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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1342250
審判番号 訂正2018-390079  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-05-14 
確定日 2018-07-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4492934号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4492934号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第4492934号は、平成16年3月3日(国内優先権主張 平成15年10月31日)を出願日とする出願であって、その請求項1ないし4に係る発明は、平成22年4月16日設定登録がなされ、平成30年5月14日に本件訂正審判の請求がなされた。

第2 審判請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件訂正審判に係る特許第4492934号(以下「本件特許」という。)の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
本件審判請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)は、以下の訂正事項をその訂正内容とするものである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記貫通孔の周縁の壁部によって前記液晶枠が視認不可能となる」と記載されているのを、「前記貫通孔の周縁の前記スペーサによって前記液晶枠が視認不可能となる」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2ないし4も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明細書の段落【0005】に「前記貫通孔の周縁の壁部によって前記液晶枠が視認不可能となる」と記載されているのを、「前記貫通孔の周縁の前記スペーサによって前記液晶枠が視認不可能となる」に訂正する。

第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前の請求項1に係る発明では、「前記貫通孔の周縁の壁部によって前記液晶枠が視認不可能となる」と規定されているところ、「壁部」に係る特定が他になく、「壁部」と「スペーサ」の関係も特定されない。
したがって、「壁部」は「スペーサ」自体であるとも、あるいは、「スペーサ」以外の部材であるとも特定されないため、どのような構成によって液晶枠が視認不可能となっているのか不明確であることは明らかである。
これに対して、訂正後の請求項1に係る発明では、「壁部」との記載の代わりに「スペーサ」と明記することによって、液晶枠を視認不可能とするための構成が「スペーサ」自体であることを明確にするものであるから、当該訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。
同様に、訂正後の請求項2?4は、訂正後の請求項1の記載を引用することによって明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。

(2)訂正が本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正前の請求項1に係る発明の「前記貫通孔の周縁の壁部によって前記液晶枠が視認不可能となる」ことと、訂正後の請求項1に係る発明の「前記貫通孔の周縁の前記スペーサによって前記液晶枠が視認不可能となる」ことについて検討する(なお、下線は当審が付した。)。
ア 訂正前の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の壁部」について
「貫通孔の周縁の壁部」に関して、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、段落【0005】に請求項1と同様の記載があるにとどまり、他に「壁部」に係る記載はない。
したがって、図9ないし11を参酌して、「貫通孔の周縁の壁部」を検討する。
ここで、図9ないし11は次のものである。
【図9】

【図10】

【図11】


(ア)本件特許明細書及び図面において、液晶部70a及び液晶枠70bの前面に存在することが明記されている「壁部」と呼べる部材は、「なお、スペーサ110には、発光基板130、電飾用レンズ部材140、球通路部120が備えられている。」(【0021】)との記載を踏まえると、「遊技盤30(遊技板32)」、「スペーサ110」、「球通路部120」、「発光基板130」及び「電飾用レンズ部材140」にとどまる。
(イ)ここで、「遊技盤30」について、「本実施形態では、遊技板32の全部が透明な部材で形成されている」(【0022】)とされ、遊技板32により「液晶枠が視認不可能となる」ことはないため、遊技板32の部材は「貫通孔の周縁の壁部」とはなり得ない。
(ウ)また、「スペーサ110」は、透明とも不透明とも特定されないが、「球通路部120がスペーサ110の裏面に取り付けられることにより、弾球遊技機1において、球通路部120は、正面側から見てスペーサ110の裏面に配置されることになる。このため、遊技者は、透明な遊技板32で構成される遊技盤30を介して、球通路部120を視認してしまうことがない。」(【0053】)とされるため、「スペーサ110」は透明ではなく、不透明であると理解される。
(エ)そして、上記(ウ)に摘記した段落【0053】の記載、及び、「発光基板130がスペーサ110の裏面における所定位置に取り付けられたときは、発光部材131が開口部113と臨む位置に配置されることにより、遊技者は、開口部113を通して発光部材131からの光を視認できる。」(【0042】)との記載から、「スペーサ110」が「球通路部120」及び「発光基板130」を視認不可能とする部材である。
したがって、「球通路部120」及び「発光基板130」が「液晶枠が視認不可能となる」部材とは呼べない。
(オ)さらに、「スペーサ110の前面に取り付けられている電飾用レンズ部材140の構成の説明を行う。電飾用レンズ部材140は、複数の発光部材131からの光を拡散するものである。この電飾用レンズ部材140は、スペーサ110の前面(発光部材131の前面側)に対して、正面側から見て上記複数の発光部材131と重なる位置に配備されている。」(【0055】)との記載から、「電飾用レンズ部材140」は「発光部材131と重なる位置に配備されている」ものであって、かつ、「発光部材131からの光を拡散するものである」から、液晶枠と重なる位置に配備されてることは無く、また、「発光部材131からの光を拡散する」程度の透明度を有するものであると理解される。
