• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
管理番号 1341984
異議申立番号 異議2017-700872  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-09-14 
確定日 2018-06-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6113986号発明「乳風味増強方法及び飲食品」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第6113986号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1,2〕,〔3,4〕について訂正することを認める。 特許第6113986号の請求項1?4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯の概略
特許第6113986号の請求項1?4に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の経緯は,概ね,以下のとおりである。
平成24年9月24日 特許出願
平成29年3月24日 設定登録
平成29年4月12日 特許掲載公報
平成29年9月14日 特許異議申立書(特許異議申立人:田中精一)
平成30年1月 4日 取消理由通知書
(発送日:平成30年 1月9日)
平成30年3月 8日 意見書(特許権者)及び訂正請求書
平成30年4月13日 意見書(特許異議申立人)
なお,以下,平成30年3月8日付けの訂正請求書を「本件訂正請求書」といい,これに係る訂正を「本件訂正」という。

第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正の請求は,本件特許の特許請求の範囲を,本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1?4について訂正することを求めるものであって,その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「ガラクトオリゴ糖を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で添加することを特徴とする,乳蛋白質含量が1.0質量%未満である飲食品の乳風味増強方法であって,該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量を添加する飲食品の乳風味増強方法。」と記載されているのを,「ガラクトオリゴ糖を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で添加することを特徴とする,乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品の乳風味増強方法であって,該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量を添加する飲食品の乳風味増強方法。」に訂正する。
(2) 訂正事項2について
特許請求の範囲の請求項3に「ガラクトオリゴ糖を有効成分とする乳風味増強剤を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で含有することを特徴とする,乳蛋白質含量が1.0質量%未満である飲食品であって,乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖を0.01?2質量部となる量で含有する飲食品。」と記載されているのを,「ガラクトオリゴ糖を有効成分とする乳風味増強剤を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で含有することを特徴とする,乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品であって,乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖を0.01?2質量部となる量で含有する飲食品。」に訂正する。

2 本件訂正の適否について
(1) 前記訂正事項1及び2は,本件訂正後の請求項1及び3に係る発明の「乳蛋白質含量」について,「0.1質量%以上1.0質量%未満である」と特定し,下限を設けるものであるから,前記訂正事項1及び2に係る本件訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
そして,本件特許明細書には,乳蛋白質含量について「また,上記飲食品は,ガラクトオリゴ糖により乳風味が増強されることから乳蛋白質含量は少なくても良好な乳風味を有するため,乳蛋白質含量が・・・,より好ましくは1.0質量%未満である。なお,飲食品の乳蛋白質含量の下限は0.1質量%である。」(【0028】)と記載されている。
よって,前記訂正事項1及び2は,新規事項を追加するものではなく,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
さらに,本件訂正は一群の請求項ごとに請求されたものである。
(2) 以上のとおりであるから,本件訂正は特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであって,同条4項及び同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので,訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1,2〕,〔3,4〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
前記第2のとおり,本件訂正は認められるから,本件特許の請求項1?4に係る発明は,訂正特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。以下,本件特許に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明1」などといい,総称して「本件発明」という。
【請求項1】
ガラクトオリゴ糖を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で添加することを特徴とする,乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品の乳風味増強方法であって,該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量を添加する飲食品の乳風味増強方法。
【請求項2】
更に,ガラクトオリゴ糖1質量部に対し乳清ミネラルを固形分換算で0.01?1質量部添加することを特徴とする,請求項1記載の乳風味増強方法。
【請求項3】
ガラクトオリゴ糖を有効成分とする乳風味増強剤を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で含有することを特徴とする,乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品であって,乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖を0.01?2質量部となる量で含有する飲食品。
【請求項4】
更に,ガラクトオリゴ糖1質量部に対し乳清ミネラルを固形分換算で0.01?1質量部含有することを特徴とする,請求項3記載の飲食品。

第4 取消理由の概要
1 本件訂正前の本件特許に対し通知した取消理由は,概ね,次のとおりである。なお,下記取消理由は本件特許異議の申立てにおける全ての申立理由(特許法29条1項3号,29条2項,36条6項1号)を含んでいる。
(1) 取消理由1
本件発明3は,甲第1号証,甲第2号証又は甲第3号証に係るウェブページに掲載された発明であって(後記2(1)),特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(2) 取消理由2
本件発明1?4は,甲第1号証,甲第2号証若しくは甲第3号証に係るウェブページに掲載された発明又は甲第6号証,甲第10号証,甲第13号証若しくは甲第14号証に記載された発明並びに甲第4号証?甲第12号証及び甲第14号証に記載された事項に基いて(後記2(1)),当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(3) 取消理由3
本件特許は,特許請求の範囲の記載が不備のため,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり,取り消されるべきものである。すなわち,本件特許の請求項1及び3において,ガラクトオリゴ糖含量及び乳蛋白質含量について,下限に制限がないが,ガラクトオリゴ糖含量を,例えば0.00001質量%にまで減じた場合でも,本件発明の課題を解決できるとは認められない。また,乳蛋白質含量がゼロに近いごく微量でも,本件発明の課題を解決できるとは認められない。

2 証拠方法
(1) 特許異議申立人が提出した証拠方法(甲第1号証?甲第22号証)は以下のとおりである。
甲第1号証:INTERNET ARCHIVE WAYBACK MACHINEの和光堂「飲料 原材料一覧」のウェブページの印刷物,2010年1月31日,[2017年8月16日検索]
<URL:http://wayback.archive.org/web/20100131042041/http://www.wakodo.co.jp:80/product/babyfood/raw_materials/drink_m.html#kk4>
甲第2号証:INTERNET ARCHIVE WAYBACK MACHINEのケンコーコム「元気っち ヨックル125ml*3本」のウェブページの印刷物,2012年6月1日,[2017年8月16日検索]
<URL:http://wayback.archive.org/web/20120601212113/https://www.kenko.com/product/item/itm_6901454072.html>
甲第3号証:元気印「元気っち ヨックル125ml*3本の投稿」のウェブページの印刷物,2009年4月27日,[2017年8月22日検索]
<URL:http://d.hatena.ne.jp/hagetara004/20090427>
甲第4号証:特開2005-21047号公報
甲第5号証:特開2010-263914号公報
甲第6号証:藤本佳則,「清涼飲料におけるオリゴ糖の利用特性」,ジャパンフードサイエンス,日本食品出版株式会社,2012年3月,51巻,3号,p.36-40
甲第7号証:「プロバイオティクス・プレバイオティクス素材の開発動向?整腸,免疫からアレルギーなどさらなるステージへ?」,食品と開発,CMPジャパン株式会社,2005年4月1日,40巻,4号,p.45-51
甲第8号証:「機能性甘味料の最新市場動向」,食品と開発,CMPジャパン株式会社,2004年12月1日,39巻,12号,p.59-65
甲第9号証:金井晴彦,「今後期待されるプレバイオティクス素材“ガラクトオリゴ糖”」,食品の包装,包装食品技術協会,平成22年3月8日,41巻,2号,p.44-50
甲第10号証:特開2008-199997号公報
甲第11号証:特開平10-337164号公報
甲第12号証:特開2010-119348号公報
甲第13号証:特開2011-177110号公報
甲第14号証:特開2010-227095号公報
甲第15号証の1:加工食品品質表示基準(最終改正平成24年6月11日消費者庁告示第5号)
甲第15号証の2:栄養表示基準(一部改正平成21年12月16日消費者庁告示第9号)
甲第16号証:食品表示研究会,「コンプライアンス確立のための指針 四訂 食品表示Q&A-制度の概要と実務に役立つ事例-」,中央法規出版株式会社,平成22年10月15日,p.362
甲第17号証:文部科学省,五訂増補日本食品標準成分表第2章13乳類,[平成29年8月18日検索]
<URL:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/002/013.pdf>
甲第18号証:特許実用新案審査基準第III部第2章第4節3.1.1
甲第19号証:乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)
甲第20号証の1:本件特許の出願に係る平成28年5月18日付けの拒絶理由通知書
甲第20号証の2:同平成28年7月12日付けの手続補正書
甲第20号証の3:同平成28年7月12日付けの意見書
甲第20号証の4:同平成28年11月28日付けの拒絶理由通知書(最後)
甲第20号証の5:同平成29年1月18日付けの手続補正書
甲第20号証の6:同平成29年1月18日付けの意見書
甲第21号証:南日本酪農協同株式会社「『ヨーグルッペライトカルシウム PET500ml』を5月26日(火)より,新発売」のウェブページの印刷物,2015年5月19日,[2017年7月13日検索]
<URL:http://www.dairy-milk.co.jp/news/post-61.html>
甲第22号証:爽快ドラッグ「ヨーグルッペライト(500ml*24本入)」のウェブページの印刷物,[2017年7月13日検索]
<URL:https:/store.shopping.yahoo.co.jp/soukai/4902986525156.html?_ysp=44Oo44O844Kw44Or44OD44OaIOODqeOCpOODiA%3D%3D>
(2) 特許権者が提出した証拠方法(乙第1号証?乙第14号証)は以下のとおりである。
乙第1号証:加工食品品質表示基準(最終改正平成24年6月11日消費者庁告示第5号)
乙第2号証:「食品衛生実務講習会(表示講習)教材 ?食品の表示についての新しい法律? 食品表示法ができました!」,東京都福祉保健局健康安全部食品監視課,平成28年3月
乙第3号証:「加工食品品質表示基準Q&A(第1集)」,農林水産省消費・安全局表示・規格課,平成13年3月(平成21年8月一部改正)
乙第4号証:「早わかり食品表示ガイド <事業者向け>?食品表示基準に基づく表示?」,消費者庁,平成28年6月
乙第5号証:「大切です!食品表示 食品表示法 食品表示基準手引編」,東京都福祉保健局健康安全部食品監視課,平成29年11月10日
乙第6号証:「各添加物の使用基準及び保存基準」,公益財団法人日本食品化学研究振興財団,[平成30年3月2日検索]
<URL:http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/a11c0985ea3cb14b492567ec002041df/980837ba5d9b0d28492575d6000785e6/$FILE/%E4%BD%BF%E7%94%A8%E5%9F%BA%E6%BA%96%EF%BC%88H29.06.23%EF%BC%89.pdf>
乙第7号証の1:厚生労働省「食品添加物」のウェブページの印刷物,[平成30年3月2日検索]
<URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/shokuten/>
乙第7号証の2:指定添加物リスト(規則別表第1),[平成30年3月2日検索]
<URL:http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/a11c0985ea3cb14b492567ec002041df/407593771b8750e94925690d0004c83e?OpenDocument>
乙第7号証の3:既存添加物名簿収載品目リスト,[平成30年3月2日検索]
<URL:http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/a11c0985ea3cb14b492567ec002041df/c3f4c591005986d949256fa900252700?OpenDocument>
乙第7号証の4:天然香料基原物質リスト,[平成30年3月2日検索]
<URL:http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/a11c0985ea3cb14b492567ec002041df/b949aef970492f0b4925684600083647?OpenDocument>
乙第7号証の5:一般に食品として飲食に供されている物であって添加物として使用される品目リスト,[平成30年3月2日検索]
<URL:http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/a11c0985ea3cb14b492567ec002041df/58c1b6daef61dfa04925684600097831?OpenDocument>
乙第8号証:文部科学省,五訂増補日本食品標準成分表(砂糖及び甘味類),[平成30年3月8日検索]
<URL:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/002/003.pdf>
乙第9号証:文部科学省,五訂増補日本食品標準成分表(乳類),[平成30年3月8日検索]
<URL:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/002/013.pdf>
乙第10号証:「食品表示基準について(新旧対照表)」(平成27年3月30日消食表第139号),[平成30年3月8日検索]
<URL:http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150914_tuchi-shinkyu.pdf>
乙第11号証:財団法人食品分析開発センターSUNATEC「加工食品の熱量の算出方法について」のウェブページの印刷物,[平成30年2月15日検索]
<URL:http://www.mac.or.jp/mail/08201/02.shtml>
乙第12号証:一般財団法人日本食品分析センターの「FAQ」のウェブページの印刷物,[平成30年2月15日検索]
<URL:http://www.jfrl.or.jp/faq/index.html>
乙第13号証:特開2007-289181号公報
乙第14号証:特開平2-27941号公報

