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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  C09K
管理番号 1337256
審判番号 無効2011-800035  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-02-28 
確定日 2018-01-19 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4571183号発明「フッ素置換オレフィンを含有する組成物」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4571183号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 請求の趣旨・手続の経緯

1.設定登録までの経緯
特許第4571183号は、2005年4月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年4月29日 アメリカ合衆国(US))の国際出願日に出願されたものとみなされる国際特許出願(特願2007-511024号)について、平成22年8月20日に設定登録を受けたものである(請求項の数5。以下、その特許を「本件特許」、その明細書を「本件特許明細書」といい、その明細書、特許請求の範囲及び図面をまとめて「本件特許明細書等」という。)

2.本件請求の趣旨及びその理由の概要
本件審判請求人ダイキン工業株式会社(以下「請求人」という。)は、平成23年2月28日付けで「特許第4571183号の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」という趣旨の本件審判を請求し、各特許を無効とすべき理由につき、概略、下記の理由を提示するとともに、下記証拠方法(甲第1号証ないし甲第15号証)を提示した。

・特許第4571183号(本件特許)の請求項1?5に係る発明は、甲第1号証?甲第7号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

請求人提示の証拠方法:
<請求書に添付>
甲第1号証:特開平4-110388号公報
甲第2号証:社団法人空気調和・衛生工学会編「第12版 空気調和・衛生工学便覧 2 汎用機器・空調機器篇」平成7年3月25日、社団法人空気調和・衛生工学会発行、407?412頁
甲第3号証:カーエアコン研究会編著「自動車工学シリーズ カーエアコン[第2版]」2003年1月15日、株式会社山海堂発行、195?212頁
甲第4号証:乙竹直編著「代替フロンの探索」1989年12月20日、株式会社工業調査会発行、60?63頁
甲第5号証:ロシア特許第2073058号公報(1997年2月10日公開。なお、訳文が添付されている。)
甲第6号証:早川一也監修「Technical Report No.52 ヒートポンプの応用と経済性」1984年2月27日、株式会社シーエムシー発行、126?127頁
甲第7号証:「HFC系冷媒 ハンドブック」1998年12月、ダイキン工業株式会社発行、25?27頁
甲第8号証:「Modern REFRIGERATION and AIRCONDITIONING」1988年、THE GOODHEART-WILLCOX COMPANY,INC.発行、949?976頁(部分訳添付)
<弁駁書に添付>
甲第9号証:社団法人日本冷凍空調学会冷凍空調便覧改訂委員会編「新版第6版 冷凍空調便覧 第I巻 基礎編」平成22年6月30日、社団法人日本冷凍空調学会発行、99?103頁
甲第10号証:技術資料「地球にやさしい新代替物質 HFC-134a」、2004年8月、ダイキン工業株式会社化学事業部作成(発行)、10頁
甲第11号証:特開平5-85970号公報
<口頭審理陳述要領書に添付>
甲第12号証:無効2011-800048号審決(審決日平成24年4月3日)
<平成27年4月10日付け上申書に添付>
甲第13号証:技術資料「特定フロン(CFC/HCFC)およびフルオロカーボン類の環境・安全データ一覧表」2013年2月16日、日本フルオロカーボン協会作成(発行)
甲第14号証:技術資料「微燃性冷媒リスク評価研究会 平成25年度プログレスレポート」平成26年4月、公益社団法人日本冷凍空調学会作成(発行)、74?75頁
甲第15号証:技術資料「ノンフロン型省エネ冷凍空調システム開発/実用的な性能評価、安全基準の構築/『ノンフロン型省エネ冷凍空調システム開発』の実用的な運転モード及び評価手法ならびに安全基準の構築 プロジェクトの概要(公開)」独立行政法人産業技術総合研究所作成、URL:http://www.nedo.go.jp/content/100400257.pdf、70/115?71/115頁
(以下、「甲第1号証」を「甲1」などと略していう。)

3.以降の手続の経緯
本件審判は、上記2.の請求の趣旨及び理由により請求されたものであり、以降の手続の経緯は、以下のとおりである。
(なお、以下、審判被請求人を「被請求人」、参加人メキシケム、アマンコ、ホールディング、ソシエダッド、アノニマ、デ、カピタル、バリアブレを「参加人メキシケム」及び参加人アルケマ フランスを「参加人アルケマ」とそれぞれいう。)

(1)審理手続の中止まで
平成23年 3月18日付け 答弁指令・請求書副本の送付
平成23年 6月22日 審判事件答弁書・訂正請求書
平成23年 6月29日 手続補正書(被請求人)
平成23年 8月 5日付け 審尋
平成23年 9月 6日 参加申請書(参加人メキシケム)
平成23年 9月 8日 回答書(被請求人)
平成23年10月14日付け 参加申請書副本送付(請求人・被請求人)
平成23年11月 4日 意見書(請求人)
平成23年12月 5日付け 弁駁指令(請求人)
答弁書・訂正請求書・手続補正書・回答書
の各副本送付
同日付け 意見書副本送付(被請求人)
平成23年12月 8日付け 参加許否の決定
(参加人メキシケム:参加許可)
同日付け 弁駁指令(参加人メキシケム)
意見書副本送付
平成24年 1月20日 弁駁書(請求人)
平成24年 2月10日 弁駁書(参加人メキシケム)
平成24年 2月20日付け 弁駁書副本の送付

(2)別件無効審判事件と本件審判の審理手続の中止及びその解除

ア.審理手続の中止に至る経緯
本件特許については、本件無効審判のほか無効2011-800048号及び無効2011-800075号の2つの別件審判請求がされていたところ、上記無効2011-800048号事件(以下「48号事件」という。)において、本件審判事件における上記訂正請求と同一の訂正事項の訂正請求がなされた本件特許につき、「訂正を認める。特許第4571183号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との結論である、全ての請求項に係る発明についての本件特許を無効とする旨の審決(第一次審決)が平成24年4月3日付けで行われたので、本件審判事件及び無効2011-800075号審判事件につき、いずれも審理手続を中止することを全ての当事者に平成24年5月10日付けで通知した。

イ.審理手続の中止の解除に至る経緯
本件特許に係る別件48号事件についての第一次審決につき審決取消訴訟が提起され、知的財産高等裁判所において平成24年(行ケ)第10286号事件として審理がされたところ、本件特許につき新たに訂正審判(訂正2012-390122号)が請求されたことに基づき、知的財産高等裁判所は、平成24年10月17日付けで特許法第181条第2項の規定により第一次審決を取り消す旨の決定をした。
そして、別件48号事件については、平成24年10月31日付けの新たな訂正請求による訂正を踏まえて再度審理され、本件特許につき、「訂正を認める。特許第4571183号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との結論の全ての請求項に係る発明についての本件特許を無効とする旨の審決(第二次審決)が平成25年4月2日付けで再度なされた。
さらに、第二次審決につき審決取消訴訟が提起され、知的財産高等裁判所において平成25年(行ケ)第10224号事件として審理がされていたところ、48号事件についての審判請求が平成26年11月12日付けで取り下げられるとともに、その審決取消訴訟についても、平成26年11月25日付けで訴えが取り下げられた。
そこで、本件請求人からの本件に係る審理再開の上申(平成26年11月26日付け)も踏まえて、当審は、本件審判事件の中止の解除を全当事者に平成26年11月28日付けで通知した。

(3)審理手続の中止解除以降の経緯
審理手続の中止解除以降の経緯は以下のとおりである。
平成27年 1月 5日付け 審理事項通知書
(請求人・被請求人・参加人メキシケムあて)
平成27年 2月25日 参加申請書(参加人アルケマ)
平成27年 2月27日付け 参加申請書副本送付
(請求人・被請求人・参加人メキシケムあて)
平成27年 3月 6日 口頭審理陳述要領書(請求人)
同日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
同日 口頭審理陳述要領書(参加人メキシケム)
平成27年 3月10日付け 各口頭審理陳述要領書の副本送付
(請求人・被請求人・参加人メキシケムあて)
平成27年 3月20日 口頭審理
平成27年 3月23日 上申書(参加人メキシケム)
平成27年 3月26日付け 上申書(参加人メキシケム)副本送付
(請求人・被請求人あて)
平成27年 3月27日 意見書(請求人)
平成27年 4月10日 上申書(請求人)
同日 上申書(被請求人)
平成27年 4月28日付け 上申書(請求人)副本送付
(被請求人・参加人メキシケムあて)
同日付け 上申書(被請求人)副本送付
(請求人・参加人メキシケムあて)
平成27年 5月 1日 上申書(被請求人)
平成27年 5月11日付け 上申書(被請求人)副本送付
(請求人・参加人メキシケムあて)
平成27年 6月22日付け 参加許否の決定
(参加人アルケマ:参加許可)
平成27年 6月23日付け 意見書副本送付(参加人メキシケムあて)
平成27年 6月24日付け 意見書副本送付(被請求人あて)

4.答弁の趣旨
被請求人は、「訂正を認める、本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」という趣旨の答弁をし、以降、請求人が主張する上記無効理由は、いずれも理由がない旨の主張をするとともに、以下の証拠方法を提示している。

<答弁書に添付>
乙第1号証:D.Clodic et al.“Etude sur la climatisation automobile”1995年12月発行(全文英訳及び部分和訳添付)
乙第2号証:米国特許第3607755号明細書(部分訳添付)
乙第3号証:SAE Internationalが2008年10月に「J2765」規格として発行した「Procedure for Measuring System COP[Coefficient of Performance]of a Mobile Air Conditioning System on a Test Bench」(部分訳添付)
乙第4号証:被請求人が2007年11月19日に作成した社外秘技術資料「Comparative Performance of R1234yf with R134a in Mobile AC Systems」(部分訳添付)
乙第5号証:米国特許第5001287号明細書(部分訳添付)
乙第6号証:ARI Standard 700「SPECIFICATIONS FOR FLUOROCARBON REFRIGERANTS」2006年(部分訳添付)
乙第7号証:NASA CONTRACT No.NAS 7-918,“Technical Support Package on Nearly Azeotropic Mixtures to Replace Refrigerant 12”,1992年8月(部分訳添付)
乙第8号証:W.L.Kopko著「Beyond CFCs:Extending the Search for New Refrigerants」Proceedings of ASHRAE’s 1989 CFC Technology Conference,NIST,1989年9月,39?46頁
乙第9号証:2003年10月27日付けで米国特許商標庁に提示されたG.Rusch博士の同年同月15日付けの宣誓供述書(部分訳添付)
乙第10号証:技術資料「HFCの種類と用途」、日本フルオロカーボン協会ホームページ(URL:http://www.jfma.org/korekara/youto.html)
乙第11号証:特願平2-231618号(特開平04-110388号)の出願経過情報
乙第12号証:カーエアコン研究会編著「自動車工学シリーズ カーエアコン[第2版]」2003年1月15日、株式会社山海堂発行、252?255頁
乙第13号証:早川一也監修「Technical Report No.52 ヒートポンプの応用と経済性」1984年2月27日、株式会社シーエムシー発行、126?128頁
乙第14号証:K.Tanaka et al.“Thermodynamic properties of HFO-1234yf(2,3,3,3-tetrafluoropropene)”,Int.J.Refrig.2010,Vol.33,p.474?479
乙第15号証:Y.Higashi et al.“Critical Parameters and Saturated Densities in the Critical Region for trans-1,3,3,3-Tetrafluoropropene(HFO-1234ze(E))”,J.Chem.Eng.Data,2010,Vol.55,p.1594?1597
乙第16号証:乙竹直編著「代替フロンの探索」1989年12月20日、株式会社工業調査会発行、82?83頁
<口頭審理陳述要領書に添付>
乙第17号証:R.R.Singh博士の宣誓供述書、2013年9月10日作成(NIST規格書データベース23添付、本文訳文添付)
乙第18号証:“PARTICIPANTS’ HANDBOOK”2012年5月12日、AHRI(空調暖房冷凍研究所)発行、11頁(部分訳添付)
乙第19号証:“POLLUTION PREVENTION FACT SHEET”No.10,1997年1月、カナダ国環境省発行、5頁左欄5?15行(部分訳添付)
乙第20号証:技術資料「カーエアコン用冷媒について」2010年7月29日、一般社団法人日本自動車工業会発行
乙第21号証:“Toxicity of Possible Impurities and By-products in Fluorocarbon Products”,Technical Report No.103,2008年12月,ECETOC AISBL(欧州化学品環境毒性センター)発行,2頁第3段落及び76頁下から3行?最下行(部分訳添付)
乙第22号証:「製品安全データシート Solstice^(TM) yf Refrigerant(R-1234yf)(Ver.2.1)」2013年6月13日改訂、ハネウェル社(部分訳添付)
乙第23号証:“A sub-acute(28-day)inhalation toxicity study with 3,3,3-trifluoroprop-1-ene(HFO 1243zf)in rats”,TNO Report,2010年12月,TNO(オランダ応用科学研究機構)発行,6?7頁(部分訳添付)
乙第24号証:ANSI/ASHRAE規格34-2001,2001年,ASHRAE(米国暖房冷凍空調技術者協会)発行,5頁(部分訳添付)
乙第25号証:カ-エアコン研究会編著「自動車工学シリーズ カーエアコン[第2版]」2003年1月15日、株式会社山海堂発行、v頁17行?20行、9頁3行?14行
乙第26号証:山岡丈夫著「故障探求実戦シリーズ カー・エアコンのカンどころ」平成元年5月20日、株式会社鉄道日本社発行,3?16頁
乙第27号証:“List of weather records”(URL:http//:en.wikipedia.org/wiki/List_of_weather_records)2012年1月17日掲示(部分訳添付)
乙第28号証:P.Hrnjak博士の宣誓供述書、2012年9月20日作成(宣誓者経歴書添付、本文及び経歴書訳文添付)
乙第29号証:J.A.Baker氏の宣誓供述書、2012年9月9日作成(宣誓者経歴書添付、本文及び経歴書訳文添付)
乙第30号証:Mobile Air Conditioning Society(MACS)Worldwideのホームページ(URL:不明)(訳文添付)
乙第31号証:米国特許商標庁に提示されたD.Bivens氏の2014年4月10日付けの第3宣誓供述書(部分訳添付)
乙第32号証:米国特許7084315号明細書
乙第33号証:米国特許出願公開2011/0312101号明細書
<平成27年4月10日付け上申書に添付>
乙第34号証:“Climate Change 2001”報告書における“6.12 Global Warming Potentials”の欄,IPCC(環境変動に関する政府間パネル)作成(URL:http://www.glida.no/climate/ipcc_tar/wg1/247.htm)(部分訳添付)
乙第35号証:“Scientific Assessment of Ozone Depletion:2002”,Global Ozone Research and Monitoring Project-Report No.47,WMO(世界気象機関)作成(部分訳添付)
乙第36号証:M.D.Hurley et al.,Chemical Physics Letters,Vol.450(2008)p.263?267(部分訳添付)
乙第37号証:T.J.Wallington et al.,Environ.Sci.Technol.,Vol.28,No.7(1994)p.320A?326A(部分訳添付)
乙第38号証:“Glossary of Climate Change Terms”,US EPA(米国環境保護庁)のホームページ(URL:http://www.epa.gov/climatechange/glossary.html)(2015年4月4日にプリントアウトされたもの)(部分訳添付)
(以下、「乙第1号証」を「乙1」などと略していうことがある。)

5.参加人メキシケムの参加の趣旨
参加人メキシケムは、参加申請書において、特許法第148条第1項の規定により請求人側に参加するとし、更に弁駁書において「特許第4571183号の特許請求の範囲の請求項1?4(但し、平成23年6月22日付け訂正請求書に添付の訂正後の請求項1?4)に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」との趣旨の弁駁をするとともに、以降、以下の証拠方法を提示している。

