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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B23Q
管理番号 1340430
審判番号 無効2015-800126  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-05-19 
確定日 2018-04-11 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5700677号発明「クランプ装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5700677号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕、〔3〕について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯及び本件特許発明
1 手続の経緯
本件特許第5700677号についての出願は、平成15年6月2日に出願した特願2003-156187号の一部を、平成20年6月19日に新たな特願2008-160212号として出願し、さらにその特願2008-160212号の一部を、平成23年10月6日に新たな特許出願としたものであって、平成27年2月27日にその発明について特許権の設定登録がなされた。
そして、本件無効審判請求に係る主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年 5月19日付け 審判請求書の提出
同 年 8月 4日付け 審判事件答弁書の提出
同 年12月15日付け 審理事項通知書の送付
平成28年 2月 3日付け 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
同 年 2月 3日付け 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
同 年 2月17日 口頭審理の開催
同 年 4月22日付け 審決の予告
同 年 7月 1日付け 訂正請求書及び上申書の提出
同 年 8月 8日付け 弁駁書の提出
同 年10月14日付け 補正許否の決定(許可)
同 年11月17日付け 訂正請求書及び答弁書の提出
同 年12月28日付け 弁駁書の提出
なお、特許法第134条の2第6項の規定により、上記平成28年7月1日付けの訂正請求書による訂正の請求は取り下げられたものとみなす。

第2 平成28年11月17日付けの訂正請求について
1 請求項1及び2からなる一群の請求項に係る訂正
(1)訂正事項
請求項1及び2からなる一群の請求項についての平成28年11月17日付けの訂正請求による訂正は、以下のとおりである。
ア 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1において、
「前記クランプ本体は、その上部にフランジ部を有し、該フランジ部の外周部の下面には据付け面が形成され、」を、
「前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、」と訂正する。

イ 訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項1において、
「前記流量調整弁は、
前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材とを備え、
前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、」を、
「前記流量調整弁は、
前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、
前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、
前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、
前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、
前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、
前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、」と訂正する。

ウ 訂正事項3
本件特許の特許請求の範囲の請求項1において、
「前記シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放される、クランプ装置。」を、
「前記シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、
前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される、クランプ装置。」と訂正する。

エ 訂正事項4
本件特許の明細書の段落【0010】に
「請求項1のクランプ装置は、シリンダ穴が形成されたクランプ本体と、前記シリンダ穴に内嵌され、前記クランプ本体に進退可能に設けられた出力ロッドと、該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、前記出力ロッドを退入側に駆動するクランプ用の油圧シリンダとを備え、前記クランプ本体は、その上部にフランジ部を有し、該フランジ部の外周部の下面には据付け面が形成され、該据付け面には、油圧ポートが設けられ、前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダを構成する前記シリンダ穴に至る油路が設けられ、該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向して前記シリンダ穴に至る第2油路とを有し、一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、前記流量調整弁は、前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部をを有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材とを備え、前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を閉止し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を開放する逆止弁とを有し、前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放されることを特徴としている。」と記載されているのを、
「請求項1のクランプ装置は、シリンダ穴が形成されたクランプ本体と、前記シリンダ穴に内嵌され、前記クランプ本体に進退可能に設けられた出力ロッドと、該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、前記出力ロッドを退入側に駆動するクランプ用の油圧シリンダとを備え、
前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、該据付け面には、油圧ポートが設けられ、前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダを構成する前記シリンダ穴に至る油路が設けられ、該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向して前記シリンダ穴に至る第2油路とを有し、一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、前記流量調整弁は、前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を閉止し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を開放する逆止弁とを有し、前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置されることを特徴としている。」と訂正する。

(2)当審の判断
これら訂正事項1ないし4について検討する。
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の「クランプ本体」について、「前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分」を有することを付加し、「据付け面」が「前記ベースの上面に当接する」ことを付加したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件特許明細書の【0016】には、「クランプ本体2は、据付け用フランジ部2fから下方へ延びる下半部がベース10の収容穴に収容され、据付け面2bをベース10を上面に当接させた状態で、図示しない複数のボルトによりベース10に固定されている。」という記載があるから、訂正事項1は本件特許明細書又は図面に記載されたものである。
よって、訂正事項1が願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行われたことは明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の「流量調整弁」について、上記(1)イにそれぞれ記載された構成を備える「弁ケース」、「第1シール部材」及び「第2シール部材」を備えることを付加するとともに、弁ケース及び弁部材の構造を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、流量調整弁の上記構成を備えた「弁ケース」や、弁ケース及び弁部材の構造については、本件特許明細書の【0024】ないし【0026】に記載されており、「第1シール部材」及び「第2シール部材」については、本件特許図面の【図6】に記載があるから、上記訂正事項2は本件特許明細書又は図面に記載されたものである。
よって、訂正事項2が願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行われたことは明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ 訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の「クランプ装置」に、上記(1)ウにそれぞれ記載された構成を備える「第1隙間」及び「第2隙間」が形成されていることを付加し、第1油路、第2油路及びバイパス流路と「第1隙間」及び「第2隙間」との配置関係を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記構成を備えた「第1隙間」、「第2隙間」及び当該配置関係については、本件特許図面の【図6】に明示されているから、上記訂正事項3は本件特許明細書又は図面に記載されたものである。
よって、訂正事項3が願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行われたことは明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

エ 訂正事項4について
訂正事項4は、上記訂正事項1ないし3に係る特許請求の範囲の訂正と整合させるために、明細書を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項4が願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行われたことは明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

2 請求項3に係る訂正
(1)訂正事項
請求項3についての平成28年11月17日付けの訂正請求による訂正は、以下のとおりである。
ア 訂正事項5
本件特許の特許請求の範囲の請求項3において、
「前記クランプ本体は、その上部にフランジ部を有し、該フランジ部の外周部の下面には据付け面が形成され、」を、
「前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、」と訂正する。

イ 訂正事項6
本件特許の特許請求の範囲の請求項3において、
「前記流量調整弁は、
前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材とを備え、
前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、」を、
「前記流量調整弁は、
前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、
前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、
前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、
前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、
前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、
前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、」と訂正する。

ウ 訂正事項7
本件特許の特許請求の範囲の請求項3において、
「前記シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放される、クランプ装置。」を、
「前記シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、
前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される、クランプ装置。」と訂正する。

エ 訂正事項8
本件特許の明細書の段落【0010】に
「請求項3のクランプ装置は、クランプ本体と、該クランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、前記出力ロッドを進出側に駆動するアンクランプ用の油圧シリンダとを備え、前記クランプ本体は、その上部にフランジ部を有し、該フランジ部の外周部の下面には据付け面が形成され、該据付け面には、油圧ポートが設けられ、前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダに至る油路が設けられ、該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向する第2油路とを有し、一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、前記流量調整弁は、前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材とを備え、前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を開放し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を閉止する逆止弁とを有し、前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放されることを特徴としている。」と記載されているのを、
「請求項3のクランプ装置は、クランプ本体と、該クランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、前記出力ロッドを進出側に駆動するアンクランプ用の油圧シリンダとを備え、前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、該据付け面には、油圧ポートが設けられ、前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダに至る油路が設けられ、該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向する第2油路とを有し、一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、前記流量調整弁は、前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を開放し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を閉止する逆止弁とを有し、前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置されることを特徴としている。」と訂正する。

(2)当審の判断
これら訂正事項5ないし8について検討する。
ア 訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の「クランプ本体」について、「前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分」を有することを付加し、「据付け面」が「前記ベースの上面に当接する」ことを付加したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件特許明細書の【0016】には、「クランプ本体2は、据付け用フランジ部2fから下方へ延びる下半部がベース10の収容穴に収容され、据付け面2bをベース10を上面に当接させた状態で、図示しない複数のボルトによりベース10に固定されている。」という記載があるから、訂正事項5は本件特許明細書又は図面に記載されたものである。
よって、訂正事項5が願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行われたことは明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の「流量調整弁」について、上記(1)イにそれぞれ記載された構成を備える「弁ケース」、「第1シール部材」及び「第2シール部材」を備えることを付加するとともに、弁ケース及び弁部材の構造を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、流量調整弁の上記構成を備えた「弁ケース」や、弁ケース及び弁部材の構造については、本件特許明細書の【0024】ないし【0026】に記載されており、「第1シール部材」及び「第2シール部材」については、本件特許図面の【図6】に記載があることから、上記訂正事項6は本件特許明細書又は図面に記載されたものである。
よって、訂正事項6が願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行われたことは明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ 訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の「クランプ装置」に、上記(1)ウにそれぞれ記載された構成を備える「第1隙間」及び「第2隙間」が形成されていることを付加し、第1油路、第2油路及びバイパス流路と「第1隙間」及び「第2隙間」との配置関係を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記構成を備えた「第1隙間」、「第2隙間」及び当該配置関係については、本件特許図面の【図6】に明示されているから、上記訂正事項7は本件特許明細書又は図面に記載されたものである。
よって、訂正事項7が願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行われたことは明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

エ 訂正事項8について
訂正事項8は、上記訂正事項5ないし7に係る特許請求の範囲の訂正と整合させるために、明細書を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項8が願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行われたことは明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 訂正に対する請求人の主張について
請求人は、平成28年12月28日付け弁駁書において、訂正に係る第1隙間及び第2隙間に関する発明特定事項は、本件明細書に記載のない新たな技術的事項を導入するものであるから、「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」したものとは言えず、新規事項の追加であると主張しているから検討する。
確かに、明細書では、「第1隙間」及び「第2隙間」という用語は使われておらず、第1隙間及び第2隙間について直接説明された箇所は見当たらない。しかし、図面の図6を見ると、弁部材47の弁体部47aと弁ケース45の小径部45aとの間に、空間が生じているのが明示されており、筒状の弁体部47aと小径部45aとの間に隙間があることが理解できるから、当該隙間を便宜上「第1隙間」と名付けることは適宜成し得ることである。また、同様に、弁ケース45の小径部45aと装着穴48の内周面との間にも、空間が生じていることが明示されており、小径部45aと装着穴48との間に隙間があることが理解でき、当該隙間を便宜上「第2隙間」と名付けることは適宜成し得ることである。
そして、当業者であれば、図6を見て、第1油路から第2隙間、第1隙間、バイパス流路を経て第2油路に至る流路が形成されるとともに、「前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」構成となることも明らかである。また、このような構成により、弁ケースまわりの限られた空間を有効に利用して第1油路と第2油路との連通を確保しながら、弁ケースと弁体との摺動面を長くして流量調整の調整代を大きくすることができることは当然理解され、装置全体を指向方向に小型化(コンパクト化)しつつ、作動油の流量を容易かつ確実に調整できるという、明細書の段落【0009】にも記載された効果に結びつくことも自明である。
したがって、訂正に係る第1隙間及び第2隙間に関する発明特定事項は、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものと言え、特許法134条の2第9項で準用する126条5項に違反するものであるとは言えないから、請求人の上記主張は失当である。

4 まとめ
したがって、平成28年11月17日付けの訂正請求による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、適法な訂正と認める。

第3 本件訂正発明
本件特許の特許請求の範囲は、上記のとおり訂正が認められるから、訂正後の本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明3」という。)は、平成28年11月17日付けの訂正請求により訂正した明細書及び特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された以下のとおりのものであると認める。

「【請求項1】
シリンダ穴が形成されたクランプ本体と、
前記シリンダ穴に内嵌され、前記クランプ本体に進退可能に設けられた出力ロッドと、
該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、
前記出力ロッドを退入側に駆動するクランプ用の油圧シリンダとを備え、
前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、
該据付け面には、油圧ポートが設けられ、
前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダを構成する前記シリンダ穴に至る油路が設けられ、
該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向して前記シリンダ穴に至る第2油路とを有し、
一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、
前記流量調整弁は、
前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、
前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、
前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、
前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、
前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、
前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、
前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を閉止し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を開放する逆止弁とを有し、
前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、
前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、
前記シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、
前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される、クランプ装置。
【請求項2】
前記クランプ本体は、水平な前記据付け面を外部のベース部材に当接させて固定され、
前記第1油路および前記第2油路は前記フランジ部に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
クランプ本体と、
該クランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、
該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、
前記出力ロッドを進出側に駆動するアンクランプ用の油圧シリンダとを備え、
前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、
該据付け面には、油圧ポートが設けられ、
前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダに至る油路が設けられ、
該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向する第2油路とを有し、
一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、
前記流量調整弁は、
前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、
前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、
前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、
前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、
前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、
前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、
前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を開放し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を閉止する逆止弁とを有し、
前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、
前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、
前記シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、
前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される、クランプ装置。」

第4 請求人の主張
1 請求の趣旨及び理由
(1)無効理由1について
本件特許発明1ないし3は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明)に甲第3号証・甲第4号証・甲第5号証・甲第6号証・甲第7号証に記載された技術的事項の一つまたは二つ以上、及び、周知技術を適用して、当業者が容易に想到できたものであるから、特許法第29条第2項に違反した無効理由が存在する。(審判請求書及び口頭審理陳述要領書)

(2)無効理由2について
本件特許発明1ないし3は、甲第2号証に記載された発明(甲2発明)に、甲第1号証・甲第3号証・甲第4号証・甲第5号証・甲第6号証・甲第7号証に記載された技術的事項の一つまたは二つ以上、及び、周知技術を適用して、当業者が容易に想到できたものであるから、特許法第29条第2項に違反した無効理由が存在する。(審判請求書及び口頭審理陳述要領書)

(3)訂正請求により訂正した事項について
訂正事項のうち平成28年7月1日付けの訂正請求にも含まれている事項(上記「第3」で示した訂正事項1、2、5及び6)は、主引例(甲第1号証又は甲第2号証)に開示された技術事項、甲第18、7、23?25号証に記載された周知の技術事項であるから、当業者は、甲1発明又は甲2発明に、かかる周知技術を適用して、容易に想到するものである。(平成28年8月8日付け弁駁書)

