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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  D01F
審判 全部申し立て 2項進歩性  D01F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  D01F
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  D01F
管理番号 1339146
異議申立番号 異議2017-700354  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-11 
確定日 2018-02-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6005294号発明「極細ポリエステル繊維」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6005294号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7、10?13〕、〔8、9〕について訂正することを認める。 特許第6005294号の請求項5、6、10?13に係る特許を維持する。 特許第6005294号の請求項1?4、7?9に係る特許についての申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6005294号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?9に係る特許についての出願は、平成26年9月11日(優先権主張平成25年9月12日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成28年9月16日にその特許権の設定登録がされ、その後、その請求項1?9について、特許異議申立人野田澄子(以下、「申立人A」という。)により特許異議の申立てがされ、また、請求項1?4及び7?9について、特許異議申立人東レ株式会社(以下、「申立人B」という。)により特許異議の申立てがされた。
当審において、平成29年8月3日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年10月10日に意見書が提出され、訂正の請求がされた。
さらに、当該訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。また訂正自体を「本件訂正」という。)について、申立人A及びBに対し、訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項に規定された通知)をしたところ、指定された期間内に、両申立人からは何らの応答もなかった。

第2 訂正の適否についての判断

1.訂正の内容
本件訂正の内容は、次の訂正事項からなるものである。それぞれの訂正事項を訂正箇所に下線を付して示す。

・訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

・訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

・訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

・訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

・訂正事項5
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項5に、
「請求項1?3のいずれか1項に記載の極細ポリエステル繊維を少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。」
とあるのを、
「ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、そして
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。」
と訂正する。

・訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

・訂正事項7
以下を、請求項10として、新たに追加する。
「ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上であり、そして
(4)繊維表層から0.1μmの領域の結晶化度が35%以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。」

・訂正事項8
以下を、請求項11として、新たに追加する。
「ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上であり、そして
(5)繊維表層から0.1μmの領域の複屈折率が0.20以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。」

・訂正事項9
以下を、請求項12として、新たに追加する。
「ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上であり、
(4)繊維表層から0.1μmの領域の結晶化度が35%以上であり、そして
(5)繊維表層から0.1μmの領域の複屈折率が0.20以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。」

・訂正事項10
以下を、請求項13として、新たに追加する。
「請求項10?12のいずれか1項に記載のステントグラフト用布帛から構成されるステントグラフト。」

・訂正事項11
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

・訂正事項12
特許請求の範囲の請求項9を削除する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び、一群の請求項

(1)訂正事項1?4、6、11、12について
訂正事項1?4、6、11、12は、それぞれ請求項1?4、7?9を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許法120条の5第2項ただし書第1号を目的とするものに該当する。そして、当該訂正事項に係る訂正が、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1?3のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項2又は3を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。そして、当該訂正事項に係る訂正が、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項5が請求項1?3のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項3を引用しないものとした上で、請求項2を介して請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項10を追加するための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。そして、当該訂正事項に係る訂正が、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項5が請求項1?3のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項3を介して請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項11を追加するための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。そして、当該訂正事項に係る訂正が、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項9について
訂正事項9は、訂正前の請求項5が請求項1?3のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項3と2を介して請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、新たな請求項12を追加するための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。そして、当該訂正事項に係る訂正が、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(6)訂正事項10について
訂正事項9は、訂正前の請求項6が請求項5の記載を引用する記載であるところ、訂正事項7?9において、訂正前の請求項5において請求項2を介して請求項1を引用するもの、訂正前の請求項5において請求項3を介して請求項1を引用するもの、及び訂正前の請求項5において請求項3と2を介して請求項1を引用するものを、それぞれ、訂正後の独立形式請求項10?12に改めたことに伴い引用元の請求項の番号を改め、新たな請求項13を追加するための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する、明瞭でない記載の釈明に該当する。そして、当該訂正事項に係る訂正が、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(7)一群の請求項について
本件訂正は、本件訂正前の請求項1と、請求項1を直接あるいは間接に引用する請求項2?7からなる一群と、本件訂正前の請求項8と、請求項8を引用する請求項9を引用する請求項9を一群を、それぞれ対象とするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。

