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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G06F
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06F
管理番号 1338121
異議申立番号 異議2017-700665  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-07-06 
確定日 2018-02-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6062972号発明「キーボード」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6062972号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第6062972号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6062972号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成27年1月23日に特許出願され、平成28年12月22日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人小山輝晃により特許異議の申立てがされ、平成29年9月20日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年11月27日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人小山輝晃より平成29年12月26日付けで意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のア、イのとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「キースイッチを固定する取付板と、該取付板に固定されたキースイッチの摺動部に取り付けられたキートップと、該キートップが貫通する開口を形成する開口部が設けられた筐体を備えたキーボードにおいて、
前記キートップの押圧方向が水平方向に対して角度α°(但し、0°≦α<90°)の水平方向または斜め下方向となる状態で前記キーボードを使用した時、前記筐体に設けられた前記開口部の内側面のうちの下面であって、少なくとも前記筐体の表面に接続する部分は、水平方向に対して前記キーボードの内部から外部に向かって角度β°(但し、0°<β<90°)で下る方向に傾斜していることを特徴とするキーボード。」と記載されているのを、
「キースイッチを固定する取付板と、該取付板に固定されたキースイッチの摺動部に取り付けられたキートップと、該キートップが貫通する開口を形成する開口部が設けられた筐体を備えたキーボードにおいて、
前記キートップの押圧方向が水平方向に対して角度α°(但し、0°≦α<90°)の水平方向または斜め下方向となる状態で前記キーボードを使用した時、前記筐体に設けられた前記開口部の内側面のうちの下面であって、少なくとも前記筐体の表面に接続する部分は、水平方向に対して前記キーボードの内部から外部に向かって角度β°(但し、0°<β<90°)で下る方向に傾斜し、前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なることを特徴とするキーボード。」に訂正する。
なお、請求項1の記載を引用して記載された請求項2も、請求項1の訂正に伴い連動して訂正されたことになる。

イ 訂正事項2
明細書の段落【0009】の「本願発明の請求項1に係る発明は、キースイッチを固定する取付板と、該取付板に固定されたキースイッチの摺動部に取り付けられたキートップと、該キートップが貫通する開口を形成する開口部が設けられた筐体を備えたキーボードにおいて、前記キートップの押圧方向が水平方向に対して角度α°(但し、0°≦α<90°)の水平方向または斜め下方向となる状態で前記キーボードを使用した時、前記筐体に設けられた前記開口部の内側面のうちの下面であって、少なくとも前記筐体の表面に接続する部分は、水平方向に対して前記キーボードの内部から外部に向かって角度β°(但し、0°<β<90°)で下る方向に傾斜していることを特徴とするキーボードである。」という記載を「本願発明の請求項1に係る発明は、キースイッチを固定する取付板と、該取付板に固定されたキースイッチの摺動部に取り付けられたキートップと、該キートップが貫通する開口を形成する開口部が設けられた筐体を備えたキーボードにおいて、前記キートップの押圧方向が水平方向に対して角度α°(但し、0°≦α<90°)の水平方向または斜め下方向となる状態で前記キーボードを使用した時、前記筐体に設けられた前記開口部の内側面のうちの下面であって、少なくとも前記筐体の表面に接続する部分は、水平方向に対して前記キーボードの内部から外部に向かって角度β°(但し、0°<β<90°)で下る方向に傾斜し、前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なることを特徴とするキーボードである。」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アの訂正に関連する記載として、明細書の発明の詳細な説明の段落【0016】、【0020】には、「筐体7の開口部の上面18が筐体7の表面と垂直であり、筐体7の開口部の下面20が筐体7の表面と垂直な面に対し、キーボード内部9からキーボード表面8に向かって下がる方向に傾斜している。」、「図4は本発明の実施形態3のキーボードのキートップ周辺を含む部分の断面の模式図である。実施形態3は筐体7の開口部の下面20の垂直断面の形状が楕円弧形状を備えている。キーボード表面8からみて、楕円弧形状の下面20は、筐体7に設けられた開口部の内側面の下面であって、」と記載され、図1-4を参照すれば「前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なること」は明細書に記載されているものと認められる。
上記アの訂正は、明細書に記載された事項の範囲内において「前記筐体に設けられた前記開口部の内側面」の形状を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
上記イの訂正は、上記アの訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合を図るためのものであるから、イの訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、これら訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項[1、2]について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1及び2」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