(4)「第1隙間」及び「第2隙間」について
訂正に係る第1隙間及び第2隙間については、関連する記載は本件明細書に一切なく、技術的意義は全く存在しない。よって、当該構成は、当業者が適宜選択可能な設計事項に過ぎず、容易に想到するものである。(平成28年12月28日付け弁駁書)

2 請求人の証拠方法
証拠方法として、審判請求書において以下の甲第1ないし16号証が提出され、口頭審理陳述要領書において以下の甲第17ないし22号証が提出されている。また、平成28年8月8日付け弁駁書において甲第7号証の2、甲第23ないし25号証が提出され、さらに平成28年12月28日付け弁駁書において甲第26及び27号証が提出されている。
甲第1号証 特開2001-198754号公報(主引例1)
甲第2号証 米国特許第5695177号明細書(主引例2)
甲第3号証 実公昭47-7330号公報(副引例1)
甲第4号証 特公平6-60693号公報(副引例2)
甲第5号証 独国特許出願公開第3433704号明細書(副引例3)
甲第6号証 実願昭54-114708号(実開昭56-32177号)のマイクロフィルム(副引例4)
甲第7号証 米国特許第3086749号明細書(副引例5)
甲第7号証の2 甲第7号証の抄訳文
甲第8号証 無効審判(無効2009-800108)の平成23年9月6日付け審決
甲第9号証 特開2001-107914号公報
甲第10号証 本件特許に係る出願に対する平成26年10月30日付け拒絶理由通知書(最後)
甲第11号証 特開2000-145724号公報
甲第12号証 米国特許第4132153号明細書
甲第13号証 米国特許第3286797号明細書
甲第14号証 米国特許第3511470号明細書
甲第15号証 実公昭47-30719号公報
甲第16号証 (財)日本規格協会編 「JIS工業用語大辞典【第2版】」 (財)日本規格協会発行 1987年11月10日
甲第17号証 平成23年(行ケ)第10331号の知的財産高等裁判所判決
甲第18号証 実願昭50-54858号(実開昭51-134219号)のマイクロフィルム
甲第19号証 米国特許第5695177号明細書(甲第2号証)の訳文
甲第20号証 特開平9-174361号公報
甲第21号証 特開平9-108972号公報
甲第22号証 実願昭47-69172号(実開昭49-28226号)のマイクロフィルム
甲第23号証 特許第2987681号公報
甲第24号証 実願昭61-42224号(実開昭62-153406号)のマイクロフィルム
甲第25号証 実公昭39-18634号公報
甲第26号証 特開平10-315083号公報
甲第27号証 特開平11-19836号公報

第5 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人の主張する答弁の趣旨は、本件特許無効審判の請求は成り立たない、との審決を求めるものであり、以下の理由で、無効理由1及び無効理由2には理由がないとするものである。

(1)無効理由1について
本件発明の「流量調整弁」(「逆止弁」、「バイパス流量」等を含む)に対応する構成が甲第1号証に示されておらず、主引例である甲第1号証発明に副引例を組み合わせても、当業者が本件発明1及び本件発明3を容易に想到し得たということはできない。
甲第3号証の「絞り弁6」は、本件発明の「流量調整弁」とは全く異なる箇所に設けられるものであるから、甲第3号証の「絞り弁6」を甲第1号証発明に適用して本件発明の「流量調整弁」を容易に想到し得たという論理づけを行なうことはできない。
本件発明の「流量調整弁」は、「クランプ本体」の内部に設けられた「第1油路」及び「第2油路」の間に設けられるものであるところ、甲第1号証発明に甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載の事項を適用してもかかる構成を得ることはできない。
甲第12号証ないし甲第15号証に記載の「V字溝」が周知の構造であるとしても、甲第12号証ないし甲第15号証に記載の装置は、本件発明及び主引例である甲第1号証発明とは基本的構造を全く異にするものであり、相違点に係る構成要件が容易想到であったという論理づけを行なうことはできない。(以上、審判事件答弁書)
本件発明1,3は、いずれも「出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向する第2油路」および「流量調整弁が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ」という構成を有しているが、無効理由1の主引例である甲1発明には、「出力ロッドの移動方向に直交する方向を向く流量調整弁」の構成は記載も示唆もなされていない。また、甲1発明にかかる事項を適用することは容易ではない。(以上、口頭審理陳述要領書)

(2)無効理由2について
甲第2号証を主引例とする「無効理由2」については、本件発明でいう「油圧ポート」、「第1油路」、「第2油路」等の基本的構成が甲第2号証には示されていない。また、甲第2号証の「ニードル弁56」は、本件発明の「流量調整弁」とは構成が全く異なる。
そして、甲第3号証ないし甲第7号証は副引例として適切なものでない。
甲第2号証に記載の発明に対して「据付け面に設けられた油圧ポート」を適用した場合、「据付け面」と「フランジ部の側面」に「油圧ポート」が設けられることになるが、このような場合に「フランジ部の側面」の「油圧ポート」は未使用時でも埋栓で塞ぐのみであり、「流量調整弁」を設けるものでない。甲第2号証に記載の発明を出発点として本件発明を得ようとすると、「油圧ポート」に「流量調整弁」を設ける必要があるが、かかる変更を当業者が容易に想到し得たということはできない。(以上、審判事件答弁書)
甲第2号証に示されるクランプ装置は、シリンダ本体のフランジ部側面に油圧ポートが形成されたものであり、「シリンダ本体のフランジ部の外周部の下面に形成された据付け面に油圧ポートを設ける」ことは記載も示唆もなされていない。甲2のクランプ装置を改変して「据付け面に設けられた油圧ポート」を設けるとしても、フランジ部の側面に形成された油圧ポートは残しておくべきものである。
そして、フランジ部の下面および側面の双方に油圧ポートを備える構造に対して「流量調整弁」を適用する場合、これをフランジ部の側面から出力ロッドの移動方向に直交するように設ける動機づけはなく、逆に阻害要因が存在するものである。(以上、口頭審理陳述要領書)

(3)訂正事項について
本件訂正発明での特徴構成(「弁ケース」、「ロックナット」、「操作部の穴」)は、装置の小型化、および油圧を供給したままでの流量調整の操作性および安全性の向上に寄与するものである。さらに、「前記弁ケースの小径部と前記装着穴の内周面との間に隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記隙間に連通し、前記第1油路は前記隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口する」構成により、弁ケースまわりの限られた空間を有効に利用して第1油路と第2油路との連通を確保しながら、弁ケースと弁体との摺動面を長くして流量調整の調整代を大きくすることができ、すなわち、装置全体をコンパクトに保ちながら、正確な流量調整を簡便に行うことが可能となる。(以上、平成28年7月1日付け上申書)
訂正後の「前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」という構成は、甲第18、23、25号証には記載されておらず、容易に想到できるものでもない。さらに、上記構成により、指向方向に小型化しながら油量を容易かつ確実に調整できるという効果も得られる。(以上、平成28年11月17日付け答弁書)

第6 当審の判断
1 各書証の記載事項及び各書証記載の発明
(1)甲第1号証について
ア.甲第1号証の記載
甲第1号証には、「ワーク固定用クランプシステム」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0002】
【従来の技術】 従来、一般的なワーク固定用のクランプシステムにおいては、例えば、図12に示すように、ベース板200とこのベース板200に取付けられた複数の油圧式クランプ装置210が設けられ、これらクランプ装置210によりベース板200に載置されたワークWaが固定解除可能に固定され、この状態で、ワークWaに種々の機械加工等が施される。
【0003】クランプ装置210は、シリンダ本体211と、シリンダ本体211から上方へ延びるピストンロッド213とこのピストンロッド213の先端部分に固定されたアーム214を有する出力部材212と、シリンダ本体211のロッド側シリンダエンド壁を構成するとともにピストンロッド213を昇降移動可能にガイドするガイド部材215を有する。ガイド部材215に油圧配管216や油圧ホースが接続され、この油圧配管216を介してシリンダ本体211に油圧供給装置(図示略)から油圧が供給される。すると、ピストンロッド213が下降駆動され、アーム214がワークWaの被クランプ部をベース板200の受台202に押圧してクランプする。
【0004】左側のクランプ装置210は、シリンダ本体211をベース板200に形成された取付穴201に内嵌させてボルト217で固定され、右側のクランプ装置210は、シリンダ本体211とベース板200との間にベースプレート218を介在させ、このベースプレート218とともにボルト219でベース板200に固定されている。つまり、種々の厚さのベースプレートを用いることにより、ワークWaのサイズや形状で決まる被クランプ部をクランプする高さ位置をある高さ範囲で調節可能である。」
【図12】


(イ)「【0009】図16、図17のクランプシステムでは、ベース板260の縁部付近に沿って複数のクランプ装置250が並設されている。各クランプ装置250のフランジ251の下端部に1対の油圧ポート252,253が形成され、ベース板260の内部には、複数のクランプ装置250をクランプ動作させる為に、複数のクランプ装置250の一方の油圧ポート252に接続されたクランプ側油路261と、複数のクランプ装置250のクランプ状態を解除させる為に、複数のクランプ装置250の他方の油圧ポート253に接続されたアンクランプ側油路265が形成されている。」
【図16】

【図17】


(ウ)図16及び図17からは、フランジ251の下端部に、ベース板260の上面に当接する据付け面が形成され、該据付け面に油圧ポート252,253が設けられている構成が看取される。
また、フランジ251内に油圧ポート252,253から油路が設けられていることも看取される。

(エ)図17のクランプ部材250は、技術常識からみて、図12の左側のクランプ装置210のシリンダ本体211、ピストンロッド213、アーム214、シリンダ本体211をベース板200に形成された取付穴201に内嵌させる部分に、それぞれ対応する部材を同様に有しているものと認められる。

(オ)図12のクランプ装置210及び図17のクランプ装置250ともに、シリンダ本体から上方へ延びるピストンロッドを油圧供給により昇降移動させてクランプを行うものであるから、前記ピストンロッドを昇降駆動するクランプ用の油圧シリンダ及び該油圧シリンダを構成するシリンダ穴を備えていることは、技術常識から考えて、当業者には自明の事項である。

イ.甲1記載事項
上記摘記事項(ア)、(イ)及び認定事項(ウ)によれば、甲第1号証には以下の事項(以下「甲1事項」という)が記載されていると認められる。
「油圧式クランプ装置において、油圧ポート252,253を、クランプ装置250をベース板260に固定するフランジ251の据付け面に形成した」点。

ウ.甲1発明
上記摘記事項(ア)及び(イ)並びに認定事項(ウ)ないし(オ)によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という)が記載されていると認められる。
「シリンダ穴が形成されたシリンダ本体と、
前記シリンダ穴に内嵌され、前記シリンダ本体に昇降移動可能に設けられたピストンロッドと、
該ピストンロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するアームと、
前記ピストンロッドを昇降駆動するクランプ用の油圧シリンダとを備え、
前記シリンダ本体は、その上部にフランジ251と、前記フランジ251から下方へ延びベース板260の取付穴に内嵌させる部分とを有し、該フランジ251の下端部には前記ベース板260の上面に当接する据付け面が形成され、
該据付け面には、油圧ポート252,253が設けられ、
前記フランジ251内には、前記油圧ポート252,253から油路が設けられる、クランプ装置。」

(2)甲第2号証について
ア.甲第2号証の記載
甲第2号証には、「HYDRAULIC SWING CLAMP APPARATUS HAVING SPEED CONTROL MECHANISM」(速度制御機構付き油圧スイングクランプ装置)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、括弧内の日本語は請求人による英和仮訳である(以下同様)。また、摘記箇所を示す行数に空白行は含まない(以下同様)。

(ア)「It is often desirable to adjust the actuation speed at which the piston of a hydraulic clamp is shifted between its clamping and releasing positions to coordinate the clamping operation with other manufacturing operations.」(第1欄33?36行)
(油圧クランプのクランプ作動を他の製造動作に適合させるために、その油圧クランプのピストンがクランプ位置とリリース位置との間を移動される際に、上記ピストンの作動速度を調節することが頻繁に望まれる。)

(イ)「Specifically, it is often desirable to shift one or more clamps to their clamping or releasing positions more quickly or slowly than other clamps to accommodate certain mounting and unmounting operations.」(第1欄下から8?下から5行)
(特には、ある種の取付け及び取外しの操作を調節するため、1つ以上のクランプを他のクランプよりも早く又は遅くクランプ位置またはリリース位置へ移動させるのが望ましいことがある。)

(ウ)「The hydraulic clamps 16 are preferably swing-type clamps and may be either single or double-acting. The clamps 16 are identical to one another, and as best illustrated in FIG. 3, each broadly includes a cylinder body 18, a piston 20 telescopically received within the cylinder body, a clamping head 22 fixed to the upper end of the piston, at least one hydraulic port 24 formed in the cylinder body for supplying hydraulic fluid to and discharging hydraulic fluid from the cylinder body, and flow control means, generally referred to by the numeral 26, for selectively varying the rate of hydraulic fluid flow supplied to or discharged from the cylinder body.」(第3欄18?29行)
(上記の油圧クランプ16は、好ましくは、スイング式クランプであり、単動または複動であってもよい。上記クランプ16は、互いに同一であり、図3に示されたように、各クランプは、大まかにいえば、シリンダ本体18と、そのシリンダ本体に伸縮自在に収納されたピストン20と、そのピストンの上端部に固定されたクランプヘッド22と、シリンダ本体に対して油圧流体を給排するために上記シリンダ本体に形成された少なくとも1つの油圧ポート(翻訳注記:油圧流路)24と、参照数字26で示された流量制御手段であって、シリンダ本体に対して給排される油圧流体の流量を選択的に変化させる流量制御手段と、を含む。)

(エ)「The cylinder body 18 includes a lower, elongated, hollow shank portion 28 and an upper, enlarged flange portion 30. An elongated, hollow piston-receiving chamber 32 is formed through the center of the shank portion 28 and flange portion 30 and extends through the entire length of the cylinder body 18.」(第3欄32?37行)
(上記シリンダ本体18は、下側の長い中空シャンク部分28と、上側の拡大されたフランジ部分30とを含む。長くて中空のピストン収納室32は、シャンク部分28及びフランジ部分30の中心を通って形成されて、上記シリンダ本体18の全長に延びる。)