3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第4項から第6項までの規定に適合するので、本件訂正後の請求項〔1?7、10?13〕、〔8、9〕についての訂正を認める。

第3 特許異議の申立について

1.本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項5、6、10?13に係る発明(以下、「本件発明5」等という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項5、6、10?13に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項5】
ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、そして
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。
【請求項6】
請求項5に記載のステントグラフト用布帛から構成されるステントグラフト。
【請求項10】
ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上であり、そして
(4)繊維表層から0.1μmの領域の結晶化度が35%以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。
【請求項11】
ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上であり、そして
(5)繊維表層から0.1μmの領域の複屈折率が0.20以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。
【請求項12】
ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上であり、
(4)繊維表層から0.1μmの領域の結晶化度が35%以上である、そして
(5)繊維表層から0.1μmの領域の複屈折率が0.20以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。
【請求項13】
請求項10?12のいずれか1項に記載のステントグラフト用布帛から構成されるステントグラフト。」

2. 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1?9のそれぞれに係る特許に対して、平成29年8月3日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
本取消理由の通知によって、本件特許異議の申立てに係るすべての取消理由が通知された。なお、刊行物1等に記載された発明を、「刊行物1発明」等という。

【理由1】 本件発明1?3、8及び9は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(1)本件発明1?3、8及び9は、刊行物1発明である。

(2)本件発明1?3、8及び9は、刊行物4発明である。

(3)本件発明1は、刊行物7発明又は刊行物8発明である。

【理由2】 本件発明1?4、7?9は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(1)本件発明1?4及び7?9は、刊行物1発明並びに刊行物2、4及び5に例示される従来周知の事項、又は、刊行物3に例示される従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件発明1?4及び7?9は、刊行物4発明、及び、刊行物3に例示される従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件発明1?4及び7?9は、刊行物5発明、及び、刊行物3に例示される従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

(4)本件発明1?4、7?9は、刊行物7発明または刊行物8発明、及び刊行物10事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

【理由3】 本件特許は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号あるいは第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)本件特許の発明の詳細な説明には、当業者が、請求項1について、ステントとグラフトとの一体性が改善されたステントグラフトを製造可能な極細ポリエステル繊維を実施できる程度に明確且つ十分に記載されていない。
また、請求項1には発明の課題を解決できない範囲の発明が包含されており、本件発明1の記載は発明の詳細な説明に記載されたものとは認められない。よって、請求項1と請求項1を直接あるいは間接に引用する本件発明2?7には、実施可能要件違反及びサポート要件違反が存在している。

(2)本件特許の発明の詳細な説明には、当業者が、請求項8について、ステントとグラフトとの一体性が改善されたステントグラフトを製造可能な極細ポリエステル繊維を実施できる程度に明確且つ十分に記載されていない。
また、請求項8には発明の課題を解決できない範囲の発明が包含されており、請求項8の記載は発明の詳細な説明に記載されたものとは認められない。よって、請求項8と請求項8を引用する請求項9については、実施可能要件違反及びサポート要件違反が存在している。

(3)請求項1及び8について。請求項1及び8は、明細書の段落[0021]等の記載によれば、ポリアミドやポリスチレン等を有する複合紡糸型極細ポリエステル繊維をも含むと解されるところ、一方、明細書の段落[0019]等の記載のよれば、明細書に記載されているものは、ポリエチレンテレフタレートのみで形成された極細ポリエステル繊維である。したがって、請求項1及び8の記載は明確ではない。

(4)請求項1?4及び7について。本件発明1の「最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上」との記載は、布帛に成型加工する際に施す熱セット・滅菌処理工程で低下する熱収縮応力を保持するものと考えられるが、その数値範囲は下限値のみであり、工程前の物性も含んでおり、本件発明1?4及び7の記載は明確ではない。