したがって、「電飾用レンズ部材140」が「液晶枠が視認不可能となる」部材とは呼べない。
(カ)そうすると、「前記貫通孔の周縁の」にあって「前記液晶枠が視認不可能となる」部材は「スペーサ110」をおいて他にはない。
よって、「前記貫通孔の周縁の壁部」は、「スペーサ110」の「貫通孔の周縁の」「壁部」をなす部分(図10の貫通孔110cの周縁に沿って形成され、貫通孔110cの内側から外側の視認を不可能とする壁状の部分)であると解される。

イ 訂正後の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の前記スペーサ」について
(ア)「前記貫通孔の周縁の前記スペーサ」に関して、本件特許明細書の発明の詳細な説明には下記記載がある。
「【0044】
図11は、弾球遊技機1において、スペーサ110と、液晶ディスプレイ部70との間の配置関係を示す図である。図11に示すように、弾球遊技機1において、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部と重なる位置に備えられている。具体的には、ベースドア60の前面に対して、スペーサ110が裏面側に取り付けられた遊技盤30が取り付けられている。そして、液晶ディスプレイ部70は、ベースドア60の裏面に対して、正面側から見て液晶枠70bがスペーサ110に隠れる位置に取り付けられている。」
「【0065】
また、スペーサ110が正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部(例えば、液晶枠70b)と重なる位置に備えられることにより、遊技者は、液晶ディスプレイ部70の周縁部付近に他の部材との間で存在する隙間や、液晶枠70bを視認できない。このため、弾球遊技機1は、外観における美観を向上可能な構造を持つことができる。」
「【0070】
(変更例)
(1)上述した実施形態では、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間において、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部(例えば、液晶枠70b)と重なる位置に備えられていたが、これに限定されず、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部(例えば、液晶枠70b)と重ならない位置に、備えられてもよい。また、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部の一部と重なる位置(例えば、液晶ディスプレイ部の液晶枠70bの4角部分と重なる位置)に備えられてもよい。」
(イ)上記(ア)の記載、及び、上記アの図9ないし11の記載から見て、「前記貫通孔の周縁の前記スペーサによって前記液晶枠が視認不可能となる」範囲は、「貫通孔の周縁」に存在する「スペーサ」が、その背後にある部材の視認を妨げる範囲として規定されると理解される。

ウ 訂正前の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の壁部」と訂正後の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の前記スペーサ」について
上記ア及びイでの検討を踏まえると、訂正前の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の壁部」と訂正後の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の前記スペーサ」とは、前者は、貫通孔の周縁の「壁部」であるスペーサの部分を特定し、後者は、貫通孔の周縁の「前記スペーサ」の部分を特定するものであって、いずれもスペーサの同じ部分を特定するから、訂正事項1は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項1は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項1は、上記(1)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、上記(2)のとおり、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

2 訂正事項2について
訂正事項2は、請求項1ないし4の訂正である訂正事項1と対応する明細書の記載の訂正として同じ内容であるので、訂正事項1と同様に、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許法第126条第5項及び同条第6項の規定に適合する。

第5 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第5項及び同条第6項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
弾球遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、透明な部材で形成された遊技盤が備えられた弾球遊技機がある。この弾球遊技機においては、遊技盤の透明部分の裏面側に、画像などを表示する表示装置が備えられている。このような弾球遊技機によれば、遊技者が遊技球の動きを視認しながら、遊技盤を介して表示装置の表示内容を視認可能であるため、弾球遊技機は遊技の興趣を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11-76517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の弾球遊技機においては、透明部材で形成された遊技板(遊技盤を構成する部材)の裏面側に、隙間なく表示装置が配置されている。このため、表示装置の動作に伴って発生する熱がそのまま遊技板に設置された各種部品(例えば、弾球遊技機の動作に関係する部品など)などに伝り、当該各種部品などに多量の熱が伝えられた場合には、弾球遊技機が故障してしまうという問題点が生じていた。