(オ)「The periphery of the shank portion 28 is threaded as best illustrated in FIG. 2 for engaging the threading in the bore holes formed in the fixture 14. As illustrated in FIG. 1, the shank portions 28 of the clamps 16 are threaded into the bore holes so that the flange portions 30 of the clamps 16 are generally flush with the upper surface of the fixture 14.」(第3欄43?48行)
(図2に示されたように、シャンク部分28の外周は、固定台14に形成された前記穴に螺合するようにネジが形成される。図1に示されたように、クランプ16の上記シャンク部分28は上記穴に螺合され、上記クランプ16のフランジ部分30が上記固定台14の上面に概ね接触される。)

(カ)「The first hydraulic port 24 extends horizontally into one side of the flange portion 30 and is in fluid communication with the smaller diameter portion 36 of the piston-receiving chamber 32. The port 24 is coupled with a hydraulic fluid source (not shown) by hydraulic tubing 40 illustrated in FIG. 2 for supplying hydraulic fluid to and discharging hydraulic fluid from the smaller diameter portion 36 of the piston-receiving chamber 32. The piston 20 is moved from its extended, releasing position to its retracted, clamping position when hydraulic fluid is pumped through the first port 24 to the smaller diameter portion 36 of the piston-receiving chamber 32.
The double-acting hydraulic clamps illustrated in the drawing figures also each include a second hydraulic port coupled with the same hydraulic fluid source as the first hydraulic port 24 by hydraulic tubing 42 illustrated in FIG. 2. The second port extends horizontally into the flange portion 30 and then turns vertically downwardly through the shank portion 18 and terminates in fluid communication with the larger diameter portion 34 of the piston-receiving chamber 32. The second hydraulic port delivers hydraulic fluid to and discharges hydraulic fluid from the larger diameter portion 34 of the piston-receiving chamber 32. The piston 20 is moved from its retracted, clamping position to its extended, releasing position when hydraulic fluid is pumped through the second port to the larger diameter portion 34 of the piston-receiving chamber 32.」(第3欄55行?第4欄15行)
(前記の第1油圧ポート(翻訳注記:第1油圧流路)24は、前記フランジ部分30の一方側内に水平方向へ延びて、ピストン収納室32の小径部分36に連通する。そのポート24は、図2に示す油圧配管40によって油圧流体源(図示せず)に連通され、ピストン収納室32の小径部分36に対して油圧流体を給排させる。その油圧流体がポンプによって第1油圧ポート24を介してピストン収納室32の小径部分36へ供給されると、前記ピストン20が伸長リリース位置から後退クランプ位置へ移動される。
図示の複動式の油圧クランプは第2油圧ポート(翻訳注記:第2油圧流路、参照数字なし)を含み、その第2油圧ポートは、図2に示すように、油圧配管42によって前記第1油圧ポート24と同じ油圧流体源に接続される。上記の第2油圧ポートは、前記フランジ部分30内に水平方向へ延びた後、下向きに方向転換してシャンク部分28を通り、ピストン収納室32の大径部分34に連通する。その第2油圧ポートは、ピストン収納室32の大径部分34に対して油圧流体を給排させる。その油圧流体がポンプによって第2油圧ポートを介してピストン収納室32の大径部分34へ供給されると、前記ピストン20が後退クランプ位置から伸長リリース位置へ移動される。)

(キ)「The piston 20 is telescopically received within the piston-receiving chamber 32 of the cylinder body 18 for movement relative to the cylinder body between a retracted, clamping position depicted in FIG. 1 and an extended, releasing position depicted in FIG. 3. As best illustrated in FIG. 3, the piston 20 includes a lower, relatively larger diameter portion 46 and an upper, relatively smaller diameter portion 48.
The lower portion 46 of the piston 20 is received within the first, relatively larger diameter portion 34 of the piston-receiving chamber 32. The upper portion 48 of the piston 20 is received within the second, relatively smaller diameter portion 36 of the piston-receiving chamber 32 and extends upwardly out of the cylinder body 18. Both portions 46,48 of the piston 20 are preferably generally circular in cross section.
The clamping head 22 is attached to the top of the piston 20 so that it engages and clamps the workpiece 12 to the fixture 14 when the piston is positioned in its retracted, clamping position.」(第4欄26?44行)
(前記ピストン20は、シリンダ本体18に対して、図1の後退クランプ位置と図3の伸長リリース位置との間で移動されるように、そのシリンダ本体18のピストン収納室32に伸縮可能に収納される。図3に示されたように、ピストン20は、下側の比較的に大径の部分46と上側の比較的に小径の部分48とを含む。
ピストン20の上記の下側部分46は、ピストン収納室32の第1の大径部分34に収納される。そのピストン20の上記の上側部分48は、ピストン収納室32の第2の小径部分36に収納され、シリンダ本体18の外側に上方へ延びる。ピストン20の上記の両部分46,48の断面は、好ましくは概ね円形である。
前記クランプヘッド22は、ピストン20の先端に取り付けられて、そのピストン20の後退クランプ位置で前記の固定台14に前記ワークピース12を係合およびクランプする。)

(ク)「The flow control means 26 illustrated in FIG. 3 is formed directly in the cylinder body 18 and is provided for selectively varying the rate of hydraulic fluid flow supplied to or discharged from the cylinder body for selectively controlling the speed at which the piston 20 is moved between its clamping and releasing positions. The preferred flow control means 26 includes a valve port 52 and a flow control valve 54 shiftably received within the valve port.
The valve port 52 is preferably formed through the readily accessible top face of the flange portion 30 of the cylinder body 18 and extends vertically downwardly into the cylinder body so that it is in fluid communication with either the first 24 or second hydraulic ports.」(第4欄48?60行)
(図3における流量制御手段26は、シリンダ本体18内に直接に形成されて、クランピング位置とリリース位置とにピストン20が移動されるときの速度を選択的に制御できるように、上記シリンダ本体に給排される油圧流体の流量を選択的に変化させるために設けられる。好適な流量制御手段26は、弁孔52と、その弁孔に移動可能に収納された流量制御弁54とを含む。
前記の弁孔52は、好ましくは、シリンダ本体18のフランジ部分30のうちの容易にアクセス可能な上面を貫通するように形成されて、上記シリンダ本体内を下方へ延び、前記の第1油圧ポート24または第2油圧ポートへ連通される。)

(ケ)「The flow control valve 54 includes a lower needle valve 56, an upper, manually-operable knob 58, and an interconnecting stem 60. The needle valve 56 is received within the tapered portion 55 of the valve port 52, and the knob 58 extends upwardly through the top face of the flange portion 30. The stem 60 is threadably received within the enlarged portion 53 of the valve port 52 so that when the knob 58 is rotated, the needle valve 56 is moved relative to the tapered portion 55 of the valve port 52. This moves the needle valve 56 into and out of the first or second hydraulic ports for controlling the rate of flow of hydraulic fluid into or out of the cylinder body 18.」(第4欄66行?第5欄10行)
(前記の流量制御弁54は、下側のニードル弁56と、上側の手動操作ノブ58と、連結ステム60とを含む。上記ニードル弁56は、弁孔52のテーパ部分55に収納され、上記ノブ58は、フランジ部分30の上面を通って上方へ延びる。上記ステム60は、弁孔52の拡径部分53内に螺合される。そして、上記ノブ58が回転されたときに、弁孔52のテーパ部分55に対してニードル弁56が移動される。これにより、上記ニードル弁56は、第1油圧ポート又は第2油圧ポートに対して進退され、シリンダ本体18に対する油圧流体の給排流量が制御される。)

(コ)Fig.3からは、フランジ部分30内に、第1油圧ポート24からピストン収納室32の第2の小径部分36まで、水平方向に細い油路が形成されており、当該油路の中央部分で流量制御弁54のニードル弁56が進退されることが看取できる。

(サ)Fig.1からは、シリンダ本体18のフランジ部分30の水平な下面に、固定台14の上面に接触する面が形成されていることが看取できる。

イ.甲2発明
上記摘記事項(ア)ないし(ケ)並びに認定事項(コ)及び(サ)を、技術常識を考慮して整理すると、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2発明」という)が記載されていると認められる。
「ピストン収納室32が形成されたシリンダ本体18と、
前記ピストン収納室32に収納され、前記シリンダ本体18に伸縮自在に収納されたピストン20と、
該ピストン20の先端に取り付けられワークピース12をクランプするクランプヘッド22と、
油圧流体がピストン収納室32の小径部分36へ供給されると前記ピストン20が伸長リリース位置から後退クランプ位置へ移動される構造とを備え、
前記シリンダ本体18は、上側のフランジ部分30と、下側の長いシャンク部分28とを有し、該フランジ部分30の水平な下面には前記固定台14の上面に接触する面が形成され、該シャンク部分28は固定台14に形成された穴に螺合し、
該フランジ部分30の一方側に第1油圧ポート24が設けられ、
前記シリンダ本体18の内部には、前記第1油圧ポート24から前記ピストン収納室32に連通する油路が設けられ、
該油路は、前記第1油圧ポート24に接続され水平方向にピストン収納室32へ延びる油路を有し、
一端が前記フランジ部分30から突出し、他端が前記油路に至る流量制御弁54が設けられる、油圧クランプ16」

(3)甲第3号証について
ア.甲第3号証の記載
甲第3号証には、「流体作動ピストンとシリンダのクツシヨン装置」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「この考案はピストン行程の一端又は他端に於てピストンにクツシヨン作用を与えるため逆止弁と絞り弁を有するクツシヨン装置付き流体圧シリンダに関するもので、特に逆止弁と絞り弁が一体化されたクツシヨン装置に関するものである。」(第1欄24?28行)

(イ)「第1図および第2図、特に第2図を参照すると一体化された逆止弁および絞り弁6は一つの孔の中に収容されている。その孔の外方開口部22はネジが切られており、中間部23はその上端部24が内側へ向うテーパ状になつており、上部孔25は全長にわたつてテーパ状で弁座を形成しその上端はシリンダヘツド4内の室10と連通する。側方に設けられた通路26は孔の中間部23とシリンダ体2およびシリンダヘツド4の右端に於てピストン3の左側とを連通する。
一体化された逆止弁および絞り弁6は孔22,23および25に於て選択的に軸方向に動き得るように組込まれており、一対の中空円筒状部材27および28が互にはまり合つた形でその内部に逆止弁室29を有する一つの絞り弁となつている。下部部材27は外径にネジを有し孔22内で軸方向に移動でき、その上部は外径が小さくなつて孔23に滑合し、Oリング30で周縁をシールされている。上部部材28は、フランジ31が下部部材27にあたるまで部材27にはまりこんでおりその外径は孔23の直径よりも相当小さく、その間に後述するように流体の通路となる空所がある部材28の最上端部32は外周が孔25のテーパーに相当する角度のテーパー状になつており、部材27が孔22内に一ぱいにネジ込まれた時、孔25のテーパー状弁座に着座する絞り弁となつている。孔33は部材28の軸心にあり、弁室29とピストン棒8の周囲の室10との間を孔25を通つて連絡している。孔33は室29の直径よりも小さくその両者のつなぎ目の部分で弁座を形成している。球弁34はその直径が孔33よりも大きく室29よりも小さいので、弁室29におかれてばね35により上に押しつけられ、孔33を密封している。ばね35は球弁34と部材27の間に置かれている。一個又は数個の通路36が部材28の側面に設けられ弁室29と孔23との間を連絡し、室10が圧力供給源に連通した時、圧力流体は室10から孔33、球弁34、通路36から通路26を通りピストン面に供給される。シリンダヘツド5にある一体化された逆止弁および絞り弁6は上述のものと全く同じもので上述と同様の方法でシリンダヘツド5に組込まれる。」(第3欄40行?第4欄36行)

(ウ)「この装置を操作するには逆止弁および絞り弁ユニツト6を孔22の中で部材27の端面にある切込み37によりねじ調整する。即ちこの切込み37に適合する工具を用いて弁32を弁座25に対して開閉することができる。この弁32が適当な量だけ開いた位置に於て、ピストン3が左方へ運動するとクツシヨンリング13が行程終端近くで孔10にはまりこみ、シリンダ室から孔7を通る流体の排出通路を閉じる。しかしながら流体は尚シリンダ室から通路26、部材28の周囲、開いている弁32、および孔25を通り室10へ流れこの時排出通路となつている給排通路12から排出される。かくしてピストン3のクツシヨン作用は絞り弁32の設定開度に応じて所望の程度になし得る。ピストン3が戻り行程を行うため給排通路12が供給通路として作用する時は圧力流体は室10、孔25、孔33に入り球弁34を押し上げ、通路36および26を通ってピストン3に作用し右方へのピストン運動を開始させる。」(第4欄37行?第5欄10行)

(エ)上記摘記事項(イ)の「一体化された逆止弁および絞り弁6は孔22,23および25に於て選択的に軸方向に動き得るように組込まれており、一対の中空円筒状部材27および28が互にはまり合つた形でその内部に逆止弁室29を有する一つの絞り弁となつている。」及び第2図からは、中空円筒状部材28が、孔25の指向方向に相対移動可能に構成されていることが看取できる。

イ.甲3記載事項
上記摘記事項(ア)ないし(ウ)及び認定事項(エ)によれば、甲第3号証には、以下の事項が記載されていると認められる。
「通路26との接続部に形成された孔25と、シリンダ体2に対して前記孔25の指向方向に相対移動可能な中空円筒状部材28および前記中空円筒状部材28の基端に連なる前記中空円筒状部材28よりも大径の中空円筒状部材27を有し、前記中空円筒状部材28が前記孔25に挿入された全閉状態から前記中空円筒状部材28が前記孔25から離間した全開状態に至るまで前記中空円筒状部材28を移動させて前記中空円筒状部材28と前記孔25との間の隙間を調節可能な絞り弁とを備え、
前記絞り弁は、前記中空円筒状部材28と前記孔25との間の隙間をバイパスする孔33および通路36と、室10に圧力流体を供給するときには前記孔33および通路36を閉止し、前記室10から圧力流体を排出するときには前記孔33および通路36を開放する逆止弁とを有し、
前記孔33および通路36は、前記中空円筒状部材28の内部に逆止弁および絞り弁ユニット6の一端から他端に向かう方向に延びる孔33と、前記孔33から外周側に延びる通路36とを含み、
前記逆止弁は、前記孔33上に形成された弁座と、前記孔33内に移動可能に設けられた球弁34と、前記球弁34を前記弁座側に付勢するばね35とを含み、
前記室10から圧力流体を排出するときには、排出される前記圧力流体により前記球弁34が前記弁座と反対側に押圧されて前記孔33が開放されるようにした」点

