの複合入賞は、リプレイ当選している場合にしか発生し得ない。」、段落【0132】の「チャレンジボーナスにおけるメダルの払出率は、何れのゲームでも14枚のメダルの払い出しとなるチェリーに入賞をさせることができ、後述するようにリプレイ当選しているときには15枚のメダルの払い出しとなるベルとチェリーの複合入賞をさせることができるので、当然のこととして1よりも大きくなる。…」、段落【0134】の「前述したように、チャレンジボーナスにおける獲得メダル枚数を最大にするためには、17ゲームを消化するまでに13ゲームだけベルとチェリーに複合入賞させ、残りのゲームは全てチェリーに入賞させる(上段または下段での入賞)ものとし、さらに18ゲーム目でベルとチェリーに複合入賞させればよい。開始からRTに制御されていないチャレンジボーナスでは、17ゲームの間にベルとチェリーに複合入賞させるチャンスが得られるリプレイ当選が13ゲームも生じることはほとんど期待できない。」、段落【0135】の「これに対して、開始から終了までRTに制御されているチャレンジボーナスでは、17ゲームの間にベルとチェリーに複合入賞させるためのチャンスが得られるリプレイ当選するゲーム数が13ゲーム以上生じることは、十分に期待できる。また、17ゲームの間に13ゲームベルとリプレイに複合入賞させ、残りをチェリーに単独入賞させた場合に、さらに18ゲーム目がベルとチェリーに複合入賞させるためのチャンスが得られるリプレイ当選するゲームとなることも十分に期待できる。」、段落【0148】の「…チャレンジボーナスの遊技状態においても、リプレイに当選している場合は、リプレイよりも小役に入賞させることを優先してリール3L、3C、3Rの停止制御が行われるものとなる。そして、チャレンジボーナスの遊技状態においてリプレイ当選している場合に限って、払い出し枚数が15枚でチェリーの単独入賞の場合よりも多いベルとチェリーの複合入賞が発生し得る。」、段落【0150】の「チャレンジボーナスの遊技状態において遊技者が右の停止ボタン12Rを1番目に操作した楊合、その操作タイミングが10番または11番(或いは、19番または10番)の図柄が右のリール3Rの下段に位置するタイミングであったならば、75ミリ秒の最大遅延時間の範囲内で、13番(或いは、1番)の「チェリー」を上段に停止させ、11番(或いは、20番)の「ベル」を下段に停止させる。その後に停止されている左と中のリール3L、3Cについては、リプレイ当選していれば、「ベル」を下段の入賞ラインまたは右下がりの対角線の入賞ラインに引き込むが、リプレイ当選していない場合には、「ベル」の蹴飛ばし制御を行うものとしている。右の停止ボタン12Rが2番目に操作された場合も、右のリール3Rに「チェリー」が停止していれば、最後に停止されるリールで「ベル」の蹴飛ばしが行われる。」、及び段落【0151】の「また、右の停止ボタン12Rが最後に操作される場合、先に停止されている左と中のリール3L、3Cについては、リプレイ当選していれば、「ベル」が下段の入賞ラインまたは右下がりの対角線の入賞ラインに引き込まれてテンパイしているが、リプレイ当選していない場合には、それ以外の入賞ラインに引き込まれてテンパイしているものとなっている。リプレイ当選している場合には、停止ボタン12Rの操作タイミングによりベルとチェリーの複合入賞が可能であるが、リプレイ当選していない場合には、停止ボタン12Rの操作タイミングに関わらずにベルとチェリーの複合入賞は不可能なものとなっている。」との記載に基づいて導き出される構成である。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項2は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正により、願書に添付した明細書の段落【0009】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、当該訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項3に係る訂正は、願書に添付した明細書の段落【0009】の記載を、請求項1の記載と整合を取るためのものであり、訂正事項1及び訂正事項2が、それぞれ上記(1)のイ及び(2)のイに記載したとおり、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、訂正事項3も同様の理由により、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであって、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項3は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

3 むすび
したがって、本件訂正の訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合し、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件特許の訂正後の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Oについては発明を分説するため当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 遊技用価値が用いられて賭数が設定されたときに前記可変表示部を変動表示可能とし、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果が導出される前に、複数種類の表示結果のうちから導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
D 前記事前決定手段の決定結果に応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段とを備え、
E 前記複数種類の表示結果は、遊技用価値の付与を伴う付与表示結果と、遊技用価値を用いることなく前記可変表示部が変動表示可能となる再遊技表示結果と、前記事前決定手段の決定結果にかかわらず前記付与表示結果の導出が許容され得る特別遊技状態への制御を伴う特別表示結果とを含み、
F 前記スロットマシンは、特定開始条件が成立したときに、特定終了条件が成立するまで通常遊技状態よりも前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が高い特定遊技状態に制御する特定遊技状態制御手段をさらに備え、
G 前記特別遊技状態において前記付与表示結果および前記再遊技表示結果の導出が許容されたときには、当該再遊技表示結果よりも優先して当該付与表示結果が導出され、
H 前記再遊技表示結果の導出が許容される割合は、前記特別表示結果の導出が許容されたこと、および前記特別表示結果が導出されたことによっては変化せず、
I 前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
J 前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
K 前記特別遊技状態は、当該特別遊技状態の開始から終了までに付与された遊技用価値の総数である特別付与総数が規定数を超えるまで制御され、
L 前記付与表示結果には、所定数の遊技用価値の付与を伴う第1付与表示結果と、当該所定数よりも大きい数の遊技用価値の付与を伴う第2付与表示結果とが含まれ、
M 前記スロットマシンは、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されていないときには、前記第1付与表示結果を導出可能である一方で前記第2付与表示結果を導出不可能であり、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されているときには、前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果のいずれかを導出可能であり、
N 前記特別付与総数と、前記特別遊技状態において賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数との差である純増数は、前記特別遊技状態において前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果の各々が導出されたときにのみ最大となり、
O 前記特定開始条件は、特定表示結果が導出されたことによって成立する条件であることを特徴とするスロットマシン。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して平成29年7月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。

訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開2007-229024号公報)及び甲第2号証(特開2007-44235号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

3 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人は、特許異議申立書において、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出し、訂正前の請求項1に係る発明について、以下のとおり主張している。

訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

<証拠方法>
甲第1号証:特開2007-229024号公報
甲第2号証:特開2007-44235号公報

4 甲各号証の記載
(1)甲第1号証
取消理由で通知した甲第1号証(特開2007-229024号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0003】
このような回胴式遊技機の中には、再遊技役に当選する確率が一般遊技よりも高い確率に設定された再遊技高確率遊技、いわゆるリプレイタイム(以下RT)遊技を備えたものもある。RT遊技中は、再遊技役が頻繁に成立するとともに、再遊技役以外の遊技役にも成立するので、一般遊技と比べて遊技媒体を減らすことなく、成立した遊技役に応じて遊技媒体の払い出しを受けることができる(特許文献1)。」

「【0018】
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、内部に設けられた3つの回胴20a,20b,20cが回転する様子を視認可能となっている。尚、本実施例では、この表示窓20が本願発明における「表示領域」に相当している。また、表示窓20の左右および下方には、遊技の状態を表示する各種の表示パネル類22が設けられている。」

「【0023】
一方、筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a,20b,20cが設けられており、各回胴の外周面には、後述するように複数種類の図柄が表示されている。これら回胴の上方には、遊技全体の制御を司る後述する主制御基板が格納された主制御基板ユニット110と、各回胴を駆動するための後述する回胴基板260が格納された回胴基板ユニット112が設けられている。また、3つの回胴20a,20b,20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための後述する電源基板280が格納された電源ユニット120などが搭載されている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源スイッチ120sも設けられている。更に、メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。」

「【0032】
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する回胴式の遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、回胴式遊技機で行われる遊技の概要を説明しておく。」

「【0034】
遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが一斉に回転を開始する。図3を用いて前述したように、各回胴には、複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、前面扉2の前面側には、それぞれの回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、変動表示されていた図柄が何れかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で何れかの図柄が停止表示されて、何某かの図柄組合せが得られることになる。
【0035】
こうして得られた図柄組合せが、いわゆる「小役」と呼ばれる遊技役を成立させる組合せであった場合には、成立した遊技役に応じた遊技メダルが払い出される。
・・・
【0037】
加えて、「ボーナス役」の一種として、「チャレンジタイム役(以下では、CT役)」と呼ばれる遊技役も設けられている。3つの回胴20a,20b,20cが停止したときに得られる図柄の組合せが、CT役を成立させる図柄の組合せであった場合には、左側の回胴20aの停止制御において、回胴停止ボタン38aが操作されてから所定時間(75msec)以内に回胴20aの回転を停止させる制御を行うCT遊技が開始される。この75msecの所定時間は、回胴20aの外周に表示された図柄にして所定のコマ数(代表的には1コマ)に相当する。このため、熟達した遊技者であれば、回胴20aの図柄を見ながら所定の図柄(本実施例では「チェリー」の図柄)を入賞ライン上で停止させる、いわゆる目押しを行い所定の遊技役(本実施例では「チェリー小役」)を成立させることが可能となる。そして、回胴20aが停止したとき、入賞ライン上で「チェリー小役」が成立していれば、15枚の遊技メダルが払い出される。
【0038】
更に、回胴が停止したときに得られる図柄の組合せが、「再遊技役」と呼ばれる遊技役を成立させる組合せであった場合には、遊技メダルが払い出されることはないが、遊技者が遊技メダルを投入することなく、再び遊技を開始することが可能となる。
【0039】
図5は、本実施例の遊技機1に設定されている各種の遊技役と、それら遊技役を成立させる図柄の組合せとを例示した説明図である。図示されているように、BB役を成立させる図柄の組合せとしては、「赤セブン」の図柄が3つ揃った組合せが設定されている。
また、RB役を成立させる図柄の組合せは、「バー」の図柄が3つ揃った組合せに設定されている。さらに、CT役を成立させる図柄の組合せとしては、「青セブン」の図柄が3つ揃った組合せが設定されている。小役を成立させる図柄の組合せは、「スズ」の図柄が3つ揃うか、「スイカ」の図柄が3つ揃うか、若しくは、左端の図柄が「チェリー」となる図柄に設定されている。更に、再遊技役を成立させる図柄の組合せは、「再遊技」の図柄が3つ揃った組合せに設定されている。また、図5には、これらの遊技役が成立したときに払い出される遊技メダルの枚数も、併せて表示されている。尚、「スズ」の図柄で成立した小役は「スズ小役」と呼ばれ、「スイカ」の図柄で成立した小役は「スイカ小役」、「チェリー」の図柄で成立した小役は「チェリー小役」と呼ばれることがある。また、「再遊技役」は「リプレイ役」と呼ばれることがあるが、本明細書中ではリプレイタイム(RT)との混同を避けるために、専ら「再遊技役」と呼ぶことにする。」

「【0044】
遊技が開始可能な状態になると、主制御基板200は、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S102)。スタートレバー36が操作されていない場合は(S102:NO)、スタートレバー36の操作が確認されるまで待機する。そして、スタートレバー36が操作されたら(S102:YES)、内部抽選処理を開始する(S104)。内部抽選処理の詳細については後述するが、この処理では、図5を用いて前述した遊技役の成立を許容するか否かを、抽選によって決定する処理を行う。尚、この抽選は、遊技役の成立を許容するか否かに関するものであり、抽選に当選したからといって、該当する遊技役が直ちに成立するわけではない。当選した遊技役を実際に成立させるためには、回胴20a,20b,20cの回転に合わせて、適切なタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すことにより、当選した遊技役を成立させる図柄の組合せを揃える必要がある。逆に、如何に適切なタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを押したとしても、内部抽選処理で当選していなければ、遊技役を成立させる図柄の組合せは揃わないようになっている。従って、内部抽選処理における当選は、内部的に当選した状態に過ぎず、この意味から抽選は「内部」抽選と呼ばれ、また、内部抽選によって内部的に当選した状態は「内部」当選と呼ばれる。」
・・・
【0047】
こうして3つの回胴20a,20b,20cを一斉に回転させたら、主制御基板200は、今度は、回胴の回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S108)。回胴回転停止処理の詳細については後述するが、この処理では、内部抽選の結果に応じて、回胴停止ボタン38a,38b,38cが押されたタイミングと、内部抽選の結果とに基づいて、3つの回胴20a,20b,20cを適切な位置で停止させる処理を行う。」

「【0048】
3つの回胴20a,20b,20cの回転が停止すると、主制御基板200は、入賞が成立しているか否かを判断する(S110)。ここで、「入賞」とは、内部抽選で遊技役に当選した後、その遊技役を成立させる図柄の組合せが揃って表示されることをいう。後述するように、本実施例の遊技機1では、表示窓20に複数本の入賞ラインが設けられており、遊技役を成立させる図柄の組合せが入賞ライン上に揃うと、その遊技役が成立する。尚、入賞ライン上に図柄が揃って遊技役が成立することは、単に、遊技役に入賞すると呼ばれることもある。回胴回転停止処理(S108)において説明したように、内部抽選処理で遊技役に当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングによっては、その遊技役に対応する図柄の組合せが入賞ライン上に揃うとは限らない。そこで、主制御基板200は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役に入賞しているか否かを判断するのである。そして、入賞していないと判断された場合は(S110:NO)、その遊技は終了となり、図6の遊技制御処理の先頭に戻って、遊技メダルが投入(あるいはベット)されるまで待機状態となる。そして、遊技メダルが投入(あるいはベット)されると(S100:YES)、新たな遊技が開始可能な状態となり、上述した続く一連の処理が実行される。」

「【0064】
これに対して、RTフラグがONに設定されておらず(S204:NO)、且つ、CTフラグがONに設定されている場合には(S206:YES)、CT遊技用の抽選テーブルを選択する(S210)。図10は、本実施例の遊技機1で用いられているCT遊技用の抽選テーブルを例示した説明図である。図9に示した一般遊技用の抽選テーブルと比較すれば明らかなように、CT遊技用の抽選テーブルでは、「再遊技役」に当選するか否かの抽選がされており、その確率は一般遊技用の抽選テーブルと同じ確率の「12500/65536」である。前述したようにCT遊技が開始されると、短い停止遅延時間(75msec以内)で回胴20aを停止する遊技状態となり、「チェリー小役」が成立すれば、15枚の遊技メダルが払い出される。そして、遊技メダルの払出枚数が所定枚数(例えば40枚)に達するまで、CT遊技が継続される。従って、CT遊技では、熟達した遊技者であれば、目押しをしながら「チェリー小役」を容易に成立させることが可能であるため、短期間で所定枚数の遊技メダルを獲得することができる。しかしながら、目押しが困難なために「チェリー小役」を成立させることができない初心者の遊技者の場合は、払出枚数が所定枚数に達するまでに、多くの遊技メダルを消費してしまうおそれがある。その結果、消費した遊技メダルの方が獲得した遊技メダルよりも多くなってしまい、CT遊技中に遊技メダルを増加させることなくCT遊技が終了してしまうこともあり得る。」

「【0067】
図12は、本実施例の遊技機1で用いられているRT+CT遊技用の抽選テーブルを例示した説明図である。図10に示したCT遊技用の抽選テーブルおよび図11に示したRT遊技用の抽選テーブルと比較すれば明らかなように、RT+CT遊技用の抽選テーブルは、RT遊技とCT遊技とを組み合わせた遊技となっている。すなわち、再遊技役に割り当てられた乱数値の範囲が広くなっており、高い確率で再遊技役に内部当選するように設定されている。RT+CT遊技が開始されると、短い停止遅延時間(75msec以内)で回胴20aを停止する遊技状態となり、「チェリー小役」が成立すれば、15枚の遊技メダルが払い出される。そして、遊技メダルの払出枚数が所定枚数(例えば40枚)に達するまで、RT+CT遊技が継続される。従って、RT+CT遊技では、「チェリー小役」を成立させることができなかった場合であっても、高い確率で「再遊技役」を成立させることが可能となる。従って、払出枚数が所定枚数に達するまで、遊技メダルを減らすことなく遊技を続行することができ、確実に所定枚数の遊技メダルを獲得することができる。」

「【0069】
一方、前記S202において、既にBB役、RB役またはCT役に内部当選していると判断した場合には(S202:YES)、RTフラグがONであるか否かを判断する(S218)。BB役、RB役またはCT役に内部当選しており(S202:YES)、且つ、RTフラグがONに設定されていない場合には(S218:NO)、内部当選中の一般遊技用抽選テーブルを選択する(S220)。図13は、本実施例の遊技機1で用いられている内部当選中の一般遊技用の抽選テーブルを例示した説明図である。図9または図11に示した抽選テーブルと比較すれば明らかなように、図13に示した内部当選中の一般遊技用の抽選テーブルでは、BB役、RB役やCT役には乱数値が割り当てられていない。このため、内部当選中は、重ねてボーナス役が成立しないようになっている。」

「【0074】
また、CT遊技中およびRT+CT遊技中は、「再遊技役」以外の遊技役の抽選を行わないが、「チェリー小役」においては、強制的にフラグをONにしている。その結果、CT遊技中およびRT+CT遊技中に「再遊技役」に当選した場合は、「チェリー小役」と「再遊技役」との2つのフラグがONとなる。そして、後述する回胴回転停止処理において、いずれかの遊技役を入賞役として処理する。」

「【0091】
一方、チェリーの図柄を表示窓20内に停止させることが不可能な場合には(S404:NO)、内部抽選が再遊技役に当選しているか否かを判断する(S408)。ここで、内部抽選が再遊技役に当選しているか否かを判断しているのは、CT遊技においては、先ずチェリーの図柄を表示窓20内に停止させることが可能な場合を判断していることからも明らかなように、チェリーの図柄を成立させる停止制御を最優先しているが(S404,S406)、チェリーの図柄を成立させる停止制御が不可能な場合には、2番目の優先順位として再遊技役の当選を優先しているからである。これは、前述したように、熟達した遊技者であれば、CT遊技中に目押しによって「チェリー小役」を成立させて、遊技メダルを獲得することが可能となるが、初心者の遊技者は、CT遊技中に「チェリー小役」を成立させることが困難なことに鑑みて、遊技メダルを投入することなく遊技を行うことが可能な再遊技役の当選を2番目の優先順位としたのである。」

「【0098】
こうした回胴停止制御処理が各回胴停止ボタン38a,38b,38cに対して、それぞれ実行されるため、CT遊技中およびRT+CT遊技中は、熟達した遊技者であれば、「チェリー小役」を成立させて、遊技メダルを獲得することが可能となる。一方、初心者の遊技者であっても、「チェリー小役」を成立させる停止制御の次に、再遊技役の内部当選が優先されることから、RT+CT遊技中は、遊技メダルの消費を極力抑制しながら遊技を継続することが可能となる。」

「【0103】
これに対して、CTフラグがONに設定されている場合には(S502:YES)、現在の遊技状態がCT遊技中であると判断して、前記S500において遊技役に応じて払い出された遊技メダルの払出枚数をCTカウンタに加算した後(S504)、CTカウンタが上限値(例えば、40枚)に達したか否かを判断する(S506)。ここで、CTカウンタとは、前述したようにCT遊技の終了タイミングを把握するために、遊技メダルの払出枚数を計数するためのカウンタである。そして、CTカウンタが上限値(例えば、40枚)に達した場合には(S506:YES)、CT遊技を終了して(S508)、遊技制御処理に復帰する。一方、CTカウンタが上限値(例えば、40枚)に達していない場合には(S506:NO)、CT遊技を維持した状態で遊技制御処理に復帰する。」

「【0105】
D.本実施例のリプレイタイム遊技中のチャレンジタイム遊技 :
上述したような遊技制御処理においては、図7を用いて前述したように、BB遊技(S124)が終了すると、RTフラグがONに設定される(S126)。図17を用いて前述したように、RT遊技は、終了条件としてRTカウンタが上限値(例えば200ゲーム)に達するか(S328:YES)、あるいは、BB役またはRB役が成立するまでは(S330:YES)、RTフラグがONに設定されているので、RT遊技が実行される。
【0106】
図8を用いて前述したように、RT遊技の内部抽選処理は、図11に示したRT遊技用抽選テーブルが選択される(S214)。図11に示すRT遊技用抽選テーブルから明らかなように、CT役(青セブン)の当選確率は、「1100/65536」であり、約1/60の当選確率に設定されている。一方、BB役(赤セブン)の当選確率は、「150/65536」であり、約1/437の当選確率に設定されており、RB役(バー)の当選確率は、「50/65536」であり、約1/1310の当選確率に設定されている。また、再遊技役の当選確率は、「52500/65536」であり、約8/10の当選確率に設定されている。従って、RT遊技中の内部抽選処理では、ほとんどが再遊技役に内部当選することとなるが、約1/60の確率でCT役(青セブン)に、約1/437の確率でBB役(赤セブン)に、約1/1310の確率でRB役(バー)にも内部当選することとなる。」

「【0115】
上述した実施例では、RT遊技が実行されるのはBB遊技後としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、特定の図柄の組合せが成立した場合に、RT遊技が実行されてもよい。こうすることで、一般遊技中のどのタイミングでRT遊技に突入するのか遊技者に分からなくなるので、常に期待感を抱きながら遊技を行うことができる。」

【図12】から、段落【0067】の記載も参酌すれば、RT+CT遊技用の抽選テーブルにおいて再遊技役に当選する確率は「52500/65536」であることが見て取れる。

【図13】から、段落【0069】の記載も参酌すれば、内部当選中の一般遊技用の抽選テーブルにおいて再遊技役に当選する確率は「12500/65536」であることが見て取れる。

したがって、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(甲1発明のa?oは、本件発明のA?Oに対応させて付した。)。
(甲1発明)
「a 外周面に複数種類の図柄が表示され、表示窓20から回転する様子を視認可能な3つの回胴20a,20b,20cを備え(【0018】、【0023】)、
b 遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが一斉に回転し、表示窓20では図柄が変動表示され、回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、3つの回胴20a,20b,20cが停止したときに得られる図柄の組合せに応じて入賞が成立する回胴式遊技機において(【0032】、【0034】、【0048】)、
c 回胴回転停止処理S108の前に、遊技役の成立を許容するか否かを、抽選によって決定する内部抽選処理S104と(【0044】、【0047】)、
d 内部抽選の結果に応じて、回胴停止ボタン38a,38b,38cが押されたタイミングと、内部抽選の結果とに基づいて、3つの回胴20a,20b,20cを適切な位置で停止させる回胴回転停止処理S108と(【0047】)、を行い、
e 遊技役を成立させる図柄の組合せは、遊技メダルが払い出される小役(スズ、スイカ、チェリー)を成立させる図柄の組合せと、遊技者が遊技メダルを投入することなく、再び遊技を開始することが可能な再遊技役を成立させる図柄の組合せと、いわゆる目押しを行い所定の遊技役(チェリー小役)を成立させることが可能なCT遊技が開始される図柄の組合せとを含み(【0035】、【0037】?【0039】)、
f 前記回胴遊技機は、特定の図柄の組合せが成立した場合に、RTカウンタが上限値(例えば200ゲーム)に達するか、あるいは、BB役またはRB役が成立するまで、内部抽選で再遊技役に当選する確率が高くなるRT(リプレイタイム)状態に制御し(【0003】、【0105】、【0106】、【0115】)、
g CT遊技中およびRT+CT遊技中において、再遊技役に当選した場合は、チェリー小役と再遊技役の2つのフラグがONとなり、当該状態において、チェリーの図柄を成立させる停止制御を最優先し、2番目の優先順位として再遊技役の当選を優先し(【0074】、【0091】、【0098】)、
h、i CT遊技用の抽選テーブルにおいて再遊技役に当選する確率は、内部当選中の一般遊技用の抽選テーブル及び一般遊技用の抽選テーブルと同じ確率の「12500/65536」であり(【0064】、【0069】、【図13】)、
j RT+CT遊技用の抽選テーブルにおいて再遊技役に当選する確率は、RT遊技用の抽選テーブルと同じ確率の「52500/65536」であり(【0065】?【0067】、【0106】、【図12】)
k CT遊技では、遊技メダルの払出枚数をCTカウンタに加算していき、CTカウンタが上限値(例えば、40枚)に達した場合にCT遊技を終了し(【0103】)、
l 特定の図柄の組合せが成立した場合に、RT遊技が実行される(【0115】)
回胴式遊技機。」

(2)甲第2号証
取消理由で通知した甲第2号証(特開2007-44235号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0001】
本発明は、メダル、コイン等を遊技媒体として使用するスロットマシン等の遊技機に関するものである。」

「【0085】
CTゲームでは、少なくとも予め定めた1つ以上のリール制御に関して、滑り制御(リール350A、350B、350Cの停止制御における補助)は一切禁止、あるいは通常遊技よりも停止制御における補助を厳しく制限される制御状態となり、遊技者が停止ボタン356A、356B、356Cを操作した時期に対して忠実に停止制御が実行されるリールが1つ以上発生するようになっている。また、始動レバー354の操作があっても抽選は実行されず、または、抽選がなされても遊技状態制御部160はその役・図柄の決定結果を無視することにより(言い換えれば、CTゲーム中は、全ての小役のフラグが成立)、純粋に遊技者の操作技術により小役図柄を揃えることが可能となる。上記実施の形態では、当選しなくとも成立可能な役は小役のみとするが、もちろん小役に限らず、大役を含む全ての役がその役に当選しなくとも成立可能としてもよい。」

「【0092】
例えば、小役Aの払出数が15枚(本実施の形態における小役の払出枚数の最大値)、小役Bの払出数が5枚であり、最大払出数が268枚、1回のゲームの投入枚数が3枚とした場合、268枚-15枚=253枚の規定枚数を超えた時点で、CTゲームが終了してしまうため、少ないゲーム数で最も253枚に近い状態で最後の入賞役として小役A(15枚)を獲得するようにすればよい。」

「【0093】
従って、この場合は、CTゲーム開始から小役A(15枚)を16回入賞させ(15枚×16=240枚)、小役B(5枚)を2回入賞させ(240枚+(5枚×2)=250、最後に小役A(15枚)を入賞させる。なお、上記各入賞は、連続でなくてもよい。」

「【0094】
これにより、合計265枚(250枚+15枚)となり、ゲーム回数分の投入枚数(3枚×19=57枚)を差し引くと、所謂純増数は、208枚となる。」

「【0095】
一方、仮に、小役Aを入賞し続けると、17回で253枚を超えてしまい(15枚×17=255枚)、純増数は、255枚-(3枚×17)=204枚となり、遊技者から見れば、4枚分の損となる。」

したがって、甲第2号証には次の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
(甲2記載事項)
「CTゲームでは、少なくとも予め定めた1つ以上のリール制御に関して、滑り制御は一切禁止、あるいは通常遊技よりも停止制御における補助を厳しく制限される制御状態となり、遊技者が停止ボタンを操作した時期に対して忠実に停止制御が実行されるリールが1つ以上発生するようになっており、また、始動レバーの操作があっても抽選は実行されず、または、抽選がなされても遊技状態制御部はその役・図柄の決定結果を無視することにより、純粋に遊技者の操作技術により小役図柄を揃えることが可能となるものであり(【0085】)、
小役Aの払出数が15枚、小役Bの払出数が5枚であり、最大払出数が268枚、1回のゲームの投入枚数が3枚とした場合、268枚-15枚=253枚の規定枚数を超えた時点で、CTゲームが終了してしまうため、少ないゲーム数で最も253枚に近い状態で最後の入賞役として小役A(15枚)を獲得するようにすればよく(【0092】)、
従って、この場合は、CTゲーム開始から小役A(15枚)を16回入賞させ(15枚×16=240枚)、小役B(5枚)を2回入賞させ(240枚十(5枚×2)=250)、最後に小役A(15枚)を入賞させると(【0093】)、
これにより、合計265枚(250枚+15枚)となり、ゲーム回数分の投入枚数(3枚×19=57枚)を差し引くと、所謂純増数は、208枚となり(【0094】)、
一方、仮に、小役Aを入賞し続けると、17回で253枚を超えてしまい(15枚×17=255枚)、純増数は、255枚-(3枚×17)=204枚となり、遊技者から見れば、4枚分の損となる(【0095】)
スロットマシン(【0001】)。」