【0004】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、少なくとも一部が透明な部材で形成された遊技板の裏面側に、表示装置を配置することにより、遊技の興趣を向上させるとともに、表示装置から発生する熱による弾球式遊技機の故障を防止することができる弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以上の問題点を解決するために、少なくとも一部が透明な部材で形成された遊技板(例えば、遊技板32)から構成される遊技盤(例えば、遊技盤30)と、前記遊技板の裏面側に配備され、所定の画像を表示可能な液晶部及び当該液晶部の周囲に配備された液晶枠からなる表示装置(例えば、液晶ディスプレイ部70)とを有する弾球遊技機であって、前記遊技盤の裏面には、前記遊技板と前記表示装置との間に所定の間隔を形成するスペーサ(例えば、スペーサ110)が取り付けられ、前記スペーサは、前記液晶枠と重なる位置に配置され、前記表示装置に設けられた表示領域を視認可能とする貫通孔を有し、前記貫通孔の周縁の前記スペーサによって前記液晶枠が視認不可能となることを特徴とする弾球遊技機としたことである。
【0006】
本発明によれば、遊技板と表示装置との間に所定の間隔を形成するスペーサを備えたことにより、弾球遊技機は、表示装置の動作に伴って発生する熱が多量に遊技板に設置された各種部品(例えば、弾球遊技機1の動作に関係する部品など)などに伝わるという事態を防止可能な構造を持つことができるとともに、表示装置から発生する熱による弾球遊技機1の故障を防止可能な構造を持つことができる。また、弾球遊技機は、表示装置に穴部が備えられていなくても、表示装置の表面側において駆動装置や球通路が配備された役物を備えることが可能な構造を持つことができる。
【0007】
また、遊技板と表示装置との間に所定の間隔を形成するスペーサを備えたことにより、弾球遊技機は、表示装置の表示が遊技盤に対して奥行きがあるような感覚を遊技者に与えることができ、演出効果を向上させることができる。また、弾球遊技機は、表示装置の表示に対して、遊技盤の遊技領域に投入された遊技球が宙に浮いているような感覚を遊技者に与えることができ、視覚的な演出効果を向上させることができる。さらに、作業者等がメンテナンス時において遊技板に配備された釘等を叩いたとしても、遊技板と表示装置との間に間隔が存在するため、弾球遊技機は、当該釘等から伝導される衝撃を直に表示装置に伝えないようにすることが可能な構造を持つことができる。
また、前記スペーサは、前記表示装置に設けられた表示領域を視認可能とする貫通孔が設けられているため、正面側から見て液晶部が視認可能である。
【0008】
上記発明においては、スペーサは、正面側から見て、表示装置の周縁部と重なる位置に備えられてもよい。この場合には、表示装置の周縁部付近に他の部材との間で存在する隙間や、例えば、表示装置の液晶部の周囲に配置された枠が遊技者によって視認されないため、弾球遊技機は、弾球遊技機の外観が美しいという感覚を遊技者に与えることができ、弾球遊技機の外観における美観を向上させることができる。
【0009】
上記発明においては、スペーサは、遊技板に対して着脱可能に構成されてもよい。この場合には、作業者等は遊技盤の交換を容易に行えることができ、弾球遊技機は、遊技盤の交換時における作業時間や作業コストを低減可能な構造を持つことができる。
【0010】
上記発明においては、遊技板の所定位置には係止部(例えば、係止孔30a)が備えられており、スペーサの所定位置には係止部に係止されるための係止片(例えば、係止片111)が備えられてもよい。この場合には、スペーサを遊技板に取り付けるための取り付け部品(例えば、ネジなど)が不要となり、弾球遊技機の製造に要するコストの低減化が可能となる。
【0011】
上記発明において、弾球遊技機を遊技場に備えられる遊技島に固定するための外枠(例えば、外枠80)と、当該外枠に対して開閉可能に取り付けられた本体枠(例えば、ベースドア60)とを備え、前記表示装置は、前記本体枠の裏面に対して差し入れられ、前記遊技盤は、前記本体枠の前面に取り付けられているものとしてもよい。
従来では、遊技盤を交換するときには、正常動作が行える表示装置も一緒に交換されていたため、遊技盤だけの交換に必要なコストが高くなってしまっていた。本発明では、表示装置が本体枠の裏面に取り付けられたまま、遊技盤だけが本体枠から取り外すことが可能となり、遊技盤だけの交換に必要なコストが低減可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少なくとも一部が透明な部材で形成された遊技板の裏面側に、表示装置を配置することにより、遊技の興趣を向上させるとともに、表示装置から発生する熱による弾球遊技機の故障を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本実施形態における弾球遊技機1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における弾球遊技機1の全体を示す斜視図であり、図2は、上記弾球遊技機1を構成する各部を分解した様子を示す分解説明図である。図3は、正面から見た場合の遊技盤30の外観図である。図4は、裏面側から見た場合の遊技盤30の外観を示す図である。図5は、液晶ディスプレイ部70がベースドア60に取り付けられた状態を示す図である。後述するように、遊技盤30と液晶ディスプレイ部70とは所定の間隔空けられた状態で配備されている。
【0014】
図2に示すように、弾球遊技機1は、遊技場に備えられる遊技島に固定するための外枠80と、外枠80に取り付けられたベースドア60とを備えている。外枠80の前面の左上部及び左下部には、ヒンジ凸部80aが備えられている。また、ベースドア60の前面の左上部及び左下部には、ヒンジ凹部60cが備えられている。そして、ヒンジ凹部60cに、ヒンジ凸部80aが嵌め込まれることにより、外枠80に対してベースドア60が開閉可能に取り付けられる。
【0015】
図2に示すように、本実施形態の弾球遊技機1において、ベースドア60の裏面には、液晶ディスプレイ部70が取り付けられている。液晶ディスプレイ部70は、所定の画像(例えば、演出画像など)を表示可能な表示装置である。具体的には、液晶ディスプレイ部70には、所定の画像を表示可能な液晶部70aと、液晶部70aの周囲に配備された液晶枠70bとが備えられている。
【0016】
ベースドア60の裏面には、液晶ディスプレイ部70をベースドア60の上側から、差し入れることが可能なレール部(図示せず)が備えられているとともに、開口部60eが備えられている。
【0017】
液晶ディスプレイ部70は、液晶ディスプレイ部70がレール部に差し入れられた状態で、ベースドア60に取り付けられている。この液晶ディスプレイ部70がレール部に差し入れられた状態においては、液晶ディスプレイ部70の液晶部70aは、正面側から見てベースドア60の開口部60eと重なる位置(即ち、対向する位置)に配置される。
【0018】
図2に示すように、ベースドア60の前面の上方にはスピーカ75を嵌め込むことが可能な開口部60dが備えられており、この開口部60dにはスピーカ75が嵌め込まれる。
【0019】
