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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61L
管理番号 1341053
異議申立番号 異議2017-700786  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-08-14 
確定日 2018-04-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6080937号発明「流体殺菌装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6080937号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?12〕について訂正することを認める。 特許第6080937号の請求項1?12に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6080937号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?12に係る特許についての出願は、平成27年12月8日の出願であって、平成29年1月27日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成29年8月14日に特許異議申立人小園祐子(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年10月25日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年12月18日に意見書及び訂正請求書の提出がされ、その訂正の請求に対して特許異議申立人から平成30年2月9日に意見書(以下、「特許異議申立人意見書」という。)が提出され、平成30年2月26日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、平成30年3月23日に意見書の提出及び訂正請求書に対する手続補正がされたものである。

第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の内容
平成30年3月23日付けで手続補正された訂正請求書による訂正の内容は、以下のとおりである。なお、訂正事項2、5、7及び10は、補正により削除された。また、下線部が訂正箇所である。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の
「前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通することを特徴とする流体殺菌装置。」を
「前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、前記隙間の通水断面積は、前記整流室および前記処理流路の通水断面積よりも狭いことを特徴とする流体殺菌装置。」に訂正する。

(2)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8の
「前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成されることを特徴とする請求項7に記載の流体殺菌装置。」を、
「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成されることを特徴とする流体殺菌装置。」に訂正する。

(3)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9の
「前記流路管は、前記第1端部から径方向内側に突出する突出部を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。」を、
「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、前記流路管は、前記第1端部から径方向内側に突出する突出部を有することを特徴とする流体殺菌装置。」に訂正する。

(4)訂正事項6
明細書の段落【0006】を
「【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の流体殺菌装置は、第1端部と第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、第1端部の近傍に設けられ、処理流路に向けて第1端部から軸方向に紫外光を照射する光源と、第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備える。整流室は、処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、第1端部と、第1端部と軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して処理流路と連通する。隙間の通水断面積は、整流室および処理流路の通水断面積よりも狭い。」に訂正する。

(5)訂正事項8
明細書の段落【0014】を
「【0014】
本発明のある態様の流体殺菌装置は、第1端部と第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、第1端部の近傍に設けられ、処理流路に向けて第1端部から軸方向に紫外光を照射する光源と、第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備える。整流室は、処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、第1端部と、第1端部と軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して処理流路と連通する。流路管は、光源からの紫外光を反射する材料で構成され、筐体は、流路管よりも紫外光の反射率が低い材料で構成される。」に訂正する。

(6)訂正事項9
明細書の段落【0015】を
「【0015】
本発明のある態様の流体殺菌装置は、第1端部と第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、第1端部の近傍に設けられ、処理流路に向けて第1端部から軸方向に紫外光を照射する光源と、第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備える。整流室は、処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、第1端部と、第1端部と軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して処理流路と連通する。流路管は、第1端部から径方向内側に突出する突出部を有する。」に訂正する。

2 訂正要件の判断

(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「隙間」について、その通水断面積が、整流室および処理流路の通水断面積よりも狭いことに限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の発明の詳細な説明には、「第1隙間15は、例えば、処理流路12や第1整流室13の通水断面積よりも狭くなるように形成される。」(段落【0031】)と記載されているから、訂正事項1は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正事項1は、「隙間」の通水断面積を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項8の記載が請求項1から6のいずれか一項の記載を引用する請求項7を引用するものであったものを、請求項1を引用する請求項7を引用するものについて、その引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
そして、訂正事項3は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項9の記載が請求項1から8のいずれか一項の記載を引用するものであったものを、請求項1を引用するものについて、その引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
そして、訂正事項4は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項6、8及び9について
訂正事項6、8及び9は、訂正事項1、3及び4に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合させるための訂正であるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項6、8及び9は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)一群の請求項について
訂正前の請求項2?12が、訂正前の請求項1を引用するものであるから、訂正事項1、3及び4の特許請求の範囲の訂正は、一群の請求項1?12について請求されたものである。また、訂正事項6、8及び9の明細書の訂正は、この一群の請求項の全てについて請求されたものである。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書き第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項?第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?12〕について訂正を認める。

第3 特許異議申立について

1 本件発明

本件訂正請求により訂正された請求項1?12に係る発明(以下、「本件発明1?12」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認める。

【請求項1】
第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、
前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、
前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、
前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、前記隙間の通水断面積は、前記整流室および前記処理流路の通水断面積よりも狭いことを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項2】
前記対向部材の少なくとも一部は、前記光源からの紫外光を透過させる材料で構成され、
前記光源は、前記筐体と前記対向部材とにより区画される光源室内に設けられることを特徴とする請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項3】
前記対向部材は、前記隙間の前記軸方向の寸法が前記第1端部の全周にわたって一定となるように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の流体殺菌装置。
【請求項4】
前記流通口に接続される接続管をさらに備え、
前記接続管は、前記隙間から前記流通口に向かう方向と交差する方向に延びることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項5】
前記流通口は、前記隙間から前記軸方向にずれた位置に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項6】
前記整流室は、前記流路管の外側において前記第1端部から前記第2端部に向けて軸方向に延在する区間を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項7】
前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項8】
第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、
前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、
前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、
前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、
前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、
前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成されることを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項9】
第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、
前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、
前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、
前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、
前記流路管は、前記第1端部から径方向内側に突出する突出部を有することを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項10】
前記光源は、紫外光を発する少なくとも一つの発光素子を有し、前記軸方向と直交する前記処理流路の断面において中央付近の紫外光強度がその周囲の紫外光強度よりも高い強度分布となるように紫外光を照射することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項11】
前記光源は、前記光源から出力される指向角半値幅の範囲内の紫外光の全てが前記流路管の内部に入射されるように配置されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項12】
前記処理流路を流れる流体を整流するための整流板をさらに備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。

2 取消理由及び特許異議申立理由の概要

(1)訂正前の請求項1?3、5?7、10?12に係る特許に対して、平成29年10月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
ア 請求項1、3、5?7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、請求項1、3、5?7に係る特許は、取り消されるべきものである。
イ 請求項1?3、5?7、10?12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第5号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、請求項1?3、5?7、10?12に係る特許は、取り消されるべきものである。

(甲号証一覧)
甲第1号証:特表2005-506180号公報
甲第2号証:国際公開第2015/069680号
甲第3号証:特開2014-76422号公報
甲第4号証:実願平2-98489号(実開平4-55353号)のマイクロフィルム
甲第5号証:東京農工大学2013年1月10日[記者発表]における記者会見配布資料(「世界トップレベルの高性能深紫外線発光ダイオード(LED)の作製に成功」と題する書面、1?21頁)

なお、平成30年2月26日付けの取消理由(決定の予告)で通知した取消理由は、平成30年3月23日付けで手続補正する前の訂正の請求により、請求項1の記載を引用しないものとなった請求項11及びこれを引用する請求項12に係る発明に対して、その進歩性を否定する取消理由である。しかしながら、同手続補正によって、請求項11の記載を請求項1の記載を引用しないものとする訂正事項5が削除されたため、この取消理由は解消している。

(2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の要旨は次のとおりである。
ア 請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、並びに、甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、請求項4に係る特許は、取り消されるべきものである。
イ 訂正前の請求項8及び9は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第3号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、請求項8及び9に係る特許は、取り消されるべきものである。