本件発明1
「キースイッチを固定する取付板と、該取付板に固定されたキースイッチの摺動部に取り付けられたキートップと、該キートップが貫通する開口を形成する開口部が設けられた筐体を備えたキーボードにおいて、
前記キートップの押圧方向が水平方向に対して角度α°(但し、0°≦α<90°)の水平方向または斜め下方向となる状態で前記キーボードを使用した時、前記筐体に設けられた前記開口部の内側面のうちの下面であって、少なくとも前記筐体の表面に接続する部分は、水平方向に対して前記キーボードの内部から外部に向かって角度β°(但し、0°<β<90°)で下る方向に傾斜し、前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なることを特徴とするキーボード。」

本件発明2
「前記開口部の内側面の下面の垂直断面が楕円弧形状の形状であることを特徴する請求項1に記載のキーボード。」

(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して平成29年9月20日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由1
請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。
理由2
請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。
理由3
請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。
理由4
請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。
理由5
請求項1に係る発明は、甲第3号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。
理由6
請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。

(3)甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証の記載
(ア)甲第1号証(特開平6-68746号公報)には、図とともに以下の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電話、計算機等のごときデータ入力装置用キーボードに関し、特に押しボタンスイツチ構成体を組み込んでいるキーボード用のキーボタン構造体に関する。」

「【0021】
【実施例】添付図面の図1乃至図4は電話キーボード(図示せず)のようなデータ入力装置用のスイツチ構成体におけるキーボタン構造体の第1実施例を示す。」

「【0024】各隅部に隣接して基板1から4本の案内ポスト6が直立しており、該案内ポスト6は孔5の周縁部のまわりに均一に一定間隔で配置されている。
【0025】可撓性膜2は截切円錐形状からなっており、基板1の下側の皿孔5a内において孔5のまわりに着座する環状ベース7と、基板1の反対側で案内ポスト6間において中心に位置決めされた頂部にプラツトフオーム8を有している。
【0026】膜2は基板1上に成形され、膜2と基板1を離脱不能に固定するために基板1に形成したそれぞれの開口部10を介して膜2のベース7に接続させた4つのパツド9を各隅部における基板1の上面上に一体に形成してある。
【0027】ボタン3は平面図において正方形の形状からなり、頂壁11と、案内ポスト6を収容させる下側に開口した正方形凹部13を形成する懸垂側壁12とからなっている。
【0028】各案内ポスト6は凹部13のそれぞれの隅部に隣接して位置決めされ、図2に最も良く示されるように、基板1に対して軸線方向に摺動運動できるようにボタン3を配置し且つ案内ポスト6上でボタン3が傾斜または揺動するのを阻止するために、ボタン3の隣接する側壁12と係合可能にした丸みを付けた外方隅縁部6aを有する。
【0029】案内ポスト6の隅縁部6aとボタン3の側壁12との間の線接触は最小の摩擦抵抗で軸線方向の摺動運動を容易にする。その摩擦抵抗はさらに基板1およびボタン3用のプラスチック材料の選択により減少させることができる。
【0030】凹部13内にはボタン3の頂壁11からプラツトフオーム8上に着座する断面がX形状の中央ポスト14が懸下され、同様に案内ポスト6の内側では中央ポスト14のまわりに均一に一定間隔で配置させた4本の保持アーム15が懸下されている。」

「【0034】上述したキーボタン構造体はプリント回路基板21の整列された開口部22を通して基板1の懸垂脚部4を挿入することによりプリント回路基板21のような平らな基体に固定するための構成体を提供する。」

「【0038】可動接点26は膜2に対して押しボタン3を手動で押し下げることにより固定接点25に係合しかつ電気的に接続すように下降され、膜2はボタン3を離すときに非作動位置または休止位置にボタン3を戻すためにばね作用を備える。」