5 当審の判断
(1)対比
本件発明と甲1発明を対比する。なお、見出しの(a)?(o)は、本件発明のA?O及び甲1発明のa?oに対応させている。

(a)甲1発明の「a 外周面に複数種類の図柄が表示され、表示窓20から回転する様子を視認可能な3つの回胴20a,20b,20c」は、本件発明の「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部」に相当する。

(b)甲1発明の「b 遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが一斉に回転し、表示窓20では図柄が変動表示され、回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、3つの回胴20a,20b,20cが停止したときに得られる図柄の組合せに応じて入賞が成立する回胴式遊技機」は、本件発明の「B 遊技用価値が用いられて賭数が設定されたときに前記可変表示部を変動表示可能とし、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン」に相当する。

(c)甲1発明の「c 回胴回転停止処理S108の前に、遊技役の成立を許容するか否かを、抽選によって決定する内部抽選処理S104」を行うことは、本件発明の「C 表示結果が導出される前に、複数種類の表示結果のうちから導出を許容する表示結果を決定する」ことに相当する。そして、甲1発明は、内部抽選処理を行うための手段を備えることは明らかであるから、本件発明の「事前決定手段」に相当するものを有するといえる。

(d)甲1発明の「d 内部抽選の結果に応じて、回胴停止ボタン38a,38b,38cが押されたタイミングと、内部抽選の結果とに基づいて、3つの回胴20a,20b,20cを適切な位置で停止させる回胴回転停止処理S108」を行うことは、本件発明の「D 前記事前決定手段の決定結果に応じて表示結果を導出する制御を行う」ことに相当する。そして、甲1発明は、回胴回転停止処理を行うための手段を備えることは明らかであるから、本件発明の「導出制御手段」に相当するものを有するといえる。

(e)甲1発明の「e 遊技役を成立させる図柄の組合せは、遊技メダルが払い出される小役(スズ、スイカ、チェリー)を成立させる図柄の組合せと、遊技者が遊技メダルを投入することなく、再び遊技を開始することが可能な再遊技役を成立させる図柄の組合せと、いわゆる目押しを行い所定の遊技役(チェリー小役)を成立させることが可能なCT遊技が開始される図柄の組合せとを含」むことは、本件発明の「E 前記複数種類の表示結果は、遊技用価値の付与を伴う付与表示結果と、遊技用価値を用いることなく前記可変表示部が変動表示可能となる再遊技表示結果と、前記事前決定手段の決定結果にかかわらず前記付与表示結果の導出が許容され得る特別遊技状態への制御を伴う特別表示結果とを含」むことに相当する。

(f)甲1発明の「f 前記回胴遊技機は、特定の図柄の組合せが成立した場合に、RTカウンタが上限値(例えば200ゲーム)に達するか、BB役またはRB役が成立するまで、内部抽選で再遊技役に当選する確率が高くなるRT(リプレイタイム)状態に制御」することは、本件発明の「F 前記スロットマシンは、特定開始条件が成立したときに、特定終了条件が成立するまで通常遊技状態よりも前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が高い特定遊技状態に制御する」ことに相当する。そして、甲1発明は、RT(リプレイタイム)状態に制御するための手段を備えることは明らかであるから、本件発明の「特定遊技状態制御手段」に相当するものを有するといえる。

(g)甲1発明の「g CT遊技中およびRT+CT遊技中において、再遊技役に当選した場合は、チェリー小役と再遊技役の2つのフラグがONとなり、当該状態において、チェリーの図柄を成立させる停止制御を最優先し、2番目の優先順位として再遊技役の当選を優先」することは、本件発明の「G 前記特別遊技状態において前記付与表示結果および前記再遊技表示結果の導出が許容されたときには、当該再遊技表示結果よりも優先して当該付与表示結果が導出され」ることに相当する。

(h)甲1発明の「h、i CT遊技用の抽選テーブルにおいて再遊技役に当選する確率は、内部当選中の一般遊技用の抽選テーブル及び一般遊技用の抽選テーブルと同じ確率の「12500/65536」であ」ることは、一般遊技において再遊技役に当選する確率が、CT役が内部当選すなわちCT役の表示結果の導出が許容されたこと、およびCT役が成立すなわちCT役の表示結果が導出されたことによっては変化しないことを意味することは明らかであるから、本件発明の「H 前記再遊技表示結果の導出が許容される割合は、前記特別表示結果の導出が許容されたこと、および前記特別表示結果が導出されたことによっては変化」しないことに相当する。

(i)甲1発明の「h、i CT遊技用の抽選テーブルにおいて再遊技役に当選する確率は」「一般遊技用の抽選テーブルと同じ確率の「12500/65536」であ」ることは、本件発明の「I 前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであ」ることに相当する。

(j)甲1発明の「j RT+CT遊技用の抽選テーブルにおいて再遊技役に当選する確率は、RT遊技用の抽選テーブルと同じ確率の「52500/65536」であ」ることは、本件発明の「J 前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであ」ることに相当する。

(k)甲1発明の「k CT遊技では、遊技メダルの払出枚数をCTカウンタに加算していき、CTカウンタが上限値(例えば、40枚)に達した場合にCT遊技を終了」することは、本件発明の「K 前記特別遊技状態は、当該特別遊技状態の開始から終了までに付与された遊技用価値の総数である特別付与総数が規定数を超えるまで制御さ」れることに相当する。

(o)甲1発明の「o 特定の図柄の組合せが成立した場合に、RT遊技が実行される」ことは、本件発明の「O 前記特定開始条件は、特定表示結果が導出されたことによって成立する条件である」に相当する。

そうすると、本件発明と甲1発明は次の点で一致する。
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 遊技用価値が用いられて賭数が設定されたときに前記可変表示部を変動表示可能とし、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果が導出される前に、複数種類の表示結果のうちから導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
D 前記事前決定手段の決定結果に応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段とを備え、
E 前記複数種類の表示結果は、遊技用価値の付与を伴う付与表示結果と、遊技用価値を用いることなく前記可変表示部が変動表示可能となる再遊技表示結果と、前記事前決定手段の決定結果にかかわらず前記付与表示結果の導出が許容され得る特別遊技状態への制御を伴う特別表示結果とを含み、
F 前記スロットマシンは、特定開始条件が成立したときに、特定終了条件が成立するまで通常遊技状態よりも前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が高い特定遊技状態に制御する特定遊技状態制御手段をさらに備え、
G 前記特別遊技状態において前記付与表示結果および前記再遊技表示結果の導出が許容されたときには、当該再遊技表示結果よりも優先して当該付与表示結果が導出され、
H 前記再遊技表示結果の導出が許容される割合は、前記特別表示結果の導出が許容されたこと、および前記特別表示結果が導出されたことによっては変化せず、
I 前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと 前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
J 前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
K 前記特別遊技状態は、当該特別遊技状態の開始から終了までに付与された遊技用価値の総数である特別付与総数が規定数を超えるまで制御され、
O 前記特定開始条件は、特定表示結果が導出されたことによって成立する条件であることを特徴とするスロットマシン。」

そして、本件発明と甲1発明は以下の点で相違する。
(相違点)
本件発明は
「L 前記付与表示結果には、所定数の遊技用価値の付与を伴う第1付与表示結果と、当該所定数よりも大きい数の遊技用価値の付与を伴う第2付与表示結果とが含まれ、
M 前記スロットマシンは、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されていないときには、前記第1付与表示結果を導出可能である一方で前記第2付与表示結果を導出不可能であり、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されているときには、前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果のいずれかを導出可能であり、
N 前記特別付与総数と、前記特別遊技状態において賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数との差である純増数は、前記特別遊技状態において前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果の各々が導出されたときにのみ最大とな」る
のに対し、甲1発明ではそのようなものではない点。

(2)判断
(上記相違点について)
甲2記載事項の「少なくとも予め定めた1つ以上のリール制御に関して、滑り制御は一切禁止、あるいは通常遊技よりも停止制御における補助を厳しく制限される制御状態となり、遊技者が停止ボタンを操作した時期に対して忠実に停止制御が実行されるリールが1つ以上発生するようになっており、また、始動レバーの操作があっても抽選は実行されず、または、抽選がなされても遊技状態制御部はその役・図柄の決定結果を無視することにより、純粋に遊技者の操作技術により小役図柄を揃えることが可能となる」「CTゲーム」は、本件発明の構成Eの「事前決定手段の決定結果にかかわらず、付与表示結果が許容され得る特別遊技状態」に相当する。
そして、甲2記載事項の「小役Bの払出数が5枚」、「小役Aの払出数が15枚」であることは、本件発明の「L 前記付与表示結果には、所定数の遊技用価値の付与を伴う第1付与表示結果と、当該所定数よりも大きい数の遊技用価値の付与を伴う第2付与表示結果とが含まれ」ることに相当する。
また、甲2記載事項の「小役Aの払出数が15枚、小役Bの払出数が5枚であり、最大払出数が268枚、1回のゲームの投入枚数が3枚とした場合、268枚-15枚=253枚の規定枚数を超えた時点で、CTゲームが終了してしまうため、少ないゲーム数で最も253枚に近い状態で最後の入賞役として小役A(15枚)を獲得するようにすればよく、従って、この場合、CTゲーム開始から小役A(15枚)を16回入賞させ(15枚×16=240枚)、小役B(5枚)を2回入賞させ(240枚十(5枚×2)=250)、最後に小役A(15枚)を入賞させると、これにより、合計265枚(250枚+15枚)となり、ゲーム回数分の投入枚数(3枚×19=57枚)を差し引くと、所謂純増数は、208枚とな」ることは、本件発明の「N 前記特別付与総数と、前記特別遊技状態において賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数との差である純増数は、前記特別遊技状態において前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果の各々が導出されたときにのみ最大とな」ることに相当する。

しかしながら、本件発明の「M 前記スロットマシンは、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されていないときには、前記第1付与表示結果を導出可能である一方で前記第2付与表示結果を導出不可能であり、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されているときには、前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果のいずれかを導出可能であ」ることは、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも記載されていない。

そして、本件発明は、上記構成Mを有することにより、特別遊技状態において純増数が最大となるためには特別遊技状態において再遊技表示結果の導出が許容されなければならず、このように遊技者が予想できない再遊技表示結果の導出が許容されることに遊技者の利益が左右されながら遊技が進行する構成であることから、再遊技表示結果の導出が許容される割合が高くなる特定遊技状態において特別遊技状態に制御されることを遊技者に期待させながら遊技を行わせることができるという、特有の効果を奏するものである。

したがって、本件発明は、甲1発明に甲2記載事項を組み合わせたとしても、上記相違点に係る本件発明の構成に想到することはできない。

なお、異議申立人は、平成29年11月20日付けで意見書を提出し、本件発明は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証(特開2004-121421号公報)に基づいて、当業者により容易に発明することができたものであると主張するが、この意見書は、訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)の発送の平成29年10月18日から指定期間である30日(同年11月17日)の期限を徒過したものであり、この意見書を参酌することはできないのが原則であるが、念のため、仮に、上記意見書が指定期間内に提出されたものとして、以下、検討する。

本件発明の上記構成Mに関係し、甲第4号証(特開2004-121421号公報)には、次のような記載がある。なお、記載中の下線は当審による。

「【0002】
【従来の技術】
この種のスロットマシンとしては、入賞の発生により払い出されたメダル枚数等、入賞の発生により付与された価値数を示す信号を外部出力するスロットマシンが実用化されている(例えば、特許文献1参照)。また、一方で、ビッグボーナス等の遊技者にとって有利な特別遊技状態において、入賞の発生により付与された価値数の合計値を計数し、その合計値が所定値に到達することを特別遊技状態の終了条件とするスロットマシンが考案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000-167209号公報(第12頁、第6図)
【特許文献2】
特開2002-85646号公報(第1頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、付与された価値数を示す信号を外部出力するスロットマシンから出力された信号は、例えば、スロットマシンの適正を判断するための試験等に利用される。具体的には、外部出力された信号から出玉率、いわゆる機械割を算出し、適正な範囲に収束するか否かを判定する試験等に利用されるものである。
【0005】
しかしながら、内部的に入賞の発生が許容された旨を示す当選フラグが成立している場合、すなわち価値数の取得が可能な場合であっても、許容された入賞が発生しなければ、取得が可能な価値数は外部出力される信号には反映されないため、これらの情報に基づいて算出される機械割と、実際に市場に出たスロットマシンの機械割と、が乖離する場合がある。この問題を解決する方法として、内部的に許容された入賞の発生により付与される価値数を示す信号を外部出力し、この情報を試験に用いる方法が考えられる。
【0006】
しかしながら、近年のスロットマシンでは、同一の当選フラグが成立することにより、付与される価値数が異なる複数種の入賞の発生が許容されるものや、当選フラグの成立により許容された入賞は1つであるが、この当選フラグが成立した場合に、許容された入賞を含む複数の入賞が同時に発生可能となるように制御されるものがある。
【0007】
このため、内部的に許容された入賞の発生により付与される価値数を、入賞の発生により実際に付与される価値数が越える状況が生じてしまい、このような場合には、取得が可能な価値数を正確に計数することができないため、外部出力される信号にも反映することができないという問題がある。
【0008】
一方、入賞の発生により付与された価値数の合計値が所定値に到達することを特別遊技状態の終了条件とするスロットマシンでは、特別遊技状態において付与される価値数を制限することで、射倖性が過度に高くなることを防止できるが、遊技者の技量に関わらず特別遊技状態にて付与される価値数が常に一定となってしまい、ゲーム性が均一化されて興趣に欠けてしまうという問題がある。この問題を解決する方法として、内部的に許容された入賞の発生により付与される価値数を取得が可能な価値数として計数し、その合計値が所定値に到達することを特別遊技状態の終了条件とする方法が考えられる。この方法によれ
ば、内部的に許容された入賞を全て発生させた場合と、一部を発生させることができなかった場合とで、特別遊技状態にて実際に付与される価値数に差が生じることとなる。すなわち遊技者の技量によって特別遊技状態にて実際に付与される価値数が異なるようになるため、興趣を向上させることが可能となる。
【0009】
しかしながら、近年のスロットマシンには、前述のように同一の当選フラグが成立することにより、付与される価値数が異なる複数種の入賞の発生が許容されるものや、当選フラグの成立により許容された入賞は1つであるが、この当選フラグが成立した場合に、許容された入賞を含む複数の入賞が同時に発生可能となるように制御されるものがあるため、内部的に許容された入賞の発生により付与される価値数を、入賞の発生により実際に付与される価値数が越えてしまう状況が生じてしまい、このような場合には、取得が可能な価値数を正確に計数することができないため、特別遊技状態の終了条件となる価値数以上の価値数が実際に付与される状況が生じてしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、各ゲームにおいて取得が可能な価値数を正確に計数することができるスロットマシンを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のスロットマシンは、1ゲームに対して賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、表示状態を変化させることが可能な可変表示装置の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて複数種の入賞が発生可能なスロットマシンであって、
前記可変表示装置の表示結果が導出表示される以前に入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
前記入賞が発生したときに、該入賞に応じた価値数を付与する価値付与手段と、前記事前決定手段により許容された入賞に応じた価値数と、1ゲームの結果として前記価値付与手段により付与された価値数と、を比較する価値比較手段と、
前記価値比較手段の比較結果が同一のときは、いずれか一方の価値数を当該ゲームにおける取得価値数として計数し、前記比較結果が異なるときは、大きい方の価値数を前記取得価値数として計数する取得価値数計数手段と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、事前決定手段により許容された入賞に応じた価値数と、実際に付与された価値数とを比較し、その比較結果が同一のときはいずれか一方の価値数が当該ゲームの取得価値数として計数され、比較結果が異なるときは大きい方の価値数が当該ゲームの取得価値数として計数されるため、例えば、事前決定手段により許容された入賞に応じた価値数よりも、実際に付与された価値数が大きい場合には、実際に付与された価値数が当該ゲームの取得価値数として計数されることとなり、各ゲームにおいて取得が可能な価値数を正確に計数することができる。
【0012】
本発明のスロットマシンは、通常遊技状態において所定の発生条件が成立した場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段と、
前記特別遊技状態におけるゲームの前記取得価値数の増加量を集計する増加量集計手段と、
少なくとも前記増加量集計手段により集計された前記取得価値数の集計値が所定の上限値に到達したときに該特別遊技状態を終了させる特別遊技状態終了手段と、
を備えることが好ましい。
このようにすれば、特別遊技状態における取得価値数の集計値に応じて特別遊技状態が終了することとなるため、過度に大量の価値数が獲得できてしまうことを防止でき、必要以上に遊技者の射幸心を煽ってしまうことを防止できる。」

「【0105】
また、通常遊技状態において、有効化された入賞ライン上に、「黒7-黒7-黒7」または「白7-白7-白7」が揃えば、BB入賞したことになり、「黒7-黒7-黒7」または「白7-白7-白7」の図柄が揃ったことの対価として15枚のメダルが払出されるとともに、遊技者にとって有利な特別遊技状態としてのビッグボーナス(BB)が発生し、以下に説明する小役ゲームとRBが遊技者に対して付与される。
【0106】
具体的に説明すると、このBBが発生した場合には、まず、遊技状態が通常遊技状態から小役ゲームに移行する。小役ゲームでは、図7(b)に示すように、対象となる小役図柄(本実施例では「チェリー」(チェリー入賞)、「ベル-ベル-ベル」(ベル入賞)、「白7-ベル-ベル」(白7-ベル入賞)、「黒7-ベル-ベル」(黒7-ベル入賞)、「BAR-ベル-ベル」(BAR-ベル入賞))や移行図柄(本実施例では「プラム-プラム-プラム」(JacIn入賞))の組合せが揃って所定枚数のメダルの払出しを伴う入賞が高確率で発生するBBゲームが最大で30回提供される。」

「【0109】
そしてBBは、小役ゲーム中に30回のBBゲームを実行した場合か、或いは30回のBBゲームを実行する前にRBへ3回移行し、3回目のRBが終了した場合、或いは、小役ゲーム中にBB中の取得可能枚数、すなわち実際にメダルの払出がなされたか否かに関わらず各ゲームにおいて取得が可能であると判定されたメダル枚数に基づく純増枚数(取得可能枚数-賭数として使用されたメダル枚数、尚、本実施例では、BB入賞時の取得可能枚数を含む)が予め定められた上限枚数(本実施例では400枚)に到達した場合、或いは小役ゲーム中に30回のBBゲームを実行する前に移行したRBにおいてBB中の取得可能枚数に基づく純増枚数が上限枚数に到達し、そのRBが終了した場合のうち、少なくともいずれか1つの条件が満たされた時点で終了する。尚、本実施例では、小役ゲーム中にJacIn入賞してBB中の取得可能枚数に基づく純増枚数が上限枚数に到達した場合には、その後移行するRBが終了することでBBは終了する。」

「【0122】
BBゲームにおいては、図7(b)に示すように、内部当選フラグとしてベルフラグが設定された場合に、ベル入賞、白7-ベル入賞、黒7-ベル入賞、BARベル入賞の発生が許容され、JacInフラグが設定された場合に、JacIn入賞の発生が許容される。
【0123】
本実施例では、BBゲームにおいてベルフラグが設定された場合に、前述したリール制御テーブルの選択処理により、ベル入賞に該当する図柄の組合せを有効化された入賞ラインに導出表示可能に制御するBB・ベル用のリール制御テーブルと、白7-ベル入賞、黒7-ベル入賞、BARベル入賞に該当する図柄の組合せを有効化された入賞ラインに導出表示可能に制御するBB・変則ベル用のリール制御テーブルと、の双方が選択されるとともに、最初に左リールの停止操作がなされた場合に、BB・ベル用のリール制御テーブルが適用され、最初に中リールまたは右リールのいずれかの停止操作がなされた場合に、BB・変則ベル用テーブルが適用される。
【0124】
BB・ベル用のリール制御テーブルは、有効化された入賞ラインにベル入賞に該当する図柄の組合せのみを導出表示させる制御内容が定められている。また、左リール、すなわち最初に停止されるリールが特定のタイミングで停止された場合には、有効化された入賞ラインにチェリー入賞に該当する図柄の組合せとベル入賞に該当する図柄の組合せとを同時に導出表示させる制御内容が定められている。具体的には、左リールの下段に19番?21番、1番、2番の図柄が表示されているタイミング、すなわち2番の「チェリー」図柄の下段への引込範囲で左リールの停止操作がなされた場合には、図9(a)に示すように、左リールの下段に2番の「チェリー」図柄を導出表示させる、すなわち2本の入賞ラインL2’、L3に「チェリー」図柄を導出表示させるとともに、中リール及び右リールの停止操作がなされることで1本の入賞ラインL1に各々「ベル」図柄を導出表示させ、その他のタイミングで左リールの停止操作がなされ、かつ中リール及び右リールの停止操作がなされた場合には、図9(b)に示すように、有効化されたいずれか1本の入賞ライン(図中ではL3)に各々「ベル」図柄を導出表示させるように定められている。
【0125】
このため、BBゲームにおいてベルフラグが設定され、かつ最初に左リールの停止操作がなされた場合には、左リールの停止タイミングによって、2本の入賞ラインL2’、L3にチェリー入賞に該当する図柄の組合せが揃い、1本の入賞ラインL1にベル入賞に該当する図柄の組合せが揃う場合と、いずれか1本の入賞ラインにベル入賞に該当する図柄の組合せが揃う場合と、があり、前者の場合には、4枚の払出を伴うチェリー入賞及び8枚の払出を伴うベル入賞が発生する、すなわち本来ベルフラグによって入賞の発生が許容されたベル入賞にチェリー入賞が付加されることで12枚の払出を伴うチェリーとベルの複合入賞が発生する。後者の場合には、8枚の払出を伴うベル入賞のみが発生する。このようにBBゲームにおいてベルフラグが設定され、かつ最初に左リールの停止操作がなされた場合には、左リールの停止タイミングによって、異なる枚数のメダルが払い出されることとなる。
【0126】
このように本実施例では、BBゲームにおいて内部抽選処理によりベル入賞の発生が許容されたとき、すなわちベル入賞の発生が許容された旨を示す内部当選フラグが設定されたときに、1度のゲームでチェリー入賞に該当する図柄の組合せとベル入賞に該当する図柄の組合せとを各々入賞ラインに揃えることが可能となる、すなわちチェリーとベルの複合入賞が発生可能となるように制御されるため、ベル入賞の発生が許容された場合には、これら複合入賞に対する遊技者の期待感、すなわちより多くのメダルを獲得できることに対する期待感を高めることができる。また、遊技者の技量によってメダルの獲得枚数が異なることとなり、ゲーム性を高めることができる。」

「【0133】
BBゲームにおいてベル入賞及びチェリー入賞は、内部抽選処理によりベルフラグが設定され、かつ最初に左リールの停止操作が行われた場合に発生する入賞である。ベル入賞のみが発生した場合のメダルの払出枚数は8枚であり、賭数として3枚のメダルが使用された場合、取得可能枚数の純増枚数は+5枚となる。また、チェリーとベルの複合入賞が発生した場合のメダルの払出枚数は12枚であり、賭数として3枚のメダルが使用された場合、取得可能枚数の純増枚数は9枚となる。
【0134】
また、白7-ベル入賞、黒7-ベル入賞、BAR-ベル入賞は、内部抽選処理によりベルフラグが設定され、かつ最初に中リールまたは右リールの停止操作が行われた場合に出現する入賞である。白7-ベル入賞、黒7-ベル入賞、BAR-ベル入賞が発生した場合のメダルの払出枚数は3枚であり、賭数として3枚のメダルが使用された場合、取得可能枚数の純増枚数は±0枚となる。」

「【0139】
これらの機能により、遊技者がBBゲームでの最初に停止するリールを適当に選択し、BB中の取得可能枚数の純増枚数を予め定められた上限枚数(400枚)近辺まで増加させ、かつBB中の取得可能枚数の純増枚数が上限枚数に到達しないように上限枚数近辺を維持し、この状態でJacIn入賞させることにより、取得可能枚数の純増枚数の調整を行わない場合に比較して、より多くのメダルを獲得できるようになる。すなわち遊技者が技術介入を行うことにより、技術介入を行わない場合よりも多くのメダルを獲得することが可能となる。」

「【0142】
次いで、ゲーム処理(Sa2)、Sa2のステップにおいてRB入賞したか否かの判定を行う処理(Sa3)、Sa2のステップにおいてBB入賞したか否かの判定を行う処理(Sa4)を繰り返し実行するループ処理に移行する。また、Sa3のステップにおいてRB入賞したと判定した場合にはRB中処理、すなわちRBの発生に伴う処理(Sa5)を実行した後、再びSa2?Sa4のループ処理に戻り、Sa4のステップにおいてBB入賞したと判定した場合にはBB中処理、すなわちBBの発生に伴う処理(Sa6)を実行した後、再びSa2?Sa4のループ処理に戻る。」

「【0151】
Sb7のステップにおける取得可能枚数計数処理では、実際にメダルの払出がなされたか否かに関わらず各ゲームにおいて取得が可能であると判定されたメダル枚数を示す取得可能枚数を計数する処理を実行する。具体的には、前述した内部当選枚数と実際の払出枚数とを比較し、その比較結果が同一であれば実際の払出枚数を取得可能枚数と判定し、比較結果が異なる場合には、多い方の枚数を取得可能枚数として判定する処理を行い、判定した取得可能枚数を設定(計数)する。また、このステップでは、取得可能枚数を特定可能な取得可能枚数信号を外部出力するための処理を行う。
【0152】
Sb8のステップにおけるフラグ更新処理では、Sb2のステップにおいて設定された内部当選フラグのクリアまたは持越を行うための処理を行う。具体的には、通常遊技状態において設定された内部当選フラグのうち、小役入賞、すなわちチェリー入賞またはスイカ入賞のいずれか一方の入賞、ベル入賞、リプレイ入賞が許容された旨を示す内部当選フラグや、BBゲーム及びRBゲームにおいて設定された内部当選フラグをクリアする処理を行う。また、通常遊技状態において設定された内部当選フラグのうちBB入賞またはRB入賞が許容された旨を示す内部当選フラグは、その内部当選フラグにより許容されたBB入賞またはRB入賞が発生しなかった場合においてクリアせずに次のゲームに持ち越し、BB入賞またはRB入賞が発生した場合に内部当選フラグをクリアする処理を行う。」

「【0158】
次いで、内部当選枚数と払出枚数とを比較し(Sc5)、払出枚数が内部当選枚数と同じかあるいは多い場合には、そのゲームの払出枚数、すなわち実際の払出枚数を取得可能枚数として判定し(Sc6)、実際の払出枚数を取得可能枚数として設定(計数)する(Sc8)。
【0159】
また、内部当選枚数と払出枚数とを比較し(Sc5)、払出枚数が内部当選枚数より少ない場合には、そのゲームの内部当選枚数を取得可能枚数として判定し(Sb7)、その内部当選枚数を取得可能枚数として設定(計数)する(Sc8)。
・・・
【0161】
このように取得可能枚数計数処理では、内部当選フラグが許容する入賞が発生した場合に払い出される予定のメダル枚数を示す内部当選枚数と、実際に払い出されたメダル枚数を示す実際の払出枚数と、を比較して、比較結果が同一のときは実際の払出枚数が、比較結果が異なるときは大きい方のメダル枚数が取得可能枚数として計数されるようになっている。」