3 甲号証について

(1)甲第1号証の記載事項(なお、下線は当審が付した。以下、同様である。)
ア 「【請求項1】
紫外放射線(UV)を使用して水を滅菌するシステムにおいて、
(a)第一の屈折率を有する滅菌すべき流体(5)を運ぶ流体入口管(10)であって、第二の屈折率を有する材料で製造され、且つ、入口端部(11)と、該入口端部とは反対側の末端に位置する出口端部(12)と、前記流体と接触する内面(13)と、外面(14)と、を有する前記流体入口管(10)と、
(b)前記流体入口管の前記外面の周りに配置された光学クラッド管(20)であって、前記流体入口管と該光クラッド管との間に第三の屈折率を有する同心状空隙(15)を画成する前記光クラッド管(20)と、
(c)前記流体入口管及び前記光クラッド管の周りの流体封じ込め容器(30)であって、前記流体入口管の一部分が該流体封じ込め容器から延びており、前記同心状空隙が前記流体封じ込め容器から液圧に関して隔離されるようになされている前記流体封じ込め容器(30)と、
(d)前記流体封じ込め容器に配置され且つ該流体封じ込め容器の一部分を形成する紫外線入口開口(35)と、
(e)前記紫外線入口開口を通り且つ所定の範囲の入射角度にて前記流体入口管の前記内面に衝突する紫外放射線を提供する高強度紫外線灯(40)とを備え、
(j)前記所定の範囲の入射角度が、前記第一、第二及び第三の屈折率に従って制限され、前記流体入口管が光パイプとして機能し、前記紫外放射線の実質的に全てが全内反射をしながら前記流体入口管内を通って伝播するようになされており、
(f)前記流体封じ込め容器から延びる流体出口管(50)をさらに備える、紫外放射線(UV)を使用して水を滅菌するシステム。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の紫外線水滅菌システムは、水を紫外放射線に露呈させ、放射線が水を透過し、反射面を打撃し、次に、反射した後、水を通って進むようにする。反射面は、かなり多量の放射線を吸収する。かかるシステムの効率を改良することが永年の課題であった。」
ウ 「【0008】
次に、図2を参照すると、流体封じ込め容器30は、紫外線鏡31のような形態とされた内面を有している。例えば、流体封じ込め容器は、アルミニウムにて製造し、また、内面は、磨いたアルミニウム面とすることができる。水のような、滅菌すべき流体5は、入口端部11から流体入口管10に入る。流体入口管10は、例えば、紫外線等級の溶融石英で製造することができる。
【0009】
流体5は、流体入口管10を通って高強度紫外線灯40に向けて流れ且つ、出口端12にて流体入口管10から出る。次に、流体5の流れは、流体封じ込め容器30の下端の一部分を形成する紫外線(UV)窓の下面36を打撃する。次に、流体5の流れは、流体封じ込め容器30の上端内に配置された流体出口管50に方向変更される。
【0010】
流体5は、流体封じ込め容器30内に封じ込まれている。流体封じ込め容器30は、紫外線鏡31を画成する反射性内面を有するアルミニウム外殻内に封じ込まれた、紫外線等級の溶融石英にて製造することのできる内管33を有しており、外殻と内管33との間に空隙32がある。次に、外管30の端部は、紫外線窓下面36及び紫外線窓上面37にて閉じられる。
【0011】
紫外線(UV)水滅菌装置の好ましい方位は垂直であり、このため、流体5の流れはプラグ流に近似したものとなり、流体出口管50の位置は、最高点付近にあり、望ましくない気泡を迅速に且つ効率的に除去することを許容する。流体5内に存在する気泡は、紫外放射線の散乱箇所となり、これによりシステムの効率を劣化させる可能性がある。これらの紫外散乱箇所の結果、紫外放射線は、最適な角度でない角度にて導かれ、これにより、流体封じ込め管の内面、すなわち、アルミニウム管で出来ているとき、約86%の反射率である紫外線鏡31から反射される。これらの紫外散乱箇所がないならば、全ての反射は光パイプの全内反射(TIR)作用のため、ほぼ損失無しであるから、紫外放射線は、大部分、流体5内で放散される。」
エ 「FIG.2


FIG.2から、高強度紫外線灯(40)が、流体入口管(10)の出口端部(12)の近傍にあること、流体入口管(10)の出口端部(12)と紫外線(UV)窓の下面(36)との間に、出口端部(12)から出た流体(5)を流体出口管(50)に流す「隙間」があり、当該「隙間」を介して、流体入口管(10)と流体封じ込め容器(30)が連通していること、及び、流体出口管(50)が「隙間」から流体出口管(50)に向かう方向に対して平行に延びていることを視認できる。

(2)甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、上記(1)アによれば、入口端部(11)と、該入口端部とは反対側の末端に位置する出口端部(12)とを有する前記流体入口管(10)と、前記流体入口管の周りの流体封じ込め容器(30)と、所定の範囲の入射角度にて前記流体入口管(10)の内面に衝突する紫外放射線を提供する高強度紫外線灯(40)と、前記流体封じ込め容器(30)から延びる流体出口管(50)を備える、紫外放射線(UV)を使用して水を滅菌するシステムが記載されているといえる。
また、甲第1号証には、上記(1)ウによれば、流体入口管(10)は、紫外線等級の溶融石英から構成され、流体封じ込め容器(30)は、紫外線鏡を画成する反射性内面を有するアルミニウム外殻内に封じ込まれた、紫外線等級の溶融石英の内管から構成されていることが記載されているといえる。
さらに、甲第1号証には、上記(1)ウの段落【0009】の記載、及び、上記(1)エの視認される事項によれば、高強度紫外線灯(40)は、流体入口管(10)の出口端部(12)の近傍にあること、流体入口管(10)の出口端部(12)と流体封じ込め容器(30)の一部分を形成する紫外線(UV)窓の下面(36)の間の隙間を介して、流体入口管(10)と流体封じ込め容器(30)が連通していること、及び、流体出口管(50)が隙間から流体出口管(50)に向かう方向に対して平行に延びていることが記載されているといえる。
これら記載を整理すると、甲第1号証には、
「入口端部(11)と、該入口端部とは反対側の末端に位置する出口端部(12)とを有する流体入口管(10)と、
前記流体入口管(10)の出口端部(12)の近傍に設けられ、前記流体入口管(10)の内面に衝突する紫外放射線を提供する高強度紫外線灯(40)と、
前記流体入口管(10)の周りに設けられた流体封じ込め容器(30)と、を備え、
前記流体封じ込め容器(30)は、流体出口管(50)を備え、前記流体入口管(10)の前記出口端部(12)と前記流体封じ込め容器(30)の一部分を形成する紫外線(UV)窓の下面(36)の間の隙間を介して、前記流体入口管(10)と前記流体封じ込め容器(30)が連通しており、
前記流体出口管(50)は、前記隙間から前記流体出口管(50)に向かう方向に対して平行に延びており、
前記流体入口管(10)は、紫外線等級の溶融石英から構成され、前記流体封じ込め容器(30)は、紫外線鏡を画成する反射性内面を有するアルミニウム外殻内に封じ込まれた、紫外線等級の溶融石英の内管から構成されている、紫外放射線(UV)を使用して水を滅菌するシステム。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

(3)甲第3号証の記載事項
ア 「【0027】
<実施例1>
[殺菌装置の概略構成]
図2及び3を参照して、本実施例に係る殺菌装置について説明する。図2は、本実施例に係る殺菌装置の模式的断面図である。図3は、図2中のAA断面図である。
【0028】
本実施例に係る殺菌装置100は、ハウジング110と光源ユニット120とを備えている。ハウジング110は、殺菌対象となる流体(ここでは、水)が流れる円筒状流路111、入口側流路112、及び出口側流路113を有している。光源ユニット120は、ハウジング110における円筒状流路111の一方の端部に設けられている。
【0029】
光源ユニット120は、LED素子121と、基板122と、レンズ123と、LEDハウジング124とを備えている。LED素子121は、円筒状流路111内に紫外線を照射するための光源である。LED素子121は基板122に取り付けられている。また、基板122上には、LED素子121を囲うようにLEDハウジング124が設置されている。LEDハウジング124にはレンズ123が設けられている。レンズ123は、LED素子121から照射された紫外線を集光する。
・・・
【0031】
LED素子121は、円筒状流路111の軸方向に紫外線を照射する。尚、図2中の線Lは、LED素子121から照射された紫外線の中心軸(光軸)を示している。図2に示すように、円筒状流路111の中心軸と紫外線の中心軸とは重なり合っている。
・・・
【0037】
LED素子121から照射され円筒状流路111の径方向に拡がった紫外線は、該円筒状流路111の側壁111bの外壁面に形成された反射膜130によって繰り返し反射されつつ、円筒状流路111の端部壁111aに向っていく。さらに、円筒状流路111の端部壁111aの外壁面に形成された反射膜130によれば、該円筒状流路111の軸方向に紫外線が反射される。この円筒状流路111の端部壁111aの外壁面に形成された反射膜130によって反射された紫外線は光源ユニット120に向っていく。
・・・
【0044】
図4(a)は、図2中のBB断面における円筒状流路111内の紫外線の光強度の分布を示す図である。図4(b)は、本実施例に係る殺菌装置100において円筒状流路111の端部壁111aに反射膜130が存在していない場合の、図2中のBB断面における円筒状流路111内の紫外線の光強度の分布を示す図である。
【0045】
図4における(a)と(b)とのいずれにおいても、円筒状流路111の中心軸付近で光強度が最も高く、該中心軸から外側(径方向)に離れるほど光強度が低下している。また、図4における(a)と(b)とを比較すると、円筒状流路111の端部壁111aに形成された反射膜130によって紫外線が反射されることで、該反射膜130が存在しない場合に比べて円筒状流路111内における紫外線の光強度が高くなっていることがわかる。」
イ 「【図2】