以下,各号証を証拠の番号に従って「甲1」,「乙1」などという。

第5 甲1?14について
1 甲1?3
(1) 甲1に記載された事項
・「【原材料名に関するご注意】
2009年9月11日現在の製造品情報です。」(1頁)
・「

」(2頁)
(2) 甲2に記載された事項
・「元気っちヨックル125ml^(*)3本」(1頁)
・「商品説明
『元気っちヨックル125ml^(*)3本』は,赤ちゃんの成長に大切なカルシウムを配合したヨーグルトテイストのジュース(ベビー用)です。」(2頁)
・「

」(2頁)
・「更新日:2012/06/02」(3頁)
(3) 甲3に記載された事項
・「2009-04-27
元気っちヨックル125ml^(*)3本の投稿
・・・
商品説明『元気っちヨックル125ml^(*)3本』は,赤ちゃんの成長に大切なカルシウムを配合したヨーグルトテイストのジュース(ベビー用)です。」(1頁)
・「

」(1頁)
(4) 甲1?3に記載された事項からすると甲1,甲2又は甲3には,それぞれ次の発明が記載されているといえる(以下,それぞれ「甲1?3発明の1」,「甲1?3発明の2」という。)。
(甲1?3発明の1)
「原材料として,糖類(砂糖,ガラクトオリゴ糖液糖),脱脂粉乳,グルコン酸カルシウム,クエン酸,安定剤(ペクチン),香料(大豆を含む)を含有させる,100mlあたり,エネルギー35kcal,たんぱく質0g,脂質0g,炭水化物8.7g,ナトリウム0?10mg,カルシウム65mg,ガラクトオリゴ糖0.14gである,飲料の製造方法。」
(甲1?3発明の2)
「原材料として,糖類(砂糖,ガラクトオリゴ糖液糖),脱脂粉乳,グルコン酸カルシウム,クエン酸,安定剤(ペクチン),香料(大豆を含む)を含有する,100mlあたり,エネルギー35kcal,たんぱく質0g,脂質0g,炭水化物8.7g,ナトリウム0?10mg,カルシウム65mg,ガラクトオリゴ糖0.14gである,飲料。」

2 甲4,5
(1) 甲4に記載された事項
・「【0002】
【従来の技術】
乳含有製品としての風味は,香気,呈味,口当たりとこくみの総合的な食感で表される乳感の三つに大別できる。代表的な乳含有製品として牛乳を一例にあげると,・・・口当たりやこくみなどの乳感は,乳脂肪や乳タンパク質によるもので,乳製品独特のボディ感は,この口当たりやこくみに寄るところが大きい。
【0003】
ところが乳含有製品においては,昨今の健康志向の高まりから,動物性脂肪である乳脂肪が敬遠され,且つ低カロリーの乳含有製品が求められてきている。・・・乳脂肪含量を低くすると,乳脂肪由来の乳感や芳醇な香気が損なわれるのが現状である。従って,乳脂肪分が少ない場合でも,乳由来と同等の乳感や芳醇な香気や呈味を有する,乳風味豊かな乳含有製品の開発は,食品業界において課題である。
・・・
【0005】
一般に,食品の乳風味付与剤としては全脂粉乳や脱脂粉乳といった粉体乳製品が用いられるが,これらを添加するだけでは,前記のように,香気,呈味,乳感からなる乳風味を十分に付与することができない。特に製品の低カロリー化を図るために脱脂粉乳が多用されてきたが,ボディ感が非常に低く,単独の配合ではとても満足のいくものではない。」
(2) 甲5に記載された事項
・「【0002】
市場の志向の一つに,豊かな乳風味の食品を求める傾向がある。従来乳風味を高めるために,生クリーム,バター,全脂粉乳,脱脂粉乳等が使用されてきた。しかしながらこれらの乳原料は豊かな乳風味とコク味の両方を満たすという点では十分では無く,又,生クリームやバターは高価であり物性が不安定であるといった問題もあった。」

3 甲6
(1) 甲6に記載された事項
・「

」(37頁)
・「昨今の飼料高騰もあり,牛乳の価格が不安定となることがある.清涼飲料の中でも牛乳を多く使用するカフェオレやミルクティー等では,乳分のコストダウン,代替品が求められている.そこで,脱脂粉乳等を代替品として用いた場合には,その風味が課題となることがある.ブランチオリゴはそのコクがこうした乳飲料にマッチし,風味には影響しないため,牛乳の一部を代替することでコストダウンが可能である.
図6は牛乳30または35%の水溶液と,牛乳30%にブランチオリゴおよび短鎖分岐オリゴ糖を1%添加した試験区のコクに関する官能評価を実施した結果である.牛乳30%と比較して短鎖分岐オリゴ糖添加区はコクが付与されるが,ブランチオリゴはそれ以上のコク付与効果を得られ,牛乳35%区にかなり類似していることが分かる.つまり,この場合,牛乳5%分のコクをブランチオリゴ1%が補ったことになり,コスト軽減に繋がる可能性が示唆されている.当該効果は,ブランチオリゴを添加することで豆乳にコクを付与し,マイルドな味質にしたり,ホワイトソースにおいてはその乳味感を増強し,コクのあるホワイトソースに仕上げる等,様々な用途でも応用されている.」(40頁左欄7行?右欄4行)
・「

」(40頁右欄)
(2) 以上のように,甲6には,牛乳30%の水溶液にぶどう糖から構成される長鎖分岐オリゴ糖1%を添加した飲料が記載されているところ,牛乳の一般的な乳蛋白質含量は3.3質量%であるから(甲17),飲料中の乳蛋白質含量は0.99質量%(=3.3%×30%)であり,乳蛋白質含量1質量部に対する長鎖分岐オリゴ糖の量は1.01質量部(=1/0.99)である。
そうすると,甲6には,次の発明が記載されているといえる(以下,それぞれ「甲6発明の1」,「甲6発明の2」という。)。
(甲6発明の1)
「乳蛋白質含量が0.99質量%の飲料に,長鎖分岐オリゴ糖を,飲料中の固形分として1質量%,乳蛋白質1質量部に対して1.01質量部となる量を添加する,飲料のコク付与方法。」
(甲6発明の2)
「乳蛋白質含量が0.99質量%であり,長鎖分岐オリゴ糖を,飲料中の固形分として1質量%,乳蛋白質1質量部に対して1.01質量部となる量で含有する,飲料。」