<弁駁書に添付>
丙第1号証:V.L.Orkin et al.,J.Phys.Chem.A,Vol.101,No.48,(1997)p.9118?9124
丙第2号証:“Honeywell Low Global Warming Technologies”“Mobile Air Conditioning-HFO-1234yf”,ハネウェル社ホームページ(URL:現時点不明)(2012年2月9日付けプリントアウト添付)
丙第3号証:“Climate Change 2007”報告書における“2.10.2 Direct Global Warming Potentials”の欄,IPCC(環境変動に関する政府間パネル)作成(URL:http://www.ipcc.ch/publications_and_data/ar4/wg1/en/ch2s2-10-2.html)
丙第4号証:参加人メキシケムが作成した丙第3号証記載のフルオロカーボン類に係るGWPと大気寿命との関係をプロットした図
丙第5号証:特表2006-512426号公報
丙第6号証:“SAE UPdate”,Vol.20,No.6,(2003年6月)p.4(部分訳添付)
丙第7号証:“FEDERAL REGISTER”,Vol.76,No.60,(2011年3月29日発行),p.17488,p.17520(US EPA(米国環境保護庁))(部分訳添付)
丙第8号証:“2002 Annual Report”SAE International(米国自動車技術者協会)(部分訳添付)
丙第9号証:“Solstice^(TM) 1234yf Refrigerant for MAC - The Facts”,2011年9月,ハネウェル社作成(発行)(部分訳添付)
丙第10号証:「産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会第2回物質代替促進WG速記録」平成22年7月29日、経済産業省ホームページ(URL:http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004674/gijiroku02.pdf)
<口頭審理陳述要領書に添付>
丙第11号証:“Honeywell Soltice^(TM) HFO1234yf Hispacold Case Study”,ハネウェル社ホームページ(URL:http://www.honeywell-refrigerants.com/europe/resources/customer-case-studies/honeywell-soltice-hfo1234yf-hispacold-case-study/)(2014年12月19日にプリントアウトされたもの)(部分訳添付)
(以下「丙第1号証」を「丙1」などと略していうことがある。)

6.参加人アルケマの参加の趣旨
参加人アルケマは、参加申請書において、特許法第148条第1項の規定により請求人側に参加するとしている。

第2 本件訂正について
被請求人が別件48号事件で行った本件特許に係る平成24年10月31日付けの訂正請求は、別件48号事件の無効審判請求の取下げにより、訂正請求も取り下げられたものとみなされるので、平成23年6月22日付けの訂正請求の適否につき、平成23年法律63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「特許法」という。)に基づいて検討する。

1.訂正の内容
平成23年6月22日付けの訂正請求は、本件特許に係る明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付した明細書及び特許請求の範囲のとおりに訂正(以下、「本件訂正」という。)することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「自動車の空調装置におけるテトラフルオロプロペン(HFO-1234)を含む組成物の冷媒としての使用。」を「自動車の空調装置における2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含む組成物の冷媒としての使用。」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

2.本件訂正の適否についての検討

(1)特許法第134条の2第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするか否かについて

訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1における「テトラフルオロプロペン(HFO-1234)」の種類を、訂正前の請求項5の記載に基づき「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)」と下位概念に限定した上で、訂正事項2に係る訂正のとおり、訂正前の請求項5を削除しているのであるから、訂正事項1と訂正事項2により併せて特許請求の範囲を実質的に減縮していることが明らかである。
したがって、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。

(2)特許法第134条の2第5項で準用する同法第126条第3項及び同法同条第4項の規定に適合するか否かについて

上記(1)でも説示したとおり、本件訂正における訂正事項1及び2は、訂正前の請求項に記載された事項に基づき、併せて特許請求の範囲を実質的に減縮していることが明らかであるから、本件訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると認められるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもないことは明らかである。
したがって、本件訂正は、特許法第134条の2第5項において準用する同法第126条第3項の規定及び同法同条第4項の規定のいずれにも適合するものである。

(3)小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第5項において準用する同法第126条第3項の規定及び同法同条第4項の規定のいずれにも適合するものであるから、適法なものである。

3.本件訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、平成23年6月22日付けで請求された訂正を認める。

第3 本件特許
上記第2で示したように、平成23年6月22日付けの訂正請求は適法なものであるから、本件特許の請求項1?4に係る発明は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである(以下、訂正後の請求項1?4に係る発明を項番に従い、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明4」といい、まとめて「本件発明」ということがある。また、訂正後の明細書を「本件明細書」という。)。
「【請求項1】
自動車の空調装置における2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含む組成物の冷媒としての使用。
【請求項2】
前記組成物が潤滑剤をさらに含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記潤滑剤が前記組成物の30?50重量%の量で存在する、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記潤滑剤がポリアルキレングリコール潤滑剤を含む、請求項2に記載の使用。」

第4 請求人の主張する無効理由の概要
請求人は、請求の趣旨を「特許第4571183号の請求項1?5に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」とする本件無効審判請求を行い、その請求の根拠として「特許第4571183号の請求項1?5に記載された発明・・は、甲第1号証?甲第7号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。」としている。
そして、訂正後の本件についての弁駁書の「特許第4571183号の請求項1?4(但し、平成23年6月22日付け訂正請求書に添付の訂正後の請求項1?4)に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」との弁駁の趣旨及びその記載内容からみて、請求人の主張する無効理由は、以下のとおりのものであると整理することができる。

・本件発明1ないし本件発明4に係る特許は、甲第1号証?甲第7号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(以下、「無効理由」という。)

(なお、参加人メキシケムは、平成24年2月10日付け弁駁書において、弁駁の趣旨は、請求人のものと同一であるとし、請求人の平成24年1月20日付け弁駁書における主張を全面的に支持する旨主張している。)

第5 当審の判断
当審は、本件発明1ないし4に係る特許は、請求人が主張する上記無効理由により無効とすべきものと判断する。
以下、詳述する。

I.物質名について(前提)
以下の物質は、文献によって略称表現が異なるが、「HFC-」及び「HFO-」はハイドロフルオロカーボン及びその一種であるハイドロフルオロオレフィン、「CFC-」はクロロフルオロカーボン並びに「HCFC-」はハイドロクロロフルオロカーボンのそれぞれ頭文字略称であるのに対して、「R-」は冷媒の略号であり、同じ物質を意味することが当業者に自明であるので、以下の各物質については、文献の記載をそのまま引用する場合を除き、括弧内左側の略称に統一して表記する。

1,1,1,2-テトラフルオロエタン
(HFC-134a又はR-134a)

2,3,3,3-テトラフルオロプロペン
(HFO-1234yf又はR-1234yf)

1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(cis形とtrans形がある。)
(HFO-1234ze又はR-1234ze)

ジクロロジフルオロメタン
(CFC-12又はR-12)

クロロジフルオロメタン
(HCFC-22又はR-22)

1,1-ジフルオロエタン
(HFC-152a又はR-152a)

ジフルオロメタン
(HFC-32又はR-32)

II.無効理由についての検討

1.各甲号証の記載事項
請求人が提示した甲号証のうち主なものには、それぞれ以下の事項が記載されている。

(1)甲1
甲1には、以下の事項が記載されている。

(1a)「1.分子式:C_(3)H_(m)F_(n)
(但し、m=1?5,n=1?5且つm+n=6)
で示され且つ分子構造中に二重結合を1個有する有機化合物からなる熱媒体。」(1頁、特許請求の範囲)

(1b)「産業上の利用分野
本発明は、冷凍機、ヒートポンプなどで使用される熱伝達用流体に関する。」(1頁左下欄9?11行)

(1c)「従来技術とその問題点
従来、ヒートポンプの熱媒体(冷媒)としては、クロロフルオロ炭化水素、フルオロ炭化水素、これらの共沸組成物ならびにその近辺の組成物が知られている。これらは、一般にフロンと称されており、現在R-11(トリクロロモノフルオロメタン)、R-22(モノクロロジフルオロメタン)、R-502(R-22+クロロペンタフルオロエタン)などが主に使用されている。
しかしながら、近年、大気中に放出された場合に、ある種のフロンが成層圏のオゾン層を破壊し、その結果、人類を含む地球上(審決注:「地球状」と記載されているが「地球上」の誤記と認める。)の生態系に重大な悪影響を及ぼすことが指摘されている。従って、オゾン層破壊の危険性の高いフロンについては、国際的な取決めにより、使用および生産が規制されるに至っている。規制の対象になっているフロンには、R-11とR-12とが含まれており、またR-22については、オゾン層破壊への影響が小さいため、現在規制の対象とはなっていないが、将来的には、より影響の少ない冷媒の出現が望まれている。冷凍・空調設備の普及に伴って、需要が毎年増大しつつあるフロンの使用および生産の規制は、居住環境をはじめとして、現在の社会機構全般に与える影響が極めて大きい。従って、オゾン層破壊問題を生じる危険性のない或いはその危険性の極めて小さい新たなヒートポンプ用の熱媒体(冷媒)の開発が緊急の課題となっている。」(1頁左下欄14行?2頁左上欄4行)

(1d)「問題点を解決するための手段
本発明者は、ヒートポンプ或いは熱機関に適した熱伝達用流体であって、且つ当然のことながら、大気中に放出された場合にもオゾン層に及ぼす影響が小さいか或いは影響のない新たな熱伝達用流体を得るべく種々研究を重ねてきた。その結果、特定の構造を有する有機化合物がその目的に適合する要件を具備していることを見出した。
すなわち、本発明は、下記の熱伝達用流体を提供するものである:
「分子式:C_(3)H_(m)F_(n)
(但し、m=1?5,n=1?5且つm+n=5)
で示され且つ分子中に二重結合を1個有する有機化合物からなる熱伝達用流体。」」(2頁左上欄5行?末行)

(1e)「本発明で使用する代表的な化合物の主な物性は、以下の通りである。
I.F_(3)C-CH=CH_(2)(3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)
沸点 -17.0℃
臨界温度 126℃
臨界圧力 41kg/cm^(2)
分子量 ・・・(審決注:省略する。「96.05」と記載されているのは誤記と認める。)
II.F_(3)C-CH=CHF(審決注:「F3C」と記載されているが「F_(3)C」の誤記と認める。)(1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)
沸点 -16.0℃
臨界温度 121℃
臨界圧力 39.1kg/cm^(2)
分子量 114.04」(2頁右上欄1行?14行)

(1f)「本発明において熱伝達用流体として使用するC_(3)H_(m)F_(n)で示される化合物は、オゾン層に影響を与える塩素原子および臭素原子を全く含まないので、オゾン層の破壊問題を生じる危険性はない。」(2頁左下欄9?13行)

(1g)「また、一方では、C_(3)H_(m)F_(n)で示される化合物は、ヒートポンプ用熱媒体としての特性にも優れており、成績係数、冷凍能力、凝縮圧力、吐出温度などの性能において、バランスが取れている。さらに、この化合物の沸点は、現在広く使用されているR-12,R-22、R-114およびR-502のそれに近いため、これら公知の熱媒体の使用条件下、即ち蒸発温度-20から10℃および凝縮温度30から60℃での使用に適している。」(2頁左下欄14行?右下欄5行)

(1h)「また、本発明においては、C_(3)H_(m)F_(n)で示される化合物を少なくとも含み、R-22(CHClF_(2)),R-32(CH_(2)F_(2)),R-124(CF_(3)CHClF),R-125(CF_(3)CF_(2)H),R-134a(CF_(3)CFH_(2)),R-142b(CH_(3)CClF_(2))、143a(CF_(3)CH_(3))およびR-152(CHF_(2)CH_(3))からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む混合物を熱伝達用流体として使用しても良い。この混合物を使用する場合には、低沸点の冷媒を混合することにより、更に冷凍能力を向上させたり、蒸発潜熱の大きな冷媒を混合することにより、成績係数を向上させたり、或いは冷凍機油との溶解性を改善したりすることができる。
本発明で使用するC_(3)H_(m)F_(n)で示される化合物或いはC_(3)H_(m)F_(n)で示される化合物とR-22,R-32,R-124,R-125,R-134a,R-142b,R-143aおよびR-152aの少なくとも一種との混合物は、ヒートポンプ用の熱媒体に対して要求される一般的な特性(例えば、潤滑油との相溶性、材料に対する非浸蝕性など)に関しても、問題はないことが確認されている。」(2頁右下欄6行?3頁左上欄11行)

(1i)「発明の効果
本発明による熱伝達用流体によれば、下記の様な顕著な効果が達成される。
(1)従来からR-12,R-22或いはR-502を熱媒体として使用してきたヒートポンプと同等以上のサイクル性能が得られる。
(2)熱媒体としての優れた性能のゆえに、機器設計上も有利である。
(3)仮に本発明による熱伝達用流体が大気中に放出された場合にも、オゾン層破壊の危険性はない。」(3頁左上欄12行?右上欄4行)

(1j)「実施例1
熱媒体としてF_(3)C-CH=CH_(2)(3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)を使用する1馬力のヒートポンプにおいて、蒸発器における熱媒体の蒸発温度を-10℃,-5℃,5℃および10℃とし、凝縮器における凝縮温度を50℃とし、過熱度および過冷却度をそれぞれ5℃および3℃として、運転を行なった。
また、比較例として、R-12(比較例1)、R-22(比較例2)およびR-502(比較例3)を熱媒体として使用して、上記と同1条件下にヒートポンプの運転を行なった。
これらの結果から、成績係数(COP)および冷凍効果を次式により、求めた(第1図に示すモリエル線図参照)。
COP=(h_(1)-h_(4))/(h_(2)-h_(1))
冷凍効果=h_(1)-h_(4)
h_(1)・・・蒸発器出口の作動流体のエンタルピー
h_(2)・・・凝縮器入口の作動流体のエンタルピー
h_(4)・・・蒸発器入口の作動流体のエンタルピー
本実施例ならびに比較例で使用した冷凍サイクルの回路図を第2図に示す。
COPおよび冷凍能力の算出結果を比較例1?3の結果と対比して第3図および第4図にそれぞれ示す。
なお、第3図に示す成績係数は、R-22を熱媒体とした場合の蒸発温度5℃における測定値(COP_(B))で、それぞれの熱媒体の測定値(COP_(A))を除したものである。特に、本発明による熱媒体の結果は、“○”で示してある。
また、第4図に示す冷凍能力は、R-22を熱媒体とした場合の蒸発温度5℃における測定値(能力B)で、それぞれの熱媒体の測定値(能力A)を除したものである。本発明による熱媒体の結果は、やはり“○”で示してある。
第3図から明らかな様に、本実施例による作動流体は、COPに関して、R-12およびR-22と同程度の良好な値を示している。さらに、第4図から明らかな様に、冷凍効果に関して、R-12よりも高めの値を示している。」(3頁右上欄8行?右下欄11行)

(1k)「実施例2
熱媒体としてF_(3)C-CH=CHF(1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)を使用するとともに、蒸発器における熱媒体の蒸発温度を5℃とする以外は実施例1と同様にしてヒートポンプの運転を行なった。
成績係数および冷凍能力を下記第2表に示す。何れの数値も、R-22を熱媒体とした場合の蒸発温度5℃における測定値(COP_(B)および冷凍能力_(B))により本発明熱媒体の測定値(COP_(A)および冷凍能力_(A))を除した数値で示してある。
第 2 表
実施例2 R-12 R-502
COP_(A)/COP_(B) 1.01 1.02 0.92
能力_(A)/能力B 0.43 0.61 1.03
」(4頁左上欄17行?右上欄13行)

(1l)「実施例5
熱媒体としてF_(3)C-CF=CH_(2)を使用する以外は実施例1と同様にして、ヒートポンプの運転を行なったところ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。」(4頁右下欄8?12行)

(1m)「第1図は、実施例において成績係数(COP)および冷凍効果求めるために使用したモリエル線図である。
第2図は、本実施例ならびに比較例で使用した冷凍サイクルの回路図である。
第3図は、実施例1および比較例1?3によるCOPを示すグラフである。
第4図は、実施例1および比較例1?3による冷凍能力を示すグラフである。」(4頁右下欄14行?5頁左上欄4行)

(1n)「


」(6頁)
(1o)「


」(6頁)
(1p)「


」(7頁)
(1q)「


」(7頁)

(2)甲3
甲3には、以下の事項が記載されている。

(2a)「7.6 ヒートポンプ
近年,都市大気汚染への改善要求,地球環境問題から低公害車,代替エネルギー車が市場に導入されつつある.このなかで,エネルギーを天然ガスなどに置き換える場合は,燃料のみの変更となるため,エアコン側の変更は必要ないが,低公害車の候補の一つである電気自動車(EV)の場合は,エンジンがないため,ルームエアコンなどで用いられている方式と同様なヒートポンプが主流となっている.
・・(中略)・・
(1)機能と特徴
ヒートポンプはルームエアコンと同様に,冷凍サイクルにより,暖房を行うものである.その基本構成を図7.18に,作動を図7.19のモリエル線図(p-h線図)に示す.クーラサイクルにおける室内の蒸発器と室外の凝縮器の機能が逆になり,冷媒を熱媒体とし,コンプレッサと絞りの働きによって,室外の蒸発器により外気から吸熱し,室内の凝縮器により放熱して暖房する.
図7.19に示すように,ヒートポンプの動力(入力)に対する暖房能力(出力)の比=効率(成績係数,COP:Coefficient of Performanceとも言う)は理論上1より大であり,電気ヒータ(効率1)と比較して,通常省動力(省電力)となる.