(5)請求項8及び9について。請求項8の「結晶化度」、請求項9の「複屈折率」の技術的範囲は不明瞭である。

< 刊 行 物 一 覧>
1.特開2003-41432号公報(申立書1の甲第1号証)
2.安塚勝三執筆、「フィラメント加工 技術マニュアル-仮撚加工糸からDTYまでのすべて- (上巻)」、日本繊維機械学会、昭和51年5月15日印刷発行、40?42ページ(申立書1の甲第2号証)
3.H.Ludewig著、「ポリエステル繊維」、コロナ社、昭和42年3月15日初版発行、200?201ページ(申立書1の甲第3号証)
4.特開2006-2309号公報(申立書1の甲第4号証)
5.特開平10-158932号公報(申立書1の甲第5号証)
6.田中文彦、「高分子基礎物理化学 第2章 高分子溶液」、15?45ページ、
http://www7b.biglobe.ne.jp/~ftanaka/member/ftanaka/webct/solution.pdf (申立書1の甲第6号証)
7.特開昭59-76917号公報(申立書2の甲第1号証)
8.特開平6-240536号公報(申立書2の甲第2号証)
9.申立人B作成の「実験証明書」(申立書2の甲第3号証)
10.特開平5-311513号公報(申立書2の甲第4号証)

3.【理由1】についての当審の判断
本件訂正によって、請求項1?3、8及び9は削除された。したがって、請求項1?3、8及び9に係る特許の取消理由である【理由1】の(1)?(3)については、対象となる請求項が存在しない。

4.【理由2】についての当審の判断
本件訂正によって、請求項1?4、7?9は削除された。したがって、請求項1?4及び7?9に係る特許の取消理由である【理由2】の(1)?(4)については、対象となる請求項が存在しない。

5.【理由3】についての当審の判断

(1)【理由3】の(1)について
本件訂正後の本件発明5、10、11及び12は、ステントグラフト用布帛の発明であり、同本件発明6及び13は、ステントグラフトの発明である。
ここで、ステントグラフト用布帛及びステントグラフトについては 本件特許明細書には、以下の記載がある。