また、図2に示すように、ベースドア60の前面には、遊技盤30が取り付けられている。具体的には、ベースドア60の前面の中央には、スペーサ110が取り付けられた遊技盤30が着脱可能に取り付けられている。この遊技盤30は、遊技板32と、この遊技板32に備えられた後述する各種の遊技部材(第1遊技球誘導部材3など)とを備えている。このため、弾球遊技機1においては、液晶ディスプレイ部70は、遊技板32の裏面側に配備されることになる。図2や図5に示すように、遊技板32の4つの角部分には、孔部31が備えられており、ベースドア60には、4つの所定位置に、それぞれ、留め部材61が備えられている。
【0020】
この留め部材61は、板部61aと、留め部材61が遊技板32の孔部31に嵌め込まれたときに、回転操作により遊技板32がベースドア60から抜けない位置又は遊技板32がベースドア60から抜ける位置に、板部61aを配置させるための回転部61bとを備えている。これにより、遊技板32の4つの孔部31にはベースドア60に備えられた4つの留め部材61が嵌め込まれ、回転部61bが回転されることにより、遊技板32がベースドア60から抜けない状態で、板部61aが配置されることになる。また、回転部61bが回転され、遊技板32がベースドア60から抜ける位置に、板部61aが配置されることになり、遊技盤30がベースドア60から取り出し可能となる。
【0021】
なお、スペーサ110には、発光基板130、電飾用レンズ部材140、球通路部120が備えられている。これらについての説明は後述する。
【0022】
遊技盤30は、ベースドア60の前面に取り付けられた状態で、遊技盤30の遊技領域が正面側から見てベースドア60の開口部60eと重なる位置に配置される。この遊技盤30に備えられている遊技板32の少なくとも一部は、液晶ディスプレイ部70の表示領域を正面側から見て視認可能な透明な部材で形成されている。この透明部材は、無色透明のアクリル樹脂材、ボリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂等の合成樹脂で形成される。本実施形態では、遊技板32の全部が透明な部材で形成されているとする。なお、遊技板32の一部が透明な部材で形成されている場合も本発明は同様に適用できる。
【0023】
図3に示すように、遊技板32は、第1遊技球誘導部材3と、第2遊技球誘導部材4と、一般入賞口5と、始動口6と、アウト口7と、大入賞口8とを備えている。
【0024】
第1遊技球誘導部材3及び第2遊技球誘導部材4は、遊技球の流下方向を大きく変化させるものである。第1遊技球誘導部材3は、遊技球が流下可能な遊技領域の上方に位置するように配備され、遊技板32の面に対して直角に立設された壁体から構成される。第2遊技球誘導部材4は、当該遊技領域の下方に位置するように配備され、遊技板32の面に対して直角に立設された壁体から構成される。一般入賞口5は、当該一般入賞口5に遊技球が入球すると所定数(例えば、15個)の遊技球(賞球)が払い出されるように構成されており、遊技球の入球により遊技者に所定の利益(賞球の払い出し)を付与するためのものである。
【0025】
始動口6は、当該始動口6に遊技球が入球すると大当り判定用の乱数値及び大当り図柄決定用の乱数値などが抽出されるように構成されている。アウト口7は、始動口6や大入賞口8や一般入賞口5などのいずれにも入球しなかった遊技球を受け入れる。大入賞口8は、特定領域(いわゆるVゾーン)と一般領域とを備え、大当り判定用の乱数値に基づく大当り判定の結果に応じ、所定の設定に従って開閉するように制御される。
【0026】
図3及び図4に示すように、係止孔30a(係止部)は、遊技板32の各所定位置に備えられている。この係止孔30aは、スペーサ110の所定位置に備えられた係止片111が係止されるためのものである。
【0027】
図4に示すように、誘導路ユニット部4aは、遊技板32の裏面に配備されている。この誘導路ユニット部4aは、第1遊技球誘導部材3の下方に備えられた2つの孔に投入された遊技球を、第2遊技球誘導部材4の上方に備えられた3つの孔のいずれかから排出させるためのものである。
【0028】
始動口ユニット部6aは、遊技板32の裏面に配備され、裏面側から見て始動口6と重なる位置に配備されている。この始動口ユニット部6aには、始動口6に備えられている始動領域を遊技球が通過したことを検出する始動入賞球スイッチや、始動口6に備えられている1対の羽根を開閉するための始動口ソレノイドなどが備えられている。
【0029】
大入賞口ユニット部8aは、遊技板32の裏面に配備され、裏面側から見て大入賞口8と重なる位置に配備されている。この大入賞口ユニット部8aには、大入賞口8の扉を開閉する大入賞口ソレノイドや、大入賞口8に備えられている特定領域や一般領域を通過した遊技球の数を計数するためのスイッチなどが備えられている。
【0030】
上述の図2に示すように、ベースドア60の前面の左上部及び左下部には、ヒンジ凹部60f(凹みの様子は図示せず)が備えられており、前面の左中部には、ヒンジ凸部60g(凸の様子は図示せず)が備えられている。また、ガラス枠10の裏面の左上部には、ヒンジ凸部(図示せず)が備えられており、裏面の左下部には、ヒンジ凹部(図示せず)が備えられている。そして、ベースドア60の前面の左上部に備えられたヒンジ凹部60fに、ガラス枠10に備えられたヒンジ凸部が嵌め込まれるとともに、ヒンジ凸部60gが、ガラス枠10に備えられたヒンジ凹部に嵌め込まれることにより、ベースドア60に対して、ガラス枠10が開閉可能に取り付けられる。なお、ベースドア60の前面の左下部に備えられたヒンジ凹部60fに、皿部20の裏面に備えられたヒンジ凸部(図示せず)が嵌め込まれることにより、皿部20がベースドア60に対して開閉可能に取り付けられる。このガラス枠10には、遊技盤30の前面を覆うための前面ガラス11がはめ込まれている。
【0031】
また、図2に示すように、ベースドア60の前面の下方には、皿部20が取り付けられている。この皿部20は、賞球などにより払い出された遊技球などを貯留するための上皿と、アウト口7に受け入れられた遊技球などを貯留するための下皿とを備えている。
【0032】
発射ハンドル40は、ベースドア60の前面に取り付けられた皿部20の右側に取り付けられている。具体的には、この発射ハンドル40に備えられた係止片(図示せず)が、ベースドア60の右下方に備えられた係止穴に係止されることにより、発射ハンドル40はベースドア60に取り付けられる。なお、ベースドア60の下方の右側には、発射ハンドルに備えられたハーネス(ボリュームスイッチと発射装置とを接続するためのハーネス、図示せず)を差し通すための貫通孔が備えられている。
【0033】
第1ユニット部90は、ベースドア60の裏面の左側(正面側から見て左側)に配備され、図示しないヒンジ機構を介して開閉可能に取り付けられている。この第1ユニット部90には、遊技球を貯留するための球タンク、貸球又は賞球用の遊技球の払い出しを行う払出装置、貸球や賞球などの遊技球の通路である遊技球通路などが備えられている。