ヒートポンプシステムは既存のエンジン車用エアコンと同様,四季を通じて車室内を快適にすると共に,窓ガラスの視認性を確保するために,冷房,暖房,除湿,および窓ガラスのデミスト,デフロスト機能を果たしている.」(195頁1行?196頁3行)

(3)甲4
甲4には、以下の事項が記載されている。

(3a)「3 冷媒(作動流体)
3.1 冷媒(作動流体)の分類
エネルギー機関を大別すると熱機関(狭義のエンジン)と冷凍機関に分けられる。作動流体も,熱機関サイクル用作動流体と冷凍サイクル用作動流体に分けられ,さらに後者は冷凍機用とヒートポンプ用に分けられる。
当初ミジェリーによるフロンの開発の目的は,安全で効率のよい家庭用冷蔵庫の冷媒を得ることにあったから,本来フロンの使命は冷凍機用の作動流体(通常冷媒という)にあった。
先にも述べたように,現在特定フロンの最大の需要は,CFC-113を主とする溶剤,洗浄剤にあるが,次いで,CFC-12を主とする作動流体,特に冷媒が占め,全量の30%に近い量となっている。CFC-12は優秀なフロンで,エアゾール,発泡剤などにも使用されるが,全消費量の50%以上が冷媒で,中でも多いのが自動車用空調機,いわゆるカーエアコン向けである。もちろん,家庭用を含め電気冷蔵庫などにも使用されるが,その量はカーエアコン用の10%程度といわれている。
・・(中略)・・


・・(中略)・・
3.2 冷媒に対する諸要求
本章始めに掲げた共通的条件の他に,作動流体に対しては同時に表4.7に掲げる諸条件に対する配慮が必要となる。
・・(中略)・・
一方,作動サイクルは熱力学的サイクルであるから作動流体物質の熱力学的特性には当然重大な関係がある。
現行の主要な実用サイクルは気液の平衡関係を利用しているので,気液の状態変化に関係する特性が重要となる。
まず,第6章の6.2項で説明するように,物質はその臨界温度以下の温度でないと蒸気を圧縮して液化することはできない。具体例では,カーエアコンの凝縮器(放熱器)の設置場所の温度は,場合により90℃を若干上まわる可能性もあるので,冷媒の臨界温度は必ずその温度以上でなければならない。このように,作動物質の臨界温度の高さは作動可能な温度範囲を高い方に拡げうる意味を持っている。
液体の蒸気圧は温度ととも増大するが,蒸気圧がちょうど大気圧に等しくなる温度が標準沸点で,標準沸点も物質系によって定まる物性定数である。いま真空の密閉容器に液体の適量を注入して,その物質の臨界点と融点との中間の一定温度に保つと,器内は気液の平衡状態になって,圧力はその温度の蒸気圧に等しくなることは誰もが知っている。いいかえれば温度が沸点以下であると器内は負圧になってしまう。
凝縮器(コンデンサー)や蒸発器(エバポレーター)などを含む作動サイクル装置内に外気や水などが浸入するといろいろの障害を生ずるから,可能ならば装置内が負圧になることは防ぎたい。標準沸点が作動サイクルの最低温度より低い作動物質を使って運転したいことになる。
温度変化に伴う蒸気圧の“変化の傾向”は,大まかにいえば,物質種によらずほぼ平行になるので,標準沸点からその物質の蒸気圧変化の大略を推測できることになる。
以上から我々は,低めの標準沸点値と,高めの臨界温度値をもつ物質に興味を持つことになる。」(60頁2行?63頁5行)

(4)甲5
甲5には、以下の事項が記載されている。(なお、請求人提示の訳文に基づき摘示を行うが、原文5頁上段にある2つの表につき翻訳されたものである。)

(4a)「


」(原文5頁上段)

(5)甲6
甲6には、以下の事項が記載されている。

(5a)「3.冷媒の特性と選定
3.1 冷媒の特性
ヒートポンプサイクルにとって,その作動流体である冷媒の果たす役割は非常に大きい。
ヒートポンプの加熱能力,成績係数といった性能は,冷媒の熱力学的性質(・・中略・・)によって決定され,ヒートポンプにとって,どの冷媒を使用するかが性能上最も重要な問題となる。
・・(中略)・・


」(126頁5行?最下行)

(6)甲7
甲7には、以下の事項が記載されている。

(6a)「


」(25頁)

(6b)「


」(26頁)

(6c)「


」(27頁)

2.甲1に記載された発明
甲1には、特許請求の範囲第1項に「分子式:C_(3)H_(m)F_(n)(但し、m=1?5,n=1?5且つm+n=6)で示され且つ分子構造中に二重結合を1個有する有機化合物からなる熱媒体」の発明が記載されており(摘示(1a))、該熱媒体は、「冷凍機、ヒートポンプなどで使用される熱伝達用流体」であることも記載されている(摘示(1b))。
そして、上記発明で使用する「代表的な化合物の主な物性」として以下のI及びIIの化合物の沸点、臨界温度、臨界圧力が示されている(摘示(1e))。なお、IIの化合物は、立体異性体2種が存在するが、甲1では区別されていない。
I.F_(3)C-CH=CH_(2)(3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)
II.F_(3)C-CH=CHF(1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)
また、「C_(3)H_(m)F_(n)で示される化合物は、ヒートポンプ用熱媒体としての特性にも優れており、成績係数、冷凍能力、凝縮圧力、吐出温度などの性能において、バランスが取れている。さらに、この化合物の沸点は、現在広く使用されているR-12,R-22、R-114およびR-502のそれに近いため、これら公知の熱媒体の使用条件下、即ち蒸発温度-20から10℃および凝縮温度30から60℃での使用に適している。」と記載され(摘示(1g))、「本発明で使用するC_(3)H_(m)F_(n)で示される化合物・・・は、ヒートポンプ用の熱媒体に対して要求される一般的な特性(例えば、潤滑油との相溶性、材料に対する非浸蝕性など)に関しても、問題はないことが確認されている」とも記載されている(摘示(1h))。
さらに、実施例1において上記Iの化合物、実施例2において上記IIの化合物(HFO-1234zeである。)及び実施例5において
F_(3)C-CF=CH_(2)
(審決注:上記IIの化合物と同様に表記すると、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペンである。「-1-」は省略しても化学構造上の疑義が生じないから、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、すなわちHFO-1234yfである。)
で表される化合物について、COP及び冷凍能力が測定され、HCFC-22のCOP及び冷凍能力と比較されており、その測定条件は、「1馬力のヒートポンプにおいて、蒸発器における熱媒体の蒸発温度を・・・5℃・・・とし、凝縮器における凝縮温度を50℃とし、過熱度および過冷却度をそれぞれ5℃および3℃として、運転を行なった」とのものである。
そして、実施例1では、図3及び図4からみて、上記Iの化合物に係る5℃の蒸発温度における上記HCFC-22のCOP及び冷凍能力との比(以下「相対COP」及び「相対能力」という。)が、相対COPにつき1.0を僅かに上まわる程度であること及び相対能力につき0.7程度であることがそれぞれ記載されるとともに、HFO-1234yfの構造異性体であるHFO-1234zeを使用した実施例2では、相対COPにつき1.01及び相対能力につき0.43であることが示され、実施例5では「実施例1とほぼ同様の結果が得られた」と記載されている(摘示(1j)?(1q))。
これらの記載を総合すると、甲1には、
「分子式:C_(3)H_(m)F_(n)(ただし、m=1?5,n=1?5かつm+n=6)で示され且つ分子構造中に二重結合を1個有する有機化合物からなる熱媒体であって、該有機化合物は2,3,3,3-テトラフルオロプロペンである場合を含む熱媒体と、ヒートポンプ用の熱媒体に用いられる潤滑油とからなる熱媒体組成物の、ヒートポンプにおける使用」
の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているということができる。

3.本件発明1ないし4との対比・検討

(1)本件発明1について

ア.対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「分子式:C_(3)H_(m)F_(n)(ただし、m=1?5,n=1?5かつm+n=6)で示され且つ分子構造中に二重結合を1個有する有機化合物からなる熱媒体であって、該有機化合物は2,3,3,3-テトラフルオロプロペンである場合を含む熱媒体」は、本件発明1における「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)」に相当し、甲1発明における「熱媒体と、ヒートポンプ用の熱媒体に用いられる潤滑油とからなる熱媒体組成物」は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンである場合を含む熱媒体を含有する組成物であるから、本件発明1における「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含む組成物」に相当する。
そして、甲1発明における「熱媒体」は、ヒートポンプシステム中で移動することにより、ある局所から他の局所に熱を移動させる媒体なのであるから、熱を移動させ局所を冷却する「冷媒」と軌を一にするものであり、また、空調装置において、冷媒を用いて冷房と共に管路切替えにより暖房を行うことも当業者の周知技術なのである(必要ならば甲3の上記摘示(2a)参照)から、当該「熱媒体」は、本件発明1における「冷媒」に相当するものと認められると共に、甲1発明における「ヒートポンプ」は、甲1において、「本発明は、冷凍機、ヒートポンプなどで使用される熱伝達用組成物に関する」とされ、その従来技術とその問題点として「冷凍・空調設備の普及に伴って」と記載されている(摘示(1b)及び(1c)参照)とおり、ヒートポンプ(装置)に空調装置が包含されていることは明らかであるから、当該「ヒートポンプ」は、本件発明1における「空調装置」に相当するものと認められる。
してみると、甲1発明における「熱媒体組成物の、ヒートポンプにおける使用」は、本件発明1における「空調装置における、・・組成物の冷媒としての使用」に相当するものと認められる。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、
「空調装置における2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含む組成物の冷媒としての使用」
の点で一致し、下記の点でのみ相違する。

相違点1:本件発明1では、「自動車の空調装置」であるのに対して、甲1発明では、「ヒートポンプ」である点

イ.相違点に係る検討
上記相違点1につき検討すると、甲4及び甲7にもそれぞれ記載されている(摘示(3a)及び摘示(6a)並びに(6c)参照)とおり、CFC-12などのクロロフルオロカーボン類、HCFC-22などのハイドロクロロフルオロカーボン類及びHFC-134aなどのハイドロフルオロカーボン類を含むフッ素化炭化水素化合物、いわゆるフロン化合物を、空調装置、特にカーエアコン、すなわち自動車の空調装置における冷媒として使用することは、本件特許に係る出願日(優先日)前における当業者の周知慣用の技術であったものと認められる。
そして、上記甲4に記載されている(摘示(3a)の特に後段部参照)とおり、カーエアコンなどの蒸気圧縮型空調装置の冷媒化合物を選定するにあたり、使用温度領域(環境温度及び排出温度(凝縮温度))がその冷媒化合物の(標準)沸点以上臨界温度未満の範囲にないと冷媒として使用できるものではないところ、上記甲6にも記載されている(摘示(5a)参照)とおり、従来、空調装置における冷媒として使用されるCFC-12は、-29.65℃の沸点及び111.8℃の臨界温度を有するものであるのに対して、甲1及び甲5にもそれぞれ記載されている(摘示(1e)及び摘示(4a)参照)とおり、HFO化合物のうちハイドロフルオロプロペン化合物は、概ね-16?-17℃程度の沸点及び121?126℃程度の臨界温度を有し、特にHFO-1234yfは、-29℃(244.9K)の沸点と97℃(370.4K)の臨界温度を有するものであるから、90℃前後までの排出温度が許容できるカーエアコンのフロン化合物系の冷媒として選択することは、当業者が適宜なし得ることである。
また、本件明細書の記載及び甲1並びに甲3ないし甲6の記載を検討しても、甲1発明におけるヒートポンプに使用されるハイドロフルオロカーボンの一種である2,3,3,3-テトラフルオロプロペンなるハイドロフルオロオレフィンを含む熱媒体組成物を、自動車の空調装置における冷媒として使用することを妨げる技術的要因などが存するものとも認められない。
してみると、甲1発明におけるヒートポンプに使用される2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む熱媒体組成物を、上記当業者の周知慣用の技術に基づき、自動車の空調装置における冷媒として使用することは、当業者が適宜なし得ることと認められる。
したがって、上記相違点1は、当業者が適宜なし得ることである。

ウ.本件発明の効果について
本件発明の効果につき本件明細書の記載に基づき検討すると、本件明細書の実施例1に係る記載(【0057】?【0060】)からみて、本件発明に係る「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)」は、従来技術であるHFC-134aを使用した場合に比して、相対能力(比)の点で優れ、相対COP(比)及び排出温度の点で劣るものと認められるから、冷却/空調サイクルにおける熱力学特性の点で、本件発明に係る冷媒(組成物)が格別顕著な効果を奏するものとは認められない。
また、環境問題に係る効果につき検討すると、オゾン破壊係数(ODP)及び地球温暖化指数(GWP)は、いずれもその物質の有意量が大気中に放出された場合に関する物質の特性であって、実質的な閉鎖系である自動車の空調装置の循環系の中での冷媒としての使用における発明の効果であるとはいえない。
(なお、仮に、当該冷媒が、空調機器からの定常的な漏出及び自動車事故又は冷媒交換時の事故等の何らかの偶発的な要因により大気中に放出された場合であることを前提とすると、本件発明における「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)」は、大気寿命が11日と極めて短いのに対して、従来技術に係るHFC-134aは、13年と長い(丙2参照)から、大気中で一定以上の長期間(例えば数年以上)安定に存在するとともにその物質が成層圏のオゾン層に到達することが前提となるオゾン破壊係数(ODP)及び同様に大気中で一定以上の長期間(例えば数年以上)安定に存在することが前提となる地球温暖化指数(GWP)の点において、本件発明におけるHFO-1234yfは、その前提を欠くからいずれも実質的に無視できる(0に近い)という効果を奏するものと認めることはできる。
しかしながら、本件発明におけるHFO-1234yfなる物質は、上記のとおり、大気寿命が11日と極めて短く、その短い大気寿命の経過により分解して、フッ化水素(HF)及びトリフルオロ酢酸(TFA)が生成する(被請求人が提出した平成27年4月10日付け上申書、乙36及び乙37参照)ところ、いずれも水溶性が高く極めて酸性度が高いものであり、特にHFは毒物として本邦の法令(「毒物及び劇物取締法」(昭和25年12月28日法律第303号)並びにその指定令(昭和40年1月4日政令第2号))で指定されているほどの有害なものであるから、当該分解生成物が大気中で発生した場合、新たな環境問題(例えば「酸性雨」及び「他者の健康被害」など)を生じる可能性が高いものと認められる。)
さらに、甲1には、甲1発明におけるヒートポンプに使用される2,3,3,3-テトラフルオロプロペンなどの熱媒体が、「要求される一般的な特性(例えば、潤滑油との相溶性、材料に対する非浸蝕性など)に関しても、問題はないことが確認されている」(摘示(1h)参照)から、本件発明におけるHFO-1234yfが潤滑油との相溶性又は材料に対する非浸蝕性などに係る効果において、甲1発明に比して特段に優れるものと認めることはできない。
してみると、本件発明の効果が、甲1発明の効果に比して、格別顕著なものであるということができない。