「【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも略記する。)を主な成分とするポリエステル繊維は、ステントグラフト用布帛や人工血管等の体内埋め込み型医療機器の構成材料として広く活用されている。
・・・
【0003】
・・・ 従来のステントグラフト用布帛に用いられているポリエステル繊維は、繊維径10μmを超える単糸繊度で、かつ総繊度(単糸繊度とフィラメント数の積)が太い繊維が使用されているので、総繊度及び単糸繊度の細いポリエステル繊維を用いること、すなわち極細ポリエステル繊維を用いることによりステントグラフト用布帛の薄壁化が期待できる。」
「【0004】
一方、ステントグラフト用布帛の薄壁化には、大きな課題が伴う。ステントグラフト用布帛(グラフト)を金属製のステントと縫合糸で縫い合わせることで最終製品であるステントグラフトに仕上げるが、その際、ステントグラフト用布帛の壁厚が薄いと、布帛の柔軟性が著しく増し、縫製時のハンドリング性が難しくなる。その結果、ステントとグラフトの一体性が悪くなり、血管内壁とグラフトの間に隙間が生じるので、血液漏れ(エンドリーク)が懸念される(図1と2参照)。・・・」
【0005】
即ち、ステントグラフトの細径化という医療現場のニーズに応えるためには、ステントとグラフトとの一体性を改善する必要がある。
・・・
【0006】
以下の特許文献1?3には、直紡型極細ポリエステル繊維が開示されている。・・・しかしながら、懸念したとおり、縫合時にステントとグラフト間にダブつきが生じ、最終滅菌後もそのダブつきは残ったままであった。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、ステントグラフト用布帛等体内埋め込み型医療機器の構成材料として、医療現場のニーズ(細径化)と課題(ステントとグラフトとの一体性)を同時に解決できる極細ポリエステル繊維を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討し実験を重ねた結果、ステントグラフト用布帛を構成する極細ポリエステル繊維の熱収縮応力がステントとの一体性と強い相関があることを見出し、本発明を完成するに至った。」
「【0021】
以下、本発明の実施形態(以下、単に、本実施形態ともいう。)を詳細に説明する。
本実施形態の極細ポリエステル繊維は、PET成分の含有率が98重量%以上、即ち、PET以外の成分の含有率が2重量%未満である必要がある。・・・
【0022】
本実施形態の極細ポリエステル繊維の還元粘度は、0.80dl/g以上であることが必要である。極細ポリエステル繊維の還元粘度と後述する熱収縮応力とは相関があり、極細ポリエステル繊維の還元粘度が0.80dl/g未満であると、極細ポリエステル繊維の熱収縮応力が0.05cN/dtexを下回り、ステントとの一体性に係る課題を解決することができない。・・・
【0023】
本実施形態の極細ポリエステル繊維の総繊度は、ステントグラフト用布帛の薄壁化の観点から、7dtex以上120dtex以下である必要がある。・・・
【0024】
一方、本実施形態の極細ポリエステル繊維の単糸繊度は、ステントグラフト用布帛の極薄化の観点から、0.5dtex以下であることが必要である。・・・
【0025】
1実施形態の極細ポリエステル繊維は、ステントとグラフトとの一体性改善の観点から、80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力の値が0.05cN/dtex以上であることが必要である。ステントグラフト用布帛を構成する繊維は、ステントグラフト用布帛(筒状の織物)に成形加工する際、160℃?190℃の温度範囲の熱セット工程を経る。ステントグラフトは、オートクレーブ滅菌(110?120℃)、乾熱滅菌(180?190℃)等の滅菌工程を経て製造されるが、紡糸直後の繊維は、熱履歴を経ることでその熱収縮応力値は低下していく。本発明においては、これら工程を経た後の最終製品を構成する極細ポリエステル繊維として80℃以上200℃以下の温度範囲で0.05cN/dtex以上の最大熱収縮応力を残していることで、ステントとグラフトとの一体性が得られる。」
「【0027】
他実施形態の極細ポリエステル繊維は、体内に埋め込まれた際の長期耐久性の観点から、繊維表面から0.1μmの領域の結晶化度が35%以上であることが好ましい。・・・
【0028】
同じく、本実施形態の極細ポリエステル繊維は、体内に埋め込まれた際の長期耐久性(耐加水分解性)の観点から、繊維表面から0.1μmの領域の複屈折率Δnsが0.200以上であることが好ましく、・・・」
「【0029】・・・本実施形態の極細ポリエステル繊維は、ステントグラフト用布帛の構成繊維として有効に機能する。本発明においてステントグラフト用として好適な布帛は、強度発現や血液漏れ防止の観点から織物であることが好ましい。また、布帛の薄壁化の観点から、本発明の織物は、本実施形態の極細ポリエステル繊維20重量%以上から構成されていることが必要である。・・・」
「【0048】
以上の方法にて得られた極細ポリエステル繊維を用いて織物を製造するが、ステントグラフト最終製品(滅菌処理後)の布帛を構成する極細ポリエステル繊維として熱収縮応力0.05cN/dtex以上を確保するという観点から、製織に用いる極細ポリエステル繊維の熱収縮応力は、80℃以上200℃以下の温度範囲において0.2cN/dtex以上であることが好ましい。
【0049】
以下、筒状シームレス織物の製造を例に説明する。・・・
【0050】
・・・本発明の筒状のシームレス織物は、極細ポリエステル繊維が使用されており、・・・
【0051】
製織後は、油剤等の除去を目的とした精錬処理、形態安定性を目的とした熱セットを行うが、精錬温度・処理時間、熱セット温度・処理時間、またこれらの工程における張力は特に限定されるものではなく、ステントと組み合わせ、滅菌処理後の極細繊維の熱収縮応力が0.05cN/dtex以上になるように適宜選定すればよい。
・・・前記方法で得られたステントグラフトの滅菌処理を行う。滅菌処理の条件は、特に限定するものではないが、滅菌効果と処理後の極細ポリエステル繊維の熱収縮応力とのバランスで選定すればたりる。」
「【実施例】
・・・
【0061】
[参考実施例1と2]
原料にポリエチレンテレフタレートを用いて、29dtex/150Fの未延伸糸を巻き取るべく溶融紡糸を行った。
原料PETの性状は以下のとおりである。
還元粘度(ηsp/c=dl/g):以下の表1に記載
チタン含有量:2ppm
ジエチレングリコール含有量:0.8重量%
オリゴマー含有量:1.2重量%
用いた紡口は、円周状で1周あたりに50個の吐出ノズル(孔径0.08mmφ)が穿孔された3重配列(いずれも50個の吐出ノズル)紡口(ノズル数:150個)である。糸条の冷却は、基本的に仰角37°の吹出し口を有する冷却風吹出し装置を用いた。
その他はそれぞれ以下の表1に記載した条件にて紡糸を行い、2000m/minで29dtexの未延伸糸を2時間巻き取った。特に糸切れ等の発生無く安定して未延伸糸を巻き取ることが可能であった。得られた未延伸糸を公知の熱ロールを有する延伸機により、第1ロール温度80℃、第2ロール温度130℃で延伸倍率1.45倍に熱延伸処理を行って極細ポリエステル繊維を得た。得られた極細ポリエステル繊維のPET以外の成分含有率はいずれも2重量%未満であった。得られた繊維の還元粘度および物性を以下の表2に示す。・・・
【0062】
[参考比較例1と2]
以下の表1に記載された還元粘度の原料を用い、かつ紡糸時の紡口表面温度を以下の表1に記載された条件に制御した以外は、以下の実施例1及び2と同様に紡糸、延伸を行い、極細ポリエステル繊維を得た。得られた極細ポリエステル繊維のPET以外の成分含有率はいずれも2重量%未満であった。得られた繊維の還元粘度および物性を以下の表2に示す。また、温度?熱収縮応力測定曲線を図5と6に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
[実施例1と2、及び比較例1と2]
経糸及び緯糸に参考実施例1と2、参考比較例1と2の極細ポリエステル繊維を用い、内径50mmの平織筒状シームレス織物(経糸密度185本/インチ、緯糸密度156本/インチ)を作製した。これらの織物を以下の条件で精錬、熱セットを施し、100cm長さに筒状シームレス織物と同径のZ字ステント(ニチノール ワイヤー径0.33mm)とテーパー形状の3/8ニードル針を用い、ステッチ間隔5mm、かつ布帛の長さ方向でステントを10mm間隔で配置してステントグラフトを作製した。実施例1と2、及び比較例1と2ともにステントとグラフト間に弛みが見られ、ステントとグラフト間に2mmを超える隙間が数か所存在し、それは特に縫合手技の難しいステントグラフトの両端に多く見られた。これらのステントグラフトに滅菌処理を施して仕上げた。
【0066】
(精錬条件)
・98℃の炭酸ナトリウム水溶液(濃度:1g/l)中で1時間洗浄。
・98℃の超純水で1時間洗浄。
・室温で2軸方向に定長乾燥する。
(熱セット条件)
・φ50mm×200mm長のステンレス製の芯棒に精錬、乾燥後の布帛をセットし、180℃の恒温槽内で30分間セットする。
(滅菌処理条件)
・185℃の恒温槽内で30分間熱処理する。
【0067】
実施例1及び2については、ステントとグラフトの一体性が増し、ステントとグラフト間の隙間は消失していた。一方比較例1及び2については、滅菌処理前と一体性の改善は見られず、2mmを超えるステントとグラフト間の隙間も複数か所残ったままであった。
これらの布帛から緯糸を抜出し、熱収縮応力等の物性評価を行った。その結果を以下の表3に示す。温度?熱収縮応力曲線を図3?6に示す。
ステントとグラフトとの一体性の改善された実施例1及び2の緯糸の熱収縮応力は、0.05cN/dtexを超えていたが、比較例1及び2の緯糸熱収縮応力は0.05cN/dtexより小さかった。
【0068】
【表3】