4 甲7?9
(1) 甲7に記載された事項
・「ヤクルトは,この2月にL.カゼイシロタ株とガラクトオリゴ糖を組み合わせた,高い整腸作用を持つ店頭向け乳製品『ヤクルト300V』を発売。・・・。ガラクトオリゴ糖はヒトの母乳にも含まれるオリゴ糖のひとつで,母乳栄養児のビフィズス菌増殖因子となっており,育児粉乳やベビーフード分野でも大いに利用されている。・・・
日新カップは,日新製糖の製造したガラクトオリゴ糖の液状品と粉末品を販売する。・・・健康食品や機能性食品での利用が好調であり,味質的にも乳製品と相性が良いことから乳関連への提案も強めている。」(49頁右欄15?下から4行)
(2) 甲8に記載された事項
・「ガラクトオリゴ糖
ヤクルトが製造するガラクトオリゴ糖の外販窓口であるヤクルト薬品工業は『オリゴメイト』の商品名で展開している。・・・
外販用途では発酵乳,デザート,テーブルシュガーや機能性食品とサプリメントなどでの利用が進んでいる。ガラクトオリゴ糖はヒトの母乳に含まれる4’-ガラクトシルラクトースを主成分としており,育児粉乳,ベビーフードでも安定した需要がある。乳製品との相性もよく利用が進んでいるようだ。・・・
日新カップでは,日新製糖が製造するオリゴ糖シロップ品と粉末品の原料販売を行っている。・・・最近はガラクトオリゴ糖の味質が乳製品にマッチすることを前面に打ち出しながらプレゼンテーションを行い,乳業・デザートメーカーを中心に実績が着実に伸びているという。」(60頁中欄19?末行)
(3) 甲9に記載された事項
・「1.ガラクトオリゴ糖の構造
ガラクトオリゴ糖(以下,GOSと略す)は,乳糖にβ-ガラクトシダーゼ・・・を作用させたときに生成する,ガラクトースを主成分とする2?6糖のオリゴ糖の総称である。当社のGOS『商品名:オリゴメイト^(3)(以下,OMと略す)』の代表的な成分は,乳糖に1個のガラクトースが結合した4’-ガラクトシルラクトース・・・で,母乳中にその存在が知られている。そのほか,乳糖に数個のガラクトースが結合した4?5糖や,ガラクトースとグルコースがβ-1,3やβ-1,6結合した2糖(転移2糖)も含まれる。」(44頁左欄下から14?4行)
・「4.オリゴメイトの製造方法
工業的なOMの製造は,乳糖にβ-ガラクトシダーゼを作用させて行うが,この反応は生成するGOSの生成量や構造が酵素の起源によって異なっており,GOSの製造には糖転移能の高い酵素が選択される。OMは酵母菌体のβ-ガラクトシダーゼを利用して生産されている。・・・当社では酵素反応工程で得られたGOSと乳糖,単糖の混合液を精製・濃縮し,固形分あたり55%のGOSを含有するBrix75のシロップ状のオリゴメイト55N(以下,OM55Nと略す)と,これを乾燥した粉末品のオリゴメイト55NP(以下,OM55NPと略す)を製造している。」(45頁右欄17?29行)
・「1)乳製品
OM55Nは乳糖を原料として製造され,味質も類似していることから乳を主原料としたはっ酵乳(ヨーグルト)や乳酸菌飲料に自然な形で使用できる。近年,腸内菌叢のバランスを改善することによりヒトに有益な作用をもたらす『プロバイオティクス』と呼ばれるビフィズス菌や乳酸菌が,これらの食品に使用されてきている。OM55Nは,選ばれた菌のもつ生理作用(整腸作用,感染防御,免疫機能の増強など)を腸管内で効果的に発揮させるため増殖促進物質として注目され,製品の付加価値アップに貢献している。」(47頁右欄2?12行)

5 甲10
(1) 甲10に記載された事項
・「【請求項1】
セロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする酸味マスキング剤。
【請求項2】
請求項1に記載の酸味マスキング剤を含む食品。」
・「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は,食品本来の風味にほとんど変化を与えずに,酸味や酢酸臭を効率的に低減(マスキング)する酸味マスキング剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは,上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果,セロオリゴ糖を食品に添加することにより食品本来の味に変化を与えることなしに食品の酸味や酢酸臭などの不快臭を有効に低減(マスキング)することができることを確認した。さらに酸味低減のみならず,食品にコク味も付与または増強することが出来ることを見いだし,本発明を完成するに至った。」
・「【0016】
本発明の酸味マスキング剤は,食品に酸味を低減させるだけでなく,コク味をも付与するものである。ここでコク味とは,一般に食品の本格的な風味,複雑なおいしさを表す用語である。一般的には,食品本来が持つ味の『強さ』,『広がり』,『持続性』,『ハーモニー』などの要素から構成されており,味の濃厚感が強いとコク味も強く感じることになり,逆に味が物足りないときはコク味によって改善される。」
・「【0025】
本発明の酸味マスキング剤の食品への添加量は,食品の種類,本発明の酸味マスキング剤中におけるセロオリゴ糖の含有割合などにもよるが,セロオリゴ糖として一般に0.05?10重量%,中でも0.1?3重量%が好ましい。0.05重量%より少ないと充分な効果が発現されず,10重量%を超えると風味のバランスが崩れ,コスト的にも不利となるおそれがある。一般的に,液体食品の方が固体食品と比べて少ない添加量で大きな効果が得られることが多い。」
・「【0029】
<酸味の官能検査>
官能検査は,15名のパネラーにより,酸味の度合いを順位法(酸味が弱い順に1?5で評価)にて評価し,その合計値を求めた。
【0030】
<コク味の官能検査>
官能検査は,15名のパネラーにより,コク味の度合いを順位法(コク味が強い順に1?5で評価)にて評価し,その合計値を求めた。
・・・
【0032】
実施例1
プレーンタイプの市販乳酸菌飲料(明治乳業製)にセロオリゴ糖(セロビオース96重量%,グルコース2重量%,セロトリオース2重量%)を有効成分として含有する本発明の酸味マスキング剤を乳酸菌飲料に対し0.5重量%添加し,酸味の低減効果およびコク味の向上効果を評価した。又,セロビオース含量が異なるセロオリゴ糖(セロビオース85重量%,グルコース13重量%,セロトリオース2重量%),(セロビオース70重量%,グルコース29重量%,セロトリオース1重量%)についても,同様に0.5重量%添加して評価した。
【0033】
比較対象として,セロオリゴ糖の代わりにトレハロース(商品名『トレハ』純度98%,(株)林原製)を,各々乳酸菌飲料に対し0.5重量%添加し,酸味およびコク味の評価結果を比較した。
【0034】
結果を表1に示す。表1の結果をもとに順位法の検定表を用いる方法により検定を行ったところ,危険率5%で有意差が認められた(*印)。
【0035】
【表1】

【0036】
本発明品を添加したものは酸味がマスキングされると共に,コク味も付与することが出来た。特に,セロビオース含量85重量%以上の本発明品を添加したものにおいて効果は顕著であった。一方,トレハロースを添加したものは,酸味のマスキングが不十分であり,コク味の付与もあまり感じられなかった。」
(2) 以上のように,甲10には,市販の乳酸菌飲料にセロオリゴ糖を固形分として0.5重量%添加したものが記載されているところ,セロオリゴ糖(セロビオース96重量%,グルコース2重量%,セロトリオース2重量%)からグルコースを除くとセロオリゴ糖(セロビオース,セロトリオース)は,0.49重量%(=0.5%×(0.96%+0.2%))となる。
また,市販の乳酸菌飲料の乳蛋白質含量は,一般に0.4?1.5質量%であるから(甲17),乳蛋白質1質量部に対するセロオリゴ糖(グルコースを除く)の量は,0.33?1.23質量部(=0.49/1.5?0.49/0.4)となる。
そうすると,甲10には,次の発明が記載されているといえる(以下,それぞれ「甲10発明の1」,「甲10発明の2」という。)。
(甲10発明の1)
「乳蛋白質含量が0.4?1.5質量%の乳酸菌飲料に,セロオリゴ糖(グルコースを除く)を,飲料中の固形分として0.49質量%,乳蛋白質1質量部に対して0.33?1.23質量部となる量で添加する,乳酸菌飲料の酸味マスキング及びコク味付与方法。」
(甲10発明の2)
「乳蛋白質含量が0.4?1.5質量%であり,セロオリゴ糖を有効成分とする酸味マスキング剤を,飲料中のセロオリゴ糖(グルコースを除く)の固形分として0.49質量%,乳蛋白質1質量部に対して0.33?1.23質量部となる量で含有する,乳酸菌飲料。」

6 甲11,12
(1) 甲11に記載された事項
・「【請求項1】 キシロオリゴ糖粉末又は溶液の固形物中の糖組成が各々キシロース3?55%,キシロビオース25?85%,キシロトリオース5?45%,その他のキシロオリゴ糖0?35%であるキシロオリゴ糖を含有し,良好な風味や甘味を有することを特徴とする飲料の製造方法。」
・「【0022】本発明に使用する範囲の組成を有するキシロオリゴ糖の特徴は,例えば,次のようなことが挙げられる。
【0023】○1(注:原文は丸付き数字。以下同様。)砂糖に比較して甘味約40%(組成:キシロース37%,キシロビオース48%,キシロトリオース15%)から甘味約25%(組成:キシロース5%,キシロビオース72%,キシロトリオース23%)であり,キシロビオースの甘味は砂糖の約30%と極めて低い。
○2上品でクセのない良質な甘味を有する。
○3虫歯の誘発因子とならない。
○4アミノ酸や蛋白質等と共に加熱することによって,食欲をそそる適度な香りを生じ,更に美しい黄金色を呈する。
○5飲料品にコク味を付与する。
【0024】このような特徴を持つキシロオリゴ糖を原料として使用した場合に好適な飲料としては,例えば,清酒,清涼飲料水,果汁飲料,乳飲料,コーヒー,紅茶等の飲料が挙げられる。」
・「【0041】
【実施例4】[ミルクコーヒー]
【0042】コーヒー豆40gを650ミリリットルの熱水にて抽出してコーヒー抽出液とした。牛乳9.0g,乳化剤0.1g,水10.0g,砂糖6.6g,参考例3で得たキシロオリゴ糖1.5g,レバウディオサイドA0.003g,コーヒーフレーバー0.015g,にコーヒー抽出液を加えて全量を100ミリリットルとした。本品は,キシロオリゴ糖の添加により,コーヒーの持つ風味を失うことなく,適度な甘味とコクを付与された飲料であった。」
・「【0047】
【比較試験】[キシロオリゴ糖の有無による味質の比較]
【0048】キシロオリゴ糖を使用した飲料について,味質の違いを比較するため,実施例4のミルクコーヒーと実施例6のミルクティーについて,キシロオリゴ糖に代えて砂糖を用い,同様の処方で比較品を製造した。キシロオリゴ糖に代わる砂糖の使用量は0.6gとし,キシロオリゴ糖1.5gが持つ甘味度と等しくなるようにした。比較試験では,15歳から40歳の男女各20名に150ミリリットルをそれぞれ試飲させ,本発明品と比較品による官能検査を行なった。そして,特にフレーバーについての比較結果を表1に,甘味や味等の総合的な比較結果を表2に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】表1,表2によると,キシロオリゴ糖入り飲料の方が良好な風味や甘味を有し,好ましいものであることが確認された。」
(2) 甲12に記載された事項
・「【請求項1】
脱塩梅酢と梅果汁とを含有することを特徴とする飲料。
・・・
【請求項4】
さらに,ガラクトオリゴ糖を含有することを特徴とする請求項第1項乃至第3項の何れかの項に記載の飲料。
・・・
【請求項7】
梅果汁を含有する飲料に脱塩梅酢を添加することを特徴とする梅果汁を含有する飲料の風味改善方法。
【請求項8】
さらに,ガラクトオリゴ糖を添加することを特徴とする請求項第7項記載の梅果汁を含有する飲料の風味改善方法。」
・「【0001】
本発明は,梅の風味を有する飲料およびその製造方法ならびに梅果汁を含有する飲料の風味改善方法に関するものである。」
・「【0008】
従って,本発明は,人工的な風味となることなく,梅果汁を含有する飲料に特有の,呈味感がないという問題が改善された,優れた梅の風味を有する飲料を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは,上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果,梅果汁を含有する飲料に脱塩梅酢を配合することにより,梅本来の呈味感が付与されることを見出した。
【0010】
さらに,梅果汁と脱塩梅酢を含有する飲料にガラクトオリゴ糖を配合することにより,呈味感が増強されることを見出し,本発明を完成させた。」
・「【0031】
上記した本発明の飲料には,さらに呈味感が増強されたものとするために,ガラクトオリゴ糖を含有させることが好ましい。・・・また,本発明の飲料におけるガラクトオリゴ糖の含有量は,・・・より風味をよくするためには,0.4?10%であることが好ましい。なお,本発明の飲料におけるガラクトオリゴ糖の含有量が0.4%未満だと,コクや飲み応えが弱くなることがあるため,その含有量が0.4?10%である場合に比べて好ましくなく,含有量が10%を超えるとコクや飲み応えが強くなりすぎることがあるため,その含有量が0.4?10%である場合に比べて好ましくない。なお,上記ガラクトオリゴ糖の含有量は,ガラクトオリゴ糖の固形分の含有量である。」
・「【0036】
斯くして得られる本発明の飲料は,呈味感が増強され,梅本来の豊かな梅感があり梅本来の味わいを楽しむことができる風味良好な梅果汁を含有する清涼飲料,炭酸飲料,アルコール飲料等の飲料である。」
・「【0039】
実 施 例 1
飲料の製造(1):
果糖ブドウ糖液糖10%,蔗糖2%,クエン酸ナトリウム0.05%,香料を0.05%,梅果汁および脱塩梅酢を表1に示すとおりの配合量で混合溶解後,90℃まで加熱して殺菌した。次いで,これを缶容器に充填した後冷却し,飲料を得た。得られた飲料をパネラー5名で飲用し,下記評価基準により風味評価した。この結果も表1に示した。
【0040】
<風味評価基準>
(評価) (内容)
◎ : 風味がとてもよい
○ : 風味がよい
△ : どちらでもない
× : 風味が悪い
・・・
【0043】
実 施 例 2
飲料の製造(2):
果糖ブドウ糖液糖10%,蔗糖2%,クエン酸ナトリウム0.05%,香料0.05%と,梅果汁,脱塩梅酢およびガラクトオリゴ糖を表2に示すとおりの配合量で混合溶解後,90℃まで加熱して殺菌した。次いで,これを缶容器に充填した後冷却し,飲料を得た。得られた飲料を飲用し,実施例1と同様の評価基準により風味評価した。この結果も表2に示した。
【0044】
【表2】