エ.小括
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲3並びに甲4に開示された当業者の周知(慣用)技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件発明2ないし4について
本件発明1をいずれも引用する本件発明2ないし4につき併せて検討する。

ア.対比
本件発明2ないし4と上記甲1発明とをそれぞれ対比すると、上記甲1発明では、「ヒートポンプ用の熱媒体に用いられる潤滑油」を更に使用することが開示されているから、本件発明2については、上記(1)ア.で指摘した相違点1を除き、新たな相違点が存するものとは認められず、その余で一致する。
また、本件発明3及び4については、上記(1)ア.で指摘した相違点1に加えて、新たに以下の相違点が存するものと認められ、その余で一致する。

相違点2:本件発明3では、「潤滑剤が前記組成物の30?50重量%の量で存在する」のに対して、甲1発明では、潤滑剤の組成比(範囲)につき規定されていない点
相違点3:本件発明4では、「潤滑剤がポリアルキレングリコール潤滑剤を含む」のに対して、甲1発明では、「ヒートポンプ用の熱媒体に用いられる潤滑油」である点

イ.相違点に係る検討
そして、上記相違点1については、上記(1)イ.で説示したとおりの理由により、当業者が適宜なし得ることであり、当該相違点により格別な効果を奏し得るものとも認められない。
また、上記相違点2につき検討すると、甲1には、甲1発明におけるヒートポンプに使用される2,3,3,3-テトラフルオロプロペンなどの熱媒体が、「要求される一般的な特性(例えば、潤滑油との相溶性、材料に対する非浸蝕性など)に関しても、問題はないことが確認されている」(摘示(1h)参照)から、当該相溶性がある範囲で所望の組成比、例えば30?50重量%で潤滑剤を使用することに格別な技術的創意が存するものではなく、本件明細書の記載に基づき検討しても、潤滑剤の組成比を30?50重量%の範囲とすべき技術的要因又は臨界的意義が認識できるような記載が存するものでもない。
してみると、上記相違点2についても当業者が適宜なし得ることである。
さらに、上記相違点3につき検討すると、上記甲7にも記載されている(摘示(6a)?(6c)参照)とおり、従来のカーエアコンを含むヒートポンプで使用されるHFC-134aを含むHFC冷媒に混和される潤滑剤として、PAG油、すなわちポリアルキレングリコール油を使用することは、当業者の周知慣用の技術であるから、甲1発明における「ヒートポンプ用の熱媒体に用いられる潤滑油」として、当該周知慣用の技術に基づき、ポリアルキレングリコール潤滑剤を使用した点に格別な技術的創意が存するものではなく、本件明細書の記載に基づき検討しても、潤滑剤としてポリアルキレングリコール潤滑剤を使用すべき技術的要因などが認識できるような記載が存するものでもない。
したがって、上記相違点3についても、当業者が適宜なし得るものと認められる。
そして、上記(1)ウ.で説示したとおり、本件明細書の記載を検討しても、上記相違点1ないし3に係る事項により、本件発明が格別顕著な効果を奏しているものとは認められない。

ウ.小括
したがって、本件訂正発明2ないし4のいずれについても、甲1発明及び甲3、甲4並びに甲7に開示された当業者の周知(慣用)技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえる。

(3)対比・検討のまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし4は、いずれも甲1発明及び当業者の周知(慣用)の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.被請求人の主張について

(1)被請求人の主張事項
被請求人は、平成23年6月22日付け審判事件答弁書及び平成27年3月6日付け口頭審理陳述要領書において、本件発明のような自動車の空調装置における冷媒については、概略以下の(a)ないし(g)の要求される事項が存在し、本件発明の冷媒では、それらを全て満足するものであり、更に従来の自動車の空調装置の冷媒であるHFC-134aに対するドロップイン置換できる冷媒として使用できることを主張し(答弁書10?14頁及び陳述要領書3?18頁)、もって本件発明が進歩性を有する旨主張しているので以下検討する。

(a)毒性が低いこと
(b)GWPが低いこと
(c)オゾン破壊係数(ODP)が低いこと
(d)燃焼性が無いか又は低いこと
(e)高い凝縮温度条件下で優れた冷却性能を有すること
(f)圧縮機潤滑剤との混和性に優れること
(g)機器及び潤滑剤との安定性に優れること

(2)各点に係る検討

ア.上記(a)の点について
上記(a)の点につき検討すると、本件発明におけるHFO-1234yfは、乙9などからみて、それ自体は極めて低い急性毒性を有することが認められるが、その急性毒性は、本件発明の冷媒がドロップインとして用いることができるという従来技術であるHFC-134aについても同程度の低い急性毒性であるものと認められる(必要ならば下記参考文献参照)。
また、上記3.(1)ウ.でも説示したとおり、本件発明におけるHFO-1234yfは、極めて短い大気寿命を有するものであるから、自動車車内の空気中に漏出した場合、大気寿命経過後にHF及びTFAなる毒性及び刺激性(劇性)を有する分解生成物が存することになり、障害となる可能性も大きいものと理解するのが自然である。(なお、従来のHFC-134aは、大気寿命が極めて長いから、同様の分解生成物が発生するとしても障害となる可能性は極めて低いものといえる。)
してみると、本件発明が、上記(a)の点で優れるということはできない。

参考文献:「化学物質の環境リスク評価 第8巻」平成22年3月、環境省作成、「[10]1,1,1,2-テトラフルオロエタン」の項(URL:http//:www.env.go.jp/chemi/report/h22-01/pdf/chpt1/1-2-2-10.pdf)

イ.上記(b)及び(c)の各点について
上記(b)及び(c)の各点につき併せて検討すると、上記3.(1)ウ.でも説示したとおり、オゾン破壊係数(ODP)及び地球温暖化指数(GWP)は、いずれもその物質の有意量が大気中に放出された場合に関する物質の特性であるから、漏出、不完全回収などが起きた場合のリスクに係る事項である。
しかるに、本件発明におけるHFO-1234yf及び従来技術に係るHFC-134aは、共にODPは0である(甲13等参照)。
してみると、本件発明が上記(b)の点で本件発明が優れるということはできない。
また、本件発明におけるHFO-1234yfは、極めて短い大気寿命で分解し、短期間で大気中から消失するものであるから、一定期間大気中に存在することによる温室効果の指標である地球温暖化指数(GWP)については、実質的に0であるものと認められ、従来のHFC-134a(GWP=1430)に比して、他の点はさておき、優れるものといえる。
してみると、本件発明は上記(c)の点では優れるということはできる。

ウ.上記(d)の点について
上記(d)の点につき検討すると、本件発明におけるHFO-1234yfは、乙20の記載からみて、ホットプレート冷媒吹付け試験では、従来のHFC-134aと同様の不燃性性状を有するもの(30頁)の、6.2%の爆発下限界濃度を有する可燃性であるもの(25頁)とも認められる。これは、単に高温の部材表面に冷媒が存在しただけでは燃焼しないが、冷媒ガスが上記濃度以上の場合に直接着火すると燃焼(又は爆発)することを意味するものと認められる。
そして、甲13の記載を参酌すると、HFO-1234yfは6.2?12.3%の範囲で燃焼が起きるのに対して、従来のHFC-134aは不燃性であるから、当該燃焼性につき、本件発明におけるHFO-1234yfは、従来のHFC-134aに比して劣るものと理解するほかはない。
なお、6.2%なる爆発下限界濃度は、自動車のエンジン燃料として使用される水素ガス(4.0%)又はメタノール(6.72%)と略同等の濃度であり(必要ならば化学大辞典「爆発限界」の項参照)、本件発明におけるHFO-1234yfにつき、「燃焼性が無いか又は低い」と評価することはできないものと認められる。
してみると、本件発明は上記(d)の点で優れるということはできない。

エ.上記(e)の点について
上記(e)の点につき検討すると、上記3.(1)ウ.でも説示したとおり、本件明細書の実施例1に係る記載(【0057】?【0060】)からみて、本件発明に係るHFO-1234yfは、従来技術であるHFC-134aを使用した場合に比して、相対能力(比)の点で優れ、相対COP(比)及び排出温度の点で劣るものと認められる。
してみると、本件発明は上記(e)の点で優れるということはできない。

オ.上記(f)及び(g)の点について
上記(f)及び(g)の点につき併せて検討すると、甲1には、「ヒートポンプ用の熱媒体に対して要求される一般的な特性(例えば、潤滑油との相溶性、材料に対する非浸蝕性など)に関しても、問題はないことが確認されている」と記載されている(摘示(1h)参照)とおり、冷媒とそれと組み合わせて使用する潤滑剤との相溶性及びヒートポンプ装置における構成材料との非浸食性などの(機器の)安定性については、冷媒材料の使用にあたり当業者が当然に留意すべきことであり、更にHFO-1234yfを含む一般式で表されるハイドロフルオロプロペンを使用した場合につき上記相溶性及び安定性につき確認されているのであるから、本件発明におけるHFO-1234yfが甲1発明に比して特に上記相溶性及び安定性につき優れるものとは認めることができない。
してみると、本件発明は上記(f)及び(g)の点で優れるということができない。

カ.上記「従来の自動車の空調装置の冷媒であるHFC-134aに対するドロップイン置換できる冷媒として使用できる」との主張について
上記「ドロップイン置換できる冷媒として使用できる」との主張につき本件明細書の記載に基づき検討する。
本件明細書には、「CFC冷媒の代替物については、CFC冷媒を用いて現在使用されている在来の蒸気圧縮技術に対して大きな工学的設計変更を行なわずに実施されることが望ましいと、一般に考えられる。」と記載され(【0009】)、「特定の態様においては、本発明の組成物、特にトランスHFO-1234zeをかなりの割合で含む組成物、そして幾つかの態様においては本質的にトランスHFO-1234zeからなる組成物を、HFC-134aなどの現行の冷媒の代替物として用いるのが好ましい。特定の適用においては、本発明の冷媒は大きな排気量の圧縮機を使用する利益をもたらす可能性があり、それによってHFC-134aなどの他の冷媒よりも高いエネルギー効率が得られる。従って、本発明の冷媒組成物、特にトランスHFP-1234zeを含む組成物は、冷媒を置き換える適用についてのエネルギーを基礎とすることに関して、競争力のある利益をもたらす可能性がある。」(【0030】)との記載はあるものの、HFO-1234yfを使用する場合については、特に言及されていない。
そして、本件明細書の実験例に係る部分では、以下のa.ないしc.の事項が記載されているのみであり、HFC-134aとHFO-1234yfとの置換可能性を認識できるような具体的記載はない。
a.実施例1(【0057】?【0060】)において、HFO-1234yfを含む4種のHFO化合物の熱力学的な性能につき、HFC-134aと相対比較した上で、「HFC-134aよりも良好なエネルギー効率を有し(1.00と比較して1.02、1.04および1.13)、そして本冷媒組成物を用いる圧縮機は有利な排出温度をもたらすであろう(175と比較して158、165および155)、ということを示す。というのは、この排出温度の結果は、補修管理の問題の低減をもたらすと考えられるからである。」と、HFC-134aとHFO-1234yf以外の他のHFO化合物との熱力学的特性については評価記載されているものの、HFC-134aとHFO-1234yfとの対比評価については記載されていない。
b.実施例2(【0061】?【0063】)及び実施例3(【0064】?【0067】)においては、HFO-1234yf以外の他のHFO化合物につき、潤滑剤との相溶性につき検討し、当該化合物と潤滑剤との冷媒組成物につき「アルミニウム、鋼および銅と接触したときに安定である、ということを示す。」(【0067】)と記載されているのみであり、HFO-1234yfを使用した場合に係る記載はない。
c.比較例(【0068】?【0069】)においては、鉱油及びCFC-12からなる組成物につき金属片と加熱状態で1週間接触させた時の組成物が黒変したことにより組成物又は金属が分解したことを示す旨記載されている。
また、本件明細書の記載を検討しても、HFC-134aとHFO-1234yfとの置換可能性を認識できるような他の事項は記載されていない。
してみると、本件発明におけるHFO-1234yfを「従来の自動車の空調装置の冷媒であるHFC-134aに対するドロップイン置換できる冷媒として使用」することは、本件明細書に記載した事項ではない。
さらに、被請求人が提示した乙20の記載(特に25?26頁)からみて、HFO-1234yfを冷媒とするにあたり、従来のHFC-134a使用のカーエアコンシステムの種々の部材、特に冷媒配管系部材につき追加・変更するシステム装置の改造が必要であったものと認められるから、この点から見ても、本件発明におけるHFO-1234yfを「従来の自動車の空調装置の冷媒であるHFC-134aに対するドロップイン置換できる冷媒として使用」することができるということはできない。
したがって、上記「従来の自動車の空調装置の冷媒であるHFC-134aに対するドロップイン置換できる冷媒として使用できる」との主張は、本件明細書の記載に基づかないものであるか、技術的根拠を欠くものであるから、いずれにしても当を得ないものである。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件発明は、GWPの点では優れるものの、その余の点では、甲1発明又は従来技術に比して、同等以下又は劣るものと認められるから、総合すると、甲1発明に対して進歩性を有するものと認めることができない。
したがって、被請求人の上記主張は、当を得ないものであり、上記3.の当審の検討結果を左右するものではない。

5.無効理由についての検討のまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし4は、いずれも甲1に記載された発明及び当業者の周知慣用の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

III.当審の判断のまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし4は、いずれも、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができるものではないから、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明についての特許は、いずれも特許法第29条の規定に違反してされたものであって、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