【0034】
第2ユニット部100は、ベースドア60の裏面の右側(正面側から見て右側)に取り付けられている。この第2ユニット部100には、液晶ディスプレイ部70に表示する図柄の表示制御を行う図柄制御基板、遊技盤30の前面などに配備された各種ランプの点灯、点滅制御などを行うランプ制御基板、大当たり判定などの遊技処理全般を制御する主制御基板、貸球及び賞球の払い出しに関する制御を行う払出基板、各基板の動作に必要な電源を供給する電源基板などが備えられている。
【0035】
このように構成された遊技機においては、図5に示すように、液晶ディスプレイ部70がベースドア60に取り付けられたままの状態であり、且つガラス枠10がベースドア60に対して開放された状態で、作業者等が回転部61bを回転操作し、遊技板32がベースドア60から抜ける位置に板部61aを配置させることにより、作業者等は遊技盤30をベースドア60から取り出すことができる。
【0036】
図6は、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間にスペーサ110が備えられている様子を示す斜視図である。図7は、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間にスペーサが備えられている様子を示す側面図である。図8は、遊技板32の裏面に、発光基板130と球通路部120とを備えるスペーサ110が備えられている様子を示す図である。図9は、弾球遊技機1を構成する遊技盤30と、スペーサ110と、球通路部120と、発光基板130と、液晶ディスプレイ部70とが分解された様子を示す分解図である。図10は、正面側から見たときのスペーサ110を示す外観図である。
【0037】
図6及び図7に示すように、本実施形態の弾球遊技機1においては、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間には、スペーサ110が備えられている。先ずスペーサ110の構成を説明する。
【0038】
スペーサ110は、遊技板32に対して着脱可能に構成されている。具体的には、図9に示すように、スペーサ110の前面の各所定位置には、遊技板32に備えられた係止孔30aによって着脱可能に係止されるための係止片111が備えられている。そして、図9に示すように、スペーサ110に備えられた各係止片111の位置と、遊技板32に備えられた各係止孔30aの位置とがそれぞれ合わせられて、各係止片111は、それぞれ、各係止孔30aに対して、取り外し可能に係合される。これにより、各係止片111は、各係止孔30aに着脱可能に係止される。
【0039】
図10に示すように、スペーサ110には、正面側から見て液晶部70aを視認可能とするための貫通孔110cが備えられている。
【0040】
また、スペーサ110には、球通路部120と連通し、一般入賞口5に入球された遊技球を受け入れるための球受け入れ孔112が正面側から見て一般入賞口5と重なる位置に備えられている(図10参照)。具体的には、スペーサ110が遊技板32に取り付けられるとともに、スペーサ110に球通路部120が取り付けられた状態で、球受け入れ孔112は、スペーサ110において、正面側から見て遊技板32に配備された一般入賞口5と重なる位置であるとともに、球通路部120の通路部121の上端部121aと重なる位置に配備されている。
【0041】
さらに、スペーサ110の裏面には、発光基板130を取り付けるためのネジ挿入用の突出部115が配備されている(後述の図13参照)。
【0042】
また、スペーサ110には、図10に示すように、電飾用レンズ部材140が嵌め込まれるための凹部114が備えられている。この凹部114は、複数の開口部113を備えている。これらの開口部113は、スペーサ110において、発光基板130がスペーサ110の裏面における所定位置に取り付けられたときに、正面側から見て各発光部材131と重なる位置に備えられている。これにより、発光基板130がスペーサ110の裏面における所定位置に取り付けられたときは、発光部材131が開口部113と臨む位置に配置されることにより、遊技者は、開口部113を通して発光部材131からの光を視認できる。したがって、スペーサ110には、発光部材131が、発光部材131からの光を遊技者が視認可能な位置に備えられていることになる。
【0043】
また、凹部114は、複数の第1の係止孔110aと、複数の第2の係止孔110bとを備えている。この第1の係止孔110aは、後述する電飾用レンズ部材140の所定位置に備えられた係止片140aが係止されるためのものであり、第2の係止孔110bは、後述する電飾用レンズ部材140の所定位置に備えられた係止片140bが係止されるためのものである。
【0044】
図11は、弾球遊技機1において、スペーサ110と、液晶ディスプレイ部70との間の配置関係を示す図である。図11に示すように、弾球遊技機1において、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部と重なる位置に備えられている。具体的には、ベースドア60の前面に対して、スペーサ110が裏面側に取り付けられた遊技盤30が取り付けられている。そして、液晶ディスプレイ部70は、ベースドア60の裏面に対して、正面側から見て液晶枠70bがスペーサ110に隠れる位置に取り付けられている。
【0045】
次に、スペーサ110の裏面の所定位置に備えられ、遊技球の通路である球通路部120の構成の説明を行う。
【0046】
図12は、正面側から見た場合の球通路部120の構成を示す外観図である。また、図13は、球通路部120と発光基板130とがスペーサ110にどのように取り付けられているかを説明するための外観図である。
【0047】
図12に示すように、球通路部120には、スペーサ110の各所定位置に備えられた係止片117が着脱可能に係止されるための係止孔123が備えられている。また、球通路部120には、球受け入れ孔112から送られてきた遊技球を通過させるための通路部121が備えられている。
【0048】
この通路部121には、球通路部120がスペーサ110に取り付けられた状態で、上端部121aが球受け入れ孔112と対向する位置に配置されている。また、通路部121に備えられた下端部121bには、下向きの開口が備えられている。さらに、通路部121には、正面側から見て通路部121の前面側に開口が形成されており、裏面側に蓋が一体成形されている。このため、スペーサ110に球通路部120が取り付けられた状態では、通路部121は通路部121の蓋とスペーサ110とに挟まれた空間を形成し、遊技球はこの空間を通過する。
【0049】