(4)特許異議申立人意見書に添付して提出された甲第6号証(国際公開第2014/115146号)の記載事項
ア 「1. An ultraviolet (UV) liquid treatment apparatus comprising:
a conduit comprising an inlet to receive liquid to be treated and an outlet to discharge treated fluid, the conduit defining a plurality of liquid flow paths between the inlet and the outlet; and
an UV light emitting diode (LED) module array to illuminate the liquid, wherein the UV LED module array comprises a plurality of UV LED modules arranged on a curved surface of an array holder,
wherein the UV LED module array is configured to generate a customized spatial light flux distribution within the conduit that matches the liquid flow paths so as to obtain a desired UV dose distribution.」(請求項1、当審仮訳「1.処理される液体を受ける入口及び処理された液体を排出する出口を含み、前記入口及び前記出口の間の複数の液体の流路を規定する水路と、前記液体を照らすUV発光ダイオード(LED)モジュールアレイであって、アレイホルダの曲面の上に配置された複数のUV LEDモジュールを含むUV LEDモジュールアレイと、を含み、前記UV LEDモジュールアレイは、望ましいUV線量分布を得るように、前記液体の流路に適した前記水路内でカスタマイズされた空間光束分布を生じるように構成されている、紫外線(UV)液体処理装置。」)
イ 「11. The UV liquid treatment apparatus of claim 1, wherein the conduit comprises an internal tube positioned within the conduit such that liquid flow from the inlet of the conduit via the internal tube to a gap between the conduit and the internal tube.」(請求項11、当審仮訳「11.前記水路は、前記水路内に配置された内側の管を含み、前記内側の管を介して前記水路の前記入口から、前記水路と前記内側の管との間の隙間に液体が流れる請求項1に記載の紫外線液体処理装置。」)
ウ 「[031] Conduit 110 may include an internal inlet tube 111 positioned within conduit 110 and conduit end 112. Liquid may enter inlet tube 111 from liquid inlet 120. The liquid may flow via internal tube 111 towards holder 200 and then via a gap formed between tube 111 and conduit 110 towards liquid outlet 125. In some embodiments, conduit 110 and tube 111 may be cylindrical concentric tubes. In some embodiments, conduit 110 and internal tube 111 may be optically transparent, for example, transparent to UV light. Alternatively, conduit 110 may be at least partially coated with a reflective coating, for example, conduit end 112 that includes outlet 125 and inlet 120 may be coated with reflective coating. Conduit 110 and internal tube 111 may include an optically transparent material, for example, quartz or polytetrafluoroethylene. Optionally, conduit 110 may be located inside an outer tube or housing (not shown). The housing may include any material suitable for protecting conduit 110, for example, the outer housing may include various metals and alloys, ceramic materials and others. An air gap may be formed between conduit 110 and the housing.
[032] Conduit 100 may be designed to define a plurality of liquid flow paths between inlet 120 and the outlet 125. For example, liquid to be treated may enter internal tube 111 via liquid inlet 120 and may flow toward window 210. Then, the liquid may flow in the opposite direction and may exit the conduit via liquid outlet 125. A computer simulation of exemplary flow paths of the liquid within apparatus 100 is illustrated in Fig 2B. The liquid flow pattern is substantially stable inside the internal tube. Near window 210 the flow may slow down and before turning to flow towards outlet 125. During the turning the speed of the flow decreases, thus a larger volume of the liquid may absorb more light from UV LED module array 205. Further, the flow pattern in the area adjacent window 210 is symmetric.」(当審仮訳「[031]水路110は、水路110及び水路の端部112内に位置する内部の給水管111を含んでよい。液体は、液体入口120から給水管111に入ってよい。液体は、内側の管111を介してホルダ200へ流れ、それから管111と水路110の間に形成された隙間を介して液体出口125へ流れてよい。いくつかの実施形態では、水路110及び管111は、円筒状の同心の管であってよい。いくつかの実施形態では、水路110及び内側の管111は、視覚的に透明であり、例えば、UV光に対して透過性であってよい。代替的に、水路110は、少なくとも部分的に反射コーティングでコートされており、例えば出口125及び入口120を含む水路端部112が、反射コーティングでコートされていてよい。水路110及び内側の管111は、視覚的に透明な素材、例えば、クォーツやポリテトラフルオロエチレンを含んでよい。選択的に、水路110は、外側の管又はハウジング(図示せず)の内部に位置されてもよい。ハウジングは、水路110を保護するために適切な素材を含んでよく、例えば、外側のハウジングは、様々な金属や合金、セラミック素材等を含んでよい。空気の隙間が水路110及びハウジングの間に形成されてもよい。
[032]水路100は、入口120と出口125との間に複数の流路を規定するように設計されてよい。例えば、処理される液体は、液体入口120を介して内側の管111に入り、窓210に向けて流れてよい。それから、液体は反対方向に流れ、液体出口125を介して水路を出てよい。図2Bに、装置100内の液体の例示的な流路のコンピューターシミュレーションが示されている。液体の流れパターンは、管の内部では実質的に安定している。窓210の近くで、出口125へ向かって向きを変える前に、流れは遅くなってよい。向きを変える間、流れの速度は落ち、液体の多くの容量はUV LEDモジュールアレイ205からの光を吸収する。さらに、窓210に隣接する領域における流れのパターンは、対称である。」)
エ 「



4 取消理由及び特許異議申立理由に対する当審の判断

(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明の「入口端部(11)と、該入口端部とは反対側の末端に位置する出口端部(12)とを有する流体入口管(10)」は、本件発明1の「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管」に相当する。
甲1発明の「前記流体入口管(10)の出口端部(12)の近傍に設けられ、前記流体入口管(10)の内面に衝突する紫外放射線を提供する高強度紫外線灯(40)」は、本件発明1の「前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源」に相当する。
甲1発明の「前記流体入口管(10)の周りに設けられた流体封じ込め容器(30)」は、本件発明1の「前記第1端部の径方向外側を囲う筐体」に相当する。
甲1発明の「流体出口管(50)」は、本件発明1の「前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口」に相当する。
甲1発明の「流体入口管(10)の出口端部(12)と流体封じ込め容器(30)の一部分を形成する紫外線(UV)窓の下面(36)の間の隙間を介して、流体入口管(10)と流体封じ込め容器(30)が連通している」ことは、本件発明1の「筐体」が「前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通する」ことに相当する。
そして、甲1発明の「紫外放射線(UV)を使用して水を滅菌するシステム」は、本件発明1の「流体殺菌装置」に相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明は、
「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、
前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、
前記第1端部の径方向外側を囲う筐体と、を備え、
前記筐体は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通する流体殺菌装置」である点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
本件発明1の筐体が「整流室を区画」しているのに対して、甲1発明の流体封じ込め容器は、その点が明示されていない点。
(相違点2)
本件発明1は、隙間について、「前記隙間の通水断面積は、前記整流室および前記処理流路の通水断面積よりも狭い」ことを特定しているのに対して、甲1発明ではその点が明示されていない点。
まず、相違点1について検討すると、甲1発明の流体封じ込め容器は、「前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通する」構造となっており、本件発明1の「整流室」と同様な構造であるから、甲1発明の流体封じ込め容器は、「整流室を区画」しているものといえ、上記相違点1は実質的な相違点といえない。
次に、相違点2について検討すると、流体殺菌装置の流路管の端部と対向部材との隙間の通水断面積を、前記流路管内側(処理流路)及び外側(整流室)の通水断面積よりも狭くすることは、甲第2号証?甲第6号証のいずれにも記載も示唆もされていないし、このような通水断面積とすることが技術常識であるともいえないから、甲1発明において、隙間の通水断面積を、整流室及び処理流路の通水断面積よりも狭くすることは、当業者が容易になし得たものといえない。