第6 むすび
以上のとおり、本件訂正後の請求項1ないし4に係る発明についての特許は、いずれも無効とすべきものである。
本件審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定により準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
フッ素置換オレフィンを含有する組成物
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、特に冷却装置(refrigeration systems)を含む、多くの応用に用途を有する組成物、およびその組成物を利用する方法と装置に関する。好ましい面において、本発明は、本発明の少なくとも一つの多フッ素化オレフィンを含む冷媒組成物を対象とする。
【0002】
発明の背景
フルオロカーボン系の流体は、多くの商業上および工業上の応用において広範囲にわたる用途が見出されている。例えば、フルオロカーボン系の流体は、空調、熱ポンプおよび冷却への適用などの装置における作動流体として、しばしば用いられる。蒸気圧縮サイクルは、冷却装置における冷却または加熱を達成するために最も一般的に用いられるタイプの方法のうちの一つである。蒸気圧縮サイクルに通常含まれる工程は、比較的低い圧力での熱の吸収による液体相から蒸気相への冷媒の相変化、そして次に比較的低い圧力と温度での熱の取り出しによる蒸気相から液体相への相変化、比較的高い圧力への蒸気の圧縮、この比較的高い圧力と温度での熱の取り出しによる蒸気の液体相への凝縮、そして次にサイクルを再び開始するための圧力の低減、である。
【0003】
冷却の主な目的は、比較的低い温度で物体またはその他の流体から熱を取り去ることであるが、熱ポンプの主な目的は、周囲よりも高い温度で熱を加えることである。
【0004】
特定のフルオロカーボン類は、多くの適用において長年の間、冷媒などの多くの熱交換流体において好ましい成分のものであった。例えば、クロロフルオロメタンやクロロフルオロエタンの誘導体などのフルオロアルカン類は、それらの化学特性と物理特性の独特な組み合わせのために、空調や熱ポンプの適用を含む適用における冷媒として広範囲にわたる用途があった。蒸気圧縮装置において一般に利用される冷媒の多くのものは、単一成分の流体と共沸混合物のいずれかである。
【0005】
地球の大気と気候に害を与える可能性について近年関心が高まっていて、この点について特定の塩素系化合物が特に問題のあるものであることが確認されている。空調装置や冷却装置における冷媒としての塩素含有組成物(例えば、クロロフルオロカーボン類(CFCs)、ヒドロクロロフルオロカーボン類(HCFCs)、その他同種類のもの)の使用は、それら化合物の多くのものと関連するオゾン破壊性のために、嫌われるようになっている。従って、冷却と熱ポンプの適用のための代替物を提供する新しいフルオロカーボンおよびヒドロフルオロカーボン化合物および組成物に対する要求が増大している。例えば、塩素含有冷媒を、ヒドロフルオロカーボン類(HFCs)などのオゾン層を破壊しないであろう塩素非含有冷媒化合物で置き換えることによって、塩素含有冷却装置を改造するのが望ましいとされている。
【0006】
しかし、代替の冷媒として可能性のあるいかなるものであっても、最も広範囲にわたって用いられている流体の多くのものにおいて存在する特性、中でも、優れた熱伝達特性、化学的安定性、低い毒性または非毒性、不燃性、および潤滑剤適合性のような特性も備えていなければならない、ということが重要であると一般に考えられる。
【0007】
多くの適用において潤滑剤適合性が特に重要であるということを、出願人は認識するに至った。特に、大部分の冷却装置において用いられる圧縮機ユニットにおいて利用される潤滑剤と適合することが、冷却流体について非常に望ましい。あいにくと、HFCsを含む多くの塩素非含有冷却流体は、CFCsおよびHFCsとともに慣用的に用いられるタイプの潤滑剤(例えば鉱油、アルキルベンゼンまたはポリ(アルファ-オレフィン))に比較的不溶性および/または不混和性である。圧縮冷却、空調および/または熱ポンプの装置の中で冷却流体と潤滑剤の組み合わせを望ましいレベルの効率で機能させるためには、潤滑剤は、広い範囲の操作温度にわたって冷却液に十分に溶解できるものでなければならない。そのような溶解性は潤滑剤の粘性を低下させ、そしてそれを装置の全体にわたって容易に流動させる。そのような溶解性が無い場合、潤滑剤は冷却装置、空調装置または熱ポンプ装置の蒸発器の蛇管(coil)の中に留まりやすくなり、装置の他の部品においても同様であり、従って装置の効率を低下させる。
【0008】
使用効率に関して、冷媒の熱力学的性能またはエネルギー効率の低下は、電気エネルギーに対する需要が増大することから生じる化石燃料の使用の増大によって環境への二次的な影響をもたらすであろう、ということに注目することが重要である。
【0009】
さらに、CFC冷媒の代替物については、CFC冷媒を用いて現在使用されている在来の蒸気圧縮技術に対して大きな工学的設計変更を行なわずに実施されることが望ましいと、一般に考えられる。
【0010】
多くの適用について、可燃性はもう一つの重要な特性である。すなわち、特に熱伝達への適用を含む多くの適用において、不燃性の組成物を用いることが重要であり、また必須であるとも考えられる。従って、不燃性の組成物や化合物を用いることがしばしば有益である。本明細書において、「不燃性」という用語は、2002年のASTM規格E-681(これは本明細書中に参考文献として援用される)に従って測定されて不燃性であると判定される化合物または組成物を意味する。あいにくと、多くのHFCsは、その他の点では冷媒組成物において用いるのに望ましいかもしれないのであるが、不燃性ではない。例えば、フルオロアルカンジフルオロエタン(HFC-152a)とフルオロアルケン1,1,1,-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)はそれぞれ可燃性であり、従って多くの適用において用いるのに実行可能ではない。
【0011】
高級フルオロアルケン、すなわち少なくとも5個の炭素原子を有するフッ素置換アルケンが、冷媒として用いるために提案された。米国特許第4,788,352号(Smutny)は、少なくともある程度の不飽和を有するフッ素化C_(5)?C_(8)化合物の製造を対象とする。Smutny特許は、そのような高級オレフィンが、冷媒、農薬、絶縁性流体、熱伝達流体、溶剤、および様々な化学反応における中間体として有用であることが知られることを確認している(第1欄、11?22行を参照)。
【0012】
Smutnyに記載されたフッ素化オレフィンは、熱伝達への適用においてある程度の有効性を有するかもしれないが、そのような化合物は一定の不利益も有すると考えられる。例えば、これらの化合物の幾つかのものは、支持体、特にアクリル樹脂やABS樹脂などの一般的な用途のプラスチックを侵食しやすいかもしれない。さらに、Smutnyに記載された高級オレフィン化合物は、Smutnyにおいて指摘された農薬の活性の結果として生じるであろうそのような化合物の潜在的なレベルの有毒性のために、特定の適用においてやはり望ましくないかもしれない。また、そのような化合物は、特定の適用においてそれらを冷媒として有用なものにするには高すぎる沸点を有するかもしれない。
【0013】
ブロモフルオロメタンとブロモクロロフルオロメタンの誘導体、特にブロモトリフルオロメタン(Halon 1301)とブロモクロロジフルオロメタン(Halon 1211)は、航空機の室内やコンピューター室などの閉鎖空間において消火剤として広範囲にわたる用途を有している。しかし、様々なハロンの使用は、それらの高いオゾン破壊性のために、段階的に廃止されている。さらに、ハロンは人間が存在する領域においてしばしば用いられるので、炎を抑えるかまたは消すのに必要な濃度において適当な代替品を用いることが人間にとって安全なはずである。
【0014】
従って出願人は、組成物、特に熱伝達組成物、消火用組成物または鎮火用組成物、発泡剤、溶剤組成物、および相溶剤であって、蒸気圧縮加熱装置と冷却装置およびそのための方法を含む多くの適用において有用である可能性があり、その一方で上述の不利益のうちの一つ以上が避けられるものに対する必要性を認識するに至った。
【0015】
概要
出願人は、上述の要求およびその他の要求は、1以上のC3またはC4フルオロアルケン、好ましくは次の式Iを有する化合物を含む組成物によって満足させうることを見出した:
XCF_(z)R_(3-z) (I)
ここでXはC_(2)またはC_(3)不飽和置換または非置換アルキル基であり、Rはそれぞれ独立してCl、F、Br、IまたはHであり、そしてZは1?3である。式Iの化合物の中で非常に好ましいものは、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)のシスおよびトランス異性体である。
【0016】
本発明はまた、熱伝達、発泡、溶媒和、香味および芳香の抽出および/または放出、およびエアゾールの生成のための方法と装置を含む、本発明の組成物を利用する方法と装置を提供する。
【0017】
好ましい態様の詳細な説明
組成物
本発明は、3?4個の炭素原子、好ましくは3個の炭素原子、および少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を含む少なくとも一つのフルオロアルケンを含む組成物を対象とする。本発明のフルオロアルケン化合物はしばしば、本明細書中で便宜上の目的により、それらが少なくとも一つの水素を含んでいる場合は、ヒドロフルオロ-オレフィンまたは「HFOs」と称される。本発明のHFOsは二つの炭素-炭素二重結合を含むかもしれないと考えられるが、そのような化合物は現時点においては好ましいものであるとは考えられない。
【0018】
上述したように、本発明の組成物(composition)は式Iに従う1以上の化合物(compound)を含む。好ましい態様において、その組成物は次の式IIの化合物を含む:
【0019】
【化1】

ここでRはそれぞれ独立してCl、F、Br、IまたはHであり、R’は(CR_(2))_(n)Yであり、YはCRF_(2)であり、そしてnは0または1である。非常に好ましい態様において、YはCF_(3)であり、nは0であり、そして残りのRのうちの少なくとも一つはFである。
【0020】
一般に、上で確認した式IおよびIIの化合物は、本発明の冷媒組成物、発泡剤組成物、相溶剤、エアゾール、噴射剤、香味配合物、芳香配合物、および溶剤組成物において概ね効果的であり、そして有用であると出願人は考える。しかし出願人は、驚くべきことに、そして予期せざることに、上記の式に従う構造を有する化合物の特定のものは、そのような化合物の他のものと比較して、非常に望ましい低いレベルの毒性を示すことを見出した。容易に認識できるように、この発見は、冷媒組成物のみならず、上記の式を満足する特定の比較的毒性のある化合物であるいかなる全ての組成物の配合のためにも、非常に有利かつ有益である可能性がある。特に、比較的低い毒性レベルは式IIの化合物と関連していて、好ましくはYがCF_(3)であり、不飽和末端炭素についた少なくとも一つのRがHであり、そして残りのRのうちの少なくとも一つはFであるときに、低い毒性レベルと関連している、と出願人は考える。出願人はまた、そのような化合物の全ての構造異性体、幾何異性体および立体異性体は有効で有益な低い毒性を有する、と考える。
【0021】
非常に好ましい態様において、特に上記の低い毒性の化合物を含む態様において、nは0である。特定の非常に好ましい態様において、本発明の組成物は1以上のテトラフルオロプロペンを含む。「HFO-1234」という用語は、ここでは全てのテトラフルオロプロペンを指すものとして用いられる。テトラフルオロプロペンの中で、シス-およびトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)は両者とも特に好ましい。HFO-1234zeという用語はここでは、それがシス形であるかトランス形であるかにかかわらず、1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを指すものとして包括的に用いられる。「シスHFO-1234ze」および「トランスHFO-1234ze」という用語はそれぞれ、ここでは、シス形およびトランス形の1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを記述するものとして用いられる。従って、「HFO-1234ze」という用語は、その範囲の中に、シスHFO-1234ze、トランスHFO-1234ze、およびこれらの全ての組み合わせおよび混合物を含む。
【0022】
シスHFO-1234zeおよびトランスHFO-1234zeの特性は少なくとも幾つかの点で異なるけれども、これらの化合物の各々は、ここで説明している適用、方法および装置のそれぞれに関して、それ単独で用いるために、またはその立体異性体を含む他の化合物とともに用いるために適合可能であると考えられる。例えば、トランスHFO-1234zeは、その比較的低い沸点(-19℃)のために、特定の冷却装置において用いるのに好ましいかもしれないが、しかしながら、沸点が+9℃であるシスHFO-1234zeも本発明の特定の冷却装置において有用であると考えられる。従って、「HFO-1234ze」という用語および1,3,3,3-テトラフルオロプロペンは両方の立体異性体を指し、そしてこの用語の使用は、特に断らない限り、シス形とトランス形のそれぞれが、説明している目的のために適用され、および/または有用であるということを示すことが意図されている、と理解されるべきである。
【0023】
HFO-1234化合物は公知の物質であり、ケミカルアブストラクツデータベースに載っている。様々な飽和および不飽和ハロゲン含有C_(3)化合物の接触蒸気相フッ素化によるCF_(3)CH=CH_(2)などのフルオロプロペンの製造は、米国特許第2,889,379号、第4,798,818号および第4,465,786号に記載されていて、それらの各々は本明細書中に参考文献として援用される。同様に本明細書中に参考文献として援用される欧州特許(EP)第974,571号も、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)を、高温において蒸気相中でクロム系触媒と接触させることによって、あるいは液体相中でKOH、NaOH、Ca(OH)_(2)またはMg(OH)_(2)のアルコール溶液と接触させることによって、1,1,1,3-テトラフルオロプロペンを調製することを開示している。さらに、本発明に従う化合物を製造するための方法は、「フルオロプロペンを製造するための方法」と題する係属中の米国特許出願(代理人整理番号(H0003789(26267))に関連して概略記載されていて、この文献も本明細書中に参考文献として援用される。
【0024】
本組成物、特にHFO-1234zeを含む組成物は、幾つかの重要な理由から、有利な特性を有していると考えられる。例えば、少なくとも一部は数学的モデル化に基づいて、本発明のフルオロオレフィンは、幾つかの他のハロゲン化種と比較してオゾンの破壊にはほとんど寄与しないために、大気の化学的性質には本質的に有害な影響を与えないだろうと、出願人は考える。従って、本発明の好ましい組成物は、オゾンの破壊には実質上寄与しないという利点を有する。その好ましい組成物はまた、現在使用されている多くのヒドロフルオロアルカンと比較して、地球温暖化には実質上寄与しない。
【0025】
特定の好ましい形態において、本発明の組成物は、約1000以下の、より好ましくは約500以下の、そしてさらに好ましくは約150以下の地球温暖化係数(Global Warming Potential:GWP)を有する。特定の態様において、本組成物のGWPは約100以下であり、そしてさらに好ましくは約75以下である。本明細書において用いられている「GWP」は、二酸化炭素について100年の時間範囲で測定されたものであり、それは「オゾン破壊の科学的評価、2002年、世界気象協会の地球オゾン調査と監視プロジェクトの報告(The Scientific Assessment of Ozone Depletion,2002,a report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project)」において定義されたものであり、この文献は本明細書中に参考文献として援用される。
【0026】
特定の好ましい形態において、本組成物はまた、好ましくは0.05以下の、より好ましくは0.02以下の、そしてさらに好ましくは約0のオゾン破壊係数(Ozone Depletion Potential:ODP)を有する。本明細書において用いられている「ODP」は、「オゾン破壊の科学的評価、2002年、世界気象協会の地球オゾン調査と監視プロジェクトの報告(The Scientific Assessment of Ozone Depletion,2002,a report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project)」において定義されたものであり、この文献は本明細書中に参考文献として援用される。
【0027】
本組成物中に含まれる式Iの化合物、特にHFO-1234の量は、特定の適用に応じて広範囲に変化してもよく、この化合物を痕跡量よりも多く含む組成物と100%未満含む組成物は本発明の広い範囲内のものである。さらに、本発明の組成物は共沸性のもの、共沸性に類似のもの、あるいは非共沸性のものであってよい。好ましい態様において、本組成物はHFO-1234、好ましくはHFO-1234zeを、約5重量%から約99重量%まで、さらに好ましくは約5%から約95%までの量で含む。多くの追加の化合物が本組成物中に含まれていてもよく、全てのそのような化合物の存在は本発明の広い範囲内のものである。特定の好ましい態様において、本組成物は、HFO-1234zeに加えて、下記のものの1以上を含む:
ジフルオロメタン(HFC-32)
ペンタフルオロエタン(HFC-125)
1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)
1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)
ジフルオロエタン(HFC-152a)
1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)
1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)