このように構成された通路部において、スペーサ110に球通路部120が取り付けられた状態では、球受け入れ孔112を介して、一般入賞口5から送られてきた遊技球が上端部121aに送られ、遊技球が通路部121を通過し、下端部121cの開口から弾球遊技機1の外部に排出される。
【0050】
図13に示すように、球通路部120には、遊技球の通過を検出するための遊技球検出スイッチ125を差込こむための差込み孔122が備えられている。遊技球検出スイッチ125には、遊技球を通過させるための通過孔125aが備えられている。遊技球検出スイッチ125は、差込み孔122に対して、通路部121を通過する遊技球が通過孔125aを通過可能な位置に差し込まれている。このようにして、球通路部120には、遊技球の通過を検出するための遊技球検出スイッチ125が備えられている。
【0051】
この遊技球検出スイッチ125が差込み孔122に差し込まれた状態で、通路部121を通過した遊技球が通過孔125aを通過すると、遊技球検出スイッチ125は遊技球の通過を検出し、図示しないハーネスなどを介して、検出信号を主制御基板に出力する。
【0052】
球通路部120は、スペーサ110の裏面の下方に配備され、着脱可能に構成されている。具体的には、図13に示すように、スペーサ110の各所定位置には、球通路部120に備えられた係止孔123に着脱可能に係止されるための係止片117が備えられている。そして、図13に示すように、スペーサ110に備えられた各係止片117の位置と、球通路部120に備えられた各係止孔123の位置とがそれぞれ合わせられて、各係止片117は、それぞれ、各係止孔123に取り外し可能に係合される。これにより、各係止片117は、各係止孔123に着脱可能に係止される。
【0053】
このようにして構成された球通路部120がスペーサ110の裏面に取り付けられることにより、弾球遊技機1において、球通路部120は、正面側から見てスペーサ110の裏面に配置されることになる。このため、遊技者は、透明な遊技板32で構成される遊技盤30を介して、球通路部120を視認してしまうことがない。
【0054】
次に、スペーサ110の裏面に取り付けられている発光基板130の構成の説明を行う。発光基板130は、スペーサ110の裏面に、ネジなどにより取り付けられる。この発光基板130には、複数の発光部材131(例えば、LED)と、スペーサ110に対して当該発光基板130を取り付けるためのねじ挿入用の開口部132とが配備されている。そして、図13に示すように、発光基板130に備えられた開口部132の位置と、スペーサ110に備えられた突出部115の位置とが合わせられて、発光基板130の裏面側から、ネジなどが突出部115及び開口部132に挿入されて、スペーサ110に対して当該発光基板130が固定される。
【0055】
次に、スペーサ110の前面に取り付けられている電飾用レンズ部材140の構成の説明を行う。電飾用レンズ部材140は、複数の発光部材131からの光を拡散するものである。この電飾用レンズ部材140は、スペーサ110の前面(発光部材131の前面側)に対して、正面側から見て上記複数の発光部材131と重なる位置に配備されている。
【0056】
具体的には、スペーサ110の前面の凹部114には、電飾用レンズ部材140が嵌め込まれる。この凹部114に電飾用レンズ部材140が嵌め込まれた状態で、電飾用レンズ部材140は、正面側から見て凹部114に配備された開口部113を覆っている。スペーサ110の裏面に発光基板130が取り付けられた状態で、各発光部材131が正面側から見て各開口部113に臨む位置となることにより、電飾用レンズ部材140は、スペーサ110の前面側から見て複数の発光部材131と重なる位置に取り付けられていることになる。
【0057】
図14は、電飾用レンズ部材140がスペーサ110にどのように取り付けられているかを説明するための外観図である。上述したように、スペーサ110の所定位置には、係止孔(第1の係止孔110a,第2の係止孔110b)が備えられており、電飾用レンズ部材140の所定位置には、係止孔(第1の係止孔110a,第2の係止孔110b)に係止されるための係止片(第1の係止片140a,第2の係止片140b)が備えられている。
【0058】
具体的には、電飾用レンズ部材140には、電飾用レンズ部材140が凹部114に嵌め込まれたときに、スペーサ110に備えられた第1の係止孔110a(及び第2の係止孔110b)と対向する位置に、第1の係止片140a(及び第2の係止片140b)が配備されている。
【0059】
そして、図14に示すように、スペーサ110に備えられた第1の係止孔110aの位置と、電飾用レンズ部材140に備えられた第1の係止片140aの位置とがそれぞれ合わせられて、各第1の係止片140aは、それぞれ、各第1の係止孔110aに取り外し可能に係合されることにより、各第1の係止片140aは各第1の係止孔110aに着脱可能に係止される。第2の係止片140bも同様にして、第2の係止孔110bに着脱可能に係止される。
【0060】
このようにして構成された電飾用レンズ部材140がスペーサ110の前面に取り付けられ、発光基板130がスペーサ110の裏面に取り付けられることにより、弾球遊技機1において、発光部材131や電飾用レンズ部材140は、正面側から見て液晶部70aと重ならなくなる。
【0061】
(作用効果)
本実施形態の弾球遊技機1によれば、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間に、スペーサ110が備えられることにより、弾球遊技機1は、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間の間隔を所定距離に保つことができる。このため、弾球遊技機1は、液晶ディスプレイ部70の動作に伴って発生する熱が多量に遊技板32に設置された各種部品(例えば、弾球遊技機1の動作に関係する部品など)などに伝わってしまう事態を防止可能な構造を持つことができるとともに、液晶ディスプレイ部70から発生する熱による弾球遊技機1の故障を防止可能な構造を持つことができる。
【0062】
すなわち、少なくとも一部が透明な部材で形成された遊技板32の裏面側に、液晶ディスプレイ部70が配置されることにより、液晶ディスプレイ部70の前面における遊技球の流下態様とともに液晶ディスプレイ部70に表示された所定の演出が遊技者によって視認可能となるため、弾球遊技機1は、遊技の興趣を向上させるとともに、液晶ディスプレイ部70から発生する熱による弾球遊技機1の故障を防止することができる。
【0063】