「【0040】データ入力装置は使用者が接触できるように外側ケース28の開口部27を通って突出するように配設された各ボタン3で種々の機能を行うために上述されたような回路基板21に固定させた複数の個々のキーボタン構造体を有している。種々の機能は各ボタン3の露出面、例えば頂壁11上の適宜な表示により識別することができる。」

図1は、スイツチ構成体を組み込んでいるキーボタン構造体の第1実施例を示す断面図であり、外側ケース28の設けられた開口部27の内側面の外側ケース28の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボタン構造体の内部から外部に向かって傾斜しており、外側ケース28の裏面に接続する部分が外部から内部に傾斜している点が看取できる。

以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「懸垂脚部4、パッド9、案内ポスト6、可撓性膜2、可動接点26、固定接点25、及びプラットフォーム8を固定するプリント回路基板21と、
押しボタン3は平面図において正方形の形状からなり、頂壁11と、案内ポスト6を収容させる下側に開口した正方形凹部13を形成する懸垂側壁12とからなり、凹部13内にはボタン3の頂壁11からプラツトフオーム8上に着座する断面がX形状の中央ポスト14が懸下され、同様に案内ポスト6の内側では中央ポスト14のまわりに均一に一定間隔で配置させた4本の保持アーム15が懸下され、
基板1に対して軸線方向に摺動運動できるように押しボタン3を配置し、プリント回路基板21に固定された各案内ポスト6の隅縁部6aとボタン3の側壁12との間の線接触は最小の摩擦抵抗で軸線方向の摺動運動を容易にし、
押しボタン3の上部が貫通する開口を形成する開口部27が設けられた外側ケース28を
備えたキーボタン構造体において、
外側ケース28の設けられた開口部27の内側面の外側ケース28の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボタン構造体の内部から外部に向かって傾斜しており、外側ケース28の裏面に接続する部分が外部から内部に傾斜しているキーボード構造体。」

(イ)甲第2号証(特開昭58-198809号公報)には、図とともに以下の記載がある。
「(a) 発明の技術分野
本発明は、キートップによりスイッチの開閉を行うキーボードスイッチ構造に係り、とくにストロークを増大し、防水、防塵構造としたキーボードスイッチ構造に関するものである。
(b) 技術の背景
近年無線電話の急速な発達に伴って、たとえば走行中の自動車から加入電話をダイヤルで呼出したり、加入電話からも受信できるようになっている。したがって自動車電話はますます増加の一途をたどることが予想される。・・・中略・・・しかも車中において飲料水等による水分、湿気およびほこりがキートップ周囲から侵入し、スイッチの接点に障害を与えるために防水、防塵構造でしかも押釦操作の確実な確認の得られるストロークを増加したキーボードスイッチの出現が要望されている。」

「(f) 発明の実施例
以下図面を参照しながら本発明に係るキーボードスイッチ構造の実施例について詳細に説明する。
第2図は本発明のバックライト構成の一実施例を説明するための(a)は要部断面図、(b)は分解図で、前図と同等の部分については同一符号を付しており、6は光を透過するたとえば乳白色等の合成樹脂等からなり挿嵌孔61を穿孔した所要数が配列されてなるキートップ、7は軟質のシリコンゴム等からなる弾性体部材で、該弾性体部材7にはキートップ6に挿嵌する突起71と、該突起71の周囲に座ぐり72を形成し、該突起71の反対側にスイッチ3に当接するリブ73を形成するとともに、前記突起71間にそれぞれ切欠き溝74を穿設したものである。
印刷配線板からなるスイッチ取付板4の所定位置にスイッチ8を配列取着するとともに回路に接続したるのち、ケース1のキートップ挿通孔11と導光板5のキートップ挿通孔51が合致する形で前記ケース1に導光板5を嵌め込み、前記キートップ挿通孔51にキートップ6を挿通した状態で、該キートップ6の挿嵌孔61に弾性体部材7の突起71を挿嵌し、該弾性体部材7のリブ73にスイッチ3が接触するよう構成する。」

図2(a)は、バックライトキーボードスイッチの一実施例を説明するための要部断面図であり、図2(b)は分解図であり、ケース1に設けられたキートップ挿通孔11の内側面のケース1の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボードスイッチ構造の内部から外部に向かって傾斜している点が看取できる。