CO_(2)
上記の成分のいずれの相対的な量、および本組成物に含むことのできるいかなる追加の成分の相対的な量も、組成物についての特定の適用に従って、本発明の包括的な広い範囲内で広範囲に変えることができ、全てのそのような相対的な量が本発明の範囲内であると考えられる。
【0028】
熱伝達組成物
本発明の組成物は本発明の化合物を広く変化する量で含むことができると考えられるが、本発明の冷媒組成物は、式Iに従う化合物、より好ましくは式IIに従う化合物、そしてさらに好ましくはHFO-1234zeを、組成物の少なくとも約50重量%、より好ましくは少なくとも約70重量%の量で含むのが一般的に好ましい。多くの態様において、本発明の熱伝達組成物はトランスHFO-1234zeを含むのが好ましい。特定の好ましい態様において、本発明の熱伝達組成物は、シスHFO-1234zeとトランスHFO-1234zeの組み合わせをシス:トランスの重量比率で約1:99から約10:99までの範囲で、より好ましくは約1:99から約5:95までの範囲で、そしてさらに好ましくは約1:99から約3:97までの範囲で含む。
【0029】
本発明の組成物は、組成物に特定の機能性を与えるかまたはそれを高める目的で、あるいは、ある場合には組成物のコストを下げるために、他の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明に従う冷媒組成物、特に蒸気圧縮装置において用いられる組成物は、潤滑剤を、一般に組成物の約30?約50重量%の量で含む。さらに、本組成物は、相溶剤(例えばプロパン)を、潤滑剤の相溶性および/または溶解性を高める目的で含んでいてもよい。プロパン、ブタンおよびペンタンを含むそのような相溶剤は、好ましくは組成物の約0.5?約5重量%の量で存在する。油の溶解性を高めるために、界面活性剤と可溶化剤を組み合わせたものを本組成物に添加してもよく、このことは米国特許第6,516,837号に開示されていて、その開示は本明細書中に参考文献として援用される。一般に用いられる冷却潤滑剤でヒドロフルオロカーボン(HFC)冷媒とともに冷却機械類において用いられるポリオールエステル(POEs)、ポリアルキレングリコール(PAGs)、シリコーン油、鉱油、アルキルベンゼン(ABs)およびポリ(アルファ-オレフィン)(PAO)などを、本発明の冷媒組成物とともに用いてもよい。
【0030】
多くの現行の冷却装置は現在、現行の冷媒と関連して用いることに適合しているが、本発明の組成物は、装置に改造を施すかまたは施さずに、多くのそのような装置において用いるように適合させうると考えられる。多くの適用において、本発明の組成物は、現在は比較的高い容量を有する冷媒を用いている装置における代替物として、有利なものになるであろう。さらに、例えばコスト上の理由から、高い容量の冷媒に代えて本発明の低容量の冷媒組成物を用いるのが望ましいような態様においては、本発明の組成物のそのような態様は有利なものになる可能性がある。従って、特定の態様においては、本発明の組成物、特にトランスHFO-1234zeをかなりの割合で含む組成物、そして幾つかの態様においては本質的にトランスHFO-1234zeからなる組成物を、HFC-134aなどの現行の冷媒の代替物として用いるのが好ましい。特定の適用においては、本発明の冷媒は大きな排気量の圧縮機を使用する利益をもたらす可能性があり、それによってHFC-134aなどの他の冷媒よりも高いエネルギー効率が得られる。従って、本発明の冷媒組成物、特にトランスHFP-1234zeを含む組成物は、冷媒を置き換える適用についてのエネルギーを基礎とすることに関して、競争力のある利益をもたらす可能性がある。
【0031】
本組成物、特にHFO-1234zeを含む組成物はまた、商業用の空調装置に関して典型的に用いられる冷却機(チラー:chiller)において、(もともとの装置における場合とR-12やR-500などの冷媒の代替物として用いられる場合のいずれも)利点を有すると考えられる。そのような態様の特定のものにおいては、このHFO-1234ze組成物の中に、CF3Iなどの燃焼抑制剤を約0.5?約5%含むのが好ましい。
【0032】
従って、本方法、装置および組成物は、自動車の空調装置と機器、商業用の冷却装置と機器、冷却機(chiller)、住宅用の冷蔵庫と冷凍庫、一般の空調装置、熱ポンプなどと関連して用いるように適合させることができる。
【0033】
発泡剤、気泡材料および発泡性組成物
発泡剤もまた、本組成物の1以上を含むか、あるいはそれを構成していてよい。上述したように、本発明の組成物は本発明の化合物を、広く変化する量で含むことができる。しかしながら、本発明に従う発泡剤として用いるための好ましい組成物については、式Iに従う化合物、より好ましくは式IIに従う化合物が、組成物の少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約15重量%の量で存在するのが一般的に好ましい。特定の好ましい態様において、本発明の発泡剤組成物は、HFO-1234(好ましくはHFO-1234ze)に加えて、下記の成分の1以上を共発泡剤、充填剤、蒸気圧調節剤として、あるいはその他のあらゆる目的で含んでいる:
ジフルオロメタン(HFC-32)
ペンタフルオロエタン(HFC-125)
1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)
1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)
ジフルオロエタン(HFC-152a)
1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)
1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)