【0045】
上記の結果より,梅果汁と脱塩梅酢を含有する飲料に,さらに,ガラクトオリゴ糖を含有させることで,梅の呈味感やこくが増し,さらにまろやかとなることが明らかとなった。また,梅果汁とガラクトオリゴ糖を含有する飲料であっても,脱塩梅酢を含有していない飲料は呈味感が得られないことが示された。」

7 甲13
(1) 甲13に記載された事項
・「【請求項1】
乳清ミネラル及び乳糖が添加されたコーヒー飲料。
・・・
【請求項7】
乳清ミネラルとともに乳糖を添加することによる,コーヒー飲料の呈味改善方法。
・・・
【請求項11】
乳糖を有効成分とする,乳清ミネラル含有コーヒー飲料の呈味改善剤。」
・「【0001】
本発明は,乳清ミネラルとともに乳糖を添加したコーヒー飲料に関する。さらには脂質の含有量を一定以下に抑えたコーヒー飲料において,乳清ミネラルとともに乳糖を添加したコーヒー飲料に関する。」
・「【0007】
このような観点から本発明者らは,糖類とともに脂質の含有量を一定以下に抑えることにより不足したコーヒー飲料としての飲み応え(ボディー)を補充するために,乳清ミネラルを配合することを試みた。しかしながら乳清ミネラルには,それ自体に塩味とともに独特の後口の渋味・収斂味があるため,コーヒー飲料に配合した際,その渋味・収斂味が発生し香味バランスが崩れてしまうことが明らかとなった。特に糖類とともに脂質の含有量を一定以下に抑えたコーヒー飲料においては,乳清ミネラルの渋味・収斂味が表面化し,香味バランスが大きく崩れてしまう。また脂質の含有量を一定以下に抑えることにより不足した乳風味は,乳清ミネラルを添加しても補えないことが明らかとなった。
さらに,脂質の含有量を一定以下に抑えなければならない低脂質含量のコーヒー飲料においては,・・・不足したコーヒー飲料としての飲み応え(ボディー)を補充するには,相当量の乳清ミネラルの添加が必要となり,乳清ミネラルに起因する渋味・収斂味が顕著となってしまう。そこで,・・・高甘味度甘味料を併用して乳清ミネラルに由来する後口の渋味・収斂味をマスキングすることを試みたが,乳清ミネラルの添加量に応じて相当量の高甘味度甘味料を添加する必要があるため,過度に甘味が目立ってしまい香味バランスをうまく保つことができなかった。
・・・
【0009】
したがって,本発明は,コーヒー飲料において,飲み応え(ボディー)及び乳風味があり,しかも乳清ミネラルに由来する後口の渋味・収斂味がなく,香味バランスの優れた飲料を提供することを目的とする。」
・「【発明の効果】
【0012】
本発明によると,乳清ミネラルとともに乳糖を併用することにより,乳清ミネラルの渋味や収斂味等の後口の悪さがマスキングされ,香味バランスが良好で,しかも乳風味に優れ飲み応えのあるコーヒー飲料を提供する事が可能になる。
・・・
【0013】
また本発明により,乳清ミネラルの独特の後口の悪さが解消し汎用性が向上するため,乳のコクを保持しながら,糖類や牛乳の添加量を抑えたコーヒー飲料,あるいはブラックコーヒーでありながら,乳風味を有する新ジャンルのコーヒー飲料を提供する事が可能になる。」
・「【0019】
本発明のコーヒー飲料は,乳清ミネラルと乳糖とを配合することによって,乳清ミネラルによるボディー感を奏しつつ,乳清ミネラルによる後口の渋味・収斂味が抑制された,香味バランスと乳風味に優れたコーヒー飲料となっている。すなわち,乳清ミネラルを添加した場合に発生する独特の渋味・収斂味を,乳糖を添加することによりマスキングし,さらに乳風味を付与したものであり,低カロリーでありながら,香味バランスのとれたコーヒー飲料である。
本発明において乳清ミネラルによる後口の渋味・収斂味を抑え,さらに乳風味を付与するために,コーヒー飲料に乳糖を添加する。」
・「【0026】
・・・
以下の実施例では,乳清ミネラルとして「みるくのミネラル」(株式会社ADEKA製)を使用した。該乳清ミネラルは89.7質量%の水分と10.3質量%の無脂乳固形分(うち灰分6.4質量%)から構成されるものである。また,灰分としてはカリウムとナトリウムが主成分であり,乳清ミネラル中にカリウム約2.3質量%,ナトリウム約0.6質量%を含む。また該乳清ミネラルは,乳たんぱく質と乳糖を含まない。
【0027】
試験例1:コーヒー飲料
焙煎コーヒー豆(L値22.5)(アラビカ種)を粉砕機(日本グラニュレーター社製)で粉砕し(粉砕の程度:中細挽き),94℃の熱水でドリップ抽出を行い,Brix2.5(%)のコーヒー抽出液(焙煎コーヒー豆の抽出物)を得た。このコーヒー抽出液を500メッシュで濾過して不溶性固形分を除いたものを以下で使用した。
以下の表に示す処方にて,コーヒー抽出液,重曹,アセスルファムカリウム,牛乳,乳清ミネラル(「みるくのミネラル」),乳糖(レプリノフーズ(Leprino Foods)社製)を適宜混合して溶解し,コーヒー飲料を調製した。
調製したコーヒー飲料を室温にて専門パネラーにより官能評価を行った。官能評価は,後口に残る渋味・収斂味については,認められない場合に「-」とし,認められる場合は強度レベルに従って「+」?「++++++++」として評価した。同様に乳風味については,認められない場合に「-」とし,認められる場合は強度レベルに従って「+」?「++++++」として評価した。コーヒー飲料としての厚味については,厚味が付与されていない場合に「-」とし,付与されている場合は強度レベルに従って「+」?「+++++++」として評価した。」
・「【表6】

ミルク入りコーヒー飲料についても評価したが,ブラックコーヒーと同様の結果であった。」
(2) 以上のように,甲13には,乳糖を0.0375?0.3質量%含有するミルク入りコーヒー飲料が記載されているところ(実施例24?28,表6),当該ミルク入りコーヒー飲料は,仕上げ量1Lに対し牛乳51.6g含有し,牛乳の乳蛋白質含量は3.3質量%で(甲17),牛乳の比重は約1であるから,その乳蛋白質含量は0.17質量%である(=51.6×3.3%×100/1000)。また,乳蛋白質1質量部に対する乳糖の量は0.22?1.76(=0.0375/0.17?0.3/0.17)である。
そうすると,甲13には,次の発明が記載されているといえる(以下,それぞれ「甲13発明の1」,「甲13発明の2」という。)。
(甲13発明の1)
「乳蛋白質含量が0.17質量%である乳清ミネラル含有ミルク入りコーヒー飲料に,乳糖を,飲料中の固形分として0.0375?0.3質量%,乳蛋白質1質量部に対して0.22?1.76質量部となる量で添加する,乳清ミネラル含有ミルク入りコーヒー飲料の呈味改善方法。」
(甲13発明の2)
「乳蛋白質含量が0.17質量%であり,乳糖を有効成分とする呈味改善剤を,飲料中の乳糖の固形分として0.0375?0.3質量%,乳蛋白質1質量部に対して0.22?1.76質量部となる量で含有する,乳清ミネラル含有ミルク入りコーヒー飲料。」