「【0200】
以上説明したように、本実施例のスロットマシン1では、各ゲームの内部抽選処理にて許容された入賞、すなわち内部抽選処理において設定された内部当選フラグに基づく内部当選枚数、すなわちその内部当選フラグにより許容された入賞が発生した場合に払い出される予定のメダル枚数と、実際の払出枚数、すなわち実際に入賞が発生して払い出されたメダル枚数と、を比較し、その比較結果が同一のときは、実際の払出枚数を当該ゲームの取得可能枚数として計数し、比較結果が異なるときは、内部当選枚数、または実際の払出枚数、のうち多い方のメダル枚数、すなわち価値数として大きい方のメダル枚数を当該ゲームの取得可能枚数として計数するため、例えば、前述のように、通常遊技状態において内部当選枚数が2枚とされたチェリーフラグが設定され、4枚の払出を伴うチェリーの複合入賞や12枚の払出を伴うスイカ入賞が発生した場合、BBゲームにおいて内部当選枚数が3枚とされたベルフラグが設定され、8枚の払出を伴うベル入賞が発生した場合や12枚の払出を伴うベルとチェリーの複合入賞が発生した場合等、内部抽選処理により設定された内部当選フラグに基づく内部当選枚数よりも、実際の払出枚数が多い場合には、実際の払出枚数が当該ゲームの取得可能枚数として計数されることとなり、各ゲームにおいて取得が可能なメダル枚数を正確に計数することができる。
【0201】
また、本実施例では、取得可能枚数を特定可能な取得可能枚数信号を出力するための処理が実施され、外部に出力されるため、この取得可能枚数信号により各ゲームにおいて取得が可能なメダル枚数を正確に把握できるようになり、例えば、前述した第3者の試験機関による検査を、市場に出回るスロットマシンに非常に近いデータにて行うことができ、スロットマシンの適正をより正確に判断することができる。
【0202】
また、本実施例では、BBゲーム、すなわち小役ゲーム中にBB中の取得可能枚数の純増枚数が上限枚数に到達することを、BBの終了条件としており、これにより過度に大量のメダルが獲得できてしまうことを防止でき、必要以上に遊技者の射幸心を煽ってしまうことを防止できる。
【0203】
更に、BB中に移行したRBでは、BB中の取得可能枚数の純増枚数が上限枚数に到達してもRBが終了するまでは、BB状態が継続されるとともに、BBゲームにおいてBB中の取得可能枚数の純増枚数を遊技者の操作により調整できるため、遊技者がBBゲームでは、BBゲームが上限枚数に到達しないように調整しつつ、上限枚数付近でRBに移行させるように操作することで、上限枚数以上のメダルが獲得可能となる。すなわち遊技者の技術介入によりBB中の獲得枚数が変動するようになるため、ゲーム性を向上させることができる。
【0204】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【0205】
例えば、前記実施例では、特別遊技状態としてBBを適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、特別遊技状態とは、遊技者にとって有利な遊技状態であり、かつ特別遊技状態中のゲームにおける取得可能枚数の増加量(純増枚数、払出枚数を問わず)が所定の上限値に到達することで終了する遊技状態であれば良く、例えば、入賞条件に一致する操作が行われることで入賞可能となるAT対象小役が内部当選した場合に、その入賞条件が報知されるAT(アシストタイム)や、リプレイが高確率で入賞可能とされたRT(リプレイタイム)、リール制御が一定の範囲で無制御とされることで狙った特定の小役を入賞させることが可能なCT(チャレンジタイム)、シングルボーナスや小役の入賞確率が高確率となる集中ゲーム、更にはこれらの遊技状態を組み合わせた状態、例えばATとRTを組み合わせたART(アシストリプレイタイム)等の遊技状態が、これら遊技状態中のゲームにおける取得可能枚数の増加量が上限値に到達することで終了するものであれば、これらの遊技状態を本発明における特別遊技状態として適用しても良い。」

【図7】には、(a)に、本実施例のスロットマシンの通常遊技状態において入賞の対象となる図柄の組み合わせ等を示す図が記載され、(b)に、BBゲームにおいて入賞の対象となる図柄の組み合わせ等を示す図が記載されている。

したがって、甲第4号証には次の事項(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「イ. BBゲームにおいては、内部当選フラグとしてベルフラグが設定された場合に、ベル入賞、白7-ベル入賞、黒7-ベル入賞、BAR-ベル入賞の発生が許容されること(【0122】、【図7】)、
ロ. BBゲームにおいてベルフラグが設定された場合に、最初に左リールの停止操作がなされた場合は、リール制御テーブルとして、ベル入賞に該当する図柄の組合せを有効化された入賞ラインに導出表示可能に制御するBB・ベル用のリール制御テーブルが適用され、最初に中リールまたは右リールのいずれかの停止操作がなされた場合は、リール制御テーブルとして、白7ーベル入賞、黒7-ベル入賞、BARベル入賞に該当する図柄の組合せを有効化された入賞ラインに導出表示可能に制御するBB・変則ベル用のリール制御テーブルが適用されること(【0123】、【図7】)、
ハ. BBゲームにおいてベルフラグが設定され、かつ最初に左リールの停止操作がなされた場合には、左リールの停止タイミングによって、2本の入賞ラインL2’、L3にチェリー入賞に該当する図柄の組合せが揃い、1本の入賞ラインL1にベル入賞に該当する図柄の組合せが揃う場合と、いずれか1本の入賞ラインにベル入賞に該当する図柄の組合せが揃う場合と、があり、前者の「チェリーとベルの複合入賞」の場合には、4枚の払出を伴うチェリー入賞及び8枚の払出を伴うベル入賞が発生し、後者の「ベル入賞のみ」の場合には、8枚の払出を伴うベル入賞だけが発生すること(【0124】、【0125】、【図7】)、
ニ. 遊技者がBBゲームでの最初に停止するリールを適当に選択し、BB中の取得可能枚数の純増枚数を予め定められた上限枚数(400枚)近辺まで増加させ、かつBB中の取得可能枚数の純増枚数が上限枚数に到達しないように上限枚数近辺を維持することにより、遊技者の技量によってメダルの獲得枚数が異なることとなり、ゲーム性を高めること(【0126】、【0139】)。

異議申立人は、本件発明の構成Mと甲4記載事項イを対比して、「BBゲーム中に内部当選フラグとしてベルフラグが設定された場合に許容される入賞役」について、遊技状態が甲4記載事項はBBゲームであり、訂正発明は「チャレンジボーナス遊技状態(CB遊技状態)」である点、及び内部当選が甲4記載事項は「ベルフラグ」であり、本件発明では「再遊技役(リプレイ)」である点で相違しているが、甲第4号証の段落【0205】には、特別遊技状態とは、BBに限られるものではなく、遊技者にとって有利な遊技状態であり、かつ特別遊技状態中のゲームにおける取得可能枚数の増加量(純増枚数、払出枚数を問わず)が所定の上限値に到達することで終了する遊技状態であれば良く、リール制御が一定の範囲で無制御とされることで狙った特定の小役を入賞させることが可能なCT(チャレンジタイム)も例として挙げられていることから、甲第4号証には本件発明の「特別遊技状態」に相当する遊技状態が記載されており、甲4記載事項の内部当選フラグとして設定されるベルフラグは、1ゲーム限りの当選フラグで次ゲームに持ち越さないフラグであり、かつ白7-ベル入賞、黒7-ベル入賞、BAR-ベル入賞が入賞した場合のメダルの払出枚数は3枚であり、取得可能枚数の純増枚数は±0枚となる役であるから、本件発明の段落【0119】の「リプレイ入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭け数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭け数3に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。」との記載に鑑みれば、甲4記載事項の白7-ベル入賞、黒7-ベル入賞、BAR-ベル入賞は本件発明の「再遊技役(リプレイ)」に相当するものであり、したがって、当業者であれば甲4記載事項の「BBゲーム」をCT(チャレンジクイム)に適用し、持ち越しのない遊技用価値の付与があるフラグが設定された場合に特定の役の入賞発生が許容されることから、甲第4号証と訂正発明は一致している旨主張する。
また、異議申立人は、BBゲーム中にいつでも成立しているものではなく、特定の役の内部当選プラグが設定されているときのみ導出可能な役である点において、甲4記載事項ハのベルとチェリーの複合入賞は本件発明の「第2付与表示結果」に相当し、甲4記載事項ニの「遊技者がBBゲームでの最初に停止するリールを適当に選択し、BB中の取得可能枚数の純増枚数を予め定められた上限枚数(400枚)近辺まで増加させ、かつBB中の取得可能枚数の純増枚数が上限枚数に到達しないように上限枚数近辺を維持することにより、遊技者の技量によってメダルの獲得枚数が異なることとなり、ゲーム性を高める」ことは、甲第4号証の段落【0205】のCT(チャレンジタイム)に適用しても同様であり、技術的事項イの主張の通り、甲第4号証のCT(チャレンジタイム)は本件発明の「特別遊技状態」に相当することから、甲4記載事項と本件発明は同様の技術的事項を備えており、したがって、当業者であれば、甲4記載事項の特別遊技状態の特定事項としての「ビッグボーナス遊技状態」の技術を同じ特別遊技状態である「チャレンジボーナス遊技状態」に適用しようとすれば、その「再遊技役(リプレイ)」も甲4記載事項の「ベル入賞」のような遊技用価値の払出になることは、容易に想到することができ、よって、本件発明の構成Mについては、当業者が甲4記載事項に基づき、容易に想到することができる旨、主張する。

この主張について検討するに、甲第4号証は、入賞の発生により払い出されたメダル枚数等、入賞の発生により付与された価値数を示す信号を外部出力するスロットマシンや、ビッグボーナス等の遊技者によって有利な特別遊技状態において、入賞の発生により付与された勝ち数の合計値を計数し、その合計値が所定値に到達することを特別遊技状態の終了条件とするスロットマシンにおいて(【0002】)、内部的に許容された入賞の発生により付与される価値数を、入賞の発生により実際に付与される価値数が超える状況が生じてしまい、取得が可能な価値数を正確に計数することができないという課題を解決するために(【0007】、【0009】)、各ゲームにおいて取得が可能な価値数を正確に計数することができるスロットマシンを提供することを目的として(【0010】)、事前決定手段により許容された入賞に応じた価値数と、1ゲームの結果として価値付与手段により付与された価値数との比較結果が同一のときは、いずれか一方の価値数を当該ゲームにおける取得価値数として計数し、前記比較結果が異なるときは、大きい方の価値数を取得価値数として計数することを特徴とし(【0011】)、さらに、通常遊技状態において所定の発生条件が成立した場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段と、前記特別遊技状態におけるゲームの前記取得価値数の増加量を集計する増加量集計手段と、少なくとも前記増加量集計手段により集計された前記取得価値数の集計値が所定の上限値に到達したときに該特別遊技状態を終了させる特別遊技状態終了手段と、を備えるようにすれば、特別遊技状態における取得価値数の集計値に応じて特別遊技状態が終了することとなるため、過度に大量の価値数が獲得できてしまうことを防止でき、必要以上に遊技者の射幸心を煽ってしまうことを防止できる(【0012】)という発明を開示するものである(【0011】)。
そして、異議申立人が引用する段落【0205】の「特別遊技状態としてBBを適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、特別遊技状態とは、遊技者にとって有利な遊技状態であり、かつ特別遊技状態中のゲームにおける取得可能枚数の増加量(純増枚数、払出枚数を問わず)が所定の上限値に到達することで終了する遊技状態であれば良く、例えば、」「リール制御が一定の範囲で無制御とされることで狙った特定の小役を入賞させることが可能なCT(チャレンジタイム)」「等の遊技状態が、これら遊技状態中のゲームにおける取得可能枚数の増加量が上限値に到達することで終了するものであれば、これらの遊技状態を本発明における特別遊技状態として適用しても良い。」との記載は、段落【0200】の「以上説明したように、本実施例のスロットマシン1では、各ゲームの内部抽選処理にて許容された入賞、すなわち内部抽選処理において設定された内部当選フラグに基づく内部当選枚数、すなわちその内部当選フラグにより許容された入賞が発生した場合に払い出される予定のメダル枚数と、実際の払出枚数、すなわち実際に入賞が発生して払い出されたメダル枚数と、を比較し、その比較結果が同一のときは、実際の払出枚数を当該ゲームの取得可能枚数として計数し、比較結果が異なるときは、内部当選枚数、または実際の払出枚数、のうち多い方のメダル枚数、すなわち価値数として大きい方のメダル枚数を当該ゲームの取得可能枚数として計数するため、例えば、前述のように、通常遊技状態において内部当選枚数が2枚とされたチェリーフラグが設定され、4枚の払出を伴うチェリーの複合入賞や12枚の払出を伴うスイカ入賞が発生した場合、BBゲームにおいて内部当選枚数が3枚とされたベルフラグが設定され、8枚の払出を伴うベル入賞が発生した場合や12枚の払出を伴うベルとチェリーの複合入賞が発生した場合等、内部抽選処理により設定された内部当選フラグに基づく内部当選枚数よりも、実際の払出枚数が多い場合には、実際の払出枚数が当該ゲームの取得可能枚数として計数されることとなり、各ゲームにおいて取得が可能なメダル枚数を正確に計数することができる。」との記載を前提にして記載されたものであることは明らかであるから、これらの記載から特別遊技状態に関して導かれるのは、BBゲームにおいて内部当選枚数が3枚とされたベルフラグが設定され、8枚の払出を伴うベル入賞が発生した場合や12枚の払出を伴うベルとチェリーの複合入賞が発生した場合、内部抽選処理により設定された内部当選フラグに基づく内部当選枚数よりも、実際の払出枚数が多い場合には、実際の払出枚数が当該ゲームの取得可能枚数として計数されることとなり、各ゲームにおいて取得が可能なメダル枚数を正確に計数することができるのに対し、特別遊技状態として、BBに代えて、リール制御が一定の範囲で無制御とされることで狙った特定の小役を入賞させることが可能なCT(チャレンジタイム)を適用しても、同様に、内部抽選処理により設定された内部当選フラグに基づく内部当選枚数よりも、実際の払出枚数が多い場合には、実際の払出枚数が当該ゲームの取得可能枚数として計数されることとなり、各ゲームにおいて取得が可能なメダル枚数を正確に計数することができるところまでは理解できる。
しかしながら、【図7】(b)に示された、所定枚数のメダルの払出しを伴う入賞の「ベルフラグ」に内部当選フラグを設定することは、CT状態がリール制御が一定の範囲で無制御とされることで狙った特定の小役を入賞させることと矛盾し、また、RBに移行する「JacInフラグ」に内部当選フラグを設定することは、BB状態からしかRB状態に移行できない機種のスロットマシンであるという技術常識に反するものであり、これらBBゲーム対象入賞役の具体例までもCTに適用可能とする異議申立人の主張は採用することができない。

したがって、甲1発明に甲2記載事項及び甲第4号証を適用しても、上記相違点に係る本件発明の構成に想到することはできない。

(3)まとめ
よって、本件発明は、甲1発明、甲2記載事項(及び甲第4号証)に基づいて当業者が容易になし得たものではない。
そして、特許異議申立人の主張する理由、特許異議申立人が提出した証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことができない。