CO_(2)
本発明の発泡剤組成物は、シスHFO-1234ze、トランスHFO-1234zeまたはこれらの組み合わせを含んでいてもよいと考えられる。特定の好ましい態様において、本発明の発泡剤組成物は、シスHFO-1234zeとトランスHFO-1234zeの組み合わせをシス:トランスの重量比率で約1:99から約10:99までの範囲で、より好ましくは約1:99から約5:95までの範囲で含む。
【0034】
別の態様において、本発明は、本発明の組成物を用いて調製される発泡性組成物、そして好ましくはポリウレタン、ポリイソシアヌレートおよび押出し熱可塑性気泡材料組成物を提供する。そのような気泡材料の態様において、本組成物の1以上のものが、発泡性組成物中に発泡剤として、あるいは発泡剤の一部として含まれ、その発泡性組成物は好ましくは、気泡材料または気泡構造を形成するのに適当な条件下で反応および/または発泡しうる1以上の追加の成分を含み、このことは当分野において周知である。本発明はまた、本発明の組成物を含む発泡剤を含むポリマー気泡材料配合物から調製される気泡材料、そして好ましくは独立気泡の気泡材料に関する。さらに別の態様において、本発明は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレンテレフタレート(PET)の気泡材料などの熱可塑性気泡材料またはポリオレフィン気泡材料、好ましくは低密度気泡材料を含む発泡性組成物を提供する。
【0035】
特定の好ましい態様において、本発明の発泡剤組成物の中に、分散助剤、気泡安定化剤、界面活性剤およびその他の添加剤も含有させてもよい。界面活性剤は任意であるが、しかし気泡安定化剤として役立つように添加するのが好ましい。幾つかの典型的な材料は、DC-193、B-8404、およびL-5340の名称で販売されていて、これらは概してポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体であって、例えば米国特許第2,834,748号、第2,917,480号および第2,846,458号に開示されているものであり、これらの文献の各々は本明細書中に参考文献として援用される。発泡剤混合物のためのその他の任意の添加剤としては、トリ(2-クロロエチル)ホスフェート、トリ(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、リン酸二アンモニウム、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニル、およびこれらの類似物などの難燃剤がある。
【0036】
噴射剤およびエアゾール組成物
別の面において、本発明は、本発明の組成物を含むかまたは本質的にこの組成物からなる噴射剤組成物を提供し、そのような噴射剤組成物は好ましくは霧化しうる組成物である。本発明の噴射剤組成物は好ましくは、噴射されるべき材料と、本発明に従う組成物を含む(あるいは本質的にその組成物からなる、またはその組成物からなる)噴射剤とを含む。不活性成分、溶剤、およびその他の物質も、霧化可能混合物中に存在していてもよい。好ましくは、この霧化しうる組成物はエアゾール(aerosol)である。噴射されるべき適当な材料としては、限定するものではないが、消臭剤、香料、ヘアスプレー、クレンザーなどの化粧品、および磨き剤、さらには抗喘息成分、口臭除去成分、および好ましくは吸入することが意図される他の全ての薬物または薬剤を含む他の全ての薬品などの医薬物質がある。薬物またはその他の治療剤は、組成物中に治療量で存在するのが好ましく、組成物の残りの本質的な部分は本発明の式Iの化合物、好ましくはHFO-1234、さらに好ましくはHFO-1234zeを含む。
【0037】
工業用途、消費者または医療用途のためのエアゾール製品は典型的に、1種以上の噴射剤とともに、1種以上の有効成分、不活性成分または溶剤を含む。噴射剤は、製品をエーロゾル化した形態で排出する力を与える。エアゾール製品の幾つかのものは、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、さらには空気のような圧縮気体を用いて噴射されるが、大部分の市販用のエアゾールは液化ガスの噴射剤を用いる。最も一般的に用いられる液化ガス噴射剤は、ブタン、イソブタン、およびプロパンなどの炭化水素である。ジメチルエーテルとHFC-152a(1,1-ジフルオロエタン)も、単独で、または炭化水素の噴射剤と混合して用いられる。あいにくと、これらの液化ガス噴射剤の全てがかなり可燃性なので、それらをエアゾール配合物の中に組み入れることによって、可燃性のエアゾール製品がしばしば得られるだろう。
【0038】
出願人は、エアゾール製品に配合するための不燃性の液化ガス噴射剤に対する継続的な要求を認識するに至った。本発明は、本発明の組成物、特にそして好ましくはHFO-1234、さらに好ましくはHFO-1234zeを含む組成物であって、例えばスプレー式クリーナーや潤滑剤、およびそれらの類似物を含む特定の工業用エアゾール製品、および例えば薬品を肺や粘膜に供給するためのものを含む医薬用エアゾールにおいて用いるための組成物を提供する。この例としては、喘息やその他の慢性肺障害疾患の治療のためや接近可能な粘膜または鼻腔内に薬物を供給するための計量投与吸入器(MDIs)がある。従って、本発明は、(人間や動物などの)生物の病気、疾病および類似の健康に関連する問題を治療するための方法を含み、この方法は、治療が必要な生物に薬物またはその他の治療成分を含む本発明の組成物を適用することを含む。特定の好ましい態様において、本組成物を適用する工程は、本発明の組成物を含有するMDIを用意すること(例えば、その組成物をMDIの中に導入すること)、そして次に、本組成物をMDIから放出することを含む。
【0039】
本発明の組成物、特にHFO-1234zeを含むかあるいは本質的にHFO-1234zeからなる組成物は、地球温暖化に実質的に寄与しない不燃性の液化ガス噴射剤およびエアゾールを提供することができる。本組成物は、コンタクトクリーナー、ダスター、潤滑剤スプレー、および類似物などの様々な工業用エアゾールまたはその他のスプレー可能な組成物や、個人用ケア製品、家財製品および自動車用製品などの消費者用エアゾールを配合するために用いることができる。HFO-1234zeは、計量投与吸入器などの医薬用エアゾールのための噴射剤組成物の重要な成分として用いるのに特に好ましい。多くの適用における本発明の医薬用エアゾールおよび/または噴射剤および/またはスプレー可能な組成物は、式(I)または(II)の化合物(好ましくはHFO-1234ze)に加えて、ベータ作用薬、コルチコステロイドまたはその他の薬物、および任意に、界面活性剤、溶剤、他の噴射剤、香味剤およびその他の賦形剤などその他の成分を含む。本発明の組成物は、これらの適用においてこれまで用いられた多くの組成物とは異なり、良好な環境特性を有し、地球温暖化に寄与する可能性があるとは考えられない。従って、本組成物は、特定の好ましい態様において、非常に低い地球温暖化係数を有する本質的に不燃性の液化ガス噴射剤を提供する。
【0040】
香味剤および芳香剤
本発明の組成物は、香味配合物および芳香配合物の一部として、そして特にこれらのためのキャリヤーとして用いられるときにも利点を提供する。この目的のための本組成物の適性は、0.39グラムのジャスモンを厚肉のガラス管の中に入れる試験手順によって例証された。1.73グラムのR-1234zeがガラス管に添加された。次いで、管は冷凍され、そして密封された。管が解凍したとき、混合物は一つの液体相を有していた。その溶液は20wt.%のジャスモンと80wt.%のR-1234zeを含んでいて、従ってエアゾールおよびその他の配合物において、香味配合物のための供給系のキャリヤーとして、あるいはその供給系の一部として用いるのに有利であることが確認された。また、植物から抽出されるものを含めて、芳香の抽出剤としての可能性も確認された。
【0041】
方法と装置
本発明の組成物は、冷却装置、空調装置および熱ポンプ装置において用いられる冷媒など、熱を伝達するための方法と装置における熱伝達流体としての用途を含めて、多くの方法と装置に関して有用である。本組成物はまた、エアゾールを発生させる装置と方法、好ましくはそのような装置と方法におけるエアゾール噴射剤を含むかまたはそれからなるエアゾールを発生させる装置と方法において用いるのに有利である。気泡材料を形成する方法および炎を消しそして抑える方法も、本発明の特定の面に含まれる。本発明はまた、特定の面において、そのような方法と装置において本組成物が溶剤組成物として用いられている物品から残留物を除去する方法も提供する。
【0042】
熱伝達方法
好ましい熱伝達方法は、概して言えば、本発明の組成物を用意し、そして組成物の相を変化させるその組成物へ、またはその組成物から、伝達させるべき熱を発生させることを含む。例えば、本方法は、冷却されるべき物体または流体の近くで、その流体または物品から熱を吸収することによって、好ましくは本冷媒組成物を蒸発させることによって本組成物を含む蒸気を生成し、それによって冷却することを提供する。好ましくは、その方法は冷媒の蒸気を圧縮するさらなる工程を含み、これは通常、比較的高い圧力において本組成物の蒸気を生成するために、圧縮機または類似の装置を用いて行なわれる。一般に、蒸気を圧縮する工程によって蒸気に熱が加えられ、従って比較的高い圧力の蒸気の温度は上昇する。好ましくは、本方法は、この比較的高い温度と圧力の蒸気から、蒸発と圧縮の工程によって加えられた熱の少なくとも一部を取り出すことを含む。熱を取り出す工程は好ましくは、蒸気が比較的高い圧力の条件にあるときに、高温高圧の蒸気を凝縮し、それによって本発明の組成物を含む比較的高い圧力の液体を生成することを含む。このとき、この比較的高い圧力の液体は、好ましくは、圧力の名目上の等エンタルピー低下を受け、それによって比較的低い温度で低い圧力の液体が生成する。このような態様においては、この温度の低下した冷媒液体は、次に、冷却されるべき物体または流体から伝達される熱によって蒸発する。
【0043】
本発明の別の方法の態様においては、本発明の組成物は、加熱されるべき液体または物体の近くで本組成物を含む冷媒を凝縮することを含む、加熱を行なうための方法において用いることができる。そのような方法は、上述したように、上で説明した冷却サイクルの逆のサイクルであることが多い。
【0044】
気泡材料を発泡させる方法
本発明の一つの態様は、気泡材料を形成する方法、そして好ましくはポリウレタンおよびポリイソシアヌレートの気泡材料を形成する方法に関する。その方法は、概して言えば、本発明の発泡剤組成物を用意し、その発泡剤組成物を(直接または間接に)発泡性組成物に添加し、そして気泡材料または気泡構造物が形成されるのに有効な条件下で発泡性組成物を反応させることを含み、この工程は当分野で周知である。例えば「ポリウレタンの化学と技術(Polyurethanes Chemistry and Technology)」Volumes I and II,Saunders and Frisch,1962,John Wiley and Sons,New York,NY,(この記載は本明細書中に参考文献として援用される)に記載されているような、当分野で周知のいかなる方法も、本発明の気泡材料の態様に従って用いるために、使用するかあるいは適合させることができる。一般に、そのような好ましい方法は、イソシアネート、ポリオールまたはポリオールの混合物、発泡剤または本発明の組成物を1以上含む発泡剤の混合物、および触媒、界面活性剤、そして任意に難燃剤、着色剤またはその他の添加剤などの他の材料を組み合わせることによって、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの気泡材料を調製することを含む。
【0045】
多くの適用において、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの気泡材料のための成分をプレブレンド配合において用意するのが好都合である。最も典型的には、気泡材料配合物はプレブレンドされて、二つの成分にされる。イソシアネートと任意の特定の界面活性剤と発泡剤は第一の成分を構成し、これは通常「A」成分と呼ばれる。ポリオールまたはポリオールの混合物、界面活性剤、触媒、発泡剤、難燃剤、およびその他のイソシアネート反応性成分は第二の成分を構成し、これは通常「B」成分と呼ばれる。従って、AおよびBの副成分を、小さな調製物を得るための手混合によって、そして好ましくはブロック、スラブ、ラミネート、現場注入パネル、およびその他の物品、スプレーされたフォーム、フロス(泡:froths)および類似物を形成するための機械混合法によって混合することにより、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの気泡材料が容易に調製される。任意に、難燃剤、着色剤、補助発泡剤、およびさらに他のポリオールなどの他の成分を、混合頭部(mix head)または反応位置に第三の流れとして添加することができる。しかし、最も好ましくは、これらは全て上記の一つのB成分の中に組み込まれる。
【0046】
また、本発明の組成物を用いて熱可塑性気泡材料を製造することもできる。例えば、一般的なポリスチレンやポリエチレン配合物を通常の方法で組成物に添加し、それにより硬質の気泡材料を製造することができる。
【0047】
洗浄方法
本発明はまた、製品、部材、部品、基板、またはその他のあらゆる物品またはその部分から、その物品に本発明の組成物を適用することによって、汚染物質を除去する方法を提供する。便宜上の目的から、「物品」という用語は、本明細書においては、そのようなあらゆる製品、部材、部品、基板、および類似物を意味するものとして用いられ、またさらには、あらゆる表面またはその部分を意味することが意図されている。さらに、「汚染物質」という用語は、物品の上に存在するあらゆる望ましくない材料または物質を意味することが意図されていて、そのような物質が物品の上に意図的に置かれている場合であっても、そうである。例えば、半導体デバイスの製造においては、基板の上にフォトレジスト材料を堆積してエッチング工程のためのマスクを形成し、次いでフォトレジスト材料を基板から除去するのが一般的である。ここで用いられる「汚染物質」という用語は、そのようなフォトレジスト材料に適用され、そしてそれを含むことが意図されている。
【0048】
本発明の好ましい方法は、本組成物を物品に適用することを含む。多くの様々な洗浄法において本発明の組成物を良好に用いることができると考えられるが、本組成物を超臨界洗浄法(supercritical cleaning techniques)に関して用いるのが、特に有利であると考えられる。超臨界洗浄は米国特許第6,589,355号に開示されていて、これは本発明の譲受人に譲渡されたが、この特許は本明細書中に参考文献として援用される。超臨界洗浄の適用については、特定の態様においては、HFO-1234(好ましくはHFO-1234ze)に加えて、1以上の追加の成分、例えば超臨界洗浄の適用に関する使用のために知られているCO_(2)やその他の追加の成分などを、本洗浄組成物の中に含めるのが好ましい。また、特定の態様においては、特定の蒸気脱脂法や溶剤洗浄法に関連して本洗浄組成物を用いることができて、そしてそれが望ましいかもしれない。
【0049】
可燃性低減方法
特定の他の好ましい態様によれば、本発明は流体の可燃性を低減するための方法を提供し、前記方法は、前記流体に本発明の化合物または組成物を添加することを含む。広い範囲で可燃性を有する流体のいかなるものに関する可燃性も、本発明に従って低減するだろう。例えば、エチレンオキシド、可燃性ヒドロフルオロカーボン、およびHFC-152a、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、ジフルオロメタン(HFC-32)、プロパン、ヘキサン、オクタン、および類似物を含めた炭化水素などの流体に関する可燃性は、本発明に従って低減させることができる。本発明の目的に関して、可燃性流体とは、例えばASTM E-681などのあらゆる標準的で一般的な試験方法によって測定されて空気中で可燃性範囲を示すあらゆる流体であろう。
【0050】
本発明に従って流体の可燃性を低減するために、いかなる適当な量の本化合物または組成物も添加することができるだろう。当業者であれば認識できるであろうが、添加する量は、少なくとも一部は、対象の流体の可燃性の程度、およびその可燃性がどの程度まで低減されるのが望ましいか、に依存するだろう。特定の好ましい態様においては、可燃性流体に添加される化合物または組成物の量は、得られる流体を実質的に不燃性にするのに有効な量である。
【0051】
鎮火方法
本発明はさらに、炎を抑える方法を提供し、その方法は、炎に本発明の化合物または組成物を含む流体を接触させることを含む。炎を本組成物と接触させるために、いかなる適当な方法を用いてもよい。例えば、本発明の組成物を炎の上にスプレーしたり、注ぎ込むなどすることができ、あるいは炎の少なくとも一部を組成物に浸漬してもよい。ここでの教示を考慮して、当業者であれば、本発明において用いるための様々な一般的な鎮火装置と鎮火方法を容易に適用することができるだろう。
【0052】
滅菌方法
多くの物品、装置、および材料、特に医療分野で用いられるものは、患者や病院職員の健康と安全などの健康上と安全上の理由から、使用する前に滅菌されなければならない。本発明は、滅菌されるべき物品、装置または材料を、1以上の滅菌剤と組み合わせて、式Iの化合物、好ましくはHFO-1234、そしてさらに好ましくはHFO-1234zeを含む本発明の化合物または組成物と接触させることを含む、滅菌方法を提供する。当分野で多くの滅菌剤が知られていて、それらを本発明に関して用いるために適用することができると考えられるが、特定の好ましい態様においては、滅菌剤は、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド、過酸化水素、二酸化塩素、オゾン、およびこれらの組み合わせを含む。特定の態様においては、エチレンオキシドが好ましい滅菌剤である。本明細書に含まれる教示に鑑みて、当業者であれば、本滅菌組成物および方法に関して用いられるべき本化合物と滅菌剤の相対的な割合を容易に決定することができるだろう。そしてそのような割合の全ての範囲が、本発明の広い範囲に含まれる。当業者には知られているように、エチレンオキシドなどの特定の滅菌剤は比較的可燃性の高い成分であるが、本発明に従う化合物は、組成物中に存在する他の成分とともに、滅菌組成物の可燃性を許容可能なレベルまで低減させるのに有効な量で、本組成物中に含まれる。
【0053】
本発明の滅菌方法は高温または低温の滅菌のいずれでもよいが、本発明の方法は、約250°Fから約270°Fまでの温度で、好ましくは実質的に密封された空間内で、本発明の化合物または組成物を使用することを含む。そのプロセスは通常、約2時間未満で完了させうる。しかし、プラスチック物品や電気部品など、ある物品はそのような高温に耐えることができないので、低温の滅菌を必要とする。低温滅菌方法においては、滅菌されるべき物品は、ほぼ室温から約200°Fまでの温度で、より好ましくはほぼ室温から約100°Fまでの温度で、本発明の組成物を含む流体にさらされる。
【0054】
本発明の低温滅菌は好ましくは、実質的に密封された、好ましくは気密の空間内で行なわれる少なくとも二工程のプロセスである。第一の工程(滅菌工程)において、洗浄されて気体透過性の袋の中に包まれた物品は、空間(chamber)内に置かれる。次いで、真空引きすることによって、あるいは空気を蒸気と置換することによって、空間から空気が排出される。特定の態様においては、空間内に蒸気を噴射することによって、好ましくは約30%?約70%の範囲の相対湿度を達成するのが好ましい。そのような湿度は滅菌剤の滅菌効果を最大にするだろう。滅菌剤は、所望の相対湿度が達成された後に空間内に導入される。滅菌剤が包装を透過して物品の隙間に到達するのに十分な一定の時間が経過した後、滅菌剤と蒸気が空間から排出される。
【0055】
プロセスの好ましい第二の工程(通気工程)において、残留した滅菌剤を除去するために、物品は通気される。そのような残留物を除去することは、毒性のある滅菌剤の場合に特に重要であるが、本発明の実質的に非毒性の化合物が用いられるような場合には、その工程は任意である。典型的な通気プロセスには、空気洗浄(air wash)、連続的な通気、およびこれら二つの組み合わせが含まれる。空気洗浄は回分操作(バッチプロセス)であり、通常は空間内を比較的短い時間(例えば12分間)排気することと、次いで空間内に空気を大気圧以上で導入することを含む。このサイクルは、滅菌剤の所望の除去が達成されるまで、何回でも繰り返される。連続的な通気は典型的には、空間の一方の側にある入口を通して空気を導入することと、次いで、空間の他方の側にある出口を通して、この出口にわずかな真空を適用することによって空気を抜き出すことを含む。これら二つの方法は、しばしば組み合わされる。例えば、一般的なやり方は、空気洗浄を行い、次いで通気サイクルを行うことを含む。
【0056】
実施例
以下の実施例は本発明を例証する目的で提示されるが、しかし本発明の範囲を限定するものではない。
【0057】
実施例1
成績係数(coefficient of performance:COP)は、一般に認められている冷媒性能の尺度であり、冷媒の蒸発または凝縮を含む特定の加熱または冷却のサイクルにおける冷媒の相対的な熱力学的効率を表わすのに特に有益である。冷却工学において、この用語は、蒸気を圧縮する際に圧縮機によって加えられたエネルギーに対する有用な冷却の比率を表わす。冷媒の能力(capacity)は冷媒が与える冷却または加熱の量を表わし、それは、冷媒の所定の容積流量に対して圧縮機が熱量を与える性能の尺度を与える。言い換えると、特定の圧縮機があるとき、冷媒の能力が大きいほど、その冷媒はより大きな冷却能力または加熱能力を伝えるだろう。特定の操作条件における冷媒のCOPを評価するための一つの手段は、標準冷却サイクル分析法を用いる冷媒の熱力学的特性からのものである(例えば、R.C.Downing,FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK(フルオロカーボン冷媒便覧),Chapter 3,Prentice-Hall,1988を参照されたい)。
【0058】
冷却/空調サイクル装置が用意され、このとき、圧縮機の入口温度を約50°Fとする名目上の等エントロピー圧縮の下で、凝縮器の温度は約150°Fであり、蒸発器の温度は約-35°Fであった。1.00のCOP値と1.00の能力値および175°Fの排出温度を有するHFC-134aを基にして、ある範囲の凝縮器温度と蒸発器温度にわたって、本発明の幾つかの組成物についてCOPが測定され、これを下の表Iに報告する。
【0059】
【表1】

【0060】
この実施例は、本組成物において用いるための好ましい化合物の特定のものはそれぞれ、HFC-134aよりも良好なエネルギー効率を有し(1.00と比較して1.02、1.04および1.13)、そして本冷媒組成物を用いる圧縮機は有利な排出温度をもたらすであろう(175と比較して158、165および155)、ということを示す。というのは、この排出温度の結果は、補修管理の問題の低減をもたらすと考えられるからである。
【0061】
実施例2
様々な冷却潤滑剤とのHFO-1225yeおよびHFO-1234zeの混和性が試験された。試験された潤滑剤は、鉱油(C3)、アルキルベンゼン(Zerol 150)、エステルオイル(Mobil EAL 22ccおよびSolest 120)、ポリアルキレングリコール(PAG)オイル(134a系のためのGoodwrench Refrigeration Oil)、およびポリ(アルファ-オレフィン)オイル(CP-6005-100)である。それぞれの冷媒/オイルの組み合わせについて、三つの組成物が試験された。すなわち、5、20および50重量パーセントの潤滑剤と、各々の残りは試験に供された本発明の化合物である。
【0062】
潤滑剤組成物は厚肉のガラス管の中に置かれた。ガラス管が排気され、本発明に従う冷媒化合物が添加され、次いで管は密封された。次いで、ガラス管は空気浴環境の容器内に置かれた。容器内の温度は約-50℃から70℃まで変えられた。およそ10℃の間隔で、一つ以上の液体相の存在について、管の内容物の目視観察が行なわれた。一つを越える液体相が観察された場合、混合物は不混和性であるとされる。一つだけの液体相が観察された場合、混合物は混和性であるとされる。二つの液体相が観察されたが、しかし液体相のうちの一つが非常に少ない容積だけを占めている場合、混合物は部分的に混和性であるとされる。
【0063】
ポリアルキレングリコールとエステルオイル潤滑剤は、試験された全ての割合において、全ての温度範囲にわたって混和性であると判定されたが、ただしポリアルキレングリコールとHFO-1225yeの混合物については、その冷媒混合物は-50℃から-30℃の温度範囲においては不混和性であると認められ、そして-20℃から50℃の範囲では部分的に混和性であった。60℃での冷媒中の50重量パーセントの濃度のPAGにおいて、その冷媒/PAG混合物は混和性であった。70℃において、冷媒中の5重量パーセントの潤滑剤から冷媒中の50重量パーセントの潤滑剤まで、それは混和性であった。
【0064】
実施例3
本発明の冷媒化合物および組成物のPAG潤滑オイルとの適合性が、冷却装置と空調装置において用いられる金属と接触している状態で、350°Fにおいて試験された。この温度は、多くの冷却や空調の適用において見出される条件よりもずっと厳しい条件を表わす。
【0065】
アルミニウム、銅および鋼の試験片(クーポン)が、厚肉のガラス管の中に置かれた。2グラムのオイルが管の中に添加された。次いで、ガラス管を排気し、そして1グラムの冷媒が添加された。ガラス管を炉の中に350°Fにおいて一週間入れ、そして目視観察が行なわれた。曝露期間の最後にガラス管を取り出した。
【0066】
この手順は、オイルと本発明の化合物の下記の組み合わせについて行なわれた:
a)HFO-1234zeとGM Goodwrench PAGオイル
b)HFO-1243zfとGM Goodwrench PAGオイル
c)HFO-1234zeとMOPAR-56 PAGオイル
d)HFO-1243zfとMOPAR-56 PAGオイル
e)HFO-1225yeとMOPAR-56 PAGオイル。
【0067】
全てのケースにおいて、ガラス管の内容物の外観に極少の変化があった。このことは、本発明の冷媒化合物と組成物は、冷却装置と空調装置およびこれらのタイプの装置においてその組成物の中に含まれるかあるいはその組成物とともに用いられることの多いタイプの潤滑オイルにおいて見出されるアルミニウム、鋼および銅と接触したときに安定である、ということを示す。
【0068】
比較例
アルミニウム、銅および鋼の試験片が、鉱油およびCFC-12とともに厚肉のガラス管の中に置かれ、実施例3におけると同様に、350°Fにおいて一週間加熱された。曝露期間の最後にガラス管を取り出し、そして目視観察が行なわれた。液体の内容物が黒色に変化したのが観察され、このことは、管の内容物が激しく分解したことを示す。
【0069】
CFC-12と鉱油はこれまで、多くの冷却系と冷却方法において組み合わせて選択されてきた。従って、本発明の冷媒化合物と組成物は、多くの一般的に用いられている潤滑オイルと一緒に用いるときに、広く用いられている先行技術の冷媒-潤滑オイルの組み合わせよりも、かなり良好な安定性を有する。
【0070】
実施例4-ポリオール気泡材料
本実施例は、本発明の好ましい態様のうちの一つに従う発泡剤の使用、すなわちHFO-1234zeの使用、および本発明に従うポリオール気泡材料の製造を例証する。ポリオール気泡材料配合物の成分は下記の表に従って調製された。
【0071】
【表2】