イ ここで、特許異議申立人は、甲第6号証には、上記3(4)ア?エによれば、「前記隙間の通水断面積は、前記整流室および前記処理流路の通水断面積よりも狭い」ことが事実上開示されていると主張している(特許異議申立人意見書の第4頁第2?27行)。
しかしながら、上記3(4)ウのとおり、甲第6号証の段落[032]には、「液体の流れパターンは、管の内部では実質的に安定している。窓210の近くで、出口125へ向かって向きを変える前に、流れは遅くなってよい。向きを変える間、流れの速度は落ち」ることが記載され、窓210の近くで液体の流れの向きを変える間、すなわち、内側の給水管111の終端部と窓210との間の隙間を液体が流れるときに、流れの速度が落ちることが記載されている。そして、流量が一定の場合に配管内に流れる液体の流速は、通水断面積が拡大するにつれて遅くなるとの技術常識を踏まえれば、前記隙間の通水断面積は、内側の給水管111の通水断面積より大きくなっているといえる。
よって、特許異議申立人の上記主張は妥当でない。
また、特許異議申立人は、殺菌対象となる流体が衝突する窓の反対側から紫外光を照射して流体を殺菌しようとする場合に、殺菌効率を高めるために、流体を光源に近づけることは当業者が当然に要求する設計事項であり、流体を光源に近づけるために隙間を狭くし、その結果、隙間の通水断面積が処理流路の通水断面積よりも狭くなることは必然であると主張している。
しかしながら、甲第1号証に記載された滅菌するシステムは、上記3(1)ア及びイによれば、流体入口管内で紫外光を全内反射させて殺菌効率を改良するものであって、光源と流体の距離により殺菌効率を改良するものでないから、特許異議申立人の上記主張も妥当でない。

ウ 以上で検討したとおり、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明に該当せず、また、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してなされたものでない。

(2)本件発明2?7について
本件発明2?7は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記(1)における本件発明1に対する判断と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明に該当せず、また、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
よって、本件発明2?7に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してなされたものでない。

(3)本件発明8について
ア 本件発明8と甲1発明を対比すると、上記(1)アで検討したと同様に、両者は、「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、前記第1端部の径方向外側を囲う筐体と、を備え、前記筐体は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通する流体殺菌装置」である点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点3)
本件発明8は、筐体が「整流室を区画」しているのに対して、甲1発明の流体封じ込め容器は、その点が明示されていない点。
(相違点4)
本件発明8は、「流路管は、光源からの紫外光を反射する材料で構成され、筐体は、流路管よりも紫外光の反射率が低い材料で構成される」ことを特定しているのに対して、甲1発明の流体入口管は、紫外線等級の溶融石英から構成され、流体封じ込め容器は、紫外線鏡を画成する反射性内面を有するアルミニウム外殻内に封じ込まれた、紫外線等級の溶融石英の内管から構成されている点。
まず、相違点3について検討すると、上記(1)アの相違点1で検討したとおり、上記相違点3は実質的な相違点といえない。
次に、相違点4について検討する。
甲1発明の流体封じ込め容器は、紫外線鏡を画成する反射性内面を有するアルミニウム外殻内に封じ込まれた、紫外線等級の溶融石英の内管から構成されており、紫外線等級の溶融石英から構成された流体入口管よりも、紫外光の反射率が高い材料で構成されているため、甲第1号証には、筐体(流体封じ込め容器)を、流路管(流体入口管)よりも紫外光の反射率が低い材料で構成するための動機付けは記載されていない。
また、甲第2号証?甲第6号証にも、筐体を流体入口管より反射率が低い材料で構成して、筐体に設けられた流通口から紫外線が外に漏れ出すことを抑えることは記載されていないから、甲1発明の筐体(流体封じ込め容器)を、流路管(流体入口管)よりも紫外光の反射率が低い材料で構成することは、当業者が容易になし得たものといえない。
したがって、本件発明8は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証?甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものでない。

イ ここで、特許異議申立人は、甲第6号証に基づいて、本件発明8の新規性及び進歩性は否定されるべきであること(特許異議申立人意見書第3頁下から第2行?第4頁第1行)、及び、本件発明8の「前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成される」ことの「筐体」に光源室を構成する外側側壁を含むのか明らかでないため、本件発明8は明確でないこと(特許異議申立人意見書第8頁第11行?第10頁第7行)を主張しているが、これらの主張は、特許異議申立書に記載のない申立理由を新たに主張するものであるから採用しない。
なお、本件発明8の「前記筐体」は、「整流室を区画する筐体」であり、光源室を構成する外側側壁を含まないことは明らかである。

(4)本件発明9について
ア 本件発明9と甲1発明を対比すると、上記(1)アで検討したと同様に、両者は、「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、前記第1端部の径方向外側を囲う筐体と、を備え、前記筐体は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通する流体殺菌装置」である点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点5)
本件発明9は、筐体が「整流室を区画」しているのに対して、甲1発明の流体封じ込め容器は、その点が明示されていない点。
(相違点6)
本件発明9は、「流路管は、第1端部から径方向内側に突出する突出部を有する」ことを特定しているのに対して、甲1発明は、突出部を有しない点。
まず、相違点5について検討すると、上記(1)アの相違点1で検討したとおり、上記相違点5は実質的な相違点といえない。
次に、相違点6について検討する。
流体殺菌装置の流路管の端部に、径方向内側に突出する突出部を設けることは、甲第2号証?甲第6号証のいずれにも記載も示唆もされていないし、このようなことが技術常識であるともいえないから、甲1発明において、流体殺菌装置の流路管の端部に、径方向内側に突出する突出部を設けることは、当業者が容易になし得たものといえない。
ここで、特許異議申立人は、甲第3号証に記載された流路軸に対して傾斜した端部壁111aの反射膜130(上記3(3)ア及びイ参照)を根拠にして、甲1発明の流体殺菌装置の流路管の端部に、径方向内側に突出する突出部を設けることは、設計事項であることを主張している(特許異議申立書第39頁第20行?第40頁第7行)が、甲第3号証に記載された傾斜した端部壁は、流路管の端部の径方向内側に突出する突出部といえないから、特許異議申立人の主張は妥当でない。
したがって、本件発明9は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものでない。

イ 特許異議申立人は、甲第6号証に基づいて、本件発明9の新規性及び進歩性は否定されるべきであると主張している(特許異議申立人意見書第3頁下から第2行?第4頁第1行)が、当該主張は、特許異議申立書に記載のない申立理由を新たに主張するものであるから採用しない。

(5)本件発明10?12について
本件発明10?12は、本件発明1?9を更に減縮したものであるから、上記(1)?(4)と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
よって、本件発明10?12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものでない。