8 甲14
(1) 甲14に記載された事項
・「【請求項1】
乳清ミネラル及び甘味料を含有し,タンパク質及び油脂を実質的に含有しないことを特徴とする乳風味飲料。
・・・
【請求項5】
上記甘味料の一部又は全部が乳糖であることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の乳風味飲料。
・・・
【請求項10】
請求項1?7の何れかに記載の乳風味飲料で牛乳の一部を代替してなる乳飲料。」
・「【0001】
本発明は,乳タンパク質及び乳脂を含有しないにも係らず,牛乳同様の風味を有する,新規な乳風味飲料に関する。」
・「【0011】
従って,乳脂肪分や乳タンパク質含量を減じた場合,更には実質的に含有しない場合であっても牛乳と同等の呈味を有する飲料の開発は,食品業界において課題であった。
・・・
【0013】
従って,本発明の目的は,タンパク質及び油脂を実質的に含有しないにも係らず,牛乳と同等の呈味を有する乳風味飲料を提供することにある。」
・「【0014】
本発明者等は,上記目的を達成すべく種々検討した結果,乳清ミネラル,特にカルシウム含量を減じた乳清ミネラルと甘味料を溶解した水溶液が,透明溶液であるにも係らず,また,牛乳のおいしさの基であるとされる乳脂肪も乳タンパク質も含有しないにも関わらず,意外にも牛乳とほとんど同様の呈味を示すことを知見した。」
・「【0019】
本発明の乳風味飲料は,タンパク質及び油脂を実質的に含有しないにも係らず,牛乳と同様の風味を呈する。また,この乳風味飲料は食品加工用として,様々な飲食品への使用ができ,汎用性が高い。」
・「【0025】
本発明の乳風味飲料における上記乳清ミネラルの含有量は,固形分として好ましくは0.1?5質量%,より好ましくは0.3?2.5質量%,更に好ましくは0.4?1.4質量%である。上記乳清ミネラルの含有量が0.1質量%未満であると,乳風味が感じられず,また,5質量%を超えると,乳風味を感じなくなることに加え,苦味が強く,不快な風味を呈するようになってしまう。」
・「【0027】
本発明で使用することができる甘味料としては,乳糖をはじめ,ブドウ糖,果糖,ショ糖,麦芽糖,酵素糖化水飴,還元澱粉糖化物,還元水飴,異性化液糖,ショ糖結合水飴,オリゴ糖,還元糖ポリデキストロース,還元パラチノース,ソルビトール,還元乳糖,L-アラビノース,トレハロース,キシロース,キシリトール,マルチトール,エリスリトール,マンニトール,フラクトオリゴ糖,大豆オリゴ糖,ガラクトオリゴ糖,乳果オリゴ糖,キシロオリゴ糖,ラフィノース,ラクチュロース,パラチノース,パラチノースオリゴ糖等の糖類や糖アルコール,スクラロース,アセスルファムカリウム,ステビア,アスパルテーム,ネオテーム,ソーマチン,甘草,サッカリン,羅漢果等の,高甘味度甘味料が挙げられる。これらの甘味料は,単独で用いることもでき,又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0028】
本発明の乳風味飲料における上記甘味料の含有量は,・・・また質量%に換算すると,乳風味飲料中,好ましくは0.00001?25質量%,より好ましくは0.000025?20質量%,更に好ましくは0.00006?15質量%である。」
・「【0049】
また,上記飲料の一つの形態として,本発明の乳風味飲料を牛乳と混合,すなわち,本発明の乳風味飲料で牛乳の一部,好ましくは20?80質量%を代替し,乳飲料とすることができる。この場合,牛乳に比べ,乳タンパク質や乳脂肪の含有量が少ないにも係らず,牛乳とほとんど同一の呈味を示し,且つ,牛乳に比べて低カロリーである。
【0050】
更に,本発明の乳風味飲料や,本発明の乳風味飲料で牛乳の一部を代替した乳飲料は,通常牛乳を使用する飲食品を製造する際に,牛乳の一部又は全部を代替して使用することができる。この場合,牛乳を使用した飲食品に比べ,乳タンパク質や乳脂肪の含有量が少ないにも係らず,牛乳を使用した場合とほとんど同等の呈味を示し,且つ,牛乳を使用した場合に比べて低カロリーである。」
・「【0055】
〔製造例2〕
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後,更に逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し,次いで,80℃,20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し,これを更にエバポレーターで濃縮し,スプレードライ法により,固形分98質量%の乳清ミネラルBを得た。」
・「【0057】
〔実施例2〕
乳清ミネラルB0.6質量部と乳糖5質量部を水94.4質量部に添加・溶解し,乳風味飲料Bを得た。得られた乳風味飲料Bの吸光度を実施例1と同様の方法で測定したところ0.0001未満であった。
得られた乳風味飲料Bのタンパク質含有量は0.11質量%,脂質含量は0.01質量未満,乳清ミネラルと甘味料の比率は,乳清ミネラルの固形分1質量部に対し,ショ糖換算で1.4質量部以上であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%,脂質含量は3.8質量%)を用意し,乳風味飲料Bと比較飲食したところ,乳風味飲料Bは,市販の牛乳とほぼ同等の風味を有していた。
また,この乳風味飲料Bをウォーターバスで80℃,20分間加熱したが,水溶液中に沈殿を生じず,清澄な状態を維持していた。」
・「【0063】
〔実施例8〕
市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%,脂質含量は3.8質量%):実施例2で得られた乳風味飲料B=25:75の質量比で混合し,牛乳の75%を本発明の乳風味飲料で代替した本発明の乳飲料Aを得た。
対照として上記市販の牛乳を用意し,乳飲料Aと比較飲食したところ,乳飲料Aは,乳のコク味,乳風味とも市販の牛乳とほとんど同一であった。」
・「【0066】
〔比較例1〕
実施例2における乳清ミネラルBの添加量を0.6質量部から無添加に変更し,水の添加量を94.4質量部から95質量部に変更した以外は実施例2と同様の配合・製法で,乳風味飲料Hを得た。得られた乳風味飲料Hの吸光度を下記の方法で測定したところ0.0001未満であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%,脂質含量は3.8質量%)を用意し,乳風味飲料Hと比較飲食したところ,乳風味飲料Hは,牛乳の風味は全く感じられなかった。」
(2) 以上のように,甲14には,乳清ミネラルB0.6質量部と乳糖5質量部を水94.4質量部に添加・溶解した乳風味飲料Bが記載され(実施例2),市販の牛乳に対し,この乳風味飲料Bを25:75の質量比で混合した乳飲料Aが記載されている(実施例8)。牛乳と乳風味飲料Bの蛋白質含量はそれぞれ3.3質量%,0.11質量%であるから,乳飲料Aの乳蛋白質含量は0.91質量%(=3.3×25/100+0.11×75/100)である。また,市販の牛乳には炭水化物が4.8質量%含まれ(甲17),ほぼ100%が乳糖であるから,乳飲料Aの乳糖含有量は,4.95質量%(=4.8×25/100+5×75/100)であり,乳蛋白質1質量部に対して5.44質量部(=4.95/0.91)である。
そうすると,甲14には,次の発明が記載されているといえる(以下,それぞれ「甲14発明の1」,「甲14発明の2」という。)。
(甲14発明の1)
「乳蛋白質含量が0.91質量%である乳清ミネラルを含有する乳飲料に,乳糖を,飲料中の固形分として4.95質量%,乳蛋白質1質量部に対して5.44質量部となる量で添加する,乳清ミネラルを含有する乳飲料の製造方法。」
(甲14発明の2)
「乳蛋白質含量が0.91質量%であり,乳糖を,飲料中の固形分として4.95質量%,乳蛋白質1質量部に対して5.44質量部となる量で含有する,乳清ミネラルを含有する乳飲料。」