【0072】
(*)Voranol 490はスクロース系のポリオールであり、Voranol 391はトルエンジアミン系のポリオールであり、それぞれDow Chemicalから得られる。B-8462はDegussa-Goldschmidtから入手できる界面活性剤である。Polycat触媒は第三アミン系のものであり、Air Productsから入手できる。イソシアネートM-20SはBayer LLCの製品である。
気泡材料は、発泡剤を添加せずに、成分を最初に混合することによって調製された。二つのフィッシャー・ポーター管のそれぞれに、約52.6グラムの(発泡剤を含まない)ポリオール混合物を充填し、密封し、次いで冷蔵庫の中に置いて冷却し、そしてわずかな真空を形成した。ガスビュレットを用いて、約17.4グラムのHFO-1234zeを各々の管に添加し、次いで温水中の超音波浴中に管を置き、そして30分間放置した。得られた溶液は曇っていて、室温において測定した蒸気圧は約70psigの蒸気圧を示し、このことは、発泡剤が溶液中に溶解していないことを示す。次いで、管を冷凍室の中に27°Fにおいて2時間置いた。蒸気圧を再び測定すると14psigであった。約87.9グラムのイソシアネート混合物を金属容器の中に入れ、そして冷蔵庫の中に置いて約50°Fまで冷却した。次いで、ポリオールの管を開け、金属の混合容器の中に秤量した(約100グラムのポリオールブレンドを用いた)。次いで、冷却した金属容器からイソシアネートをすぐにポリオールの中に注ぎ、そして二つのプロペラを有するエアミキサーを用いて3000RPM(回転/分)で10秒間混合した。この配合物は攪拌するとすぐに泡立ち始め、次いでこれを8x8x4インチの箱の中に注ぎ込み、そして発泡させた。泡立ちが起こったため、クリーム時間は測定することができなかった。気泡材料は4分間のゲル化時間と5分間の不粘着時間を有していた。次いで、気泡材料を室温において二日間硬化させた。次いで、気泡材料を、物理的特性を測定するのに適した試料に切断し、それは2.14pcfの密度を有していた。Kファクターが測定され、次の通りであった。
【0073】
【表3】

【0074】
実施例5-ポリスチレン気泡材料
本実施例は、本発明の二つの好ましい態様に従う発泡剤の使用、すなわちHFO-1234zeおよびHFO-1234yfの使用、およびポリスチレン気泡材料の製造を例証する。特定の発泡剤とポリマーで気泡材料を製造することができるか否か、およびその気泡材料の性質を決定するための手助けになるように、試験装置と試験手順が決定された。粉砕したポリマー(Dow Polystyrene 685D)と本質的にHFO-1234zeからなる発泡剤が、容器内で配合された。容器の略図を、あとの方に示す。容器の容積は200cm^(3)で、それは二つのパイプフランジと直径2インチで長さ4インチのスケジュール40ステンレス鋼パイプの部分から成っている(図1を参照)。容器を炉中に置き、温度を約190°Fから約285°Fまで、好ましくはポリスチレンについて265°Fに設定し、そこで温度が平衡に達するまで放置した。
【0075】
次いで、容器内の圧力が開放され、発泡したポリマーが直ちに生成した。発泡剤は、それがポリマーに溶解したときにポリマーを可塑化する。この方法を用いてこのように製造された二つの気泡材料の得られた密度を、トランスHFO-1234zeおよびHFO-1234yfを用いて製造された気泡材料の密度として、表1に示す。データは、本発明に従って気泡材料のポリスチレンを得ることができることを示す。ポリスチレンを伴うR1234zeについてのダイ温度は約250°Fであった。
【0076】
【表4】

【0077】
本発明は以下の態様を含む。
[1]
熱伝達組成物であって、
(a)式Iで表わされる少なくとも1つのフルオロアルケン:
XCF_(z)R_(3-z) (I)
(ここでXはC_(2)またはC_(3)不飽和置換または非置換アルキル基であり、Rは独立してCl、F、Br、IまたはHであり、そしてZは1?3である)を含み、
約1000以下の地球温暖化係数(GWP)を有する、前記組成物。
[2]
前記少なくとも1つのフルオロアルケンは式IIで表わされる化合物であり、
【化2】

ここでRはそれぞれ独立してCl、F、Br、IまたはHであり、R’は(CR_(2))_(n)Yであり、YはCRF_(2)であり、そしてnは0または1である、1に記載の熱伝達組成物。
[3]
前記少なくとも1つのフルオロアルケンは、少なくとも1つのテトラフルオロプロペン(HFO-1234)を含む、1に記載の熱伝達組成物。
[4]
前記少なくとも1つのHFO-1234はHFO-1234yfを含む、3に記載の熱伝達組成物。
[5]
前記少なくとも1つのHFO-1234はHFO-1234zeを含む、3に記載の熱伝達組成物。
[6]
式IIで表わされる前記組成物を少なくとも約50重量%含む、2に記載の熱伝達組成物。
[7]
前記少なくとも1つのフルオロアルケンは、少なくとも1つのテトラフルオロプロペン(HFO-1234)を含む、2に記載の熱伝達組成物。
[8]
前記少なくとも1つのHFO-1234はHFO-1234yfを含む、7に記載の熱伝達組成物。
[9]
前記少なくとも1つのHFO-1234は本質的にHFO-1234yfからなる、7に記載の熱伝達組成物。
[10]
前記少なくとも1つのHFO-1234はHFO-1234zeを含む、7に記載の熱伝達組成物。
[11]
HFO-1234を約5重量%から約99重量%まで含む、7に記載の熱伝達組成物。
[12]
HFO-1234を約5重量%から約95重量%まで含む、7に記載の熱伝達組成物。
[13]
前記HFO-1234は、HFO-1234yf、HFO-1234zeおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、12に記載の熱伝達組成物。
[14]
前記HFO-1234は、トランスHFO-1234とシスHFO-1234zeを、シス:トランスの重量比率で約1:99から約10:99までの範囲で含む、13に記載の熱伝達組成物。
[15]
式Iで表わされる前記組成物を、ほぼ痕跡量よりも多い量から約100重量%未満まで含む、1に記載の熱伝達組成物。
[16]
HFO-1234yfを約5重量%から約95重量%まで含む、15に記載の熱伝達組成物。
[17]
HFO-1234zeを約5重量%から約95重量%まで含む、15に記載の熱伝達組成物。
[18]
前記HFO-1234zeは、少なくとも約90重量%のトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランスHFO-1234ze)を含む、17に記載の熱伝達組成物。
[19]
ジフルオロメタン(HFC-32)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、水、CO_(2)、およびこれらの2以上の組み合わせからなる群から選択される1以上の化合物をさらに含む、1に記載の熱伝達組成物。
[20]
1以上の潤滑剤をさらに含む、1に記載の熱伝達組成物。
[21]
1以上の潤滑剤を、熱伝達組成物の約30重量%から約50重量%までの量でさらに含む、1に記載の熱伝達組成物。
[22]
1以上の鎮火剤をさらに含む、1に記載の熱伝達組成物。
[23]
1以上の鎮火剤を、熱伝達組成物の約0.5重量%から約5重量%までの量でさらに含む、1に記載の熱伝達組成物。
[24]
前記鎮火剤はCF_(3)Iを含む、1に記載の熱伝達組成物。
[25]
冷却装置に含まれる現行の冷媒を取り替える方法であって、
前記現行の冷媒の少なくとも一部を前記装置から取り替えることと、そして
式Iで表わされる少なくとも1つのフルオロアルケン:
XCF_(z)R_(3-z) (I)
(ここでXはC_(2)またはC_(3)不飽和置換または非置換アルキル基であり、Rは独立してCl、F、Br、IまたはHであり、そしてZは1?3である)を含む冷媒組成物を前記装置に導入することによって前記現行の冷媒の少なくとも一部を取り替えること、
を含む、前記方法。
[26]
前記現行の冷媒はHFC-134aを含む、25に記載の方法。
[27]
前記現行の冷媒はR-12を含む、25に記載の方法。
[28]
前記現行の冷媒はR-500を含む、25に記載の方法。
[29]
前記現行の冷却装置は、少なくとも1つの比較的大きな排気量の圧縮機を含む、25に記載の方法。
[30]
前記現行の冷却装置は、商業用の空調装置において用いられる冷却機である、25に記載の方法。
[31]
前記現行の冷却装置は、住宅用の空調装置において用いられる冷却機である、25に記載の方法。
[32]
前記冷媒は約1000以下の地球温暖化係数(GWP)を有する、25に記載の方法。
[33]
前記冷媒はHFO-1234zeを約5重量%から約95重量%まで含む、25に記載の方法。
[34]
前記冷媒はHFO-1234yfを約5重量%から約95重量%まで含む、25に記載の方法。
[35]
前記現行の冷却装置は、商業用の空調装置において用いられる冷却機である、34に記載の方法。
[36]
流体または物体へ、または流体または物体から熱を伝達する方法であって、
流体または物体を、式Iで表わされるフルオロアルケン:
XCF_(z)R_(3-z) (I)
(ここでXはC_(2)またはC_(3)不飽和置換または非置換アルキル基であり、Rはそれぞれ独立してCl、F、Br、IまたはHであり、そしてZは1?3である)を含む組成物と接触させることを含み、
前記組成物は1000以下の地球温暖化係数(GWP)を有する、前記方法。
[37]
前記組成物は約500以下のGWPを有する、36に記載の方法。
[38]
式Iで表わされる前記フルオロアルケンはHFO-1234yfを含む、36に記載の方法。
[39]
式Iで表わされる前記フルオロアルケンはHFO-1234zeを含む、36に記載の方法。
[40]
前記接触させる工程は、自動車の空調装置の中で前記組成物を循環させることを含む、36に記載の方法。
[41]
前記接触させる工程は、商業用の冷却装置の中で前記組成物を循環させることを含む、36に記載の方法。
[42]
前記接触させる工程は、冷却機の中で前記組成物を循環させることを含む、36に記載の方法。
[43]
前記接触させる工程は、住宅用の冷蔵庫と冷凍庫の中で前記組成物を循環させることを含む、36に記載の方法。
[44]
前記接触させる工程は、熱ポンプの中で前記組成物を循環させることを含む、36に記載の方法。
[45]
発泡性組成物であって、
発泡性ポリマーまたはプレポリマーと、式Iで表わされる少なくとも1つのフルオロアルケン:
XCF_(z)R_(3-z) (I)
(ここでXはC_(2)またはC_(3)不飽和置換または非置換アルキル基であり、Rは独立してCl、F、Br、IまたはHであり、そしてZは1?3である)を含む発泡剤とを含み、
前記発泡剤は約1000以下の地球温暖化係数(GWP)を有する、前記組成物。
[46]
45に記載の発泡性組成物から製造された気泡材料。
[47]
気泡材料のプレミックス組成物であって、
ポリマーまたはプレポリマーと、式Iで表わされる少なくとも1つのフルオロアルケン:
XCF_(z)R_(3-z) (I)
(ここでXはC_(2)またはC_(3)不飽和置換または非置換アルキル基であり、Rはそれぞれ独立してCl、F、Br、IまたはHであり、そしてZは1?3である)を含む発泡剤とを含む、前記組成物。
[48]
約1000以下の地球温暖化係数(GWP)を有する、47に記載の気泡材料のプレミックス組成物。
[49]
鎮火剤をさらに含む、48に記載の気泡材料のプレミックス組成物。
[50]
組成物であって、
(a)式Iで表わされる少なくとも1つのフルオロアルケン:
XCF_(z)R_(3-z) (I)
(ここでXはC_(2)またはC_(3)不飽和置換または非置換アルキル基であり、Rはそれぞれ独立してCl、F、Br、IまたはHであり、そしてZは1?3である)、および
(b)ポリオールプレミックス成分、香味剤、芳香剤、およびこれらの2以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの補助剤、
を含む前記組成物。
[51]
約1000以下の地球温暖化係数(GWP)を有する、50に記載の組成物。
[52]
噴射剤組成物であって、
(a)式Iで表わされる少なくとも1つのフルオロアルケン:
XCF_(z)R_(3-z) (I)
(ここでXはC_(2)またはC_(3)不飽和置換または非置換アルキル基であり、Rは独立してCl、F、Br、IまたはHであり、そしてZは1?3である)を含み、
約1000以下の地球温暖化係数(GWP)を有する、前記組成物。
[53]
発泡剤であって、
(a)式Iで表わされる少なくとも1つのフルオロアルケン:
XCF_(z)R_(3-z) (I)
(ここでXはC_(2)またはC_(3)不飽和置換または非置換アルキル基であり、Rは独立してCl、F、Br、IまたはHであり、そしてZは1?3である)を含み、そして
約1000以下の地球温暖化係数(GWP)を有する、前記発泡剤。
[54]
鎮火剤をさらに含む、53に記載の発泡剤。
[55]
植物から香味化合物または芳香化合物を抽出する方法であって、
前記植物を、式Iで表わされる少なくとも1つのフルオロアルケン:
XCF_(z)R_(3-z) (I)
(ここでXはC_(2)またはC_(3)不飽和置換または非置換アルキル基であり、Rは独立してCl、F、Br、IまたはHであり、そしてZは1?3である)を含む抽出剤と接触させることを含む、前記方法。
[56]
前記抽出剤はHFO-1234を含む、55に記載の方法。
[57]
前記抽出剤はHFO-1234zeを含む、55に記載の方法。
[58]
約0.05以下のオゾン破壊係数(ODP)を有する、1に記載の熱伝達組成物。
[59]
約0.02以下のオゾン破壊係数(ODP)を有する、1に記載の熱伝達組成物。
[60]
約0(ゼロ)のオゾン破壊係数(ODP)を有する、1に記載の熱伝達組成物。
[61]
相溶剤をさらに含む、1に記載の組成物。
[62]
前記相溶剤は、組成物の約0.5重量%から約5重量%までの量で存在する、62に記載の組成物。
[63]
洗浄すべき物品を1に記載の組成物と接触させることを含む、超臨界洗浄方法。
[64]
1に記載の前記組成物はさらにCO_(2)を含む、63に記載の超臨界洗浄方法。
【0078】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例5で使用した容器の略図である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の空調装置における2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含む組成物の冷媒としての使用。
【請求項2】
前記組成物が潤滑剤をさらに含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記潤滑剤が前記組成物の30?50重量%の量で存在する、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記潤滑剤がポリアルキレングリコール潤滑剤を含む、請求項2に記載の使用。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2015-09-15 
結審通知日 2015-09-17 
審決日 2015-09-29 
出願番号 特願2007-511024(P2007-511024)
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (C09K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小石 真弓  
特許庁審判長 豊永 茂弘
特許庁審判官 日比野 隆治
橋本 栄和
登録日 2010-08-20 
登録番号 特許第4571183号(P4571183)
発明の名称 フッ素置換オレフィンを含有する組成物  
代理人 沖本 一暁  
代理人 園田 吉隆  
代理人 牧野 利秋  
代理人 小野 新次郎  
代理人 沖本 一暁  
代理人 松田 豊治  
代理人 牧野 利秋  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 小野 新次郎  
代理人 末吉 剛  
代理人 末吉 剛  
代理人 松田 豊治  
代理人 高村 雅晴  
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