第4 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?12に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件請求項1?12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
流体殺菌装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体殺菌装置に関し、特に、紫外光を照射して流体を殺菌する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光には殺菌能力があることが知られており、医療や食品加工の現場などでの殺菌処理に紫外光を照射する装置が用いられている。また、水などの流体に紫外光を照射することで、流体を連続的に殺菌する装置も用いられている。このような装置として、例えば、直管状の金属パイプで形成される流路の管端部内壁に紫外線LEDを配置した装置が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2011-16074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の直管状の流路の端部に紫外線LEDを配置する構成では、流路の軸方向と交差する方向に延びる入口または出口が設けられるため、入口または出口の近傍において流体の流れに乱れが生じる。流体に高効率で紫外光を照射するためには、流路内の流れの状態を適切に制御するとともに、流れの状態に適した態様で紫外光を照射することが望ましい。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、流路内を流れる流体への紫外光の照射効率を高めた流体殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の流体殺菌装置は、第1端部と第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、第1端部の近傍に設けられ、処理流路に向けて第1端部から軸方向に紫外光を照射する光源と、第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備える。整流室は、処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、第1端部と、第1端部と軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して処理流路と連通する。隙間の通水断面積は、整流室および処理流路の通水断面積よりも狭い。
【0007】
この態様によれば、第1端部の周囲に整流室を設けることで、流路管に流通口を直接設ける場合と比べて処理流路内の流れに生じる乱れを緩和し、処理流路内の流れを整えることができる。特に、光源に近い第1端部の近傍において流れに乱れが生じるのを抑え、流れを整流化させることができる。本態様によれば、光源に近い第1端部の近傍の流れを整えて高強度の紫外光を照射することができるため、殺菌効率を高めることができる。
【0008】
対向部材の少なくとも一部は、光源からの紫外光を透過させる材料で構成され、光源は、筐体と対向部材とにより区画される光源室内に設けられてもよい。
【0009】
対向部材は、前記隙間の軸方向の寸法が第1端部の全周にわたって一定となるように配置されてもよい。
【0010】
流通口に接続される接続管をさらに備えてもよい。接続管は、前記隙間から流通口に向かう方向と交差する方向に延びてもよい。
【0011】
流通口は、前記隙間から軸方向にずれた位置に設けられてもよい。
【0012】
整流室は、流路管の外側において第1端部から第2端部に向けて軸方向に延在する区間を有してもよい。
【0013】
流路管は、光源からの紫外光を反射する材料で構成されてもよい。
【0014】
本発明のある態様の流体殺菌装置は、第1端部と第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、第1端部の近傍に設けられ、処理流路に向けて第1端部から軸方向に紫外光を照射する光源と、第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備える。整流室は、処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、第1端部と、第1端部と軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して処理流路と連通する。流路管は、光源からの紫外光を反射する材料で構成され、筐体は、流路管よりも紫外光の反射率が低い材料で構成される。
【0015】
本発明のある態様の流体殺菌装置は、第1端部と第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、第1端部の近傍に設けられ、処理流路に向けて第1端部から軸方向に紫外光を照射する光源と、第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備える。整流室は、処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、第1端部と、第1端部と軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して処理流路と連通する。流路管は、第1端部から径方向内側に突出する突出部を有する。
【0016】
光源は、紫外光を発する少なくとも一つの発光素子を有し、軸方向と直交する処理流路の断面において中央付近の紫外光強度がその周囲の紫外光強度よりも高い強度分布となるように紫外光を照射してもよい。
【0017】
光源は、光源から出力される指向角半値幅の範囲内の紫外光の全てが流路管の内部に入射されるように配置されてもよい。
【0018】
処理流路を流れる流体を整流するための整流板をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、流路内を流れる流体への紫外光の照射効率を高めて殺菌能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 第1の実施の形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】 発光素子の配向特性を示すグラフである。
【図3】 比較例に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図4】 変形例に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図5】 図4に示す流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図6】 変形例に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図7】 第2の実施の形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図8】 変形例に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図9】 変形例に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る流体殺菌装置10の構成を概略的に示す図である。流体殺菌装置10は、流路管20と、第1筐体30と、第2筐体40と、第1光源50と、第2光源55とを備える。第1光源50および第2光源55は、流路管20の内部に向けて紫外光を照射する。流体殺菌装置10は、流路管20の内部を流れる流体(水など)に紫外光を照射して殺菌処理を施すために用いられる。
【0023】
本明細書では、内容の理解を助けるために、流路管20の長手方向を「軸方向」と呼ぶことがある。例えば、図1において、中心軸Aに平行な方向が軸方向である。また、軸方向に直交する方向を径方向と呼び、軸方向を包囲する方向を周方向と呼ぶことがある。また、流路管20の両端(第1端部21および第2端部22)の位置を基準として、流路管20の内部に向かう方向を「内側」と呼び、流路管20の外部に向かう方向を「外側」と呼ぶことがある。
【0024】
流路管20は、円筒状の側壁26で構成される直管である。流路管20は、第1端部21と、第1端部21とは反対側の第2端部22とを有し、第1端部21から第2端部22に向けて軸方向に延びる。第1端部21には第1光源50からの紫外光が入射し、第2端部22には第2光源55からの紫外光が入射する。流路管20は、流体への紫外光照射がなされる処理流路12を区画する。
【0025】
流路管20は、金属材料や樹脂材料で構成される。流路管20は、紫外光の反射率が高い材料で構成されることが望ましく、例えば、内面23が鏡面研磨されたアルミニウム(Al)や、全フッ素化樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成される。これらの材料で流路管20を構成することで、第1光源50および第2光源55が発する紫外光を内面23で反射させて流路管20の長手方向に伝搬させることができる。特に、PTFEは、化学的に安定した材料であり、紫外光の反射率が高い材料であるため、処理流路12を構成する流路管20の材料として好適である。
【0026】
流路管20は、第1端部21から径方向内側に突出する第1突出部21aと、第2端部22から径方向内側に突出する第2突出部22aとを有する。第1突出部21aおよび第2突出部22aは、第1端部21または第2端部22の全周にわたって形成され、流路管20の内径を狭くする形状を有する。第1突出部21aおよび第2突出部22aは、径方向の突出量が軸方向に徐々に変化する形状を有してもよく、図示される中心軸Aを含む断面において、三角形となる断面形状を有してもよい。
【0027】
第1突出部21aおよび第2突出部22aは、第1光源50または第2光源55から直接出力される紫外光の入射を妨げないような範囲に形成され、例えば、第1光源50または第2光源55の指向角半値幅φの範囲内の紫外光を遮らないように形成される。第1突出部21aおよび第2突出部22aを設けることで、流路管20の内面23で反射ないし散乱されて流路管20の外へ向かう紫外光の一部を第1突出部21aまたは第2突出部22aで反射させて流路管20の内側に戻すことができる。
【0028】
第1筐体30は、第1端部21の周囲を取り囲むように設けられ、第1整流室13と第1光源室17を区画する。第1筐体30は、金属材料や樹脂材料で構成される。第1筐体30は、第1光源50が発する紫外光の反射率が低い材料で構成されることが望ましく、流路管20よりも紫外光反射率が低い材料で構成されることが望ましい。第1筐体30は、第1光源50からの紫外光を吸収する材料で構成されてもよい。このような材料で第1筐体30を構成することで、第1光源50からの紫外光が第1筐体30の内面で反射され、流出管38から外に漏れ出すのを抑えることができる。
【0029】