(4)甲第7号証について
ア.甲第7号証の記載
甲第7号証には、「NEEDLE VALVE FOR EXTREME PRESSURE」(高圧用のニードル弁)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「My invention relates to control valves for regulating fluid flow and includes among its objects and advantages, extremely rapid flow with minimum pressure drop when desired; slower flow calibrated with high precision; and adjustment of calibrated flow at extremely high pressures entirely without leakage and substantially without binding action in the adjustment means due to the high pressure. Further objects and advantages will become apparent as the description proceeds.」(第1欄9?17行)
(本発明は、流体の流れを調節する制御弁に関し、その目的および長所には、好ましくは最小の圧力低下での高速の流れと高精度に調整された低速の流れとを含み、また、高圧の全域での流れの調整をリーク無しで行うことと、その高圧によって調整手段が拘束されるのを実質的に無くすこととを含む。)

(イ)「Referring now to FIGS. 1, 3 and 9, it will be apparent that axial withdrawal of the needle 26 will open a net area through the passage 24 equal to the difference between the area of the passage and the area of the valve 26. This rate of increase will be greatest when the valve is first cracked open and will decrease materially so that the actual flow increases at a slower rate during the later stages of the opening movement than during the early stages. In FIG. 9 I have indicated the amount of valve opening on the horizontal or X axis and the flow rate on the vertical or the Y axis and the shape of the curve A is typical of the effective response of such a valve when used for throttling. It will be apparent that above the 20 or 30% opening, there is a relatively high sensitivity and relative adjustments can be made by the operator, but close to the closed position, where it is often necessary for the equipment to operate, the sensitivity is low and the rate of response undesirably high.
In FIG. 3, I have indicated an alternative construction in which the threaded portion and top of the needle 72 may be identical with the needle 26 of FIG. 1. The cylindrical portion 74 of full diameter also duplicates the corresponding portion of the pin 26. Below the portion 74 I provide first, a short conical portion 76 adapted to engage the lip of the valve seat when the valve is completely closed. Below the conical portion 76, cylindrical portion 78 extends down as indicated in FIGS. 3 and 5. This portion is only from 0.0005" to 0.00025" smaller than the bore 24. A short upper portion of the obturator 78, next the conical portion 76 is of circular contour. Below that, I fashion a diagonal V-shaped groove 80 that has its side faces in the same plane throughout its length, but its apex, or crotch, is inclined inward diagonally. The extreme bottom end of the obturator is flat at 82, and when the groove 80 reaches the axis of the pin the slot leaves open approximately one-sixth of the area of the end portion 82. A desirable ratio between the radius of the main body 78 of the obturator and the radius of the flat bottom 82 is about three to two, to secure a smooth transition in the curve of FIGURE 9 as the end of the obturator moves out of the bore 24.
As the needle of the FIGS. 3, 4 and 5 moves up, the initial separation of the cone 76 from the valve seat will permit only a very trifling leakage between the obturator 78 and the bore, until the upper end of the groove 80 is reached. Thereafter, the groove increases relatively slowly at first, but more rapidly as the groove itself becomes larger. Finally, when the corner at 84 above the level of the bore lets the conical tip portion 86 start opening a much wider diagonal clearance between the needle and the lip of the bore will be established.
In FIG. 9 the curve B is intended to indicate the type of movement of fluid that can be obtained with a needle according to FIG. 3. Up to some such point as C there is only leakage around the obturator 78. Then the groove 80 produces the result indicated by the curve B up to some such point as D, at which time the area of flow begins to be defined by lip of bore 24 and the face of the cone 86. It will be noted that the flow rate corresponding to the point E on curve B is also obtainable at the point F on curve A, but that the valve displacement to get exactly that rate of flow is about 10 times as great with needle 74.」(第4欄25行?第5欄12行)
(図1と図3及び図9について説明すると、ニードル26を軸方向へ引き出すことにより、通路24を通る正味面積、即ち、上記通路24の面積と上記弁(翻訳注記:ニードル)26の面積との差に等しい面積が広がることは明らかである。この増加割合は、上記弁を最初に少し開けたときに最大になり、開き移動の初期段階よりも後期段階の方が現実の流量増加が遅くなるように、相当に減少する。図9において、弁開度を水平軸またはX軸で示すと共に、流量を垂直軸またはY軸で示し、そして、曲線Aの形状は、絞りで使用された上記弁の典型的な応答である。上記によれば、20又は30%の開度では、ある程度に感度が高く、また、ある程度の調節が操作者によって操作され得るが、設備にとって操作することがしばしば必要とされる閉止位置へ近づくと、感度が低くなり、また、応答量が不適当に高くなる。
図3で示された変形構造では、ニードル72のネジ部と先端は、図1の前記ニードル26と同じである。最大直径の円柱部分74も、前記ピン(翻訳注記:ニードル)26の対応部分と同じである。上記の円柱部分74の下側に、上記弁が全閉されたときに弁座の縁部に係合する短円錐部分76が設けられる。その円錐部分76の下側には、図3と図5に示すように、円柱部分78が下方へ延びている。この部分78は、前記孔(翻訳注記:通路)24よりも0.0005?0.00025インチだけ小さい。上記の閉じ部材(翻訳注記:円柱部分)78の上部の短い部分は、上記の円錐部分76の次に位置され、円形に形成される。その下側には、斜めのV形溝80が形成され、上記V形溝80は、その全長にわたって同じ平面の側面を有するが、その頂点または股部は斜め内側に傾斜される。上記の閉じ部材(翻訳注記:円柱部分78)の最も底端82は平面であり、上記溝80が上記ピン(翻訳注記:ニードル26)の軸心に到達すると、上記溝が、上記の端部82の面積の約 1/6 に開かれる。上記閉じ部材のメイン本体78の半径と上記のフラット底82の半径との好ましい比率は、上記の閉じ部材(翻訳注記:円柱部分78)の端部が前記孔(翻訳注記:通路)24から抜け出すときに図9の曲線の円滑な変化を確保するため、約3?2である。
図3・図4・図5の上記ニードルが上昇すると、上記溝80の上端が前記弁座に到達するまでは、その弁座からの前記円錐76の初期の離間により、上記の閉じ部材(翻訳注記:円柱部分)78と前記孔(翻訳注記:通路24)との間の微少量の漏れだけが許容される。その後、上記溝は、まず比較的に緩やかに増加するが、その溝自体が大きくなるにつれて急速に増加する。最終的に、前記の隅部84が前記孔(翻訳注記:通路24)の高さの上側に位置したときに、前記の円錐チップ部分86が、前記ニードル(翻訳注記:ニードル26)と前記孔(翻訳注記:通路24)の縁部との間の斜め隙間を非常に広くする。
図9において、曲線Bは、図3に基づくニードルによって得られる流体の変動を示している。C点へ上昇するまでは、上記の閉じ部材(翻訳注記:円柱部分78)の周りの漏れだけである。次いで、前記溝80により、D点まで曲線Bが上昇すると、流れの面積は、孔24の縁部と円錐86の面とによって規定され始める。曲線BにおけるE点に相当する流量は、曲線AにおけるF点でも得られるが、その流量を得るための弁変位は、前記ニードル74(翻訳注記:ニードル26の誤記と解される)の約10倍もの大きさになる。)

イ.甲7記載事項
上記摘記事項(ア)及び(イ)によれば、甲第7号証には、以下の事項(以下、「甲7事項」という。)が記載されていると認められる。
「ニードル72の円柱部分78の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記円柱部分78の軸方向に延びるV形溝80が形成されている」点

(5)甲第11号証について
ア.甲第11号証の記載
甲第11号証には、「シリンダ装置」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0034】したがって、上記構成の本実施の形態のシリンダ装置1を組み立てる場合には、まず、上記フランジ11の第2の配設用の穴16から上記開閉部材21,31をフランジ11の前方側の同一方向から装着する。すなわち、図5乃至図7に示すように、上記フランジ11の吸入側の流路13では、鋼球24、スプリング23、外周にシール部材Rを配したチェック弁22の順に装着する。他方、排出側の流路14では、スプリング33、鋼球34、外周にシール部材Rを2個配したチェック弁32の順に装着する。なお、上記チェック弁22,32は、専用の工具で嵌合状態で装着させるが、いずれも同一方向から上記の順に従って装着させれば足りる。このように装着すると、メータイン側では、上記鋼球24が第2の流路13bを閉塞し(図6)、他方、メータアウト側では、上記鋼球34が上記チェック弁32の流体を通す穴32aを閉塞する位置に配されることとなる(図7)。」

(イ)図6及び図7


(6)甲第14号証について
ア.甲第14号証の記載
甲第14号証には、「NEEDLE VALVE」(ニードル弁)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「The region of uniform diameter of nose 52 is provided, in its outer wall, with an elongate fluid metering passageway or groove 60 which extends generally lengthwise of the stem axis. The depth of groove or passageway 60, and consequently its cross-sectional area, increases gradually in the direction of the free end of nose or needle member 52, so that the most shallow or constricted end of the groove or passageway terminates in the outer wall, and within the region of uniform diameter of memmber 52, at a location remote from free end 52.」(第2欄下から3行?第3欄8行)
(上記突出部52の一定直径の領域は、その外壁において、前記ステム軸のほぼ長手方向へ延長された流体調節用の通路または溝60を備える。その溝または通路60の深さ及び横断面積は、上記突出部又はニードル部材52の自由端へ向かうにつれて漸増し、また、上記溝または通路の最も浅い又は収縮された端部は、上記部材52の一定直径の領域内かつ上記の自由端52から離れた位置で、上記の外壁へ終結される。)

(イ)図1


(7)甲第18号証について
ア.甲第18号証の記載
甲第18号証には、「流量調節弁付き自在接手」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「4は接手体であつて貫通孔5が設けられ、この貫通孔5内に挿入された接手固定ねじ6の先端ねじ部7によつて、流体機器2に固定される。また給排管1はスリーブ8に熔接され、ロツクナツト9によつて接手体4の別の通孔10に接続される。」(明細書2頁17行?3頁2行)

(イ)「給徘管1より流体機器2へ流体が供給されるときは、通孔10,環状溝11,孔12,隙間18を経て流量調節弁16と弁座15との間隙により、一定の流量に制御されて給排孔3に流入する。逆に給排孔3よりの排出流れの大部分は、通路22を通つて逆止弁21を押し開き、孔23,隙間18,孔12,環状溝11,通孔10を経て給排管1に排出される。流量調節は流量調節弁16の調節ねじ17のねじ込み量によつて自由に行うことができる。」(明細書3頁20行?4頁9行)

(ウ)図面


(8)甲第22号証について
ア.甲第22号証の記載
甲第22号証には、「同一部品にて可逆絞り可能なチエツク付き絞り弁」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「そして前記部分(12)と穴(4)との間に間隙(25)を形成し、部分(12)の部分(11)側には流体の通路(15)が半径方向に貫通して設けられている。 また部分(12)には軸方向に弁座(24)を有する穴(16)が穿設されており、貫通穴(17)を介して前記通路(15)と連通している。 前記穴(16)には弁座(23)及び貫通穴(18)を有するブツシユ(19)がねじ込まれており、弁室(20)が形成されている。 該弁室(20)内にはボール(21)とバネ(22)が組み込まれていて、このボール(21)とバネ(22)の位置を逆にして使用できる様に弁室(20)に上記二つの弁座(23),(24)が対向的に配置されている。」(明細書2頁16行?3頁7行)

(イ)図面

(9)甲第23号証について
ア.甲第23号証の記載
甲第23号証には、「速度制御弁」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0020】流量制御弁8は、図1や図2に示すように、継手主体1に抜け止め状態に嵌入された金属製の筒部材80と、前記筒部材80に挿入する態様で螺入されたニードル弁81と、前記ニードル弁81を筒部材80に対して回動不能にロックするロックナット82と、前記筒部材80内においてニードル弁81と同軸上に配設された流路形成筒83と、前記流路形成筒83に外挿されている弾性を有する弾性ダイヤフラム85とを有するものとしてある。
【0021】筒部材80は、図1や図2に示すように、その周面に継手主体1からの抜け止め状態を確保するための係止爪80aを設けてあると共に筒内と筒外とを連通させる孔80bを形成してあり、図1や図2に示す継手主体1への組み込み状態において、上記した孔80bと流体経路5cとが連通すると共にこれの筒内と流体経路5bとが連通するようにしてある。
【0022】ニードル弁81は、図1や図2に示すように、テーパ状弁部81aと雄ネジ部81bとを有する弁軸の外端に工具対応部81c(所謂マイナスドライバーにより操作できる)を螺着させて成るもので、図1や図2に示すように、テーパ状弁部81aと流路形成筒83との間の空隙が実質的に流体経路5の開度となる。
【0023】尚、図1や図2に示すように、前記テーパ状弁部81aと雄ネジ部81bとの間の弁軸部分にはOリング86を外装してあり、このOリング86によりニードル弁81と筒部材80との間から流体が漏洩しないようにしてある。
【0024】流路形成筒83は、図1や図2に示すように、上端部を拡大径部83aとした筒状のもので、筒保持体84によりニードル弁81と同軸上に固定配置されるようにしてある。尚、保持体84は図1や図2に示すように、環状の厚肉板により構成されており、複数の流路となる貫通孔84aを形成してある。
【0025】弾性ダイヤフラム85は、図1や図2に示すように、合成ゴムにより形成された全体がコーン状のもので、比較的厚肉の底壁部85aと比較的薄肉のコーン形状片部85bとから構成されている。尚、この弾性ダイヤフラム85は従来の技術の欄に記載した弾性ダイヤフラム93(図6参照)と同様の機能を有するものである。」