第6 取消理由1(29条1項3号)及び取消理由2(29条2項)について
1 甲1?3に関し
(1) 本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲1?3発明の2とを,その有する機能に照らして対比すると,甲1?3発明の2の「ガラクトオリゴ糖」は,本件発明3の「ガラクトオリゴ糖」に相当し,甲1?3発明の2の「飲料」は,本件発明3の「飲食品」に相当する。
本件発明3の風味増強剤は,ガラクトオリゴ糖が100%のものも想定されているところ(実施例1?3),その場合,物として,飲食品にガラクトオリゴ糖が含まれていることと変わりがないから,甲1?3発明の2は,本件発明3と,ガラクトオリゴ糖を含有する飲食品である点で共通する。
また,甲1?3発明の2の比重は約1と考えられるから,ガラクトオリゴ糖の固形分として0.14質量%含まれることになり,その値は本件発明3のガラクトオリゴ糖の含有量の範囲内である。
そして,甲1?3発明の2は「たんぱく質0g」であるが,食品表示基準上100mlあたり0.5g未満であれば0と表示でき(甲15の2,甲16),脱脂粉乳を含有し,脱脂粉乳は乳蛋白質を主体とするものであるから,飲料中100mlに0.5g未満,すなわち0.5質量%未満の乳蛋白質を含有しているといえる。
そうすると,両者は,
「ガラクトオリゴ糖を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で含有する,乳蛋白質を含有する飲食品。」
である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点1)
本件発明3は,「乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品であって,乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖を0.01?2質量部となる量で含有する」のに対し,甲1?3発明の2は乳蛋白質含量が0.5質量%未満であるが,具体的な含有量は不明で,乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖がどの程度含有しているか不明である点。
イ 判断
(ア) 前記相違点1について検討する。
a 甲1?3発明の2は,原材料として砂糖,脱脂粉乳を含有するが,砂糖には一般的に上白糖が使用されるから,砂糖中の水分量は0.8質量%,炭水化物量は99.2質量%,その他成分(蛋白質,脂質,灰分)は0質量%であり(乙8),脱脂粉乳中の水分量は3.8質量%,蛋白質量は34.0質量%,脂質量は1.0質量%,炭水化物量は53.3質量%,灰分量は7.9質量%である(甲17,乙9)。
また,原材料としてガラクトオリゴ糖液糖を含有するが,一般的なガラクトオリゴ糖液糖である「カップオリゴH-70」,「オリゴメイト55N」の固形分量が75%であるところ(本件特許明細書表1,甲9,甲12表2),甲1?3発明の2も同様であると推定されるとともに,ガラクトオリゴ糖液糖中の固形分はほとんど全て炭水化物であると解される。
ここで,当該飲料100ml中の砂糖の含量をS(g),ガラクトオリゴ糖液糖の含量をG(g),脱脂粉乳の含量をD(g)とすると,甲1?3発明の2の炭水化物量は8.7gであるから,当該飲料中の炭水化物量について,次の式が成り立つといえる。
0.992S+0.75G+0.533D=8.7 ・・・(式1)
飲料のエネルギー量に関し,従来より加工食品では修正アトウォーター法を用いて算出されることが知られ,蛋白質,脂質,炭水化物の量にそれぞれのエネルギー換算係数(蛋白質:4kcal/g,脂質:9kcal/g,炭水化物:4kcal/g)を乗じたものの総和により得られるところ(乙10?12),当該飲料の比重を1とみなすと,100gあたりのエネルギー量は35kcalであるから,次の式が成り立つといえる。
(0.992×4×S)+(0.75×4×G)+(0.34×4×D+0.01×9×D+0.533×4×D)=35 ・・・(式2)
(式1),(式2)より,
8.7×4+(0.34×4+0.01×9)×D=35
となり,これより,Dは約0.138(=(35-8.7×4)/(0.34×4+0.01×9))である。
そして,脱脂粉乳の栄養成分中,蛋白質は34質量%であること(甲17,乙9)からすると,当該飲料100ml中の乳蛋白質含量は約0.0467g(=0.0467質量%(=(D×34%)))で,甲1?3発明の2のガラクトオリゴ糖の量が0.14gであることからすると,乳蛋白質1質量部に対するガラクトオリゴ糖の量は約2.99質量部となり,いずれも,本件発明3の範囲外となる。
このように,甲1?3発明の2の炭水化物量,エネルギー量からすると,乳蛋白質含量,乳蛋白質1質量部に対するガラクトオリゴ糖の含有量のいずれも,本件発明3の範囲外である蓋然性が高く,範囲内であるということはできない。
そして,本件発明3は,前記相違点1に係る構成を有することにより,「乳製品自体の風味や物性に影響を与えることなく,乳風味のみを特異的に増強し,飲食品に豊かな乳風味と乳のコク味を付与することができる。」(本件特許明細書【0009】),といった顕著な効果を奏するものである。
そうすると,前記相違点1は実質的なものであるから,本件発明3は,甲1?3発明の2であると認めることはできない。
b この点に関し,特許異議申立人は,原材料表示において脱脂粉乳がグルコン酸カルシウムよりも先に記載されていることを根拠に(甲2,3),当該飲料100ml中の脱脂粉乳の量がグルコン酸カルシウムの量よりも多いと主張し,それを前提に,当該飲料中の乳蛋白質含量は0.17?0.49質量%であり,乳蛋白質1質量部に対するガラクトオリゴ糖の量は0.29?0.82質量部(=0.14/0.17?0.14/0.17)であると主張している(特許異議申立書27?29頁)。
しかしながら,原材料表示においては,原材料と食品添加物を区分し,それぞれに占める重量の割合の多いものから順に表示するものと認められ(乙1?5),脱脂粉乳は原材料,グルコン酸カルシウムは食品添加物であると認められるから(乙6?7の5),原材料表示において脱脂粉乳がグルコン酸カルシウムよりも先に記載されていることから,当該飲料100ml中の脱脂粉乳の量がグルコン酸カルシウムの量よりも多いとは認められず,それを前提とした特許異議申立人による算出結果を採用することはできない。
また,特許異議申立人は,食品表示基準によれば,熱量は,修正アトウォーター法を用いて算出し,表示値を中心として±20%の許容差の範囲内にある値であるから(参考資料1(食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)別表第9),「元気っち!ヨックル」の熱量は35kcalを中心とした許容差±20%である,すなわち,28?42kcalの範囲であることを意味し,例えば熱量が40kcalの場合について,特許権者と同様の計算(意見書(特許権者)9?11頁)をすると,脱脂粉乳の量は3.57g/100ml又は3.55g/100ml,乳蛋白質の量は1.21g/100ml又は1.2g/100mlで,乳蛋白質に対するガラクトオリゴ糖の比は1:0.12となり,本件発明3の範囲内である旨主張している(意見書(特許異議申立人)2頁,参考資料2)
しかしながら,食品表示基準によれば,熱量の値が,表示値を中心とした許容差の範囲内の値であることが定められ,すなわち,±20%のばらつきが許容されているのであって,実際の熱量の値が,表示値を中心とした±20%の範囲内にばらついていることを意味するものではない。甲1?3発明の2におけるばらつきの程度も不明で,当然に熱量が40kcalの場合があることを意味するものではない。
そして,特許異議申立人による乳蛋白質含量の算出結果(1.21g/100ml=約1.21質量%又は1.2g/100ml=約1.2質量%)は,本件発明3の範囲外である。
c よって,本件発明3は,甲1?3発明の2であるということはできない。
(イ) そして,甲1?3発明の2は,特定の原材料を特定量含有することで飲料として完成しており,あえて,乳蛋白質の量やガラクトオリゴ糖の量を変更することは想定しがたい。
乳成分として脱脂粉乳などを使用した場合,乳のコクが不足し,豊かな乳風味が得られなくなることは,周知の課題と認められ(甲4?6),ガラクトオリゴ糖が味質的に乳製品と相性が良いことが周知であったことが認められるが(甲7?9),以下のとおり,飲食品において,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することで,乳蛋白質の使用量が少ない場合であっても,乳製品自体の風味や物性に影響を与えることなく,乳風味を増強し,飲食品に豊かな乳風味と乳のコク味を付与することができる,といったことが,従前知られていたものとは認められない。
甲6には,長鎖分岐オリゴ糖を含有させることによる牛乳のコク付与効果に関する記載はあるが,ガラクトオリゴ糖に関する記載はない。
甲10には,セロオリゴ糖による酸味のマスキング効果に関し,甲11にはキシロオリゴ糖によるコク味に関する効果に関し,それぞれ記載があるのみで,ガラクトオリゴ糖に関する記載はない。
甲12には,ガラクトオリゴ糖による梅の風味を有する飲料の呈味増強に関する記載はあるが,ガラクトオリゴ糖による,乳風味を増強し,飲食品に豊かな乳風味と乳のコク味を付与する,といった効果に関する記載はない。
その他の証拠をみても,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量と,乳風味と乳のコク味の関係について,特段記載がない。
このように,甲1?3発明の2において,乳蛋白質の量やガラクトオリゴ糖の量を変更する動機付けは認められない。
そして,本件発明3は,前記相違点1に係る構成を有することにより,顕著な効果を奏するものである(前記(ア))。
そうすると,甲1?3発明の2において,前記相違点1に係る本件発明3の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから,本件発明3は,甲1?3発明の2であるとは認められず,甲1?3発明の2及び甲4?12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。
(2) 本件発明4について
本件発明4は,本件発明3を特定するための事項を全て含むものであるところ,既に述べたとおり,本件発明3は,甲1?3発明の2及び甲4?12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
よって,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明4は,同様の理由により,甲1?3発明の2及び甲4?12,14に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(3) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1?3発明の1とを,その有する機能に照らして対比すると,甲1?3発明の1の「ガラクトオリゴ糖」は,本件発明1の「ガラクトオリゴ糖」に相当し,甲1?3発明の1の「飲料」は,本件発明1の「飲食品」に相当する。
また,甲1?3発明の1に係る「飲料」の比重は約1と考えられるから,ガラクトオリゴ糖の固形分として0.14質量%含まれることになり,その値は本件発明1のガラクトオリゴ糖の含有量の範囲内である。
そして,甲1?3発明の1は「たんぱく質0g」であるが,0.5質量%未満の乳蛋白質を含有しているといえ(前記(1)ア),本件発明1と,飲食品の製造に関する方法である点で共通する。
そうすると,両者は,
「ガラクトオリゴ糖を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で添加する,乳蛋白質を含有する飲食品の製造に関する方法。」
である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点2)
本件発明1は,「乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品の乳風味増強方法であって,該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量を添加する飲食品の乳風味増強方法」であるのに対し,甲1?3発明の1は,「飲料の製造方法」であって,乳蛋白質含量が0.5質量%未満であるが,具体的な含有量は不明で,乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖をどの程度添加しているか不明である点。
イ 判断
前記相違点2について検討するに,乳蛋白質含量,それに対するガラクトオリゴ糖含量の点で,実質的に前記相違点1と同じであるから,同様の理由により,甲1?3発明の1において,乳蛋白質の量やガラクトオリゴ糖の量を変更する動機付けは認められず,甲4?12に記載された事項を考慮しても,この点が当業者にとって容易に想到できたものとすることはできない。
ウ よって,本件発明1は,甲1?3発明の1及び甲4?12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(4) 本件発明2について
本件発明2は,本件発明1を特定するための事項をすべて含むものであるところ,既に述べたとおり,本件発明1は,甲1?3発明の1及び甲4?12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
よって,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明2は,同様の理由により,甲1?3発明の1及び甲4?12,14に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