6 特許異議申立理由について
当審による平成29年7月27日付けの取消理由通知は、前記第3の2及び3で記載したように、特許異議申立の理由と同じ理由を包含するものであることから、特許異議申立理由は前記5において検討済みである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スロットマシン
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、遊技用価値が用いられて賭数が設定されたときに可変表示部を変動表示可能とし、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールは、遊技者がスタートレバーを操作することにより回転を開始し、また、遊技者が各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに導出された表示態様に従って入賞が発生する。
【0003】
入賞の表示態様のうちでビッグボーナスやチャレンジボーナスといったボーナス役の図柄が導出されたときには、通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利なボーナスの遊技状態に制御されるものとなる。このボーナスのような通常の遊技状態とは異なる遊技状態に制御するものとすることで、遊技にメリハリを生じさせ、遊技の興趣を向上させている。ここで、ボーナス役を含めた各役の入賞が発生するためには、一般的には、事前(通常はスタートレバー操作時)に行われる内部抽選に当選して当選フラグが設定されていなければならない。
【0005】
【特許文献1】特許3581379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述したスロットマシンの実情に鑑み考え出されたスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明にかかるスロットマシンは、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
遊技用価値が用いられて賭数が設定されたときに前記可変表示部を変動表示可能とし、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果が導出される前に、複数種類の表示結果のうちから導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果に応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段とを備え、
前記複数種類の表示結果は、遊技用価値の付与を伴う付与表示結果と、遊技用価値を用いることなく前記可変表示部が変動表示可能となる再遊技表示結果と、前記事前決定手段の決定結果にかかわらず前記付与表示結果の導出が許容され得る特別遊技状態への制御を伴う特別表示結果とを含み、
前記スロットマシンは、特定開始条件が成立したときに、特定終了条件が成立するまで通常遊技状態よりも前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が高い特定遊技状態に制御する特定遊技状態制御手段をさらに備え、
前記特別遊技状態において前記付与表示結果および前記再遊技表示結果の導出が許容されたときには、当該再遊技表示結果よりも優先して当該付与表示結果が導出され、
前記再遊技表示結果の導出が許容される割合は、前記特別表示結果の導出が許容されたこと、および前記特別表示結果が導出されたことによっては変化せず、
前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
前記特別遊技状態は、当該特別遊技状態の開始から終了までに付与された遊技用価値の総数である特別付与総数が規定数を超えるまで制御され、
前記付与表示結果には、所定数の遊技用価値の付与を伴う第1付与表示結果と、当該所定数よりも大きい数の遊技用価値の付与を伴う第2付与表示結果とが含まれ、
前記スロットマシンは、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されていないときには、前記第1付与表示結果を導出可能である一方で前記第2付与表示結果を導出不可能であり、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されているときには、前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果のいずれかを導出可能であり、
前記特別付与総数と、前記特別遊技状態において賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数との差である純増数は、前記特別遊技状態において前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果の各々が導出されたときにのみ最大となり、
前記特定開始条件は、特定表示結果が導出されたことによって成立する条件である。
また、上記スロットマシンは、
遊技用価値(メダル)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置(可変表示装置2)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシン(スロットマシン1)において、
ゲーム毎に前記可変表示装置の表示結果が導出されるよりも前に、通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態(ビッグボーナス、チャレンジボーナス、レギュラーボーナス)への移行を伴う特別表示結果(ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナス)を含む複数種類の入賞表示結果の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段(CPU111:内部抽選(図5(b)))と、
前記識別情報の変動表示を停止させるために遊技者により操作される停止操作手段(停止ボタン12L、12C、12R)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記停止操作手段の操作手順とに応じて前記可変表示装置に表示結果を導出させる導出制御手段(CPU111:リール3L、3C、3Rの停止制御)と、
前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定され、該決定に基づいて該特別表示結果が導出されなかったときに、該特別表示結果の導出を許容する旨の決定を次ゲーム以降に持ち越す特別決定持越手段(CPU111、RAM112:ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの当選フラグは、入賞するまで持ち越される)と、
前記特別表示結果が導出されたときに、予め定められた特別終了条件(ビッグボーナスは465枚を越える払い出し、チャレンジボーナスは251枚を越える払い出し、レギュラーボーナスは12ゲームの消化または8ゲームの入賞)が成立するまで、前記特別遊技状態に遊技状態を制御する特別遊技状態制御手段(CPU111:ビッグボーナスに入賞するとビッグボーナスに、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に入賞するとチャレンジボーナスに、レギュラーボーナスに入賞するとレギュラーボーナスに遊技状態を制御)と、
所定の有利移行条件が成立したときに、予め定められた有利規定ゲーム数(300ゲーム)を消化するまで、前記特別遊技状態とは異なる前記通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利状態(RT)に遊技状態を制御する有利状態制御手段(CPU111:ビッグボーナスの終了後にRTに制御)と、
前記特別遊技状態に遊技状態が制御されていないときにおいて、前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているか否かを示す情報を報知する報知演出(ボーナス当選報知演出(連続演出及び単ゲーム演出))を演出手段(液晶表示器4)に実行させる演出実行手段(CPU121:ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選、若しくはこれらの非当選時でボーナス当選報知抽選に当選したときにボーナス当選報知演出を実行)とを備え、
前記演出実行手段は、
所定の連続演出開始条件が成立したときに、複数ゲームの期間(2?5ゲーム)に亘って継続し、該期間の終了するゲームにおいて前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているか否かを示す情報を報知する連続演出(連続演出)を前記報知演出として実行させる手段であって、予め定められた所定ゲーム数(5ゲーム)の連続演出を実行させる連続演出実行手段(CPU121:ボーナス当選報知演出として連続演出を実行することを決定すると、連続演出を実行)と、
前記有利状態において前記有利規定ゲーム数を消化する前の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも少ない期間において、前記連続演出の実行を新たに開始させることを規制する連続演出規制手段(CPU121:RTの残りゲーム数が5ゲーム以下のときはビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選していない限り連続演出の実行を禁止。これらのボーナスに当選しているか否かに関わらずRTの残りゲーム数よりも継続ゲーム数が長い連続演出の実行を禁止)とを含むものであってもよい。
【0010】
上記スロットマシンでは、遊技者にとって有利な遊技状態として有利状態と特別遊技状態とがあるが、特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果の導出を許容する旨は、遊技状態が通常遊技状態に制御されているときだけではなく、有利状態に制御されているときにも決定される。もっとも、有利状態に制御されているときは、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されても、遊技者は、停止操作手段の操作により敢えて特別表示結果を導出させず、有利状態を継続させた方がよいこととなる。一方、通常遊技状態に制御されているときには、遊技者は、できるだけ早く特別表示結果を導出させた方がよいこととなる。
【0011】
また、特別遊技状態に制御されていないとき、すなわち有利状態または通常遊技状態に制御されているときには、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているか否かを示す情報を報知する報知演出が行われるが、この報知演出として、複数ゲームの期間に亘って継続し、該期間の終了するゲームにおいて特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているか否かを示す情報を報知する連続演出が行われる。特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているか否かは、遊技者の利害得失に大きく関わり、遊技者にとっては、最も気になる情報の一つとなっている。従って、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているか否かを示す情報が報知される連続演出が行われれば、遊技者は、当然のこととして連続演出に気をとられることになる。
【0012】
ところで、有利状態は、予め定められた有利規定ゲーム数を消化したときに終了するものとなっているので、その終了タイミングは、本来、遊技者にとってはっきりしたものとなっている。しかし、遊技者が連続演出に気をとられてしまうと、有利状態が終了したことが遊技者に分かりにくくなってしまう。これに対して、上記スロットマシンでは、有利規定ゲーム数を消化する前の残りゲーム数が所定ゲーム数よりも少ない期間、すなわち有利状態の終了が近づいている期間においては、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないときの連続演出の実行を新たに開始させることを規制するものとしている。
【0013】
これにより、有利状態の終了が近づいているときに、実際には特別表示結果の導出を許容する旨も決定されていないのに、実行されている連続演出が気になって有利状態の終了が分かりにくくなってしまうことを防ぐことができる。
【0014】
なお、前記連続演出の継続ゲーム数として複数種類の継続ゲーム数があり、何れかの継続ゲーム数の連続演出が選択して実行されるものとなる場合には、前記所定ゲーム数は、該複数種類の継続ゲーム数のうちの最大のゲーム数とすることが好ましい。この場合、最終的に特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないことを示す情報が報知される連続演出が有利状態の終了時期に跨って実行されることがないので、逆に有利状態の終了時期に気をとられて実質的に連続演出を遊技者に見せることができないということが生じないで済むものとなる。
【0015】
もっとも、前記複数種類の連続演出の継続ゲーム数のうちで最大の継続ゲーム数が前記所定ゲーム数よりも大きくなることを除外するものではない。例えば、前記所定ゲーム数よりも継続ゲーム数が大きな連続演出が前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを条件として実行されるものであったり、非常に小さい確率で実行されるものであったりする場合には、有利規定ゲーム数を消化する前の残りゲーム数が所定ゲーム数よりも少ない期間、すなわち有利状態の終了が近づいている期間において開始される連続演出にプレミア性を持たせることができる。
【0016】
上記スロットマシンにおいて、
前記連続演出規制手段は、前記有利状態において前記有利規定ゲーム数を消化する前の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも少ない期間において、前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないことを条件として、前記連続演出の実行を新たに開始させることを規制するとともに、
前記連続演出実行手段は、前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているときには、前記連続演出規制手段により規制されることなく前記連続演出の実行を新たに開始させることが可能なものであってもよい(CPU121:RTの残りゲーム数が5ゲーム以下であってもビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選していれば、RTの残りゲーム数以下の連続演出は実行可能)。
【0017】
この場合、有利規定ゲーム数を消化する前の残りゲーム数が所定ゲーム数よりも少ない期間において前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないことを条件として連続演出の実行を新たに開始させることが規制されるので、該期間でも連続演出の実行が新たに開始されることがある。このため、有利状態の終了時期に跨って連続演出が実行されることが生じるが、そのような有利状態の終了時期に跨る連続演出は、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにしか実行されない。つまり、有利状態の終了が近くなって連続演出が開始されたときには、その時点で特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることが分かるので、遊技者が有利状態の終了時期において実行されている連続演出に気をとられずに済むものとなる。また、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないときには連続演出が実行されない期間において連続演出が実行されることで、演出の意外性、プレミア性を高めさせることができるものとなる。
【0018】
上記スロットマシンにおいて、
前記連続演出実行手段は、前記有利状態において前記有利規定ゲーム数を消化する前の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも少ない期間において前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているときに、該期間とは異なる期間において前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているときよりも高い確率で、前記連続演出のうちの特定連続演出(プレミア連続演出)の実行を新たに開始させるものとしてもよい(プレミア連続演出は、RTの残りゲーム数が5ゲーム以下のときのみ実行)。
【0019】
この場合には、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていないときには連続演出が実行されない期間(すなわち、有利状態において有利規定ゲーム数を消化する前の残りゲーム数が所定ゲーム数よりも少ない期間)において実行される連続演出に、さらにプレミア性を高めさせることができるようになる。
【0020】
なお、前記連続演出実行手段は、前記有利状態において前記有利規定ゲーム数を消化する前の残りゲーム数が所定ゲーム数よりも少ない期間においてのみ、前記特定連続演出を実行させる(すなわち、有利規定ゲーム数を消化する前の残りゲーム数が所定ゲーム数以上の期間では0%の確率で前記特定連続演出を実行させる)ものとしてもよい。
【0021】
上記スロットマシンにおいて、
前記事前決定手段は、前記入賞表示結果として前記特別表示結果とは異なる一般表示結果(小役、リプレイ)の導出を許容するか否かを決定し、
前記導出制御手段は、前記特別表示結果の導出を許容する旨と前記一般表示結果のうちの優先表示結果(小役及びリプレイ(またはリプレイのみ))の導出を許容する旨とが決定されているときとにおいて前記停止操作手段が該特別表示結果と該優先表示結果の何れも導出可能な操作手順で操作されたときに、該優先表示結果を導出させるものであってもよい(停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に応じてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスに優先して、小役またはリプレイ入賞する)。ここで、
前記特別表示結果が、互いに導出させるための前記停止操作手段の操作手順が重複しない複数種類の非重複特別表示結果を含む(ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスは、互いに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が異なる)場合には、
前記連続演出の継続ゲーム数(2?5ゲーム)は、該継続ゲーム数の間に前記優先表示結果が導出されるゲーム数の期待値に前記非重複特別表示結果の種類数(4種類)を加算した数よりも小さいゲーム数とすることが好ましい。
【0022】
ここでは、連続演出開始条件の成立により複数ゲームの期間に亘って継続する連続演出が実行されるが、連続演出が実行されている間にも優先表示結果が導出されるゲームが生じ得る。このようなゲームでは何れの種類の特別表示結果も導出を許容する旨が決定されているかどうかは分からない。また、複数種類の特別表示結果の全てについて導出を許容する旨が決定されていないことが分かるまでには、複数種類の非重複特別表示結果の種類数だけのゲームを要することとなる(複数種類の非重複特別表示結果のうちの一の特別表示結果を導出させることが可能となる操作手順で停止操作手段を操作して該種類の特別表示結果が導出されなくても、他の種類の特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることがあり得る)。
【0023】
これに対して、連続演出開始条件には特別表示結果の導出を許容する旨が決定されたことが含まれているが、連続演出は、非重複特別表示結果の種類数に所定ゲーム数の間に優先表示結果が導出されるゲーム数の期待値を加算した数よりも小さいゲーム数だけ継続して実行されるものとなっている。このように非重複特別表示結果の種類数よりも所定ゲーム数の間に優先表示結果が導出されるゲーム数の期待値分だけ連続演出の継続ゲーム数を長くできるので、演出のボリュームを増大させることができる。演出のボリュームを増大させるために非重複特別表示結果の種類数をむやみに増やす必要がないので、可変表示装置における識別情報の配列の制約や停止制御の複雑化といった問題も回避することができる。
【0024】
なお、例えば、第1?第4の4種類の特別表示結果があり、そのうちで第1?第3の特別表示結果は、導出させるための操作手順が互いに重複しないが、第4の特別表示結果は、第3の特別表示結果とは導出させるための操作手順が重複しないものの第1、第2の特別表示結果と導出させるための操作手順が重複しているものとすると、第4の特別表示結果を除いた第1?第3の特別表示結果が、互いに導出させるための操作手順が重複しない複数種類の非重複特別表示結果ということになる。第1、第2の特別表示結果、或いは第3、第4の特別表示結果も互いに導出させるための操作手順が重複しないが、ここでは、種類数として最大数となる第1?第3の特別表示結果が、互いに導出させるための操作手順が重複しない複数種類の非重複特別表示結果を意味するものとなる。
【0025】
もっとも、複数種類の特別表示結果は、その全てが互いに導出させるための操作手順が異なるものであってもよく、この場合には、複数種類の特別表示結果は、そのまま複数種類の非重複特別表示結果ということになる。また、前記連続演出が継続する所定ゲーム数は、前記所定ゲーム数から該所定ゲーム数中に前記優先表示結果が導出されるゲーム数の期待値に前記非重複特別表示結果の種類数を加算した数よりも小さい最大の整数に定められていることがより好ましい。
【0026】
上記スロットマシンは、
前記有利状態の終了を遊技者に報知する有利状態終了報知手段(液晶表示器4、CPU121:RT終了報知演出)をさらに備え、
前記特別遊技状態制御手段は、前記有利状態において前記特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御させたまま、前記特別遊技状態に制御するものであってもよい(CPU121:チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)の入賞時にRTカウンタの値をクリアすることなくチャレンジボーナス中フラグを設定)。この場合において、
前記有利状態終了報知手段は、
前記特別遊技状態に制御されていないときにおいて前記所定ゲーム数の消化により前記有利状態が終了したときに、該有利状態の終了の際に該有利状態の終了を報知する通常時有利状態終了報知手段(チャレンジボーナスに制御されていないときにRTが終了したときは、当該時点でRT終了報知演出を実行)と、
前記特別遊技状態に制御されているときにおいて前記所定ゲーム数の消化により前記有利状態が終了したときに、前記特別終了条件の成立により前記特別遊技状態も終了するのを待って前記有利状態の終了を報知する特別有利状態終了報知手段(チャレンジボーナスに制御されているときにRTが終了したときは、チャレンジボーナスの終了を待ってRT終了報知演出を実行)とを含むものとすることができる。
【0027】
有利状態は、所定ゲーム数の消化によって終了するものとなっているが、有利状態に遊技状態が制御されているときにも特別移行条件が成立することがあり、この場合には、再遊技高確率状態を終了させることなく、特別遊技状態に制御させるものとなる。従って、有利状態に制御されてから所定ゲーム数を消化したとき、すなわち有利状態の終了条件が成立するときには、特別遊技状態にも併せて制御されている場合と特別遊技状態には制御されていないときとがある。また、所定ゲーム数の消化により有利状態が終了すると、その旨が有利状態終了報知手段によって遊技者に報知されることとなる。
【0028】
ここで、特別遊技状態に制御されていないときに所定ゲームの消化により有利状態が終了したときには、該有利状態の終了の際に有利状態の終了が報知されるが、未だ特別遊技状態に遊技状態が制御されているときには、該特別遊技状態の終了を待って有利状態の終了が報知される。このため、有利状態終了報知手段により有利状態の終了が遊技者に報知されることによって、遊技者に有利な遊技状態そのもの、つまり有利状態ばかりでなく特別遊技状態まで終了されてしまうものと遊技者に誤解されることがない。また、有利状態の終了の報知であっても特別遊技状態が終了するまで行われることはないので、特別遊技状態の最中における遊技状態の変化の報知で遊技者に違和感を与えてしまうといったこともない。
【0029】
上記スロットマシンにおいて、
前記事前決定手段は、前記入賞表示結果として前記遊技用価値の付与を伴う小役表示結果(スイカ、ベル、チェリー)と賭数の設定に前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能な再遊技の付与を伴う再遊技表示結果(リプレイ)の導出を許容するか否かを決定し、
前記有利状態制御手段は、前記有利状態として前記事前決定手段が前記再遊技表示結果の導出を許容する旨を決定する確率を通常遊技状態よりも高くする再遊技高確率状態(RT)に制御し、
前記特別遊技状態制御手段は、前記導出制御手段が前記識別情報の変動表示を停止させる所定の遅延時間を他の遊技状態で適用される通常遅延時間(190ミリ秒)よりも短い特別遅延時間(右のリール3Rについて75ミリ秒)に短縮させるとともに前記事前決定手段の決定結果に関わらずに前記小役表示結果を導出可能とする特定特別遊技状態(チャレンジボーナス)に遊技状態を制御する特定特別遊技状態制御手段(CPU111:チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に入賞するとチャレンジボーナスに遊技状態を制御)を含み、
前記導出制御手段は、前記停止操作手段の操作から所定の遅延時間の範囲内で前記事前決定手段の決定結果に応じて前記識別情報の変動表示を停止させて前記可変表示装置に表示結果を導出させるものであって、前記特別遊技状態以外の遊技状態において前記可変表示装置に表示結果を導出させる通常導出制御手段(CPU111:チャレンジボーナス以外の遊技状態におけるリール3L、3C、3Rの停止制御)と、前記特定特別遊技状態において前記可変表示装置に表示結果を導出させる特別導出制御手段(CPU111:チャレンジボーナスにおけるリール3L、3C、3Rの停止制御)とを含んでいてもよい。
【0030】
この場合において、
前記通常導出制御手段は、前記再遊技表示結果と該再遊技表示結果以外の入賞表示結果である非再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて、前記停止操作手段の操作から前記所定の遅延時間の範囲内で該再遊技表示結果も該非再遊技表示結果も導出可能なときに、前記再遊技表示結果を導出させ(ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、ビッグボーナス(B)、レギュラーボーナスの当選フラグが持ち越されているゲームでリプレイ当選した場合には、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に関わらずにリプレイ入賞させる)、
前記特別導出制御手段は、前記再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて、前記停止操作手段の操作から前記所定の遅延時間の範囲内で前記小役表示結果も前記再遊技表示結果も導出可能なときに、前記小役表示結果を導出させるものとすることができる(チャレンジボーナスの遊技状態においてリプレイ当選した場合には、リプレイよりも優先して小役に入賞させる)。
【0031】
ここでは、再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されている場合、特定特別遊技状態以外の遊技状態では、再遊技表示結果以外の非再遊技表示結果の導出を許容する旨も決定されていたとしても再遊技表示結果の導出が優先されるものの、特定特別遊技状態では、小役表示結果の導出が優先されるものとなる。このように再遊技表示結果よりも小役表示結果を優先して導出させるため、特定特別遊技状態において再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに小役表示結果を導出させようとすると、停止操作手段の操作が非常に難しくなってしまうといった問題が起こることがない。
【0032】
また、再遊技表示結果よりも小役表示結果を優先して導出させるため、特別遊技状態において再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定される回数が多いか少ないかに関わらず、可能な限り小役表示結果を導出させて特別遊技状態を消化してしまおうと考えている遊技者に不公平感を感じさせてしまうことがない。
【0033】
また、この場合において、
前記小役表示結果は、第1所定数の遊技用価値の付与を伴う第1小役表示結果(スイカ)と、該第1所定数よりも少ない第2所定数の遊技用価値の付与を伴う第2小役表示結果(ベルとチェリーの複合)とを含み、
前記特定特別遊技状態における前記特別終了条件は、該特定特別遊技状態において遊技者に付与された遊技用価値の総数が予め定められた特別規定数(251枚)を越えることであってもよい。この場合において、
前記特別導出制御手段は、前記再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを条件として、前記停止操作手段の操作から前記所定の遅延時間の範囲内で前記第2小役表示結果を導出させるものとすることができ(ベルとチェリーの複合入賞は、チャレンジボーナスにおいてリプレイ当選しているときにしか発生しない)、
前記特定特別遊技状態における前記遊技用価値の付与総数は、該特定特別遊技状態の終了までに前記第1小役表示結果のみが導出されたとき(全てスイカに入賞すると、17ゲーム、255枚払い出し、204枚獲得でチャレンジボーナス終了)よりも、該特定特別遊技状態の終了までに前記第2小役表示結果が導出されたことがあるとき(例えば、17ゲーム消化までに4ゲームだけベルとチェリーに複合入賞し、残りが全てスイカに入賞すると、18ゲーム、266枚払い出し、213枚獲得でチャレンジボーナス終了)の方が多いものとすることができる。
【0034】
この場合において、特定特別遊技状態における1ゲームだけでの遊技用価値の得失を考えるのであれば、第1所定数の遊技用価値が付与される第1小役表示結果を導出させた方が遊技者にとって有利である。しかし、特定特別遊技状態の全体で考えると、第1所定数よりも少ない第2所定数の遊技用価値しか付与されない第2小役表示結果を導出させたときの方が遊技用価値の付与数が増えることとなる。
【0035】
ここで、第2特定表示結果は、再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにしか導出され得ないので、有利状態として再遊技高確率状態に制御されているときの方が第2特定表示結果が導出されるチャンスが増えることとなる。これにより、有利状態として再遊技高確率状態に制御されているときの特定特別遊技状態と再遊技高確率状態に制御されていないときの特定特別遊技状態とで遊技者が得られる利益に差異を生じさせることができ、実質的にも両者の遊技性を異ならせて遊技の興趣を向上させることができる。
【0036】
なお、前記特定特別遊技状態における前記遊技用価値の付与総数は、該特定特別遊技状態の終了までに前記第2小役表示結果の導出された回数が所定数であるときに、前記第1小役表示結果のみが導出されたときよりも多くなるものとすることができる。ここで、前記再遊技高確率状態に制御されていないときの特定特別遊技状態において前記第1小役表示結果のみを導出させた場合に該特定特別遊技状態が終了されることとなるゲーム数の間で前記再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されるゲーム数の期待値は、前記所定数未満であり、前記再遊技高確率状態に制御されているときの特定特別遊技状態において前記第1小役表示結果のみを導出させた場合に該特定特別遊技状態が終了されることとなるゲーム数の間で前記再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されるゲーム数の期待値は、前記所定数以上であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0038】
図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。スロットマシン1の前面扉は、施錠装置19にキーを差し込み、時計回り方向に回動操作することにより開放状態とすることができる。このスロットマシン1の上部前面側には、可変表示装置2が設けられている。可変表示装置2の内部には、3つのリール3L、3C、3Rから構成されるリールユニット3が設けられている。
【0039】
リール3L、3C、3Rは、それぞれステッピングモータから構成されるリールモータ3ML、3MC、3MR(図2参照)の駆動によって回転/停止させられる。リールモータ3ML、3MC、3MRを構成するステッピングモータの詳細については、後述する。リール3L、3C、3Rの外周部に描かれた図柄は、リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止したときにおいて、可変表示装置2において上中下三段に表示される。また、リール3L、3C、3Rの外周部には、互いに識別可能な複数種類の図柄が21個ずつ、所定の順序で描かれている。リール3L、3C、3Rにおける図柄の配列については、後述する。
【0040】
リールユニット3内には、リール3L、3C、3Rのそれぞれに対して、その基準位置を検出するリールセンサ3SL、3SC、3SR(図2参照)と、背面から光を照射するリールランプ3LP(図2参照)とが設けられている。可変表示装置2には、上中下段の3本及び対角線の2本の合計5本の入賞ラインが設定される。
【0041】
また、可変表示装置2の周囲には、各種表示部が設けられている。可変表示装置2の下側には、払出数表示部21と、クレジット表示部22と、ペイアウト表示部23とが設けられている。払出数表示部21は、7セグメント表示器による払出数表示器51(図2参照)によって構成され、後述するビッグボーナスやチャレンジボーナスにおいて払い出されたメダル数の合計を表示する。さらに、払出数表示部21は、エラーが発生したときに、発生したエラーの種類に対応したコード(エラーコード)を表示するためにも用いられる。
【0042】
クレジット表示部22は、7セグメント表示器によるクレジット表示器52(図2参照)によって構成され、後述するようにメダルの投入枚数及び払い出し枚数に応じてデータとして蓄積されたクレジットの数を表示する。ペイアウト表示部23は、7セグメント表示器によるペイアウト表示器53(図2参照)によって構成され、入賞が成立した場合に払い出されるメダルの枚数を表示する。
【0043】
可変表示装置2の左側には、1枚賭け表示部24、2枚賭け表示部25、及び3枚賭け表示部27が設けられている。1枚、2枚、3枚賭け表示部24、25、27は、それぞれ1枚、2枚、3枚賭けランプ54、55、57(図2参照)が点灯状態となることで、現時点で設定されている賭け数を遊技者に示す。
【0044】
可変表示装置2の右側には、投入指示表示部29と、スタート表示部30と、ウェイト表示部31と、リプレイ表示部32と、ゲームオーバー表示部33とが設けられている。投入指示表示部29は、投入指示ランプ59(図2参照)が点灯状態となることで、メダルが投入可能なことを示す。スタート表示部30は、スタートランプ60(図2参照)が点灯状態となることで、スタート可能、すなわちスタートレバー11の操作受付可能であることを示す。ウェイト表示部31は、ウェイトランプ61(図2参照)が点灯状態となることで、後述するウェイトがかかっていることを示す。リプレイ表示部32は、リプレイランプ62(図2参照)が点灯状態となることで、後述するリプレイ入賞をしたことを示す。ゲームオーバー表示部33は、ゲームオーバーランプ63(図2参照)が点灯状態となることで、スロットマシン1が打ち止めになったことを示す。
【0045】
可変表示装置2の上側には、演出手段としての液晶表示器4が設けられている。液晶表示器4は、遊技状態、当選フラグの設定状況、または可変表示装置2に導出された図柄の種類、もしくは遊技者の選択に応じて様々な演出用の画像を表示する。また、液晶表示器4には、遊技履歴などの遊技に直接的または間接的に関わる様々な情報を表示することが可能である。
【0046】
また、可変表示装置2の下方に設けられた台状部分の水平面には、メダル投入口13と、1枚BETボタン14と、MAXBETボタン15と、精算ボタン16とが設けられている。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15には、データとして蓄積されたクレジット(最大50)から賭け数の設定を可能としているときに点灯するBETボタンランプ70a、70b(図2参照)が内部に配されている。
【0047】
メダル投入口13は、遊技者がここからメダルを投入するものであり、投入指示表示部29が点灯しているときにメダルの投入が投入メダルセンサ44(図2参照)によって検出されると、賭け数が設定され、或いはクレジットがデータとして蓄積される。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15は、データとして蓄積されているクレジットから賭け数(それぞれ1、3)を設定する際に遊技者が操作するボタンであり、遊技者によって操作されたことが1枚BETスイッチ45(図2参照)またはMAXBETスイッチ46(図2参照)によって検出されると、クレジットからの賭け数の設定が行われる。
【0048】
精算ボタン16は、既に賭け数として設定されたメダル、或いは蓄積されたクレジットに対応したメダルの払い出しを指示するためのボタンである。精算ボタン16の操作が精算スイッチ47(図2参照)によって操作が検出されると、賭け数が設定されていれば、まず設定された賭け数に応じたメダルが払い出され、賭け数が設定されていなければ(精算ボタン16の操作で先に賭け数分のメダルが払い出された場合を含む)、データとして蓄積されたクレジットに応じたメダルが払い出される。
【0049】
その台状部分の垂直面には、スタートレバー11と、停止ボタン12L、12C、12Rとが設けられている。スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41(図2参照)によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRが駆動開始され、リール3L、3C、3Rが回転開始する。リール3L、3C、3Rが回転開始した後所定の条件が成立することにより停止ボタン12L、12C、12Rの操作が可能となると、その内部に備えられた操作有効ランプ63L、63C、63R(図2参照)が点灯状態となって、その旨が遊技者に示される。
【0050】
停止ボタン12L、12C、12Rは、それぞれ遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、その操作がストップスイッチ42L、42C、42R(図2参照)で検出されると、リール3L、3C、3Rの回転が停止される。停止ボタン12L、12C、12Rの操作から対応するリール3L、3C、3Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ミリ秒である。
【0051】
リール3L、3C、3Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190ミリ秒の間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、後述する停止制御テーブルにより選択される停止図柄は、停止ボタン12L、12C、12Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。
【0052】
もっとも、後述するチャレンジボーナスにおいては、右のリール3Rについての最大停止遅延時間が通常の190ミリ秒から75ミリ秒に短縮される。チャレンジボーナス時の75ミリ秒の最大停止遅延時間の間に引き込めるコマ数は1コマとなり、すなわち停止操作時に表示されている図柄と次の図柄のいずれかしか導出できなくなる。左と中のリール3L、3Cについての最大停止遅延時間は、チャレンジボーナスにおいても他の遊技状態と同じ190ミリ秒であり、最大4コマの図柄を引き込むことができる。