以上の記載によれば、甲第2号証には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「スイッチ3を固定するスイッチ取付板4、
スイッチ取付板4に固定されたスイッチ3の突起71及びリブ73に取り付けられたキートップ6と、
キートップ6が貫通する開口を形成するキートップ挿通孔11が設けられたケース1を
備えたキーボードスイッチ構造において、
ケース1に設けられたキートップ挿通孔11の内側面のケース1の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボードスイッチ構造の内部から外部に向かって傾斜しているキーボードスイッチ構造。」

(ウ)甲第3号証(実願昭49-107923号(実開昭51-34677号)のマイクロフィルム)には、図とともに以下の記載がある。
「2.実用新案登録請求の範囲
プリント基板上に支持部を設け、この支持部の上方に弾性体を位置せしめるとともに、プリント基板上の接触片を押圧するキーボタンに前記弾性体をはさみ込んでなるキーボード装置。」(第1頁第5行?第8行)

「3.考案の詳細な説明
本考案は防塵防水をはかったキーボード装置に関する。
以下その一実施例について第1図、第2図とともに説明する。第1図において、1はキーボタンの枠で要所要所に開孔部を設けている。2は前記枠1の開孔部に収められたキーボタン、3はゴム,シート等によりなる弾性体で、その孔部に上記キーボタン2が嵌合されている。4は下支え板で上記弾性体3および枠1を支持している。5は下支え板4の上記キーボタン2が対向する一部分に穿設された空間部6に設けられた接触片、7はプリント基板であり上記接触片5の突起部に対向して接点パターンが設けられている。」(第1頁第9行?第2頁第2行)

「第2図は本考案の他の実施例を示すもので、第1図と異なる点は弾性体3をキーボタン2と支持体9にてはさみ込むようにした点である。第1図、第2図の場合も、キーボタン2を押すと、弾性体3がたわみ、下支え板4の上部開孔面まで変形する。その結果接触片5がキーボタン2にて下方に押され、突起部8がプリント基板7と接触しスイッチ動作を行う。」(第2頁第12行?第19行)

図1は、一実施例におけるキーボード装置の断面図であり、キーボタンの枠1の開孔部の内側面の前記枠1の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボタン構造体の内部から外部に向かって傾斜している点が看取できる。

以上の記載によれば、甲第3号証には以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「弾性体3、下支え板4、接触片5、及び突起部8を固定するプリント基板7と、
プリント基板7に固定された下支え板4に摺動するキーボタン2と、
キーボタン2の上部が貫通する開孔部が設けられたキーボタンの枠1を
備えたキーボード装置において、
キーボタンの枠1の開孔部の内側面の前記枠1の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボタン構造体の内部から外部に向かって傾斜しているキーボード装置。」

(エ)周知技術を示す文献
甲第5号証、甲第6号証、甲第7号証によれば、「キートップの押圧方向が水平方向に対して角度α°(但し、0°≦α<90°)の水平方向または斜め下方向となる状態でキーボードを使用」することは、本願出願日前において周知技術であったといえる。

4.判断
ア 取消理由通知に記載した取消理由について
(ア)特許法第29条第1項第3号
・理由1について
本件発明1と引用発明1とを対比すると引用発明1は、外側ケース28の設けられた開口部27の内側面の外側ケース28の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボタン構造体の内部から外部に向かって傾斜し、外側ケース28の裏面に接続する部分が外部から内部に傾斜しており、本件発明1の前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なるという事項を有しておらず、本件発明1は甲第1号証に記載された発明とはいえない。

・理由3について
本件発明1と引用発明2とを対比すると引用発明2は、ケース1に設けられたキートップ挿通孔11の内側面のケース1の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボードスイッチ構造の内部から外部に向かって傾斜しており、本件発明1の前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なるという事項を有しておらず、本件発明1は甲第2号証に記載された発明とはいえない。

(イ)特許法第29条第2号
・理由2について
本件発明1と引用発明1とを対比すると引用発明1は、外側ケース28の設けられた開口部27の内側面の外側ケース28の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボタン構造体の内部から外部に向かって傾斜し、外側ケース28の裏面に接続する部分が外部から内部に傾斜しており、本件発明1の前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なるという事項を有しておらず、当該事項は、本出願前において周知技術であったともいえない。
したがって、本件発明1は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