2 甲10に関し
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲10発明の1とを,その有する機能に照らして対比すると,甲10発明の1の「乳酸菌飲料」は,本件発明1の「飲食品」に相当し,甲10発明の1の乳蛋白質含量(0.4?1.5質量%)と,本件発明1の乳蛋白質含量(0.1質量%以上1.0質量%未満)とは,0.4質量%以上1.0%質量%未満の範囲で重複する部分がある。
また,甲10発明の1の「セロオリゴ糖(グルコースを除く)」は,本件発明1の「ガラクトオリゴ糖」と,オリゴ糖である点で共通する。
そして,甲10発明の1は「乳酸菌飲料の酸味マスキング及びコク味付与方法」であるから,本件発明1と,飲食品の呈味に関する方法である点で共通する。
そうすると,両者は,
「オリゴ糖を添加する,乳蛋白質含量が0.4質量%以上1.0質量%未満である飲食品の呈味に関する方法。」
である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点3)
本件発明1は,「乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品の乳風味増強方法」であって,「ガラクトオリゴ糖を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で添加する」ものであり,「該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量を添加する」ものであるのに対し,甲10発明の1は,「乳蛋白質含量が0.4?1.5質量%部」の「乳酸菌飲料の酸味マスキング及びコク味付与方法」であって,「セロオリゴ糖(グルコースを除く)を,飲料中の固形分として0.49質量%,乳蛋白質1質量部に対して0.33?1.23質量部となる量で添加する」ものである点。
イ 判断
前記相違点3について検討するに,甲10発明の1は,酸味などを効率的に低減(マスキング)する酸味マスキング剤を提供することを目的し,「セロオリゴ糖(グルコースを除く)」を添加することで,食品の酸味などを有効に低減(マスキング)し,食品にコク味も付与または増強し,その目的を達成したものであるところ(前記第5・5),飲食品の乳風味を増強することを目的とする理由は特段認められず,必須の構成である「セロオリゴ糖(グルコースを除く)」をガラクトオリゴ糖に変更する理由も特段認められない。
また,ガラクトオリゴ糖が味質的に乳製品と相性が良いことが周知であったことや(甲7?9),甲6,11,12に記載された事項を参酌しても,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することで飲食品の乳風味を増強する点が,従前知られていたものとは認められない(前記1(1)イ(イ))。
このように,甲10発明の1において,飲食品の乳風味を増強する方法とすること,そのためにガラクトオリゴ糖を採用し,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することの動機付けは認められない。
そして,本件発明1は,前記相違点3に係る構成を有することにより,顕著な効果を奏するものである(前記1(1)イ(ア))。
そうすると,甲10発明の1において,前記相違点3に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから,本件発明1は,甲10発明の1及び甲6?9,11,12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(2) 本件発明2について
本件発明2は,本件発明1を特定するための事項をすべて含むものであるところ,既に述べたとおり,本件発明1は,甲10発明の1及び甲6?9,11,12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
よって,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明2は,同様の理由により,甲10発明の1及び甲6?9,11,12,14に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(3) 本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲10発明の2とを,その有する機能に照らして対比すると,甲10発明の2の「乳酸菌飲料」は,本件発明3の「飲食品」に相当し,甲10発明の2の乳蛋白質含量(0.4?1.5質量%)と,本件発明3の乳蛋白質含量(0.1質量%以上1.0質量%未満)とは,0.4質量%以上1.0%質量%未満の範囲で重複する。
また,甲10発明の2の「セロオリゴ糖(グルコースを除く)」は,本件発明3の「ガラクトオリゴ糖」と,オリゴ糖である点で共通する。
そして,甲10発明の2は,本件発明3と,オリゴ糖を含有する飲食品である点で共通する。
そうすると,両者は,
「オリゴ糖を含有する,乳蛋白質含量が0.4質量%以上1.0質量%未満である飲食品。」
である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点4)
本件発明3は,「乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品」であって,「ガラクトオリゴ糖を有効成分とする乳風味増強剤を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で含有する」ものであり,「該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量で含有する」ものであるのに対し,甲10発明の2は,「乳蛋白質含量が0.4?1.5質量%」の「乳酸菌飲料」であって,「セロオリゴ糖(グルコースを除く)を有効成分とする酸味マスキング剤を,飲料中の固形分として0.49質量%,乳蛋白質1質量部に対して0.33?1.23質量部となる量で含有する」ものである点。
イ 判断
前記相違点4について検討するに,乳蛋白質含量,ガラクトオリゴ糖含量の点で,実質的に前記相違点3と同じであるから,同様の理由により,甲10発明の2において,ガラクトオリゴ糖を採用し,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することの動機付けは認められず,甲6?9,11,12に記載された事項を考慮しても,この点が当業者にとって容易に想到できたものとすることはできない。
ウ よって,本件発明3は,甲10発明の2及び甲6?9,11,12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(4) 本件発明4について
本件発明4は,本件発明3を特定するための事項をすべて含むものであるところ,既に述べたとおり,本件発明3は,甲10発明の2及び甲6?9,11,12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
よって,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明4は,同様の理由により,甲10発明の3及び甲6?9,11,12,14に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

3 甲6に関し
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲6発明の1とを,その有する機能に照らして対比すると,甲6発明の1の「飲料」は,本件発明1の「飲食品」に相当し,甲6発明の1の乳蛋白質含量(0.99質量%)は,本件発明1の乳蛋白質含量(0.1質量%以上1.0質量%未満)の範囲内である。
また,甲6発明の1の「長鎖分岐オリゴ糖」は,本件発明1の「ガラクトオリゴ糖」と,オリゴ糖である点で共通する。
そして,甲6発明の1は「飲料のコク付与方法」であるから,本件発明1と,飲食品の呈味に関する方法である点で共通する。
そうすると,両者は,
「オリゴ糖を含有する,乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品の呈味に関する方法。」
である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点5)
本件発明1は,飲食品の呈味に関する方法について,「飲食品の乳風味増強方法」であって,「ガラクトオリゴ糖を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で添加する」ものであり,「該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量を添加する」ものであるのに対し,甲6発明の1は,「飲料のコク付与方法」であって,「長鎖分岐オリゴ糖を,飲料中の固形分として1質量%,乳蛋白質1質量部に対して1.01質量部となる量を添加する」ものである点。
イ 判断
前記相違点5について検討するに,甲6発明の1は,飲料のコク付与のために,「長鎖分岐オリゴ糖」を添加するものであるところ(前記第5・3),飲食品の乳風味を増強することを目的とする理由は特段認められず,必須の構成である「長鎖分岐オリゴ糖」をガラクトオリゴ糖に変更する理由も特段認められない。
また,ガラクトオリゴ糖が味質的に乳製品と相性が良いことが周知であったことや(甲7?9),甲10?12に記載された事項を参酌しても,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することで飲食品の乳風味を増強する点が,従前知られていたものとは認められない(前記1(1)イ(イ))。
このように,甲6発明の1において,飲食品の乳風味を増強する方法とすること,そのためにガラクトオリゴ糖を採用し,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することの動機付けは認められない。
そして,本件発明1は,前記相違点5に係る構成を有することにより,顕著な効果を奏するものである(前記1(1)イ(ア))。
そうすると,甲6発明の1において,前記相違点5に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから,本件発明1は,甲6発明の1及び甲7?12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(2) 本件発明2について
本件発明2は,本件発明1を特定するための事項をすべて含むものであるところ,既に述べたとおり,本件発明1は,甲6発明の1及び甲7?12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
よって,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明2は,同様の理由により,甲6発明の1及び甲7?12,14に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(3) 本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲6発明の2とを,その有する機能に照らして対比すると,甲6発明の2の「飲料」は,本件発明3の「飲食品」に相当し,甲6発明の2の乳蛋白質含量(0.99質量%)は,本件発明3の乳蛋白質含量(0.1質量%以上1.0質量%未満)の範囲内である。
また,甲6発明の2の「長鎖分岐オリゴ糖」は,本件発明3の「ガラクトオリゴ糖」と,オリゴ糖である点で共通する。
そして,甲6発明の2は,本件発明3と,オリゴ糖を含有する飲食品である点で共通する。
そうすると,両者は,
「オリゴ糖を含有する,乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品。」
である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点6)
本件発明3は,「ガラクトオリゴ糖を有効成分とする乳風味増強剤を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で含有する」ものであり,「該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量で含有する」ものであるのに対し,甲6発明の2は,「長鎖分岐オリゴ糖を,飲料中の固形分として1質量%,乳蛋白質1質量部に対して1.01質量部となる量で含有する」ものである点。
イ 判断
前記相違点6について検討するに,乳蛋白質含量,ガラクトオリゴ糖含量の点で,実質的に前記相違点5と同じであるから,同様の理由により,甲6発明の2において,ガラクトオリゴ糖を採用し,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することの動機付けは認められず,甲7?12に記載された事項を考慮しても,この点が当業者にとって容易に想到できたものとすることはできない。
ウ よって,本件発明3は,甲6発明の2及び甲7?12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(4) 本件発明4について
本件発明4は,本件発明3を特定するための事項をすべて含むものであるところ,既に述べたとおり,本件発明3は,甲6発明の2及び甲7?12に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
よって,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明4は,同様の理由により,甲6発明の2及び甲7?12,14に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

4 甲13に関し
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲13発明の1とを,その有する機能に照らして対比すると,甲13発明の1の「乳清ミネラル含有ミルク入りコーヒー飲料」は,本件発明1の「飲食品」に相当し,甲13発明の1の乳蛋白質含量(0.17質量%)は,本件発明1の乳蛋白質含量(0.1質量%以上1.0質量%未満)の範囲内である。
そして,甲13発明の1は「乳清ミネラル含有ミルク入りコーヒー飲料の呈味改善方法」であるから,本件発明1とは,飲食品の呈味に関する方法である点で共通する。
そうすると,両者は,
「乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品の呈味に関する方法。」
である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点7)
本件発明1は,飲食品の呈味に関する方法について,「飲食品の乳風味増強方法」であって,「ガラクトオリゴ糖を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で添加する」ものであり,「該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量を添加する」ものであるのに対し,甲13発明の1は,「乳清ミネラル含有ミルク入りコーヒー飲料の呈味改善方法」であって,「乳糖を,飲料中の固形分として0.0375?0.3質量%,乳蛋白質1質量部に対して0.22?1.76質量部となる量で添加する」ものである点。
イ 判断
前記相違点7について検討するに,甲13発明の1は,乳清ミネラルを含有するコーヒー飲料において,飲み応え(ボディー)及び乳風味があり,しかも乳清ミネラルに由来する後口の渋味・収斂味がなく,香味バランスの優れた飲料を提供することを目的とし,「乳糖」を添加することで,乳清ミネラルの渋味や収斂味等の後口の悪さがマスキングされ,香味バランスが良好で,しかも乳風味に優れ飲み応えのあるコーヒー飲料を提供する事が可能になり,その目的を達成したものであるところ(前記第5・7),必須の構成である「乳糖」をガラクトオリゴ糖に変更する理由は特段認められない。
また,甲9に記載されているように,ガラクトオリゴ糖が乳糖を原料として製造されること,乳糖と味質が類似していることが知られていたとしても(前記第5・4(3)),乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することで飲食品の乳風味を増強する点が,従前知られていたものとは認められない(前記1(1)イ(イ))。
このように,甲13発明の1において,飲食品の乳風味を増強する方法とすること,そのためにガラクトオリゴ糖を採用し,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することの動機付けは認められない。
そして,本件発明1は,前記相違点7に係る構成を有することにより,顕著な効果を奏するものであり(前記1(1)イ(ア)),乳糖を含有する場合に対する優位性も認められる(本件特許明細書比較例19等参照)。
そうすると,甲13発明の1において,前記相違点7に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから,本件発明1は,甲13発明の1及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(2) 本件発明2について
本件発明2は,本件発明1を特定するための事項をすべて含むものであるところ,既に述べたとおり,本件発明1は,甲13発明の1及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
よって,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明2は,同様の理由により,甲13発明の1及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(3) 本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲13発明の2とを,その有する機能に照らして対比すると,甲13発明の2の「乳清ミネラル含有ミルク入りコーヒー飲料」は,本件発明3の「飲食品」に相当し,甲13発明の2の乳蛋白質含量(0.17質量%)は,本件発明3の乳蛋白質含量(0.1質量%以上1.0質量%未満)の範囲内である。
そうすると,両者は,
「乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品。」
である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点8)
本件発明3は,「ガラクトオリゴ糖を有効成分とする乳風味増強剤を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で含有する」ものであり,「該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量で含有する」ものであるのに対し,甲13発明の2は,「乳糖を有効成分とする呈味改善剤を,飲料中の乳糖の固形分として0.0375?0.3質量%,乳蛋白質1質量部に対して0.22?1.76質量部となる量で含有する」ものである点。
イ 判断
前記相違点8について検討するに,乳蛋白質含量,ガラクトオリゴ糖含量の点で,実質的に前記相違点7と同じであるから,同様の理由により,甲13発明の2において,ガラクトオリゴ糖を採用し,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することの動機付けは認められず,甲9に記載された事項を考慮しても,この点が当業者にとって容易に想到できたものとすることはできない。
ウ よって,本件発明3は,甲13発明の2及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(4) 本件発明4について
本件発明4は,本件発明3を特定するための事項をすべて含むものであるところ,既に述べたとおり,本件発明3は,甲13発明の2及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
よって,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明4は,同様の理由により,甲13発明の2及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