第1筐体30は、第1側壁32と、第1内側端壁33と、第1外側端壁34とを有する。第1側壁32は、第1内側端壁33から第1外側端壁34まで軸方向に延びる円筒形状の部材であり、流路管20の中心軸Aと同軸となる位置に設けられる。第1内側端壁33は、流路管20の側壁26から第1側壁32に向けて径方向外側に延びる部材であり、円環形状(ドーナツ形状)を有する。第1内側端壁33は、第1端部21よりも軸方向内側の位置に設けられ、流路管20の外面24に固定されている。第1外側端壁34は、第1端部21よりも軸方向外側の位置に設けられる円板形状の部材である。したがって、第1内側端壁33と第1外側端壁34は、第1端部21を挟んで軸方向に対向する位置に設けられる。
【0030】
第1筐体30の内部には、第1光源50からの紫外光を透過する第1窓部36が設けられる。第1窓部36は、石英(SiO_(2))やサファイア(Al_(2)O_(3))、非晶質のフッ素系樹脂などの紫外光の透過率が高い部材で構成される。第1窓部36は、第1筐体30の内部を第1整流室13と第1光源室17に区画する。第1整流室13は、第1側壁32、第1内側端壁33および第1窓部36により区画される領域であり、第1端部21の径方向外側を囲うように環状に設けられる領域である。第1光源室17は、第1側壁32、第1外側端壁34および第1窓部36で区画される領域であり、第1光源50が設けられる。
【0031】
第1窓部36は、第1端部21と軸方向に対向する対向部材であり、第1端部21との間にわずかな寸法の第1隙間15が設けられるように第1端部21の近傍に配置される。第1隙間15は、例えば、処理流路12や第1整流室13の通水断面積よりも狭くなるように形成される。第1窓部36は、第1隙間15の寸法が第1端部21の全周にわたって一定となるように配置されることが好ましく、第1端部21の端面と第1窓部36の対向面とが略平行となるように配置されることが好ましい。第1隙間15を全周にわたって均一にすることで、第1隙間15を通じて処理流路12から第1整流室13へ向かう流体の流れを整え、処理流路12の第1端部21の近傍において流れに乱れが生じるのを緩和する。
【0032】
第1筐体30には、流出口37と流出管38が設けられる。流出口37は、処理流路12にて紫外光が照射される流体が流出する流通口であり、第1整流室13と連通する位置に設けられる。流出口37は、例えば、図示されるように第1側壁32に設けられる。流出管38は、流出口37に取り付けられる接続管であり、流体殺菌装置10と接続される配管やチューブコネクタが取り付け可能となるように構成される。
【0033】
流出口37および流出管38は、第1隙間15から流出口37に向かう方向と、流出管38の長手方向とが同一直線上に乗らない位置に配置される。具体的には、流出口37は、第1隙間15から軸方向にずれた位置に配置され、流出管38は、第1隙間15から流出口37に向かう方向と交差する方向(図示する例では、径方向)に延びる。このような配置とすることで、第1隙間15の周方向の異なる位置に応じて流速にばらつきが生じる影響を緩和できる。より具体的には、流出管38の流れの方向に起因して、第1隙間15を流れる流体のうち流出口37に相対的に近い位置の流れF1が速くなり、流出口37に相対的に遠い位置の流れF2が遅くなる影響を低減できる。
【0034】
第1光源50は、第1光源室17の内部に設けられ、第1端部21の開口に向けて紫外光を出力するように配置される。第1光源50は、第1端部21の近傍に設けられることが望ましく、第1光源50の指向角半値幅φの範囲内の紫外光の全てが処理流路12の内部に入射するように配置されることが好ましい。具体的には、第1光源50の光出射部から第1端部21までの軸方向の距離をl、第1端部21の開口幅をdとすると、l≦d/(2tan(φ/2))となるように配置されることが好ましい。
【0035】
第1光源50は、第1発光素子51と、第1基板52とを有する。第1発光素子51は、紫外光を発するLED(Light Emitting Diode)であり、その中心波長またはピーク波長が約200nm?350nmの範囲に含まれる。第1発光素子51は、殺菌効率の高い波長である260nm?290nm付近の紫外光を発することが好ましい。このような紫外光LEDとして、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いたものが知られている。
【0036】
図2は、第1発光素子51の配向特性を示すグラフである。第1発光素子51は、所定の指向角または配光角を有するLEDであり、図示されるように指向角半値幅φが120度程度となる広配光角のLEDである。このような第1発光素子51として、出力強度の高い表面実装(SMD;surface mount device)型のLEDが挙げられる。第1発光素子51は、流路管20の中心軸Aの上に配置され、第1窓部36と対向するようにして第1基板52に取り付けられる。第1基板52は、熱伝導性の高い部材で構成され、例えば、銅(Cu)やアルミニウム(Al)などがベース材料として用いられる。第1発光素子51が発する熱は、第1基板52を通じて放熱される。
【0037】
第2筐体40は、第1筐体30と同様に構成される。第2筐体40は、第2端部22の周囲を取り囲むように設けられ、第2整流室14と第2光源室18を区画する。第2筐体40は、第2側壁42と、第2内側端壁43と、第2外側端壁44とを有する。
【0038】
第2側壁42は、第2内側端壁43から第2外側端壁44まで軸方向に延びる円筒部材であり、流路管20の中心軸Aと同軸となる位置に設けられる。第2内側端壁43は、第2端部22よりも軸方向内側の位置に設けられる円環形状の部材であり、流路管20の外面24に固定されている。第2外側端壁44は、第2端部22よりも軸方向外側の位置に設けられる円板状の部材である。第2内側端壁43と第2外側端壁44は、第2端部22を挟んで軸方向に対向する位置に設けられる。
【0039】
第2筐体40の内部には、第2光源55からの紫外光を透過する第2窓部46が設けられる。第2窓部46は、第2筐体40の内部を第2整流室14と第2光源室18に区画する。第2整流室14は、第2側壁42、第2内側端壁43および第2窓部46により区画される領域であり、第2端部22の径方向外側を囲うように環状に設けられる領域である。第2光源室18は、第2側壁42、第2外側端壁44および第2窓部46で区画される領域であり第2光源55が設けられる。
【0040】
第2窓部46は、第2端部22と軸方向に対向する対向部材であり、第2端部22との間にわずかな寸法の第2隙間16が設けられるようにして第2端部22の近傍に配置される。第2隙間16は、例えば、処理流路12や第2整流室14の通水断面積よりも狭くなるように形成される。第2窓部46は、第2隙間16の寸法が第2端部22の全周にわたって一定となるように配置されることが好ましく、第2端部22の端面と第2窓部46の対向面とが略平行となるように配置されることが好ましい。
【0041】
第2筐体40には、流入口47と流入管48が設けられる。流入口47は、処理流路12にて紫外光が照射される流体が流入する流通口であり、第2整流室14と連通する位置に設けられる。流入管48は、流入口47に取り付けられる接続管である。流入口47および流入管48は、第2隙間16から流入口47に向かう方向と、流入管48の長手方向とが同一直線上に乗らない位置に配置される。具体的には、流入口47は、第2隙間16から軸方向にずれた位置に配置され、流入管48は、第2隙間16から流入口47に向かう方向と交差する方向(図示する例では、径方向)に延びる。このような配置とすることで、流入管48の流れの方向に起因して第2隙間16を流れる流体のうち流入口47に相対的に近い位置の流れF3が速くなり、流入口47に相対的に遠い位置の流れF4が遅くなる影響を低減できる。
【0042】
第2光源55は、第2光源室18の内部に設けられ、第2端部22の開口に向けて紫外光を出力するように配置される。第2光源55は、上述の第1光源50と同様、第2端部22の近傍に設けられることが望ましく、第2光源55の指向角半値幅φの範囲内の紫外光の全てが処理流路12の内部に入射するように配置されることが好ましい。第2光源55は、第1光源50と同様に構成され、第2発光素子56と第2基板57を有する。
【0043】
以上の構成により、流体殺菌装置10は、処理流路12を流れる流体に向けて第1光源50および第2光源55からの紫外光を照射して殺菌処理を施す。処理対象となる流体は、流入管48、流入口47、第2整流室14、第2隙間16を通って第2端部22から処理流路12の内部に流入する。処理流路12を流れる流体は、例えば、軸方向に直交する断面において中央付近の流速v_(1)が相対的に速く、内面23付近の流速v_(2)が相対的に遅い状態に整流化される。処理流路12を通過した流体は、第1端部21から第1隙間15、第1整流室13、流出口37、流出管38を通って流出する。
【0044】
このとき、第2整流室14は、流入管48および流入口47を通じて流入する流体の流れを整え、周方向に異なる位置から第2隙間16を通って放射状(径方向内側)に処理流路12に流入する流体の流れを均一化させる。第2整流室14は、第2隙間16の流れを均一化することで、第2端部22の近傍の位置から処理流路12の流れが整流化されるようにする。同様に、第1整流室13は、流出口37および流出管38を通じて流出する流体の流れを整え、処理流路12から第1隙間15を通って放射状(径方向外側)に流出する流体の流れを均一化させる。第1整流室13は、第1隙間15の流れを均一化することで、第1端部21の近傍の位置まで処理流路12の流れが整流化された状態で維持されるようにする。
【0045】
第1光源50および第2光源55は、上述のように整流化されて処理流路12を流れる流体に向けて紫外光を照射する。第1光源50および第2光源55は、図2に示すような中央付近の強度が高く、径方向外側の強度が低くなる強度分布を有するため、処理流路12の流速分布に対応した強度で紫外光を照射できる。つまり、流速の高い中央付近に高強度の紫外光を照射し、流速の低い径方向外側の位置には低強度の紫外光を照射することができる。その結果、処理流路12を通過する流体に作用する紫外光のエネルギー量を流体が通過する径方向の位置によらずに均一化できる。これにより、処理流路12を流れる流体の全体に対して所定以上のエネルギー量の紫外光を照射することができ、流体全体に対する殺菌効果を高めることができる。
【0046】
つづいて、本実施の形態が奏する効果について、比較例を参照しながら説明する。
図3は、比較例に係る流体殺菌装置80の構成を示す。流体殺菌装置80は、処理流路81を区画する直管82と、直管82の内部に紫外光を照射する光源88とを備える。直管82は、第1端部83と、第2端部84とを有する。第1端部83には径方向に延びる流入口85が設けられ、第2端部84には径方向に延びる流出口86が設けられる。第1端部83には、光源88からの紫外光を透過させるための窓部87が設けられる。
【0047】