(イ)図1及び図2


(10)甲第24号証について
ア.甲第24号証の記載
甲第24号証には、「油圧シリンダの流量制御装置に於ける絞り弁の脱落防止構造」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「又、同螺子孔4のもう一方の開口部(後端部側)には、その間にOリング10を介在させてアダプタ9が螺合される。そして同アダプタ9には前記通路孔8と対向させてニードル孔11が穿設され、同ニードル孔11にはニードル弁(絞り弁)14が前後方向に進退自在に嵌挿される。」(明細書5頁17行?6頁2行)

(イ)「その他19は雄螺子部14Bに螺合するロックナット、17はニードル弁14の外周部に嵌合するOリングを示す。」(明細書6頁14?16行)

(ウ)第3図


(11)甲第25号証について
ア.甲第25号証の記載
甲第25号証には、「油圧ピストン速度調整装置」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「チェックバルブ本体4,4'には、それぞれポンプから配送されるパイプ5,5'に通ずる機体1の通路6,6'と室O,O’に通ずる通路7,7'とを連通させるように、導通孔8,8',9,9'および弁座10,10'が設けてあり、該弁座10,10'の上方通路には内面テーパ部11,11'が形成されている。12,12'は弁でテーパー部11,11'との間隙を加減することにより液体の流量を調整し得るように、球面またはテーパー面を有している。13,13'は一端が弁12,12'を常時弁座10,10'の方向へ押圧し他端がバネ案内14,14'に嵌合しているバネで、液体が導通孔8,8'を経て導通孔9,9'の方向へ流通する際にはその液圧により弁12,12'が弁座10,10'を容易に開放し得る程度の強さに規正されている。15,15'は弁12,12'の最小開度を調整する調整ねじ、16,16'はそれぞれのロツクナツトである。」(1頁左欄下から15行?同頁右欄2行)

(イ)第1図


2 無効理由2の検討
事案に鑑み、まず、無効理由2について検討する。
(1)本件訂正発明1について
ア.対比
本件訂正発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「ピストン収納室32」及び「シリンダ本体18」は、それぞれ本件訂正発明1の「シリンダ穴」及び「クランプ本体」に相当する。
甲2発明の「前記ピストン収納室32に収納され、前記シリンダ本体18に伸縮自在に収納されたピストン20」は、本件訂正発明1の「前記シリンダ穴に内嵌され、前記クランプ本体に進退可能に設けられた出力ロッド」に相当する。
甲2発明の「該ピストン20の先端に取り付けられワークピース12をクランプするクランプヘッド22」は、本件訂正発明1の「該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアーム」に相当する。
甲2発明の「油圧流体がピストン収納室32の小径部分36へ供給されると前記ピストン20が伸長リリース位置から後退クランプ位置へ移動される構造」が、油圧流体によりピストン20を駆動する機能を有する構造であることを考慮すれば、本件訂正発明1の「前記出力ロッドを退入側に駆動するクランプ用の油圧シリンダ」に相当することは自明である。
甲2発明のシリンダ本体18が「上側のフランジ部分30」を有することは、本件訂正発明1のクランプ本体が「その上部にフランジ部」を有することに相当し、甲2発明の「該フランジ部分30の水平な下面には前記固定台14の上面に接触する面が形成され」ることは、本件訂正発明1の「該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され」ることに相当する。
また、甲2発明のシリンダ本体18の「下側の長いシャンク部分28」を有し「該シャンク部分28は固定台14に形成された穴に螺合」する構成は、本件訂正発明1の「前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分」の構成に相当する。
甲2発明の「該フランジ部分30の一方側に第1油圧ポート24が設けられ」という構成は、本件訂正発明1の「該据付け面には、油圧ポートが設けられ」という構成と対比すると、本件訂正発明1の据付け面がフランジ部の下面に形成されていることからみて、「該フランジ部には、油圧ポートが設けられ」という構成を限度として相当する。
甲2発明の「前記シリンダ本体18の内部には、前記第1油圧ポート24から前記ピストン収納室32に連通する油路が設けられ」という構成は、甲2発明のピストン収納室32が油圧シリンダを構成するものであることは当業者には自明であるから、本件訂正発明1の「前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダを構成する前記シリンダ穴に至る油路が設けられ」という構成に相当する。
甲2発明の「該油路は、前記第1油圧ポート24に接続され水平方向にピストン収納室32へ延びる油路を有し」という構成は、水平方向が、ピストン20の移動方向である垂直方向と直交する方向を指向していることは自明であるから、本件訂正発明1の「該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向して前記シリンダ穴に至る第2油路とを有し」という構成と対比すると、「該油路は、前記油圧ポートに接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向して前記シリンダ穴に至る油路を有し」という構成を限度として相当するものである。
甲2発明の「一端が前記フランジ部分30から突出し、他端が前記油路に至る流量制御弁54が設けられ」た構成は、本件訂正発明1の「一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ」た構成と対比すると、「一端が前記フランジ部から突出し、他端が前記油路に至る流量調整弁が設けられ」という構成を限度として相当する。
甲2発明の「油圧クランプ16」は、本件訂正発明1の「クランプ装置」に相当する。

したがって、本件訂正発明1と甲2発明とは、以下の点で一致し、かつ相違する。
<一致点>
「シリンダ穴が形成されたクランプ本体と、
前記シリンダ穴に内嵌され、前記クランプ本体に進退可能に設けられた出力ロッドと、
該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、
前記出力ロッドを退入側に駆動するクランプ用の油圧シリンダとを備え、
前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、
該フランジ部には、油圧ポートが設けられ、
前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダを構成する前記シリンダ穴に至る油路が設けられ、
該油路は、前記油圧ポートに接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向して前記シリンダ穴に至る油路を有し、
一端が前記フランジ部から突出し、他端が前記油路に至る流量調整弁が設けられる、クランプ装置。」である点。

<相違点1>
本件訂正発明1では、油圧ポートがフランジ部の「据付け面」に設けられていて、「前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記シリンダ穴に至る第2油路とを有し」ているのに対し、甲2発明では、油圧ポートはフランジ部分30の一方側に設けられていて、第1油圧ポート24に接続された油路が水平方向にそのままピストン収納室32へ延びている点。

<相違点2>
流量調整弁の配置構成について、本件訂正発明1では、流量調整弁の一端が前記フランジ部の「外周面」から突出し、他端が「前記第1油路と第2油路との接続部に至る」ようにされ、「前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ」ているのに対し、甲2発明の流量制御弁54は、一端が前記フランジ部分30から突出しているものの、上下方向に配置されている点。

<相違点3>
本件訂正発明1の流量調整弁は、
「前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、
前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、
前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、
前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、
前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、」た構造であるのに対し、甲2発明の流量制御弁54がそのような構造であるかは不明である点。

<相違点4>
本件訂正発明1の流量調整弁が、「前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され」ているのに対し、甲2発明の流量制御弁54は、ニードル弁56の外周部の溝部については不明である点。

<相違点5>
本件訂正発明1の流量調整弁は、
「前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を閉止し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を開放する逆止弁とを有し、
前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、
前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、
前記シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、
前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」構造であるのに対し、甲2発明の流量制御弁54がそのような構造であるかは不明である点。

イ.判断
(ア)相違点1について
油圧を用いたクランプ装置において、油圧ポートをクランプ装置のフランジ部の据付け面に設ける構造は、上記甲1事項として示されているように従来周知の構造に過ぎないものである。そして、甲第1号証の摘記事項(ア)の「油圧配管216」の「ガイド部材215」への接続及び摘記事項(イ)の「フランジ251の下端部に1対の油圧ポート252,253が形成され」ていることからも理解されるように、油圧を用いたクランプ装置において、油圧ポートを据付け面側に設けて鉛直方向に油路を形成するものも、側面側に設けて水平方向に油路を形成するものも、両者ともに一般的な構成に過ぎず、どちらを採用するかは、配置の際のレイアウトの制限や、装置のコンパクト化の要求等に応じて、当業者が適宜選択する事項である。そうすると、甲2発明において、フランジ部分30の一方側に設けられている油圧ポートを、フランジ部分30の固定台14と接する据付け面に設けるようにすることは、上記従来周知の配管構造に代えて、同様に従来周知のものに単に置換したに過ぎず、当業者であれば容易に想到する事項というべきである。また、油圧ポートを据付け面に設けた際に、油圧ポートと接続してフランジ部分30内を鉛直方向に延びる油路を設け、水平方向にピストン収納室32へ延びる油路と接続する構造とすることは、甲2発明のフランジ部分30とピストン収納室32の位置関係を有するものに、上記油圧ポートの配管構造を採用したのであれば当然に取り得る配置に過ぎない。
そうすると、上記相違点1に係る発明特定事項は、甲2発明に上記甲1事項として示された従来周知の構造を適用することで、当業者が容易に想到する事項というべきである。

(イ)相違点2ないし4について
相違点2ないし4は、流量調整弁の具体的な構造や配置に関するものであるから、まとめて検討する。
油圧等の流体圧シリンダに用いる流量調整弁において、相違点3に係る構造のように、弁孔、弁部材、弁ケース、第1及び第2シール部材、ロックナット、弁部材を相対移動させる為の操作部を備えた構造のものは、例えば、甲第18、23?25号証に示されているように従来周知の事項であると認められる。
また、油圧等の流体流れを調節するニードル弁について、感度をより適切にするために弁体部の外周部に先端側ほど深さが深い溝部を形成した構造も、例えば、甲第7及び14号証に示されているように従来周知の事項であると認められる。
そして、甲第2号証の上記摘記事項(ア)及び(イ)にも示されているように、油圧クランプにおいて、クランプ位置又はリリース位置へピストンを移動させる作動速度は、クランプ動作や他の製造動作に合わせて適宜調節変更される設計的事項に過ぎないものであり、甲2発明において、リリース位置へのピストン移動の速度を、クランプ位置へのピストン移動の速度よりも高速にして、ワークピースの取り外しの効率化を図ることも、当業者が必要に応じて適宜成し得る設計変更程度の事項であって、格別なものではない。
そうすると、甲2発明の油圧クランプにおいて、上記効率化を図るため、リリース位置へのピストンの移動速度を高速化する、すなわち、ピストン収納室32からの油圧流体の排出を速やかに行わせようとして、上記甲第18、23?25号証に示された従来周知の流量調整弁の構造を適用し、流量調整弁54であるニードル弁56について、弁孔、弁部材、弁ケース、第1及び第2シール部材、ロックナット、弁部材を相対移動させる為の操作部を備えた構造として、上記相違点3に係る発明特定事項のように構成するとともに、流量調整弁54の感度をより高めるために、上記甲第7及び14号証に示された従来周知の構造を適用し、ニードル弁56の外周部に先端側ほど深さが深い溝部を形成することで、上記相違点4に係る発明特定事項のように構成することは、当業者であれば、容易に想到する事項というべきである。
そして、甲2発明に上記の適用を行う場合、ピストン収納室32からの油圧流体の排出を速やかに行わせようとして逆止弁を設けるのであれば、流量調整弁はピストン収納室側に向けて水平方向に配置された油路に沿わせて配置すべきであることは当業者が当然考えることであり、その際、鉛直方向に配置された油路が形成されていれば、水平方向の油路と鉛直方向の油路との接続部に流量調整弁の端部が至るようになることも、当然認識される事項に過ぎないから、上記相違点2に係る発明特定事項についても、当業者が容易に想到する事項というべきである。
そうすると、上記相違点2ないし4に係る発明特定事項は、甲2発明に上記従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に想到する事項というべきである。

(ウ)相違点5について
相違点5に係る発明特定事項のうち、「前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」構造については、請求人が示した証拠には記載されておらず、また、油圧等の流体圧シリンダに用いる流量調整弁に係る技術分野において周知技術であるとも認められない。
甲第18号証の流量調節弁16は、バイパス流路に相当する通路22及び孔23と、逆止弁21とを有し、第1隙間に相当する隙間18が形成されているが、弁ケースに相当する接手固定ねじ6の先端には第2隙間に相当するものが形成されていない。
甲第23号証の図1及び2に示されるニードル弁81は、バイパス流路及び逆止弁に相当するものが流路形成筒83、保持体84及び弾性ダイヤフラム85であり、これらにより形成されるバイパス流路は筒部材80の先端に形成された隙間とは連通しない。
甲第24号証のニードル弁(絞り弁)14及び23は、そもそもバイパス流路及び逆止弁に相当するものを有していない。
甲第25号証のチェックバルブ4が有する通路7、導通孔9、弁座10、導通孔8、通路6による液体の流通路は、弁体と弁孔との間の隙間に相当するものであって、当該隙間をバイパスするバイパス流路に相当するものではない。
そして、本件訂正発明1は、上記の構造を有することにより、「前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」ことになり、弁ケースまわりの限られた空間を有効に利用して第1油路と第2油路との連通を確保しながら、弁ケースと弁体との摺動面を長くして流量調整の調整代を大きくすることができることは明らかであるから、装置全体を指向方向に小型化(コンパクト化)しつつ、作動油の流量を容易かつ確実に調整できるという、明細書の段落【0009】にも記載された効果を奏するものである。
したがって、甲2発明において、相違点5に係る発明特定事項を備えたものとすることは、当業者であっても容易に想到するものとはいえない。

(エ)請求人の意見について
請求人は、平成28年12月28日付け弁駁書において、「訂正に係る第1隙間及び第2隙間については、関連する記載は本件明細書に一切なく、技術的意義は全く存在しない。よって、当該構成は、当業者が適宜選択可能な設計事項に過ぎず、容易に想到するものである。」旨の主張をしている。(上記第4 1(4)を参照)
しかし、上記「第2 3」の項で述べたように、当業者であれば、図6を見て、第1隙間、第2隙間及び、第1油路から第2隙間、第1隙間、バイパス流路を経て第2油路に至る流路を認識でき、「前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」構成も読み取れるものである。そして、このような構成により、装置全体を指向方向に小型化(コンパクト化)しつつ、作動油の流量を容易かつ確実に調整できるという、明細書の段落【0009】にも記載された効果を奏するという技術的意義も理解できる。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