本件発明は、ステントグラフトに関する発明であり、ステントグラフト用布帛等体内埋め込み型医療機器の構成材料として、医療現場のニーズ(細径化)と課題(ステントとグラフトとの一体性)を同時に解決できる極細ポリエステル繊維を提供することを課題とするもので、本発明者らは、鋭意検討し実験を重ねた結果、ステントグラフト用布帛を構成する極細ポリエステル繊維の熱収縮応力がステントとの一体性と強い相関があることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。(段落【0002】、【0008】、【0009】)
そして、上に摘記した本件特許明細書には、ステントグラフトやステントグラフト用布帛について、次のとおり記載されている。
段落【0025】には、「ステントグラフト用布帛を構成する繊維は、ステントグラフト用布帛(筒状の織物)に成形加工する際、160℃?190℃の温度範囲の熱セット工程を経る。ステントグラフトは、オートクレーブ滅菌(110?120℃)、乾熱滅菌(180?190℃)等の滅菌工程を経て製造されるが、紡糸直後の繊維は、熱履歴を経ることでその熱収縮応力値は低下していく。本発明においては、これら工程を経た後の最終製品を構成する極細ポリエステル繊維として80℃以上200℃以下の温度範囲で0.05cN/dtex以上の最大熱収縮応力を残していることで、ステントとグラフトとの一体性が得られる。」との記載、段落【0051】の「精錬温度・処理時間、熱セット温度・処理時間、またこれらの工程における張力は特に限定されるものではなく、ステントと組み合わせ、滅菌処理後の極細繊維の熱収縮応力が0.05cN/dtex以上になるように適宜選定すればよい。」との記載、段落【0065】の「これらの織物を以下の条件で精錬、熱セットを施し、100cm長さに筒状シームレス織物と同径のZ字ステント(ニチノール ワイヤー径0.33mm)とテーパー形状の3/8ニードル針を用い、ステッチ間隔5mm、かつ布帛の長さ方向でステントを10mm間隔で配置してステントグラフトを作製した。・・・これらのステントグラフトに滅菌処理を施して仕上げた。」との記載がある。また、段落【0068】の【表3】には、「滅菌処理後のグラフトの緯糸物性」が示されているが、それについて「実施例1及び2については、ステントとグラフトの一体性が増し、ステントとグラフト間の隙間は消失していた。一方比較例1及び2については、滅菌処理前と一体性の改善は見られず、2mmを超えるステントとグラフト間の隙間も複数か所残ったままであった。これらの布帛から緯糸を抜出し、熱収縮応力等の物性評価を行った。その結果を以下の表3に示す。」(段落【0067】)との記載もある。
したがって、本件発明5、6、10?13のステントグラフト用布帛、あるいは、ステントグラフトを構成する極細ポリエステル繊維とは、少なくとも滅菌処理が行われた後のものであると理解することが相当であり、かつ、そのように解して矛盾は生じない。