また、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間隔が存在することにより、弾球遊技機1は、液晶ディスプレイ部70の表示が遊技盤30(又は遊技板32)に対して奥行きがあるような感覚を遊技者に与えることができ、演出効果を向上させることができる。また、弾球遊技機1は、液晶ディスプレイ部70の表示に対して、遊技盤30の遊技領域に投入された遊技球が宙に浮いているような感覚を遊技者に与えることができ、視覚的な演出効果を向上させることができる。
【0064】
さらに、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間隔が存在しない場合には、例えば、遊技者は、発射レールより外側に位置する表示領域を視認できないが、本実施形態では、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間隔が所定距離にされるため、弾球遊技機1は、従来視認できなかった表示領域を遊技者に視認させることができ、演出効果を一層向上させることができる。
【0065】
また、スペーサ110が正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部(例えば、液晶枠70b)と重なる位置に備えられることにより、遊技者は、液晶ディスプレイ部70の周縁部付近に他の部材との間で存在する隙間や、液晶枠70bを視認できない。このため、弾球遊技機1は、外観における美観を向上可能な構造を持つことができる。
【0066】
さらに、スペーサ110が遊技板32に対して着脱可能に構成されることにより、作業者等は遊技盤30の交換を容易に行えることができ、弾球遊技機1は遊技盤30の交換時における作業時間や作業コストを低減可能な構造を持つことができる。
【0067】
また、遊技板32の所定位置には係止孔30aが備えられ、スペーサ110の所定位置には係止孔30aに係止されるための係止片111が備えられることにより、スペーサ110を遊技板32に取り付けるための取り付け部品(例えば、ネジなど)が不要となるため、弾球遊技機1は、弾球遊技機1の製造に要するコストの低減を図ることが可能な構造を持つことができる。
【0068】
さらに、液晶ディスプレイ部70は、ベースドア60の裏面に取り付けられており、遊技盤30は、ベースドア60の前面に取り付けられている。従来では、遊技盤30が交換されるときは、正常動作が行える液晶ディスプレイ部70も一緒に交換されていたため、遊技盤30だけの交換に必要なコストが高くなってしまっていた。本実施形態では、液晶ディスプレイ部70がベースドア60の裏面に取り付けられたままの状態で、遊技盤30だけがベースドア60から取り外し可能となるため、弾球遊技機1は、遊技盤30だけの交換に必要なコストを低減可能な構造を持つことができる。
【0069】
また、作業者等がメンテナンス時において遊技板32に配備された釘等を叩いたとしても、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間に間隔が存在するため、弾球遊技機1は、当該釘等から伝導される衝撃を直に液晶ディスプレイ部70に伝えないようにすることが可能な構造を持つことができる。さらに、弾球遊技機1は、液晶ディスプレイ部70に穴部が備えられていなくても、液晶ディスプレイ部70の表面側において駆動装置や球通路が配備された役物(例えば、始動口6、大入賞口8)を備えることが可能な構造を持つことができる。
【0070】
(変更例)
(1)上述した実施形態では、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間において、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部(例えば、液晶枠70b)と重なる位置に備えられていたが、これに限定されず、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部(例えば、液晶枠70b)と重ならない位置に、備えられてもよい。また、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部の一部と重なる位置(例えば、液晶ディスプレイ部の液晶枠70bの4角部分と重なる位置)に備えられてもよい。
【0071】
また、スペーサ110は、上述した実施形態の構成に限定されず、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間隔を所定距離に保つためのものであればどのような構成であってもよい。
【0072】
さらに、上述の実施形態では、スペーサ110が遊技板32に取り付けられた後に、遊技板32がベースドア60に取り付けられるようにしていたが、以下のようにしてもよい。即ち、ベースドア60には、スペーサ110が取り付けられている。そして、遊技板32は、遊技板32とベースドア60との間にあるスペーサ110を挟み込んだ状態で、ベースドア60に直接取り付けられてもよい。
【0073】
また、上述の実施形態では、遊技板32に備えられた係止孔30aに、スペーサ110の係止片111が係止されることにより、スペーサ110は、遊技板32に着脱可能に取り付けられたが、これに限定されず、以下のようにしてもよい。即ち、遊技板32に対して、スペーサ110は、ビス留めにより固定されてもよい。
【0074】
また、上述の実施形態では、液晶ディスプレイ部70は、ベースドア60に取り付けられるようにしていたが、液晶ディスプレイ部70は、スペーサ110に取り付けられるようにしてもよい。そして、液晶ディスプレイ部70が取り付けられたスペーサ110が、遊技板32に取り付けられるようにしてもよい。
【0075】
(2)スペーサ110には、スペーサ110が遊技板32に取り付けられた状態で、正面側から見て一般入賞口5の位置と重ならない位置に、球受け入れ孔112が配備されてもよい。そして、遊技板32の裏面に、球受け入れ孔112と、通路部121の上端121aとを連通するための連通路が備えられてもよい。
【0076】
また、遊技球検出スイッチ125は、球通路部120に備えられていたが、一般入賞口5内に備えられてもよい。
【0077】
さらに、一般入賞口5に限らず、始動口6,大入賞口8も遊技球の入球により遊技者に所定の利益(賞球の払い出しなど)を付与するためのものである。そして、スペーサ110が遊技板32に取り付けられた状態で、スペーサ110において球受け入れ孔112は、一般入賞口5と対向する位置に限らず、始動口6,大入賞口8、アウト口7と対向する位置に備えられてもよい。そして、始動口6,大入賞口8、アウト口7に入球した遊技球が通路部121を通過してもよい。
【0078】
また、通路部121の上端121aは賞球タンクと接続され、通路部121の下端121bは上皿に接続されてもよい。そして、賞球タンクからの遊技球が通路部121を介して、上皿に送られてもよい。
【0079】
さらに、球通路部120の形状や、通路部121の形状は、図12に示す形状(湾曲状の形状)に限定されず、球受け入れ孔112から送られてきた遊技球を通過させることができるものであれば、どのような形状であってもよい。