ウ.本件訂正発明1についてのまとめ
したがって、本件訂正発明1は、甲2発明、甲1事項及び従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件訂正発明2について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1にさらに、「前記クランプ本体は、水平な前記据付け面を外部のベース部材に当接させて固定され、前記第1油路および前記第2油路は前記フランジ部に形成された」という発明特定事項を付加したものである。
そうすると、本件訂正発明1で特定された事項を全て含み、さらなる限定事項を付加したものである本件訂正発明2は、本件訂正発明1と同様に、当業者が甲2発明、甲1事項及び従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件訂正発明3について
ア.対比
本件訂正発明3は、本件訂正発明1が「出力ロッドを退入側に駆動するクランプ用の油圧シリンダ」を備え「シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧によりバイパス流路が開放され」、「シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を閉止」するという発明特定事項を有するのに対して、「出力ロッドを進出側に駆動するアンクランプ用の油圧シリンダ」を備え「シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧によりバイパス流路が開放され」、「シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を閉止」するという発明特定事項を有するものであり、油圧の供給及び排出に伴う逆止弁の開放及び閉止の関係が、本件訂正発明1と逆になった点で、実質的に相違するものである。
そして、甲2発明において、「油圧流体がピストン収納室32の小径部分36へ供給されると前記ピストン20が伸長リリース位置から後退クランプ位置へ移動される構造」は、甲第2号証の摘記事項(カ)を参照すると、「油圧流体がピストン収納室32の大径部分34へ供給されると前記ピストン20が後退クランプ位置から伸長リリース位置へ移動される構造」にもなり、甲2発明が「出力ロッドを進出側に駆動するアンクランプ用の油圧シリンダ」に相当する構造を有していることも、当業者には自明の事項である。

よって、本件訂正発明3と甲2発明とを対比すると、上記(1)ア.の相違点1ないし4で相違し、かつ、以下の相違点5’で相違する。
<相違点5’>
本件訂正発明3の流量調整弁が、
「前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を開放し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を閉止する逆止弁とを有し、
前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、
前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、
前記シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、
前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」構造を有するのに対し、甲2発明の流量制御弁54は上記の構造については不明である点。

イ.判断
(ア)相違点1ないし4について
上記相違点1ないし4については、上記(1)イ.(ア)及び(イ)で説示したとおり、甲2発明、甲1事項及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に想到するものと認められる。

(イ)相違点5’について
相違点5’について検討すると、流体圧駆動ピストンにおいて、流入側流体を制御するメータイン方式及び排出側流体を制御するメータアウト方式のどちらも周知の事項であり、逆止弁の構成において、流入側流体又は排出側流体のどちらによりバイパス回路を開放又は閉止するかは、当業者が必要に応じて適宜選択する設計事項に過ぎない(例えば、甲第11号証の図6及び図7の流路の構造、甲第22号証の絞り弁の構造等を参照)ものと認められる。
しかし、相違点5’に係る発明特定事項のうち、「前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」構造については、請求人が示した証拠には記載されておらず、また、油圧等の流体圧シリンダに用いる流量調整弁に係る技術分野において周知技術であるとも認められない。
そして、本件訂正発明3は、上記の構造を有することにより、「前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」ことになり、弁ケースまわりの限られた空間を有効に利用して第1油路と第2油路との連通を確保しながら、弁ケースと弁体との摺動面を長くして流量調整の調整代を大きくすることができ、ひいては装置全体を指向方向に小型化(コンパクト化)しつつ、作動油の流量を容易かつ確実に調整できるという、明細書の段落【0009】にも記載された効果を奏するものである。
そうすると、甲2発明において、相違点5’に係る発明特定事項を備えたものとすることは、当業者が容易に想到するものとはいえない。

ウ.本件訂正発明3についてのまとめ
したがって、本件訂正発明3は、甲2発明、甲1事項及び従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)無効理由2についてのむすび
よって、本件訂正発明1ないし3については、請求人が主張する無効理由2は成立しない。

3 無効理由1の検討
次に、無効理由1について検討する。
(1)本件訂正発明1について
ア.対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「シリンダ本体」、「ピストンロッド」、「アーム」、「フランジ251」、「ベース板260」、「油圧ポート252,253」、「油路」が、それぞれ本件訂正発明1の「クランプ本体」、「出力ロッド」、「クランプアーム」、「フランジ部」、「ベース」、「油圧ポート」、「油路」に相当する。
また、甲1発明のピストンロッドが「昇降移動可能」であることは、本件訂正発明1の出力ロッドが「進退可能」であることに相当し、甲1発明のクランプ用の油圧シリンダが「ピストンロッドを昇降駆動する」ことは、本件訂正発明1のクランプ用の油圧シリンダが「出力ロッドを退入側に駆動する」ことも含んでいることは、当業者には自明である。
さらに、甲1発明の「ベース板260の取付穴に内嵌させる部分」及び「フランジ部251の下端部」が、本件訂正発明1の「ベースの収容穴に収容される部分」及び「フランジ部の外周面の下面」に相当することも明らかである。
したがって、本件訂正発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、かつ相違する。
<一致点>
「シリンダ穴が形成されたクランプ本体と、
前記シリンダ穴に内嵌され、前記クランプ本体に進退可能に設けられた出力ロッドと、
該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、
前記出力ロッドを退入側に駆動するクランプ用の油圧シリンダとを備え、
前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、
該据付け面には、油圧ポートが設けられ、
前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから油路が設けられる、クランプ装置。」である点。

<相違点1>
クランプ本体の内部に油圧ポートから設けられる油路について、本件訂正発明1では、「前記油圧シリンダを構成する前記シリンダ穴に至る」もので「前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記シリンダ穴に至る第2油路とを有し」ているのに対し、甲1発明では、油圧ポート252,253からどのように油路が延びるか不明である点。

<相違点2>
本件訂正発明1では、
「一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、
前記流量調整弁は、
前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、
前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、
前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、
前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、
前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、
前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、
前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を閉止し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を開放する逆止弁とを有し、
前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、
前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、
前記シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、
前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」のに対し、甲1発明では流量制御弁は設けられていない点。

イ.判断
(ア)相違点1について
油圧を用いたクランプ装置において、油圧ポートから設けられる油路を油圧シリンダのシリンダ穴まで導通させることは、例えば、甲第2号証にも、第1の油圧ポート24から水平方向にに延びてピストン収納室32の小径部分36に連通する流路として示されているように、従来周知の事項に過ぎない。
そして、フランジ251内に油圧ポート252,253から油路が設けられている甲1発明に、上記従来周知の事項を適用して、当該油路を油圧シリンダのシリンダ穴に至るように構成することは、当業者にとって格別困難なことではない。
そうすると、上記相違点1に係る発明特定事項は、甲1発明に従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に想到するものと認められる。

(イ)相違点2について
相違点2に係る発明特定事項には、「前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」構造が含まれている。そして、当該構造は、上記無効理由2の検討における<相違点5>に含まれていたものと同じであるから、請求人が示した証拠には記載されておらず、また、油圧等の流体圧シリンダに用いる流量調整弁に係る技術分野において周知技術であるとも認められない。
そして、本件訂正発明1は、上記の構造を有することにより、「前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」ことになり、弁ケースまわりの限られた空間を有効に利用して第1油路と第2油路との連通を確保しながら、弁ケースと弁体との摺動面を長くして流量調整の調整代を大きくすることができることは明らかであるから、装置全体を指向方向に小型化(コンパクト化)しつつ、作動油の流量を容易かつ確実に調整できるという、明細書の段落【0009】にも記載された効果を奏するものである。
そうすると、甲1発明においても、相違点2に係る発明特定事項を備えたものとすることは、当業者であっても容易に想到するものとはいえない。

ウ.本件訂正発明1についてのまとめ
したがって、本件訂正発明1は、甲1発明及び従来周知の事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件訂正発明2について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1にさらに、「前記クランプ本体は、水平な前記据付け面を外部のベース部材に当接させて固定され、前記第1油路および前記第2油路は前記フランジ部に形成された」という発明特定事項を付加したものである。
そうすると、本件訂正発明1で特定された事項を全て含み、さらなる限定事項を付加したものである本件訂正発明2は、本件訂正発明1と同様に、甲1発明及び従来周知の事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件訂正発明3について
ア.対比
本件訂正発明3は、本件訂正発明1が「出力ロッドを退入側に駆動するクランプ用の油圧シリンダ」を備え「シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧によりバイパス流路が開放され」、「シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を閉止」するという発明特定事項を有するのに対して、「出力ロッドを進出側に駆動するアンクランプ用の油圧シリンダ」を備え「シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧によりバイパス流路が開放され」、「シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を閉止」するという発明特定事項を有するものであり、油圧の供給及び排出に伴う逆止弁の開放及び閉止の関係が、本件訂正発明1と逆になった点で、実質的に相違するものである。

そうすると、本件訂正発明3と甲1発明とを対比すると、上記(1)ア.の相違点1で相違し、かつ、以下の相違点2’で相違する。
<相違点2’>
本件訂正発明3では、
「一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、
前記流量調整弁は、
前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、
前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、
前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、
前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、
前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、
前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、
前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を開放し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を閉止する逆止弁とを有し、
前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、
前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、
前記シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、
前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」のに対し、甲1発明では流量制御弁は設けられていない点。

イ.判断
(ア)相違点1について
上記相違点1については、上記(1)イ.(ア)で説示したとおり、甲1発明に従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に想到するものと認められる。

(イ)相違点2について
流体圧駆動ピストンにおいて、流入側流体を制御するメータイン方式及び排出側流体を制御するメータアウト方式のどちらも周知の事項であり、逆止弁の構成において、流入側流体又は排出側流体のどちらによりバイパス回路を開放又は閉止するかは、当業者が必要に応じて適宜選択する設計事項に過ぎない(例えば、甲第11号証の図6及び図7の流路の構造、甲第22号証の絞り弁の構造等を参照)ものと認められる。
しかし、相違点2’に係る発明特定事項のうち、「前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」構造については、請求人が示した証拠には記載されておらず、また、油圧等の流体圧シリンダに用いる流量調整弁に係る技術分野において周知技術であるとも認められない。
そして、本件訂正発明3は、上記の構造を有することにより、「前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される」ことになり、弁ケースまわりの限られた空間を有効に利用して第1油路と第2油路との連通を確保しながら、弁ケースと弁体との摺動面を長くして流量調整の調整代を大きくすることができることは明らかであるから、装置全体を指向方向に小型化(コンパクト化)しつつ、作動油の流量を容易かつ確実に調整できるという、明細書の段落【0009】にも記載された効果を奏するものである。
そうすると、甲1発明において、相違点2’に係る発明特定事項を備えたものとすることは、当業者であっても容易に想到するものとはいえない。

ウ.本件訂正発明3についてのまとめ
したがって、本件訂正発明3は、甲1発明及び従来周知の事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)無効理由1についてのむすび
よって、本件訂正発明1ないし3については、請求人が主張する無効理由1は成立しない。