・理由4について
本件発明1と引用発明2とを対比すると、引用発明2は、ケース1に設けられたキートップ挿通孔11の内側面のケース1の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボードスイッチ構造の内部から外部に向かって傾斜しており、本件発明1の前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なるという事項を有しておらず、当該事項は、本出願前において周知技術であったともいえない。
したがって、本件発明1は、引用発明2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

・理由5について
本件発明1と引用発明3とを対比すると、引用発明3は、キーボタンの枠1の開孔部の内側面の前記枠1の表面に接続する部分は、垂直方向に対してキーボタン構造体の内部から外部に向かって傾斜しており、本件発明1の前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なるという事項を有しておらず、当該事項は、本出願前において周知技術であったともいえない。
したがって、本件発明1は、引用発明3及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

・理由6について
本件発明2は、本件発明1の「前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なるという」と同じ構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(ウ)特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、訂正発明1(本件発明1)と甲1発明(引用発明1)又は甲2発明(引用発明2)との相違点は、訂正された「筐体の表面に垂直な面において、開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なる」という点にあるが、「筐体開口部の形状を工夫することで、キー下面と筐体開口部下面の間に塵や埃などの異物が付着あるいは堆積することを低減する」という効果は、下面の傾斜によって奏されるもので、この点により何ら新たな効果が奏されるものではないから、この点は当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない設計変更といえ、訂正発明1(本件発明1)は、甲1号証に係る発明(引用発明1)又は甲2号証に係る発明(引用発明2)に基づいて当業者が容易に想到することができ、また、甲1号証に係る発明(引用発明1)と周知技術、甲2号証に係る発明(引用発明2)と周知技術、又は甲3号証に係る発明(引用発明3)と周知技術に基づいて当業者が容易に想到することができ、特許法第29条第2項により特許を受けることができない、さらに訂正発明1(本件発明1)に従属する訂正発明2(本件発明2)についても甲1発明(引用発明1)からの単なる設計変更であって、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであると主張する。
しかしながら、甲1発明(引用発明1)、甲2発明(引用発明2)又は甲3発明(引用発明3)において、「筐体の表面に垂直な面において、開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なる」ように変更することは、当業者であっても容易に想到できる事項ではないから、この点が単なる設計変更であるとはいえない。したがって、上記主張は理由がない。

さらに、特許異議申立人は、上記「筐体の表面に垂直な面において、開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なる」という事項に関する内容は、甲第4号証(特開2002-34784号公報)の図13(a)(b)に開示されており、訂正発明1(本件発明1)は、甲1号証、及び甲4号証に係る発明に基づいて当業者が容易に想到できたものであり、特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであると主張する。
甲第4号証の図13(a)(b)には、炊飯ジャーの操作部bにおいて、炊飯キーdを設ける孔oの内側面の下面が傾斜しており、内側面の上面は略傾斜していないものが示されているが、甲1発明(引用発明1)において、当該甲第4号証に示された事項を適用する理由はないから、上記主張は理由がない。

また、特許異議申立人は、「平成29年11月27日付に提出された意見書の4頁8行目には「本件請求項1に係る発明は、「筐体開口部の形状を工夫することで、キー下面と筐体開口部下面の間に塵や埃などの異物が付着あるいは堆積することを低減することが可能なキーボードを提供」(段落[0011])できるとともに、キートップの上面には塵や埃が付着あるいは堆積したりしない(段落[0003])キーボードを提供を提供できるという、甲第1号証?甲第3号証、甲第5号証?甲第7号証から予測し得ない効果を奏することができます。」と記載されております。
しかし、既に述べたように「キートップの上面には塵や埃が付着あるいは堆積したりしない」との効果は、キートップ4の動きによって奏されるものであって(本件特許公報段落[0017]参照)、「開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なる」ことによって奏される効果ではありません。よって、訂正後の請求項1に係る発明は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できる範囲を超えるものに該当します。
・・・中略・・・
よって、出願時の技術的常識に照らしても、訂正後の請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず・・・、36条第6項第1号に違反するものと思料いたします。」とも主張する。
しかしながら、「2.訂正の適否」「(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否」において述べたように「前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なること」は、本件特許明細書に記載されているものと認められるのであるから、上記主張も理由がない。