【0080】
(3)上述の実施形態では、発光部材131は、例えば、LEDにより構成されるとしたが、これに限定されず、例えば、ランプなどで構成されてもよい。
【0081】
また、上述した実施形態において、開口部113がスペーサ110に備えられず、発光基板130は、スペーサ110の前面に直接取り付けられてもよい。そして、スペーサ110の前面に発光基板130が取り付けられた状態で、電飾用レンズ部材140は、正面側から見て発光基板130に配備された複数の発光部材131と重なる位置に、スペーサ110に対して取り付けられてもよい。
【0082】
さらに、上述の実施形態では、発光基板130がスペーサ110に取り付けられているが、各発光部材131は、スペーサ110に備えられた開口部132の位置に直接取り付けられてもよい。
【0083】
また、電飾用レンズ部材140の係止片140a,140bが、スペーサ110の係止孔110a,110bに係止されることにより、電飾用レンズ部材140は、スペーサ110に着脱可能に取り付けられているが、これに限定されず、以下のようにしてもよい。即ち、電飾用レンズ部材140は、スペーサ110に対してネジにより固定されてもよい。
【0084】
さらに、上述した実施形態では、スペーサ110に対して、発光基板130、電飾用レンズ部材140、球通路部120が取り付けられているが、スペーサ110と発光基板130と電飾用レンズ部材140と球通路部120は一体成形されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施形態における弾球式遊技機の外観を示す図である。
【図2】本実施形態における弾球式遊技機の各部を分解した様子を示す分解図である。
【図3】本実施形態における遊技盤を示す正面図である。
【図4】本実施形態における遊技盤を示す裏面図である。
【図5】本実施形態における液晶ディスプレイ部がベースドアに取り付けられた状態を示す図である。
【図6】本実施形態における遊技盤と液晶ディスプレイ部との間にスペーサが挟み込まれている様子を示す斜視図である。
【図7】本実施形態における遊技盤と液晶ディスプレイ部との間にスペーサが挟み込まれている様子を示す側面図である。
【図8】本実施形態における遊技盤の裏面にスペーサが備えられている様子を示す図である。
【図9】本実施形態における遊技盤とスペーサと球通路部と発光基板と液晶ディスプレイ部とが分解された様子を示す分解図である。
【図10】本実施形態における正面側から見たときのスペーサを示す外観図である。
【図11】本実施形態におけるスペーサと液晶ディスプレイ部との間の配置関係を示す図である。
【図12】本実施形態における正面側から見たときの球通路部120を示す図である。
【図13】本実施形態における球通路部と発光基板とがスペーサに取り付けられている様子を示す図である。
【図14】本実施形態における電飾用レンズ部材がスペーサに取り付けられている様子を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1…弾球遊技機、3…第1遊技球誘導部材、4…第2遊技球誘導部材、4a…誘導路ユニット部、5…一般入賞口、6…始動口、6a…始動口ユニット部、7…アウト口、8…大入賞口、8a…大入賞口ユニット部、10…ガラス枠、11…前面ガラス、20…皿部、30…遊技盤、30a…係止孔、31…孔部、32…遊技板、40…発射ハンドル、60…ベースドア、60c、60f…ヒンジ凹部、60d…開口部、60e…開口部、60g、80a…ヒンジ凸部、61…留め部材、61a…板部、61b…回転部、70…液晶ディスプレイ部、70a…液晶部、70b…液晶枠、75…スピーカ、80…外枠、90…第1ユニット部、100…第2ユニット部、110…スペーサ、110a…第1の係止孔、110b…第2の係止孔、110c…貫通孔、111…係止片、112…球受け入れ孔、113…開口部、114…凹部、115…突出部、117…係止片、120…球通路部、121…通路部 122…差込み孔、123…係止孔、125…遊技球検出スイッチ、125a…通過孔、130…発光基板、131…発光部材、132…開口部、140…電飾用レンズ部材、140a…第1の係止片、140b…第2の係止片。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が透明な部材で形成された遊技板から構成される遊技盤と、
前記遊技板の裏面側に配備され、所定の画像を表示可能な液晶部及び当該液晶部の周囲に配備された液晶枠からなる表示装置と
を有する弾球遊技機であって、
前記遊技盤の裏面には、前記遊技板と前記表示装置との間に所定の間隔を形成するスペーサが取り付けられ、
前記スペーサは、前記液晶枠と重なる位置に配置され、前記表示装置に設けられた表示領域を視認可能とする貫通孔を有し、
前記貫通孔の周縁の前記スペーサによって前記液晶枠が視認不可能となることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記スペーサは、前記遊技板に対して、着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記遊技板の所定位置には、係止部が備えられており、前記スペーサの所定位置には、前記係止部に係止されるための係止片が備えられていることを特徴とする請求項2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
弾球遊技機を遊技場に備えられる遊技島に固定するための外枠と、
当該外枠に対して開閉可能に取り付けられた本体枠とを備え、
前記表示装置は、前記本体枠の裏面に備えたレール部に差し入れられた状態で本体枠の裏面に取り付けられ、
前記遊技盤は、前記本体枠の前面に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の弾球遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-06-08 
結審通知日 2018-06-12 
審決日 2018-06-25 
出願番号 特願2004-59799(P2004-59799)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 松川 直樹
濱野 隆
登録日 2010-04-16 
登録番号 特許第4492934号(P4492934)
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 特許業務法人タス・マイスター国際特許事務所  
代理人 特許業務法人タス・マイスター国際特許事務所  

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