第7 むすび
以上のとおり、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件訂正発明1ないし3に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
クランプ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ装置に関し、特に、出力ロッドを進退駆動する油圧シリンダに給排する作動油の流量を調節可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機械加工に供するワーク等のクランプ対象物を固定するクランプ装置としては、種々の型式のものが提案され、あるいは実用化されている。その中でも、クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドを有し、クランプ本体内に配設された油圧シリンダにより出力ロッドを進退駆動することにより、ワーク等のクランプ対象物をクランプし、また、そのクランプ状態を解除するように構成されたものがある。
【0003】
ところで、サイズの大きなワーク等のクランプ対象物を固定する場合には、前述のクランプ装置が複数個同時に使用されて、複数箇所でクランプ対象物を固定するのが一般的である。しかし、このような場合に、例えば、複数のクランプ装置間で油圧シリンダへの作動油の供給速度(供給流量)が異なっていると、夫々のクランプ装置によりクランプ対象物をクランプするタイミングにばらつきが生じ、その間にクランプ対象物が外部からの衝撃等により所定の位置からずれたりして、サイズの大きなクランプ対象物を確実にその所定の位置に固定できなくなる虞がある。
【0004】
そこで、作動油の供給流量あるいは排出流量を調整可能なクランプ装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載のクランプ装置は、出力ロッドを所定角度回転させてこの出力ロッドの先端部に固定されたクランプアームを旋回させてから、クランプアームでクランプ対象物をクランプする、いわゆる、スイング式のクランプ装置であるが、クランプ本体にニードルバルブが上下方向に移動可能に装着されており、このニードルバルブの先端部をクランプ本体内で水平に延びる油路内に突入させることにより、油路を流れる作動油の流量を調整できる。
【0005】
特許文献2に記載のクランプ装置においては、油圧供給用の油路及び油圧排出用の油路に夫々流量調整弁が設けられており、各流量調整弁は、クランプ本体内の油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に水平方向に対向して設けられ弁座と協働して油路を開閉する弁体としての鋼球と、クランプ本体に螺着され鋼球を下方へ押圧可能な調整スロットルとを備えている。前記調整スロットルを操作して鋼球を所定量下方へ押し下げることにより、鋼球と弁座との間の隙間を調整して、油路を流れる作動油の流量を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5695177号公報(第4-5頁、図3)
【特許文献2】特開2000-145724号公報(第5-6頁、図6-7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載のクランプ装置においては、水平に延びる油路に対して垂直方向にニードルバルブを突入させるために、出力ロッドの近傍部にニードルバルブが上方から装着されている関係上、作動油の流量を調整する際にニードルバルブを操作しにくいという欠点がある。
【0008】
一方、特許文献2に記載のクランプ装置においては、弁体としての鋼球を別部材の調整スロットルで下方へ押圧して、鋼球を弁座から水平方向に離隔させて流量を調整するため、必然的に部品数が多くなって作動油の流量調整の為の構成が複雑になるし、このような構成を含むクランプ本体のサイズをコンパクトにすることが困難な場合もある。また、鋼球を、弁座に接近/離隔する方向と交差する方向へ押圧して、鋼球と弁座との間の隙間を調整するように構成されているが、このような構成では、鋼球を弁座側へ直接移動させる場合に比べて作動油の流量の微調整が困難である。さらに、この調整スロットルは出力ロッドの近傍部に上方から装着されるため、特許文献1のクランプ装置と同様に操作性の面で不利な場合がある。
【0009】
本発明の目的は、作動油の流量を容易且つ確実に微調整可能に構成すること、流量調整の為の構成を簡単化してその構成を含むクランプ本体をコンパクトにすること、作動油の流量を調整するために操作される部材の操作性を向上させること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のクランプ装置は、シリンダ穴が形成されたクランプ本体と、前記シリンダ穴に内嵌され、前記クランプ本体に進退可能に設けられた出力ロッドと、該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、前記出力ロッドを退入側に駆動するクランプ用の油圧シリンダとを備え、
前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、該据付け面には、油圧ポートが設けられ、前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダを構成する前記シリンダ穴に至る油路が設けられ、該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向して前記シリンダ穴に至る第2油路とを有し、一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、前記流量調整弁は、前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を閉止し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を開放する逆止弁とを有し、前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置されることを特徴としている。
請求項3のクランプ装置は、クランプ本体と、該クランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、前記出力ロッドを進出側に駆動するアンクランプ用の油圧シリンダとを備え、前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、該据付け面には、油圧ポートが設けられ、前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダに至る油路が設けられ、該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向する第2油路とを有し、一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、前記流量調整弁は、前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を開放し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を閉止する逆止弁とを有し、前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クランプ本体に対して相対移動可能な弁部材を備え、弁体部と弁孔との隙間を調整することで流量を調節することができるため、油圧の流量を容易且つ確実に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るクランプ装置(クランプ解除状態)の縦断面図である。
【図2】クランプ装置(クランプ状態)の縦断面図である。
【図3】図2のIII-III線断面図である。
【図4】出力ロッドの斜視図である。
【図5】図2のV-V線断面図である。
【図6】流量調整弁(全開状態)の断面図である。
【図7】流量調整弁(全閉状態)の断面図である。
【図8】図7のXIII-XIII線断面図である。
【図9】弁部材の正面図である。
【図10】変更形態の図7相当図である。
【図11】別の変更形態の図7相当図である。
【図12】さらに別の変更形態の図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
本実施例は、機械加工に供するワークをクランプする複数のクランプ装置のうちの1つに本発明を適用した一例である。
【0015】
図1、図2に示すように、クランプ装置1は、クランプ本体2と、このクランプ本体2に進退可能に装着された出力ロッド3と、この出力ロッド3の先端部に連結されワークWにクランプ力を出力するクランプアーム4と、出力ロッド3を退入側へ駆動するクランプ用の油圧シリンダ5と、出力ロッド3を進出側へ駆動するクランプ解除用の油圧シリンダ6と、出力ロッド3の進退動作の一部をクランプ本体2に対する回転動作に変換する変換機構7とを備えている。そして、複数のクランプ装置1によりワークWを固定するように構成されている。
【0016】
まず、クランプ本体2について説明する。
クランプ本体2は、その上部に据付け用フランジ部2fを有し、この据付け用フランジ部2fの外周部の下面には水平な据付け面2bが形成されている。クランプ本体2は、据付け用フランジ部2fから下方へ延びる下半部がベース10の収容穴に収容され、据付け面2bをベース10を上面に当接させた状態で、図示しない複数のボルトによりベース10に固定されている。
【0017】
クランプ本体2の内部には、出力ロッド3のロッド部3aが挿通されるロッド挿通孔11と、2つのシリンダ穴12,13とが上から順に直列的に形成されている。ロッド挿通孔11の上端付近部には、切削屑等の異物がクランプ本体2内に侵入するのを防ぐダストシール14が装着されている。クランプ本体2の下端部には、シリンダ穴13を下方から塞ぐキャップ部材15が装着されている。図1?図3に示すように、クランプ本体2の内部には、油圧シリンダ5,6の油室20,22に接続された油路40,41が設けられ、クランプ本体2の後端部には、図示外の油圧供給源から油路40,41に油圧を供給する油圧ポート21,23が設けられている。さらに、クランプ本体2には、これら油路40,41を流れる油圧の流量を夫々調節可能な後述の流量調整弁42,43が左右に並べて設けられている。
【0018】
次に、出力ロッド3について説明する。
図1?図5に示すように、出力ロッド3は、上側2/3部分のロッド部3aと、このロッド部3aの下端に連なりロッド部3aよりもやや大径の筒部3bと、筒部3bの下端に連なる環状のピストン部3cとを一体形成したものである。ロッド部3aはロッド挿通孔11に摺動自在に挿通されており、ロッド部3aとロッド挿通孔11との間にはシール部材16が装着されている。ロッド部3aの上端部にはクランプアーム4が装着されナット17で固定されている。筒部3bは、シリンダ穴12に摺動自在に内嵌され、一方、ピストン部3cは、シリンダ穴13に摺動自在に内嵌されている。
【0019】
クランプアーム4は、出力ロッド3の回転動作に連動して旋回し、出力ロッド3の退入動作の際にワークWに当接してワークWをクランプする。図2に示すように、クランプアーム4の先端部の下面部には、クランプ状態でワークWに当接してワークWにクランプ力を出力する出力部4aが設けられている。
【0020】
次に、油圧シリンダ5,6について説明する。
出力ロッド3を下方へ駆動するクランプ用の油圧シリンダ5は、シリンダ穴12,13と、出力ロッド3のピストン部3cと、ピストン部3cの上側に形成された油室20とを備えている。前記油室20は、クランプ本体2に形成された油路40及び油圧ポート21に接続されており、図示外の油圧供給源から、据付け面2bに形成された油圧ポート21、油路40を介して油室20に油圧が供給されると、油室20に出力ロッド3を下方へ駆動するクランプ力が発生する。
【0021】
一方、出力ロッド3を上方へ駆動するクランプ解除用の油圧シリンダ6は、シリンダ穴13と、出力ロッド3のピストン部3cと、筒部3bの内側及びピストン部3cの下側に形成された油室22とを備えている。油室22は、クランプ本体2に形成された油路41及び据付け面2bに形成された油圧ポート23に接続されており、図示外の油圧供給源から油圧ポート23、油路41を介して油室22に油圧が供給されると、油室22に出力ロッド3を上方へ駆動するクランプ解除力が発生する。
【0022】
ところで、図1?図3に示すように、クランプ本体2内に設けられた油路40,41には、夫々油路40,41を流れる油圧の流量を調整可能な流量調整弁42,43が設けられている。複数のクランプ装置1でワークWを固定する場合に、複数のクランプ装置1の出力ロッド3の退入速度をほぼ等しくして、複数のクランプ装置1によりほぼ同時にワークWをクランプすることができるように、流量調整弁42,43により油圧シリンダ5,6に供給される作動油の流量を調整するようになっている。
【0023】
2つの流量調整弁42,43は夫々同じ構成を有するため、クランプ用の油圧シリンダ5の油圧系に設けられた流量調整弁42について以下説明する。
【0024】
図6?図9に示すように、流量調整弁42は、クランプ本体2の据付け用フランジ部2fの側壁部に横向き水平に形成された装着穴48(ネジ孔に相当する)に螺着された筒状の弁ケース45と、油路40の途中部に形成され装着穴48の前端に連なる弁孔46と、弁ケース45に前後方向(出力ロッド3の長手方向と交差する方向)に移動可能に螺着された弁部材47とを備えている。
【0025】
弁ケース45は、前側の小径部45aと後側の断面六角形状の基部45bとを有し、小径部45aが装着穴48に内嵌状に螺合されるとともに、小径部45aと基部45bとの間の段部がクランプ本体2の後面部に当接している。装着穴48は油圧ポート21と第1油路40aにより接続され、一方、弁孔46は、その穴径が装着穴48よりも小さく形成され、この弁孔46に油圧シリンダ5の油室20に連なる第2油路40bが接続されている。
【0026】
弁部材47は、先端部に形成された筒状の弁体部47aと、この弁体部47aの基端に連なり弁体部47aよりもやや大径の軸部47bとを有する。軸部47bの基端側部分の外周部にはネジ部が形成されており、軸部47bが弁ケース45に内嵌状に螺合されて、弁部材47は、クランプ本体2に固定された弁ケース45に対して前後に相対移動可能に装着されている。図6?図8に示すように、軸部47bの基端側部分には、前方へ延びる六角穴47c(操作部に相当する)が形成されており、この六角穴47cに六角レンチ等の工具を係合させて軸部47bを回転させて、弁部材47を前後に移動させることができる。尚、基部45bの基端には抜け止め用のロックナット49も装着されている。
【0027】
弁体部47aは、弁孔46に前後摺動自在に挿入可能であり、弁体部47aには、装着穴48と弁孔46との間の段部に係合してそれ以上の弁体部47aの前方への移動を係止する係止部50が形成されている。
【0028】
図6、図7、図9に示すように、弁体部47aの外周部の上端部には、先端側ほど溝の深さが深い切欠状(正面視V字状)の溝部47dが形成されている。弁体部47aが最も後側の位置にある全開状態(図6参照)と、弁体部47aが最も前側の位置にある全閉状態(図7参照)の間で、弁体部47aを前後に移動させると、弁体部47aと弁孔46との間の隙間が変化してその間を流れる作動油の流量が調整される。さらに、弁体部47aの溝部47dにより、弁体部47aと弁孔46との間の隙間、つまり、油圧の流路面積を細かく調節することができるため、その隙間を流れる作動油の流量の微調整を容易に行うことができる。
【0029】
さらに、弁部材47には、前記の弁体部47aと弁孔46との隙間をバイパスするバイパス流路51,52と、バイパス流路51を油室20に油圧を供給する方向にのみ閉止する逆止弁53が設けられている。バイパス流路51は、弁体部47aの内側に前後に延びるように形成され、バイパス通路52は、バイパス通路51の基端から放射状に径方向外側へ延びるように形成されている。
【0030】
逆止弁53は、バイパス流路51の基端部に形成された弁座55と、この弁座55と協働してバイパス流路51を閉止する鋼球56と、この鋼球56を前方へ付勢するコイルバネ57とを有する。軸部47bには、バイパス流路51,52に連通して後方へ延びる鋼球収容孔58が形成されており、鋼球56は鋼球収容孔58と弁座55とに亙って前後方向へ移動可能に構成されている。鋼球収容孔58にはコイルバネ57も配設されており、鋼球56はコイルバネ57により弁座55側へ付勢されている。
【0031】
従って、油圧ポート21から油室20に油圧を供給する場合には、鋼球56が弁座55に密着してバイパス流路51が閉止されているため、油圧は弁体部47aと弁孔46との隙間のみを流れることになる。一方、油室20から油圧を排出する場合には、図7の鎖線
で示すように、油圧により鋼球56が後方へ押圧されてバイパス流路51が開放されるため、前記隙間に加えてバイパス流路51,52からも油圧が油圧ポート21へ流れることになる。
【0032】
尚、弁ケース45及び弁部材47の基端側部分はクランプ本体2から外側へ露出しているが、外部から切削切粉等の異物が流量調整弁42の内部に侵入するのを防止するために、クランプ装置1には、これらの露出した部分を覆う半球状の防塵カバー60が着脱可能に設けられている。
【0033】
次に、変換機構7について説明する。
変換機構7は、クランプアーム4を水平面内で旋回させるために、出力ロッド3の進退動作の一部をクランプ本体2に対する回転動作に変換するものであり、この変換機構7は、クランプ本体2の保持溝2aに保持された3つのボール30と、出力ロッド3の外周部に形成され前記3つのボール30が夫々部分的に係合する3本のカム溝31とを有する。
【0034】
図1、図2に示すように、3つのボール30は、シリンダ穴12の、シリンダ穴13との境界の段部よりもやや上の位置に形成された保持溝2aにおいて、その位置が変わらないように保持されている。さらに、図5に示すように、3つのボール30は、シリンダ穴12の周方向3等分位置に夫々配設されている。
【0035】
図1、図2、図4、図5に示すように、3本のカム溝31は、出力ロッド3の筒部3bの外周部において、周方向3等分位置に夫々形成されている。図4に示すように、各カム溝31は、筒部3bの上端の外周部から上下に延びる縦溝31aと、この縦溝31aの下端から図4における右下の方向へ90度の螺旋状に筒部3bの下端まで延びる螺旋溝31bとを有する。
【0036】
図1のクランプ解除状態においては、クランプ本体2側に保持された3つのボール30が、夫々対応する3本のカム溝31の螺旋溝31bの下端部に部分的に係合した状態である。この状態から、油圧シリンダ5により出力ロッド3が下方へ駆動されると、ボール30が出力ロッド3に対してその周りを螺旋溝31bに沿って転動することになる。その際、ボール30はクランプ本体2の保持溝2aに保持されていることから、出力ロッド3の退入動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換されて、出力ロッド3がクランプ本体2に対して平面視で時計回りの方向に回転しつつ退入する。