イ 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、本件特許発明1は、甲4(特開2002-34784号公報)発明に甲1発明-甲3発明を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものであると主張しているが、炊飯ジャーの操作部である甲4発明に、甲1発明-甲3発明であるキーボード構造を適用する理由はないから、かかる主張は理由がない。
また、特許異議申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、
「本件特許発明1,2における構成Bの「キースイッチ(13)の摺動部(14)」との記載をみれば、摺動部(14)はキースイッチ(13)の一部分を指すように解釈できる。摺動部(14)がキースイッチ(13)の一部分であるのであれば、摺動部(14)もキースイッチ(13)の他の部分と同様に取付板(11)に固定されていると解釈されるが、本件明細書等の記載を参酌しても、そのような記載は見当たらない。特に図2においては、キースイッチ(13)と摺動部(14)とが分離した構成として記載されており、これらの接続関係が明確に記載されていないため、摺動部(14)は取付板(11)には固定されているとも解釈される。
よって、本件特許発明1,2における構成Bの「該取付板(11)に固定されたキースイッチ(13)の摺動部(14)に取り付けられたキートップ(4)」との記載は、本件特許明細書等には記載されておらず、本件特許はサポート要件を満たさない特許出願になされたものである。」
と主張している。
しかしながら、本件特許明細書の段落[0014]には、図2の説明として、「11はプリント基板12を介してキースイッチ13を固定する取付板、14はキースイッチ13の摺動部(プランジャー)、4は摺動部14に固定されたキートップである。」と記載されており、本件特許発明1,2における「該取付板に固定されたキースイッチの摺動部に取り付けられたキートップ」は、本件特許明細書等に記載されている事項であるから、かかる主張は理由がない。

5. むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
キーボード
【技術分野】
【0001】
本発明は工作機械を制御する数値制御装置などの電子機器に用いられるキーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
図6は従来のキーボードの断面の模式図である。電子機器に備わったキーボードを使用する場合、キーボードの周囲に飛散している塵や埃、あるいは切削油などの油のミスト、作業者の手に付着している汚れなどが、キーボードのキーとキーが装着されている筐体開口部の隙間に侵入して、筐体開口部に異物として付着してしまう。この異物はキーの操作性に影響を及ぼすことがある。
【0003】
図5は縦型のキーボードを示す図である。工作機械を制御する数値制御装置等のデータ入力を行う方法の一つとしてキーボードが用いられている。数値制御装置の操作盤1は、表示器2、縦型キーボード3を備えている。特に、キーボードを鉛直方向に沿った姿勢で使用される縦型キーボード3では、キートップ4の下面と筐体に設けられた開口部の下面との間に塵や埃などの異物が付着および堆積しやすい問題があった(図6参照)。隙間5は操作盤1を立てた状態で使用した時、筐体7に設けられた開口部の上面とキートップ4の上面とで形成された隙間である。隙間6は操作盤1を立てた状態で使用した時、筐体7に設けられた開口部の下面とキートップ4の下面とで形成された隙間である。隙間5において、キートップ4が動くため、キートップ4の上面には塵や埃が付着したり堆積したりしない。一方隙間6において、開口を形成する開口部の下側の側面には塵や埃が付着したり堆積し易い問題があった。堆積した塵や埃は時間経過と共にキーボード表面8側からキーボード内部9側へ移動し、キーボード内部9に侵入してしまう。
【0004】
上記の問題を解決するために、特許文献1には、キーが押下されていない時にキーボード表面の防塵シート開口部とキー外周を接触させて開口部を塞ぐ技術が開示されている。特許文献2には、キーボードの筐体内に防塵布を収納し、キーボードを使用しない時に、前記防塵布を筐体の外部に引き出してキーを覆う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平02-070322号公報
【特許文献2】特開平05-343859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術で説明した従来の技術では、筐体の開口部と該開口部に装着されたキーの外周を接触させて隙間を塞いだり、キーボードの表面を布で覆ったりして、塵や埃などがキーボードの内部に侵入するのを防止している。
【0007】
しかしながら、開口部とキー外周を接触させる方法は、粘着性のある汚れなどの異物が付着した場合には、筐体の開口部とキーとが異物によって固着しやすくなる。また、キーボードの表面を布で覆う方法では、キーボードを使用している間は適用できず、また、布を追加する必要があり、コストアップとなる。
【0008】
そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、筐体開口部の形状を工夫することで、キー下面と筐体開口部下面の間に塵や埃などの異物が付着あるいは堆積することを低減することが可能なキーボードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に係る発明は、キースイッチを固定する取付板と、該取付板に固定されたキースイッチの摺動部に取り付けられたキートップと、該キートップが貫通する開口を形成する開口部が設けられた筐体を備えたキーボードにおいて、前記キートップの押圧方向が水平方向に対して角度α°(但し、0°≦α<90°)の水平方向または斜め下方向となる状態で前記キーボードを使用した時、前記筐体に設けられた前記開口部の内側面のうちの下面であって、少なくとも前記筐体の表面に接続する部分は、水平方向に対して前記キーボードの内部から外部に向かって角度β°(但し、0°<β<90°)で下る方向に傾斜し、前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なることを特徴とするキーボードである。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記開口部の内側面の下面の垂直断面が楕円弧状の形状であることを特徴とする請求項1に記載のキーボードである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、筐体開口部の形状を工夫することで、キー下面と筐体開口部下面の間に塵や埃などの異物が付着あるいは堆積することを低減することが可能なキーボードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1のキーボードのキートップ周辺を含む部分の断面の模式図である。
【図2】図1をより詳細に説明する図である。
【図3】本発明の実施形態2のキーボードのキートップ周辺を含む部分の断面の模式図である。
【図4】本発明の実施形態3のキーボードのキートップ周辺を含む部分の断面の模式図である。
【図5】縦型のキーボードを示す図である。
【図6】従来のキーボードのキートップ周辺を含む部分の断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、従来技術と同一または類似する構成は同じ符号を用いて説明する。図1は本発明の実施形態1のキーボードのキートップ周辺を含む部分の断面の模式図である。図2は図1をより詳細に説明する図である。操作盤1の基本構成は図5と同様である。本発明の実施形態は、キートップ4が貫通する開口を形成する筐体7に設けられた開口部の構成を縦型キーボード3に備えている(図5参照)。
【0014】
<実施形態1>