上記に摘記したように、本件特許明細書の段落【0021】?【0025】、【0027】、【0028】には、それぞれ、本件発明5、6、10?13に特定された事項である「極細ポリエステル繊維」における「PET成分の含有率」「還元粘度」、「総繊度」、「単糸繊度」、「最大熱収縮応力」、「結晶化度」、「複屈折率」が最適な数値範囲とともに記載され、段落【0029】には、本発明の織物が、本実施形態の極細ポリエステル繊維20重量%以上から構成されていることが記載されている。そして、段落【0068】の【表3】をみると、本件発明5、6、10?13の特定事項を満たす、実施例1及び2が、「滅菌処理前」の「ステントグラフトの両端部における2mm以上の弛み(隙間)の数」が、それぞれ「11」及び「13」であったのが、「滅菌処理後」には、「2」及び「1」と減少し、本件発明の課題である「ステントとグラフトとの一体性」が解決するものであることが理解できる。
さらに、上記摘記した、段落【0052】?【0066】には、上記【表3】記載の実施例1及び2についての実施例が記載されているから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載について、当業者が、本件発明5、6、10?13の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない、ということはできず、特許法第36条第4項第1号の規定に適合しないとはいえない。また、本件発明5、6、10?13が本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない、ということはできず、特許法第36条第6項第1号の規定に適合しないとはいえない。
したがって、本件発明5、6、10?13に係る特許は、特許法第113条第1項第4号の規定により取り消すことはできない。