【0037】
出力ロッド3が90度回転してボール30が螺旋溝31bの上端の位置に到達すると、出力ロッド3の回転動作が完了してボール30は縦溝31aに続いて係合し、出力ロッド3は、縦溝31aに係合したボール30により上下方向にガイドされて、図2に示すように、クランプアーム4の出力部4aがワークWに当接するまで直線的に下方へ退入する。
【0038】
一方、図2のクランプ状態から、逆に油圧シリンダ6により出力ロッド3が上方へ駆動されると、まず、出力ロッド3が、縦溝31aに係合したボール30により上下方向にガイドされて直線的に進出する。そして、ボール30が縦溝31aの下端の位置に到達すると、ボール30が続いて螺旋溝31bに係合して螺旋溝31bに沿って転動するため、出力ロッド3の進出動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換されて、図1に示すように、出力ロッド3がクランプ本体2に対して平面視で反時計回りの方向に90度回転しつつ上方へ進出する。
【0039】
次に、クランプ装置1の作用について説明する。
ワークWをクランプする場合には、図1のクランプ解除状態から、図示外の油圧供給源
から油圧ポート21を介して油圧を供給する。その際、油圧は流量調整弁42を通って油路40を流れ油室20へ供給されることになる。このとき、流量調整弁42において、バイパス流路51は逆止弁53により閉止されるため、油圧は弁体部47aと弁孔46の間の隙間を流れることになる。ここで、弁部材47を前後方向に移動させて前記隙間を適切に調整しておくことで、油路40を流れる油圧が所定の流量に調整される。
【0040】
油路40を介してクランプ用の油圧シリンダ5の油室20に油圧が供給されると、油室20に発生したクランプ力により出力ロッド3のピストン部3cが下方へ駆動される。このとき、変換機構7により出力ロッド3の進退動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換され、出力ロッド3がクランプ本体2に対して回転しつつ下方へ退入する。この出力ロッド3の回転動作に連動して、クランプアーム4も平面視で時計回りの方向に90度旋回して、クランプアーム4の出力部4aがワークWの上側に位置する。
【0041】
クランプアーム4が所定位置まで旋回した後は、出力ロッド3が直線的に退入し、図2に示すように、クランプアーム4の出力部4aがワークWに当接して、出力部4aからクランプ力がワークWに出力されてワークWがクランプされる。
【0042】
ここで、複数のクランプ装置1によりワークWが固定されるが、各々の油圧シリンダ5の油室20に供給される油圧を流量調整弁42により適切な流量に調整することができるため、ワークWをクランプする際に、複数のクランプ装置1において、ほぼ同時にクランプアーム4を旋回させ、続けて、同時に出力部4aをワークWに当接させることができ、ワークWを所定の位置に確実にクランプできるようになる。
【0043】
一方、図2のクランプ状態を解除する場合には、クランプ用の油圧シリンダ5の油室20から油圧を排出するとともに、クランプ解除用の油圧シリンダ6の油室22に油圧を供給する。まず、クランプ用の油室20から排出される油圧は、油路40及び流量調整弁42を介して油圧ポート21へ流れるが、流量調整弁42において、第1油路40aの油圧により鋼球56が後方へ移動して逆止弁53がバイパス流路51を開放するため、油圧がバイパス流路51,52を通って迅速に油圧ポート21へ排出される。
【0044】
一方、クランプ解除用の油圧ポート23からは、油路41及び流量調整弁43を介してクランプ解除用の油室22へ油圧が供給される。この場合は、前述のクランプ時と同様に、流量調整弁43において、バイパス流路51は逆止弁53により閉止されるため、油圧は弁体部47aと弁孔46の間の隙間を流れることになり、油路41を流れる油圧が所定の流量に調整される。
【0045】
そして、油室22に発生したクランプ解除力によりピストン部3cが上方へ駆動される。このとき、出力ロッド3が直線的に所定量進出した後、変換機構7により出力ロッド3の進出動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換され、出力ロッド3がクランプ本体2に対して回転しつつ上方へ進出する。この出力ロッド3の回転動作に連動して、クランプアーム4も平面視で反時計回りの方向に90度旋回して、図1に示すクランプ解除状態となる。
【0046】
以上説明したクランプ装置1によれば、次のような効果が得られる。
1)流量調整弁42,43において、弁部材47を弁孔46に対して接近/離隔する方向に移動させて、弁体部47aを弁孔46内に突入させることにより、弁体部47aと弁孔46との間の隙間を調節して、油路40を流れる作動油の流量を調整することができる。つまり、弁体部47aを有する弁部材47を直接弁孔46に接近/離隔する方向に移動させることができ、作動油の流量を容易に且つ確実に調整できるし、流量調整弁42,43の部品数を少なくしてその構成を簡単化することも可能である。
【0047】
2)弁体部47aには、油圧を微調整するための切欠状の溝部47dが設けられ、この溝部47dは先端側ほど溝の深さが深く形成されているため、弁体部47aを弁孔46に挿入したときの弁体部47aの突入量を調整することで、油路40を流れる作動油の流量を微調整することができる。
【0048】
3)弁部材47の内部に、隙間をバイパスするバイパス流路51を一方向にのみ閉止する逆止弁53が設けられているため、油圧シリンダ5,6に油圧を供給する場合にはその流量を調整し、逆に油圧を排出する場合には、流量を調整することなく迅速に油室20,22から排出するように構成できる。さらに、逆止弁53を流量調整弁42,43とは別に設ける場合に比べてクランプ装置1をコンパクトにすることができる。
【0049】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0050】
1]弁孔46の形状としては、前記実施形態のような、穴径の変化しない弁孔46の他、例えば、前端側ほど穴径が小さいテーパー穴形状などの、種々の形状を採用できる。
【0051】
2]図10に示すように、油路40の途中部に形成された弁座70に対して、弁部材71を接近/離隔する方向に移動させて、弁体部71aと弁座70との間の隙間を調節することにより、作動油の流量を調整するように構成された流量調整弁42Aに本発明を適用することもできる。
【0052】
3]図11に示すように、油圧を排出する場合の流量のみを調整する流量調整弁42Bに本発明を適用することもできる。この流量調整弁42Bにおいては、弁部材81の内部に、油室20から油圧ポート21へ油圧を排出する方向にのみバイパス流路51を閉止する逆止弁82が設けられている。
【0053】
逆止弁82は、バイパス流路83のうちの放射状に延びるバイパス流路84との接続部よりもやや前側の部分に形成された弁座85と、この弁座85と協働してバイパス流路83を閉止する鋼球86と、この鋼球86を後方へ付勢するコイルバネ87とを有する。
【0054】
従って、油圧ポート21から油室20に油圧を供給する場合には、油圧により鋼球86が後方へ押圧されてバイパス流路83が開放されるため、油圧は、弁体部81aと弁孔46との隙間に加えてバイパス流路83,84からも油室20へ流れ、流量が調整されることなく迅速に油室20に流れ込む。一方、油室20から油圧を排出する場合には、鋼球86が弁座85に密着してバイパス流路83が閉止されているため、油圧は弁体部81aと弁孔46との隙間のみを流れることになり、油圧が所定の流量に調整される。
【0055】
4]図12に示すように、流量調整弁42Cに、油圧を油室20や油路40に充填した後に、油圧中に混入したエアを排出するためのエア抜き弁90を設けてもよい。エア抜き弁90は、弁部材91の軸部91b内に形成され油路40に連通するエア抜き孔92を閉止可能な鋼球93(エア抜き用弁体)と、弁部材91の基端側部分に螺着され鋼球93を前方(エア抜き孔92を閉止する方向)に押圧可能なネジ部材94とを備えている。
【0056】
弁部材91の後半部は、弁ケース45から後方へ突出しており、後端部には断面六角形の操作部91cが形成され、この操作部91cをボックスレンチ等の工具により操作して弁部材91を弁ケース45に対して前後に移動させることができるように構成されている。弁部材91の後半部の内部には、エア抜き孔92に連通する鋼球収容孔95が形成されており、鋼球収容孔95には、鋼球93がコイルバネ96により後方に付勢された状態で前後に移動可能に収容されている。また、エア抜き孔92と鋼球収容孔95との間には弁座97が形成され、鋼球93がこの弁座97に当接することで、エア抜き孔92が閉止される。
【0057】
鋼球収容孔95には、左方からネジ部材94が螺着されており、ネジ部材94の先端は鋼球93に当接している。そして、ネジ部材94の内部には、エア抜き孔92から排出されたエアを外部へ放出する為のエア通路94aが形成されている。また、このネジ部材94の抜け止め用のロックナット98も装着されている。
【0058】
この流量調整弁42Cにおいて、弁体部91aと弁孔46の間における作動油の流量調整に関しては、前記実施形態と同様の作用を奏するためその説明は省略し、以下、エア抜き弁90の作用について説明する。
【0059】
油圧を油室20や油路40内に充填した後、まず、鋼球93を前方へ押圧しているネジ部材94を緩めて少し後方へ移動させると、コイルバネ96の付勢力により鋼球93が弁座97から離間する。そして、油路40からエア抜き孔92、鋼球収容孔95及びネジ部材94内のエア通路94aを通って、油圧中に混入したエアが外部へ排出されることになる。エアを排出した後には、再びネジ部材94を締めて前方へ移動させ、鋼球93を弁座97に押し付けてエア抜き孔92を閉止する。
【0060】
5]出力ロッド3の進出駆動と退入駆動の何れか一方を、コイルバネや皿バネ等、油圧シリンダ以外の駆動手段で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
W ワーク
1 クランプ装置
2 クランプ本体
2b 据付け面
2f 据付け用フランジ部
3 出力ロッド
5,6 油圧シリンダ
40,41 油路
42,43 流量調整弁
42A,42B,42C 流量調整弁
45 弁ケース
46 弁孔
47 弁部材
47a 弁体部
47c 六角穴
47d 溝部
51,52 バイパス流路
53,82 逆止弁
83,84 バイパス流路
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ穴が形成されたクランプ本体と、
前記シリンダ穴に内嵌され、前記クランプ本体に進退可能に設けられた出力ロッドと、
該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、
前記出力ロッドを退入側に駆動するクランプ用の油圧シリンダとを備え、
前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、
該据付け面には、油圧ポートが設けられ、
前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダを構成する前記シリンダ穴に至る油路が設けられ、
該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向して前記シリンダ穴に至る第2油路とを有し、
一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、
前記流量調整弁は、
前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、
前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、
前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、
前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、
前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、
前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、
前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を閉止し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を開放する逆止弁とを有し、
前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、
前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、
前記シリンダ穴から油圧を排出するときには、排出される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、
前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される、クランプ装置。
【請求項2】
前記クランプ本体は、水平な前記据付け面を外部のベース部材に当接させて固定され、
前記第1油路および前記第2油路は前記フランジ部に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
クランプ本体と、
該クランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、
該出力ロッドの先端部に連結されワークにクランプ力を出力するクランプアームと、
前記出力ロッドを進出側に駆動するアンクランプ用の油圧シリンダとを備え、
前記クランプ本体は、その上部にフランジ部と、前記フランジ部から下方へ延びベースの収容穴に収容される部分とを有し、該フランジ部の外周部の下面には前記ベースの上面に当接する据付け面が形成され、
該据付け面には、油圧ポートが設けられ、
前記クランプ本体の内部には、前記油圧ポートから前記油圧シリンダに至る油路が設けられ、
該油路は、前記油圧ポートに接続された第1油路と、該第1油路に接続されて前記出力ロッドの移動方向に直交する方向を指向する第2油路とを有し、
一端が前記フランジ部の外周面から突出し、他端が前記第1油路と第2油路との接続部に至る流量調整弁が、前記一端から前記他端に向かう方向が前記第2油路の前記指向方向と同じ向きになるように設けられ、
前記流量調整弁は、
前記第1油路と前記第2油路との接続部に形成された弁孔と、
前記クランプ本体に対して前記第2油路の前記指向方向に相対移動可能な弁体部および前記弁体部の基端に連なる前記弁体部よりも大径の軸部を有し、前記弁体部が前記弁孔に挿入された全閉状態から前記弁体部が前記弁孔から離間した全開状態に至るまで前記弁体部を移動させて前記弁体部と前記弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と、
前記油圧シリンダの油室側の小径部と、前記フランジ部の側面側の基部とを有し、前記小径部が前記フランジ部に形成された装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと、
前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールする第1シール部材と、
前記弁ケースと前記装着穴との間をシールする第2シール部材とを備え、
前記弁ケースの前記基部に、前記弁部材の前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に内嵌状に螺合され、
前記基部および前記軸部は前記フランジ部の側面から外側に露出し、前記基部の基端にロックナットが装着され、
前記弁部材における前記軸部の基端側部分に、前記弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部に相当し、工具を係合させて前記軸部を回転させることが可能な穴が形成され、
前記弁体部の外周部には、先端側ほど深さが深い、前記弁体部の軸方向に延びる溝部が形成され、
前記弁部材は、前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と、前記シリンダ穴に油圧を供給するときには前記バイパス流路を開放し、前記シリンダ穴から油圧を排出するときには前記バイパス流路を閉止する逆止弁とを有し、
前記バイパス流路は、前記弁体部の内部に前記流量調整弁の前記一端から前記他端に向かう方向に延びる第1流路と、前記第1流路から外周側に延びる第2流路とを含み、
前記逆止弁は、前記第1流路上に形成された弁座と、前記第1流路内に移動可能に設けられた鋼球と、前記鋼球を前記弁座側に付勢する部材とを含み、
前記シリンダ穴に油圧を供給するときには、供給される前記油圧により前記鋼球が前記弁座と反対側に押圧されて前記バイパス流路が開放され、
前記第1シール部材に対して前記油圧シリンダの油室側において前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間に第1隙間が形成され、前記弁ケースの前記油圧シリンダの油室側の先端と前記装着穴の内周面との間に第2隙間が形成され、前記第1油路、前記第2油路、および前記バイパス流路は前記第1隙間および前記第2隙間に連通し、前記第1油路は前記油圧ポートから前記装着穴に向かうにつれて前記油室側に近づく斜め方向に延在するとともに前記第2隙間に面するように前記装着穴の内周面に開口し、前記バイパス流路の前記第1流路と前記第1隙間と前記第2隙間とが前記指向方向に直交する同一面内に位置できるように配置される、クランプ装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-02-13 
結審通知日 2017-02-15 
審決日 2017-02-28 
出願番号 特願2011-222200(P2011-222200)
審決分類 P 1 113・ 121- YAA (B23Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 忠博  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 栗田 雅弘
渡邊 真
登録日 2015-02-27 
登録番号 特許第5700677号(P5700677)
発明の名称 クランプ装置  
代理人 井上 裕史  
代理人 冨田 信雄  
代理人 深見 久郎  
代理人 佐合 俊彦  
代理人 高橋 智洋  
代理人 深見 久郎  
代理人 佐々木 眞人  
代理人 高橋 智洋  
代理人 佐々木 眞人  
代理人 村林 隆一  

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