7は筐体、11はプリント基板12を介してキースイッチ13を固定する取付板、14はキースイッチ13の摺動部(プランジャー)、4は摺動部14に固定されたキートップである。なお、プリント基板12にはキースイッチ13に接続する配線が設けられている。キートップ4はキーボード表面8に平行な面の断面は矩形形状であるとする。取付板11は図示しないねじなどの固定手段により筐体7に固定されている。筐体7にはキートップ4が貫通する開口を形成する開口部が設けられている。キートップ4はオペレータによって押圧方向17に押されることで、キーボード内部9方向に移動する。オペレータが手を離すと図示しない弾性部材によりキートップ4はキーボード表面8の方向に移動する。
【0015】
筐体7に設けられた開口部について説明する。筐体7の開口部の上面18とキートップ4の上面19とで隙間5が形成される。筐体7の開口部の下面20とキートップの下面21とで隙間6が形成される。
【0016】
実施形態1の構成は、キースイッチ13を固定する取付板11と、該取付板11に固定されたキースイッチの摺動部に取付られたキートップ4と、該キートップ4が貫通するように対応して形成された開口を形成する開口部を有する筐体7を備えた縦型キーボード3であって、縦型キーボード3をキートップ4の押圧方向17が略水平方向となる状態で使用する時、筐体7の開口部の上面18が筐体7の表面と垂直であり、筐体7の開口部の下面20が筐体7の表面と垂直な面に対し、キーボード内部9からキーボード表面8に向かって下る方向に傾斜している。
【0017】
筐体7の開口部の下面20が筐体7の表面と垂直な面に対し、キーボード内部9からキーボード表面8に向かって下る方向に傾斜していることにより、塵や埃(塵埃10)がキーボード表面8方向に重力により引っ張られることにより、キートップ4の下面21と筐体7の開口部の下面20の間に形成される隙間6に塵や埃(塵埃10)が付着したり、堆積することが低減することができる。
【0018】
<実施形態2>
図3は本発明の実施形態2のキーボードのキートップ周辺を含む部分の断面の模式図である。縦型キーボード3が、垂直方向に対し角度α°(但し、0°≦α<90°)傾いている場合、筐体7の開口部の下面20が、水平方向に対して角度β°(但し、0°<β<90°)傾いている。縦型キーボード3が傾斜して用いられる場合であっても、筐体7の開口部の下面20は、キーボード表面8に向かって下る方向に傾斜している。
【0019】
筐体7の開口部の下面20は、キーボード表面8に向かって下る方向に傾斜している。塵や埃(塵埃10)がキーボード表面8方向に重力により引っ張られることにより、キートップ4の下面21と筐体7の開口部の下面20の間に形成される隙間6に塵や埃(塵埃10)が付着したり、堆積することが低減することができる。
【0020】
<実施形態3>
図4は本発明の実施形態3のキーボードのキートップ周辺を含む部分の断面の模式図である。実施形態3は筐体7の開口部の下面20の垂直断面の形状が楕円弧形状を備えている。キーボード表面8からみて、楕円弧形状の下面20は、筐体7に設けられた開口部の内側面のうちの下面20であって、少なくとも前記筐体の表面に接続する部分は、水平方向に対して縦型キーボード3の内部から外部に向かって角度β°(但し、0°<β<90°)で下る方向に傾斜している。
【0021】
塵や埃(塵埃10)がキーボード表面8方向に重力により引っ張られることにより、キートップ4の下面21と筐体7の開口部の下面20の間に形成される隙間6に塵や埃(塵埃10)が付着したり、堆積することが低減することができる。
【0022】
キートップ4の断面形状(キーボード表面8に平行な面における断面形状)は三角形を含む矩形形状、楕円形状の場合がある。三角形のキートップ4の場合は三角形の底辺に対向する筐体7の開口部の下面20が上記の実施形態と同様の構成を備えている。また、楕円形状のキートップ4の場合は、楕円形状の中心線より下部に対向する筐体7の開口部の下面20が上記の実施形態と同様の構成を備えている。
【符号の説明】
【0023】
1 操作盤
2 表示器
3 縦型キーボード
4 キートップ
5 隙間
6 隙間
7 筐体
8 キーボード表面
9 キーボード内部
10 塵埃
11 取付板
12 プリント基板
13 キースイッチ
14 摺動部
15 水平面
16 垂直面
17 押圧方向
18,19 上面
20,21 下面
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キースイッチを固定する取付板と、該取付板に固定されたキースイッチの摺動部に取り付けられたキートップと、該キートップが貫通する開口を形成する開口部が設けられた筐体を備えたキーボードにおいて、
前記キートップの押圧方向が水平方向に対して角度α°(但し、0°≦α<90°)の水平方向または斜め下方向となる状態で前記キーボードを使用した時、前記筐体に設けられた前記開口部の内側面のうちの下面であって、少なくとも前記筐体の表面に接続する部分は、水平方向に対して前記キーボードの内部から外部に向かって角度β°(但し、0°<β<90°)で下る方向に傾斜し、
前記筐体の表面に垂直な面において、前記開口部の内側面の上面と下面の断面形状が異なることを特徴とするキーボード。
【請求項2】
前記開口部の内側面の下面の垂直断面が楕円弧状の形状であることを特徴とする請求項1に記載のキーボード。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-01-25 
出願番号 特願2015-11072(P2015-11072)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (G06F)
P 1 651・ 121- YAA (G06F)
P 1 651・ 113- YAA (G06F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山崎 慎一星野 裕  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 和田 志郎
山澤 宏
登録日 2016-12-22 
登録番号 特許第6062972号(P6062972)
権利者 ファナック株式会社
発明の名称 キーボード  
代理人 あいわ特許業務法人  
代理人 あいわ特許業務法人  

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