【0053】
さらに、停止ボタン12L、12C、12Rを覆うパネルが、ボーナス告知部36として適用されている。ボーナス告知部36は、ボーナス告知ランプ66(図2参照)が点灯状態となることで、後述する各種ボーナスの入賞が可能となっていることを遊技者に告知する。また、停止ボタン12Rの右側には、メダルが詰まったときなどにおいてスロットマシン1に機械的に振動を与えるメダル詰まり解消ボタン18が設けられている。
【0054】
スロットマシン1の下部前面側には、メダル払い出し口71と、メダル貯留皿72とが設けられている。メダル払い出し口71は、ホッパー80(図2参照)によって払い出しが行われたメダルを外部に排出するものである。メダル貯留皿72は、払い出されたメダルを貯めておくためのものである。メダル貯留皿72の上の前面パネルには、内部に設置された蛍光灯6(図2参照)が発した光が照射される。
【0055】
スロットマシン1の下部前面側と、上部前面側の左右とには、それぞれ演出手段としてのスピーカ7U、7L、7Rが設けられている。スピーカ7U、7L、7Rは、スタートレバー11や停止ボタン12L、12C、12Rの操作時、或いは入賞時において所定の効果音を出力する。さらにはエラーの発生時、前面扉の解放時、設定値の変更時、並びに賭け数及びクレジットの精算時における警報音の出力を行うと共に、遊技状態に応じた様々な演出音の出力を行う。
【0056】
さらに、スロットマシン1の前面側には、可変表示装置2及び液晶表示器4の周囲を取り囲むように、演出手段としての遊技効果ランプ75A?75M(図2参照)の発光により光による演出を行う遊技効果表示部5A?5Mが設けられている。遊技効果表示部5A?5Mは、遊技の進行状況に応じた様々なパターンで光による演出を行うものである。なお、遊技効果表示部5A?5Mの発光色は、単色からなるものであっても、複数色からなるものであっても構わない。
【0057】
図2は、このスロットマシン1の制御回路の構成を示す図である。図示するように、このスロットマシン1の制御回路は、電源基板100、遊技制御基板101、演出制御基板102、リール中継基板103、リールランプ中継基板104、外部出力基板105、演出中継基板106、及び操作部中継基板107に大きく分けて構成される。
【0058】
電源基板100は、AC100Vの外部電源電圧を変圧し、遊技制御基板101その他のスロットマシン1の各部に動作電力を供給する。図2では、遊技制御基板101、ホッパー80、各スイッチ91?94にのみ接続されているように示しているが、電源基板100は、他の各部への電力の供給も行っている。電源基板100は、スロットマシン1の内部に設けられ、メダルの払い出し動作を行うホッパーモータ82と、メダルの払い出しを検知する払い出しセンサ81とから構成されるホッパー80に接続されている。
【0059】
電源基板100は、後述する内部抽選への当選確率を設定し、これに基づいて算出されるメダルの仮想払出率の設定値(設定1?設定6)を変更するための設定スイッチ91、設定スイッチ91を操作有効とする設定キースイッチ92、内部状態(RAM112)をリセットする第2リセットスイッチ93、及び電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94にもそれぞれ接続されており、これらのスイッチの検出信号を遊技制御基板101へと送る。これらのスイッチ91?94は、スロットマシン1の内部に設けられている。
【0060】
遊技制御基板101は、スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している。また、乱数発生回路115、サンプリング回路116、電源監視回路117、リセット回路118その他の回路を搭載している。
【0061】
CPU111は、計時機能、タイマ割り込みなどの割り込み機能(割り込み禁止機能を含む)を備え、ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うと共に、スロットマシン1内の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。CPU111の処理ワードは、1バイトであり、RAM112やROM113のアドレスは、1バイト単位で付けられている。
【0062】
RAM112は、CPU111がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。RAM112は、バッテリバックアップされており、スロットマシン1がOFFされても、記憶内容を保持するものとなっている。RAM112には、リールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータのステップ数をカウントするカウンタのための領域が設けられている。クレジット数に関するデータは、RAM112に記憶されるものとなっている。ROM113は、CPU111が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート114は、遊技制御基板101に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0063】
乱数発生回路115は、パルスを発生する度にカウントアップして値を更新するカウンタによって構成され、サンプリング回路116は、乱数発生回路115がカウントしている数値を取得する。乱数発生回路115は、遊技の進行に使用される乱数の種類毎に設けられていて、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められている。CPU111は、その処理に応じてサンプリング回路116に指示を送ることで、乱数発生回路115が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。
【0064】
電源監視回路117は、電源基板100から供給される電源電圧を監視し、電圧の低下を検出したときに、電圧低下信号を制御部110に対して出力する。制御部110は、特に図示はしないが、電源監視回路117に接続された割込入力端子を備えており、割込入力端子に電圧低下信号が入力されることでCPU111に外部割り込みが発生し、CPU111は、電断割込処理を実行する。
【0065】
リセット回路118は、電源投入時において制御部110が起動可能なレベルまで電圧が上昇したきにリセット信号を出力して制御部110を起動させると共に、制御部110から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわち制御部110が一定時間動作を行わなかった場合に、制御部110に対してリセット信号を出力し、制御部110を再起動させる。
【0066】
CPU111は、また、タイマ割り込み処理により、RAM112の特定アドレスの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。CPU111は、I/Oポート114を介して演出制御基板102に、後述する各種のコマンドを送信する。なお、遊技制御基板101から演出制御基板102へ情報(コマンド)は一方向のみで送られ、演出制御基板102から遊技制御基板101へ向けて情報(コマンド)が送られることはない。
【0067】
遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるコマンドは、1つが2バイトで構成され、上位1バイトがコマンドの種類を示す制御情報、下位1バイトが制御状態の内容を示す情報である。遊技制御基板101から演出制御基板102にコマンドを送信する場合、CPU111は、送信すべきコマンドを、上位バイト、下位バイトの順でRAM112に設けられたコマンド送信バッファに設定する。
【0068】
CPU111は、場合によっては同時期に複数のコマンドを演出制御基板102に送信する必要があるので、RAM112のコマンド送信バッファには、所定数のコマンドを設定することのできるだけの容量がある。例えば、同時期に2つのコマンドを送信する場合には、1つめのコマンドの上位バイト、下位バイト、2つめのコマンドの上位バイト、下位バイトといった具合に、RAM112のコマンド送信バッファに設定される。コマンド送信バッファに設定された各コマンドの上位バイト、下位バイトは、I/Oポート114からバイト単位で演出制御基板102に送られる。
【0069】
遊技制御基板101には、操作部中継基板107を介して、1枚BETスイッチ45、MAXBETスイッチ46、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42L、42C、42R、精算スイッチ47、第1リセットスイッチ48、投入メダルセンサ44が接続されており、これらのスイッチ/センサ類の検出信号が入力される。また、リール中継基板103を介して、リールセンサ3SL、3SC、3SRの検出信号が入力される。I/Oポート114を介して入力されるこれらスイッチ/センサ類の検出信号、或いは前述したように電源基板100を介して入力される各種スイッチの検出信号に従って、遊技制御基板101上のCPU111は、処理を行っている。
【0070】
遊技制御基板101には、また、操作部中継基板107を介して、流路切り替えソレノイド49、払出数表示器51、クレジット表示器52、ペイアウト表示器53、投入指示ランプ59、1枚賭けランプ54、2枚賭けランプ55、3枚賭けランプ57、ゲームオーバーランプ63、スタートランプ60、リプレイランプ62、BETボタンランプ70a、70b、操作有効ランプ63L、63C、63Rが接続されており、CPU111は、遊技の進行状況に従ってこれらの動作を制御している。
【0071】
また、遊技制御基板101には、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MRが接続されている。CPU111は、後述する内部抽選によりRAM112に設定される当選フラグに従って選択される停止制御テーブルを参照して、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MRを制御して、リール3L、3C、3Rを停止させる。遊技制御基板101には、さらに演出中継基板106を介して演出制御基板102が接続されている。
【0072】
演出中継基板106は、遊技制御基板101から演出制御基板102へ送信される情報の一方向性を担保するために設けられた基板である。演出中継基板106は、この状態を調べることによって遊技制御基板101や演出制御基板102を調べなくても、遊技制御基板101の制御部110に不正な信号(特に演出制御基板102に外部から入力されるようになっている信号)が入力されるような改造がなされていないかどうかをチェックすることができるようにするものである。
【0073】
演出制御基板102は、スロットマシン1における演出の実行を制御するサブ側の制御基板であり、CPU121、RAM122、ROM123及びI/Oポート124を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部120を搭載している。また、乱数発生回路125及びサンプリング回路126を搭載しており、CPU121は、サンプリング回路126により乱数発生回路125がカウントしている値を取得することにより、遊技制御基板101と同様のハードウェア乱数機能を形成している。割り込み処理によるソフトウェア乱数機能も有している。
【0074】
CPU121は、ROM123に記憶されたプログラム(後述)を実行して、演出の実行に関する処理を行うと共に、演出制御基板102内の各回路及びこれに接続された各回路を制御する。RAM122は、CPU121がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。RAM122も、バッテリバックアップされており、スロットマシン1がOFFされても、記憶内容を保持するものとなっている。ROM123は、CPU121が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート124は、演出制御基板102に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0075】
CPU121による演出の実行は、I/Oポート124を介して遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて行われる。遊技制御基板101から送信されたコマンドがI/Oポート124に届くと、CPU121に対してコマンド受信割り込みが発生し、このコマンド受信割り込み処理によって、当該受信したコマンドをRAM122のコマンド受信バッファに順次入れていく。CPU121は、コマンド受信バッファに入れられたコマンドを2バイト単位で取り出し、その上位バイトでコマンドの種類を、下位バイトでコマンドの示す内容を判断して処理を行う。
【0076】
遊技制御基板101から同時期に複数のコマンドが送信されている場合などは、CPU121は、当然のことながら複数のコマンドを同時に処理することができない。このため、RAM122のコマンド受信バッファも、複数のコマンドを入れておけるだけの容量があり、CPU121は、コマンド受信バッファから取り出した1つのコマンドに基づく処理が終了した時点で未だ別のコマンドがコマンド受信バッファに入れられていれば、次のコマンドに基づく処理を行うものとする。なお、RAM122のコマンド受信バッファの容量は、RAM112のコマンド送信バッファの容量よりも大きくなっている。
【0077】
演出制御基板102には、遊技効果ランプ75A?75M、液晶表示器4、スピーカ7L、7R、7U、蛍光灯6、ウェイトランプ61、ボーナス告知ランプ66が接続されている。また、リールランプ中継基板104を介してリールランプ3LPが接続されている。演出制御基板102の制御部120は、これら各部をそれぞれ制御して、演出を行っている。
【0078】
リール中継基板103は、遊技制御基板101と外部出力基板105及びリールユニット3との間を中継している。リールランプ中継基板104は、演出制御基板102とリールユニット3との間を中継している。リール中継基板103には、また、満タンセンサ90が接続されており、その検出信号が入力される。満タンセンサ90は、スロットマシン1の内部に設けられ、ホッパー80からオーバーフローしたメダルを貯留するオーバーフロータンク内のメダルが満タンになったことを検知するものである。
【0079】
満タンセンサ90により満タンが検知されると、満タンエラーとなる。なお、満タンセンサ90により満タンが検出されているかどうかは、1ゲームに1回、例えば、賭け数の確定したタイミングでチェックするものとすることができる。もっとも、前回のゲームでリプレイに入賞していたときには、満タンセンサ90により満タンが検出されているかどうかをチェックしないものとなっている。
【0080】
外部出力基板105は、後述する情報提供端子板を介してホールの管理コンピュータなどの外部装置に接続されており、遊技制御基板101からリール中継基板103を介して入力された各種のボーナス中信号、メダルIN信号、メダルOUT信号、及びセキュリティ信号を、当該外部装置に出力する。セキュリティ信号には、後述するようにドア開放信号、設定値変更信号、投入エラー信号、払い出しエラー信号、他のエラー信号、及び精算中信号が含まれる。
【0081】
外部出力基板105には、前面扉が開放状態にあることを検出する扉開放センサ95が搭載されており、扉開放センサ95の検出信号に基づいてセキュリティ信号のうちのドア開放信号が出力される。外部出力基板105は、スロットマシン1への電力の供給が行われているとき(すなわち、スロットマシン1がONのとき)に蓄電するとともに、電力の供給が遮断されているとき(すなわち、スロットマシン1がOFFのとき)に、該蓄電した電力を外部出力基板105に供給する蓄電池から構成されるバックアップ電源を搭載している。
【0082】
スロットマシン1の電源がONされているときには、外部出力基板105は、電源基板100からの電力供給で、扉開放センサ95により前面扉が開放状態にあることを検出し、前面扉が開放状態にあることを示すドア開放信号を含むセキュリティ信号を外部装置に出力する。一方、スロットマシン1の電源がOFFされているときには、外部出力基板105は、このバックアップ電源から電力供給で、扉開放センサ95により前面扉が開放状態にあることを検出し、前面扉が開放状態にあることを示すドア開放信号を含むセキュリティ信号を外部装置に出力する。
【0083】
外部出力基板105は、メダル投入口13からメダルが投入される度、或いは1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15が操作される度にメダルIN信号を出力するのではなく、スタートレバー11の操作時にまとめてメダルIN信号を出力するものとしている。図3(a)は、メダルIN信号の出力状況を示すタイミングチャートである。図示するように、CPU111は、スタートレバー11の操作が検出された時点、すなわち当該ゲームにおける賭け数が確定した時点で、設定された賭け数分のメダルIN信号をまとめて出力する。詳しくは、メダルの投入が許可された状態においてメダルの投入が1枚検出される毎に、賭け数が1ずつ加算される。
【0084】
その後、スタートレバー11の操作が検出された時点、すなわち当該ゲームに用いられる賭け数が確定した時点で、設定された賭け数分のメダルIN信号をまとめて出力する。図3(a)では、3枚のメダルが投入された場合を示しており、スタートレバー11の操作時にメダルIN信号が続けて3回出力される様子を示している。また、賭け数の全部または一部がクレジットを用いて設定された場合も、スタートレバー11の操作が検出された時点で、設定された賭け数分のメダルIN信号をまとめて出力するものとなっている。
【0085】
一方、メダルOUT信号は、メダルの払い出しを伴う小役の入賞により、ホッパー80からメダルを1枚払い出す度に出力するものとしている。ホッパー80からメダルを払い出すのではなく、クレジットを加算する場合も、クレジットを1加算する毎に、メダルOUT信号を出力するものとしている。図3(b)は、ホッパー80からメダルが払い出される場合を例としたメダルOUT信号の出力状況を示すタイミングチャートである。
【0086】
図示するように、メダルOUT信号は、1枚ずつのメダルの払い出しが払い出しセンサ81によって検出される度に、1パルスのメダルOUT信号を出力する。このため、図3(b)に示すように、メダルの払い出し中に最後のメダルの払い出しが検出されてから予め定められた払い出しメダルなし時間が経過してメダル切れと判定されたり、メダルの連続検出時間が予め定められたメダル詰まりと判定され、払い出しエラー状態となって払い出し動作が停止した場合には、払い出し動作の停止までに実際に払い出された枚数分のメダルOUT信号のみが出力される。
【0087】
払い出しエラーが解除され、残りの払い出しが再開すると、残りのメダルの払い出しが1枚ずつ払い出しセンサ81によって検出される度に、残りのメダルの払い出しに伴うメダルOUT信号が出力されることとなる。そして、最後のメダルの払い出しが検出され、メダルOUT信号の出力が完了した時点で1ゲームの制御が終了し、この時点でメダルの投入が許可される。
【0088】
ところで、遊技制御基板101や演出制御基板102等は、機種変更の際には交換が必要となるため、その際には本体から取り外される。遊技制御基板101を取り外す際には各種遊技用電子部品(1枚BETスイッチ45、MAXBETスイッチ46、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42L、42C、42R、投入メダルセンサ44、リールセンサ3SL、3SC、3SR、リールモータ3ML、3MC、3MR、ホッパーモータ82、払い出しセンサ81など)との接続を解除する必要があるため、故障等が発生しない限り本体から取り外して交換する必要がないのでスロットマシンの本体所定箇所に固設されている各種遊技用電子部品と遊技制御基板101とは、中継基板103、106、107を経由して接続されているとともに、これら基板同士及び基板と遊技用電子部品とは中継ケーブルを介して接続されている。また中継ケーブルと基板とは、中継ケーブルの端部に設けられたケーブル側コネクタと基板の配線パターンと電気的に接続された基板側コネクタとの接続により電気的に接続されている。
【0089】
遊技制御基板101には、電源基板100の電圧生成回路により生成された直流電圧が供給される。電源基板100から供給される直流電圧は、コンデンサからなるバックアップ電源に蓄電され、これによってRAM112の記憶状態が保持されるようになっている。バックアップ電源の供給ラインは、バックアップ電源に蓄積された電圧は、遊技制御基板101、操作部中継基板107、投入メダルセンサ44、操作部中継基板107を経由した後、遊技制御部110に供給され、遊技制御部110におけるRAM112の記憶状態が保持されるようになっている。このため、スロットマシン1に対する電力供給が遮断されている状態で、遊技制御基板101の基板側コネクタと中継ケーブルのケーブル側コネクタとの接続、中継ケーブルのケーブル側コネクタと操作部中継基板107の基板側コネクタとの接続、操作部中継基板107の基板側コネクタと中継ケーブルのケーブル側コネクタとの接続、のいずれかの接続を解除することで、バックアップ電源の供給ラインが切断され、遊技制御部110のRAM112のデータを保持できず、消失することとなる。
【0090】
また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、遊技制御基板101と遊技用電子部品との間のコネクタ接続の解除を規制することで、各種電子部品から不正に信号を取り出し、また、各種電子部品に不正に信号を入力する打ち込み器具の接続を困難としている。具体的には、遊技制御基板101の基板側コネクタと中継ケーブルのケーブル側コネクタとの接続、中継ケーブルのケーブル側コネクタと操作部中継基板107の基板側コネクタとの接続、操作部中継基板107の基板側コネクタと中継ケーブルのケーブル側コネクタとの接続についてこれらコネクタ同士の接続の解除を、コネクタ規制部材によって規制するようになっている。コネクタ規制部材は、規制解除部位を破壊しない限り取り外し不能とされており、遊技制御基板101と投入メダルセンサ44との間のコネクタ接続を解除するためには、解除規制部位を破壊しなければならず、これにより、遊技制御基板101と投入メダルセンサ44との間のコネクタ接続が1つでも解除されると、その痕跡が残るとともに、その痕跡を消すことが極めて困難となっている。
【0091】
また、遊技制御基板101は基板ケースに収容され、該基板ケースに収容された状態にスロットマシン1の本体に取り付けられるとともに、基板ケースを構成する上部ケースの封止片と下部ケースの封止片とを固着することにより、封止片を破壊しなければ、基板ケースを解放し、収容された遊技制御基板101へのアクセスを不能とすることで遊技制御基板101への不正を困難なものとする。もっとも、このままでは、封止片が外部に露呈するため、封止片を破壊して基板ケースを開放することが比較的容易になる。そこで、基板ケースの封止片を覆う被覆部材を取り付け、これにより基板ケースの封止片が被覆部材に被覆され、封止片に直接アクセスすることが不可能となり、封止片を破壊し、上部ケースと下部ケースとを開放して遊技制御基板101を取り出すのに非常に困難な作業を要することとなるため、遊技制御基板101を不正な基板に交換するという不正行為がされるのを防止している。
【0092】
次に、リールモータ3ML、3MC、3MRを構成するステッピングモータについて説明する。リールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータは、例えば、ハイブリッド型ステッピングモータであり、ステータと、これに対向するロータとで構成される。ロータは、多数の歯車状突起を有し、これに回転軸と同方向に磁化された永久磁石が組み込まれている。
【0093】
ステッピングモータは、遊技制御基板101のCPU111からパルス信号(励磁パルス)を受け、ステータの各励磁相φ1?φ4に順次励磁電流が流れて、これらの励磁相φ1?φ4が所定の順序に従って励磁されることによりロータを回転駆動させ、回転軸の回転によりリール3L、3C、3Rを回転させる。ステッピングモータを回転駆動するための制御方法としては、例えば、1-2相励磁方式が適用される。1-2相励磁方式は、励磁相φ1?φ4のうちでパルス信号を入力する励磁相を(φ1,φ2)、(φ1)、(φ4,φ1)、(φ4)、(φ3,φ4)、(φ3)、(φ2,φ3)、(φ2)、(φ1,φ2)…と順次切り替えており、パルス信号を入力する励磁相を1相または2相とすることを交互に繰り返すものとなっている。
【0094】
このように励磁相φ1?φ4に励磁電流を与えるためのパルス信号を入力する度に、ステッピングモータの回転軸は、1ステップずつ回転することとなる。ステッピングモータの回転ステップは、リールモータ3ML、3MC、3MRのそれぞれについてRAM112に設けられたカウンタによりカウントされるものとなる。そして、カウントされているステッピングモータの回転ステップに応じて入力するパルス信号の励磁相をどのように切り替えればよいかが分かるものとなる。
【0095】
また、リール3L、3C、3Rの回転に伴ってリールセンサ3SL、3SC、3SRにより基準位置が検出されると、カウンタの値がクリアされるものとなる。従って、リールモータ3ML、3MC、3MRの回転角度、すなわちリール3L、3C、3Rの図柄位置は、その回転ステップによりカウントされるカウンタの値(ステップ数)を参照すれば分かることとなる。
【0096】
ステッピングモータの回転を停止させる場合には、目標停止位置に合わせて詳細を後述する2相励磁制御によりロータの回転を急制動させた後、後述する3相励磁制御によりロータを停止させる。これにより、リールモータ3ML、3MC、3MRのロータと一体的に結合されているリール3L、3C、3Rの回転を停止させるものである。
【0097】
次に、設定値の変更について説明する。設定キースイッチ92をON状態としてスロットマシン1を起動すると、設定変更モードに移行し、ここでRAM112の格納領域のうち、リールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータのステップ数をカウントするカウンタと使用中スタック領域を除く全ての格納領域を初期化する。設定変更モードにおいて、設定スイッチ91により新たな設定値を設定し、スタートレバー11の操作により新たな設定値を確定させてから設定キースイッチ92をOFF状態とすると、ゲームを実行するための処理を開始させることができる。
【0098】
一方、設定キースイッチ92をOFF状態としてスロットマシン1を起動した場合は、RAM112のデータが壊れているかどうかを診断し、RAM112のデータが壊れていなかった場合、すなわち前回のスロットマシン1の電源をOFFしたときのデータが正常なままで残っている場合には、RAM112に記憶されているデータはそのままとして、前回にスロットマシン1の電源をOFFしたときの状態から、ゲームを実行するための処理を開始させることができる。ゲームを実行するための処理は、1ゲーム毎に繰り返して行われるものとなる。
【0099】
次に、可変表示装置2を構成するリール3L、3C、3Rにおける図柄配列について説明する。図4は、この実施の形態にかかるスロットマシン1において、可変表示装置2を構成するリール3L、3C、3Rに描かれた図柄の配列を示す図である。図示するように、リール3L、3C、3Rの外周部には、それぞれ「赤7」(図中、黒で表示している7)、「青7」(図中、斜線で示している7)、「白7」(図中、白抜きで表示している7)、「BAR」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」、「JAC」、「★」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が、それぞれに21個ずつ所定の順序で描かれている。
【0100】
図面での都合上、これらの図柄はリール3L、3C、3R毎に縦に並べて記載されているが、実際には円筒形のリール3L、3C、3Rの外周部に描かれているものであるため、図柄の配列としては循環しており、20番の図柄と0番の図柄は隣あっている。また、例えば、20番の図柄から4コマを引き込んだ位置にある図柄というのは、3番の図柄ということになる。
【0101】
図示するように、リール3L、3C、3Rの何れについても「JAC」は、互いに5コマ以内の間隔で配置されている。「ベル」は、左のリール3Lについては6コマ間隔で配置されている箇所がある(他の箇所は、5コマ以内)が、中と右のリール3C、3Rについては5コマ以内の間隔で配置されている。「スイカ」は、リール3L、3C、3Rの何れについても、配置間隔が5コマよりも大きくなっている箇所がある。「チェリー」は、右のリール3Rに2つだけしか配置されてなく、互いの配置間隔は、7コマよりも大きくなっている。また、右のリール3Rの各々の「チェリー」の2つ下には、「ベル」が配置されている。
【0102】
「赤7」、「青7」、「白7」、「BAR」は、リール3L、3C、3Rの何れについても、配置間隔が5コマよりも大きくなっている箇所がある(1つのリール上で1個しか配置されていないこともある)。特に左のリール3Lについては、「赤7」と「青7」、「赤7」と「BAR」、「青7」と「白7」の互いの配置間隔が7コマ以上となっている。中のリール3Cについては、「赤7」と「青7」、「青7」と「白7」、「白7」と「BAR」の互いの配置間隔が7コマ以上となっている。右のリール3Rについては、「赤7」と「青7」、「赤7」と「白7」、「青7」と「BAR」の互いの配置間隔が7コマ以上となっている。
【0103】
上記スロットマシン1においては、可変表示装置2の何れかの入賞ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められている。遊技状態としては、通常の遊技状態の他に、特別遊技状態としてのビッグボーナス、チャレンジボーナス、レギュラーボーナスと、通常遊技状態よりもリプレイの当選確率が高くなるRTとがある。
【0104】
また、入賞となる役の種類には、大きく分けて、特別遊技状態への移行を伴う特別役(ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナス)と、メダルの払い出しを伴う小役(スイカ、ベル、チェリー)と、賭け数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役(リプレイ)とがある。図5(a)は、このスロットマシン1において入賞となる役の種類と可変表示装置2における図柄の組み合わせを説明する図である。
【0105】
ビッグボーナスは、通常の遊技状態またはRTにおいて何れかの入賞ラインに「赤7-赤7-赤7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナスに入賞すると、遊技状態がビッグボーナスに移行する。レギュラーボーナスは、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナス以外の遊技状態において何れかの入賞ラインに「BAR-BAR-BAR」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。レギュラーボーナス入賞すると、遊技状態がレギュラーボーナスに移行する。レギュラーボーナスでは、小役(特にベル)の当選確率が他の遊技状態に比べて高くなる。
【0106】
レギュラーボーナスは、12ゲームを消化したとき、または8ゲーム入賞(役の種類は、いずれでも可)したときの何れか早いほうで終了する。ビッグボーナスにおいては、メダルの払い出し枚数が465枚を越えるまで、レギュラーボーナスが繰り返して提供される(ビッグボーナス中の各ゲームの開始時(内部抽選を行う前)にレギュラーボーナスに制御されているかどうかをチェックし、レギュラーボーナスに制御されていなければ、レギュラーボーナスに制御する)。ビッグボーナスが終了した後には、その後の300ゲームの間だけ、遊技状態がRTに制御される(但し、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに入賞するまで)。
【0107】
チャレンジボーナス(A)は、通常の遊技状態またはRTにおいて「青7-青7-青7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。チャレンジボーナス(B)は、通常の遊技状態またはRTにおいて何れかの入賞ラインに「白7-白7-白7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に入賞すると、遊技状態がチャレンジボーナスに移行する(RTのゲームが残っている場合は、RTに併せてチャレンジボーナスに制御される)。チャレンジボーナスは、遊技者に払い出したメダルの枚数が251枚を越えたときに終了する。ここでは、後述するように1ゲーム当たりの最大払出枚数が15枚なので、チャレンジボーナスにおける払出メダル枚数の上限は、266枚となる。
【0108】
遊技状態がチャレンジボーナスにあるときには、右のリール3Rについての最大停止遅延時間が通常の190ミリ秒から75ミリ秒に短縮され、1コマだけの引き込みが許容されるが、内部抽選の結果に関わらずに、スイカ、ベル、チェリーという小役に入賞することが可能になる(すなわち、これらの小役の当選フラグが内部抽選によらずに設定される)。すなわち、内部抽選の結果によらずに、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に応じて小役入賞させることができるものとなる。複数種類の小役の複合入賞(スイカとチェリー、またはベルとチェリー)も可能である。
【0109】
チャレンジボーナスの遊技状態では、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)及びチャレンジボーナス(B)には当選し得ないので、これらの役に入賞することはない。また、レギュラーボーナス及びリプレイは、後述するように、チャレンジボーナスの遊技状態においても内部抽選での当選により当選フラグが設定されていることを条件として、入賞させることができる。
【0110】
但し、チャレンジボーナスにおいて内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスに入賞しなくても、当該当選ゲームの終了を待ってチャレンジボーナスの遊技状態が終了させられる。このようにチャレンジボーナスの遊技状態でレギュラーボーナス入賞した場合は、入賞の前提としてのレギュラーボーナス当選で当該ゲーム限りでチャレンジボーナスが終了させられるので、チャレンジボーナスに併せてレギュラーボーナスの遊技状態に制御されるということはない。
【0111】
なお、後述する内部抽選においてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していても、リール3L、3C、3Rについて「赤7」、「青7」、「白7」、「BAR」は、必ずしも5コマ以内の間隔で配置されている訳ではないので、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順によってはこれらの役に入賞しない場合がある。
【0112】
スイカは、何れの遊技状態においても何れかの入賞ラインに「スイカ-スイカ-スイカ」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、12枚のメダルが払い出される。リール3L、3C、3Rの何れについても「スイカ」は、5コマ以内の間隔で配置されている訳ではないので、スイカに当選していても、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順によっては入賞しない場合がある。
【0113】
ベルは、何れの遊技状態においても何れかの入賞ラインに「ベル-ベル-ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、10枚のメダルが払い出される。左のリール3Lには「ベル」が最大でも6コマ間隔で配置されており、中と右のリール3C、3Rには「ベル」が5コマ以内の間隔で配置されているので、チャレンジボーナス以外の遊技状態で左の停止ボタン12Lを1番目に操作することを条件として、ベルに当選していれば必ず入賞する。ベルの当選時に中のリール3Cの「ベル」を中段に停止させるのであれば、左の停止ボタン12Lを2番目に操作しても、ベルに当選していれば必ず入賞する。
【0114】
チェリーは、何れの遊技状態においても右のリール3Rについて何れかの入賞ラインに「チェリー」の図柄が導出されたときに入賞となり、1入賞ラインについて7枚のメダルが払い出される。チェリーの入賞となる場合は、「チェリー」が右のリール3Rの上段または下段の何れかに停止することとなる(上段または下段に停止させることができないが、中段に停止させることができるという場合はない)ので、合計14枚のメダルが払い出されることとなる。なお、右のリール3Rについて「チェリー」は、7コマ以内の間隔で配置されている訳ではないので、停止ボタン12Rの操作タイミングによってはチェリーに当選していても入賞しないことがある。
【0115】
スイカ、ベル、チェリーの小役は、チャレンジボーナスの遊技状態においては内部抽選の結果によらずに当選フラグが設定されるので、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に応じて入賞させることができるが、メダルの払い出し枚数の多いものから優先される。リプレイ当選している場合でも、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に応じてリプレイよりも優先して、スイカ、ベル、チェリーに入賞させるものとなっている。
【0116】
チャレンジボーナスにおいては、ベルとチェリーの複合入賞も発生し得る。ベルとチェリーの複合入賞(必ず「チェリー」が上段に停止する形となる)の場合、15枚のメダルが払い出される(チェリー×2+ベルでの払い出し枚数は24枚であるが、1ゲーム当たりの払い出しメダル枚数が15枚に制限されているため)。もっとも、チャレンジボーナスの遊技状態においても、ベルとチェリーの複合入賞は、リプレイ当選している場合にしか発生し得ない。
【0117】
レギュラーボーナスの当選によるパンクがないことを前提とすると、チャレンジボーナスの遊技状態におけるゲームを全てチェリーの単独入賞で消化した場合、払い出しメダル総数は、17ゲームの消化時点で238枚であるが、18ゲームの消化時点で252枚となってチャレンジボーナスの遊技状態がギリギリで終了してしまう。17ゲームを消化するまでにベルとチェリーの複合入賞が13回あり、残りのゲームでチェリーに単独入賞すると、払い出しメダル総数は、17ゲームの消化時点で251枚となり、ギリギリでチャレンジボーナスの遊技状態が終了しない。18ゲーム目でベルとチェリーの複合入賞となれば、払い出しメダル総数は、251+15=266枚となり、18ゲーム目でチェリーの単独入賞でも、251+14=265枚となる。
【0118】
なお、チェリーの単独入賞或いはベルとチェリーの複合入賞の他に、スイカまたはベルの単独入賞を経ることでも、払い出しメダル総数を265枚または266枚とすることが可能となるが、この場合には、チャレンジボーナスの終了までに要するゲーム数を増加させてしまい、賭け数の設定に消費するメダルの数も増えてしまうので、獲得メダル枚数が多くなる訳ではない。
【0119】
リプレイは、何れの遊技状態においても何れかの入賞ラインに「JAC-JAC-JAC」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。リプレイ入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭け数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭け数3に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0120】
「JAC」は、リール3L、3C、3Rの全てについて5コマ以内の間隔で配置されている。チャレンジボーナス以外の遊技状態では、停止ボタン12Lの最大停止遅延時間の範囲(4コマの引き込み範囲)内で、左のリール3Lについて「チェリー」を蹴飛ばしつつ「JAC」を上中下段の何れかに停止させることができる。チャレンジボーナスにおいてリプレイ当選している場合、リプレイよりも小役の入賞が優先されるため、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順により小役に入賞し得ない場合に限ってリプレイ入賞するものとなる。リプレイと小役の複合入賞は発生し得ない。
【0121】