5 甲14に関し
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲14発明の1とを,その有する機能に照らして対比すると,甲14発明の1の「乳清ミネラルを含有する乳飲料」は,本件発明1の「飲食品」に相当し,甲14発明の1の乳蛋白質含量(0.91質量%)は,本件発明1の乳蛋白質含量(0.1質量%以上1.0質量%未満)の範囲内である。
そして,甲14発明の1は「乳清ミネラルを含有する乳飲料の製造方法」であるから,本件発明1とは,飲食品の製造に関する方法である点で共通する。
そうすると,両者は,
「乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品の製造に関する方法。」
である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点9)
本件発明1は,飲食品の製造に関する方法について,「飲食品の乳風味増強方法」であって,「ガラクトオリゴ糖を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で添加する」ものであり,「該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量を添加する」ものであるのに対し,甲14発明の1は,「乳清ミネラルを含有する乳飲料の製造方法」であって,「乳糖を,飲料中の固形分として4.95質量%,乳蛋白質1質量部に対して5.44質量部となる量で添加する」ものである点。
イ 判断
前記相違点9について検討するに,甲14発明の1は,タンパク質及び油脂を実質的に含有しないにも係らず,牛乳と同等の呈味を有する乳風味飲料を提供することを目的とし,乳清ミネラルと甘味料を添加することで,タンパク質及び油脂を実質的に含有しないにも係らず,牛乳と同様の風味を呈するとの知見に基づき,甘味料として「乳糖」を添加し,乳のコク味,乳風味とも市販の牛乳とほとんど同一であったというものである(前記第5・8)。
このように,甲14発明の1は,乳蛋白質の含有量が低い乳飲料の乳のコク味,乳風味を,市販の牛乳と同等にするものであるから,本件発明1と同様に,乳風味を増強しているといえる。
また,甲14には,甘味料として,ガラクトオリゴ糖も例示されるとともに,甘味料の含有量が0.00001?25質量%である旨記載されている(【0027】,【0028】)。
しかしながら,甘味料として,「乳糖」をはじめとして種々のものが列記されたうちの一例としてガラクトオリゴ糖が記載されているにとどまり,ガラクトオリゴ糖を使用する乳飲料について,乳蛋白質含量に対する関係も含め,具体的な開示はない。
そして,甲9に記載されているように,ガラクトオリゴ糖が乳糖を原料として製造されること,乳糖と味質が類似していることが知られていたとしても(前記第5・4(3)),乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することで飲食品の乳風味を増強する点が,従前知られていたものとは認められない(前記1(1)イ(イ))。
そうすると,甲14発明の1において,甘味料としてガラクトオリゴ糖を採用し,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を具体的に調整することの動機付けは認められない。
そして,本件発明1は,前記相違点9に係る構成を有することにより,顕著な効果を奏するものであり(前記1(1)イ(ア)),乳清ミネラルを含有しない場合でも効果が認められ,乳糖を含有する場合に対する優位性も認められる(本件特許明細書比較例19等参照)。
したがって,甲14発明の1において,前記相違点9に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから,本件発明1は,甲14発明の1及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(2) 本件発明2について
本件発明2は,本件発明1を特定するための事項をすべて含むものであるところ,既に述べたとおり,本件発明1は,甲14発明の1及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
よって,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明2は,同様の理由により,甲14発明の1及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(3) 本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲14発明の2とを,その有する機能に照らして対比すると,甲14発明の2の「乳清ミネラルを含有する乳飲料」は,本件発明3の「飲食品」に相当し,甲14発明の2の乳蛋白質含量(0.91質量%)は,本件発明3の乳蛋白質含量(0.1質量%以上1.0質量%未満)の範囲内である。
そうすると,両者は,
「乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品。」
である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点10)
本件発明3は,「ガラクトオリゴ糖を有効成分とする乳風味増強剤を,飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で含有する」ものであり,「該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し,ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量で含有する」ものであるのに対し,甲14発明の2は,「乳糖を,飲料中の固形分として4.95質量%,乳蛋白質1質量部に対して5.44質量部となる量で含有する」ものである点。
イ 判断
前記相違点10について検討するに,乳蛋白質含量,ガラクトオリゴ糖含量の点で,実質的に前記相違点9と同じであるから,同様の理由により,甲14発明の2において,ガラクトオリゴ糖を採用し,乳蛋白質の含有量,それに対するガラクトオリゴ糖の含有量を調整することの動機付けは認められず,甲9に記載された事項を考慮しても,この点が当業者にとって容易に想到できたものとすることはできない。
ウ よって,本件発明3は,甲14発明の2及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(4) 本件発明4について
本件発明4は,本件発明3を特定するための事項をすべて含むものであるところ,既に述べたとおり,本件発明3は,甲14発明の2及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
よって,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明4は,同様の理由により,甲14発明の2及び甲9に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

第7 取消理由3(36条6項1号)について
本件発明は,飲食品において,乳蛋白質の使用量を減じた場合であっても多量に乳蛋白質を配合したかのような豊かな乳風味と乳のコク味を付与する,すなわち,他の風味に影響を及ぼすことなく,ガラクトオリゴ糖のごく少量の添加で飲食品の乳風味を増強することを,課題とするものである(本件特許明細書【0007】)。
既に述べたとおり,本件訂正により,請求項1及び請求項3において,乳蛋白質含量の下限が0.1質量%であると特定され,それに伴い,乳蛋白質1質量部に対する関係から,ガラクトオリゴ糖含量の下限も特定することができる(0.001質量%)。
他方,発明の詳細な説明には,乳蛋白質含量について,0.1質量%以上1.0質量%未満とする旨記載されている(同【0028】)。
そして,発明の詳細な説明には具体的に実施例が開示され,乳蛋白質含量を0.41質量%(実施例98?101,103?108),0.34質量%(実施例120?123,125?130)とした場合に,ガラクトオリゴ糖含量が0.03質量%以上であれば(実施例100,122),所定の効果を発揮したことが記載されており(同【0030】?【0119】),乳蛋白質の使用量をある程度減じた場合であっても,ガラクトオリゴ糖を添加することによって所定の効果が期待できるものと理解できる。
このように,発明の詳細な説明の記載を総合的にみれば,本件発明は,発明の詳細な説明に開示されており,請求項1及び請求項3に記載された範囲で所定の効果を発揮し,課題を解決できるものと認められ,それを否定する理由も特段認められない。
よって,本件発明が発明の詳細な説明に記載されたものではないとは認められない。

第8 むすび
以上のとおり,本件特許(請求項1?4に係る特許)は,特許法29条1項3号及び同条2項の規定に違反してされたものとは認められず,同法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとは認められないから,前記取消理由により取り消すことはできない。
また,他に本件特許(請求項1?4に係る特許)を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトオリゴ糖を、飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で添加することを特徴とする、乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品の乳風味増強方法であって、該飲食品中の乳蛋白質1質量部に対し、ガラクトオリゴ糖が0.01?2質量部となる量を添加する飲食品の乳風味増強方法。
【請求項2】
更に、ガラクトオリゴ糖1質量部に対し乳清ミネラルを固形分換算で0.01?1質量部添加することを特徴とする、請求項1記載の乳風味増強方法。
【請求項3】
ガラクトオリゴ糖を有効成分とする乳風味増強剤を、飲食品中のガラクトオリゴ糖の固形分として0.40質量%以下となる量で含有することを特徴とする、乳蛋白質含量が0.1質量%以上1.0質量%未満である飲食品であって、乳蛋白質1質量部に対し、ガラクトオリゴ糖を0.01?2質量部となる量で含有する飲食品。
【請求項4】
更に、ガラクトオリゴ糖1質量部に対し乳清ミネラルを固形分換算で0.01?1質量部含有することを特徴とする、請求項3記載の飲食品。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-06-01 
出願番号 特願2012-209550(P2012-209550)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A23L)
P 1 651・ 537- YAA (A23L)
P 1 651・ 113- YAA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 長谷川 茜竹内 祐樹  
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 窪田 治彦
槙原 進
登録日 2017-03-24 
登録番号 特許第6113986号(P6113986)
権利者 株式会社ADEKA
発明の名称 乳風味増強方法及び飲食品  
代理人 特許業務法人翔和国際特許事務所  
代理人 中野 廣己  
代理人 特許業務法人翔和国際特許事務所  
代理人 中野 廣己  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