比較例おいて、流入口85から流入する流体は、処理流路81を軸方向に流れて流出口86から流出する。流入口85は、直管82の側方に直接取り付けられているため、第1端部83の近傍では流体の流れに乱れが生じる。流入口85から流入する流体は、流入口85に対向する直管82の側壁に向かう流れが支配的であり、処理流路81の内部では流入口85に対向する側壁の近くを流れる流体の速度が相対的に速くなる。その結果、図示されるような直管82の中心軸Aに対して非対称な速度分布が生じ、光源88からの紫外光を効率的に流体に作用させることが難しくなる。また比較例では、光源88から出力される紫外光の一部が流入口85に直接向かうことのできる構成であるため、流入口85から紫外光が漏れやすい。
【0048】
一方、本実施の形態では、流路管20の両端に第1整流室13および第2整流室14を設ける構成としているため、比較例と比べて処理流路12に生じる流れの乱れを抑制できる。特に、流体殺菌装置10の処理能力を高めるために処理流路12を通る流体の平均流速を高めるような場合であっても整流化された状態の維持が容易となる。したがって、本実施の形態によれば、乱れの少ない状態で流れる流体に紫外光を効果的に作用させて殺菌効果を高めることができる。
【0049】
本実施の形態によれば、第1光源50および第2光源55から出力される紫外光の大半が流路管20の内部に入射するよう構成され、流路管20の内部に入射する紫外光は、流路管20の内面23にて反射を繰り返しながら軸方向に伝搬していく。そのため、第1光源50および第2光源55から出力される紫外光を効率的に利用して殺菌効率を高めることができる。また、第1端部21および第2端部22に紫外光の入射を妨げない範囲で突出部21a,21bが設けられるため、流路管20の内部により多くの紫外光が閉じ込められるようにして紫外光の利用効率を高めることができる。
【0050】
本実施の形態によれば、第1光源50および第2光源55から出力される紫外光の大半を流路管20の内部に閉じ込めることができるため、流路管20の外部に漏れ出す紫外光の量を低減できる。また、第1筐体30および第2筐体40が紫外光を反射しにくい材料で構成されるため、紫外光が第1筐体30または第2筐体40の内面を反射しながら伝搬するのを防ぎ、流出管38または流入管48から流体殺菌装置10の外に紫外光が漏洩しないようにできる。これにより、流体殺菌装置10の安全性を高めるとともに、流出管38や流入管48に接続される樹脂製のチューブやコネクタ等が紫外光の照射を受けて劣化する影響を低減できる。
【0051】
(第1変形例)
図4は、第1変形例に係る流体殺菌装置110の構成を概略的に示す断面図であり、図5は、図4のB-B線断面を示す図である。本変形例は、第1筐体30の第1側壁32から径方向外側に突出する第1リブのペア138a,138bが第1側壁32の全周にわたって形成され、第1リブのペア138a,138bの間に流出口137が形成される点で上述の実施の形態と相違する。同様に、第2筐体40の第2側壁42から径方向外側に突出する第2リブのペア148a,148bが第2側壁42の全周にわたって形成され、第2リブのペア148a,148bの間に流入口147が形成される点で上述の実施の形態と相違する。以下、流体殺菌装置110について、第1の実施の形態に係る流体殺菌装置10との相違点を中心に説明する。
【0052】
流体殺菌装置110は、流路管20と、第1筐体30と、第2筐体40と、第1光源50と、第2光源55とを備える。第1筐体30の第1側壁32には、流出口137を区画する第1リブのペア138a,138bが設けられる。第1リブのペア138a,138bは、第1側壁32から径方向外側に突出する円環状の部材であり、軸方向に対向している。第1リブのペア138a,138bの間には、両者を接続するための第1スペーサ139が設けられる。第1スペーサ139は、例えば図5に示されるように4箇所の位置に設けられる。第1スペーサ139が設けられる位置は流路が塞がれ、第1スペーサ139が設けられていない位置は流出口137となる。
【0053】
第1筐体30と同様に、第2筐体40の第2側壁42には、流入口147を区画する第2リブのペア148a,148bが設けられる。第2リブのペア148a,148bは、第2側壁42から径方向外側に突出する円環状の部材であり、軸方向に対向している。第2リブのペア148a,148bの間には、両者を接続するための第2スペーサ149が設けられる。第2スペーサ149が設けられる位置は流路が塞がれ、第2スペーサ149が設けられていない位置は流入口147となる。
【0054】
本変形例によれば、流出口137が中心軸Aの周りに対称に配置されるとともに、流入口147が中心軸Aの周りに対称に配置されるため、流出管38や流入管48の非対称な配置に起因して処理流路12の内部に生じる流れの乱れをより緩和させることができる。したがって、本変形例によれば、処理流路12の内部の流れを整えて紫外光の照射効果をより高めることができる。流体殺菌装置110は、例えば、処理対象の流体として空気などの気体を用いることができる。
【0055】
(第2変形例)
図6は、第2変形例に係る流体殺菌装置160の構成を概略的に示す断面図である。本変形例は、第2筐体40の内部に第2光源室18および第2光源55が設けられず、代わりに反射体170が設けられる点で上述の実施の形態と相違する。以下、流体殺菌装置160について、第1の実施の形態に係る流体殺菌装置10との相違点を中心に説明する。
【0056】
流体殺菌装置160は、流路管20と、第1筐体30と、第2筐体40と、第1光源50と、反射体170とを備える。反射体170は、第2筐体40の内部において第2端部22と対向する位置に設けられる。反射体170は、紫外光の反射率が高い材料で構成され、鏡面研磨されたアルミニウムやPTFEなどで構成される。反射体170は、第1光源50から出力され、流路管20の内部を第2端部22まで伝搬する紫外光を反射し、第1端部21に向けて戻す。
【0057】
反射体170は、第2端部22と軸方向に対向する対向部材であり、第2端部22との間に第2隙間16を形成する。反射体170は、第2隙間16の寸法が第2端部22の全周にわたって一定となるように配置されることが好ましく、また、第2隙間16の寸法がわずかとなるように第2端部22に近接して配置されることが好ましい。第2隙間16の寸法を小さくすることにより、第2隙間16による整流効果を高めることができる。
【0058】
反射体170は、平坦な反射面を有してもよいし、曲面となる反射面を有してもよい。反射体170は、中心軸Aの周りに回転対称となる形状の凹曲面を有してもよく、反射体170により反射される紫外光が流路管20の内部に向けて集光されるように構成されてもよい。
【0059】
反射体170は、第2筐体40とは別の部材として構成されるが、さらなる変形例においては第2筐体40と一体化されていてもよい。第2筐体40と反射体170が一体化される場合、第2外側端壁44が反射体170として機能してもよい。この場合、第2外側端壁44が第2端部22に対向する対向部材となり、第2端部22と第2外側端壁44の間により第2隙間16が規定されてもよい。
【0060】
本変形例によれば、紫外光を発する光源を流路管20の一方の端部のみに設ける場合であっても他方の端部に反射体170を設けることで、紫外光の照射効率を高めることができる。
【0061】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態に係る流体殺菌装置210の構成を概略的に示す断面図である。本実施の形態は、第2筐体40を設ける代わりに、流入管240が流路管20の第2端部22に設けられる点で上述の実施の形態と相違する。以下、流体殺菌装置210について上述の第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0062】
流体殺菌装置210は、流路管20と、第1筐体30と、流入管240と、第1光源50と、整流板214とを備える。流路管20、第1筐体30および第1光源50は、上述の第1の実施の形態と同様に構成される。
【0063】
流入管240は、漏斗状の部材であり、口径の大きい第2端部22と口径の小さい流入口247とを接続する。流入管240は、第2端部22に接続される接続端部244と、円錐状の円錐部246と、流入口247を規定する接続管248とを有する。流入管240は、流路管20の中心軸Aと同軸となるように配置され、流入口247から流入する流体を処理流路12に向けて軸方向に流すための流入路242を区画する。流入管240は、樹脂材料や金属材料で構成され、紫外光の反射率が低い材料で構成されることが望ましい。
【0064】
整流板214は、第2端部22の近傍に設けられ、流入口247から流入する流体の流れを整えて処理流路12の流れを整流化する。整流板214は、例えば、流路管20の軸方向に貫通する複数の通水孔を有し、複数の通水孔を通過する流体が整流化された状態になるようにする。整流板214は、図示するように流路管20の内部に設けてもよいし、流入管240の内部に設けてもよい。
【0065】
整流板214は、紫外光を反射する材料で構成され、例えば、アルミニウムやPTFEで構成される。整流板214は、第1光源50からの紫外光を反射させて第1端部21の方へ戻すとともに、第1光源50からの紫外光が流入口247から漏れ出さないように遮蔽する。整流板214は、複数の通水孔を通じて紫外光が漏れ出さないように、通水孔の口径よりも整流板214の軸方向の厚さが大きくなるように構成されてもよい。
【0066】
以上の構成により、流体殺菌装置210は、処理流路12を流れる流体に向けて第1光源50からの紫外光を照射して殺菌処理を施す。処理対象となる流体は、流入口247、流入路242、整流板214を通って処理流路12の内部に流入する。処理流路12において紫外光の照射を受けた流体は、第1端部21から第1隙間15、第1整流室13、流出口37、流出管38を通って流出する。
【0067】
本実施の形態によれば、流体を軸方向に流入させる流入管240と流体の流れを整える整流板214が流入側に設けられ、流出側に第1整流室13が設けられるため、処理流路12を流れる流体に乱れが生じないようにすることができる。また、整流化された状態で処理流路12を流れる流体に対して流速分布に対応した強度分布を有する紫外光を照射できるため、流体に効果的に紫外光を作用させることができる。したがって、本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態と同様、流体全体に対する殺菌効果を高めることができる。
【0068】
(第3変形例)
図8は、第3変形例に係る流体殺菌装置260の構成を概略的に示す断面図である。本変形例は、第1筐体30と流入管240を一体化させたような筐体270を備える点で上述の第2の実施の形態と相違する。以下、流体殺菌装置260について、第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0069】
流体殺菌装置260は、流路管20と、第1光源50と、筐体270と、整流板214とを備える。筐体270は、流路管20の周囲全体を取り囲む構造体であり、その内部に処理流路12と整流室213の二重構造が区画されるようにする。筐体270は、側壁232、内側端壁233、外側端壁234、窓部236、流出口237、流出管238、接続端部244、円錐部246、接続管248を有する。
【0070】