RTの遊技状態は、ビッグボーナスの終了後の300ゲームの間継続し、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)の当選や入賞でも終了させられることはない(ビッグボーナス、レギュラーボーナスに当選した場合には、当該ゲーム限りでRTが終了させられる)。チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)の入賞に基づいて遊技状態がRTに併せてチャレンジボーナスにも制御されている間のゲームでも、RTのゲーム数のカウント対象となる。
【0122】
チャレンジボーナスは、RTに併せて制御させることのできる遊技状態であるので、チャレンジボーナスに制御されていないRTと、チャレンジボーナスに制御されているRTとがあることにあるが、以下の説明において「RT」と言った場合には、特に説明がない限り、チャレンジボーナスに制御されていないRTを指すものとする。また、「チャレンジボーナス」と言った場合には、特に説明がない限り、RTに制御されている場合と制御されていない場合の両方を含むものとする。
【0123】
以下、内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するかどうかを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートレバー11の操作時)、決定するものである。内部抽選では、乱数発生回路115から内部抽選用の乱数(0?65535の整数)が取得される。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技者が設定した賭け数と、設定スイッチ91により設定された設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。内部抽選における当選は、排他的なものである。
【0124】
内部抽選では、各役について遊技状態及び設定値毎に登録されている判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、その対象となっている役に当選したものと判定される。当選と判定されると、当該役の当選フラグがRAM112に設定される。判定値数は、ROM113に遊技状態別当選役テーブルに登録されている。内部抽選の結果に応じて設定された当選フラグのうち、特別役の当選フラグは、入賞するまで次のゲーム以降に持ち越される。また、各種小役、再遊技役の当選フラグは、入賞したか否かに関わらずに、当該ゲーム限りで消去される。
【0125】
図5(b)は、遊技状態別当選役テーブルを示す図である。遊技状態別当選役テーブルは、ROM113に予め格納され、内部抽選において遊技状態毎に各抽選対象となる役の判定値数を登録したテーブルである。ここでは、所定の設定値のものだけを示しているが、設定値の違いに応じて微妙に異なる値が登録されている(設定値1?6のうちでは、設定値1が最も判定値数が小さく、設定値6が最も判定値数が大きい(但し、設定値に関わらずに同じ判定値数となっている役もある))。内部抽選においては、複数の役が同時に抽選対象となる場合もある。
【0126】
この遊技状態別当選役テーブルに従って、内部抽選では、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナス、スイカ、ベル、チェリー、リプレイの判定値数が順番に遊技状態に応じて取得される。もっとも、レギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供されるものを含む)の遊技状態に対しては、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの判定値数として0が登録されているため、これらの役に当選することはない。
【0127】
チャレンジボーナスの遊技状態に対しては、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)の判定値数として0が登録されているため、これらの役に当選することはない。レギュラーボーナスの判定値数として136が登録されているため、レギュラーボーナスには当選し得る。また、チャレンジボーナスの遊技状態に対しては、スイカ、ベル、チェリーという小役の判定値数としては0が登録されているが、抽選の結果に関わらずに、これらの役の当選フラグが設定され、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に応じて入賞させることができる。
【0128】
また、通常の遊技状態またはRTでは、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスが抽選の対象となるが、前回以前のゲームでビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選し、その当選フラグが持ち越されているゲームでは、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選となることはない。
【0129】
ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選が持ち越されている状態で、スイカ、ベル、チェリー、またはリプレイに当選したときには、これらの役の当選フラグが、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選フラグに重ねて設定されるものとなる。
【0130】
また、通常の遊技状態、RTにおけるリプレイの判定値数は、それぞれいずれの設定値でも同じとなっている。もっとも、リプレイの判定値数の合計数は、通常の遊技状態では8992であるのに対して、RTでは50604となっている(チャレンジボーナスに併せて制御された場合も同じ)。通常の遊技状態におけるリプレイ当選確率は、おおよそ1/7.3となっているのに対して、RTにおけるリプレイ当選確率は、おおよそ1/1.4となっており、非常に高い確率でリプレイ入賞するものとなっている。
【0131】
このようにリプレイの当選確率が設定されることで、通常の遊技状態では、メダルの払出率が1より小さい(すなわち、賭け数の設定のために投入するメダルの数に対して内部抽選で当選する小役に対して払い出されることとなるメダルの数の方が小さい)が、RTでは、リプレイの当選確率が高くなることにより、メダルの払出率が1より大きくなる(すなわち、賭け数の設定のために投入するメダルの数に対して内部抽選で当選する小役に対して払い出されることとなるメダルの数の方が大きい)。
【0132】
チャレンジボーナスにおけるメダルの払出率は、何れのゲームでも14枚のメダルの払い出しとなるチェリーに入賞をさせることができ、後述するようにリプレイ当選しているときには15枚のメダルの払い出しとなるベルとチェリーの複合入賞をさせることができるので、当然のこととして1よりも大きくなる。また、レギュラーボーナスにおけるメダルの払出率は、非常に高い確率で10枚役のベルに入賞させることができるものとなるので、1よりも大きくなる。なお、ここで説明した遊技状態に応じたメダルの払出率の関係は、設定値が1?6のいずれとなっている場合も同じである。
【0133】
また、上記のようにリプレイの当選確率が設定されることで、チャレンジボーナスにおいて17ゲームを消化するまでにリプレイに当選するゲーム数の期待値は、開始からRTに制御されていないチャレンジボーナスでは17×(8992/65536)≒2.33回であるのに対して、終了までRTに制御されているチャレンジボーナスでは、17×(50604/65536)≒13.12回となる。
【0134】
前述したように、チャレンジボーナスにおける獲得メダル枚数を最大にするためには、17ゲームを消化するまでに13ゲームだけベルとチェリーに複合入賞させ、残りのゲームは全てチェリーに入賞させる(上段または下段での入賞)ものとし、さらに18ゲーム目でベルとチェリーに複合入賞させればよい。開始からRTに制御されていないチャレンジボーナスでは、17ゲームの間にベルとチェリーに複合入賞させるチャンスが得られるリプレイ当選が13ゲームも生じることはほとんど期待できない。
【0135】
これに対して、開始から終了までRTに制御されているチャレンジボーナスでは、17ゲームの間にベルとチェリーに複合入賞させるためのチャンスが得られるリプレイ当選するゲーム数が13ゲーム以上生じることは、十分に期待できる。また、17ゲームの間に13ゲームベルとリプレイに複合入賞させ、残りをチェリーに単独入賞させた場合に、さらに18ゲーム目がベルとチェリーに複合入賞させるためのチャンスが得られるリプレイ当選するゲームとなることも十分に期待できる。
【0136】
次に、リール3L、3C、3Rの停止制御について説明する。可変表示装置2を構成するリール3L、3C、3Rは、スタートレバー11が操作され、且つ前回のゲームにおけるリール3L、3C、3Rの回転開始から所定時間を経過していることを条件に、回転開始される。そして、遊技者によって停止ボタン12L、12C、12Rが操作されると、対応するリール3L、3C、3Rの回転が停止されるものとなる。
【0137】
リール3L、3C、3Rの回転停止は、対応する停止ボタン12L、12C、12Rの操作から190ミリ秒(チャレンジボーナス中の右のリール3Rは75ミリ秒)の最大停止遅延時間の範囲内で当選フラグの設定されている役の図柄を入賞ライン上に揃えるように、また、190ミリ秒(チャレンジボーナス中の右のリール3Rは75ミリ秒)の最大停止遅延時間の範囲内で当選フラグの設定されていない役の図柄を入賞ライン上に揃えないように制御される。
【0138】
チャレンジボーナス以外の遊技状態においては、ビッグボーナス当選フラグ、チャレンジボーナス(A)当選フラグ、チャレンジボーナス(B)当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグが持ち越された状態でリプレイに当選することによってリプレイ当選フラグも重複して設定されているときには、リプレイの図柄を優先して入賞ライン上に揃えるように制御される。停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に関わらずに、リプレイに入賞するので、この場合においてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞することはない。
【0139】
ここで、リプレイに必ず入賞してビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞することがないのは、リプレイに優先して入賞させる停止制御を行うと、リール3L、3C、3Rにおける「JAC」の配列ではリプレイを取りこぼすことがないからそうなっているのであって、リプレイを優先して入賞させる停止制御がリプレイを取りこぼさない停止制御ということを意味するのではない。図4と異なり、「JAC」の図柄間隔が5コマよりも大きくなっている配列であれば、リプレイを優先して入賞させる停止制御でもリプレイを取りこぼすことは生じ得る。
【0140】
ビッグボーナス当選フラグ、チャレンジボーナス(A)当選フラグ、チャレンジボーナス(B)当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグとスイカ当選フラグまたはベル当選フラグが重複して設定されている場合には、「スイカ」または「ベル」を優先して入賞ライン上に揃えるように制御される。停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順により「スイカ」または「ベル」を何れの入賞ライン上にも揃えることができない場合であっても、「赤7」、「青7」、「白7」または「BAR」を入賞ライン上に揃えられる場合には、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞させるためのリール3L、3C、3Rの停止制御を行えるものとなる。
【0141】
もっとも、図4に示す図柄配列では、ビッグボーナス当選フラグ、チャレンジボーナス(A)当選フラグ、チャレンジボーナス(B)当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグとベル当選フラグが重複して設定されている場合に、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞することはない。
【0142】
例えば、左の停止ボタン12Lを1番目に操作した場合には、その操作タイミングに関わらずに、左のリール3Lの上中下段の何れかに「ベル」を停止させることが可能である。その後に停止される中と右のリール3C、3Rについては、「ベル」が5コマ以内の間隔で配置されているため、停止ボタン12C、12Rの操作手順に関わらずに、ベルに入賞することとなる。
【0143】
左の停止ボタン12Lを2番目に操作する場合には、次のようになる。すなわち、1番目に停止されるのが中のリール3Cであれば、リール3Cの中段に「ベル」が停止され、1番目に停止されるのが右のリール3Rであれば、リール3Rの上段または下段の何れかに「ベル」が停止されるものとなっている。2番目に停止される左のリール3Lについては、停止ボタン12Lの操作タイミングに関わらずに「ベル」を上段または下段に停止させることができ、これにより「ベル」をテンパイさせるものとなる。最後に停止される中のリール3Cまたは右のリール3Rについては、「ベル」が5コマ以内の間隔で配置されているため、停止ボタン12Cまたは停止ボタン12Rの操作タイミングに関わらずに、ベルに入賞することとなる。
【0144】
左の停止ボタン12Lを3番目に操作する場合には、先に停止される中と右のリール3C、3Rについては、必ず「ベル」がテンパイさせられている(少なくとも「青7」とはダブルテンパイさせない)。「ベル」がテンパイしている入賞ライン上に左のリール3Lの「ベル」を引き込めない停止ボタン12Lの操作タイミングは、該入賞ライン上に9番の図柄が位置するタイミングだけである。しかし、既に「青7」がテンパイしていないため、そのままの位置で左のリール3Lを停止させても、可変表示装置2の表示結果がハズレとなるだけである。
【0145】
一方、ビッグボーナス当選フラグ、チャレンジボーナス(A)当選フラグ、チャレンジボーナス(B)当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグとスイカ当選フラグが重複して設定されている場合には、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞することがあり得る。
【0146】
ビッグボーナス当選フラグ、チャレンジボーナス(A)当選フラグ、チャレンジボーナス(B)当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグとチェリー当選フラグが重複して設定されている場合には、チェリーに入賞させること、すなわち右のリール3Rに「チェリー」を停止させることが優先される。右のリール3Lに「チェリー」を停止させることができない場合であって、「赤7」、「青7」、「白7」または「BAR」を入賞ライン上に揃えられる場合には、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞させるためのリール3L、3C、3Rの停止制御を行えるものとなる。
【0147】
また、チャレンジボーナスの遊技状態においては、右のリール3Rの最大停止遅延時間が通常の190ミリ秒から75ミリ秒に短縮される(引き込みコマ数が通常の4コマから1コマに制限される)が、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順により、メダルの払い出し枚数の多い役ほど高い優先順位で、小役に入賞させることができる。ここで、スイカの払い出し枚数は12枚、ベルの払い出し枚数は10枚、チェリーの払い出し枚数は14枚(必ず2入賞ラインでの入賞となるので)であるので、チェリーの入賞が優先されることとなる。
【0148】
もっとも、チャレンジボーナスの遊技状態においても、リプレイに当選している場合は、リプレイよりも小役に入賞させることを優先してリール3L、3C、3Rの停止制御が行われるものとなる。そして、チャレンジボーナスの遊技状態においてリプレイ当選している場合に限って、払い出し枚数が15枚でチェリーの単独入賞の場合よりも多いベルとチェリーの複合入賞が発生し得る。
【0149】
例えば、チャレンジボーナスの遊技状態において、右の停止ボタン12Rを1番目に操作する場合を考える(チャレンジボーナス以外の遊技状態では、遊技者は、一般的に左→中→右の順番で停止ボタン12L、12C、12Rを操作する(いわゆる順押しをする)が、チャレンジボーナスの遊技状態では、最大停止遅延時間の短縮されないリール3L、3Cを後から停止させる方が操作が容易であるので、多くの遊技者が右の停止ボタン12Rを1番目に操作する)。
【0150】
チャレンジボーナスの遊技状態において遊技者が右の停止ボタン12Rを1番目に操作した場合、その操作タイミングが10番または11番(或いは、19番または10番)の図柄が右のリール3Rの下段に位置するタイミングであったならば、75ミリ秒の最大遅延時間の範囲内で、13番(或いは、1番)の「チェリー」を上段に停止させ、11番(或いは、20番)の「ベル」を下段に停止させる。その後に停止されている左と中のリール3L、3Cについては、リプレイ当選していれば、「ベル」を下段の入賞ラインまたは右下がりの対角線の入賞ラインに引き込むが、リプレイ当選していない場合には、「ベル」の蹴飛ばし制御を行うものとしている。右の停止ボタン12Rが2番目に操作された場合も、右のリール3Rに「チェリー」が停止していれば、最後に停止されるリールで「ベル」の蹴飛ばしが行われる。
【0151】
また、右の停止ボタン12Rが最後に操作される場合、先に停止されている左と中のリール3L、3Cについては、リプレイ当選していれば、「ベル」が下段の入賞ラインまたは右下がりの対角線の入賞ラインに引き込まれてテンパイしているが、リプレイ当選していない場合には、それ以外の入賞ラインに引き込まれてテンパイしているものとなっている。リプレイ当選している場合には、停止ボタン12Rの操作タイミングによりベルとチェリーの複合入賞が可能であるが、リプレイ当選していない場合には、停止ボタン12Rの操作タイミングに関わらずにベルとチェリーの複合入賞は不可能なものとなっている。
【0152】
なお、上記のリール3L、3C、3Rの停止制御は、当選フラグの設定状況(及び既に停止しているリールに導出された図柄)及び遊技状態(但し、チャレンジボーナス以外では当選フラグの設定状況が同じであれば、遊技状態に応じた違いはない)に応じて未だ停止していないリールの停止操作位置と停止位置との関係を定めた停止制御テーブルを未停止のリールについて予め作成し、停止ボタン12L、12C、12Rがそれぞれ操作されたときに、予め作成された停止制御テーブルを参照して、対応するリールの回転を停止させるものとしている。なお、停止制御テーブルでは、停止操作位置に対して停止位置が一意に定められている。
【0153】
この実施の形態にかかるスロットマシン1では、上記したようにリール3L、3C、3Rの停止制御が行われるが、ボーナスへの移行を伴う特別役として、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの4種類が用意されている。前述したように、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスのそれぞれの図柄組み合わせは、「赤7-赤7-赤7」、「青7-青7-青7」、「白7-白7-白7」、「BAR-BAR-BAR」となっている。
【0154】
ここで、ビッグボーナスとチャレンジボーナス(A)について検討すると、リール3L、3C、3Rの何れについても「赤7」と「青7」の図柄には7コマ以上の配置間隔がある。例えば、左のリール3Lを例にすると、これが1番目に停止されるとしても4コマの引き込み範囲内で「赤7」を上中下段の何れかに停止させることができ、且つ「白7」を上中下段の何れかに停止させることのできる停止ボタン12Lの操作タイミングはない。従って、ビッグボーナスに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とチャレンジボーナス(A)に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とは排他的なものとなる。
【0155】
ビッグボーナスとチャレンジボーナス(B)について検討すると、左と中のリール3L、3Cについては「赤7」と「白7」の配置間隔が7コマよりも小さくなっている箇所があるが、右のリール3Rについては、「赤7」と「白7」の図柄には7コマ以上の配置間隔があるので、ビッグボーナスに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とチャレンジボーナス(B)に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とも排他的なものとなる。
【0156】
チャレンジボーナス(A)とチャレンジボーナス(B)について検討すると、右のリール3Rについては「青7」と「白7」の配置間隔が7コマよりも小さくなっている箇所があるが、左と中のリール3L、3Cについては「青7」と「白7」の図柄には7コマ以上の配置間隔がある。従って、チャレンジボーナス(A)に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とチャレンジボーナス(B)に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とも排他的なものとなる。
【0157】
ビッグボーナスとレギュラーボーナスについて検討すると、中と右のリール3C、3Rについては「赤7」と「BAR」の配置間隔が7コマよりも小さくなっている箇所があるが、左のリール3Lについては「赤7」と「BAR」の図柄には7コマ以上の配置間隔がある。従って、ビッグボーナスに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とレギュラーボーナスに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とも排他的なものとなる。
【0158】
チャレンジボーナス(A)とレギュラーボーナスについて検討すると、左と中のリール3L、3Cについては「青7」と「BAR」の配置間隔が7コマよりも小さくなっている箇所があるが、右のリール3Rについては「青7」と「BAR」の図柄には7コマ以上の配置間隔がある。従って、チャレンジボーナス(A)に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とレギュラーボーナスに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とも排他的なものとなる。
【0159】
チャレンジボーナス(B)とレギュラーボーナスについて検討すると、左と右のリール3L、3Rについては「白7」と「BAR」の配置間隔が7コマよりも小さくなっている箇所があるが、中のリール3Cについては「白7」と「BAR」の図柄には7コマ以上の配置間隔がある。従って、チャレンジボーナス(B)に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とレギュラーボーナスに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とも排他的なものとなる。
【0160】
つまり、ビッグボーナスに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順と、チャレンジボーナス(A)に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順と、チャレンジボーナス(B)に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順と、レギュラーボーナスに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とは、互いに排他的なものとなっている。従って、ビッグボーナスに入賞可能な操作手順で停止ボタン12L、12C、12Rを操作してハズレとなったとしても、ビッグボーナスには当選していないことが分かるのみで、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスに当選しているか否かは分からない。
【0161】
次のゲームでチャレンジボーナス(A)に入賞可能な操作手順で停止ボタン12L、12C、12Rを操作してハズレとなったとしても、チャレンジボーナス(A)にも当選していないことが分かるのみで、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かは依然として分からない。さらに次のゲームでチャレンジボーナス(B)に入賞可能な操作手順で停止ボタン12L、12C、12Rを操作してハズレとなったとしても、チャレンジボーナス(B)にも当選していないことが分かるのみで、レギュラーボーナスに当選しているか否かは依然として分からない。さらに次のゲームでレギュラーボーナスに入賞可能な操作手順で停止ボタン12L、12C、12Rを操作してハズレとなったときに、レギュラーボーナスにも当選していないということが分かる。
【0162】
このように4種類のビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスのそれぞれに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が排他的なものであることから、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していないことが分かる(最初にビッグボーナスを狙ったゲームよりも後からビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスに当選することはあるが、確率的に低いのでこれを無視して考える)までには4ゲームを要することとなる。
【0163】
一方、ベル或いはリプレイに当選しているときには、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れかに当選しているか否かに関わらず、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に関わらずに、必ずベル或いはリプレイに入賞することとなる。従って、ベルまたはリプレイに当選したゲームでは、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れかに入賞可能な操作手順で停止ボタン12L、12C、12Rを操作していたとしても、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスに当選しているかどうかが分かることはない。
【0164】
このようにビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスに当選しているかどうかが分かることのないベルまたはリプレイに当選するゲームが生じる確率は、通常の遊技状態においては(13254+8992)/65536≒1/2.95、RTにおいては(13254+50604)/65536≒1/1.03となっている。
【0165】
なお、スイカ或いはチェリーに当選しているときには、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順によっては、スイカまたはチェリーに入賞しないこともある。もっとも、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していないことが分かる手順は、次に説明するように、非常に限られたものとなっている。
【0166】
例えば、チェリーに当選している場合において、右のリール3Rに「チェリー」を停止させることができないのは、2番?6番、14番または15番の図柄が下段に位置するタイミングで停止ボタン12Rを操作した場合だけである。右のリール3Rが1番目または2番目に停止されて「チェリー」が停止されているなら、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも入賞させないように残りのリール3Lおよび/または3Cの停止制御が行われる。
【0167】
右のリール3Rが3番目に停止される場合に、先に停止される左と中のリール3L、3Cまでで「赤7」、「青7」、「白7」または「BAR」をテンパイしていても、右のリール3Rに「チェリー」を停止させることができず、且つテンパイした図柄を停止させることができるタイミングで停止ボタン12Rを操作しない限り、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスには入賞し得ない。従って、左と中のリール3L、3Cについて「白7」が下段の入賞ラインまたは右下がりの対角線の入賞ラインにテンパイしているときを除いては、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞させることが可能になる引き込みコマ数として4コマが得られなくなる。
【0168】
特にレギュラーボーナスは、左と中のリール3L、3Cについて「BAR」を下段の入賞ラインまたは右下がりの対角線の入賞ラインにテンパイさせ、さらに右のリール3Rについて2番の「BAR」が下段に位置するタイミングで停止ボタン12Rを操作しない限り、入賞し得ない。なお、左と中のリール3L、3Cについて「BAR」を中段の入賞ラインにテンパイさせる態様は、レギュラーボーナスとチェリーの複合入賞(禁止されている)を発生させる虞があるので、禁止目とされている。
【0169】
また、スイカに当選している場合において、遊技者が順押し(停止ボタン12L、12C、12Rを左→中→右の順で操作すること)で停止ボタン12L、12C、12Rを操作した場合に、1番目に停止される左のリール3Lに「スイカ」が停止されないのは、左の停止ボタン12Lの下段に13番または14番の図柄が位置するタイミングだけである。スイカに当選していなければ、「赤7」を左のリール3Lに停止させることができる停止ボタン12Lの操作タイミングの範囲は、9番?18番の図柄が下段に位置する範囲という広い範囲があるのに、僅か2コマの範囲に限られてしまう。
【0170】
また、左のリール3Lに「スイカ」が停止されることが優先されるとすると、「スイカ」とともに「青7」、「白7」または「BAR」を左のリール3Lに停止させることができる停止ボタン12Lの操作タイミングの範囲も、非常に限られたものとなっている。仮に左のリール3Lについて「スイカ」が中段に、「白7」が上段に停止しているものとすると、中のリール停止ボタン12Cを操作する場合に、「スイカ」がテンパイするのを避けつつ、「白7」をテンパイさせることができる停止ボタン12Cの操作タイミングというものはない。
【0171】
このようにビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスとともにスイカまたはチェリーに当選しているときに、遊技者がスイカまたはチェリーの入賞を避けることを全く意識せずにビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスを狙って停止ボタン12L、12C、12Rを操作していると、その狙ったつもりがスイカまたはチェリーに入賞してしまうということになることも非常に多いものとなっている。
【0172】
従って、スイカまたはチェリーに当選した場合は、ベルやリプレイの当選した場合のようにビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が全く分からないようにするとまではいかないが、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が遊技者に分からないようにする効果は、ある程度あることとなる。
【0173】
次に、遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるコマンドについて説明する。遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるコマンドには、少なくとも当選状況通知コマンド、入賞情報コマンド、及び遊技状態コマンドが含まれている。遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるコマンドには、これ以外のコマンドも含まれているが、本発明に直接関わるものではないため、詳細な説明を省略している。
【0174】
当選状況通知コマンドは、RAM112における当選フラグの設定状況を示すもので、スタートレバー11が操作されて内部抽選が行われたときに送信される。入賞情報コマンドは、可変表示装置2の表示結果に応じて発生した入賞の種別を示すもので、可変表示装置2に表示結果が導出されて入賞判定が行われたときに送信される。入賞情報コマンドは、また、チャンス目の導出の有無に関する情報も示すものである。遊技状態コマンドは、次のゲームで適用される遊技状態を示すものであり、1ゲームの終了時において送信される。RTに関しては、残りゲーム数が5ゲーム?1ゲームにあるときには、その残りゲーム数までが遊技状態コマンドで特定できるものとなっている。
【0175】
次に、この実施の形態にかかるスロットマシン1において、演出制御基板102のCPU121により実行される演出の処理について説明する。演出制御基板102のCPU121により実行される演出としては、液晶表示器4への画像の表示による演出、スピーカ7L、7R、7Uからの音声出力による演出、リールランプ3LPや遊技効果ランプ75A?75Mといったランプ類の点灯態様の制御による演出がある。
【0176】
このような演出のうちで液晶表示器4にて行う演出として、例えば、RTの遊技状態が終了したことを報知するRT終了報知演出、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かを示すボーナス当選報知演出がある。ボーナス当選報知演出には、複数ゲームの期間に亘って継続して行われる連続演出と、1ゲーム限りで行われる単ゲーム演出とがある。
【0177】
まず、RT終了報知演出について説明する。前述したように、RTの遊技状態は、ビッグボーナスが終了した後に300ゲームに亘って継続して制御される(但し、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに当選するまで)。一方、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に当選しても、さらにはこれらの役に入賞してチャレンジボーナスに遊技状態が制御されても、RTが終了させられることはない。
【0178】
この実施の形態にかかるスロットマシン1では、300ゲームの消化によりRTの遊技状態が終了したことは、液晶表示器4にて行われるRT終了報知演出によって遊技者に報知される(ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスの当選によるRTの終了は、報知されない)。ここで、チャレンジボーナスの遊技状態に制御されていないゲームでRTの遊技状態が終了させられた場合、或いはチャレンジボーナスの終了と同じゲームでRTの遊技状態が終了させられた場合には、その時点でRT終了報知演出が行われる。チャレンジボーナスの遊技状態に制御されているゲームで、しかも当該ゲームでチャレンジボーナスの終了とならないゲームでRTの遊技状態が終了した場合には、チャレンジボーナスの遊技状態の終了を待って、RT終了報知演出が行われる。
【0179】
また、演出制御基板102の側で行われる演出ではないが、チャレンジボーナスの遊技状態に制御されていないゲームでRTの終了となった場合、或いはチャレンジボーナスの終了と同じゲームでRTの終了となった場合には、遊技制御基板101のCPU111による制御により、当該ゲームの終了時に一定期間だけ遊技の進行(特に次のゲームのための賭け数の設定)が不能となるフリーズ状態に制御されるものとなっている。そして、RT終了報知演出は、このフリーズ状態に制御されている期間において実行されるものとなっている。
【0180】
一方、チャレンジボーナスの遊技状態に制御されているゲームで、しかも当該ゲームでチャレンジボーナスの終了とならないゲームでRTの遊技状態が終了した場合には、フリーズ状態に制御されることはない(すなわち、次のゲームのための賭け数の設定や、さらにはスタートレバー11の操作も行うことができる)。もっとも、チャレンジボーナスの終了時において当該チャレンジボーナスで既にRTが終了されていたのであれば、当該ゲームの終了時にフリーズ状態に制御され、RT終了報知演出が行われる。
【0181】
また、RTの遊技状態は300ゲームの間継続するのに対して、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)の何れかに当選する確率は(136+136)/65536≒1/240.94となっているため、300ゲームのRTが終了するまでにチャレンジボーナスに遊技状態が制御されることが何回か生じ得る(0回の場合もあるし、2回以上の場合もある)。RT終了報知演出においては、RTの開始から終了までの間にチャレンジボーナスに遊技状態が制御された回数も併せて報知するものとしている。
【0182】
次に、ボーナス当選報知演出について詳細に説明する。ボーナス当選報知演出は、通常の遊技状態またはRTにおいて、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに新たに当選したことを契機として開始される。また、これらの役に当選していないときにはボーナス当選報知抽選(例えば、当選確率は、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選する確率の1/3倍?3倍程度)が行われ、これに当選したことを契機として開始される。
【0183】
また、前述したとおり、ボーナス当選報知演出には、連続演出と単ゲーム演出とがある。ボーナス当選報知演出を実行する場合(すなわち、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに新たに当選した場合、ボーナス当選報知抽選に当選した場合)には、実行するボーナス当選報知演出の種別(連続演出と単ゲーム演出の別)を決定する。
【0184】
連続演出には、2、3、4、5ゲームという継続ゲーム数が異なる複数種類のパターン(ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているときのパターン、当選していないときのパターンがそれぞれ複数種類)があり、実行するボーナス当選報知演出の種別として連続演出が選択されると、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かに応じて何れかのパターンが選択される。
【0185】
ボーナス当選報知演出は、通常の遊技状態またはRTにおいて上記の条件が成立したときに開始されるものとなっているが、RT残りゲーム数が5ゲーム以下となっているときには、連続演出の実行に対して、次のような制限が課されている。なお、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに当選したときには、300ゲームの消化を待たずに当該ゲーム限りでRTの遊技状態が終了させられるものとなっているが、ここでのRTの残りゲーム数は、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスの当選がなかったものと仮定した場合に300ゲームの消化でRTが終了させられることとなるゲーム(RTが開始されてから300ゲーム)までの残りゲーム数で判断するものとなっている。
【0186】
まず、RTの残りゲーム数が1ゲームとなったときには、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かに関わらず、全ての連続演出の実行が禁止される(但し、既に行われている連続演出は、そのまま継続して実行)。また、RTの残りゲーム数が2?5ゲームであっても、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していないときには、継続ゲーム数に関わらずに連続演出の実行が禁止される(但し、既に行われている連続演出は、そのまま継続して実行)。これらの場合は、ボーナス当選報知演出として単ゲーム演出の実行しか許容されず、単ゲーム演出でボーナス当選の有無が報知されることとなる。
【0187】