なお、申立人Aは、「熱収縮応力最大値が0.05?0.10cN/dtex程度の場合について実験データは示されていない。」と主張しているが、本件特許明細書の段落【0025】には、最大熱収縮応力の値が0.05cN/dtex以上であることが必要である旨記載され、本件発明の課題である「ステントとグラフトとの一体性改善」との関係も記載されているから、申立人Aが主張する実験データが示されていなくとも、本件特許明細書の発明の詳細な説明が、当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない、とはいえない。

(2)【理由3】の(2)について
本件訂正によって、請求項8と当該請求項8を引用する請求項9は削除された。したがって、請求項8及び9に対する取消理由である【理由3】の(2)については、対象となる請求項が存在しない。

(3)【理由3】の(3)について
本件訂正によって、請求項1及び8は削除された。したがって、請求項1及び8に対する取消理由である【理由3】の(3)については、対象となる請求項が存在しない。

(4)【理由3】の(4)について
本件訂正によって、請求項1?4及び7は削除された。したがって、請求項1?4及び7に対する取消理由である【理由3】の(4)については、対象となる請求項が存在しない。

(5)【理由3】の(5)について
本件訂正によって、請求項8及び9は削除された。したがって、請求項8及び9に対する取消理由である【理由3】の(5)については、対象となる請求項が存在しない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、上記取消理由によっては、本件発明5、6、10?13のそれぞれに係る特許を取り消すことはできない。
また、本件特許の請求項1?4、7?9に係る特許は、本件訂正により、削除されたため、本件特許の請求項1?4、7?9に対して、申立人AあるいはBがした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。よって、本件発明1?4、7?9に係る特許異議の申立ては不適法であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】
ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、そして
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。
【請求項6】
請求項5に記載のステントグラフト用布帛から構成されるステントグラフト。
【請求項7】(削除)
【請求項8】(削除)
【請求項9】(削除)
【請求項10】
ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上であり、そして
(4)繊維表層から0.1μmの領域の結晶化度が35%以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。
【請求項11】
ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上であり、そして
(5)繊維表層から0.1μmの領域の複屈折率が0.20以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。
【請求項12】
ポリエチレンテレフタレート成分の含有率が98重量%以上である極細ポリエステル繊維であって、下記:
(1)還元粘度(ηsp/c)が0.80dl/g以上であり、
(2)総繊度が7dtex以上120dtex以下であり、かつ、単糸繊度が0.5dtex以下であり、
(3)80℃以上200℃以下の温度範囲における最大熱収縮応力が0.05cN/dtex以上であり、
(4)繊維表層から0.1μmの領域の結晶化度が35%以上であり、そして
(5)繊維表層から0.1μmの領域の複屈折率が0.20以上である、
を特徴とするものを少なくとも20重量%含むステントグラフト用布帛。
【請求項13】
請求項10?12のいずれか1項に記載のステントグラフト用布帛から構成されるステントグラフト。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-02-05 
出願番号 特願2015-536627(P2015-536627)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (D01F)
P 1 651・ 537- YAA (D01F)
P 1 651・ 113- YAA (D01F)
P 1 651・ 536- YAA (D01F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福井 弘子加賀 直人  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 久保 克彦
井上 茂夫
登録日 2016-09-16 
登録番号 特許第6005294号(P6005294)
権利者 旭化成株式会社
発明の名称 極細ポリエステル繊維  
代理人 三間 俊介  
代理人 古賀 哲次  
代理人 古賀 哲次  
代理人 齋藤 都子  
代理人 三橋 真二  
代理人 石田 敬  
代理人 三橋 真二  
代理人 三間 俊介  
代理人 中村 和広  
代理人 石田 敬  
代理人 中村 和広  
代理人 齋藤 都子  
代理人 青木 篤  
代理人 青木 篤  

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