内側端壁233は、第2端部22または第2端部22の近傍から側壁232に向けて径方向外側に延びる。外側端壁234は、第1端部21よりも軸方向外側の位置に設けられる。側壁232は、内側端壁233から外側端壁234まで軸方向に延在し、流路管20よりも軸方向に長い。窓部236は、筐体270の内部の第1端部21と対向する位置に設けられる。
【0071】
整流室213は、流路管20、側壁232、内側端壁233および窓部236により区画され、流路管20とほぼ同じ軸方向の長さを有する。したがって、整流室213は、流路管20の外側において第1端部21から第2端部22に向けて軸方向に延在する区間を有する。流出口237は、第1端部21から軸方向に離れた位置に設けられ、第1端部21よりも第2端部22に近い位置に設けられる。流出管238は、流出口237から径方向外側に延びる。
【0072】
本変形例によれば、整流室213の軸方向の長さが上述の第2の実施の形態よりも長いため、整流室213による整流効果を高めることができる。特に、第1端部21と流出口237が軸方向に離れているため、流出口237の近傍において流れに乱れが生じる場合であっても、その乱れが第1端部21にまで波及する影響を抑制できる。したがって、本変形例によれば、処理流路12の流れがより均一な状態とすることができ、流体に対する紫外光の照射効率をより高めることができる。
【0073】
(第4変形例)
図9は、第4変形例に係る流体殺菌装置310の構成を模式的に示す断面図である。流体殺菌装置310は、複数の発光素子351を含む光源350を備える点で上述の第2の実施の形態と相違する。以下、流体殺菌装置310について、上述の第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0074】
流体殺菌装置310は、流路管20と、第1筐体30と、流入管240と、光源350とを備える。流路管20、第1筐体30および流入管240は、上述の第2の実施の形態と同様に構成される。
【0075】
光源350は、複数の発光素子351と、基板352とを有する。各発光素子351は、上述の第1発光素子51または第2発光素子56と同様に構成される。複数の発光素子351は、基板352の上に設けられ、第1端部21から流路管20の内部に紫外光を照射する向きに配置される。
【0076】
複数の発光素子351は、例えば、流路管20の中心軸Aの近傍に密集して配置され、中心軸Aの周りに対称的に配置される。例えば、光源350は、4個の発光素子351を有し、4個の発光素子351が中心軸Aから等距離の位置に均等に配置される。これにより、光源350は、処理流路12の軸方向の断面において中央付近の強度が相対的に高く、径方向外側の強度が相対的に低い紫外光を照射する。なお、光源350は3個以下の発光素子351を有してもよいし、5個以上の発光素子351を有してもよい。
【0077】
本変形例によれば、光源350が複数の発光素子351を有するため、より高強度の紫外光を処理流路12を流れる流体に照射できる。また、処理流路12の内部の流速分布に対応させて中央付近の光強度を相対的に高くし、内面23の近傍の光強度を相対的に低くすることで、処理流路12を流れる流体全体に対して効果的に紫外光を照射できる。したがって本変形例によれば、紫外光照射による殺菌効果を高めることができる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0079】
上述の実施の形態および変形例では、流体に紫外光を照射して殺菌処理を施すための装置として説明した。さらなる変形例においては、紫外光の照射により流体に含まれる有機物を分解させる浄化処理に本流体殺菌装置を用いてもよい。
【0080】
上述の実施の形態および変形例では、紫外光を透過する窓部により光源室と整流室の間が区画される構成を示した。さらなる変形例においては、光源室と整流室の間を隔てる隔壁が設けられ、隔壁の一部に窓部が設けられる構成であってもよい。この場合、隔壁は紫外光を透過しない材料で構成されてもよい。また、隔壁は、流路管の端部と対向する対向部材として機能し、流路管の端部との間に隙間を形成してもよい。
【0081】
さらなる変形例においては、流路管20の中心軸Aと同軸となる流入管240を設ける代わりに、流路管20から径方向に延びる流入管を設けてもよい。つまり、流路管20の第2端部の開口を塞ぐとともに、第2端部22の近傍の側壁26から径方向に延びる流入管を設けてもよい。
【0082】
さらなる変形例においては、上述の実施の形態または変形例にて示した流れの方向と逆向きに流体を流してもよい。つまり、流入口と流出口をそれぞれ逆に用いてもよい。例えば、図7に示す第2の実施の形態において、流出口37から流体を流入させ、流入口247から流体を流出させてもよい。つまり、符号37で示される流通口を流入口として使用し、符号247で示される流通口を流出口として使用してもよい。
【0083】
さらなる変形例において、光源は、発光素子が発する紫外光の強度分布を調整するための調整機構を有してもよい。調整機構は、レンズなどの透過型の光学素子や、凹面鏡などの反射型の光学素子を含んでもよい。調整機構は、発光素子からの紫外光の強度分布を調整することにより、光源から出力される紫外光の強度分布が整流化された流れの速度分布に対応した形状となるようにしてもよい。このような調整機構を設けることで、流体の流れの態様に適した強度分布の紫外光を照射することができ、殺菌効率をより高めることができる。
【符号の説明】
【0084】
10…流体殺菌装置、12…処理流路、13…第1整流室、14…第2整流室、15…第1隙間、16…第2隙間、17…第1光源室、18…第2光源室、20…流路管、21…第1端部、21a…第1突出部、22…第2端部、22a…第2突出部、30…第1筐体、37…流出口、38…流出管、40…第2筐体、47…流入口、48…流入管、50…第1光源、55…第2光源。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、
前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、
前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、
前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、
前記隙間の通水断面積は、前記整流室および前記処理流路の通水断面積よりも狭いことを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項2】
前記対向部材の少なくとも一部は、前記光源からの紫外光を透過させる材料で構成され、
前記光源は、前記筐体と前記対向部材とにより区画される光源室内に設けられることを特徴とする請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項3】
前記対向部材は、前記隙間の前記軸方向の寸法が前記第1端部の全周にわたって一定となるように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の流体殺菌装置。
【請求項4】
前記流通口に接続される接続管をさらに備え、
前記接続管は、前記隙間から前記流通口に向かう方向と交差する方向に延びることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項5】
前記流通口は、前記隙間から前記軸方向にずれた位置に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項6】
前記整流室は、前記流路管の外側において前記第1端部から前記第2端部に向けて軸方向に延在する区間を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項7】
前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項8】
第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、
前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、
前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、
前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、
前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、
前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成されることを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項9】
第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、
前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、
前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、
前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、
前記流路管は、前記第1端部から径方向内側に突出する突出部を有することを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項10】
前記光源は、紫外光を発する少なくとも一つの発光素子を有し、前記軸方向と直交する前記処理流路の断面において中央付近の紫外光強度がその周囲の紫外光強度よりも高い強度分布となるように紫外光を照射することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項11】
前記光源は、前記光源から出力される指向角半値幅の範囲内の紫外光の全てが前記流路管の内部に入射されるように配置されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項12】
前記処理流路を流れる流体を整流するための整流板をさらに備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-04-12 
出願番号 特願2015-239469(P2015-239469)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A61L)
P 1 651・ 113- YAA (A61L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松本 瞳  
特許庁審判長 大橋 賢一
特許庁審判官 宮澤 尚之
山崎 直也
登録日 2017-01-27 
登録番号 特許第6080937号(P6080937)
権利者 日機装株式会社
発明の名称 流体殺菌装置  
代理人 村田 雄祐  
代理人 森下 賢樹  
代理人 三木 友由  
代理人 村田 雄祐  
代理人 森下 賢樹  
代理人 三木 友由  
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