また、RTの残りゲーム数が2?5ゲームのときにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときには、RT残りゲーム数よりも長期間に亘って継続する連続演出の実行が禁止される。例えば、RTの残りゲーム数が3ゲームであるときには、継続ゲーム数が2ゲームまたは3ゲームの連続演出を実行させることはできるが、継続ゲーム数が4ゲームまたは5ゲームの連続演出を実行させることはできない。
【0188】
また、RTの残りゲーム数が2?5ゲームのときにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときに、継続ゲーム数が該残りゲーム数以下であることを条件として行われる連続演出のパターンは、それ以外の場合においては選択され得ないパターンとなっている。すなわち、この期間において行われる連続演出は、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選していることを確定的に示すプレミア連続演出となっている。
【0189】
また、単ゲーム演出にも、複数種類のパターン(少なくともビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているときのパターンが複数種類)あり、実行するボーナス当選報知演出の種別として単ゲーム演出が選択されると、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かに応じて何れかのパターンが選択される。
【0190】
RTの残りゲーム数が1ゲームであるときにビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときに選択される単ゲーム演出のパターンは、それ以外の場合においては選択され得ない単ゲーム演出のパターンであり、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選していることを確定的に示すプレミア単ゲーム演出となっている。
【0191】
ところで、連続演出は、継続ゲーム数が2?5ゲームの何れかのパターンが選択されて実行されるが、入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が排他的なボーナスの種類は4種類ある。このため、継続ゲーム数が2?4ゲームのパターンが選択された場合には、連続演出が終了するよりも前に、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順と可変表示装置2に導出された表示結果とに従って何れの種類のボーナスにも当選していないことが遊技者に分かってしまうことはない。
【0192】
継続ゲーム数が5ゲームのパターンが選択された場合、仮にビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスが他の役に優先して入賞させられるようにリール3L、3C、3Rの停止制御が行われるものとすると、連続演出が終了するよりも前、すなわち4ゲームを消化した時点で何れの種類のボーナスにも当選していないことが遊技者に分かってしまうことがある。
【0193】
もっとも、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスよりもリプレイ、小役の入賞を優先してリール3L、3C、3Rの停止制御を行っている。特にベルまたはリプレイに当選していれば、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していても(当選の持ち越し)、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに入賞することはない。
【0194】
ここで、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの入賞が優先されるなら何れにも当選していないことが分かってしまうまでの4ゲームの間にベルまたはリプレイに当選するゲーム数の期待値は、RTの遊技状態では、3×(13254+50604)/65536≒2.92ゲーム、通常の遊技状態でも、3×(13254+8992)/65536≒1.02ゲームである。このゲーム数分は、何れの種類のボーナスについても当選していないことが判明することがないので、連続演出を終了するよりも前、すなわち4ゲームを消化するよりも前に全ての種類のボーナスに当選していないことが判明することは少ないものとなっている。
【0195】
演出制御基板102のCPU121は、上記のようにボーナス当選報知演出を行うため、まず、遊技制御基板101から当選状況通知コマンドを受信すると、前回以前のゲームで開始された連続演出が未だ規定のゲーム数を消化していない場合を除いて、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているかどうかを判断する。何れかに当選していれば、前回のゲームの終了時に受信した遊技状態コマンドに基づいて、ボーナス当選報知演出の種別を連続演出とするか単ゲーム演出とするかを決定し、実行すべき演出のパターンを選択する(選択されるのは、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナス当選時のパターンに限る)。
【0196】
ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していなければ、ボーナス当選報知抽選を行い、これに当選していれば、前回のゲームの終了時に受信した遊技状態コマンドに基づいて、ボーナス当選報知演出の種別を連続演出とするか単ゲーム演出とするかを決定し、実行すべき演出のパターンを選択する(選択されるのは、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナス非当選時のパターンに限る)。
【0197】
CPU121は、演出のパターンが選択されると(この選択までは、ゲームの開始時に行われる)、選択したパターンに応じた画像を液晶表示器4に表示してボーナス当選報知演出を開始させる。ボーナス当選報知演出の種別が単ゲーム演出であれば、当該ゲームの終了時(遊技状態コマンドの受信により判断)に表示させる画像において、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているかどうかを遊技者に報知する。
【0198】
一方、前回以前のゲームで開始された連続演出が未だ規定のゲーム数を消化していない場合には、CPU121は、新たなゲームが開始されると(当選状況通知コマンドの受信により判断)、選択されていたパターンの連続演出の続きの画像を液晶表示器4に表示させるものとなる。ゲームの終了時において、当該ゲームで選択していた連続演出のゲーム数を消化していると、液晶表示器4への画像の表示により、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているかどうかを遊技者に報知する。
【0199】
なお、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していないでボーナス当選報知抽選に当選することにより連続演出が開始された後、該連続演出が終了するよりも前に新たにビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選することがある。この場合、CPU121は、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していないときに選択されていたパターンのままで最後まで連続演出を継続させる。
【0200】
連続演出の終了時におけるビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選状況に応じた報知が選択されたパターンでのゲーム数を消化した時点で行われた後、CPU121は、例えば、次のゲームが開始された(当選状況通知コマンドにより判断)、或いは次のゲームのための賭け数が設定されたときに、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していることを液晶表示器4への画像の表示などにより、遊技者に報知するものとすることができる。
【0201】
以上説明したように、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態として、ビッグボーナス、チャレンジボーナス及びレギュラーボーナスの他に、ビッグボーナスの終了後に300ゲームの間だけ制御されるRTがある。ビッグボーナス、チャレンジボーナス、及びレギュラーボーナスは、それぞれビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)、並びにチャレンジボーナスに入賞することにより制御されるが、これらの役には、通常の遊技状態に制御されているときだけではなく、RTに制御されているときにも当選し得る(レギュラーボーナスについては、さらにチャレンジボーナスに制御されているときにも)。
【0202】
ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選フラグは、実際に入賞するまで持ち越されることとなる。ここで、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに当選した場合には、当該ゲーム限りでRTの遊技状態が終了させられ、次のゲームからは通常の遊技状態となるので、なるべく早くこれらの役に入賞させた方が、遊技者にとって得られる利益が大きくなる。
【0203】
一方、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に当選した場合には、これらの役に入賞させてもRTの遊技状態は終了させられない。チャレンジボーナスで消化するゲーム数が同じであると仮定した場合、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に何時入賞させても、チャレンジボーナスに制御されていないRTのゲーム数はトータルで同じとなるが、チャレンジボーナスとしても、RTに併せて制御されている場合の方がRTに制御されていない場合よりも遊技者にとって有利なものとなる。従って、この場合も、なるべく早くこれらの役に入賞させた方が、遊技者にとって得られる利益が大きくなる。
【0204】
通常の遊技状態またはRTに制御されているときには、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かを示す情報が報知されるボーナス当選報知演出が行われるが、このボーナス当選報知演出として、2?5ゲームの期間において継続し、その継続ゲームにおける最終ゲームでこれらの役に当選しているか否かを示す情報が報知される連続演出がある。ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かは、遊技者の利害得失に大きく関わるものであり、遊技者にとって最も知りたい情報の一つとなっているので、ボーナス当選報知演出が実行されると、当然のこととして、遊技者が実行されているボーナス当選報知演出に気をとられることとなる。
【0205】
ところで、遊技者にとって有利な遊技状態の一つであるRTは、300ゲームを消化したときに終了するものとなっているので、その終了タイミングは、本来、遊技者にとってはっきりとしたものとなっている筈である。しかし、遊技者がボーナス当選報知演出(特に連続演出)に気をとられてしまうこととなると、RTの終了が遊技者にとって分かりにくくなってしまう虞がある。
【0206】
これに対して、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、RTの残りゲーム数が1ゲームとなったときには、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かに関わらず、全ての連続演出の実行が禁止されるものとなっている。また、RTの残りゲーム数が2?5ゲームであっても、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していないときには、継続ゲーム数に関わらずに連続演出の実行が禁止されるものとなっている。さらに、RTの残りゲーム数が2?5ゲームのときにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときでも、RT残りゲーム数よりも長期間に亘って継続する連続演出の実行が禁止されるものとなっている。
【0207】
このような条件で連続演出の実行を禁止することで、RTの終了タイミング(ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに当選している場合には、その当選がないものとした場合にRTが終了するタイミング)に跨って連続演出が実行されるということがなくなる。これにより、遊技者が連続演出に気をとられていてRTの終了が分かりにくくなってしまうということを防ぐことができる。また、これとは逆に遊技者がRTの終了に気をとられてしまい、その演出内容が分かるように連続演出を遊技者に見せることができなくなってしまうということが生じないで済むものとなる。また、RTの終了が近づいている(残り5ゲーム以内となっている)ときには、実際にはビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していないのに、遊技者が連続演出に気をとられてRTの終了(が近づいていること)が分かりにくくなってしまうということを防ぐことができる。
【0208】
また、RTの残りゲーム数が5ゲーム以下となっていると、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していなければ全ての連続演出が禁止されるのに対して、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していれば、RTの残りゲーム数よりも継続ゲーム数が小さいことを条件とするものの連続演出は実行され得る。
【0209】
このようにRTの残りゲーム数が5ゲーム以下となってからも連続演出が実行され得るものとすることで、ボーナス当選報知演出に意外性を持たせることができる。また、RTの残りゲーム数が5ゲーム以下となってから連続演出が行われたということは、これ自体が最後まで演出が実行されなくてもビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選を遊技者に認識させるものとなり、演出のプレミア性を高めさせることができる。
【0210】
一方、上記のようにビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しても連続演出の実行が禁止されてしまうことがあるが、その場合、これらの役の当選は、単ゲーム演出にて報知され得るものとなっている。このため、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選したのに、その旨を示す情報が遊技者に報知されなくなってしまうという不都合を生じさせずに済むものとなる。
【0211】
また、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選して連続演出の実行が禁止された場合において、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選を報知すべく行われる単ゲーム演出のパターンは、それ以外の期間においては選択され得ないパターンとなっている。これにより、RTの最終ゲームで行われる単ゲーム演出にプレミア性を持たせることができるようになる。
【0212】
また、RTの残りゲーム数が5ゲーム以下の場合において、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選し、且つ継続ゲーム数がRTの残りゲーム数以下であることを条件として行われる連続演出のパターンは、それ以外の期間においては選択され得ないパターンとなっている。これにより、RTの残りゲーム数が5ゲーム以下となってから行われる連続演出のプレミア性をさらに高めさせることができる。
【0213】
また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れかに当選しているときには、それぞれ停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に応じてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスのうちの当選しているものに入賞させることができる(但し、ベルまたはリプレイにも当選しているときには、入賞し得ない)。
【0214】
もっとも、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの各々に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順は互いに排他的なものとなっている。例えば、ビッグボーナスに入賞させるための操作手順で停止ボタン12L、12C、12Rを操作してビッグボーナスに入賞しなかったとしても、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスには当選している可能性がある。
【0215】
中途でビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスに当選する場合を除外して考えても、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順と可変表示装置2に導出された表示結果とに基づいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れにも当選していないことが判明するには、少なくとも4ゲームを要することとなる。
【0216】
さらに、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れかの当選が持ち越された状態でリプレイに当選した場合には、停止ボタン12L、12C、12Rを如何なる手順で操作したとしても、必ずリプレイに入賞する。また、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れかの当選が持ち越された状態でベルに当選した場合には、ほぼベルに入賞するが、ベルの入賞を取りこぼしたとしてもビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスには入賞し得ない。従って、ベルまたはリプレイに当選したときには、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れかに当選しているかどうかが遊技者に分かることはない。
【0217】
ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスに当選した場合を含む連続演出の開始条件が成立した場合には、そこから最大で5ゲームの期間に亘って液晶表示器4において連続演出が実行されるが、この連続演出が実行されている期間においてベル、リプレイに当選するゲームが生じ得る。連続演出の実行中にベル、リプレイに当選すれば、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れにも当選しているかどうかは分からない。
【0218】
ここで、連続演出の継続ゲーム数として最大の5ゲームが選択された場合、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が排他的なボーナスの種類数よりも長く連続演出が継続することとなるが、ベルまたはリプレイの当選時にはビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの入賞が完全に阻害されるため、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に関わらずに、これらの何れかについて当選していないことが分かることはない。
【0219】
連続演出の継続ゲーム数として2?4ゲームが選択された場合には、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が排他的なボーナスの種類数だけで4あるので、4回の内部抽選の間でベルまたはリプレイの何れかに当選するゲーム数の期待値と停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が排他的なボーナスの種類数を加算した数よりも、当然のこととして小さくなる。
【0220】
このように連続演出の継続ゲーム数として、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの種類数である4以下の2?4ゲームが選択された場合だけでなく、この種類数よりも大きな5ゲームが選択されたとしても、この間にベルまたはリプレイに当選するゲーム数の期待値を考えれば、計算上の割合では連続演出が終了する前にビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの全てに当選していないことが判明してしまうことがない。このため、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れにも当選していないことが判明した後に実行される連続演出で遊技者を煩わせずに済むものとなる。
【0221】
さらに、連続演出の実行されている間にベルまたはリプレイに当選するゲーム数の期待値の分だけ、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの種類数よりも連続演出の継続ゲーム数を長くして、ボリュームの大きな連続演出を実行させることができている。選択可能な連続演出のボリュームを増大させるために、ボーナスの種類数をむやみに増やす必要がないので、リール3L、3C、3Rにおける図柄配列の制約の問題や、リール3L、3C、3Rの停止制御の複雑化といった問題が生じることもない。
【0222】
また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、ビッグボーナスの遊技状態が終了した後には、その後の300ゲームの間、遊技状態がRTに制御されるものとなっている。RTの遊技状態は、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに当選したときには、そこで終了させられるものとなっているが、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に当選し、これに基づいて入賞したときには、RTに併せてチャレンジボーナスに遊技状態が制御されるものとなっている。
【0223】
従って、RTの終了条件(ゲーム数)とチャレンジボーナスの終了条件(払い出しメダル総数)は全く別個にカウントされるので、RTにおいてチャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に入賞してチャレンジボーナスに制御されたときには、RTの終了条件(300ゲームの消化)は成立しているが、チャレンジボーナスの終了条件(251枚を越えるメダルの払い出し)は成立していないことがある。
【0224】
また、RTは、300ゲームという比較的長く続く遊技状態であり、他の遊技状態との差はリプレイ当選確率の差しかないため、RTの遊技状態が終了したことは、遊技者に一目瞭然という訳にはいかない。特にチャレンジボーナスにおいてリプレイ当選しても小役の入賞の方が優先されるため、チャレンジボーナス中にRTの遊技状態が終了したことは、遊技者にとって非常に分かりにくい。液晶表示器4にて行われるRT終了報知演出で遊技者に報知されるものとなっている。
【0225】
ここで、RTの終了時においてチャレンジボーナスに遊技状態が制御されていない(当該ゲーム限りでチャレンジボーナスの遊技状態が終了し、次のゲームはチャレンジボーナスとならない場合を含む)場合には、RTの遊技状態が終了したゲームでRT終了報知演出が行われる。一方、RTの終了時においてチャレンジボーナスに遊技状態が制御されている(すなわち、次のゲームにおける遊技状態もチャレンジボーナス)場合には、当該チャレンジボーナスの終了を待ってから、RT終了報知演出が行われるものとなっている。
【0226】
このため、RT終了報知演出によりRTの終了が遊技者に報知されることによって、遊技者に有利な遊技状態そのもの、つまりRTばかりでなくチャレンジボーナスまで終了されてしまうものと遊技者に誤解されることがない。また、RT終了報知演出がチャレンジボーナスの終了まで行われることはないので、チャレンジボーナスが継続している最中における遊技状態の変化の報知で遊技者に違和感を与えてしまうといったこともない。しかも、チャレンジボーナス中にRTが終了しても遊技者にとっては非常に分かりにくいので、RT終了報知演出をチャレンジボーナスの終了時に行うものとすることで、遊技者は、通常の遊技状態であるかRTであるかを意識することなく、遊技を進めることができる。
【0227】
この場合には、チャレンジボーナスに遊技状態が制御されていないときに300ゲームの消化によりRTが終了したときには、一定期間だけフリーズ状態に制御されて次のゲームを開始させることができなくなるが、このフリーズ状態の間にRT終了報知演出が行われるため、RTの終了が遊技者により分かり易くなる。一方、チャレンジボーナスに遊技状態が制御されていないときに300ゲームの消化によりRTが終了したときには、フリーズ状態に制御することがないので、すぐに次のゲームを開始させることができる。もっとも、チャレンジボーナス中に既にRTが終了していて、チャレンジボーナスの終了時にRT終了報知演出が行われる場合も、フリーズ状態に制御されて、この間にRT終了報知演出が行われるので、RTが終了していたことが遊技者により分かり易くなる。
【0228】
また、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)の当選でRTが終了させられないだけではなく、これらの役の入賞によってもRTが終了させられることはないので、RTが遊技者にとっていっそう有利な遊技状態となり、300ゲーム分の利益を確実に得ることができるものとなる。そして、RTが遊技者にとっていっそう有利な遊技状態となることから、チャレンジボーナスだけで単純に利益を得ようとするよりRTまでを含めた利益を得るという遊技性を実現することができる。
【0229】
また、RT中にチャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に入賞することにより、RTに併せてチャレンジボーナスにも制御されている場合でも、リプレイ当選したときにはリプレイよりも小役に優先して入賞させられるものとなる。ここで、チャレンジボーナスの遊技状態は、払い出しメダル総数によって終了させられるため、リプレイよりも小役に優先して入賞させることで、チャレンジボーナスを消化するまでのゲーム数を少なくすることができる。
【0230】
そして、RTの遊技状態が終了した後に行われるRT終了報知演出では、当該RTでチャレンジボーナスに遊技状態が制御された回数も報知されるものとなっている。これにより、RTの開始から終了までの間に遊技者がどの程度の利益を得たのかが分かり易くなる。また、RTにおいてチャレンジボーナスに制御される回数の期待値は、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に当選してから入賞するまでのゲーム数が少ないほど、或いはチャレンジボーナスを終了するまでの消化ゲーム数が少ないほど(すなわち、チャレンジボーナスにおいて払い出しメダル枚数の大きい役に入賞させるほど)大きくなる。このようにRTにおいてチャレンジボーナスに制御される回数にも遊技者の技術介入性が働くので、RT中におけるチャレンジボーナスの回数を報知することによって、遊技における目標を遊技者に与えることができる。
【0231】
また、チャレンジボーナスの遊技状態は、内部抽選の結果(リプレイ当選を含めて)に関わらずに、且つ他の如何なる役にも優先して停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に応じて小役に入賞させることのできる遊技状態であるが、小役の単独入賞では、最も払い出しメダル枚数が多くなるチェリーの入賞であっても、1ゲーム当たりに14枚のメダルしか払い出されない。仮にチェリーの単独入賞だけでチャレンジボーナスを消化したとすると、18ゲームの消化時点で払い出しメダル総数が終了条件をギリギリで越える252枚となってしまう。
【0232】
従って、チャレンジボーナスで17ゲームを消化するまでにチェリーの単独入賞よりも多くのメダルが払い出されることとなるベルとチェリーの複合入賞が13回以下の範囲であれば(複合入賞が13回を越えると17ゲームで終了してしまう)、複合入賞した回数だけ遊技者がチャレンジボーナスにおいて獲得できるメダルの枚数が多くなることとなる。もっとも、このベルとチェリーの複合入賞は、チャレンジボーナスにおいてリプレイ当選しているときにしか生じ得ない。
【0233】
ここで、RTに制御されているときのチャレンジボーナスでは、17ゲームの間にリプレイ当選するゲーム数の期待値が13.12であるので、チャレンジボーナスで遊技者が獲得可能な最大枚数(266-3×18)=212枚を獲得することも十分に期待できる。これに対して、RTに制御されていないときのチャレンジボーナスでは、17ゲームの間にリプレイ当選するゲーム数の期待値が2.33しかないので、獲得可能な最大枚数を遊技者が獲得することは、ほとんど期待できるものではない。
【0234】
このようにリプレイよりも小役の入賞を優先させるとともに、リプレイ当選していることを条件として1ゲーム当たりで最大の払い出し枚数が得られるベルとチェリーの複合入賞を可能にすることによって、RTに制御されているか否かに応じてチャレンジボーナスにおいて遊技者が獲得可能な利益に差を生じさせることができるので、実質的にも両者の遊技性を異ならせることができ、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0235】
また、設定値を変更することによって遊技制御基板101のRAM112が初期化されるが、リールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータのステップ数をカウントするためのカウンタの値は初期化されない。このため、設定値の変更後においてもCPU111が把握するリールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータのステップ数(RAM112のカウンタでカウントされているステップ数)が実際のステップ数と異なることがなく、パルス信号の励磁相が異なってリール3L、3C、3Rが滑らかに回転開始ができずに設定値の変更がされていることが遊技者に察知されてしまうということを防ぐことができる。
【0236】
また、満タンセンサ90によりオーバーフロータンクの満タンが検出されているかどうかを1ゲームに1回ずつチェックし、満タンが検出されている場合には、満タンエラーに制御する。もっとも、前回のゲームでリプレイ入賞していた場合(すなわちRAM112にリプレイゲーム中フラグが設定されている場合)には、このチェックを行っていない。前回のゲームでリプレイ入賞していた場合は、遊技者がメダルを投入せずに賭け数が設定されるので、発生可能性の低い満タンエラーのチェックを省くことで遊技制御基板101の制御部110にかかる負荷を小さくすることができる。
【0237】
また、外部出力基板105は、スタートレバー11の操作時にまとめてメダルIN信号を出力するものとしている。賭け数として設定するメダルの投入の度にメダルIN信号を出力するものとした場合には、精算ボタン16の操作により既に設定した賭け数がキャンセルされると、出力したメダルIN信号の取消が必要となってしまう。また、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15の操作によりクレジットから賭け数を設定した場合と、メダル投入口13からメダルの現物を投入して賭け数を設定した場合とで、メダルIN信号を出力するためのプログラムが別々に必要になってしまう。この実施の形態にかかるスロットマシン1のようにスタートレバー11の操作時にまとめてメダルIN信号を出力することで、このような不都合が生じるのを防ぐことができる。
【0238】
一方、外部出力基板105は、ホッパー80からメダルを1枚払い出す度にメダルOUT信号を出力するものとしている。仮に小役入賞に基づいてメダルを払い出すときに、払い出すメダルの数だけメダルOUT信号をまとめて出力するものとした場合には、ホッパー80においてメダル切れエラーが発生したときなどに、実際に払い出されたメダルとの間に誤差が生じてしまう。また、メダルの払い出しの終了時に払い出したメダルの数だけメダルOUT信号をまとめて出力するものとした場合には、次のゲームが開始されてからもメダルOUT信号の出力が継続されているという可能性が生じる。この実施の形態にかかるスロットマシン1のようにホッパー80からメダルを1枚払い出す度にメダルOUT信号を出力することで、このような不都合が生じるのを防ぐことができる。
【0239】
また、遊技の進行状況に応じて、各種のコマンドが遊技制御基板101から演出制御基板102へと送信されるものとなっているが、遊技制御基板101のRAM112に設けられたコマンド送信バッファよりも、演出制御基板102のRAM122に設けられたコマンド受信バッファの方が容量が大きくなっている。このため、遊技制御基板101から一度に大量のコマンドが送られてきても、演出制御基板102の側では未処理のコマンドを十分に貯めておくことができるので、演出制御基板102のCPU121が処理しきれないコマンドが生じ、演出の実行に支障が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0240】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
【0241】
上記の実施の形態では、連続演出の継続ゲーム数として2?5ゲームまでの4種類のものが用意されていたが、最大の継続ゲーム数が停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が排他的なボーナスの種類数と連続演出中にベルまたはリプレイの何れかに当選するゲーム数の期待値を加算した数以下でありさえすれば、これら4種類のものに限るものではない。継続ゲーム数が停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が排他的なボーナスの種類数と連続演出中にベルまたはリプレイの何れかに当選するゲーム数の期待値を加算した数以下であるならば、連続演出の継続ゲームとして1種類だけが用意されているのであっても構わない。
【0242】
上記の実施の形態では、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かに関わらずに連続演出の実行が禁止されるのは、RTの残りゲーム数が1ゲームとなったときだけであった。しかしながら、RTの残りゲーム数がビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選していないときに限って連続演出の実行が禁止される5ゲームよりも少ない所定ゲーム数(2、3または4ゲーム)以下となったならば、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かに関わらずに連続演出の実行を禁止してもよい。
【0243】
例えば、RTの残りゲーム数が2ゲーム以下となったときにビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かに関わらずに連続演出の実行が禁止されることとなる場合には、RTの残りゲーム数が2ゲーム以下となったならば、単ゲーム演出でのみビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かを報知するものとすればよい。ここで、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選していてRTの残りゲーム数が2ゲーム以下となったときに実行される単ゲーム演出は、プレミア単ゲーム演出とすることができる。
【0244】
この場合も、RTの終了タイミングに跨って連続演出が実行されることがないので、遊技者にとってRTの終了が分かりにくくなったり、RTの終了に気をとられて遊技者に連続演出を実質的に見せることができなくなってしまうという問題を生じさせずに済むものとなる。一方、RTの残りゲーム数が所定ゲーム数(例えば、2ゲーム)以下となったときに、連続演出の実行を全面的に禁止したとしても、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選は、単ゲーム演出にて示すことができる。
【0245】
これにより、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選したのに、その旨を示す情報が遊技者に報知されなくなってしまうという不都合を生じさせずに済むものとなる。さらに、このような場合の単ゲーム演出をプレミア単ゲーム演出とすることで、演出のプレミア性を高めさせることができる。
【0246】
上記の実施の形態では、RTの残りゲーム数が1ゲームのときには、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているか否かに関わらずに全面的に連続演出の実行が禁止されたが、RTの残りゲーム数が2?5ゲームのときには、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していなければ、連続演出の実行が禁止されたものの、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選していれば、RTの残りゲーム数よりも継続ゲーム数が大きい連続演出の実行が禁止されるだけであった。
【0247】
これに対して、RTの残りゲーム数が5ゲーム以下となったときには、当該RTが終了して通常の遊技状態となるまで、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているか否かに関わらずに全面的に連続演出の実行を禁止するものとしてもよい。そして、RTの残りゲーム数が5ゲーム以下となったならば、単ゲーム演出でのみビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているか否かを報知するものとすればよい。ここで、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選していてRTの残りゲーム数が5ゲーム以下となったときに実行される単ゲーム演出は、プレミア単ゲーム演出とすることができる。
【0248】
この場合も、RTの終了タイミングに跨って連続演出が実行されることがないので、遊技者にとってRTの終了が分かりにくくなったり、RTの終了に気をとられて遊技者に連続演出を実質的に見せることができなくなってしまうという問題を生じさせずに済むものとなる。一方、RTの残りゲーム数が5ゲーム以下の期間で連続演出の実行を全面的に禁止したとしても、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選は、単ゲーム演出にて示すことができる。
【0249】
これにより、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選したのに、その旨を示す情報が遊技者に報知されなくなってしまうという不都合を生じさせずに済むものとなる。さらに、このような場合の単ゲーム演出をプレミア単ゲーム演出とすることで、演出のプレミア性を高めさせることができる。
【0250】
上記の実施の形態では、RTの残りゲーム数が5ゲーム以下のときには、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選していても、RTの残りゲーム数を越えるゲーム数の連続演出の実行が禁止されていた(RTの残りゲーム数が1ゲームのときは、連続演出が全面禁止される)。しかしながら、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているのであれば、RTの残りゲーム数を越えるゲーム数の連続演出を実行できるものとしてもよい。この場合に実行される連続演出は、プレミア連続演出とすることができる。
【0251】
この場合、RTの残りゲーム数が4ゲーム以下となり、それよりも継続ゲーム数が大きい連続演出が実行された場合には、RTの終了タイミング(ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスの当選時には、これらの当選がなかったと仮定した場合におけるRTの終了タイミング)に跨って連続演出が実行される可能性がある。もっとも、前述したとおり、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに当選している場合も、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に当選している場合も、早期に入賞させてしまった方が遊技者にとって有利なものとなる。
【0252】
従って、RTの終了タイミングを跨る連続演出によりRTの終了が分かりにくくなったとしても、遊技者は、直ぐにビッグボーナスまたはレギュラーボーナス、若しくはチャレンジボーナスの遊技状態における遊技を行うこととなるので、大きな不都合が生じることはない。さらに、分かりにくくなったRTの終了タイミングでも遊技者がこれを認識できるのなら、RTの終了タイミングを跨る連続演出は、これ自体が最後まで演出が実行されなくてもビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選を遊技者に認識させるものとなり、演出のプレミア性を高めさせることができる。さらに、プレミア連続演出とすることで、演出のプレミア性をいっそう高めさせることができる。
【0253】
上記の実施の形態では、RTの残りゲーム数が2?5ゲームのときにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときには、RTの残りゲーム数よりも長期間に亘って継続する連続演出の実行を禁止するものとしていたが、RTの残りゲーム数と同じ継続ゲーム数の連続演出の実行を禁止するものとしてもよい。この場合には、RTが終了するゲームが開始されるまでには連続演出の実行が終了していることとなるので、上記した効果をより確実に得ることができるものとなる。
【0254】
上記の実施の形態では、RTの残りゲーム数が2?5ゲームのときにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときに行われる連続演出は、他の期間の連続演出とは異なるパターンのプレミア連続演出となっており、また、RTの残りゲーム数が1ゲームのときにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときに行われる単ゲーム演出は、他の期間の単ゲーム演出とは異なるパターンのプレミア単ゲーム演出となっていた。
【0255】
しかしながら、これらのプレミア連続演出やプレミア単ゲーム演出は、それぞれRTの残りゲーム数が2?5ゲームのときやRT残りゲーム数が1ゲームのとき以外でも実行される演出であってもよい。また、RTの残りゲーム数が2?5ゲームのときにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときでもプレミア連続演出以外のパターンで連続演出を実行しても、RTの残りゲーム数が1ゲームのときにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときでもプレミア単ゲーム演出以外のパターンで単ゲーム演出を実行するものとしてもよい。
【0256】
もっとも、RTの残りゲーム数が2?5ゲームのときにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときにプレミア連続演出が実行される確率は、それ以外の期間においてプレミア連続演出が実行される確率よりも高くすることが好ましい。同様に、RTの残りゲーム数が1ゲームのときにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときにプレミア単ゲーム演出が実行される確率は、それ以外の期間においてプレミア単ゲーム演出が実行される確率よりも高くすることが好ましい。
【0257】
さらに、プレミア単ゲーム演出は、RTの残りゲーム数が1ゲームのときにおいて実行される場合に限られず、RTの残りゲーム数が5ゲーム以下となってビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選しているときに単ゲーム演出を実行するなら、これをプレミア単ゲーム演出とするものとしてもよい。RTの残りゲーム数が5ゲーム以下となってから、RTの残りゲーム数が少なくなるほどに、プレミア単ゲーム演出が実行される確率が高くなるものとしてもよい。
【0258】
上記の実施の形態では、通常の遊技状態またはRTにおいてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れかに新たに当選することか、これらの何れにも当選していないときにおいてボーナス当選報知抽選に当選したことを契機として、ボーナス当選報知演出を行うものとしていた。しかしながら、ボーナス当選報知演出を行う契機は、これに限られるものではない。
【0259】
例えば、チェリーは、右のリール3Rに「チェリー」の図柄が停止されることで入賞となる役であるが、このチェリーに当選しているときと、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選しているときとに限って、左のリール3Lに「チェリー」の図柄が停止し得るものとし、リール3L、3C、3Rの全てが停止していない時点においても、いわゆるチャンス目が導出され得るものとしてもよい。
【0260】
ここで、右のリール3Rよりも先に左のリール3Lが停止され、その上中下段の何れかに「チェリー」の図柄が停止されたときに、これを契機としてボーナス当選報知演出を行うものとしてもよい。チェリーが同時当選役である場合には、右のリール3Rよりも後に左のリール3Lが停止され、その上中下段の何れかに「チェリー」の図柄が停止されたときも、ボーナス当選報知演出を行うものとしてもよい。
【0261】
なお、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選したときに、これらに入賞するまで内部中RTに遊技状態を制御するものとし(但し、RTに制御されている場合を除く)、右のリール3Rに「チェリー」の図柄が導出されたときにも、その後の所定ゲーム数(例えば、連続演出の最大継続ゲーム数である5ゲーム)の間だけ、演出用RTに遊技状態を制御するものとしてもよい(但し、既にRT、内部中RTまたは演出用RTに制御されている場合を除く)。
【0262】
内部中RTと演出用RTとは、終了条件以外は同一のものとすることができるが、ここでのリプレイ当選確率は、通常の遊技状態と実質的な差異がない(例えば、リプレイの判定値数を8993とする)ものとしてもよい。また、内部中RTまたは演出用RTに制御されているときには、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)及びレギュラーボーナスの何れにも当選していないことを条件として導出され得るハズレ目を導出させないものとすることができる。
【0263】
また、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)および/またはレギュラーボーナスとの同時当選も単独当選もし得る小役またはリプレイ(同時当選役)がある場合に、同時当選であるか単独当選であるかに関わらず当該同時当選役に当選したこと(或いは入賞したこと)を契機としてボーナス当選報知演出を行うものとしてもよい。
【0264】
なお、ボーナス当選報知演出の開始される契機を可変表示装置2の表示結果が確定する前に導出され得るチャンス目の導出や、同時当選役の当選としている場合において、これらを契機として開始された連続演出の実行中にさらにチャンス目の導出や同時当選役の当選があった場合には、連続演出のパターンを実行中の連続演出のパターンとは異なるパターンに変更するものとしてもよい。
【0265】
ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選は、連続演出が開始されたゲームでなされたということもあるが、連続演出が開始された後のゲームでなされるということもある。ここで、連続演出が開始された後のゲームにおいて初めてビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選してチャンス目が導出されたり、同時当選役とともにビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスに当選するということもある。
【0266】
つまり、既に連続演出が行われているときであっても、チャンス目が導出されたり同時当選役に入賞すれば、そこでビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選に対する期待感が一段と高まるものとなる。このような場合において、連続演出のパターンがこれまで実行されていたパターンとは異なるパターンに変更されることで、遊技者の期待感の高まりに沿った演出を行うことができ、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0267】
上記の実施の形態では、通常の遊技状態またはRTでビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選したとき、或いはこれらに当選していないでボーナス当選報知抽選に当選したときに、まず、連続演出か単ゲーム演出であるかが定められずにボーナス当選報知演出が実行される契機が確定するものとなっていた。そして、ボーナス当選報知演出が実行される契機が確定してから、当該ボーナス当選報知演出を連続演出とするか単ゲーム演出とするかを決定するものとしていた。
【0268】
これに対して、通常の遊技状態またはRTでビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの何れかに当選したとき、或いはボーナス当選報知演出に当選したときには、連続演出の実行が禁止されていない限り、ボーナス当選報知演出として連続演出を実行するものとしてもよい。連続演出の実行が禁止されている場合に、ボーナス当選報知演出として単ゲーム演出を実行するものとしてもよい。
【0269】
上記の実施の形態では、RTの遊技状態は、ビッグボーナスの終了後に300ゲームを消化すると終了し、通常の遊技状態に制御されるものとなっていた(但し、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに当選すると300ゲームの消化前でもRTは終了)。つまり、RTは、ゲーム数を終了条件とし、その終了条件ははっきりしているものではあるが、300ゲームをカウントするのは遊技者にとって容易ではない。そこで、RTの消化ゲーム数および/または残りゲーム数も、遊技者に報知するものとしてもよい。RTの消化ゲーム数および/または残りゲーム数の報知は、RTの残りゲーム数が所定ゲーム数(例えば、10ゲーム)以下のときに限って行うものとしてもよい。
【0270】
なお、RTの消化ゲーム数および/または残りゲーム数の報知は、上記したボーナス当選報知演出よりも遊技者に知覚されにくい態様(例えば、液晶表示器4の右下に非常に小さい文字で表示)で行われるものであってもよい。このような態様で報知が行われる場合には、RTの消化ゲーム数および/または残りゲーム数が報知されていたとしても、遊技者が連続演出などに気をとられていると、RTの終了を見逃してしまう場合がある。上記の実施の形態などの条件で連続演出を行うものとすることで、せっかく報知されているRTの終了が遊技者に分かりにくくなってしまうことを防ぐことができる。
【0271】
上記の実施の形態では、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスという4種類のボーナスがあり、それぞれに入賞させるための停止ボタン12Lの操作手順は、互いに排他的なものであった。このため、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスよりも優先して導出される小役またはリプレイに入賞したゲームを除いて、停止ボタン12L、12C、12Rの操作と導出された表示結果によってビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れにも当選していないことが判明するまでに4ゲーム(但し、ベルまたはリプレイに当選したゲームを除く)を要するものとなっていた。
【0272】
そして、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの何れにも当選していないことが判明するまでのゲーム数と、連続演出が実行されている間にビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスに入賞させることを阻害するベル、リプレイの当選ゲーム数の期待値とに応じて、連続演出の継続ゲーム数が最大で5ゲームに定められるものとなっていた。
【0273】
これに対して、例えば、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスに加えて、「青7-青7-白7」の図柄組み合わせからなるチャレンジボーナス(C)があったものとする。チャレンジボーナス(A)とチャレンジボーナス(C)について検討すると、左と中のリール3L、3Cについての図柄は「青7」で共通している。右のリール3Rについて「青7」と「白7」は、配置間隔が3コマであり、例えば、5番または6番の図柄が下段(或いは、上段、中段)に位置するタイミングで停止ボタン12Rを操作すれば、「白7」も「青7」も下段(或いは、上段、中段)に停止させることができる。
【0274】
従って、チャレンジボーナス(A)に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とチャレンジボーナス(C)に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順とは排他的なものではない。チャレンジボーナス(A)に入賞させるための操作手順のうちでチャレンジボーナス(C)に入賞させるための操作手順とも重複する操作手順(左と中のリール3L、3Cに「青7」がテンパイした後に、右の停止ボタン12Rを3番目に操作するならば、該「青7」のテンパイする入賞ラインに右のリール3Rの5番または6番の図柄が位置するタイミングで停止ボタン12Rを操作)で停止ボタン12L、12C、12Rを操作してハズレや小役入賞となると、チャレンジボーナス(A)に当選していないことが判明するだけではなく、チャレンジボーナス(C)にも当選していないことが判明する。
【0275】
もっとも、チャレンジボーナス(A)と入賞させるための操作手順が重複するチャレンジボーナス(C)を除外して考えれば、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスという4種類のボーナスは、互いに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が排他的なものとなっている。従って、停止ボタン12L、12C、12Rの操作と導出された表示結果によってビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、チャレンジボーナス(C)、レギュラーボーナスの何れにも当選していないことが判明するまでに要するゲーム数は、4ゲームということになる。
【0276】
ここでは、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、チャレンジボーナス(C)、レギュラーボーナスという5種類のボーナスがあるものの、何れにも入賞してないことが判明するまでに要するゲーム数が4ゲームとなるので、他の条件が上記の実施の形態と同じであれば、連続演出の継続ゲーム数を最大で5ゲームと定めることができる。
【0277】
上記の実施の形態では、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選フラグと、スイカ、ベル、チェリーまたはリプレイの当選フラグとが重複して設定されている場合に、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスよりもスイカ、ベル、チェリーまたはリプレイの入賞を優先させるようにリール3L、3C、3Rの停止制御を行うものとしていた。
【0278】
これに対して、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスよりもリプレイの入賞を優先させるが、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの入賞を小役であるスイカ、ベルまたはチェリーよりも優先してリール3L、3C、3Rの停止制御を行うものとすることができる。
【0279】
この場合には、連続演出の継続ゲーム数は、互いに入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が排他的なボーナスの種類数(4)と、連続演出中において行われる内部抽選でリプレイに当選するゲーム数の期待値とに応じて定めるものとすればよい。ここで、5ゲームの連続演出を行うものとすると、終了するゲームよりも前のゲームまでにリプレイ当選する確率は、3×8992/65536≒0.45としかならない。つまり、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)またはレギュラーボーナスの当選の有無が分からないゲームは確率的に1ゲームも生じないので、連続演出の継続ゲーム数の最大ゲーム数は、入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順が排他的なボーナスの種類数(4)と同じ4ゲームに定めるものとすればよい。
【0280】
上記の実施の形態では、RT終了報知演出において当該終了したRTにおいてチャレンジボーナスに制御された回数を報知するものとしていた。もっとも、チャレンジボーナスの遊技状態は、レギュラーボーナスの当選によって終了させられるので、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に入賞した後の1ゲーム限りで終了させられてしまう場合もあり、チャレンジボーナスに遊技状態が制御されたからと言って遊技者が十分な利益を得ることはできない。
【0281】
そこで、RTにおいて、251枚を越えるメダルの払い出しによってチャレンジボーナスが終了した回数をカウントし、RT終了報知演出にて併せて報知するものとしてもよい。チャレンジボーナスの終了前に既にRTが終了しており、チャレンジボーナスの終了時においてRT終了報知演出を行う場合には、当該チャレンジボーナスが251枚を越えるメダルの払い出しによって終了したならば、当該チャレンジボーナスを報知するRT中のチャレンジボーナスの回数に含め、レギュラーボーナスの当選によって終了したならば、当該チャレンジボーナスを報知するRT中のチャレンジボーナスの回数に含めないものとすることができる。
【0282】
上記の実施の形態では、RTの遊技状態が、チャレンジボーナスに遊技状態が制御されていないゲーム(或いは、チャレンジボーナスの遊技状態が終了したゲーム)で終了した場合には、フリーズ状態に制御されるとともに、この間にRT終了報知演出が行われるものとなっていた。一方、RTの遊技状態が、チャレンジボーナスに遊技状態が制御され、しかも当該ゲームでチャレンジボーナスの終了とならないゲームで終了した場合には、RTの終了時においてはフリーズ状態に制御されることもRT終了報知演出が行われることもなかったものの、当該チャレンジボーナスの終了時において、フリーズ状態に制御されるとともに、この間にRT終了報知演出が行われるものとしていた。
【0283】
これに対して、RTの遊技状態が、チャレンジボーナスに遊技状態が制御され、しかも当該ゲームでチャレンジボーナスの終了とならないゲームで終了した場合には、当該チャレンジボーナスの終了時においてフリーズ状態には制御しないものの、RT終了報知演出を行うものとしてもよい(この場合、RT終了報知演出が行われている間も、次のゲームを進行させることができる)。また、RTが終了していたか否かに関わらずチャレンジボーナスの終了時にはフリーズ状態に制御するものとし、当該チャレンジボーナスにおいてRTが終了していた場合には、フリーズ状態に制御されている間においてRT終了報知演出を行うものとしてもよい。
【0284】
また、フリーズ状態には、ゲームの終了時において制御するものとしてRT終了報知演出を行うものとしていたが、RTの終了するゲーム(チャレンジボーナスに制御され、且つチャレンジボーナスの終了とならないゲームを除く)またはチャレンジボーナス(RTが終了していたもの)の終了するゲームの実行中にフリーズ状態に制御し、この間にRT終了報知演出を行うものとしてもよい。なお、ゲームの実行中におけるフリーズ状態は、例えば、スタートレバー11を操作して、1ゲームタイマが所定時間を経過しても、一定時間はリール3L、3C、3Rの回転を開始させないものとしたり、リール3L、3C、3Rの回転が開始して基準位置が検出されても一定時間は停止ボタン12L、12C、12Rが操作有効とならないものとすることができる。
【0285】
上記の実施の形態では、チャレンジボーナスの遊技状態は、メダルの払い出し総数が251枚を越えたときに終了させられるものとなっていたが、チャレンジボーナスの終了条件は、これに限るものではない。例えば、所定ゲーム数を消化したことをチャレンジボーナスの終了条件としてもよい。所定ゲーム数の消化をチャレンジボーナスの終了条件とした場合、リプレイ当選時にリプレイよりも小役に優先して入賞させることで、小役よりもリプレイに優先して入賞させるようにした場合に比べて、遊技者が多くのメダルを獲得することができるようになる。
【0286】
上記の実施の形態では、通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態として、リプレイ当選確率が高くなるRTと、右のリール3Rの最大停止遅延時間は短縮されるものの内部抽選の結果に関わらずに小役入賞が可能となるチャレンジボーナスとを含んでおり、チャレンジボーナスは、RTに併せて制御させることのできる遊技状態となっていた。もっとも、RTの遊技状態に併せて制御させることのできる遊技状態は、上記のチャレンジボーナスに限るものではなく、リプレイ当選確率を高くするRTとは排他的な遊技状態とならずに、小役入賞が発生する確率が高くなる遊技状態であればよい。
【0287】
例えば、通常の遊技状態よりも小役当選確率が高くなるレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供される場合を含む)においてもリプレイ当選が可能なものとし、RTに併せてビッグボーナスやレギュラーボーナスに制御され得るものとしてもよい(この場合、ビッグボーナス、チャレンジボーナス(A)、チャレンジボーナス(B)、レギュラーボーナスの当選や入賞によってRTが終了させられない)。
【0288】
さらには、内部抽選における小役の当選確率やリール3L、3C、3Rの停止制御は通常の遊技状態ともRTとも変わらないが、小役(特に取りこぼしのある小役)に当選したときに、当選した小役の種類などの当該種類の小役に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順を特定可能な情報を報知するATに、RTに併せて制御され得るものとしてもよい。
【0289】
上記の実施の形態では、RTの遊技状態は、チャレンジボーナス(A)またはチャレンジボーナス(B)に入賞しても終了されない(当選では、当然に終了されない)ものの、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスの終了によって終了させられる非完走型のRTとなっていた。もっとも、ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスの当選によってはRTが終了させられない(入賞によっては終了させられる)完走型RTであっても、本発明を適用できないことはない。
【0290】
上記の実施の形態では、ビッグボーナスの遊技状態が終了したことを契機として、その後の300ゲームの間だけ遊技状態をRTに制御させるものとなっていたが、RTに遊技状態を制御させるための契機は、これに限るものではない。例えば、可変表示装置2の表示結果としてRT図柄が導出されたことを契機として、遊技状態をRTに制御させるものとしてもよい。このようなRTに遊技状態を制御させることとなるRT図柄は、入賞役(例えば、チェリー)の取りこぼしによって導出され得る表示態様とすることもできる。或いは、RT図柄は、入賞役(例えば、上記のリプレイとは異なる特殊リプレイ(「JAC-JAC-ベル」などの図柄組み合わせで、上記のリプレイよりも当選確率が低い))の表示態様とすることもできる。
【0291】
また、RTの遊技状態の終了条件は、上記のようなゲーム数で規定するものに限るものではなく、RTに遊技状態が制御されてから遊技者に払い出したメダルの累計数としたり、この払い出したメダルの累計数から賭け数の設定に用いたメダルの数を減算した純増メダル枚数が所定の値に達したこととしてもよい。また、RTにおいては、併せて遊技状態をAT(当選した小役の種類を報知する遊技状態)に制御するものとしてもよい。或いは、RTに変えてATに遊技状態を制御するものとしてもよい。
【0292】
上記の実施の形態では、遊技制御基板101のRAM112も、演出制御基板102のRAM122も、ともにバッテリバックアップされるものとなっており、スロットマシン1の電源をOFFしても記憶しているデータが保持されるものとなっていた。もっとも、バッテリバックアップしておく必要があるのは、遊技制御基板101のRAM112だけで、演出制御基板102のRAM122は、バッテリバックアップせず、スロットマシン1の電源をOFFしたときには、記憶しているデータが消失してしまうものであってもよい。
【0293】
上記の実施の形態では、扉開放センサ95は、前面扉が開放状態にあることを検出するものであり、その検出信号に基づいてセキュリティ信号のうちのドア開放信号が外部出力基板105から出力されるものとなっていた。もっとも、扉開放センサ95は、前面扉を開放するための鍵が解除されていることを検出するものであってもよく、この場合には、実際には前面扉は開放されていなくても当該鍵が解除されていれば、すなわち前面扉が開放可能な状態にあることが扉開放センサ95により検出されれば、セキュリティ信号のうちのドア開放信号を外部出力基板105から出力させるものとすることができる。
【0294】
また、扉開放センサ95の検出信号が遊技制御基板101に入力されるようにし、扉開放センサ95により前面扉が開放状態にあることが検出された場合には、遊技制御基板101のCPU111は、その旨を示す所定のコマンドを演出制御基板102に送信するものとしてもよい。当該所定のコマンドを受信した演出制御基板102のCPU121は、前面扉が開放状態にあることを、例えば、液晶表示器4に所定のメッセージを表示したり、扉開放音を再生してスピーカ7L、7R、7Uから出力させるものとしてもよい。扉開放音を出力するボリュームレベルは、最大レベルとすることが好ましい。
【0295】
スロットマシン1の内部には、各種制御を行うための制御回路を搭載した基板類や、設定値を変更するための設定スイッチ91などが配置されており、これらの操作のためには前面扉を開放しなければならない。もっとも、これらの操作は、本来遊技者が行い得ない操作であって、遊技店の店員でない者によってスロットマシン1の前面扉が開放されているということは、遊技者により不正行為が行われている可能性が極めて高いということになる。前面扉の開放を液晶表示器4へのメッセージの表示や扉開放音の出力で報知することによって、遊技店の店員は、不正行為が行われていることを容易に察知することができるものとなる。
【0296】
上記の実施の形態では、設定値を変更することによって遊技制御基板101のRAM112が初期化されるが、リールモータ3ML、3MC、3MRをそれぞれ構成するステッピングモータのステップ数をカウントするためのカウンタの値だけは初期化されないものとしていた。これにより、設定値の変更後においてリール3L、3C、3Rが滑らかに回転開始ができずに設定値の変更がされていることが遊技者に察知されてしまうということを防ぐものとしていた。
【0297】
これに対して、設定値を変更したかどうかに関わらず、すなわち設定キースイッチ92をON状態としてスロットマシン1を起動したか否かに関わらず、スロットマシン1を起動したときには、ステッピングモータのステップ数をカウントするためのカウンタの値を初期化してしまい、ステッピングモータの各励磁相が必ず初期パターンで励磁されるようになるものとしてもよい。この場合には、設定値を変更したか否かに関わらずにリール3L、3C、3Rが起動後直ぐに同じ挙動をするため、設定値の変更がされていることが遊技者に察知されてしまうということを防ぐことができる。
【0298】
上記の実施の形態では、演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101から送られてきたコマンドに応じて、演出の処理を行うものとしていた。もっとも、遊技制御基板101から送られてきたコマンドは、先入れ先出し方式のコマンド受信バッファに入れられ、コマンド受信バッファに順次入れられたコマンドに処理落ちが生じないことを前提とするものであった。また、遊技者の操作に応じた信号が、演出制御基板102のCPU121に直接出力されることはなかった。
【0299】
これに対して、演出制御基板102のCPU121により制御される液晶表示器4の前面に、演出操作手段として遊技者によりタッチされた位置を検出可能なタッチパネルを配置するものとし、このタッチパネルにおいてタッチされた位置に応じた信号が、演出制御基板102のCPU121に出力されるものとしてもよい。そして、CPU121は、遊技制御基板101から受信したコマンドに加えて、タッチパネルにより検出されたタッチ位置に対応した信号に応じて、演出の処理を行うものとすることができる。
【0300】
また、演出制御基板102には、工場からの出荷前に通常の遊技制御基板102に代えてコマンドシミュレータ(試験用の遊技制御基板)を接続できる構成とすることができ、コマンドシミュレータから入力される各種の検査コマンドに基づいて、演出制御基板102に接続された各演出手段やタッチパネルのような演出操作手段の検査を行えるようにすることができる。
【0301】
ここで、CPU121は、タッチパネルの動作を検査する検査コマンドを受信した場合には、例えば、タッチパネルを全面有効とするとともに後面の液晶表示器4に「触れてください」というメッセージを表示し、正常にタッチ操作が検出されるかどうかを検査することができる。この場合において、タッチパネルのタッチ操作が検出されるまでは、CPU121は、コマンド受信割込処理を禁止し、新たなコマンドの受信を禁止するものとすることができる。
【0302】
このようにタッチパネルの動作を検査する検査コマンドを受信し、これに応じてタッチパネルの動作を行う場合には、タッチ操作の検出までコマンド受信割込処理を禁止し、新たなコマンドの受信を禁止するものとしているので、検査コマンドの受信からタッチ操作の検出までに新たなコマンドを受信しても、当該新たなコマンドに基づく処理を行わないものとなっている。このため、タッチパネルの動作チェックの完了を待たずに誤って検査コマンドを送信した場合も、タッチパネルの動作チェックを正常に行うことができるものとなる。なお、演出操作手段として、タッチパネル以外の演出操作手段、例えば、ボタンやダイアルを適用した場合も、同様とすることができる。
【0303】
上記の実施の形態では、当選フラグの設定状況に基づいて停止制御テーブルを予め選択し、リール3L、3C、3Rの停止時において停止制御テーブルを参照して図柄の停止位置を決定し、当該停止位置でリールを停止させるテーブル方式でリール3L、3C、3Rの回転を停止させるスロットマシンを例として説明した。これに対して、停止条件が成立したときの現在の図柄位置と当選フラグの設定状況に基づいて、当選している役の図柄が揃うように引き込み制御を行ったり、当選していない役の図柄が揃わないように外し制御を行うコントロール方式でリール3L、3C、3Rの回転を停止させるスロットマシンにも本発明を適用することができる。
【0304】
コントロール方式では、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出されたときに、対応するリール3L、3C、3Rについてその時点で表示されている図柄から190ミリ秒(チャレンジボーナス中に右のリール3Rについては75ミリ秒)の最大停止遅延時間の範囲内(表示されている図柄と引き込み分を含めて合計5コマの範囲(チャレンジボーナス中に右のリール3Rについては合計2コマの範囲))に、当選フラグの設定されている役の図柄があるかどうかを判定する。
【0305】
当選フラグの設定されている役の図柄(重複当選時には、導出が優先される役の図柄から判断する)があれば、当該役を入賞させるための図柄を選択して入賞ライン(既に停止しているリールがあるときには、停止しているリール上の図柄とともに入賞の表示態様を構成可能な入賞ライン)上に導出させる。そうでなければ、いずれの役にも入賞させないための図柄を選択して導出させる。すなわち、このコントロール方式によりリール3L、3C、3Rの停止を制御する場合も、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出されてから最大停止遅延時間の範囲で図柄を停止させることにより導出可能となる表示態様であって当選フラグの設定状況に応じた表示態様が、可変表示装置2の表示結果として導出されるものとなる。
【0306】
上記の実施の形態では、可変表示装置2は、外周部に複数の図柄を所定順に配した3つのリール3L、3C、3Rを備えるものとし、これらのリール3L、3C、3Rの回転駆動によって図柄を可変表示させるものとしていた。しかしながら、液晶表示装置などの表示装置上で仮想的に図柄を可変表示させるものを、上記のような可変表示装置2の代わりに用いてもよい。
【0307】
上記の実施の形態では、賭け数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら、本発明を具現化するスロットマシンは、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を遊技媒体として適用したスロットマシン(いわゆるパロット)であってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができる。
【0308】
いわゆるパロットでは、遊技媒体として用いられる遊技球は、そのままの物理的形態で貯留皿に貯留されており、遊技者がBETボタンを操作すると、貯留皿(上皿)に貯留されていた遊技球のうちのBET操作に応じた数の遊技球が所定の取り込み経路を介してパロットの内部に取り込まれる。この内部に取り込まれた遊技球によって1ゲームを行うための賭け数が設定されるものとなる。
【0309】
また、パロットにおいて遊技者が精算ボタンを操作した場合には、既に賭け数が設定されていれば(但し、リプレイ入賞後に賭け数が自動設定された場合を除く)、設定された賭け数に応じた数の遊技球がスロットマシンの下部に設けられた下皿に排出される。賭け数が設定されていなければ(先に賭け数の精算を行った場合を含む)、貯留皿に貯留されている遊技球が所定の経路を通って下皿に排出されるものとなる。下皿には、遊技者が所定のレバーを操作することで貯留された遊技球を下部に通過させるための穴が設けられており、遊技球箱(いわゆるドル箱)を下皿の下においてレバー操作すれば、遊技者が所有する遊技球を容易に遊技球箱に移すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0310】
【図1】本発明の実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。
【図2】図1のスロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、メダルIN信号の出力状況を示すタイミングチャートであり、(b)は、メダルOUT信号の出力状況を示すタイミングチャートである。
【図4】可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。
【図5】(a)は、入賞となる役の図柄組み合わせを示す図であり、(b)は、遊技状態別当選役テーブルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0311】
1 スロットマシン
2 可変表示装置
4 液晶表示器
7L、7R、7R スピーカ
11 スタートレバー
12L、12C、12R 停止ボタン
13 メダル投入口
14 1枚BETボタン
15 MAXBETボタン
101 遊技制御基板
111 CPU
112 RAM
113 ROM
102 演出制御基板
121 CPU
122 RAM
123 ROM
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
遊技用価値が用いられて賭数が設定されたときに前記可変表示部を変動表示可能とし、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果が導出される前に、複数種類の表示結果のうちから導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果に応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段とを備え、
前記複数種類の表示結果は、遊技用価値の付与を伴う付与表示結果と、遊技用価値を用いることなく前記可変表示部が変動表示可能となる再遊技表示結果と、前記事前決定手段の決定結果にかかわらず前記付与表示結果の導出が許容され得る特別遊技状態への制御を伴う特別表示結果とを含み、
前記スロットマシンは、特定開始条件が成立したときに、特定終了条件が成立するまで通常遊技状態よりも前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が高い特定遊技状態に制御する特定遊技状態制御手段をさらに備え、
前記特別遊技状態において前記付与表示結果および前記再遊技表示結果の導出が許容されたときには、当該再遊技表示結果よりも優先して当該付与表示結果が導出され、
前記再遊技表示結果の導出が許容される割合は、前記特別表示結果の導出が許容されたこと、および前記特別表示結果が導出されたことによっては変化せず、
前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記通常遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されていないときと、前記特定遊技状態において前記特別遊技状態に制御されているときとでは、前記再遊技表示結果の導出が許容される割合が同じであり、
前記特別遊技状態は、当該特別遊技状態の開始から終了までに付与された遊技用価値の総数である特別付与総数が規定数を超えるまで制御され、
前記付与表示結果には、所定数の遊技用価値の付与を伴う第1付与表示結果と、当該所定数よりも大きい数の遊技用価値の付与を伴う第2付与表示結果とが含まれ、
前記スロットマシンは、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されていないときには、前記第1付与表示結果を導出可能である一方で前記第2付与表示結果を導出不可能であり、前記特別遊技状態において前記再遊技表示結果の導出が許容されているときには、前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果のいずれかを導出可能であり、
前記特別付与総数と、前記特別遊技状態において賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数との差である純増数は、前記特別遊技状態において前記第1付与表示結果および前記第2付与表示結果の各々が導出されたときにのみ最大となり、
前記特定開始条件は、特定表示結果が導出されたことによって成立する条件である
ことを特徴とするスロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-12-20 
出願番号 特願2014-76035(P2014-76035)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 古屋野 浩志  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 藤田 年彦
服部 和男
登録日 2016-11-04 
登録番号 特許第6034820号(P6034820)
権利者 株式会社三共
発明の名称 スロットマシン  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人平木国際特許事務所  

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